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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】広帯域アンテナを有する電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01Q 5/371 20150101AFI20240411BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20240411BHJP
   H01Q 5/378 20150101ALI20240411BHJP
   H01Q 9/42 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
H01Q5/371
H01Q1/24 Z
H01Q5/378
H01Q9/42
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022562333
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(86)【国際出願番号】 US2021023599
(87)【国際公開番号】W WO2021211266
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-10-12
(31)【優先権主張番号】16/851,812
(32)【優先日】2020-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】チャン リジュン
(72)【発明者】
【氏名】ウー ジャンフェン
(72)【発明者】
【氏名】パスコリーニ マッティア
(72)【発明者】
【氏名】ヨン シーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジアン イー
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0250459(US,A1)
【文献】特開2012-160951(JP,A)
【文献】国際公開第2014/111975(WO,A1)
【文献】特開平08-111609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 5/371
H01Q 1/24
H01Q 5/378
H01Q 9/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有する誘電体基板と、
アンテナ接地と、
前記アンテナ接地に接地位置で結合された第1のアンテナアームと、
前記第1のアンテナアームから延びる第2のアンテナアームと、
前記アンテナ接地に結合され、前記第1及び第2のアンテナアームにフィードするように構成されたアンテナフィードであって、
前記第1のアンテナアームと、前記接地位置と前記アンテナフィードとの間に延びる前記アンテナ接地の一部分が、第1の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成されたループ経路を形成しており、
前記第2のアンテナアームが、第2の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成されており、
前記第2のアンテナアームと前記アンテナ接地との間の前記第1のアンテナアームの一部分が、前記第2のアンテナアームのための、前記アンテナ接地へのリターン経路を形成している、アンテナフィードと、
前記第2のアンテナアームと前記第1のアンテナアームの前記一部分との間のギャップであって、前記第1の周波数帯域における前記第1のアンテナアームの周波数応答を調整するように構成された分布キャパシタンスを形成しているギャップと、
湾曲した内面を有する誘電体カバー層であって、前記第1及び第2のアンテナアームは、前記誘電体カバー層を介して放射するように構成され、均一の距離で前記湾曲した内面から離され、可撓性プリント回路上にパターン化された導電性トレースから形成され、前記可撓性プリント回路は、前記誘電体基板の表面上に層状に形成される、誘電体カバー層と、
を備える電子デバイス。
【請求項2】
第3の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成された第3のアンテナアームであって、前記アンテナフィードが、前記第3のアンテナアームにフィードするように構成されている、第3のアンテナアームをさらに備える、
請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
追加の導電トレースであって、前記第1のアンテナアームが、前記追加の導電トレースから前記接地位置まで延びており、前記第3のアンテナアームが、前記追加の導電トレースから延びており、前記アンテナフィードが、前記アンテナ接地と前記導電トレースとの間に結合されている、追加の導電トレースをさらに備える、
請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第1のアンテナアームが、前記追加の導電トレースから第1の長手方向軸線に沿って延びる第1のセグメントを備え、前記第2のアンテナアームが、前記第1のセグメントから延びる第2のセグメントを備え、前記第2のセグメントが、前記第1の長手方向軸線に対して平行でない第2の長手方向軸線に沿って延びており、前記第3のアンテナアームが、前記追加の導電トレースから延びる第3のセグメントを備え、前記第3のセグメントが、前記第1の長手方向軸線に平行な第3の長手方向軸線に沿って延びている、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記第2のアンテナアームと前記アンテナ接地との間の前記第1のアンテナアームの前記一部分が、第4及び第5のセグメントを備え、前記ギャップが、前記第4のセグメントと前記第2のセグメントとの間に形成されており、前記第5のセグメントが、前記第4のセグメントを前記接地位置に結合しており、前記第3のアンテナアームが、前記第3のセグメントから延びる第6のセグメントを備え、前記第6のセグメントが、前記第2の長手方向軸線に平行な第4の長手方向軸線に沿って延びている、請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第3のアンテナアームが、前記アンテナ接地に結合されており、前記アンテナフィードが、前記第1のアンテナアームと前記アンテナ接地との間に結合されている、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第3のアンテナアームが、L字形ストリップを備える、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第2のアンテナアームが、近傍界電磁結合を介して前記L字形ストリップにフィードするように構成されている、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記第1のアンテナアーム及び前記アンテナ接地の前記一部分が、前記表面の中央開口部の周りに延びており、前記L字形ストリップが、前記中央開口部内に配置されている、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記第2の周波数帯域が、前記第1の周波数帯域よりも低く、前記第3の周波数帯域が、前記第1の周波数帯域よりも高い周波数を含む、請求項に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記誘電体基板の表面であって、当該表面上に前記可撓性プリント回路が層状に形成される誘電体基板の表面は湾曲している、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
アンテナ接地と、
第1の周波数帯域で共振するように構成されたループアンテナ共振要素と、
第2の周波数帯域で共振するように構成された逆Fアンテナ共振要素であって、前記ループアンテナ共振要素の一部分が、前記逆Fアンテナ共振要素のための、前記アンテナ接地へのリターン経路を形成する、逆Fアンテナ共振要素と、
第3の周波数帯域で共振するように構成されたL字形アンテナ共振要素であって、前記ループアンテナ共振要素の一部から延びるL字形アンテナ共振要素と、
前記ループアンテナ共振要素、前記逆Fアンテナ共振要素及び前記L字形アンテナ共振要素にフィードするように構成されたアンテナフィードと、
を備えるアンテナ。
【請求項13】
前記L字形アンテナ共振要素が、前記アンテナ接地から延びている、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項14】
前記第1の周波数帯域が5GHzを含み、前記第2の周波数帯域が2.4GHzを含み、前記第3の周波数帯域が5GHz~9GHzの周波数を含む、請求項12に記載のアンテナ。
【請求項15】
アンテナ接地と、
第1のギャップによって前記アンテナ接地から離されたフィードセグメントと、
前記フィードセグメントから延びる第1のセグメントと、前記第1のセグメントに対して平行でない角度で前記第1のセグメントから延びる第2のセグメントと、前記第2のセグメントから前記アンテナ接地まで延びる第3のセグメントと、を有する第1の共振要素アームと、
前記第1及び第2のセグメントから延びる第4のセグメントを有し、かつ前記第4のセグメントに対して平行でない角度で前記第4のセグメントから延びる第5のセグメントを有する、第2の共振要素アームであって、前記第4のセグメントが、前記第2のセグメントに平行に延びている、第2の共振要素アームと、
前記第2のセグメントと前記第4のセグメントとの間の第2のギャップと、
前記フィードセグメントに結合された第6のセグメントを有し、かつ前記第6のセグメントに対して平行でない角度で前記第6のセグメントから延びる第7のセグメントを有する、第3の共振要素アームと、
前記フィードセグメントに結合された正極アンテナフィード端子を有し、前記アンテナ接地に結合された接地アンテナフィード端子を有するアンテナフィードであって、前記第1、第2及び第3の共振要素アームにフィードするように構成されているアンテナフィードと、
を備えるアンテナ。
【請求項16】
前記第6のセグメントが、前記第1のセグメントに平行に前記フィードセグメントから延びる、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項17】
前記第7のセグメントは前記第5のセグメントに平行に延び、第3のギャップによって前記第5のセグメントから離されている、請求項16に記載のアンテナ。
【請求項18】
前記第2の共振要素アームは前記第3のセグメントに平行に前記第5セグメントから延びる第8セグメントを有する、請求項17に記載のアンテナ。
【請求項19】
前記フィードセグメント、前記第1のセグメント、前記第2のセグメント、前記第3のセグメント及び前記アンテナ接地の一部は第1の周波数帯域において放射するように構成されるループアンテナ共振要素を形成し、前記第2の共振要素アームは前記第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域において放射するように構成される、請求項15に記載のアンテナ。
【請求項20】
前記第6のセグメントは、前記正極アンテナフィード端子と前記第1のセグメントとの間の位置において前記フィードセグメントに結合される、請求項15に記載のアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2020年4月17日に出願された米国特許出願第16/851,812号に対する優先権を主張するものであり、本明細書によりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は電子デバイスに関し、より具体的には、無線通信回路を有する電子デバイスに関する。
【0003】
電子デバイスは、多くの場合、無線通信機能を備えている。無線通信機能を備えている電子デバイスは、1つ以上のアンテナを備えた無線通信回路を有する。無線通信回路内の無線送受信機回路は、高周波信号を送受信するためにアンテナを使用する。
【0004】
電子デバイスのための満足のいくアンテナを形成することが困難であることがある。注意が払われない場合、アンテナは、満足に機能しなかったり、製造が複雑になりすぎたり、デバイスへの統合が困難になったりすることがある。より多くの周波数帯域を処理するアンテナに対する需要も一層高まっている。しかし、電子デバイス内の空間の制約により、アンテナの帯域幅が不必要に制限されることがある。
【発明の概要】
【0005】
電子デバイスは、湾曲した誘電体カバー層を備えた筐体を含むことができる。電子デバイスは、アンテナを有する無線回路を含むことができる。アンテナは、誘電体基板の曲面にパターン化した導電トレースから形成された、アンテナ接地及びアンテナ共振要素を含むことができる。曲面は、湾曲した曲線状の誘電体カバー層の湾曲と一致する湾曲を有してもよい。これにより、アンテナと湾曲した誘電体カバー層との間に、アンテナ共振要素の側面領域の全体にわたって均一なインピーダンス境界が存在することを確実にすることができる。
【0006】
アンテナ共振要素は、単一のアンテナフィードによってフィードされる(fed)第1、第2及び第3のアームを含むことができる。第1のアームは、アンテナフィードとアンテナ接地との間に結合することができる。第2のアームは、第1のアームから延びていてもよい。第1のアーム及びアンテナ接地の一部分は、ループアンテナ共振要素を形成することができる。第2のアーム及び第1のアームは、逆Fアンテナ共振要素を形成することができ、第1のアームの一部分が、逆Fアンテナ共振要素のための、アンテナ接地へのリターン経路を形成する。第2のアームと第1のアームの一部分との間のギャップが、分布キャパシタンスを形成してもよい。分布キャパシタンスは、ループアンテナ共振要素の周波数応答を調整することができる。
【0007】
アンテナ共振要素の第3のアームは、L字形アンテナ共振要素を形成することができる。第3のアームは、アンテナ接地に結合することができ、又はループアンテナ共振要素に結合することができる。ループアンテナ共振要素は、第1の周波数帯域で共振することができる。逆Fアンテナ共振要素は、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で共振することができる。L字形アンテナ共振要素は、第1の周波数帯域よりも高い周波数を含む第3の周波数帯域で共振することができる。アンテナは、アンテナが帯域幅全体(例えば、2.4GHz未満~9.0GHz超)にわたって閾値アンテナ効率よりも高い満足のいくアンテナ効率を示すように、比較的広い帯域幅を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】いくつかの実施形態による、アンテナを有する例示的な電子デバイスの概略図である。
図2】いくつかの実施形態による、フィードセグメントから延びる3つのアンテナアームを有する例示的な広帯域アンテナの上面図である。
図3】いくつかの実施形態による、フィードから延びる第1及び第2のアームと、アンテナ接地から延びる第3のアームとを有する例示的な広帯域アンテナの上面図である。
図4】いくつかの実施形態による、フィードから延びる第1及び第2のアームと、アンテナ接地に結合され、かつ第1及び第2のアームとアンテナ接地との間に挿入される第3のアームとを有する例示的な広帯域アンテナの上面図である。
図5】いくつかの実施形態による、図2図4に示す種類のアンテナの周波数に応じたアンテナ性能(電圧定在波比)のプロットである。
図6】いくつかの実施形態による、図2図4に示す種類のアンテナを例示的な電子デバイス内にどのように統合できるかを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1の電子デバイス10などの電子デバイスは、無線回路を備え得る。この無線回路は、アンテナを含み得る。電子デバイス10は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、組み込み型コンピュータを含むコンピュータモニタ、タブレットコンピュータ、セルラー電話機、メディアプレーヤ、若しくは他のハンドヘルド若しくはポータブル電子デバイスなどのコンピューティングデバイス、腕時計デバイス、ペンダントデバイス、ヘッドホン若しくはイヤホンデバイス、眼鏡組み込み型デバイス、ゴーグル組み込み型デバイス、若しくはユーザの頭部に着用される、ヘッドマウント(ディスプレイ)デバイスなどの他の機器、若しくは他の種類の着用可能な若しくはミニチュアデバイスなどの小型デバイス、テレビ、組み込み型コンピュータを含まないコンピュータディスプレイ、ゲーミングデバイス、ナビゲーションデバイス、ディスプレイを有する電子機器がキオスク若しくは自動車に搭載されるシステムなどの組み込み型システム、インターネットに接続される音声制御式の無線スピーカ、無線基地局若しくはアクセスポイント、これらのデバイスのうちの2つ以上の機能を実装する機器、又は他の電子機器であってもよい。
【0010】
図1に示すように、デバイス10は、制御回路12を含むことができる。制御回路12は、記憶回路16などの記憶装置を含むことができる。記憶回路16は、ハードディスクドライブ記憶装置、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリ、又はソリッドステートドライブを形成するように構成された他の電気的にプログラムできる読み出し専用メモリ)、揮発性メモリ(例えば、静的又は動的ランダムアクセスメモリ)、その他を含んでもよい。
【0011】
制御回路12は、処理回路14などの処理回路を含んでもよい。処理回路14は、デバイス10の動作を制御するために使用することができる。処理回路14は、1つ以上のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、ホストプロセッサ、ベースバンドプロセッサ集積回路、特定用途向け集積回路、中央処理装置(central processing units;CPU)などを含んでもよい。制御回路12は、ハードウェア(例えば、専用ハードウェア若しくは回路)、ファームウェア、及び/又はソフトウェアを使用して、デバイス10内で動作を実行するように構成することができる。デバイス10内で動作を実行するためのソフトウェアコードは、記憶回路16上に記憶することができる(例えば、記憶回路16は、ソフトウェアコードを記憶する非一時的(有形)コンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい)。ソフトウェアコードは、時に、プログラム命令、ソフトウェア、データ、命令、又はコードと呼ばれることがある。記憶回路16上に記憶されたソフトウェアコードは、処理回路14によって実行することができる。
【0012】
制御回路12は、衛星ナビゲーションアプリケーション、インターネットブラウジングアプリケーション、ボイスオーバー・インターネット・プロトコル(voice-over-internet-protocol;VOIP)通話アプリケーション、電子メールアプリケーション、メディア再生アプリケーション、オペレーティングシステム機能などのソフトウェアを、デバイス10上で走らせるために使用することができる。外部機器との相互作用をサポートするために、通信プロトコルを実装する際に制御回路12を使用してもよい。制御回路12を使用して実装できる通信プロトコルとしては、インターネットプロトコル、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)プロトコル(例えばIEEE 802.11プロトコル(Wi-Fi(登録商標)と呼ぶこともある))、Bluetooth(登録商標)プロトコル若しくは他の無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)プロトコルなどの他の近距離無線通信リンク用プロトコル、IEEE 802.11adプロトコル、セルラー電話プロトコル、MIMOプロトコル、アンテナダイバーシティプロトコル、衛星航法システムプロトコル(例えば、全地球測位システム(GPS)プロトコル、全地球航法衛星システム(GLONASS)プロトコルなど)、又は任意の他の所望の通信プロトコルが挙げられる。各通信プロトコルは、プロトコルを実装する際に使用される物理的接続方法を指定する、対応する無線アクセス技術(Radio Access Technology;RAT)と関連付けられ得る。
【0013】
デバイス10は、入出力回路18を含んでもよい。入出力回路18は、入出力デバイス20を含んでもよい。入出力デバイス20を使用して、デバイス10にデータを供給することを可能にし、デバイス10から外部デバイスにデータを提供することを可能にすることができる。入出力デバイス20は、ユーザインタフェースデバイス、データポートデバイス、及び他の入出力構成要素を含んでもよい。例えば、入出力デバイス20としては、タッチセンサ、ディスプレイ(例えばタッチ感知ディスプレイ)、タッチセンサ能力なしのディスプレイなどの発光構成要素、ボタン(機械式、容量式、光学式など)、スクロールホイール、タッチパッド、キーパッド、キーボード、マイクロフォン、カメラ、ボタン、スピーカ、ステータスインジケータ、オーディオジャック、及び他のオーディオポート構成要素、デジタルデータポートデバイス、動きセンサ(動きを検出する加速度計、ジャイロスコープ、及び/又はコンパス)、静電容量センサ、近接センサ、磁気センサ、力センサ(例えば、ディスプレイに加えられた圧力を検出するためにディスプレイに結合された力センサ)を挙げることができる。いくつかの構成では、キーボード、ヘッドホン、ディスプレイ、トラックパッド、マウス、及びジョイスティックなどのポインティングデバイス、並びに他の入出力デバイスは、有線接続又は無線接続を使用してデバイス10に結合することができる(例えば、入出力デバイス20のいくつかは、有線リンク又は無線リンクを介してメイン処理ユニット又はデバイス10の他の部分に結合される周辺機器であることができる)。
【0014】
入出力回路18は、無線通信をサポートするための無線回路22を含んでもよい。無線回路22は、1つ以上の集積回路から形成される高周波(radio-frequency;RF)送受信機回路24、電力増幅器回路、低雑音入力増幅器、パッシブRF構成要素、アンテナ40などの1つ以上のアンテナ、伝送路26などの伝送路、及びRF無線信号を処理するための他の回路を含んでもよい。無線信号は、光を使用して(例えば、赤外線通信を使用して)も送信することができる。制御回路12は、明確にするために図1の例では無線回路22とは別個に示しているが、無線回路22は、処理回路14の一部を形成する処理回路、及び/又は制御回路12の記憶回路16の一部を形成する記憶回路を含んでもよい(例えば、制御回路12の一部分は、無線回路22上に実装されてもよい)。一例として、制御回路12(例えば処理回路14)は、無線回路22の一部を形成する、ベースバンドプロセッサ回路又は他の制御構成要素を含んでもよい。
【0015】
高周波送受信機回路24は、Wi-Fi(登録商標)(IEEE 802.11)通信又は他のWLAN通信帯域用の2.4GHz及び5GHz帯域を処理する無線ローカルエリアネットワーク送受信機回路を含むことができ、2.4GHzのBluetooth(登録商標)通信帯域又は他のWPAN通信帯域を処理する無線パーソナルネットワーク送受信機回路を含むことができる。所望であれば、高周波送受信機回路24は、セルラー電話機帯域、(例えば、13.56MHzの)近距離通信帯域、ミリ波若しくはセンチ波帯域(例えば、10~300GHzでの通信)、及び/又は他の通信帯域などの他の帯域を処理することができる。所望であれば、高周波送受信機回路24は、ISM(Industry,Science,and Medical)帯域などの無認可帯域、約5.925GHz~7.125GHzの周波数を含む周波数帯域などの6GHz付近の周波数帯域、又は最大約8~9GHzの他の周波数帯域の通信を処理するための高周波送受信機回路を含んでもよい。
【0016】
高周波送受信機回路24は、IEEE 802.15.4プロトコル及び/又は他の超広帯域通信プロトコルを使用する通信をサポートする超広帯域(ultra-wideband;UWB)送受信機回路も含んでもよい。超広帯域高周波信号は、帯域制限データパルスを使用するインパルス無線信号方式に基づいてもよい。超広帯域信号は、499MHz~1331MHzの帯域幅、500MHz超の帯域幅などの任意の所望の帯域幅を有することができる。ベースバンド内のより低い周波数の存在により、超広帯域信号が壁などの物体を貫通可能になることがある。IEEE 802.15.4システムでは、一対の電子デバイスが、タイムスタンプ付き無線メッセージを交換することができる。メッセージ内のタイムスタンプは、メッセージの飛行時間を決定することにより、デバイス間の距離(レンジ)及び/又はデバイス間の角度(例えば、到着する高周波信号の到来角)を決定するために分析することができる。超広帯域送受信機回路は、約5GHz~約8.5GHz(例えば、6.5GHzのUWB通信帯域、8GHzのUWB通信帯域及び/又は他の好適な周波数)の超広帯域通信帯域などの周波数帯域で動作(すなわち、高周波信号を伝達)することができる。通信帯域は、本明細書では周波数帯域又は単に「帯域」と呼ばれることがある。
【0017】
無線回路22は、アンテナ40などの1つ以上のアンテナを含んでもよい。一般に、高周波送受信機回路24は、対象とする任意の好適な通信(周波数)帯域をカバー(処理)するように構成することができる。高周波送受信機回路24は、アンテナ40を使用して高周波信号を伝達することができる(例えば、アンテナ40は、送受信機回路24のための高周波信号を伝達することができる)。本明細書では、用語「高周波信号を伝達する」は、(例えば、外部ワイヤレス通信機器との一方向及び/又は双方向ワイヤレス通信を実行するための)高周波信号の送信及び/又は受信を意味する。アンテナ40は、高周波信号を自由空間に(又は誘電体カバー層などの介在デバイス構造を介して自由空間に)放射することによって高周波信号を送信することができる。アンテナ40は、(例えば、誘電体カバー層などの介在デバイス構造を介して)自由空間から高周波信号を追加的に又は択一的に受信することができる。アンテナ40による高周波信号の送信及び受信は、それぞれ、アンテナの動作の周波数帯域内の高周波信号によってアンテナ内のアンテナ共振要素上のアンテナ電流の励起又は共振を含む。
【0018】
アンテナ40などのアンテナは、任意の好適な種類のアンテナを使用して形成されてもよい。例えば、デバイス10内のアンテナとしては、ループアンテナ構造体、パッチアンテナ構造体、逆Fアンテナ構造体、スロットアンテナ構造体、平板逆Fアンテナ構造体、ヘリカルアンテナ構造体、モノポールアンテナ構造体、ストリップアンテナ構造体、ダイポールアンテナ構造体、これらの設計の混成などから形成される共振要素を備えたアンテナを挙げることができる。アンテナ性能を調整するために、寄生要素がアンテナ40に含まれてもよい。所望であれば、アンテナ40は、アンテナ40のアンテナ共振要素を支持する導電性キャビティを備えることができる(例えば、アンテナ40は、キャビティ付きスロットアンテナなどのキャビティ付きアンテナであることができる)。異なる帯域及び帯域の組み合わせに対して、異なる種類のアンテナが使用されてもよい。例えば、1つのタイプのアンテナをローカル無線リンクアンテナの形成に使用してもよく、別のタイプのアンテナをリモート無線リンクアンテナの形成に使用してもよい。いくつかの構成では、高周波送受信機回路24の異なる帯域を処理するのに、異なるアンテナを使用することができる。代替的に、所与のアンテナ40は、1つ以上の帯域をカバーしてもよい。
【0019】
図1に示すように、高周波送受信機回路24は、伝送路26を使用してアンテナ40のアンテナフィード32に結合することができる。アンテナフィード32は、正極アンテナフィード端子34などの正極アンテナフィード端子を含むことができ、かつ接地アンテナフィード端子36などの接地アンテナフィード端子を含むことができる。伝送路26は、プリント回路上の金属トレース、ケーブル、又は他の導電性構造体から形成することができる。伝送路26は、正極アンテナフィード端子34に結合される経路28などの正極伝送路信号経路を有してもよい。伝送路26は、接地アンテナフィード端子36に結合される経路30などの接地伝送路信号経路を有してもよい。経路28は、本明細書では信号導体28と呼ばれることがあり、経路30は、本明細書では接地導体30と呼ばれることがある。
【0020】
伝送路26などの伝送路経路は、デバイス10内でアンテナ信号を送信するために(例えば、高周波送受信機回路24とアンテナ40のアンテナフィード32との間で高周波信号を伝達するために)使用することができる。デバイス10内の伝送路としては、同軸ケーブル、マイクロストリップ伝送路、ストリップライン伝送路、エッジ結合型マイクロストリップ伝送路、エッジ結合型ストリップライン伝送路、これらの種類の伝送路の組み合わせから形成された伝送路を挙げることができる。伝送路26などのデバイス10内の伝送路は、剛性プリント回路基板及び/又は可撓性プリント回路基板に統合することができる。1つの好適な構成では、伝送路26などの伝送路はまた、多層積層構造体(例えば、介在する接着剤なしに一体に積層された銅などの導電材料及び樹脂などの誘電体材料の層)内に組み込まれた伝送路導体(例えば、信号導体28及び接地導体30)を含んでもよい。多層積層構造体は、所望であれば、複数の次元(例えば、二次元又は三次元)に折り畳まれても、又は曲げられてもよく、折り曲げ後に、曲げられた又は折り畳まれた形状を維持してもよい(例えば、多層積層構造体は、他のデバイス構成要素を回り込むように特定の三次元形状に折り畳まれてもよく、折り畳み後に、補強材又は他の構造体により保持されることなくその形状を保持するのに十分な剛性であってもよい)。積層構造体の複数の層の全ては、接着剤なしで(例えば、接着剤で複数の層を一緒に積層する複数のプレス工程を実行することとは反対に)一括で(例えば、単一のプレス工程で)一緒に積層されてもよい。
【0021】
フィルタ回路、スイッチング回路、インピーダンスマッチング回路及び他の回路を、伝送路26などの伝送路を使用して形成された経路内に挿入することができ、及び/又は、これらのような回路は、(例えば、アンテナ調整をサポートするため、所望の周波数帯域での動作をサポートするためなどに)アンテナ40に組み込むことができる。動作中、制御回路12は、高周波送受信機回路24及びアンテナ(単数又は複数)40を使用して、データを無線で送受信することができる。制御回路12は、例えば、高周波送受信機回路24及びアンテナ40を使用して無線ローカルエリアネットワーク通信を無線で受信することができ、高周波送受信機回路24及びアンテナ40を使用して無線ローカルエリアネットワーク通信を無線で送信することができる。
【0022】
電子デバイス10は、電子デバイス筐体38を備えることができる。ケースと呼ばれることがある筐体38は、プラスチック、ガラス、セラミック、繊維複合材、金属(例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、など)、他の好適な材料、又はこれらの材料の組み合わせから形成することができる。筐体38は、筐体38の一部若しくは全体が単一の構造体として機械加工若しくは成形されているユニボディ構成を使用して形成してもよく、又は複数の構造体(例えば、1つ以上の外側筐体層で覆われた内部フレーム構造体)を使用して形成してもよい。筐体38が支持構造体(スタンド、脚、ハンドル、フレームなど)を含む筐体38の構成も使用することができる。本明細書で一例として説明する1つの好適な構成では、筐体38は、湾曲した誘電体カバー層を含む。アンテナ40は、湾曲した誘電体カバー層を通して高周波信号を送信することができ、かつ/又は湾曲した誘電体カバー層を通して高周波信号を受信することができる。
【0023】
実際には、デバイス10の高周波信号を伝達するために使用する周波数帯域の数は、経時的に増加する傾向にある。いくつかのシナリオでは、デバイス10は、これらの帯域をそれぞれ処理するための異なるそれぞれのアンテナ40を含むことができる。しかし、デバイス10内のアンテナ40の数が増加することで、デバイス10内の望ましくない量の空間、電力及び他のリソースが消費されることがある。所望であれば、デバイス10内の所与のアンテナ40は、デバイス10内のリソース消費を最適化するために、複数の周波数帯域の通信を処理することができる。本明細書で一例として説明する1つの好適な構成では、デバイス10内の所与のアンテナ40は、2.4GHz及び5.0GHzのWLAN周波数帯域、6GHz付近(例えば5.925~7.125GHz)の無認可帯域、並びに/又は6.5GHz及び8.0GHzのUWB通信帯域を処理するように構成することができる。しかし、特に、アンテナのサイズがデバイス10のフォームファクタによって制約される場合、これらの周波数帯域(例えば、2.4GHz未満~9.0GHz超)それぞれを満足のいくアンテナ効率でカバーするのに十分な帯域幅を示す構造体を備えたアンテナ40を提供することは困難になることがある。
【0024】
図2は、これらの周波数帯域それぞれを満足のいくアンテナ効率でカバーするように十分に広い帯域幅を示すことができる例示的なアンテナ40の図である。図2に示すように、アンテナ40は、アンテナ共振要素46などのアンテナ共振要素と、アンテナ接地42などの接地構造とを含むことができる。アンテナ共振要素46は、本明細書ではアンテナ放射要素46又はアンテナ要素46と呼ばれることがある。アンテナ接地42は、本明細書では接地板42又は接地構造体42と呼ばれることがある。
【0025】
アンテナ共振要素46及びアンテナ接地42は、誘電体基板44などの基礎をなす誘電体基板の表面45などの側面上にパターン化した導電トレースから形成することができる。誘電体基板44は、本明細書では誘電体支持構造体44、誘電体キャリア44又はアンテナキャリア44と呼ばれることがある。誘電体基板44は、プラスチック、セラミック又は任意の他の誘電体材料から形成することができる。所望であれば、アンテナ接地42及び/又はアンテナ共振要素46は、誘電体基板44の表面45に積み重ねられる可撓性プリント回路上にパターン化した導電トレースから形成することができる。表面45は、平面状であっても、湾曲していてもよく、平面状部分及び湾曲部分を有しても、又は任意の他の所望の形状を有してもよい。表面45が湾曲している例を、本明細書では一例として説明する。表面45は、所望であれば、複数の軸線を中心として三次元的に湾曲させることができる(例えば、表面45は、球状に湾曲、非球状に湾曲、自由形状に湾曲させることができる)。
【0026】
アンテナ40には、アンテナフィード32を使用してフィードすることができる。アンテナフィード32は、(例えば、誘電体基板44の表面45のギャップ58にわたって)アンテナ共振要素46とアンテナ接地42との間に結合することができる。例えば、アンテナ共振要素46は、フィードセグメント72などのフィードセグメントを有することができる。フィードセグメント72は、対応する長手方向軸線(例えば、図2のX軸に平行に向けられた長手方向軸線)に沿って延びていてもよく、ギャップ58によってアンテナ接地42から離れていてもよい。アンテナフィード32の正極アンテナフィード端子34は、フィードセグメント72に結合することができる一方で、接地アンテナフィード端子36は、アンテナ接地42に(例えば、ギャップ58の両側で)結合することができる。
【0027】
アンテナ共振要素46は、複数のアーム又は分岐を有することができる。図2の例では、アンテナ共振要素46は、フィードセグメント72から延びる第1のアーム(分岐)52、第1のアーム52から延びる第2のアーム(分岐)50、及びフィードセグメント72から延びる第3のアーム48を含む。アーム52、50及び48は、本明細書ではアンテナ共振要素アーム又はアンテナアームと呼ばれることがある。
【0028】
図2に示すように、第1のアーム52は、フィードセグメント72の端部から延びる第1のセグメント74を有してもよい(例えば、第1のセグメント74は、フィードセグメント72のアンテナフィード32とは反対側の端部に第1の端部を有してもよい)。第1のセグメント74は、フィードセグメント72に対して平行でない角度(例えば垂直角度)で延びていてもよい(例えば、第1のセグメント74の長手方向軸線は、図2のY軸に平行に、かつフィードセグメント72の長手方向軸線に垂直に延びていてもよい)。第1のアーム52は、第1のセグメント74の端部から延びる第2のセグメント76を有してもよい(例えば、第1のセグメント74は、フィードセグメント72とは反対側の第2の端部を有することができ、第2のセグメント76は、第1のセグメント74の第2の端部に第1の端部を有してもよい)。第2のセグメント76は、第1のセグメント74に対して平行でない角度(例えば垂直角度)で延びていてもよい(例えば、第2のセグメント76の長手方向軸線は、X軸及びフィードセグメント72に平行に延びていてもよく、図2の第1のセグメント74の長手方向軸線に垂直に延びていてもよい)。第1のアーム52は、第2のセグメント76の端部から延びる第3のセグメント78も有してもよい(例えば、第2のセグメント76は、第1のセグメント74とは反対側の第2の端部を有してもよく、第3のセグメント78は、第2のセグメント76の第2の端部に第1の端部を有してもよい)。第3のセグメント78は、第2のセグメント76に対して平行でない角度(例えば垂直角度)で延びていてもよい(例えば、第3のセグメント78の長手方向軸線は、Y軸及び図2の第1のセグメント74の長手方向軸線に平行に延びていてもよい)。第3のセグメント78は、第2のセグメント76とは反対側の第2の端部を有してもよい。第3のセグメント78の第2の端部は、(例えば、接地位置で)アンテナ接地42に結合することができる。これにより、正極アンテナフィード端子34と接地アンテナフィード端子36との間に流れるアンテナ電流のための、(フィードセグメント72及びアンテナ接地42を備えた)ループ状経路56を形成するように、第1のアーム52を構成することができる。ループ状経路56は、誘電体基板44の表面45で中央開口部77の周りに延びていてもよい。
【0029】
第2のアーム50は、第1のアーム52のセグメント74の第2の端部から延び、かつ第1のアーム52のセグメント76の第1の端部から延びる、第1のセグメント80を有してもよい(例えば、第2のアーム50の第1のセグメント80は、第1のアーム52のセグメント74及び76の端部に第1の端部を有してもよい)。第2のアーム50の第1のセグメント80は、第1のアーム52のセグメント76に平行に延びていてもよい(例えば、第2のアーム50の第1のセグメント80は、第1のアーム52のセグメント76の長手方向軸線に平行に向けられた長手方向軸線に沿って延びていてもよい)。第2のアーム50は、第1のセグメント80の端部から第2のアーム50の先端84まで延びる第2のセグメント82を有してもよい(例えば、第1のセグメント80は、第2のアーム50の第2のセグメント82に第2の端部を有してもよい)。第2のアーム50の第2のセグメント82は、第2のアーム50の第1のセグメント80に対して平行でない角度で(例えば、Y軸に平行な長手方向軸線に沿って)延びていてもよい。第2のアーム50の第1のセグメント80は、ギャップ64によって(例えば、第1のセグメント80の全長に沿って)第1のアーム52のセグメント76から離すことができる。第2のアーム50の第2のセグメント82は、所望であれば、ギャップ64によって第1のアーム52のセグメント78からも離すことができる。ギャップ64は、第2のアーム50の第1のセグメント80の長さに沿って分布キャパシタンス(例えば、第2のアーム50のセグメント80と第1のアーム52のセグメント76との間の分布キャパシタンス)を形成することができる。ギャップ64によって形成された分布キャパシタンスは、第1のアーム52及び/又は第2のアーム50の周波数応答を調整するために使用することができる。
【0030】
第3のアーム48は、フィードセグメント72から延びる第1のセグメント68を有してもよい(例えば、第3のアーム48の第1のセグメント68は、フィードセグメント72に第1の端部を有してもよい)。第3のアーム48の第1のセグメント68は、フィードセグメント72に対して平行でない角度(例えば、垂直角度)で延びていてもよい(例えば、第3のアーム48の第1のセグメント68の長手方向軸線は、第1のアーム52のセグメント74及び78並びに第2のアーム50のセグメント82の長手方向軸線に平行に向けることができる)。第3のアーム48は、第1のセグメント68の第2の端部から第3のアーム48の先端66まで延びる第2のセグメント70も有してもよい。第3のアーム48の第2のセグメント70は、第1のセグメント68に対して平行でない角度(例えば、垂直角度)で延びていてもよい(例えば、第2のセグメント70は、フィードセグメント72、第1のアーム52のセグメント76、及び第2のアーム50のセグメント80の長手方向軸線に平行に向けられた長手方向軸線に沿って延びていてもよい)。言い換えれば、第3のアーム48は、フィードセグメント72から延びるL字形ストリップ(例えば、L字形アーム)であり得る。第3のアーム48の第2のセグメント70の一部分(例えば、先端66)を、ギャップ62によって第2のアーム50から離すことができる。
【0031】
信号送信中、アンテナフィード32は、図1の高周波送受信機回路24から高周波信号を受信する。対応する(高周波)アンテナ電流が、アンテナ共振要素46及びアンテナ接地42を流れることができる。アンテナ電流は、自由空間に送信される(例えば、無線信号としての)高周波信号を放射することができる。信号受信中、アンテナ共振要素46は、自由空間から(無線)高周波信号を受信することができる。次いで、対応するアンテナ電流が、アンテナ共振要素46で生成される。次いで、アンテナ電流に対応する高周波信号は、アンテナフィード32を介して高周波送受信機回路24(図1)に送信される。
【0032】
第1のアーム52、第2のアーム50、第3のアーム48及び/又はフィードセグメント72の長さは、目的とする所望の周波数帯域でアンテナ40が動作する(周波数帯域を処理する)ように選択することができる。例えば、正極アンテナフィード端子34から、フィードセグメント72、第1のアーム52のセグメント74、76及び78、並びにアンテナ接地42を通って接地アンテナフィード端子36までのアンテナ40の長さ(例えば、ループ経路56の長さ)は、第1の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。ループ経路56の長さは、例えば、第1の周波数帯域の周波数に対応する有効波長の半分(の、例えば、15%以内)にほぼ等しくてもよい。有効波長は、誘電体基板44の誘電率に基づいて決定される定数値を自由空間波長に乗じた値に等しい。第1の周波数帯域は、例えば、(例えば、5.0GHzの無線ローカルエリアネットワーク帯域及び/又は第1の周波数帯域内の無認可周波数の信号を伝達するための)約5.0GHz~6.0GHzの周波数を含んでもよい。第1の周波数帯域は、本明細書ではアンテナ40の中帯域と呼ばれることがある。
【0033】
信号送信中、第1の周波数帯域のアンテナ電流が、ループ経路56に沿って(例えば、ループ経路56を形成する導電性構造体の周辺部に沿って)流れることができる。ループ経路56は、第1の周波数帯域における対応する(無線)高周波信号を放射することができる。同様に、信号受信中、自由空間から受信した第1の周波数帯域の高周波信号により、第1の周波数帯域のアンテナ電流がループ経路56に沿って流れることができる。このようにして、フィードセグメント72、第1のアーム52のセグメント74、76及び78、並びにセグメント78から接地アンテナフィード端子36まで延びるアンテナ接地42の部分は、アンテナ40のループアンテナ共振要素を形成することができる(例えば、第1のアーム52は、ループアンテナ共振要素の一部を形成することができる)。所望であれば、ギャップ64は、第1の周波数帯域におけるループ経路56の周波数応答を調整するのに役立つ(分布)キャパシタンスをループ経路56に導入することができる。ギャップ64の幅を増加させることで、このキャパシタンスを減少させることができる一方で、ギャップ64の幅を減少させることで、キャパシタンスを増加させることができる。ギャップ64は、例えば、0.01~0.10mm(例えば、約0.05mm)、0.01~0.50mm、0.50mm超などの幅を有してもよい。
【0034】
同時に、正極アンテナフィード端子34から、フィードセグメント72、第1のアーム52のセグメント74、並びに第2のアーム50のセグメント80及び82を通って第2のアーム50の先端84までのアンテナ共振要素46の長さ(例えば、経路60の長さ)は、第2の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。経路60の長さは、例えば、第2の周波数帯域の周波数に対応する有効波長の4分の1(の、例えば15%以内)にほぼ等しくてもよい。第2の周波数帯域は、例えば、(例えば、2.4GHzの無線ローカルエリアネットワーク帯域の信号を伝達するために)2.5GHz未満の周波数を含んでもよい。第2の周波数帯域は、本明細書ではアンテナ40の低帯域と呼ばれることがある。
【0035】
信号送信中、第2の周波数帯域のアンテナ電流が、正極アンテナフィード端子34と先端84との間の経路60に沿って(例えば、アンテナ共振要素46の経路60を形成する導電性構造体の周辺部に沿って)流れることができる。経路60は、第2の周波数帯域における対応する(無線)高周波信号を放射することができる。同様に、信号受信中、自由空間から受信した第2の周波数帯域の高周波信号により、第2の周波数帯域のアンテナ電流がループ経路60に沿って流れることができる。第1のアーム52のセグメント76及び78は、第2の周波数帯域のアンテナ電流のための、アンテナ接地42へのリターン経路を形成することができる(例えば、第1のアーム52の部分は、第1の周波数帯域でループ経路56の残り部分によって共振しつつ、第2の周波数帯域で第2のアーム50のための、接地へのリターン経路を形成することができる)。このようにして、第2のアーム50及び第1のアーム52は、アンテナ40の第2の周波数帯域における逆Fアンテナ共振要素を集合的に形成することができる(例えば、第1のアーム52は、第1の周波数帯域におけるループアンテナ共振要素の一部と、第2の周波数帯域における逆Fアンテナ共振要素の一部との両方を形成することができる)。所望であれば、ギャップ64は、第2の周波数帯域における経路60の周波数応答を調整するのに役立つ(分布)キャパシタンスを第2のアーム50に導入することができる。
【0036】
加えて、第3のアーム48の長さ(例えば、経路54)は、第3の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。第3のアーム48の長さ(例えば、経路54)は、例えば、第3の周波数帯域の周波数に対応する有効波長の4分の1(の、例えば15%以内)にほぼ等しくてもよい。第3の周波数帯域は、例えば、(例えば、5.0GHzの無線ローカルエリアネットワーク帯域の信号を伝達するために、5.925~7.125GHzの周波数帯域などの無認可帯域の信号を伝達するために、6.5GHzのUWB通信帯域の信号を伝達するために、かつ/又は8.0GHzのUWB通信帯域の信号を伝達するために)約5.0GHz~9.0GHzの周波数を含んでもよい。第3の周波数帯域は、本明細書ではアンテナ40の高帯域と呼ばれることがある。第3のアーム48は、本明細書ではアンテナ40の高帯域アームと呼ばれることがある。第2のアーム50は、本明細書ではアンテナ40の低帯域アームと呼ばれることがある。第1のアーム52は、本明細書ではアンテナ40の中帯域アームと呼ばれることがある。
【0037】
信号送信中、第3の周波数帯域のアンテナ電流が、正極アンテナフィード端子34と先端66との間の経路54に沿って(例えば、第3のアーム48を形成する導電性構造体の周辺部に沿って)流れることができる。第3のアーム48(例えば、経路54)は、第3の周波数帯域における対応する(無線)高周波信号を放射することができる。同様に、信号受信中、自由空間から受信した第3の周波数帯域の高周波信号により、第3の周波数帯域のアンテナ電流が経路54に沿って流れることができる。このようにして、第3のアーム54は、アンテナ40の第3の周波数帯域におけるモノポールアンテナ共振要素(例えば、L字形アンテナ共振要素)を形成することができる。所望であれば、ギャップ62は、第3のアーム48の周波数応答を調整するのに役立つ、かつ/又は第3の周波数帯域における第3のアーム48のインピーダンスマッチングを実行するのに役立つ、キャパシタンスを第3のアーム48に導入することができる。
【0038】
このように構成された場合、アンテナ40は、第1、第2及び第3の周波数帯域のそれぞれの高周波信号を満足のいくアンテナ効率で伝達(例えば、送信及び/又は受信)することができる。アンテナ40は、例えば、広帯域応答を示すことができ、第2の周波数帯域の下限から第3の周波数帯域の上限(例えば、2.4GHz未満~9.0GHz超)の、満足のいくアンテナ効率を示すことができる。第3のアーム48がアンテナ共振要素46のフィードセグメント72から延びる図2の例は、単に例示に過ぎない。別の好適な構成では、フィードセグメント72は省略されてもよく、第3のアーム48は、アンテナ接地42から延びていてもよい。
【0039】
図3は、アンテナ40の第3のアーム48がアンテナ接地42からどのように延び得るかを示す図である。図3に示すように、図2のフィードセグメント72を省略することができ、正極アンテナフィード端子34は、第1のアーム52のセグメント74の第1の端部に結合することができる。第1のアーム52のセグメント74、76及び78、並びにセグメント78から接地アンテナフィード端子36までのアンテナ接地42のセグメントは、ループ経路90を形成することができる。正極アンテナフィード端子34から、第1のアーム52及びアンテナ接地42を通って接地アンテナフィード端子36までのアンテナ共振要素46の長さ(例えば、ループ経路90の長さ)は、第1の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。このようにして、第1のアーム52及びセグメント78から接地アンテナフィード端子36まで延びるアンテナ接地42の部分(例えば、ループ経路90)は、第1の周波数帯域で共振する、アンテナ40のループアンテナ共振要素を形成することができる。
【0040】
正極アンテナフィード端子34から、第1のアーム52のセグメント74及び第2のアーム50を通って第2のアーム50の先端84までのアンテナ共振要素46の長さ(例えば、経路92の長さ)は、第2の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。第1のアーム52のセグメント76及び78は、第2の周波数帯域のアンテナ電流のための、アンテナ接地42へのリターン経路を第2のアーム50上に形成することができる(例えば、第1のアーム52の部分は、第1の周波数帯域でループ経路90の残り部分によって共振しつつ、第2の周波数帯域で第2のアーム50のための、接地へのリターン経路を形成することができる)。このようにして、第2のアーム50及び第1のアーム52は、アンテナ40の第2の周波数帯域における逆Fアンテナ共振要素を集合的に形成することができる(例えば、第1のアーム52は、第1の周波数帯域におけるループアンテナ共振要素の一部と、第2の周波数帯域における逆Fアンテナ共振要素の一部との両方を形成することができる)。ギャップ64は、第1の周波数帯域におけるループ経路90の周波数応答を調整するのに役立つ、かつ/又は第2の周波数帯域における経路92の周波数応答を調整するのに役立つ、分布キャパシタンスを導入することができる。
【0041】
図3に示すように、第3のアーム48のセグメント68は、第1のアーム52のセグメント78とは反対のアンテナフィード32の側に配置されるアンテナ接地42に(接地位置で)結合することができる(例えば、アンテナフィード32は、誘電体基板44上でセグメント68とセグメント78との間に横方向に挿入することができる)。第3のアーム48の長さ(例えば、経路88)は、第3の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。所望であれば、ギャップ62は、第3のアーム48の周波数応答を調整するのに役立つ、かつ/又は第3の周波数帯域における第3のアーム48のインピーダンスマッチングを実行するのに役立つ、キャパシタンスを第3のアーム48に導入することができる。アンテナフィード32は、例えば、(例えば、ギャップ62にわたって)近傍界電磁結合を介して第3のアーム48のための第3の周波数帯域のアンテナ電流を間接的に供給することができる。
【0042】
アンテナフィード32が第3のアーム48と第1のアーム52のセグメント78との間に挿入された図3の例は、単に例示に過ぎない。別の好適な構成では、第3のアーム48は、第1のアーム52の中央開口部77内に配置することができる。図4は、第3のアーム48を第1のアーム52の中央開口部77内にどのように配置できるかを示す図である。
【0043】
図4に示すように、第3のアーム48のセグメント68は、アンテナフィード32と第1のアーム52のセグメント78との間に横方向に挿入される位置でアンテナ接地42に結合することができる(例えば、第3のアーム48は、第1のアーム52の中央開口部77内に配置することができる)。第3のアーム48の長さ(例えば、経路94)は、第3の周波数帯域で共振するようにアンテナ共振要素46を構成するように選択することができる。図2図4の例では、アーム52、50及び48の3つ全てが同じアンテナフィード32を共有する(例えば、アンテナフィード32は、アーム52、50及び48のそれぞれのための高周波信号を供給する)。アンテナフィード32は、アーム52、50及び48のそれぞれのための高周波信号をアンテナ40と送受信機回路24(図1)との間で伝達する(例えば、アンテナフィード32は、アーム52、50及び48によって自由空間から受信される高周波信号を送受信機回路42に送信し、アンテナフィード32は、アーム52、50及び48を介して送受信機回路42から受信した高周波信号を送信する)。図2図4の例は、単に例示に過ぎない。一般に、第1のアーム52、第2のアーム50及び第3のアーム48は、任意の所望の経路(例えば、任意の所望の数の湾曲及び/又は直線セグメントを有し、かつ任意の所望の角度で延びた経路)に沿う他の形状を有してもよい。アンテナ共振要素46の導電性材料の縁部は、任意の所望の形状を有してもよい(例えば、任意の所望の角度で延びた任意の所望の数の直線及び/又は湾曲部分を含むことができる)。アンテナ共振要素46は、所望であれば、追加の周波数帯域をカバーすることができる。
【0044】
図5は、図2図4のアンテナ40の周波数に応じたアンテナ性能のプロットである。図5に示すように、曲線96は、アンテナ40の周波数に応じたアンテナ性能(例えば、電圧定在波比(voltage standing wave ratio;VSWR))をプロットしている。曲線96で示すように、アンテナ40は、第1の周波数F1から第2の周波数F2までVSWR閾値THを下回る応答ピークを示すことができる。周波数F1は、例えば、2.4GHz未満であり得る。周波数F2は、例えば、9.0GHz超であり得る。アンテナ40は、アンテナのVSWRが閾値THを下回る各周波数において満足のいくアンテナ効率を示すことができる。したがって、アンテナ40は、周波数F1から周波数F2の帯域幅98にわたって満足のいくアンテナ効率を示すことができる。
【0045】
例えば、曲線96で示すように、アンテナ40は、図2図4の第1のアーム52の寄与(共振)により、約5.0GHz~6.0GHzの第1の周波数帯域B1で応答ピークを示すことができる。アンテナ40は、第2のアーム50(及び第2のアーム50のための、リターン経路として機能する第1のアーム52)の寄与(共振)により、2.4GHzの第2の周波数帯域B2でも応答ピークを示すことができる。同様に、アンテナ40は、第3のアーム48の寄与(共振)により、約5.0GHz~9.0GHzの第3の周波数帯域B3で応答ピークを示すことができる。同時に、アンテナ40は、帯域幅98にわたる他の周波数において満足のいくアンテナ効率を示すことができる。これにより、アンテナ40は、デバイス10内の比較的小さな空間を占めながらも、周波数F1とF2との間の任意の他の所望の周波数帯域において満足のいくアンテナ効率で高周波信号を伝達することができる。図5の例は、単に例示に過ぎない。曲線96は、他の形状を有してもよい。アンテナ40は、任意の所望の数の周波数帯域において高周波信号を任意の所望の周波数で伝達することができる。
【0046】
図6は、アンテナ40をデバイス10にどのように統合できるかを示す(例えば、図2図4の矢印86の方向に沿った)側断面図である。図6に示すように、誘電体基板44は、表面45などの曲面及び底面102などの少なくとも1つの追加面を有してもよい。アンテナ共振要素46は、誘電体基板44の表面45上にパターン化した導電トレースから形成することができる。アンテナ接地42は、誘電体基板44の表面45及び底面102上にパターン化した導電トレースから形成することができる。アンテナ接地42及びアンテナ共振要素46の導電トレースは、所望であれば、レーザ直接構造化(Laser Direct Structuring;LDS)プロセスを使用して誘電体基板44上にパターン化することができる(例えば、誘電体基板44は、LDSプラスチック材料から形成することができる)。別の好適な構成では、アンテナ接地42及びアンテナ共振要素46は、誘電体基板44の表面45及び102上に積み重ねられる1つ以上の可撓性プリント回路上にパターン化することができる。
【0047】
アンテナ接地42及び誘電体基板44は、穴104などの穴又は開口を含むことができる。ねじ100などの締結構造体が、穴104を通って延びて、アンテナ接地42及び誘電体基板44をシステム接地116などの他のデバイス構成要素に固定することができる。ねじ100は、アンテナ接地42をシステム接地116に短絡させるのに役立つ導電性ねじであってもよい(例えば、システム接地116は、アンテナ40の接地平面の一部を形成することができる)。ねじ100は、導電性クリップ、導電性ばね、導電性ピン、導電性ブラケット、導電性接着剤、溶接、はんだ、これらの組み合わせなどの任意の所望の導電性締結構造体によって置き換えられてもよい。
【0048】
デバイス10は、誘電体カバー層110などの誘電体カバー層を含むことができる。誘電体カバー層110は、デバイス10のための図1の筐体38の一部を形成することができる。誘電体カバー層110は、デバイス10の内部に内面112を有することができ、デバイス10の外部に外面114を有することができる。内面112及び/又は外面114は、曲面(例えば、球状曲面、非球状曲面、自由形状曲面など、任意の所望の軸に沿って湾曲した三次元曲面)であってもよい。内面112と外面114は、所望であれば、同じ湾曲を有することができる。誘電体カバー層110は、プラスチック、セラミック、ゴム、ガラス、木材、布、サファイア、これらの材料の組み合わせ又は他の材料の組み合わせなどの任意の所望の誘電体材料から形成することができる。
【0049】
誘電体基板44は、表面45が誘電体カバー層110に面するように、デバイス10内に取り付けることができる。アンテナ共振要素46は、誘電体カバー層110の内面112から距離106で離すことができる。アンテナ40は、誘電体カバー層110を通して高周波信号108を伝達することができる。誘電体基板44の表面45は、湾曲することができる。表面45の湾曲は、誘電体カバー層110の内面112の湾曲に一致するように選択することができる(例えば、表面45は、球状曲面、非球状曲面、自由形状曲面など、任意の所望の軸に沿って湾曲した三次元曲面であってもよい)。言い換えれば、アンテナ共振要素46に重複する表面45の側面領域の全体が、アンテナ共振要素46に重複する内面112の一部分に平行に延びていてもよい。これにより、アンテナ共振要素46は、アンテナ共振要素46の側面領域の全体にわたって(例えば、少なくともアーム52、50及び70の側面領域にわたって)内面112から同じ距離106で離れるように構成される。これにより、アンテナ共振要素46から誘電体カバー層110を通して、アンテナ共振要素46の側面領域の全体にわたる自由空間に均一なインピーダンス遷移をもたらすことを確実にすることができる。これは、誘電体カバー層110などの湾曲したインピーダンス境界の存在にもかかわらず、アンテナ40のアンテナ効率を最大化するのに役立てることができる。
【0050】
一実施形態によれば、表面を有する誘電体基板と、表面上のアンテナ接地と、アンテナ接地に接地位置で結合された、表面上の第1のアンテナアームと、第1のアンテナアームから延びる、表面上の第2のアンテナアームと、アンテナ接地に結合され、第1及び第2のアンテナアームにフィードする(feed)ように構成されたアンテナフィードであって、第1のアンテナアームと、接地位置とアンテナフィードとの間に延びるアンテナ接地の一部分が、第1の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成されたループ経路を形成しており、第2のアンテナアームが、第2の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成されており、第1のアンテナアームの一部分が、第2のアンテナアームのための、アンテナ接地へのリターン経路を形成している、アンテナフィードと、第2のアンテナアームと第1のアンテナアームの一部分との間のギャップであって、第1の周波数帯域における第1のアンテナアームの周波数応答を調整するように構成された分布キャパシタンスを形成しているギャップと、を含む電子デバイスが提供される。
【0051】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、第3の周波数帯域の高周波信号を伝達するように構成された第3のアンテナアームであって、アンテナフィードが、第3のアンテナアームにフィードするように構成されている、第3のアンテナアームを含む。
【0052】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、表面上の導電トレースであって、第1のアンテナアームが、導電トレースから接地位置まで延びており、第3のアンテナアームが、導電トレースから延びており、アンテナフィードが、アンテナ接地と導電トレースとの間に結合されている、導電トレースを含む。
【0053】
別の実施形態によれば、第1のアンテナアームが、導電トレースから第1の長手方向軸線に沿って延びる第1のセグメントを含み、第2のアンテナアームが、第1のセグメントから延びる第2のセグメントを含み、第2のセグメントが、第1の長手方向軸線に対して平行でない第2の長手方向軸線に沿って延びており、第3のアンテナアームが、導電トレースから延びる第3のセグメントを含み、第3のセグメントが、第1の長手方向軸線に平行な第3の長手方向軸線に沿って延びている。
【0054】
別の実施形態によれば、第1のアンテナアームの一部分が、第4及び第5のセグメントを含み、ギャップが、第4のセグメントと第2のセグメントとの間に形成されており、第5のセグメントが、第4のセグメントを接地位置に結合しており、第3のアンテナアームが、第3のセグメントから延びる第6のセグメントを含み、第6のセグメントが、第2の長手方向軸線に平行な第4の長手方向軸線に沿って延びている。
【0055】
別の実施形態によれば、第3のアームが、アンテナ接地に結合されており、アンテナフィードが、第1のアームとアンテナ接地との間に結合されている。
【0056】
別の実施形態によれば、第3のアームがL字形ストリップを含む。
【0057】
別の実施形態によれば、第2のアームが、近傍界電磁結合を介してL字形ストリップにフィードするように構成されている。
【0058】
別の実施形態によれば、第1のアーム及びアンテナ接地の一部分が、表面の中央開口部の周りに延びており、L字形ストリップが、中央開口部内に配置されている。
【0059】
別の実施形態によれば、第2の周波数帯域が、第1の周波数帯域よりも低く、第3の周波数帯域が、第1の周波数帯域よりも高い周波数を含む。
【0060】
別の実施形態によれば、電子デバイスは、内曲面を有する誘電体カバー層を含み、第1及び第2のアンテナアームが、誘電体カバー層を通して放射するように構成されており、表面が曲面を有し、曲面が、第1及び第2のアンテナアームの側面領域にわたって均一な距離で内曲面から離されている。
【0061】
一実施形態によれば、アンテナ接地と、第1の周波数帯域で共振するように構成されたループアンテナ共振要素と、第2の周波数帯域で共振するように構成された逆Fアンテナ共振要素であって、ループアンテナ共振要素の一部分が、逆Fアンテナ共振要素のための、アンテナ接地へのリターン経路を形成する、逆Fアンテナ共振要素と、第3の周波数帯域で共振するように構成されたL字形アンテナ共振要素と、ループアンテナ共振要素、逆Fアンテナ共振要素及びL字形アンテナ共振要素にフィードするように構成されたアンテナフィードと、を含むアンテナが提供される。
【0062】
別の実施形態によれば、L字形アンテナ共振要素が、ループアンテナ共振要素の一部分から延びている。
【0063】
別の実施形態によれば、L字形アンテナ共振要素が、アンテナ接地から延びている。
【0064】
別の実施形態によれば、L字形アンテナ共振要素が、近傍界電磁結合を介して逆Fアンテナ共振要素によって間接的にフィードされる。
【0065】
別の実施形態によれば、第1の周波数帯域が5GHzを含み、第2の周波数帯域が2.4GHzを含み、第3の周波数帯域が5GHz~9GHzを含む。
【0066】
一実施形態によれば、アンテナ接地と、第1のセグメントと、第1のセグメントに対して平行でない角度で第1のセグメントから延びる第2のセグメントと、第2のセグメントからアンテナ接地まで延びる第3のセグメントと、を有する第1の共振要素アームと、第1及び第2のセグメントから延びる第4のセグメントを有し、かつ第4のセグメントに対して平行でない角度で第4のセグメントから延びる第5のセグメントを有する、第2の共振要素アームであって、第4のセグメントが、第2のセグメントに平行に延びている、第2の共振要素アームと、第2のセグメントと第4のセグメントとの間のギャップであって、第1の共振要素アームの周波数応答を調整するように構成された分布キャパシタンスを形成している、ギャップと、アンテナ接地に結合された第6のセグメントを有し、かつ第6のセグメントに対して平行でない角度で第6のセグメントから延びる第7のセグメントを有する、第3の共振要素アームと、第1のセグメントとアンテナ接地との間に結合されたアンテナフィードであって、第1、第2及び第3の共振要素アームにフィードするように構成されているアンテナフィードと、を含むアンテナが提供される。
【0067】
別の実施形態によれば、第3のセグメントが、アンテナ接地上の第1の接地位置に結合されており、第6のセグメントが、アンテナ接地上の第2の接地位置に結合されており、アンテナフィードが、第1のセグメントに結合された正極アンテナフィード端子と、アンテナ接地に結合された接地アンテナフィード端子と、を含み、接地アンテナフィード端子が、アンテナ接地上で第1の接地位置と第2の接地位置との間に挿入されている。
【0068】
別の実施形態によれば、第1の共振要素アームが、第1の周波数帯域で放射するように構成されており、第2の共振要素アームが、第1の周波数帯域よりも低い第2の周波数帯域で放射するように構成されており、第3の共振要素アームが、第1の周波数帯域よりも高い周波数を含む第3の周波数帯域で放射するように構成されている。
【0069】
別の実施形態によれば、第7のセグメントが、第2及び第4のセグメントに平行に延びており、第1のセグメントが、第3及び第5のセグメントに平行に延びている。
【0070】
上記は、単に例示に過ぎず、様々な修正を記載の実施形態に行ってもよい。上記の実施形態は、個々に又は任意の組み合わせで実装されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6