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特許7470850情報処理方法、情報処理装置および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/22 20120101AFI20240411BHJP
【FI】
G06Q20/22
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023124327
(22)【出願日】2023-07-31
【審査請求日】2023-07-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523288972
【氏名又は名称】株式会社シディ
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】相澤 明則
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/023420(WO,A1)
【文献】特開2021-051696(JP,A)
【文献】国際公開第2014/041642(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する情報処理方法において、
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得するステップと、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データについてのキャッシュレス決済手段での支払い履歴を確認し、支払い済みであった場合には、支払い済みであることを通知する情報を前記バイヤーの端末に出力させ、支払い済みでなかった場合には、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させ、このとき、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させるステップと、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取るステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項2】
前記請求書データを保有するシステムから請求書データを取得したのち、前記バイヤーの端末から前記決済画面のリクエストを受け取る前に、取得した請求データから抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよび/またはバイヤーについて事前審査を行うステップをさらに含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記請求書情報は、請求書番号、請求書金額、振込期日、振込先口座情報のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記決済画面を表示させるステップは、特定された請求書データから抽出された請求書金額に所定の手数料を加算した金額をキャッシュレス決済手段請求金額として前記決済画面に表示させるステップを含む、請求項1または2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
サプライヤーの端末から、サプライヤー向けマイページのリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、サプライヤーを特定するための識別情報と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記マイページを前記サプライヤーの端末に表示させるステップであって、前記識別情報に基づいてサプライヤーを特定し、特定されたサプライヤーの請求書データであって、前記検索条件を満たす請求書データのリストを前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の情報処理方法
【請求項6】
前記マイページの表示を行ったサプライヤーの端末から、前記請求書データのリストのうち一の請求書データを選択する情報を受け取るステップと、
選択された請求書データについて振込状況を確認して前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記マイページの表示を行ったサプライヤーの端末から、振込済みの請求書データについて消込用データのリクエストを受け取るステップと、
前記リクエストに応答して、前記消込用データを前記サプライヤーの端末に送信するステップと、
をさらに含む、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項8】
バイヤーの端末から、バイヤー向けマイページのリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、バイヤーを特定するための識別情報と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記マイページを前記バイヤーの端末に表示させるステップであって、前記識別情報に基づいてバイヤーを特定し、特定されたバイヤーの請求書データであって、前記検索条件を満たす請求書データのリストを前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の情報処理方法
【請求項9】
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得する請求書データ取得部と、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取る決済画面リクエスト受取部であって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、決済画面リクエスト受取部と、
前記リクエストに応答して、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データについてのキャッシュレス決済手段での支払い履歴を確認し、支払い済みであった場合には、支払い済みであることを通知する情報を前記バイヤーの端末に出力させ、支払い済みでなかった場合には、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させ、このとき、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させる決済画面表示部と、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取る支払い実行リクエスト受取部と、
を含む情報処理装置。
【請求項10】
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得するステップと、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データについてのキャッシュレス決済手段での支払い履歴を確認し、支払い済みであった場合には、支払い済みであることを通知する情報を前記バイヤーの端末に出力させ、支払い済みでなかった場合には、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させ、このとき、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させるステップと、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取るステップと、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、情報処理装置および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、B2B(企業間)決済において、買い手企業(バイヤー)からのカード決済を売り手企業(サプライヤー)が受けようとする場合、サプライヤーは、アクワイアラのカード加盟店になる必要があった。これに対し、近年、アクワイアラとサプライヤーとの間に立つ企業間決済代行事業者を疑似加盟店に置くことで、企業間決済代行事業者がカードの支払代金の受領とサプライヤーへの入金を代行する仕組みが登場し、企業間の支払いをクレジットカードで行いやすくなった。なお、ここでの企業間決済代行事業者は、Visa社が提供するサービスではBusiness Payment Service Provider(BPSP)と呼ばれることがあり、Mastercard社が提供するサービスではBusiness Payment Aggregator Program(BPAP)と呼ばれることがある。
【0003】
しかし、バイヤーが企業間決済代行事業者を利用してサプライヤーへの支払いをクレジットカードで行おうとする場合、バイヤーは、企業間決済代行事業者が提供する決済画面に、サプライヤーから発行された請求書に記載の請求書情報(請求書番号、請求書金額、振込期日、振込先口座情報など)を入力する必要があり、また、企業間決済代行事業者は、バイヤーから入力された請求書情報が正しいかわからないまま、バイヤーから入力された請求書情報に基づいて、クレジットカードのオーソリおよび売上処理ならびにサプライヤーへの入金を行っていた。そのため、バイヤーにとっては請求書情報を入力するための負荷がかかり、また入力ミスが生じる可能性もあった。
【0004】
特許文献1には、支払者からの集金を行うための集金システムに用いられるプログラムであって、プロセッサに、支払者のアカウント情報を登録するステップと、支払者のアカウントに紐づいた請求書を発行するステップと、支払者が使用する端末に対して、前記請求書に関する情報を電子決済手段とともに通知するステップと、を実行させる、プログラムが提案されている(請求項1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2022-184700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、バイヤーが請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行う場合に、請求書情報の入力負荷を軽減できるとともに入力ミスが生じることを防止できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る情報処理方法は、コンピュータが実行する情報処理方法において、
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得するステップと、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させるステップであって、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させるステップと、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取るステップと、
を含む。
【0008】
このような態様によれば、請求書データを保有するシステムから、請求書データを事前に入手しておき、バイヤーが請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行う場合には、事前に入手しておいた請求書データから抽出される請求書情報を、決済画面にあらかじめ表示させるため、バイヤーによる請求書情報の入力負荷を軽減できるとともに入力ミスが生じることを防止できる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る情報処理方法は、第1の態様に係る情報処理方法であって、
前記特定情報に基づいて請求書データを特定したのち、特定された請求書データについてのキャッシュレス決済手段での支払い履歴を確認し、支払い済みであった場合には、支払い済みであることを通知する情報を前記バイヤーの端末に出力させるステップをさらに含む。
【0010】
このような態様によれば、キャッシュレス決済手段で支払いをしようとしている請求書データが既に支払い済みであった場合に、支払い済みであることがバイヤーに通知されるため、クレジットカードの二重決済を防止できる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る情報処理方法は、第1の態様に係る情報処理方法であって、
前記請求書データを保有するシステムから請求書データを取得したのち、前記バイヤーの端末から前記決済画面のリクエストを受け取る前に、取得した請求データから抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよび/またはバイヤーについて事前審査を行うステップをさらに含む。
【0012】
このような態様によれば、事前に入手しておいた請求書データを利用して、サプライヤーおよび/またはバイヤーの審査(たとえば、法人の存在確認や刑事事件の有無の確認など)を事前に(取引開始前に)行うことができ、これにより、マネーロンダリングや反社との取引が生じることを防止できる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る情報処理方法は、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理方法であって、
前記請求書情報は、請求書番号、請求書金額、振込期日、振込先口座情報のうちの少なくとも1つを含む。
【0014】
本発明の第5の態様に係る情報処理方法は、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理方法であって、
前記決済画面を表示させるステップは、特定された請求書データから抽出された請求書金額に所定の手数料を加算した金額をクレジットカード請求金額として前記決済画面に表示させるステップを含む。
【0015】
本発明の第6の態様に係る情報処理方法は、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理方法であって、
サプライヤーの端末から、サプライヤー向けマイページのリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、サプライヤーを特定するための識別情報と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記マイページを前記サプライヤーの端末に表示させるステップであって、前記識別情報に基づいてサプライヤーを特定し、特定されたサプライヤーの請求書データであって、前記検索条件を満たす請求書データのリストを前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む。
【0016】
このような態様によれば、サプライヤーから多数の請求書が発行されている場合であっても、サプライヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0017】
本発明の第7の態様に係る情報処理方法は、第6の態様に係る情報処理方法であって、
前記マイページの表示を行ったサプライヤーの端末から、前記請求書データのリストのうち一の請求書データを選択する情報を受け取るステップと、
選択された請求書データについて振込状況を確認して前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む。
【0018】
このような態様によれば、サプライヤーは、自身の請求書データについての振込状況を容易に確認することができる。
【0019】
本発明の第8の態様に係る情報処理方法は、第6の態様に係る情報処理方法であって、
前記マイページの表示を行ったサプライヤーの端末から、振込済みの請求書データについて消込用データのリクエストを受け取るステップと、
前記リクエストに応答して、前記消込用データを前記サプライヤーの端末に送信するステップと、
をさらに含む。
【0020】
このような態様によれば、サプライヤーによる入金消込の作業負荷を軽減できる。
【0021】
本発明の第9の態様に係る情報処理方法は、第1~3のいずれかの態様に係る情報処理方法であって、
バイヤーの端末から、バイヤー向けマイページのリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、バイヤーを特定するための識別情報と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記マイページを前記バイヤーの端末に表示させるステップであって、前記識別情報に基づいてバイヤーを特定し、特定されたバイヤーの請求書データであって、前記検索条件を満たす請求書データのリストを前記マイページに表示させるステップと、
をさらに含む。
【0022】
このような態様によれば、バイヤーに対して多数の請求書が発行されている場合であっても、バイヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0023】
本発明の第10の態様に係る情報処理装置は、
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得する請求書データ取得部と、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取る決済画面リクエスト受取部であって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、決済画面リクエスト受取部と、
前記リクエストに応答して、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させる決済画面表示部であって、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させる決済画面表示部と、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取る支払い実行リクエスト受取部と、
を含む。
【0024】
本発明の第11の態様に係る情報処理プログラムは、
請求書データを保有するシステムから、請求書データを取得するステップと、
バイヤーの端末から、請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための決済画面のリクエストを受け取るステップであって、前記リクエストは、請求書データを特定するための特定情報を含む、ステップと、
前記リクエストに応答して、前記決済画面を前記バイヤーの端末に表示させるステップであって、前記特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定された請求書データから抽出された請求書情報を前記決済画面にあらかじめ表示させるステップと、
前記決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取るステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バイヤーが請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行う場合に、請求書情報の入力負荷を軽減できるとともに入力ミスが生じることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、決済代行事業者システムの概略的な構成を示す図である。
図3図3は、決済代行事業者システムの動作の一例を説明するための図である。
図4図4は、決済代行事業者システムの動作の一例を説明するための図である。
図5図5は、請求書データに含まれる請求書情報の一例を示すテーブルである。
図6図6は、バイヤーの端末に表示される登録画面の一例を示す図である。
図7図7は、バイヤーの端末に表示される決済画面の一例を示す図である。
図8図8は、バイヤーの端末に表示される決済画面の一例を示す図である。
図9図9は、バイヤーの端末に表示される通知画面の一例を示す図である。
図10図10は、サプライヤーの端末に表示されるマイページの一例を示す図である。
図11図11は、サプライヤーの端末に表示されるマイページの一例を示す図である。
図12図12は、サプライヤーの端末に表示されるマイページの一例を示す図である。
図13図13は、バイヤーの端末に表示されるマイページの一例を示す図である。
図14図14は、バイヤーの端末に表示されるマイページの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明および以下の説明で用いる図面では、同一に構成され得る部分について、同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
【0028】
以下の説明では、「キャッシュレス決済手段」として、クレジットカードを例に説明するが、これに限定されるものではなく、たとえば、BNPL(Buy Now Pay Later)などの別の後払い決済手段であってもよいし、プリペイドカードなどの前払い決済手段であってもよいし、デビットカードなどの即時決済手段であってもよい。
【0029】
また、以下の説明では、「請求書データを保有するシステム」として、売り手企業(サプライヤーともいう)と買い手企業(バイヤーともいう)との間に立つ請求書発行代行事業者(請求書発行ベンダともいう)のシステムを例に説明するが、これに限定されるものではなく、たとえば、Peppol認定事業者(Peppolサービスプロバイダともいう)のシステムであってもよいし、サプライヤーのシステムであってもよい。
【0030】
(装置の構成)
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の全体構成を示す図である。図1に示すように、情報処理システム1は、決済代行事業者システム2と、請求書発行代行事業者システム3(請求書データを保有するシステム)と、バイヤーの端末4と、サプライヤーの端末5と、アクワイアラシステム6と、イシュアシステム7とを有している。各システムおよび端末2~7は、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。ネットワークは、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、各システムおよび端末2~7の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0031】
情報処理システム1における大まかなデータの流れを説明する。まず、サプライヤーが請求書発行代行事業者に請求書発行業務を委託する場合、サプライヤーの端末5から請求書発行代行事業者システム3に請求書データが送信されて格納される。そして、バイヤーが請求書発行ベンダから請求書を受領して閲覧する場合、請求書発行代行事業者システム3からバイヤーの端末4に請求書データが送信されて表示される。本実施の形態では、決済代行事業者システム2に請求書発行代行事業者システム3から請求書データが転送されて格納される。
【0032】
バイヤーが決済代行事業者を利用してサプライヤーへの支払いをクレジットカード(キャッシュレス決済手段)で行おうとする場合、決済代行事業者システム2からバイヤーの端末4に決済画面が送信されて表示される。バイヤーは決済画面上で請求書情報の確認・入力を行ったのち、支払いを実行するための操作を行うと、支払いを実行するためのリクエストがバイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に送信され、決済代行事業者システム2とアクワイアラシステム6との間でオーソリ処理が実行される。そして、決済代行事業者システム2からバイヤーの端末4にクレジットカードでの支払いが完了したことが通知されるとともに、決済代行事業者システム2から請求書発行代行事業者システム3にカード決済結果が受け渡される。
【0033】
その後、決済代行事業者システム2とアクワイアラシステム6との間で売上処理が実行され、決済代行事業者からサプライヤーに請求書金額の振込が行われる。また、決済代行事業者にはアクワイアラから請求書カード決済代金の振込が行われ、イシュアとバイヤーとの間では請求書カード決済代金の請求/支払いが行われる。
【0034】
次に、決済代行事業者システム2について詳しく説明する。図2は、決済代行事業者システム2の概略的な構成を示す図ある。
【0035】
図2に示すように、決済代行事業者システム2は、通信部21と、制御部22と、記憶部23とを有している。各部21~23は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0036】
このうち通信部21は、決済代行事業者システム2と外部のネットワークとの間の通信インターフェースである。通信部21は、インターネット等の外部のネットワークを介して決済代行事業者システム2と他のシステムおよび端末3~6との間で情報を送受信する。
【0037】
記憶部23は、たとえばフラッシュメモリやハードディスク等の不揮発性データストレージである。記憶部23には、制御部22が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、記憶部23は、請求書データデータベース23aと、バイヤー情報データベース23bと、サプライヤー情報データベース23cとを含んでいる。
【0038】
請求書データデータベース23aには、請求書発行代行事業者システム3から取得された複数の請求書データが記憶されている。図5は、請求書データに含まれる請求書情報の一例を示すテーブルである。図5に示すように、請求書データに含まれる請求書情報は、請求書基本情報と、サプライヤー(振込先)口座情報と、バイヤー振込情報とを含んでいてもよい。このうち請求書基本情報は、請求書データを一意に特定するための請求書ID(特定情報)と、請求書番号と、請求書金額と、振込期日と、サプライヤーIDと、バイヤーIDとを含んでいてもよい。また、振込先口座情報は、金融機関コードと、支店コードと、金融機関名称と、支店名称と、口座種別と、口座番号と、口座名義とを含んでいてもよい。また、バイヤー振込情報は、振込名義を含んでいてもよい。
【0039】
請求書データデータベース23aには、請求書データごとに、バイヤーによるクレジットカードでの請求書金額の支払い履歴、および/または、サプライヤー(振込先)口座への請求書金額の振込履歴が紐づけられて記憶されていてもよい。
【0040】
バイヤー情報データベース23bには、複数のバイヤーの企業情報が、バイヤーを一意に特定するためのバイヤーIDと紐づけられて記憶されている。たとえば、バイヤーの企業情報は、企業名称と、企業名称カナと、事業形態(法人/個人事業主)と、法人番号と、業種と、郵便番号と、都道府県と、住所(市区町村以下など)とを含んでいてもよい。バイヤーの企業情報は、決済代行事業者システム2が請求書発行代行事業者システム3から連携データとしてあらかじめ取得しておくことでバイヤー情報データベース23bに記憶されていてもよいし、バイヤーが決済代行事業者システム2を初めて利用する際にバイヤー自身が登録画面上で入力して利用登録することでバイヤー情報データベース23bに記憶されてもよい。
【0041】
サプライヤー情報データベース23cには、複数のサプライヤーの企業情報および口座情報が、サプライヤーを一意に特定するためのサプライヤーIDと紐づけられて記憶されている。たとえば、サプライヤーの企業情報は、企業名称と、企業名称カナと、事業形態(法人/個人事業主)と、法人番号と、業種と、郵便番号と、都道府県と、住所(市区町村以下など)とを含んでいてもよい。口座情報は、金融機関コードと、支店コードと、金融機関名称と、支店名称と、口座種別と、口座番号と、口座名義とを含んでいてもよい。バイヤーの企業情報および口座情報は、決済代行事業者システム2が請求書発行代行事業者システム3から連携データとしてあらかじめ取得しておくことでサプライヤー情報データベース23cに記憶されていてもよいし、サプライヤーが決済代行事業者システム2を初めて利用する際にサプライヤー自身が登録画面上で入力して利用登録することでサプライヤー情報データベース23cに記憶されてもよい。
【0042】
なお、記憶部23は、物理的には、必ずしも決済代行事業者システム2内に設けられていなくてもよく、記憶部23の一部または全部は、外部のネットワークを介して決済代行事業者システム2と通信可能に接続された別の装置(たとえばクラウドストレージ)内に設けられていてもよい。
【0043】
図2に示すように、制御部22は、請求書データ取得部22aと、事前審査部22a2と、決済画面リクエスト受取部22bと、決済画面表示部22cと、支払い実行リクエスト受取部22dと、支払い済み通知部22eと、サプライヤー向けマイページ表示部22fと、消込用データ送信部22gと、バイヤー向けマイページ表示部22hとを有している。これらの各部22a~22hは、決済代行事業者システム2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0044】
請求書データ取得部22aは、請求書発行代行事業者システム3に定期的にアクセスして請求書データを取得する。請求書データ取得部22aにより取得された請求書データは、請求書データデータベース23aに記憶される。
【0045】
事前審査部22a2は、請求書データ取得部22aが取得した請求データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよび/またはバイヤーについて事前審査(たとえば、法人の存在確認や刑事事件の有無の確認など)を行う。たとえば、事前審査部22a2は、国税庁の法人番号システムが提供するWeb-APIを利用して、特定されたサプライヤーおよび/またはバイヤーが法人として存在しているか否かを確認してもよい。また、たとえば、図1を参照し、事前審査部22a2は、外部の法人確認システム8(たとえば日本経済新聞社が提供する日経リスク&コンプライアンスなど)を利用して、特定されたサプライヤーおよび/またはバイヤーについて反社会的勢力(反社)の該当性の確認や刑事事件の有無の確認などを行ってもよい。事前に入手しておいた請求書データを利用して、事前審査部22a2が、サプライヤーおよび/またはバイヤーの審査を事前に(取引開始前に)行うことにより、マネーロンダリングや反社との取引が生じることを防止できる。事前審査部22a2によるサプライヤーおよび/またはバイヤーの事前審査結果は、サプライヤー情報データベース33cおよび/またはバイヤー情報データベース33bに記憶される。
【0046】
決済画面リクエスト受取部22bは、バイヤーの端末4から、請求書の支払いをクレジットカードで行うための決済画面のリクエスト(以下、決済画面リクエストともいう)を受け取る。たとえば、バイヤーが、バイヤーの端末4上で請求書データを表示させて閲覧したのち、画面に表示された「カードで支払う」のボタンを操作(タップまたはクリック)すると、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に決済画面リクエストが送信され、当該決済画面リクエストを決済画面リクエスト受取部22bが受け取るようになっていてもよい。あるいは、たとえば、バイヤーが、紙の請求書に印刷されている2次元コードを端末4のカメラで撮影すると、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に決済画面リクエストが送信され、当該決済画面リクエストを決済画面リクエスト受取部22bが受け取るようになっていてもよい。決済画面リクエストは、請求書データを一意に特定するための特定情報を含んでいる。決済画面リクエストは、特定情報に加えて、サプライヤーを一意に特定するためのサプライヤーIDをさらに含んでいてもよいし、バイヤーを一意に特定するためのバイヤーIDをさらに含んでいてもよい。
【0047】
決済画面表示部22cは、決済画面リクエスト受取部22bが受け取った決済画面リクエストに応答して、決済画面(図7および図8参照)をバイヤーの端末4に送信して表示させる。このとき、決済画面表示部22cは、決済画面リクエストに含まれる特定情報に基づいて、請求書データデータベース23aを参照して、対応する請求書データを特定する。そして、決済画面表示部22cは、特定された請求書データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよびバイヤーについて、事前審査部22a2による事前審査結果を確認する。
【0048】
事前審査部22a2による事前審査において、サプライヤーおよびバイヤーの一方または両方に問題があることが事前に判明していた場合には、決済画面表示部22cは、決済画面の代わりに、手続きを進めることができない旨を表示するエラー画面をバイヤーの端末4に送信して表示させる。他方、事前審査部22a2による事前審査において、サプライヤーおよびバイヤーのどちらにも問題がないことが事前に判明していた場合には、決済画面表示部22cは、特定された請求書データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報を決済画面にあらかじめ表示させる。たとえば、図7に示す例では、決済画面表示部22cは、抽出された請求書情報に含まれるサプライヤーIDに基づいて、サプライヤー情報データベースを参照して、サプライヤーの企業名称を特定し、決済画面内の支払先企業名(請求書発行事業者)の入力欄に、特定された企業名称をあらかじめ表示させる。また、決済画面表示部22cは、抽出された請求書情報に含まれる請求書番号、請求書金額、支配期限(振込期日)、振込先口座情報を、決済画面内のそれぞれの入力欄にあらかじめ表示させる。これにより、バイヤーが決済画面内の入力欄に請求書情報を入力する際に、バイヤーの入力負荷が軽減されるとともに入力ミスが生じることが防止される。
【0049】
決済画面表示部22cは、特定された請求書データから抽出された請求書金額に、所定の手数料(たとえば請求金額の3%)を加算した金額をクレジットカード請求金額として決済画面に表示させてもよい(図8参照)。
【0050】
支払い実行リクエスト受取部22dは、決済画面の表示を行ったバイヤーの端末4から、クレジットカードでの支払いを実行するためのリクエスト(以下、支払実行リクエストともいう)を受け取る。たとえば、バイヤーが、バイヤーの端末4上で請求書情報およびクレジットカード情報を確認・入力したのち、確認画面に表示された「支払う」のボタンを操作(タップまたはクリック)すると、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に支払い実行リクエストが送信され、当該支払い実行リクエストを支払い実行リクエスト受取部22dが受け取るようになっていてもよい。
【0051】
支払い実行リクエスト受取部22dが支払い実行リクエストを受け取ると、決済代行事業者システム2とアクワイアラシステム6との間でオーソリ処理が実行される。そして、オーソリ処理が正常に終了すると、決済代行事業者システム2からバイヤーの端末4にクレジットカードでの支払いが完了したことを通知する情報が送信されて出力される(図9参照)とともに、決済代行事業者システム2から請求書発行代行事業者システム3にカード決済結果が受け渡される。
【0052】
支払い済み通知部22eは、決済画面リクエストに含まれる特定情報に基づいて決済画面表示部22cにより請求書データが特定されたのち、特定された請求書データについてのクレジットカードでの支払い履歴を、請求書データデータベース23aを参照して確認する。そして、支払い済みであった場合には、支払い済み通知部22eは、支払い済みであることを通知する情報(たとえばアラート)をバイヤーの端末4に送信して出力させる。これにより、クレジットカードで支払いをしようとしている請求書データが既に支払い済みであった場合に、支払い済みであることがバイヤーに通知されるため、クレジットカードの二重決済を防止できる。
【0053】
サプライヤー向けマイページ表示部22fは、サプライヤーの端末5から、サプライヤー向けマイページのリクエスト(以下、第1のリクエスト)を受け取る。第1のリクエストは、サプライヤーを特定するための識別情報(サプライヤーID)と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含んでいてもよい。たとえば、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して決済代行事業者システム2のウェブサイトにログインすると、サプライヤーの端末5には、図10を参照し、サプライヤー向けマイページ(スタートページ)が表示される。そして、サプライヤーが、スタートページ内の検索条件入力欄に検索条件(図示された例では、振込日付および/またはバイヤー企業名、振込済みのみ表示するか否か)を入力すると、入力された検索条件とサプライヤーIDとを含む第1のリクエストが、サプライヤーの端末5から決済代行事業者システム2に送信され、当該第1のリクエストをサプライヤー向けマイページ表示部22fが受け取るようになっていてもよい。
【0054】
サプライヤー向けマイページ表示部22fは、サプライヤーの端末5から第1のリクエストを受け取ると、第1のリクエストに応答して、サプライヤー向けマイページ(検索結果サマリーページ)をサプライヤーの端末5に送信して表示させる。このとき、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、第1のリクエストに含まれるサプライヤーIDに基づいて、請求書データデータベース23aを参照してサプライヤーの請求書データを特定し、特定されたサプライヤーの請求書データであって、第1のリクエストに含まれる検索条件を満たす請求書データのリストを、検索結果サマリーページに表示させる(図11参照)。これにより、サプライヤーから多数の請求書が発行されている場合であっても、サプライヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0055】
また、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、検索結果サマリーページの表示を行ったサプライヤーの端末5から、検索結果サマリーページに表示されている請求書データのリストのうち、一の請求書データを選択する情報を受け取る。たとえば、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して一の請求書データを選択(タップまたはクリック)すると、当該一の請求書データを選択する情報が、サプライヤーの端末5から決済代行事業者システム2に送信され、当該一の請求書データを選択する情報をサプライヤー向けマイページ表示部22fが受け取るようになっていてもよい。
【0056】
サプライヤー向けマイページ表示部22fは、サプライヤーの端末5から一の請求書データを選択する情報を受け取ると、選択された請求書データについての振込状況を、請求書データデータベース23aを参照して確認する。そして、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、確認した振込状況をサプライヤーの端末5に送信し、サプライヤー向けマイページ(検索結果詳細ページ)に表示させる(図12参照)。これにより、サプライヤーは、自身の請求書データについての振込状況を容易に確認することができる。選択された請求書データが振込済みであった場合には、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、図12を参照し、検索結果詳細ページ内に、後述する消込用データのダウンロードボタンを表示させてもよい。
【0057】
消込用データ送信部22gは、サプライヤー向けマイページの表示を行ったサプライヤーの端末5から、振込済みの請求書データについて消込用データのリクエストを受け取る。たとえば、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して、検索結果サマリーページ内に表示された消込用データのダウンロードボタンを操作(タップまたはクリック)すると、消込用データのリクエストが、サプライヤーの端末5から決済代行事業者システム2に送信され、当該消込用データのリクエストを消込用データ送信部22gが受け取るようになっていてもよい。なお、消込用データとは、サプライヤーの経理システム上で入金消込処理を行う際に利用可能なデータである。
【0058】
消込用データ送信部22gは、サプライヤーの端末5から消込用データのリクエストを受け取ると、当該リクエストに応答して、振込済みの請求書データについての消込用データを、サプライヤーの端末5に送信する。サプライヤーは、ダウンロードした消込用データを利用することで、サプライヤーの経理システム上での入金消込の作業負荷を軽減できる。
【0059】
バイヤー向けマイページ表示部22hは、バイヤーの端末4から、バイヤー向けマイページのリクエスト(以下、第2のリクエスト)を受け取る。第2のリクエストは、バイヤーを特定するための識別情報(バイヤーID)と、1または複数の請求書データを特定するための検索条件とを含んでいてもよい。たとえば、バイヤーが、バイヤーの端末4を操作して決済代行事業者システム2のウェブサイトにログインすると、バイヤーの端末4には、図13を参照し、バイヤー向けマイページ(スタートページ)が表示される。そして、バイヤーが、スタートページ内の検索条件入力欄に検索条件(図示された例では、振込日付および/またはバイヤー企業名、振込済みのみ表示するか否か)を入力すると、入力された検索条件とバイヤーIDとを含む第2のリクエストが、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に送信され、当該第2のリクエストをバイヤー向けマイページ表示部22hが受け取るようになっていてもよい。
【0060】
バイヤー向けマイページ表示部22hは、バイヤーの端末4から第2のリクエストを受け取ると、第2のリクエストに応答して、バイヤー向けマイページ(検索結果サマリーページ)をバイヤーの端末4に送信して表示させる。このとき、バイヤー向けマイページ表示部22hは、第2のリクエストに含まれるバイヤーIDに基づいて、請求書データデータベース23aを参照してバイヤーの請求書データを特定し、特定されたバイヤーの請求書データであって、第2のリクエストに含まれる検索条件を満たす請求書データのリストを、検索結果サマリーページに表示させる(図14参照)。これにより、バイヤーに対して多数の請求書が発行されている場合であっても、バイヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0061】
(動作の一例)
次に、図3および図4を参照して、決済代行事業者システム2の動作の一例について説明する。図3および図4は、決済代行事業者システム2の動作の一例を説明するための図である。
【0062】
図3に示すように、まず、請求書データ取得部22aが、請求書発行代行事業者システム3に定期的にアクセスして複数の請求書データを取得し、請求書データデータベース23aに記憶する(ステップS10)。
【0063】
次いで、事前審査部22a2が、請求書データ取得部22aが取得した請求データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよび/またはバイヤーについて事前審査(たとえば、法人の存在確認や刑事事件の有無の確認など)を行い、事前審査結果をサプライヤー情報データベース33cおよび/またはバイヤー情報データベース33bに記憶する(ステップS101)。
【0064】
次に、バイヤーがバイヤーの端末4を操作して、サプライヤーへの支払いをクレジットカードで行おうとする場合、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に決済画面リクエストが送信され、決済画面リクエスト受取部22bが、バイヤーの端末4から決済画面リクエストを受け取る(ステップS11)。決済画面リクエストは、請求書データを一意に特定するための特定情報を含んでいる。決済画面リクエストは、特定情報に加えて、サプライヤーIDおよび/またはバイヤーIDを含んでいてもよい。
【0065】
決済画面リクエスト受取部22bが決済画面リクエストを受け取ると、決済画面表示部22cは、決済画面リクエストに含まれる特定情報に基づいて、請求書データデータベース23aを参照して、対応する請求書データを特定し、特定された請求書データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報により特定されるサプライヤーおよびバイヤーについて、事前審査部22a2による事前審査結果を確認する。そして、事前審査部22a2による事前審査において、サプライヤーおよびバイヤーの一方または両方に問題があることが事前に判明していた場合には、決済画面表示部22cは、手続きを進めることができない旨を表示するエラー画面をバイヤーの端末4に送信して表示させる。他方、事前審査部22a2による事前審査において、サプライヤーおよびバイヤーのどちらにも問題がないことが事前に判明していた場合には、決済画面表示部22cは、バイヤー情報データベース23bを参照し、決済代行事業者システム2を利用するのが初めてのバイヤーか否かを判定する(ステップS12)。そして、利用が初めての場合には(ステップS12:YES)、決済画面表示部22cは、図6を参照し、企業情報登録画面をバイヤーの端末4に送信して表示させる(ステップS13)。このとき、バイヤーの企業情報が、請求書発行代行事業者システム3から連携データとしてあらかじめ取得されてバイヤー情報データベース23bに記憶されている場合には、決済画面表示部22cは、決済画面リクエストに含まれるバイヤーIDに基づいて、バイヤー情報データベース23bを参照して、対応するバイヤーの企業情報を抽出し、抽出された企業情報を、企業情報登録画面内のそれぞれの入力欄にあらかじめ表示させてもよい。
【0066】
バイヤーが、バイヤーの端末4上で企業情報や管理責任者情報、口座情報を確認・入力したのち、確認画面に表示された「登録する」のボタンを操作(タップまたはクリック)すると、決済画面表示部22cは、バイヤーから入力された情報をバイヤー情報データベース23bに記憶する。
【0067】
次いで、決済画面表示部22cは、決済画面リクエストに含まれる特定情報に基づいて、請求書データデータベース23aを参照して、対応する請求書データを特定し、支払い済み通知部22eが、特定された請求書データについてのクレジットカードでの支払い履歴を、請求書データデータベース23aを参照して確認する(ステップS14)。そして、支払い済みであった場合には(ステップS14:YES)、支払い済み通知部22eは、支払い済みであることを通知する情報(たとえばアラート)をバイヤーの端末4に送信して出力させる(ステップS15)。これにより、クレジットカードで支払いをしようとしている請求書データが既に支払い済みであった場合に、支払い済みであることがバイヤーに通知されるため、クレジットカードの二重決済を防止できる。
【0068】
他方、支払い済みでなかった場合には(ステップS14:NO)、決済画面表示部22cは、決済画面をバイヤーの端末4に送信して表示させる(ステップS16)。このとき、決済画面表示部22cは、特定された請求書データから請求書情報(図5参照)を抽出し、抽出された請求書情報を決済画面にあらかじめ表示させる(図7参照)。図7に示すように、決済画面表示部22cは、抽出された請求書情報を、決済画面内のそれぞれの入力欄にあらかじめ表示させてもよいし、当該入力欄の周囲に参照できるように表示させてもよい。これにより、バイヤーが決済画面内の入力欄に請求書情報を入力する際に、バイヤーの入力負荷が軽減されるとともに入力ミスが生じることが防止される。
【0069】
ステップS16において、決済画面表示部22cは、特定された請求書データから抽出された請求書金額に、所定の手数料(たとえば請求金額の3%)を加算した金額をクレジットカード請求金額として決済画面に表示させてもよい(図8参照)。また、バイヤーのクレジットカード情報が、バイヤー情報データベース23bに既に記憶されている場合には、決済画面表示部22cは、決済画面リクエストに含まれるバイヤーIDに基づいて、バイヤー情報データベース23bを参照して、対応するバイヤーのクレジットカード情報を抽出し、抽出されたクレジットカード情報を、決済画面内の入力欄にあらかじめ表示させてもよい。
【0070】
次いで、バイヤーが、バイヤーの端末4上で請求書情報およびクレジットカード情報を確認・入力したのち、確認画面に表示された「支払う」のボタンを操作(タップまたはクリック)すると、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に支払い実行リクエストが送信され、支払い実行リクエスト受取部22dが、決済画面の表示を行ったバイヤーの端末4から支払実行リクエストを受け取る(ステップS17)。
【0071】
そして、支払い実行リクエスト受取部22dが支払い実行リクエストを受け取ると、決済代行事業者システム2とアクワイアラシステム6との間でオーソリ処理が実行され(ステップS18)、オーソリ処理が正常に終了すると、決済代行事業者システム2からバイヤーの端末4にクレジットカードでの支払いが完了したことを通知する情報が送信されて出力される(図9参照)とともに、決済代行事業者システム2から請求書発行代行事業者システム3にカード決済結果が受け渡される。その後、決済代行事業者システム2とアクワイアラシステム6との間で売上処理が実行され、決済代行事業者システム2と不図示の金融機関システムとの間で振込先(サプライヤー)口座への請求書金額の振込処理が行われる(ステップS19)。
【0072】
次に、図4を参照し、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して決済代行事業者システム2のウェブサイトにログインし、図10に示すように、サプライヤー向けマイページ(スタートページ)内の検索条件入力欄に検索条件(図示された例では、振込日付および/またはバイヤー企業名、振込済みのみ表示するか否か)を入力すると、入力された検索条件とサプライヤーIDとを含む第1のリクエストが、サプライヤーの端末5から決済代行事業者システム2に送信され、サプライヤー向けマイページ表示部22fが、サプライヤーの端末5から当該第1のリクエストを受け取る(ステップS20)。
【0073】
次いで、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、サプライヤーの端末5から受け取った第1のリクエストに応答して、サプライヤー向けマイページ(検索結果サマリーページ)をサプライヤーの端末5に送信して表示させる(ステップS21)。このとき、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、第1のリクエストに含まれるサプライヤーIDに基づいて、請求書データデータベース23aを参照してサプライヤーの請求書データを特定し、特定されたサプライヤーの請求書データであって、第1のリクエストに含まれる検索条件を満たす請求書データのリストを、検索結果サマリーページに表示させる(図11参照)。これにより、サプライヤーから多数の請求書が発行されている場合であっても、サプライヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0074】
ステップS21において、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して、検索結果サマリーページに表示されている請求書データのリストのうち、一の請求書データを選択(タップまたはクリック)すると、サプライヤー向けマイページ表示部22fは、選択された請求書データについての振込状況を、請求書データデータベース23aを参照して確認し、確認した振込状況をサプライヤー向けマイページ(検索結果詳細ページ)に表示させる(図12参照)。これにより、サプライヤーは、自身の請求書データについての振込状況を容易に確認することができる。
【0075】
次いで、サプライヤーが、サプライヤーの端末5を操作して、検索結果サマリーページ内に表示された消込用データのダウンロードボタンを操作(タップまたはクリック)すると、消込用データのリクエストが、サプライヤーの端末5から決済代行事業者システム2に送信され、消込用データ送信部22gが、当該消込用データのリクエストをサプライヤーの端末5から受け取る(ステップS22)。
【0076】
そして、消込用データ送信部22gは、サプライヤーの端末5からの消込用データのリクエストに応答して、振込済みの請求書データについての消込用データを、サプライヤーの端末5に送信する(ステップS23)。サプライヤーは、ダウンロードした消込用データを利用することで、サプライヤーの経理システム上での入金消込の作業負荷を軽減できる。
【0077】
次に、バイヤーが、バイヤーの端末4を操作して決済代行事業者システム2のウェブサイトにログインし、図13に示すように、バイヤー向けマイページ(スタートページ)内の検索条件入力欄に検索条件(図示された例では、振込日付および/またはサプライヤー企業名、振込済みのみ表示するか否か)を入力すると、入力された検索条件とバイヤーIDとを含む第2のリクエストが、バイヤーの端末4から決済代行事業者システム2に送信され、バイヤー向けマイページ表示部22hが、バイヤーの端末4から当該第2のリクエストを受け取る(ステップS24)。
【0078】
次いで、バイヤー向けマイページ表示部22hは、バイヤーの端末4から受け取った第2のリクエストに応答して、バイヤー向けマイページ(検索結果サマリーページ)をバイヤーの端末4に送信して表示させる(ステップS25)。このとき、バイヤー向けマイページ表示部22hは、第2のリクエストに含まれるバイヤーIDに基づいて、請求書データデータベース23aを参照してバイヤーの請求書データを特定し、特定されたバイヤーの請求書データであって、第2のリクエストに含まれる検索条件を満たす請求書データのリストを、検索結果サマリーページに表示させる(図14参照)。これにより、バイヤーに対して多数の請求書が発行されている場合であっても、バイヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0079】
以上のような実施の形態によれば、決済代行事業者システム2は、請求書発行代行事業者システム3(請求書データを保有するシステム)から、請求書データを事前に入手しておき、バイヤーが請求の支払いをクレジットカード(キャッシュレス決済手段)で行う場合には、決済代行事業者システム2は、事前に入手しておいた請求書データから抽出される請求書情報を、決済画面にあらかじめ表示させるため、バイヤーによる請求書情報の入力負荷を軽減できるとともに入力ミスが生じることを防止できる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、クレジットカード(キャッシュレス決済手段)で支払いをしようとしている請求書データが既に支払い済みであった場合に、決済代行事業者システム2は、支払い済みであることをバイヤーに通知するため、クレジットカード(キャッシュレス決済手段)の二重決済を防止できる。
【0081】
また、本実施の形態によれば、決済代行事業者システム2は、サプライヤーの端末から検索条件を含むリクエストを受け取ると、サプライヤーの請求書データであって、検索条件を満たす請求書データのリストをサプライヤー向けマイページに表示させるため、サプライヤーから多数の請求書が発行されている場合であっても、サプライヤーは、確認したい請求書データを容易に検索して確認することができる。
【0082】
また、本実施の形態によれば、決済代行事業者システム2は、マイページの表示を行ったサプライヤーの端末から消込用データのリクエストを受け取ると、当該リクエストに応答して、振込済みの請求書データについての消込用データをサプライヤーの端末に送信するため、サプライヤーによる入金消込の作業負荷を軽減できる。
【0083】
なお、上述した実施の形態の記載および図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載または図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。上述した実施の形態の構成要素は、発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に組み合わせることが可能である。
【0084】
また、上述した実施の形態に係る決済代行事業者システム2は1つまたは複数のコンピュータによって構成され得るが、1つまたは複数のコンピュータに決済代行事業者システム2を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを非一時的(non-transitory)に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【符号の説明】
【0085】
1 情報処理システム
2 決済代行事業者システム(情報処理装置)
21 通信部
22 制御部
22a 請求書データ取得部
22a2 事前審査部
22b 決済画面リクエスト受取部
22c 決済画面表示部
22d 支払い実行リクエスト受取部
22e 支払い済み通知部
22f サプライヤー向けマイページ表示部
22g 消込用データ送信部
22h バイヤー向けマイページ表示部
23 記憶部
23a 請求書データデータベース
23b バイヤー情報データベース
23c サプライヤー情報データベース
3 請求書発行代行事業者システム
4 買い手企業(バイヤー)の端末
5 売り手企業(サプライヤー)の端末
6 アクワイアラシステム
7 イシュアシステム
【要約】      (修正有)
【課題】バイヤーが請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行う場合に、請求書情報の入力負荷を軽減するとともに入力ミスが生じることを防止するコンピュータが実行する情報処理方法、装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】決済代行業者システムが行う情報処理方法は、請求書データを保有するシステムから請求書データを取得するステップと、バイヤーの端末から請求書の支払いをキャッシュレス決済手段で行うための、請求書データを特定するための特定情報を含む決済画面のリクエストを受け取るステップと、リクエストに応答して、決済画面をバイヤーの端末に、特定情報に基づいて請求書データを特定し、特定した請求書データから抽出された請求書情報を決済画面にあらかじめ表示させるステップと、決済画面の表示を行ったバイヤーの端末から、キャッシュレス決済手段での支払いを実行するためのリクエストを受け取るステップと、を含む。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14