(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240412BHJP
G02F 1/1368 20060101ALI20240412BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240412BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01L29/78 612C
G02F1/1368
G09F9/00 338
G09F9/30 338
H01L29/78 617N
H01L29/78 618B
(21)【出願番号】P 2019227122
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】今井 元
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
(72)【発明者】
【氏名】上田 輝幸
(72)【発明者】
【氏名】原 義仁
(72)【発明者】
【氏名】前田 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】川崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】平田 義晴
(72)【発明者】
【氏名】菊池 哲郎
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/186619(WO,A1)
【文献】特開2018-049919(JP,A)
【文献】特開2004-054033(JP,A)
【文献】特開2019-191354(JP,A)
【文献】特開2010-287628(JP,A)
【文献】特開2001-117115(JP,A)
【文献】特開2011-086923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1368
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 21/336
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素領域を有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板の主面に支持された、第1方向に延びる複数のソースバスラインと、
前記複数のソースバスラインを覆う下部絶縁層と、
前記下部絶縁層の上方に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数のゲートバスラインと、
前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTおよび画素電極と、を備え、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、
前記下部絶縁層上に配置された酸化物半導体層であって、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域とを含み、前記第1領域は前記複数のソースバスラインの対応する1つに電気的に接続され、前記第2領域は前記画素電極に電気的に接続されている、酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の少なくとも前記チャネル領域上にゲート絶縁層を介して配置されたゲート電極であって、前記複数のゲートバスラインとは別層に形成されており、かつ、隣接する画素領域に配置されたゲート電極とは分離して配置されている、ゲート電極と、を有し、
前記酸化物半導体層および前記ゲート電極は層間絶縁層で覆われており、前記層間絶縁層は、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを有し、
前記複数のゲートバスラインの1つは、前記層間絶縁層上および前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内に配置され、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で、前記ゲート電極に電気的に接続されており、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体TFTの前記ゲート電極は、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体層に重なる第1部分と、前記第1部分から前記酸化物半導体層に重ならないように延びる延設部とを含み、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記ゲート電極の前記延設部の一部を露出するように配置されており、
前記複数の画素領域のそれぞれは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記複数のソースバスラインと同層に形成された電極および配線がいずれも存在していないソースメタル不存在領域を有しており、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソースメタル不存在領域の内部に位置しており、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極の縁部を跨いで配置されている、アクティブマトリクス基板。
【請求項2】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体TFTは、前記酸化物半導体層の前記第2領域と前記画素電極とを接続するドレイン電極をさらに有し、
前記ドレイン電極は、前記複数のゲートバスラインと同層に形成されている、請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項3】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、間隔を空けて配置された複数のゲートコンタクトホールを含む、請求項1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項4】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、
前記ゲート電極の前記延設部は、前記第1部分の両側にそれぞれ配置された第1延設部および第2延設部を含み、
前記複数のゲートコンタクトホールは、前記第1延設部に重なるように配置された第1ゲートコンタクトホールと、前記第2延設部に重なるように配置された第2ゲートコンタクトホールとを含む、請求項3に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項5】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、前記1つの対応するソースバスラインと同じ導電膜を用いて一体的に形成されたソース電極をさらに有し、
前記下部絶縁層は、前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を有し、
前記酸化物半導体層の前記第1領域は、前記ソース用開口部内で前記ソース電極の前記一部に電気的に接続されている、請求項1から4のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項6】
複数の画素領域を有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板の主面に支持された、第1方向に延びる複数のソースバスラインと、
前記複数のソースバスラインを覆う下部絶縁層と、
前記下部絶縁層の上方に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数のゲートバスラインと、
前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTおよび画素電極と、を備え、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、
前記下部絶縁層上に配置された酸化物半導体層であって、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域とを含み、前記第1領域は前記複数のソースバスラインの対応する1つに電気的に接続され、前記第2領域は前記画素電極に電気的に接続されている、酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の少なくとも前記チャネル領域上にゲート絶縁層を介して配置されたゲート電極であって、前記複数のゲートバスラインとは別層に形成されており、か
つ、隣接する画素領域に配置されたゲート電極とは分離して配置されている、ゲート電極と、を有し、
前記酸化物半導体層および前記ゲート電極は層間絶縁層で覆われており、前記層間絶縁層は、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを有し、
前記複数のゲートバスラインの1つは、前記層間絶縁層上および前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内に配置され、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で、前記ゲート電極に電気的に接続されており、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、
前記1つの対応するソースバスラインと同じ導電膜を用いて一体的に形成されたソース電極と、
前記ゲート電極と同層に形成された接続電極と、
前記接続電極と前記下部絶縁層との間に配置され、かつ、前記ゲート絶縁層と同層に形成された第1絶縁層と、をさらに有し、
前記下部絶縁層は、前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を有し、
前記第1絶縁層は、前記酸化物半導体層の前記第1領域の一部を露出し、かつ、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソース用開口部に少なくとも部分的に重なる第1開口部を有し、
前記接続電極は、前記下部絶縁層の前記ソース用開口部および前記第1絶縁層の前記第1開口部を含むソースコンタクトホール内で、前記酸化物半導体層の前記第1領域の前記一部および前記ソース電極の前記一部に電気的に接続されている、アクティブマトリクス基板。
【請求項7】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、前記酸化物半導体層と前記基板との間に配置され、かつ、前記複数のソースバスラインと同層に形成された下部導電部をさらに有し、
前記ゲート絶縁層および前記下部絶縁層は、前記下部導電部の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールを有し、
前記ゲート電極は、前記下部ゲートコンタクトホール内で、前記下部導電部に電気的に接続されている、請求項6に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項8】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体層は、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソース用開口部および前記第1開口部の両方に少なくとも部分的に重なる第2開口部または切欠き部を有し、
前記ソースコンタクトホールは、前記酸化物半導体層の前記第2開口部または前記切欠き部をさらに含む、請求項6または7に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項9】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体層の前記チャネル領域に少なくとも部分的に重なっている、請求項6から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項10】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極は、前記1つの対応するゲートバスラインと重なるように、前記第2方向に延びている、請求項1から9のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板
【請求項11】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極の全体は、前記1つの対応するゲートバスラインに重なっている、請求項10に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項12】
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体層は他のチャネル領域をさらに含み、
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極は、前記他のチャネル領域に重なる第2部分をさらに含み、
前記ゲート電極の前記延設部は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する第3部分を含み、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記延設部の前記第3部分上に配置されている、請求項1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項13】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項14】
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、請求項13に記載のアクティブマトリクス基板。
【請求項15】
複数の画素領域を有し、かつ、前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTを備えるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(a)基板上にソース用導電膜を形成し、前記ソース用導電膜のパターニングを行うことにより、複数のソースバスラインと、各画素領域における前記酸化物半導体TFTのソース電極とを含むソースメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域における前記ソース電極は、前記複数のソースバスラインのうち対応する1つのソースバスラインに電気的に接続されている、工程と、
(b)前記ソースメタル層上に下部絶縁層を形成し、前記各画素領域において、前記下部絶縁層に、前記酸化物半導体TFTの前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を形成する工程と、
(c)前記各画素領域において、前記下部絶縁層上および前記ソース用開口部内に、前記酸化物半導体TFTの酸化物半導体層を形成する工程であって、前記酸化物半導体層は、前記ソース用開口部内で前記ソース電極に電気的に接続される、工程と、
(d)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層の一部上に、ゲート絶縁層を介してゲート電極を形成する工程と、
(e)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層および前記ゲート電極を覆うように層間絶縁層を形成し、前記層間絶縁層に、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを形成する工程と、
(f)前記層間絶縁層上にゲート用導電膜を形成し、前記ゲート用導電膜のパターニングを行うことにより
、複数のゲートバスラインを含むゲートメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域において、前記複数のゲートバスラインのうちの1つのゲートバスラインは、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で前記ゲート電極に電気的に接続される、工程と、
(g)前記各画素領域に画素電極を形成する工程であって、前記画素電極は、前記酸化物半導体TFTの前記酸化物半導体層に電気的に接続される工程と、
を包含し、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体TFTの前記ゲート電極は、前記基板
の主面の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体層に重なる第1部分と、前記第1部分から前記酸化物半導体層に重ならないように延びる延設部とを含み、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記ゲート電極の前記延設部の一部を露出するように配置されており、
前記複数の画素領域のそれぞれは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記複数のソースバスラインと同層に形成された電極および配線がいずれも存在していないソースメタル不存在領域を有しており、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソースメタル不存在領域の内部に位置しており、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極の縁部を跨いで配置されている、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項16】
前記工程(e)において、前記層間絶縁層に、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールと同時に、前記酸化物半導体層の一部を露出するドレイン用開口部を形成し、
前記工程(f)において、前記ゲートメタル層は、前記各画素領域の前記酸化物半導体TFTのドレイン電極を含み、前記ドレイン電極は、前記ドレイン用開口部内で前記酸化物半導体層の前記一部に電気的に接続される、請求項15に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項17】
複数の画素領域を有し、かつ、前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTを備えるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(A)基板上にソース用導電膜を形成し、前記ソース用導電膜のパターニングを行うことにより、複数のソースバスラインと、各画素領域における前記酸化物半導体TFTのソース電極とを含むソースメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域における前記ソース電極は、前記複数のソースバスラインのち対応する1つのソースバスラインに電気的に接続されている、工程と、
(B)前記ソースメタル層上に下部絶縁層を形成する工程と、
(C)前記各画素領域において、前記下部絶縁層上に、前記酸化物半導体TFTの酸化物半導体層を形成する工程と、
(D)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層を覆うようにゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜および前記下部絶縁層に、前記ソース電極の一部および前記酸化物半導体層の一部を露出するソースコンタクトホールを形成する工程と、
(E)前記ゲート絶縁膜上にゲート電極膜を形成し、前記ゲート電極膜および前記ゲート絶縁膜のパターニングを行うことにより、前記ゲート絶縁膜からゲート絶縁層と第1絶縁層とを形成し、前記ゲート電極膜から、前記ゲート絶縁層上に位置するゲート電極と、前記第1絶縁層上に位置する接続電極とを形成する工程であって、前記接続電極は、前記ソースコンタクトホール内で、前記酸化物半導体層の前記一部および前記ソース電極の前記一部に電気的に接続される、工程と、
(F)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層、前記接続電極および前記ゲート電極を覆うように層間絶縁層を形成し、前記層間絶縁層に、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを形成する工程と、
(G)前記層間絶縁層上にゲート用導電膜を形成し、前記ゲート用導電膜のパターニングを行うことにより
、複数のゲートバスラインを含むゲートメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域において、前記複数のゲートバスラインのうちの1つのゲートバスラインは、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で前記ゲート電極に電気的に接続される、工程と、
(H)前記各画素領域に画素電極を形成する工程であって、前記画素電極は、前記酸化物半導体TFTの前記酸化物半導体層に電気的に接続される工程と、
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項18】
前記工程(A)において、前記ソースメタル層は、前記各
画素領域における前記酸化物半導体TFTの下部導電部をさらに含み、
前記工程(D)は、前記ゲート絶縁膜および前記下部絶縁層に、前記下部導電部の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールを形成する工程をさらに含み、
前記工程(E)において、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上および前記下部ゲートコンタクトホール内に形成され、前記下部ゲートコンタクトホール内で、前記下部導電部の前記一部に電気的に接続される、請求項17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項19】
前記工程(F)において、前記層間絶縁層に、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールと同時に、前記酸化物半導体層の一部を露出するドレイン用開口部を形成し、
前記工程(G)において、前記ゲートメタル層は、前記各画素領域の前記酸化物半導体TFTのドレイン電極を含み、前記ドレイン電極は、前記ドレイン用開口部内で前記酸化物半導体層の前記一部に電気的に接続される、請求項17または18に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項20】
前記工程(C)において、前記酸化物半導体層は開口部または切欠き部を有し、
前記工程(D)は、前記第1絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれ、前記酸化物半導体層の前記開口部または前記切欠き部に少なくとも部分的に重なるようにソース用開口部および第1開口部を形成する工程を含み、前記ソースコンタクトホールは、前記ソース用開口部、前記第1開口部、および前記酸化物半導体層の前記開口部または前記切欠き部から構成される、請求項17から19のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項21】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項15から20のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項22】
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、請求項21に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブマトリクス基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画素毎にスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス基板を備える表示装置が広く用いられている。スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:以下、「TFT」)を備えるアクティブマトリクス基板は、TFT基板と呼ばれる。なお、本明細書においては、表示装置の画素に対応するTFT基板の部分を画素領域または画素と呼ぶ。また、アクティブマトリクス基板の各画素にスイッチング素子として設けられたTFTを「画素TFT」と呼ぶ。TFT基板には、複数のソースバスラインおよび複数のゲートバスラインが設けられ、これらの交差部近傍に画素TFTが配置される。画素TFTのソース電極はソースバスラインの1つに、ゲート電極はゲートバスラインの1つに接続される。
【0003】
近年、TFTの活性層の材料として、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わって、酸化物半導体を用いることが提案されている。このようなTFTを「酸化物半導体TFT」と称する。酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体膜は、多結晶シリコン膜よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0004】
酸化物半導体TFTの多くは、ボトムゲート型TFTであるが、トップゲート型の酸化物半導体TFTも提案されている。
【0005】
特許文献1は、酸化物半導体層の一部上にゲート絶縁層を介してゲート電極を配置し、ゲート電極を覆う絶縁層上にソースおよびドレイン電極を配置したトップゲート型TFTを開示している。
【0006】
一方、本出願人による特許文献2は、ゲートバスラインよりも基板側に、ソース電極およびソースバスラインを設ける基板構造(以下、「下部ソース配線構造」)を提案している。この構造では、ソースバスラインは、酸化物半導体TFTの酸化物半導体層よりも基板側に配置され、ゲートバスラインは、酸化物半導体層の上方に配置される。下部ソース配線構造を有するTFT基板(以下、「下部ソース配線基板」と略する。)によると、ソースバスラインとゲートバスラインとの間に位置する絶縁層を厚くできるので、これらのバスラインの交差部に生じる寄生容量を低減することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-109315号公報
【文献】国際公開第2015/186619号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
画素TFTとしてトップゲート型の酸化物半導体TFTを用いたTFT基板(例えば下部ソース配線基板)では、各ゲートバスラインは、例えば、対応する酸化物半導体TFTの酸化物半導体層の上方にゲート絶縁層を介して配置され、複数の画素TFTの酸化物半導体層の縁部(エッジ部)を跨ぐように延びている。
【0009】
本発明者が検討したところ、上記構成によると、TFTアレイの製造プロセスにおいて、ゲートバスラインに蓄えられた電荷によって、その下方に位置する酸化物半導体層のエッジ部で、ESD(Electro-Static Discharge)が発生する可能性がある。これは、ソース-ゲート間にリークが生じる要因になり得る。詳細は、
図16A~
図16Cを参照しながら後述する。
【0010】
本発明の一実施形態は、トップゲート型の酸化物半導体TFTを備え、かつ、ESDによるソース-ゲート間のリークを抑制することの可能なアクティブマトリクス基板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本明細書は、以下の項目に記載のアクティブマトリクス基板およびアクティブマトリクス基板の製造方法を開示している。
[項目1]
複数の画素領域を有するアクティブマトリクス基板であって、
基板と、
前記基板の主面に支持された、第1方向に延びる複数のソースバスラインと、
前記複数のソースバスラインを覆う下部絶縁層と、
前記下部絶縁層の上方に形成され、前記第1方向に交差する第2方向に延びる複数のゲートバスラインと、
前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTおよび画素電極と、を備え、
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、
前記下部絶縁層上に配置された酸化物半導体層であって、チャネル領域と、前記チャネル領域の両側にそれぞれ位置する第1領域および第2領域とを含み、前記第1領域は前記複数のソースバスラインの対応する1つに電気的に接続され、前記第2領域は前記画素電極に電気的に接続されている、酸化物半導体層と、
前記酸化物半導体層の少なくとも前記チャネル領域上にゲート絶縁層を介して配置されたゲート電極であって、前記複数のゲートバスラインとは別層に形成されており、かつ、隣接する画素領域に配置されたゲート電極とは分離して配置されている、ゲート電極と、を有し、
前記酸化物半導体層および前記ゲート電極は層間絶縁層で覆われており、前記層間絶縁層は、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを有し、
前記複数のゲートバスラインの1つは、前記層間絶縁層上および前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内に配置され、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で、前記ゲート電極に電気的に接続されている、アクティブマトリクス基板。
[項目2]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体TFTは、前記酸化物半導体層の前記第2領域と前記画素電極とを接続するドレイン電極をさらに有し、
前記ドレイン電極は、前記複数のゲートバスラインと同層に形成されている、項目1に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目3]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体TFTの前記ゲート電極は、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体層に重なる第1部分と、前記第1部分から前記酸化物半導体層に重ならないように延びる延設部とを含み、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記ゲート電極の前記延設部の一部を露出するように配置されている、項目1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目4]
前記複数の画素領域のそれぞれは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記複数のソースバスラインと同層に形成された電極および配線がいずれも存在していないソースメタル不存在領域を有しており、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソースメタル不存在領域の内部に位置している、項目3に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目5]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極の縁部を跨いで配置されている、項目4に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目6]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記酸化物半導体層の前記チャネル領域に少なくとも部分的に重なっている、項目1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目7]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、間隔を空けて配置された複数のゲートコンタクトホールを含む、項目3から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目8]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、
前記ゲート電極の前記延設部は、前記第1部分の両側にそれぞれ配置された第1延設部および第2延設部を含み、
前記複数のゲートコンタクトホールは、前記第1延設部に重なるように配置された第1ゲートコンタクトホールと、前記第2延設部に重なるように配置された第2ゲートコンタクトホールとを含む、項目7に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目9]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、前記1つの対応するソースバスラインと同じ導電膜を用いて一体的に形成されたソース電極をさらに有し、
前記下部絶縁層は、前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を有し、
前記酸化物半導体層の前記第1領域は、前記ソース用開口部内で前記ソース電極の前記一部に電気的に接続されている、項目1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目10]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、
前記1つの対応するソースバスラインと同じ導電膜を用いて一体的に形成されたソース電極と、
前記ゲート電極と同層に形成された接続電極と、
前記接続電極と前記下部絶縁層との間に配置され、かつ、前記ゲート絶縁層と同層に形成された第1絶縁層と、をさらに有し、
前記下部絶縁層は、前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を有し、
前記第1絶縁層は、前記酸化物半導体層の前記第1領域の一部を露出し、かつ、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソース用開口部に少なくとも部分的に重なる第1開口部を有し、
前記接続電極は、前記下部絶縁層の前記ソース用開口部および前記第1絶縁層の前記第1開口部を含むソースコンタクトホール内で、前記酸化物半導体層の前記第1領域の前記一部および前記ソース電極の前記一部に電気的に接続されている、項目1から8のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目11]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体TFTは、前記酸化物半導体層と前記基板との間に配置され、かつ、前記複数のソースバスラインと同層に形成された下部導電部をさらに有し、
前記ゲート絶縁層および前記下部絶縁層は、前記下部導電部の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールを有し、
前記ゲート電極は、前記下部ゲートコンタクトホール内で、前記下部導電部に電気的に接続されている、項目10に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目12]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、
前記酸化物半導体層は、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ソース用開口部および前記第1開口部の両方に少なくとも部分的に重なる第2開口部または切欠き部を有し、
前記ソースコンタクトホールは、前記酸化物半導体層の前記第2開口部または前記切欠き部をさらに含む、項目10または11に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目13]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極は、前記1つの対応するゲートバスラインと重なるように、前記第2方向に延びている、項目1から12のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板
[項目14]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極の全体は、前記1つの対応するゲートバスラインに重なっている、項目13に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目15]
前記複数の画素領域のそれぞれにおいて、前記酸化物半導体層は他のチャネル領域をさらに含み、
前記基板の前記主面の法線方向から見たとき、前記ゲート電極は、前記他のチャネル領域に重なる第2部分をさらに含み、
前記ゲート電極の前記延設部は、前記第1部分と前記第2部分との間に位置する第3部分を含み、
前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールは、前記延設部の前記第3部分上に配置されている、項目3から5のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目16]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目1から15のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板。
[項目17]
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、項目16に記載のアクティブマトリクス基板。
[項目18]
複数の画素領域を有し、かつ、前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTを備えるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(a)基板上にソース用導電膜を形成し、前記ソース用導電膜のパターニングを行うことにより、複数のソースバスラインと、各画素領域における前記酸化物半導体TFTのソース電極とを含むソースメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域における前記ソース電極は、前記複数のソースバスラインのうち対応する1つのソースバスラインに電気的に接続されている、工程と、
(b)前記ソースメタル層上に下部絶縁層を形成し、前記各画素領域において、前記下部絶縁層に、前記酸化物半導体TFTの前記ソース電極の一部を露出するソース用開口部を形成する工程と、
(c)前記各画素領域において、前記下部絶縁層上および前記ソース用開口部内に、前記酸化物半導体TFTの酸化物半導体層を形成する工程であって、前記酸化物半導体層は、前記ソース用開口部内で前記ソース電極に電気的に接続される、工程と、
(d)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層の一部上に、ゲート絶縁層を介してゲート電極を形成する工程と、
(e)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層および前記ゲート電極を覆うように層間絶縁層を形成し、前記層間絶縁層に、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを形成する工程と、
(f)前記層間絶縁層上にゲート用導電膜を形成し、前記ゲート用導電膜のパターニングを行うことにより、前記複数のゲートバスラインを含むゲートメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域において、前記複数のゲートバスラインのうちの1つのゲートバスラインは、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で前記ゲート電極に電気的に接続される、工程と、
(g)前記各画素領域に画素電極を形成する工程であって、前記画素電極は、前記酸化物半導体TFTの前記酸化物半導体層に電気的に接続される工程と、
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目19]
前記工程(e)において、前記層間絶縁層に、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールと同時に、前記酸化物半導体層の一部を露出するドレイン用開口部を形成し、
前記工程(f)において、前記ゲートメタル層は、前記各画素領域の前記酸化物半導体TFTのドレイン電極を含み、前記ドレイン電極は、前記ドレイン用開口部内で前記酸化物半導体層の前記一部に電気的に接続される、項目18に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目20]
複数の画素領域を有し、かつ、前記複数の画素領域のそれぞれに対応付けて配置された酸化物半導体TFTを備えるアクティブマトリクス基板の製造方法であって、
(A)基板上にソース用導電膜を形成し、前記ソース用導電膜のパターニングを行うことにより、複数のソースバスラインと、各画素領域における前記酸化物半導体TFTのソース電極とを含むソースメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域における前記ソース電極は、前記複数のソースバスラインのち対応する1つのソースバスラインに電気的に接続されている、工程と、
(B)前記ソースメタル層上に下部絶縁層を形成する工程と、
(C)前記各画素領域において、前記下部絶縁層上に、前記酸化物半導体TFTの酸化物半導体層を形成する工程と、
(D)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層を覆うようにゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜および前記下部絶縁層に、前記ソース電極の一部および前記酸化物半導体層の一部を露出するソースコンタクトホールを形成する工程と、
(E)前記ゲート絶縁膜上にゲート電極膜を形成し、前記ゲート電極膜および前記ゲート絶縁膜のパターニングを行うことにより、前記ゲート絶縁膜からゲート絶縁層と第1絶縁層とを形成し、前記ゲート電極膜から、前記ゲート絶縁層上に位置するゲート電極と、前記第1絶縁層上に位置する接続電極とを形成する工程であって、前記接続電極は、前記ソースコンタクトホール内で、前記酸化物半導体層の前記一部および前記ソース電極の前記一部に電気的に接続される、工程と、
(F)前記各画素領域において、前記酸化物半導体層、前記接続電極および前記ゲート電極を覆うように層間絶縁層を形成し、前記層間絶縁層に、前記ゲート電極の一部を露出する少なくとも1つのゲートコンタクトホールを形成する工程と、
(G)前記層間絶縁層上にゲート用導電膜を形成し、前記ゲート用導電膜のパターニングを行うことにより、前記複数のゲートバスラインを含むゲートメタル層を形成する工程であって、前記各画素領域において、前記複数のゲートバスラインのうちの1つのゲートバスラインは、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホール内で前記ゲート電極に電気的に接続される、工程と、
(H)前記各画素領域に画素電極を形成する工程であって、前記画素電極は、前記酸化物半導体TFTの前記酸化物半導体層に電気的に接続される工程と、
を包含する、アクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目21]
前記工程(A)において、前記ソースメタル層は、前記各単位領域における前記酸化物半導体TFTの下部導電部をさらに含み、
前記工程(D)は、前記ゲート絶縁膜および前記下部絶縁層に、前記下部導電部の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールを形成する工程をさらに含み、
前記工程(E)において、前記ゲート電極は、前記ゲート絶縁層上および前記下部ゲートコンタクトホール内に形成され、前記下部ゲートコンタクトホール内で、前記下部導電部の前記一部に電気的に接続される、項目20に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目22]
前記工程(F)において、前記層間絶縁層に、前記少なくとも1つのゲートコンタクトホールと同時に、前記酸化物半導体層の一部を露出するドレイン用開口部を形成し、
前記工程(G)において、前記ゲートメタル層は、前記各画素領域の前記酸化物半導体TFTのドレイン電極を含み、前記ドレイン電極は、前記ドレイン用開口部内で前記酸化物半導体層の前記一部に電気的に接続される、項目20または21に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目23]
前記工程(C)において、前記酸化物半導体層は開口部または切欠き部を有し、
前記工程(D)は、前記第1絶縁層および前記下部絶縁層に、それぞれ、前記酸化物半導体層の前記開口部または前記切欠き部に少なくとも部分的に重なるようにソース用開口部および第1開口部を形成する工程を含み、前記ソースコンタクトホールは、前記ソース用開口部、前記第1開口部、および前記酸化物半導体層の前記開口部または前記切欠き部から構成される、項目20から22のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目24]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目18から23のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
[項目25]
前記In-Ga-Zn-O系半導体は結晶質部分を含む、項目24に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施形態によると、トップゲート型の酸化物半導体TFTを備え、かつ、ESDによるソース-ゲート間のリークを抑制することの可能なアクティブマトリクス基板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】アクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を示す概略図である。
【
図2A】第1の実施形態のアクティブマトリクス基板100における画素領域を例示する平面図である。
【
図2B】アクティブマトリクス基板100における、
図2Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図2C】アクティブマトリクス基板100における、
図2Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図3】ゲート電極とゲートコンタクトホールとの配置関係の一例を示す平面図である。
【
図4A】ゲート電極とゲートコンタクトホールとの配置関係の他の例を示す平面図である。
【
図4B】ゲート電極とゲートコンタクトホールとの配置関係のさらに他の例を示す平面図である。
【
図4C】ゲート電極とゲートコンタクトホールとの配置関係のさらに他の例を示す平面図である。
【
図4D】ゲート電極とゲートコンタクトホールとの配置関係のさらに他の例を示す平面図である。
【
図5A】位置合わせずれが生じたときのゲートコンタクト部を例示する平面図である。
【
図5B】位置合わせずれが生じたときのゲートコンタクト部を例示する断面図である。
【
図6A】変形例1のアクティブマトリクス基板101における画素領域を例示する平面図である。
【
図6B】アクティブマトリクス基板101における、
図6Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図6C】アクティブマトリクス基板101における、
図6Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図7A】変形例2のアクティブマトリクス基板102における画素領域を例示する平面図である。
【
図7B】アクティブマトリクス基板102における、
図7Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図7C】アクティブマトリクス基板102における、
図7Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図8】変形例3のアクティブマトリクス基板103における画素領域を例示する平面図である。
【
図9A】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。以下、各図番号の後ろに括弧書きで付したアルファベット文字は、その図の部分(分図)を示す。
【
図9B】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9C】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9D】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9E】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9F】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9G】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9H】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9I】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9J】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9K】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図9L】アクティブマトリクス基板100の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図10A】第2の実施形態のアクティブマトリクス基板200における画素領域を例示する平面図である。
【
図10B】アクティブマトリクス基板200における、
図10Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図10C】アクティブマトリクス基板200における、
図10Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図11A】変形例4のアクティブマトリクス基板201における画素領域を例示する平面図である。
【
図11B】アクティブマトリクス基板201における、
図11Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図11C】アクティブマトリクス基板201における、
図11Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図12A】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12B】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12C】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12D】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12E】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12F】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図12G】アクティブマトリクス基板200の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図13A】変形例5のアクティブマトリクス基板202における画素領域を例示する平面図である。
【
図13B】アクティブマトリクス基板202における、
図13Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図13C】アクティブマトリクス基板202における、
図13Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図14A】アクティブマトリクス基板202の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図14B】アクティブマトリクス基板202の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図14C】アクティブマトリクス基板202の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図14D】アクティブマトリクス基板202の製造方法を示す図であり、(a)および(b)は工程断面図、(c)は工程平面図である。
【
図15A】他のアクティブマトリクス基板301における画素領域を例示する平面図である。
【
図15B】アクティブマトリクス基板301における、
図15Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図15C】アクティブマトリクス基板301における、
図15Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【
図16A】参照例のアクティブマトリクス基板900を説明するための平面図である。
【
図16B】参照例のアクティブマトリクス基板900における、
図16Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
【
図16C】参照例のアクティブマトリクス基板900における、
図16Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、アクティブマトリクス基板の第1の実施形態を説明する。本実施形態のアクティブマトリクス基板は、各種表示装置や電子機器などに用いられるアクティブマトリクス基板を広く含むものとする。
【0015】
図1は、本実施形態のアクティブマトリクス基板100の平面構造の一例を模式的に示す図である。アクティブマトリクス基板100は、表示に寄与する表示領域DRと、表示領域DRの外側に位置する周辺領域(額縁領域)FRとを有している。
【0016】
表示領域DRには、第1方向(y方向)に延びる複数のソースバスラインSLと、第1方向と交差する(この例では直交する)第2方向(x方向)に延びる複数のゲートバスラインGLとが設けられている。これらのバスラインで包囲されたそれぞれの領域が「画素領域P」となる。画素領域P(「画素」と呼ぶこともある。)は、表示装置の画素に対応する領域である。複数の画素領域Pはマトリクス状に配置されている。各画素領域Pには、画素電極PEおよび薄膜トランジスタ(TFT)10が形成されている。各TFT10のゲート電極は対応するゲートバスラインGL、ソース電極は対応するソースバスラインSLにそれぞれ電気的に接続されている。また、ドレイン電極は画素電極PEと電気的に接続されている。
【0017】
各ソースバスラインSLは、例えば、表示領域において第1方向に配列された一列の画素領域に亘って延びており、その列の画素領域のそれぞれに配置されたTFT10のソース電極に電気的に接続されている。各ゲートバスラインGLは、例えば、表示領域において第2方向に配列された一列の画素領域に亘って延びており、その列の画素領域のそれぞれに配置されたTFT10のゲート電極に電気的に接続されている。
【0018】
周辺領域FRには、例えば、ゲートドライバGD、ソースドライバSDなどの駆動回路、SSD回路、複数の端子部、複数のソース-ゲート接続部などが配置されている。ゲートドライバGDおよびソースドライバSDは、アクティブマトリクス基板100にモノリシックに形成されていてもよいし、実装されていてもよい。
【0019】
アクティブマトリクス基板100を、FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界モードの表示装置に適用する場合には、アクティブマトリクス基板100に、複数の画素領域Pに対して共通の電極(共通電極)CEが設けられる。
【0020】
<画素領域P>
FFSモードの表示装置に適用されるアクティブマトリクス基板を例に、本実施形態のアクティブマトリクス基板100の画素領域Pの構造を説明する。FFSモードは、一方の基板に一対の電極を設けて、液晶分子に、基板面に平行な方向(横方向)に電界を印加する横方向電界方式のモードである。アクティブマトリクス基板100は複数の画素領域Pを有するが、以下では、単一の画素領域Pについて説明する。
【0021】
図2Aは、アクティブマトリクス基板100における各画素領域Pを例示する平面図である。
図2Bは、
図2Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図2Cは、
図2Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
【0022】
本明細書では、ソースバスラインSLと同じ導電膜(以下、「ソース用導電膜」)を用いて形成された電極・配線を含む層MSを「ソースメタル層」、ゲートバスラインGLと同じ導電膜(以下、「ゲート用導電膜」)を用いて形成された電極・配線を含む層MGを「ゲートメタル層」と呼ぶ。ソースメタル層MSは、ゲートメタル層MGよりも基板側に位置する(下部ソース配線構造)。また、本実施形態では、ソースメタル層MSとゲートメタル層MGとの間に、各画素TFTのゲート電極が設けられる。ゲート電極と同じ導電膜(以下、「ゲート電極膜」)を用いて形成された電極・配線を含む層MEを「ゲート電極層」と呼ぶ。
【0023】
さらに、共通電極と同じ透明導電膜(以下、「第1の透明導電膜」)を用いて形成された電極・配線を含む層T1を「第1透明導電層」、画素電極と同じ透明導電膜(以下、「第2の透明導電膜」)を用いて形成された電極・配線を含む層T2を「第2透明導電層」と呼ぶ。
【0024】
図中において、各構成要素の参照符号の後に、括弧書きで、その電極・配線など形成されている層を示すことがある。例えば、ゲートメタル層MG内に形成されている電極または配線には、その参照符号の後に「(MG)」と付すことがある。
【0025】
各画素領域Pは、基板1と、基板1に支持された画素TFT(以下、単に「TFT」)10と、画素電極PEと、共通電極CEとを有している。
【0026】
TFT10は、酸化物半導体層7と、酸化物半導体層7の一部上にゲート絶縁層9を介して配置されたゲート電極GEと、ソース電極SEおよびドレイン電極DEとを備える。TFT10は、画素領域Pに対応付けられていればよく、その一部が他の画素領域に位置していてもよい。
【0027】
TFT10のソース電極SEは、ソースメタル層MS内に形成されており、対応するソースバスラインSLに電気的に接続されている。ソース電極SEは、ソースバスラインSLと一体的に形成されていてもよい。ソース電極SEは、ソースバスラインSLと繋がっていてもよいし、ソースバスラインSLの一部であってもよい。ソースメタル層MSは、下部絶縁層5で覆われている。
【0028】
酸化物半導体層7は、下部絶縁層5上に配置されている。酸化物半導体層7は、チャネル領域7Cと、その両側にそれぞれ配置された第1領域71および第2領域72とを含む。第1領域71および第2領域72は、例えば、チャネル領域7Cよりも比抵抗の低い低抵抗領域であってもよい。
【0029】
酸化物半導体層7の第1領域71は、ソースコンタクト部において、対応するソースバスラインSLに電気的に接続されている。ソースコンタクト部では、下部絶縁層5に、ソース電極SEの一部(ここではソースバスラインSLの一部)を露出するソース用開口部5sが形成されている。酸化物半導体層7の第1領域71は、ソース用開口部5s内で、ソース電極SEに電気的に接続されている。第1領域71は、ソース電極SEの露出部分に直接接していてもよい。
【0030】
ゲート電極GEは、ゲート絶縁層9の上に、基板1の主面の法線方向(以下、「基板1の法線方向」と略す。)から見たとき、少なくともチャネル領域7Cと重なるように配置されている。ゲート電極GEは、ゲートバスラインGLとは別層に形成されている。ゲート電極GEは、画素領域Pごとに配置されている。つまり、各画素領域Pのゲート電極GEは、隣接する画素領域のゲート電極とは、分離して配置されている(分離したパターンを有している)。
【0031】
ゲート絶縁層9は、チャネル領域7Cを覆い、かつ、第1領域71および第2領域72を覆っていなくてもよい。この例では、ゲート絶縁層9は、ゲート電極GEと酸化物半導体層7との間のみに配置されている。ゲート絶縁層9の側面およびゲート電極GEの側面は互いに整合していてもよい。このような構造は、同じマスクを利用して、ゲート電極GEおよびゲート絶縁層9のパターニングを行うことで得られる。
【0032】
酸化物半導体層7、ゲート絶縁層9およびゲート電極GEは、層間絶縁層11で覆われている。層間絶縁層11上には、ゲートバスラインGLを含むゲートメタル層MGが配置されている。
【0033】
TFT10のゲート電極GEは、ゲートコンタクト部において、対応するゲートバスラインGLに電気的に接続されている。ゲートコンタクト部では、層間絶縁層11に、ゲート電極GEの一部を露出するゲートコンタクトホールCHgが形成されている。ゲートコンタクトホールCHgは、1つのゲート電極GEに対して少なくとも1つ形成される。ゲートバスラインGLは、層間絶縁層11上およびゲートコンタクトホールCHg内に配置され、ゲートコンタクトホールCHg内で、ゲート電極GEに電気的に接続されている。ゲートバスラインGLは、ゲート電極GEに直接接していてもよい。
【0034】
ドレイン電極DEは、層間絶縁層11上に配置されている。ドレイン電極DEは、例えば、ゲートバスラインGLと同層に(すなわちゲートメタル層MG内に)形成されていてもよい。ドレイン電極DEは、ドレインコンタクト部において、酸化物半導体層7の第2領域72に接続されている。ドレインコンタクト部では、層間絶縁層11に、第2領域72の一部を露出するドレイン用開口部11dが形成されている。ドレイン電極DEは、ドレイン用開口部11d内で、酸化物半導体層7の第2領域72に電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、第2領域72の露出部分に直接接していてもよい。
【0035】
TFT10は、酸化物半導体層7の基板1側に配置され、遮光層として機能する下部導電部3を有していてもよい。下部導電部3は、例えばソース用導電膜を用いて(すなわちソースメタル層MS内に)形成され得る。基板1の法線方向から見たとき、下部導電部3は、酸化物半導体層7のうち少なくともチャネル領域7Cと重なるように配置されていてもよい。これにより、基板1側からの光(バックライト光)に起因する酸化物半導体層7の特性劣化を抑制できる。
【0036】
TFT10およびゲートメタル層MGは、上部絶縁層13で覆われている。上部絶縁層13は、例えば、無機絶縁層(パッシベーション膜)13Aを含む。図示するように、上部絶縁層13は、無機絶縁層13Aと、無機絶縁層13A上に形成された有機絶縁層13Bとを含む積層構造を有していてもよい。有機絶縁層13Bは形成されていなくてもよい。あるいは、有機絶縁層13Bは、表示領域にのみ形成されていてもよい。
【0037】
画素電極PEおよび共通電極CEは、上部絶縁層13の上方に、誘電体層17を介して部分的に重なるように配置される。この例では、上部絶縁層13上に共通電極CEが配置され、共通電極CE上に誘電体層17を介して画素電極PEが配置されている。なお、後述するように、画素電極PE上に、誘電体層17を介して共通電極CEが配置されていてもよい。
【0038】
画素電極PEは、画素領域Pごとに配置されている。各画素領域Pにおいて、画素電極PEには、1つまたは複数のスリット(開口部)、あるいは切り欠き部が設けられている。画素電極PEは、画素コンタクト部において、TFT10のドレイン電極DEに接続されている。この例では、画素コンタクト部において、誘電体層17および上部絶縁層13に、ドレイン電極DEの一部を露出する画素コンタクトホールCHpが形成されている。画素電極PEは、画素コンタクトホールCHp内で、ドレイン電極DEに電気的に接続されている。画素電極PEは、ドレイン電極DEの露出部分に直接接していてもよい。
【0039】
共通電極CEは、画素領域Pごとに分離されていなくても構わない。例えば、共通電極CEは、画素コンタクト部が形成される領域に開口部15pを有し、画素コンタクト部を除いて画素領域P全体に亘って形成されていてもよい。
【0040】
<従来の下部ソース構造基板の課題および本実施形態による効果>
前述したように、本発明者は、従来の下部ソース構造基板では、ゲートバスラインの下方において、酸化物半導体TFTの酸化物半導体層のエッジ部にESDが発生する可能性があることを見出した。以下、図面を参照して、本発明者が見出した知見を説明する。
【0041】
図16Aは、参照例のアクティブマトリクス基板900の一部を示す平面図である。
図16Bおよび
図16Cは、それぞれ、
図16Aに示すI-I’線およびII-II’線に沿った断面図である。
図16A~
図16Cでは、画素TFTおよび各バスラインの層構造を示しており、画素電極などの透明電極を省略している。また、アクティブマトリクス基板900の表示領域には、複数の画素領域が行方向および列方向にマトリクス状に配列されているが、ここでは、複数の画素領域のうちの2つの画素領域のみを例示している。簡単のため、
図16A~
図16Cでは、本実施形態のアクティブマトリクス基板100と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略している。
【0042】
参照例のアクティブマトリクス基板900は、各画素領域において、基板1に支持されたトップゲート型のTFT910と、不図示の画素電極とを備える。
【0043】
TFT910は、酸化物半導体層97と、酸化物半導体層97の一部上にゲート絶縁層99を介して配置されたゲート電極GEとを有する。TFT910のゲート電極GEは、ゲートメタル層内に形成されている。ここでは、ゲート電極GEは、ゲートバスラインGLと同じ導電膜を用いて、対応するゲートバスラインGLと一体的に形成されている。
【0044】
参照例では、ゲートバスラインGL(TFT901のゲート電極GEとして機能する部分を含む)は、TFT910の酸化物半導体層97上に、ゲート絶縁層99のみを介して配置される。ゲートバスラインGLは、基板1の法線方向から見たとき、表示領域全体に亘ってx方向に延びており、x方向に配列された複数の画素領域の酸化物半導体層97を横切っている。
【0045】
参照例のアクティブマトリクス基板900では、TFT910の製造プロセス(アレイプロセス)またはその後のプロセスにおいて、長いゲートバスラインGLに溜まった電荷が、ゲートバスラインGL内を移動する。これによって、ゲートバスラインGLの下方において、酸化物半導体層97のエッジ部でESD920が発生し、ソース・ゲート間でリークを引き起こす可能性がある。これは、歩留まり低下の要因となる。
【0046】
なお、ゲートバスラインGLと酸化物半導体層97との間に介在するゲート絶縁層99の材料や厚さは、TFT910に要求される特性によって決まる。このため、例えば、ESD920の発生を抑制する目的で、ゲート絶縁層99を厚くすることは難しい。
【0047】
これに対し、本実施形態のアクティブマトリクス基板100では、
図2A~
図2Cに示すように、各画素領域PのTFT10の酸化物半導体層7のエッジ部は、ゲート絶縁層9を介して、ゲート電極GEで覆われている。ゲート電極GEは、画素領域ごとに設けられた島状電極である。ゲート電極GEの面積は、ゲートバスラインGLの面積よりも極めて小さいので、各ゲート電極GEに蓄えられる電荷の量は、ゲートバスラインGLよりも少ない。なお、上層のゲートバスラインGLは大きな電荷を有しているが、ゲートバスラインGL内の電荷は、ゲートバスラインGLよりも幅の小さいゲートコンタクトホールCHgを通って各ゲート電極GEまで移動しにくい。ゲート電極GEに溜まる電荷の量が小さいので、ゲート電極GEの下方において、酸化物半導体層7のエッジ部でESDの発生を抑制することができる。
【0048】
酸化物半導体層7のエッジ部の一部は、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEで覆われず、ゲートバスラインGLで覆われていてもよい。この場合でも、容量の大きいゲートバスラインGLと酸化物半導体層7との間には、ゲート絶縁層9に加えて層間絶縁層11も介在するので、参照例と比べて、ゲートバスラインGLの電荷に起因するESDの発生が抑制される。
【0049】
<ゲートコンタクト部の構成>
ゲート電極GEは、基板1の法線方向から見たとき、対応するゲートバスラインGLに少なくとも部分的に重なるように配置されている。ゲート電極GEは、例えば、ゲートバスラインGLと同じ方向(x方向)に延びていてもよい。図示するように、例えば、x方向およびy方向は、それぞれ、TFT10におけるチャネル幅方向DWおよびチャネル長方向DLと略平行であってもよい。ゲート電極GEのx方向における長さ(この例ではチャネル幅方向DWの長さ)gxは、画素領域のx方向におけるピッチPx未満であればよく、Pxの1/2以下であってもよい。ゲート電極GEのy方向における長さ(この例ではチャネル長方向DLの長さ)gyは、対向基板(不図示)のブラックマトリクス幅未満であればよく、例えばゲートバスラインGLの幅以下であってもよい。ゲート電極GEのサイズを小さく抑えることで、ゲート電極GEに溜まる電荷がさらに減少するので、より効果的にESDの発生を抑制できる。一方、ゲート電極GEのサイズが小さすぎると、ゲートコンタクト部の形成が困難な場合がある。このため、ゲート電極GEのサイズおよび位置は、位置合わせずれが生じた場合でも、ゲート電極GEがゲートコンタクトホールCHgに少なくとも部分的に重なるように設計される。
【0050】
ゲートコンタクト部は、基板1の法線方向から見たとき、
図2Aに示すように、チャネル領域7Cに重ならないように配置されていてもよい。あるいは、ゲートコンタクト部は、チャネル領域7Cに重なるように配置されてもよい。
【0051】
以下、図面を参照しながら、ゲート電極GEのサイズとゲートコンタクト部の位置との関係を具体的に説明する。
【0052】
図3は、ゲート電極GEおよびゲートコンタクト部におけるゲートコンタクトホールCHgの配置関係の一例を示す平面図である。本明細書では、ゲートコンタクトホールCHgの位置およびサイズは、ゲートコンタクトホールCHgの側面がテーパを有する場合には、ゲートコンタクトホールCHgの「底面」の位置およびサイズを指す。
【0053】
図3に示す例では、ゲート電極GEは、基板1の法線方向から見たとき、チャネル領域7C上から、酸化物半導体層7に重ならないように延設されている。本明細書では、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEのうち酸化物半導体層7(つまりチャネル領域7C)に重なる部分g1を「第1部分」、第1部分から酸化物半導体層7に重ならないように延びる部分geを「延設部」と呼ぶ。延設部geは、例えば、チャネル領域7C上から、チャネル長方向DLとは異なる方向(例えばチャネル幅方向DW)に延設されていてもよい。ゲートコンタクト部は、延設部ge上に配置されている。つまり、層間絶縁層11のゲートコンタクトホールCHgは、ゲート電極GEの延設部geを露出するように形成されている。
【0054】
ゲートコンタクトホールCHgの位置およびゲート電極GEの延設部geの幅は、位置合わせ精度を考慮して、層間絶縁層11のゲートコンタクトホールCHg全体が、ゲート電極GEの延設部geに重なるように設計されてもよい。チャネル領域7Cの面積によっては、
図3に例示するように、ゲート電極GEの延設部geのチャネル長方向DLの長さeyは、第1部分g1のチャネル長方向DLの長さ(すなわちTFT10のチャネル長L)よりも大きくてもよい。
【0055】
一例として、TFT10のチャネル長Lが4μm、チャネル幅Wが4μm、ゲートコンタクトホールCHgの幅が3μmのとき、ゲート電極GEの延設部geにおけるチャネル長方向DLの長さeyおよびチャネル幅方向DWの長さexを、それぞれ、7μmとしてもよい。これにより、位置合わせずれ(例えば±2μm未満)が生じても、ゲートコンタクトホールCHg全体を延設部geに重なるように配置することが可能である。
【0056】
ゲートコンタクト部は、基板1における、ソースバスラインSL、下部導電部3などを含むソースメタル層MSが形成されていない領域(以下、「ソースメタル不存在領域」)に配置されてもよい。ソースメタル不存在領域にゲートコンタクト部を配置することにより、位置合わせずれによって、ゲートコンタクトホールCHgの一部がゲート電極GEと重ならなくても、リーク不良などの不具合の発生を抑制できる。
【0057】
ゲートコンタクト部がソースメタル不存在領域に配置されている場合には、
図3に示す例よりもゲート電極GEのサイズをさらに小さくできる。なお、「ゲートコンタクト部がソースメタル不存在領域に配置されている場合」とは、例えば、ゲートコンタクトホールCHgの全体がソースメタル不在領域の内部に位置するように設計されている場合をいう。
【0058】
図4A~
図4Cは、ゲート電極GEおよびゲートコンタクト部におけるゲートコンタクトホールCHgの配置関係の他の例を示す平面図である。
図4Aは、位置合わせずれが生じていない場合、
図4Bは、チャネル長方向DLに位置合わせずれが生じた場合、
図4Cは、チャネル幅方向DW(チャネル領域7Cと離れる方向に)位置合わせずれが生じた場合のゲート電極GEとゲートコンタクトホールCHgとの配置関係を示している。
【0059】
図4Bおよび
図4Cに示すように、位置合わせずれが生じた場合でも、ゲートコンタクトホールCHgの少なくとも一部は、ゲート電極GE上に位置する。従って、ゲート電極GEとゲートバスラインGLと電気的な接続を確保できる。
【0060】
一例として、ゲート電極GEの縁部とゲートコンタクトホールCHgとの最短距離が、例えば1μmとなるように設計されてもよい。また、ゲートコンタクトホールCHgとチャネル領域7Cとの距離は、ゲートバスラインGLが酸化物半導体層7に接続されないように、例えば2μm以上となるように設計されてもよい。具体的には、TFT10のチャネル長Lが4μm、チャネル幅Wが4μm、ゲートコンタクトホールCHgの幅が3μmのとき、ゲート電極GEの延設部geにおけるチャネル長方向DLの長さeyを4μm、チャネル幅方向DWの長さexを6μmとしてもよい。
【0061】
さらに、
図4Dに示すように、ゲートコンタクトホールCHgの一部のみがゲート電極GEに重なるように、ゲート電極GEの延設部geのサイズをさらに小さくしてもよい。これにより、ゲート電極GEの電荷によるESDの発生をより効果的に抑制できる。また、画素開口率を低減できる。
【0062】
図5Aおよび
図5Bは、ゲートコンタクトホールCHgの一部がゲート電極GEと重ならない場合の(例えば
図4C、
図4D)、ゲートコンタクト部を例示する平面図および断面図である。
【0063】
図5Aに示すように、ゲートコンタクトホールCHgは、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEの縁部を跨いで配置されている。この場合、
図5Bに示すように、ゲートコンタクトホールCHgの一部は、ゲート電極GEの延設部geからはみ出し、下方にある下部絶縁層5を貫通することがある。ゲートバスラインGLは、下部絶縁層5を貫通したゲートコンタクトホールCHg内で、例えば基板1の絶縁性表面に接する。下部絶縁層5の下にはソースメタル層MSが形成されていないので、ゲートバスラインGLおよびゲート電極GEは、ソースメタル層MS内のソースバスラインSL、下部導電部3などの配線・電極に電気的に接続されない。従って、位置合わせずれが生じた場合、あるいは、ゲートコンタクトホールCHgの幅よりもゲート電極GEの延設部geの幅を小さく設計した場合(
図4D)でも、ソース・ゲート間のリーク不良などは生じない。なお、図示していないが、チャネル長方向DLに位置合わせずれが生じた場合でも同様である。
【0064】
<変形例1>
変形例1のアクティブマトリクス基板は、1つのゲート電極GEに対して複数のゲートコンタクト部(複数のゲートコンタクトホールCHg)が配置されている点で、アクティブマトリクス基板100と異なる。
【0065】
図6Aは、変形例1のアクティブマトリクス基板101における各画素領域Pを例示する平面図である。
図6Bは、
図6Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図6Cは、
図3Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0066】
変形例1のアクティブマトリクス基板101では、ゲート電極GEは、基板1の法線方向から見たとき、酸化物半導体層7(つまりチャネル領域7C)に重なる第1部分g1と、第1部分g1の両側にチャネル長方向とは異なる方向(ここではチャネル幅方向)に延びる第1延設部ge1および第2延設部ge2とを有している。層間絶縁層11には、ゲート電極GEの第1延設部ge1の一部を露出するゲートコンタクトホールCHg1と、第2延設部ge2の一部を露出するゲートコンタクトホールCHg2とが形成されている。ゲートバスラインGLは、ゲートコンタクトホールCHg1、CHg2内で、それぞれ、ゲート電極GEの第1延設部ge1および第2延設部ge2に電気的に接続されている。図示していないが、層間絶縁層11に3以上のゲートコンタクトホールを形成してもよい。
【0067】
変形例1によると、ゲートコンタクト部におけるコンタクト面積を大きくできるので、コンタクト抵抗を低減することが可能である。
【0068】
<変形例2>
変形例2のアクティブマトリクス基板は、ゲートコンタクト部が、ゲート電極GEの第1部分g1上(すなわちチャネル領域7C上)に配置されている点で、アクティブマトリクス基板100と異なる。
【0069】
図7Aは、変形例2のアクティブマトリクス基板102における各画素領域Pを例示する平面図である。
図7Bは、
図7Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図7Cは、
図7Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0070】
アクティブマトリクス基板102では、ゲートコンタクト部のゲートコンタクトホールCHgは、基板1の法線方向から見たとき、チャネル領域7Cに重なるように配置されている。ゲートコンタクトホールCHgは、ゲート電極GEの第1部分g1の一部を露出している。ゲートバスラインGLは、ゲートコンタクトホールCHg内で、第1部分g1の露出部分に接続されている。ここでは、ゲートコンタクトホールCHg全体が、チャネル領域7Cに重なっているが、ゲートコンタクトホールCHgが部分的にチャネル領域7Cに重なっていてもよい。この構成によると、アクティブマトリクス基板100よりもゲート電極GEの延設部geを小さくできる。
【0071】
なお、TFT10のチャネル長Lおよびチャネル幅Wによっては、チャネル領域7C上にゲートコンタクトホールCHgを配置することが難しいことがある。チャネル長Lおよびチャネル幅Wが、ゲートコンタクトホールCHgの幅よりも十分大きい場合に、本変形例が好適に適用される。
【0072】
<変形例3>
変形例3のアクティブマトリクス基板は、酸化物半導体層7が、第1領域71と第2領域72との間に、複数のチャネル領域を含む点で、アクティブマトリクス基板100と異なる。
【0073】
図8は、変形例3のアクティブマトリクス基板103における各画素領域Pを例示する平面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0074】
アクティブマトリクス基板103では、酸化物半導体層7は、第1領域71と第2領域72との間に配置された2つのチャネル領域7Ca、7Cbと、これらのチャネル領域7Ca、7Cbの間に配置された低抵抗領域(第3領域)73とをさらに含む。ゲート電極GEは、基板1の法線方向から見たとき、チャネル領域7Ca、7Cbに重なるように配置されている。この例では、ゲート電極GEは、基板1の法線方向から見たとき、L字形の島状電極であり、酸化物半導体層7を2箇所で横切るように延びている。ゲート電極GEは、チャネル領域7Caに重なる第1部分g1と、チャネル領域7Cbに重なる第2部分g2とを含む。ゲート電極GEの延設部geは、第1部分g1と第2部分g2との間に位置する第3部分を含む。ゲートコンタクト部のゲートコンタクトホールCHgは、例えば、延設部ge(第3部分)上に配置されている。下部導電部3は、基板1の法線方向から見たとき、チャネル領域7Ca、7Cbに重なるように配置されている。
【0075】
なお、酸化物半導体層7およびゲート電極GEの形状は、図示する形状に限定されない。例えば、ゲート電極GEは、ゲートバスラインGLに沿ってx方向に延びており、酸化物半導体層7がゲート電極GEを2回横切るようにU字形に延びていてもよい。
【0076】
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、図面を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する。ここでは、アクティブマトリクス基板100の製造方法を例に説明する。
【0077】
図9Aから
図9Lは、それぞれ、アクティブマトリクス基板100の製造方法を説明するための模式図である。各図の(a)および(b)は工程断面図であり、各図の(c)は工程平面図である。各図の(a)および(b)は、それぞれ、各図の(c)のA-A’線およびB-B’線に沿った工程断面図である。以下では、アクティブマトリクス基板100における複数の単位領域のうちの1つの単位領域について製造方法の説明を行う。
【0078】
・STEP1:ソースメタル層MSの形成(
図9A)
基板1上に、例えばスパッタリング法で、ソース用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成する。次いで、公知のフォトリソ工程により、ソース用導電膜のパターニングを行う。ここでは、ソース用導電膜上にレジスト膜を形成し、第1のフォトマスクを用いてレジスト膜を露光することで、第1のレジスト層(不図示)を形成する。第1のレジスト層をマスクとして、ソース用導電膜のエッチング(例えばウェットエッチング)を行う。
【0079】
このようにして、
図9Aに示すように、ソースバスラインSL、ソース電極SE、および、TFTの遮光層として機能する下部導電部3を含むソースメタル層MSを形成する。
【0080】
基板1としては、透明で絶縁性を有する基板、例えばガラス基板、シリコン基板、耐熱性を有するプラスチック基板(樹脂基板)などを用いることができる。
【0081】
ソース用導電膜の材料は、特に限定されず、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、ソース用導電膜として、Tiを下層とし、Cuを上層とする積層膜を用いる。
【0082】
・STEP2:下部絶縁層5の形成(
図9B)
次いで、
図9Bに示すように、ソースメタル層MSを覆うように、下部絶縁層5(厚さ:例えば200nm以上600nm以下)を形成する。この後、公知のフォトリソ工程により、下部絶縁層5のパターニングを行う。これにより、各画素領域において、ソース電極SE(またはソースバスラインSL)の一部を露出するソース用開口部5sを形成する。
【0083】
下部絶縁層5は例えばCVD法で形成される。下部絶縁層5としては、酸化珪素(SiOx)層、窒化珪素(SiNx)層、酸化窒化珪素(SiOxNy;x>y)層、窒化酸化珪素(SiNxOy;x>y)層等を適宜用いることができる。下部絶縁層5は単層であってもよいし、積層構造を有していてもよい。例えば、基板側(下層)に、基板1からの不純物等の拡散防止のために窒化珪素(SiNx)層、窒化酸化珪素層等を形成し、その上の層(上層)に、絶縁性を確保するために酸化珪素(SiO2)層、酸化窒化珪素層等を形成してもよい。ここでは、下部絶縁層5として、例えば、CVD法を用いて、酸化珪素(SiO2)層(厚さ:例えば350nm)を形成する。あるいは、下部絶縁層5として、窒化珪素(SiNx)層(厚さ:50~600nm)を下層、酸化珪素(SiO2)層(厚さ:50~600nm)を上層とする積層膜を形成してもよい。
【0084】
・STEP3:酸化物半導体層7の形成(
図9C)
続いて、下部絶縁層5の上に酸化物半導体膜(厚さ:例えば15nm以上200nm以下)を形成する。この後、酸化物半導体膜のアニール処理を行ってもよい。続いて、公知のフォトリソ工程により酸化物半導体膜のパターニングを行う。これにより、
図9Cに示すように、TFT10の活性層となる酸化物半導体層7を得る。酸化物半導体層7は、ソース用開口部5s内で、ソース電極SEに接続される。酸化物半導体層7は、ソース電極SEに直接接してもよい。
【0085】
酸化物半導体膜は、例えばスパッタ法で形成され得る。ここでは、酸化物半導体膜として、In、GaおよびZnを含むIn-Ga-Zn-O系半導体膜(厚さ:50nm)膜を形成する。酸化物半導体膜のパターニングは、例えば、燐酸、硝酸および酢酸を含むPAN系エッチング液によるウェットエッチングで行ってもよい。
【0086】
・STEP4:ゲート絶縁層9およびゲート電極GEの形成(
図9D~
図9F)
次いで、
図9Dに示すように、酸化物半導体層7を覆うように、ゲート絶縁膜(厚さ:例えば80nm以上250nm以下)90およびゲート電極膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)80をこの順で形成する。
【0087】
ゲート絶縁膜90として、下部絶縁層5と同様の絶縁膜(下部絶縁層5として例示した絶縁膜)を用いることができる。ここでは、ゲート絶縁膜90として、酸化珪素(SiO2)層を形成する。
【0088】
ゲート電極膜80として、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)等の金属またはこれらの合金を用いることができる。ゲート電極膜80は、異なる導電材料から形成された複数の層を含む積層構造を有していてもよい。ここでは、Ti膜を下層、Cu膜を上層とする積層膜を用いる。
【0089】
この後、
図9Eに示すように、公知のフォトリソ工程により、ゲート電極膜80のパターニング(例えばウェットエッチング)を行うことで、ゲート電極GEを含むゲート電極層MEを形成する。
【0090】
次いで、
図9Fに示すように、ゲート電極膜80のパターニングと同じレジストマスクを用いてゲート絶縁膜90のパターニング(例えばドライエッチング)を行い、ゲート絶縁層9を形成する。この方法によると、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEの側面とゲート絶縁層9の側面は整合する。
【0091】
上記の方法の代わりに、ゲート電極膜80のパターニング後、レジストマスクを除去し、パターニングされたゲート電極膜(ゲート電極層ME)をマスクとして、ゲート絶縁膜90のパターニングを行ってもよい。
【0092】
あるいは、酸化物半導体層7を覆うようにゲート絶縁膜90を形成し、ゲート絶縁膜90をパターニングしてゲート絶縁層9を形成してもよい。次いで、ゲート絶縁層9を覆うようにゲート電極膜80を形成し、ゲート電極膜80をパターニングしてゲート電極層MEを形成してもよい。
【0093】
本工程によって、酸化物半導体層7のうち、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEに重なる領域7Cは「チャネル領域」となり、その両側に位置する領域は、それぞれ、第1領域71及び第2領域72となる。
【0094】
この後、酸化物半導体層7の低抵抗化処理(例えばプラズマ処理)を行ってもよい。これにより、基板1の主面の法線方向から見たとき、酸化物半導体層7のうちゲート電極層MEともゲート絶縁層9とも重なっていない第1領域71および第2領域72の比抵抗を、これらと重なっているチャネル領域7Cの比抵抗よりも低くすることが可能である。低抵抗化処理の方法および条件などは、例えば特開2008-40343号公報に記載されている。参考のために、特開2008-40343号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。なお、低抵抗化処理を行わなくても、後述する層間絶縁層11を形成することで、酸化物半導体層7のうち層間絶縁層11と接する部分を、接していない部分よりも低抵抗化できる場合がある。
【0095】
・STEP5:層間絶縁層11の形成(
図9G)
次いで、酸化物半導体層7、ゲート絶縁層9およびゲート電極GEを覆う層間絶縁層(厚さ:例えば100nm以上1000nm以下)11を形成する。この後、例えばドライエッチングで、層間絶縁層11に、酸化物半導体層7の第2領域72の一部を露出するドレイン用開口部11dと、ゲート電極GEの一部を露出するゲートコンタクトホールCHgとを形成する。
【0096】
層間絶縁層11として、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜などの無機絶縁層を単層又は積層させて形成することができる。無機絶縁層の厚さは100nm以上1000nm以下でもよい。ここでは、層間絶縁層11として、例えば、SiO2層(厚さ:例えば300nm)をCVD法で形成する。
【0097】
・STEP6:ゲートメタル層MGの形成(
図9H)
次いで、層間絶縁層11上にゲート用導電膜(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)を形成し、ゲート用導電膜のパターニングを行う。これにより、
図9Hに示すように、ゲートバスラインGLおよびドレイン電極DEを含むゲートメタル層MGを形成する。ドレイン電極DEとゲートバスラインGLとは間隔を空けて配置され、電気的に分離されている。
【0098】
ゲートバスラインGLは、層間絶縁層11上およびゲートコンタクトホールCHg内に配置され、ゲートコンタクトホールCHg内でゲート電極GEに接する。
【0099】
ドレイン電極DEは、層間絶縁層11上およびドレイン用開口部11d内に配置され、ドレイン用開口部11d内で酸化物半導体層7の第2領域72に接する。
【0100】
ゲート用導電膜として、例えば、アルミニウム(Al)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、チタン(Ti)、銅(Cu)等の金属又はその合金、若しくはその金属窒化物を含む膜を適宜用いることができる。また、これら複数の膜を積層した積層膜を用いてもよい。ここでは、ゲート用導電膜として、Tiを下層とし、Cuを上層とする積層膜を用いる。この例では、ゲート電極GEとゲートバスラインGLとは同じ材料(Ti、Cu)を用いて形成されている。なお、ゲートバスラインGLとゲート電極GEとを異なる材料を用いて形成してもよい。例えば、ゲート電極GEの材料よりも低抵抗な材料を用いてゲートバスラインGLを形成してもよい。これにより、ゲートバスラインGLに溜まった電荷は、ゲート電極GEにさらに移動し難くなるので、ESDの発生をより効果的に抑制できることがある。
【0101】
・STEP7:上部絶縁層13の形成(
図9I)
次に、
図9Iに示すように、層間絶縁層11およびゲートメタル層MGを覆うように上部絶縁層13を形成する。ここでは、上部絶縁層13として、無機絶縁層13A(厚さ:例えば50nm以上500nm以下)および有機絶縁層13B(厚さ:例えば1~3μm、好ましくは2~3μm)をこの順で形成する。有機絶縁層13Bのうち非表示領域に位置する部分全体を除去してもよい。なお、有機絶縁層13Bを形成しなくてもよい。
【0102】
無機絶縁層13Aとして、層間絶縁層11と同様の無機絶縁膜(層間絶縁層11として例示した絶縁膜)を用いることができる。ここでは、無機絶縁層13Aとして、例えば、SiNx層(厚さ:300nm)をCVD法で形成する。有機絶縁層13Bは、例えば、感光性樹脂材料を含む有機絶縁膜(例えばアクリル系樹脂膜)であってもよい。この後、有機絶縁層13Bのパターニングを行う。これにより、各画素領域Pにおいて、有機絶縁層13Bに、無機絶縁層13Aの一部を露出する開口部13Bpを形成する。開口部13Bpは、基板1の法線方向から見たとき、ドレイン電極DEに重なるように配置される。
【0103】
・STEP8:共通電極CEの形成(
図9J)
続いて、
図9Jに示すように、上部絶縁層13上に共通電極CEを形成する。
【0104】
まず、上部絶縁層13上に、不図示の第1の透明導電膜(厚さ:20~300nm)を形成する。ここでは、例えば、スパッタリング法で、第1の透明導電膜としてインジウム-亜鉛酸化物膜を形成する。第1の透明導電膜の材料としては、インジウム-錫酸化物(ITO)、インジウム-亜鉛酸化物、ZnO等の金属酸化物を用いることができる。この後、第1の透明導電膜のパターニングを行う。パターニングでは、例えば、シュウ酸系エッチング液を用いてウェットエッチングを行ってもよい。これにより、共通電極CEを得る。共通電極CEは、例えば、画素コンタクトホールCHpが形成される画素コンタクト部形成領域上に開口部15pを有している。共通電極CEは、画素コンタクト部形成領域を除いて、表示領域の略全体に亘って配置されていてもよい。
【0105】
・STEP9:誘電体層17の形成(
図9K)
次いで、
図9Kに示すように、共通電極CEを覆うように誘電体層(厚さ:50~500nm)17を形成する。
【0106】
誘電体層17の材料は、無機絶縁層13Aの材料として例示した材料と同じであってもよい。ここでは、誘電体層17として、例えばCVD法でSiN膜を形成する。
【0107】
この後、公知のフォトリソ工程により、誘電体層17および無機絶縁層13Aのエッチングを行い、開口部17p、13Apを形成する。開口部17pは、基板1の法線方向から見たとき、少なくとも部分的に開口部13Bp、13Apに重なっていればよい。これにより、画素領域には、酸化物半導体層7の第2領域72の一部を露出する画素コンタクトホールCHpが形成される。画素コンタクトホールCHpは、無機絶縁層13Aに形成された開口部13Ap、有機絶縁層13Bの開口部13Bpおよび誘電体層17の開口部17pから構成される。
【0108】
なお、ここでは、無機絶縁層13Aのパターニングを誘電体層17と同時に行っている。代わりに、有機絶縁層13Bを形成した後、誘電体層17を形成する前に、有機絶縁層13Bをマスクとして無機絶縁層13Aのパターニング(開口部13Apの形成)を行ってもよい。
【0109】
・STEP10:画素電極PEの形成(
図9L)
次いで、誘電体層17上および画素コンタクトホールCHp内に、不図示の第2の透明導電膜(厚さ:20~300nm)を形成する。第2の透明導電膜の材料は、第1の透明導電膜の材料として例示した材料と同じであってもよい。
【0110】
次いで、第2の透明導電膜のパターニングを行う。ここでは、例えば、シュウ酸系エッチング液を用いて、第2の透明導電膜のウェットエッチングを行う。これにより、
図9Lに示すように、各画素領域に、スリット(または切欠き部)を有する画素電極PEを形成する。画素電極PEは、誘電体層17上および画素コンタクトホールCHp内に形成され、画素コンタクトホールCHp内でドレイン電極DEに接する。このようにして、アクティブマトリクス基板100が製造される。
【0111】
なお、上述した変形例1~3のアクティブマトリクス基板101、102、103についても、ゲートコンタクト部の位置やゲート電極の形状は異なるが、アクティブマトリクス基板100と同様の方法で製造され得る。
【0112】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態のアクティブマトリクス基板を説明する。本実施形態のアクティブマトリクス基板は、ソースコンタクト部において、ゲート電極層ME内に形成された接続電極を介して、酸化物半導体層7とソース電極SE(ソースバスラインSL)とを電気的に接続する点で、前述の実施形態と異なる。
【0113】
図10Aは、第2の実施形態のアクティブマトリクス基板200における各画素領域Pを例示する平面図である。
図10Bは、
図10Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図10Cは、
図10Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。アクティブマトリクス基板100は複数の画素領域Pを有するが、以下では、単一の画素領域Pについて説明する。
【0114】
本実施形態の画素TFT(TFT)20は、ダブルゲート構造を有する酸化物半導体TFTである。TFT20は、酸化物半導体層7と、酸化物半導体層7の上方に配置されたゲート電極(「上部ゲート電極」ともいう。)GEと、酸化物半導体層7と基板1との間に配置された下部導電部3と、ソース電極SEおよびドレイン電極DEと、を備える。ゲート電極GEは、酸化物半導体層7の一部上にゲート絶縁層9を介して配置されている。下部導電部3は、酸化物半導体層7の基板1側に下部絶縁層5を介して配置されている。下部導電部3は、ゲート電極GEおよびゲートバスラインGLに電気的に接続されており、TFT20のゲート電極(「下部ゲート電極」ともいう。)として機能する。
【0115】
本実施形態では、TFT20は、接続電極8をさらに有している。接続電極8は、ゲート電極GEと同じ導電膜を用いて(すなわちゲート電極層ME内に)形成された島状電極である。接続電極8は、ソースコンタクト部において、酸化物半導体層7の第1領域71とソース電極SE(またはソースバスラインSL)とを電気的に接続する。接続電極8は、例えば、基板1の法線方向から見たとき、ソースバスラインSLの上方において、酸化物半導体層7の端部を跨ぐように配置されていてもよい。接続電極8と下部絶縁層5との間には、ゲート絶縁層9と同じ絶縁膜から形成された(すなわちゲート絶縁層9と同層に形成された)第1絶縁層91が配置されている。第1絶縁層91は島状であり、基板1の法線方向から見たとき、第1絶縁層91の周縁と接続電極8の周縁とは整合している。
【0116】
下部絶縁層5および第1絶縁層91には、ソースバスラインSLの一部および酸化物半導体層7(第2領域72)の一部を露出するソースコンタクトホールCHsが形成されている。ソースコンタクトホールCHsは、下部絶縁層5に形成されたソース用開口部5sと、第1絶縁層91に形成された第1第1開口部91sとから構成されている。ソース用開口部5sおよび第1第1開口部91sは、基板1の法線方向から見たとき、少なくとも部分的に重なっている。図示するように、第1第1開口部91sの側面の一部は、酸化物半導体層7上に位置しており、酸化物半導体層7の端面だけでなく、酸化物半導体層7の上面の一部もソースコンタクトホールCHs内で露出してもよい。接続電極8は、第1絶縁層91上およびソースコンタクトホールCHs内に配置され、ソースコンタクトホールCHs内で、ソース電極SE(またはソースバスラインSL)および酸化物半導体層7の両方に電気的に接続されている。接続電極8は、ソースコンタクトホールCHs内において、ソース電極SEの露出部分および酸化物半導体層7の露出部分に直接接していてもよい。
【0117】
下部導電部3は、ソースメタル層MS内に形成されている。下部導電部3は、基板1の法線方向から見たとき、酸化物半導体層7の少なくともチャネル領域7Cに重なるように配置された島状電極である。下部導電部3は、ゲート接続部において、ゲート電極GE(またはゲートバスラインGL)に電気的に接続されている。この例では、ゲート接続部において、下部絶縁層5およびゲート絶縁層9には、下部導電部3の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールCHqが形成されている。ゲート電極GEは、下部ゲートコンタクトホールCHq内で、下部導電部3に電気的に接続されている。ゲート電極GEは、下部導電部3の露出部分に直接接していてもよい。
【0118】
なお、図示する例では、基板1の法線方向から見たとき、下部ゲートコンタクトホールCHqおよびゲートコンタクトホールCHgは重なっているが、これらのコンタクトホールは重なっていなくてもよい。
【0119】
下部ゲートコンタクトホールCHqは、下部絶縁層5に形成された開口部5qおよびゲート絶縁層9に形成された開口部9qから構成されている。本実施形態では、開口部5qおよび開口部9qの側面は互いに整合している。このような構成は、同じマスクを用いて下部絶縁層5およびゲート絶縁層9のエッチングを行うことで形成され得る。
【0120】
後述するように、本実施形態では、下部絶縁層5およびゲート絶縁層9に対する同一のエッチング工程で、ソースコンタクト部のソースコンタクトホールCHsおよびゲート接続部の下部ゲートコンタクトホールCHqを同時に形成することが可能である。
【0121】
<変形例4>
図11Aは、変形例4のアクティブマトリクス基板201における各画素領域Pを例示する平面図である。
図11Bは、
図11Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図11Cは、
図11Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0122】
変形例4のアクティブマトリクス基板201は、TFT20がシングルゲート構造を有するトップゲート型TFTである点で、アクティブマトリクス基板200と異なる。
【0123】
アクティブマトリクス基板201では、ゲート接続部が設けられておらず、下部導電部3は、ゲートバスラインGLおよびゲート電極GEとは電気的に分離されている。従って、下部導電部3がTFT20の下部ゲート電極として機能しない。下部導電部3は、アクティブマトリクス基板100などと同様に、TFT20の遮光層として機能する。
【0124】
<アクティブマトリクス基板の製造方法>
次に、図面を参照しながら、本実施形態のアクティブマトリクス基板の製造方法を説明する。ここでは、アクティブマトリクス基板200の製造方法を例に説明する。
【0125】
図12Aから
図12Gは、それぞれ、アクティブマトリクス基板200の製造方法を説明するための模式図である。各図の(a)および(b)は工程断面図であり、各図の(c)は工程平面図である。各図の(a)および(b)は、それぞれ、各図の(c)のA-A’線およびB-B’線に沿った工程断面図である。以下では、アクティブマトリクス基板200における複数の単位領域のうちの1つの単位領域について製造方法の説明を行う。また、各層の材料、厚さ、形成プロセスなどについては、アクティブマトリクス基板100と同様であれば説明を省略する。
【0126】
・STEP1~3:ソースメタル層MS、下部絶縁層5および酸化物半導体層7の形成
基板1上に、ソースバスラインSL、ソース電極SE、および下部導電部3を含むソースメタル層MSを形成する。この後、ソースメタル層MSを覆うように、下部絶縁層5を形成する。本工程では、下部絶縁層5にソース用開口部5sを形成するためのパターニングを行わない。
【0127】
続いて、下部絶縁層5の上に酸化物半導体膜を形成し、酸化物半導体膜のパターニングを行う。これにより、
図12Aに示すように、TFT10の活性層となる酸化物半導体層7を得る。
【0128】
・STEP4:ゲート絶縁層9およびゲート電極GEの形成(
図12B~
図12E)
次いで、酸化物半導体層7を覆うように、ゲート絶縁膜90を形成する。この後、公知のフォトリソ工程により、ゲート絶縁膜90および下部絶縁層5のパターニング(ドライエッチング)を行う。これにより、
図12Bに示すように、ソースコンタクト部において、ソース電極SEの一部および酸化物半導体層7の一部(例えば酸化物半導体層7の端部)を露出するソースコンタクトホールCHsを形成するとともに、ゲート接続部において、下部導電部3の一部を露出する下部ゲートコンタクトホールCHqを形成する。
【0129】
ソースコンタクトホールCHsは、下部絶縁層5のソース用開口部5sおよびゲート絶縁膜90の第1第1開口部91sから構成されている。
【0130】
下部ゲートコンタクトホールCHqは、下部絶縁層5の開口部5qおよびゲート絶縁膜90の開口部9qから構成されている。下部ゲートコンタクトホールCHqは、酸化物半導体層7に接しないように、酸化物半導体層7から間隔を空けて配置される。下部ゲートコンタクトホールCHqは、後から形成されるゲートコンタクト部のゲートコンタクトホールCHgに少なくとも部分的に重なるように配置されてもよい。これにより、ゲート接続部を形成する目的でゲート電極GEおよび下部導電部3の面積を拡大しなくてもよいので、画素開口率の増大を抑制できる。
【0131】
続いて、
図12Cに示すように、ゲート絶縁膜90上、および第1開口部91s、開口部9q内にゲート電極膜80を形成する。
【0132】
この後、
図12Dに示すように、公知のフォトリソ工程により、ゲート電極膜80のパターニング(例えばウェットエッチング)を行うことで、ゲート電極GEおよび接続電極8を含むゲート電極層MEを形成する。ゲート電極GEは、下部ゲートコンタクトホールCHq内で下部導電部3に接続されている。ゲート電極GEは、下部導電部3の露出表面に直接接していてもよい。接続電極8は、ソースコンタクトホールCHs内で酸化物半導体層7の第2領域72およびソース電極SEに接続されている。接続電極8は、第2領域72およびソース電極SEの露出表面に直接接していてもよい。
【0133】
次いで、ゲート電極膜80のパターニングと同じレジストマスクを用いてゲート絶縁膜90をさらにパターニングする(例えばドライエッチング)。これにより、
図12Eに示すように、ゲート電極GEの下方にゲート絶縁層9が形成されるとともに、接続電極8の下方に第1絶縁層91が形成される。基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEの側面とゲート絶縁層9の側面は整合する。また、接続電極8の側面と第1絶縁層91の側面とは整合する。
【0134】
上記の方法の代わりに、ゲート電極膜80のパターニング後、レジストマスクを除去し、パターニングされたゲート電極膜(ゲート電極層ME)をマスクとして、ゲート絶縁膜90のパターニングを行ってもよい。
【0135】
本工程によって、酸化物半導体層7のうち、基板1の法線方向から見たとき、ゲート電極GEに重なる領域7Cは「チャネル領域」となり、その両側に位置する領域は、それぞれ、第1領域71及び第2領域72となる。
【0136】
・STEP5:層間絶縁層11の形成(
図12F)
次いで、酸化物半導体層7、ゲート絶縁層9、接続電極8およびゲート電極GEを覆う層間絶縁層11を形成する。この後、例えばドライエッチングで、層間絶縁層11に、酸化物半導体層7の第2領域72の一部を露出するドレイン用開口部11dと、ゲート電極GEの一部を露出するゲートコンタクトホールCHgとを形成する。
【0137】
・STEP6:ゲートメタル層MGの形成(
図12G)
次いで、層間絶縁層11上にゲート用導電膜を形成し、ゲート用導電膜のパターニングを行う。これにより、
図12Gに示すように、ゲートバスラインGLおよびドレイン電極DEを含むゲートメタル層MGを形成する。
【0138】
・STEP7~9:上部絶縁層13、共通電極CE、誘電体層17および画素電極PEの形成
この後、図示しないが、アクティブマトリクス基板100と同様の方法で、上部絶縁層13、共通電極CE、誘電体層17および画素電極PEを形成する。このようにして、アクティブマトリクス基板200が製造される。
【0139】
なお、上述した変形例4のアクティブマトリクス基板201についても、ゲート接続部を設けない(開口部9q、11qを形成しない)点以外は、アクティブマトリクス基板200と同様の方法で製造され得る。
【0140】
<変形例5>
図13Aは、変形例5のアクティブマトリクス基板202における各画素領域Pを例示する平面図である。
図13Bは、
図13Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図13Cは、
図13Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0141】
変形例5のアクティブマトリクス基板202では、ソースコンタクト部において、酸化物半導体層7の第1領域71に開口部7sが形成されている点で、アクティブマトリクス基板200と異なる。なお、酸化物半導体層7に開口部7sを設ける代わりに、切欠き部を設けてもよい。
【0142】
アクティブマトリクス基板202では、酸化物半導体層7の開口部7s(または切欠き部)は、基板1の法線方向から見たとき、下部絶縁層5のソース用開口部5sおよび第1絶縁層91の第1開口部91sに少なくとも部分的に重なるように配置されている。ソースコンタクトホールCHsは、ソース用開口部5s、第1開口部91s、酸化物半導体層7の開口部7s(または切欠き部)によって構成されている。接続電極8は、ソースコンタクトホールCHs内で酸化物半導体層7およびソース電極SE(またはソースバスラインSL)に電気的に接続されている。
【0143】
本変形例によると、位置合わせずれが生じた場合でも、接続電極8と酸化物半導体層7とのコンタクト面積が維持され得る。
【0144】
図14Aから
図14Dは、それぞれ、変形例5のアクティブマトリクス基板202の製造方法の一例を説明するための模式図である。各図の(a)および(b)は工程断面図であり、各図の(c)は工程平面図である。各図の(a)および(b)は、それぞれ、各図の(c)のA-A’線およびB-B’線に沿った工程断面図である。 まず、アクティブマトリクス基板200と同様に、基板1上に、ソースメタル層MSおよび下部絶縁層5を形成する。
【0145】
次いで、
図14Aに示すように、開口部7sを有する酸化物半導体層7を形成する。
【0146】
この後、酸化物半導体層7を覆うようにゲート絶縁膜90を形成する。次いで、ゲート絶縁膜90上に形成した不図示のレジスト層をマスクとして、ゲート絶縁膜90および下部絶縁層5のパターニングを行う。下部絶縁層5は、ゲート絶縁膜90上のレジスト層および酸化物半導体層7をマスクとしてエッチングされる。これにより、
図14Bに示すように、ソース電極SEに達するソースコンタクトホールCHsと、下部導電部3に達する下部ゲートコンタクトホールCHqとを得る。
【0147】
ソースコンタクトホールCHsは、ゲート絶縁膜90に形成される第1開口部91s、下部絶縁層5に形成されるソース用開口部5s、および酸化物半導体層7の開口部7sを含む。第1開口部91sは、例えば、開口部7sよりも大きいサイズを有し、開口部7s全体を露出するように形成されてもよい。これにより、基板1の法線方向から見たとき、開口部7sは第1開口部91sの内部に位置する。言い換えると、第1開口部91sの側面は、酸化物半導体層7上に位置する。この場合、下部絶縁層5は、酸化物半導体層7をマスクとしてエッチングされるので、下部絶縁層5に形成されるソース用開口部5sの側面は、開口部7sの側面に整合する。
【0148】
続いて、
図14Cに示すように、ゲート絶縁膜90上、ソースコンタクトホールCHs内および下部ゲートコンタクトホールCHq内に、ゲート電極膜80を形成する。
【0149】
次に、
図14Dに示すように、ゲート電極膜80およびゲート絶縁膜90のパターニングを行う。これにより、ゲート電極膜80から接続電極8およびゲート電極GEが形成され、ゲート絶縁膜90から第1絶縁層91およびゲート絶縁層9が形成される。この後の工程は、アクティブマトリクス基板200の製造方法と同様である。
【0150】
<他のアクティブマトリクス基板>
本願発明のアクティブマトリクス基板の構造は、第1および第2の実施形態で例示した構造に限定されない。上記実施形態では、ゲートバスラインと画素TFTのドレイン電極とは、同じ導電膜を用いて(同層に)形成されているが、これらは異なる導電層内に(別層に)形成されてもよい。あるいは、画素TFTはドレイン電極を有していなくてもよい。
【0151】
図15Aは、他のアクティブマトリクス基板301における各画素領域Pを例示する平面図である。
図15Bは、
図15Aに示すI-I’線に沿った断面図である。
図15Cは、
図15Aに示すII-II’線に沿った断面図である。
図2A~
図2Cと同様の構成要素には同じ参照符号を付して説明を省略する。
【0152】
アクティブマトリクス基板301は、各画素領域において、画素TFTはドレイン電極DEを有しておらず、画素TFTの酸化物半導体層7は画素電極PEに直接接している点で、アクティブマトリクス基板100と異なっている。
【0153】
アクティブマトリクス基板301では、画素電極PEは、誘電体層17、上部絶縁層13および層間絶縁層11に形成された画素コンタクトホールCHp内で、酸化物半導体層7の第2領域72に直接接している。ドレイン電極DEを設けないことで、画素開口率を高めることが可能である。また、ゲートバスラインGLと画素コンタクト部との間隔を小さくできる。
【0154】
図示していないが、アクティブマトリクス基板301に示す画素コンタクト部の構造(ドレイン電極DEを設けない構造)を、アクティブマトリクス基板100以外のアクティブマトリクス基板101~103、200~202に適用してもよい。
【0155】
本願発明のアクティブマトリクス基板は、タッチセンサを備えた表示装置(タッチパネル)に適用してもよい。タッチパネルでは、アクティブマトリクス基板に、タッチセンサ用の複数の電極(以下、「センサ電極」)と、タッチセンサの駆動用および/または検出用の複数の配線(以下、「タッチ配線」と総称する)とが設けられることがある。各タッチ配線は、対応するセンサ電極に電気的に接続される。共通電極が、センサ電極を兼ねる場合もある。図示していないが、タッチパネルにおいては、ゲートバスラインとは別層に、タッチ配線およびドレイン電極を形成してもよい。
【0156】
さらに、上記実施形態では、共通電極CE上に誘電体層17を介して画素電極PEが配置されているが、画素電極PE上に誘電体層17を介して共通電極CEが配置されていてもよい。このような電極構造は、例えば特開2008-032899号公報、特開2010-008758号公報に記載されている。参考のため、国際公開第2012/086513号、特開2008-032899号公報および特開2010-008758号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0157】
本願発明の実施形態のアクティブマトリクス基板は、FFSモード、In-Plane Switching(IPS)モードのような横電界モードの液晶表示装置に限らず、垂直配向モード(VAモード)液晶表示装置にも適用され得る。これらの液晶表示装置の構造は良く知られているので、説明を省略する。
【0158】
<酸化物半導体について>
酸化物半導体層7に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0159】
酸化物半導体層7は、2層以上の積層構造を有していてもよい。酸化物半導体層7が積層構造を有する場合には、酸化物半導体層7は、非晶質酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよい。あるいは、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、複数の非晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層7が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、2層のうちゲート電極側に位置する層(ボトムゲート型なら下層、トップゲート型なら上層)に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップは、ゲート電極と反対側に位置する層(ボトムゲート型なら上層、トップゲート型なら下層)に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップよりも小さくてもよい。ただし、これらの層のエネルギーギャップの差が比較的小さい場合には、ゲート電極側に位置する層の酸化物半導体のエネルギーギャップが、ゲート電極と反対側に位置する層の酸化物半導体のエネルギーギャップよりも大きくてもよい。
【0160】
非晶質酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0161】
酸化物半導体層7は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層7は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層7は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0162】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0163】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系酸化物半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0164】
酸化物半導体層7は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn2O3-SnO2-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層7は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明の実施形態のアクティブマトリクス基板は、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置および無機エレクトロルミネセンス表示装置等の表示装置、イメージセンサー装置等の撮像装置、画像入力装置や指紋読み取り装置等の電子装置などに広く適用できる。
【符号の説明】
【0166】
1 :基板
3 :下部導電部
5 :下部絶縁層
5s :ソース用開口部
7 :酸化物半導体層
7C、7Ca、7Cb :チャネル領域
7s :開口部
8 :接続電極
9 :ゲート絶縁層
11 :層間絶縁層
11d :ドレイン用開口部
13 :上部絶縁層
13A :無機絶縁層
13B :有機絶縁層
15p :共通電極の開口部
17 :誘電体層
71 :第1領域
72 :第2領域
80 :ゲート電極膜
90 :ゲート絶縁膜
91 :第1絶縁層
91s :第1開口部
100、101、102、103、200、201、202、301:アクティブマトリクス基板
DE :ドレイン電極
GE :ゲート電極
SE :ソース電極
SL :ソースバスライン
GL :ゲートバスライン
CE :共通電極
PE :画素電極
g1 :ゲート電極の第1部分
ge、ge1、ge2 :ゲート電極の延設部
CHg、CHg1、CHg2 :ゲートコンタクトホール
CHp :画素コンタクトホール
CHq :下部ゲートコンタクトホール
CHs :ソースコンタクトホール
ME :ゲート電極層
MG :ゲートメタル層
MS :ソースメタル層