(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物、及び製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/057 20060101AFI20240411BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240411BHJP
C21D 9/00 20060101ALI20240411BHJP
C21D 6/00 20060101ALI20240411BHJP
C22C 38/00 20060101ALI20240411BHJP
C22C 28/00 20060101ALI20240411BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20240411BHJP
B22F 3/00 20210101ALI20240411BHJP
C22C 33/02 20060101ALI20240411BHJP
B22F 9/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C21D9/00 S
C21D6/00 B
C22C38/00 303D
C22C28/00 A
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
C22C33/02 H
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F9/04 E
(21)【出願番号】P 2022547172
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 CN2021077171
(87)【国際公開番号】W WO2021169886
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202010121425.3
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】福建省金龍稀土股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】ルオ イン
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】廖宗博
(72)【発明者】
【氏名】藍琴
(72)【発明者】
【氏名】林玉麟
(72)【発明者】
【氏名】師大偉
(72)【発明者】
【氏名】謝菊華
(72)【発明者】
【氏名】龍厳清
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103745823(CN,A)
【文献】国際公開第2014/034650(WO,A1)
【文献】特開2018-093202(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108830(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/143230(WO,A1)
【文献】特開2018-174312(JP,A)
【文献】特開2007-305878(JP,A)
【文献】特開2020-161811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/00-1/117、41/02
B22F 1/00、3/00、9/04
C21D 6/00、9/00
C22C 28/00、33/02、38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料であって、以下の質量含有量の成分を含み、
R:28~33%、前記RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、
前記Dyの含有量は、0.3%以下であるが、0ではなく、前記R2はTbを含み、R2の含有量は0.2~1%であり、
Co:<0.5%、ただし、0ではなく、
M:≦0.4%、ただし、0ではなく、前記Mの種類は、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf及びAgのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:≦0.15%、ただし、0ではなく、
B:0.9~1.5%、
Fe:60~70%、
パーセントは、各成分の質量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率を意味し、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd
2Fe
l4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd
2Fe
l4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、
そのうち、R1における重希土類元素は主にNd
2Fe
l4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.8~2.99%であり、
前記二粒子粒界の粒界連続性は96%以上であり、
前記二粒子粒界には、化学組成がR
x
(Fe+Co)
100-x-y-z
Cu
y
M
z
である新物相がさらに含まれ、ここで、Rは、Nd、Dy及びTbのうちの1種または複数種を含み、Mは、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf、Zn及びAgのうちの1種または複数種を含み、xは78~81であり、yは0.4~0.8であり、zは0.1以下であるが、0ではなく、
ここで、前記新物相の二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.2~2.6%であり、
前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.4~0.5%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.3~0.5%である、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項2】
前記粒界三角領域の面積比率は、1.96~2.99%であり、
前記粒界連続性は、97%以上であり、
前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は、0.41~0.49%であり、
前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は、0.3~0.4%であり
、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記Rの含有量は、29~32.6%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり
、
前記R2の含有量は、0.2~0.9%であり、
前記R2には、Tbの含有量は、0.2%~0.9%であり、
前記Coの含有量は、0.45%以下であるが、0ではなく、
前記Mの含有量は、0.08~0.35%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Alがさらに含まれ、前記Alの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、
前記Cuの含有量は、0.05~0.15%であり、あるいは、0.08%以下であるが、0ではなく、
前記Bの含有量は、0.97~1.1%であり、
前記Feの含有量は、65~
70%である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項3】
前記粒界連続性は、98%以上であり、
前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は、0.41~0.48%であり、
前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は、0.34~0.4であり、
化学組成がR
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zである前記新物相には、前記xは78.89~80.8であり、前記yは0.55~0.66であり、前記zは0.02~0.06であり、前記新物相の二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.34~2.55%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記Rの含有量は、29~31%であり、
前記R1は、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種又は複数種をさらに含み、
前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、PrNdの形態で、または、純Prと純Ndの混合物の形態で、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加し、ここで、PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80であり、純Prと純Ndの混合物の形態、または、PrNd、純Pr及びNdの混合物を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2%であり、
前記R2の含有量は、0.2~0.8%であり、
前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記R2にPrが含まれる場合、前記Prの含有量は、0.2%以下であり、
前記R2にDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、0.3%以下であり、
前記Coの含有量は、0.05~0.4%であり
、
前記MにTiが含まれる場合、前記Tiの含有量は、0.05~0.3%であり、
前記MにZrが含まれる場合、前記Zrの含有量は、0.08~0.35%であり、
前記MにNbが含まれる場合、前記Nbの含有量は、0.05~0.3%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記Mは、Bi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記MがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.2%以上であり、または、0.01%以下であるが、0ではなく、
前記MがGaを含み、かつGa≧0.2%である場合、M元素の組成において、Ti+Nb≦0.07%であり、
前記Alの含有量は、0.03~0.2%であり、
前記MがGaを含み、かつGa≦0.01%である場合、M元素の組成において、Al+Ga+Cu≦0.11%であり、
前記Cuを添加する方法は、溶解製錬時に添加すること、または粒界拡散時に添加することを含み、
前記Cuが溶解製錬時に添加される場合、前記溶解製錬時に添加されるCuの含有量は、0.03~0.15%であり、
前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記Cuは、PrCu合金の形態で添加
される、
ことを特徴とする請求項
2に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項4】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R:29~32.6%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの含有量は、0.3%以下であるが、0ではなく、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~1%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.45%、
M:0.08~0.35%であり、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.05~0.15%、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~
70%、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd
2Fe
l4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd
2Fe
l4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd
2Fe
l4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96~2.99%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は97%以上であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41~0.49%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.3~0.4%であり、前記二粒子粒界には
、前記新物相の化学組成は、R
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zであり、xは78.89~80.8であり、yは0.55~0.66であり、zは0.02~0.06であり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.21~2.6%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R:29~31%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.1~0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~0.8%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.4%、
M:0.1~0.15%、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.08%以下であるが、0ではなく
B:0.97~1.1%、
Fe:65~
70%、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd
2Fe
l4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd
2Fe
l4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd
2Fe
l4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96~2.8%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98%以上であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41~0.48%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.34~0.4%であり、前記二粒子粒界には
、前記新物相の化学組成は、R
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zであり、xは78.89~80.8であり、yは0.55~0.66であり、zは0.02~0.06あり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.34~2.55%である、
ことを特徴とする請求項
1に記載のネオジム鉄ホウ素
磁石材料。
【請求項5】
請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物であって、以下の質量含有量の成分を含み、
R:28~33%、前記Rは希土類元素であり、RはR1及びR2を含み、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの含有量は、0.3%以下であるが、0ではなく、
前記R2は、粒界拡散時に添加された希土類元素であり、前記R2はTbを含み、前記R2の含有量は0.2~1%であり、
Co:<0.5%、ただし、0ではなく、
M:≦0.4%、ただし、0ではなく、前記Mの種類は、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf及びAgのうちの1種または複数種を含み、
Cu:≦0.15%、ただし、0ではなく、
B:0.9~1.1%、
Fe:60~70%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物。
【請求項6】
前記原料組成物における前記Rの含有量は、29~32.6%であり、
前記R2の含有量は、0.2~0.9%であり、
前記R2において、Tbの含有量は、0.2~0.9%であり、
前記Coの含有量は、0.45%以下であるが、0ではなく、
前記Mの含有量は、0.08~0.35%であり、
前記原料組成物には、Alがさらに含まれ、前記Alの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、
前記Cuの含有量は、0.05~0.15%であり、または、0.08%以下であるが、0ではなく、
前記Bの含有量は、0.97~1.1%であり、
前記Feの含有量は、65~70%である、
ことを特徴とする請求項5に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物。
【請求項7】
前記原料組成物における前記Rの含有量は、29~31%であり、
前記R1において、前記Dyの含有量は、0.1~0.2%であり、
前記R1は、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、PrNdの形態で、または純Prと純Ndの混合物の形態で、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加し、ここで、PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80であり、純PrとNdの混合物の形態、または、「PrNd、純Pr及びNdの混合物」を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2wt%であり、
前記R1がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、0.1~0.2%であり、
前記R1がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、0.1~0.2%であり、
前記R1がYを含む場合、前記Yの含有量は、0.1~0.2%であり、
前記R2の含有量は、0.2~0.8%であり、
前記R2において、Tbの含有量は、0.2~0.8%であり、
前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記R2がPrを含む場合、前記Prの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、
前記R2がDyを含む場合、前記Dyの含有量は、0.3%以下であるが、0ではなく、
前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、
前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、
前記Coの含有量は、0.05~0.4%であり、
前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量は、0.05~0.3%であり、
前記MがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、0.08~0.35%であり、
前記MがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、0.05~0.3%であり、
前記原料組成物において、前記Mは、Bi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記M元素がGaを含む場合、前記Gaの含有量は、0.2%以上であり、または、0.01%以下であるが、0ではなく、
前記M元素がGaを含み、かつGa≧0.2%である場合、M元素の組成において、Ti+Nb≦0.07%であり、
前記Alの含有量は、0.03~0.2%であり、
前記MがGaを含み、かつGa≦0.01%である場合、M元素の組成において、Al+Ga+Cu≦0.11%であり、
前記Cuを添加する方法は、溶解製錬時に添加すること、または粒界拡散時に添加することを含み、
前記Cuが溶解製錬時に添加される場合、前記溶解製錬時に添加されるCuの含有量は、0.05~0.15%であり、
前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記Cuは、PrCu合金の形態で添加される、
ことを特徴とする請求項6に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物。
【請求項8】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R:29~32.6%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.3%以下であるが、0ではなく、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は、0.2~1%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.45%、
M:0.08~0.35%、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.05~0.15%、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~70%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R:29~31%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.1~0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~0.8%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.4%、
M:0.1~0.15%、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.08%以下であるが、0ではなく、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~70%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である、
ことを特徴とする請求項5に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物。
【請求項9】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法であって、請求項5~8のいずれか一項に記載の原料組成物を使用して行われ、前記製造方法は、拡散製造方法であり、そのうち、R1元素は、溶解製錬工程で添加され、R2元素は、粒界拡散工程で添加される、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【請求項10】
前記製造方法は、以下のステップを含み、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物におけるR2以外の元素を溶解製錬、製粉、成形、焼結して焼結体を得、次に、前記焼結体と前記R2との混合物を粒界拡散し、
ここで、前記溶解製錬の操作は、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料におけるR2以外の元素をインゴット工程及びストリップキャスティング工程により溶解製錬鋳造し、合金片を得、
前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃であり、
ここで、前記製粉は、水素破砕製粉またはジェットミル製粉を含み、
前記水素破砕製粉は、水素吸収、脱水素及び冷却処理を含み、前記水素吸収の温度は、20~200℃であり、前記脱水素の温度は、400~650℃であり、前記水素吸収の圧力は、50~600kPaであり、
前記ジェットミル製粉は、0.1~2MPaの条件下で行われ、前記ジェットミル製粉におけるガス流は、窒素ガスであり、前記ジェットミル製粉の時間は、2~4hであり、
ここで、前記成形は、磁場中成形方法であり、前記磁場中成形方法の磁場強度は1.5T以上であり、
ここで、前記焼結は、真空度が0.5Pa未満の条件下で行い、
前記焼結の温度は、1000~1200℃であり、
前記焼結の時間は、0.5~10hであり、
ここで、前記の粒界拡散の前に、前記R2のコーティング操作をさらに含み、
前記R2は、フッ化物または低融点合金の形態でコーティングされ、Dyをさらに含む場合、DyはDyのフッ化物の形態でコーティングされ、
Prをさらに含む場合、PrはPrCu合金の形態で添加され、
ここで、前記粒界拡散処理の温度は、800~1000℃であり、
前記粒界拡散処理の時間は、5~20hであり、
ここで、前記の粒界拡散の後に、低温焼戻し処理をさらに行い、低温焼戻し処理の温度は、460~560°Cであり、前記低温焼戻しの時間は、1~3hである、
ことを特徴とする請求項9に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、具体的にネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nd-Fe-B永久磁石材料はNd2Fel4B化合物を基質とし、磁気特性が高く、熱膨張係数が小さく、加工が容易であり、安価であるなどの利点を有し、登場以来、年間平均20~30%の速度で増加し、最も広く使用されている永久磁石材料となっている。Nd-Fe-B永久磁石は、製造方法に従って、焼結、接着(ボンディング)、ホットプレスという3種類に分けることができ、そのうち、焼結磁石は総生産高の80%以上を占め、最も広く使用されている。
【0003】
製造工程及び磁石成分の継続的な最適化に伴い、焼結Nd-Fe-B磁石の最大エネルギー積は既に理論値に近づいている。近年、風力発電、ハイブリッド車及びインバーターエアコンなどの新興産業の急速な発展に伴い、高性能のNd-Fe-B磁石に対する需要が高まっており、同時に、これらの高温分野における応用において、焼結Nd-Fe-B磁石の性能、特に保磁力に対してより高い要求も提起されている。
【0004】
米国特許出願US5645651Aにおいては、
図1から明らかになるように、Nd-Fe-B磁石のキュリー温度がCo含有量の増加に従って上昇し、また、表1における試料9と試料2との比較によって明らかになるように、Coを添加しない考案と比ベて、Nd-Fe-B磁石に20at%のCoを添加した場合、残留磁束密度を変更しないまま、保磁力を向上させることができる。したがって、Coはネオジム鉄ホウ素希土類永久磁石、サマリウムコバルト希土類永久磁石、電池などのハイテク分野で広く使用されているが、Coは重要な戦略資源であり、高価である。
【0005】
中国特許文献CN110571007Aには、希土類永久磁石材料が開示され、それに1.5%以上の重希土類元素及び0.8%以上のコバルト元素を同時に添加した結果、最終的に保磁力と磁気特性の両方が優れたNd-Fe-B磁石を得る。
【0006】
以上により、従来技術において、磁気特性(残留磁束密度、保持力及び熱安定性)がいずれも優れたネオジム鉄ホウ素磁石材料は、大量の重希土類元素とコバルト元素の添加を必要とし、コストが高くなり、少量の重希土類元素またはコバルト元素を添加することを前提として、依然として同等のレベルまたはそれ以上に達することができる技術考案を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術のネオジム鉄ホウ素磁石材料は大量の重希土類元素とコバルト元素を添加することにより、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の磁気特性(残留磁束密度、保磁力及び熱安定性)を向上させる必要があるが、コストが高いという欠陥を解消するために、ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用を提供することを目的とする。本発明に係るネオジム鉄ホウ素磁石材料は、高い残留磁束密度、保磁力を有し、かつ熱安定性に優れている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の技術的課題を解決するために以下の技術考案が用いられる。
【0009】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物が提供され、それは、以下の質量含有量の成分を含み、
R:28~33%、前記Rは希土類元素であり、RはR1及びR2を含み、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R1はNd及びDyを含み、
前記R2は、粒界拡散時に添加された希土類元素であり、前記R2はTbを含み、前記R2の含有量は0.2%~1%であり、
Co:<0.5%、ただし、0ではなく、
M:≦0.4%、ただし、0ではなく、前記Mの種類は、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf及びAgのうちの1種または複数種を含み、
Cu:≦0.15%、ただし、0ではなく、
B:0.9~1.1%、
Fe:60~70%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0010】
本発明において、前記原料組成物には、前記Rの含有量は、好ましくは29~32.6%であり、例えば、29.58%、29.75%、29.8%、30.65%、30.7%、30.9%、30.95%、31.35%または32.6%であり、より好ましくは29~31%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0011】
本発明では、前記原料組成物のR1において、前記Ndの含有量は、本分野の通常のものであってもよく、好ましくは28~32.5%であり、例えば、28.6%、29.9%、30.4%または32.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0012】
本発明では、前記R1において、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.08%、0.1%、0.15%または0.2%であり、より好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0013】
本発明において、前記R1は、本分野における他の通常の希土類元素をさらに含むことができ、例えば、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種または複数種を含む。
【0014】
ここで、前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、本分野の通常の形態であってもよく、例えば、PrNdの形態で、または純Prと純Ndの混合物の形態で、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加する。PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80であることが好ましい。純Prと純Ndの混合物の形態で添加し、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2%、例えば0.2%であることが好ましく、パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。本発明において、前記純Prまたは純Ndは、一般的に純度が99.5%以上であることを指す。
【0015】
そのうち、前記R1がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0016】
そのうち、前記R1がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0017】
そのうち、前記R1がYを含む場合、前記Yの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0018】
本発明において、前記R2の含有量は、好ましくは0.2~0.9%であり、例えば、0.2%、0.3%、0.5%、0.6%、0.8%または0.9%であり、より好ましくは0.2~0.8%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0019】
本発明では、前記R2において、Tbの含有量は、好ましくは0.2%~0,9%であり、例えば、0.2%、0.3%、0.5%、0.6%、0.8%又は0.9%であり、より好ましくは0.2~0.8%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0020】
本発明では、前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含むことが好ましい。
【0021】
そのうち、前記R2がPrを含む場合、前記Prの含有量は、好ましくは0.2%以下であるが、0ではなく、例えば0.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0022】
そのうち、前記R2がDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3%以下であるが、0ではなく、例えば0.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0023】
そのうち、前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.2%以下であるが、0ではなく、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
【0024】
そのうち、前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、0.2%以下であるが、0ではなく、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
【0025】
本発明において、前記Coの含有量は、好ましくは0.45%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%または0.45%であり、より好ましくは0.05~0.4%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0026】
本発明において、前記Mの含有量は、好ましくは0.08~0.35%であり、より好ましくは0.1~0.15%であり、例えば、0.08%、0.1%、0.16%、0.2%、0.25%、0.3%または0.35%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0027】
本発明において、前記Mの種類は、Ti、Zr、Nb、Ni、V、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Hf及びAgのうちの1種または複数種であることが好ましい。
【0028】
そのうち、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量は、好ましくは0.05~0.3%であり、例えば、0.05%、0.1%または0.3%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
【0029】
そのうち、前記MがZrを含む場合、前記Zrの含有量は、好ましくは0.08~0.35%であり、例えば、0.08%、0.2%または0.35%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
【0030】
そのうち、前記MがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、好ましくは0.05~0.3%であり、例えば、0.05%、0.2%または0.3%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
【0031】
本発明において、前記原料組成物には、前記Mは、好ましくはBi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含んでもよい。
【0032】
そのうち、前記MがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、好ましくは0.2%以上であり、または、0.01%以下であるが、0ではなく、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0033】
前記M元素がGaを含み、かつGa≧0.2%である場合、好ましくは、M元素の組成において、Ti+Nb≦0.07%である。
【0034】
本発明において、前記原料組成物には、Alがさらに含まれることが好ましい。
【0035】
ここで、前記Alの含有量は、好ましくは0.2%以下であるが、0ではなく、より好ましくは0.03~0.2%であり、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0036】
前記MがGaを含み、かつGa≦0.01%である場合、好ましくは、M元素の組成において、Al+Ga+Cu≦0.11%である。
【0037】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは0.05~0.15%であり、例えば、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.1%または0.15%であり、または、前記Cuの含有量は、好ましくは0.08%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.06%または0.07%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0038】
本発明において、前記Cuを添加する方法は、溶解製錬時に添加すること、および/または粒界拡散時に添加することを含むことが好ましい。Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記粒界拡散時に添加されるCuの含有量は、0.05~0.15%であることが好ましく、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記Cuは、PrCu合金の形態で添加されることが好ましく、ここで、前記Cuと前記PrCuの質量百分率は0.1~17%であることが好ましい。
【0039】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは0.97~1.1%であり、例えば、0.99%、または1%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0040】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは65~79.5%であり、例えば、65.4%、67.28%、67.31%、67.53%、67.67%、67.7%、67.74%、68.76%、68.91%または69%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0041】
本発明において、前記原料組成物は、以下の成分を含むことが好ましく、
R:29~32.6%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.3%以下であるが、0ではなく、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~1%であり、
前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.45%、
M:0.08~0.35%、前記Mは、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.05~0.15%、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~79.5%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0042】
本発明において、前記原料組成物は、以下の成分を含むことが好ましく、
R:29~31%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.1~0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~0.8%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.4%、
M:0.1~0.15%、前記Mは、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.08%以下であるが、0ではなく、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~79.5%、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0043】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが28.6%、Dyが0.05%、Prが0.1%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.05%であり、Tiが0.05%であり、Nbが0.2%であり、Cuが0.05%であり、Bが0.99%であり、Feが68.91%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0044】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが28.6%、Dyが0.1%、Prが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.9%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.05%であり、Tiが0.1%であり、Cuが0.05%であり、Bが1%であり、Feが69%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0045】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが28.6%、Dyが0.08%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.9%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.1%であり、Tiが0.3%であり、Nbが0.05%であり、Gaが0.05%であり、Cuが0.06%であり、Bが1.1%であり、Feが68.76%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0046】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが29.9%、Dyが0.1%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.8%、Prが0.1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.1%であり、Zrが0.2%であり、Alが0.2%であり、溶解製錬時に添加されたCuは0.03%であり、粒界拡散時に添加されたCuは0.05%であり、Bが0.99%であり、Feが67.53%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0047】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが30.4%、Dyが0.05%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.8%、Dyが0.1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.2%であり、Zrが0.08%であり、Cuが0.1%であり、Bが0.99%であり、Feが67.28%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0048】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが29.9%、Dyが0.15%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.2%であり、Zrが0.35%であり、Cuが0.1%であり、Bが1%であり、Feが67.7%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0049】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが29.9%、Dyが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.3%であり、Nbが0.05%であり、Gaが0.01%であり、Alが0.1%であり、、Cuが0.07%であり、Bが1.1%であり、Feが67.67%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0050】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが30.4%、Dyが0.05%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.3%、Prが0.2%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.34%であり、Nbが0.2%であり、溶解製錬時に添加されたCuは0.12%であり、粒界拡散時に添加されたCuは0.03%であり、Bが0.99%であり、Feが67.31%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0051】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが32.1%、Dyが0.3%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.2%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.45%であり、Nbが0.3%であり、Cuが0.15%であり、Bが1.1%であり、Feが65.4%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0052】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1には、Ndが29.9%、Dyが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2には、Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、Coが0.3%であり、Nbが0.05%であり、Gaが0.01%であり、Alが0.03%であり、Cuが0.07%であり、Bが1.1%であり、Feが67.74%であり、
パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0053】
本発明には、上述した原料組成物を用いて行われるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法がさらに提供され、前記製造方法は、本分野の通常の拡散製造方法であり、そのうち、R1元素は、溶解製錬工程で添加され、R2元素は、粒界拡散工程で添加される。
【0054】
本発明において、前記製造方法は、以下のステップを含むことが好ましい。
【0055】
上記のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物におけるR2以外の元素を溶解製錬、製粉、成形、焼結して焼結体を得、次に、前記焼結体と前記R2との混合物を粒界拡散すればよい。
【0056】
そのうち、前記溶解製錬の操作及び条件は本分野の通常の溶解製錬工程であってもよく、一般的に、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物におけるR2以外の元素をインゴット工程及びストリップキャスティング工程により溶解製錬鋳造し、合金片を得る。
【0057】
当業者が分かるように、希土類元素が通常溶解製錬及び焼結工程において損失してしまうため、最終製品の品質を確保するために、一般的に溶解製錬過程において、原料組成物の成分に希土類元素(一般的に、Nd元素である)を余分に0~0.3wt%添加し、パーセントとは、余分に添加された希土類元素の含有量が前記原料組成物の合計含有量に占める質量百分率を意味する。また、この余分に添加された希土類元素の含有量は原料組成物の範囲に含まれない。
【0058】
前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃とすることができ、好ましくは1450~1550℃である。
【0059】
前記溶解製錬の環境は、0.05Paの真空とすることができる。
【0060】
前記溶解製錬の装置は、一般的に中周波真空溶解炉、例えば中周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉である。
【0061】
ここで、前記製粉の操作及び条件は本分野の通常の製粉工程であることができ、一般的に、水素破砕製粉および/またはジェットミル製粉を含む。
【0062】
前記水素破砕製粉は、一般的に、水素吸収、脱水素、冷却処理を含む。前記水素吸収の温度は、一般的に、20~200℃である。前記脱水素の温度は、一般に、400~650℃であり、好ましくは500~550℃である。前記水素吸収の圧力は、一般的に、50~600kPaであり、好ましくは300~500kPaである。
【0063】
前記ジェットミル製粉は、一般的に、0.1~2MPa、好ましくは0.5~0.7MPaの条件下で行われる。前記ジェットミル製粉におけるガス流は、例えば窒素ガスとすることができる。前記ジェットミル製粉の時間は、2~4hとすることができる。
【0064】
ここで、前記成形の操作及び条件は、本分野における通常の成形工程であることができる。例えば、磁場中成形方法である。前記磁場中成形方法の磁場強度は一般的に1.5T以上である。
【0065】
ここで、前記焼結の操作及び条件は、本分野における通常の焼結工程であることができる。
【0066】
前記焼結は、真空度が0.5Pa未満の条件下で行うことができる。
【0067】
前記焼結の温度は、1000~1200℃とすることができる。
【0068】
前記焼結の時間は、0.5~10hとすることができ、好ましくは2~5hである。
【0069】
本発明において、当業者が分かるように、前記の粒界拡散の前に、一般的に前記R2のコーティング操作をさらに含む。
【0070】
ここで、前記R2は、一般的にフッ化物または低融点合金、例えばTbのフッ化物の形態でコーティングされる。Dyをさらに含む場合、DyはDyのフッ化物の形態でコーティングされることが好ましい。
【0071】
ここで、前記R2がPrを含む場合、前記PrはPrCu合金の形態で添加されることが好ましい。
【0072】
前記R2がPrを含み、かつPrがPrCu合金の形態で粒界拡散に関与する時に、前記PrCu合金のうち、前記Cuと前記PrCu合金との質量比は、0.1~17%であることが好ましい。前記Cuの前記製造方法における添加タイミングは、粒界拡散工程であることが好ましく、または、溶解製錬工程及び粒界拡散工程に同時に添加されることである。
【0073】
本発明において、前記粒界拡散処理の操作及び条件は、本分野における通常の粒界拡散工程であることができる。
【0074】
前記粒界拡散処理の温度は、800~1000℃とすることができ、例えば850℃である。
【0075】
前記粒界拡散処理の時間は、5~20hとすることができ、好ましくは5~15hである。
【0076】
前記の粒界拡散の後に、本分野の常法に従って低温焼戻し処理をさらに行う。前記低温焼戻し処理の温度は、一般的に460~560°Cとすることができる。前記低温焼戻しの時間は、一般的に1~3hとすることができる。
【0077】
本発明には、上述した製造方法により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供される。
【0078】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供され、以下の質量含有量の成分を含み、
R:28~33%、前記RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記R2はTbを含み、R2の含有量は0.2~1wt%であり、
Co:<0.5%、ただし、0ではなく、
M:≦0.4%、ただし、0ではなく、前記Mの種類は、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf及びAgのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:≦0.15%、ただし、0ではなく、
B:0.9~1.5%、
Fe:60~70%、
パーセントは、各成分の質量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.8~2.99%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は96%以上であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.4~0.5%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.3~0.5%である。
【0079】
本発明において、「R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布する」ことは、本分野の通常の溶解製錬焼結工程によるR1における重希土類元素は、主にNd2Fel4B結晶粒に分布し(一般的に、95wt%以上を指す)、粒界に少量分布すると理解されることができる。「R2は主に前記シェル層に分布する」ことは、本分野の通常の粒界拡散工程によるR2は、主にNd2Fel4B結晶粒のシェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し(一般的に、95w.%以上を指す)、少量はNd2Fel4B結晶粒、例えば、Nd2Fel4B結晶粒の外縁にも拡散する。
【0080】
本発明において、前記粒界連続性の計算方法は、粒界における空洞(ボイド)以外の物相が占める長さ(物相は、例えばBリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物等)と粒界の全長との比である。粒界連続性が96%を超える場合、連続チャネルと呼ばれる。
【0081】
本発明において、前記粒界三角領域は、一般的に、3つ以上の粒界が交差する場所を指し、Bリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物及び空洞が分布している。前記粒界三角領域の面積比率の計算方法は、粒界三角領域の面積と「結晶粒と粒界」の総面積との比である。
【0082】
そのうち、希土類酸化物、希土類炭化物は、主に調製過程においてC、O元素を導入して生成されるものである。粒界の希土類含有量が高いため、C、Oは、通常、磁石材料において粒界により多く分布するため、それぞれ希土類炭化物及び希土類酸化物の形で存在する。なお、C、O元素は、本分野の通常の方法により導入され、一般的に不純物導入または雰囲気導入であり、具体的には、例えば、ジェットミル、プレス工程において、添加剤が導入され、焼結時に、加熱によりこれらの添加剤を除去処理するが、必然的に少量のC、O元素が残存し、さらに、例えば、調製工程では、必然的に雰囲気により少量のO元素が導入される。本発明において、検査測定により最終的に得られたネオジム鉄ホウ素磁石材料の製品において、C、O含有量は、それぞれ1000、1200ppm以下であり、本分野における通常の受け入れ可能な不純物範囲に属するため、製品元素統計表に含まれない。
【0083】
本発明において、前記粒界三角領域の面積比率は、1.96~2.99%であることが好ましく、例えば、1.96%、1.98%、2.05%、2.36%、2.41%、2.54%、2.73%、2.78%、2.83%または2.99%である。
【0084】
本発明において、前記粒界連続性は、97%以上であることが好ましく、例えば、97.85%、97.92%、98.01%、98.03%、98.03%、98.07%、98.12%、98.13%、98.18%または98.54%であり、より好ましくは98%以上である。
【0085】
本発明において、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は、0.41~0.49%であることが好ましく、例えば、0.41%、0.44%、0.45%、0.46%、0.47%、0.48%または0.49%であり、より好ましくは0.41~0.48%であり、パーセントは、粒界三角領域におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比である。
【0086】
本発明において、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は、0.3~0.4%であることが好ましく、例えば、0.3%、0.34%、0.35%、0.36%、0.37%、0.38%または0.4%であり、より好ましくは0.34~0.4%であり、パーセントは、二粒子粒界におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比である。
【0087】
本発明において、当業者が分かるように、C、O元素は通常、粒界相に希土類炭化物及び希土類酸化物の形態で存在するため、「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」と「二粒子粒界におけるCとOの質量比率」は、それぞれ不純物相の希土類炭化物及び希土類酸化物に対応する。また、実施例における「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」から「二粒子粒界におけるCとOの質量比率(%)」を差し引いた値に比べて比較例が縮小することに基づいて、不純物相が粒界三角領域から二粒子粒界に移行するという結論を得ることができ、これはメカニズムから粒界連続性が向上した理由を説明した。
【0088】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の二粒子粒界において、希土類酸化物と希土類炭化物という2つの不純物相に加えて、好ましくは、二粒子粒界において新物相がさらに検出され、前記新物相の化学組成は、Rx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzであり、ここで、Rx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzのうちのRは、Nd、Dy及びTbのうちの1種または複数種を含み、Mは、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf、Zn及びAgのうちの1種または複数種であり、xは78~81であり、yは0.4~0.8であり、zは0.1であるが、0ではない。
【0089】
Rx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzのうち、xは78.89~80.8であることが好ましく、yは0.55~0.66であることが好ましく、zは0.02~0.06であることが好ましい。
【0090】
本発明の好ましい実施形態において、前記新物相の構成は、例えば、R79.43(Fe+Co)19.92Cu0.63M0.02、R78.89(Fe+Co)20.49Cu0.58M0.04、R80.72(Fe+Co)18.68Cu0.55M0.05、R79.21(Fe+Co)20.11Cu0.66M0.02、R80.09(Fe+Co)19.22Cu0.65M0.04、R79.04(Fe+Co)20.31Cu0.61M0.04、R79.76(Fe+Co)19.64Cu0.58M0.02、R79.71(Fe+Co)19.65Cu0.62M0.02、R80.18(Fe+Co)19.16Cu0.62M0.04、R79.4(Fe+Co)19.94Cu0.64M0.02である。
【0091】
本発明において、前記の化学組成がRx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzである新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.2~2.6%であることが好ましく、例えば、0.21%、0.34%、0.85%、1.08%、1.15%、1.21%、1.33%、1.87%、2.34%または2.55%であり、より好ましくは0.34~2.55%である。
【0092】
発明者は、当該新物相が二粒子粒界で生成されることにより、粒界連続性をさらに向上させ、磁石の性能を向上させると推測している。
【0093】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、前記Rの含有量は、好ましくは29~32.6%であり、例えば、29.58%、29.75%、29.8%、30.65%、30.7%、30.9%、30.95%、31.35%または32.6%であり、より好ましくは29~31%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0094】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料のR1には、前記Ndの含有量を本分野の通常のものとすることができ、好ましくは28~32.5%であり、例えば、28.6%、29.9%、30.4%または32.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0095】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料のR1には、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.08%、0.1%、0.15%、0.2%または0.3%であり、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0096】
本発明において、前記R1には、本分野における他の通常の希土類元素をさらに含んでもよく、例えば、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種又は複数種を含む。
【0097】
ここで、前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、本分野の通常の形態であってもよく、例えば、PrNdの形態で、または、純Prと純Ndの混合物の形態で、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加する。PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80であることが好ましい。純Prと純Ndの混合物の形態で添加し、または、「PrNd、純Pr及び純Ndの混合物」を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2%であることが好ましく、例えば0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。本発明において、前記純Prまたは純Ndは、一般的に純度が99.5%以上であることを指す。
【0098】
ここで、前記R1にHoが含まれる場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0099】
ここで、前記R1にGdが含まれる場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0100】
ここで、前記R1にYが含まれる場合、前記Yの含有量は、好ましくは0.1~0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0101】
本発明において、前記R2の含有量は、好ましくは0.2~0.9%であり、例えば、0.2%、0.3%、0.5%、0.6%または0.8%であり、より好ましくは0.2~0.8%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0102】
本発明において、前記R2には、Tbの含有量は、好ましくは0.2~0.9%であり、例えば、0.2%、0.3%、0.5%、0.6%、0.8%または0.9%であり、より好ましくは0.2~0.8%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0103】
本発明において、前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含むことが好ましい。
【0104】
ここで、前記R2にPrが含まれる場合、前記Prの含有量は、好ましくは0.2%以下であり、例えば、0.1%であり、パーセンとは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0105】
ここで、前記R2にDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3%以下であり、例えば0.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0106】
ここで、前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.2%以下であり、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0107】
ここで、前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.2%以下であり、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0108】
本発明において、前記Coの含有量は、好ましくは0.45%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.1%、0.2%、0.3%または0.4%であり、より好ましくは0.05~0.4%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0109】
本発明において、前記Mの含有量は、好ましくは0.08~0.35%であり、例えば、0.08%、0.1%、0.16%、0.2%、0.25%、0.3%または0.35%であり、より好ましくは0.1~0.15%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0110】
本発明において、前記Mの種類は、Ti、Zr、Nb、Ni、V、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Hf及びAgのうちの1種または複数種であることが好ましい。
【0111】
ここで、前記MにTiが含まれる場合、前記Tiの含有量は、好ましくは0.05~0.3%であり、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0112】
ここで、前記MにZrが含まれる場合、前記Zrの含有量は、好ましくは0.08~0.35%であり、例えば、0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0113】
ここで、前記MにNbが含まれる場合、前記Nbの含有量は、好ましくは0.05~0.3%であり、例えば、0.2%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0114】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、前記Mは、Bi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含むことが好ましい。
【0115】
ここで、前記MがGaを含む場合、前記Gaの含有量は、好ましくは0.2%以上であるが、0ではなく、または、0.01%以下であるが、0ではなく、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
【0116】
ここで、前記MがGaを含み、かつGa≧0.2%である場合、好ましくは、M元素の組成において、Ti+Nb≦0.07%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
【0117】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Alがさらに含まれることが好ましい。
【0118】
ここで、前記Alの含有量は、好ましくは0.2%以下であるが、0ではなく、例えば、0.03~0.2%であり、例えば、0.1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0119】
前記MがGaを含み、Ga≦0.01%である場合、好ましくは、M元素の組成のうち、Al+Ga+Cu≦0.11%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0120】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは0.05~0.15%であり、例えば、0.05%、0.07%、0.08%、0.1%または0.15%であり、あるいは、前記Cuの含有量は、好ましくは0.08%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05%、0.07%または0.08%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0121】
本発明において、前記Cuを添加する方法は、溶解製錬時に添加すること、および/または粒界拡散時に添加することを含むことが好ましい。前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記粒界拡散時に添加されるCuの含有量は、0.03~0.15%であることが好ましく、例えば0.05%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記Cuは、PrCu合金の形態で添加されることが好ましく、ここで、前記Cuの前記PrCuに占める質量百分率は、0.1~17%であることが好ましい。
【0122】
本発明において、前記Bの含有量は、好ましくは0.97~1.1%であり、例えば、0.99%または1%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0123】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは65~79.5%であり、例えば、65.4%、67.28%、67.31%、67.53%、67.67%、67.7%、67.74%、68.76%、68.91%または69%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0124】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含むことが好ましく、
R:29~32.6%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.3%以下であるが、0ではなく、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は、0.2~1%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.45%、
M:0.08~0.35%、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.05~0.15%、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~79.5%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96~2.99%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は97%以上であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41~0.49%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.3~0.4%であり、前記二粒子粒界には、新物相をさら含み、前記新物相の化学組成は、Rx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzであり、xは78.89~80.8であり、yは0.55~0. 66であり、zは0.02~0.06であり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.21~2.6%である。
【0125】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含むことが好ましく、
R:29~31%、RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記Dyの使用量は、0.1~0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R2の含有量は0.2~0.8%であり、前記R2はTbを含み、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05~0.4%、
M:0.1~0.15%、前記Mの種類は、Ti、Nb及びZrのうちの1種又は複数種を含み、
Cu:0.08%以下であるが、0ではなく、
B:0.97~1.1%、
Fe:65~79.5%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96~2.8%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98%以上であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41~0.48%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.34~0.4%であり、前記二粒子粒界には、新物相をさら含み、前記新物相の化学組成は、Rx(Fe+Co)100-x-y-zCuyMzであり、、xは78.89~80.8であり、yは0.55~0.66であり、zは0.02~0.06であり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.34~2.55%である。
【0126】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが28.6%であり、Dyが0.05%であり、Prが0.1%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2:Tbが1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05%、
Ti:0.05%、
Nb:0.2%、
Cu:0.05%、
B:0.99%、
Fe:68.91%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.98%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.13%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.47%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.35%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.43(Fe+Co)19.92Cu0.63M0.02であり、Rは、Nd、Dy、Pr及びTbのうちの1種または複数種であり、MはTi及びNbであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は1.87%である。
【0127】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが28.6%であり、Dyが0.1%であり、Prが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2:Tbが0.9%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.05%、
Ti:0.1%、
Cu:0.05%、
B:1%、
Fe:69%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.05%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は97.92%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.48%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.3%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R78.89(Fe+Co)20.49Cu0.58M0.04であり、RはNd、Dy、Pr及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Tiであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は2.34%である。
【0128】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが28.6%であり、Dyが0.08%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、R2:Tbが0.9%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.1%、
Ti:0.3%、
Nb:0.05%、
Ga 0.05%
Cu:0.06%、
B:1.1%、
Fe:68.76%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は97.85%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.36%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R80.72(Fe+Co)18.68Cu0.55M0.05であり、RはNd、Dy及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Ti、Nb及びGaのうちの1種または複数種であり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は1.15%である。
【0129】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが29.9%であり、Dyが0.1%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.8%であり、Prが0.1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.1%
Zr:0.2%、
Al:0.2%、
溶解製錬時に添加されたCu:0.03%、
粒界拡散時に添加されたCu:0.05%、
B:0.99%、
Fe:67.53%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.96%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は97.85%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.46%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.36%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.21(Fe+Co)20.11Cu0.66M0.02であり、RはNd、Dy、Pr及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Zrであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は2.25%である。
【0130】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが30.4%であり、Dyが0.05%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.8%であり、Dyが0.1%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.2%、
Zr:0.08%、
Cu:0.1%、
B:0.99%、
Fe:67.28%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素はNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.78%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.54%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.48%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.34%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R80.09(Fe+Co)19.22Cu0.65M0.04であり、RはNd、Dy及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Zrであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.85%である。
【0131】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが29.9%であり、Dyが0.15%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.2%、
Zr:0.35%、
Cu:0.1%、
B:1%、
Fe:67.7%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.73%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.01%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.37%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.04(Fe+Co)20.31Cu0.61M0.04であり、RはNd、Dy及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Zrであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は1.33%である。
【0132】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが29.9%であり、Dyが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.3%、
Nb:0.05%、
Ga:0.01%、
Al:0.1%、
Cu:0.07%、
B:1.1%、
Fe:67.67%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.73%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.07%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.49%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.35%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.76(Fe+Co)19.64Cu0.58M0.02であり、RはNd、Dy及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Nb及びGaであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は1.21%である。
【0133】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが30.4%であり、Dyが0.05%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.3%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.4%、
Nb:0.2%、
溶解製錬時に添加されたCu:0.12%、
粒界拡散時に添加されたCu:0.03%、
B:0.99%、
Fe:67.31%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.36%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.12%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.48%あり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.71(Fe+Co)19.65Cu0.62M0.02であり、RはNd、Dy及びTbのうちの1種または複数種であり、Mは、Nbであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は1.08%である。
【0134】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが32.1%であり、Dyが0.3%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.2%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.45%、
Nb:0.3%、
Cu:0.15%、
B:1.1%、
Fe:65.4%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.99%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.03%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.4%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R80.18(Fe+Co)19.16Cu0.62M0.04であり、Rは、Nd、Dy及びTbの1種または複数種であり、Mは、Nbであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.21%である。
【0135】
本発明の一つの好ましい実施例において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の質量含有量の成分を含み、
R1:Ndが29.9%であり、Dyが0.2%であり、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、
R2:Tbが0.6%であり、前記R2は粒界拡散時に添加された希土類元素であり、
Co:0.3%、
Nb:0.05%、
Ga:0.01%、
Al:0.03%
Cu:0.07%、
B:1.1%、
Fe:67.74%、
パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、Nd2Fel4B結晶粒及びそのシェル層、前記Nd2Fel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNd2Fel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、二粒子粒界及び粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は2.54%であり、前記二粒子粒界の粒界連続性は98.18%であり、前記粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.44%であり、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.35%であり、二粒子粒界には、新物相をさら含み、その化学組成は、R79.4(Fe+Co)19.94Cu0.64M0.02であり、Rは、Nd、Dy及びTbの1種または複数種であり、Mは、Nb及びGaであり、前記新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は0.34%である。
【0136】
本発明に係るネオジム鉄ホウ素磁石材料において、総希土類量TRE、Co、Cu及びM(Ti、Nb、Zr等)元素の含有量の範囲を合理的に制御し、重希土類元素の特定の添加タイミングを組み合わせることで、不純物相を粒界三角領域に集合することなく、二粒子粒界により多く分布させ、これによって、粒界連続性を向上させ、粒界三角領域の面積を減少させ、より高い緻密度の取得に有益であり、磁石の残留磁束密度Brを向上させる。また、Tb元素を主に粒界と主相シェル層に均一に分布させることで、磁石の保磁力Hcjを向上させる。
【0137】
本発明には、前述のようなネオジム鉄ホウ素磁石材料の永久磁石の製造における応用がさらに提供される。
【0138】
ここで、前記永久磁石は、54SH、54UH、56SH永久磁石であることが好ましい。
【0139】
本分野の周知常識に適合したうえで、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各好適な実施例を得ることができる。
【0140】
本発明に使用されている試薬及び原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0141】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
本発明におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料は、複数種の元素の特定の含有量の間を組み合わせることにより、少量のCoと少量の重希土類元素を添加することを前提に、既存のネオジム鉄ホウ素磁石材料を基として、二粒子粒界相における不純物相(希土類酸化物、希土類炭化物)の割合を高めることができ、二粒子粒界において新物相が生成され、それに対応して、二粒子粒界の連続性を向上させ、粒界三角領域における物相の割合を減らし、相応的に粒界三角領域の面積を減少させる。これにより、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の緻密性を向上させ、Tb元素を粒界と主相シェル層に均一に分布するよう促し、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の残留磁束密度Br、保磁力Hcj、及び対応する温度安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【
図1】
図1は、実施例4におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料のEPMA微細構造図である。図中の矢印1で示される点は、二粒子粒界に含まれる新物相R
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zであり、矢印2で示される位置は粒界三角領域であり、矢印3で示される位置はNd
2Fe
l4B主相である。
【発明を実施するための形態】
【0143】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明を記載される実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択されるものである。
【0144】
1、本発明の実施例1~10及び比較例1~4におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物を下記の表1に示す。
【0145】
表1ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の成分と含有量(wt%)
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを意味する。wt%は質量百分率である。
【0146】
2.実施例1におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法
(1)溶解製錬及び鋳造工程:表1に示す成分に従って、調製したR2(実施例4及び8におけるR2はPrCuの形態で添加され、実施例4及び8において、Cuが粒界拡散工程に添加された含有量はそれぞれ0.05wt%及び0.03wt%であり、Cuが溶解製錬工程に添加された含有量はそれぞれ0.03wt%及び0.12wt%である)以外の原料をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空溶解炉において0.05PaPaの真空及び1500℃の条件で真空溶解製錬した。中周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉にアルゴンガスを導入して鋳造し、そして、合金を急冷し、合金片を得る。
(2)水素破砕製粉工程:急冷された合金を置く水素破砕用炉を室温で真空引きした後、純度99.9%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を90kPaに維持し、水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素し、その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。ここで、水素吸収の温度は室温であり、脱水素の温度は、550℃である。
(3)ジェットミル製粉工程:水素破砕した粉末を、窒素ガス雰囲気下及び粉砕室圧力0.6MPaの条件下で3時間ジェットミル粉砕し、微粉を得る。
(4)成形工程:ジェットミル粉砕した粉末を1.5T以上の磁場強度で成形する。
(5)焼結工程:各成形体を焼結炉に搬入して焼結し、0.5Pa未満の真空下で焼結し、1030~1090°Cで2~5h焼結し、焼結体を得る。
(6)粒界拡散工程:焼結体の表面を清浄化した後、R2(例えば、Tbの合金またはフッ化物、Dyの合金またはフッ化物及びPrCu合金のうちの1種または複数種、そのうち、Cuは溶解製錬工程及び粒界拡散工程で同時に添加される)を焼結体の表面にコーティングし、850℃の温度で5~15時間拡散し、その後、室温まで冷却してから、低温焼戻し処理を460~560°Cの温度で1~3時間行う。
【0147】
実施例2~10及び比較例1~4におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法におけるパラメータは実施例1と同じである。
【0148】
3.成分の測定:実施例1~10及び比較例1~4におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料に対して、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いて測定する。測定の結果を以下の表2に示す。
【0149】
表2ネオジム鉄ホウ素磁石の成分と含有量(wt%)
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを意味する。wt%は質量百分率である。
効果実施例1
【0150】
実施例1~10及び比較例1~4におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の微細構造及び磁気特性検出は、以下の通りである。
1.磁気特性試験:焼結磁石は、英国のHirs社のPFM-14磁気特性測定器を使用して磁気特性検出を行い、検出された磁気特性は、20°C及び120°Cの場合の残留磁束密度、20°C及び120°Cの場合の保磁力、並びに対応する残留磁束密度の温度係数を含む。ここで、残留磁束密度の温度係数を算出した式は、(Br高温-Br常温)/(Br常温(高温-常温))×100%であり、試験の結果を以下の表3に示す。
2.FE-EPMAによる検出:ネオジム鉄ホウ素磁石材料の垂直配向面を研磨し、電界放出電子プローブマイクロアナライザー(FE-EPMA)(日本電子株式会社(JEOL)、8530F)で検出した。粒界三角領域の面積比率、二粒子粒界の連続性、CとOの質量比率及び新物相を試験する。試験の結果を以下の表3に示す。
【0151】
二粒子粒界の連続性は、EPMAの後方散乱画像から算出され、C、Oの二粒子粒界及び粒界三角領域における質量比率及び新物相は、EPMAの元素分析により測定される。
【0152】
粒界三角領域の面積比率(%)とは、粒界三角領域の面積と「結晶粒と粒界」の総面積との比を指す。
【0153】
二粒子粒界の連続性(%)は、粒界における空洞(ボイド)以外の物相が占める長さ(物相は、例えばBリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物等)と粒界の全長との比を指す。
【0154】
粒界三角領域におけるC、Oの質量比率(%)は、粒界三角領域におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比を指す。
【0155】
二粒子粒界におけるC、Oの質量比率(%)は、二粒子粒界におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比を指す。
【0156】
新物相の二粒子粒界における面積比率(%)は、新物相の二粒子粒界における面積が二粒子粒界の総面積に占める比を指す。
【0157】
表3
注:「×」とは、二粒子粒界相には化学組成がR
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zである新物相が含まれていないことを指す。
【0158】
上記の表3から分かるように、本発明において、少量のCo及び重希土類元素を添加した場合、大量のCo及び重希土類元素を添加するという現在のレベルと同等のレベルに達することができる。また、粒界の希土類含有量が高いため、C及びOはより多く粒界に分布し、それぞれ希土類炭化物及び希土類酸化物の形態で存在する。実施例1~10における「粒界三角領域におけるCとOの質量比率(%)」から「二粒子粒界におけるCとOの質量比率(%)」を差し引いた値に比べて比較例1~4がいずれも縮小することに基づいて、不純物相(希土類炭化物及び希土類酸化物)が粒界三角領域から二粒子粒界に移行し、新物相が生成されるという結論を得ることができ、これはメカニズムから二粒子粒界の連続性が向上した理由を説明した。
効果実施例2
【0159】
図1に示されるように、実施例4により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料のEPMA微細構造図である。図中の矢印1で示される点は、二粒子粒界(フレンチグレーの領域)に含まれる新物相R
x(Fe+Co)
100-x-y-zCu
yM
zであり、矢印2で示される位置は粒界三角領域(銀白色の領域)であり、矢印3で示される位置はNd
2Fe
l4B主相(チャコールグレイの領域)である。表3のデータを組み合わせて、粒界三角領域の面積が通常の磁石材料よりも小さいことがさらに分かる。