(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】痩身装置
(51)【国際特許分類】
A61N 1/36 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61N1/36
(21)【出願番号】P 2020081560
(22)【出願日】2020-05-01
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】520355884
【氏名又は名称】株式会社ビューティーキャラバン
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【氏名又は名称】福島 三雄
(72)【発明者】
【氏名】沖 大作
(72)【発明者】
【氏名】笹原 龍樹
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3222300(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0097457(KR,A)
【文献】特開平06-285175(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0114742(KR,A)
【文献】お腹を温め基礎代謝と免疫力をUP『貼るだけWINBACK』,PRISME,2020年02月29日
【文献】WINBACK,シャルムクリニック,2019年10月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/36
A61N 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝臓を含む標的内臓の位置に対応する位置であって、身体の正面若しくは背面の一方の位置に配設されてなる第一電極部と、
前記標的内臓を挟んで、前記第一電極部に対して身体の反対側の位置に配設されてなる第二電極部と、
前記第一電極部と前記第二電極部とに接続されて、前記標的内臓を導電したラジオ波電流を還流させる本体部と、
を備え、
前記ラジオ波電流の周波数を変調する変調手段を有し、
前記変調手段は、前記ラジオ波電流を、300kHz~500kHzの範囲で複数の異なる周波数に交互に変調させることを含む
ことを特徴とする痩身装置。
【請求項2】
前記標的内臓は、さらに腎臓を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の痩身装置。
【請求項3】
前記標的内臓は、さらに腸を含む
ことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の痩身装置。
【請求項4】
前記変調手段は、300kHzの前記ラジオ波電流を、前記第一電極部及び前記第二電極部に一定時間継続して印加した後に、
300kHzよりも高
く500kHz以下の周波数の前記ラジオ波電流を、前記第一電極部及び前記第二電極部に印加する
ことを含む
ことを特徴とする
請求項1~請求項3のいずれか1つに記載の痩身装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、痩身に使用される痩身装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容や健康の維持若しくは向上を目的として、種々の痩身方法が使用されている。さらに、このような痩身方法を実現するために、種々の痩身用装置が考案されている。
【0003】
また、例えばこのような痩身方法に関して、特許文献1では以下の発明が開示されている。
「褐色脂肪組織の貯蔵所に近接した患者の組織と接触させて装置を位置づけることと、前記褐色脂肪組織を活性化させ、前記褐色脂肪組織のエネルギー消費を増加させるために前記患者に電気信号を送るよう、前記装置を活性化させることと、を含み、前記電気信号は、変調信号及び搬送波信号を有する、方法。(特許文献1の請求項1)」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術は体表面から近接した褐色脂肪組織を標的としたものであり、例えば、肝臓等の内臓を標的とすることができるものではなかった。
【0006】
褐色脂肪細胞群は単なる細胞の集合体であって、内臓のように体内に取り込まれた栄養を分解することで代謝を促すといった複雑な機能を備える体組織とは全く異なるものである。
さらに、内臓は筋肉細胞、脂肪細胞、及び神経細胞などの生体構成単位が複雑に連携することにより構成された有機的な集合体であるだけでなく、特有の構造的特徴を備えることで機能を発揮するものである。従って、どのような外的刺激手段によって内臓機能における基礎代謝機能を活性化させることができるかを予測することは困難であった。
そのため従来における内臓を活性化させる手段としては、食事療法や、体表面を摩擦刺激することによるものが挙げられるが、いずれも付与した摂取物や摩擦刺激などの改善要素が直接に対象となる内臓に到達するものではなく、間接的な手段に過ぎなかった。したがって、このような従来の手段によっては、短期間に内臓の基礎代謝機能を活性化させて十分な痩身効果を得ることは困難であった。
本発明は、発明者が従来の常識にとらわれることなく試行錯誤を行ったことによって、はじめて見出すことができたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、上記課題を解決する手段として本発明に係る痩身装置は、肝臓を含む標的内臓の位置に対応する位置であって、身体の正面若しくは背面の一方の位置に配設されてなる第一電極部と、前記標的内臓を挟んで、前記第一電極部に対して身体の反対側の位置に配設されてなる第二電極部と、前記第一電極部と前記第二電極部とに接続されて、前記標的内臓を導電したラジオ波電流を還流させる本体部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
「標的内臓」とは、内臓のうち、前記第一電極部及び前記第二電極部によって導電される内臓をいう。標的内臓は、一つのみならず、複数の内臓を標的内臓とすることもできる。また、少なくとも肝臓が、標的内臓に含まれる。
【0009】
「第一電極部」及び「第二電極部」は、標的内臓に電流を印加する。
【0010】
「ラジオ波電流」とは、例えば、300kHzから5MHz程度の周波数の電流をいう。特に、300kHz~1MHzであれば好ましく、さらには300kHzから500kHzがより好適である。
【0011】
従来は、ラジオ波電流を用いて、内臓を導電し、導電したラジオ波電流を還流させるという発想は存在しなかった。
そこで、本発明は、標的内臓に対してラジオ波電流を印加することで、標的内臓の基礎代謝量を増大させることとした。
これにより、標的内臓の基礎代謝が向上し、痩身効果を得ることができる。
【0012】
また、本発明は、標的内臓に肝臓を含む。肝臓は、全身による基礎代謝の21%を占める器官である。これにより、他の内臓と比較して、肝臓の基礎代謝の向上を実現することで、効果的に痩身効果を得ることができる。
【0013】
また、標的内臓に対して電気刺激を付与する際には、内臓が生体活動を担う極めて重要な器官であることから、内臓が損傷するリスクを低減する必要が生じる。この点、本発明は、ラジオ波電流によって標的内臓を導電させてそのラジオ波電流を還流させることによって、300kHzよりも低い周波数の電流の場合に起こり得る、電流による直接的な刺激作用によって内臓が損傷するリスクを低減している。
【0014】
また、前記標的内臓は、さらに腎臓を含むこととしてもよい。
【0015】
標的内臓に腎臓を含む構成にあっては、肝臓の基礎代謝の向上と併せて、腎臓の基礎代謝の向上を実現することができる。
また、腎臓は、全身による基礎代謝の8%を占める器官である。したがって、肝臓と併せて、基礎代謝量の多い腎臓にラジオ波電流を印加することで、さらに優れた痩身効果を得ることができる。
【0016】
また、前記標的内臓は、さらに腸を含むこととしてもよい。
【0017】
標的内臓に腸を含む構成にあっては、肝臓の基礎代謝の向上、又は肝臓及び腎臓の基礎代謝の向上と合わせて、腸の排泄機能を向上させることができる。これにより、さらに優れた痩身効果を得ることができる。
【0018】
また、前記ラジオ波電流の周波数範囲は、300kHz~500kHzであることとしてもよい。
【0019】
300kHz程度~500kHz程度の周波数のラジオ波電流は、人体に印加するに際して好適である。
【0020】
また、前記痩身装置は、前記ラジオ波電流の周波数を変調する変調手段を有することとしてもよい。
【0021】
「変調手段」としては、公知の種々の構成を採用することができる。
【0022】
内臓は、一定時間同じ周波数のラジオ波電流を印加され続けると、その周波数のラジオ波電流の刺激に適応して、刺激に対する反応が鈍くなる。
そこで、前記変調手段を採用した構成にあっては、ラジオ波電流の周波数が変調されることで、上記適応に抗して効果的に標的細胞を刺激することができる。
【0023】
また、ラジオ波電流は、周波数を変調することによって、波長の変化等により作用領域を変化させることができる。これにより、周波数を変調することで、標的内臓の異なる部分へと電気刺激を与えることができる。これによって、標的内臓のより広範な範囲をラジオ波電流で刺激して、痩身効果を高めることができる。
【0024】
また、前記変調手段は、前記ラジオ波電流を、複数の異なる周波数に交互に変調させることとしてもよい。
【0025】
「交互」とは、かわるがわるという意味である。したがって、「交互に変調」とは、特定の方式に従って順番に変調させることを要するものではなく、複数の異なる周波数に所定のタイミングで変調されればよい。
【0026】
また、「交互に変調」とは、一定時間で変調される時間分割方式の変調に限られるものではなく、他の方式、例えばなんらかのトリガーを受け付けて変調する構成であってもよい。
【0027】
また、前記変調手段は、前記ラジオ波電流を、300kHzと500kHzとの間で交互に変調させることとしてもよい。
【0028】
また、前記変調手段は、300kHzの前記ラジオ波電流を、前記第一電極部及び前記第二電極部に一定時間継続して印加した後に、300kHzよりも高い周波数の前記ラジオ波電流を、前記第一電極部及び前記第二電極部に印加することとしてもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、標的内臓にラジオ波電流を導電させ還流させることで、標的内臓を刺激して、標的内臓の基礎代謝量の増大を実現することができる。
これにより、標的内臓の基礎代謝が向上し、痩身効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本実施形態における痩身装置1の配設位置の一例を示す図である。
図1(a)は身体Bの正面を、
図1(b)は身体Bの背面を表す。
【
図2】本実施形態における痩身装置1の回路の一例を示す略図である。
【
図3】本実施形態における本体部30の一例を示すハードウェア構成図である。
【
図4】実施例における体重の遷移を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係る実施の形態を、図を参照しながら詳しく説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また、以下に示す実施形態及び実施例は、本発明の代表的な一例を示すものであり、本発明の技術的範囲は、専ら特許請求の範囲の記載から定められる。
【0032】
以下では、本発明を理解する上で必要な前提情報を整理することとする。
【0033】
一般に、基礎代謝を向上させることは、痩身を実現する上で重要であることが知られている。また、基礎代謝の向上には、例えば、適度な運動をすること等が効果的である。
【0034】
また、厚生労働省のe-ヘルスネットの「加齢とエネルギー代謝」のWEBページ(https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-02-004.html)では、ヒトの臓器・組織における安静時代謝量について、以下の数値が開示されている。
【0035】
【0036】
表1によると、全身のエネルギー代謝量に占める各器官のエネルギー代謝量の割合は、骨格筋:22%、肝臓:21%、脳:20%、心臓:9%、腎臓:8%、脂肪組織:4%となっている。
【0037】
この中で、骨格筋は全身に位置することから、効果的に刺激して基礎代謝量を増加させることは困難である。さらに、骨格筋は、一日当たりのエネルギー代謝量が1kg当たり13kcalと少ない。このため、骨格筋を刺激して基礎代謝を高めることは特に困難であると共に、効率が悪い。
【0038】
そこで、本発明は、内臓を標的とした痩身装置1を実現した。以下に、本実施形態における痩身装置1の構成を示す。
【0039】
図1に示すように、痩身装置1は、肝臓を含む標的内臓の位置に対応する位置であって、身体Bの正面に配設されてなる第一電極部10と、標的内臓を挟んで、第一電極部10に対して身体Bの反対側の位置に配設されてなる第二電極部20と、第一電極部10と第二電極部20とに接続されて、標的内臓を導電したラジオ波電流を還流させる本体部30と、を備える。
【0040】
第一電極部10は、パット状に形成されてなる。第一電極部10は、矩形の板状に形成されてなる。第一電極部10は、例えば、金属等の導体で形成された電極を有する。第一電極部10は、皮膚と当接する面に、皮膚に貼り付けられる導電性の粘着剤が設けられてなる。また、第一電極部10は、肝臓に対応する位置に設けられてなる。第一電極部10は、一端が本体部30に接続されたコード40の他端が接続されてなる。またさらに、第一電極部10は、肝臓以外の内臓も追加的に刺激するために、他の位置にも配設されてもよい。
【0041】
図1においては、第一電極部10は、肝臓のみならず、左右の腎臓を体正面から覆う位置に配設されてなる。なお、この形態において第一電極部10が胃、脾臓、膵臓を覆うことを排除するものではない。すなわち、
図1における標的内臓は、肝臓、腎臓であり、肝臓、腎臓に加えて胃、脾臓、膵臓も標的内臓としてもよい。
【0042】
第二電極部20は、パット状に形成されてなる。第二電極部20は、矩形の板状に形成されてなる。第二電極部20は、例えば、金属等の導体で形成されたで形成された電極を有する。第二電極部20は、皮膚と当接する面に、皮膚に貼り付けられる導電性の粘着剤が設けられてなる。また、第二電極部20は、肝臓を挟んで第一電極部10の反対側に設けられてなる。第二電極部20は、一端が本体部30に接続されたコード40の他端が接続されてなる。またさらに、第二電極部20は、肝臓以外の内臓も刺激するために、他の位置にも配設されてもよい。
【0043】
図1においては、第二電極部20は、肝臓のみならず、左右の腎臓を体正面から覆う位置に配設されてなる。なお、この形態において第二電極部20が胃、脾臓、膵臓を覆うことを排除するものではない。
【0044】
本体部30は、第一電極部10と第二電極部20とに接続されてなる。本体部30は、第一電極部10と第二電極部20と、コード40によって接続されてなる。また、コード40は、例えば金属等の導体で形成されてなる。本体部30は交流の電源31を備える。本体部30は、交流を第一電極部10及び第二電極部20に印加する。また、
図2及び
図3に示すように、本体部30は、ラジオ波電流の周波数を変調する変調手段32を備える。
【0045】
図2に示すように、第一電極部10と第二電極部20と本体部30とは、コード40によって接続されてなる。本体部30は、第一電極部10と第二電極部20との間にコード40によって接続されてなる。本体部30から第一電極側へは、一本の回路が枝分かれして二本となり、並列接続により本体部30と二つの第一電極部10とが接続されてなる。本体部30から第二電極側へは、一本の回路によって、本体部30と一つの第二電極部20とが接続されてなる。
【0046】
また、
図2から理解されるように、本体部30の交流の電源31は変調手段32と連携してなる。
【0047】
図3に示すように、本体部30は、制御部33と記憶部34と入力部35と電源31と表示部36とを備える。
【0048】
制御部33は、記憶部34、入力部35、電源31、及び表示部36のそれぞれと接続されてなる。制御部33は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)等の演算処理装置を有し、記憶部34や入力部35からの入力を受けて各種演算処理を行う。
【0049】
記憶部34は、例えば、SRAM(Static random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive Solid State Drive)等であり、制御部33が演算処理を実行するために必要なデータやプログラムを記憶する。
【0050】
入力部35は、例えば、本体部30に設けられた物理的なボタン若しくはタッチパネル、又は本体部30と接続されるリモコン等であり、ラジオ波電流の周波数、印加時間、印加電圧等の設定を可能とする。
【0051】
電源31は、例えば、発信回路等を含み、制御部33からの入力を受けて、ラジオ波電流を第一電極部10及び第二電極部20に印加(出力)する。電源31は、第一電極部10及び第二電極部20とコード40によって接続されてなる。
【0052】
表示部36は、例えば、モニター、ランプ等であり、所定の情報を使用者に伝える等の各種表示を行う。
【0053】
本体部30は、上述した制御部33、記憶部34、入力部35、及び電源31によって、変調手段32を実現してなる。
変調手段32は、第一電極部10及び第二電極部20に印加するラジオ波電流の周波数を変調する。
【0054】
ラジオ波電流は、本体部30が出力して、第一電極部10及び第二電極部20を介して標的内臓を導電させて還流させる。ラジオ波電流の周波数は、例えば、300kHz~5MHzである。また、例えば、300kHz~1MHzが好ましい。さらには、例えば、300kHzから500kHzがより好ましい。
【0055】
以下では、実施形態における痩身装置1を用いた標的内臓に対する電気刺激を行う際の一連の流れの一例を示す。
【0056】
痩身装置1を使用する一般消費者、エステティシャン等の使用者は、まず、本体部30の入力部35を使用して、電気刺激のメニューを設定する。
具体的には、ラジオ波電流の周波数、印加時間、印加電圧等を所望により設定する。
【0057】
次に、使用者は、肝臓を含む所望する標的内臓に対応する被施術者の正面若しくは背面の位置に第一電極部10を配設する。この際、第一電極部10には、身体Bへの貼り付けに使用される導電性の粘着剤が設けられてなることから、導電性の粘着剤を被施術者の所定の部位に貼り付けることによって、第一電極部10を使用者に配設する。
【0058】
次に、使用者は、標的内臓を挟んで第一電極部10に対して身体Bの反対側の位置に第二電極部20を配設する。この際も同様に、第二電極部20には、身体Bへの貼り付けに使用される導電性の粘着剤が設けられてなることから、導電性の粘着剤を被施術者の所定の部位に貼り付けることによって第二電極部20を使用者に配設する。これによって、第一電極部10と第二電極部20とによって標的内臓が挟まれる。
【0059】
次に、使用者は、本体部30の入力部35を操作することで、電源31からラジオ波電流を発生させる。
【0060】
上記の一連の流れによって、所望のラジオ波電流が第一電極部10と第二電極部20とを介して、標的内臓に印加される。そして、標的内臓はラジオ波電流に導電されて、標的内臓を導電したラジオ波電流は還流される。
【0061】
この際に、標的内臓には、ラジオ波電流が流れることにより、標的内臓の基礎代謝量を増加させることができる。この結果、全身の総基礎代謝量が増加して、痩身を実現することができる。
【0062】
以下では、より具体的に、ラジオ波電流の周波数を交互に変調させる場合の一例を示す。
【0063】
変調手段32は、制御部33、記憶部34、入力部35及び電源31が相互に作用しあうことで、電源31から出力されるラジオ波電流の周波数パターンを変調させることができる。
【0064】
さらに、入力部35から入力された電気刺激のパターンが記憶部34に記憶されて、制御部33が当該パターンを読み出して電源31を操作すること、又は、予め記憶部34に記憶された電気刺激パターンを制御部33が読み出して電源31を操作することによって、ラジオ波電流を複数の異なる周波数に交互に変調させることができる。
【0065】
例えば、300kHz~5MHzの間、300kHz~1MHzの間、若しくは300kHz~500kHzの間で、任意の周波数を選択して、選択された周波数のラジオ波電流が交互に電源31から出力されるように設定することができる。
【0066】
一例として、300kHz、400kHz、及び500kHzのラジオ波電流を交互に出力するように設定して、電源31からこれらの周波数を交互に出力することとした場合にあっては、例えば、300kHz、400kHz、500kHz、300kHz、400kHz・・・というように、複数の異なる周波数にラジオ波電流を交互に変調させることができる。
【0067】
この場合、ラジオ波電流には、周波数ごとに異なる周波数特性が存在することから、多様性に富んだ電気刺激を標的内臓に与えることができる。
【0068】
例えば、300kHzのラジオ波電流は、より高い周波数のラジオ波電流と比較して、深い位置若しくは遠い位置に対する作用が強くなる傾向がある。
【0069】
また、標的内臓の細胞は、一定期間同じ周波数のラジオ波電流が印加され続けると、当該周波数の電気刺激に適応して、刺激に対する反応が鈍くなる。そこで、ラジオ波電流の周波数を交互に変調させることで、これを抑制することができる。
【0070】
さらには、交互にラジオ波電流の周波数を変調させることで、標的内臓の表層から深部までの異なる深さの部分に、電気刺激を与えることができる。これにより、標的内臓の広範な部分に電気刺激を与えて、より効率的に標的細胞の活性化を実現し、基礎代謝量を増大させることができる。これによって、痩身を実現することができる。
【0071】
〔実施例〕
以下では、本発明に係る実施形態の一例である痩身装置1について行った実施例を説明する。
実施例では、上述の実施形態と同様の痩身装置1を用いた。
【0072】
実施例では、第一電極部10と第二電極部20とによって肝臓を挟んで、肝臓を7分間刺激した後、電極の位置を変更して、左右の腎臓を7分間刺激するメニューを週に2回、45日間行った。また、7分間のラジオ波電流の印加中には、300kHzのラジオ波電流と、500kHzのラジオ波電流とが、3秒ごとに交互に変調されることとした。また、被検者は37歳の男性で、特別な運動を課することなく、食事制限も行わなかった。なお当該45日間の実験において摂取した食事は、本実施例に係る実験前において、特別な運動をしない生活を2週間続けた結果、ほぼ体重の変化をもたらさない食事内容であった。以下は、実施例における結果を日付と測定された体重によって示したものである。なお、計測機器として、SIS株式会社の体組成計(FEF-F18)を用いた。
【0073】
【0074】
表1によると、実験の結果、当初の体重が82.4kgであったが、45日後に77.6kgとなり、45日間で4.8kgの痩身効果があった。また、普段の生活とは異なる特別な運動を課することなく、食事制限も行っていなかったことから、この痩身効果は、実施例で用いた痩身装置1の効果によるものであることが分かった。
【0075】
また、
図4によると、この痩身効果は、本痩身装置1を使用し始めてから最初の約2週間が特に顕著であった。具体的には、特に痩身効果は最初の15日間が顕著であった。最初の15日間で、体重は4.6kg減少した。このことから、1週間に2回のペースで2週間本痩身装置1を使用することで、内臓の基礎代謝量を十分に増加させることができることが分かった。
したがって、本痩身装置1は、2週間以上、乃至は15日以上使用されることが好ましい。また、他の側面から述べると、4回以上使用されることが好ましい。
【0076】
〔他の実施例〕
以下では、本発明に係る実施形態の一例である痩身装置1について行った他の実施例を示す。なお、他の実施例において使用した痩身装置1は、上述の実施例における痩身装置1と同じ装置であり、被検者と取得データに上述の実施例との相違が存在する。
【0077】
他の実施例においては、第一電極部10と第二電極部20とによってほぼ肝臓のみを挟んで、肝臓を7分間刺激した後、電極の位置を変更して、左右の腎臓にわたって覆う位置で挟んで7分間刺激するメニューを週に2回、3週間行った。また、7分間のラジオ波電流の印加中には、300kHzのラジオ波電流と、500kHzのラジオ波電流とが、3秒ごとに交互に変調されることとした。また、被検者は35歳の男性で、特別な運動を課することなく、食事制限も行わなかった。なお当該3週間において摂取した食事は、本実施例に係る実験前において、特別な運動をしない生活を2週間続けた結果、ほぼ体重の変化をもたらさない食事内容であった。なお、計測機器として、株式会社タニタの体組成計(BC-705)を用いた。
【0078】
実験開始前の2019年11月17日時点では、被検者の体重は58.5kg、体脂肪率19.1%、内臓脂肪レベル6.5であった。
【0079】
実験を終了した2019年12月8日時点では、被検者の体重は55.1kg、体脂肪率14.3%、内臓脂肪レベル4.0であった。
【0080】
実験の結果、体重、体脂肪率、内臓脂肪レベルの全てにおいて、痩身効果が認められた。普段の生活とは異なる特別な運動を課することなく、食事制限も行っていなかったことから、この痩身効果は、他の実施例で用いた痩身装置1の効果によるものであることが分かった。
【0081】
なお、他の実施例における体脂肪率は、株式会社タニタの体組成計(BC-705)で採用されている、「DXA法(二重X線呼吸法)」によって測定されたものである。また、他の実施例における内臓脂肪レベルは、株式会社タニタが各種体組成計に採用している基準によるものであり、株式会社タニタの体組成計を用いることで、他の実施例と同じ基準で内臓脂肪レベルを測定することができる。株式会社タニタによれば、内臓脂肪レベルが9.5以下であると、内臓脂肪の状態が標準(「内臓脂肪の蓄積のリスクは低いです。これからもバランスのよい食事や、適度な運動を維持しましょう。」)、10.0から14.5であると、内臓脂肪の状態がやや過剰(「適度な運動を心がけ、カロリー制限を行い、標準レベルを目指しましょう。」)、15.0以上であると、内臓脂肪の状態が過剰(「積極的な運動や食事制限による減量が必要です。医学的な診断については医師にご相談ください。」)とされている(株式会社タニタの各種体組成計の取扱説明書を参照)。
【0082】
以下では、本発明において、適宜変更可能な構成を説明する。なお、変形可能な構成は、以下で説明するものに限られず、その他の構成についても、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で変更が可能である。
【0083】
「第一電極部」及び「第二電極部」の形状としては、パッド状、ベルト状、棒状等の種々の形状を採用することができ、特定の形状に限定されるものではない。また、「第一電極部」は、身体Bの正面若しくは背面において、皮膚の表面に配設される構成に限られず、例えば身体Bの正面若しくは背面の皮膚の下に埋め込まれて配設されてもよい。同様に、「第二電極部」は、第一電極部に対して身体Bの反対側において、皮膚の表面に配設される構成に限られず、例えば第一電極部に対して身体Bの反対側の皮膚の下に埋め込まれて配設されてもよい。
【0084】
本実施形態においては、第一電極部10を身体Bの正面すなわち腹部に配設し、第二電極部20を身体Bの背面すなわち背中に配設する例を説明した。その一方で、第一電極部10は身体Bの背面に配設してもよく、第二電極部20は身体Bの正面に配設してもよい。
【0085】
本実施形態においては、第一電極部10及び第二電極部20を導電性の粘着剤を用いて身体Bに配設することとしたが、導電性の粘着剤は本痩身装置の必須の構成ではない。
【0086】
第一電極部10及び第二電極部20が有する電極は、例えば、金属等の導体によって構成されればよい。電極の素材としては、種々の素材を選択することができ、例えば、銅、アルミニウム、タングステン等を採用することができる。
【0087】
本実施形態においては、第一電極部10及び第二電極部20と本体部30とは、コード40によって有線接続される例を示した。しかしながら、第一電極部及び第二電極部と本体部との接続は、有線接続、無線接続といった接続形式を限定するものではない。
【0088】
本実施形態においては、一例として、本体部30に対して、コード40を介して並列接続された二つの第一電極部10と、コード40を介して接続された一つの第二電極部20とを備える構成を説明した。しかしながら、本体部と第一電極部及び第二電極部との接続方法、並びに第一電極部及び第二電極部の個数は任意に変更することができる。また、第一電極部及び第二電極部の大きさも任意に変更することができる。
【0089】
さらに、標的内臓として、腸を刺激することとしてもよい。
腸を刺激することとした場合には、体内に入った食物の消化を促進して腸の排泄機能を向上させることができる。これにより、さらに痩身効果を高めることができる。
【0090】
また、それぞれの標的内臓は、これらを同時に刺激することを要しない。すなわち、実施例で説明したように、時間を隔てて異なる内臓を刺激することもできる。
【0091】
また、印加する電流の周波数自体を変調しても良く、複数の異なる周波数の交流電源31を切り替えて印加することによって周波数を変調してもよい。
【0092】
また、実施例においては、時間ごとにラジオ波電流の周波数を交互に変調することとしたが、変調方式はこれに限られない。例えば、センサー等を用いて被施術者の施術部位の温度を測定し、温度が所定の閾値を越えた際に周波数が変調される等のトリガー方式などであってもよい。
【0093】
本実施形態においては、交流の電源31を用いたラジオ波電流について説明したが、交流電源31を用いる場合に限られるものではなく、例えば、パルス状の電流を印加することとしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
1 痩身装置
10 第一電極部
20 第二電極部
30 本体部
31 電源
32 変調手段
33 制御部
34 記憶部
35 入力部
36 表示部
40 コード
B 身体