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特許7470852防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法
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  • 特許-防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法 図1
  • 特許-防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法 図2
  • 特許-防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法 図3
  • 特許-防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法
(51)【国際特許分類】
   C23F 13/02 20060101AFI20240411BHJP
   C23F 13/04 20060101ALI20240411BHJP
   F16L 58/00 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
C23F13/02 J
C23F13/02 B
C23F13/04
F16L58/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023136655
(22)【出願日】2023-08-24
【審査請求日】2023-08-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 康朗
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-218731(JP,A)
【文献】特開2002-256469(JP,A)
【文献】特開2009-149935(JP,A)
【文献】特開2002-030472(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23F 13/02
C23F 13/04
F16L 58/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定地点において、地中に埋設されたパイプラインの近傍に設けられ、前記パイプラインに電圧を印加する外部電極と、
前記特定地点において、前記パイプライン周りの管対地電位を検出するための検出電極と、
前記検出電極により検出される前記管対地電位が所定の防食範囲内になるように、前記外部電極での出力電圧を、前記特定地点から離れた遠位地点の過防食及び電食の発生防止用に予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出電極により検出された前記管対地電位と前記特定地点における前記パイプラインの電食防止用の基準電位差とを比較し、前記管対地電位が前記基準電位差以下であり、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記下限出力電圧の場合に、前記外部電極での出力電圧を小さくし、前記検出電極により検出された前記管対地電位が基準電位差以下であり、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記下限出力電圧未満の場合に、前記外部電極での出力電圧を小さくしない、防食用外電装置。
【請求項2】
特定地点において、地中に埋設されたパイプラインの近傍に設けられ、前記パイプラインに電圧を印加する外部電極と、
前記特定地点において、前記パイプライン周りの管対地電位を検出するための検出電極と、
前記検出電極により検出される前記管対地電位が所定の防食範囲内になるように、前記外部電極での出力電圧を、前記特定地点から離れた遠位地点の過防食及び電食の発生防止用に予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記検出電極により検出された前記管対地電位と前記特定地点における前記パイプラインの電食防止用の基準電位差とを比較し、前記管対地電位が前記基準電位差よりも大きく、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記上限出力電圧未満の場合に、前記外部電極での出力電圧を大きくし、前記検出電極により検出された前記管対地電位が基準電位差よりも大きく、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記上限出力電圧超の場合に、前記外部電極での出力電圧を大きくしない、防食用外電装置。
【請求項3】
特定地点において、地中に埋設されたパイプライン周りの管対地電位を検出電極で検出し、
前記特定地点において、前記特定地点から離れた遠位地点の過防食及び電食の発生防止用に予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内において、前記管対地電位が、所定の防食範囲内になるように、外部電極で前記パイプラインに電圧を印加するパイプラインの電気防食方法であって、
前記検出電極で検出された前記管対地電位と前記特定地点における前記パイプラインの電食防止用の基準電位差とを比較し、
前記管対地電位が前記基準電位差以下であり、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記下限出力電圧の場合に、前記外部電極での出力電圧を小さくし、前記管対地電位が基準電位差以下であり、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記下限出力電圧未満の場合に、前記外部電極での出力電圧を小さくしない
パイプラインの電気防食方法。
【請求項4】
特定地点において、地中に埋設されたパイプライン周りの管対地電位を検出電極で検出し、
前記特定地点において、前記特定地点から離れた遠位地点の過防食及び電食の発生防止用に予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内において、前記管対地電位が、所定の防食範囲内になるように、外部電極で前記パイプラインに電圧を印加するパイプラインの電気防食方法であって
前記検出電極で検出された前記管対地電位と前記特定地点における前記パイプラインの電食防止用の基準電位差とを比較し、
前記管対地電位が基準電位差よりも大きく、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記上限出力電圧未満の場合に、前記外部電極での出力電圧を大きくし、前記管対地電位が基準電位差よりも大きく、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記上限出力電圧超の場合に、前記外部電極での出力電圧を大きくしない
パイプラインの電気防食方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防食用外電装置、及び、パイプラインの電気防食方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、埋設パイプラインに対しては、腐食防止のためカソード防食(電気防食)が施されている。カソード防食措置の1つとして外部電源装置を用いたものがある(外部電源カソード防食装置、外電)。これは、地中に埋設した外部電極から防食電流をパイプラインに流す方法である。
【0003】
外部電極からの防食電流の制御方法としては、定電圧制御、定電位制御、プローブ電流密度制御などがある。制御方法は、一般的には、パイプラインの状況にあわせて、1つの制御方法を選択して適用する。
【0004】
定電位制御は、外部電極を設置した地点付近のパイプラインとこれを覆う地中との電位差を基準に、パイプラインと外部電極間の電圧の出力を制御するため、外部電極設置地点で最適な防食状況を保つことができる。特に電鉄近傍などで、電鉄からの漏れ電流の影響でパイプラインに対する地中の電位が大きくプラス側にシフトし、パイプラインから電流が流出するような場合(電食)には、本制御方法が必須となる。一方、外部電極設置地点付近とは相関がない遠方点での電食に対する制御は難しい。さらに、外部電極設置地点で外部電極からの大きな出力が必要な場合には、近年のポリエチレン塗覆装によるパイプラインの高抵抗化もあり、遠方点で過防食が生じることもある。
【0005】
定電圧制御は、一定の電圧を印加するため、外部電極設置地点でのパイプラインに対する地中の電位(管対地電位)とは関係なく、パイプライン全体をある程度防食状況に保つことができる。一方、電鉄からの漏れ電流の影響でパイプラインに対する地中の電位が大きくプラス側にシフトするような箇所では、定電圧制御の外部電極を設置しても、電食を防止することはが困難となる。
【0006】
定電位制御と定電圧制御のメリット/デメリットを踏まえて、制御方法を組み合わせて適用したものとしては、特許文献1がある。特許文献1では、1つの防食用外電装置内に、定電位制御と定電圧制御の2つを組み込んだものである。管対地電位をモニタリングしながら定電位制御を行うとともに、管対地電位が十分に確保されて外部電極から防食電流を出力する必要がなくても、遠方点での防食状況を維持するために、定電圧装置により一定の電圧を印加して防食電流を常時出力している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-234188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年では、電鉄の回生ブレーキ車両の適用およびその拡大のため、地中に埋設されたパイプラインの周りの状況は変化しており、当初防食懸念箇所として外部電極を設置した箇所以外に、防食懸念箇所(電食、過防食)が複数箇所で確認されるようになってきている。
【0009】
本開示は上記事実を考慮し、複数箇所におけるパイプラインの電気防食を、簡易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様の防食用外電装置は、特定地点において、地中に埋設されたパイプラインの近傍に設けられ、前記パイプラインに電圧を印加する外部電極と、前記特定地点において、前記パイプライン周りの管対地電位を検出するための検出電極と、前記検出電極により検出される前記管対地電位が所定の防食範囲内になるように、前記外部電極での出力電圧を予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で制御する制御部と、を備えている。
【0011】
第1の態様の防食用外電装置は、外部電極と検出電極を有している。外部電極は、特定地点において、地中に埋設されたパイプラインの近傍に設けられ、パイプラインに電圧を印加する。検出電極は、特定地点において、パイプライン周りの管対地電位を検出する。そして、制御部で、検出電極により検出される電位差が所定の防食範囲内になるように、外部電極での出力電圧を制御する。外部電極により印加される出力電圧は、予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で制御される。
【0012】
外部電極に電圧を印加して特定地点の管対地電位を確保した場合、外部電極から離れた遠位地点において、過防食、電食の懸念が生じる。そのため、懸念の生じる地点において、過防食、電食が発生しないように、外部電極で印加する電圧の上限出力電圧と下限出力電圧を定めることにより、遠位地点における過防食、電食の発生を避け、適切に防食を行うことができる。
【0013】
また、制御部は、上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で、電位制御を行えばよいので、新たな外部電極を遠位地点に設置する必要がなく、簡易に防食を行うことができる。
【0014】
第2の態様の防食用外電装置は、前記制御部は、前記検出電極により検出された前記管対地電位が基準電位差以下であり、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記下限出力電圧以上の場合に、前記外部電極での出力電圧を小さくする。
【0015】
このように制御することで、外部電極での出力電圧を下限出力電圧以上に維持しつつ、パイプライン周りの管対地電位を所定の防食範囲内にすることができる。
【0016】
第3の態様の防食用外電装置は、前記制御部は、前記検出電極により検出された前記管対地位差が基準電位差よりも大きく、且つ、前記外部電極での出力電圧が前記上限出力電圧以下の場合に、前記外部電極での出力電圧を大きくする。
【0017】
このように制御することで、外部電極での出力電圧を上限出力電圧以下に維持しつつ、パイプライン周りの管対地電位を所定の防食範囲内にすることができる。
【0018】
第4の態様のパイプラインの電気防食方法は、予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内において、地中に埋設されたパイプライン周りの管対地電位が、所定の防食範囲内になるように、前記パイプラインに電圧を印加する。
【0019】
第4の態様のパイプラインの電気防食方法によれば、外部電極から離れた遠位地点で、過防食、電食の懸念が生じる地点において、過防食、電食が発生しないように、外部電極で印加する電圧の上限出力電圧と下限出力電圧を定めることにより、遠位地点における過防食、電食の発生を避け、適切に防食を行うことができる。
【0020】
また、上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で、電位制御を行うことができ、簡易に防食を行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、複数箇所におけるパイプラインの電気防食を、簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本実施形態の防食用外電装置の設置状態を示す説明図である。
図2】本実施形態の防食用外電装置の概略構成を示す説明図である。
図3】本実施形態の防食用外電装置での防食処理の手順を示すフローチャートである。
図4】本実施形態の防食用外電装置での防食効果を示すグラフであり、(A)は外部電極からの出力電圧の経時変化を示し、(B)は、地点Aにおける電流密度の経時変化を示し、(C)は、地点Bにおける電流密度の経時変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に係る防食用外電装置、パイプラインの電気防食方法について説明する。
【0024】
図1に示されるように、防食用外電装置10は、地中に埋設されたパイプラインPの電気防食のために設置されるものであり、特定地点Uに設けられている。特定地点Uは、電気鉄道のレールRが横断する部分など、パイプラインPとこれを覆う地中との電位差(管対地電位P/S)の変動が大きくなりやすい地点である。
【0025】
図2に示されるように、防食用外電装置10は、制御装置20、直流電源装置30、外部電極32、及び、検出電極34を備えている。外部電極32、及び、検出電極34は、特定地点Uにおける地中パイプラインPの近傍に配置されている。
【0026】
検出電極34は、特定地点Uにおける管対地電位を検出し、制御装置20へ当該検出した電位についての電位差信号を送る。直流電源装置30は、商用電源(不図示)と接続されており、商用電源の電圧を変圧すると共に整流し、制御装置20からの指示に基づいて、電圧を調整するように構成されている。外部電極32は、直流電源装置30により、パイプラインPとの間に電圧を印加する。
【0027】
制御装置20は、定電位制御比較演算回路22、下限電圧制御比較演算回路24、上限電圧制御比較演算回路26を備えている。定電位制御比較演算回路22は、検出電極34、パイプラインP、及び直流電源装置30と接続されている。下限電圧制御比較演算回路24、上限電圧制御比較演算回路26は、各々、外部電極32、パイプラインP、及び直流電源装置30と接続されている。
【0028】
定電位制御比較演算回路22は、パイプラインPと検出電極34の電位差、すなわち、特定地点Uにおける管対地電位P/Sを取得する。また、定電位制御比較演算回路22には、予め設定された基準電位差E0が記憶されている。基準電位差E0は、特定地点Uにおいて、パイプラインPの電食を防止するために設定される管対地電位P/Sであり、直流電源装置30は、管対地電位P/Sが基準電位差E0に近づくように電流を出力し、外部電極32の出力電圧を制御する。定電位制御比較演算回路22は、管対地電位P/Sと基準電位差E0を比較し、比較結果として、管対地電位P/Sが基準電位差E0よりも大きいか否かを出力する。
【0029】
下限電圧制御比較演算回路24は、直流電源装置30から、外部電極32で印加されている出力電圧Eの値を取得する。また、下限電圧制御比較演算回路24には、下限出力電圧Eminが記憶されている。下限出力電圧Eminは、外部電極32での出力電圧Eに対して許容される最低の値である。下限出力電圧Eminは、特定地点Uから離れた遠位地点で、特定地点Uにおける出力電圧Eが低下しすぎることにより電食の懸念が生じる地点Aにおいて、電食が発生しないような数値に設定されている。下限電圧制御比較演算回路24は、出力電圧Eと下限出力電圧Eminを比較し、比較結果として、出力電圧Eが下限出力電圧Eminよりも低いか否かを出力する。
【0030】
上限電圧制御比較演算回路26は、直流電源装置30から、外部電極32で印加されている出力電圧Eの値を取得する。また、上限電圧制御比較演算回路26には、上限出力電圧Emaxが記憶されている。上限出力電圧Emaxは、直流電源装置30の出力電圧Eに対して許容される最高の値である。上限出力電圧Emaxは、特定地点Uから離れた遠位地点で、特定地点Uにおける出力電圧Eが上昇しすぎることにより過防食の懸念が生じる地点Bにおいて、過防食が発生しないような数値に設定されている。上限電圧制御比較演算回路26は、出力電圧Eと上限出力電圧Emaxを比較し、比較結果として、出力電圧Eが上限出力電圧Emaxよりも高いか否かを出力する。
【0031】
次に、本実施形態の防食用外電装置10の作用について説明する。
【0032】
防食用外電装置10が作動状態の時には、制御装置20及び直流電源装置30においてにおいて、図3に示す防食処理が実行されている。
【0033】
ステップS10で、検出電極34で検出された管対地電位P/S、直流電源装置30の出力電圧E、基準電位差E0、下限出力電圧Emin、上限出力電圧Emaxを読み出し、ステップS12で、管対地電位P/Sが基準電位差E0よりも大きいかどうかを判断する。管対地電位P/Sが基準電位差E0よりも大きい場合には、ステップS14で、出力電圧Eが上限出力電圧Emaxよりも大きいかどうかを判断する。出力電圧Eが上限出力電圧Emaxよりも大きくないと判断された場合には、ステップS16で、出力電圧Eを上昇させる処理を実行する。具体的には、直流電源装置30からの出力電圧Eを上昇させる。
【0034】
ステップS12で、管対地電位P/Sが基準電位差E0よりも大きくないと判断された場合には、ステップS18で、出力電圧Eが下限出力電圧Eminよりも小さいかどうかを判断する。出力電圧Eが下限出力電圧Eminよりも小さくないと判断された場合には、ステップS20で、出力電圧Eを下降させる処理を実行する。具体的には、直流電源装置30からの出力電圧Eを下降させる。
【0035】
ステップS14で、出力電圧Eが上限出力電圧Emaxよりも大きいと判断された場合、ステップS18で、出力電圧Eが下限出力電圧Eminよりも小さいと判断された場合、ステップS10へ戻り、上記の処理を繰り返す。
【0036】
図4(A)~(C)には、一例として、下限出力電圧Eminを5V、上限出力電圧Emaxを9V、とした場合の、時間経過に伴う、特定地点Uにおける出力電圧E(図4(A))、地点Aにおける電流密度(図4(B))、地点Bにおける電流密度(図4(C))の変化を示すグラフが示されている。電流密度が7mA/cm未満であれば、過防食が抑制され、電流密度が0mA/cmより大きければ、電食が抑制されるものとする。
【0037】
特定地点Uにおいて、3分付近で出力電圧Eを上昇させるが、上限出力電圧Emaxの9Vまでに抑えている。このとき、地点Bでは、電流密度が上昇するが、6mA/cm程度に抑制されている。地点Bにおいて、過防食が抑制されている。
【0038】
また、特定地点Uにおいて、7-8分付近で出力電圧Eを下降させるが、下限出力電圧Eminの5Vまでに抑えている。このとき、地点Aでは、電流密度が下降するが、0mA/cmよりも大きな値を保持している。地点Aにおいて、電食が抑制されている。
【0039】
本実施形態の防食用外電装置10は、検出電極34により検出される電位差が基準電位差E0に近づくように外部電極32での出力電圧を制御する。また、外部電極32により印加される出力電圧Eを、予め設定された上限出力電圧Emaxと下限出力電圧Eminの範囲内で制御する。これにより、検出電極34により検出される電位差を所定の防食範囲内にすることができる。電食、過防食の懸念が生じる地点A、Bにおいて、電食、過防食が発生しないように、外部電極32で印加する電圧の下限出力電圧と上限出力電圧を定めることにより、新たな防食用外電装置を遠位地点に設けることなく、1つの防食用外電装置10を用いて、簡易に、パイプラインPの複数箇所における防食を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
10 防食用外電装置
20 制御装置(制御部)
32 外部電極
34 検出電極
E0 基準電位差
E 出力電圧
Emax 上限出力電圧
Emin 下限出力電圧
P パイプライン
P/S 管対地電位
U 特定地点
【要約】
【課題】複数箇所におけるパイプラインの電気防食を、簡易に行う。
【解決手段】防食用外電装置10は、特定地点Uにおいて、地中に埋設されたパイプラインPの近傍に設けられ、パイプラインPに電圧を印加する外部電極32と、特定地点Uにおいて、パイプラインPとこれを覆う地中との電位差を検出する検出電極34と、検出電極34により検出される電位差が所定の防食範囲内になるように、外部電極32での出力電圧Eを予め設定された上限出力電圧と下限出力電圧の範囲内で制御する制御装置20と、を備えている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4