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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】筋膜ガン
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A61H23/02 354
A61H23/02 360
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023022925
(22)【出願日】2023-02-16
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】520112483
【氏名又は名称】株式会社創通メディカル
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】薛 明鶴
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-547586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体とマッサージヘッドとを備える筋膜ガンであって、
前記本体は、
前記マッサージヘッドを摺動可能に前記本体に結合する支持部と、
第1連結部材を介して前記支持部に連結されて前記支持部を摺動する駆動部と、
前記駆動部に電力を供給する電源部と、
前記駆動部と前記マッサージヘッドとを制御する第1制御部と、
前記電源部へ接続されるとともに、前記支持部において前記マッサージヘッドと電気的に接続可能に設けられた導電体と、を含み、
前記マッサージヘッドは、
患部に当接して使用者により押圧されるためのヘッド部と、
螺合により前記支持部に連結されて前記ヘッド部を前記本体に結合するロッド部と、
前記ロッド部の前記本体側の面内で任意の方向に所定間隔で複数本配置された接続ピンと、
を含み、
前記導電体は、前記接続ピンの間隔に対応して互いに離隔するように配設された同心円の複数の導電性のリングを含み、
前記リングの数は前記接続ピンの数以上であり、前記マッサージヘッドが前記本体に結合されると前記接続ピンが前記導電体と電気的に接続されて前記電源部から前記マッサージヘッドへ電力が供給され、
前記マッサージヘッドは、
発熱機能と冷却機能を有する加熱冷却部と、
前記マッサージヘッドの温度を検知する温度センサと、
前記温度センサからの信号を処理して前記加熱冷却部を制御することにより前記マッサージヘッドの温度を制御する第2制御部と、
をさらに含む、
筋膜ガン。
【請求項2】
前記マッサージヘッドは、前記加熱冷却部により発生した熱を冷却モードにおいて拡散させる排風機をさらに備える、
請求項1に記載の筋膜ガン。
【請求項3】
前記第2制御部は、予め設定された複数の閾値と、検知された前記マッサージヘッドの温度とを比較することにより、前記マッサージヘッドの温度を複数段階で制御可能である、
請求項1に記載の筋膜ガン。
【請求項4】
前記加熱冷却部は、供給される電流のプラス・マイナス切り替えにより片側暖房・片側冷房を切り替えるペルチェ素子を含む、
請求項1に記載の筋膜ガン。
【請求項5】
前記本体は、前記第1制御部が設けられた第1回路基板をさらに含み、
前記電源部と前記第1回路基板とは、前記支持部と前記駆動部との間で前記支持部の摺動による影響を回避可能な配線長を有する配線により接続される、
請求項1に記載の筋膜ガン。
【請求項6】
前記電源部と前記支持部との間に介装され、前記電源部および前記駆動部と前記支持部との間の電気的接続を中継する中継部材をさらに備え、
前記中継部材は、本体に固定された固定部と、前記第1連結部材に結合された第2連結部材とを含み、
前記固定部は、基台と、該基台の一側面から前記支持部の側へ立設された突出部と、前記突出部の頂面に配置され前記基台を貫通して前記電源部の側へ露出するストライプ状の複数の第1導電部とを有し、
前記第2連結部材は、前記突出部および前記第1導電部に対応して中空部が設けられて前記突出部および前記第1導電部を収容しつつ前記第1連結部材の摺動と共に摺動し、
前記第2連結部材の頂面には、前記第1導電部の位置に対応して前記第1導電部と同数の穴が穿設されて前記第1導電部と電気的に接続される弾性を有する第2導電部が設けられ、
前記第1導電部は第1配線により、前記第1制御部が設けられた第2回路基板を介して前記電源部および前記駆動部に接続され、
前記第2導電部は、第2配線により前記支持部に接続される、
請求項1に記載の筋膜ガン。
【請求項7】
前記第2導電部は、
一端が前記第2連結部材の前記頂面から突出するように前記第2連結部材の前記穴に挿入される第1導電材と、前記第1導電材と前記第1導電部との間に設けられた回動可能な第2導電材と、少なくとも一部が前記第2導電材と前記第1導電材との間に介在するように前記穴に配置された導電性の弾性部材と、
をさらに含む、
請求項6に記載の筋膜ガン。
【請求項8】
前記接続ピンは同一方向に列をなすように配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の筋膜ガン。
【請求項9】
前記接続ピンは前記リングの中心に対応する位置で交差する十字をなすように配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の筋膜ガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージおよびフィットネス用の機器の技術分野に属し、より具体的には、加熱機能または加熱冷却機能を備えた筋膜ガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
人の筋肉を覆う筋膜を狙ってマッサージの施術を行うことにより、筋膜と筋肉との間、または筋膜同士で生じた癒着を取って本来の弾力性のある状態に筋膜を復元することで、凝りや痛みを解消し、関節をスムーズに動かせるように開発された施術があり、そのための機器として筋膜ガンがある。筋膜ガンの中には、よりマッサージ効果を高めるためマッサージヘッドに加熱機構や加熱冷却機能を備えたものがある。
【0003】
加熱式マッサージヘッドを搭載した従来の筋膜ガンでは、本体側のバッテリとは別に加熱機構に給電するバッテリをマッサージヘッドに搭載する必要があったが、マッサージヘッドのサイズが小さいために搭載可能なバッテリの容量に限界があり、給電可能時間が非常に短かった。このため、マッサージヘッドを別途充電する必要があり、利便性の点で劣っていた。
【0004】
また、加熱と冷却の両方が可能なマッサージヘッドを搭載した筋膜ガンも既に流通しているが、そのうちの多くは、マッサージヘッドに別品としてバッテリを設置したり、充電式電池を搭載する形態を採用しており、このため、動作時間が短く、かつ、加熱・冷却の効果が低いという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3232352号公報
【文献】実用新案登録第3117117号公報
【文献】特開2004-329440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で加熱機能または加熱冷却機能を有する、より利便性の高い筋膜ガンを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、本体とマッサージヘッドとを備える筋膜ガンが提供され、前記本体は、前記マッサージヘッドを摺動可能に前記本体に結合する支持部と、連結部材を介して前記支持部に連結されて前記支持部を摺動する駆動部と、前記駆動部に電力を供給する電源部と、前記駆動部と前記マッサージヘッドとを制御する第1制御部と、前記電源部へ接続されるとともに、前記支持部において前記マッサージヘッドと電気的に接続可能に設けられた導電部と、を含み、前記マッサージヘッドは、患部に当接して使用者により押圧されるためのヘッド部と、螺合により前記支持部に連結されて前記ヘッド部を前記本体に結合するロッド部と、前記ロッド部の前記本体側の面内で任意の方向に所定間隔で複数本配置された接続ピンと、を含み、前記導電部は、前記接続ピンの間隔に対応して互いに離隔するように配設された同心円の複数の導電性リングを含み、前記リングの数は前記接続ピンの数以上であり、前記マッサージヘッドが前記本体に結合されると前記接続ピンが前記導電体と電気的に接続されて前記電源部から前記マッサージヘッドへ電力が供給され、前記マッサージヘッドは、発熱機能と冷却機能を有する加熱冷却部と、前記マッサージヘッドの温度を検知する温度センサと、前記温度センサからの信号を処理して前記加熱冷却部を制御することにより前記マッサージヘッドの温度を制御する第2制御部と、をさらに含む。
【0008】
一実施形態によれば、前記マッサージヘッドは、冷却モードにおいて、前記加熱冷却部により発生した熱を拡散させる排風機をさらに備える。
【0009】
他の一実施形態によれば、前記第2制御部は、予め設定された複数の閾値と、検知された前記マッサージヘッドの温度とを比較することにより、前記マッサージヘッドの温度を複数段階で制御可能である。
【0010】
さらに他の一実施形態によれば、前記加熱冷却部は、供給される電流のプラス・マイナス切り替えにより片側暖房・片側冷房を切り替えるペルチェ素子を含む。
【0011】
一実施形態による筋膜ガンは、前記電源部と前記支持部との間に介装され、前記電源部および前記駆動部と前記支持部との間の電気的接続を中継する中継部材をさらに備え、前記中継部材は、本体に固定された固定部と、前記第1連結部材に結合された第2連結部材とを含み、前記固定部は、基台と、該基台の一側面から前記支持部の側へ立設された突出部と、前記突出部の頂面に配置され前記基台を貫通して前記電源部の側へ露出するストライプ状の複数の第1導電部とを有し、前記第2連結部材は、前記突出部および前記第1導電部に対応して中空部が設けられて前記突出部および前記第1導電部を収容しつつ前記第1連結部材の摺動と共に摺動し、前記第2連結部材の頂面には、前記第1導電部の位置に対応して前記導電部と同数の穴が穿設されて前記第1導電部と電気的に接続される弾性を有する第2導電部が設けられ、前記第1導電部は第1配線により、前記第1制御部が設けられた第2回路基板を介して前記電源部および前記駆動部に接続され、前記第2導電部は、第2配線により前記支持部に接続される。
【0012】
また、一実施形態によれば、前記第2導電部は、一端が前記第2連結部材の前記頂面から突出するように前記第2連結部材の前記穴に挿入される第1導電材と、前記第1導電材と前記第1導電部との間に設けられた回動可能な第2導電材と、少なくとも一部が前記第2導電材と前記第1導電材との間に介在するように前記穴に配置された導電性の弾性部材と、をさらに含む。
【0013】
さらに他の一実施形態によれば、筋膜ガンは、前記本体に設けられたスイッチをさらに備え、前記第1制御部は、使用者の操作に応じて複数のマッサージモードのうち任意のモードでマッサージできるよう前記駆動部を制御し、
【0014】
前記モードは、マニュアルモード、フェイスモード、ストレッチモードおよびリラックスモードを含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、前記接続ピンは、同一方向に列をなすように配置されてもよいし、前記リングの中心に対応する位置で交差する十字をなすように配置されてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、支持部においてマッサージヘッドと電気的に接続可能に設けられ、マッサージヘッドの本体への結合により本体の電源部からマッサージヘッドへ電力供給可能な導電部を含むので、マッサージヘッドを別途に充電する必要が無く、簡易な構成で利便性の高い筋膜ガンが提供される。
【0017】
マッサージヘッドが発熱機能と冷却機能を有する加熱冷却部を含む場合は、本体の電源部から電力が供給されるので、長時間の加熱冷却が可能である。
【0018】
また、マッサージヘッドが排風機をさらに含む場合は、加熱および冷却の効果を迅速に発揮することができる。特に加熱モードから冷却モードに切り替える場合は、残存する熱を迅速に放出するので、ユーザエクスペリエンスをより高めることができる。
【0019】
さらに、マッサージヘッドの温度を複数段階で制御可能な構成や複数モードでのマッサージが可能な構成を採用する場合は、より利便性の高い筋膜ガンが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態による筋膜ガンの概略構成を示す図の例であり、それぞれ、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は左側面図、(d)は右側面図、(e)は背面図、(f)は底面図の一例である。
図2図1に示す筋膜ガンについてマッサージヘッドを取り外した状態を示す斜視図の一例である。
図3図1に示す筋膜ガンについて、本体、導電性リング、およびマッサージヘッドのフリックピンを示す斜視図の一例である。
図4図1に示す筋膜ガンの本体の内部構成の要部を示すための斜視図の一例である。
図5図1に示す筋膜ガンの分解斜視図の一例である。
図6図1に示す筋膜ガンの充電方法の例を説明する図の一例である。
図7】インジケータバーによる充電状況の表示例を示す図の一例である。
図8】回路基板の配置例を示すための図5の拡大図の一例である。
図9】待機状態におけるダイヤルの位置を示す一例の図である。
図10図1に示す筋膜ガンにおいてマニュアルモードで振動数を調整する一例を示す図の一例である。
図11図1に示す筋膜ガンにおいてフェイスモードモードで振動数を調整する一例を示す図の一例である。
図12図1に示す筋膜ガンにおいてストレッチモードモードで振動数を調整する一例を示す図の一例である。
図13図1に示す筋膜ガンにおいてリラックスゼーションモードで振動数を調整する一例を示す図の一例である。
図14】選択された温度モードをインジケータバーにより表示する態様を示す図の一例である。
図15】本発明の第2実施形態による筋膜ガンの要部を示す斜視図の一例である。
図16図15に示す筋膜ガンが備える中継部材の外観を示す斜視図の一例である。
図17図16のA―A断面図である。
図18図15に示す筋膜ガンに取り付け可能なマッサージヘッドの斜視図の一例である。
図19】本発明の第3実施形態による筋膜ガンのマッサージヘッドを示す分解斜視図の一例である。
図20】本発明の筋膜ガンの本体に取り付け可能な他のマッサージヘッドのいくつかの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態のいくつかについて図面を参照しながら説明する。図面において同一または対応する要素・部材には同一の参照符号を付し、その重複説明は適宜省略する。説明を容易にするため、図中の各部材の形状・サイズは、適宜拡大・縮小・省略され、このために現実の縮尺・比率と合致していない場合がある点に留意されたい。
【0022】
以下で使用される第1、第2等の用語は、同一又は相応する構成要素を相互に区別するための識別記号に過ぎないものであり、同一又は相応する構成要素が、第1、第2等の用語によって限定されることも、何らかの優劣の区別がされるものでもない。
【0023】
本明細書において「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触される場合だけを意味するのではなく中間媒体を介して間接的に接触されている場合まで含む概念である。さらに、「実質的に」の用語は、測定誤差をも含む趣旨で使用される。
【0024】
(第1実施形態)
図1から図5に示すように、本発明の第1実施形態による筋膜ガンは、本体2とマッサージヘッド1とを備える。本体2は、いずれも一端が開放された2つの中空円筒部(第1円筒部および第2円筒部)を、互いの開放端近傍で接続したような、ピストル(拳銃)に類似した外観形状を有する。
【0025】
マッサージヘッド1の振動方向に沿った第1円筒部には、主としてマッサージヘッド1を支持して本体に結合させるための支持部と、支持部の摺動によりマッサージヘッド1を振動させるための駆動部と、本体2の構成要素を制御する制御部とが内蔵される。また、第1円筒部に連通する第2円筒部には電源部が内蔵され、使用者が施術などの際に筋膜ガンを把持するために好適な把持部300を構成する。以降の説明においては、本体2から見てマッサージヘッド1の方向を前側、前側とは反対の側を後ろ側、把持部の側を下側、把持部の側と反対の側を上側と称することがある。
【0026】
本実施形態において、第1円筒部と第2円筒部とは、正面視において下側で互いに鈍角をなすように接続され、本体2の全体としては、ひらがなの「く」の字を鏡映反転させたような、ブーメランに類似の外観形状を有する。しかしながら、第1円筒部と第2円筒部との接続態様はこれに限ることなく、例えば互いに直角をなすように2つの円筒部を接続してもよい。
【0027】
ただし、本実施形態においては第1円筒部と第2円筒部の外側面は、本体2のカバーケース200を構成し、カバーケース200は、図2に示すように、正面下側のケース210と、背面下側のケース212と、上側のほぼ中央から後部下側まで延在するケース214で構成される。
【0028】
本体2の後ろ側にはダイヤルスイッチ3が押圧可能かつ回転可能な態様で配設される。ケース214の頂面領域にはダイヤルスイッチ3の近傍からマッサージヘッド1側へ延在するようにストライプ状のインジケータバー4が透光可能な材料で形成され、その下部におけるケース214の内壁には発光色が異なる複数のLED(図示せず)が設けられる。本実施形態では、LEDは白色の他、赤色、オレンジ色の光を発光可能である。
【0029】
ダイヤルスイッチ3の詳細構成および使用方法については後に詳述する。
【0030】
次いで、図4および図5を参照しながら、本体2の内部構成の概略について説明する。
【0031】
把持部300には、電源部310が内蔵され、バッテリ31が装着される。バッテリ31は、通常の消耗品タイプの電池でも、充電式の電池でもよい。充電式電池を用いる場合は、充電ベースを用いる場合と、充電ケーブル(図示せず)を介して外部の電源に接続する場合のいずれをも選択できる。例えば図6の紙面左側に示す充電ベース130に、把持部300の底面に設けられたUSBポート320(図6の紙面右側参照)を充電ベース130の対応する接続ピン(図示せず)に篏合するように差し込み、充電ベース130を外部の電源に接続すればよい。USB充電ケーブル(図示せず)を介して充電する場合は、USBポート320にUSB充電ケーブルを差し込んで外部の電源に接続すればよい。本実施形態では、USBポートはタイプCに対応しているが、USBポートの種類は、既存の他のタイプを用いてもよいし、技術革新に応じて新たなタイプのものを採用できることは勿論である。把持部300の側面には、充電状況を色で識別するためのインジケータバー140が設けられている。図7にインジケータバー140の一例を示す。同図に示す例では、電力残量が20%になった場合が左側に示され、満充電の場合が右側に示されている。電力残量が20%になると、インジケータバー140はまず赤色を点灯し、毎30秒ごとに赤色フラッシュを繰り返す。各フラッシュは毎回3秒継続する。ただし、この警告にも拘わらず充電が行われなかった場合など、充電0になると消灯する。満充電の場合には図7の右側に示すようにインジケータバー140が白色で点灯する。
【0032】
図5に戻り、第1円筒部と第2円筒部の連接部分の内部にはモーションモータ20が固定するように配設される。第1円筒部の内部においてモーションモータ20の前方の領域には移動体11が支持部12に結合されて配置される。支持部12は螺合によりマッサージヘッド1に結合可能であるように構成される。移動体11は、偏心カム21を介してモーションモータ20に連結され、モーションモータ20が駆動すると偏心カム21により、本体2の上下方向に配置されたモータ軸を中心とする回転移動が前後方向の反復移動に変換され、移動体11が前後に摺動することで支持部12を介してマッサージヘッド1が前後に振動する。
【0033】
モーションモータ20および電源部310は、回路基板19に組み込まれた制御チップによって制御される。回路基板19の制御チップは本実施形態において例えば特許請求の範囲に記載の「第1制御部」に対応する。
【0034】
本実施形態においては、回路基板19は、例えば移動体11の前側面部に取り付けられる。より具体的には、図8の部分拡大図に示すように、移動体11の前側面部において内周に沿って溝TRが設けられ、この溝TRに篏合するようにディスク状の回路基板19が配置されている。バッテリ31、モーションモータ20および回路基板19との間の配線WR1は、シリコンスリーブ13で覆われて保護されているが、移動体11の移動によって強い引っ張り応力を受けたり、他の構成部品に擦れたりして傷むようなことが無いよう、配線WR1のワイヤ長は移動体11の移動に応じて適切な裕度が残るように設計されている。本実施形態において、モーションモータ20は例えば特許請求の範囲に規定する「駆動部」に対応し、偏心カム21は例えば特許請求の範囲に規定する「連結部材」に対応する。
【0035】
マッサージヘッド1の具体的構成について図5を参照しながら説明する。マッサージヘッド1は、患部に当接されるヘッドシェル24と、発熱片26と、サーミスタ25と、コネクティングロッド27と、回路基板28とを備える。発熱片26とサーミスタ25は、回路基板28に電気的に接続され、回路基板28は、本実施形態においてコネクティングロッド27の本体2側の先端面に装着される。コネクティングロッド27は、ヘッドシェル24側に配置されるディスク部と、ディスク部の中央から(後側(本体2側))に立設されネジ溝が刻まれたネジ部とが一体をなすように形成されて構成される。なお、本体2の支持部12における前側(マッサージヘッド側)には、このネジ溝に対応するネジ山が形成されるようにネジ溝が刻まれた凹部が設けられる。サーミスタ25と発熱片26とを間に挟むようにしてヘッドシェル24とコネクティングロッド27とが相互に嵌合されることによりマッサージヘッド1が組み立てられる。本実施形態において、ヘッドシェル24は例えば特許請求の範囲に規定する「ヘッド部」に対応し、コネクティングロッド27は例えば特許請求の範囲に規定する「ロッド部」に対応する。
【0036】
筋膜ガンによるマッサージに際し、使用者によりコネクティングロッド27が支持部12に螺合されることでマッサージヘッド1が本体2に強固に連結される。コネクティングロッド27は、本実施形態において、例えば特許請求の範囲に規定する「ロッド部」に対応する。
【0037】
本実施形態による筋膜ガンの特徴点の一つは、コネクティングロッド27と支持部12との螺合により、マッサージヘッド1の回路基板28が本体2の回路基板19と電気的に接続し、これにより、マッサージヘッド1が本体2の電源部310から電力供給を受けることができるよう構成される点にある。この構成の一例について図3を参照しながら説明する。
【0038】
図3に示すように、回路基板28の後側(本体2側)の表面には、後側へ突出するようにフリックピン120,120,…,120が互いに所定の間隔を空けて列をなすように配置される。
【0039】
本体2側の支持部12におけるコネクティングロッド27との対向面には、同心円をなすように径方向で互いに所定間隔を空けて配置された導電性リングが設けられ、回路基板19と電気的に接続されている。導電体110の間隔はフリックピン120の間隔とほぼ一致するように設計される。さらに、フリックピン120の列の中心と導電体110の同心円の中心とは、コネクティングロッド27と支持部12との螺合によりほぼ一致するように設計される。したがって、マッサージヘッド1を本体2に螺合する際に、コネクティングロッド27のねじ溝や支持部12のネジ山の摩耗等により、フリックピン120の列が多少なりとも(X-Y平面に平行な)水平面からずれて傾くようなことがあってもマッサージヘッド1と本体2との電気的接続は確実に達成される。本実施形態において、導電体110は例えば特許請求の範囲に規定する「導電部」に対応する。
【0040】
マッサージヘッド1と本体2とが電気的に接続されると、発熱片26およびサーミスタ25は、回路基板19,28を経由して電源部310から給電可能な状態になる。発熱片26は、ヘッドシェル24に嵌合するようにヘッドシェル24の内面に取り付けられ、使用者によるダイヤルスイッチ3の操作に従って、発熱片26が発熱することでヘッドシェル24が加熱される。サーミスタ25はヘッドシェル24の内壁上の任意の箇所に取り付けられ、ヘッドシェル24の温度を検知して検知信号を、回路基板19に搭載された制御チップへ送る。制御チップは、図示しないメモリに格納された、温度制御のための一連の命令が記述された制御プログラムを読み出して温度制御を行う。より具体的には、サーミスタ25からの検知信号を処理し、ヘッドシェル24の温度データを取得して検知温度とする。後述するように、ヘッドシェル24の温度は複数段階(本実施形態では低温、中温、高温の3段階)で使用者が選択できるように設定され、選択された温度段階の設定温度をしきい値として制御チップは、取得された検知温度と設定温度とを比較し、検知温度が設定温度を下回る場合は発熱片26へ電力を供給してオンとし、検知温度が設定温度に達すると、発熱片26への電力供給を停止してオフにする。
【0041】
本実施形態において、サーミスタ25は例えば特許請求の範囲に規定する「温度センサ」に対応し、回路基板28に搭載された制御チップは、例えば特許請求の範囲に規定する「第2制御部」に対応する。
【0042】
本実施形態に関し、単一のマッサージヘッド1を取り挙げて説明したが、狙いとする患部の形状、施術範囲および凝りなどの程度に応じて複数種類のマッサージヘッドを準備し、適宜交換して使用できることは勿論である。したがって、フリックピン120の想定される最大の個数に対応できるように導電体110の個数はフリックピン120の個数以上となるように設計される。なお、図3には4個のフリックピン120と4つの導電体110の例を描画したが、これはあくまでも説明を簡易にするために簡略化したものであり、実際の個数は4個未満でも5個以上でもよい。
【0043】
ダイヤルスイッチ3は、例えば図2に示すように、第1円筒部および第2円筒部の接続部分の後ろ側において、押圧可能でかつ回転可能な態様で配設され、オン/オフの切り替えができるように構成され、かつ、各マッサージモードにそれぞれ対応した数字5~9が本体に近傍する位置に所定間隔でマークされている。これによりダイヤルスイッチ3は、使用者の操作により筋膜ガンそのもののオン/オフのスイッチを構成することに加え、マッサージモードの変換スイッチをも兼ねており、省スペースでの多機能を実現している。
【0044】
ダイヤルスイッチ3を用いて本実施形態の筋膜ガンを操作する方法の一例を図9図12を参照しながら以下に説明する。
【0045】
図9に示すように、スイッチオフの状態(待機状態)ではインジケータバー4の位置(真上)にダイヤル「5」がセットされている。筋膜ガンの使用を開始しようとする使用者は、まず、所望のマッサージモードの数字がインジケータバー4の位置に移動するようにダイヤルスイッチ3を回転させる。これにより選択されたマッサージモードを指示する信号が回路基板28の制御チップに送られ、制御チップが制御信号を生成してモーションモータ20を駆動させ、指定されたマッサージモードでマッサージヘッド1が振動する。
【0046】
本実施形態では、4つの振動モードが設定されており、具体的には、マニュアルモード、フェイスモード、ストレッチモードおよびリラクゼーションモードである。
【0047】
マニュアルモードは、例えば図10に示すように、ダイヤル「6」にセットされ、ダイヤル「6」が真上になるようダイヤルスイッチ3を回転させると、所定の速度でマッサージヘッド1が振動する。この速度は、矢示する方向にダイヤルスイッチ3を短く押すことによって複数段階で順次に切り替わる。すなわち、本実施形態においては複数段階での振動強度切り替えが可能である。例えば、第1段階では2100回/分で、第2段階では2400回/分で、第3段階では2700回/分で、第4段階では3000回/分で、第5段階では3300回/分で振動する。
【0048】
フェイスモードは、顔へのマッサージに好適であるように設計されたモードであり、例えば図11に示すように、ダイヤル「7」にセットされ、ダイヤル「7」が真上になるようダイヤルスイッチ3を回転させると、例えば900回/分の速度でマッサージヘッド1が振動する。
【0049】
ストレッチモードは、例えば図12に示すようにダイヤル「8」にセットされ、ダイヤル「8」が真上になるようダイヤルスイッチ3を回転させると、例えば1200回/分の速度で7秒間振動した後に3秒間停止し、その後、同様の速度での振動→停止を反復するモードである。
【0050】
リラックスモードは、例えば図13に示すようにダイヤル「9」にセットされ、振動の速度を漸次に変化させるモードであり、ダイヤル「9」が真上になるようダイヤルスイッチ3を回転させると、例えば900回/分→7秒かけて1500回/分まで上昇→3秒かけて900回/分まで下降→7秒かけて2500回/分まで上昇→3秒かけて900回/分まで下降→7秒かけて1500回/分まで上昇→3秒かけて900回/分まで下降のように所定の振動数サイクルを反復させる。
【0051】
なお、上記モードはあくまでも例示であり、本願発明はこれらのモードに限定されるものではなく、より少ないモードに設定してもよいし、他のモードを加えることも可能であることは勿論である。
【0052】
使用者は、マッサージモードを選択した後にダイヤルスイッチ3を押圧すると、回路基板19の制御チップを経由した回路基板28の制御チップの制御により電源部310のバッテリ31から発熱片26へ電力が供給されてマッサージヘッド1のヘッドシェル24が加熱される。前述した通り本実施形態において発熱片26による加熱温度は低温、中温、高温の3段階で選択可能であり、例えば、ダイヤルスイッチ3を(例えば図2で矢示する方向に)押圧する度にこれらの設定温度がサイクリックに変化することで使用者は任意の温度レベルを選択できる。選択された温度モードが使用者に容易に視認できるよう、例えば図14に示すように、LEDからの光の色で区別できるように設計され、例えば低温(例えば40℃)が白(ホワイト)色、中温(例えば43℃)がオレンジ色、高温(例えば46℃)が赤(レッド)色と設定され、使用者はインジケータバー4を見るだけでどの温度モードが選択されているかを確認することができる。
【0053】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る筋膜ガンの第2実施形態について図面を参照しながら説明する。図15は、本実施形態による筋膜ガン102の本体の要部を示す斜視図の一例であって、カバーケース200の手前半分を省略した図である。図15においてはダイヤルスイッチも省略されている。
【0054】
本実施形態の筋膜ガン102の第1の特徴点は、電源部310と支持部12との間の配線構造にあり、具体的には、電源部310と支持部12との間に、これら相互間の配線を中継するための中継部材50を介装した点にある。また、上記第1実施形態の筋膜ガン100が備える回路基板19に代えてPCB79がモーションモータ20と電源部310との間に設置され、このPCB79内に制御チップが組み込まれている。本実施形態において、PCB79は例えば特許請求の範囲に規定する「第2回路基板」に対応する。
【0055】
中継部材50は、固定部53と連結部材51とを含む。連結部材51は、中空のほぼ直方体の形状で形成され、前述した第1実施形態の移動体11に代えて設けられた、移動体11よりも前後のサイズが短い移動体41に連結するように結合される。偏心カム21により移動体41が前後方向に移動すると、これに連動して連結部材51も前後方向に移動する。本実施形態において連結部材51は例えば特許請求の範囲に規定する「第2連結部」に対応する。
【0056】
一方、固定部53は、ねじ(図示せず)によりケース200の内壁に固定される。固定部53は、基台531と突出部529と導電ストライプ57とを有する。突出部529は、基台531の側面のうち連結部材51に対向する側の側面から連結部材51の側へ突出するように立設し、連結部材51の中空部HP(図17参照)に収容される。
【0057】
固定部53には、配線WR21の数量に対応する本数の導電ストライプ57がさらに設けられる。導電ストライプ57は、突出部529の頂面に配置されて突出部529と共に連結部材51の中空部HPに収容されるほか、その一端は基台531を貫通して電源部310の側で露出し、配線WR21に接続される。導電ストライプ57は、例えば銅などの導電性材料で形成される。
【0058】
連結部材51の頂面には、導電ストライプ57の位置に対応して導電ストライプ57と同数の穴CV(図17参照)が穿設される。穴CVには弾性ビーズ55が挿設され、底面側で導電ストライプ57と電気的に接続され、頂面側で連結部材51から露出して配線WR22に接続される。弾性ビーズ55のうち連結部材51から露出した部分には保護材511が周設され、これにより弾性ビーズ55が連結部材51に固定される。配線WR21,22は共にシリコンスリーブで覆われている。本実施形態において配線WR21,22は、例えば特許請求の範囲に規定する「第1配線」および「第2配線」にそれぞれ対応する。
【0059】
図17を参照して弾性ビーズ55のより詳細な構成を説明する。弾性ビーズ55は、例えばステンレスなどのような導電性材料から形成され、導体551と、導電スプリング555と導電ボール553とを有する。導電ボール553は導体551の底面側で導電ストライプ57との間に介装され、導電スプリング555は、少なくともその一部が導体551と導電ストライプ57との間に介在するように配置され、その弾性力により、導電ボール553の回動による振動を緩和・吸収する。本実施形態において弾性ビーズ55、導電ボール553および導電スプリング555は、例えば特許請求の範囲に規定する「第2導電部」、「第2導電材」および「弾性部材」にそれぞれ対応する。
【0060】
このように、中継部材50は、導電ストライプ57と、導電ストライプ57に電気的に接続される弾性ビーズ55とを含み、導電ストライプ57が基台531を介してケース200に固定される一方で、偏心カム21により連結部材51が、移動体41と共に、突出部529および導電ストライプ57を収容しつつ前後に摺動しても、導電ストライプ57との電気的接続を維持したままで弾性ビーズ55が導電ボール553により円滑に移動するので、移動体41の前後移動により伸縮する配線(第2配線)WR22の長さを第1実施形態における配線WR1よりも顕著な程度に短くすることができる。これにより、電源部310からの給電を確保しながら安定した電気的接続を確保することができる。本実施形態において導電ストライプ57は例えば特許請求の範囲に規定する「第1導電部」に対応する。
【0061】
本実施形態による筋膜ガン102の第2の特徴点は、マッサージヘッドの電気的接続構造にある。この点について図18を参照しながら説明する。
【0062】
すなわち、図3との対比により明らかなように、本実施形態の筋膜ガン102に接続されるマッサージヘッド111は、本体2のリング状導電体110と電気的に接続するためのフリックピン(15,17)が5個設けられ、かつ、所定方向の一列ではなく十字形をなすように配置される。中央のフリックピン17は導電体110の同心円の中心に対応し十字の交差点に配置される。また、周辺のフリックピンのうちの一つフリックピン15が他のフリックピンよりも大きなサイズで形成され、これにより、ユーザは取り付けの際に導電体110との当接を容易に感知することができ、その分だけユーザの利便性が向上する。
【0063】
本実施形態の筋膜ガン102のその他の構成、すなわち、ケース200の形状、電源部310、モーションモータ20、偏心カム21、ダイヤルスイッチ3、およびそれらの操作方法、並びにマッサージヘッド111の使用方法および加熱方法などは前述した第1実施形態の筋膜ガン100と実質的に同一であり、そのため、重複説明は省略する。
【0064】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る筋膜ガンの第3実施形態について図面を参照しながら説明する。図19は、本実施形態による筋膜ガン104のマッサージヘッド60の主要な構成を示す斜視図の一例である。本実施形態による筋膜ガン104の本体の構成は、上述した実施形態の筋膜ガン100,102と実質的に同一である。そのため、以下では重複説明を適宜省略する。
【0065】
図19に示すマッサージヘッド60は、加熱機能および冷却機能を有し、さらに、放熱を促進する排風機を備える点に特徴がある。
【0066】
より具体的には、マッサージヘッド60は、ユーザの患部に当接されるヘッドシェル601と、サーミスタ605と、加熱冷却部612と、放熱金属ブロック614と、排風機616と、回路基板624と、内部ホルダ622と、外部ホルダ638と、端子ホルダ656と、シリコンリング662と、を含む。加熱冷却部612および排風機616は、放熱金属ブロック614と共に内部ホルダ622に収容される。内部ホルダ622はその底面から後側(本体側)に立設された突出部を有し、回路基板624はリング形状を有してその開口で内部ホルダ622の突出部を通過させて内部ホルダ622の底面に装着される。
【0067】
サーミスタ605がヘッドシェル601の裏面側に取り付けられ、ヘッドシェル601は内部ホルダ622に収容される。ヘッドシェル601は、その裏面側に高ナットが立設され、この高ナットが放熱金属ブロック614周面の羽根状突起間の間隙を通過して内部ホルダ622の底面、および回路基板624にそれぞれ穿設されたネジ穴に対応するように位置合わせされ、ヘッドシェル601裏面側の高ナットがねじ628に螺合されることにより、内部ホルダ622に固定される。
【0068】
ヘッドシェル601、加熱冷却部612、放熱金属ブロック614、排風機616、内部ホルダ622および回路基板624は、外部ホルダ638のドラム部分内に収容され、内部ホルダ622底面に立設された高ナット652が外部ホルダ638のねじ穴と位置合わせされた上でねじ654に螺合されることにより、外部ホルダ638に固着される。これにより、外部ホルダ638はその前側の開放面がヘッドシェル601によって封止される。
【0069】
外部ホルダ638はドラム部分の底面(後側)から略円筒形のネジ部が立設され、その後端に端子ホルダ656が取り付けられる。端子ホルダ656の底面(後側)には、前述した実施形態のフリックピン15,17および28と同様のフリックピン220が設けられている。外部ホルダ638のネジ部の周面にはシリコンリング662が装着され、これにより、ネジ部の周面にねじ溝が形成されて本体側の支持部12における前側(マッサージヘッド側)のネジ溝に対応するネジ山が形成される。
【0070】
本実施形態において、ヘッドシェル601は熱伝導に優れた素材、例えば亜鉛合金で形成され、放熱金属ブロック614も同様に熱伝導に優れた素材、例えばアルミニウム合金で形成される。内部ホルダ622および外部ホルダ638は汎用の樹脂、例えばABSプラスチックで形成される。
【0071】
回路基板624は、図示しない配線によりフリックピン220に接続されると共に、図示しない配線によりサーミスタ605、加熱冷却部612、排風機616と電気的に接続される。回路基板624は、本体側の配線13または配線WR21、および、支持部12の導電体110などを介して電源部310からの給電を受け、加熱冷却部612、排風機616を駆動すると共に、サーミスタ605から出力される検知信号を処理して加熱冷却部612、排風機616を制御する。回路基板624は、本体側の回路基板19にも接続され、回路基板19から送られる指令信号に基づいて加熱冷却部612、排風機616を制御する。より具体的には、図示しない記憶素子に、予め設定された複数の閾値が記憶され、回路基板624は、サーミスタ605からの検知信号を処理してヘッドシェル601の表面温度を算出し、上記閾値と適宜比較することにより、マッサージヘッド601の温度を複数段階で制御することができる。
【0072】
回路基板624は、本実施形態において例えば特許請求に規定する「第2制御部」に対応する。
【0073】
本実施形態において、加熱冷却部612はペルチェ素子を用いて構成される。回路基板628の制御によりОNとなって本体の電源部310から直流電流が供給されると、例えばヘッドシェル601(前側)の面SF1が熱を吸収し(冷却)、反対の右側(後側)の面SF2が放熱を行う(加熱)。冷却面SF1がヘッドシェル601に接触し、冷却した温度を、ヘッドシェル601に接触している使用者の皮膚に伝えながら、反対面SF2における加熱による熱を放熱金属ブロック614に伝えることで放出させる。
【0074】
本実施形態のマッサージヘッド60は、排風機616をさらに含み、冷却モードにおいて回路基板628の制御によりОNとなり、放熱金属ブロック614に伝達した熱を、複数のタクトを介して筋膜ガンの本体外に放出し、冷却を行う。これにより、加熱面SF2の熱が迅速に放出されるので、冷却の効果を高めることができる。タクトとしては、放熱金属ブロック614の周面に沿って設けられた羽根状突起間の間隙、内部ホルダ622のドラム部周面に設けられた間隙(リング状の開口)、並びに、外部ホルダ638のドラム部周面および(後側)底面にそれぞれ設けられた間隙(リング状の開口および放射状の開口)を挙げることができる。一実施例において、排風機616の回転速度は、毎分4,200~4,500回転である。排風機616による具体的な放熱効果の一例を挙げると、例えば、25°±2°という室内温度の環境下で、最低8°Cまで可能であり、また、10°Cを約10分間持続させることができた。
【0075】
本実施形態の加熱冷却部612は、ペルチェ素子を採用するため、供給される電流のプラス・マイナス切り替えにより片側暖房・片側冷房を切り替えることができる。すなわち、回路基板628の制御により直流電流の正負極を反転させれば、それまで冷却面であったSF1を放熱用の加熱面に変更し、かつ、それまで放熱面であった面SF2を、熱を吸入する冷却面に変更することができる。したがって、加熱モードにおいては、冷却モードと反方向の電力をペルチェ素子に供給し、裏面SF2が冷却を行う一方、頂面SF1が加熱を行い、接触するヘッドシェル601を介してマッサージヘッド60に接触している使用者の皮膚に伝える。この時は、本実施形態のように排風機616を含む場合でも、排風機616は作動させない。
【0076】
本実施形態のマッサージヘッド60についても、その加熱冷却は、ユーザ操作により簡便に行うことができる。加熱冷却の温度レベルは予め設定可能であり、上述した実施形態と同様、ユーザは本体側のダイヤルスイッチ3を(例えば図2で矢示する方向に)押圧することにより任意の温度レベルを選択することができる。
【0077】
図19を参照して本実施形態の筋膜ガンのマッサージヘッド60の具体的な構成を説明したが、図19は具体的な構成の一例を示すものに過ぎない。本実施形態は、加熱冷却部を有するマッサージヘッドとして、また、加熱冷却部と排風機を有するマッサージヘッドとして、さまざまな構成例が可能である。
【0078】
(その他)
上記実施形態における説明では、3段階の設定温度を選択できる場合を取り上げたが、勿論これに限ること無く、2段階でも4段階以上の温度レベルを設定して選択可能に設計することは容易である。また、各段階の温度も任意の温度を設定できることは勿論である。
【0079】
所望の温度、所望のモードでマッサージを終えた使用者は、図9に示す例で説明すると、ダイヤルスイッチ3を回転させてダイヤル「5」に戻せば、筋膜ガンはオフになる。
【0080】
上記実施形態ではマッサージヘッドとして加熱機能を有するマッサージヘッド1,111、並びに加熱冷却機能を有するマッサージヘッド60を取り挙げたが、加熱機能も冷却機能も必要ない場合、使用者が希望する施術の対応に応じて様々な形状のマッサージヘッドを使用できることは勿論である。上記実施形態の本体2に取り付け可能な他のマッサージヘッドのいくつかの例を図20に示す。(a)はU字形で例えば前腕や脊柱、アキレス腱の両側などの筋肉での使用に好適である。(b)は球形で、例えば太ももや背部、臀部など大きな筋肉での使用に好適である。(c)は緩衝形で柔らかめの刺激を特徴とし、例えば顔や肩などの筋肉での使用に好適である。(e)は円柱形で、例えば足裏などをピンポイントに刺激するために好適である。なお、比較のため上記実施形態での(平形)マッサージヘッド1を(d)に再掲した。
【0081】
以上、添付の図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明したが、これらは発明の容易な理解のためになされたものであり、これらをもって本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。上述の実施の形態に付与した番号は、記載上の便宜を図るためのものに過ぎず、特に実施形態の優劣を示すものではない。
【0082】
当業者であれば、本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない範囲で、種々の変更を加えて本発明を実現でき、例えば、一つの実施例の特徴を別の実施例に組み込むことで、もう一つの実施例を得ることができる。当業者は、特許請求の範囲を逸脱することなく本発明の趣旨に沿って様々な変更、同等な置換、又は改良などを行うことができる。
【符号の説明】
【0083】
1,60,111…マッサージヘッド
2…本体
3…ダイヤルスイッチ
4,140…インジケータバー
12…支持部
13…シリコンスリーブ
15,17,120,220…フリックピン
19…(第1)回路基板
20…モーションモータ
21…偏心カム
24,601…ヘッドシェル
25…サーミスタ
26…発熱片
27…コネクティングロッド
28…(第2)回路基板
31…バッテリ
50…中継部材
51…(第2)連結部
53…固定部
529…突出部
531…基台
55…弾性ビーズ(第2導電部)
57…導電ストライプ(第1導電部)
100,102,104…筋膜ガン
110…導電体
130…充電ベース
300…把持部
310…電源部
320…USBポート
553…導電ボール(第2導電材)
555…導電スプリング(弾性部材)
612…ペルチェ素子(加熱冷却部)
614…放熱金属ブロック
616…排風機
622…内部ホルダ
656…端子ホルダ
662…シリコンリング
628,654…ねじ
652…高ナット
626…低ナット
638…外部ホルダ
SF1…第1側面(加熱面または冷却面)
SF2…第2側面(冷却面または加熱面)
WR1,WR21,WR22…配線
【要約】
【課題】加熱冷却機能を有し、簡易な構成でより利便性の高い筋膜ガンを提供する。
【解決手段】一実施形態による筋膜ガンは、加熱冷却機能を有するペルチェ素子を含むマッサージヘッドと本体とを備え、前記本体は、前記マッサージヘッドを摺動可能に前記本体に結合する支持部と、第1連結部材を介して前記支持部に連結されて前記支持部を摺動する駆動部と、前記駆動部に電力を供給する電源部と、前記駆動部と前記マッサージヘッドとを制御する第1制御部と、前記電源部へ接続されるとともに、前記支持部において前記マッサージヘッドと電気的に接続可能に設けられた導電部と、を含む。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20