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特許7471030表示制御装置および方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】表示制御装置および方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/36 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A63B69/36 541W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023144960
(22)【出願日】2023-09-07
【審査請求日】2023-09-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513005349
【氏名又は名称】有限会社AMPLUS
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】倉地 伸尚
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】特許第6986766(JP,B2)
【文献】特許第7148192(JP,B1)
【文献】特許第5877978(JP,B2)
【文献】特許第6589692(JP,B2)
【文献】特開2015-173862(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0336834(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/36
A63B 69/00
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフクラブのクラブヘッドを上から撮影した2次元の撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像に基づいて、前記クラブヘッドの輪郭を抽出する輪郭抽出部と、
前記ゴルフクラブがドライバである場合、前記撮影画像に基づいて、前記ドライバのフェイス面とクラウン部分との境界線を検出する線分検出部と、
前記輪郭抽出部によって抽出された前記クラブヘッドの輪郭と前記線分検出部によって検出された境界線とを合わせて表示させ、かつ時系列に撮影された複数の前記撮影画像に基づく前記輪郭および前記境界線の複数の組み合わせを、時系列に順次表示させる制御部とを備えた表示制御装置。
【請求項2】
ゴルフクラブのクラブヘッドを上から撮影した2次元の撮影画像を取得する撮影画像取得部と、
前記撮影画像に基づいて、前記クラブヘッドの輪郭を抽出する輪郭抽出部と、
前記ゴルフクラブがアイアンである場合、前記撮影画像に基づいて、前記アイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出する線分検出部と、
前記輪郭抽出部によって抽出された前記クラブヘッドの輪郭と前記線分検出部によって検出されたリーディングエッジおよびトップラインとを合わせて表示させ、かつ時系列に撮影された複数の前記撮影画像に基づく前記輪郭と前記リーディングエッジおよびトップラインの複数の組み合わせを、時系列に順次表示させる制御部とを備えた表示制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記輪郭内に、前記クラブヘッドの撮影画像とは異なる所定の色または模様を表示させる請求項1または2記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記境界線に対して前記フェイス面側とは反対側のみの前記輪郭内に、前記クラブヘッドの撮影画像とは異なる所定の色のパターンまたは模様を表示させる請求項1記載の表示制御装置。
【請求項5】
ゴルフクラブのクラブヘッドを上から撮影した2次元の撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づいて、前記クラブヘッドの輪郭を抽出するステップと、
前記ゴルフクラブがドライバである場合、前記撮影画像に基づいて、前記ドライバのフェイス面とクラウン部分との境界線を検出するステップと、
前記抽出したクラブヘッドの輪郭と前記検出した境界線とを合わせて表示させ、かつ時系列に撮影された複数の前記撮影画像に基づく前記輪郭および前記境界線の複数の組み合わせを、時系列に順次表示させるステップとをコンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【請求項6】
ゴルフクラブのクラブヘッドを上から撮影した2次元の撮影画像を取得するステップと、
前記撮影画像に基づいて、前記クラブヘッドの輪郭を抽出するステップと、
前記ゴルフクラブがアイアンである場合、前記撮影画像に基づいて、前記アイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出するステップと、
前記抽出したクラブヘッドの輪郭と前記検出したリーディングエッジおよびトップラインとを合わせて表示させ、かつ時系列に撮影された複数の前記撮影画像に基づく前記輪郭と前記リーディングエッジおよびトップラインの複数の組み合わせを、時系列に順次表示させるステップとをコンピュータに実行させる表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブのスイング中のクラブヘッドを撮影した撮影画像に基づいて、グラブヘッドに関する情報を表示させる表示制御装置および方法並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルファーのスイングを撮影して、その撮影情報を提供する装置が種々提案されている。スイングの撮影情報をゴルファーに提供することによって、ゴルフの上達を促したり、そのゴルファーに適したゴルフクラブの選択を促すことができる。
【0003】
上述した装置として、たとえば特許文献1には、ゴルフクラブをスイングしたときのゴルフクラブとゴルフボールとを上から撮影し、各撮影画像に含まれるクラブヘッドのフェイス面を検出し、その検出した複数のフェイス面を表す線分を表示させる装置が提案されている。このようにフェイス面を表す線分を表示させることによって、フェイス面の開きなどを認識することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-103483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ゴルファーのスイングで重要な要素として、スイング中のクラブヘッドのフェイス面の傾きがある。ここでいうフェイス面の傾きとは、クラブのフェイスを側面から見た時にフェイス面の水平面に対する傾きのことである。フェイス面の傾きは、ゴルフボールの飛距離、ゴルフボールが上がる高さおよびゴルフボールのスピン量などに影響し、スイング中のクラブヘッドのフェイス面の傾きを認識することによって、ゴルファーのスイングの特徴を把握することができ、また、その特徴に合わせたロフト角やライ角を有するゴルフクラブを選択することができる。
【0006】
特許文献1では、クラブヘッドを上方から見たときのフェイス面を単なる線分で表示させているだけであるため、上述したようにフェイス面の開きなどを認識することはできるが、フェイス面の傾きを認識することができない。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、フェイス面の水平面に対する傾きを容易に認識することができる表示制御装置および方法並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の表示制御装置は、ゴルフクラブのクラブヘッドを撮影した撮影画像を取得する撮影画像取得部と、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの輪郭を抽出する輪郭抽出部と、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの所定の部位を表す線分を検出する線分検出部と、輪郭抽出部によって抽出されたクラブヘッドの輪郭と線分検出部によって検出された線分とを合わせて表示させる制御部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表示制御装置によれば、クラブヘッドの撮影画像に基づいて、クラブヘッドの輪郭を抽出するとともに、クラブヘッドの所定の部位を表す線分を検出し、その抽出したクラブヘッドの輪郭と検出した線分とを合わせて表示させるようにしたので、3次元的なクラブヘッドのロフト角を表現することができ、これによりフェイス面の水平面に対する傾きを容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の表示制御装置の一実施形態を用いたゴルフインパクト解析システムの概略構成を示す図
図2】ドライバのクラブヘッドの輪郭とクラブヘッドのフェイス面とクラウンの部分との境界線を合わせて表示した場合の表示例を示す図
図3図2に示したドライバのクラブヘッドの輪郭内にグラデーションの模様を表示させた例を示す図
図4】ゴルフクラブがアイアンの場合の表示例を示す図
図5図1に示すゴルフインパクト解析システムの処理の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の表示制御装置の一実施形態を用いたゴルフインパクト解析システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態のゴルフインパクト解析システムは、撮影画像に含まれるクラブヘッドに関する情報の表示方法に特徴を有するものであるが、まずは、ゴルフインパクト解析システム全体について説明する。図1は、本実施形態のゴルフインパクト解析システム1の概略構成図である。
【0012】
本実施形態のゴルフインパクト解析システム1は、図1に示すように、撮影装置10と、制御装置20と、投影装置30とを備えている。撮影装置10と制御装置20との間および制御装置20と投影装置30との間は、有線または無線によって通信可能に接続されており、種々の信号のやり取りが可能に構成されている。
【0013】
撮影装置10は、ゴルファー40がゴルフクラブ41をスイングした際のそのゴルフクラブ41のクラブヘッド41aを上方から撮影する。撮影装置10は、ゴルフクラブ41をスイングするゴルファー40よりも上方に設置され、クラブヘッド41aが床面の近傍を通過する範囲を撮影可能なように、上記範囲の真上に設置される。具体的には、撮影装置10は、たとえば床面上に予め設定されたゴルフボール42の設置位置Pを中心近傍に含む所定の撮影範囲Rの真上に設置される。撮影装置10は、たとえばスタンドなどの支持部材に設置してもよいし、天井に設置するようにしてもよい。そして、撮影装置10は、クラブヘッド41aを上方から撮影する。
【0014】
撮影装置10は、照明部11と、カメラ部12とを備えている。本実施形態の照明部11は、赤外光源を有し、その赤外光源から発せられた赤外光を上記撮影範囲Rに照射する。また、カメラ部12は、CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-coupled devices)イメージセンサなどの撮像素子と、その撮像素子の前面に配置されたIRフィルタを有する。IRフィルタは、可視光を吸収し、赤外光を透過する光学フィルタである。
【0015】
撮影装置10は、制御装置20の後述する制御部24から出力された制御信号に基づいて、照明部11から赤外光を出射し、カメラ部12によって上記撮影範囲Rの撮影を行う。具体的には、撮影装置10は、所定のフレームレートで照明部11から赤外光を出射するとともに、上記撮影範囲Rを通過するクラブヘッド41aを撮影する。撮影装置10によって所定のフレームレートで撮影された撮影画像は、制御装置20に出力される。
【0016】
制御装置20は、コンピュータなどから構成され、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random access memory)などの半導体メモリ、ハードディスクなどのストレージ、並びに通信I/Fなどのハードウェアを備える。本実施形態においては、制御装置20が、本発明の表示制御装置に相当する。
【0017】
制御装置20は、撮影画像取得部21と、輪郭抽出部22と、線分検出部23と、制御部24と、表示部25と、入力部26とを備えている。
【0018】
制御装置20の半導体メモリまたはハードディスクには、ゴルフインパクト解析プログラムがインストールされている。そして、このプログラムがCPUおよびGPUによって実行されることによって、上述した撮影画像取得部21、輪郭抽出部22、線分検出部23および制御部24が機能する。なお、本実施形態においては、上述した各部の機能を全てゴルフインパクト解析プログラムによって実行するようにしたが、これに限らず、一部または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0019】
以下、制御装置20の各部について詳細に説明する。
【0020】
撮影画像取得部21は、ゴルフクラブ41のスイング中において、撮影装置10によってクラブヘッド41aを時系列に撮影した複数の撮影画像を取得する。
【0021】
輪郭抽出部22は、撮影画像取得部21によって取得された撮影画像に基づいて、各撮影画像内に含まれるクラブヘッド41aの輪郭を抽出する。本実施形態の輪郭抽出部22は、機械学習による物体認識モデルを用いて撮影画像をセグメンテーションすることによってクラブヘッド41aの輪郭を抽出する。
【0022】
セグメンテーションの手法としては、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)、FCN(全層畳み込みネットワーク)、SegNet、FPN(特徴ピラミッドネットワーク)、R-CNNおよびRNN(再帰型ニューラルネットワーク)などを用いることができる。
【0023】
なお、各撮影画像からクラブヘッド41aの輪郭を抽出する方法としては、上記のような物体認識モデルを用いたセグメンテーションに限らず、その他のパターン認識などの公知な手法を用いることができる。
【0024】
線分検出部23は、撮影画像取得部21によって取得された撮影画像に基づいて、各撮影画像に含まれるクラブヘッド41aの所定の部位を表す線分を検出する。線分検出部23は、たとえばゴルフクラブ41がドライバである場合には、クラブヘッド41aの所定の部位を表す線分として、ドライバのフェイス面とクラウン部分との境界線を検出する。なお、本明細書全体通してフェイス面という言葉を使用しているが、このフェイス面は、クラブヘッド41aにおいてゴルフボールがインパクトする面のことを意味するが、フェース面という言葉で表されることもある。すなわち本明細書で使用されているフェイス面とフェース面は同じ意味である。
【0025】
また、線分検出部23は、たとえばゴルフクラブ41がアイアンである場合には、クラブヘッドの所定の部位を表す線分として、アイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出する。
【0026】
線分検出部23は、クラブヘッド41aを撮影した複数の任意の撮影画像と、その各撮影画像に含まれるクラブヘッド41aのフェイス面とクラウン部分との境界線との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルを有する。
【0027】
そして、線分検出部23は、その学習済みモデルに対して、撮影画像取得部21によって取得された撮影画像を入力することによって、その入力した撮影画像に含まれるクラブヘッド41aのフェイス面とクラウン部分との境界線を検出する。学習済みモデルとしては、たとえばCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて生成されるが、これに限らず、その他の公知な機械学習モデルを用いて機械学習するようにしてもよい。
【0028】
学習済みモデルは、たとえば撮影画像に含まれるドライバのフェイス面とクラウン部分との境界線の位置にアノテーションを付した撮影画像を機械学習させることによって生成される。機械学習は、セマンティック・セグメンテーションの機械学習や、ヒートマップを考慮したキー・ポイント機械学習の技術に基づいて行われる。
【0029】
また、学習済みモデルは、明度が異なる複数の撮影画像と各撮影画像に含まれる上記境界線との関係を機械学習して得られたものとすることが好ましい。すなわち、学習済みモデルを機械学習させる際に用いる複数の撮影画像としては、明度が異なる撮影画像とすることが好ましい。これにより、たとえば学習済みモデルに入力される撮影画像の照明環境が異なり、明度が異なる場合でも、フェイス面とクラウン部分との境界線を同等の精度で検出することができる。なお、学習済みモデルに対して、検出対象の撮影画像を入力する際には、線分検出部23は、撮影画像に対してグレースケールの平均化(平坦化)処理を施すことがより好ましい。
【0030】
また、本実施形態では、線分検出部23が、学習済みモデルを有するようにしたが、これに限らず、たとえば制御装置20とは異なる外部サーバ装置に予め記憶された学習済みモデルを使用するようにしてもよい。
【0031】
また、線分検出部23は、アイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出する場合にも、ドライバの上記境界線を検出する方法と同様の方法を用いて検出することができる。すなわち、線分検出部23は、たとえば撮影画像に含まれるアイアンのリーディングエッジおよびトップラインにアノテーションを付した撮影画像を機械学習させることによって生成された学習済みモデルを用いて、所定の撮影画像に含まれるアイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出する。
【0032】
また、クラブヘッド41aの所定の部位を表す線分は、上記の例に限らず、たとえば線分検出部23が、クラブヘッド41aのトゥとヒールとを結ぶ線分を検出するようにしてもよい。この場合も、たとえば撮影画像に含まれるクラブヘッドのトゥとヒールを結ぶ線分にアノテーションを付した撮影画像を機械学習させることによって生成された学習済みモデルを用いて、所定の撮影画像に含まれるクラブヘッドのトゥとヒールを結ぶ線分を検出する。
【0033】
次に、制御部24は、ゴルフインパクト解析システム1全体を制御するものである。具体的には、制御部24は、通信I/Fを介して撮影装置10と通信し、撮影装置10に対して撮影開始タイミングや撮影のフレームレートなどを指示する制御信号を出力する。また、制御部24は、通信I/Fを介して投影装置30と通信し、種々の情報を投影装置30によって床面に表示させる。
【0034】
特に、本実施形態の制御部24は、輪郭抽出部22によって抽出された各撮影画像に含まれるクラブヘッド41aの輪郭と、線分検出部23によって検出されたクラブヘッド41aの所定の部位を表す線分とを合わせて、投影装置30によって床面に表示させる。
【0035】
図2は、ドライバのクラブヘッド41aの輪郭Lと、クラブヘッド41aのフェイス面とクラウンの部分との境界線Bを合わせて表示した場合の表示例を示す図である。図2に示すように、制御部24は、たとえば時系列に撮影された撮影画像からそれぞれ抽出された輪郭Lと各撮影画像から検出された境界線Bを並べて表示させる。
【0036】
このようにクラブヘッド41aの輪郭Lに対して、クラブヘッド41aのフェイス面とクラウン部分との境界線Bを合わせて表示することによって、3次元的なクラブヘッドのロフト角を表現することができ、これによりフェイス面の水平面に対する傾きを容易に認識することができる。
【0037】
また、制御部24は、輪郭Lと境界線Bを、その撮影画像が撮影された順に順次表示させるようにしてもよい。
【0038】
また、制御部24は、ゴルフクラブ41のスイング中に時系列に撮影された撮影画像を床面に順次表示させ、その順次表示される各撮影画像上に、輪郭Lおよび境界線Bを合わせて順次表示させるようにしてもよい。これにより、ゴルフクラブ41のスイング中におけるフェイス面の傾きの変遷を認識することができ、スイングの良し悪しを確認したり、ゴルフクラブ41の適否を確認したりすることができる。
【0039】
また、制御部24は、上述したように輪郭Lおよび境界線Bを床面に表示させる際、輪郭L内に、クラブヘッド41aの撮影画像とは異なる所定の色のパターンまたは模様を表示させることができる。図3は、図2に示したドライバのクラブヘッド41aの輪郭L内にグラデーションの模様を表示させた例を示す図である。図3に示すように輪郭L内にグラデーションの模様を表示させることによって、輪郭Lをより立体的に表示させることができる。また、輪郭L内の表示は、図3に示すようなグラデーション表示に限らず、点群やメッシュを表示させることによって3次元的に表示するようにしてもよい。
【0040】
また、図3に示す例では、輪郭L内全体をグラデーション表示するようにしたが、これに限らず、たとえば境界線Bに対してフェイス面側とは反対側の輪郭L内のみに所定の色のパターンまたは模様を表示させるようにしてもよい。これにより、輪郭Lをより立体的に見せることができるとともに、フェイス面の範囲をより明確に表示することができる。
【0041】
また、図4は、ゴルフクラブ41がアイアンの場合の表示例を示す図である。ゴルフクラブ41がアイアンの場合、上述したようにクラブヘッド41aの輪郭Lと、リーディングエッジLEおよびトップラインTLとが合わせて床面に表示される。図4は、1枚の撮影画像から抽出および検出された輪郭L、リーディングエッジLEおよびトップラインTLしか示していないが、制御部24は、ゴルフクラブがドライバの場合と同様に、時系列に撮影された各撮影画像から抽出および検出された輪郭L、リーディングエッジLEおよびトップラインTLを表示させることができる。また、輪郭L、リーディングエッジLEおよびトップラインTLを、その撮影画像が撮影された順に順次表示させるようにしてもよい。
【0042】
このように、アイアンのクラブヘッド41aの輪郭L、リーディングエッジLEおよびトップラインTLを床面に合わせて表示させることによって、ゴルフクラブ41の3次元的なロフト角を表現することができ、スイング中におけるフェイス面の傾きの変化も認識することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、ゴルフクラブ41がアイアンの場合、リーディングエッジLEおよびトップラインTLを表示させるようにしたが、いずれか一方のみでもよい。
【0044】
また、本実施形態においては、ゴルフクラブ41がアイアンの場合、リーディングエッジLEおよびトップラインTLを検出して表示するようにしたが、トレーリングエッジを検出して表示するようにしてもよい。たとえばフェイス面が過度に傾き、トップラインがリーディングエッジよりも先行して進んでいる場合には、リーディングエッジは上から見えなくなるため、トップラインとトレーリングエッジを表示させるようにしてもよい。また、この場合、トップラインのみを表示させるようにしてもよい。
【0045】
また、制御部24は、ゴルフクラブ41がアイアンの場合においてもドライバの場合と同様に、輪郭L内に、クラブヘッド41aの撮影画像とは異なる所定の色のパターンまたは模様を表示させるようにしてもよい。
【0046】
また、制御部24は、投影装置30によって床面に投影されるクラブヘッド41aの輪郭L、クラブヘッド41aの所定の部位を表す線分および各撮影画像などを表示部25にも表示させることができる。
【0047】
表示部25は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示デバイスを備える。また、入力部26は、たとえばマウスやキーボードなどの入力デバイスを備える。また、制御装置20をタブレット端末から構成し、表示部25および入力部26をタッチパネルから構成するようにしてもよい。
【0048】
次に、図1に戻り、投影装置30は、プロジェクタから構成され、上述したように制御装置20の制御部24による制御によって、床面に対して、クラブヘッド41aの輪郭Lおよびクラブヘッド41aの所定の部位を表す線分(境界線B、リーディングエッジLEおよびトップラインTLなど)を合わせて投影表示する。
【0049】
投影装置30は、床面上のゴルフボール42の設置位置Pを中心近傍に含む所定の投影範囲に、クラブヘッド41aの輪郭およびクラブヘッド41aの所定の部位を表す線分(境界線B、リーディングエッジLEおよびトップラインTLなど)を投影表示可能なように設置される。投影装置30は、たとえば撮影装置10とともにスタンドなどの支持部材に設置してもよいし、天井に設置するようにしてもよい。
【0050】
次に、ゴルフインパクト解析システム1の処理の流れについて、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、ここでは、ゴルフクラブ41がドライバの場合について説明する。
【0051】
まず、ゴルフインパクト解析システム1の各装置が起動される(S10)。次いで、図1に示すように撮影範囲Rの近傍にゴルファーが立ち、撮影範囲R内におけるゴルフボールの設置位置Pにゴルフボール42を設置する。
【0052】
そして、ユーザによって制御装置20において撮影開始指示が設定入力され、撮影装置10による撮影が開始される(S12)。
【0053】
撮影装置10による撮影が開始された後、ゴルファーがゴルフクラブ41をスイングし、ゴルフボール42を打つ(S14)。
【0054】
ゴルファーがゴルフクラブ41をスイングする間、撮影装置10によって撮影範囲R内の撮影画像が所定のフレームレートで撮影され(S16)、時系列に撮影された撮影画像が、制御装置20に順次出力される。撮影装置10は、撮影開始から予め設定された時間だけ経過した時点で撮影を終了する(S18)。
【0055】
撮影装置10から出力された撮影画像は制御装置20に入力され、撮影画像取得部21によって取得される(S20)。輪郭抽出部22が、撮影画像取得部21によって取得された各撮影画像を上述した物体認識モデルに入力することによって、クラブヘッド41aの輪郭Lを抽出する(S22)。また、線分検出部23が、撮影画像取得部21によって取得された各撮影画像を上述した学習済みモデルに入力することによって、クラブヘッド41aのフェイス面とクラウンの部分との境界線Bを検出する(S24)。
【0056】
そして、制御部24は、各撮影画像から抽出された輪郭Lおよび各撮影画像から検出された境界線Bを合わせて、投影装置30によって投影表示させる(S26)。
【0057】
なお、上記実施形態においては、クラブヘッド41aを真上から撮影した例を説明しているが、少なくともがクラブヘッド41a全体と、上述したクラブヘッド41aの所定の部位を撮影できれば、撮影角度は、これに限らない。
【0058】
また、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0059】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0060】
(付記1)
本発明の表示制御装置は、ゴルフクラブのクラブヘッドを撮影した撮影画像を取得する撮影画像取得部と、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの輪郭を抽出する輪郭抽出部と、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの所定の部位を表す線分を検出する線分検出部と、輪郭抽出部によって抽出されたクラブヘッドの輪郭と線分検出部によって検出された線分とを合わせて表示させる制御部とを備える。
【0061】
(付記2)
付記1記載の表示制御装置において、線分検出部は、ゴルフクラブがドライバである場合、クラブヘッドの所定の部位を表す線分として、ドライバのフェイス面とクラウン部分との境界線を検出することができる。
【0062】
(付記3)
付記1または付記2に記載の表示制御装置において、線分検出部は、ゴルフクラブがアイアンである場合、クラブヘッドの所定の部位を表す線分として、アイアンのリーディングエッジおよびトップラインを検出することができる。
【0063】
(付記4)
付記1から付記3いずれかに記載の表示制御装置において、制御部は、上記輪郭内に、クラブヘッドの撮影画像とは異なる所定の色または模様を表示させることができる。
【0064】
(付記5)
付記2記載の表示制御装置において、制御部は、境界線に対してフェイス面側とは反対側のみの上記輪郭内に、クラブヘッドの撮影画像とは異なる所定の色のパターンまたは模様を表示させることができる。
【0065】
(付記6)
本発明の表示制御方法は、ゴルフクラブのクラブヘッドを撮影した撮影画像を取得し、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの輪郭を抽出し、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの所定の部位を表す線分を検出し、抽出したクラブヘッドの輪郭と検出した線分とを合わせて表示させる。
【0066】
(付記7)
本発明の表示制御プログラムは、ゴルフクラブのクラブヘッドを撮影した撮影画像を取得するステップと、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの輪郭を抽出するステップと、撮影画像に基づいて、クラブヘッドの所定の部位を表す線分を検出するステップと、抽出したクラブヘッドの輪郭と検出した線分とを合わせて表示させるステップとをコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0067】
1 ゴルフインパクト解析システム
10 撮影装置
11 照明部
12 カメラ部
20 制御装置
21 撮影画像取得部
22 輪郭抽出部
23 線分検出部
24 制御部
25 表示部
26 入力部
30 投影装置
40 ゴルファー
41 ゴルフクラブ
41a クラブヘッド
42 ゴルフボール
B 境界線
L 輪郭
LE リーディングエッジ
P 設置位置
R 撮影範囲
TL トップライン

【要約】
【課題】フェイス面の水平面に対する傾きを容易に認識することができる表示制御装置および方法並びにプログラムを提供する。
【解決手段】ゴルフクラブ41のクラブヘッド41aを撮影した撮影画像を取得する撮影画像取得部21と、撮影画像に基づいて、クラブヘッド41aの輪郭を抽出する輪郭抽出部22と、撮影画像に基づいて、クラブヘッド41aの所定の部位を表す線分を検出する線分検出部23と、輪郭抽出部22によって抽出されたクラブヘッド41aの輪郭と線分検出部23によって検出された線分とを合わせて表示させる制御部24とを備える。
【選択図】図1

図1
図2
図3
図4
図5