(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】学習支援装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06F 18/22 20230101AFI20240412BHJP
G06N 3/09 20230101ALI20240412BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240412BHJP
G16H 10/60 20180101ALI20240412BHJP
【FI】
G06F18/22
G06N3/09
G06N20/00 130
G16H10/60
(21)【出願番号】P 2020013906
(22)【出願日】2020-01-30
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中津川 実
(72)【発明者】
【氏名】狩野 佑介
【審査官】渡辺 一帆
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204998(JP,A)
【文献】特開2010-200840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0286627(US,A1)
【文献】国際公開第2019/187372(WO,A1)
【文献】野原 康伸 ほか,"Shapley Additive Explanation を用いた機械学習モデルの解釈と医療実データへの応用",第38回医療情報学連合大会(第19回日本医療情報学会学術大会)論文集 [CD-ROM],2018年,pp. 770-773
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 18/22
G06N 3/02- 3/10
G06N 20/00-20/20
G16H 10/60-10/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医学的な判断の指標となる医用データの条件と当該条件から導出される医学知識とを関連付けた知識ベースと、被検体に関する医用データの入力に応じて当該医用データの条件から医学的な推論結果を導出するよう機能付けられたモデルとに基づいて、前記医学知識と前記推論結果とのそれぞれの導出に係る前記医用データの条件を当該医用データの種別毎に比較する比較部と、
前記比較部の比較結果を出力する出力部と、
を備える学習支援装置。
【請求項2】
前記比較部は、前記医学知識と前記推論結果とが同一の事象又は関連する事象を表す前記医用データの条件同士を、当該医用データの種別毎に比較する請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項3】
前記比較部の比較結果に基づいて、前記モデルの動作を調整する調整部を更に備える請求項1又は2に記載の学習支援装置。
【請求項4】
前記比較部の比較結果に基づいて、前記医学知識と前記推論結果とのそれぞれの導出に係る、前記医用データの条件の乖離度を反映した誤差関数を算出する誤差算出部を更に備え、
前記調整部は、前記誤差算出部が算出した前記誤差関数に基づき、前記モデルのパラメータを調整する請求項3に記載の学習支援装置。
【請求項5】
前記誤差算出部は、前記医学知識と前記推論結果との間における、前記医用データの条件値の差分
を前記乖離度として前記誤差関数
に反映させる請求項4に記載の学習支援装置。
【請求項6】
前記誤差算出部は、前記医学知識と前記推論結果との間で正負の係数が逆向きとなる前記医用データの個数
を前記乖離度として前記誤差関数
に反映させる請求項
4に記載の学習支援装置。
【請求項7】
前記誤差関数を編集することが可能な編集部を更に備える請求項4~6の何れか一項に記載の学習支援装置。
【請求項8】
前記比較部の比較結果を可視化した画面を表示する可視化部を更に備える請求項1に記載の学習支援装置。
【請求項9】
医学的な判断の指標となる医用データの条件と当該条件から導出される医学知識とを関連付けた知識ベースと、被検体に関する医用データの入力に応じて当該医用データの条件から医学的な推論結果を導出するよう機能付けられたモデルとに基づいて、前記医学知識と前記推論結果とのそれぞれの導出に係る前記医用データの条件を当該医用データの種別毎に比較し、
前記比較の結果を出力する、
ことを含む
、コンピュータによって実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、学習支援装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院等の医療施設では、医学的な判断の指標となる医用データの条件を規定した診療ガイドライン等の知識ベースを用いて、診断や予後予測が行われている。また、近年では、医療施設内に蓄積された多数の被検体の医用データを用いて機械学習することで、モデル(学習済モデル)を作成することが行われている。
【0003】
上述のモデルでは、被検体から採取された医用データを入力することで、被検体の診断や予後予測を導出することが可能である。しかしながら、作成されるモデルによっては、診断や予後予測の導出に係る医用データの条件が、知識ベースに規定された医用データの条件と相反する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、知識ベースの条件に適合するモデルの作成を支援することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本願明細書に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る学習支援装置は、比較部と、出力部とを備える。比較部は、医学的な判断の指標となる医用データの条件と当該条件から導出される医学知識とを関連付けた知識ベースと、被検体に関する医用データの入力に応じて当該医用データの条件から医学的な推論結果を導出するよう機能付けられたモデルとに基づいて、前記医学知識と前記診断結果とのそれぞれの導出に係る前記医用データの条件を当該医用データの種別毎に比較する。出力部は、前記比較部の比較結果を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る学習支援システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る学習支援装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る生体パラメータの比較結果の一例を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態の学習支援装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例1に係る学習支援装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例1の可視化機能が表示する画面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例1の可視化機能が表示する画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、学習支援装置及び方法の実施形態について説明する。
【0009】
図1は、実施形態に係る学習支援システムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、学習支援システム1は、学習支援装置10と、知識ベース記憶装置20と、診療データ記憶装置30とを備える。学習支援装置10、知識ベース記憶装置20、及び診療データ記憶装置30は、例えば病院等の医療施設に設置され、ネットワークN1を介して互いに通信可能に接続される。
【0010】
なお、ネットワークを介して接続可能であれば、学習支援装置10、知識ベース記憶装置20、及び診療データ記憶装置30が設置される場所は任意に変更可能である。例えば、学習支援装置10及び知識ベース記憶装置20は、診療データ記憶装置30が設置される医療施設とは異なる場所(例えばデータセンタ等)に設置されてもよい。
【0011】
知識ベース記憶装置20は、知識ベース21を記憶する記憶装置である。知識ベース記憶装置20は、例えば、DB(Database)サーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路に知識ベース21を記憶する。
【0012】
知識ベース21は、医学論文や診療ガイドライン等で規定された、病気の診断・治療・予後予測等の医学的な判断の指標(根拠)となる医用データの条件を定めたデータである。例えば、知識ベース記憶装置20は、知識ベース21として、指標となる生体パラメータの条件と、当該条件から導出される医学的なリスクや、病名、予後予測等の医学知識とを関連付けて記憶する。ここで、生体パラメータは、例えば心拍数や血圧等、各種検査によって得られる医用データや、年齢や性別や人種などの患者属性、家族構成などの社会的属性に対応する。また、生体パラメータの条件は、指標として使用される生体パラメータの種別と、当該生体パラメータの条件値との組を意味する。例えば、条件値は、心拍数や血圧等、各種検査によって得られる医用データの値を意味する。条件値は、閾値や数値範囲等を定量的に表したものであってもよいし、増加・減少等の経時的な変化の傾向を定性的に表したものであってもよい。
【0013】
診療データ記憶装置30は、診療データ31を記憶する記憶装置である。診療データ記憶装置30は、例えば、DBサーバ等のコンピュータ機器によって実現され、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等の記憶回路に診療データ31を記憶する。
【0014】
診療データ31は、被検体に対して実施された検査結果等を記録したデータ群である。例えば、診療データ記憶装置30は、被検体の各々を識別する患者IDに関連付けて、その被検体に対して実施された各種検査の検査結果を記録した診療データを時系列順に記憶する。つまり、診療データは、被検体から採取された各種の生体パラメータ(医用データ)を含んでいる。
【0015】
なお、本実施形態では、診療データ記憶装置30は、後述するモデルM1の生成に使用する診療データ31(以下、学習用データともいう)と、モデルM1の検証に使用する診療データ31(以下、検証用データともいう)とを記憶する。この場合、学習用データは、各被検体の診療データとともに、当該診療データから導出された医師等の医療従事者の診断結果を教師データとして含んでもよい。
【0016】
学習支援装置10は、知識ベース記憶装置20及び診療データ記憶装置30に記憶されたデータに基づいて、病気の診断・治療効果の判定・予後予測等の医学的な推論結果を導出することが可能なモデルM1の生成に係る処理を実行する。
【0017】
例えば、学習支援装置10は、診療データ記憶装置30に記憶された学習用データを用いてモデルM1を生成するための処理を実行する。また、学習支援装置10は、知識ベース記憶装置20の知識ベース21に規定された生体パラメータの条件に基づき、モデルM1の動作を調整するための処理を実行する。学習支援装置10は、例えば、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0018】
図1に示すように、学習支援装置10は、入力インターフェース101と、ディスプレイ102と、記憶回路103と、処理回路110とを有する。入力インターフェース101、ディスプレイ102、記憶回路103、及び処理回路110は、互いに接続される。
【0019】
入力インターフェース101は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。例えば、入力インターフェース101は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。
【0020】
なお、入力インターフェース101は、学習支援装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることとしても構わない。また、入力インターフェース101は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、学習支援装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路110へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース101の例に含まれる。
【0021】
ディスプレイ102は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ102は、処理回路110による制御の下、処理回路110による処理結果を表示する。また、ディスプレイ102は、入力インターフェース101を介して操作者から各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示する。例えば、ディスプレイ102は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。ディスプレイ102は、デスクトップ型でもよいし、学習支援装置10本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0022】
記憶回路103は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、記憶回路103は、学習支援装置10に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。また、例えば、記憶回路103は、知識ベース記憶装置20や診療データ記憶装置30から取得した各種データを記憶する。また、例えば、記憶回路103は、モデルM1を記憶する。
【0023】
処理回路110は、学習支援装置10の処理全体を制御する。例えば、処理回路110は、
図2に示すように、学習機能111と、比較機能112と、誤差算出機能113とを実行する。ここで、学習機能111は、調整部の一例である。比較機能112は、比較部及び出力部の一例である。誤差算出機能113は、誤差算出部の一例である。なお、
図2は、学習支援装置10の機能構成の一例を示す図である。
【0024】
例えば、学習機能111、比較機能112、及び誤差算出機能113が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路103に記録されている。処理回路110は、各プログラムを記憶回路103から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路110は、
図2の処理回路110内に示された各機能を有することとなる。
【0025】
学習機能111は、診療データ記憶装置30に記憶された学習用データを用いて、上述したモデルM1を生成する。具体的には、学習機能111は、各被検体の診療データ31と、当該診療データ31に対する医師の判断結果(例えば、病気の診断・治療効果の判定・予後予測等の医学的な判断結果)とを用いて、ロジスティック回帰、ニューラルネットワーク、ディープラーニング等のアルゴリズムに基づく機械学習を行う。そして、学習機能111は、CNN(Convolutional Neural Network:畳み込みニューラルネットワーク)、FNN(Feedforward Neural Network:順伝搬型ニューラルネットワーク)等のネットワークで構成される学習済モデルを生成し、生成した学習済モデルをモデルM1として記憶回路103に記憶させる。
【0026】
モデルM1は、診断対象となる被検体の診療データの入力に応じて、病気の診断・治療効果の判定・予後予測等の医学的な推論結果を導出するよう機能付けられる。具体的には、学習機能111は、診療データに含まれた生体パラメータの条件と、教師データとなる医療従事者の診断結果との関係を学習させることで、診療データに含まれた生体パラメータの条件から病気の診断・治療効果の判定・予後予測等の推論結果を出力するよう機能付けられたモデルM1を生成する。
【0027】
上述のモデルM1は、例えば複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数で表される。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数及びパラメータの組合せにより定義される。
【0028】
例えば、モデルM1がFNNで生成される場合、パラメータ付き合成関数は、重み付行列を用いた各層間の線形関係、各層における活性化関数を用いた非線形関係(又は線形関係)、及びバイアスの組み合わせとして定義される。活性化関数は、ロジスティックシグモイド関数(ロジスティック関数)、双曲線正接関数、正規化線形関数、線形写像、恒等写像、マックスアウト関数等、目的に応じて種々の関数を選択することができる。
【0029】
重み付行列、及びバイアスは、多層化ネットワークの動きを定義するパラメータ(以下、モデルパラメータともいう)となる。パラメータ付き合成関数は、モデルパラメータをどのように選ぶかで、関数としての形を変える。多層化ネットワークでは、構成するモデルパラメータを適切に設定することで、出力層から好ましい結果を出力することが可能な関数を定義することができる。
【0030】
モデルパラメータは、学習用データと誤差関数とを用いた学習を実行することで設定される。ここで、誤差関数は、生体パラメータを入力した多層化ネットワークからの出力と教師データとの近さを表す関数である。誤差関数の代表例としては、二乗誤差関数、最尤度推定関数、交差エントロピー関数等が挙げられる。誤差関数として選択する関数は、多層化ネットワークが取り扱う問題(例えば、回帰問題、二値問題、多クラス分類問題等)に依存する。モデルパラメータは、モデルM1の生成過程において、例えば誤差関数を極小にする値が決定される。
【0031】
比較機能112は、知識ベース記憶装置20に記憶された知識ベース21と、記憶回路103に記憶されたモデルM1とに基づいて、知識ベース21により導出される医学知識と、モデルM1により導出される推論結果とのそれぞれの導出に係る生体パラメータの条件値を当該生体パラメータの種別毎に比較する。
【0032】
具体的には、比較機能112は、知識ベース21により導出される医学知識と、モデルM1により導出される推論結果とが同一の事象又は関連する事象を表す生体パラメータの条件同士を、生体パラメータの種別毎に比較する。
【0033】
例えば、知識ベース21により導出される医学知識と、モデルM1により導出される推論結果とが共に心不全の兆候を表す場合、比較機能112は、これらの医学知識と推論結果とが同一の事象を導出すると判断する。この場合、比較機能112は、「心不全」を導出する医学知識及び推論結果に係る生体パラメータの条件同士を、生体パラメータの種別毎に比較する。また、例えば、知識ベース21により導出される医学知識が心筋症の兆候を表し、モデルM1により導出される推論結果が心不全の兆候を表すような場合、比較機能112は、これらの医学知識と推論結果とが関連する事象を導出すると判断する。この場合、比較機能112は、関連する事象を導出する医学知識及び推論結果に係る生体パラメータの条件同士を、生体パラメータの種別毎に比較する。
【0034】
より具体的には、比較機能112は、知識ベース21に規定された医学知識に基づき、当該医学知識と同一又は関連する事象を表した推論結果の導出に係る生体パラメータの条件(生体パラメータの種別とその条件値)をモデルM1から取得する。そして、比較機能112は、モデルM1から取得した生体パラメータの条件値と、知識ベース21に規定された生体パラメータの条件値とを生体パラメータの種別毎に比較し、その比較結果を誤差算出機能113に出力する。
【0035】
なお、同一又は関連する事象と判断する判断基準は特に問わず、任意に設定することが可能である。また、入力インターフェース101を介した手動操作により、比較の対象となる医学知識と推論結果との組が指示されてもよい。
【0036】
また、モデルM1から生体パラメータの条件値を取得する方法は特に問わず、種々の方法を用いることが可能である。例えば、比較機能112は、特徴量の重要度計測等の公知技術を用いることで、推論結果の導出に寄与した生体パラメータの種別とその条件値とをモデルM1から取得してもよい。また、生体パラメータの種別毎に推論結果の導出に寄与した寄与度を重要度として計測し、閾値等を定めることで寄与度の高い生体パラメータの種別を選定してもよい。
【0037】
また、比較機能112がモデルM1から取得する生体パラメータの条件値は定量的な数値に限らず、定性的なものであってもよい。例えば、比較機能112は、生体パラメータの経時的な変化の傾向(増加、低下等)を条件値として取得してもよい。なお、モデルM1から取得する条件値の形式は、知識ベース21に規定された対応する生体パラメータ種別の条件値の形式と一致させることが好ましい。
【0038】
誤差算出機能113は、比較機能112の比較結果に基づいて、知識ベース21とモデルM1との間における、生体パラメータの条件の乖離度を算出する。
【0039】
具体的には、誤差算出機能113は、比較対象となった両条件値の差分や、プラス・マイナスの係数の相違性に基づいて、生体パラメータの種別毎に乖離の有無を判定する。そして、誤差算出機能113は、乖離ありと判定した生体パラメータの個数や条件値に基づきペナルティ付き誤差を算出する。
【0040】
ここで、
図3を参照して、誤差算出機能113の動作について説明する。
図3は、生体パラメータの比較結果の一例を模式的に示す図である。
【0041】
図3では、知識ベース21及びモデルM1から取得された心不全の兆候予測に係る生体パラメータの条件を示している。具体的には、
図3では、知識ベース21とモデルM1とで共通する生体パラメータの種別として、心拍数、呼吸数、尿量等の15項目を挙げている。また、
図3では、知識ベース21における生体パラメータの条件値として経時的な増減傾向を取得した例を示している。また、
図3では、モデルM1の係数の正負を取得した例を示している。
【0042】
ここで、例えば、生体パラメータ「心拍数」に着目すると、知識ベース21及びモデルM1の何れも増加(+)傾向にあると、心不全の兆候が予測されることが分かる。この場合、誤差算出機能113は、パラメータ「心拍数」について「乖離なし」と判断する。一方、パラメータ「呼吸数」に着目すると、知識ベース21とモデルM1とで増減傾向の係数が逆向きの関係にあることが分かる。この場合、誤差算出機能113は、パラメータ「呼吸数」について「乖離あり」と判断する。
【0043】
また、誤差算出機能113は、比較機能112の比較結果の中に「乖離あり」と判断した生体パラメータが存在する場合、知識ベース21とモデルM1との間における、生体パラメータの条件の乖離の程度(以下、乖離度ともいう)を反映したペナルティ付き誤差関数L’を下記式(1)に基づいて算出する。なお、ペナルティ付き誤差は、ペナルティ付き誤差関数L’の出力値に対応する。
【0044】
L’=L+λ×R …(1)
【0045】
上記式(1)において、「L」はモデルM1の初期生成時に設定された誤差関数を意味する。「λ」はモデルM1のハイパーパラメータであり、任意の定数が設定される。「R」は誤差算出機能113の判定結果に応じて定まる項(以下、R項という)である。なお、λとR項とによってペナルティ項が形成される。
【0046】
R項は、例えば、モデルM1を構成する各層のノードへの入力値における重み係数を成分とした多項式によって表される。具体的には、R項は、乖離度が大きいほど、ペナルティ付き誤差関数L’が大きく作用するよう設定される。
【0047】
例えば、R項は、誤差算出機能113が乖離ありと判断した生体パラメータの個数に基づき、当該個数が大きくなるほど、ペナルティ付き誤差関数L’が大きく作用するよう設定される。かかるペナルティ付き誤差関数L’を用いて、L’を最小にするようにモデルM1を修正し、モデルM1の動作を調整することで、モデルM1が推論結果の導出に使用する生体パラメータの条件を、知識ベース21に規定された生体パラメータの条件に効率的に近付けることができる。
【0048】
なお、
図3では、正負の係数が逆向きの関係にある生体パラメータを乖離ありと判断したが、判断方法はこれに限らないものとする。例えば、医用データの条件値が定量的に表される場合、誤差算出機能113は、条件値間の差分が閾値を上回った生体パラメータを
乖離ありと判断してもよい。また、この場合、R項は、誤差算出機能113が乖離ありと判断した条件値間の差分に基づき、当該差分が大きくなるほど、ペナルティ付き誤差関数L’が大きく作用するよう設定される。
【0049】
例えば、R項は、条件値間の差分の自乗和の値に基づき、当該値が大きくなるほど、ペナルティ付き誤差関数L’が大きく作用するよう設定してもよい。かかるペナルティ付き誤差関数L’を用いてモデルM1を調整することで、モデルM1が推論結果の導出に使用する生体パラメータの条件を、知識ベース21に規定された生体パラメータの条件に効率的に近付けることができる。
【0050】
また、
図3の例では、生体パラメータの種別毎に乖離の有無を判定する形態を説明したが、複数種別の生体パラメータをグルーピングし、当該グループの単位で乖離の有無を判定してもよい。例えば、心臓病等の病気では、複数の生体パラメータが有意な関係を有する場合がある。この場合、誤差算出機能113は、有意な関係にある複数の生体パラメータを同一グループにグルーピングし、知識ベース21とモデルM1とで、グループ内の条件値の何れか又は全てが相違する場合に乖離ありと判定する。
【0051】
これにより、誤差算出機能113は、知識ベース21とモデルM1との間において、複数の生体パラメータの条件の乖離度を、当該生体パラメータのグループ単位で判定することができる。したがって、誤差算出機能113は、例えば有意な関係を有する生体パラメータ等、複数の生体パラメータの関係性に基づき、乖離の有無を判定することができる。
【0052】
また、
図3の例では、知識ベース21とモデルM1とで同種の生体パラメータを比較する形態を説明したが、モデルM1から取得される生体パラメータの種別と知識ベース21に規定された生体パラメータの種別とが一致しない場合も想定される。例えば、モデルM1の推論に寄与した生体パラメータの種別数が、知識ベース21に規定された生体パラメータの種別数を上回る場合、モデルM1は、知識ベース21に規定された種別以外の他の種別の生体パラメータも用いて推論結果を導出することになる。
【0053】
このような場合、誤差算出機能113は、他の種別の生体パラメータの寄与度を低下させるようR項を設定したペナルティ付き誤差関数L’を算出してもよい。これにより、誤差算出機能113は、モデルM1が推論に用いる生体パラメータの条件を、知識ベース21に規定された生体パラメータの条件に近づけることができる。
【0054】
学習機能111は、比較機能112の判定結果に基づいて、モデルM1の動作を調整する。より具体的には、学習機能111は、誤差算出機能113が算出したペナルティ付き誤差関数L’に基づき、ペナルティ付き誤差関数L’の出力値であるペナルティ付き誤差が小さくなる方向にモデルM1のモデルパラメータを調整する。例えば、学習機能111は、ペナルティ付き誤差関数L’に基づき、誤差逆伝播法等によりモデルM1のモデルパラメータにフィードバックを与えることで、ペナルティ付き誤差が小さくなる方向にモデルM1のモデルパラメータを調整する。
【0055】
学習機能111は、多数の検証用データを用いて繰り返し学習することによって、知識ベース21とモデルM1との間における、生体パラメータの条件の乖離を最小化するモデルパラメータを得ることができる。このようにして、学習機能111は、知識ベース21の条件に適合したモデルM1を生成する。
【0056】
次に、
図4を参照して、学習支援装置10が行う処理について説明する。
図4は、学習支援装置10が行う処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理の前提として、学習用データに基づき生成されたモデルM1が記憶回路103に記憶されているものとする。
【0057】
まず、学習機能111は、モデルM1に対し検証用データ(診療データ31)を入力する(ステップS11)。診療データの入力により、モデルM1は、検証用データに含まれた生体パラメータの条件に基づき、病気の診断・治療効果の判定、予後予測等の推論結果を導出する。
【0058】
比較機能112は、知識ベース21を参照し、モデルM1の推論結果が、知識ベース21に規定された医学知識に一致又は関連するか否かを判定する(ステップS12)。ここで、一致も関連もしないと判定した場合(ステップS12;No)、比較機能112は、ステップS11に処理を戻す。
【0059】
一方、推論結果が一致又は関連すると判定した場合(ステップS12;Yes)、比較機能112は、当該推論結果の推論に寄与した生体パラメータの条件をモデルM1から取得する(ステップS13)。また、比較機能112は、知識ベース21の該当するエントリから、医学知識の導出に係る生体パラメータの条件を取得する(ステップS14)。
【0060】
比較機能112は、ステップS13及びステップS14で取得した生体パラメータの条件値を同種の生体パラメータ毎に比較し、その比較結果を誤差算出機能113に出力する(ステップS15)。
【0061】
続いて、誤差算出機能113は、ステップS15の比較結果に基づいて、ペナルティ付き誤差関数L’を算出する(ステップS16)。そして、学習機能111は、ステップS16で算出されたペナルティ付き誤差関数L’のペナルティ付き誤差が小さくなる方向にモデルM1のモデルパラメータを調整し(ステップS17)、ステップS11に戻る。
【0062】
このように、学習支援装置10は、知識ベース21とモデルM1とに基づいて、医学知識と推論結果とのそれぞれの導出に係る医用データの条件を生体パラメータの種別毎に比較し、その比較結果を出力する。そして、学習支援装置10は、医学知識と推論結果との導出に係る、生体パラメータの条件の乖離度を表したペナルティ付き誤差関数L’を算出し、ペナルティ付き誤差が小さくなる方向にモデルM1のモデルパラメータを調整する。
【0063】
これにより、学習支援装置10は、知識ベース21とモデルM1との間の、生体パラメータの条件の乖離を小さくしたモデルM1を得ることができる。したがって、学習支援装置10は、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0064】
なお、上述した実施形態は、学習支援装置10が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0065】
(変形例1)
図5は、本変形例に係る処理回路110の機能構成の一例を示す図である。
図5に示すように、処理回路110は、
図2で説明した各機能を備えるとともに、可視化機能114と編集機能115とを新たに備える。ここで、可視化機能114は、出力部及び可視化部の一例である。編集機能115は、編集部の一例である。なお、本変形例の比較機能112は、生体パラメータの比較結果を誤差算出機能113及び可視化機能114に出力する。
【0066】
可視化機能114は、学習機能111、比較機能112及び誤差算出機能113の処理結果や処理の状態を可視化した画面をディスプレイ102に表示(出力)させる。
【0067】
例えば、可視化機能114は、比較機能112の比較結果を可視化した画面をディスプレイ102に表示させる。一例として、可視化機能114は、
図6に示すように、
図3で説明した比較結果を表す画面G1をディスプレイ102に表示させる。ここで、
図6は、可視化機能114が表示する画面G1の一例を示す図である。
【0068】
また、可視化機能114は、誤差算出機能113の判定結果を用いることで、乖離ありと判定された生体パラメータを強調表示させてもよい。
図6では、可視化機能114は、乖離ありと判定された生体パラメータ(呼吸数)のエントリG11を強調表示させた例を示している。
【0069】
これにより、学習支援装置10のオペレータは、可視化機能114によって表示された画面G1を見ることで、知識ベース21とモデルM1との間における、生体パラメータの条件の違いを容易に確認することができる。したがって、学習支援装置10は、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0070】
また、可視化機能114は、誤差算出機能113が算出したペナルティ付き誤差関数L’を可視化し、ディスプレイ102に表示させる。例えば、可視化機能114は、編集機能115によって編集可能な状態でペナルティ付き誤差関数L’を表示させる。これにより、学習支援装置10のオペレータは、誤差算出機能113が算出したペナルティ付き誤差関数L’の内容を容易に確認することができる。したがって、学習支援装置10は、モデルM1の作成に係る利便性の向上を図ることができ、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0071】
編集機能115は、学習機能111、比較機能112及び誤差算出機能113の処理結果や処理の状態に対する編集操作を、入力インターフェース101を介して受け付ける。
【0072】
例えば、編集機能115は、ディスプレイ102に表示された誤差算出機能113の判定結果に対する編集操作を受け付ける。一例として、編集機能115は、判定結果を表す画面に基づき、ペナルティ項(R項)に組み込む又はペナルティ項から除外する生体パラメータを指示する操作を受け付ける。この場合、誤差算出機能113は、可視化機能114を介して、指示された生体パラメータをペナルティ項に組み込む処理、又はペナルティ項から除外する処理を実行する。これにより、学習支援装置10は、学習支援装置10のオペレータに対し、ペナルティ付き誤差関数L’の編集操作を提供することができるため、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0073】
また、例えば、編集機能115は、ディスプレイ102に表示されたペナルティ付き誤差関数L’に対する編集操作を受け付ける。一例として、編集機能115は、ペナルティ付き誤差関数L’のハイパーパラメータ「λ」に対する編集操作を受け付ける。この場合、誤差算出機能113は、可視化機能114を介して、ハイパーパラメータの値を変更する処理を実行する。これにより、学習支援装置10は、学習支援装置10のオペレータに対し、ペナルティ付き誤差関数L’の編集操作を提供することができるため、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0074】
なお、
図6では、編集機能115が受け付けた編集操作が、可視化機能114を介して誤差算出機能113に伝達される構成例としたが、これに限らず、編集機能115が受け付けた編集操作が、誤差算出機能113に直接伝達される構成としてもよい。
【0075】
また、ペナルティ付き誤差関数L’が編集された場合、学習機能111は、編集後のペナルティ付き誤差関数L’に基づいたモデルM1を一つ生成する形態としてもよいし、編集前後のペナルティ付き誤差関数L’に基づくモデルM1を個別に生成する形態としてもよい。後者の場合、学習機能111は、編集前後のペナルティ付き誤差関数L’に基づくモデルM1を個別に生成し、世代の異なるモデルM1として記憶回路103に記憶する。さらに、世代毎にモデルM1を保持する場合、学習機能111、比較機能112、誤差算出機能113及び可視化機能114は、以下の処理を行ってもよい。
【0076】
まず、学習機能111は、検証用データを用いることで、モデルM1の推論結果と教師データとの一致率(正答率)をモデルM1の世代毎に算出する。また、比較機能112及び誤差算出機能113は、モデルM1の推論に寄与する生体パラメータの条件と、知識ベース21に規定された生体パラメータの条件との乖離率(又は合致率)を、モデルM1の世代毎に算出する。ここで、乖離率の算出方法は特に問わず、例えば、知識ベース21とモデルM1とから取得された生体パラメータのうち、誤差ありと判断された生体パラメータが占める割合を乖離率として算出してもよい。
【0077】
そして、可視化機能114は、学習機能111、比較機能112及び誤差算出機能113によって算出された各世代のモデルM1に関する情報を比較可能な状態でディスプレイ102に表示させる。例えば、可視化機能114は、
図7に示すように、モデルM1の世代毎に、そのモデルM1の正当率と知識ベース21との乖離率とを表した画面G2をディスプレイ102に表示させる。
【0078】
図7は、可視化機能114が表示する画面G2の一例を示す図である。
図7では、3世代分のモデルM1の正答率及び乖離率を表示した例を示している。ここで、第1世代が、誤差算出機能113によって自動設定されたペナルティ付き誤差関数L’に基づくモデルM1を意味する。また、第2世代が、第1世代のペナルティ付き誤差関数L’を編集した後のモデルM1に対応し、第3世代が、第2世代のペナルティ付き誤差関数L’を更に編集した後のモデルM1に対応する。
【0079】
図7において、例えば乖離率に着目すると、第2世代のモデルM1が、知識ベース21との合致率が最も高いことが分かる。また、例えば正当率に着目すると、第3世代のモデルM1が、正当率が最も高いことが分かる。このように、可視化機能114が提供する画面G2により、学習支援装置10のオペレータは、各世代のモデルM1が有する能力(評価値)を容易に比較することができる。これにより、学習支援装置10は、オペレータに対し、ペナルティ付き誤差関数L’の編集前後のモデルM1の状態を提示することができるため、知識ベース21の条件に適合するモデルM1の作成を支援することができる。
【0080】
(変形例2)
上述の実施形態では、知識ベース記憶装置20が知識ベース21を保持する形態を説明したが、学習支援装置10が知識ベース21を保持してもよい。また、上述の実施形態では、診療データ記憶装置30が診療データ31を保持する形態を説明したが、学習支援装置10が診療データ31を保持してもよい。
【0081】
また、上述の実施形態では、学習支援装置10がモデルM1を生成し、当該モデルM1を記憶回路103に保持する形態を説明したが、この形態に限定されるものではない。例えば、モデルM1は、学習支援装置10以外の外部装置で生成されたものであってもよいし、学習支援装置10がアクセス可能な外部装置に保持されていてもよい。
【0082】
なお、上述した実施形態では、学習支援装置10が備える機能構成を、処理回路110によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における機能構成は、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0083】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路103に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路103にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0084】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0085】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、知識ベースの条件に適合するモデルの作成を支援することができる。
【0086】
いくつかの実施形態(変形例)を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1 学習支援システム
10 学習支援装置
20 知識ベース記憶装置
21 知識ベース
30 診療データ記憶装置
31 診療データ
111 学習機能
112 比較機能
113 誤差算出機能
114 可視化機能
115 編集機能
M1 モデル