(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】電気柵下刈り用の草刈り機刈刃カバー
(51)【国際特許分類】
A01D 34/90 20060101AFI20240412BHJP
A01D 34/835 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A01D34/90 C
A01D34/835
(21)【出願番号】P 2020162774
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】513274037
【氏名又は名称】橋本 桂一
(74)【代理人】
【識別番号】100178102
【氏名又は名称】橋本 晃
(72)【発明者】
【氏名】橋本 桂一
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-029329(JP,U)
【文献】登録実用新案第3205911(JP,U)
【文献】特開2006-304659(JP,A)
【文献】特開平10-117550(JP,A)
【文献】実開昭51-030726(JP,U)
【文献】実開昭51-082634(JP,U)
【文献】実開昭53-020326(JP,U)
【文献】実開平03-012724(JP,U)
【文献】米国特許第05060383(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/90
A01D 34/835
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気柵の下刈り用の草刈り機刈刃カバーであって、
前記草刈り機の刈刃と前記電気柵の柵線及び支柱との接触を防止するための本体部と、
前記草刈り機刈刃カバーを前記草刈り機の操作棹に仮固定するための着設部と、
から成ることを特徴とする草刈り機刈刃カバー
であって、前記着設部は後端又は後端近傍に、先端が上方向前方に突出する鉤形の柵線ストッパーを有することを特徴とする草刈り機刈刃カバー。
【請求項2】
前記本体部は先端が尖った略魚体形状の平板であって、長尺方向の長さは前記刈刃の直径より長く、短尺方向の長さは前記刈刃の直径より短いことを特徴とする請求項1記載の草刈り機刈刃カバー。
【請求項3】
前記本体部は前記先端近傍に切り欠きを有し、電気柵の下刈り時には、前記電気柵の前記支柱が前記切り欠きに着止することにより、前記刈刃と前記支柱との接触を防止する構成となっていることを特徴とする請求項1又は2記載の草刈り機刈刃カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気柵の下に生えた雑草を安全に刈るための草刈り機用の刈刃カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、安全や飛散防止を目的とする草刈り機の刈刃カバーが市販されている。
【0003】
一方で、農業等における獣害対策として、周囲に電気柵が設置されている田畑が多く、該電気柵の維持管理には、柵下及び支柱周辺の草刈りが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-000018号公報
【文献】特開2019-106912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、獣害対策用の電気柵が設置されている田畑が多くあり、該電気柵の維持管理には定期的な草刈りが必要である。電気柵の柵線の下草刈りは肩掛けの草刈り機を使用する。具体的には、回転する刈刃で草を選別し刈払いを行うが、草が伸びて防護線に絡んでいる場合は、刈りたい草と切りたくない防護線を選択することは不可能である。このため、草刈り時に誤って、草と一緒に柵線を切断してしまうことがある。また、柵線を張るための支柱も、見えない場合、切断してしまうことがある。
【0006】
特許文献1には、作業者の安全確保を目的とする草刈り機用の刈刃カバーが提案されている。また、特許文献2には、異なる径の刈刃に対応できる草刈り機用の刈刃カバーの発明が開示されている。
【0007】
しかしながら、これらの刈刃カバーはいずれも、地面に散乱している石等の飛散防止を主目的とするものであり、カバーの形状も熊手状になっており、電気柵の柵線切断を防止できない。また、市販のカバーも同様の目的のものがほとんどであって、電気柵の保護を目的としたものはない。
【0008】
上述の問題に鑑み、本発明は、電気柵の下に生えた雑草を安全に刈るための草刈り機用の刈刃カバーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1記載の草刈り機刈刃カバーは、電気柵の下刈り用の草刈り機刈刃カバーであって、前記草刈り機の刈刃と前記電気柵の柵線及び支柱との接触を防止するための本体部と、前記草刈り機刈刃カバーを前記草刈り機の操作棹に仮固定するための着設部とから成り、前記着設部は後端又は後端近傍に、先端が上方向前方に突出する鉤形の柵線ストッパーを有することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の草刈り機刈刃カバーは、請求項1記載の刈刃カバーであって、前記本体部は先端が尖った略魚体形状の平板であって、長尺方向の長さは前記刈刃の直径より長く、短尺方向の長さは前記刈刃の直径より短いことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の草刈り機刈刃カバーは、請求項1又は2記載の刈刃カバーであって、前記本体部は前記先端近傍に切り欠きを有し、電気柵の下刈り時には、前記電気柵の前記支柱が前記切り欠きに着止することにより、前記刈刃と前記支柱との接触を防止する構成となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る刈刃カバーを使用することにより、電気柵の柵線や支柱を傷つけることなく、電気柵の下に生えた雑草を安全に駆ることができる。
【0013】
本発明に係る刈刃カバーを使用することにより、従来苦労していた電気柵の下草刈が楽になり、線や支柱の切断を回避することを目的とした材料費や人件費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の草刈り機刈刃カバーの平面図である。
【
図2】本実施形態の草刈り機刈刃カバーを草刈り機の操作棹に取り付けたときの側面図である。
【
図3】本実施形態の草刈り機刈刃カバーの底面図である。
【
図4】本実施形態の草刈り機刈刃カバーと刈刃との位置関係を示す略式斜視図である。
【
図5】本実施形態の草刈り機刈刃カバーの使用状態を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明に係る草刈り機刈刃カバーの実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態の草刈り機刈刃カバー(以下、「本刈刃カバー」という。)は、請求項3に記載の刈刃カバーである。
【0016】
本刈刃カバーは、電気柵の下刈り用に設計された草刈り機の刈刃カバー1であって、
図1乃至4に示すように、本体部11及び着設部12より成る。草刈り機への設置は、サドルバンドとビスを使用して、草刈り機の棹3の先端に着設部12を仮固定する。
【0017】
一定間隔を保ちつつ、草刈り機の刈刃2を上方からカバーする本体部11は、鋭尖の先端111を有する略魚体形状の平板であって、素材は本実施形態においては透明なアクリル板を使用している。先端111が尖っているのは草叢に挿入しやすくするためであり、素材を金属でなく樹脂製としたのは、電気柵線に接したときの感電を防ぐためである。
【0018】
図1に示すように、本体部11の長尺方向の長さは前記刈刃の直径より長く、短尺方向の長さは前記刈刃の直径より短い。この形状により、草刈り機の前方向において刈刃は本体部11の下に格納されるが、横方向には露出する。この結果、前後方向の作業時に柵線や支柱は刈刃から保護され、横方向では、草が刈刃に当たって効果的な草刈りがなされる。
【0019】
また、本体部11の形状は前方向上面において、右側の曲線よりも左側の曲線の膨らみの方が大きく、先端111が長尺方向の中央線より右側にせり出ている。これは、刈刃の回転が反時計回りであって、常に左に草を排出するため、右から挿して左に払うためである。
【0020】
さらに、本刈刃カバーには、上述のほか、2カ所において電気柵の支柱と柵線の切断と、柵線との接触による感電を防止する工夫がなされている。1カ所目は本体部11の先端111近傍の右側に形成された切り欠き112である。支柱近くの刈り作業では、刈刃2より先に本刈刃カバーが支柱に当たるため、すぐに支柱を切断してしまうことはないが、当たりに気が付かないと、続けて刈刃の露出部分に支柱が当たり、切断してしまう危険がある。この時、支柱が刈刃と接触する前に、支柱が切り欠き112に着止することにより、刈刃と前記支柱との接触を防止することができる。
【0021】
2カ所目の工夫は、着設部12の後端に設置され、先端が上方向前方に突出するように形成された鉤形の柵線ストッパー121である。柵線の下刈り時には、刈刃2を柵線下に突っ込むときに、感電したり柵線を切ったりすることがあるが、刈刃2を持ち上げたとき、柵線が鉤形の柵線ストッパー121に嵌止することから、感電を防ぐとともに柵線の場所を確認することができる。
【0022】
本カバー1を草刈り機の操作棹3に取り付けたときの、本カバー1と刈刃2との鉛直的位置関係であるが、
図2に示すように、本カバー1は刈刃2の平面に対して先端111が下がった状態となる。本カバー1を刈刃2より先に柵線の下に潜り込ませるためである。
【0023】
図4は、本刈刃カバー1を草刈り機に仮固定したときの、本カバーと刈刃2との平面的位置関係を示す。
図5は、実際の作業の様子を示す写真である。
【符号の説明】
【0024】
1 草刈り機カバー
11 本体部
111 先端
112 切り欠き
12 着設部
121 柵線ストッパー
122 留め具受け(サドルバンド用)
2 草刈り機の刈刃
3 草刈り機の操作棹