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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0834 20230101AFI20240411BHJP
【FI】
G06Q10/0834
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024020229
(22)【出願日】2024-02-14
【審査請求日】2024-02-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508342998
【氏名又は名称】株式会社セブン&アイ・ホールディングス
(73)【特許権者】
【識別番号】591156788
【氏名又は名称】株式会社セブン-イレブン・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】我妻 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】角田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】大甲 隼土
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲詩
(72)【発明者】
【氏名】尹 盛郁
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 昌寛
(72)【発明者】
【氏名】柴原 伸泰
(72)【発明者】
【氏名】芳野 さゆり
(72)【発明者】
【氏名】高島 望
(72)【発明者】
【氏名】沼田 篤彦
(72)【発明者】
【氏名】竹田 匡範
(72)【発明者】
【氏名】川鍋 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 直人
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 陽一
(72)【発明者】
【氏名】趙 暘
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 宏明
(72)【発明者】
【氏名】杉山 純也
(72)【発明者】
【氏名】新居 義典
(72)【発明者】
【氏名】安達 到
(72)【発明者】
【氏名】小寺 高載
(72)【発明者】
【氏名】大北 要
(72)【発明者】
【氏名】田川 翔
(72)【発明者】
【氏名】中島 崇博
【審査官】深津 始
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-154476(JP,A)
【文献】特開2023-184340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 -G06Q 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実店舗で取り扱っている商品に対する注文を受け付けた際に、前記商品を配送する配送員各々の現在地から前記実店舗までの移動時間を算出し、当該移動時間の加重平均を算出する加重平均算出部と、
算出された前記移動時間の加重平均、及び前記実店舗から前記商品を注文した顧客が指定した届け先までの移動時間に基づいて、前記届け先に前記商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出する配送時間算出部と、
を備え、
前記加重平均算出部は、前記移動時間によって前記配送員が前記商品を届ける配送担当になる確率を重みにして前記移動時間の加重平均を算出する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記加重平均算出部は、前記配送員が現時点で他の前記商品を配送する担当者になっていない場合に、前記配送員の現在地から前記実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除算することで、前記配送員の現在地から前記実店舗までの移動時間を算出する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記加重平均算出部は、前記配送員が現時点で他の前記商品を配送する担当者になっており、当該他の前記商品を集荷中である場合に、前記配送員の現在地から前記実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除して算出した時間に、集荷に要する時間として予め定めた所定の集荷時間を加算することで、前記配送員の現在地から前記実店舗までの移動時間を算出する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記加重平均算出部は、前記配送員が現時点で他の前記商品を配送する担当者になっており、当該他の前記商品を配達中である場合に、前記配送員の現在地から前記実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除して算出した時間に、配達に要する時間として予め定めた所定の配達時間を加算することで、前記配送員の現在地から前記実店舗までの移動時間を算出する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記加重平均算出部は、前記配送員が現時点で他の前記商品の配送を担当している件数が上限件数以上である場合に、当該配送員の移動時間を、前記移動時間の加重平均を算出する対象から除外する、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記配送担当になる確率は、前記配送員の現在地から前記実店舗までの移動時間が長くなるに従って段階的に低くなる、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記商品に対する注文が確定した場合に、当該商品の配送担当に決まった前記配送員が当該配送員の現在地から前記実店舗を経由して前記顧客が指定した届け先まで移動するのに要する時間、及び当該移動するのに要する時間以外に要する時間として予め定めた所定の加算時間を用い、予定される配達日時を算出する配達日時算出部を、さらに備える、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記商品に対する注文を実行した顧客端末に対し、算出された前記目安となる配送時間を提示する提示部を、さらに備える、
請求項1記載の情報処理装置。
【請求項9】
プロセッサにより実行される方法であって、
実店舗で取り扱っている商品に対する注文を受け付けた際に、前記商品を配送する配送員各々の現在地から前記実店舗までの移動時間を算出し、当該移動時間の加重平均を算出するステップと、
算出された前記移動時間の加重平均、及び前記実店舗から前記商品を注文した顧客が指定した届け先までの移動時間に基づいて、前記届け先に前記商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出するステップと、
を含み、
前記移動時間の加重平均を算出するステップは、前記移動時間によって前記配送員が前記商品を届ける配送担当になる確率を重みにして前記移動時間の加重平均を算出する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を届ける時間を算出する情報処理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、顧客が注文した商品の推定配達時間を算出して顧客に提示するシステムが開示されている。このシステムでは、商品が注文されると、配送員が店舗を出発する推定店舗出発時間に、店舗から配達場所までの推定移動時間と、店舗と配達車両間及び配達車両と顧客の戸口間を歩行する時間とを加算して推定配達時間を算出している。推定店舗出発時間は、店舗で商品を準備する時間や割り当てられた配送員が店舗を出発できるようになる時間を逐次収集し、それらの平均値に基づいて算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-519854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のシステムでは、推定店舗出発時間を過去のデータの平均値に基づいて算出している。しかし、例えば、店外で不規則に散在して動き回っている配送員を配送担当に決めるようなシステムでは、注文時の配送員の散在状況により、推定店舗出発時間が大きく変動することも想定される。このような場合、過去のデータの平均値に基づく推定店舗出発時間を用いると、実際の店舗出発時間とかけ離れた時間になり、推定配達時間の誤差が大きくなってしまう。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、商品を届け先に届ける目安の時間を算出する精度を高めることができる情報処理装置及び配送支援プログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、実店舗で取り扱っている商品に対する注文を受け付けた際に、商品を配送する配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出し、当該移動時間の加重平均を算出する加重平均算出部と、算出された移動時間の加重平均、及び実店舗から商品を注文した顧客が指定した届け先までの移動時間に基づいて、届け先に商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出する配送時間算出部と、を備え、加重平均算出部は、移動時間によって配送員が商品を届ける配送担当になる確率を重みにして移動時間の加重平均を算出する。
【0007】
本発明の他の態様に係る方法は、プロセッサにより実行される方法であって、実店舗で取り扱っている商品に対する注文を受け付けた際に、商品を配送する配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出し、当該移動時間の加重平均を算出するステップと、算出された移動時間の加重平均、及び実店舗から商品を注文した顧客が指定した届け先までの移動時間に基づいて、届け先に商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出するステップと、を含み、移動時間の加重平均を算出するステップは、移動時間によって配送員が商品を届ける配送担当になる確率を重みにして移動時間の加重平均を算出する。
【0008】
これらの態様によれば、実店舗で取り扱っている商品の注文を受け付けた際に、配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出し、移動時間に依存する配送担当になる確率を重みにして移動時間の加重平均を算出し、その移動時間の加重平均と、実店舗から顧客が指定した届け先までの移動時間と、を用いて、商品を届け先に届ける目安の配送時間を算出することができる。
【0009】
これにより、商品の注文を受け付けた際に、配送担当になる可能性がある複数の配送員の予想移動時間に基づいて、顧客が指定した届け先に商品を届ける目安の時間を精度よく算出することが可能となる。
【0010】
上記態様において、加重平均算出部は、配送員が現時点で他の商品を配送する担当者になっていない場合に、配送員の現在地から実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除算することで、配送員の現在地から実店舗までの移動時間を算出してもよい。
【0011】
この態様によれば、現時点で配送担当になっていない配送員の移動時間を、その配送員が移動する距離と所定の移動速度とを用いて算出することができる。
【0012】
上記態様において、加重平均算出部は、配送員が現時点で他の商品を配送する担当者になっており、当該他の商品を集荷中である場合に、配送員の現在地から実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除して算出した時間に、集荷に要する時間として予め定めた所定の集荷時間を加算することで、配送員の現在地から実店舗までの移動時間を算出してもよい。
【0013】
この態様によれば、現時点で他の商品を集荷している配送員の移動時間を、その配送員が移動する距離と所定の移動速度とを用いて算出し、その算出した移動時間に、集荷に要する時間を加えて移動時間を算出できるため、集荷している配送員に依存する状況を反映させた移動時間を算出することが可能となる。
【0014】
上記態様において、加重平均算出部は、配送員が現時点で他の商品を配送する担当者になっており、当該他の商品を配達中である場合に、配送員の現在地から実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除して算出した時間に、配達に要する時間として予め定めた所定の配達時間を加算することで、配送員の現在地から実店舗までの移動時間を算出してもよい。
【0015】
この態様によれば、現時点で他の商品を配達している配送員の移動時間を、その配送員が移動する距離と所定の移動速度とを用いて算出し、その算出した移動時間に、配達に要する時間を加えて移動時間を算出できるため、配達している配送員に依存する状況を反映させた移動時間を算出することが可能となる。
【0016】
上記態様において、加重平均算出部は、配送員が現時点で他の商品の配送を担当している件数が上限件数以上である場合に、当該配送員の移動時間を、移動時間の加重平均を算出する対象から除外してもよい。
【0017】
この態様によれば、配送員ごとの配送担当件数の均一化を図ることが可能となる。
【0018】
上記態様において、配送担当になる確率は、配送員の現在地から実店舗までの移動時間が長くなるに従って段階的に低くなってもよい。
【0019】
この態様によれば、移動時間が短いほど配送担当になる確率を高くする運用に合わせて移動時間の加重平均を算出し、その移動時間の加重平均に基づいて商品を届ける目安時間を算出できるため、より実情を反映させた目安時間を算出することが可能となる。
【0020】
上記態様において、商品に対する注文が確定した場合に、当該商品の配送担当に決まった配送員が当該配送員の現在地から実店舗を経由して顧客が指定した届け先まで移動するのに要する時間、及び当該移動するのに要する時間以外に要する時間として予め定めた所定の加算時間を用い、予定される配達日時を算出する配達日時算出部を、さらに備えてもよい。
【0021】
この態様によれば、商品に対する注文が確定し、その商品の配送担当が決まった後は、その配送担当に依存する状況に基づいて配達日時を算出することが可能となる。
【0022】
上記態様において、商品に対する注文を実行した顧客端末に対し、算出された目安となる配送時間を提示する提示部を、さらに備えてもよい。
【0023】
この態様によれば、商品を注文した顧客は、提示された配送時間を確認することで、商品が届けられる目安の時間を認識することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、商品を届け先に届ける目安の時間を算出する精度を高めることができる情報処理装置及び方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態に係る情報処理装置を含む情報処理システムの構成を例示する図である。
図2】情報処理装置の構成を例示する図である。
図3】顧客端末の構成を例示する図である。
図4】情報処理装置の機能的な構成を例示する図である。
図5】他の商品の配送担当になっていない配送員を例示する図である。
図6】他の商品を配達中である配送員を例示する図である。
図7】他の商品を集荷中である配送員を例示する図である。
図8】所定の上限移動時間を超える配送員を例示する図である。
図9】顧客端末に表示される画面の一例を示す図である。
図10】顧客端末に表示される画面の一例を示す図である。
図11】情報処理システムにおける動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0027】
[情報処理システムの概要]
本実施形態では、例示的に、ネットコンビニを利用して顧客が商品を注文し、その注文した商品を顧客が指定した届け先まで届ける際に利用される情報処理システムについて説明する。ネットコンビニは、コンビニエンスストアの実店舗で販売している商品をネットワーク経由でも販売し、顧客により注文された商品を、実店舗から顧客が指定した届け先まで届けるサービスである。顧客は、実店舗で取り扱っている商品の中から所望の商品をネットコンビニで注文することができる。
【0028】
図1を参照して、実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システムの構成について説明する。情報処理システムは、例えば、情報処理装置1と、ネットコンビニで商品を注文する顧客が用いる顧客端末2と、を備える。
【0029】
情報処理装置1は、例えば、ネットコンビニでの注文に関する情報や、実店舗に関する情報、顧客に関する情報、配送員に関する情報、配送会社に関する情報などを管理するサーバ装置である。この情報処理装置1は、例えば、商品の注文を受け付けた時にその商品を顧客が指定した届け先まで届けるのに要する目安時間を算出する処理などを実行する。
【0030】
本実施形態では、説明の便宜のために、情報処理装置1が1台のサーバ装置により構成される場合について説明する。しかし、情報処理装置1を構成するサーバ装置は、必ずしも1台である必要はなく、役割や機能などに応じて設けられる複数のサーバ装置により構成されてもよい。
【0031】
顧客端末2として、例えば、スマートフォンを用いることができるが、これに限定されず、可搬型端末であればよい。
【0032】
情報処理装置1及び顧客端末2は、ネットワークNを介して通信できるように構成される。ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN、専用線、電話回線、企業内ネットワーク、移動体通信網、ブルートゥース(登録商標)、WiFi(Wireless Fidelity)、その他の通信回線、それらの組み合わせなどのいずれであってもよく、有線であるか無線であるかを問わない。
【0033】
[情報処理装置の構成]
図2に示すように、情報処理装置1は、例えば、プロセッサ11と、記憶装置12と、通信部13と、を備える。
【0034】
プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などである。プロセッサ11は、記憶装置12に記憶されているプログラム121を実行することで、情報処理装置1の各種の機能を実現する制御部として機能する。
【0035】
記憶装置12は、例えば、ディスクドライブ又は半導体メモリなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶装置12には、例えば、プログラム121や、このプログラム121で用いられるデータ122などが格納される。
【0036】
データ122には、例えば、ネットコンビニでの注文に関する注文情報、実店舗に関する店舗情報、商品を注文する顧客に関する顧客情報、商品を配送する配送員に関する配送員情報、及び配送会社に関する配送会社情報などが含まれる。なお、配送員は、配送会社の従業員に限定されず、実店舗が雇用又は契約する配送員であってもよい。
【0037】
通信部13は、ネットワークNに接続し、ネットワークN上の他の装置や端末と通信するインターフェースである。
【0038】
[顧客端末の構成]
図3に示すように、顧客端末2は、例えば、プロセッサ21と、記憶装置22と、通信部23と、表示部24と、入力部25と、を備える。
【0039】
プロセッサ21は、例えば、CPUやMPUなどである。プロセッサ21は、記憶装置22に記憶されているプログラム221を実行することで、顧客端末2の各種の機能を実現する制御部として機能する。
【0040】
記憶装置22は、例えば、半導体メモリ又はディスクドライブなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。この記憶装置22には、例えば、プログラム221や、このプログラム221で用いられるデータなどが格納される。
【0041】
通信部23は、ネットワークNに接続し、ネットワークN上の他の端末や装置と通信するインターフェースである。
【0042】
表示部24は、例えば、タッチパネルを有するディスプレイであり、画像や画面などを表示する。
【0043】
入力部25は、例えば、タッチパネル、ペンタブレット、キーボード、マイクであり、顧客による操作指示などの入力を受け付ける。
【0044】
[情報処理装置の機能]
図4を参照して、情報処理装置1のプログラム121を実行することで実現する機能について説明する。情報処理装置1は、機能的な構成として、例えば、加重平均算出部111と、配送時間算出部112と、配達日時算出部113と、提示部114と、を有する。各部について、以下に説明する。
【0045】
加重平均算出部111は、実店舗で取り扱っている商品に対する注文を顧客から受け付けた際に、配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出する。
【0046】
配送員の現在地から実店舗までの移動時間は、配送員の現在地から実店舗までの距離を、予め定めた所定の移動速度で除することで算出する。
【0047】
配送員の現在地から実店舗までの距離は、例えば、配送員の現在地から実店舗までの直線距離に、所定の係数を乗ずることで算出できる。所定の係数は、例えば、1.5などのように、実際の道路に従って移動した場合に直線距離よりも増加する距離を勘案して定めることが好ましい。
【0048】
所定の移動速度は、配送員の移動手段や地域特性などに基づいて、地域ごと又は店舗ごとに定めることが好ましい。移動手段には、例えば、徒歩、自転車、自動二輪、乗用車などを含めることができる。地域特性は、自然条件や地勢の違いなどによる特性である。
【0049】
加重平均算出部111は、上記で算出した移動時間に対して、所定の条件に応じて設定される付加時間を加算する。所定の条件として、例えば、配送員が他の商品の配送担当になっているかどうかや、配送員が他の商品を配達中であるかどうか、配送員が他の商品を集荷中であるかどうかなどを含むことができる。以下に、所定の条件に応じて設定される付加時間について説明する。
【0050】
配送員が他の商品の配送担当になっていない場合には、上記で算出した移動時間に対して付加時間を加算しない。配送担当とは、顧客が注文した商品を、実店舗から顧客が指定した届け先まで配送する担当者のことである。
【0051】
図5に、他の商品の配送担当になっていない配送員Daを例示する。この配送員Daは、顧客が指定した届け先Caにのみ商品を届けることになる。配送員Daの移動時間を算出する際に、配送員Daの現在地から実店舗Saまでの直線距離に基づいて現在地から実店舗Saまでの移動時間が算出される。そして、この配送員Daは他の商品の配送担当になっていないため、算出された移動時間に対して付加時間は加算されない。
【0052】
次に、配送員が他の商品の配送担当になっている場合には、(a)配送員が他の商品を配達中であるか、(b)配送員が他の商品を集荷中であるかによって、移動時間に加算する付加時間が異なる。
【0053】
(a)配送員が他の商品を配達中である場合には、上記で算出した移動時間に対し、付加時間として所定の配達時間を加算する。所定の配達時間は、配達に要する時間として予め定められる時間であり、過去のデータを用いて統計的に算定することが好ましい。
【0054】
図6に、他の商品を配達中である配送員Dbを例示する。この配送員Dbは、顧客が指定した届け先Caに商品を届ける前に、他の顧客が注文した商品を他の顧客が指定した届け先Cbに届けることになる。配送員Dbの移動時間を算出する際に、配送員Dbの現在地から実店舗Saまでの直線距離に基づいて現在地から実店舗Saまでの移動時間が算出される。そして、この配送員Dbは他の商品を配達中であるため、算出された移動時間に対し、付加時間としての所定の配達時間が加算される。
【0055】
(b)配送員が他の商品を集荷中である場合には、上記で算出した移動時間に対し、付加時間として所定の集荷時間を加算する。所定の集荷時間は、集荷に要する時間として予め定められる時間であり、過去のデータを用いて統計的に算定することが好ましい。この所定の集荷時間は、他の商品を集荷する時間に加え、他の商品を配達する時間も含むため、上記(a)の所定の配達時間よりも長い時間になる。
【0056】
図7に、他の商品を集荷中である配送員Dcを例示する。この配送員Dcは、顧客が指定した届け先Caに商品を届ける前に、他の顧客が注文した商品を他の実店舗Sbで集荷し、他の顧客が指定した届け先Cbに届けることになる。配送員Dcの移動時間を算出する際に、配送員Dbの現在地から実店舗Saまでの直線距離に基づいて現在地から実店舗Saまでの移動時間が算出される。そして、この配送員Dbは他の商品を集荷中であるため、算出された移動時間に対し、付加時間としての所定の集荷時間が加算される。
【0057】
図4の説明に戻る。加重平均算出部111は、上記で算出した配送員各々の移動時間の加重平均を算出する。例えば、以下の式(1)により、移動時間の加重平均WAAを算出する。
【0058】
【数1】
【0059】
ここで、式(1)のうち、xは配送員を示すものであり、iはn人の配送員に対して付与する1~nのインデックスであり、f(xi)はある配送員xiの移動時間であり、p(xi)はある配送員xiが配送担当として選定される確率である。
【0060】
式(1)に示すように、ある配送員xiの移動時間f(xi)によってその配送員xiが配送担当になる確率p(xi)を重みにして、移動時間の加重平均WAAを算出する。
【0061】
配送担当になる確率p(xi)は、移動時間f(xi)に依存し、配送員xiの現在地から実店舗までの移動時間f(xi)が短くなるに従って段階的に高くなるように設定することが好ましい。言い換えると、配送担当になる確率p(xi)は、配送員xiの現在地から実店舗までの移動時間f(xi)が長くなるに従って段階的に低くなるように設定することが好ましい。
【0062】
例えば、移動時間が5分未満の配送員が配送担当になる確率を30%とし、移動時間が5分以上10分未満の配送員が配送担当になる確率を25%とし、移動時間が10分以上15分未満の配送員が配送担当になる確率を18%とし、移動時間が15分以上20分未満の配送員が配送担当になる確率を11%とし、…などのように設定してもよい。
【0063】
加重平均算出部111は、所定の上限移動時間以下となる移動時間を対象にして、移動時間の加重平均WAAを算出することが好ましい。言い換えると、加重平均算出部111は、所定の上限移動時間を超える移動時間を、加重平均の算出対象から除外することが好ましい。所定の上限移動時間は、例えば、30分などのように、顧客に商品を届けるのに要する時間として許容できる範囲におさまるように設定することが好ましい。これにより、所定の上限移動時間を超える配送員を除外して、移動時間の加重平均を算出することができる。
【0064】
図8を参照して、所定の上限移動時間を超える配送員Dgについて説明する。図示する配送員のうち3人の配送員Dd、De、Dfは、配送員Dd、De、Df各々の現在地から実店舗Saまでの移動時間が所定の上限移動時間以内である。他方、配送員Dgは、配送員Dgの現在地から実店舗Saまでの移動時間が所定の上限移動時間を超えている。この場合、加重平均算出部111は、配送員Dgの移動時間を、移動時間の加重平均WAAを算出する対象から除外する。
【0065】
ここで、加重平均算出部111は、配送員の現時点における配送担当の件数が上限件数以上である場合にも、その配送員の移動時間を、移動時間の加重平均WAAを算出する対象から除外してもよい。言い換えると、現時点で配送担当の件数が上限件数以上である配送員を、今回の配送担当の候補から除外してもよい。上限件数として、例えば、2件を設定してもよい。これにより、配送員ごとの配送担当件数を均一化することが可能となる。
【0066】
配送担当の件数が上限件数以上である配送員を除外して移動時間の加重平均WAAを算出する方法として、例えば、以下の方法を用いてもよい。配送担当の件数が上限件数以上である場合に、加重平均算出部111は、その配送員の移動時間を、所定の上限移動時間を超える時間に設定する。これにより、配送担当の件数が上限件数以上である配送員の移動時間が、所定の上限移動時間を超えることになる。したがって、その配送員の移動時間を加重平均WAAの算出対象から除外することができる。
【0067】
図4の説明に戻る。配送時間算出部112は、上記で算出した配送員の現在地から実店舗までの移動時間の加重平均WAAに、実店舗から顧客が指定した届け先までの移動時間を加算することで、顧客が指定した届け先に商品が届けられる目安の配送時間を算出する。実店舗から届け先までの移動時間は、上述した配送員の現在地から実店舗までの移動時間と同様に算出できる。すなわち、配送時間算出部112は、実店舗から届け先までの直線距離に所定の係数を乗じて算出した時間を、所定の移動速度で除することで、実店舗から届け先までの移動時間を算出する。
【0068】
配達日時算出部113は、商品に対する注文が確定した場合に、その商品の配送担当に決まった配送員が、その配送員の現在地から実店舗を経由して顧客が指定した届け先まで移動するのに要する時間と、その移動するのに要する時間以外に要する時間として予め定めた所定の加算時間と、を用いて、予定される配達日時を算出する。
【0069】
移動するのに要する時間は、上述したように各地点間の直線距離、所定の係数及び所定の移動速度を用いて算出してもよいし、例えば、地図情報を用いて移動時間を算出する外部のシステムに、現在地、実店舗及び届け先の位置情報を渡して算出してもよい。
【0070】
注文が確定したことは、例えば、実店舗の店員が、顧客により注文された商品を実店舗で確保したことを確認して判定してもよい。この場合、店員が商品を確保したときに、例えば、店員が用いる店舗用端末を操作して、商品の確保が完了した旨のメッセージを情報処理装置1に送信することにしてもよい。
【0071】
提示部114は、商品の注文を実行した顧客端末2に対し、配送時間算出部112が算出した目安となる配送時間を提示する。図9に、目安となる配送時間を顧客に提示する画面9aを例示する。この画面9aは、顧客が商品を注文した際に、顧客端末2に表示される。この画面9aには、商品を配送する実店舗を表示する表示欄9bと、注文状況を表示する表示欄9cと、注文情報を表示する表示欄9dと、が設けられている。
【0072】
表示欄9cには、“ただいま店舗在庫を確認中です”というメッセージと、現在の注文状況が“注文受付”状況であること、が表示されている。表示欄9dには、注文番号及び注文日時に加え、お届け予定時間として、“30~40分後”が表示されている。このお届け予定時間が、顧客が指定した届け先に商品が届けられる目安の配送時間の一例となる。
【0073】
図4の説明に戻る。提示部114は、注文が確定した場合に、その注文を実行した顧客端末2に対し、配達日時算出部113が算出した予定される配達日時を提示する。図10に、予定される配達日時を顧客に提示する画面10aを例示する。この画面10aは、実店舗で商品が確保されて注文が確定した後に、顧客端末2に表示される。この画面10aには、商品を配送する実店舗を表示する表示欄10bと、注文状況を表示する表示欄10cと、注文情報を表示する表示欄10dと、が設けられている。
【0074】
表示欄10cには、“お届け予定時刻”が“16:15~16:30頃”であること、現在の注文状況が“注文確定”状況であること、が表示されている。表示欄10dには、注文番号、注文日時及び合計金額に加え、“お届け予定時刻:2021/8/9(月)16:15~16:30”が表示されている。このお届け予定時刻が、予定される配達日時の一例となる。
【0075】
[情報処理装置の動作]
図11を参照し、情報処理装置1における動作の一例について説明する。
【0076】
最初に、情報処理装置1は、実店舗で取り扱っている商品の注文を顧客端末2から受け付ける(ステップS101)。
【0077】
続いて、情報処理装置1の加重平均算出部111は、商品を配送する配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間の加重平均を算出する(ステップS102)。
【0078】
続いて、情報処理装置1の配送時間算出部112は、上記ステップS102で算出された移動時間の加重平均に、実店舗から顧客が指定した届け先までの移動時間を加算することで、顧客に商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出する(ステップS103)。
【0079】
続いて、情報処理装置1の提示部114は、上記ステップS103で算出された目安となる配送時間を、例えば、図9の画面9aの表示欄9dに表示させることで、目安となる配送時間を顧客に提示する(ステップS104)。
【0080】
続いて、情報処理装置1は、商品の確保が完了した旨のメッセージを店舗用端末から受け付けることで、注文が確定したと判定する(ステップS105)。
【0081】
続いて、情報処理装置1の配達日時算出部113は、注文が確定した商品の配送担当が、現在地から実店舗を経由して顧客が指定した届け先まで移動するのに要する時間に、所定の加算時間を加算することで、予定される配達日時を算出する(ステップS106)。
【0082】
続いて、情報処理装置1の提示部114は、上記ステップS106で算出された予定される配達日時を、例えば、図10の画面10aの表示欄10dに表示させることで、予定される配達日時を顧客に提示する(ステップS107)。
【0083】
上述したように、実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システムによれば、実店舗で取り扱っている商品の注文を受け付けた際に、配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出し、移動時間に依存する配送担当になる確率を重みにして移動時間の加重平均を算出し、その移動時間の加重平均と、実店舗から顧客が指定した届け先までの移動時間と、を用いて、商品を届け先に届ける目安の配送時間を算出することができる。
【0084】
これにより、商品の注文を受け付けた際に、配送担当になる可能性がある複数の配送員の予想移動時間に基づいて、顧客が指定した届け先に商品を届ける目安の時間を精度よく算出することが可能となる。
【0085】
それゆえ、実施形態に係る情報処理装置1を含む情報処理システムによれば、商品を届け先に届ける目安の時間を算出する精度を高めることができる。
【0086】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、他の様々な形で実施することができる。このため、上記実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるべきではない。例えば、上述した各処理ステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更し、又は並列に実行することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…情報処理装置、2…顧客端末、11…プロセッサ、12…記憶装置、13…通信部、21…プロセッサ、22…記憶装置、23…通信部、24…表示部、25…入力部、111…加重平均算出部、112…配送時間算出部、113…配達日時算出部、114…提示部、121…プログラム、122…データ、221…プログラム、N…ネットワーク
【要約】
【課題】商品を届け先に届ける目安の時間を算出する精度を高めることができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置1は、実店舗で取り扱っている商品に対する注文を受け付けた際に、商品を配送する配送員各々の現在地から実店舗までの移動時間を算出し、当該移動時間の加重平均を算出する加重平均算出部111と、算出された移動時間の加重平均、及び実店舗から商品を注文した顧客が指定した届け先までの移動時間に基づいて、届け先に商品を届けるまでの目安となる配送時間を算出する配送時間算出部112と、を備え、加重平均算出部111は、移動時間によって配送員が商品を届ける配送担当になる確率を重みにして移動時間の加重平均を算出する。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11