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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】エンジン用軸受メタル
(51)【国際特許分類】
   F16C 9/04 20060101AFI20240412BHJP
   F16C 33/04 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
F16C9/04
F16C33/04
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020015542
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021124124
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伸朗
(72)【発明者】
【氏名】門脇 剛
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-054545(JP,U)
【文献】特開平07-167149(JP,A)
【文献】特開2002-266848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 9/04
F16C 33/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸に対して前記コンロッドを揺動可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記本体部における中央よりも端部側に形成され、
前記柔支持部は、前記軸受メタルの断面中心を通る中心線に沿って互いに並ぶ第1部分および前記第1部分よりも前記摺動面の端部側に位置する第2部分を含み、
前記第2部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第1部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも大きい
エンジン用軸受メタル。
【請求項2】
コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸に対して前記コンロッドを揺動可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され、
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線に沿って視認した正面視において、前記摺動面に沿って延在するように設けられ、
前記柔支持部は、前記軸受メタルを前記中心線の延在方向に沿って視認した正面視において、第3部分と、前記第3部分よりも端部側に位置する第4部分とを含み、
前記第4部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第3部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも小さい
エンジン用軸受メタル。
【請求項3】
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る前記中心線よりも、前記コンロッドの軸方向における大端部側方向に設けられている請求項1又は2に記載のエンジン用軸受メタル。
【請求項4】
コンロッドの大端部に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクピンである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記本体部における中央よりも端部側に形成され、
前記柔支持部は、前記軸受メタルの断面中心を通る中心線に沿って互いに並ぶ第1部分および前記第1部分よりも前記摺動面の端部側に位置する第2部分を含み、
前記第2部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第1部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも大きい
エンジン用軸受メタル。
【請求項5】
コンロッドの大端部に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクピンである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の少なくとも一方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され、
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線に沿って視認した正面視において、前記摺動面に沿って延在するように設けられ、
前記柔支持部は、前記軸受メタルを前記中心線の延在方向に沿って視認した正面視において、第3部分と、前記第3部分よりも端部側に位置する第4部分とを含み、
前記第4部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第3部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも小さい
エンジン用軸受メタル。
【請求項6】
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る前記中心線よりも、前記コンロッドの軸方向における大端部側方向および小端部側方向の両方向にそれぞれ設けられている請求項4又は5に記載のエンジン用軸受メタル。
【請求項7】
エンジン本体に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクジャーナルである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の少なくとも一方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記本体部における中央よりも端部側に形成され、
前記柔支持部は、前記軸受メタルの断面中心を通る中心線に沿って互いに並ぶ第1部分および前記第1部分よりも前記摺動面の端部側に位置する第2部分を含み、
前記第2部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第1部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも大きい
エンジン用軸受メタル。
【請求項8】
エンジン本体に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクジャーナルである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の少なくとも一方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成され、
前記柔支持部は、格子状の構造体と、前記格子状の構造体の格子点同士を結ぶ連結部分の間に形成される空洞部と、を有するラティス構造により構成され、
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る中心線に沿って視認した正面視において、前記摺動面に沿って延在するように設けられ、
前記柔支持部は、前記軸受メタルを前記中心線の延在方向に沿って視認した正面視において、第3部分と、前記第3部分よりも端部側に位置する第4部分とを含み、
前記第4部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合は、前記第3部分における単位体積当たりの前記空洞部の割合よりも小さい
エンジン用軸受メタル。
【請求項9】
前記柔支持部は、前記貫通孔の断面中心を通る前記中心線よりも、前記エンジン本体の下方側に設けられている請求項7又は8に記載のエンジン用軸受メタル。
【請求項10】
エンジンの駆動時における前記軸受メタルの変形量は、前記中心線に沿って前記摺動面の端部側に向かうにつれて大きくなるように構成される請求項1、4又は7のいずれか1項に記載のエンジン用軸受メタル。
【請求項11】
前記柔支持部は、前記軸が曲がることにより受ける荷重の向きに弾性変形する請求項1~10のいずれか1項に記載のエンジン用軸受メタル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジン用の軸受メタルに関し、特に、エンジンが備えるピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどを支持する軸受メタルに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン本体(エンジンフレーム)には、クランクシャフトが設置される貫通孔が形成されている。この貫通孔の内周面には軸受メタル(すべり軸受)が設置されており、クランクシャフトを構成するクランクジャーナル(メインジャーナル)がこの貫通孔に設置された軸受メタルによって摺動可能に支持される。他方、コンロッド(コネクティングロッド)の小端部および大端部にも、その内周面に軸受メタルが設置される貫通孔がそれぞれ形成されている。そして、コンロッドの大端部は、クランクシャフトを構成するクランクピンが軸受メタルを介して大端部の貫通孔に設置されることで、クランクシャフトに連結される。また、コンロッドの小端部は、ピストンピンにより、小端部の貫通孔の内周面に設置された軸受メタルを介してピストンに取り付けられる。上述したクランクジャーナルや、クランクピン、ピストンピンなど、エンジンが有する各種の軸は、昨今のエンジンの軽量化・高出力化の流れの中で曲げ剛性が相対的に低くなっている。このため、エンジンの駆動時に作用する荷重により曲がり易くなることで、上記の軸受メタルの端部に、油膜圧力が局部的に高くなるもしくは油膜厚さが局部的に薄くなる領域が生じるなど、軸の片当たりが発生し易い。そして、この片当たりは、軸受の摩耗や焼き付きの原因となるなど、エンジンの更なる軽量化・高出力化の妨げとなる。
【0003】
例えば特許文献1には、クランクシャフトを軸支する軸受メタル(すべり軸受)の摺動面(摺接面)の軸方向の端部(両端部)にクラウニングを形成することが開示されている。また、特許文献2には、小端部とピストンピンとが摺動する摺動面に弾性潤滑剤としてのフッ素樹脂をコーティングすることで、シリンダ内でピストンが傾くのを防ぐことが開示されている。特許文献3にはピン孔の内周面のうちの特定の領域に複数の凹部を設けることで、潤滑油の量を多くし、小端部での焼き付きを防止することが開示されている。特許文献4では、小端部の壁面に三次元網目構造(ラティス構造)を形成することにより、表面積の拡大による、放熱性の向上とオイルの保持を行うことが開示されている。なお、特許文献5には、上記のラティス構造を有する部品についての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2008/072548号
【文献】特開2007-40137号公報
【文献】特開2018-9634号公報
【文献】特開2018-168895号公報
【文献】特開2015-93461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、クランクジャーナルや、クランクピン、ピストンピンなどの各種の軸を支持している際に軸受メタル(軸受)の端部に生じ得る軸の片当たりを防止するために、特許文献1のように、軸受メタルの端部(両端部)にクラウニングやテーパ加工を施すことが考えられる。しかしながら、その加工した面積の分だけ、軸受メタルにおける平行部分(加工以外の部分)の面積が減るため、軸受面圧が上昇して軸受メタルの疲労破壊の一因となり得る。また、様々な負荷で運転されるエンジンの場合など、軸側の変形量が一定ではない場合には、予めクラウニング等の加工を行う手法では、上記の片当たりを様々なエンジンの負荷に応じて適切に防止することは難しい。
【0006】
また、軸受メタルの下側(貫通孔の形成部材)を薄肉構造、切り欠き構造にして柔構造化することも考えられるが、薄肉部分や切り欠き部分の応力集中の制約により、目標とする柔構造を達成するのが難しい場合が考えられる。あるいは、軸受メタルの軸に対する摺動面の背面(本体部)を切り欠き構造にして柔構造化することも考えられる。しかし、軸受メタルを貫通孔に嵌め込む際に切り欠き部が反り返ることによる上記の摺動面の有効面積の減少、軸受メタルと貫通孔の形成部材との接触面積の減少に伴い生じる設置の安定度の低下、この安定度の低下による接触面でのフレッティングの発生などが懸念される。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、ピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどの軸の支持時に端部での片当たりを防止することが可能な軸受メタルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタルは、
コンロッドの小端部に形成された貫通孔に設置されたピストンピンである軸に対して前記コンロッドを揺動可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成されている。
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタルは、
コンロッドの大端部に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクピンである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成されている。
【0010】
本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタルは、
エンジン本体に形成された貫通孔に設置されたクランクシャフトのクランクジャーナルである軸を回転可能に支持するための軸受メタルであって、
前記貫通孔の内周面に設置される本体部と、
前記本体部の内周側に形成された、前記軸に対して摺動可能に構成される摺動面と、を備え、
前記本体部の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面の少なくとも一方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部が形成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、ピストンピンやクランクピン、クランクジャーナルなどの軸の支持時に端部での片当たりを防止することが可能な軸受メタルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るコンロッドの正面視を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンロッドの側面視における断面を模式的に示す図であり、図1のAA断面に対応する。
図3】本発明の一実施形態に係るエンジン本体に支持された状態のクランクシャフトを模式的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る小端部の断面を模式的に示す図である。
図5】本発明の他の一実施形態に係る小端部の断面を模式的に示す図である。
図6】本発明のその他の一実施形態に係る小端部の断面を模式的に示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る小端部の正面視を模式的に示す図である。
図8】本発明の他の一実施形態に係る小端部の正面視を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0015】
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
【0016】
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
【0017】
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るコンロッド5の正面視を模式的に示す図である。図2は、本発明の一実施形態に係るコンロッド5の断面を模式的に示す図であり、図1のAA断面に対応する。図3は、本発明の一実施形態に係るエンジン本体Eに支持された状態のクランクシャフト9を模式的に示す図である。図4図6は、それぞれ、本発明の一実施形態に係る本発明の一実施形態に係る小端部7の断面を模式的に示す図である。また、図7図8は、本発明の一実施形態に係る小端部7の正面視を模式的に示す図である。
【0019】
以下では、コンロッド5の軸方向(連接棒5sの延在方向)をロッド軸方向Dsと呼び、このロッド軸方向Dsに直交する方向(径方向)のうち、下記の中心線CLの延在方向を中心線方向Drと呼ぶ。また、図4図6に示すような貫通孔T(図4図6は小端部7のピストンピン孔7t)の断面中心を通る直線(以下、中心線CL)と、この中心線CLに交差すると共にロッド軸方向Dsに延びる直線とを含むコンロッド5の断面を視認する場合を側面断面視と呼ぶ。また、図7図8に示すような上記の中心線CLが点状に見えるように視認する場合を正面視と呼ぶ。なお、軸受メタル1が貫通孔Tに設置された状態では貫通孔Tの中心線CLは軸受メタル1の中心線CLと一致する。
【0020】
コネクティングロッド(以下、コンロッド5)は、エンジン(内燃機関)が備えるピストン(不図示)の往復運動をクランクシャフト9の回転運動に変換させるための部品である。図1図2に示すように、コンロッド5は、大端部6と、小端部7と、大端部6と小端部7とを連結する連接棒5sとを有している。そして、大端部6にクランクシャフト9(図3参照)が連結され、小端部7にピストンピン71(図4図6参照)が連結されることで、ピストン(不図示)とクランクシャフト9とがコンロッド5によって連結される。
【0021】
より詳細には、図3に示すように、クランクシャフト9は、コンロッド5の大端部6と連結されるクランクピン91と、シリンダブロックといったエンジン本体E(エンジンフレーム)に支持されるクランクジャーナル92と、を有している。他方、エンジン本体Eには、クランクジャーナル92を取り付けるための貫通孔T(主軸孔Et)が形成されている。この主軸孔Etの内周面には軸受メタル1(主軸受1m)が設置(嵌合)されることで摺動面3が形成されており、クランクジャーナル92が、主軸受1mが設置された主軸孔Etに挿通されることで、クランクシャフト9がエンジン本体Eに支持される。
【0022】
そして、図1図2に示すように、大端部6には、クランクピン91を取り付けるための貫通孔T(クランクピン孔6t)が形成されている。このクランクピン孔6tの内周面には軸受メタル1(クランクピン軸受1c)が設置(嵌合)されており、クランクピン91に対する摺動面3が形成されている。そして、クランクピン91が、クランクピン軸受1cが設置されたクランクピン孔6tに挿通されることで、大端部6とクランクピン91とが摺動可能に連結される。
【0023】
同様に、図1図2図4図8に示すように、小端部7には、ピストンピン71を取り付けるための貫通孔T(ピストンピン孔7t)が形成されている。このピストンピン孔7tの内周面には軸受メタル1(ピストンピン軸受1p)が設置(嵌合)されており、ピストンピン71に対する摺動面3が形成されている。そして、ピストン(不図示)に連結(固定)されたピストンピン71が、ピストンピン軸受1pが設置されたピストンピン孔7tに挿通されることで、小端部7とピストン(不図示)とが摺動可能に連結される。
【0024】
ここで、上述したピストンピン軸受1p、クランクピン軸受1c、主軸受1mなどとなる軸受メタル1は、上記のクランクピン孔6t(図1参照)や、ピストンピン孔7t(図1図2図4図8参照)、主軸孔Et(図3参照)などの各種の貫通孔Tの内周面に設置される本体部2と、この本体部2の内周側に形成された、ピストンピン71、クランクピン91(回転軸)あるいはクランクジャーナル92(回転軸)などとなる軸Sに対して摺動可能に構成される摺動面3と、を備えている。
【0025】
図1図8に示す実施形態について説明すると、各種の貫通孔Tは真円状の断面形状となるような筒状の形状を有している。また、エンジンは多気筒のエンジンであり、クランクシャフト9には、複数のクランクピン91と複数のクランクジャーナル92を有している。また、V型エンジンでもあり、各クランクピン91には、V型の各バンクの各々の気筒内のピストン(不図示)に連結される2つのコンロッド5が連結されるようになっている。
【0026】
なお、図1図8に示す実施形態では、小端部7と連接棒5sとが一体的に製造(造形)されており、連接棒5sと大端部6とがボルト5bで締結されるよう構成されているが、大端部6、小端部7、または連接棒5sの少なくとも2つが一体的に製造されても良い。
【0027】
上述した構成を有する軸受メタル1において、その本体部2の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、摺動面3の少なくとも一方の端部(中心線方向Drの端部)側を弾性変形可能に支持する柔支持部4が形成されている。
具体的には、図4図6に示すように、ピストンピン軸受1pについては、柔支持部4は本体部2の両端部側に形成されていても良い。図示は省略するが、クランクピン軸受1cについても同様に、柔支持部4は本体部2の両端部側に形成されていても良い。他方、図3に示すように、主軸受1mについては、柔支持部4は、本体部2の少なくとも一方の端部側に形成されも良い。すなわち、柔支持部4は、軸受メタル1の摺動面3における軸Sの片当たり領域を支持する本体部2の部分に設けられる。
【0028】
このように柔支持部4を軸Sの片当たりが生じ易い部分に設けると、柔支持部4は、軸Sが曲がることにより受ける片当たりの方向に、その片当たりの大きさに応じて弾性変形する。例えば、図4図6に示す小端部7の側面断面視においては、図示のように、ピストンピン71の両端が鎖線のようにロッド軸方向Dsの大端部6側(紙面の下)に向けて曲がった場合には、曲がっていない場合よりも、ピストンピン軸受1pの柔支持部4の図示の断面積が小さくなるように変形する。そして、ピストンピン71の曲がりがなくなり、ピストンピン71が直線状の状態に戻ると、柔支持部4の図示の断面積は、曲がる前の元の大きさに戻る。図示は省略するが、クランクピン軸受1c(図2参照)については、クランクピン91の曲がり方と、その柔支持部4の変形の態様は上記と同様である。主軸受1mについては、図3の鎖線で示すようにクランクジャーナル92(鎖線)が曲がるのに応じて弾性変形する。
【0029】
また、摺動面3も、上記の柔支持部4の弾性変形に伴って弾性変形する。これによって、軸Sの片当たりによって、軸受メタル1(摺動面3)における油膜圧力が局部的に高くなるもしくは油膜厚さが局部的に薄くなる領域が生じるのを抑制することが可能となる。
【0030】
このように柔支持部4は軸受メタル1の端部に形成されるが、この端部において柔支持部4は、上述した中心線CLよりも、ロッド軸方向Dsの一方側または他方側の少なくとも一方に設けられれば良い。
具体的には、ピストンピン軸受1pについては、図1に示すように、ピストンピン孔7tの中心線CLよりも、コンロッド5の軸方向における少なくとも大端部側方向(図1の下側)に設けられても良い。クランクピン軸受1cについては、図1に示すように、ピストンピン孔7tの中心線CLよりも、コンロッド5の軸方向における大端部側方向(図1の下側)および小端部側方向(図1の上側)の両方向にそれぞれ設けられても良い。主軸受1mについては、図3に示すように、主軸孔Etの中心線CLよりも、エンジン本体Eの少なくとも下方側(図3の下側)に設けられても良い。これらの位置は、幾つかの実施形態における、エンジンでの燃料の燃焼荷重及びピストンやコンロッドの慣性力により大きな軸Sの片当たりが生じ易い位置である。
【0031】
また、図1図7図8に示すように、正面視において、柔支持部4は、軸受メタル1の摺動面3の内周面(軸受メタル1の周方向)に沿って延在するように設けられても良い。本実施形態では、柔支持部4は、正面視において、軸受メタル1に作用する軸受荷重が最も高い部分が柔支持部4の中央付近に位置し、そこから摺動面3の内周面に沿って左右に延びるように設けられている。これによって、各種の軸Sの片当たりが大きい部分をカバーするように、柔支持部4を設けることを図ることが可能となる。
【0032】
一方、上記の柔支持部4の剛性は、単位体積当たりの剛性である。剛性が小さいほど、その分だけ同じ荷重に対する変形量が大きくなり、逆に剛性が大きいほど、その分だけ同じ荷重に対する変形量が小さくなる。図1図8に示す実施形態では、柔支持部4は、ラティス(ポーラス)構造を有することによって軸受メタル1の摺動面3を弾性変形可能に支持するように構成されている。このラティス構造は、格子状(網目状)の構造であり、格子点同士を結ぶ部分(連結部分)の間には空洞部が形成される。そして、この空洞部の体積割合(粗密)によって、柔支持部4の剛性を任意に調整可能であり、この調整によって柔支持部4の剛性が異なってくる。よって、ラティス構造が、本体部2の適切な部分に設けられることで、軸受メタル1の摺動面3の端部側が軸Sの片当たりの大きさ(軸受荷重の大きさ)に応じて弾性的に曲がることを可能にすることができる。
【0033】
なお、柔支持部4は、3Dプリンタなどの三次元造形装置などで本体部2と一体的に造形されても良い。そして、本体部2における柔支持部4以外の部分は、柔支持部4とは異なる構造を有するように造形されるなど、柔支持部4よりも剛性が高くなるように造形されている。例えば、柔支持部4はラティス構造を有するように造形され、本体部2における柔支持部4以外の部分は造形材の一様の層を単純に順次積層させて造形するなど、ラティス構造よりも剛性が高くなるように造形される。
【0034】
ただし、本実施形態に本発明は限定されない。図1図8に示す実施形態では、柔支持部4は本体部2の外周面よりも内部側に設けられているが、他の幾つかの実施形態では、柔支持部4は本体部2の外周面まで延在していても良い。また、他の幾つかの実施形態では、柔支持部4は、正面視において直線状に設けられていても良い。また、上記の柔支持部4は、空洞部を有していれば良いし、その構造はラティス構造に限定もされない。例えば、他の幾つかの実施形態では、柔支持部4は、薄肉構造あるいは切り欠き構造を有していても良い。さらに、柔支持部4を、薄肉構造あるいは切り欠き構造にした上で、他の剛性の低い部材を設置あるいは嵌め込むなどして、柔支持部4の剛性が調整されていても良い。
【0035】
また、各種の軸受メタル1(摺動面3)に作用する軸Sの片当たりは、エンジンの運転条件や、クランクシャフト9の回転方向や構成などによって変化し得るため、本体部2における柔支持部4の位置は、軸受メタル1の端部側の任意の位置に設ければ良い。例えば図3に示す実施形態では、主軸受1mの柔支持部4は、軸受メタル1への軸Sの片当たりがより大きい下側にのみ設けられているが、上側に設けても良い。例えばクランクジャーナル92を示す鎖線は、図3には、紙面の左下が下方で、右上が上方となるような向きで傾いている場合が示されているが、その左下が上方、右上が下方となるような反対側の向きにも曲がる場合などがある。このように、軸Sの曲がり方は図4図6の図示の曲がりに限定されない。
【0036】
上記の構成によれば、軸受メタル1の本体部2には、その摺動面3の両方の端部側を弾性変形可能に支持するための柔支持部4が形成されている。この柔支持部4によって、軸S(ピストンピン71、クランクピン91あるいはクランクジャーナル92)が曲がると、軸Sの曲がる方向に軸受メタル1の摺動面3の端部側も曲がることができるので、軸受メタル1の端部への軸Sの片当たりを防止することができる。したがって、軸受メタル1の摩耗や焼き付きを防止することができ、エンジンのさらなる軽量化や高出力化を行うことができる。
【0037】
次に、上述した柔支持部4が設けられる位置について、図4図8を用いてより詳細に説明する。小端部7を例に説明するが、クランクピン軸受1cの柔支持部4や、主軸受1mの柔支持部4についても同様である。また、以下では、中心線方向Drにおける軸受メタル1の中央の位置を軸受メタル中央Cと呼ぶ。この軸受メタル中央Cは、図2図4図6に示す側面断面視における軸受メタル1の中央の位置であり、大端部6および小端部7の各々の中心線CLを結んだ線が通る位置でもある。正面視における柔支持部4の中央の位置を正面中央位置Cbと呼ぶ。
【0038】
幾つかの実施形態では、図4図8に示すように、柔支持部4は、本体部2における軸受メタル中央Cよりも端部側に形成されている。図4図8に示す実施形態では、例えば図4に示すように、側面断面視において、柔支持部4は、本体部2の端から軸受メタル中央C側に向けて、中心線方向Drに沿って所定の距離(奥行幅W)の所まで設けられている。より詳細には、中心線方向Drに沿った本体部2の端と軸受メタル中央Cとの間の距離をWaとすると、W<Waとなっている。
【0039】
この奥行幅Wは、軸Sの想定される曲がり具合に応じて定めても良い。また、軸Sの剛性および本体部2を支持する貫通孔Tの形成部材(図4図6では小端部7)の剛性との兼ね合いで決めても良い。また、奥行幅Wは、連接棒5sの周方向に沿った位置において同じであっても良いし、異なっていても良い。正面視における摺動面3の端部側であるほど奥行幅Wを小さくするなど、上記の周方向に沿って奥行幅Wを異ならせても良い。奥行幅Wを周方向で変えることで、柔支持部4の剛性の調整を行うことが可能となる。
【0040】
上記の構成によれば、柔支持部4は、軸受メタル1の中央よりも端部側のみに設けられる。これによって、軸受メタル1の剛性を適正に保ちつつ、軸Sの片当たりを適切に防止することができる。
【0041】
次に、上述した柔支持部4に関する幾つかの実施形態について説明する。
幾つかの実施形態では、図4図8図1図3も同様)に示すように、柔支持部4の端部(軸受メタル中央C側の端部、周方向の端部)にはアールRが設けられても良い。図4図6に示す実施形態では、側面断面視において、柔支持部4における軸受メタル中央C側の端部にアールRが付けられている。換言すれば、側面断面視において、柔支持部4の軸受メタル中央C側の端部におけるロッド軸方向Dsに沿った長さ(高さ幅H)が、軸受メタル中央C側に向かうに従って連続的に変化させて短くされている。図7図8に示す実施形態では、正面視における柔支持部4の両端部にアールRが設けられている。
上記の構成によれば、柔支持部4における端部における応力集中を抑制することができる。
【0042】
また、幾つかの実施形態では、図4図6に示すように、軸受メタル1は、その剛性が、柔支持部4の存在する部分において中心線方向Drに沿って同じではなく、変化する部分を少なくとも一部に有するように構成されても良い。これにより、エンジンの駆動時における柔支持部4の変形量が、軸受メタル中央側よりも軸受メタル1の端部側の方が大きくなるようにでき、軸受メタル1の端部側であるほど摺動面3が曲がり易くすることが可能となる。
【0043】
具体的には、幾つかの実施形態では、図4図5に示すように、側面断面視にける柔支持部4の任意の部分を第1部分Paと呼び、この第1部分Paよりも中心線方向Drにおける軸受メタル1の端部側に位置する部分を第2部分Pbと呼んだ場合(以下同様)に、第2部分Pbの剛性は、第1部分Paの剛性よりも低い。すなわち、柔支持部4の剛性を中心線方向Drに沿って調節しており、軸Sの片当たりの大きさ(軸受荷重の大きさ)に合わせて、軸Sの片当たりの小さい領域から大きい領域に向かって、柔支持部4の各部の剛性が低くなるようにする。これによって、柔支持部4は、相対的に中心線方向Drにおける軸受メタル1の端部側の部分の方が、相対的に軸受メタル中央C側の部分よりも弾性変形し易いようにすることが可能となる。
【0044】
例えば、柔支持部4をラティス構造で形成する場合、ラティス構造により形成される空洞部の粗密を変えることにより、剛性の大きさを変えることが可能である。この際、柔支持部4の高さ幅Hの方向(ロッド軸方向Ds)における空洞部の粗密が同じであれば、例えば柔支持部4の高さ幅Hが長いほど本体部2における柔支持部4の占める割合が大きくなり、その部分(本体部2)の剛性が小さくなるので、同じ荷重に対して軸受メタル1の摺動面3が弾性変形し易くなる。
【0045】
より具体的には、ラティス構造を形成する単位格子の構造は第1部分Paおよび第2部分Pbで同じとしつつ、単位格子のサイズを変えても良い。換言すれば、単位格子の対応する連結部分の長さを比較すると、第2部分Pbの方が第1部分Paよりも長い。このように、第2部分Pbの格子サイズを第1部分Paの格子サイズよりも大きくすれば、ラティス構造の内部に形成される空洞部が占める体積は、単位体積あたりで、第2部分Pbの方が第1部分Paよりも大きくなり、第2部分Pbの空洞部を第1部分の空洞部よりも疎に設けることができる。あるいは、第2部分Pbの単位格子の構造を、第1部分Paの単位格子の構造よりも、空洞部が大きいものにしても良い。そして、空洞部の体積が大きいほど(空洞部が疎であるほど)、その部分の剛性が小さくなる。
【0046】
図4に示す実施形態では、中心線方向Drに沿って軸受メタル中央C側から軸受メタル1の端部側に向かうに従って、空洞部の粗密が粗くなるように変化されていると共に、柔支持部4におけるロッド軸方向Dsにおける長さ(高さ幅H)は、アールRが付けられた端部以外では中心線方向Drに沿って概ね同じとなっている。
【0047】
他方、図5に示す実施形態では、同様に、中心線方向Drに沿って軸受メタル中央C側から軸受メタル1の端部側に向かうに従って、空洞部の粗密が粗くなるように変化されていると共に、柔支持部4の高さ幅Hは、中心線方向Drに沿って軸受メタル中央C側に向かうに従って大きくなっている。この図5に示すように、柔支持部4における空洞部の粗密と、高さ幅H(厚み)とを同時に調整することで、目的とする剛性を設定(確保)することが可能となる。特に、図5のように柔支持部4の高さ幅Hが軸受メタル中央C側の端部で大きくなるようにすることで、上述したような柔支持部4の軸受メタル中央側の端部にアールRを設ける場合に、その大きさを確保しつつ、柔支持部4の中心線方向Drにおける剛性を目標通りに設定することが可能となる。
【0048】
他の幾つかの実施形態では、図6に示すように、上記の第2部分Pbの剛性は、第1部分Paの剛性と等しい。図6に示す実施形態では、柔支持部4はラティス構造を有しているが、第1部分Paおよび第2部分Pbを形成する単位格子は、同じ構造を有することで、第1部分Paおよび第2部分Pbの剛性が等しいようにしても良い。
【0049】
ここで、軸Sの片当たりの小さい領域から大きい領域に向かって、柔支持部4の上記の中心線方向Drに沿った各位置での同一の荷重に対する弾性変形量が大きくなるようにするためには、柔支持部4の高さ幅Hを中心線方向Drに沿って調節する必要がある。本実施形態では、第1部分Paおよび第2部分Pbの剛性が等しいので、柔支持部4の高さ幅Hが長いほど、軸受メタル1の摺動面3が同じ荷重に対して弾性変形しやすくなる。このため、図6に示す実施形態では、第2部分Pbの位置における高さ幅Hbは、第1部分Paの位置における高さ幅Haよりも長くしている(Hb>Ha)。
【0050】
上記の構成によれば、軸受メタル1は、その剛性が、柔支持部4の存在する部分において中心線方向Drに沿って同じではなく、変化する部分を少なくとも一部に有するように構成されている。これにより、エンジンの駆動時における柔支持部4の変形量を、軸Sの片当たりの大きさに応じて、中心線方向Drに沿って適切に設定することができる。
ただし、本実施形態に本発明は限定されず、他の幾つかの実施形態では、柔支持部4の剛性は、ほぼ全ての部分において任意の剛性値で同じになるようにしても良い。
【0051】
また、幾つかの実施形態では、図7図8に示すように、軸受メタル1は、その剛性が、柔支持部4の存在する部分において軸受メタル1の周方向に沿って同じではなく、変化する部分を少なくとも一部に有するように構成されても良い。これにより、エンジンの駆動時における柔支持部4の変形量が、正面視における柔支持部4の中央(正面中央位置Cb)側に位置する部分の方が、その両方の端部側に位置する部分よりも、同一の荷重に対して大きくなるようにでき、中央側に位置する部分ほど摺動面3が曲がり易くすることが可能となる。
【0052】
ここで、正面視で視認した場合に、例えばピストンピン軸受1pの場合は、軸S(ピストンピン71)から軸受メタル1に作用する軸Sの片当たりは、中心線CLからコンロッド5の長手方向(ロッド軸方向Ds)に沿って引いた線が通る軸受メタル1の部分付近(図7図8では柔支持部4の正面中央位置Cb)が最も大きく、そこから摺動面3の両側に向かうほど小さくなる。図示は省略するが、クランクピン軸受1cや主軸受1mでは、軸Sの片当たりの位置はピストンピン軸受1pとは異なるものの、最も大きい部分からその周方向の両側に向かうほど小さくなる。このため、図1図8に示ように、柔支持部4を、その正面中央位置Cbが各種の軸受メタル1の片当たりが最も高い部分に重なるように設けた上で、軸Sの片当たりが小さい部分になる柔支持部4の端部の剛性を、それが大きい部分である正面中央位置Cbの剛性よりも高めることで、柔支持部4を設けない場合の剛性に近づけるようにする。
【0053】
具体的には、幾つかの実施形態では、図7に示すように、正面視における柔支持部4の任意の部分を第3部分Pcと呼び、その第3部分Pcよりも摺動面3の端部側に位置する部分を第4部分Pdと呼んだ場合(以下同様)に、第4部分Pdの剛性は、第3部分Pcの剛性よりも高い。例えば、ラティス構造により形成される空洞部の粗密を変えることにより、剛性の大きさを変えても良い。これによって、柔支持部4は、相対的に内側の方が弾性変形し易いようになっている。これによって、上記の正面視における柔支持部4の剛性を適切に設定することができる。
【0054】
図7に示す実施形態では、正面視(例えば図7)において柔支持部4の正面中央位置Cbを、軸受メタル1に作用する荷重が最も高い部分に合わせつつ、上記の剛性の関係を満たすように柔支持部4を構成する。これにより、図7に示すように、柔支持部4の厚さ(上記の高さ幅H)が同じであったとしても、軸受メタル1における柔支持部4の正面中央位置Cb側に位置する部分ほど曲がり易くすることができる。これによって、軸受メタル1への軸Sの片当たりが大きい部分ほど、軸受メタル1が軸Sの片当たりに合わせて曲がり易くすることができる。
【0055】
他の幾つかの実施形態では、図8に示すように、上記の第4部分Pdの剛性は、上記の第3部分Pcの剛性と等しい。この場合、柔支持部4の高さ幅Hが長いほど、軸受メタル1が同じ荷重に対して弾性変形しやすくなる。このため、図8に示すように、第4部分Pdの位置における高さ幅Hは、第3部分Pcの位置における高さ幅Hよりも長い。また、図8に示す実施形態では、柔支持部4はラティス構造を有しているが、第3部分Pcおよび第4部分Pdを形成する単位格子は、同じ構造を有することで、第3部分Pcおよび第4部分Pdの剛性が等しいようにしても良い。これによって、上記の正面視における柔支持部4の剛性を適切に設定することができる。
【0056】
図8に示す実施形態では、正面視(例えば図8)において軸受メタル1の周方向に沿って延在する柔支持部4の正面中央位置Cbを、軸受メタル1に作用する荷重が最も高い部分に合わせつつ、上記の剛性の関係を満たすように柔支持部4を構成する。これにより、図8に示すように、柔支持部4の厚さ(上記の高さ幅H)を、その端部側に位置する部分(第4部分Pd)よりも正面中央位置Cb側に位置する部分(第3部分Pc)の方を大きくすることで、軸受メタル1における柔支持部4の正面中央位置Cb側に位置する部分(第3部分Pc)ほど曲がり易くすることができる。これによって、軸受メタル1への軸Sの片当たりが大きい部分ほど、軸受メタル1が軸Sの片当たりに合わせて曲がり易くすることができる。
【0057】
上記の構成によれば、軸受メタル1は、その剛性が、柔支持部4の存在する部分において軸受メタル1の周方向に沿って同じではなく、変化する部分を少なくとも一部に有する。これにより、エンジンの駆動時における柔支持部4の変形量を、軸Sの片当たりの大きさ応じて、中心線方向Drに沿って適切に設定することができる。
【0058】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
(付記)
【0059】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタル(1)は、
コンロッド(5)の小端部(7)に形成された貫通孔(T)に設置されたピストンピン(71)である軸(S)を揺動可能に支持するための軸受メタル(1)であって、
前記貫通孔(T)の内周面に設置される本体部(2)と、
前記本体部(2)の内周側に形成された、前記軸(S)に対して摺動可能に構成される摺動面(3)と、を備え、
前記本体部(2)の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面(3)の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部(4)が形成されている。
【0060】
上記(1)の構成によれば、コンロッド(5)の小端部(7)に形成されている貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)には、その摺動面(3)(軸受メタル(1))の両方の端部側を弾性変形可能に支持するための柔支持部(4)が形成されている。これによって、軸受メタル(1)によって摺動可能に支持されるピストンピン(71)(軸(S))が曲がると、ピストンピン(71)の曲がる方向に軸受メタル(1)の摺動面(3)の端部側も曲がることができるので、軸受メタル(1)の端部へのピストンピン(71)の片当たりを防止することができる。したがって、軸受メタル(1)の摩耗や焼き付きを防止することができ、エンジンのさらなる軽量化や高出力化を行うことができる。
【0061】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記貫通孔(T)の断面中心を通る中心線よりも、前記コンロッド(5)の軸方向における大端部(6)側方向に設けられている。
【0062】
上記(2)の構成によれば、柔支持部(4)は、小端部(7)の貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)における、ピストンピン(71)の片当たりが大きい部分などの片当たりが生じ易い部分に設けられる。軸の片当たりは、小端部(7)の貫通孔(T)における連接棒(5s)側の方が、その逆側よりも大きい。これによって、軸受メタル(1)の端部にピストンピン(71)が片当たりするのを防止することができる。
【0063】
(3)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタル(1)は、
コンロッド(5)の大端部(6)に形成された貫通孔(T)に設置されたクランクシャフト(9)のクランクピン(91)である軸(S)を回転可能に支持するための軸受メタル(1)であって、
前記貫通孔(T)の内周面に設置される本体部(2)と、
前記本体部(2)の内周側に形成された、前記軸(S)に対して摺動可能に構成される摺動面(3)と、を備え、
前記本体部(2)の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面(3)の両方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部(4)が形成されている。
【0064】
上記(3)の構成によれば、コンロッド(5)の大端部(6)に形成されている貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)には、その摺動面(3)の両方の端部側を弾性変形可能に支持するための柔支持部(4)が形成されている。これによって、軸受メタル(1)によって摺動可能に支持されるクランクピン(91)(軸(S))が曲がると、クランクピン(91)の曲がる方向に軸受メタル(1)の摺動面(3)の端部側も曲がることができるので、軸受メタル(1)の端部へのクランクピン(91)の片当たりを防止することができる。したがって、軸受メタル(1)の摩耗や焼き付きを防止することができ、エンジンのさらなる軽量化や高出力化を行うことができる。
【0065】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記貫通孔(T)の断面中心を通る中心線よりも、前記コンロッド(5)の軸方向における大端部(6)側方向および小端部(7)側方向の両方向にそれぞれ設けられている。
【0066】
上記(4)の構成によれば、柔支持部(4)は、大端部(6)の貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)における、クランクピン(91)の片当たりが大きい部分などの片当たりが生じ易い部分に設けられる。これによって、軸受メタル(1)の端部にクランクピン(91)が片当たりするのを防止することができる。
【0067】
(5)本発明の少なくとも一実施形態に係るエンジン用軸受メタル(1)は、
エンジン本体に形成された貫通孔(T)に設置されたクランクシャフト(9)のクランクジャーナルである軸(S)を回転可能に支持するための軸受メタル(1)であって、
前記貫通孔(T)の内周面に設置される本体部(2)と、
前記本体部(2)の内周側に形成された、前記軸(S)に対して摺動可能に構成される摺動面(3)と、を備え、
前記本体部(2)の内部の少なくとも一部には、周囲の部分よりも低い剛性を有することにより、前記摺動面(3)の少なくとも一方の端部側を弾性変形可能に支持する柔支持部(4)が形成されている。
【0068】
上記(5)の構成によれば、シリンダブロックといったエンジン本体(エンジンフレーム)に形成されている、クランクシャフト(9)を構成するクランクジャーナルが挿通される貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)には、その摺動面(3)の両方の端部側を弾性変形可能に支持するための柔支持部(4)が形成されている。これによって、軸受メタル(1)によって摺動可能に支持されるクランクジャーナル(軸(S))が曲がると、クランクジャーナル(92)の曲がる方向に軸受メタル(1)の摺動面(3)の端部側も曲がることができるので、軸受メタル(1)の端部へのクランクジャーナル(92)の片当たりを防止することができる。したがって、軸受メタル(1)の摩耗や焼き付きを防止することができ、エンジンのさらなる軽量化や高出力化を行うことができる。
【0069】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記貫通孔(T)の断面中心を通る中心線よりも、前記エンジン本体の下方側に設けられている。
【0070】
上記(6)の構成によれば、柔支持部(4)は、エンジン本体の貫通孔(T)に設置された軸受メタル(1)の本体部(2)における、クランクジャーナル(92)の片当たりが大きい部分などの片当たりが生じ易い部分に設けられる。これによって、軸受メタル(1)の端部にクランクピン(91)が片当たりするのを防止することができる。
【0071】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(6)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記本体部(2)における中央よりも端部側に形成されている。
【0072】
上記(7)の構成によれば、柔支持部(4)は、軸受メタル(1)の中央よりも端部側のみに設けられる。これによって、軸受メタル(1)の剛性を適正に保ちつつ、軸(S)の片当たりを適切に防止することができる。
【0073】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記軸受メタル(1)の断面中心を通る中心線に沿って互いに並ぶ第1部分、および前記第1部分よりも前記摺動面(3)の端部側に位置する第2部分を含み、
前記第2部分の剛性は、前記第1部分の剛性よりも低い。
【0074】
上記(8)の構成によれば、柔支持部(4)の剛性は、軸受メタル(1)の中心線の延在方向に沿って、軸受メタル(1)の端部に位置する部分の方がその中央に位置する部分よりも小さい。これによって、上記の中心線の延在方向に沿った柔支持部(4)の厚さ(高さ幅)が同じであったとしても、軸受メタル(1)を、端部側にある部分ほど曲がり易くするように構成することができる。よって、軸受メタル(1)の端部への軸(S)の片当たりをより適切に防止することができる。
【0075】
(9)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記軸受メタル(1)の断面中心を通る中心線に沿って互いに並ぶ第1部分、および前記第1部分よりも前記摺動面(3)の端部側に位置する第2部分を含み、
前記第2部分の剛性は、前記第1部分の剛性と等しい。
【0076】
上記(9)の構成によれば、柔支持部(4)の剛性は、軸受メタル(1)の中心線の延在方向に沿って等しくなるように設定される。これによって、柔支持部(4)の厚さ(上記の高さ幅)を変えるなどすることにより、軸受メタル(1)の摺動面(3)が、上記の中心線の延在方向における端部側にある部分ほど曲がり易くすることができる。よって、軸受メタル(1)の端部へ軸(S)の片当たりをより適切に防止することができる。
【0077】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)~(9)の構成において、
エンジンの駆動時における前記軸受メタル(1)の変形量は、前記中心線に沿って前記摺動面(3)の端部側に向かうにつれて大きくなるように構成される。
【0078】
上記(10)の構成によれば、軸受メタル(1)において、上記の側面断面視におけるコンロッド(5)の径方向の外側にある部分ほど曲がり易くすることができ、軸受メタル(1)の端部への軸(S)の片当たりをより適切に防止することができる。
【0079】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)~(10)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記貫通孔(T)の断面中心を通る中心線に沿って視認した正面視(例えば図7図8)において、前記摺動面(3)に沿って延在するように設けられている。
上記(11)の構成によれば、軸(S)の片当たりが大きい部分をカバーするように、柔支持部(4)を設けることができる。
【0080】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記軸受メタル(1)を前記中心線の延在方向に沿って視認した正面視(例えば図7)において、第3部分(Pc)と、前記第3部分(Pc)よりも端部側に位置する第4部分(Pd)とを含み、
前記第4部分(Pd)の剛性は、前記第3部分(Pc)の剛性よりも高い。
【0081】
上記(12)の構成によれば、上記の正面視(例えば図7)において、柔支持部(4)の剛性は、その端部側の部分(Pd)の方が、この部分(Pd)よりも中央側に位置する部分(Pc)よりも高い。片当たりにより軸受メタル(1)に作用する荷重は、片当たりが最も大きい部分から軸受メタル(1)の周方向の両側に向かうほど小さくなる。これにより、柔支持部(4)の厚さ(上記の高さ幅(H))が同じであったとしても、軸受メタル(1)における、柔支持部(4)の中央側の部分が位置する部分ほど曲がり易くすることができる。よって、例えば正面視(例えば図7)において軸受メタル(1)の周方向に沿って延在する柔支持部(4)の中央(正面中央位置)を、軸受メタル(1)への軸(S)の片当たりが最も大きい部分に合わせつつ、上記の剛性の関係を満たすように柔支持部(4)を構成すれば、軸受メタル(1)への軸(S)の片当たりが大きい部分ほど、軸受メタル(1)が軸(S)の片当たりに合わせて曲がり易くすることができる。
【0082】
(13)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記中心線に沿って視認した正面視(例えば図8)において、第3部分(Pc)と、前記第3部分(Pc)よりも前記摺動面(3)の端部側に位置する第4部分(Pd)とを含み、
前記第4部分(Pd)の剛性は、前記第3部分(Pc)の剛性と等しい。
【0083】
上記(13)の構成によれば、上記の正面視(例えば図8)において、柔支持部(4)の剛性は、その端部側の部分(Pd)と、この部分(Pd)よりも中央側に位置する部分(Pc)とで等しい。上述したように、軸受メタル(1)への軸(S)の片当たりは、軸(S)の片当たりが最も大きい部分から軸受メタル(1)の周方向の両側に向かうほど小さくなる。よって、例えば正面視(例えば図8)において軸受メタル(1)の周方向に沿って延在する柔支持部(4)の中央(正面中央位置)を、軸受メタル(1)への軸(S)の片当たりが最も大きい部分に合わせつつ、上記の剛性の関係を満たすように柔支持部(4)を構成すれば、柔支持部(4)の厚さ(上記の高さ幅(H))を、その端部側の部分(Pd)よりも中央側に位置する部分(Pc)の方を大きくすることで、軸受メタル(1)への軸(S)の片当たりが大きい部分ほど、軸受メタル(1)が軸(S)の片当たりに合わせて曲がり易くすることができる。
【0084】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)~(13)の構成において、
前記柔支持部(4)は、空洞部を有する。
上記(14)の構成によれば、柔支持部(4)における空洞部の粗密を変えることで、柔支持部(4)の剛性を所望の大きさに変えることができる。
【0085】
(15)幾つかの実施形態では、上記(14)の構成において、
前記柔支持部(4)は、ポーラス構造を有する。
上記(15)の構成によれば、柔支持部(4)は、例えばラティス構造などのポーラス(多孔質)な構造(ポーラス構造)を有する。3Dプリンタといった三次元造形装置などを用いて造形されるラティス構造により柔支持部(4)を適切に設けることができる。
【0086】
(16)幾つかの実施形態では、上記(1)~(15)の構成において、
前記柔支持部(4)は、前記軸(S)が曲がることにより受ける荷重の向きに弾性変形する。
上記(16)の構成によれば、柔支持部(4)は、曲がった状態の軸(S)から受ける片当たりの向きに弾性変形する。これによって、軸受メタル(1)の端部側が曲がることができるので、軸受メタル(1)の端部に軸(S)が片当たりするのを防止することができる。
【符号の説明】
【0087】
1 軸受メタル
1c クランクピン軸受
1m 主軸受
1p ピストンピン軸受
2 本体部
3 摺動面
4 柔支持部
5 コンロッド
5s 連接棒
5b ボルト
6 大端部
6t クランクピン孔(貫通孔)
7 小端部
71 ピストンピン(軸)
7t ピストンピン孔(貫通孔)
9 クランクシャフト
91 クランクピン(軸)
92 クランクジャーナル(軸)
94 開口
T 貫通孔
Et 主軸孔(貫通孔)
S 軸
CL 軸受メタル、貫通孔の中心線
Ds ロッド軸方向
Dr 中心線方向(中心線の延在方向)
C 軸受メタル中央
Cb 正面中央位置(柔支持部の正面視における中央)
R 柔支持部の端部に付けられたアール
H 柔支持部の高さ幅
W 柔支持部の奥行幅
Wa 軸受メタルの端部から中央までの距離
Pa 柔支持部の第1部分
Pb 柔支持部の第2部分
Pc 柔支持部の第3部分
Pd 柔支持部の第4部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8