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特許7470976自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造
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  • 特許-自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造 図1
  • 特許-自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造 図2
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  • 特許-自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 1/20 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B62J1/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020111981
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011090
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503356451
【氏名又は名称】株式会社大久保製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】萩藤 紘行
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-206220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0192403(US,A1)
【文献】国際公開第97/002172(WO,A1)
【文献】中国実用新案第204713187(CN,U)
【文献】特表2008-506575(JP,A)
【文献】特開2021-4027(JP,A)
【文献】特開2015-217835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 1/20
B62J 1/00
B62J 1/16
B62J 17/00
B62J 17/08
B62B 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたヘッドレスト付きチャイルドシートの略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーの骨組構造であって、
当該カバーは、カバー上方部とカバー下方部とが別体に又は一体的に形成されたものからなり、
前記カバー上方部は、シートの前方部分、上方部分と背面上方部分及び両側面上方部分を被覆することができ、
前記シートの前方部分を覆う前面部分からシートの上方部分を覆う天井部分が連続し、更に前記天井部分から背面部分へと連続的に形成され、
これら前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側には両側面部が設けられ、
前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に可撓性及び弾力性を有する線条部材をそれぞれ配設し、
これら両側の線条部材に掛け渡すように幅方向に補強部材を少なくとも天井部に1つ設け、又は、前記前面部分の下方部と天井部、若しくは、天井部と背面上方部分の下方部の少なくとも2箇所に設け
前記線条部材が合成樹脂製の線条材からなり、前記幅方向補強部材が内部に合成樹脂製の線条材又は管体を挿通した帯状部材から成ることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造。
【請求項2】
前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に沿ってそれぞれ挿通部を設け、これらの挿通部の前端又は後端に開口部を設けてこの開口部から前記線部材を挿入し又は抜脱することができることを特徴とする請求項1に記載の自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造。
【請求項3】
前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略四角形の合成樹脂製管体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造。
【請求項4】
前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略長方形形状を有し、その対向する長辺部分が外側に膨出する形状を有していることを特徴とする請求項に記載の自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のハンドル部又は荷台部に固定されたヘッドレスト付きチャイルドシートのほぼ全体を被覆することのできるチャイルドシートカバーにおけるカバー上方部の骨組構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、上記した通り、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたヘッドレスト付きのチャイルドシート(以下単に「シート」という。)のほぼ全体を被覆できるチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)におけるカバー上方部の骨組構造に関するものである。
かかるカバーは、雨除けや防寒、粉塵対策や日除け等を目的として使用される。
【0003】
上記チャイルドシートとしては、現在良く知られているように、その座部の後方には背凭れ部が形成され、左右の側面には側面部が形成され、その前方には幼児が両手で把持できる取手部が形成され、前記背凭れ部には上下に摺動するヘッドレスト(「ヘッドサポート」とも言う。)が設けられた形態を有する。
【0004】
そして、前記取手部の両側又は前側には下方に延長する足乗せ部が形成されたものである。
また、この種のシートとしては、上記ヘッドレストが上下に摺動しない固定式のタイプのものも存在する。
【0005】
上記シートには、その座部の底面部や背凭れ部の背面部の一部を除く略全体を被覆することができる各種形態のチャイルドシートカバーが市販されている。
これらのシートカバーとしては、略ボックス形状の下端開口部から上記シートの略全体を上方からスッポリと被覆することができるタイプのものや、最近では、カバーを上方部と下方部との2つの部分に分けた2(ツー)ピースタイプのものも存在する。
【0006】
2ピースタイプのものにおいては、カバー下方部をシートの前方部分から両側面部分そして背面部分に掛けて巻き付けるように装着し、このカバー下部の上縁部にカバー上方部の下端開口部を連結して装着することができるものである。
【0007】
カバー下方部をシートに装着する方法としては、シートのヘッドレスト支持部等に各種ベルトやゴムバンドで装着したり、ヘッドレストの背面に装着補助プレートを装着した後、この装着補助プレートにカバー下部の背面部側を連結したりするもの等々各種タイプのものが存在している。
【0008】
上記2ピースタイプのものにおいては、カバー下方部がシートの少なくとも前面部分と両側面部分を被覆できればよいため、そのシートの背面部(背凭れ部)を完全に被覆しなくともよいというメリットもある。つまり、シートの背面部は背凭れ部であり、この部分をカバーは被覆する必要がないからである。
【0009】
このように、従来のチャイルドシートカバーにおいては、カバーがその上方部と下方部とに分離された2ピースタイプのものと、全体が一体的に形成された1ピースタイプのものとの2種類があるが、本願発明における骨組構造は、カバー上方部(シートに着席した幼児の頭部及び胸部の周囲を被覆する部分)の骨組構造であるため、カバーが1ピースであっても2ピースであっても何れのタイプのものにも適用することができるものである。
【0010】
下記特許文献1に記載の「自転車のチャイルドシート用のレインカバー」にあっては、着座した幼児の周囲に十分な空間を確保するチャイルドシート用のレインカバーを提供することを課題とするものである。このカバーは、上部カバーと下部カバーとがその背面部で接続しており、その他の部位はスライドファスナーによって開閉自在に連結されているが、1ピースタイプのものである。
【0011】
このレインカバーは、チャイルドシートの上方を覆う合成樹脂製の上部カバーと、チャイルドシートに固着され、チャイルドシートの下方を覆う、上方開口部が四辺形である筒状の下部カバーとで構成されている。
【0012】
上記上部カバーは、開放側を下方とした略逆U字形状の側面と、自転車の前後方向に亘って両側の側面を曲面で接続する連結面とで構成され、前方連結面は略垂直に立ち上がる面を形成する。この上部カバーの下方開放側端面と下部カバーの上方開口部とが、上方開口部の四辺のいずれかの3辺を開閉自在に保持する線ファスナーによって接続された1ピースタイプのものである。
【0013】
更に、上記両側の側面部と連結面との境界部位にはパイピング加工が施され、上部カバーが立体的な形状に保持されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開2015-217835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明においては、上記特許文献に記載のカバーと同様の課題を有しており、カバー上部の空間を出来る限り広く維持できることがその第一の課題となる。
これに加えて本願発明においては、カバーを取り外した際には小さく折り畳めるようにすることもその課題である。
【0016】
上記課題を解決するためには、カバー上部の骨組構造を考慮する必要があり、上記特許文献に記載のカバーでは、両側面と連結面との接続部位にパイピング加工が施されているが、このパイピング加工ではその形状保持力が弱く、カバー上部の立体的形状が確実に保持され難いという問題が残されていた。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第1のものは、自転車のハンドル部又は後部荷台部に固定されたヘッドレスト付きチャイルドシートの略全体を被覆することができるチャイルドシートカバーの骨組構造であって、当該カバーは、カバー上方部とカバー下方部とが別体に又は一体的に形成されたものからなり、前記カバー上方部は、シートの前方部分、上方部分と背面上方部分及び両側面上方部分を被覆することができ、前記シートの前方部分を覆う前面部分からシートの上方部分を覆う天井部分が連続し、更に前記天井部分から背面部分へと連続的に形成され、これら前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側には両側面部が設けられ、前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に可撓性及び弾力性を有する線条部材をそれぞれ配設し、これら両側の線条部材に掛け渡すように幅方向に補強部材を少なくとも天井部に1つ設け、又は、前記前面部分の下方部と天井部、若しくは、天井部と背面上方部分の下方部の少なくとも2箇所に設けたことを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造である。
尚、上記記載において、「前方」及び「前面」という記載の「前」というのは、カバーを自転車のチャイルドシートに装着した状態における自転車の進行方向を意味する。
【0018】
本発明の第2のものは、上記第1の発明において、前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に沿ってそれぞれ挿通部を設け、これらの挿通部の前端又は後端に開口部を設けてこの開口部から前記線部材を挿入し又は抜脱することができることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造である。
【0019】
本発明の第3のものは、上記第1又は第2の発明において、前記線条部材が合成樹脂製の線条材からなり、前記幅方向補強部材が内部に合成樹脂製の線条材又は管体を挿通した帯状部材から成ることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造である。
【0020】
本発明の第4のものは、上記第3の発明において、前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略四角形の合成樹脂製管体からなることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造である。
【0021】
本発明の第5のものは、上記第4の発明において、前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略長方形形状を有し、その対向する長辺部分が外側に膨出する形状を有していることを特徴とする自転車用チャイルドシートカバーの骨組構造である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1のものにおいては、カバー上方部がシートの前方部分、上方部分と背面上方部分及び両側面上方部分を被覆することができ、前記シートの前方部分を覆う前面部分からシートの上方部分を覆う天井部分が連続し、更に前記天井部分から背面部分へと連続的に形成され、これら前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側には両側面部が設けられ、前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に可撓性及び弾力性を有する線条部材をそれぞれ配設しているために、前記線条部材によって両側に側面部が張設され、しっかりと起立状態となる。
即ち、両側のそれぞれの線条部材が弧状に撓むこととなり、外側方向に反発する付勢力が働き、両側のそれぞれの側面部を張り詰めた状態に張設できることとなるのである。
【0023】
更に、本発明においては、両側の線条部材に掛け渡すように幅方向に補強部材を少なくとも天井部に1つ設け、又は、前記前面部分の下方部と天井部、若しくは、天井部と背面上方部分の3下方部の少なくとも2箇所に設けているために、前記前面部分、天井部分及び背面上方部分が、即ち、これらの部分が両側面部を連結する連結面となるのであるが、この連結面が幅方向に拡張された湾曲状態に張り詰めたように張設されることとなるのである。
以上の構成から成る本発明に係る骨組構造によって、カバー上方部が最大の内容積を保持しつつ、立体的にその形状を保持することができるのである。
【0024】
本発明の第2のものにおいては、前記前面部分、天井部分及び背面上方部分の両側縁部と両側面部との境界部位に沿ってそれぞれ挿通部を設け、これらの挿通部の前端又は後端に開口部を設けてこの開口部から前記線部材を挿入し又は抜脱することができるように構成したものである。
これにより、チャイルドシートカバーをシートから取り外す際に、或いは、取り外した後に前記線部材を前記挿通部から抜脱することによりカバーを小さく容易に折り畳むことが可能となり、収納に便利なものとなる。
【0025】
本発明の第3のものにおいては、前記線条部材及び幅方向補強部材をより具体化したものであり、即ち、前記線条部材が合成樹脂製の線条材からなり、前記幅方向補強部材が内部に合成樹脂製の線条材又は管体を挿通した帯状部材から成ることを特定したものである。その効果は、上記発明と同じである。
【0026】
本発明の第4のものにおいては、前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略四角形の合成樹脂製管体からなることを限定した。
これにより、幅方向補強部材の強度がより強くなり、且つ、より軽量なものとなるのである。
【0027】
本発明の第5のものにおいても、上記第4の発明と同様に、補強部材の強度をより大きくするための限定であり、前記幅方向補強部材に挿通した管体が横断面略長方形形状を有し、その対向する長辺部分が外側に膨出する形状を有していることを特定した。
これによりその強度が更に向上したものとなった。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る骨組構造の一実施形態を有するチャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図2】上記実施形態を有するチャイルドシートカバーの斜め後方上部から見た全体説明図である。
図3】上記実施形態を有するカバー上方部を開放した状態の側面説明図である。である。
図4】上記実施形態に係る補強部材について図示しており、その(A)が線条材を用いた説明図、その(B)が管体を用いた説明図、その(C)は(B)図の管体の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下添付の図面と共に、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係る骨組構造の一実施形態を有するチャイルドシートカバーを前部チャイルドシートに装着した状態を示す斜め前方から見た全体説明図である。
図2は、同じく上記実施形態を有するチャイルドシートカバーの斜め後方上部から見た全体説明図である。
図3は、上記実施形態を有するカバー上方部を開放した状態の側面説明図である。
である。
【0030】
本発明に係る骨組構造を有するチャイルドシートカバー(以下単に「カバー」という。)10は、自転車のハンドル及びハンドルポストに取り付けて固定することのできるチャイルドシートに装着されている。
【0031】
上記カバー10は、カバー下方部11とカバー上方部12との2ピースから形成されている。
そして、このカバー10をシートに取り付ける際には、カバー下方部11の背面部側にベルト部材を横方向に設けて、シートのヘッドレスト支持部に掛け渡してこのカバー下方部11をシートに装着し、その後このカバー下方部11の上端開口部にカバー上方部12の下端開口部を連結して装着できる。
【0032】
或いは、上記図1乃至図3に示したカバー10では、装着補助プレート13をヘッドレストHの背面に装着し、その後この装着補助プレート13に設けた係止部材19にカバー下方部11の両側の側面部11sの後方縁部に設けた係止部材19を相互に係止して装着することもできる。
これらの係止部材19、19は、帯状部材の先端に雌雄のワンタッチ式バックル19bで相互に係止できるタイプのものを利用することができる。
【0033】
更に、1ピースのボックス形状のカバーにあっては、そのカバーの背面部の内側に弾力性のある輪状ゴムバンドを左右一対上下方向に設けて、これらの輪状ゴムバンドをシートのヘッドレストの両端部から嵌め入れてカバーをシートに装着することもでき、カバーのシートへの装着方法は各種のものが存在している。
【0034】
上記図1乃至図3に図示したカバー10は、2ピースのものから成り、そのカバー上方部12の前面部分12fの下方部に設けた留めホックからなる左右一対の連結部材16によって連結され、カバー上方部12の背面部分12hの下端部を上方に引き上げることによってカバー上方部12が開放される構成である(図3参照)。
【0035】
ここにおいて、本発明に係る骨組構造は、上記カバー上方部12の骨組構造となる。
カバー上方部12は、その両側の側面部12sの上縁部が弧状に形成され、これら弧状に形成された両側面部12sの上縁部に掛け渡されるように、前面部分12f、天井部分12t、及び、背面部分12hへと連続的に流れるように湾曲状に形成されている。
【0036】
両側面部12sの上方部分は透明素材から形成され、同様に前面部分12fの上方部分から天井部分12t、更に背面部分12hの上方部分も透明素材から形成されている。
上記側面部12sと上記前面部分12f、天井部分12t及び背面部分12hとの境界部位に骨組部材としての線部材Fが両側に配設されている。
【0037】
この線部材Fは、この実施形態ではPOM樹脂(ポリアセタール樹脂)からなる直径6mm程度の線条材を使用しており、可撓性及び弾力性に富む素材を用いている。
その他この線条部材Fとしては、可撓性及び弾力性を有する金属製ワイヤーやFRP(ファイバー・リインフォースド・プラスチック/繊維強化プラスチック)等を利用することもできる。
これらの素材を利用することにより、両側の線部材Fは、図示した通り、弧状に起立することとなる。
【0038】
上記線部材Fは、側面部12sの上縁部に沿うように挿通部を設け、当該挿通部の一方端部を閉鎖し、他方端部を開放して、この線部材Fを上記挿通部の開放端部から挿入及び抜脱できるように構成している。
これにより、上記カバー10をシートから取り外した後に、上記線部材Fを挿通部から抜脱して、小さく折り畳むことが可能となる。
【0039】
上記挿通部の開口端部は、前端又は後端の何れであってもよく、この開口端部には蓋部を設けておくことが極めて望ましい。上記線部材Fが外部に飛び出すことを防止するためである。
この蓋部の封止方法は面ファスナーによって容易に行うことができる。
また、この実施形態では、上記挿通部の内側に、スライドファスナーを設けて、側面部12sの透明部が開放できるように形成している。
【0040】
更に、本発明における骨組構造においては、上記両側の線部材F、F間を幅方向に掛け渡す補強部材Kを上記前面部分の下方部と天井部分、又は、天井部分と背面上方部分の下方部の少なくとも2箇所に設けている。
勿論、カバー上方部の前面部分の下方部、天井部分、及び、背面上方部分の下方部の3箇所に設けることも自由である。
また、本発明においては、上記補強部材Kは、天井部分に1つのみ設けたものであってもその効果を発揮することができる。
【0041】
この補強部材Kは、後の図面によって更に説明するが、2枚の帯状部材の両側を縫着して内部に挿通部を形成し、この挿通部内にPOM樹脂製線条材や合成樹脂製管体を挿通して形成される。
上記補強部材Kの両端部をカバー上方部の両側の側面部の縁部に縫着するのである。
【0042】
即ち、カバー上方部の前面部分、天井部分、背面部分を連続的に形成する際に上記補強部材を共に縫着して形成する。
ここで重要な点は、補強部材Kに内装されたPOM樹脂製線条材や合成樹脂製管体の両端部が上記線部材Fの上に載置するように縫製する点である。
【0043】
これにより、カバー上方部の前面部分、天井部分及び背面部分の幅方向の間隔を所望のものとすることができ、線部材F、F間のカバー上方部の生地がしっかりと幅方向に張設されることとなる。
【0044】
図4は、上記実施形態に係る補強部材について図示しており、その(A)が線条材を用いた説明図、その(B)が管体を用いた説明図、その(C)は(B)図の管体の横断面図である。
【0045】
図4(A)及び(B)においては、内部に挿通する線条材20及び管体30の左方端部を、帯状部材を重ね合わせてその両側を縫着して形成した挿通部材21から外部に引き出した状態に描いているが、この線条材20及び管体30は、挿通部材21及び31の長手方向長さよりも少し短いものである。
【0046】
というのも、この補強部材K、即ち、挿通部材21、及び、挿通部材31の両端部は、カバー上方部12の両側面部12sの上縁部に配設された線部材Fの上に載るように縫着されるからである。
【0047】
上記線材20は、上記線部材Fで用いたPOM樹脂線条材を使用しているが、それよりも少し細い直径のものを使用している。
他方、図4(B)に図示した補強部材Kにあっては、挿通部材31には合成樹脂製の管体30を挿通させている。
【0048】
上記管体30は、その横断面を(C)図に示しているが、横断面略長方形形状であって、その対向する長辺を外部に膨出した形状に射出成型したものである。
勿論、当該横断面は略長方形形状のままであってもよいのであるが、上記のように対向する長辺を外側に膨出させることにより、その可撓性が高まり、その強度も高まるのである。
【0049】
尚、上記挿通部材31は、上記挿通部材21よりもその横幅が大きいものを使用しているが、内部に線条材20が挿通された上記挿通部材21の全体を挿通部材31の内部に挿通させて補強部材として作製することも可能である。
また、合成樹脂製管体30の材質としてはABSやPVC等の合成樹脂の単体又は混合素材を使用することができるが、その素材の選択は自由である。
【0050】
以上、実施形態について説明したが、本発明に係る骨組構造は以下の通り各種設計変更することができる。
上記カバー上方部の大きさは適宜変更して作製することができるが、その側面部の上縁に線部材を配設して弧状に形成することができればよい。
【0051】
また、両側の線部材に掛け渡すように、その幅方向に補強部材を設けているが、この補強部材も少なくとも天井部に1つ設け、又は、前記前面部分の下方部と天井部、若しくは、天井部と背面上方部分の下方部の少なくとも2箇所に設ければ、その機能を発揮することができる。
勿論、上記補強部材を3箇所以上設けることも自由である。
【0052】
上記補強部材は、内部に合成樹脂製の線条材や管体を挿通部材の内部に挿入して形成したが、当該管体は横断面略長方形形状のものであってもよく、その長辺が外側に膨出していないものであっても十分にその効果を有する。
勿論、上記管体の横断面が略正方形形状のものであってもよいものである。
【0053】
以上の通り、本発明においては、チャイルドシートカバーの上方部の骨組構造に関し、当該チャイルドシートカバーの上方部の外形形状をしっかりと保持するために創案されたものであり、当該カバー上方部の内部空間を最大限に広いものとし、居住性に優れた骨組構造を提供することができたものである。
【符号の説明】
【0054】
10 チャイルドシートカバー
11 カバー下方部
11s 側面部
12 カバー上方部
12f 前面部分
12h 背面部分
12s 側面部
12t 天井部分
13 装着補助プレート
16 連結部材
19 係止部材
19b バックル
20 線条材
21、31 挿通部材
30 管体
F 線条部材
H ヘッドレスト
K 補強部材
図1
図2
図3
図4