(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】間質性膀胱炎・膀胱痛症候群の診断方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/49 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
G01N33/49 Z
(21)【出願番号】P 2023060523
(22)【出願日】2023-04-04
【審査請求日】2023-05-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月3日 ウェブサイトのアドレス https://www.c-linkage.co.jp/jua2023/data/pdf/jua2023_program_day1.pdf
(73)【特許権者】
【識別番号】507126487
【氏名又は名称】公立大学法人奈良県立医科大学
(73)【特許権者】
【識別番号】517019636
【氏名又は名称】医療法人朋友会
(73)【特許権者】
【識別番号】518461584
【氏名又は名称】株式会社朋
(74)【代理人】
【識別番号】100096758
【氏名又は名称】高橋 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100114845
【氏名又は名称】高橋 雅和
(74)【代理人】
【識別番号】100148781
【氏名又は名称】高橋 友和
(72)【発明者】
【氏名】鳥本 一匡
(72)【発明者】
【氏名】藤本 清秀
(72)【発明者】
【氏名】上田 朋宏
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072163(JP,A)
【文献】特開2017-187492(JP,A)
【文献】特開2017-214376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - G01N 33/98
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を診断する目的で、血液、血清又は血漿中のアナンダミドを測定する方法。
【請求項2】
過活動膀胱と、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別する目的をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
測定が、液体クロマトグラフ質量分析による測定である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
測定が、ELISA法による測定である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
血液、血清又は血漿中のアナンダミドの測定試薬を含有することを特徴とする間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断剤。
【請求項6】
血液、血清又は血漿中に含まれるアナンダミドの含有量から得られる値が入力されると、所定の閾値と入力値を比較し、前記入力値が当該所定の閾値より高い又は低いかを判断する手段を備え、当該所定の
閾値は、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断に適用可能な値であることを特徴とするシステム。
【請求項7】
前記閾値が、過活動膀胱と、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別するために適用可能な値であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
コンピュータを、
血液、血清又は血漿中に含まれるアナンダミドの含有量から得られる値である
入力値と、所定の閾値を取得する手段と、
前記入力値が前記所定の閾値より高い又は低いかを
判断する手段として機能させるためのプログラムであって、前記所定の閾値は、間質性膀胱炎
及び/又は膀胱痛症候群の診断に適用可能な値であることを特徴とす
るプログラム。
【請求項9】
前記閾値が、過活動膀胱から間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別するために適用可能な値であることを特徴とする請求項8に記載のプログラム。
【請求項10】
複数の閾値を有し、可能性を段階的に判断する手段を備えることを特徴とする請求項8又は
9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群(Interstitial Cystitis/Bladder Pain Syndrome: IC/BPS)の診断方法に関する。より詳細には、過活動膀胱から間質性膀胱炎・膀胱痛症候群を区別できる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IC/BPSは、「膀胱に関連する慢性の骨盤部の疼痛,圧迫感または不快感があり,尿意亢進や頻尿などの下部尿路症状を伴い,混同しうる疾患がない状態」の総称(間質性膀胱炎・膀胱痛症候群診療ガイドラインによる)である。症状は、頻尿・夜間頻尿、尿意亢進、残尿感、膀胱不快感、膀胱痛などが主体である。混同しうる疾患には,膀胱の感染症,新生物,結石,過活動膀胱などがある。IC/BPSのうちハンナ病変のあるものはハンナ型間質性膀胱炎または間質性膀胱炎(ハンナ型)(Hunner type IC: HIC),それ以外は膀胱痛症候群(BPS)と呼ばれる。しかし、国や地域によっては、また実際の診断において「間質性膀胱炎」と「膀胱痛症候群」及びその他の疾患の区別が曖昧な場合もあり、正確な診断や効果的な治療を複雑かつ困難にしている。
【0003】
IC/BPSの有病率は0.01%から2.3%の範囲であり、男性よりも女性の方が5倍程度高いと推定される。IC/BPSが疑われる場合、ハンナ病変の有無を確認するために膀胱鏡検査が推奨されている。しかしながら、泌尿器科医は、患者が血尿を伴わずに蓄積症状のみを示す場合、IC/BPSの疑いで膀胱鏡検査を行うことはめったにない。さらに、泌尿器科医が膀胱鏡検査を行っても、経験上適切に認識できない場合がある。過去20年間に臨床ガイドラインが作成され理解が深まってはいるものの、IC/BPS 患者の多くは依然として正確な診断を受けられず、長期間にわたって「過活動膀胱(overactive bladder: OAB)」として治療を受け奏効せずに悩んでいる。
【0004】
IC/BPSの診断に有用なバイオマーカを特定するための研究が行われてきたが、その対象はおもに膀胱組織と尿であり、臨床応用に至ったものはない。そのため、本発明者は血液バイオマーカの臨床研究を開始し、以前の研究では、血液バイオ マーカー候補として1-リノレオイルグリセロホスホコリン等を開示した(特許文献1)。しかしながら、より精度が高く実用的なバイオマーカは未だに望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、実用性の高い新たな間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の診断方法は、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を診断する目的で、血液、血清又は血漿中のアナンダミドを測定することからなる。
【0008】
本発明者等は、IC/BPS患者、OAB患者、及び健常者の血液に対し、液体クロマトグラフ質量分析による網羅的分析を行った結果、血液中に診断指標候補を見出し、本発明を完成させたものである。当該物質は、特許文献1で開示した物質に比べさらに感度・特異度が高く実用性が高いばかりか、OABと、IC/BPSを区別することをも可能にすることを発見したものである。
【0009】
アナンダミド(anandamide、分子式: C22H37NO2)は内因性カンナビノイドのひとつで、中枢神経系に発現するカンナビノイド受容体I型および末梢の免疫系細胞に発現する同受容体II型に結合して神経伝達物質の放出抑制による鎮痛作用や炎症性サイトカインの放出抑制による抗炎症作用を発揮する。アナンダミドは、アラキドニルエタノールアミド、Arachidonylethanolamide(5Z,8Z,11Z,14Z)-N-(2-Hydroxyethyl)-5,8,11,14-icosatetrenamide、N-アラキドノイルエタノールアミン、N-Arachidonoylethanolamine、アラキドノイル-エタノールアミド、Arachidonyl-ethanolamideArachidonoyl-ethanolamide、アラキドノイルエタノールアミド、Arachidonoylethanolamide、アナンダマイド、(5Z,8Z,11Z,14Z)-N-(2-Hydroxyethyl)-5,8,11,14-icosatetraenoic acidamide、N-アラキドニルエタノールアミド、(5Z,8Z,11Z,14Z)-N-(2-Hydroxyethyl)-5,8,11,14-icosanetetraeneamide、アナダミド、アナンダマイド又はアラキドノイルエタノールアミド (arachidonoylethanolamide, AEA)とも呼ばれる。したがって、本願におけるアナンダミドの語は、上記のいずれの概念も含む。
【0010】
測定は、液体クロマトグラフ質量分析またはELISA法により行うことができる。液体クロマトグラフ質量分析は、気体、液体、超臨界流体を移動相とし、カラムの中に保持された固定相と物質の相互作用によって混合物を分離、検出する分析法である。試料における各成分を分離し、含有量及び含有比率を知ることができる。気体を移動層とするガスクロマトグラフ質量分析は揮発性物質を対象とする一方、液体クロマトグラフ質量分析は揮発性物質から難揮発性物質までを対象とすることができる。液体クロマトグラフ質量分析のうち、高速液体クロマトグラフ質量分析は、移動相として高圧に加圧した液体を用いることが特徴である。強制的に高い圧力をかけることによって移動相溶媒を高流速でカラムに通し、これにより分析物が固定相に留まる時間を短くすることで、分離能及び検出感度を高くしている。
【0011】
ELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法は、試料中に含まれる抗体あるいは抗原の濃度を検出・定量する際に用いられる方法であり、特異性の高い抗原抗体反応を利用し、酵素反応に基づく発色・発光をシグナルに用いる方法である。放射免疫測定(RIA)と比べて、放射性物質を用いないため安全性が高いというメリットがあるほか、安価で簡便であり、検出・定量に広く用いられている。具体的な手法によって、直接吸着法、サンドイッチ法、競合法などが知られる。アナンダミドの特異的受容体を使用した濃度測定試薬を含有する、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断剤として提供されれば、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断に有効なキットとして提供することが可能になる。
【0012】
本発明は、上記の化合物や指標を判断基準とするシステム又はプログラムとして構成することができる。すなわち、血液、血清又は血漿中に含まれるアナンダミドの含有量から得られる値が入力されると、所定の閾値と入力値を比較し、当該所定の閾値より高い又は低いかを判断する手段を備え、当該所定の値は、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断に適用可能な値であるシステムまたはプログラムとして構成できる。間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断指標として有用な値である限り、閾値は特定の数値に限定されず、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群と本発明の性質に鑑み、特に初期的な診断指標として有用な値を選択することが好ましい。さらに、本発明によれば、当該閾値は、過活動膀胱から間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別するために適用可能な値とすることが可能である。
【0013】
複数の閾値を設け、所定の範囲にあれば、段階的にカテゴライズして可能性を出力するシステム又はプログラムとして構成することも可能である。具体的には、閾値を複数設け、可能性の高さを段階的に判断する構成として採用でき、例えば5段階であれば、A(高い)~E(低い)といった形でカテゴライズして判断することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の客観的、簡易かつ明確な診断又は判定が可能になる。従って、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の初期スクリーニング、早期診断、早期治療開始のみならず、治療薬の開発にも有用である。診断に際し、症状、膀胱鏡所見、他の類似疾患の否定等と組み合わせることも容易である。さらに、過活動膀胱から間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別することが可能になり、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群でありながら見過ごされている患者の救済にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】部分最小二乗判別分析のスコアプロットを示す図である。
【
図2】部分最小二乗判別分析の、代謝物とVariable importance in projection(VIP)スコアを示す図である。
【
図3】部分最小二乗判別分析の、代謝物とVIPスコアを示す図である。
【
図4】アナンダミドの血清レベルを示す、Kruskal-Wallis検定とDunn多重比較検定による箱ひげ図である。
【
図5】アナンダミドの感度と特異度のReceiver Operatorating Characteristic(ROC) 曲線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
下記にて候補物質の選定と評価を行った。
被験者:ハンナ病変ありの間質性膀胱炎患者HIC (n=20)、膀胱痛症候群BPS (n=20)、およ過活動膀胱患者OAB (n=20)、対照群(下部尿路障害(lower urinary tract symptoms: LUTS)なし)(n=15)、合計 75 人。HIC、BPS、OAB、対照群のグループでは、年齢の中央値はそれぞれ70歳 (54.75、79.75)、61.5 歳 (48.75、73.25)、72 歳(68.25、81.50)、49 歳(40.00、62.00)であった。さらに、女性は各グループの80~95%を占め、Body mass index(BMI) はおおむね20~25 kg/m2であった。
【0017】
血清抽出:午前9時から11時に絶食状態で外来診察室において、血清分離器の入った採血管に採血した。血液を4℃で10~60分間静置した後、1,690×gで5分間遠心分離した。血清を-20°Cで一時的に保存し、その後の分析のために2週間以内に-80°Cに移した。
【0018】
液体クロマトグラフィー飛行時間型質量分析 (LC-TOFMS)の実施:LC-TOFMS 分析では、100μLの血清を内部標準ds (H3304-1002、HMT, Inc.)を含む 1% ギ酸/アセトニトリル300μLに0°Cで添加して、酵素活性を抑制した。混合物を2,300×g(4°C、5分)で遠心分離し、ハイブリッド SPE-リン脂質カートリッジ(ハイブリッド SPE-リン脂質 30mg/mL、SUPELCO) を使用してろ過してリン脂質を除去した。続いて、濾液を窒素下で乾固するまで蒸発させ、HMTでのメタボローム分析のために100μLの50%イソプロパノール (v/v)で再構成した。
【0019】
メタボローム解析:メタボロミクス分析は、ステロイド誘導体、胆汁酸、脂肪酸、アシルカルニチン、およびポリフェノールを含む323の代謝物に対して実行された。LC-TOFMS分析が、Agilent 1, 200 HPLCポンプと飛行時間型質量分析計を使用して実行された。分光計は m/z 50~1,000 でスキャンされ、自動積分ソフトウェアを使用して、m/z、ピーク面積、および保持時間 (RT)11を含むピーク情報を取得した。
【0020】
解析:
部分最小二乗判別分析 (PLS-DA) は、予測モデリングと記述モデリング、および判別変数選択に使用できる汎用アルゴリズムである。予測における変数の重要性(VIP)スコアは、PLS-DA モデルにおける変数の重要性の尺度であり、モデルに対する変数の寄与を要約します。変数のVIP スコアは、PLS-DA コンポーネントと元の変数の間の相関の2乗の加重和として計算した。重みは、モデルの PLS-DA コンポーネントによって説明される変動のパーセンテージに対応し、合計のターム(term)数は、クラスを区別する際に有意であることが判明したPLS-DAコンポーネントの数に依存する。IC/BPSとOABを区別できる候補バイオマーカを特定するために、MetaboAnalyst 5.0を使用してPLS-DAを実行した(
図1~
図3、表1、表2)。
データのフィルタリングには、四分位範囲 (IQR) が選択され、データ変換は標準化された(平均を中心とし、各変数の標準偏差で割ったもの)。候補バイオマーカーを選択した後、Kruskal-Wallis検定とDunn多重比較検定を使用して、グループ間のデータセットを比較した(
図4)。事後分析として、IC/BPSとOABの間の識別性能を評価するために、PLS-DA が有用な疾患識別の可能性を有することを示したアナンダミドのROC曲線を推定した(
図5)。差はP < 0.05で有意と見なされ、すべてのデータは中央値 (IQR)として表された。
【0021】
【0022】
【表2】
データは中央値 (四分位範囲)として表示。測定感度より低い値は0.000001 に設定。 HICグループと比較して、a P <0.05、 b P <0.01、 c P <0.001、 d P <0.0001。BPSグループと比較して、e P <0.05、 f P <0.01、 g P <0.001、 h P <0.0001。
【0023】
結果:IC/BPSとOAB の識別に使用できる候補代謝物
PLS-DA は、アナンダミド、アシルカルニチン(18:2)、リノレオイルエタノールアミド、アラキドン酸など、VIPスコアが高い成分の組み合わせを高い精度で明らかにした(
図1~
図3、表1、表2)が、このうち、アナンダミドが突出して極めて顕著なVIP スコアを示した。
【0024】
そこで、Kruskal-Wallis検定とDunn多重比較検定によりアナンダミドの血清レベルを調べたところ(
図4)アナンダミドはOABおよび対照群のグループよりもHICおよびBPSグループで有意に低いことが判明した(**** P<0.0001, *** P=0.0004)。当該結果は、健常者のみならず過活動膀胱と間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別可能であることを示唆している。さらに、アナンダミドの感度と特異度のReceiver Operatorating Characteristic(ROC)曲線を取得したところ、アナンダミドのIC/BPS とOABを識別する能力は、曲線下面積0.9321、感度 80.00%、特異度 88.57% を示した(
図5)。当該結果は、アナンダミドが間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の判断のための指標として、さらに過活動膀胱と間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群を区別する指標として顕著な効果を奏することを示している。
【0025】
以上の通り、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群患者では健常者と比較して、血液中のアナンダミドが有意に低いだけでなく、過活動膀胱患者に対しても有意に低いことが判明した。
【0026】
上記から示されるように、アナンダミドの含有量は診断のための指標のひとつとなり得る。すなわち、所定のカットオフ値以下であれば、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群患者の疑いがあるものとして把握可能である。このため、膀胱鏡の必要性を判断するための指標ともなり得る。また、過活動膀胱との区別により、より正確な診断と有効な治療の模索に有用である。
【0027】
なお、間質性膀胱炎の治療方針は、ハンナ病変の有無で大きく異なる。ハンナ病変を診断するには膀胱鏡検査が必要であるが、患者の心理的及び肉体的負担を伴うためその必要性を的確に判断することは重要である。
【0028】
以上の通り、アナンダミドは、「間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群」判断の指標となり得る。さらに感度も特異度も高く実施できるものであって、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断自体に辿り着けないことも多い現状において、また過活動膀胱との区別を可能にする効果において、診断指標として極めて有用である。
【要約】
【課題】新たな間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断手段を提供することを目的とする。
【解決手段】間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群間質性膀胱炎を診断する目的で、血液、血清又は血漿中のアナンダミドを測定することからなる。また、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の診断のためのシステムまたはプログラムとしても提供可能である。さらに、本発明は過活動膀胱と、間質性膀胱炎及び/又は膀胱痛症候群の区別に有用である。
【選択図】
図4