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特許7470989少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品を製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   B23B 5/28 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B23B5/28
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020565970
(86)(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 EP2019063728
(87)【国際公開番号】W WO2019229025
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-23
(31)【優先権主張番号】18174898.9
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519015070
【氏名又は名称】エーエフダブリュー ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワインガルトナー,ドミニク
【審査官】野口 絢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-000747(JP,A)
【文献】特開2001-328001(JP,A)
【文献】米国特許第03189154(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 3/00-11/00
B23B31/00-31/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品(2)を製造する方法において、
・中心軸(ZA)を有し、機械加工される少なくとも1つのブランク(1)を提供するステップと、
・前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす少なくとも1つの挟持状態(AS)に前記ブランク(1)を配置または挟持するステップであって、前記少なくとも1つの挟持状態(AS)が、前記ブランク(1)に係る特定の挟持位置または挟持姿勢と関連付けられるステップと、
・円盤状または環円盤状の部品(2)を製造するために、挟持された前記ブランク(1)を機械加工するステップと、を備え、
前記ブランク(1)の円盤平面(SE)と平行な前記ブランク(1)の表面に、少なくとも部分的な機械加工が行われ、また前記ブランク(1)の外周に、少なくとも部分的な機械加工が行われるような挟持状態で、前記ブランク(1)が挟持され、前記ブランク(1)が挟持要素(6)を介して前記挟持状態で挟持され、前記挟持要素(6)が前記ブランク(1)の内径の部分(9)に係合し、
または、
前記ブランク(1)が複数の異なる挟持状態(AS)で挟持され、前記ブランク(1)が第1挟持状態(AS1)で挟持され、前記第1挟持状態(AS1)では、前記ブランク(1)の前記円盤平面(SE)と平行に配置されている前記ブランク(1)の表面に、少なくとも部分的な機械加工が行われ、前記ブランク(1)が第2挟持状態(AS2)で挟持され、前記第2挟持状態(AS2)では、前記ブランク(1)の外周に、少なくとも部分的な機械加工が行われ、前記ブランク(1)が前記第1挟持状態(AS1)で前記挟持要素(6)を介して挟持され、前記挟持要素(6)が前記ブランク(1)の外周に係合し、前記ブランク(1)が前記第2挟持状態(AS2)で前記挟持要素(6)を介して前記挟持状態で挟持され、前記挟持要素(6)が前記ブランク(1)の内径の部分(9)に係合し、
機械加工され、中心軸(ZA)を有する複数のブランク(1)が提供され、
・第1ブランク(1)が、前記第1ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第1挟持状態(AS1)でまず挟持され、また第1機械加工ステップにおいて、前記第1ブランク(1)が前記第1挟持状態(AS1)で少なくとも部分的に機械加工され、前記第1機械加工ステップの完了後、前記ブランク(1)は、前記第1ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第2挟持状態(AS2)に移行し、前記第2挟持状態(AS2)で挟持され、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工され、
・別のブランク(1)が、前記別のブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第2挟持状態(AS2)でまず挟持され、また第1機械加工ステップにおいて、前記第2挟持状態(AS2)で少なくとも部分的に機械加工され、
前記第1ブランク(1)の前記第1挟持状態(AS1)での第1機械加工ステップおよび前記別のブランク(1)の前記第2挟持状態(AS2)での第1機械加工ステップが完了した後、前記第1ブランク(1)が前記第2挟持状態(AS2)に移行し、前記第2挟持状態(AS2)で挟持され、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工され、また前記別のブランク(1)の前記第2挟持状態(AS2)での第1機械加工ステップおよび前記第1ブランク(1)の前記第1挟持状態(AS1)での第1機械加工ステップが完了した後、前記別のブランク(1)が前記第1挟持状態(AS1)に移行し、前記第1挟持状態(AS1)で挟持され、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工されること
により特徴付けられる方法。
【請求項2】
前記ブランク(1)が円盤状または環円盤状の形状を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して、1°~179°の間で角度をなすようにして、前記ブランク(1)が挟持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して90°の角度で配向されるようにして、前記ブランク(1)が挟持されていることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記ブランク(1)は、前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第1挟持状態(AS1)から、前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす少なくとも1つの別の挟持状態である前記第2挟持状態(AS2)へと、移行されることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
械加工される中心軸(ZA)を有する複数のブランク(1)が提供され、
・第1ブランク(1)が、前記第1ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす第1挟持状態(AS1)でまず挟持され、また第1機械加工ステップにおいて、前記第1ブランク(1)が前記第1挟持状態(AS1)で少なくとも部分的に機械加工され、前記第1機械加工ステップの完了後、前記ブランク(1)は、前記第1ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第2挟持状態(AS2)に移行し、前記第2挟持状態(AS2)で挟持され、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工され、
・前記第1ブランク(1)を前記第2挟持状態(AS2)で挟持しているとき、またはその後で、前記第1挟持状態(AS1)で別のブランク(1)を挟持し、第1機械加工ステップにおいて、前記別のブランク(1)が前記第1挟持状態(AS1)で少なくとも部分的に機械加工され、前記第1機械加工ステップの完了後、前記別のブランク(1)は、前記別のブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす前記第2挟持状態または別の挟持状態(AS2)に移行し、前記第2挟持状態または別の挟持状態(AS2)で挟持され、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工される、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
鉄道車両用のホイールが製造されることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
円盤状または環円盤状の部品(2)を、請求項1~7の何れか一項に記載の方法によって製造するための、機械加工されるブランク(1)を機械加工するための加工センター(4)が、
・機械加工される前記ブランク(1)の中心軸(ZA)が鉛直軸(VA)に対して角度をなす少なくとも1つの挟持状態(AS)で機械加工されるブランク(1)を挟持するように構成された少なくとも1つの挟持デバイス(6)と、
・前記挟持状態(AS)で挟持されたブランク(1)を少なくとも部分的に機械加工するように構成された少なくとも1つの機械加工デバイス(8)と、
により特徴づけられる加工センター(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品、特に円盤状または環円盤状のホイールを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円盤状または環円盤状の部品、具体的には例えば円盤状または環円盤状のホイールを製造するためのこのような方法、例えば、鉄道車両または列車ホイールなどのホイールとして使用されるものを製造するための方法そのものは、従来技術で公知である。
【0003】
このような方法には特に切削により機械加工されるブランク、例えば円盤状または環円盤状のブランクの提供が通常含まれ、これは製造される部品を形成するとき、挟持状態で挟持され、そこで特に切削により、機械加工される。
【0004】
従来、挟持状態にあるブランクは通常、その対称軸または中心軸が、鉛直軸もしくは鉛直平面内に位置するように配置または配向されてきた。
【0005】
このような挟持状態から様々な欠点が生じるが、これは例えば、機械加工に関する除去材料、特に切り屑、および/または、冷却液が機械加工されるブランクの上に堆積し、これが機械加工プロセスに悪影響を及ぼす可能性があるという事実を構成するか、またはこれから生じるものである。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品、特に円盤状または環円盤状のホイールを製造するための、改良を表す方法を特定することである。
【0007】
この目的は、少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品、特に円盤状または環円盤状のホイールを製造する請求項1に記載の方法により達成される。従属請求項は本方法に係る可能な実施形態に関するものである。
【0008】
本明細書に記載の方法は、少なくとも1つの(略)円盤状または環円盤状の部品、特に(略)円盤状または環円盤状のホイールもしくは駆動輪を製造するために使用される。本方法により製造される円盤状または環円盤状の部品、特に円盤状または環円盤状のホイールは、鉄道車両用のホイールもしくは駆動輪、例えば列車車輪、特に高速列車用の列車車輪とすることができる。
【0009】
本方法に従って製造された部品は、一定の条件下で、つまり部品に関する特定の使用対象分野に応じて、幾何学的に定義された円盤状または環円盤状の形状から逸脱した円盤状または環円盤状の形状を有することができる。このような逸脱は、例えば断面に存在する場合があり、例えば、列車ホイールなどに認められる外周が階段状の外形設計に存在する可能性がある。
【0010】
本明細書に記載の手順には下記のステップが含まれる。
【0011】
本方法の第1ステップにおいて、具体的には特に切削により機械加工される少なくとも1つのブランクが提供される。ブランクには中心軸がある。中心軸は、例えばブランクの対称軸とすることができる。この点において、ブランクは回転対称性を有することができ、具体的には特に円盤状または環円盤状の形状を有することができる。環円盤状の形状は、円盤状の形状と比べると、通常は、中央もしくは中心の、場合によっては穴状もしくは穴様の凹部により異なるものであって、環円盤状のブランクが、外周のみを有する円盤状のブランクとは対照的に、外周と内周の両方を有しており、これが中央凹部もしくは中心凹部を形成している。円盤状または環円盤状のブランクは通常、円盤平面を有する。当該円盤平面はブランクの中心軸と直角に交わっており、つまりブランクの中心軸はしたがって、通常はブランクの円盤面に対して垂直に向いている。
【0012】
ブランクあるいは、その他本方法に従って製造される円盤状または環円盤状の部品は、様々な断面形状または断面積を有する部分を有することができる。例えば、ブランクまたは製造される部品は、外周領域において、放射方向に見てさらに内側の領域とは、異なる断面形状を有することができる。ホイールの製造、特に列車ホイールの製造に関して、ブランクの外周が後に部品の滑走面を形成する可能性がある点が適応される。
【0013】
本方法によれば、金属ブランク、具体的には、例えば鉄製金属材料などから形成されるブランクが通常は提供される。したがって、本方法に係る円盤状または環円盤状の部品は、金属製の部品であって、具体的には鉄製金属材料から形成される金属製の部品である。ブランクは特に未完成品または半製品である。具体的に、ブランクは鋳造部材もしくは鍛造部材、即ち鋳造合金または鍛造合金から作られたブランクとすることができる。
【0014】
このように提供された機械加工されるブランクは、第1ステップに続く本方法の第2ステップで、少なくとも1つの挟持状態で使用されるが、少なくとも1つの挟持状態は、具体的には特にブランクの挟持位置または挟持姿勢である(以下、本明細書において「挟持状態」なる用語だけが使用されるが、これにはブランクに係る特定の挟持位置または挟持姿勢が含まれる)。ブランクの各挟持状態が、ブランクに関する少なくとも1つの特定の機械加工状態に対応しているが、これは特にブランクの加工位置または加工姿勢である(以下、本明細書において「挟持状態」なる用語だけが使用されるが、これにはブランクに係る特定の挟持位置または挟持姿勢が含まれる)。
【0015】
本方法によれば、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面と角度をなす少なくとも1つの挟持状態で、ブランクは挟持される。ブランクの中心軸はしたがって、(交差する部分を除いて)鉛直軸または鉛直平面の外側に存在する。本方法によれば、機械加工されるブランクは一般的に挟持状態に配置され、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなし、つまり鉛直軸または鉛直平面と平行ではないように構成されている。円盤状または環円盤状のブランクについては、挟持状態にあるブランクの円盤平面が水平軸または水平面に対して角度をなすか、または傾いていることが適応される。以下に示す通り、挟持状態にあるブランクの円盤平面は、特に、鉛直軸または鉛直平面に対して平行に向いているか、向けられている。
【0016】
鉛直軸または鉛直平面に対して角度的に傾斜した、または傾いたブランクの配置または配向は、例えば、本方法を実行するために使用される加工センターの鉛直機械加工軸により定めることができるが、これによりブランクを機械加工すること、ひいては本方法に従って製造される円盤状または環円盤状の部品の製造に、数多くの利点が生じる。これらの利点は特に、鉛直軸に対するブランクの特定の向きに応じて、機械加工に関連して取り除かれた材料、特に切屑、および/または、冷却液が、機械加工されるブランクに堆積することが、より困難になるかまたは全く不可能となる点にある。これはまた通常使用される冷却液がブランク(即ち円盤状または環円盤状のブランク)に堆積し、特に円盤平面と平行なブランクの表面に堆積することで、加熱されることが、より困難になるか、または全く不可能となることで、冷却効果、つまり機械加工する際のブランクの冷却効率を(大幅に)改善することができるという事実に繋がる。ブランクの機械加工プロセスはまた(光学的に)よく観測することができるため、実行されているまたは実行されるプロセスの監視に関しても利点を有する。上記利点は、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に存在する挟持状態にある、公知のブランクの挟持と比較することにより、特に現れる。
【0017】
ブランクは挟持デバイスを介して上記の挟持状態で挟持することができ、挟持デバイスには一以上の挟持要素が備えられ、具体的には例えば一以上の挟持顎部、具体的には例えば本法を実行するために使用される加工センターのチャックを備えている。本方法に従って使用される上記またはそれ以外の挟持デバイスはしたがって、上記挟持状態にあるブランクを挟持するように構成されている。このような挟持デバイスは、複数の異なる挟持状態、特にブランクの中心軸が何れも鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす複数の異なる挟持状態を実行するように構成することができる。このような挟持デバイスは少なくとも1つの運動自由度に可動に取り付けることができ、この運動自由度は少なくとも1つの並進軸に沿う並進自由度、および/または、少なくとも1つの回転軸の周りの回転自由度とすることができる。このような並進軸または回転軸は、例えば、本方法を実行するために使用される加工センターの機械加工軸または機械軸により定めることができる。
【0018】
本発明の第2ステップに続く第3ステップにおいて、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす挟持状態で、挟持されたブランクの機械加工が実行されることで、円盤状または環円盤状の部品が生成される。ブランクの機械加工が、特に製造される部品の最終形状に関連するデータに基づいていることで、最終形状に近いかまたは最終形状と全く同じ形状で部品が製造されるようになっている。ブランクの機械加工には通常、切削またはチッピングが伴う少なくとも1つの機械加工ステップが含まれる。ブランクの機械加工は例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工を用いて実現されるか、または穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工が含まれる場合がある。
【0019】
ブランクの機械加工は、少なくとも1つの機械加工ツールを備える少なくとも1つの機械加工デバイスを用いて実行することができ、少なくとも1つの機械加工ツールは、具体的にはとりわけ穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ツールであって、具体的にはとりわけ本方法を実施するために使用される加工センターの、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ユニットである。具体的な構成に応じて、機械加工デバイス は、少なくとも1つの運動自由度に可動に取り付けることができ、この運動自由度は、挟持状態 に挟持されたブランクに対する、少なくとも1つの並進軸に沿う運動の並進自由度、および/または、少なくとも1つの回転軸の周りの運動の回転自由度とすることができる。
【0020】
全体として、円盤状または環円盤状の部品を製造するための改善した方法がある。
【0021】
本方法によれば、鉛直軸または鉛直平面に対して、ブランクの中心軸が1°~179°までの間の角度αで配向し、特に15°~175°の間の角度αで配向し、好ましくは30°~150°の間の角度αで配向するようにしてブランクを挟持することができる。挟持状態で挟持されたブランクと鉛直軸若しくは鉛直平面との角度はしたがって、1°~179°の間、特に15°~175°の間、好ましくは30°~150°の間にある。挟持状態で挟持されたブランクと鉛直軸もしくは鉛直平面との角度は、特に好ましくは80~100°までの間、とりわけ85~95°までの間である。
【0022】
本方法の特定の実施形態によれば、ブランクは、中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して90°の角度で配向するようにして、挟持することができる。ブランクの中心軸はしたがって、挟持状態で水平に配向可能か配向されている。挟持状態において、ブランクの中心軸は、本方法を実行するために使用される加工センターの機械加工軸に対して、同軸状または同心円状に配向させることができる。円盤状または環円盤状のブランクの円盤平面はしたがって、挟持状態において鉛直に配向可能であるか配向されている。
【0023】
上記の角度または角度範囲は、時計周りまたは反時計回りのものとして理解することができる。
【0024】
ブランクの中心平面と平行に配置されたブランクの表面に関する、少なくとも部分的な機械加工、とりわけ完全な機械加工が行われ、またブランクの外周に関する、少なくとも部分的な機械加工、とりわけ完全な機械加工が行われる挟持状態で、ブランクを挟持することができる。挟持状態は通常、少なくとも1つの挟持要素,とりわけ少なくとも1つの挟持顎部が、少なくとも1つの挟持デバイスでブランクの一部に係合することで、ブランクの挟持が形成されることを特徴としている。この場合、挟持状態にあるブランクは、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して、具体的には特に直角の角度をなすようにして、挟持される。挟持状態はしたがって、通常はブランクの特定の機械加工状態に対応している。
【0025】
挟持状態において、上記の通り、機械加工は、中心平面と平行に配置されているブランクの表面を、具体的には円盤平面 と平行な(環)円盤状ブランクに対して、具体的には例えばブランクの上端または下端に対して、少なくとも部分的に、とりわけ完全に行うことができる。このような機械加工は、ブランクの(環)円盤形状に対して軸的に行われるブランクの機械加工を意味する場合があり、特に旋削加工による(環)円盤形状ブランクに、例えば製造される部品のハブを形成または機械加工するための、軸方向に配向した貫通孔またはめくら孔が設けられるようになっている。場合によっては、または追加で、このような機械加工は、ブランクの(環)円盤形状に対して放射状に実行されることで、(環)円盤状ブランクに、例えば、放射状に延在するとりわけ環状の凹部が設けられるような、ブランクの機械加工を意味する場合がある。このようなブランクの内径の機械加工または内径領域の機械加工により、場合によっては、ブランクの中央凹部または中心凹部の形成が、例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工により実現されることで、円盤状のブランクが、環円盤状のブランクに変形されることを理解することもできる。これに応じて、製造される部品のハブをこのようにして形成することもできる。ブランクの断面形状に意図した変化が可能である。
【0026】
さらに、(同じ)挟持状態において、ブランクの外周に関する少なくとも部分的な、とりわけ完全な機械加工を、具体的には(環)円盤状ブランクの、外周を形成するブランクの外側面に対して行うことができる。このような機械加工は、ブランクを、(環)円盤形状に対して、(ブランクの中心軸に関して)軸対称に実行されるブランクの機械加工を意味する場合があり、(環)円盤状ブランクに、とりわけ旋削加工および/またはミーリング加工により、特定の外周形状、とりわけ製造されるホイールの滑走面が形成されるような形状が設けられるようになっている。挟持状態で挟持されたブランクの機械加工はしたがって、製造される円盤状または環円盤状の部品の外側面または外面形状、具体的には特に製造されるホイールの滑走面の領域の外側面または外面形状を機械加工するために使用することができる。ここにおいても、ブランクの断面形状に意図した変化が可能である。
【0027】
ブランクを挟持状態で挟持要素を介して挟持することができ、挟持要素は、ブランクの内径の部分にとりわけ軸的に係合し、この部分は場合によってはボアホールのような凹状、突出状、または肩状をしている。円盤状または環円盤状のブランクについて、ブランクは挟持要素を介して挟持することができ、挟持要素は円盤平面と平行に配置されたブランクの表面、具体的には例えばブランクの上端または下端に係合する。例えば内径またはそのような表面に係合する挟持顎部を、ブランクを挟持するために使用される挟持要素として考えることができる。特に、周回りに好ましくは均等に配分された複数の挟持顎部を使用することができる。挟持顎部はブランクのセンタリングが可能なように配置することができる。
【0028】
挟持状態において、中心面と平行に配置されているブランクの表面の機械加工、具体的には円盤平面と平行な(環)円盤状ブランクについて、具体的には例えばブランクの上側または下側についての機械加工と、ブランクの外周の機械加工とを、両方行うことができ、機械加工可能なまたは機械加工することのできないブランクの部分は、同じような挟持状態のうち1つで機械加工することができる。この目的のため、部分的に機械加工されたブランクに、回転運動または回旋運動が必要とされる。部分的に機械加工されたブランクは、挟持状態にある機械加工の後で、挟持状態から移動、回転または回旋させることができるが、これはとりわけ180°の回転または回旋であって、また(同じ)挟持状態に戻って再び挟持されることで、まだ機械加工されていない残りの部分を機械加工することができる。ブランクはその後、ブランクの反対部分が挟持される。挟持状態にあるブランクの新たな挟持は、最初または前回の挟持と比較して、挟持状態にあるブランクの反対部分に挟持要素が係合する。
【0029】
この目的のため、部分的に機械加工されたブランクを適切に操作することが必要である場合があり、これは例えば操作デバイス、具体的にはとりわけロボット装置を用いて実行することができる。
【0030】
ブランクは異なる複数の挟持状態で挟持することができ、特にブランクの特定の空間的な向きについて異なる複数の挟持状態、具体的には少なくとも第1挟持状態 および 第2挟持状態で、特に位置的または空間的に異なるように配置されるかまたは間隔が置かれている挟持状態で挟持することができる。各挟持状態は通常、少なくとも1つの挟持要素,とりわけ少なくとも1つの挟持顎部が、少なくとも1つの挟持デバイスでブランクの一部に係合することで、ブランクの挟持が形成されることを特徴としている。特定の挟持状態において、ブランクは通常、ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなすようにして、具体的には特に鉛直軸または鉛直平面に対して直角の角度をなすようにして、挟持される。しかし、ブランクの中心軸が少なくとも1つの挟持状態で鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなさないことも考えられる。
【0031】
鉛直軸または鉛直平面に対するブランクの特定の挟持および得られた空間的な配向とは関係なく、上記の通り、何れの挟持状態においても、特定のとりわけ露出し、ひいては機械加工することのできるブランクの部分の機械加工が存在する。したがって、各挟持状態は通常、ブランクの特定の機械加工状態に対応している。
【0032】
ブランクは第1の例示挟持状態で挟持することができ、ここにおいて、中心面と平行に配置されているブランクの表面の機械加工、具体的には円盤平面と平行な(環)円盤状ブランクについて、具体的には例えばブランクの上側または下側についての機械加工が、少なくとも部分的に、とりわけ完全に行われる。このような機械加工は、ブランクの(環)円盤形状に対して軸的に行われるブランクの機械加工を意味する場合があり、特に例えば旋削加工による(環)円盤形状ブランクに、例えば製造される部品のハブを形成または機械加工するための、軸方向に配向した貫通孔またはめくら孔が設けられるようになっている。場合によっては、または追加で、このような機械加工は、ブランクの(環状)円盤形状に対して放射状に実行されることで、(環)円盤状ブランクに、例えば、放射状に延在するとりわけ環状の凹部が設けられるような、ブランクの機械加工を意味する場合がある。このようなブランクの内径の機械加工または内径領域の機械加工により、場合によっては、ブランクの中央凹部または中心凹部の形成は、例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工により実現されることで、円盤状のブランクが環円盤状のブランクに変形されることを理解することもできる。これに応じて、製造される部品のハブをこのようにして形成することもできる。何れの場合も、ブランクの断面形状を意図的に変化させることが可能である
【0033】
ブランクは第2の例示挟持状態で挟持することができ、ここにおいて、ブランクの外周に少なくとも部分的な、とりわけ完全な機械加工が行われ、具体的には外周を形成する(環)円盤状のブランクの外側面に、機械加工が行われる。このような機械加工は、ブランクを、ブランクの(環)円盤形状に対して、(ブランクの中心軸に関して)軸対称に実行される機械加工を意味する場合があり、(環)円盤状ブランクに、とりわけ例えば旋削加工および/またはミーリング加工により、特定の外周形状、とりわけ製造されるホイールの滑走面が形成されるような形状が設けられるようになっている。第2挟持状態に挟持されたブランクの機械加工は、製造される円盤状または環円盤状の部品の外側面または外面形状、具体的には特に製造されるホイールの滑走面の領域の外側面または外面形状を機械加工するために使用することができる。ここにおいても、ブランクの断面形状に意図した変化が何れの場合にも可能である。
【0034】
第1の例示的な挟持状態において、ブランクを挟持要素を介して挟持することができ、挟持要素は、ブランクの内径の部分にとりわけ軸的に係合し、この部分は場合によってはボアホールのような凹状、突出状、または肩状をしている。円盤状または環円盤状のブランクについて、ブランクは挟持要素を介して挟持することができ、挟持要素は円盤平面と平行に配置されたブランクの表面、具体的には例えば、ブランクの上端または下端に係合する。内径またはそのような表面などに係合する挟持顎部は、第1挟持状態でブランクを挟持するために使用される挟持要素として考えることができる。特に、周回りに好ましくは均等に配分されて配置された複数の挟持顎部を使用することができる。挟持顎部は第1挟持状態でブランクのセンタリングができるように配置することができる。原理的に、本段落に記載した事項は下記の第2の例示的な挟持状態にも適応することができる。
【0035】
第2の例示的な挟持状態において、ブランクは、ブランクの外周に係合する挟持要素を用いて挟持される場合がある。円盤状または環円盤状のブランクについて、ブランクは挟持要素により第2挟持状態で挟持される場合があり、挟持要素は外周を形成する外側面に係合する。外周または、外周を形成する外側面などに係合する挟持顎部は、第2挟持状態でブランクを挟持するために使用される挟持要素と考えることができる。とりわけ、外周回りに好ましくは均等に配分されて配置される複数の挟持顎部を使用することができる。第2挟持状態にあるブランクのセンタリングができるように、挟持顎部を配置することができる。原理的に、本段落に記載した事項は下記の第1の例示的な挟持状態にも適応することができる。
【0036】
ブランクはしたがって、複数の異なる挟持状態、場合によっては互いに対向して配置された状態で挟持し、機械加工することができる。各挟持状態は、特定の機械加工状態、具体的には特に特定の機械加工ステップに対応している。上記の通り、各挟持状態または機械加工状態で露出している挟持されたブランクの部分は、機械加工することができる。
【0037】
したがってブランクは、機械加工されるブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす第1挟持状態から、機械加工されるブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす少なくとも1つの別の挟持状態へと、移行する。この特定の挟持状態は互いに対向するものとすることができる。これにより、以下により詳しく記載するが、複数のブランクを提供し、これらを少なくとも部分的に同時に機械加工する可能性が開けてくる。本方法によれば、機械加工され中心軸を有する複数のブランクを提供し、機械加工することで、製造される特定の円盤状または環円盤状の部品を形成することができる。具体的な部品の機械加工は、下記の通り、少なくとも部分的に同時に行うことができ、これにより本方法の生産性と効率に良い特徴が生じる。
【0038】
例えば、機械加工される第1ブランクは、第1ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす第1挟持状態でまず挟持され、第1機械加工ステップにおいて第1挟持状態で少なくとも部分的に機械加工することができる。第1機械加工ステップの完了後、既に部分的に機械加工された第1ブランクを、第1ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して再び角度をなす(第1挟持状態とは異なる)第2挟持状態に移行させて、そこで挟持し、第2機械加工ステップに移行して、少なくとも部分的に機械加工することができる。第1ブランクを第2挟持状態で挟持している最中またはその後に、機械加工される別のブランクを第1挟持状態で挟持することができ、この別のブランクの中心軸は鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなし、第1機械加工ステップにおいて、第1挟持状態で少なくとも部分的に機械加工される。第1機械加工ステップが完了した後に、既に部分的に機械加工されたこの別のブランクを、この別のブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす第2挟持状態に移行させ、そこで挟持し、第2機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工される。第2挟持状態が、第1ブランクが第2機械加工ステップに付される第2挟持状態である場合、これは第1ブランク第2挟持状態を抜け出したとき、具体的には第2挟持状態において、第1ブランクの第2機械加工ステップが完了したときにのみ行われる。複数のブランクの機械加工はしたがって、複数の挟持状態で連続的に行うことができ、具体的には複数の挟持状態にある複数のブランクの機械加工を次々に行うことができる。第1ブランクの第2機械加工ステップは、別のブランクの第1機械加工ステップと同時に(その反対もあり得る)、少なくとも部分的に行うことができる。この原理は2以上の挟持状態およびこれに関連して2以上の機械加工ステップに拡張することができる。
【0039】
さらに、機械加工される第1ブランクはまず、第1ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面と角度をなす第1挟持状態で挟持され、その後、第1機械加工ステップにおいて第1挟持状態で少なくとも部分的に機械加工される。第1機械加工ステップの完了後、既に部分的に機械加工されたブランクを、第1ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して再び角度をなす第2挟持状態に移行させて、そこで挟持し、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工することができる。機械加工される別のブランクは、第2ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす第2挟持状態でまず挟持することができ、第1機械加工ステップにおいて、第2挟持状態で少なくとも部分的に機械加工することができる。第1ブランクの第1挟持状態での第1機械加工ステップおよび別のブランク1の第2挟持状態での第1機械加工ステップが完了した後に、第1ブランクを、第1ブランクの中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす、第2挟持状態に移行させ、そこで挟持し、第2機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工することができ、また別のブランクの第2挟持状態での第1機械加工ステップが完了し、第1ブランクの第1挟持状態での第1機械加工ステップが完了した後、この別のブランクは、中心軸が鉛直軸または鉛直平面に対して角度をなす第1挟持状態に移行された、そこで挟持され、第2機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工することができる。複数のブランクを複数の特定の挟持状態で同時に機械加工することができる。それぞれの第1機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工された各ブランクは、それぞれの第1挟持状態を交換し、それぞれ第2挟持状態で挟持された後、それぞれの第2機械加工ステップに付される。第1ブランクの第1機械加工ステップはしたがって、別のブランクの第1機械加工ステップと同時に行うことができる。第1ブランクの第2機械加工ステップはしたがって、別のブランクの第2機械加工ステップと同時に行うことができる。この原理は2以上の挟持状態およびこれに関連して2以上の機械加工ステップに拡張することができる。
【0040】
何れの場合においても、各挟持状態に少なくとも1つの機械加工デバイスを割り当てることができる。特定の挟持状態に割り当てられた機械加工デバイスは、上記の通り、例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工のための機械加工デバイスとすることができるが、特定の挟持状態またはこれに対応する機械加工状態で行われる挟持されたブランクの機械加工を行うように構成されている。特定の挟持状態に割り当てられた機械加工デバイスは、この目的のため、少なくとも1つの運動自由度に可動に取付けられており、上記の通り、ここにおいて運動自由度とは、特定の挟持状態で挟持されたブランクに対する、少なくとも1つの並進軸に沿った運動の並進自由度および/または少なくとも1つの回転軸周りの運動の回転自由度とすることができる。しかしながら、場合によってはまたは追加で、原理的には、各挟持状態で挟持されたブランクは、少なくとも1つの運動自由度に可動に支持されており、この運動自由度は具体的には例えば、それぞれの挟持状態に割り当てられた機械加工デバイスに対する、並進軸に沿った運動の並進自由度および/または回転軸周りの運動の回転自由度である。上記の通り、挟持デバイスはまた、少なくとも1つの運動自由度で可動とすることができる。
【0041】
場合によっては既に少なくとも部分的に機械加工されたブランクに関する、第1挟持状態から第2挟持状態または少なくとも1つの別の挟持状態への移行(或いはその反対)は、特定の移行姿勢で行うことができ、この移行姿勢では第1挟持状態から少なくとも別の挟持状態に(或いはその反対に)、ブランクの移行または引き渡しをすることが可能である。第1挟持状態から別の挟持状態に(或いはその反対に)移行し、場合によっては既に少なくとも部分的な機械加工がされているブランクは、従って、対応する移行姿勢に移動することができるが、これは例えば2つの挟持状態の間に配置させることができる。
【0042】
場合によっては既に少なくとも部分的に機械加工されたブランクに関する、第1挟持状態から第2挟持状態または少なくとも1つの別の挟持状態への移行(或いはその反対)は、本方法を実行するために使用される加工センターと、一以上の操作要素、具体的には例えば一以上の把持要素を用いて行うことができ、一以上の把持要素は具体的には例えば操作ロボットである。操作デバイス、すなわち本方法に従って使用される操作デバイスはしたがって、ブランクを第1挟持状態から少なくとも1つの第2挟持状態または少なくとも1つの別の挟持状態(或いはその反対)に移行させるように構成されており、このブランクは既に少なくとも部分的に機械加工されたものでもよい。このような操作デバイスは少なくとも1つの把持要素を含む把持デバイスとして設計することができ、または少なくとも1つのこのような把持デバイスを備えることができる。把持デバイスは、例えば、(多軸)把持ロボットとして設計することができる。
【0043】
上に説明したように、本方法は(金属)機械被加工物の機械加工、具体的には特に切削加工をするための加工センターで実施することができる。
【0044】
本方法に加えて、本発明は従って、特に上記の方法に従って円盤状または環円盤状の部品を製造するために、特に切削により機械加工されるブランクの機械加工、とりわけ切削加工をするための加工センターに関するものである。加工センターには少なくとも1つの挟持デバイスが備えられ、挟持デバイスは、特に切削により機械加工されるブランクの中心軸が鉛直平面に対して角度をなす挟持状態で、機械加工されたブランクを挟持するように構成されており、これに加えて、加工センターには、少なくとも1つの機械加工ツールを備えた少なくとも1つの機械加工デバイスが備えられ、少なくとも1つの機械加工ツールは具体的には例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ツールであって、具体的には例えば、挟持状態で挟持されているブランクを少なくとも部分的に機械加工するように構成された、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ユニットである。
【0045】
加工センターは上記の方法に従って機械加工されるブランクから少なくとも1つの円盤状または環円盤状の部品を製造することで、上記の方法を実行するように構成されているため、本方法に関連する記載事項は加工センターにも同様にして適応される。
【0046】
ブランクが本方法に従って角度を付けて挟持可能か挟持されている鉛直平面は、通常は加工センターの(水平な)機械加工軸または機械軸に対して垂直に配向されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明は図面の各実施形態を参照して説明される。図中:
図1図1は一実施形態に係る方法に従う挟持状態で挟持されたブランクの概略図である。
図2図2は一実施形態に係る方法に従う挟持状態で挟持されたブランクの概略図である。
図3図3は一実施形態に係る方法を実行するために使用される加工センターの概略図である。
図4図4は一実施形態に係る方法を実行するために使用される加工センターの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1および図2は何れも、一実施形態に係る挟持状態ASで挟持されたブランク1の概略図である。図1図2に図示の挟持状態ASにおけるブランク1の挟持は、円盤状または環状ディスクの形状を持つ部品2を製造するための方法を実施するフレームワークで実行される。本方法に従って製造される部品2は、特に鉄道車両用の駆動ホイール、具体的に列車ホイールであって、特に高速列車用の列車ホイールである。
【0049】
図面に示された各実施形態に関連して記載される方法には以下の各ステップが含まれる。
【0050】
本方法の第1ステップでは、切削などにより機械加工される少なくとも1つのブランク1が提供される。各図面に図示の実施形態において、ブランク1は、回転対称性を有し、中央凹部3もしくは中心凹部3を有する環円盤形状を有している。ブランク1の中心軸は「ZA」と表示されているが、ブランク1の中心軸ZAは、「SA」と表示されたブランク1の対称軸と同一であることが認められよう。ブランク1の円盤平面は、中心軸ZAに対して垂直に配向しているため、ブランク1の中心軸ZAと垂直に交わっているが、これは「SE」と表示される。以下の記載は、(純粋な)円盤形状をしたブランク1、具体的には中央凹部3もしくは中心凹部3を含まないブランク1にも、同様にして適応される。
【0051】
本方法によれば、金属ブランク、具体的には例えば鋳造または鍛造された部材が、通常は提供されるため、本方法に従って製造される部品2は金属部品である。
【0052】
本発明の第1ステップに続く第2ステップにおいて、ブランク1は少なくとも1つの挟持状態ASで挟持される(特に図1および図2を参照のこと)ブランク1の中心軸ZAは、鉛直軸VAまたは鉛直平面VE(これまたはこれらは、例えば、本方法を実行するために使用される加工センター4の鉛直加工軸により定めることができる)に対して角度をなし、したがって(交差する部分を除いて)ブランク1の中心軸ZAが、鉛直軸または鉛直平面の外側に存在するような挟持状態ASでブランク1が挟持されることが図面から認められる。本方法によれば、ブランク1は挟持状態ASに配置され、ブランクの中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなすことで、特に鉛直軸VAまたは鉛直平面VEと平行ではないようにして配置される。挟持状態ASにおいて、ブランク1の円盤平面SEは、水平軸HAまたは水平面HE(これまたはこれらは、例えば、本方法を実行するために使用される加工センター4の水平加工軸により定めることができる)に対して角度をなすか、または傾いている。
【0053】
図示の通り、図面に図示された各実施形態におけるブランク1は、ブランク1の中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して、1°~179°までの間の角度αをなし、特に15°~175°の間の角度αをなし、好ましくは30°~150°の間の角度αをなし、具体的には即ち90°の角度をなしている。ブランク1の中心軸ZAは挟持状態ASでこのように水平に配向し、ブランク1の円盤平面SEはこのように鉛直に配向される。挟持状態ASにあるブランク1の中心軸ZAはしたがって、通常は本方法を実行するために使用される加工センター4の加工軸BAに対して、同軸状にまたは同心円状に配向している(図3および図4を参照のこと)。
【0054】
鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度的に傾斜したまたは傾いているブランク1の上記の配置または配向により、ブランク1を機械加工すること、ひいては本方法に従って製造される部品2の製造に、数多くの利点が生じる。これらの利点は特に、機械加工に関連して取り除かれた材料、具体的には特に切屑、および/または、冷却液が、機械加工されるブランク1に堆積することが、より困難になるかまたは全く不可能となる点にある。これはまた、機械加工中のブランク1の冷却効果ひいては冷却効率を、ブランク1に通常使用される冷却液に対して、(実質的に)改善することが困難になるかまたは全く不可能になる結果を生じるが、これは即ち、特にブランク1の円盤平面SEと平行なブランク1の表面に集積し、そこで加熱される可能性があるからである。ブランク1の機械加工プロセスはまた(光学的に)よく観測することができるため、実行されたまたは実行されるプロセスの監視に関しても利点を有する。
【0055】
挟持状態ASにあるブランク1の挟持は、各図面に図示の各実施形態において少なくとも1つの挟持デバイス5を介して実行され、少なくとも1つの挟持デバイス5には一以上の挟持要素6が備えられ、具体的には例えば一以上の挟持顎部、具体的には例えば本法を実行するために使用される加工センター4のチャックを備えている。挟持デバイス5はしたがって、上記挟持状態ASにあるブランク1を挟持するように構成されている。
【0056】
本方法の第2ステップに続く第3ステップでは、部品2を製造するために、挟持状態ASで挟持されたブランク1の機械加工が実行される。ブランク1の機械加工が特に、製造される部品2の最終形状に関連するデータに基づいていることで、最終形状に近いかまたは最終形状と全く同じ形状で、部品2が製造されるようになっている。ブランク1の機械加工には、切断または切削が伴う少なくとも1つの機械加工ステップが含まれている。ブランク1の機械加工はしたがって、例えば、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工により実行されるか、または穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工を含んでいる。
【0057】
ブランク1の機械加工は少なくとも1つの機械加工デバイス8を介して行われ、1つの機械加工デバイス8には少なくとも1つの機械加工ツール7が備えられ、少なくとも1つの機械加工ツール7は具体的には特に穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ツールであって、具体的には特に、本方法を実行するために使用される加工センター4の、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ユニットである(図3および図4を参照のこと)。このような機械加工デバイス8は、具体的な構成に応じて、少なくとも1つの運動自由度に可動に取り付けることができ、この運動自由度は、挟持状態ASに挟持されたブランク1に対する、少なくとも1つの並進軸に沿う運動の並進自由度、および/または、少なくとも1つの回転軸の周りの運動の回転自由度とすることができる。このような運動の自由度または並進軸もしくは回転軸は、図3、4に軸x,yおよびzとして表示されている。
【0058】
図1図2には、ブランク1が複数の異なる挟持状態ASで挟持可能な様子が示されている。各挟持状態ASは、少なくとも1つの挟持デバイス5の少なくとも1つの挟持要素が、ブランク1の一部分に係合することで、ブランク1の挟持が形成されることにより特徴付けられる。ブランク1は図1図2に図示の通り、特定の挟持状態ASで挟持されており、ブランク1の中心軸ZAが、鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなしており、具体的に、各図に示された実施形態においては、鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対し垂直になっている。各挟持状態ASにおいて、特定の、特に露出することで機械的に加工することのできるブランク1の部分が、機械加工されている。各挟持状態ASはしたがって通常、ブランク1の特定の機械加工状態に関連する。
【0059】
図1は、ブランク1の外周、具体的には外周を形成するブランク1の外側面に関する、少なくとも部分的な機械加工、とりわけ完全な機械加工が行われているか、または実行可能である、第1の例示挟持状態を表している(機械加工可能な領域を表す波括弧を参照のこと)。このような機械加工は、ブランク1の環円盤形状に対して、ブランク1の中心軸ZAに関して軸対称に実行されるブランク1の機械加工を意味する場合があり、ブランク1に、例えば、特定の外周形状が与えられるようになっており、これは特に、旋削加工および/またはミーリング加工により製造されるホイールの滑走面を形成するものである。第1挟持状態に挟持されたブランク1の機械加工は、製造される部品2の外面形状または外側面、とりわけ製造されるホイールの滑走面の領域を機械加工するために使用することができる。
【0060】
図1には、挟持状態の第1実施例において、ブランク1が挟持要素6を介して挟持可能な様子が示されており、挟持要素6は、ブランクの内径の部分9にとりわけ軸的に係合し、この部分は場合によってはボアホール9のような凹状、突出状、または肩状をしている。ブランク1は挟持要素6を介して第1挟持状態で挟持することができ、挟持要素6は円盤平面SEと平行に配置されたブランク1の表面、例えばブランク1の上端または下端に係合する。例えば内径またはそのような表面に係合する挟持顎部を、ブランク1を挟持するために第1挟持状態で使用される挟持要素6として考えることができる。図示の通り、周回りに好ましくは均等に配分され、また第1挟持状態にあるブランク1のセンタリングが可能なように配置された、複数の挟持顎部を使用することができる。
【0061】
図1に図示の挟持状態において、円盤平面SEと平行に配置されたブランク1の表面、具体的には例えばブランク1の上端または下端に関する、少なくとも部分的な機械加工、とりわけ完全な機械加工を行うことも可能である。このような機械加工は、ブランク1の(環状)円盤形状に対して軸的に実行されることで、ブランク1に軸方法に貫通する貫通孔またはめくら穴が、穿孔により設けられるような、ブランク1の機械加工を意味する場合がある。場合によっては、または追加で、このような機械加工は、ブランク1の(環状)円盤形状に対して放射状に実行されることで、ブランク1に、例えば、放射状に延在するとりわけ環状の凹部が設けられるような、ブランク1の機械加工を意味する場合がある。このようなブランク1の内径の機械加工または内径領域の機械加工により、場合によっては、ブランク1の中央凹部または中心凹部の形成が、例えば、穿孔および/またはミーリングにより実現されることで、円盤状のブランク1が環円盤状のブランク1に変形されることを理解することもできる。ブランク1の断面形状に意図した変化が可能である。
【0062】
さらに、図1に図示の挟持状態において、ブランク1の外周の機械加工、具体的には外周を形成するブランク1の外側面の機械加工を行うことができる。このような機械加工は、ブランク1の(環状)円盤形状に対して(ブランク1の中心軸ZAに関し)軸的に実行されることで、ブランク1に特定の外周形状、とりわけ製造されるホイールの滑走面を形成する外周形状が、とりわけ旋削加工および/またはミーリング加工により設けられるような、ブランク1の機械加工を意味する場合がある。したがって、図1に図示の挟持状態で挟持されたブランク1の機械加工は、製造される円盤状または環円盤状の部品の外面形状または外側面、具体的にはとりわけ製造されるホイールの滑走面の領域を機械加工するために使用することもできる。ここにおいてもブランク1の断面形状に意図した変化が可能である。
【0063】
図2は、円盤平面SEに対して平行に配置されたブランク1の表面、具体的には例えばブランク1の下側または上側に関する、少なくとも部分的な機械加工、とりわけ完全な機械加工が行われているか、または実行可能である、ブランク1の第2の例示挟持状態を表している(機械加工可能な領域を表す波括弧を参照のこと)。このような機械加工は、ブランク1の環円盤形状に対して軸的に実行されることで、ブランク1に軸方法に貫通する貫通孔またはめくら穴などが、とりわけ穿孔により設けられるような、ブランク1の機械加工を意味する場合がある。場合によってはまたは追加で、このような機械加工は、ブランク1の環円盤形状に対して放射状に実行されることで、ブランク1に、例えば、放射状に延在するとりわけ環状の凹部が設けられる、ブランク1の機械加工を意味する場合がある。ブランク1の内径または内径領域に関するこのような機械加工により、場合によっては、ブランク1の中央凹部または中心凹部の形成が、円盤状のブランク1について、例えば、穿孔および/またはミーリングにより実現されることで、円盤状のブランク1が環円盤状のブランク1となると理解することもできる。
【0064】
図2は、ブランク1の外周または当該外周を形成するブランク1の外側面に係合する挟持要素6を介して、ブランク1を第2の例示的な挟持状態で挟持することができることを示している。外周または、外周を形成する外側面などに係合する挟持顎部は、第2の例示挟持状態でブランク1を挟持するために使用される挟持要素6と考えることができる。とりわけ、外周回りに好ましくは均等に配分されて配置される複数の挟持顎部を使用することができる。第2挟持状態にあるブランク1のセンタリングが可能なように挟持顎部を配置することができる。
【0065】
図1図2にはしたがって、複数の異なる挟持状態ASでブランク1を挟持し、機械加工することが可能な様子が示されている。各挟持状態 ASは特定の機械加工状態に対応している。それぞれの挟持状態または機械加工状態において、挟持されたブランク1の露出している部分を機械加工することができる。
【0066】
図3は実施形態に係る本方法を実施するために使用される又は使用可能な加工センター4の基本図を表す。加工センター4には挟持デバイス5が備えられ、挟持デバイス5は、ブランクの中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす挟持状態ASにある機械加工されたブランク1を挟持するように構成されており、これに加えて、加工センター4には、少なくとも1つの機械加工デバイス8が備えられ、機械加工デバイス8は、具体的には例えば、挟持状態ASで挟持されているブランク1を少なくとも部分的に機械加工するように構成された穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工デバイスなどの、穿孔および/または旋削加工および/またはミーリング加工ツールに例示されるような、少なくとも1つの機械加工ツール7が設けられている。また任意選択的なブランク貯蔵部10が図示されており、ここから機械加工されるブランク1が、加工センター4を利用することで利用可能となる。単軸または多軸操作ロボットとして設計された操作デバイス11により貯蔵部10からブランク1を引き出し、加工センター 4の機械加工室12に供給し、そこで挟持して、機械加工することができる。
【0067】
ブランク1が本方法に従って角度を付けて挟持可能なまたは挟持されていた鉛直軸VAまたは鉛直平面VEは通常、加工センター4の(水平)機械加工軸または機械軸MAに対して、垂直に配向していることが図3から認められる。
【0068】
図3を参照すると、図示の挟持状態またはこのような挟持状態において、中心面と平行に配置されているブランク1の表面の機械加工、具体的には円盤平面と平行な(環)円盤状ブランクについて、具体的にはブランク1の上側または下側についての機械加工と、ブランク1の外周の機械加工とを、両方行うことができることを説明することができる。挟持状態で機械加工することのできないブランク1の部分は、同じような挟持状態のうち1つで機械加工することができる。この目的のため、部分的に機械加工されたブランク1に、回転運動または回旋運動が必要とされる。部分的に機械加工されたブランク1は、挟持状態にある機械加工の後で、挟持状態から移動、回転または回旋させることができるが、これはとりわけ180°の回転または回旋であって、また(同じ)挟持状態に戻って再び挟持されることで、まだ機械加工されていない残りの部分を機械加工することができる。ブランク1はその後、ブランク1の反対部分が挟持される。挟持状態にあるブランクの新たな挟持は、最初または前回の挟持と比較して、挟持要素6が挟持状態にあるブランク1の反対部分に係合する。
【0069】
この目的のため、部分的に機械加工されたブランク1を適切に操作することが必要である場合があり、これは例えば操作デバイス11、具体的にはとりわけロボット装置を用いて実行することができる。操作デバイス11はしたがって、既に部分的に機械加工されたブランク1を挟持状態から取り外して、これを回転または回転させ、また(同じ)挟持状態に移して戻すように構成することができる。
【0070】
図4はさらなる実施形態に係る本方法を実施するために使用される又は使用可能な加工センター4の基本図を表す。図3に係る実施形態に対して、図4に図示の加工センター4には複数の機械加工スペース12a、12bが設けられ、これらの1つ1つでブランク1を機械加工することが可能である。これら機械加工スペース12a,12bにはそれぞれ自前の機械加工デバイス 8が備わっていることが認められよう。
【0071】
図4に図示の実施形態を参照すると、ブランク1の中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす第1挟持状態ASまたは第1機械加工状態から、ブランク1の中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす少なくとも1つの別の挟持状態AS2または別の機械加工状態へと、ブランク1を移行させることができることが説明される。これにより複数のブランク1を提供し、これらを少なくとも部分的に同時に機械加工する可能性が開けてくる。
【0072】
2つの別々の機械加工室12a,12bを備える図4に図示の加工センター4を参照すれば、例えば、機械加工される第1ブランク1は、第1ブランク1の中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす第1挟持状態AS1でまず挟持され、第1機械加工ステップにおいて第1挟持状態AS1で少なくとも部分的に機械加工することができる(図4を参照のこと)。第1機械加工ステップの完了後、既に部分的に機械加工された第1ブランク1を、第1ブランクの中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して再び角度をなす(第1挟持状態AS1とは異なる)第2挟持状態AS2に移行させて、そこで挟持し、第2機械加工ステップにおいて、少なくとも部分的に機械加工することができる。第1挟持状態AS1で機械加工される第2ブランク1は、第1ブランク2を挟持している最中またはその後に、第2挟持状態AS2で挟持することができ、また第1機械加工ステップにおいて第1挟持状態で少なくとも部分的に機械加工することができる。第1機械加工ステップの完了後、既に部分的に機械加工された第2ブランク1を第2挟持状態AS2に移行し、そこで挟持して、第2機械加工ステップにおいて少なくとも部分的に機械加工することができる。これは第1ブランク1が第2挟持状態AS2から抜け出したとき、具体的には第2挟持状態AS2において第1ブランク1の第2機械加工ステップが完了したときに、通常起こる事である。複数のブランク1の機械加工はしたがって、複数の挟持状態AS1,AS2で時間的に連続して行うことができ、具体的には複数のブランク1を複数の挟持状態AS1,AS2で次々に実行することができる。第1ブランク1の第2機械加工ステップは、第2ブランク1の第1機械加工ステップを用いて(逆もまた同様)少なくとも部分的に同時に行うことができる。
【0073】
また機械加工される第1ブランク1は、第1ブランク1の中心軸ZAが鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす第1挟持状態AS1でまず挟持され、第1機械加工ステップにおいて、第1挟持状態AS1にて少なくとも部分的に機械加工することが可能である。第1機械加工ステップの完了後、既に部分的に機械加工されたブランク1を、第1ブランク1の中心軸ZAが再び鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して角度をなす第2挟持状態AS2に移行させ、そこで挟持して、第2機械加工ステップで、少なくとも部分的に機械加工することができる。機械加工される第2ブランク1をまず第2挟持状態AS2で挟持し、第1機械加工ステップで、第2挟持状態AS2で少なくとも部分的に機械加工することができる。第1ブランク1の第1挟持状態での第1機械加工ステップおよび第2ブランク1の第2挟持状態での第1機械加工ステップが完了した後に、第1ブランク1を第2挟持状態AS2に移行させ、そこで挟持し、第2機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工することができ、また第2ブランク1の第2挟持状態AS2での第1機械加工ステップおよび第1ブランク1の第1挟持状態AS1での第1機械加工ステップが完了した後に、第2ブランク1を第1挟持状態AS1に移行させ、そこで挟持し、第2機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工することができる。したがって、各々の挟持状態AS1,AS2で各ブランク1の機械加工を同時に行うことができる。それぞれの第1機械加工ステップで少なくとも部分的に機械加工される各ブランク1は、その後それぞれの第1挟持状態AS1,AS2を交換することができ、それぞれの第2挟持状態AS1,AS2で挟持した後で、それぞれの第2機械加工ステップに供することができる。第1ブランク1の第1機械加工ステップはしたがって、第2ブランク1の第1機械加工ステップと同時に行うことができる。第1ブランク1の第2機械加工ステップはしたがって、第2ブランク1の第2機械加工ステップと同時に行うことができる。
【0074】
以上より各挟持状態AS1,AS2を機械加工デバイス8に割り当て、当該機械加工デバイス8は、それぞれの挟持状態AS1,AS2またはこれに関連する機械加工状態で、挟持されたブランク1の機械加工を行うように構成されている。このために、それぞれの挟持状態AS1,AS2に割り当てられた機械加工デバイス8は、それぞれの挟持状態AS1,AS2で挟持されたブランク1に対して、少なくとも1つの運動自由度で可動に支持されている。任意選択的にまたは追加で、それぞれの挟持状態AS1,AS2で挟持されているブランク1は、それぞれの挟持状態AS1,AS2に関連する機械加工デバイス8に対して、少なくとも1つの運動自由度、具体的には例えば並進軸に沿ってまたは回転軸の周りにおける運動自由度において、可動に取り付けることができるということを原理的に考えることができる。
【0075】
ブランク1の移行、場合によっては既に少なくとも部分的に機械加工されたブランク1の、第1挟持状態AS1から第2挟持状態AS2(あるいはその反対)への移行は、具体的には例えば操作ロボットなど図3に図示の実施形態に関連した一以上の操作要素を既に含んでいる操作デバイス11を用いて実行することができる。操作デバイス11はしたがって、ブランク1、場合によっては既に少なくとも部分的に機械加工されたブランク1を、第1挟持状態AS1から第2挟持状態AS2(あるいはその反対)に移行させるように構成されている。
【0076】
図示されていないが、鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対し、傾いたまたは傾斜して配向されているようなブランク1の挟持を考えることもできる。ここにおいて鉛直軸VAまたは鉛直平面VEに対して傾斜しているブランク1の中心軸ZAは、1°~179°までの間の角度αで配向し、特に15°~175°の間の角度αで配向し、好ましくは30°~150°の間の角度αで配向している。
図1
図2
図3
図4