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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】ネオジム鉄ホウ素磁石材料
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/057 20060101AFI20240411BHJP
   H01F 41/02 20060101ALI20240411BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240411BHJP
   C21D 9/00 20060101ALI20240411BHJP
   C21D 6/00 20060101ALI20240411BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240411BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20240411BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20240411BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01F1/057 170
H01F41/02 G
C22C38/00 303D
C21D9/00 S
C21D6/00 B
B22F1/00 Y
B22F3/00 F
C22C33/02 H
B22F9/04 D
B22F9/04 E
B22F9/04 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022547174
(86)(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2021077173
(87)【国際公開番号】W WO2021169888
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】202010121473.2
(32)【優先日】2020-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521397223
【氏名又は名称】福建省金龍稀土股分有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】ルオ イン
(72)【発明者】
【氏名】黄佳瑩
(72)【発明者】
【氏名】廖宗博
(72)【発明者】
【氏名】藍琴
(72)【発明者】
【氏名】林玉麟
(72)【発明者】
【氏名】師大偉
(72)【発明者】
【氏名】謝菊華
(72)【発明者】
【氏名】龍厳清
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103745823(CN,A)
【文献】特開2007-305878(JP,A)
【文献】国際公開第2014/034650(WO,A1)
【文献】特開2018-093202(JP,A)
【文献】国際公開第2013/108830(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/143230(WO,A1)
【文献】特開2018-174312(JP,A)
【文献】特開2020-161811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/00-1/117、41/02
B22F 1/00、3/00、9/04
C21D 6/00、9/00
C22C 28/00、33/02、38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネオジム鉄ホウ素磁石材料であって、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、
R:28~33wt%、前記RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記R1には、Dyの含有量は、0.2wt%以下であり、前記R2はTbを含み、R2の含有量は0.2wt%~1wt%であり、
B:0.9~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
M:0.35wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Mは、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf、Zn及びAgのうちの1種又は複数種を含み、
Fe:60wt%~70.88wt%、
wt%は、各元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Coが含まれておらず、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、NdFel4B結晶粒及びそのシェル層、前記NdFel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNdFel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、前記二粒子粒界及び前記粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.5%~3.5%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は96%以上であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.4~0.5%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.35%以上であり、
前記二粒子粒界には、化学組成がRFe100-x-y-zCuである新物相がさらに含まれ、ここで、xは32~36であり、yは0より大きく、0.1以下であり、zは0より大きく、0.15以下であり、
前記の化学組成がRFe100-x-y-zCuである新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.8~3%である、
ことを特徴とするネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項2】
前記粒界三角領域の面積比率は、1.59%~3.28%であり、
前記粒界連続性は、97%以上であり、
前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は、0.37%~0.4%であり、
前記xは32.5~35.5であり、前記yは0.02~0.1であり、前記zは0.07~0.12であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料におけるRの使用量は、29~31wt%であり
前記R2の含有量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
前記Mの含有量は、0.1wt%~0.15wt%であり、または0.25wt%~0.35wt%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Alがさらに含まれ、その含有量は、0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、Cuの含有量は、0.08wt%以下であるが、0wt%ではなく、または、0.1wt%~0.15wt%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、Bの含有量は、0.9wt%~1.1wt%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記Feの含有量は、65.65wt%~70.88wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項3】
前記粒界三角領域の面積比率は、1.59%~2%であり、
前記粒界連続性は、98%以上であり、
前記の化学組成がRFe100-x-y-zCuである新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.81~2.64%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記R1には、Dyの含有量は、0.1~0.2wt%であり、
前記R2には、Tbの含有量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、Bの含有量は、0.97wt%~1.05wt%である、
ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項4】
前記R1には、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種又は複数種をさらに含み、
前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、PrNdの形態で、または、純粋なPrとNdの混合物の形態で、または、PrNd、純粋なPr及びNdの混合物を組み合わせて添加し、
前記R1にHoが含まれる場合、前記Hoの含有量は、0.1~0.2wt%であり、
前記R1にGdが含まれる場合、前記Gdの含有量は、0.1~0.2wt%であり、
前記R1にYが含まれる場合、前記Yの含有量は、0.1~0.2wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項5】
前記PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80であり、
前記純粋なPrとNdの混合物の形態、または、PrNd、純粋なPr及びNdの混合物を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2wt%である、
ことを特徴とする請求項4に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項6】
前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含み、
前記R2にPrが含まれる場合、前記Prの含有量は、0.2wt%以下であるが、0wt%ではなく、
前記R2にDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、0.15wt%以下であるが、0wt%ではない、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項7】
前記Mの種類は、Ti、Zr、Nb、Ni、V、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Hf及びAgのうちの1種または複数種であり、
前記MにTiが含まれる場合、前記Tiの含有量は、0.05wt%~0.3wt%であり、
前記MにNbが含まれる場合、前記Nbの含有量は、0.05wt%~0.15wt%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項8】
前記Mの種類は、Bi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含み
前記M元素がGaを含み、かつGaが0.2wt%以上でありかつ0.35wt%ではない場合、前記M元素の組成において、Ti+Nbは0.07wt%以下であるが、0wt%ではなく、
前記MがGaを含み、かつGaが0.01wt%以下である場合、Al+Ga+Cuは0.15wt%以下であるが、0wt%ではない、
ことを特徴とする請求項2に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項9】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1は、Nd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は、0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ti:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ga:0.05wt%~0.3wt%、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【請求項10】
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.34%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R34.5Fe65.4Cu0.030.07が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.35%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.36%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.41%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R35.26Fe64.58Cu0.070.09が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.12%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.05wt%、
Ga:0.3wt%、
Fe:67.99wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.45%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.80%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R35.50Fe64.38Cu0.040.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.03%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは28.6wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.30wt%であり、
B:1.01wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.15wt%、
Fe:69.62wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は1.88%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は97.20%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.44%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R34.1Fe65.68Cu0.10.12が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.74%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは30.4wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.50wt%であり、
B:0.98wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.7wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.68%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.36%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R33.2Fe66.68Cu0.040.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.94%であり、
または、記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.05wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.38%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.10%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.44%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.4%であり、二粒子粒界には、新物相R33.56Fe66.28Cu0.050.11が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.81%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.3wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.94wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.54%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.22%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.43%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.4%であり、二粒子粒界には、新物相R34.41Fe65.42Cu0.080.09が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.64%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:28wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは27.3wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.2wt%であり、
B:1.1wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Nb:0.05wt%
Ga:0.15wt%、
Fe:70.88wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は1.59%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は97.01%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.46%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R32.50Fe67.39Cu0.030.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.06%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:33wt%、ここで、R1はNd、Dy及びPrであり、Ndは31.7wt%であり、Dyは0.20wt%であり、Prは0.1wt%であり、R2はTbであり、Tbは1wt%であり、
B:0.9wt%、
Cu:0.15wt%、
Ti:0.15wt%、
Al:0.15wt%、
Fe:65.65wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は3.28%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は99.50%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.46%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.37%であり、二粒子粒界には、新物相R33.33Fe66.58Cu0.020.07が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.58%であり、
または、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTb、Dy及びPrであり、Tbは0.5wt%であり、Dyは0.30wt%であり、Prは0.20wt%であり、
B:0.97wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:67.81wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.62%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.50%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.48%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R34.22Fe65.64Cu0.060.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.87%である、
ことを特徴とする請求項1に記載のネオジム鉄ホウ素磁石材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nd-Fe-B永久磁石材料はNdFel4B化合物を基質とし、磁気特性が高く、熱膨張係数が小さく、加工が容易であり、安価であるなどの利点を有し、登場以来、年間平均20~30%の速度で増加し、最も広く使用されている永久磁石材料となっている。Nd-Fe-B永久磁石は、製造方法に従って、焼結、接着(ボンディング)、ホットプレスという3種類に分けることができ、そのうち、焼結磁石は総生産高の80%以上を占め、最も広く使用されている。
【0003】
製造工程及び磁石成分の継続的な最適化に伴い、焼結Nd-Fe-B磁石の最大エネルギー積は既に理論値に近づいている。近年、風力発電、ハイブリッド車及びインバーターエアコンなどの新興産業の急速な発展に伴い、高性能のNd-Fe-B磁石に対する需要が高まっており、同時に、これらの高温分野における応用において、焼結Nd-Fe-B磁石の性能、特に保磁力に対してより高い要求も提起されている。
【0004】
米国特許出願US5645651Aにおいては、図1から明らかになるように、Nd-Fe-B磁石のキュリー温度がCo含有量の増加に従って上昇し、また、表1において、試料9と試料2との比較によって明らかになるように、Coを添加しない考案と比べて、Nd-Fe-B磁石に20at%のCoを添加した場合、残留磁束密度を変更しないまま、保磁力を向上させることができる。
【0005】
したがって、Coはネオジム鉄ホウ素希土類永久磁石、サマリウムコバルト希土類永久磁石、電池などのハイテク分野で広く使用されているが、Coは重要な戦略資源であり、高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術のネオジム鉄ホウ素磁石はCoを添加することにより、キュリー温度及び保磁力を向上させるが、Coが高価であるという欠陥に直面するという欠陥を解消するために、ネオジム鉄ホウ素磁石材料、原料組成物及び製造方法、並びに応用を提供することを目的とする。本発明に係る磁石材料は、残留磁束密度が高く、保磁力が高く、かつ高温性能に優れているという利点を有する
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物に関するものであり、それは、以下の質量含有量の成分を含み、
R:28~33wt%、
Rは、希土類元素であり、R1及びR2を含み、前記R1は溶解製錬時に添加された希土類元素であり、前記R1はNd及びDyを含み、前記R2は、粒界拡散時に添加された希土類元素であり、前記R2はTbを含み、前記R2の含有量は0.2wt%~1wt%であり、
M:≦0.4wt%、ただし、0wt%ではなく、前記Mの種類は、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf及びAgのうちの1種または複数種を含み、
Cu:≦0.15wt%、ただし、0wt%ではなく、
B:0.9~1.1wt%、
Fe:60~70.88wt%、
wt%は、各元素の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率であり、
前記原料組成物には、Coが含まれていない。
【0008】
本発明において、前記原料組成物において、Rの使用量は、好ましくは29~31wt%である。
【0009】
本発明では、前記原料組成物において、前記R1には、Ndの含有量は、本分野の通常のものであってもよく、好ましくは28~32.5wt%であり、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0010】
本発明では、前記原料組成物において、前記R1には、Dyの含有量は、好ましくは0.2wt%以下であり、例えば、0.1~0.2wt%である。
【0011】
本発明において、前記R1は、本分野における他の通常の希土類元素をさらに含むことができ、例えば、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種または複数種を含む。
【0012】
ここで、前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、本分野の通常の形態であり、例えば、PrNdの形態で、または、純粋なPrとNdの混合物の形態で、または、PrNd、純粋なPr及びNdの混合物を組み合わせて添加する。PrNdの形態で添加する場合、Pr:Nd=25:75または20:80である。純粋なPrとNdの混合物の形態、または、PrNd、純粋なPrとNdの混合物を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2wt%であることが好ましく、例えば0.1wt%、0.2wt%であり、ここで、パーセントは、前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。本発明において、前記の純粋なPrまたは純粋なNdは、一般的に純度が99.5%以上であることを指す。
【0013】
そのうち、前記R1がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0014】
そのうち、前記R1がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0015】
そのうち、前記R1がYを含む場合、前記Yの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0016】
本発明において、前記R2の含有量は、好ましくは0.2wt%~0.8wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記原料組成物の総質量に占める質量百分率である。
【0017】
本発明では、前記R2において、Tbの含有量は、好ましくは0.2wt%~0.8wt%であり、例えば、0.6wt%である。
【0018】
本発明では、前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含むことができる。これらの希土類元素は、いずれも粒界拡散原理によって希土類元素を拡散させるシェル層を形成することができる。
【0019】
そのうち、前記R2がPrを含む場合、前記Prの含有量は、好ましくは0.2wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば0.2wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。
【0020】
そのうち、前記R2がDyを含む場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば0.3wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。
【0021】
そのうち、前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。
【0022】
そのうち、前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率であり、
【0023】
本発明において、前記Mの含有量は、好ましくは0.1wt%~0.15wt%であり、または、0.25wt%~0.4wt%であり、例えば、0.15wt%、0.25wt%、0.3wt%、0.35wt%、0.4wt%である。
【0024】
本発明において、前記Mの種類は、Ti、Zr、Nb、Ni、V、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Hf及びAgのうちの1種または複数種であることが好ましい。
【0025】
そのうち、前記MがTiを含む場合、前記Tiの含有量は、好ましくは0.05wt%~0.3wt%であり、例えば、0.05wt%、0.15wt%、0.3wt%であり、より好ましくは0.1wt%~0.15wt%である。
【0026】
そのうち、前記MがNbを含む場合、前記Nbの含有量は、好ましくは0.05wt%~0.15wt%であり、例えば、0.05wt%、0.15wt%であり、より好ましくは0.05wt%~0.1wt%である。
【0027】
ここで、前記Mの種類は、好ましくはBi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含む。
【0028】
そのうち、前記MがGaを含む場合、前記Gaの含有量の範囲は、好ましくは0.1~0.3wt%であり、例えば、0.1wt%、0.15wt%、0.3wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率であり、
【0029】
M元素がGaを含み、かつGaが0.2wt%以上でありかつ0.35wt%ではない場合、好ましくは、M元素の組成において、Ti+Nbは0.7wt%以下であるが、0ではなく、例えば、0.05wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。ここで、Ti+Nbが過剰になると、残留磁束密度を低下させてしまう虞がある。
【0030】
本発明において、好ましくは、本願の原料組成物には、Alがさらに含まれ、その含有量は、好ましくは0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば、0.15wt%である。
【0031】
前記MがGaを含み、かつGaが0.01wt%以下である場合、Al+Ga+Cuは0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば、0.12wt%であり、好ましくは、Al+Ga+Cuは0.11wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば、0.07wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。
【0032】
本発明において、Cuの含有量は、好ましくは0.08wt%以下であるが、0wt%ではなく、または、0.1wt%~0.15wt%であり、例えば、0.07wt%、0.15wt%である。
【0033】
本発明において、Bの含有量は、好ましくは0.9wt%~1.1wt%であり、より好ましくは0.97wt%~1.05wt%である。
【0034】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは65.65wt%~70.88wt%であり、例えば、67.99wt%、68.19wt%である。
【0035】
本発明において、好ましくは、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は、0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ti:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0036】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0037】
本発明において、好ましくは、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0038】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0039】
本発明において、好ましくは、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ga:0.05wt%~0.3wt%、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0040】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.05wt%、
Ga:0.3wt%、
Fe:67.99wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0041】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:29wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは28.6wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.30wt%であり、
B:1.01wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.15wt%、
Fe:69.62wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは30.4wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.50wt%であり、
B:0.98wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.7wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0043】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.05wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0044】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.3wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.94wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0045】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:28wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは27.3wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.2wt%であり、
B:1.1wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Nb:0.05wt%
Ga:0.15wt%、
Fe:70.88wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0046】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:33wt%、ここで、R1はNd、Dy及びPrであり、Ndは31.7wt%であり、Dyは0.20wt%であり、Prは0.1wt%であり、R2はTbであり、Tbは1wt%であり、
B:0.9wt%、
Cu:0.15wt%、
Ti:0.15wt%、
Al:0.15wt%、
Fe:65.65wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0047】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTb、Dy及びPrであり、Tbは0.5wt%であり、Dyは0.30wt%であり、Prは0.20wt%であり、
B:0.97wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:67.81wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率である。
【0048】
本発明には、上述した原料組成物を用いて行われるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法がさらに提供され、前記製造方法は、本分野の通常の拡散製造方法であり、そのうち、R1元素は、溶解製錬工程で添加され、R2元素は、粒界拡散工程で添加される。
【0049】
本発明において、前記製造方法は、以下のステップを含むことが好ましい。
【0050】
上記のネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物におけるR2以外の元素を溶解製錬、製粉、成形、焼結して焼結体を得、次に、前記焼結体と前記R2との混合物を粒界拡散すればよい。
【0051】
そのうち、前記溶解製錬の操作及び条件は本分野の通常の溶解製錬工程であってもよく、一般的に、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料におけるR2以外の元素をインゴット工程及びストリップキャスティング工程により溶解製錬鋳造し、合金片を得る。
【0052】
当業者が分かるように、希土類元素が通常溶解製錬及び焼結工程において損失してしまうため、最終製品の品質を確保するために、一般的に溶解製錬過程において、原料組成物の成分に希土類元素(一般的に、Nd元素である)を余分に0~0.3wt%添加し、パーセントは、余分に添加された希土類元素の含有量が前記原料組成物の合計含有量に占める質量百分率である。また、この余分に添加された希土類元素の含有量は原料組成物の範囲に含まれない。
【0053】
前記溶解製錬の温度は、1300~1700℃とすることができ、好ましくは1450~1550℃であり、例えば1500℃である。
【0054】
前記溶解製錬の装置は、一般的に高周波真空溶解炉および/または中周波真空溶解炉、中周波真空溶解炉は例えば中周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉である。
【0055】
ここで、前記製粉の操作及び条件は本分野の通常の製粉工程であることができ、一般的に、水素破砕製粉および/またはジェットミル製粉を含む。
【0056】
前記水素破砕製粉は、一般的に、水素吸収、脱水素、冷却処理を含む。前記水素吸収の温度は、一般的に、20~200℃である。前記脱水素の温度は、一般に、400~650℃であり、好ましくは500~550℃である。前記水素吸収の圧力は、一般的に、50~600kPaであり、例えば、90kPaである。
【0057】
前記ジェットミル製粉は、一般的に、0.1~2MPa、好ましくは0.5~0.7MPaの条件下で行われる。前記ジェットミル製粉におけるガス流は、例えば窒素ガスとすることができる。前記ジェットミル製粉の時間は、2~4hとすることができる。
【0058】
ここで、前記成形の操作及び条件は、本分野における通常の成形工程であることができる。例えば、磁場中成形方法である。前記磁場中成形方法の磁場強度は一般的に1.5T以上である。
【0059】
ここで、前記焼結の操作及び条件は、本分野における通常の焼結工程であることができる。
【0060】
前記焼結は、真空度が5×10-1Pa未満の条件下で行うことができる。
【0061】
前記焼結の温度は、1000~1200℃とすることができ、例えば1030~1090℃である。
【0062】
前記焼結の時間は、0.5~10hとすることができ、例えば、2~5hである。
【0063】
本発明において、当業者が分かるように、前記の粒界拡散の前に、一般的に前記R2のコーティング操作をさらに含む。
【0064】
ここで、前記R2は、一般的にフッ化物または低融点合金、例えばTbのフッ化物の形態でコーティングされる。Dyをさらに含む場合、DyはDyのフッ化物の形態でコーティングされることが好ましい。また、Prをさらに含む場合、PrはPrCu合金の形態で添加されることが好ましい。
【0065】
前記R2がPrを含み、かつPrがPrCu合金の形態で粒界拡散に関与する時に、好ましくは、Cuの前記製造方法における添加タイミングは、粒界拡散工程であり、または、溶解製錬工程及び粒界拡散工程に同時に添加されることである。前記Cuが粒界拡散時に添加される場合、前記Cuの含有量は、好ましくは0.03~0.15wt%であり、wt%は、元素が前記原料組成物に占める質量百分率である。ここで、前記Cuが前記PrCuに占めるパーセントは、0.1~17wt%である。
【0066】
本発明において、前記粒界拡散処理の操作及び条件は、本分野における通常の粒界拡散工程であることができる。
【0067】
前記粒界拡散処理の温度は、800~1000℃とすることができ、例えば850℃である。
【0068】
前記粒界拡散処理の時間は、5~20hとすることができ、例えば、5~15hである。
【0069】
前記の粒界拡散の後に、本分野の常法に従って低温焼戻し処理をさらに行う。低温焼戻し処理の温度は、一般的に460~560°Cである。時間は、一般的に1~3hである。
【0070】
本発明には、上述した製造方法により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供される。
【0071】
本発明には、ネオジム鉄ホウ素磁石材料がさらに提供され、
R:28~33wt%、前記RはR1及びR2を含み、前記R1はNd及びDyを含み、前記R2はTbを含み、R2の含有量は0.2wt%~1wt%であり、
B:0.9~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
M:0.35wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Mは、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf、Zn及びAgのうちの1種又は複数種を含み、
Fe:60wt%~70.88wt%、
wt%は、各元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Coが含まれておらず、
前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、NdFel4B結晶粒及びそのシェル層、前記NdFel4B結晶粒に隣接する二粒子粒界及び粒界三角領域を含み、そのうち、R1における重希土類元素は主にNdFel4B結晶粒に分布し、R2は主に前記シェル層、前記二粒子粒界及び前記粒界三角領域に分布し、前記粒界三角領域の面積比率は1.5%~3.5%であり、前ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は96%以上であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.4~0.5%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.35%以上である。
【0072】
本発明において、「R1における重希土類元素は主にNdFel4B結晶粒に分布する」ことは、本分野の通常の溶解製錬焼結工程によるR1における重希土類元素は、主に主相結晶粒に分布し(一般的に、95%以上を指す)、粒界に少量分布すると理解されることができる。「R2は主に前記シェル層、前記二粒子粒界及び前記粒界三角領域に分布する」ことは、本分野の通常の粒界拡散工程によるR2は、主に主相結晶粒のシェル層、前記二粒子粒界及び前記粒界三角領域に分布し(一般的に、95%以上を指す)、少量は主相結晶粒、例えば、主相結晶粒の外縁にも拡散する。
【0073】
本発明において、粒界連続性の計算方法は、粒界における空洞(ボイド)以外の物相が占める長さ(例えば、Bリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物等)と粒界の全長との比である。粒界連続性が96%を超える場合、連続チャネルと呼ばれる。
【0074】
本発明において、前記粒界三角領域は、一般的に、3つ以上の粒界が交差する場所を指し、Bリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物及び空洞が分布している。前記粒界三角領域の面積比率の計算方法は、粒界三角領域の面積と総面積(結晶粒+粒界)との比である。
【0075】
そのうち、希土類酸化物、希土類炭化物におけるC、O元素は、本分野の通常の方法により導入され、一般的に不純物導入または雰囲気導入であり、具体的には、例えば、ジェットミル、プレス工程において、添加剤が導入され、焼結時に、加熱によりこれらの添加剤を除去処理するが、必然的に少量のC、O元素が残存し、さらに、例えば、調製工程では、必然的に雰囲気により少量のO元素が導入される。本願において、検査測定により最終的に得られたネオジム鉄ホウ素磁石材料の製品において、C、O含有量は、それぞれ1000、1200ppm以下であり、本分野における通常の受け入れ可能な不純物範囲に属するため、製品元素統計表に含まれない。
【0076】
本発明の考案では、Tbは粒界拡散によって被覆層を形成し、保磁力を向上させ、Dyは、溶解製錬時のα-Feの生成量を減少させることができ、製品の磁気特性の向上に有益である。
【0077】
本発明において、当業者が分かるように、C、O元素は通常、粒界相に希土類炭化物及び希土類酸化物の形態で存在するため、「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」と「二粒子粒界におけるCとOの質量比率」は、それぞれ不純物相の希土類炭化物及び希土類酸化物に対応する。
【0078】
ここで、「二粒子粒界におけるCとOの質量比率(%)」のうちのパーセントは、二粒子粒界におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比であり、「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」のうちのパーセントは、粒界三角領域におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比である。
【0079】
また、実施例における「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」から「二粒子粒界におけるCとOの質量比率(wt%)」を差し引いた値に比べて比較例が縮小することに基づいて、不純物相が粒界三角領域から二粒子粒界に移行するという結論を得ることができ、これはメカニズムから粒界連続性が向上した理由を説明した。本発明において、前記粒界三角領域の面積比率は、好ましくは1.59%~3.28%であり、例えば、1.59%、1.88%、2.34%、2.36%、2.38%、2.45%、2.54%、2.62%、2.68%、3.28%であり、より好ましくは1.59%~2%である。
【0080】
本発明において、前記粒界連続性は、好ましくは97%以上であり、例えば、97.01%、97.20%、98.50%、98.00%、98.10%、98.22%、98.41%、98.36%、98.80%、99.50%であり、より好ましくは98%以上である。
【0081】
本発明において、前記二粒子粒界におけるCとOの質量比率は、好ましくは0.37%~0.4%である。
【0082】
本発明の磁石材料の二粒子粒界において、希土類酸化物と希土類炭化物という2つの不純物相に加えて、好ましくは、二粒子粒界において新物相がさらに検出され、その化学組成は、RFe100-x-y-zCuであり、ここで、Rは、Nd、Dy及びTbのうちの1種または複数種を含み、Mは、Ti、Ni、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Zr、Hf、Zn及びAgのうちの1種または複数種であり、xは32~36であり、yは0.1以下であるが、0ではなく、zは0.15以下であるが、0ではなく、ここで、xは32.5~35.5であることが好ましく、yは0.02~0.1であることが好ましく、zは0.07~0.12であることが好ましい。
【0083】
本願の好ましい実施形態において、前記新物相の構成は、例えば、R34.5Fe65.4Cu0.030.07、R34.1Fe65.68Cu0.10.12、R33.2Fe66.68Cu0.040.08、R33.56Fe66.28Cu0.050.11、R34.41Fe65.42Cu0.080.09、R35.26Fe64.58Cu0.070.09、R35.50Fe64.38Cu0.040.08、R32.50Fe67.39Cu0.030.08、R33.33Fe66.58Cu0.020.07、R34.22Fe65.64Cu0.060.08である。
【0084】
本発明において、前記の化学組成がRFe100-x-y-zCuである新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.8~3%であることが好ましく、より好ましくは0.81~2.64%である。
【0085】
発明者は、当該新物相が二粒子粒界で生成されることにより、粒界連続性をさらに向上させ、磁石の性能を向上させると推測している。
【0086】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料におけるRの使用量は、好ましくは29~31wt%である。
【0087】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、前記RにおけるNdの含有量は、本分野の通常のものであってもよく、好ましくは28~32.5wt%であり、パーセントは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0088】
本発明では、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料において、前記R1には、Dyの含有量は、好ましくは0.2wt%以下であり、例えば、0.1~0.2wt%である。
【0089】
本発明において、前記R1には、本分野における他の通常の希土類元素をさらに含んでもよく、例えば、Pr、Ho、Tb、Gd及びYのうちの1種又は複数種を含む。
【0090】
ここで、前記R1がPrを含む場合、Prの添加形態は、本分野の通常の形態であり、例えば、PrNdの形態で、または、純粋なPrとNdの混合物の形態で、または、PrNd、純粋なPr及びNdの混合物を組み合わせて添加する。PrNdの形態で添加する場合、Pr:Ndは25:75または20:80である。純粋なPrとNdの混合物の形態、または、PrNd、純粋なPr及びNdの混合物を組み合わせて添加する場合、前記Prの含有量は、0.1~2wt%であることが好ましく、例えば0.1wt%、0.2wt%であり、ここで、パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0091】
ここで、前記R1にHoが含まれる場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0092】
ここで、前記R1にGdが含まれる場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0093】
ここで、前記R1にYが含まれる場合、前記Yの含有量は、好ましくは0.1~0.2wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0094】
本発明において、前記R2の含有量は、好ましくは0.2wt%~0.8wt%であり、パーセントは、各成分の含有量が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の総質量に占める質量百分率である。
【0095】
本発明において、前記R2には、Tbの含有量は、好ましくは0.2wt%~0.8wt%であり、例えば、0.6wt%である。
【0096】
本発明において、前記R2は、Pr、Dy、Ho及びGdのうちの1種または複数種をさらに含むことができる。これらの希土類元素は、粒界拡散原理によって希土類元素を拡散させるシェル層を形成することができる。
【0097】
ここで、前記R2にPrが含まれる場合、前記Prの含有量は、好ましくは0.2wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば、0.2wt%であり、wt%は、元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0098】
ここで、前記R2にDyが含まれる場合、前記Dyの含有量は、好ましくは0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば0.3wt%であり、wt%は、元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0099】
ここで、前記R2がHoを含む場合、前記Hoの含有量は、好ましくは0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、wt%は、元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0100】
ここで、前記R2がGdを含む場合、前記Gdの含有量は、好ましくは0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、wt%は、元素が前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0101】
本発明において、前記Mの含有量は、好ましくは、0.1wt%~0.15wt%であり、または0.25wt%~0.4wt%であり、例えば、0.15wt%、0.25wt%、0.3wt%、0.35wt%、0.4wt%である。
【0102】
本発明において、前記Mの種類は、Ti、Zr、Nb、Ni、V、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Hf及びAgのうちの1種または複数種であることが好ましい。
【0103】
ここで、前記MにTiが含まれる場合、前記Tiの含有量は、好ましくは0.05wt%~0.3wt%であり、例えば、0.05wt%、0.15wt%、0.3wt%であり、より好ましくは0.1wt%~0.15wt%である。
【0104】
ここで、前記MにNbが含まれる場合、前記Nbの含有量は、好ましくは0.05wt%~0.15wt%であり、例えば、0.05wt%、0.15wt%であり、より好ましくは0.05wt%~0.1wt%である。
【0105】
ここで、前記Mの種類は、Bi、Sn、Zn、Ga、In、Au及びPbのうちの1種または複数種をさらに含むことが好ましい。
【0106】
ここで、前記MがGaを含む場合、前記Gaの含有量の範囲は、好ましくは0.1~0.3wt%であり、例えば、0.1wt%、0.15wt%、0.3wt%である。
【0107】
ここで、M元素がGaを含み、かつGaが0.2wt%以上であるが、0.35wt%ではない場合、好ましくは、M元素の組成において、Ti+Nbは0.07wt%以下であるが、0wt%ではなく、ここで、Ti+Nbが過剰になると、残留磁束密度を低下させてしまう虞がある。
【0108】
本発明において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料には、Alがさらに含まれることが好ましく、その含有量は0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば0.15wt%である。
【0109】
前記MがGaを含み、Gaが0.01wt%以下である場合、Al+Ga+Cuは0.15wt%以下かつ0wt%ではなくてもよく、例えば0.12wt%であり、好ましくはAl+Ga+Cuは0.11wt%以下であるが、0wt%ではなく、例えば、0.07wt%である。
【0110】
本発明において、前記Cuの含有量は、好ましくは0.08wt%以下であるが、0wt%ではなく、または、0.1wt%~0.15wt%であり、例えば、0.07wt%、0.15wt%である。
【0111】
本発明において、前記Bの含有量は、0.9wt%~1.1wt%であることが好ましく、より好ましくは0.97wt%~1.05wt%である。
【0112】
本発明において、前記Feの含有量は、好ましくは65.65wt%~70.88wt%であり、例えば、67.99wt%、68.19wt%である。
【0113】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1は、Nd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は、0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ti:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0114】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.34%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R34.5Fe65.4Cu0.030.07が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.35%である。
【0115】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0116】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.15wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.36%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.41%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.41%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R35.26Fe64.58Cu0.070.09が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.12%である。
【0117】
本発明において、好ましくは、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29~31wt%、前記R1はNd及びDyを含み、ここで、Dyの使用量は0.1wt%~0.2wt%であり、R2はTbを含み、Tbの使用量は、0.2wt%~0.8wt%であり、
B:0.9wt%~1.1wt%、
Cu:0.15wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Nb:0.3wt%以下であるが、0wt%ではなく、
Ga:0.05wt%~0.3wt%、
残部はFe及び不可避的不純物であり、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率である。
【0118】
本発明の一つの好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Nb:0.05wt%、
Ga:0.3wt%、
Fe:67.99wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.45%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.80%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R35.50Fe64.38Cu0.040.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.03%である。
【0119】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:29wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは28.6wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.30wt%であり、
B:1.01wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.15wt%、
Fe:69.62wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は1.88%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は97.20%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.44%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R34.1Fe65.68Cu0.10.12が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.74%である。
【0120】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは30.4wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.50wt%であり、
B:0.98wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.7wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.68%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.36%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.45%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R33.2Fe66.68Cu0.040.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.94%である。
【0121】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.05wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:68.19wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.38%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.10%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.44%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.4%であり、二粒子粒界には、新物相R33.56Fe66.28Cu0.050.11が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、0.81%である。
【0122】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:30.6wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.90wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.60wt%であり、
B:0.99wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.3wt%、
Ga:0.1wt%、
Fe:67.94wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素がネオジム鉄ホウ素磁石材料に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.54%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.22%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.43%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.4%であり、二粒子粒界には、新物相R34.41Fe65.42Cu0.080.09が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、2.64%である。
【0123】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:28wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは27.3wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTbであり、Tbは0.2wt%であり、
B:1.1wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Nb:0.05wt%
Ga:0.15wt%、
Fe:70.88wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は1.59%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は97.01%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.46%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.38%であり、二粒子粒界には、新物相R32.50Fe67.39Cu0.030.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.06%である。
【0124】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、以下の成分を含み、
R:33wt%、ここで、R1はNd、Dy及びPrであり、Ndは31.7wt%であり、Dyは0.20wt%であり、Prは0.1wt%であり、R2はTbであり、Tbは1wt%であり、
B:0.9wt%、
Cu:0.15wt%、
Ti:0.15wt%、
Al:0.15wt%、
Fe:65.65wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は3.28%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は99.50%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.46%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.37%であり、二粒子粒界には、新物相R33.33Fe66.58Cu0.020.07が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.58%である。
【0125】
本発明の別の好ましい実施形態において、前記原料組成物は、以下の成分を含み、
R:31wt%、ここで、R1はNd及びDyであり、Ndは29.9wt%であり、Dyは0.10wt%であり、R2はTb、Dy及びPrであり、Tbは0.5wt%であり、Dyは0.30wt%であり、Prは0.20wt%であり、
B:0.97wt%、
Cu:0.07wt%、
Ti:0.15wt%、
Fe:67.81wt%、
ここで、前記パーセントは、各元素が原料組成物に占める質量百分率であり、
前記粒界三角領域の面積比率は2.62%であり、前記ネオジム鉄ホウ素磁石材料の粒界連続性は98.50%であり、粒界三角領域におけるCとOの質量比率は0.48%であり、二粒子粒界におけるCとOの質量比率は0.39%であり、二粒子粒界には、新物相R34.22Fe65.64Cu0.060.08が検出され、新物相の前記二粒子粒界における面積と前記二粒子粒界の総面積との比は、1.87%である。
【0126】
本発明に係るネオジム鉄ホウ素磁石材料において、Coが含まれていないという考案を用いるとともに、総希土類量TRE、及びCu及とM(Ti、Nb等)元素の含有量の範囲を合理的に制御することで、不純物相を粒界三角領域に集合することなく、二粒子粒界により多く分布させ、これによって、粒界連続性を向上させ、粒界三角領域の面積を減少させ、より高い緻密度の取得に有益であり、磁石の残留磁束密度Brを向上させる。また、Tb元素を粒界と主相シェル層に均一に分布させることで、磁石の保磁力Hcjを向上させる。
【0127】
本発明には、前述のようなネオジム鉄ホウ素磁石材料の永久磁石の製造における応用がさらに提供される。
【0128】
ここで、前記永久磁石は、54SH、54UH、56SHの高性能の永久磁石であることが好ましい。
【0129】
本分野の周知常識に適合したうえで、上記の各好ましい条件を任意に組み合わせることによって、本発明の各好適な実施例を得ることができる。
【0130】
本発明に使用されている試薬及び原料は、いずれも市販されている。
【発明の効果】
【0131】
本発明の積極的な進歩的効果は、以下の点にある。
(1)本発明の磁石材料は、その磁石の性能が優れており、ここで、Br≧14.5kGs、Hcj≧24.5kOe、20~120℃Brの温度係数≧-0.106%/℃である。
(2)本発明の磁石材料は、54SH、54UH、56SHの高性能の永久磁石の製造に用いられることができ、Coが含まれていないため、生産コストを削減する。
【図面の簡単な説明】
【0132】
図1図1は、実施例1により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料のEPMA顕微鏡写真である。
【0133】
図2図2は、実施例1により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石材料のEPMAマップである。
【発明を実施するための形態】
【0134】
以下、実施例によって本発明をさらに説明するが、本発明を記載される実施例の範囲に制限するものではない。以下の実施例において、具体的な条件が明記されていない実験方法は、通常の方法及び条件に従って、または商品仕様書に応じて選択されるものである。
【0135】
下記の実施例において、磁気特性の評価に使用される装置は英国のHirst社のPFM-14磁気特性測定装置である。
【0136】
1、本発明の実施例1~10及び比較例1~5におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物を下記の表1に示す。
【0137】
表1ネオジム鉄ホウ素磁石材料の原料組成物の成分と含有量(wt%)
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを意味する。
【0138】
実施例1-10及び比較例1-5におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料の製造方法は以下の通りである。
(1)溶解製錬及び鋳造工程:表1に示す成分に従って、調製したR2以外の原料(実施例10のR2のうち、PrがPrCuの形態で添加され、実施例2において、Cuが粒界拡散工程に添加された含有量は0.03wt%である)をアルミナ製の坩堝に入れ、高周波真空溶解炉において0.05Paの真空及び1500℃の条件で真空溶解製錬する。中周波真空誘導急速凝固メルトスピニング炉にアルゴンガスを導入して鋳造し、そして、合金を急冷し、合金片を得る。
(2)水素破砕製粉工程:急冷された合金を置く水素破砕用炉を室温で真空引きした後、純度99.9wt%の水素ガスを水素破砕用炉内に導入して水素ガス圧力を90kPaに維持し、水素吸収を十分に行った後、真空引きしながら昇温し、十分に脱水素し、その後、冷却し、水素破砕した粉末を取り出す。ここで、水素吸収の温度は室温であり、脱水素の温度は、550℃である。
(3)ジェットミル製粉工程:水素破砕した粉末を、窒素ガス雰囲気下及び粉砕室圧力0.6MPaの条件下で3時間ジェットミル粉砕し、微粉を得る。
(4)成形工程:ジェットミル粉砕した粉末を1.5T以上の磁場強度で成形する。
(5)焼結工程:各成形体を焼結炉に搬入して焼結し、0.5Pa未満の真空下で焼結し、1030~1090°Cで2~5h焼結し、焼結体を得る。
(6)粒界拡散工程:焼結体の表面を清浄化した後、R2(例えば、Tbの合金またはフッ化物、Dyの合金またはフッ化物及びPrCu合金のうちの1種または複数種、そのうち、Cuは溶解製錬工程及び粒界拡散工程で同時に添加される)を焼結体の表面にコーティングし、850℃の温度で5~15時間拡散し、その後、室温まで冷却してから、低温焼戻し処理を460~560°Cの温度で1~3時間行う。
効果実施例1
【0139】
実施例1~10及び比較例1~5におけるネオジム鉄ホウ素磁石材料をそれぞれ選択して、その磁気特性及び成分を検出し、FE-EPMAでその磁石の相組成を観察する。
【0140】
(1)ネオジム鉄ホウ素磁石材料の各成分は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-OES)を用いて測定される。成分の検出結果を下記の表2に示す。
【0141】
表2ネオジム鉄ホウ素磁石の成分と含有量(wt%)
注:「/」は、当該元素が含まれていないことを意味する。
【0142】
(2)磁気特性の評価:ネオジム鉄ホウ素磁石材料は、英国のHirst社のPFM-14磁気特性測定器を使用して磁気特性検出を行い、磁気特性の検出結果を以下の表3に示す。
【0143】
(3)高温性能の試験:温度係数を算出した式は、
であり、算出された結果を表3に示す。
【0144】
(4)微細構造の測定:三角領域の面積、粒界の連続性等の試験の結果を表3に示し、そのうち、新物相RFe100-x-y-zCu(xは32~36であり、yは0.1以下であるが、0ではなく、zは0.15以下であるが、0ではない)はFE-EPMAによって試験される。
【0145】
表3 性能の試験結果
【0146】
表3において、
【0147】
二粒子粒界の連続性は、EPMAの後方散乱画像から算出され、C、Oの二粒子粒界及び粒界三角領域における質量比率及び新物相は、EPMAの元素分析により測定される。
【0148】
粒界三角領域の面積比率とは、粒界三角領域の面積と「結晶粒と粒界」の総面積との比を指す。
【0149】
二粒子粒界の連続性とは、粒界における空洞(ボイド)以外の物相が占める長さ(物相は、例えばBリッチ相、希土類リッチ相、希土類酸化物、希土類炭化物等)と粒界の全長との比を指す。
【0150】
粒界三角領域におけるC、Oの質量比率とは、粒界三角領域におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比を指す。
【0151】
二粒子粒界におけるC、Oの質量比率は、粒界三角領域におけるCとOの質量と粒界における全ての元素の総質量との比を指す。
【0152】
新物相の二粒子粒界における面積比率(%)とは、新物相の二粒子粒界における面積が二粒子粒界の総面積に占める比を指す。
【0153】
結果から明らかになるように、残留磁束密度の温度係数はいずれも比較例に匹敵し、さらに、それ以上であり、本願では、Coが含まれていない場合、Coが含まれていないことに起因して高温安定性がよくないという欠陥を克服できることが示されている。また、実施例における「粒界三角領域におけるCとOの質量比率」から「二粒子粒界におけるCとOの質量比率(wt%)」を差し引いた値に比べて比較例が縮小することに基づいて、不純物相が粒界三角領域から二粒子粒界に移行するという結論を得ることができ、これはメカニズムから粒界の連続性が向上した理由を説明した。
効果実施例2
【0154】
図1に示されるように、実施例1により製造されたネオジム鉄ホウ素磁石の微細組織走査写真であり、図1において、黒色塊状構造は走査型電子顕微鏡により観察した試料を作製した時に、研削研磨によりネオジム(Nd)リッチ相が脱落し、図中に黒色の空洞が出現する。ここで、点3は、NdFe14B主相(灰色の領域)であり、点2は粒界相(銀白色の領域)であり、点1は二粒子粒界に含まれる物相RFe100-x-y-zCu(灰白色の塊状物)である。結果から、粒界三角領域の面積が通常の磁石よりも小さいことが明らかになる。また、図2のEPMAマップから、「Tb元素が、粒界および主相シェル層に均一に分布している」ことが明らかになる。

図1
図2