(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】自律走行型掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20240412BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/00 E
(21)【出願番号】P 2021043035
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2021024915
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中垣 寿泰
(72)【発明者】
【氏名】土田 英也
(72)【発明者】
【氏名】松本 千寿代
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-057846(JP,A)
【文献】特開2005-040596(JP,A)
【文献】特開2018-057619(JP,A)
【文献】国際公開第2020/084659(WO,A1)
【文献】実開平01-068511(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0018420(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/28
A47L 9/00
G05D 1/00 - 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の上面側に配置され上面が略ドーム形状のバンパと、
前記バンパの押下と共に下降するスイッチ突部と、
前記スイッチ突部と当接するスイッチと、を有し、
前記スイッチ突部と前記スイッチとの間の距離を、前記バンパの上面端部から頂部までの高さと略等しくした、自律走行型掃除機。
【請求項2】
前記略ドーム形状のバンパの内側には、LIDARが配置されている、請求項1に記載の自律走行型掃除機。
【請求項3】
制御部を有し、当該制御部は、前記スイッチが押下されたと判定すると、自律走行型掃除機の駆動輪の駆動停止、電源オフ、ブラシの回転の停止、の少なくともいずれか1つを実行する、請求項1又は2に記載の自律走行型掃除機。
【請求項4】
制御部を有し、当該制御部は、前記スイッチが押下されたと判定すると、音又は表示により使用者に報知を行う、請求項1又は2に記載の自律走行型掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行型掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、使用者が留守中に自動的に部屋の中を掃除する自律走行型掃除機に関する技術が数多く特許出願されている。例えば特許文献1には、自律走行型掃除機の上面に、接触センサを有する環状の第1の部品ハウジングを搭載し、この第1の部品ハウジングの上に第2の部品ハウジングを搭載し、更に第2の部品ハウジング上にカバー要素を搭載する技術が記載されている。この技術では、上方からカバー要素が押下されると第1の部品ハウジングに搭載された接触センサが、カバー要素が押下されたことを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、自律走行型掃除機の上面にカバー要素が配置された構造では、例えば高さの低いテーブルの下を自律走行型掃除機が移動する際に、自律走行型掃除機がテーブルの下を通過できる状態であるのに、カバー要素の上面に軽くテーブルが触れただけで障害物に衝突したと検知して、自律走行型掃除機が停止することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、筐体と、筐体の上面側に配置され上面が略ドーム形状のバンパと、バンパの押下と共に下降するスイッチ突部と、スイッチ突部と当接するスイッチと、を有し、スイッチ突部とスイッチとの間の距離を、バンパの上面端部から頂部までの高さと略等しくした、自律走行型掃除機である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、自律走行型掃除機が走行可能な領域で走行する際に、誤ってLIDARカバーが押下されて停止することをできるだけ回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施例の自律走行型掃除機の斜視図である。
【
図2】本実施例の自律走行型掃除機の平面図である。
【
図3】本実施例の自律走行型掃除機の左側面図である。
【
図4】本実施例の自律走行型掃除機の正面図である。
【
図5】本実施例の自律走行型掃除機の底面図である。
【
図6】本実施例の自律走行型掃除機の前方下側から見た斜視図である。
【
図10】LIDAR6近傍の部品を分解した斜視図である。
【
図11】LIDAR6近傍を後方から見た背面図である。
【
図12】ベース部材32を斜め下方から見た斜視図である。
【
図13】LIDAR6近傍を後方から見た背面図である。
【
図14】ベース部材32を下から見た底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、本実施の形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、本実施例装置である自律走行型掃除機の斜視図である。
図1において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0010】
図1において、自律走行型掃除機の筐体1は、上ボデー2と下ボデー3を有しており、筐体1の前方にはバンパ4が配置されている。このバンパ4の内側には1又は複数の衝突検知用のスイッチ(図示せず)が配置されており、バンパ4が障害物に衝突すると、バンパ4が筐体1内側に向けて移動すると共にスイッチがオンし、バンパ4が障害物に衝突したことが検知される。
【0011】
筐体1の上面でかつバンパ4の後方には、カバー5が配置されている。このカバー5内部には集塵容器(図示せず)が配置されており、使用者がカバー5を押下するとカバー5の前方又は後方が外れ、筐体1から集塵容器を取り出すことができる。
【0012】
カバー5の後方には、LIDAR(Light Detection and Ranging)6が配置されている。このLIDAR6は、LIDAR6の中心を軸として発光部と受光部を回転させることにより、筐体1の周囲の障害物等を検知することができる。また、このLIDAR6を用いることにより、部屋の地図を作成することも可能である。
【0013】
図2は、本実施例装置である自律走行型掃除機の平面図である。
図2において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0014】
図2において、筐体1の前方には上から見て略コの字状の形状であるバンパ4が配置され、筐体1の後方には上ボデー2が配置されている。バンパ4と上ボデー2の間には、カバー5が配置されており、カバー5の後方にはLIDAR6が配置されている。
【0015】
バンパ4は、内部に配置されているスプリング(図示せず)により、筐体1前方へと付勢されており、バンパ4と上ボデー2との間には隙間が存在する。バンパ4が障害物に衝突すると、バンパ4はスプリングの力に抗してこの隙間分、後方へと移動可能である。
【0016】
図3は、本実施例装置である自律走行型掃除機の左側面図である。
図3において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、上側、下側を夫々矢印で図示している。
【0017】
筐体1の前方にはバンパ4が配置され、その後方には上ボデー2が配置されている。また、上ボデー2の左右側面には、排気口7が形成されており、上ボデー2の後方上面にはLIDAR6が配置されている。下ボデー3の前方にはサイドブラシ8が配置されており、後方には後輪9が配置されている。
【0018】
図4は、本実施例装置である自律走行型掃除機の正面図である。
図4において、自律走行型掃除機の上側、下側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0019】
バンパ4の前面には2つの超音波センサ10と、発光素子と受光素子からなる左上センサ11及び右上センサ12を有している。また、下ボデー3には、発光素子と受光素子か
らなる左下センサ13及び右下センサ14を有しており、下ボデー3の前方左右両側には、サイドブラシ8が配置されている。尚、このサイドブラシ8は、下ボデー3の前方右側か左側のいずれかに配置しても良い。
【0020】
左上センサ11と左下センサ13は、筐体1の上下方向において、略同じ位置にある。同様に、右上センサ12と右下センサ14は、筐体1の上下方向において、略同じ位置にある。
【0021】
下ボデー3の前方は
図3を見ても明らかなように前方から後方に向けて傾斜した斜面15となっている。この斜面15に2つの凹部16が形成されており、この凹部16夫々に左下センサ13と右下センサ14が配置されている。
【0022】
また、左下センサ13と右下センサ14は、夫々、筐体1を床面に載置した状態で床面と垂直な方面と略平行な面である窓部17が形成されており、この窓部17の内部に発光素子と受光素子が配置されている。これにより、サイドブラシ8の回転により床面から埃が舞い上がっても、左下センサ13と右下センサ14の発光素子及び受光素子が配置された凹部16に埃が堆積するのを低減させることができる。また、この窓部17の近傍にはサイドブラシ8が配置されており、サイドブラシ8が回転するとこのサイドブラシ8の回転により発生した風が窓部17に当たり、窓部17に付いた埃を風により取り去ることが可能である。これにより、窓部17に埃が付着することにより左下センサ13と右下センサ14が誤検知するのを防ぐことができる。
【0023】
図5は、本実施例装置である自律走行型掃除機の底面図である。
図5において、自律走行型掃除機の前側、後ろ側、左側、右側を夫々矢印で図示している。
【0024】
図5において、下ボデー3の後方には後輪9が配置されており、この後輪9の前方には、例えばリチウムイオン電池等の二次電池からなるバッテリー18が配置されている。また、下ボデー3の略中央には右駆動輪19と左駆動輪20が配置されており、右駆動輪19と左駆動輪20夫々に車輪支持部材21が接続されている。この車輪支持部材21は、軸Aを軸として、筐体1の上下方向に移動可能である、また、2つの車輪支持部材21は夫々下ボデー3との間に車輪用のスプリング(図示せず)が配置されており、この車輪用のスプリングにより、車輪支持部材21と、右駆動輪19及び左駆動輪20は、床面に向けて付勢されている。
【0025】
図5において、右駆動輪19と左駆動輪20との間にバッテリー18の一部が位置しているが、右駆動輪19と左駆動輪20よりも後方にバッテリー18を配置する構成としても良い。しかしながら、本実施例では、バッテリー18を筐体1の後方に配置することにより、筐体1の重心を筐体後方に来るように設計している。このため、2つの車輪支持部材21夫々の軸Aの間に少なくともバッテリー18の一部が位置することが好ましい。
【0026】
図5において、バッテリー18よりも前方で且つ、右駆動輪19と左駆動輪20よりも前方には、集塵を吸い込むための吸込口22が形成されており、この吸込口22の内部には、メインブラシ23が回転可能に軸支されている。
【0027】
このメインブラシ23の左右両側には夫々段差センサ24が配置されており、この段差センサ24は発光部と受光部からなり、筐体1が段差にさしかかったことを検知する。
【0028】
図5において、段差センサ24の先端は、メインブラシ23の回転軸の軸線上に位置するか、略同じ位置である。或いは、段差センサ24の先端を、メインブラシ23の回転軸の軸線よりも後方に配置しても良い。
【0029】
段差センサ24の前方には窪み25があり、この窪み25の略中央を軸にしてサイドブラシ8が配置されている。サイドブラシ8は、吸込口22に向けて回転する。このため、
図5において、左側のサイドブラシ8は時計回りに回転し、右側のサイドブラシ8は反時計回りに回転する。
【0030】
本実施例では、筐体1の重心Gは
図5に示すように本体の中央部分よりも後方に位置する。このため、下ボデー3の前方に段差センサ24を設けなくても良い。具体的に説明すると、筐体1が、段差がある方向に前進し、サイドブラシ8後方にある段差センサ24が段差を検知するまで筐体1が前進しても、筐体1の重心Gが右駆動輪19及び左駆動輪20よりも後方に位置しているため、段差に落ちることがなく、段差ギリギリまで清掃を行うことができる。また、下ボデー3の前方に段差センサ24を設ける必要がないため、製造コストを下げることが可能である。
【0031】
図6は、本実施例装置である自律走行型掃除機の前方下側から見た斜視図である。
図6において、下ボデー3の前方は斜面15となっており、斜面15の左右側には夫々凹部16が形成されている。また、夫々の凹部16には、左下センサ13と右下センサ14が配置されている。
【0032】
図6において、下ボデー3前方の左右側には、夫々サイドブラシ8が配置された窪み25が形成されており、この窪み25は、凹部16近傍まで形成されている。サイドブラシ8の長さは、この窪み25よりも筐体1外側に突出する長さであり、更に窪み25は凹部16近傍に向かって曲面となっているため、サイドブラシ8は吸込口22に向かってスムーズに回転できるだけでなく、サイドブラシ8の回転により発生した風を凹部16内側の窓部17まで吹き付けることができる。このため、窓部17についた埃を風で飛ばすことができる。
【0033】
図7~
図9は、LIDAR6近傍を拡大した部分拡大側面図である。
図7~
図9において、筐体1の上側、下側、前側、後ろ側を夫々矢印で図示している。
【0034】
まず、本実施例の自律走行型掃除機の構造について概要を説明する。
図7に示すように、LIDAR6のLIDARカバー26の下方にはスイッチレバー27が配置されており、LIDARカバー26とスイッチレバー27は一体的に形成されている、或いは、LIDARカバー26がスイッチレバー27に取り付けられている。また、スイッチレバー27は、軸Bを軸として筐体1に軸支されている。
【0035】
更に、スイッチレバー27前方の軸B近傍には、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知するための衝突検知部28が設けられている。スイッチレバー27後方において、スイッチレバー27がスプリング29により上方に付勢されている。
【0036】
尚、図示していないが、軸B近傍にもスプリング29が配置されており、このスプリング29によりスイッチレバー27が上方に付勢されている。
【0037】
図8に示すように、掃除機が前進している際に、前方から来た障害物がLIDARカバー26の前端に衝突すると、LIDARカバー26が前方から後方に押される。すると、軸Bを支点として、LIDARカバー26の後方とスイッチレバー27の後方がスプリング29の力に抗して下方に押し込まれると共に、衝突検知部28がスイッチレバー27により下方に押し込まれる。このようにして、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知することができる。
【0038】
また、
図9に示すように、LIDARカバー26の上方からLIDARカバー26に障害物が衝突すると、軸Bを支点とし、スイッチレバー27の後方がスプリング29の力に抗して下方に押し込まれると共に、衝突検知部28も下方に押し込まれる。このようにして、LIDARカバー26に障害物が衝突したことを検知することができる。
【0039】
このように、本実施例では、LIDARカバー26が、筐体1の上方や水平方向等から障害物と衝突した場合に、容易に障害物と衝突したことを検知することができる。
【0040】
図10は、LIDAR6近傍の部品を分解した斜視図である。
図10において、上方、下方、後方、前方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0041】
図10において、タクトスイッチ30を搭載した回路基板31の上方に、ベース部材32が配され、このベース部材32には、略蹄鉄状の溝部33が形成されている。また、この溝部33前方にある2つの端部には、軸Bを軸にしてスイッチレバー27が上下方向に開閉可能に軸支されている。
【0042】
このスイッチレバー27は、略蹄鉄状の形状であり、2つの軸部Bの近傍には橋部34が形成されており、この橋部34の裏面側にはスイッチ突部35が形成されている。このスイッチ突部35は、ベース部材32に形成されたスイッチ穴部36を通り、回路基板31上のタクトスイッチ30を上から押下するようになっている。
【0043】
軸部B近傍の、溝部33とスイッチレバー27との間にはスプリング29が配置され、更にはスイッチレバー27の後端近傍の溝部33とスイッチレバー27との間にもスプリング29が配置されている。この3つのスプリング29により、スイッチレバー27は上方に付勢されている。
【0044】
ベース部材32の溝部33より内側には、LIDAR6の回転部37が配置される。この回転部37はLIDAR6の略中心部分にあり、回転部37内部に設けられた発光部と受光部が360度回転する。
【0045】
回路基板31、ベース部材32、スイッチレバー27を覆うように上ボデー2が配置されており、上ボデー2に形成された3つの上ボデー穴38を介して、LIDARカバー26とスイッチレバー27が接続、或いは一体形成されている。
【0046】
この上ボデー穴38の大きさは、LIDARカバー26裏面に形成されたカバー柱部39が上下動可能な程度の大きさである。尚、このカバー柱部39については、
図11に図示している。
【0047】
図11は、
図10に示すベース部材32、スイッチレバー27、LIDARカバー26を
図10中後方から見た図である。
図11において、上方、下方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0048】
図11に示すように、ベース部材32の溝部33後端には、壁部40が形成されており、この壁部40には略三角形の遊動孔41が形成されている。スイッチレバー27の後端には、突形状の遊動突部42が形成されており、この遊動突部42が遊動孔41に遊動可能に挿入されている。
【0049】
この遊動突部42は、略三角形の遊動孔41の3つの頂点まで移動可能である。このため、LIDARカバー26上方から力が加わった場合には、遊動突部42が遊動孔41の底辺中央まで移動可能であり、LIDARカバー26の右上から力が加わった場合には、
遊動突部42は遊動孔41の左下の頂点まで移動可能であり、LIDARカバー26の左上から力が加わった場合には、遊動突部42は遊動孔41の右下の頂点まで移動可能である。
【0050】
図12は、ベース部材32を斜め下方から見た斜視図である。
図12において、上方、下方、後方、前方、夫々を矢印で図示している。
【0051】
図12に示すように、ベース部材32前端の軸Bには、左右の軸B夫々に遊動孔41が形成されており、この2つの遊動孔41夫々に、スイッチレバー27に形成された2つの遊動突部42が遊動可能に挿入されている。この遊動孔41も
図11に示す遊動孔41と同様に略三角形の形状となっている。
【0052】
この遊動突部42は、略三角形の遊動孔41の3つの頂点まで移動可能である。このため、LIDARカバー26上方から力が加わった場合には。遊動突部42は遊動孔41の底辺中央まで移動可能であり、LIDARカバー26の
図12中前方から力が加わった場合には、遊動突部42は遊動孔41の後方の頂点まで移動可能であり、LIDARカバー26の
図8中後方から力が加わった場合には、遊動突部42は遊動孔41の前方の頂点まで移動可能である。
【0053】
図13は、
図10に示すベース部材32、スイッチレバー27、LIDARカバー26を
図10中後方から見た図である。
図13において、上方、下方、左方、右方、夫々を矢印で図示している。
【0054】
図13に示すように、ベース部材32の略中央部分には、回転部37を配置するための回転部配置空間43が形成されている。回転部37は、この回転部配置空間43で発光部と受光部を360度回転させ、ベース部材32(より詳細には上ボデー2)とLIDARカバー26との間の隙間から光を照射し、反射した光を受光することができる。
【0055】
図14は、ベース部材32を下から見た底面図である。ベース部材32にはスイッチ穴部36が形成されており、このスイッチ穴部36からスイッチレバー27のスイッチ突部35が突出している。
【0056】
尚、
図7~
図9に示す衝突検知部28は、
図10~
図13における、スイッチ突部35とタクトスイッチ30に対応している。
【0057】
本実施例では、ベース部材32の2つの軸Bでスイッチレバー27をベース部材32に軸支すると共に、スプリング29によりスイッチレバー27を上方向に付勢している。また、ベース部材32に形成された壁の部分とスイッチレバー27との間に隙間を形成している。
【0058】
更には、ベース部材32の軸B近傍の2か所とベース部材32の後端近傍に、略三角形の遊動孔41を形成すると共に、スイッチレバー27にはこれら3か所の遊動孔41に遊動可能に挿入される遊動突部42を形成している。
【0059】
また、スイッチレバー27には下方に突となるスイッチ突部35が形成され、このスイッチ突部35が回路基板31上に形成されたタクトスイッチ30を押下する構成となっている。
【0060】
このような構造であるため、LIDARカバー26に上方から障害物が衝突した場合でも、水平方向から障害物が衝突した場合でも、タクトスイッチ30がオンされ、自律走行
型掃除機に内蔵されている制御部がこのタクトスイッチ30のオンを検知することにより、LIDAR6に障害物が衝突したことを検知することが可能である。
【0061】
LIDARカバー26が障害物と衝突すると、制御部が、タクトスイッチ30がオンとなったことを検知し、制御部が、車輪の駆動モータを制御することにより自律走行型掃除機の走行を停止させても良いし、サイドブラシやメインブラシの駆動モータを制御する或いは、吸引モータを制御することにより清掃動作を停止させてもよい。
【0062】
また、使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、同様に制御部が、タクトスイッチ30がオンとなったことを検知し、制御部が、車輪の駆動モータを制御することにより自律走行型掃除機の走行を停止させても良いし、サイドブラシやメインブラシの駆動モータを制御する或いは、吸引モータを制御することにより清掃動作を停止させてもよい。
【0063】
更に、再度使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、制御部が、再度タクトスイッチ30がオンとなったことを検知し、制御部が、車輪の駆動モータ等を制御することにより、自律走行型掃除機の走行や清掃動作を再開させる構成としても良い。このような構成とすることにより、使用者は容易に自律走行型掃除機の走行や清掃動作を停止、或いは開始させることが可能である。
【0064】
更には、使用者がLIDARカバー26を上から押下すると、制御部が、タクトスイッチ30がオンとなったことを検知し、電源をオン又はオフする制御を行っても良い。このような構成とすることにより、使用者は容易に自律走行型掃除機の電源のオンオフを行うことが可能であり、自律走行型掃除機を緊急停止させることも可能である。
【0065】
制御部が、タクトスイッチ30がオンとなったことを検知すると、障害物に接触したことを、自律走行型掃除機に搭載されたスピーカーから音で使用者に報知しても良い。或いは、無線、有線で接続された携帯端末の表示部に表示により使用者に報知しても良い。
【0066】
尚、本実施例では、回転体に発光部と受光部を搭載した構成としたが、カメラ等の撮像部を回転体に搭載しても良い。この場合、画像解析に時間がかかるようであれば、カメラの回転速度を下げても良い。或いは、回転体に発光部と受光部、及びカメラを搭載し、いずれかの素子を選択的に使用可能、又は同時に使用可能とする構成としても良い。この場合、素子を選択的に使用可能とする際には、発光部と受光部を使用する際の回転体の回転速度よりも、カメラを使用する際の回転速度を遅くしても良い。
【0067】
図15は、
図2に示すA―A‘線断面図である。
図15において、LIDARカバー26上面はなだらかな曲線を有した略ドーム形状となっている。
【0068】
LIDARカバー26の頂上から端部までの間で高低差Aが生じている。また、LIDARカバー26はこのAの距離分下方に移動可能になっている。
【0069】
自律走行型掃除機が、ちょうど高低差Aの範囲内の高さの障害物に入り込んだ場合、例えば、テーブルの裏面側が床面から丁度Aの範囲内に存在し、且つ、自律走行型掃除機がテーブルの下を走行可能な場合、タクトスイッチ30が押下された状態になると、自律走行型掃除機が走行可能であるにも関わらず、エラーで停止するといった問題が生じる。
【0070】
このような問題を回避するために、
図15中Aの長さ分、タクトスイッチ30上面からスイッチ突部35底面までの長さをとることにより、LIDARカバー26がAの距離未満移動しても、タクトスイッチ30が押下されない。換言すれば、LIDARカバー26
がAの距離分確実に下方に移動した時だけ、タクトスイッチ30が押下される。
【0071】
尚、本実施例では、LIDARカバー26の上面が曲面形状となっている。これは、略本体高さの隙間に自律走行型掃除機が侵入した際の接触面積を減らすためである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の自律走行型掃除機は、家庭用の電気掃除機、或いはオフィスや工場等で使用される業務用の電気掃除機等に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 筐体
2 上ボデー
3 下ボデー
4 バンパ
5 カバー
6 LIDAR
7 排気口
8 サイドブラシ
9 後輪
10 超音波センサ
11 左上センサ
12 右上センサ
13 左下センサ
14 右下センサ
15 斜面
16 凹部
17 窓部
18 バッテリー
19 右駆動輪
20 左駆動輪
21 車輪支持部材
22 吸込口
23 メインブラシ
24 段差センサ
26 LIDARカバー
27 スイッチレバー
28 衝突検知部
29 スプリング
30 タクトスイッチ
31 回路基板
32 ベース部材
33 溝部
34 橋部
35 スイッチ突部
36 スイッチ穴部
37 回転部
38 上ボデー穴
39 カバー柱部
40 壁部
41 遊動孔
42 遊動突部
43 回転部配置空間