(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】電池、電池モジュール、電池パック及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240411BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240411BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20240411BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20240411BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/112 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/308 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/548 20210101ALI20240411BHJP
H01M 50/51 20210101ALI20240411BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/058
B60K1/04
H01M50/121
H01M50/129
H01M50/131
H01M50/105
H01M50/112
H01M50/186
H01M50/184 C
H01M50/119
H01M50/289
H01M50/296
H01M50/249
H01M50/224
H01M50/211
H01M50/204 101
H01M50/233
H01M50/262 Z
H01M50/271 B
H01M50/308
H01M50/548 301
H01M50/51
(21)【出願番号】P 2022542686
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2021071241
(87)【国際公開番号】W WO2021143668
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】202010033066.6
(32)【優先日】2020-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】胡世超
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-168439(JP,A)
【文献】国際公開第2015/140952(WO,A1)
【文献】特開2016-046113(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110518174(CN,A)
【文献】国際公開第2018/172157(WO,A1)
【文献】特開2014-078498(JP,A)
【文献】国際公開第2016/204147(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3528312(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された複数の電極体列とを含む電池であって、
前記複数の電極体列は、第2の方向に配列され、順に直列接続され、各前記電極体列は、パッケージフィルムと、第1の方向に配列され、順に直列接続された複数の電極体セットとを含み、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化され、
前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内に封止され、前記電極体セットを封止する前記パッケージフィルムは、前記金属ケース内に封止され、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、前記金属ケース外の気圧より低いことを特徴とする、電池。
【請求項2】
前記電池は、2つの電極体列を含み、前記2つの電極体列は、前記第1の方向に沿って互いに反対側に設けられた端部を有し、前記2つの電極体列は、同一の端部に位置する2つの電極体セットにより直列に接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記電極体セットの長さ方向と、前記電池の長さ方向は、いずれも前記第1の方向であり、前記電池の長さは、400mm~2500mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記電池の厚さ方向は、前記第2の方向であり、前記電池の厚さは、10mmより大きいことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記電池の厚さは、13mm~75mmであることを特徴とする、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記電極体セットは、電流を引き出す第1の電極及び第2の電極を含み、前記第1の電極と前記第2の電極は、前記第1の方向に沿って対応する電極体セットの両側に位置することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記パッケージフィルム内の気圧は、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧より低いことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記電極体列は、1つの前記パッケージフィルムを含み、対応する電極体列に含まれる複数の電極体セットは、同一の前記パッケージフィルム内にパッケージ化され、
前記電極体セットは、電極体セット本体と、電流を引き出す第1の電極及び第2の電極とを含み、2つの前記電極体セットを直列接続する第1の電極と第2の電極との接続箇所は、前記パッケージフィルム内に位置することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記パッケージフィルムと、前記第1の電極及び/又は前記第2の電極との対応する位置に、パッケージ部が形成され、隣接する2つの前記電極体セット本体を互いに分離し、
隣接する2つの前記電極体セットのうちの1つの電極体セットの第1の電極と、もう1つの電極体セットの第2の電極とのうちの少なくとも1つは、前記パッケージ部内に位置することを特徴とする、請求項8に記載の電池。
【請求項10】
各電極体列は、複数のパッケージフィルムを含み、少なくとも1つの前記電極体セットは、それぞれ前記複数のパッケージフィルム内にパッケージ化され、前記電極体セットは、電流を引き出す第1の電極及び第2の電極を含み、少なくとも1つの前記第1の電極及び/又は第2の電極は、前記パッケージフィルム外に延びていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項11】
前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧P1は、-100Kpa~-5Kpaであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の電池。
【請求項12】
前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧P1は、-75Kpa~-20Kpaであることを特徴とする、請求項11に記載の電池。
【請求項13】
前記パッケージフィルム内の気圧は、P2であり、P1とP2との関係は、P1とP2の比の値の範囲は0.05~0.85を満たす、関係であることを特徴とする、請求項12に記載の電池。
【請求項14】
P2の値は、-100Kpa~-20Kpaであることを特徴とする、請求項13に記載の電池。
【請求項15】
前記金属ケースは、前記第2の方向に反対側に位置する2つの第1の表面を有し、少なくとも1つの前記第1の表面は、前記金属ケースの内側に窪んでいることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記2つの第1の表面は、いずれも前記金属ケースの内部に窪んで、前記電極体セットを挟持することを特徴とする、請求項15に記載の電池。
【請求項17】
前記パッケージフィルムは、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、前記内層フィルムは、前記電極体セットと前記外層フィルムとの間に位置し、前記外層フィルムの融点は、前記内層フィルムの融点より大きく、かつ前記外層フィルムと前記内層フィルムの融点差は、30℃~80℃にあることを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
前記外層フィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド及びポリプロピレンのうちの1種又は複数種の組み合わせであり、前記内層フィルムの材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタレートのうちの1種又は複数種の組み合わせであることを特徴とする、請求項17に記載の電池。
【請求項19】
前記外層フィルムは、前記内層フィルムに接着されることを特徴とする、請求項18に記載の電池。
【請求項20】
接着用接着剤は、ポリオレフィン系接着剤であることを特徴とする、請求項19に記載の電池。
【請求項21】
前記パッケージフィルムは、アルミ複合フィルムであることを特徴とする、請求項1~20のいずれか一項に記載の電池。
【請求項22】
前記金属ケースは、開口を有するケース本体及びカバープレートを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容室を形成し、前記電極体列は、前記収容室内に位置し、前記複数の電極体列は、直列接続されてセルコアアッセンブリを形成し、前記セルコアアッセンブリの両端は、それぞれ第1の電極と第2の電極を有し、前記第1の電極と第2の電極は、別々に前記カバープレートから引き出されることを特徴とする、請求項1~21のいずれか一項に記載の電池。
【請求項23】
前記金属ケースには、空気抜き孔が設けられ、前記空気抜き孔内に封止部材が設けられることを特徴とする、請求項22に記載の電池。
【請求項24】
前記金属ケースの厚さは、0.05mm~1mmであることを特徴とする、請求項1~23のいずれか一項に記載の電池。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の電池を含むことを特徴とする、電池モジュール。
【請求項26】
複数の電池列を含む電池パックであって、前記電池列は複数の電池を含み、前記電池は、金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された複数の電極体列とを含み、前記複数の電極体列は、第2の方向に配列され、順に直列接続され、各前記電極体列は、パッケージフィルムと、第1の方向に配列され、順に直列接続された複数の電極体セットとを含み、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化され、
前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内に封止され、前記電極体セットを封止する前記パッケージフィルムは、前記金属ケース内に封止され、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、金属ケース外の気圧より低いことを特徴とする、電池パック。
【請求項27】
前記電池の厚さは、前記第2の方向に延び、複数の前記電池は、前記第2の方向に沿って順に配列されて前記電池列を形成し、
少なくとも2つの隣接する前記電池の間に隙間があり、前記隙間と前記電池の厚さとの比の値の範囲は、0.001~0.15であることを特徴とする、請求項26に記載の電池パック。
【請求項28】
前記金属ケースは、開口を有するケース本体及びカバープレートを含み、前記カバープレートは、前記ケース本体の開口に封止接続されて、ケース本体とともに封止された収容室を形成し、前記電極体列は、前記収容室内に位置し、
前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第1の隙間d1を含み、前記第1の隙間は、前記2つの隣接する電池の2つの前記カバープレートの前記第2の方向に沿う最小距離であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第2の方向に沿う寸法であり、かつ前記第1の隙間d1と前記電池の厚さとの比の値の範囲は、0.005~0.1であることを特徴とする、請求項27に記載の電池パック。
【請求項29】
前記金属ケースは、前記第2の方向に反対側に位置する2つの第1の表面を有し、前記2つの隣接する電池の間の隙間は、第2の隙間d2を含み、前記第2の隙間は、前記2つの隣接する電池の対向する2つの第1の表面の間の最小距離であり、前記電池の厚さは、前記カバープレートの前記第2の方向に沿う寸法であることを特徴とする、請求項27に記載の電池パック。
【請求項30】
前記電池の使用前の第2の隙間d2は、使用後の第2の隙間d2より大きいことを特徴とする、請求項29に記載の電池パック。
【請求項31】
前記電池パックは、電池パックカバー及びトレイを更に含み、前記電池パックカバーとトレイは、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、前記電池列は、前記電池収容キャビティ内に位置し、前記トレイは、支持部材を含み、前記金属ケースに支持領域が形成され、前記電池は、前記支持領域により前記支持部材に当接して前記支持部材に支持されることを特徴とする、請求項27に記載の電池パック。
【請求項32】
前記電池の長さは、前記第2の方向に垂直な前記第1の方向に延び、前記トレイは、支持部材であるサイドビームを含み、前記電池は、長さ方向に沿う両端がそれぞれ前記サイドビームに支持されることを特徴とする、請求項31に記載の電池パック。
【請求項33】
請求項26~32のいずれか一項に記載の電池パックを含むことを特徴とする、電気自動車。
【請求項34】
前記電池の長さ方向は、前記電気自動車の車体の長さ方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項33に記載の電気自動車。
【請求項35】
前記車体の長さは、500mm~5200mmであることを特徴とする、請求項34に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2020年1月13日に提出した、出願名称が「電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車」である中国特許出願第「202010033066.6」号の優先権を主張するものである。
【0002】
本願は、電池の分野に関し、特に、電池、電池モジュール、電池パック及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車に適用される電池パックは、一般的に、電池容量を向上させるように、電池パックのケース内に取り付けられる複数の電池を含む。
【0004】
電池の製造過程において電解液を添加する必要があるため、電解液漏れを防止するために電池を封止する必要がある。従来技術において、一般的に、電極体をケース内に直接的に封止し、次にケース上の注入口から電解液を注入し、電解液注入が完了した後に注入口を封止することにより、電池を得る。しかしながら、上記方式では、電極体及び電解液を電池のケース内に直接的にパッケージ化するため、ケースが損傷すると電解液が漏れやすく、封止効果が低い。
【0005】
また、電池の容量を向上させるために、電池のケース内に複数の電極体が直列接続され、振動、揺れの場合に、複数の電極体がケース内で移動しやすく、電極体同士が相対変位し、電極体に損傷を与え、例えば、集電体が破損し、セパレータが皺になり、極板上の活性材料層が脱落するため、電池の安定性が低く、安全上の問題も発生しやすい。
【発明の概要】
【0006】
本願は、従来技術における技術的課題の1つを少なくとも解決することを目的とする。このために、本願に係る電池は、封止効果がより高く、安全性能がより高く、高い放熱効率を有し、長さを長く設定し、かつ強度要件を満たすことができる。
【0007】
電池は、金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された複数の電極体列とを含み、前記複数の電極体列は、第2の方向に配列され、順に直列接続され、各前記電極体列は、パッケージフィルムと、第1の方向に配列され、順に直列接続された複数の電極体セットとを含み、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化され、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、前記金属ケース外の気圧より低い。
【0008】
これにより、電極体セットをパッケージフィルム内にパッケージ化し、かつ金属ケース内にパッケージ化して、二次封止を行うことにより、パッケージフィルムと金属ケースの二層封止作用により封止効果を効果的に向上させることができ、また、金属ケースとパッケージフィルムとの間の気圧差を金属ケース外の気圧より低くすることにより、金属ケースを内部電極体セットにできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体セットが金属ケース内で移動することを防止するとともに、電極体セット同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料層が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池全体の機械的強度を向上させ、電池の耐用年数を長くし、電池の安全性能を向上させる。
【0009】
電池モジュールは、上記いずれか一項に記載の電池を含む。
【0010】
電池パックは、複数の電池を含む電池列を含み、前記電池は、金属ケースと、前記金属ケース内にパッケージ化された複数の電極体列とを含み、前記複数の電極体列は、第2の方向に配列され、順に直列接続され、各前記電極体列は、パッケージフィルムと、第1の方向に配列され、順に直列接続された複数の電極体セットとを含み、前記電極体セットは、前記パッケージフィルム内にパッケージ化され、前記金属ケースと前記パッケージフィルムとの間の気圧は、前記金属ケース外の気圧より低い。
【0011】
電気自動車は、上記いずれか一項に記載の電池パックを含む。
【0012】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明において明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本願の上記及び/又は追加の様態及び利点は、以下の図面を参照して実施例を説明することにより、明らかになって理解されやすくなる。
【0014】
【
図1】本願の実施例に係る電池の立体構造の概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る電池の断面概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る電極体セットがパッケージフィルム内にパッケージ化された1つの概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る電極体セットがパッケージフィルム内にパッケージ化されたもう1つの概略図である。
【
図5】本願の実施例に係る金属ケースの第1の表面に凹部が形成された概略図である。
【
図6】本願の実施例に係る電池列の概略構成図である。
【
図7】本願の実施例に係る電池パックの概略構成図である。
【
図8】本願の実施例に係る電池に2つの電極体列が含まれる概略構成図(ケース本体を省略)である。
【
図9】本願の実施例の電池モジュールの概略図である。
【
図10】本願の実施例の電気自動車の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、実施例の例は、図面に示され、全体を通して同一又は類似の符号は、同一又は類似の部品、或いは同一又は類似の機能を有する部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0016】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならないことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するであると理解すべきではない。
【0017】
なお、用語「第1」、「第2」は、説明のためのものに過ぎず、相対的な重要性を示すか又は示唆し、或いは示された技術的特徴の数を暗示的に示すものとして理解すべきではない。これにより、「第1」、「第2」で限定された特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は実質的に含んでもよい。更に、本願の説明において、特別な説明がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0018】
以下、
図1~
図10を参照して、本願の実施例に係る電池100、電池パック200、電池モジュール300及び電気自動車1000を説明する。
【0019】
図1~
図5及び
図8に示すように、本願は、例えば、電池パックを形成する電池を指す電池100を提供する。電池100は、金属ケース11と、金属ケース11内にパッケージ化された複数の電極体列14とを含み、複数の電極体列は、第2の方向Bに配列され、順に直列接続され、各電極体列14は、パッケージフィルム13と、第1の方向Aに配列され、順に直列接続された複数の電極体セット12とを含み、電極体セット12は、少なくとも1つの電極体を含み、電極体セット12は、パッケージフィルム13内にパッケージ化され、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、金属ケース11外の気圧より低い。
【0020】
本願の電池において、電極体セット12をパッケージフィルム13内にパッケージ化し、かつ金属ケース11内にパッケージ化して、二次封止を行うことにより、パッケージフィルム13と金属ケース11の二層封止作用により封止効果を効果的に向上させることができ、また、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧差を金属ケース11外の気圧より低くすることにより、金属ケース11を電極体セット12にできるだけ近接させ、内部の隙間を小さくし、電極体セット12が金属ケース11内で移動することを防止するとともに、電極体セット12同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料層が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池100全体の機械的強度を向上させ、電池100の耐用年数を長くし、電池100の安全性能を向上させる。
【0021】
これにより、電池100を電池パック200のケース内に取り付ける場合、電池パック200のケース内の横ビーム及び縦ビームなどの支持構造の設置を減少させ、電池100自体を支持体として電池100を電池パック200のケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パック200の内部空間を節約し、電池パック200の体積利用率を向上させることができ、かつ電池パック200の重量を低減することに役立つ。
【0022】
いくつかの実施例において、電極体セット12は、電流を引き出す第1の電極121及び第2の電極122を含み、かつ電極体セット本体123と、電極体セット本体123に電気的に接続されて電流を引き出す第1の電極121及び第2の電極122とを含み、直列接続された2つの電極体セット12のうちの1つの電極体セット12の第1の電極121は、もう1つの電極体セット12の第2の電極122に接続される。複数の電極体セット12を直列接続することにより、電池100の容量及び電圧の向上を実現し、製造プロセス及びコストを低減することができる。
【0023】
本願において、言及された電極体は、動力電池の分野での一般的な電極体であり、電極体及び電極体セット12は、電池100のケース内部の構成部分であり、電池100自体として理解されるべきではなく、電池100は、単電池であり、電極体は、巻回して形成された電極体であってもよく、積層の方式で製造された電極体であってもよく、一般的に、電極体は、少なくとも正極板、セパレータ及び負極板を含む。なお、本願において言及された電池100は、独立した単電池であり、複数の電極体を含むため、電池モジュール300又は組電池として簡単に理解すべきではない。
【0024】
本願において、電極体セット12は、1つの独立した電極体で構成されてもよく、電極体セット12は、少なくとも2つの電極体を含み、かつ少なくとも2つの電極体が並列接続されて電極体セット12を構成してもよい。例えば、2つの電極体が並列接続されて電極体セット12を構成するか又は4つの電極体が並列接続されて電極体セット12を構成する。
【0025】
なお、本実施例の直列接続方式としては、隣接する電極体セット12が直列接続されてもよく、実現される具体的な方式としては、隣接する電極体セット上の第1の電極121と第2の電極122が直接的に接続されてもよく、追加の導電部材により電気的接続されてもよい。
【0026】
具体的には、電極体セット12が1つの電極体のみを含む場合、第1の電極121と第2の電極122は、それぞれ電極体の正極タブと負極タブであってもよいか、又はそれぞれ負極タブと正極タブであってもよく、
複数の電極体を含む場合、第1の電極121は、複数の電極体の正極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、第2の電極122は、複数の電極体の負極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、或いは、第1の電極121は、複数の電極体の負極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよく、第2の電極122は、複数の電極体の正極タブを複合溶接して形成された引出部材であってもよい。
【0027】
第1の電極121及び第2の電極122の「第1」及び「第2」は、名称の区別のみに用いられ、数を限定するものではなく、例えば、第1の電極121は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0028】
一実施例において、
図8に示すように、電池100は、2つの電極体列14を含み、電極体列14は、第1の方向Aに沿って反対側に設けられた端部を有し、2つの電極体列14は、同一の端部に位置する2つの電極体セット12により直列接続される。1つの金属ケース11内に2つの電極体列14をパッケージ化し、2つの電極体列14が同一の端部に位置する2つの電極体セット12により直列接続され、すなわち、2つの電極体列14が「U」字形で配列することができ、これにより、長い電池100をより容易に製造し、コストを低減するとともに、電池100の放熱効率を向上させることを保証することができる。したがって、本願の解決手段により長く、強度の高い電池100を容易に製造することができる。
【0029】
具体的には、1つの電極体列14における電極体セット12の第1の電極121と第2の電極122の配列は、もう1つの電極体列14における電極体セット12の第1の電極121と第2の電極122の配列と逆であり、このように同一の端部に位置する2つの電極体セット12のうちの1つの電極体セット12の第1の電極121と、もう1つの電極体セット12の第2の電極122とを直列接続することにより、2つの電極体列14の直列接続を実現することができ、このような直列接続方式の電気的接続経路が相対的に短く、構造設計を簡略化し、コストを低減することに役立つ。また、このような構造により電池100の第1の電極121と第2の電極122が同じ側から引き出されることを更に実現することができ、複数の電池200を電気的に接続する外部の電気接続部材の配置に役立つ。
【0030】
なお、電極体列14の数は、実際の需要に応じて設定されてもよく、例えば、3つであり、3つの電極体列14は、順に直列接続される。或いは、4つの電極体列14は、順に直列接続される。
【0031】
更に、金属ケース11は、開口を有するケース本体111及びカバープレート112を含む。カバープレート112は、それぞれケース本体111の開口に封止接続され、ケース本体とともに封止された収容室を形成し、電極体列14は、該収容室内に位置する。複数の電極体列14は、順に直列接続されてセルコアアッセンブリを形成し、セルコアアッセンブリの両端は、それぞれ第1の電極と第2の電極を含み、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極は、カバープレート112から引き出される。
【0032】
一実施例において、電池100は、3つの電極体列14を含み、3つの電極体列14は、それぞれ第1の電極体列、第2の電極体列及び第3の電極体列として定義され、第1の電極体列、第2の電極体列及び第3の電極体列は、第2の方向Bに配列され、順に直列接続されてセルコアアッセンブリを形成し、第1の電極体列と第2の電極体列は、同一の端部に位置する2つの電極体セット12により直列接続され、第2の電極体列と第3の電極体列は、同一の端部に位置する2つの電極体セット12により直列接続され、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極のうちの1つは、第1の電極体列のうち、端部に位置し、第2の電極体列に直列接続されていない電極体セット12の電極であり、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極のうちのもう1つは、第3の電極体列のうち、端部に位置し、第2の電極体列に直列接続されていない電極体セット12の電極である。
【0033】
例えば、第1の電極体列、第2の電極体列及び第3の電極体列は、いずれも3つの電極体セット12を含み、3つの電極体セットは、第1の方向Aに順に配列され、直列接続され、3つの電極体セット12は、それぞれ第1の電極体セット、第2の電極体セット及び第3の電極体セットとして定義され、第1の電極体列と第2の電極体列は、同一の端部に位置する2つの電極体セット12(すなわち、それぞれの第3の電極体セット)により直列接続され、第2の電極体列と第3の電極体列は、同一の端部に位置する2つの電極体セット12(すなわち、それぞれの第1の電極体セット)により直列接続され、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極のうちの1つは、第1の電極体列のうち、端部に位置し、第2の電極体列に直列接続されていない電極体セット12(すなわち、第1の電極体セット)の電極であり、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極のうちのもう1つは、第3の電極体列のうち、端部に位置し、第2の電極体列に直列接続されていない電極体セット12(すなわち、第3の電極体セット)の電極である。いくつかの実施形態において、ケース本体111は、両端が開口してもよく、カバープレート112の数は、2つであってもよいため、2つのカバープレート112は、それぞれケース本体111の両端の開口に封止接続されて、封止された収容室を形成する。このような方式において、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極は、同一のカバープレート112から引き出されてもよく、それぞれ2つのカバープレート112から引き出されてもよく、これを限定しない。
【0034】
いくつかの実施形態において、ケース本体111には、一端のみに開口が設けられてもよく、カバープレート112の数は1つであるため、1つのカバープレート112は、ケース本体111の一端の開口に封止接続される。このような方式において、セルコアアッセンブリの第1の電極と第2の電極は、同一のカバープレート112から引き出される。
【0035】
本願の実施例において、電極体セット12は、パッケージフィルム13内にパッケージ化され、すなわち、金属ケース11と電極体セット12との間にパッケージフィルム13が更に設けられる。これにより、パッケージフィルム13と金属ケース11により電極体セット12に対する二次パッケージを実現することができ、電池100の封止効果を向上させることに役立つ。パッケージフィルム13内に電解液が更に注入されることを理解されたい。したがって、上記方式により、更に電解液と金属ケース11との接触を回避し、金属ケース11の腐食又は電解液の分解を回避することができる。
【0036】
金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、金属ケース11外の気圧より低い。
【0037】
本願において、「気圧」は、大気圧の略称である。それは、単位面積当たりに作用する気体の圧力を指し、すなわち単位面積において、大気上界まで上方に延びる垂直空気柱の重量に等しい。
【0038】
金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルム13との間に位置する空間内の気圧であり、該気圧は、金属ケース11外の気圧より低く、したがって、本願の実施例において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間が負圧状態にあるため、金属ケース11が大気圧によって窪むか又は変形すると、金属ケース11と電極体セット12との間の隙間がそれに伴って小さくなり、電極体セット12が移動するか又は互に変位する空間が小さくなり、更に電極体セット12の移動及び電極体セット12同士の相対変位を減少させ、電池100の安定性、強度及び安全性能を向上させることができる。
【0039】
例えば、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に空気抜き処理を行うことにより、金属ケース11とパッケージフィルム13との間を負圧状態にすることにより、金属ケース11をその内部の電極体セット12にできるだけ近接させ、内部の空隙を小さくし、電極体セット12が金属ケース11内で移動することを防止するとともに、電極体セット12同士が相対変位することを防止し、集電体が破損し、セパレータが皺になり、活性材料が脱落するなどの状況の発生を減少させ、電池100全体の機械的強度を向上させ、電池100の耐用年数を長くし、電池100の安全性能を向上させる。
【0040】
一実施形態において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、P1であり、P1の値の範囲は、-100Kpa~-5Kpaであってもよく、別の実施形態において、P1の値は、-75Kpa~-20Kpaであってもよい。勿論、当業者は、実際の需要に応じてP1の値を設定することができる。なお、金属ケース11とパッケージフィルム13との間は、真空状態にあってもよい。
【0041】
パッケージフィルム13内の気圧は、P2であり、P1とP2との関係は、P1とP2の比の値の範囲は0.05~0.85を満たす、関係である。P2の値は、-100Kpa~-20Kpaであってもよい。
【0042】
P1、P2及びP1/P2を上記範囲内に限定し、本願における電極体セット12は、二次封止のモードを使用し、まず電極体セット12をパッケージフィルム13内にパッケージ化し、内部の気圧が大きすぎてパッケージフィルム13が外向きに膨出することによるパッケージフィルム13の破損を回避するために、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧がパッケージフィルム13内の気圧より大きいことを選択する。また、多くの実験により、P1/P2が上記範囲にある場合、電池100の二次封止の信頼性をよく保証するとともに、電池100の極板の間の界面を保証し、極板の間の隙間を小さくし、リチウムイオンをよりよく伝導させることを検証した。
【0043】
いくつかの実施形態において、パッケージフィルム13内の気圧は、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧より低い。
【0044】
本願の一実施例において、
図3に示すように、電極体列14は、1つのパッケージフィルム13を含み、対応する電極体列14に含まれる複数の電極体セット12は、同一のパッケージフィルム13内にパッケージ化され、電極体セット12は、電極体セット本体123と、電流を引き出す第1の電極121及び第2の電極122とを含み、2つの電極体セット12を直列接続する第1の電極121と第2の電極122の接続箇所は、パッケージフィルム13内に位置する。すなわち、各電極体列14のパッケージフィルム13は、一体に設けられ、各電極体列14に含まれる複数の電極体セット12は、同一のパッケージフィルム13内にパッケージ化される。
【0045】
実際の応用において、例えば、
図3に示すように、まず複数の電極体セット12を直列接続し、次に1つのパッケージフィルム13を用いて直列接続された電極体セット12を包み、例えば、直列接続された電極体セット12をパッケージフィルム13の一部の領域に配置し(又はパッケージフィルム13の一部の領域に予め溝入れを行い、次に直列接続された複数の電極体セット12を該溝内に配置する)、次にパッケージフィルム13の他の一部の領域を電極体セット12の方向に向けて中折りし、その後に熱融着処理により2つの領域のパッケージフィルム13を熱融着して封止することにより、直列接続された電極体セット12を同一のパッケージフィルム13内にパッケージ化する。
【0046】
パッケージフィルム13と第1の電極121及び/又は第2の電極122との相対位置にパッケージ部131が形成されて隣接する2つの電極体セット本体123を分離し、かつ隣接する2つの電極体セット12のうちの1つの電極体セット12の第1の電極121と、もう1つの電極体セット12の第2の電極122のうちの少なくとも1つがパッケージ部131内に位置する。パッケージ部131により複数の電極体セット本体123を分離し、複数の電極体セット12の間の電解液が互いに流通することを回避し、複数の電極体セット12は、互いに影響を与えず、かつ複数の電極体セット12中の電解液は、電位差が大きすぎて分解することがなく、電池100の安全性及び耐用年数を保証する。
【0047】
パッケージ部131は、様々な実施形態を有してもよく、例えば、結束バンドを使用してパッケージフィルム13を締め付けてパッケージ部131を形成してもよく、パッケージフィルム13を直接的に熱溶着して接続してパッケージ部131を形成してもよい。
【0048】
本願の別の実施例において、
図4に示すように、電極体列14は、複数のパッケージフィルム13を含み、少なくとも1つの電極体セット12は、1つのパッケージフィルム13内にパッケージ化され、電極体セット12は、直列接続される。
【0049】
換言すれば、各電極体列14に含まれるパッケージフィルム13の数と該電極体列14に含まれる電極体セット12の数は、1対1に対応し、各電極体セット12は、1つのパッケージフィルム13に単独でパッケージ化され、このような実施形態において、複数の電極体セット12の製造が完了した後、各電極体セット12の外部に1つのパッケージフィルム13を単独で嵌着し、次に電極体セット12を直列接続することができる。
【0050】
電極体セット12の第1の電極121及び第2の電極122のうちの少なくとも1つは、パッケージフィルム13外に延出し、例えば、第1の電極121がパッケージフィルム13外に延出してもよく、第2の電極122がパッケージフィルム13外に延出してもよく、第1の電極121及び第2の電極122がいずれもパッケージフィルム13外に延出してもよい。少なくとも1つの第1の電極121及び/又は第2の電極122がパッケージフィルム13外に延出するため、延出された電極は、他の電極体セット12に直列接続することができる。
【0051】
本願の実施例において、複数の電極体セット12の配列方向は、第1の方向Aであり、電極体セット12の長さ方向は、第1の方向Aに延び、電池100の長さも第1の方向Aに延び、すなわち、複数の電極体セット12は、電池100の長さ方向に沿って順に配列され、かつ電極体セット12の第1の電極121及び第2の電極122は、第1の方向Aに電極体セット12の両側にそれぞれ位置し、すなわち、複数の電極体セット12は、「ヘッドトゥーヘッド」の配列方式を使用し、この配列方式により電極体セット12同士の2つずつの直列接続を容易に実現することができ、接続構造が簡単である。また、このような配列方式により長い電池100を容易に製造することができ、これにより、電池100を電池パックのケース内に取り付ける場合、横ビーム及び縦ビームなどの支持構造を設ける必要がなく、電池100自体の金属ケース11を支持体として電池100を電池パック200のケースに直接的に取り付けることができ、これにより、電池パック200の内部空間を節約し、電池パック200の体積利用率を向上させることができ、かつ電池パック200の重量を低減することに役立つ。
【0052】
電池100は、ほぼ直方体であり、電池100の長さLは、400mm~2500mm(ミリメートル)であり、例えば500mm、1000mm又は1500mmなどであってもよい。電極体を1つのみ設ける従来の方式に比べて、電池100内に複数の電極体セット12を設けることにより、長い電池100をより容易に製造することができ、従来の電池において、電池が長くなると、集電体として使用される内部の銅アルミニウム箔の長さがそれに応じて増加して、電池の内部の抵抗を大幅に大きくし、現在ますます高くなる電力及び急速充電の要件を満たすことができない。電池の長さが同じである場合、本願の実施例は、電池の内部の抵抗を大幅に小さくし、高電力出力、急速充電などの場合の電池の過熱などによる問題を回避することができる。
【0053】
電池100の厚さDは、10mmより大きくてもよく、例えば13mm~75mmの範囲であってもよい。
【0054】
本願の実施例において、電池100の長さと厚さとの比率は、5~250である。
【0055】
本願の実施例において、電池100の厚さは、第1の方向Aに垂直な第2の方向Bに沿って延び、金属ケース11は、第2の方向に沿って反対側に位置する2つの第1の表面113を有し、該第1の表面113は、電池100の最大表面で、すなわち、電池100の「大きな表面」である。少なくとも1つの第1の表面113は、金属ケース11の内部に窪むことにより、金属ケース11と電極体セット12をできるだけ貼り合わせることができる。
【0056】
金属ケース11は、厚さが小さく、薄いシートであるため、金属ケース11の第1の表面113上の凹部114は、例えば、金属ケース11内から空気抜きする場合に形成された凹部であってもよい。すなわち、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に対して空気抜き処理を行うことにより金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧が金属ケース11外の気圧より低い場合、空気抜きの進行に伴い、金属ケース11の第1の表面113は、金属ケース11内に窪んで凹部114を形成しやすい。
【0057】
電池が正常に使用される過程において、材料自体の膨張、電解液のガス発生などにより、電池は、一般的に膨張し、通常、膨張変形が最大の領域が電池の大きな表面に位置する。本技術を使用して、電池の初期状態の場合に、真空引きにより大きな表面がわずかに内側に窪むように形成され、電池膨張後の電池の間の押圧を効果的に緩和し、電池及びシステム全体の耐用年数、安全性能などを向上させることができる。
【0058】
他のいくつかの実施例において、
図5に示すように、金属ケース11の第1の表面113に凹部を予め形成し、次に金属ケース11内に空気抜き処理を行うことであってもよい。金属ケース11の第1の表面113上の凹部114は、複数あってもよく、例えば、第1の表面113に複数の凹部114を予め形成し、各凹部114の位置は、1つの電極体セット12の所在する位置に対応する。
【0059】
いくつかの実施形態において、金属ケース11の反対側に位置する2つの第1の表面113は、いずれも内部に窪んで、窪んだ領域により電極体セット12を挟持する。
【0060】
金属ケース11に空気抜き孔を設け、該空気抜き孔により金属ケース11とパッケージフィルム13との間の空間に対して空気抜き操作を行うことができる。該空気抜き孔を封止する必要があるため、空気抜き孔内には、空気抜き孔を封止する封止部材が更に設けられる。該封止部材は、例えば、プラグ、ゴム部材などであってもよく、これを限定しない。
【0061】
いくつかの実施形態において、金属ケース11から空気抜きする前に、電極体セット12と金属ケース11の内表面との間に隙間が設けられ、該隙間により電極体セット12を金属ケース11の内部に取り付けやすく、金属ケース11から空気抜きした後、金属ケース11が第2の方向Bに電極体セット12の外表面に押圧されて電極体セット12を挟持することにより、電極体セット12が金属ケース11内部に移動する空間を小さくし、電池100の安全性能を向上させる。
【0062】
本願の実施例において、金属ケース11は、アルミラミネートフィルムと異なり、アルミラミネートフィルムは、放熱効果が低く、強度が低く、かつ製造プロセスにより制限され、アルミラミネートフィルムを電池100のケースとして使用して厚さが大きい電池100を製造することができず、金属ケース11の強度が高く、放熱効果が高く、金属ケース11は、アルミニウムケース又は鋼ケースを含むが、それらに限定されない。
【0063】
いくつかの実施例において、金属ケース11の厚さは、0.05mm~1mmである。
【0064】
金属ケース11の厚さが大きいと、電池100の重量を増加させ、電池100の容量を低下させるだけでなく、金属ケース11の厚さが大きすぎると、大気圧によって、金属ケース11が電極体セット12側に窪むか又は変形しにくく、金属ケース11と電極体セット12との間の間隔を小さくせず、更に電極体セット12を位置決めする役割を効果的に果たすことができない。それだけでなく、金属ケース11が厚すぎると、空気抜きのコストを増加させるため、製造コストを増加させる。
【0065】
本願は、金属ケース11の厚さを上記範囲内に限定することにより、金属ケース11の強度を保証するだけでなく、電池100の容量を低下させることもなく、更に負圧の状態で、金属ケース11がより変形しやすく、金属ケース11と電極体セット12との間の間隔を小さくすることにより、電極体セット12の金属ケース11内部の移動と電極体セット12同士の相対変位とを減少させる。
【0066】
一実施例において、パッケージフィルム13は、アルミ複合フィルムである。
【0067】
本願の実施例において、パッケージフィルム13は、積層された非金属外層フィルム及び非金属内層フィルムを含み、内層フィルムは、外層フィルムと電極体セット12との間に位置する。
【0068】
内層フィルムは、化学的安定性が高く、例えば、耐電解液腐食性を有する材料、例えば、ポリプロピレン(PP、Polypropylene)、ポリエチレン(PE、Polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)、又は上記材料のうちの複数種の組み合わせを使用してもよい。
【0069】
外層フィルムは、保護層であり、外層フィルムを利用して空気、特に水蒸気、酸素などの浸透を阻止することができ、その材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA、Polyamide)又はポリプロピレンであってもよく、上記材料の複数種の組み合わせであってもよい。
【0070】
本実施例のパッケージフィルム13において、外層フィルムの融点が内層フィルムの融点より大きいため、熱融着して封止する場合、外層フィルムが溶融されず、内層フィルムがタイムリーに溶融することにより優れた封止性を保証することができる。更に、外層フィルムと内層フィルムの融点差は、30℃~80℃の間にあってもよく、例えば、両者の融点差は、50℃又は70℃などであってもよく、具体的な材料は、実際の需要に応じて選択することができる。
【0071】
外層フィルムと内層フィルムとは、接着剤で接着して複合される。例えば、接着して複合フィルムを形成するために、外層フィルムの材料は、PPであってもよく、内層フィルムの材料は、PETであってもよく、両者を接着する接着剤は、例えば、ポリオレフィン系接着剤であってもよい。
【0072】
本実施例は、二層非金属フィルムを使用してパッケージフィルム13を形成して電極体セット12をパッケージ化し、非金属のパッケージフィルム13を使用して、その引張強度及び破断伸度がより高くなり、電池100の厚さに対する制限を減少させることができるため、製造された電池100は、厚さがより大きくなる。本実施例の電池100の厚さは、拡張可能な範囲が大きく、例えば10mmより大きく、例えば、13mm~75mmの範囲にあってもよい。
【0073】
本願の一実施例において、電池は、リチウムイオン電池である。
【0074】
図9に示すように、本願の別の態様において、上記いずれかの実施例の電池を含む電池モジュール300を提供する。本願に係る電池モジュール300を使用することにより、封止性が高く、組立プロセスが少なく、電池のコストが低い。
【0075】
図6及び
図7を参照して、本願は、電池列21を含む電池パック200を更に提供し、電池列21は、複数の電池100を含み、電池100は、上記いずれかの実施例に記載の電池100であるため、電池100の具体的な構造についてはここでは説明を省略する。
【0076】
電池列21は、1つであっても複数であってもよく、各電池列21における電池100は、1つあっても複数であってもよく、実際の製造において、電池100の数は、実際の需要に応じて設定することができ、電池列21の数も、実際の需要に応じて設定することができ、本願は、これを具体的に限定しない。
【0077】
本願の実施例において、電池100の長さ方向は、第1の方向Aに延び、その厚さ方向は、第1の方向Aに垂直な第2の方向Bに沿って延び、複数の電池100は、第2の方向Bに順に配列されて電池列21を形成する。少なくとも2つの隣接する電池100の間に隙間があり、該隙間と電池100の厚さとの比率範囲は、0.001~0.15である。
【0078】
なお、2つの隣接する電池100の隙間は、電池の動作時間の増加に伴って変化するが、動作中又は動作後又は電池の出荷前であっても、電池の間の隙間と厚さとの比率範囲が本願に限定された範囲内にあれば、いずれも本願の保護範囲内にある。
【0079】
本願において、電池100の間に残した一定の隙間は、電池100が膨張する場合に緩衝空間とすることができる。
【0080】
電池100の膨張は、電池100の厚さに関連し、電池100の厚さが大きいほど、電池100が膨張しやすく、本願は、電池100の間の隙間と電池100の厚さとの比率を0.001~0.15に限定し、電池パック200の空間を十分に利用し、電池パック200の利用率を向上させるだけでなく、電池100の膨張に対して優れた緩衝効果を果たすことができる。
【0081】
また、電池100が膨張する場合に発熱するため、電池100の間に一定の隙間を残し、該隙間は、更に放熱通路、例えば、空気ダクトとして機能することができ、電池100の面積の大きい面の放熱効果がより高いため、電池パック200の放熱効率を向上させ、電池パック200の安全性能を向上させることができる。
【0082】
上記解決手段において、電池100の間の隙間は、電池100の間にいかなる構造部材が設けられず、単純に一定の空間を残すと理解することができ、更に、電池100に他の構造部材が設けられることにより電池100と電池100とが該構造部材により隔てられると理解することができる。
【0083】
なお、電池100の間に構造部材が設けられる場合、電池100の間の隙間は、該構造部材と電池100との間の間隔ではなく、該構造部材の両側の電池100の間の距離であると理解すべきである。
【0084】
なお、構造部材と該構造部材の両側の電池100との間には、一定の隙間を残してもよいか、又は構造部材が両側の電池100と直接的に接触してもよく、構造部材が両側の電池100と直接的に接触する場合、構造部材は、一定の可撓性を有する必要があり、電池100が膨張する場合に緩衝作用を果たすことができる。構造部材は、エアロゲル、熱伝導性構造用接着剤又は断熱綿を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0085】
本願において、電池列21が複数ある場合、隙間は、異なる電池列21における隣接する2つの電池100の間の間隔ではなく、同一の電池列21における隣接する2つの電池100の間の間隔を指すべきである。また、同一の電池列21において、全ての隣接する2つの電池100の間にいずれも一定の隙間を残してもよく、一部の隣接する2つの電池100の間に一定の隙間を残してもよい。
【0086】
一実施形態において、2つの隣接する電池100の間の隙間は、第1の隙間d1を含み、第1の隙間d1は、2つの隣接する電池100の2つのカバープレート112の間の第2の方向Bでの最小距離として定義され、電池100の厚さは、カバープレート112の第2の方向Bでの寸法である。第1の隙間d1と電池100の厚さとの比率範囲は、0.005~0.1である。
【0087】
上記実施形態において、カバープレート112は、強度が高いため、ケース本体111に対して、膨張しにくく、電池100が一定の期間動作した後に、内部に化学反応が発生し、電池100が膨張して隣接する電池100を押圧し、第1の隙間d1が変化するが(例えば、徐々に増大する)、該変化の程度が小さく、無視することができ、或いは、変化しても、第1の隙間と電池100の厚さとの比率は、依然として上記範囲を満たす。
【0088】
上記実施形態において、ケース本体111の両端にそれぞれカバープレート112が設けられ、電池100が厚さ方向に沿って電池列21に配列される場合、2つの電池100の間の隙間は、電池列21の同一の端部に位置する2つのカバープレート112の第2の方向Bでの最小間隔であってもよく、電池列21の異なる端部に位置する2つのカバープレート112の第2の方向Bでの最小間隔であってもよい。
【0089】
一実施形態において、2つの隣接する電池100の間の隙間は、第2の隙間d2を含み、第2の隙間d2は、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面113の間の最小距離である。電池100の使用前の第2の隙間d2は、使用後の第2の隙間d2より大きい。
【0090】
「使用前」は、電池100が組立完了後に出荷する前又は出荷されたが、外部に電力を供給し始める前であると理解することができ、「使用後」は、電池100が外部に電力を供給した後であると理解することができる。例えば、電池パック200は、電気自動車1000に組み立てられる場合、使用前の状態は、新車の状態として理解することができ、使用後の状態は、車両が一定の距離走行した後の状態であるべきである。
【0091】
該実施形態において、第2の隙間は、2つの隣接する電池100の対向する2つの第1の表面113の間の最小間隔を指すべきであり、該間隔は、電池100の使用時間の増加に伴って徐々に小さくなり、主に、電池100が膨張した後、隣接する2つの大きな表面の間の間隔が徐々に小さくなるためである。
【0092】
本願の実施例において、電池パック200は、電池パックカバー及びトレイ22を更に含み、
図7のグラフにおいて電池パックカバーが示されない。電池パックカバーとトレイ22は、封止接続されて電池収容キャビティを形成し、電池列21は、電池収容キャビティ内に位置する。トレイ22は、支持部材221を含み、電池100の金属ケース11に支持領域が形成され、電池100は、支持領域により支持部材221に当接して支持部材221に支持される。
【0093】
更に、トレイ22は、支持部材221であるサイドビームを含み、電池100は、長さ方向に沿う両端がそれぞれサイドビームに支持される。
【0094】
本願の実施例の電池100において、金属ケース11とパッケージフィルム13との間の気圧は、負圧であり、電池100全体の強度を向上させることができるため、電池100を自体の強度で支持してトレイ22に直接的に取り付けることができ、これにより、トレイ22に横ビーム又は縦ビームなどの構造を設けて電池100を支持する必要がなく、電池パック200の内部空間の利用率を向上させることに役立つ。
【0095】
図10に示すように、電気自動車1000は、上記電池パック200を含む。本願に係る電気自動車1000は、耐久性が高く、コストが低い。
【0096】
電池100の長さ方向は、電気自動車1000の車体の長さ方向に沿って配置され、車体の長さは、500mm~5200mmである。
【0097】
なお、本願の説明において、別に明らかな規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であっても、着脱可能な接続であっても、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であっても、電気的な接続であってもよく、直接的な連結であっても、中間媒体を介した間接的な連結であってもよく、2つの部品の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0098】
本明細書の説明において、用語「実施例」、「具体的な実施例」、「例」などを参照する説明は、該実施例又は例を組み合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例又は例に限定されるものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ以上の実施例又は例において適切に組み合わせることができる。
【0099】
本願の実施例を例示して説明したが、当業者であれば理解できるように、本願の原理及び趣旨から逸脱しない場合、これらの実施例に対して、様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって限定される。