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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】袋体の使用方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 7/06 20060101AFI20240412BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A47G7/06 Z
B65D30/16 C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2017209947
(22)【出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2019080762
(43)【公開日】2019-05-30
【審査請求日】2020-10-27
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】391042025
【氏名又は名称】ジオパック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096770
【弁理士】
【氏名又は名称】四宮 通
(72)【発明者】
【氏名】時田 義明
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】八木 敬太
【審判官】村上 聡
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3169691(JP,U)
【文献】特開2004-67149(JP,A)
【文献】登録実用新案第3110027(JP,U)
【文献】実公昭49-5193(JP,Y1)
【文献】実開昭53-144427(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G7/00-7/08
B65D33/00-33/38
B65D85/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体を花瓶として使用する袋体の使用方法であって、
前記袋体は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部とを有し、内面が耐水性を有し、可撓性を有するシートで構成され、かつ、保形線材及び保形板を用いることなく自立性を持つように構成され、
前記袋体において、前記胴部の前面部及び前記胴部の後面部が、前記胴部の側部よりも前記胴部の前記他端から前記胴部の前記一端へ向かう方向に延在し、
前記袋体において、前記前面部及び前記後面部の前記方向への延在部分には、前記前面部及び前記後面部の互いに重なった当該延在部分を貫通しかつ1本以上の手指の差し入れが可能な1つ以上の孔が形成され
記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分のうちの少なくとも一方の延在部分を内側に曲げて、花類の根本側を、前記少なくとも一方の延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けることを特徴とする袋体の使用方法。
【請求項2】
袋体を花瓶として使用する袋体の使用方法であって、
前記袋体は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部とを有し、内面が耐水性を有し、可撓性を有するシートで構成され、かつ、保形線材及び保形板を用いることなく自立性を持つように構成され、
前記袋体において、前記胴部の前面部及び前記胴部の後面部が、前記胴部の側部よりも前記胴部の前記他端から前記胴部の前記一端へ向かう方向に延在し、
前記袋体において、前記前面部及び前記後面部の前記方向への延在部分には、前記前面部及び前記後面部の互いに重なった当該延在部分を貫通しかつ1本以上の手指の差し入れが可能な1つ以上の孔が形成され
記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分を少なくとも前記孔の付近で互いに重なるように内側に曲げて、花類の根本側を、前記前面部の前記延在部分の前記孔及び前記後面部の前記延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けることを特徴とする袋体の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花瓶用袋体、及び、袋体を花瓶として使用する袋体の使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
花瓶用袋体としては、例えば、下記特許文献1に開示されている袋状花器が知られている。この袋状花器は、外袋と防水性を備えた内袋とを組み合わせてなり、上部袋口を草花の生け口とした袋状をなすと共に、この生け口を巡るように備えられた口部保形線材と、袋底の保形板と、側部保形線材とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4791795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の袋状花器では、口部保形線材、保形板及び側部保形線材を備えているので、コストアップを免れない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要しないとともに花類を生けたときに倒れ難くくなる花瓶用袋体を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要しない袋体を花瓶として使用する使用方法であって、花類を生けたときに倒れ難くくなる袋体の使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による花瓶用袋体は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部とを有し、内面が耐水性を有し、かつ、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成された花瓶用袋体であって、前記胴部の前面部及び前記胴部の後面部が、前記胴部の側部よりも前記胴部の前記他端から前記胴部の前記一端へ向かう方向に延在し、前記前面部及び前記後面部の前記方向への延在部分には、前記前面部及び前記後面部の互いに重なった当該延在部分を貫通しかつ1本以上の手指の差し入れが可能な1つ以上の貫通孔をなす孔が形成されたものである。
【0008】
なお、本明細書において、花類は、生ける対象となる植物等をいい、切花等の花物、葉物、実物(みもの)などの植物を含む。
【0009】
前記第1の態様による花瓶用袋体は、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成されているので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要せず、特別な保形部材を要する場合に比べてコストダウンを図ることができる。そして、この第1の態様によれば、前記孔を有する前記延在部分を備えているので、これを利用することで、花類を生けたときに倒れ難くくすることができる。
【0010】
第2の態様による花瓶用袋体は、前記第1の態様において、花類が当該花瓶用袋体に生けられる場合、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分のうちの少なくとも一方の延在部分が内側に曲げられて、前記花類の根本側が、前記少なくとも一方の延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れられるものである。
【0011】
この第2の態様によれば、花類が当該花瓶用袋体に生けられる場合、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分のうちの少なくとも一方の延在部分が内側に曲げられて、前記花類の根本側が、前記少なくとも一方の延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れられるので、花類は当該孔に規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。
【0012】
第3の態様による花瓶用袋体は、前記第1の態様において、花類が当該花瓶用袋体に生けられる場合、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分が少なくとも前記孔の付近で互いに重なるように内側に曲げられて、前記花類の根本側が、前記前面部の前記延在部分の前記孔及び前記後面部の前記延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れられるものである。
【0013】
この第3の態様によれば、花類が当該花瓶用袋体に生けられる場合、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分が少なくとも前記孔の付近で互いに重なるように内側に曲げられて、前記花類の根本側が、前記前面部の前記延在部分の前記孔及び前記後面部の前記延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れられるので、花類は当該孔に規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。
【0014】
第4の態様による袋体の使用方法は、袋体を花瓶として使用する袋体の使用方法であって、前記袋体は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部とを有し、内面が耐水性を有し、かつ、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成され、前記袋体において、前記胴部の前面部及び前記胴部の後面部が、前記胴部の側部よりも前記胴部の前記他端から前記胴部の前記一端へ向かう方向に延在し、前記袋体において、前記前面部及び前記後面部の前記方向への延在部分には、前記前面部及び前記後面部の互いに重なった当該延在部分を貫通しかつ1本以上の手指の差し入れが可能な1つ以上の孔が形成されたものである。そして、この第4の態様による袋体の使用方法は、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分のうちの少なくとも一方の延在部分を内側に曲げて、花類の根本側を、前記少なくとも一方の延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けるものである。
【0015】
この第4の態様で用いられる前記袋体は、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成されているので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要せず、特別な保形部材を要する場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0016】
そして、前記第4の態様によれば、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分のうちの少なくとも一方の延在部分を内側に曲げて、花類の根本側を、前記少なくとも一方の延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けるので、花類は当該孔に規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。
【0017】
第5の態様による袋体の使用方法は、袋体を花瓶として使用する袋体の使用方法であって、前記袋体は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部とを有し、内面が耐水性を有し、かつ、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成され、前記袋体において、前記胴部の前面部及び前記胴部の後面部が、前記胴部の側部よりも前記胴部の前記他端から前記胴部の前記一端へ向かう方向に延在し、前記袋体において、前記前面部及び前記後面部の前記方向への延在部分には、前記前面部及び前記後面部の互いに重なった当該延在部分を貫通しかつ1本以上の手指の差し入れが可能な1つ以上の孔が形成されたものである。そして、この第5の態様による袋体の使用方法は、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分を少なくとも前記孔の付近で互いに重なるように内側に曲げて、花類の根本側を、前記前面部の前記延在部分の前記孔及び前記後面部の前記延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けるものである。
【0018】
この第5の態様で用いられる前記袋体は、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成されているので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要せず、特別な保形部材を要する場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0019】
そして、前記第5の態様によれば、前記前面部の前記延在部分及び前記後面部の前記延在部分を少なくとも前記孔の付近で互いに重なるように内側に曲げて、花類の根本側を、前記前面部の前記延在部分の前記孔及び前記後面部の前記延在部分の前記孔を通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けるので、花類は当該孔に規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要しないとともに花類を生けたときに倒れ難くくなる花瓶用袋体を提供することができる。
【0021】
また、本発明は、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要しない袋体を花瓶として使用する使用方法であって、花類を生けたときに倒れ難くくなる袋体の使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施の形態による袋体の使用方法で用いられる袋体の、開口部が中程度開口した状態を示す概略斜視図である。
図2図1に示す袋体の、開口部が完全に開口した状態を示す概略斜視図である。
図3図1に示す袋体の、扁平状態を示す概略正面図及び概略右側面図である。
図4図1に示す袋体の概略分解斜視図である。
図5図1に示す袋体の、開口部が閉じた状態を示す斜め上方かつ左側部の側から見た全体概略斜視図である。
図6図1の示す袋体の第1の具体例による袋体の全体を斜め上方から見た写真である。
図7図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第1の状態の全体を斜め上方から見た写真である。
図8図7中の花類を生けた袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。
図9図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第2の状態の全体を斜め上方から見た写真である。
図10図9中の花類を生けた袋体の上部付近を斜め側方から見た写真である。
図11図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第3の状態の、当該袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。
図12図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第3の状態(図11に示す状態)にする途中の状態の、当該袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。
図13図1の示す袋体の第2の具体例による袋体の全体を斜め上方から見た写真である。
図14図13に示す第2の具体例による袋体に花類を生ける途中の状態の、当該袋体を斜め上方から見た写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明による花瓶用袋体、及び、本発明による袋体の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
【0025】
図1は、本発明の一実施の形態による袋体の使用方法で用いられる袋体(本発明の一実施の形態による花瓶用袋体)1の、開口部1aが中程度開口した状態を示す概略斜視図である。図2は、図1に示す袋体1の、開口部1aが完全に開口した状態を示す概略斜視図である。図3(a)は、図1に示す袋体1の扁平状態を示す概略正面図である。図3(a)において、ヒートシールされている領域R1,R2,R3にはハッチングを付している。図3(b)は、図1に示す袋体1の扁平状態を示す概略右側面図である。ただし、図3(b)では、襠部分を構成する右側部13の図示は省略している。図4は、図1に示す袋体1の概略分解斜視図である。図5は、図1に示す袋体1の、開口部1aが閉じた状態を示す斜め上方かつ左側部14の側から見た全体概略斜視図である。
【0026】
以下の説明では、図1中の紙面手前側を前側、図1中の紙面奥側を後側として説明するが、その逆でもよい。「前」及び「後」は、いずれの側が「前」で「いずれの側が「後」であるかは固定的に定まるものではなく、「前」をいずれか一方の側とした場合に、「後」はその反対側を意味するものである。
【0027】
本例では、袋体1は、一端が開口した胴部と前記胴部の他端を閉塞する底部15とを有し、内面が耐水性を有し、かつ、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成され、角底袋として構成されている。もっとも、本発明では、袋体1は、角底袋ではなく他の形態の袋体として構成してもよい。
【0028】
本例では、袋体1の胴部は、前面部11、後面部12及び襠部分をなす両側部13,14で角筒状に構成され、その上端に開口部1aを有し、その下端は角底をなす底部15によって閉塞されている。本例では、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15は、図4に示すようにそれぞれ別々の可撓性を有するシートで構成され、これらの5枚のシートがヒートシールされることにより袋体1が構成されている。これらのシートの材質については、後述する。
【0029】
袋体1の右側部13に折り線13a~13dが形成され、袋体1の左側部14に折り線14a~14dが形成され、袋体1の底部15に折り線15aが形成され、これにより、袋体1は、図3に示すように扁平状態に折り畳むことができるようになっている。この扁平状態では、開口部1aは閉じられている。
【0030】
この扁平状態において、前面部11と後面部12とがちょうど重なっており、前面部11と後面部12との間に、折り線13a~13dで折り畳まれた右側部13(図4参照)、折り線14a~14dで折り畳まれた左側部14(図4参照)及び折り線15aで折り畳まれた底部15が図3に示すように配置されている。そして、前面部11及び後面部12の右辺に沿った領域R1において、前面部11と右側部13との間、後面部12と右側部13との間、及び、底部15と右側部13との間がヒートシールされている。また、前面部11及び後面部12の左辺に沿った領域R2において、前面部11と左側部14との間、後面部12と左側部14との間、及び、底部15と左側部14との間がヒートシールされている。さらに、前面部11及び後面部12の下辺に沿った領域R3において、前面部11と底部15との間、及び、後面部12と底部15との間がヒートシールされている。
【0031】
図2において、21は領域R1における前面部11と右側部13との間のヒートシール部、22は領域R1における後面部12と右側部13との間のヒートシール部、23は領域R1における底部15と右側部13との間のヒートシール部、24は領域R2における前面部11と左側部14との間のヒートシール部、25は領域R2における後面部12と左側部14との間のヒートシール部、26は領域R2における底部15と左側部14との間のヒートシール部、27は領域R3における前面部11と底部15との間のヒートシール部、28は領域R3における後面部12と底部15との間のヒートシール部を、それぞれ示している。
【0032】
本例では、前面部11及び後面部12が、右側部13及び左側部14よりも底部15から開口部1aへ向かう方向に延在している。そして、前面部11の前記方向への延在部分11A及び後面部12の前記方向への延在部分12Aには、互いに重なった延在部分11A,12Aを貫通しかつ1本以上の手指200の手指の差し入れが可能な1つの貫通孔が形成されている。前記1つの貫通孔は、延在部分11Aの孔11Aaとこれに重なる延在部分12Aの孔12Aaとから構成されている。前記貫通孔の数は複数でもよい。すなわち、延在部分11Aに形成する孔11Aaの数は複数でもよいし、延在部分12Aに形成する孔12Aaの数は複数でもよい。
【0033】
本例による袋体1は、花瓶用袋体として用いることができるのみならず、袋体1内に任意の物品(図5に示す例では、ワインボトル等の飲料入り瓶100)を収容して持ち運ぶこともできる。このとき、本例による袋体1は、前記貫通孔に手指を差し入れることができるので、持ち運び等に便利となる。また、図19に示すように、前記貫通孔に手指200を差し入れて持つだけで、持ち運ぶ際に袋体1の開口部1aを簡単に閉じることができる。
【0034】
袋体1の内面が耐水性を持つとともに自立性を持てば、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15を構成するシートの材質は何ら限定されない。しかしながら、本例による袋体1は、ヒートシール性を考慮して各部の材質が選定されている。その材質の例を以下に挙げる。
【0035】
例えば、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15の全部を透明シート(無色透明のシートでもよいし、有色透明のシートでもよい)で構成してもよいし、その一部を透明シートで構成するとともに残りを不透明シートで構成してもよいし、前面部11、後面部12、右側部13、左側部14及び底部15の全部を不透明シートで構成してもよい。
【0036】
前記透明シートの例として、下記第1乃至第6の透明シートを挙げることができる。また、前記不透明シートの例として、下記第1乃至第6の不透明シートを挙げることができる。
【0037】
第1の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、ポリエステルフィルム、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルムで構成した透明シートである。内側のポリエチレンが、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当している。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CP(ポリプロピレンを原料とした無延伸フィルム)を用いてもよい。
【0038】
第2の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、ポリエステルフィルム、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0039】
第3の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、ナイロンフィルム、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0040】
第4の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、ナイロンフィルム、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0041】
第5の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、OP(ポリプロピレンを原料とする二軸延伸フィルム(OPPフィルム))、接着剤(ドライラミネート)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0042】
第6の透明シートは、袋体1の外側から順に積層した、OP、ポリエチレン層(溶融したポリエチレンによる接着層に相当)及びポリエチレンフィルム(耐水性を有するシーラント樹脂フィルムに相当)で構成した透明シートである。ここで、耐水性を有するシーラント樹脂フィルムとして、前記ポリエチレンフィルムに代えて、CPを用いてもよい。
【0043】
第1の不透明シートは、袋体1の外側から順に積層された、樹脂フィルム、ポリエチレン、紙、ポリエチレン及びシーラント樹脂フィルムで構成されたシートである。前記樹脂フィルムとしては、耐水性を有するフィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン又はナイロンのフィルムが用いられる。前記ポリエチレンは、例えば、押出ラミネート樹脂として用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性(ヒートシール性)を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0044】
第2の不透明シートは、袋体1の外側から順に積層された、樹脂フィルム、接着剤、紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルムで構成されたシートである。前記樹脂フィルムとしては、耐水性を有するフィルムが用いられ、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン又はナイロンのフィルムが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0045】
第3の不透明シートは、袋体1の外側から順に積層された、ワニス、植物繊維を有する紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルムで構成されたシートである。前記ワニスとしては、撥水性を有することで耐水性を有するものが用いられ、例えば、印刷により形成される。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。
【0046】
第4の不透明シートは、袋体1の外側から順に積層された、耐水紙、接着剤及びシーラント樹脂フィルムで構成されたシートである。前記耐水紙としては、例えば、公知の耐水紙が用いられる。前記耐水紙は植物繊維を有する紙を含んでもよい。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記シーラント樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する樹脂フィルムが用いられ、具体的には、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのフィルムが用いられる。あるいは、前記シーラント樹脂フィルムとして、耐水性及び熱溶着性を有する生分解樹脂フィルムを用いてもよい。
【0047】
第5の不透明シートは、袋体1の外側から順に積層された、生分解樹脂フィルム、接着剤、紙、接着剤及び生分解樹脂フィルムで構成されたシートである。前記生分解樹脂フィルムとしては、耐水性を有する公知の生分解樹脂フィルムが用いられる。前記接着剤としては、例えば、ノンソルベントラミネートの接着剤が用いられる。前記紙としては、例えば、クラフト紙又はコート紙などの植物繊維を有する紙や合成紙などが用いられる。前記生分解樹脂フィルムとしては、耐水性及び熱溶着性を有する公知の生分解樹脂フィルムが用いられる。
【0048】
第6の不透明シートは、前記第1乃至第6のいずれかの透明シートに印刷等を施すことで不透明にしたシートである。この場合、右側部13及び左側部14のベースとなる透明シートとして、前面部11及び後面部12と同じ透明シートを用いてもよく、その場合には、印刷等の有無によって透明・不透明を設定することができる。
【0049】
本発明の一実施の形態による袋体の使用方法(以下、「第1の使用方法」と呼ぶ。)は、前記袋体1を花瓶として使用するものであり、前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aを少なくとも前記孔11Aa,12Aaの付近で互いに重なるように内側に曲げて、花類の根本側を、前面部11の延在部分11Aの孔11Aa及び後面部12の延在部分12Aの孔12Aaを通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を袋体1に生けるものである。このとき、通常は、袋体1の前記胴部内に例えばその半分程度に水を入れておく。もっとも、生ける花類が、例えば造花である場合には、前記胴部内に水を入れる必要はない。
【0050】
図6は、図1の示す袋体の第1の具体例による袋体の全体を斜め上方から見た写真である。図6に示す袋体では、前面部11,後面部12、右側部13及び左側部14のいずれも不透明シートで構成されている。図7は、図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第1の状態(前記第1の使用方法により花類を生けた状態)の全体を斜め上方から見た写真である。図8は、図7中の花類を生けた袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。
【0051】
図9は、図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第2の状態(図6に示す状態(前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aが内側に折り曲げられることなく上方向に延在したままの状態)において、花類の根本側が、前面部11の延在部分11Aの孔11Aa及び後面部12の延在部分12Aの孔12Aaを通ることなく、開口部1aから前記胴部内に入れられた状態)の全体を斜め上方から見た写真である。図10は、図9中の花類を生けた袋体の上部付近を斜め側方から見た写真である。
【0052】
前記第1の使用方法で用いられる前記袋体1は、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成されているので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要せず、特別な保形部材を要する場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0053】
そして、前記第1の使用方法によれば、前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aを少なくとも前記孔11Aa,12Aaの付近で互いに重なるように内側に曲げて、花類の根本側を、前面部11の延在部分11Aの孔11Aa及び後面部12の延在部分12Aの孔12Aaを通して、前記胴部の内部空間に入れるので、花類は当該孔11Aa,12Aaに規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。前記第1の使用方法により花類を袋体に生けた図7の状態では、花類は当該孔11Aa,12Aaに規制されて纏まっているため、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難いのに対し、図9に示す状態では、開口部1aの全体にばらけるため、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり易い。
【0054】
本発明の他の実施の形態による袋体の使用方法(以下、「第2の使用方法」と呼ぶ。)は、前記袋体1を花瓶として使用するものであり、前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aのうちの少なくとも一方の延在部分11A又は12Aを内側に曲げて、花類の根本側を、前記少なくとも一方の延在部分11A又は12Aの前記孔11Aa又は12Aaを通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を袋体1に生けるものである。このとき、通常は、袋体1の前記胴部内に例えばその半分程度に水を入れておく。もっとも、生ける花類が、例えば造花である場合には、前記胴部内に水を入れる必要はない。
【0055】
図11は、図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第3の状態(前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aのうちの一方の延在部分11A又は12Aのみを内側に曲げて、花類の根本側を、前記孔11Aa,12Aaのうち前記内側に折り曲げた延在部分11A又は12Aの前記孔11Aa又は12Aaのみを通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を袋体1に生けた状態)の、当該袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。図12は、図6に示す第1の具体例による袋体に花類を生けた第3の状態(図11に示す状態)にする途中の状態の、当該袋体の上部付近を斜め上方から見た写真である。
【0056】
前記第2の使用方法で用いられる前記袋体1は、自立性を持つように可撓性を有するシートで構成されているので、保形線材や保形版などの特別な保形部材を要せず、特別な保形部材を要する場合に比べてコストダウンを図ることができる。
【0057】
そして、前記第2の使用方法によれば、前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aのうちの少なくとも一方の延在部分11A又は12Aを内側に曲げて、花類の根本側を、前記少なくとも一方の延在部分11A又は12Aの前記孔11Aa又は12Aaを通して、前記胴部の内部空間に入れることにより、前記花類を前記袋体に生けるので、花類は当該孔11Aa又は12Aaに規制されて纏まり、これにより、花類が生けられた当該袋体の重心がアンバランスになり難くなって、花類を生けたときに倒れ難くなる。
【0058】
図13は、図1の示す袋体の第2の具体例による袋体の全体を斜め上方から見た写真である。図13に示す袋体では、前面部11,後面部12及び底部15が透明シートで構成され、右側部13及び左側部14が、水玉模様部分が透明でその地の部分が不透明とされたシートで構成されている。図14は、図13に示す第2の具体例による袋体に前記第1の使用方法により花類を生ける途中の状態(前面部11の延在部分11A及び後面部12の延在部分12Aを少なくとも前記孔11Aa,12Aaの付近で互いに重なるように内側に曲げた状態)の、当該袋体を斜め上方から見た写真である。
【0059】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0060】
1 袋体
1a 開口部
11 前面部
11A 延在部分
11Aa 孔
12 後面部
12A 延在部分
12Aa 孔
13 右側部
14 左側部
15 底部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14