(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】コンパクトで収納可能な調理システム
(51)【国際特許分類】
F24C 3/14 20210101AFI20240411BHJP
A47J 36/26 20060101ALI20240411BHJP
【FI】
F24C3/14 Z
A47J36/26
(21)【出願番号】P 2023517731
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 US2021053574
(87)【国際公開番号】W WO2022076414
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-05-10
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503395449
【氏名又は名称】ジョンソン アウトドアズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィルコックス、アダム エメリー
(72)【発明者】
【氏名】エベール ジュニア、マイケル エドワード
(72)【発明者】
【氏名】シオピス、マイケル スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】シャルティエ、ライアン ポール
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-214555(JP,A)
【文献】特表2000-516693(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01897474(EP,A1)
【文献】米国特許第04284058(US,A)
【文献】米国特許第04192284(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0162571(US,A1)
【文献】米国特許第04105013(US,A)
【文献】特開2016-017686(JP,A)
【文献】特開2014-190691(JP,A)
【文献】米国特許第04177790(US,A)
【文献】特開平03-191210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 3/14
F23D 14/28
A47J 36/26
F24C 15/10
A47J 36/06
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンパクトで収納可能な調理システムであって、
鍋と、
少なくとも3つの鍋支持脚とバーナ基部とを有するバーナアセンブリであって、前記バーナ基部は前記バーナアセンブリの長手方向軸に沿って延在し、前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々を前記バーナアセンブリの長手方向軸の周りに回転させて互いに重なり合う状態とした際に、前記少なくとも3つの鍋支持脚と前記バーナ基部とがL字状となり、前記鍋内に収納可能となるバーナアセンブリと、
燃料キャニスタを蓋に取り付けると共に、前記蓋が前記鍋に取り付けられたときに前記燃料キャニスタを前記鍋内に固定するように構成される燃料キャニスタ取付構造を有する、蓋と、
を含むシステム。
【請求項2】
前記燃料キャニスタの下部に取り付けられるように構成され、かつその基部に回転可能に取り付けられた少なくとも3つの脚を有する燃料スタビライザをさらに備え、
前記燃料スタビライザの前記脚は、使用時には前記基部から離れるように回転し、前記鍋内に収納する際には前記基部と一体となって回転するように構成される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記鍋の高さは、前記燃料キャニスタ取付構造によって前記蓋に固定された前記燃料キャニスタと前記鍋の底部との間に、前記燃料スタビライザを収容するのに十分な空間を提供するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記バーナアセンブリがバーナキャップを含み、
前記鍋支持脚は、前記燃料スタビライザと前記鍋支持脚の鍋支持面とが前記鍋内に収納されて前記鍋の底部にあるときに、前記燃料スタビライザを収納するのに十分な距離だけ前記バーナキャップの上方にある鍋支持面を含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記燃料キャニスタ取付構造は、一方の側では前記燃料キャニスタを前記蓋の外周部に近接して固定し、かつ反対側では前記蓋の外周部から離れるように配置される、中心から外れた燃料キャニスタ取付構造であり、前記蓋が前記鍋に取り付けられたときに前記鍋内で前記燃料キャニスタの横に前記バーナアセンブリを収容する収納スペースを提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記バーナアセンブリの高さは、前記鍋の底壁と前記鍋に取り付けられる前記蓋との間に収容されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記バーナアセンブリは、停止タブを有する
前記バーナ基部である混合管、ウェーブスプリング、及びバーナキャップを含み、
前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々は、前記バーナ基部の混合管の前記長手方向軸の周りに回転されたときに、前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々を収納に適した
互いに重なり合う状態に位置決めするように配置された位置決めタブを含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ライターをさらに備え、
前記燃料キャニスタ取付構造は、前記ライターが前記蓋と前記燃料キャニスタに取り付けられたときに、前記蓋と前記燃料キャニスタとの間に前記ライターを収納するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々は、前記鍋の下端部を内部に収容するために、鍋支持面に配置された鍋置きを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々は、前記鍋支持面に複数のスカラップを含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記燃料キャニスタをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
少なくとも3つの鍋支持脚とバーナ基部とを有するバーナアセンブリと、鍋と、燃料キャニスタと、燃料スタビライザと、を含むコンパクトで収納可能な調理システムのための蓋であって、
前記バーナ基部は前記バーナアセンブリの長手方向軸に沿って延在し、前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々を前記バーナアセンブリの長手方向軸の周りに回転させて互いに重なり合う状態とした際に、前記少なくとも3つの鍋支持脚と前記バーナ基部とがL字状になることで、前記鍋内に収納可能とし、前記燃料キャニスタを蓋に取り付けると共に、前記蓋が前記鍋に取り付けられたときに前記燃料キャニスタを前記鍋内に固定するように構成される燃料キャニスタ取付構造を備える、
蓋。
【請求項13】
前記燃料キャニスタ取付構造は、一方の側では前記燃料キャニスタを前記蓋の外周部に近接して固定し、かつ反対側では前記蓋の外周部から離れるように配置される、中心から外れた燃料キャニスタ取付構造であり、前記蓋が前記鍋に取り付けられたときに前記鍋内で前記燃料キャニスタの横に前記バーナアセンブリを収容する収納スペースを提供する、請求項12に記載の蓋。
【請求項14】
前記蓋に形成された注ぎ口をさらに備え、
前記中心から外れた燃料キャニスタ取付構造は、前記燃料キャニスタを前記注ぎ口の反対側に固定するように配置される、請求項13に記載の蓋。
【請求項15】
前記外周部から外側に延びる取り外しタブをさらに備え、
前記中心から外れた燃料キャニスタ取付構造は、前記取り外しタブに近接して前記燃料キャニスタを固定するように配置される、請求項14に記載の蓋。
【請求項16】
鍋と、燃料キャニスタと、燃料スタビライザと、前記燃料キャニスタを蓋に取り付けると共に、前記蓋が前記鍋に取り付けられたときに前記燃料キャニスタを前記鍋内に固定するように構成される燃料キャニスタ取付構造を有する蓋と、を含むコンパクトで収納可能な調理システムのためのバーナアセンブリであって、
前記バーナアセンブリは、バーナキャップ、使用時に前記バーナキャップを前記燃料キャニスタから離間するように支持するバーナ基部である混合管、及び展開状態で前記バーナキャップの周りに配置される少なくとも3つの鍋支持脚を有し、前記鍋内で前記燃料キャニスタの下方及び側方に収納されるように、前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々を前記バーナアセンブリの長手方向軸の周りに回転させて互いに重なり合う状態とした際に、前記少なくとも3つ鍋支持脚と前記混合管とがL字状となる、
バーナアセンブリ。
【請求項17】
前記鍋支持脚は、前記燃料スタビライザと前記鍋支持脚の鍋支持面とが前記鍋内に収納されて前記鍋の底部にあるときに、前記燃料スタビライザを収納するのに十分な距離だけ前記バーナキャップの上方にある鍋支持面を含む、
請求項16に記載のバーナアセンブリ。
【請求項18】
前記バーナアセンブリの高さは、前記鍋の底壁と前記鍋に取り付けられた前記蓋との間に収容されるように構成される、請求項16に記載のバーナアセンブリ。
【請求項19】
前記バーナアセンブリは
、ウェーブスプリングをさらに備え、前記混合管が停止タブを有し、
前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々は、前記バーナ基部の混合管の前記長手方向軸の周りに回転されたときに、前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々を収納に適した
互いに重なり合う状態に位置決めするように配置された位置決めタブを含む、
請求項16に記載のバーナアセンブリ。
【請求項20】
前記少なくとも3つの鍋支持脚の各々は、前記鍋の下端部を内部に収容するために、鍋支持面に配置された鍋置きを含む、請求項16に記載のバーナアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、携帯型アウトドアコンロに関し、より詳細には、そのすべての部品を単一のパッケージに収納する、収納可能な(packable)バックパック用の調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バックパック旅行及びキャンプで一般的な携帯用コンロの1つのタイプは、予め加圧された気体燃料を含む密閉式の燃料キャニスタを利用するため、キャニスタコンロと呼ばれている。このようなキャニスタコンロは、非常に小さく、コンパクトに折り畳むことができ、重量が数オンスしかないため、装備を運ぶ必要がある場合に最適である。
【0003】
キャニスタコンロの1つの欠点は、調理容器及びその内容物を安全に支持するために、調理容器支持アームが格納位置から展開され、所定の位置に固定されなければならないことである。いくつかの設計では、脚は、側部に突き出た部材によってバーナの混合管に取り付けられて、脚のオーバセンター回転を可能にするので、脚が調理容器を支持する部材の肩部上に載置され得る。残念ながら、これらの部材はコンロの全体的なサイズと重量を増加させ、それは、収納可能な容量及び重量の両方の観点から、その望ましさを減少させる。
【0004】
市場における他の設計では、クリップを利用して脚を展開位置に保持する。このようなクリップは、支持部材よりも重量が少ないが、脚に適切に固定されていない場合、調理容器及びその内容物が脚の上に置かれたときに、安全上の問題が生じる可能性がある。さらに、これらの脚はバーナの混合管に沿って折り畳まれたままであるため、このような設計は、他の装備を詰め込む能力を制限する、収納容積が大きくなるという問題もある。
【0005】
ユーザが調理容器を用意する必要があるスタンドアローン型のキャニスタコンロは、ユーザが用意した大きな鍋をしっかりと保持するために、それらのアームの長さが十分ではない可能性があるという問題がある。これは、調理容器の直径が燃料キャニスタの直径を超える場合や平坦でない地面で使用される場合に特に当てはまる。
【0006】
このような問題を克服するために、一体型キャニスタシステムが導入されている。このような一体型システムは、燃料キャニスタに螺合し、調理鍋や注ぎ口/飲み口を有する蓋と完全に対になるバーナを提供する。また、このような一体型システムは、燃料キャニスタに接続され、調理時にシステムの安定性を高める燃料スタビライザを含む。このような一体型システムでは、燃料キャニスタ、燃料スタビライザ、及びバーナは、背の高い調理鍋内に垂直に配置され、蓋によって収納されて、トレイルやキャンプでの調理に必要なすべてを備えた収納可能な単一のパッケージを形成することができる。このような一体型システムは、本出願の譲受人から入手可能であり、ジェットボイル(登録商標)ブランドで販売されている。
【0007】
このような現在利用可能な一体型キャニスタ調理システムは、多くの利点を提供するが、ハイキング客や キャンプ客は、持ち運び可能な範囲内で追加の装備を詰め込んだり、同じ装備をより軽量に持ち運ぶことでより遠くまで旅行したりできるように、サイズ及び重量の削減を要求し続けている。
【0008】
本発明のコンパクトで収納可能な調理システムの実施形態は、一体型キャニスタ調理システムにおけるそのようなサイズ及び重量の削減を提供する。本発明のこれらの利点及び他の利点は、付加的な発明的特徴と同様に、本明細書において提供される本発明の説明から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0009】
一態様では、本発明の実施形態は、本発明の技術分野に存在する上述の問題のうちの1つ又は複数を克服する、一体型キャニスタ調理システムを提供する。
【0010】
一実施形態では、一体型キャニスタ調理システムの蓋は、燃料キャニスタを、好ましくは調理鍋内の中心から外れた位置に保持する。この構成は、燃料キャニスタと調理鍋との間の金属同士の接触の可能性を低減し、ガタつきや汚れの可能性を低減又は排除する。また、好ましい実施形態では、中心から外れた燃料キャニスタの横に、鍋の側壁に沿って延在する領域(envelope)を開ける。この領域は、収納のために脚が折り畳まれると上述した外部寸法が大きくなるため、従来の折り畳み脚の設計が使用された場合、バーナ基部を保持することができなかった。しかしながら、本発明の一実施形態では、蓋による燃料キャニスタのこの中心から外れた収納は、バーナがより長く(より高く)なるように再構成され、バーナの調理容器支持脚を端部の片側で入れ子にするので、バーナを収容することができる。そして、この結果として生じるL字形の構成は、説明するように収納可能である。
【0011】
一実施形態では、より長いバーナ基部を利用することにより、その構成に鋼(steel)の代わりにアルミニウムを使用することができる。本実施形態のバーナ基部の背の高い構成によれば、炎から遠くなるので、鋼よりも高い熱伝導率を有するにもかかわらず、アルミニウムを使用することができる。これにより、より軽量であるという付加的な利点が提供される。したがって、同じ技術分野における他の一体型キャニスタ調理システムは同様の部品を有するが、本発明の実施形態によれば、それらをすべてまとめてより軽量の小さい領域内に詰め込むことができる。本発明の実施形態では、1つの利点が別の利点をもたらし、別の利点がさらに別の利点をもたらす。
【0012】
本発明の実施形態では、設計上の特徴により、極めてコンパクトな荷造りが可能となり、最大の効率と省スペースとを実現する。蓋は、燃料キャニスタにスナップ嵌めするように設計される。これは、バーナ基部のための理想的なサイズ及び形状のスペースが残るように、燃料キャニスタを鍋内に配置することによって、本発明の実施形態を荷造りする際にユーザを支援する。また、蓋は、燃料キャニスタを蓋内に保持するように設計されて、燃料キャニスタが調理鍋に接触するのを防止する。これにより、鍋内のキャニスタの下には、燃料スタビライザ(及び、特定の実施形態ではバーナ基部)を収納するためのスペースも確保される。
【0013】
有利には、本発明の実施形態において、バーナの鍋支持脚は、収納のためにバーナの軸を中心に横方向に回転するように設計される。単一の大きなジョイントは設計を単純化し、部品数を最小化する。横方向に折り畳み、脚に横方向に折り曲げる機能を加えることで、収納時に、燃料キャニスタと調理鍋の壁と間にある背の高い湾曲したスペースに収まるようにする。この2つの設計要素の組み合わせにより、非常にコンパクトなシステムのためのユニークな収納方法が提供される。
【0014】
特定の実施形態の鍋支持脚の設計は、ユニバーサル調理器具の互換性アプローチと、調理器具とバーナの一体型接続との間のハイブリッドである。これは、ユニークな二重の利点、すなわち、一体型キャニスタ調理システムの一部としてセルフセンタリング型システム(self-centered system)の調理鍋を確保することによって、性能(効率)を最大化するという利点と、付属品やアダプタを使用せずに平底の調理器具と互換性があるという利点とを提供する。
【0015】
本発明の実施形態は、軽量であり、グラム戦略(gram strategy)を利用する。このグラム戦略は、本発明の実施形態に適用され、その結果として生じる部品の設計及び配置はユニークなものとなる。特に、各部品は、小さな節約を積み重ねることを意識して、不要な材料がないか精査される。一実施形態では、システムは、アルミニウム鋳造の取手ブラケットを利用する。一般にこの部品は、プレス加工されたステンレス鋼の板金から作られている。アルミニウムから鋳造することで、軽量でかつ優れたヒンジ/ロック機能を有する、より複雑な形状が実現される。この戦略はまた、重量を削減するために調理鍋の壁の厚さを減らし、さらなる重量削減のためにバーナヘッドにチタンを利用する。さらに、混合管は、上述した通り、好ましい実施形態では、ステンレス鋼の代わりに軽量アルミニウムで作製される。
【0016】
一実施形態では、本発明の調理システムは、直圧式のブタン-プロパン混合ガスを利用する。好ましくは、燃料キャニスタは、EN417又はAS2278規格に適合している。本発明の実施形態は、本出願の譲受人から入手可能な100g/230g/450g のジェットボイ社製のジェットパワー イソブタン/プロパン燃料キャニスタを有利に利用することができる。
【0017】
一実施形態では、本発明の教示に従って作製された荷造りされた調理システムは、まず鍋から収納された収容物を取り出すことによって、使用のために荷解きされてもよい。次に、ユーザは、弁本体からベイルを広げることができる。安全上の理由から、一実施形態では、ユーザは次に、ベイルを時計回りに回すことによって、制御弁を閉じるべきである。次に、ユーザは、キャニスタに接続する前に、弁の接続部の異物をチェックし、Oリングが所定の位置にあり、良好な状態にあることを確認する。次に、ユーザは、2つをネジ留めすることによって、燃料キャニスタを弁に接続する。次に、ユーザは、スタビライザの脚を広げ、スタビライザを燃料キャニスタにしっかりと取り付ける。燃料キャニスタは、スタビライザの把持部に嵌め込まれる。その後、ユーザは、鍋支持脚を完全に広げる。次に、ユーザは、組み立てられたコンロを、あらゆる可燃性物質や着火源から少なくとも1m/3.3フィート離れた平らな平坦な面に置くことができる。
【0018】
次に、ユーザは、水又は内容物を鍋に加え、弁を完全に開き、炎に点火する。次に、内容物を入れた鍋をバーナ上に置いて、必要に応じて火を弱めることができる。鍋の内容物が完全に加熱されると、火を止め、鍋を取り出し、内容物を消費することができる。
【0019】
一実施形態では、調理システムが冷却され、鍋が洗浄された後に調理システムを荷造りするために、調理システムの部品は互いから切り離される。次に、燃料キャニスタは、蓋に接続され、固定される。好ましい実施形態では、燃料キャニスタは、中心から外れた位置で蓋に固定される。特定の実施形態では、小型ライター、例えばミニライター又はミニポケットライターは、燃料キャニスタの底部と蓋との間に収容されてもよい。燃料スタビライザの脚は折り畳まれ、燃料スタビライザは鍋の底部に配置される。バーナの鍋支持脚は、それらの収納位置まで回転され、ベイルはその収納位置まで折り畳まれる。次に、折り畳まれたバーナアセンブリは、鍋支持脚が鍋の底部及び側壁に沿い、バーナ混合管が側壁に沿って鍋の底部から上方に延在するように、鍋の底部内に配置される。この向きにより、蓋に固定された燃料キャニスタは、中心から外れた位置で鍋の中に収まることになり、好ましい実施形態では、折り畳まれた燃料スタビライザが燃料キャニスタの下方にある状態で、上方に延びるバーナ混合管の横に収まることになる。蓋が鍋に固定されると、鍋の取手は蓋の上に反転され、コンパクトで収納可能な調理システムの荷造り(packing)が完了する。
【0020】
本発明の他の態様、目的及び利点は、添付図面を参照する以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を示し、説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の教示に従って構成され、利用のために完全に組み立てられた、コンパクトで収納可能な調理システムの一実施形態を示す等角図である。
【
図2】
図2は、分解されているが展開状態にある、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムを示す分解等角図である。
【
図3】
図3は、使い捨てライターを含み、分解され、収納可能な状態にある、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムを示す分解等角図である。
【
図4】
図4は、分解され、部分的に収納された、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムを示す部分分解等角図である。
【
図5】
図5は、鍋内に配置される部品の相対的な向きを示すために、分解され、部分的に収納された、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムを示す部分分解等角図である。
【
図6】
図6は、持ち運び用に完全に収納された、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムを示す等角図である。
【
図7】
図7は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの蓋の一実施形態を示す5つの標準的な図の1つである。
【
図8】
図8は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの蓋の一実施形態を示す5つの標準的な図の1つである。
【
図9】
図9は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの蓋の一実施形態を示す5つの標準的な図の1つである。
【
図10】
図10は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの蓋の一実施形態を示す5つの標準的な図の1つである。
【
図11】
図11は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの蓋の一実施形態を示す5つの標準的な図の1つである。
【
図12】
図12は、鍋固定構造及び燃料キャニスタ固定構造の両方をより詳細に示す、
図7~
図11の蓋の縁部を示す部分断面図である。
【
図13】
図13は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムのバーナアセンブリの一実施形態を示す分解等角図である。
【
図19】
図19は、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの調理容器の一実施形態を示す分解等角図である。
【
図22】
図22は、格納された構成における、
図1のコンパクトで収納可能な調理システムの燃料キャニスタスタビライザの一実施形態を示す上面図である。
【
図23】
図23は、展開された構成における、
図22の燃料キャニスタスタビライザを示す側面図である。
【
図24】
図24は、展開された構成における、
図22の燃料キャニスタスタビライザを示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、特定の好適な実施形態に関連して説明されるが、これらの実施形態に限定する意図ではない。それとは逆に、添付する特許請求の範囲により規定される本発明の主旨及び範囲内に含まれるように、すべての代替、改変、及び均等物を包含することを意図している。
【0024】
ここで図面を参照すると、本発明の教示に従って構成されたコンパクトで収納可能な調理システムの一実施形態が示されている。以下の説明では、多数の図面に示される実施形態を利用するが、当業者であれば、本発明の範囲が図示された実施形態に限定されず、そのような実施形態及びその説明は、限定としてではなく、例としてとらえられるべきであることを認識するであろう。
【0025】
このことを念頭に置いて、完全に組み立てられた収納可能な調理システム100が、完全に組み立てられ、すぐに使用できる形態で図示されている
図1に注目されたい。このシステム100は、好ましくは、燃料キャニスタ104に取り付けられた燃料スタビライザ102を含む。バーナアセンブリ106は、燃料キャニスタ104に取り付けられ、その上に調理容器又は鍋108を支持する。鍋108は、蓋110を被せられて、完全に組み立てられた収納可能な調理システム100を完成させる。
【0026】
持ち運び用に調理システム100を荷造りするために、部品は、
図2の分解等角図に示すように分解される。いったん分解されると、様々な部品は、それらを荷造りの準備が整った格納可能な状態にするために操作される。具体的には、
図3に示すように、燃料スタビライザ102の脚112は、燃料スタビライザ102の本体に沿ってその収納位置(storage position)まで回転される。バーナアセンブリ106のベイル(bail)114は、その格納位置(stowed position)に折り畳まれ、鍋支持脚116の各々は、バーナアセンブリ106の長手方向軸を中心にそれらの格納位置まで回転されて、L字形構成を形成する。
図3はまた、燃料キャニスタ104が、収納のために蓋110に取り付けられ得るように反転されていることを図示している。
図3はまた、ライター118も、必要なときにユーザが利用できるように、蓋110と燃料キャニスタ104との間に格納され得るという、図示された実施形態の特定の利点を示している。
【0027】
ここで
図4を参照すると、バーナアセンブリ106及び燃料スタビライザ102は、鍋108内に収納するために蓋110に取り付けられた燃料キャニスタ104を収容できるように配置されていることが分かる。部品間のこの収容状態は、蓋110、鍋108、バーナアセンブリ106、及び燃料スタビライザ102の相対的な配置及び向きが示されている
図5を参照すると、最もよく理解できるであろう。
図5の説明から理解され得るように、これらの部品は鍋108の中に上手く収まるであろう。調理システム100の荷造りを完了するために、取手120は、
図6に示されるように、その展開位置から蓋110の上部にあるその格納位置まで回転される。
【0028】
続けて、本発明の一実施形態の収納可能な調理システム100の部品の分解及び荷造りについて説明するが、当業者であれば、調理システム100を使用するための部品の荷解き及び組み立ては、基本的には逆の操作に従うが、組み立て後の安全で効率的な動作を保証するために、例えば、燃料キャニスタに取り付ける前に、バーナアセンブリの燃料制御弁を閉じるためにベイルを回転させることを確実にするために、途中でいくつかの安全チェックを行うことを理解するであろう。
【0029】
上記の説明を念頭に置いて、個々の部品を詳細に説明する前に、本発明の収納可能な調理システム100によって提供される利点につながる新規な特徴及び設計のトレードオフを考慮することが有益である。特に、アルミニウムはステンレス鋼よりも軽量であることが知られており、したがって、長距離にわたって頻繁に持ち運ばなければならないハイキング及びキャンプ用の装備の構造において、そのような軽量材料を利用する自然な動機が存在する。残念なことに、そのような軽量材料はまた、典型的にはより高い熱伝導率を有し、調理作業を可能にするために温度が意図的に上昇されるコンロのような装備においてそれらの使用が特に問題となる。
【0030】
本発明の実施形態では、バーナ基部の混合管をより長くすると、実際のバーナ表面からの距離が長くなり、それによって、ユーザ作動弁に熱を伝えるアルミニウムの高い熱伝導率がその性能を変化させたり、熱すぎて触れることができなくなったりする可能性を低減するという知見から、アルミニウムが利用可能になることが認識された。しかしながら、バーナアセンブリの長さの増加に起因する高さの増加により、調理鍋の荷重が地面からより高い位置に置かれるため、不安定性を増加させる傾向があり得るので、このような調理システムでは推奨されない。このようなリスクは、コンロが置かれる表面が完全に平坦であることが保証されないキャンプ環境で使用される場合、特に受け入れ難いものであることが一般的である。したがって、バーナアセンブリの高さが高くなると、鍋の荷重が支持面からより遠くなり、トルクアームが増加してコンロを不安定にする可能性がある。
【0031】
しかしながら、本発明の好ましい実施形態は、そのような不安定性の増加という潜在的な問題を生じない。なぜなら、調理鍋は、すべての部品が鍋の中で垂直に積み重ねられる典型的なシステムの鍋よりも短く、広くなるように修正され得ることが認識されたからである。また、燃料スタビライザを使用することにより、バーナアセンブリの高さがより高くなっても、不安定になる可能性は低くなる。しかしながら、燃料キャニスタのサイズが規格化されているため、燃料キャニスタの側壁と調理鍋の内部側壁との間のスペースは、いくらか増加する。
【0032】
しかしながら、鍋の側壁と燃料キャニスタとの間のこの距離の増加は、典型的には鍋支持脚がバーナアセンブリの軸方向長さに沿って格納位置に折り畳まれることを必要とする、従来の非一体型のキャニスタコンロのバーナアセンブリを収容するのに十分な大きさではない。その理由は、バーナアセンブリの混合管の軸方向長さの外側に沿って鍋支持脚が存在することにより、格納状態のバーナアセンブリの外径が増大し、ちょうど説明したように、不安定性の問題を引き起こす可能性がある垂直積層構成以外の適当なサイズの鍋に収容することができなくなるためである。
【0033】
しかしながら、本発明の実施形態のバーナアセンブリでは、鍋支持脚は、バーナアセンブリの軸方向長さの外側に沿って格納されるように回転するのではなく、代わりに、格納状態のL字形構成を形成するようにバーナアセンブリの軸の周りを回転する。この構成により、鍋支持脚が鍋の底部に沿って燃料キャニスタの下方及び側方にあり、鍋の内壁に沿って燃料キャニスタの横に、格納状態のバーナアセンブリを収容することを可能にする。しかしながら、この収容を可能にするために、燃料キャニスタは、燃料キャニスタのスタビライザ及び鍋支持脚を収納するための領域をその下に提供するように、鍋及び蓋の中心から外れ、鍋の底部から外れた位置に保持されるように、蓋に取り付けられる。
【0034】
ここで明らかなように、本発明の実施形態の設計は、より軽量でよりコンパクトな収納、及び動作における安定性及び有用性の向上という重要な効果を達成するために、当技術分野における従来の知識によって注意を促されている設計上の特徴を採用する。
【0035】
ここで
図7~
図11を参照すると、本発明の収納可能な調理システムの好ましい実施形態の蓋110の標準工学図が示されている。
図7の上面図から分かるように、蓋110は、その中心が蓋の全体的な中心からオフセットされている、中心から外れた円形の燃料キャニスタ取付構造122を含む。この中心オフセットは、キャニスタ取付構造122の中心124が、蓋110自体の中心124からずれている
図8において最もよく理解され得る。図示された好ましい実施形態では、蓋110のキャニスタ取付構造122は、取り外しタブ130の近くの、注ぎ口128とは反対側の蓋外周部近くに配置されるが、これらの3つの構造122、128、130の相対的な配置は、異なる実施形態においては変化してもよい。とはいえ、オフセットは、キャニスタ取付構造122に取り付けられている燃料キャニスタの横にある、バーナアセンブリのための領域収容部を提供する。
【0036】
図12に示される蓋110の部分断面を参照すると、取り外しタブ130による蓋の側部に対するキャニスタ取付構造122の相対的な向きを、より詳細に見ることができる。実際、
図12から、蓋110は、鍋108のリップに嵌合して蓋をその上に固定するための溝132を含むことが分かる。蓋110の内側には、キャニスタ取付構造122の周囲にキャニスタ保持フランジ134が設けられて、燃料キャニスタをその基部ビード(base bead)によってその中にしっかりと保持することも観察され得る。このキャニスタ保持フランジ134は、システムが完全に荷造りされると、ハイキング又は他の活動中に不注意で外れないように、燃料キャニスタをしっかりと保持する。
【0037】
ここで
図13を参照すると、その部品を示すバーナアセンブリ106の分解等角図が示されている。図から分かるように、複数のガス開口を有するバーナキャップ136は、ウェーブスプリング138及び個々の鍋支持脚116を介してバーナ基部の混合管140に連結される。位置決めピン142は、バーナキャップ136をバーナ基部の混合管140に組み付けた後、その上に固定する。鍋支持脚116の各々は、調理中にユーザが付属のシステム調理鍋を鍋支持脚116上に適切に配置するのを助けるために、セルフセンタリング鍋置き(pot land)144を含む。また、鍋支持脚116は、水平でない状況で利用される場合に、鍋支持脚116から容器が滑る可能性を低減するように、本発明のシステムと共に利用され得る他の調理容器の固定を補助するために、それらの支持面に沿って複数のスカラップ(scallops)を含む。
【0038】
図14は、ベイル114及び鍋支持脚116が展開された構成で示された、組み立て後のバーナアセンブリ106を示す。
図15は、同じバーナアセンブリ106を示しており、その鍋支持脚116は、バーナアセンブリ106の長手方向軸を中心にその格納位置まで回転されている。ベイル114もまた、その格納位置で図示されている。
図15は、直立位置にあるバーナアセンブリ106の格納された構成を示しているが、収納中は、バーナアセンブリ106はL字形構成に類似するようにひっくり返される。
【0039】
前述の図の検討から当業者には明らかであるように、3つの鍋支持脚116の各々は、バーナアセンブリ上の格納位置において、それらの適切な入れ子状態(nesting)を可能にするために、異なる構成を有している。具体的には、
図16が「上側鍋支持脚116T」を示し、
図17は中央鍋支持脚116Mを示し、
図18は下側鍋支持脚116Bを示す。なお、上側、中央、及び下側の指定は、バーナ基部の混合管140が下側を規定し、かつバーナキャップ136が上側を規定する(
図13に示す)状態で見た場合の、脚の組立順序を指すことに留意されたい。
【0040】
また、
図16~
図18から分かるように、個々の鍋支持脚116の各々は、鍋支持脚がその適切な格納位置まで回転されたときに
図13に示される停止タブ146に突き当たる位置決めタブ148を含む。言い換えれば、鍋支持脚116は、位置決めタブ148が停止タブ146に接触するまで、バーナアセンブリ106の長手方向軸を中心に回転させることができる。これにより、3つの鍋支持脚116の各々が適切に入れ子にされ、荷造り作業(packing operation)中及び作業後において、バーナアセンブリ106が鍋の中に完全に収容され得ることが保証される。
【0041】
図19は、容器150、フラックスリング(登録商標)加熱コイル152、及びシュラウド(shroud)154を示す鍋108の部分分解図を示す。フラックスリング(登録商標)加熱コイル152及びシュラウド154を示す鍋108の底面図を
図20に示す。
図21は、これらの部品を同様に示す、組み立て後の鍋108の側面図である。
【0042】
図22~
図24は、燃料スタビライザ102を、それぞれ、格納された構成の上面図、展開された構成の側面図、及び展開された構成の上面図で示している。これらの図から分かるように、燃料スタビライザ102は、三角形の基部156と、その角部に回転可能に取り付けられた3つの脚112とを含む。
図23から最もよく分かるように、脚112の各々は、燃料スタビライザ102を、それと共に使用するための2つの最も一般的な標準的な燃料キャニスタサイズにしっかりと取り付けるために、燃料キャニスタ固定タング160、162を含む。追加の脚が設けられてもよいが、図示の実施形態では、特に、平坦ではない条件の地面で使用する場合に、組み立て後の調理システムが動作中に転倒する可能性を大幅に低減するために、接触ベースを広げることによって、展開された調理システムの安定性を大幅に向上させる。
【0043】
本明細書中で引用される刊行物、特許出願、及び特許を含むすべての文献は、各文献が個々にかつ具体的に参照により組み込まれることが示され、その全体が本明細書に記載されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0044】
本発明を説明する文脈における(特に、以下の特許請求の範囲の文脈における)、用語「a」及び「an」及び「The」並びに同様の参照語句の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は明らかに文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方を包含すると解釈されるべきである。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、及び「含む(containing)」は、特に断りがない限り、オープンエンドターム(すなわち「~を含むが、これに限定されない」という意味)として解釈されるものとする。本明細書中の数値範囲の記載は、本明細書中で特に指定しない限り、単にその範囲内にある各値を個別に参照するための略記法としての役割を果たすことだけを意図しており、各値は本明細書中で個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書で説明されるすべての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、或いは明らかに文脈と矛盾しない限り、任意の適切な順序で実行され得る。本明細書中で使用する任意の例又は例示的な言い回し(例えば「など」)は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することだけを意図し、本発明の範囲に対する制限を設けるものではない。本明細書におけるいかなる文言も、特許請求されていない要素が本発明の実施に不可欠であることを示していると解釈されるべきではない。
【0045】
本発明の好ましい実施態様は、発明者らが知っている本発明を実施するための最良の形態を含めて本明細書で説明されている。これらの好ましい実施態様の変形は、上述の説明を読めば当業者には明らかとなり得る。本発明者は、当業者がこのような変形を適宜適用することを期待しており、本明細書中で具体的に説明される以外の方法で発明が実施されることを意図している。したがって、本発明は、適用される法律によって許可されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載された主題のすべての変形及び均等物を含む。更に、本明細書に別段の指示がない限り、又は明らかに文脈と矛盾しない限り、そのすべての可能な変形における上述の要素の任意の組み合わせも、本発明に包含される。