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特許7471001メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/10 20200101AFI20240412BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240412BHJP
   A24F 40/44 20200101ALI20240412BHJP
【FI】
A24F40/10
A24F40/46
A24F40/44
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021572005
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2020093664
(87)【国際公開番号】W WO2021189643
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】202010228966.6
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521528698
【氏名又は名称】深▲ゼン▼市華誠達精密工業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】陳平
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109349680(CN,A)
【文献】特表2017-524353(JP,A)
【文献】特表2019-528724(JP,A)
【文献】中国実用新案第209931509(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第109622259(CN,A)
【文献】特表2019-513357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/10
A24F 40/46
A24F 40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収及び伝達する多孔導液体(1)と、前記多孔導液体(1)の内部に設置される平面シート状式電気加熱軌道(2)を含み、前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は1枚又は複数枚設けられ、前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は液体を加熱して霧化するために用いられ、前記多孔導液体(1)には複数の貫通式気流孔(11)が設けられており、前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は、1本の加熱軌道であり、又は複数の加熱軌道を並列に接続して構成される平面加熱メッシュであり、
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道(2)の片側又は両側に分布し、
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)の内壁は少なくとも1つの面が平直面であり、平面シート状式電気加熱軌道(2)は、多孔導液体(1)の内壁に嵌め込まれて貫通式気流孔(11)の平直面の内壁と略平行となり、平面シート状式電気加熱軌道(2)と前記平直面の内壁表面との距離は0~0.5mmの間である、
ことを特徴とするシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項2】
前記多孔導液体(1)には、1又は複数の縦或いは横方向の貫通式気流孔(11)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項3】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)は、直筒式、上が広く下が狭いテーパー式、上が狭く下が広いテーパー式、上が広く下が狭い段差式、及び、上が狭く下が広い段差式のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項4】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道(2)の両側に分布する場合、左右に1つずつ交差するよう分布してもよいし、左右に2つずつ並んで分布してもよいことを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項5】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)は、2枚の平面シート状式電気加熱軌道(2)の中間に分布することを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項6】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)の断面は、長方形、正方形、三角形、台形、半円形、及び、楕円形のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項7】
前記多孔導液体(1)の外形は、長方形、正方形、三角形、台形、円形、及び、楕円形のうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項8】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔(11)の大きさは等しいか、中間の気流孔が大きく、両側の気流孔が小さくなるよう配列されて分布することを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項9】
前記多孔導液体(1)の貫通式気流孔(11)が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔(11)のピッチは、等間隔で分布するか、中間が密で両側が疎となるよう分布することを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項10】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は、平面の導電シート材を切断、スタンピング、裁断、エッチングして成型される平面加熱軌道であるか、導電線材を屈曲して成型される平面加熱軌道であるか、導電ペーストをスクリーン印刷や3Dプリントして成型される平面加熱軌道であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項11】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)の回路配列方式は、1本の矩形波式加熱軌道が発熱シートの2つの電極間に並列に接続された矩形波式回路であり、もしくは複数本の矩形波式加熱軌道が発熱シートの2つの電極間に並列に接続された矩形波式回路であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項12】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)の回路配列方式は、1又は複数のW型加熱軌道回路が2つの電極間に並列に接続されたW型回路配線であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項13】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)の回路は、網目の配列方式が円形網目アレイ又は千鳥状の円形網目アレイとなった丸孔網目式加熱回路であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項14】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)の回路は、網目の配列方式が方眼式のグリッドアレイとなった方眼式加熱回路であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項15】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は、1本のS型迂回回路であり、迂回方向は、長さ方向の迂回又は幅方向の迂回のうちの1つであり、迂回回路の線間ピッチは、等間隔、中間が密で両側が疎、中間が疎で両側が密のうちの1つとすることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項16】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)は、1本の方形螺旋状軌道回路であることを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項17】
前記平面シート状式電気加熱軌道(2)の両端には2つの電気接続部が備わっており、前記電気接続部は前記多孔導液体(1)の外壁から突出し、前記電気接続部は、線材系のリード線式電極としてもよいし、シート状の接触式電極としてもよいことを特徴とする請求項1に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載のシート式多孔加熱霧化モジュール(3)を含むことを特徴とするシート式多孔加熱霧化器。
【請求項19】
更に、ベース(4)及びオイルタンク(5)を含み、前記シート式多孔加熱霧化モジュール(3)はオイルタンク(5)の内部に装着され、前記ベース(4)はオイルタンク(5)の開口部に設置されて、シート式多孔加熱霧化モジュール(3)をオイルタンク(5)の内部に位置規制し、ベース(4)には、第1電極(61)及び第2電極(62)が設けられており、前記第1電極(61)及び第2電極(62)の接触端は、オイルタンク(5)の内部まで延伸して進入し、平面シート状式電気加熱軌道(2)の両端に電気的に接続されることを特徴とする請求項18に記載のシート式多孔加熱霧化器。
【請求項20】
前記ベース(4)には吸気孔(41)が設けられており、前記吸気孔(41)は、前記平面シート状式電気加熱軌道(2)が位置する空間と連通しており、前記オイルタンク(5)の内部には排気経路(51)が備わっており、前記排気経路(51)は、平面シート状式電気加熱軌道(2)が位置する空間と連通していることを特徴とする請求項19に記載のシート式多孔加熱霧化器。
【請求項21】
前記ベース(4)には電極装着孔(42)が設けられており、前記第1電極(61)及び第2電極(62)が前記電極装着孔(42)に装着されることを特徴とする請求項19に記載のシート式多孔加熱霧化器。
【請求項22】
更に、オイルロックシリコーン(7)を含み、前記オイルロックシリコーン(7)は、シート式多孔加熱霧化モジュール(3)の上面及び側部に覆設され、オイルロックシリコーン(7)の外側壁はオイルタンク(5)の内壁に密封状に接続されることを特徴とする請求項19に記載のシート式多孔加熱霧化器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細孔にて液体を加熱して蒸気に霧化し、ユーザに吸引させる霧化装置製品に関し、具体的には、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、当該分野に応用されている霧化加熱モジュールには、主として2種類の導液及び加熱方式が存在する。第一の方式は、円柱状多孔導液発熱体であり、円柱体の外壁から液体が進入する。円柱体の内壁には、螺旋形又は円柱形にカールしたメッシュ状の発熱体が嵌め込まれている。この種の霧化加熱モジュールには、主に、加熱体の生産にあたり、寸法公差が大きいとの問題や、加熱体を屈曲及びカールさせねばならないとの問題、変形しやすく、不規則な発熱体が発熱効率や発熱の均一性に影響を及ぼしやすく、製品の同一性に劣るほか、製品の生産能力が低いとの問題が存在する。また、第二の方式は、上方の多孔材料から液体が進入し、底部の表面に平面の発熱メッシュが嵌め込まれた加熱モジュールである。この種の加熱モジュールには、主に、発熱面積が小さいため煙量が少ないとの問題や、霧化蒸気がハウジングと接触して凝縮液が生じやすいとの問題、発熱体が多孔材料から分離しているため焦げやすく、ユーザエクスペリエンスに影響するとの問題等が存在する。
【0003】
そこで、本発明は、現在存在する技術的課題を解決するために、新たな技術方案を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の技術方案は、以下の通りある。即ち、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールは、液体を吸収及び伝達する多孔導液体と、前記多孔導液体の内部に設置される平面シート状式電気加熱軌道を含む。前記平面シート状式電気加熱軌道は、1枚又は複数枚設けられる。前記平面シート状式電気加熱軌道は、液体を加熱して霧化するために用いられる。前記多孔導液体には、1又は複数の貫通式気流孔が設けられている。前記平面シート状式電気加熱軌道は、1本又は複数本の加熱軌道を並列に接続して構成される平面加熱メッシュである。
【0006】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体には、1又は複数の縦或いは横方向の貫通式気流孔が設けられている。
【0007】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔は、直筒式、上が広く下が狭いテーパー式、上が狭く下が広いテーパー式、上が広く下が狭い段差式、上が狭く下が広い段差式のうちの1つである。
【0008】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道の片側又は両側に分布する。
【0009】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道の両側に分布する場合、左右に1つずつ交差するよう分布してもよいし、左右に2つずつ並んで分布してもよい。
【0010】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔は、2枚の平面シート状式電気加熱軌道の中間に分布する。
【0011】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔の内壁は、少なくとも1つの面が平直面である。平面シート状式電気加熱軌道は、多孔導液体の内壁に嵌め込まれて、貫通式気流孔の平直面の内壁と略平行となる。平面シート状式電気加熱軌道と前記平直面の内壁表面との距離は0~0.5mmの間である。
【0012】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔の断面は、長方形、正方形、三角形、台形、半円形、楕円形のうちの1つである。
【0013】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の外形は、長方形、正方形、三角形、台形、円形、楕円形のうちの1つである。
【0014】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔の大きさは等しいか、中間の気流孔が大きく、両側の気流孔が小さくなるよう配列されて分布する。
【0015】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記多孔導液体の貫通式気流孔が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔のピッチは、等間隔で分布するか、中間が密で両側が疎となるよう分布する。
【0016】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道は、平面の導電シート材を切断、スタンピング、裁断、エッチングして成型される平面加熱メッシュであるか、導電線材を屈曲して成型される平面加熱メッシュであるか、導電ペーストをスクリーン印刷や3Dプリントして成型される平面加熱メッシュである。
【0017】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道の回路配列方式は、1本又は複数本の矩形波式加熱軌道が発熱シートの2つの電極間に並列に接続された矩形波式回路である。
【0018】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道の回路配列方式は、1又は複数のW型加熱軌道回路が2つの電極間に並列に接続されたW型回路配線である。
【0019】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道の回路は、網目の配列方式が円形網目アレイ又は千鳥状の円形網目アレイとなった丸孔網目式加熱回路である。
【0020】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道の回路は、網目の配列方式が方眼式のグリッドアレイとなった方眼式加熱回路である。
【0021】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道は、1本のS型迂回回路である。迂回方向は、長さ方向の迂回又は幅方向の迂回のうちの1つであり、迂回回路の線間ピッチは、等間隔、中間が密で両側が疎、中間が疎で両側が密のうちの1つとする。
【0022】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道は、1本の方形螺旋状軌道回路である。
【0023】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールにおいて、前記平面シート状式電気加熱軌道の両端には2つの電気接続部が備わっている。前記電気接続部は、前記多孔導液体の外壁から突出する。前記電気接続部は、線材系のリード線式電極としてもよいし、シート状の接触式電極としてもよい。
【0024】
メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールに基づいて、本発明は、更に以下の技術方案を提供する。即ち、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器は、上記のメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールを含む。
【0025】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化器は、更に、ベース及びオイルタンクを含む。前記メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールはオイルタンクの内部に装着される。前記ベースはオイルタンクの開口部に設置されて、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールをオイルタンクの内部に位置規制する。ベースには、第1電極及び第2電極が設けられている。前記第1電極及び第2電極の接触端は、オイルタンクの内部まで延伸して進入し、平面シート状式電気加熱軌道の両端に電気的に接続される。
【0026】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化器において、前記ベースには吸気孔が設けられている。前記吸気孔は、前記平面シート状式電気加熱軌道が位置する空間と連通している。前記オイルタンクの内部には排気経路が備わっている。前記排気経路は、平面シート状式電気加熱軌道が位置する空間と連通している。
【0027】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化器において、前記ベースには電極装着孔が設けられており、前記第1電極及び第2電極が前記電極装着孔に装着される。
【0028】
本技術方案の更なる技術の最適化として、本発明のメッシュ状シート式多孔加熱霧化器は、更に、オイルロックシリコーンを含む。前記オイルロックシリコーンは、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの上面及び側部に覆設される。且つ、オイルロックシリコーンの外側壁はオイルタンクの内壁に密封状に接続される。
【発明の効果】
【0029】
本発明の有益な効果は次の通りである。本発明は、大量生産に都合がよく、発熱が均一で霧化面積が大きく、煙量の大きいメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器を提供する。本製品の構造はシンプルなため組み立てに都合がよく、霧化効果の同一性に優れている。また、導液材料の同一性に劣るとの問題、給油量の大きさを調節しにくいとの問題、従来の加熱体は必要に応じて各領域の加熱電力を制御できないとの問題、加熱領域と気流経路の連携がうまく行かず、無効な加熱領域が存在するとの問題、従来の加熱体は電気エネルギーを熱エネルギーに転化してから熱を利用して液体を霧化する際の効率が悪いとの問題等が解決される。本発明の設計及び構造はシンプルであり、部品が少なく、各部材の構造強度に優れており、組み立て過程で変形が生じにくい。よって、製造される完成品の同一性が高く、自動化生産に都合がよく、生産効率が向上する。
【0030】
以下に、図面と実施例を組み合わせて本発明につき更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1図1は、本発明の実施例におけるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの概略組立図である。
図2図2は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの分解図である。
図3図3は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの横断面構造の概略図である。
図4図4は、図3に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流孔の異なる配列についての第1の代替方案である。
図5図5は、図3に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流孔の異なる配列についての第2の代替方案である。
図6図6は、図3に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流孔と平面シート状式電気加熱軌道との位置関係の概略図である。
図7図7は、図6に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流孔と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第1の代替方案の概略図である。
図8図8は、図6に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流孔と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第2の代替方案の概略図である。
図9図9は、図3に示される貫通式気流孔の形状と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第1の代替方案の概略図である。
図10図10は、図3に示される貫通式気流孔の形状と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第2の代替方案の概略図である。
図11図11は、図3に示される貫通式気流孔の形状と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第3の代替方案の概略図である。
図12図12は、図3に示される貫通式気流孔の形状と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第4の代替方案の概略図である。
図13図13は、図3に示される貫通式気流孔の内壁の平面と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第1の代替方案の概略図である。
図14図14は、図3に示される貫通式気流孔の内壁の平面と平面シート状式電気加熱軌道の位置についての第2の代替方案の概略図である。
図15図15は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールのリード線式の接続方式の概略図である。
図16図16は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの電極接触式の接続方式の概略図である。
図17図17は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理の概略平面図である。
図18図18は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第1の代替方案の概略平面図である。
図19図19は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第2の代替方案の概略平面図である。
図20図20は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第3の代替方案の概略平面図である。
図21図21は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第4の代替方案の概略平面図である。
図22図22は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第5の代替方案の概略平面図である。
図23図23は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第6の代替方案の概略平面図である。
図24図24は、図2に示される平面シート状式電気加熱軌道の回路配線及び加熱原理についての第7の代替方案の概略平面図である。
図25図25は、図3に示される貫通式気流孔の大きさ及び配列ピッチの概略図である。
図26図26は、図3に示される貫通式気流孔の大きさ及び配列ピッチについての第1の代替方案の概略図である。
図27図27は、図3に示される貫通式気流孔の大きさ及び配列ピッチについての第2の代替方案の概略図である。
図28図28は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流貫通孔の方向の概略図である。
図29図29は、図1に示されるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールの貫通式気流貫通孔の方向についての第1の代替方案の概略図である。
図30図30は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器に応用される立体分解構造の概略図である。
図31図31は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器の正面図方向の断面図及び気流の方向図である。
図32図32は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器の側面図方向の断面図である。
図33図33は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器の斜視図における部分断面図である。
図34図34は、図1に示される貫通式気流孔の正面図方向の内部形状の概略図である。
図35図35は、図1に示される貫通式気流孔の正面図方向についての第1の代替方案の内部形状の概略図である。
図36図36は、図1に示される貫通式気流孔の正面図方向についての第2の代替方案の内部形状の概略図である。
図37図37は、図1に示される貫通式気流孔の正面図方向についての第3の代替方案の内部形状の概略図である。
図38図38は、図1に示される貫通式気流孔の正面図方向についての第4の代替方案の内部形状の概略図である。
図39図39は、ベースの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、本発明の実施例に係る図面を組み合わせて、本発明の実施例における技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、ここで記載する実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例でないことは言うまでもない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を要することなく取得するその他全ての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0033】
図1図39を参照して、本発明は以下の技術方案を提供する。即ち、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュールは、液体を吸収及び伝達する多孔導液体1と、前記多孔導液体1の内部に設置される平面シート状式電気加熱軌道2を含む。前記平面シート状式電気加熱軌道2は、1枚又は複数枚設けられる。前記平面シート状式電気加熱軌道2は、液体を加熱して霧化するために用いられる。前記多孔導液体1には、1又は複数の貫通式気流孔11が設けられている。前記平面シート状式電気加熱軌道2は、1本又は複数本の加熱軌道を並列に接続して構成される平面加熱メッシュである。前記多孔導液体1には、1又は複数の縦或いは横方向の貫通式気流孔11が設けられている。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11は、直筒式、上が広く下が狭いテーパー式、上が狭く下が広いテーパー式、上が広く下が狭い段差式、上が狭く下が広い段差式のうちの1つとする。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道2の片側又は両側に分布する。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11は、1枚の平面シート状式電気加熱軌道2の両側に分布する場合、左右に1つずつ交差するよう分布してもよいし、左右に2つずつ並んで分布してもよい。また、前記多孔導液体1の貫通式気流孔11は、2枚の平面シート状式電気加熱軌道2の中間に分布する。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11の内壁は、少なくとも1つの面が平直面である。平面シート状式電気加熱軌道2は、多孔導液体1の内壁に嵌め込まれて、貫通式気流孔11の平直面の内壁と略平行となる。平面シート状式電気加熱軌道2と前記平直面の内壁表面との距離は0~0.5mmの間である。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11の断面は、長方形、正方形、三角形、台形、半円形、楕円形のうちの1つである。前記多孔導液体1の外形は、長方形、正方形、三角形、台形、円形、楕円形のうちの1つである。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔11の大きさは等しいか、中間の気流孔が大きく、両側の気流孔が小さくなるよう配列されて分布する。前記多孔導液体1の貫通式気流孔11が複数設けられている場合、前記貫通式気流孔11のピッチは、等間隔で分布するか、中間が密で両側が疎となるよう分布する。前記平面シート状式電気加熱軌道2は、平面の導電シート材を切断、スタンピング、裁断、エッチングして成型される平面加熱メッシュであるか、導電線材を屈曲して成型される平面加熱メッシュであるか、導電ペーストをスクリーン印刷や3Dプリントして成型される平面加熱メッシュである。前記平面シート状式電気加熱軌道2の回路配列方式は、1本又は複数本の矩形波式加熱軌道が発熱シートの2つの電極間に並列に接続された矩形波式回路である。また、前記平面シート状式電気加熱軌道2の回路配列方式は、1又は複数のW型加熱軌道回路が2つの電極間に並列に接続されたW型回路配線である。また、前記平面シート状式電気加熱軌道2の回路は、網目の配列方式が円形網目アレイ又は千鳥状の円形網目アレイとなった丸孔網目式加熱回路である。また、前記平面シート状式電気加熱軌道2の回路は、網目の配列方式が方眼式のグリッドアレイとなった方眼式加熱回路である。また、前記平面シート状式電気加熱軌道2は、1本のS型迂回回路である。迂回方向は、長さ方向の迂回又は幅方向の迂回のうちの1つであり、迂回回路の線間ピッチは、等間隔、中間が密で両側が疎、中間が疎で両側が密のうちの1つとする。また、前記平面シート状式電気加熱軌道2は、1本の方形螺旋状軌道回路である。前記平面シート状式電気加熱軌道2の両端には2つの電気接続部が備わっている。前記電気接続部は、前記多孔導液体1の外壁から突出する。前記電気接続部は、線材系のリード線式電極としてもよいし、シート状の接触式電極としてもよい。
【0034】
図30図33を参照して、本発明は、更に、以下の技術方案を提供する。即ち、メッシュ状シート式多孔加熱霧化器は、前記メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール3を含む。また、更に、ベース4及びオイルタンク5を含む。前記メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール3はオイルタンク5の内部に装着される。前記ベース4はオイルタンク5の開口部に設置されて、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール3をオイルタンク5の内部に位置規制する。ベース4には、第1電極61及び第2電極62が設けられている。前記第1電極61及び第2電極62の接触端は、オイルタンク5の内部まで延伸して進入し、平面シート状式電気加熱軌道2の両端に電気的に接続される。前記ベース4には吸気孔41が設けられている。前記吸気孔41は、前記平面シート状式電気加熱軌道2が位置する空間と連通している。前記オイルタンク5の内部には排気経路51が備わっている。前記排気経路51は、平面シート状式電気加熱軌道2が位置する空間と連通している。前記ベース4には電極装着孔42が設けられており、前記第1電極61及び第2電極62が前記電極装着孔42に装着される。また、更に、オイルロックシリコーン7を含む。前記オイルロックシリコーン7は、メッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール3の上面及び側部に覆設される。且つ、オイルロックシリコーン7の外側壁はオイルタンク5の内壁に密封状に接続される。
【0035】
図1図2は、本発明特許のいくつかの実施例におけるメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール3を示している。当該加熱モジュールは、霧化器に応用されて液体を加熱し、霧化することが可能である。当該加熱モジュールは、液体を伝達する多孔導液体1と、液体を加熱して霧化する平面シート状式電気加熱軌道2を含む。当該平面シート状式電気加熱軌道2は、1本又は複数本の加熱軌道からなる平面シート状式の加熱シートである。平面シート状式電気加熱軌道2は、発熱速度がより速く、熱量が均一であり、熱効率が高い等の利点を有する。多孔導液体1には、1又は複数の貫通式の気孔が設けられている。貫通式気流孔11の内壁における平直面と、平面シート状式電気加熱軌道2は略平行である。平面シート状式電気加熱軌道2が加熱を開始すると、熱が液体を霧化して蒸気とし、貫通式気流孔11から排出する。
【0036】
図3図5は、本発明における多孔導液体1に複数の貫通式気流孔11が存在する場合の、多孔導液体1内部における貫通式気流孔11の配列方式の概略図である。複数の貫通式気流孔11が存在する場合には、シリコーンにおける給油孔の位置及び大きさに応じて、貫通式気流孔11の配列を調整すればよい。加熱面積が大きい場合には、貫通式気流孔11を複数に分けて多孔導液体1に配列すればよい。また、貫通式気流孔11が小さい場合には、好ましくは、貫通式気流孔11を平面シート状式電気加熱軌道2の片側に分布させればよい(図4参照)。こうすることで、給液孔を片側に設置できるため、霧化器の空間を節約可能となる。加熱面積が大きく、平面シート状式電気加熱軌道2が薄い場合には(例えば、0.08mm以下)、多孔導液体1内で平面シート状式電気加熱軌道2に変形や歪みが生じないよう保証すべく、好ましくは、貫通式気流孔11を平面シート状式電気加熱軌道2の両側に分布させる(図3参照)。こうすることで、製造・生産時に、両側の貫通式気流孔が平面シート状式電気加熱軌道2を固定可能となるため、変形に伴う加熱ムラによる霧化効果の悪化が防止される。
【0037】
図6図8は、本発明における貫通式気流孔11と平面シート状式電気加熱軌道2との位置関係の概略図である。シリコーンにおける給液孔の位置分布の違いに応じて、貫通式気流孔11の分布は変更される。シリコーンにおける給液孔が片側に位置する場合には、貫通式気流孔11を発熱シートの他方の側に設置する(図7)。また、シリコーンにおける給液孔が両側に位置する場合には、貫通式気流孔11を発熱シートの両側に設置する(図6)。また、必要とする発熱量及び霧化蒸気が大きい場合には、好ましくは、2枚の平面シート状式電気加熱軌道2を用いて霧化面積を増大させればよい。この場合、貫通式気流孔11は2枚の発熱シートの中間に設置される。
【0038】
図13及び図14は、本発明における平面シート状式電気加熱軌道2から貫通式気流孔11の内壁の平面までの距離関係の概略図である。いくつかの実際の事例では、平面シート状式電気加熱軌道2の平面と貫通式気流孔11の内壁の平面が面一の場合に霧化効果が最適となり、霧化の熱効率が比較的高くなった。しかし、この場合には、平面シート状式電気加熱軌道2と多孔導液体1の間に隙間ができやすく、オイル供給が不足して焦げ付くとの問題が発生し得る。一方、平面シート状式電気加熱軌道2の平面全てを多孔導液体1における通気孔の内壁の平面から離して嵌め込んだ場合、熱は、多孔導液体1を経由しなければ貫通式通気孔の内壁に伝達されて霧化蒸気を発生させられないため、熱効率が低く、霧化される蒸気が少なく、熱損失が大きいとの問題が発生し得る。よって、全ての好ましい平面シート状式電気加熱軌道2の平面から貫通式気流孔11の内壁の平面までの距離は、0~0.5mmの間とするのが最適である。最適なサイズ及び距離は、構造強度、平面シート状式電気加熱軌道2の厚み及び強度等の総合的要素に基づいて調整すればよい。
【0039】
図17図24は、本発明における平面シート状式電気加熱軌道2の数種類の異なる形態を示している。いくつかの実施例では、回路の出力電力の違いや必要とされる発熱面積の違いに応じて、加熱回路軌道の方向及びグリッドの接続方式を調整する。大電力且つ大面積への応用の場合には、好ましくは、図19図20図21のようなメッシュ状グリッド系の平面シート状式電気加熱軌道2を使用する。この種の平面シート状式電気加熱軌道2は、複数本の加熱回路を並列に接続しているため、電気抵抗値が小さく、軌道の横断面が大きい。また、熱量が均一であり、耐え得る電力がより大きくなる。一方、小電力への応用の場合には、好ましくは、図22図23図24のような迂回単線加熱軌道を使用する。この種の平面シート状式電気加熱軌道2は、1本の加熱回路であるため、電気抵抗値が大きく、軌道の横断面積が小さい。また、耐え得る電力が小さくなる。
【0040】
いくつかの実施例において、貫通式気流孔11の大きさと吸引時の吸気量の大きさがちょうど一致している場合に、平面シート状式電気加熱軌道2は発熱が均一となる。貫通式気流孔11が複数存在する場合には、好ましくは、図25に示すように、気流孔の大きさが一様であり、且つ均一に分布する貫通式気流孔11を選択すればよい。
【0041】
いくつかの実施例において、平面シート状式電気加熱軌道2は、熱放射の原理から、中間部位の発熱は速いが、両側の発熱は遅いとの問題がある。そのため、貫通式気流孔11には、好ましくは、図26に示すように、中間の体積が大きく、両側の体積が小さくなるような気流孔の分布を選択すればよい。
【0042】
いくつかの実施例において、多孔加熱モジュールは、熱効率を最大限利用するために、霧化面積を最大化しつつ強度を保証する必要がある。しかし、中間部分の熱量は両側よりもやや高い。そのため、好ましくは、貫通式気流孔11を図27に示すような中間が密であり、両側が疎となるような配列及び分布とすればよい。
【0043】
いくつかの実施例において、霧化器の全体設計を考慮して、一般的には図28に示すような垂直型の貫通式気流孔11とする。このような設計には、霧化蒸気が霧化器内で通過する経路が短くなるため、霧化蒸気と霧化器内の気流経路における内壁との接触が減少する結果、凝縮液の問題が発生しにくくなるとの利点がある。また、いくつかの実施例において、電力が大きく、霧化蒸気の温度が高い場合や、何らかの特殊な吸気構造の場合には、貫通式気流孔11として、好ましくは、図29に示すような横方向の貫通式気流孔11を選択し、気流を一方の側から進入させて他方の側から排出すればよい。
【0044】
いくつかの実施例において、一般的に、好ましくは、垂直型の貫通式気流孔11を選択する。貫通式気流孔11は、図34に示すような直筒式とする。こうすることで、気流経路は、最大限の空間で平面シート状式電気加熱軌道2を貫通式気流孔11に露出させられるため、霧化面積がより大きくなり、熱利用率及び熱効率が最高となる。しかし、設計によっては、貫通式気流孔11の面積が大きいと、霧化蒸気がやや分散的となる。この場合には、好ましくは、図35に示すような上が狭く下が広いテーパー式の貫通式気流孔11を選択すればよい。この種の貫通式気流孔11は、霧化蒸気を効果的に集められるため、霧化蒸気が一段と濃厚となって、いっそう充満する。
【0045】
いくつかの実施例において、図36は、貫通式気流孔11の正面図方向についての貫通式気流孔11の正面図方向の第2の代替方案であって、段差式に上が狭く下が広くなった段差式の貫通式気流孔11を設計している。こうすることで、霧化面積を十分に最大化して利用しつつ、上記の霧化蒸気が分散的になるとの問題を解決できるため、霧化蒸気が一段と濃厚となって、いっそう充満する。実際の実験による検証では、このような方式の場合に、霧化蒸気が分散的になるとの問題をより良好に解決可能であり、霧化蒸気がより濃厚となって充満した。
【0046】
いくつかの実施例において、図37は、貫通式気流孔11の正面図方向についての貫通式気流孔11の正面図方向の第3の代替方案である。このように、下が狭く上が広くなるよう設計することの主な目的は、濃密度のやや低い液体の場合、直筒式の貫通式気流孔11では、液体が貫通式気流孔11の内壁に伝達されたときに重力の働きで落下し、液体が漏出するとの問題に対処するためである。或いは、ユーザが使用する際の吸引力が大きい場合に、気流が霧化蒸気を上方へ移動させるのに伴い、霧化されていない液体も気流とともに上方へ移動してユーザの口内に吸い込まれる結果、ユーザエクスペリエンスが悪化するとの問題に対処するためである。上が広く下が狭くなるよう設計された気流経路の場合には、上記の問題を効果的に解決可能である。この場合には、ユーザが吸い込む際に、貫通式気流孔11の内壁における液体に対する気流の作用力が減少する。また、図38に示される上が広く下が狭い段差式気流経路の場合には、実際に実施する際に、この種の気流経路によって、液体の漏出問題や、ユーザの口内に液体が吸い込まれるとの問題を効果的に防止可能である。この種の気流経路を設計する場合には、気流の吸気量は減少するが霧化面積は変わらないため、熱効率が高く、蒸気の霧化効果に支障をきたさず、ユーザエクスペリエンスが向上するとの利点がある。
【0047】
図30は、いくつかの実施例における霧化器の斜視図である。実施例では、下記のステップで組み立てが可能である。
【0048】
(1)多孔導液加熱モジュールをオイルロックシリコーン7に嵌め込む。
【0049】
(2)オイルロックシリコーン7をベース4に組み付け、多孔加熱モジュールの2つの電極接続線をベース4の電極装着孔42から伸出させる。
【0050】
(3)2つの電極ピン6をベース4の電極装着孔42に圧入する。
【0051】
(4)オイルタンク5に液体を充満し、装着済みのベース4とシリコーンをオイルタンク5に装入する。
【0052】
このような組立方式で組み立てる場合には部品が少なくてすみ、組み立てが非常に容易且つ迅速に進むため、組み立ての自動化を実現可能である。
【0053】
図31は、本霧化器の動作原理及び気流の方向の概略図である。ユーザが、オイルタンク5の排気経路51から吸気すると、エアセンサスイッチがオンとなって電極の両端に電気が供給される。すると、平面シート状式電気加熱軌道2が発熱することで、オイルタンク5からシリコーンにおける給油口を経由し、多孔導液体1を通過して平面シート状式電気加熱軌道2に伝達された液体が加熱により霧化されて、霧化蒸気となる。ベース4の吸気孔から進入した空気は、多孔導液発熱霧化モジュールの平面シート状式電気加熱軌道2を経由して、霧化蒸気をオイルタンク5の排気経路51から流出させる。
【0054】
本件特許のいくつかの実施例では、多孔導液体1の貫通式気流孔11、平面シート状式電気加熱軌道2の形状と位置関係、及び、平面シート状式電気加熱軌道2のメッシュ状構造及び対応する応用シーンについて明確に記載した。また、上記の実施例では、これらの違いや利点及び欠点について詳細に記載しているため、互いに組み合わせて置換的に使用することが可能である。
【0055】
本発明の有益な効果は次の通りである。本発明は、大量生産に都合がよく、発熱が均一で霧化面積が大きく、煙量の大きいメッシュ状シート式多孔加熱霧化モジュール及びその加熱霧化器を提供する。本製品の構造はシンプルなため組み立てに都合がよく、霧化効果の同一性に優れている。また、導液材料の同一性に劣るとの問題、給油量の大きさを調節しにくいとの問題、従来の加熱体は必要に応じて各領域の加熱電力を制御できないとの問題、加熱領域と気流経路の連携がうまく行かず、無効な加熱領域が存在するとの問題、従来の加熱体は電気エネルギーを熱エネルギーに転化してから熱を利用して液体を霧化する際の効率が悪いとの問題等が解決される。本発明の設計及び構造はシンプルであり、部品が少なく、各部材の構造強度に優れており、組み立て過程で変形が生じにくい。よって、製造される完成品の同一性が高く、自動化生産に都合がよく、生産効率が向上する。
【0056】
上記では本発明の好ましい実施例を具体的に説明したが、本発明創造は上記の実施例に限らない。当業者は、本発明の精神を逸脱しないことを前提に様々な同等の変形又は置換を実施可能であり、これらの同等の変形又は置換はいずれも本願の請求項で限定する範囲に含まれる。
図1
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