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  • 特許-ナノ粒子の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ナノ粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/34 20170101AFI20240412BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240412BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240412BHJP
   B82Y 5/00 20110101ALI20240412BHJP
   B82Y 40/00 20110101ALI20240412BHJP
【FI】
A61K47/34
A61K47/32
A61K9/14
A61K47/10
A61K31/12
A61P29/00
B82Y5/00
B82Y40/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019114079
(22)【出願日】2019-06-19
(65)【公開番号】P2020125279
(43)【公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-06-14
(31)【優先権主張番号】P 2019017631
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517235993
【氏名又は名称】村上 正裕
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】村上 正裕
(72)【発明者】
【氏名】松本 昭博
【審査官】辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-180145(JP,A)
【文献】特表2012-521412(JP,A)
【文献】再公表特許第2016/084849(JP,A1)
【文献】国際公開第2017/026426(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K9/00-9/72
A61K47/00-47/69
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳酸重合体または乳酸・グリコール酸共重合体を含む塩化メチレン溶液を、ポリビニルアルコールと、プロピレングリコール、ブチレングリコールまたはポリエチレングリコールとの水溶液中において、乳化してエマルションを得る工程A、および、工程Aで得られたエマルションから有機溶媒を除去する工程Bを含む、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるナノ微粒子を製造する方法であって、
前記水溶液中におけるポリビニルアルコールの濃度が5質量%を超え、25質量%以下であり、
前記水溶液中におけるプロピレングリコールまたはブチレングリコールの濃度が、60質量%以上70質量%以下であるか、または前記水溶液中におけるポリエチレングリコールの濃度が50質量%である、
方法。
【請求項2】
乳酸重合体が、重合度3~19のオリゴ乳酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
塩化メチレン溶液が、生理活性物質をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
塩化メチレン溶液が、クルクミンをさらに含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程Bにおいて、工程Aで得られたエマルションを、有機溶媒の飽和溶解度以上の量の水で希釈することにより、有機溶媒を除去する、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程Bにおいて、風乾、加熱、または減圧の手段により乾燥を行うことにより、エマルションをフィルム化する、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キュムラント平均径が10~100nmまたは体積基準のメジアン径が10~100nmであるナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子ナノスフェアは、内包薬物の徐放化だけでなく、組織浸透性や膜透過性の高さや病巣部へのターゲティングの可能性といった点で注目されている。高分子ナノスフェアの調製法として、マイクロフルイダイザーといった高圧乳化機の使用(Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology edt by D.L.Wise, Marcel Dekker, Inc.,New York, 2000, pp 435-357)や溶媒拡散法(Y.Kawashima, Hnadbook of powder technology vol.9 edt by D.Chulia,M.Deleuil, Y.Pourcelot, Elsevier,Amsterdam,1994,pp493-512)といった方法が提唱されている。しかしながら、その粒子径は200nm前後であり、100nm以下の高分子ナノスフェアの調製は困難となっている。また、水溶性薬物については包含が困難となっている。
【0003】
一般に、高分子微粒子は無菌化が困難とされている。それらの多くは、高圧蒸気滅菌や放射線による滅菌により高分子の分解や微粒子の凝集が発生するためである。そのため、無菌製剤として高分子微粒子を用いるには高度な製造管理が必要な無菌操作法で製造されるのが一般的である。一方で、無菌化には上述の滅菌法の他に菌を除去するろ過法がある。ろ過法を適用するためには微粒子の粒子径を200nm以下とする必要がある。すなわち、微粒子の粒子径を200nm以下とすることによってろ過法による滅菌法が適用できるため、微粒子を無菌製剤として利用する場合、製造性と無菌性確保の確実性の面から意義が大きい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology edt by D.L.Wise, Marcel Dekker, Inc.,New York, 2000, pp 435-357
【文献】Y.Kawashima, Hnadbook of powder technology vol.9 edt by D.Chulia,M.Deleuil, Y.Pourcelot, Elsevier,Amsterdam,1994,pp493-512
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
100nm以下の微粒子化については、上述の無菌性に対する意義に限らず、経口吸収率向上においても意義がある。腸管内部は粘液層で保護されているが、その粘液層は網目構造を有し、そのろ過機能により細菌などの粒子が生体内に吸収されないような防御の仕組みとなっている。一方で、この仕組みにおいては、微粒子の粒子径が200nm以下となると粘液層中の拡散係数が大きくなることが報告されている。そのことを利用すると、200nm以下のナノ微粒子化により、難吸収性の薬物の経口吸収率向上が期待できる。200nm以下のナノ微粒子の吸収促進については、経口に限ったものではなく、口腔といった他の粘膜や、経鼻、経肺、経皮での吸収率の向上も期待できる。
【0006】
上記の通り、200nm以下の領域のナノ粒子は様々な利点を有するが、合成以外の方法によりナノ微粒子を製造する方法は限られており、その限られた方法では、200nm前後の微粒子は製造できても100nm以下の微粒子製造は困難である。
本発明の課題は、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるナノ微粒子を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、好ましくは100nm以下の高分子微粒子を製造する方法の開発に取り組んだ。我々は、ナノ粒子の製造にあたっては、乳化時の油‐水の界面張力を下げる必要があると考え、調査した結果、エマルションの製造の分野に用いられている乳化法のひとつにD相乳化法があることに行き当たった。D相乳化法は、高濃度の界面活性剤のブチレングリコールなどのポリオール溶液中に油相を乳化しO/Dエマルションを形成させた後、水を加えてO/W型エマルションを得る方法である(岩澤ら、界面ハンドブック、エヌ・ティー・エス、90-92)。この方法は、マイクロオーダーの分散相を有するエマルションの製造方法であるが、その原理として、高濃度の界面活性剤を使用することとポリオールで水の極性を低くすることで界面張力を低くなることを利用している。
【0008】
一方、ナノ微粒子においては、製造液中では安定であっても、乾燥すると凝集を起こし、乾燥前の粒子径が得られなくなるといったハンドリングの難しさが問題となっている。このことは、ナノ微粒子の製造の困難さとともに適用拡大を阻害している要因となっている。
そこで、我々は、D相乳化法を参考に鋭意検討の結果、分子量200以上の分子を含む有機溶媒溶液を、ポリビニルアルコールと、プロピレングリコール、ブチレングリコール、またはポリエチレングリコール水溶液中で乳化したのち、有機溶媒を留去することにより、キュムラント平均径が10~100nmまたは体積基準のメジアン径が10~100nmであるナノ微粒子を製造できることを見出した。この粒子径では、容易にろ過滅菌でき、工業上有利な特性である。さらに、乳化液を薄膜化すると油相中溶媒の乾燥が促進されるのと同時に、水相中の水分も乾燥され、固形物としてフィルム形成できること、そのフィルムを水に溶解すると乾燥前の粒子径と同等なナノ微粒子が放出されることを見出し、ハンドリングの面でも有利であることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
<1> 分子量200以上の分子を含む有機溶媒溶液を、ポリビニルアルコールと、60%以上の水溶液濃度でポリビニルアルコールとゲル形成する物質との水溶液中において、乳化してエマルションを得る工程A、および、工程Aで得られたエマルションから有機溶媒を除去する工程Bを含む、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるナノ微粒子を製造する方法。
<2> 60%以上の水溶液濃度でポリビニルアルコールとゲル形成する物質が、プロピレングリコール、ブチレングリコールまたはポリエチレングリコールである、<1>に記載の方法。
<3> 分子量200以上の分子が、生分解性高分子である、<1>または<2>に記載の方法。
<4> 分子200以上の分子が、乳酸重合体、乳酸・グリコール酸共重合体、またはアクリル酸を含む重合体である、<1>から<3>の何れか一に記載の方法。
<5> 分子量200以上の分子を含む有機溶媒溶液が、重合度3~19のオリゴ乳酸を含む有機溶媒溶液である、<1>から<4>の何れか一に記載の方法。
<6> 分子量200以上の分子が、生理活性物質である、<1>から<5>の何れか一に記載の方法。
<7> 有機溶媒が、塩化メチレンである、<1>から<6>の何れか一に記載の方法。
<8> 分子200以上の分子が、クルクミンを含む、<1>から<6>の何れか一に記載の方法。
<9> 前記水溶液中におけるポリビニルアルコールの濃度が5質量%を超え、25質量%以下である、<1>から<8>の何れか一に記載の方法。
<10> 前記水溶液中におけるプロピレングリコールまたはブチレングリコールの濃度が、50質量%を超え、70質量%以下である、<1>から<9>の何れか一に記載の方法。
<11> 工程Bにおいて、工程Aで得られたエマルションを、有機溶媒の飽和溶解度以上の量の水で希釈することにより、有機溶媒を除去する、<1>から<10>の何れか一に記載の方法。
<12> 工程Bにおいて、風乾、加熱、または減圧の手段により乾燥を行うことにより、エマルションをフィルム化する、<1>から<11>の何れか一に記載の方法。
<13> <1>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるナノ微粒子。
<14> <1>から<12>の何れか一に記載の方法により製造される、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるヤヌス微粒子。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キュムラント平均径および体積基準のメジアン径のいずれかが10~100nmであるナノ微粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例14の透過型電子顕微鏡像
図2】実施例21のネガティブ染色後の透過型電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について説明する。
本発明によるナノ微粒子を製造する方法は、キュムラント平均径がおよび体積基準のメジアン径のいずれかがが10~100nmであるナノ微粒子を製造する方法であって、分子量200以上の分子を含む有機溶媒溶液を、ポリビニルアルコールと、60%以上の水溶液濃度でポリビニルアルコールとゲル形成する物質との水溶液中において、乳化してエマルションを得る工程A、および、工程Aで得られたエマルションから有機溶媒を除去する工程Bを含む方法である。
【0013】
粒子径については、キュムラント解析による平均粒子径は200nm以下であり、好ましくは180nm以下であり、より好ましくは150nm以下であり、さらに好ましくは130nm以下であり、さらに好ましくは100nm以下である。キュムラント解析による平均粒子径の下限は特に限定されないが、一般的には10nm以上、または20nm以上である。
【0014】
体積基準のメジアン径は10~100nmであり、好ましくは10nm~80nmであり、より好ましくは10nm~50nmである。粘液の網目構造の目開きが10~500nm、粘液の主成分のMUC2のN末端での会合体の内部空隙のサイズが35nmとの報告(D.Ambort ら、PNAS,109,5645-5650)から考察すると、粘液層透過微粒子に求められるサイズは50nm以下と考えられる。
【0015】
キュムラント解析による平均粒子径は、動的光散乱粒度測定装置を用いて、動的光散乱(Dynamic Light Scattering、DLS)法によって測定することができる。
体積基準のメジアン径とは、体積基準で積算粒子径分布の値が50%に相当する粒子径である。体積基準のメジアン径は、例えば、動的光散乱法(DLS)、レーザー散乱法、遠心沈降法、field-flow fractionation法、電気的検知体法等を用いて測定することができ、好ましくは動的光散乱粒度測定装置を用いて測定することができる。
【0016】
本発明においては、分子量200以上の分子を含む有機溶媒溶液を、ポリビニルアルコールと、60%以上の水溶液濃度でポリビニルアルコールとゲル形成する物質との水溶液中において、乳化してエマルションを得る(工程A)。
【0017】
分子量200以上の分子は、微粒子の基剤である。微粒子の基剤は、水不溶性であることが好ましい。水不溶性の観点から、分子量200以上の分子は、好ましくは分子量500以上であり、より好ましくは分子量(重量平均分子量)1000以上の高分子である。
【0018】
また、微粒子の基剤である上記分子は、生分解性高分子であることも好ましい。微粒子の基剤である上記分子の具体例としては、乳酸重合体、乳酸・グリコール酸共重合体、またはアクリル酸を含む重合体を挙げることができる。上記分子の別の具体例としては、オリゴ乳酸(重合度は例えば3~19である)を挙げることができる。特定の分子量領域にある鎖状及び環状オリゴ乳酸は、嫌気的解糖系を阻害することで、抗がん作用、ミトコンドリア機能亢進作用、抗アレルギー作用、繊維化抑制作用、放射線からの保護作用等の様々な生理活性作用を示すことが明らかとなっており、生理活性を有する高分子材料として注目されている。
【0019】
また微粒子を構成する成分として、生理活性を有するものであってもよい。例えば、微粒子の基剤である分子量200以上の分子は、生理活性物質であってもよい。また、水不溶性である分子量200以上の分子とともに、水溶性物質である生理活性物質を含んでいてもよい。生理活性物質の例としては、ビタミンB12、クルクミンなどを使用することができる。
【0020】
生理活性物質としては、特に限定されないが、以下の成分を使用することができる。
(抗炎症剤)
アスピリン、アセトアミノフェン、エトドラック、メフェナミック、メクロフェナミック、ピロキシカム、イソプロピルアンチピリン、トラネキサム酸、イブプロフェン等
(催眠・鎮静剤)
ニトラゼパム、トリアゾラム、フェノバルビタール、アミバルビタ-ル、アリルイソプロピルアセチル尿素、ブロムワレニル尿素、フルニトラゼパム、ゾルピデム酒石酸塩、アルプラゾラム、エチゾラム、パロキセチン塩酸塩水和物、ロラゼパム、ロフラゼプ酸エチル、エスシロプラムシュウ酸塩等
(抗てんかん剤)
フェニトイン、メタルビタール、プリミドン、クロナゼパム、カルバマゼピン、バルプロ酸等
(鎮うん剤)
塩酸メクリジン、ジメンヒドリナート等
(抗うつ剤)
イミプラニン、ノキシプチリン、フェネルジン等
(精神神経用剤)
ハロペリドール、メプロバメート、クロルジアゼポキシド、ジアゼバム、オキサゼバム、スルピリド、リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンフマル酸塩、パリペリドン、ペロスピロン塩酸塩水和物、デュロキセチン塩酸塩、パロキセチン、塩酸セルトラリン、アモキサピン等
(鎮けい剤)
パパベリン、アトロピン、エトミドリン等
(強心剤)
ジゴキシン、ジギトキシン、メチルジゴキシン、ユビデカレノン等
(不整脈剤)
ピンドロール、アジマリン、ジソピラミド等
(利尿剤)
ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン、トリアムテレン、フロセミド、ブメタニド等
【0021】
(抗高血圧剤)
レセルピン、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、塩酸プラゾシン、メトプロロール、プロプラノロール、アテノロール、カンデサルタンレキセチル、テルミサルタン、アジルサルタン、オルメサルタン、ビソプロロールフマル酸塩、カルベジロール、バルサルタン、エナラプリル、イミダプリル、アムロジピンベシル酸塩、ジルチアゼム塩酸塩、ドキサシン、トリクロルメチアジド等
(冠血管拡張剤)
ニトログリセリン、硝酸イソソルビド、ジルチアゼム、ニフェジピン、ジピリダモール等
(鎮咳剤)
ノスカピン、サルブタモール、プロカテロール、ツロプテロール、トラニラスト、臭化水素酸デキストロメトルファン、リン酸ジヒドロコデイン、リン酸コデイン等
(去痰剤)
ブロムヘキシン塩酸塩、アンブロキソール塩酸塩、グアイフェネシン等
(脳循環改善剤)
ニカルジピン、ピンポセチン等
(交感神経興奮剤)
塩酸メチルエフェドリン等
(糖尿病治療薬)
グリメピリド、ボグリボース、メトホルミン、ミチグリニドカルシウム水和物、ピオグリタゾン、ビルダグリプチン、シダグリプチンリン酸塩水和物、トレラグリプチンコハク酸塩等
(抗病原微生物剤)
エリスロマイシン、ジョサマイシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、リファンピシン、グリセオフルビン、レボフロキサシ、セフジトレンピボキシル、セフカペンピボキシル、トスフロキサシントシル酸塩水和物、セフジニル、アジスロマイシン水和物、アモキシシリン、バンコマイシン、オフロキサシン、メトロニダゾール、アシクロビル、バラシクロビル、ミコナゾー、イトラコナゾール等
(抗ヒスタミン剤)
ジフェンヒドラミン、プロメタジン、メキタジン、クレマスチンフマル酸塩、ベボタスチンベシル酸塩、フェキソフェナジン、オロパタジン、セチリジン塩酸塩、ロラタジン等
(ステロイド剤)
トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、プレドニソロン、ダナゾール、メチルテストステロン、酢酸クロルマジノン等
【0022】
(ビタミン剤)
ビタミンA類、ビタミンB類、ビタミンC類(アスコルビン酸等)、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK類、葉酸(ビタミンM類)等
(消化器系疾患治療剤)
タンニン酸、タンニン酸アルブミン、ベルベリン、メサラジン、ジメチコン、ボノプラザン、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、ニザチジン、メトクロプラミド、ファモチジン、オメプラゾール、ドンペリドン、スルピリド、トレピブトン、スクラルファート、活性生菌剤(例えば、ラクトミン、ビフィズス菌等)、制酸剤(例えば、水酸化アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、ポリカルボフィルカルシウム等
(その他)
アレンドロン酸ナトリウム水和物、ラロキシフェン、カフェイン、ジクマロール、シンナリジン、クロフィブラート、ゲファルナート、ブロベネシド、メルカプトプリン、メトトレキサート、シクロスポリンA、タクロリムス、ウルソデスオキシコール酸、メシル酸ジヒドロエルゴタミン、グルクロノラクトン、γ-アミノ酪酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ラクトフェリン、乳性タンパク、システイン、コラーゲン、核酸(DNA、si-RNA、RNAデコイ、cDNA、アンチセンスRNAなど)、生理活性ペプチド(インスリン、カルシトニンなど)、生理活性タンパク質(ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ガンマグロブリン、成長ホルモン、インターフェロンなど)等
【0023】
ポリビニルアルコールは、界面活性剤または乳化安定剤として使用される。水溶液中におけるポリビニルアルコールの濃度は5~25質量%であることが好ましく、より好ましくは5~15質量%である。
【0024】
60%以上の水溶液濃度でポリビニルアルコールとゲル形成する物質は、そのような特性を有するものであれば、特に限定しないが、好ましくは、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールであり、さらに好ましくは、プロピレングリコールである。これら物質を乳化に用いる連続相に用いる際は、操作性の観点から、ポリビニルアルコールとゲルまたは固化しない水溶液濃度の状態で用いるが、好ましくは、ゲルまたは固化を起こす臨界濃度により近く、ゲル化または固化を起こさない濃度で用いるのが好ましい。水溶液中におけるプロピレングリコールまたはブチレングリコールの濃度は、好ましくは20~70質量%であり、より好ましくは60~70質量%である。
【0025】
有機溶媒は、特に限定されないが、塩化メチレン、または塩化メチレンとメタノールの混合溶媒などを挙げることができる。
【0026】
乳化は、汎用される乳化機を用いることができる。
【0027】
工程Bにおいては、工程Aで得られたエマルションから、有機溶媒を除去する。
有機溶媒の除去のため方法としては、以下の2つの方法を採用することができる。
第一の方法は、エマルションを水で希釈し、液中乾燥を行う方法である。添加する水は攪拌が容易となる粘度となるように設定すればよい。好ましくはエマルションンの2倍量以上である。好ましくは、有機溶媒の飽和溶解度以上の量の水で希釈する。
【0028】
第二の乾燥方法は、エマルションをそのまま乾燥して有機溶媒を除去する方法である。加熱や減圧により乾燥を行うことにより、エマルションをフィルム化してもよい。即ち、乾燥効率を上げるため、適切なシートに展延しフィルム化してもよいが、乾燥後に得られる組成物を利用しやすいように、固形製剤の造粒における結合剤と代わりとして用い、造粒物として乾燥する方法、適切な粒子や錠剤表面に塗布し表面にフィルム形成させる方法、多孔質材料、好ましくはフィルム状あるいは粒状、とくに好ましくは多孔性マイクロスフェアに含侵させた後に乾燥する方法、などを採用してもよい。
【0029】
以下の実施例により本発明を具体的に説明するか、本発明の範囲は実施例により限定されるものではない。
【実施例
【0030】
<実施例1>
オリゴ乳酸(CPL、重合度3~19分子量236~1360)の混合物、株式会社主命堂)0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。ポリビニルアルコール(PVA,JポバールJP-03、日本酢ビ・ポバール株式会社)を60%ブチレングリコール(BG)水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックス(T18デジタル、IKA)で20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置(ELSZ、大塚電子)で粒度測定を行った。
【0031】
<比較例1>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。プルロニックF127を60%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、レーザー回折型粒度測定装置(SALD2200、島津製作所)で粒度測定を行った。
【0032】
<比較例2>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。ポリエチレングリコール400(PEG400、和光純薬工業)を60%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、レーザー回折型粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0033】
<比較例3>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO60、日光ケミカル)を60%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、レーザー回折型粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0034】
【表1】
a)60%BG水溶液中
b)キュムラント径
c)体積基準
平均±S.D.(3バッチ)
【0035】
表1の結果より、PVAを乳化剤として用いることで、体積基準のメジアン径が100nm以下となることがわかった。
【0036】
<実施例2>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%プロピレングリコール(PG)水溶液で10質量%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0037】
<実施例3>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを50% PEG400水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0038】
<実施例4>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを50%PEG400水溶液で20%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0039】
<比較例4>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを精製水で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、レーザー回折型粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0040】
<比較例5>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%グリセリン水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0041】
<比較例6>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PEG400水溶液で10%とした液10mLを調製したところ、この溶液が固化したため油相を注入、乳化することができなかった。
【0042】
【表2】
【0043】
a)乳化剤10%PVA
b)キュムラント径
c)体積基準
d)乳化剤20%PVA
平均±S.D.(3バッチ)、実施例4のみ1バッチ
【0044】
表2の結果より、PVAを溶解する溶媒として、ブチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールを用いることで、キュムラント解析による平均粒子径が100nm以下、体積基準のメジアン径が100nm以下のナノ微粒子が得られることが分かった。一方で、ポリオールを含有していない乳化水相ではナノオーダーの微粒子が得られなかった。また、グリセリンを用いた場合も、ナノオーダーの粒子を得ることはできたが、キュムラント平均径または体積基準のメジアン径が100nm以下となる微粒子を得ることができなかった。ポリオールとして、PEG400をもちいた場合、比較例6に示す通り、PVAを溶解するPEG400水溶液の濃度が60%を超過すると、室温でPVA-ポリオール水溶液がゲル化および固化したため、乳化ができなかった。
【0045】
<比較例7>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを50%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0046】
<比較例8>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを40%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0047】
<実施例5>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを70%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0048】
<比較例9>
CPL0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを20%BG水溶液で10%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0049】
<比較例10>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを80%ブチレングリコール水溶液で10%とした液10mLを調製したが、この液が固化したため、油相注入及び乳化ができなかった。
【0050】
【表3】
【0051】
(a) 10%PVA
平均±S.D.(n=3 バッチ)
【0052】
前述の比較例6のPEG400と同様に、PVAを溶解するブチレングリコール溶液も80%以上でゲル化および固化し、乳化できなかった(比較例10)。それ以下のBG濃度では、20%を超える濃度で目的とする粒子径のナノ微粒子が得られることがわかった。
【0053】
<実施例6>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で10%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0054】
<実施例7>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で10%とした液15mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0055】
<実施例8>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で10%とした液3mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0056】
【表4】
【0057】
(a)10%PVA-60% BG水溶液
平均±S.D.(n=3 バッチ)
【0058】
表4は、乳化の際のPVA-ポリオール水溶液の液量の影響を示している。油相の溶媒量が1.5mLであることを考慮すると、油相/水相比率が1/2以上で粒子径の変動がないことが分かり、本製造方法における油相/水相比率の要因に対しては、頑健性が高いと言える。
【0059】
<比較例11>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で5%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0060】
<実施例9>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で20%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0061】
<実施例10>
CPL 0.5gを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で25%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して凝集物とゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。
【0062】
【表5】
【0063】
(a)60% BG水溶液中
平均±S.D.(n=3 バッチ)
【0064】
PVAの濃度については、表5に示す通り、5%を超える濃度で目的とする粒子径が得られ、濃度が上がることで粒子径が小さくなることが分かった。なお、25%以上では、PVA-ポリオール水溶液の粘度が高く、乳化時の油相の攪拌ができず不適と考えられる。
【0065】
<実施例11>
乳酸・グリコール酸コポリマー(PLGA5020分子量20K,和光純薬)0.195gおよびビタミンB12(分子量1355)5mgを塩化メチレン2mLメタノール1.1mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過してゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。また、得られた液は、5μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去し、限外ろ過法にて、脱水、洗浄して、微粒子懸濁液を得た。1mL当たり50mgのマンニトールを溶解し凍結乾燥した。微粒子中のビタミンB12含量は、微粒子を塩化メチレン1mLで溶解し、5mLの精製水で抽出し、上清について360nmで吸光度を測定することによって、定量した。
【0066】
<実施例12>
PLGA5020 0.195gおよびビタミンB12 5mgを塩化メチレン2mLメタノール1.1mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、テフロン(登録商標)シート上に広げ、一晩乾燥した。乾燥して得られたフィルムを精製水100mL中に溶解した。分散した液について、0.45μmのメンブランフィルターでろ過してゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。また、得られた液は、5μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去し、限外ろ過にて、脱水、洗浄して、微粒子懸濁液を得た。1mL当たり50mgのマンニトールを溶解し凍結乾燥した。微粒子中のビタミンB12含量は、凍結乾燥した微粒子を塩化メチレン1mLで溶解し、5mLの精製水で抽出し、上清について360nmで吸光度を測定することによって、定量した。
【0067】
<比較例12>
溶媒拡散法:PLGA5020 0.195gおよびビタミンB12 5mgをアセトン10mLメタノール2.2mLの混液に溶解し油相を調製した。0.5%PVAを100mL中に、調製した油相を注入し、スターラー攪拌、気流下、3時間減圧乾燥することで溶媒を留去した。得られた液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過してゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。また、得られた液は、5μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去し、限外ろ過にて、脱水、洗浄して、微粒子懸濁液を得た。1mL当たり50mgのマンニトールを溶解し凍結乾燥した。微粒子中のビタミンB12含量は、凍結乾燥した微粒子を塩化メチレン1mLで溶解し、5mLの精製水で抽出し、上清について360nmで吸光度を測定することによって、定量した。
【0068】
<実施例13>
Eudragit RLPO(Rohm)0.195gおよびビタミンB12(分子量1355)5mgを塩化メチレン2mLメタノール1.1mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20質量%とした液10mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、テフロン(登録商標)シート上に広げ、一晩乾燥した。乾燥して得られたフィルムを精製水100mL中に溶解した。分散した液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。また、得られた液は、5μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去し、限外ろ過にて、脱水、洗浄して、微粒子懸濁液を得た。1mL当たり50mgのマンニトールを溶解し凍結乾燥した。微粒子中のビタミンB12含量は、凍結乾燥した微粒子を塩化メチレン1mLで溶解し、5mLの精製水で抽出し、上清について360nmで吸光度を測定することによって、定量した。
【0069】
【表6】
【0070】
乳酸・グリコール酸コポリマーを用いた薬物包含ナノスフェアの調製においては、重量基準のメジアン径が30nm以下となるナノ微粒子が得られた(実施例11、12)。また、EudragitRLPOでは重量基準のメジアン径が20nm以下となった(実施例13)。一方、溶媒拡散法では、より微細になるように過剰の溶媒量で調製したにもかかわらず、体積基準のメジアン径を100nm以下とすることはできなかった(比較例12)。包含率については、低くかったが、水溶性のビタミンB12は、20%PVA-60%プロピレングリコール水溶液中に溶解しないため、乳化時、および実施例12、13のフィルム形成時は、ビタミンB12連続相に漏出していないと思われるが、水洗に1日かかったため、その間にビタミンB12が漏出したものと考えられる。なお、実施例12では、乳化液を乾燥し固形化された混合物を精製水で溶解分散させた。乾燥状態を経ても、分散液の状態の実施例11と同等の粒子径が得られたことから、実施例12は、ナノ粒子を放出できる固形製剤であることが証明できた。
【0071】
<実施例14>
Eudragit RSPO(Rohm)60mgおよびLABRAFIL M2130CS(ガテホセ)120mgを塩化メチレン1.5mLとエタノール0.2mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で20%とした液10mLおよび0.1M塩酸溶液0.1mLの混液を、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、溶媒を留去した。得られた液について、限外ろ過を行い、溶媒を0.0001M 塩酸に置換、濃縮した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度測定を行った。また、得られた液は、5μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去し、限外ろ過にて、脱水、洗浄して、微粒子懸濁液を得た。キュムラント平均粒子径は89.3nm、散乱強度D50は94.6nm、体積分布D50は55.3nm、個数分布D50は43.5nmであった。透過型電子顕微鏡観察を行ったところヤヌス粒子が形成られていることが確認できた(図1)。
【0072】
<実施例15>
クルクミン(分子量368.38 ナカライテスク)10mgおよびPLGA502090mgをエタノール0.5mLと塩化メチレン1.5mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過してゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した(調製直後品)。また、0.8μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去したのち、ろ過膜500KDaをもちいて限外ろ過を行い、精製水に溶媒置換後、7mLに濃縮した。マンニトールを350mg加えて、凍結乾燥を行い凍結乾燥した。凍結乾燥品についても、精製水に再懸濁し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0073】
<実施例16>
クルクミン 10mgおよびPLGA5020 90mgをエタノール0.5mLと塩化メチレン1.5 mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、テフロン(登録商標)シート上に広げ、3日間乾燥した。乾燥して得られたフィルムを精製水100mL中に溶解した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0074】
【表7】
【0075】
水不溶性の化合物であるクルクミンを用いて、乳酸・グリコール酸コポリマーを用いた薬物包含ナノスフェアを調製した。その結果、体積基準のメジアン径が約40nmのクルクミン含有ナノ粒子が得られた。実施例15では、従来一般に用いられるマンニトールと凍結乾燥することで、再分散性可能なナノ粒子が得られることがわかった。実施例16は乳化直後に乾燥させた固形製剤であるが、乾燥状態を経ても、再分散させると実施例15と同等の粒子径が得られたことから、実施例16は、ナノ粒子を放出できる固形製剤であることが証明できた。
【0076】
<実施例17>
クルクミン 10mgおよびEudragit E100(Rohm) 10mgをエタノール0.5mLと塩化メチレン1.5mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60% BG水溶液で10%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置を測定した。
【0077】
【表8】
【0078】
<実施例18>
クルクミン 10mgおよびヒプロメロースフタル酸エステル(HP55、信越化学)90mgをエタノール0.5mLと塩化メチレン1.5mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%BG水溶液で10%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、テフロン(登録商標)シート上に広げ、3日間乾燥した。乾燥して得られたフィルムを精製水10mL中に溶解した。得られた液を、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した(調製直後品)。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。また一方、その液をリン酸緩衝液でpH6.8とし(処理品)、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0079】
<実施例19>
クルクミン 10mgおよびEudragit L100(Rohm) 90mgをエタノール0.5mLと塩化メチレン1.5mLの混液に溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、テフロン(登録商標)シート上に広げ、3日間乾燥した。乾燥して得られたフィルムを精製水10mL中に溶解した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した(調製直後品)。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。また一方、その液をリン酸緩衝液でpH6.8とし(処理品)、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した後、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0080】
【表9】
【0081】
腸溶性高分子(HP55、EudragitL100)とともに本発明の調製法で製造したところ、水に再分散させると目的のナノ粒子を得ることができなかったが、その液にpH6.8のリン酸緩衝液加えると体積基準D50が実施例18では11.2nm、実施例19では25nmとなった。このことは、本製剤を内服すると、小腸で、腸溶性高分子が溶解し、内包されていたナノ化したクルクミンが放出されることを示唆している。
【0082】
<実施例20>
CPL 150mgおよびEudragit E100 50mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60% PG水溶液で10%とした液5mLに、調製した油相をウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mLの精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0083】
【表10】
【0084】
<実施例21>
CPL500mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60% PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度とζ電位を測定した。
【0085】
<実施例22>
Eudragit RSPO(Rohm) 100mgおよびCPL 400mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度とζ電位を測定した。
【0086】
<実施例23>
Eudragit RSPO 250mgおよびCPL 250mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度とζ電位を測定した。
【0087】
<実施例24>
Eudragit RSPO 400mgおよびCPL 100mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに100mL精製水中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、ゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度とζ電位を測定した。
【0088】
【表11】
【0089】
カチオン性高分子Eudragit RSPOをオリゴ乳酸CPLに配合し、本発明でナノ粒子化した。Eudragit RSPO/CPL=0/500~100/400までは粒子径に影響はなく、250/250、400/100とEudragit RSPOの量が増えると粒子径低下が認められた。図2には実施例21についてネガティブ染色後の透過型電子顕微鏡写真を示す。粒子は球形であることが確認でき、電子顕微鏡写真から算出される個数基準D50は25.6nmであった。ζ電位を測定したところ、Eudragit RSPO/CPL=250/250、400/100でそれぞれ14.68mV、20.10mVと電位が高くなったことから、安定性が増し、製造時の凝集が抑えられたため、粒子径が小さくなったと推察している。
【0090】
<実施例25>
CPL500mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに0.14M水酸化ナトリウム水溶液100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0091】
<実施例26>
CPL500mgを塩化メチレン1.5mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で20%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに0.14M水酸化ナトリウム水溶液100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0092】
<実施例27>
CPL500mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で10%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに0.14M水酸化ナトリウム水溶液100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0093】
【表12】
【0094】
乳化液を精製水中に投入したとき、CPLが含有する酸性物質によりpH3.3と酸性となった。すなわち、負の電荷を有するCPL粒子においては、酸性条件下では電位が低くなり、粒子同士が凝集傾向にあると考えられる。そこで、中和を目的に予め水酸化ナトリウムを投入することで、最終の分散液のpHを6.8~7.8になるように調整した。その結果、凝集物の量が減ったのと同時に、体積基準D50、個数基準D50が低下することがわかった。分散液のpHが中性になることで、粒子の負の電位が高まり粒子間の反発力が強まった結果、製造時における、粒子同士の融合や凝集が抑えられたものと考えられる。
【0095】
<実施例28>
CPL150mgとEudragitL100 50mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で10%とした液3mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに精製水100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0096】
<実施例29>
CPL150mgとPLGA5020 50mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で10%とした液3mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに精製水100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0097】
<実施例30>
CPL150mgとPEG6000 50mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60%PG水溶液で10%とした液3mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに精製水100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0098】
【表13】
平均±S.D.(n=3 バッチ)
【0099】
<実施例31>
シクロスポリン50mgとEudragit E100 50mgを塩化メチレン1.5 mLに溶解し油相を調製した。PVAを60% PG水溶液で15%とした液5mLを、ウルトラタラックスで20,000rpm攪拌しているところに、調製した油相を注入し、そのまま5分間乳化してエマルションを得た。得たエマルションは、直ちに精製水100mL中に投入し、スターラー攪拌下3時間、塩化メチレンを留去した。得られた液は、0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、凝集物とゴミを除去した。その液について、動的光散乱粒度測定装置で粒度を測定した。
【0100】
【表14】
図1
図2