(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】画像処理方法、プログラム、及び画像処理システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/89 20060101AFI20240412BHJP
B07C 5/342 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
G01N21/89 Z
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2020093720
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】椎名 浩司
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 伸行
(72)【発明者】
【氏名】石井 翔平
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-185087(JP,A)
【文献】特開2021-085659(JP,A)
【文献】特開平08-155401(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0171504(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - G01N 21/958
B07C 1/00 - B07C 99/00
G01B 11/00 - G01B 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する取得処理と、
前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する出力処理と、
前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する調整処理と、を有
し、
前記画像処理では、複数段階の処理を行い、
前記調整処理では、前記画像処理の結果が前記複数段階の処理のうちのどの処理の結果であるかに応じて、前記待ち時間を調整する、
画像処理方法。
【請求項2】
移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する取得処理と、
前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する出力処理と、
前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する調整処理と、を有し、
前記出力処理では、前記出力信号として複数種類の出力信号を出力可能であり、
前記調整処理では、前記出力信号の種類毎に前記待ち時間を調整する、
画像処理方法。
【請求項3】
前記調整処理では、前記撮像画像での前記対象物の位置に基づいて、前記待ち時間を調整する、
請求項1又は2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記撮像画像での前記対象物の位置は、基準位置に対する前記対象物の相対位置であり、
前記待ち時間は、予め設定された基準時間に対して、前記相対位置に応じた調整時間を加減算することによって調整される、
請求項3に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記基準位置は、前記撮像画像に固定的に設定されている、
請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
前記出力処理では、前記移送手段による移送中の前記対象物に対して物理的な処理を行う処理システムに、前記出力信号を出力する、
請求項1~5の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記取得処理での前記撮像画像の取得タイミングを管理する管理処理を更に有する、
請求項1~6の何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載の画像処理方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する出力部と、
前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する調整部と、を有し、
前記画像処理では、複数段階の処理を行い、
前記調整部は、前記画像処理の結果が前記複数段階の処理のうちのどの処理の結果であるかに応じて、前記待ち時間を調整する、
画像処理システム。
【請求項10】
移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する取得部と、
前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する出力部と、
前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する調整部と、を有
し、
前記出力部は、前記出力信号として複数種類の出力信号を出力可能であり、
前記調整部は、前記出力信号の種類毎に前記待ち時間を調整する、
画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理方法、プログラム、及び画像処理システムに関する。より詳細には、本開示は、対象物を撮像した撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する画像処理方法、プログラム、及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の検査装置は、ベルトコンベア(移送手段)と、カメラと、出力ユニットと、エア噴出手段と、制御装置とを備える。ベルトコンベアは、外装色の異なる複数個のティッシュカートン(対象物)を所定順序で移送する。カメラは、ティッシュカートンの外装を撮影する。出力ユニットは、カメラの撮影画像からティッシュカートンの外装色を感知し、その感知結果(出力信号)を制御装置に出力する。エア噴出手段は、ベルトコンベア上のティッシュカートンを、エアを吹き付けることで排出シュートへ弾き出す。制御装置は、出力ユニットからの検知結果を受信したときに、外装センサによる感知色がその直前に感知された色に対して所定順序に従った色でない場合は、エア噴射手段を作動させてティッシュカートンを排出シュートへ弾き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような検査装置では、出力ユニットは、カメラによるティッシュカートンの撮影時から一定の待ち時間(すなわちティッシュカートンがエア噴出手段の正面位置に来るまでの時間)が経過した時に、感知結果を制御装置に出力する。そして、制御装置は、その感知結果を受信すると、エア噴射手段を作動させてティッシュカートンを排出シュートへ弾き出す。
【0005】
このため、ベルトコンベアでのティッシュカートンの位置が正規の位置からずれていると、一定の待ち時間経過時(すなわちエア噴出手段のエア噴出時)に、ティッシュカートンがエア噴出手段の正面に位置していない。従って、エア噴出手段のエアによって、ティッシュカートンが排出シュートに弾き出されない場合がある。
【0006】
本開示は、移送中の対象物に対して適切に処理を実行することができる画像処理方法、プログラム及び画像処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様の画像処理方法は、取得処理と、出力処理と、調整処理と、を有する。前記取得処理では、移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する。前記出力処理では、前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する。前記調整処理では、前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する。前記画像処理では、複数段階の処理を行う。前記調整処理では、前記画像処理の結果が前記複数段階の処理のうちのどの処理の結果であるかに応じて、前記待ち時間を調整する。
本開示の一の態様の画像処理方法は、取得処理と、出力処理と、調整処理と、を有する。前記取得処理では、移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する。前記出力処理では、前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する。前記調整処理では、前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する。前記出力処理では、前記出力信号として複数種類の出力信号を出力可能である。前記調整処理では、前記出力信号の種類毎に前記待ち時間を調整する。
【0008】
本開示の一の態様のプログラムは、上記の一の態様の画像処理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0009】
本開示の一の態様の画像処理システムは、取得部と、出力部と、調整部と、を有する。前記取得部は、移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する。前記出力部は、前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する。前記調整部は、前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する。前記画像処理では、複数段階の処理を行う。前記調整部は、前記画像処理の結果が前記複数段階の処理のうちのどの処理の結果であるかに応じて、前記待ち時間を調整する。
本開示の一の態様の画像処理システムは、取得部と、出力部と、調整部と、を有する。前記取得部は、移送手段による移送中の対象物を撮像した撮像画像を取得する。前記出力部は、前記撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、前記対象物に対する処理を実行させるための出力信号を出力する。前記調整部は、前記撮像画像に関連する情報に基づいて、前記撮像画像の取得時から前記出力信号を出力するまでの待ち時間を調整する。前記出力部は、前記出力信号として複数種類の出力信号を出力可能である。前記調整部は、前記出力信号の種類毎に前記待ち時間を調整する。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、移送中の対象物に対して適切に処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る画像処理システムを備える移動検査システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2Aは、対象物の位置が基準位置から移送方向とは反対方向にずれている状態を説明する説明図である。
図2Bは、対象物の位置が基準位置から移送方向にずれている状態を説明する説明図である。
【
図3】
図3は、同上の移動検査システムの動作を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、変形例1に係る移動検査システムを示すブロック図である。
【
図5】
図5は、同上の移動検査システムの動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.実施形態)
(1-1.概要)
図1を参照して、本実施形態に係る画像処理方法について説明する。
【0013】
本実施形態に係る画像処理方法は、取得処理と、出力処理と、調整処理とを有する。
【0014】
取得処理では、ベルトコンベア201(移送手段)による移送中の対象物2(例えば電子部品)を撮像した撮像画像を撮像装置203から取得する。出力処理では、取得処理で取得された撮像画像に対する画像処理の結果に応じて、撮像された対象物2に対する処理を実行させるための出力信号U1を出力する。出力信号U1は、対象物2に対する処理を実行する処理システム200に出力される。上記の「商品に対する処理」とは、例えば、エア噴出装置204から噴出されるエアによって対象物2をベルトコンベア201から排出路202に弾き出す処理、又は、ロボットアーム装置によって対象物2をピッキング(掴み取る)する処理などである。
【0015】
調整処理では、取得処理で取得された撮像画像に関連する情報に基づいて、待ち時間を調整する。待ち時間は、取得処理での撮像画像の取得時から上記の出力信号U1を出力するまでの時間である。上記の「撮像画像に関連する情報」とは、例えば、撮像画像での対象物2の位置X1、又は、上記の画像処理における後述の複数段階の処理の結果を含む。上記の待ち時間は、取得処理での撮像画像の取得時から、対象物2がベルトコンベア201上の所定地点(第2地点P2)を通過するまでの時間である。なお、本実施形態では、上記の取得時は、撮像装置203による対象物2の撮像時と実質的に同じ時と見なしている。上記の所定地点(第2地点)P2とは、処理システム200によって、対象物2に対する処理が実行される地点である。
【0016】
すなわち、この画像処理方法では、対象物2を撮像した撮像画像を撮像装置203から取得した時から待ち時間経過時に出力信号U1が処理システム200に出力され、出力信号U1を受信した処理システム200によって、対象物2に対する処理が実行される。その際、上記の撮像画像に関連する情報に基づいて上記の待ち時間が調整されることで、上記の画像に関連する情報に基づいて出力信号U1の出力タイミング(すなわち処理システム200が対象物2に対する処理を実行する実行タイミング)が調整される。これにより、ベルトコンベア201での対象物2の位置X1が正規の位置でなくても、ベルトコンベア201による移送中の対象物2に対する処理を適切に実行することができる。
【0017】
(1-2.詳細説明)
以下、本実施形態に係る画像処理方法が適用された画像処理システム1について説明する。以下の説明では、画像処理システム1が移送検査システム100に備えられた場合を例示する。また、対象物2は、例えば電子部品(例えば平面視矩形の半導体チップ)を想定する。
【0018】
図1に示すように、移送検査システム100は、ベルトコンベア201による移送中の対象物2を撮像装置203で撮像し、その撮像した撮像画像G1に基づいて対象物2の適不適を判定し、不適と判定した対象物2をエア噴出装置204の噴出エアによってベルトコンベア201から弾き出すシステムである。
【0019】
移送検査システム100は、処理システム200と、画像処理システム1とを備える。
【0020】
処理システム200は、ベルトコンベア201と、排出路202と、撮像装置203と、エア噴出装置204と、制御装置205とを備える。
【0021】
ベルトコンベア201は、対象物2を移送する。より詳細には、ベルトコンベア201は、例えば、輪状の幅広のベルトを台車の上で回転させ、そのベルトに対象物2を載せることで、対象物2をベルトコンベア201によって移送方向Q1に一定速度で移送する。なお、移送方向Q1は、ベルトコンベア201のベルトが進む方向である。
【0022】
排出路202は、エア噴出装置204の噴出エアによってベルトコンベア201から弾き出された対象物2が通る道である。排出路202は、例えば、ベルトコンベア201の所定地点(第2地点P2)において、ベルトコンベア201の片方の側面からベルトコンベア201と交差する方向に延びている。
【0023】
撮像装置203は、ベルトコンベア201による移送中の対象物2を撮像する。より詳細には、撮像装置203は、CCDイメージセンサなどを備えて構成されている。撮像装置203は、ベルトコンベア201の第1地点P1の周囲(例えば上方)に配置されており、ベルトコンベア201の上方(すなわち対象物2の上方)から第1地点P1を含む一定範囲W1を撮像する。これにより、撮像装置203は、第1地点P1を通過する対象物2を撮像する。撮像装置203は、例えば一定時間間隔で静止画を撮像するが、静止画の代わりに動画を撮像してもよい。
【0024】
エア噴出装置204は、その噴出エアによって、ベルトコンベア201による移送中の対象物2をベルトコンベア201から排出路202に弾き出す装置である。エア噴出装置204は、ベルトコンベア201の第2地点P2の周囲(例えば排出路202とは反対側)に配置されている。第2地点P2は、ベルトコンベア201上の地点であって、移送方向Q1において、第1地点P1から一定距離はれた地点である。エア噴出装置204は、ベルトコンベア201の第2地点P2に向けてエアを噴出する。これにより、エア噴出装置204は、対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2を通過する時にエアを噴出することで、第2地点P2を通過する対象物2をベルトコンベア201から排出路202に弾き出すことが可能である。
【0025】
なお、エア噴出装置204は、ベルトコンベア201による移送中の対象物2に対して物理的な処理を行う処理装置の一例である。上記の「物理的な処理」とは、例えば、対象物2を移動させること、対象物2を持ち上げること、対象物2の方向を変えることを含む。
【0026】
制御装置205は、ベルトコンベア201、撮像装置203及びエア噴出装置204を制御する装置である。制御装置205は、画像処理システム1からの出力信号U1に応じてエア噴出装置204を作動させる。エア噴出装置204は、作動するとエアを噴出する。この噴出エアによって、対象物2がベルトコンベア201から排出路202に弾き出される。
【0027】
画像処理システム1は、撮像装置203の撮像画像G1に基づいて対象物2の適不適を判定し、その判定結果に応じて、エア噴出装置204を作動させるための出力信号U1の出力タイミングを制御する。
【0028】
画像処理システム1は、管理部11と、画像取得部12と、画像処理部13と、待ち時間調整部14と、出力部15とを備える。
【0029】
管理部11は、管理処理を行う。この管理処理では、例えば制御装置205を介して撮像装置203の動作を管理する。より詳細には、管理処理では、例えば制御装置205を介して、撮像装置203が静止画を撮像する時間間隔を調整する。換言すれば、管理処理では、撮像装置203が撮像する撮像タイミングを調整する。これにより、画像処理部13の後述の画像処理において、撮像装置203から撮像画像G1を取得する取得タイミングが調整(管理)される。本実施形態では、管理部11は、制御装置205を介して撮像装置203の動作を管理するが、制御装置205を介さずに直接、撮像装置203の動作を管理してもよい。
【0030】
画像取得部12は、取得処理を行う。この取得処理では、対象物2を撮像した撮像画像G1(
図2A参照)を撮像装置203から取得する。また、取得処理では、画像取得部12が撮像装置203から撮像画像G1を取得した時刻(取得時刻)を記憶する。なお、本実施形態では、取得時刻は、撮像装置203が撮像した時刻と同じと見なしている。
【0031】
画像処理部13は、画像処理を行う。この画像処理では、画像取得部12の取得処理で取得された撮像画像G1に対して画像処理を行う。より詳細には、この画像処理では、画像認識技術を用いて、撮像画像G1に対象物2(
図2A参照)が写っているか否かの判定(対象物判定)を行う。この判定では、対象物2を写したテンプレート画像が画像処理システム1の所定の記憶部に予め記憶されている。そして、この画像処理では、撮像画像G1の各部分とテンプレート画像との類似度を判定し、撮像画像G1の各部分において類似度が閾値以上の部分があるかを判定する。この判定では、撮像画像G1において、対象物2が写っている部分の類似度は、閾値以上になり、対象物2が写っていない部分の類似度は、閾値未満となる。このため、この画像処理では、撮像画像G1の各部分において類似度が閾値以上の部分に、対象物2が写っていると判定する。
【0032】
また、上記の画像処理では、撮像画像G1に写っている対象物2にマーク2a(
図2A参照)が表記されているか否かの判定(マーク判定)を行う。上記のマーク2aは、特定形状の印(例えば丸印)であり、例えば、対象物2の上面の周縁の所定位置に表記されている。この画像処理では、撮像画像G1に写っている対象物2にマーク2aに表記されていること判定した場合、対象物2でのマーク2aの位置に基づいて、対象物2の方向が特定方向を向いているか否かの判定(方向判定)を行う。上記の「対象物2の方向」は、例えば、対象物2の位置S1からマーク2aの位置に向かう方向である。上記の特定方向とは、例えば対象物2の移送方向Q1である。
【0033】
このように、本実施形態では、画像処理部13の画像処理では、複数段階の処理(例えば、マーク判定及び方向判定の2段階の処理)が行われる。また、マーク判定の結果及び方向判定の結果は、画像処理の結果の一例である。
【0034】
待ち時間調整部14は、調整処理を行う。この調整処理では、画像処理部13の画像処理の結果に基づいて、待ち時間を調整する。上記の待ち時間は、エア噴出装置204のエア噴出タイミング(すなわち出力部15からの出力信号U1の出力タイミング)を制御するための時間である。より詳細には、調整処理では、画像処理部13の画像処理の結果に基づいて、撮像画像G1での対象物2の位置X1(例えば撮像画像G1での対象物2の中心の位置)を求め、求めた位置に応じて待ち時間を調整する。すなわち、調整処理では、撮像画像G1での対象物2の位置X1に基づいて、待ち時間を調整する。なお、撮像画像G1での対象物2の位置X1は、撮像画像G1に関連する情報の一例である。したがって、待ち時間調整部14の調整処理では、撮像画像G1に関連する情報に基づいて待ち時間を調整している。
【0035】
より詳細には、撮像画像G1での対象物2の位置X1は、移送方向Q1における基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1(
図2A参照)である。基準位置K1は、対象物2が本来位置すべき位置(すなわち正規の位置)である。以後、正規の位置を正規の位置K1とも記載する。基準位置K1は、例えば撮像画像G1の所定位置に固定的に設定されている。この場合、上記の待ち時間は、予め設定された基準時間に対して、上記の相対位置R1に応じた調整時間が加減算されることによって、調整される。上記の基準時間は、上記の調整時間がゼロに場合の待ち時間である。すなわち、上記の基準時間は、撮像画像G1での対象物2の位置X1が基準位置K1に一致する場合、画像取得部12による撮像画像G1の取得時点から、対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2を通過するまでの時間である。上記の調整時間は、上記の相対位置R1が基準位置K1に一致するときはゼロであり、上記の相対位置R1が大きいほど大きくなり、上記の相対位置R1が小さいほど小さくなる。また、上記の相対位置R1が基準位置K1から移送方向Q1とは反対方向にずれている場合(
図2A参照)は、調整時間は基準時間に加算される。すなわち、待ち時間は、調子時間分長くなるように調整される。また、上記の相対位置R1が基準位置K1から移送方向Q1にずれている場合(
図2B参照)は、調整時間は基準時間から減算される。すなわち、待ち時間は、調子時間分短くなるように調整される。
【0036】
出力部15は、出力処理を行う。この出力処理では、画像取得部12が撮像装置203から撮像画像G1を取得した時点(すなわち画像処理部13が記憶した上記の取得時刻)から上記の待ち時間経過した時(すなわち対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2を通過する時)に、出力信号U1を処理システム200の制御装置205に出力する。この出力信号U1は、エア噴出装置204を作動させるための信号である。制御装置205は、出力部15から上記の出力信号U1を受信すると速やかに、エア噴出装置204を作動させる。これにより、エア噴出装置204の噴出エアによって、ベルトコンベア201の第2地点P2を通過する対象物2が、ベルトコンベア201から排出路202に弾き出される。
【0037】
画像処理システム1は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、画像処理システム1は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが適宜のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが画像処理システム1として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0038】
(1-3.動作説明)
次に
図3のフローチャートを参照して移送検査システムの動作を説明する。
【0039】
撮像装置203がベルトコンベア201の第1地点P1を撮像すると、画像取得部12の取得処理は、その撮像した撮像画像G1を取得し(ステップS1)、且つその取得時刻を記憶する(ステップS2)。そして、画像処理部13が、画像取得部12で取得された撮像画像に対して画像処理を行う。より詳細には、画像処理部13の画像処理では、画像認識技術を用いて、撮像画像G1に対象物2が写っているか否かの判定(対象物判定)を行う(ステップS3)。この判定の結果、撮像画像G1に対象物2が写っていない場合(ステップS4:No)は、処理が終了する。他方、ステップS3の判定の結果、撮像画像G1に対象物2が写っている場合(ステップS4:Yes)は、画像処理部13の画像処理では、当該撮像画像G1に基づいて、対象物2にマーク2aが表記されているか否かの判定を行う(ステップS5)。この判定の結果、対象物2にマーク2aが表示されていない場合(ステップS6:No)は、画像処理部13は、当該対象物2を不適であると判定して(ステップS7)、ステップS8~S11の処理を実行する。
【0040】
より詳細には、画像処理部13の画像処理では、撮像画像G1での対象物2の位置X1を求める(ステップS8)。そして、画像処理部13の画像処理では、移送方向Q1における基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1を求め、その相対位置R1に応じた調整時間を基準時間に加減算することによって、待ち時間を算出(調整)する(ステップS9)。そして、出力部15の出力処理では、画像取得部12による撮像画像G1の取得時刻(すなわちステップS2の取得時刻)から上記の待ち時間の経過を待って(ステップS10)、出力信号U1を処理システム200の制御装置205に出力する(ステップS11)。このように、出力部15が取得時刻から待ち時間の経過を待つことで、対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2まで移送される。そして、制御装置205は、出力信号U1を受信すると速やかにエア噴出装置204を作動させて、エア噴出装置204からエアを噴出させる(ステップS12)。この結果、エア噴出装置204の噴出エアによって、ベルトコンベア201の第2地点P2を通過する対象物2(すなわち不適と判定された対象物2)がベルトコンベア201から排出路202に弾き出される。
【0041】
他方、ステップS5の判定の結果、対象物2にマーク2aが表記されている場合(ステップS6:Yes)は、画像処理部13の画像処理では、対象物2でのマーク2aの位置に基づいて、対象物2の方向が特定方向を向いているか否かの判定(方向判定)を行う(ステップS13)。この判定の結果、対象物2の方向が特定方向を向いていない場合(ステップS14:No)は、画像処理では、当該対象物2は不適であると判定して(ステップS15)、ステップS16~S19の処理を実行する。ステップS16~S19の処理は、ステップS8~S11の処理と同じである。
【0042】
すなわち、画像処理部13の画像処理では、当該撮像画像G1での対象物2の位置X1を求める(ステップS16)。そして、画像処理部13の画像処理では、移送方向Q1における基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1を求め、その相対位置R1に応じた調整時間を基準時間に加減算することによって、待ち時間を算出(調整)する(ステップS17)。そして、出力部15の出力処理では、画像取得部12による撮像画像G1の取得時刻(すなわちステップS2の取得時刻)から上記の待ち時間の経過を待って(ステップS18)、出力信号U1を処理システム200の制御装置205に出力する(ステップS19)。このように、取得時刻から待ち時間の経過を待つことで、対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2まで移送される。そして、制御装置205は、出力信号U1を受信すると速やかにエア噴出装置204を作動させて、エア噴出装置204からエアを噴出させる(ステップS12)。この結果、エア噴出装置204からの噴出エアによって、ベルトコンベア201の第2地点P2を通過する対象物2(すなわち不適と判定された対象物2)がベルトコンベア201から排出路202に弾き出される。
【0043】
他方、ステップS13の判定の結果、対象物2の方向が特定方向を向いている場合(ステップS14:Yes)は、画像処理部13は、当該対象物2は適であると判定する(ステップS20)。この場合、対象物2は、エア噴出装置204の噴出エアによってベルトコンベア201から弾き出されずに移送される。そして、処理は終了する。
【0044】
(1-4.主要な効果)
本実施形態の画像処理方法は、取得処理と、出力処理と、調整処理とを有する。取得処理では、ベルトコンベア201(移送手段)による移送中の対象物2を撮像した撮像画像G1を取得する。出力処理では、撮像画像G1に対する画像処理の結果に応じて、対象物2に対する処理を実行させるための出力信号U1を出力する。調整処理では、撮像画像G1に関連する情報に基づいて、撮像画像G1の取得時から出力信号U1を出力するまでの待ち時間を調整する。
【0045】
この構成により、撮像画像G1に関連する情報に基づいて、撮像画像G1の取得時から出力信号U1を出力するまでの待ち時間を調整するため、撮像画像G1に関連する情報に基づいて、出力信号U1の出力タイミングを調整することができる。この結果、ベルトコンベア201での対象物2の配置X1が正規の位置(基準位置K1)からずれていても、ベルトコンベア201による移送中の対象物2に対して処理(例えば物理的な処理)を適切に実行することができる。
【0046】
(2.変形例)
上記の実施形態の変形例を説明する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて実施可能である。また、上述の実施形態に係る画像処理方法と同様の機能は、画像処理システム1、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0047】
一態様に係る画像処理システム1は、画像取得部12(取得部)と、出力部15と、待ち時間調整部14(調整部)とを有する。画像取得部12は、ベルトコンベア201(移送手段)による移送中の対象物2を撮像した撮像画像G1を取得する。出力部15は、撮像画像G1に対する画像処理の結果に応じて、対象物2に対する処理を実行させるための出力信号U1を出力する。待ち時間調整部14は、撮像画像G1に関連する情報に基づいて、撮像画像G1の取得時から出力信号U1を出力するまでの待ち時間を調整する。
【0048】
一態様に係るプログラムは、上記の実施形態の画像処理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0049】
一態様に係る非一時的記録媒体は、上記の実施形態の画像処理方法を、1以上のプロセッサに実行させるプログラムを記録する。
【0050】
(2-1.変形例1)
上記の実施形態では、複数段階の処理(例えばマーク判定及び方向判定)の結果に応じて出力される出力信号U1によって、共通の処理装置(例えばエア噴出装置204)が制御される。ただし、
図4に示すように、複数段階の処理(例えばマーク判定及び方向判定)の結果に応じて出力される出力信号U1によって、異なる処理装置(例えばエア噴出装置204及びロボットアーム装置206)が制御されてもよい。
【0051】
図4の例では、処理システム200は、上記の異なる処理装置として、例えば、エア噴出装置204とロボットアーム装置206とを備える。エア噴出装置204は、上記の実施形態のエア噴出装置204と同じ構成である。ロボットアーム装置206は、ベルトコンベア201による移送中の対象物2を摘んで対象物2の方向を特定方向に修正する装置である。ロボットアーム装置206は、ベルトコンベア201の第3地点P3の周囲に配置されている。ロボットアーム装置206は、制御装置205の制御に応じて、対象物2がベルトコンベア201の第3地点P3を通過する時に対象物2を摘んで対象物2の方向を特定方向に修正する。
【0052】
本変形例では、エア噴出装置204は、画像処理部13のマーク判定の結果に応じて出力部15から出力される出力信号U1によって、作動される。ロボットアーム装置206は、画像処理部13の方向判定の結果に応じて出力部15から出力される出力信号U1によって、作動される。
【0053】
本変形例では、待ち時間調整部14は、画像処理部13の画像処理の結果が複数段階の処理(例えばマーク判定及び方向判定)のうちのどの処理の結果であるかに応じて、待ち時間を調整する。なお、待ち時間の調整は、上記の実施形態で説明した通り、予め設定された基準時間に対して、基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1に応じた調整時間が加減算されることによって行われる。本変形例では、上記の基準時間として、複数段階の処理ごとに異なる長さの基準時間が設定されている。すなわち、本変形例では、複数段階の処理に対応して、異なる長さの複数の基準時間が設定されている。例えば、マーク判定に対しては第1基準時間が設定され、方向判定に対しては第2基準時間が設定されている。第1基準時間は、撮像画像G1での対象物2の位置X1が基準位置K1に一致する場合に、画像取得部12による撮像画像G1の取得時点から、対象物2がベルトコンベア201の第2地点P2を通過するまでの時間である。第2基準時間は、撮像画像G1での対象物2の位置X1が基準位置K1に一致する場合に、画像取得部12による撮像画像G1の取得時点から、対象物2がベルトコンベア201の第3地点を通過するまでの時間である。
【0054】
待ち時間調整部14は、画像処理部13の画像処理の結果がマーク判定の結果である場合は、基準時間として第1基準時間を用いて上記の実施形態の場合と同様に待ち時間を求めることで、待ち時間を算出(調整)する。また、待ち時間調整部14は、画像処理部13の画像処理の結果が方向判定の結果である場合は、基準時間として第2基準時間を用いて上記の実施形態の場合と同様に待ち時間を求めることで、待ち時間を算出(調整)する。すなわち、待ち時間調整部14は、画像処理部13の画像処理の結果が複数段階の処理のうちのどの処理の結果であるかに応じて、異なる長さの基準時間を用いることで(すなわち基準時間の長さを調整することで)、待ち時間を算出(調整)する。
【0055】
なお、画像処理部13の画像処理(例えばマーク判定及び方向判定などの複数段階の処理)の結果は、撮像画像G1に関連する情報の一例である。したがって、待ち時間調整部14の調整処理では、撮像画像G1に関連する情報に基づいて待ち時間を調整している。
【0056】
本変形例では、出力部15の出力処理では、出力信号U1として複数種類の出力信号(第1出力信号及び第2出力信号)を処理システム200の制御装置205に出力する。より詳細には、出力部15の出力処理では、画像処理部13の画像処理の結果が複数段階の処理(例えばマーク判定及び方向判定)のどの処理の結果であるかに応じて、異なる種類の出力信号(第1出力信号及び第2出力信号)を処理システム200の制御装置205に出力する。これにより、制御装置205は、出力部15から受信した出力信号の種類に基づいて、複数の処理装置(例えばエア噴出装置204及びロボットアーム装置206)のうちのどの処理装置を作動させるべきかを判断する。例えば、出力部15の出力処理では、画像処理部13の画像処理の結果がマーク判定の結果である場合は、出力信号U1として第1出力信号を出力し、画像処理部13の画像処理の結果が方向判定の結果である場合は、出力信号U1として第2出力信号を出力する。制御装置205は、受信した出力信号U1が第1出力信号である場合は、エア噴出装置204を作動させ、受信した出力信号U1が第2出力信号である場合は、ロボットアーム装置206を作動させる。
【0057】
本変形例では、上記のように、待ち時間調整部14の調整処理では、出力部15の出力処理で出力される出力信号の種類(すなわち複数種類の出力信号)毎に待ち時間を調整している。例えば、待ち時間調整部14の調整処理では、出力部15から第1信号が出力される場合は、少なくとも第1基準時間を用いることで待ち時間を調整し、出力部15から第2信号が出力される場合は、少なくとも第2基準時間を用いることで待ち時間を調整する。
【0058】
図5を参照して、本変形例の移送検査システム100の動作を説明する。本変形例の移送検査システム100の動作は、上記の実施形態の移送検査システムの動作(
図4参照)において、下記の変更点1,2が異なる以外は同じである。(変更点1)ステップS9,S11,S17,S19がそれぞれ、ステップS9A,S11A,S17A,S19Aに変更される。(変更点2)ステップS12が省略されて、ステップS12A,12Bが追加される。以下の説明では、上記の実施形態の移送検査システム100の動作と異なるステップ(ステップS9A,S11A,S12A,S12B,S17A,S19A)のみ説明し、同じステップの説明は、ステップ番号を付して省略する。
【0059】
ステップS9Aでは、画像処理部13は、複数の基準時間の中からマーク判定に対応する基準時間(第1基準時間)を選択する。そして、画像処理部13は、移送方向Q1における基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1を求め、その相対位置R1に応じた調整時間を第1基準時間に加減算することによって、待ち時間を算出(調整)する。
【0060】
ステップS11Aでは、出力部15は、出力信号U1として、マーク判定に対応する第1出力信号を処理システム200の制御装置205に出力する(ステップS11)。
【0061】
ステップS12Aは、ステップS11Aの次に実行される。ステップS12Aでは、制御装置205は、第1出力信号を受信すると速やかにエア噴出装置204を作動させて、エア噴出装置204からエアを噴出させる。この結果、エア噴出装置204の噴出エアによって、ベルトコンベア201の第2地点P2を通過する対象物2(すなわち不適と判定された対象物2)がベルトコンベア201から排出路202に弾き出される。そして、処理が終了する。
【0062】
ステップS17Aでは、画像処理部13は、複数の基準時間の中から方向判定に対応する基準時間(第2基準時間)を選択する。そして、画像処理部13は、移送方向Q1における基準位置K1に対する対象物2の相対位置R1を求め、その相対位置R1に応じた調整時間を第2基準時間に加減算することによって、待ち時間を算出(調整)する。
【0063】
ステップS19Aでは、出力部15は、出力信号U1として、方向判定に対応する第2出力信号を処理システム200の制御装置205に出力する。
【0064】
ステップS12Bは、ステップS19Aの次に実行される。ステップS12Bでは、制御装置205は、第2出力信号を受信すると速やかにロボットアーム装置206を作動させて、ロボットアーム装置206によって、ベルトコンベア201の第3地点P3を通過する対象物2の方向を、特定方向を向くように調整する。そして、処理が終了する。
【0065】
本変形例によれば、画像処理部13の画像処理での複数段階の処理(例えばマーク判定及び方向判定)の処理の結果に応じて出力される出力信号(第1出力信号及び第2出力信号)によって、異なる処理装置204,206を作動させることができる。
【0066】
(2-2.変形例2)
上記の実施形態では、基準位置K1は、撮像画像G1の所定位置に固定的に設定される。ただし、ベルトコンベア201において、対象物2の移送方向Q1に等間隔に複数の線(すなわち移送方向Q1に直交する複数の線)を表記し、各線の位置を基準位置K1としてもよい。また、ベルトコンベア201において、複数の対象物2が移送方向Q1に等間隔に並べられる場合は、注目する対象物2の1つ前又は1つ後の対象物2の位置X1を基準位置K1としてもよい。
【0067】
(2-3.変形例3)
上記の実施形態及び変形例では、出力部15からの出力信号U1が制御装置205に出力され、その出力信号U1を受信した制御装置205が処理装置(エア噴出装置204及びロボットアーム装置206)を作動させる。すなわち、出力部15からの出力信号U1によって間接的に、処理装置が作動される。ただし、出力部15からの出力信号U1を直接、処理装置に出力することで、出力信号によって直接、処理装置を作動させてもよい。
【0068】
(2-4.その他の変形例)
上記の実施形態及び変形例では、処理装置としてエア噴出装置204及びロボットアーム装置206を例示する。ただし、処理装置は、ベルトコンベア201による移送中の対象物2に対して処理(例えば物理的な処理)を行う装置であれば、どのような装置であってもよい。
【0069】
(3.まとめ)
第1の態様の画像処理方法は、取得処理(S1)と、出力処理(S11,S19;S11A,S19A)と、調整処理(S9,S17;S9A,S17A)と、を有する。取得処理(S1)では、移送手段(201)による移送中の対象物(2)を撮像した撮像画像(G1)を取得する。出力処理(S11,S19;S11A,S19A)では、撮像画像(G1)に対する画像処理の結果に応じて、対象物(2)に対する処理を実行させるための出力信号(U1)を出力する。調整処理(S9,S17;S9A,S17A)では、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、撮像画像(G1)の取得時から出力信号(U1)を出力するまでの待ち時間を調整する。
【0070】
この構成によれば、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、撮像画像(G1)の取得時から出力信号(U1)を出力するまでの待ち時間を調整する。このため、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、出力信号(U1)の出力タイミングを調整することができる。この結果、移送手段(201)での対象物(2)の位置(X1)が正規の位置(K1)からずれていても、移送手段(201)による移送中の対象物(2)に対する処理(例えば物理的な処理)を適切に実行することができる。
【0071】
第2の態様の画像処理方法では、第1の態様において、調整処理(S9,S17;S9A,S17A)では、撮像画像(G1)での対象物(2)の位置(X1)に基づいて、待ち時間を調整する。
【0072】
この構成によれば、撮像画像(G1)での対象物(2)の位置(X1)に基づいて、待ち時間を調整することができる。
【0073】
第3の態様の画像処理方法では、第2の態様において、撮像画像(G1)での対象物(2)の位置(X1)は、基準位置(K1)に対する対象物(2)の相対位置(R1)である。待ち時間は、予め設定された基準時間に対して、相対位置(R1)に応じた調整時間を加減算することによって調整される。
【0074】
この構成によれば、対象物(2)の位置(X1)は、基準位置(K1)に対する対象物(2)の相対位置(R1)である。この結果、相対位置(R1)に応じた調整時間を基準時間に加減算するという簡単な計算で、待ち時間を調整することができる。
【0075】
第4の態様の画像処理方法では、第3の態様において、基準位置(K1)は、撮像画像(G1)に固定的に設定されている。
【0076】
この構成によれば、基準位置(K1)を実空間内の物体(例えば対象物(2)を移送する移送手段(201))に表記する必要がなくなる。
【0077】
第5の態様の画像処理方法では、第1~第4の態様の何れか1つにおいて、画像処理では、複数段階の処理(S5,S13)を行う。調整処理(S9A,S17A)では、画像処理の結果が複数段階の処理(S5,S13)のうちのどの処理の結果であるかに応じて、待ち時間を調整する。
【0078】
この構成によれば、複数段階の処理(S5,S13)のうちのどの処理の結果であるかに応じて、待ち時間を調整することができる。
【0079】
第6の態様の画像処理方法では、第1~第5の態様の何れか1つにおいて、出力処理(S11A,S19A)では、出力信号(U1)として複数種類の出力信号を出力可能である。調整処理(S9A,S17A)では、複数種類の出力信号毎に待ち時間を調整する。
【0080】
この構成によれば、出力処理で、出力信号(U1)として複数種類の出力信号が出力可能である場合、複数種類の出力信号毎に待ち時間を調整することができる。
【0081】
第7の態様の画像処理方法では、第1~第6の態様の何れか1つにおいて、出力処理(S11,S19;S11A,S19A)では、処理システム(200)に対して、出力信号(U1)を出力する。処理システム(200)は、移送手段(201)による移送中の対象物(2)に対して物理的な処理を行う。
【0082】
この構成によれば、処理システム(200)が実行する物理的な処理の実行タイミングを調整することができる。
【0083】
第8の態様の画像処理方法は、第1~第7の態様の何れか1つにおいて、管理処理を有する。管理処理は、取得処理(S1)での撮像画像(G1)の取得タイミングを管理する。
【0084】
この構成によれば、出力信号(U1)を受信する側のシステム(100)ではなくて、出力信号(U1)を出力する側のシステム(1)で、取得処理(S1)での画像の取得タイミングを管理することができる。
【0085】
第9の態様のプログラムは、第1~第8の態様の何れか1つの画像処理方法を、1以上のプロセッサに実行させる。
【0086】
この構成によれば、上記の画像処理方法をプロセッサに実行させるためのプログラムを提供することができる。
【0087】
第10の態様の画像処理システム(1)は、取得部(12)と、出力部(15)と、調整部(14)と、を有する。取得部(12)は、移送手段(201)による移送中の対象物(2)を撮像した撮像画像(G1)を取得する。出力部(15)は、撮像画像(G1)に対する画像処理の結果に応じて、対象物(2)に対する処理を実行させるための出力信号(U1)を出力する。調整部(14)は、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、撮像画像(G1)の取得時から出力信号(U1)を出力するまでの待ち時間を調整する。
【0088】
この構成によれば、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、撮像画像(G1)の取得時から出力信号(U1)を出力するまでの待ち時間を調整する。このため、撮像画像(G1)に関連する情報に基づいて、出力信号(U1)の出力タイミングを調整することができる。この結果、移送手段(201)での対象物(2)の位置(X1)が正規の位置(K1)からずれていても、移送手段(201)による移送中の対象物(2)に対する処理(例えば物理的な処理)を適切に実行することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 画像処理システム
2 対象物
12 画像取得部(取得部)
14 待ち時間調整部(調整部)
15 出力部
200 処理システム
201 移送手段
G1 撮像画像
K1 基準位置
R1 相対位置
S1 取得処理
S5 マーク判定(複数段階の処理の1つ)
S9,S17,S9A,S17A 調整処理
S11,S19,S11A,S19A 出力処理
S13 方向判定(複数段階の処理の1つ)
U1 出力信号
X1 対象物の位置