(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】シューズ用アッパー及びシューズ
(51)【国際特許分類】
A43B 11/00 20060101AFI20240412BHJP
A43B 23/02 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A43B11/00
A43B23/02 105Z
(21)【出願番号】P 2020061477
(22)【出願日】2020-03-30
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(72)【発明者】
【氏名】串田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲夫
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0192091(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251764(US,A1)
【文献】特開2005-124886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43C 11/00~11/24
A43B 7/20
A43B 11/00~11/02
A43B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用時に着用者の足を覆うように構成されたシューズ用アッパーであって、
前記着用者の足首から甲まで開口した履き口を有し、かつ、外甲側又は内甲側の少なくとも一部に第一結合部材が設けられたアッパー本体と、
着用時に前記着用者の足と対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有し、根本が前記アッパー本体の前記第1結合部材が設けられた側とは反対側に固定され、前記第1面の先端部に前記第1結合部材と結合可能な第2結合部材が設けられ、かつ、着用時に前記履き口を内甲側から外甲側または外甲側から内甲側に亘って掛け渡すベルトと、を備え、
前記第2面と前記アッパー本体とが密着し、かつ、
縫製によって接合されることによって、前記ベルトの根本と前記アッパー本体とが固定され、
前記縫製は、無双縫いまたは縫い割りであり、
前記第1結合部材と前記第2結合部材との結合が解除された状態において、前記ベルトの自重によって前記アッパー本体の前記ベルトの根本が固定された側の外側下方に垂れ下がる、
シューズ用アッパー。
【請求項2】
着用時に着用者の足を覆うように構成されたシューズ用アッパーであって、
前記着用者の足首から甲まで開口した履き口を有し、かつ、外甲側又は内甲側の少なくとも一部に第一結合部材が設けられたアッパー本体と、
着用時に前記着用者の足と対向する第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面とを有し、根本が前記アッパー本体の前記第1結合部材が設けられた側とは反対側に固定され、前記第1面の先端部に前記第1結合部材と結合可能な第2結合部材が設けられ、かつ、着用時に前記履き口を内甲側から外甲側または外甲側から内甲側に亘って掛け渡すベルトと、を備え、
前記第2面と前記アッパー本体とが密着し、かつ、縫製によって接合されることによって、前記ベルトの根本と前記アッパー本体とが固定され、
前記第2面と前記アッパー本体との縫い目が曲線であり、
前記第1結合部材と前記第2結合部材との結合が解除された状態において、前記ベルトの自重によって前記アッパー本体の前記ベルトの根本が固定された側の外側下方に垂れ下がる、
シューズ用アッパー。
【請求項3】
前記ベルトと前記アッパー本体とが一体化している、
請求項1~2のいずれか一項に記載のシューズ用アッパー。
【請求項4】
前記ベルトが柔軟性を有する、
請求項1~
3のいずれか一項に記載のシューズ用アッパー。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のシューズ用アッパーと、
前記シューズ用アッパーと結合し、かつ、着用時に前記着用者の足裏を支持するように形成されたソールと、を備える、
シューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般には、シューズ用アッパー及びシューズに関し、詳細には、シューズ用アッパーと、このシューズ用アッパー及びソールを備えるシューズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シューズの脱ぎ履きを容易にするため、締結方法としてベルト留めを採用することがある。例えば特許文献1には、本体とベルトとを面ファスナーで結合するベルト留めのシューズが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシューズでは、本体とベルトとの結合を解除してベルトを外側に垂らした場合に、ベルトを構成する生地の剛性によってベルトが元に戻ってしまい、着用者がシューズを履く際にベルトが邪魔になることがあった。
【0005】
本開示の目的は、脱ぎ履きが容易であり、かつ、シューズを着用する際にベルトが邪魔になりにくいシューズ用アッパー及びシューズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るシューズ用アッパーは、着用時に着用者の足を覆うように構成され、アッパー本体とベルトとを備える。前記アッパー本体は、前記着用者の足首から甲まで開口した履き口を有し、かつ、外甲側又は内甲側の少なくとも一部に第一結合部材が設けられる。前記ベルトは、着用時に前記着用者の足と対向する第1 面と、前記第1 面とは反対側に位置する第2 面とを有する。前記ベルトは、根本が前記アッパー本体の前記第1結合部材が設けられた側とは反対側に固定される。前記ベルトは、前記第1 面の先端部に前記第1 結合部材と結合可能な第2 結合部材が設けられ、かつ、着用時に前記履き口を内甲側から外甲側または外甲側から内甲側に亘って掛け渡す。前記第2 面と前記アッパー本体とが密着し、かつ、縫製により接合されることによって、前記ベルトの根本と前記アッパー本体とが固定され、前記縫製は、無双縫いまたは縫い割りであるか、または前記第2面と前記アッパー本体との縫い目が曲線であり、前記第1 結合部材と前記第2 結合部材との結合が解除された状態において、前記ベルトの自重によって前記アッパー本体の前記ベルトの根本が固定された側の外側下方に垂れ下がる。
【0007】
本開示の一態様に係るシューズは、上記シューズ用アッパーと、前記シューズ用アッパーと結合し、かつ、着用時に前記着用者の足裏を支持するように構成されたソールと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、脱ぎ履きが容易であり、かつ、シューズを着用する際にベルトが邪魔になりにくいシューズ用アッパー及びシューズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシューズの一例を示す概略の側面図である。
【
図2】
図2は、同上のシューズの一例を示す概略の平面図である。
【
図3】
図3は、同上のシューズの第1結合部材と第2結合部材の結合を解除した状態を示す概略の平面図である。
【
図4】
図4は、同上のシューズの第1結合部材と第2結合部材の結合を解除した状態を示す概略の側面図である。
【
図5】
図5は、同上のシューズのアッパー本体とベルトとを固定した部分の概略図である。
【
図6】
図6は、同上のシューズのベルトが外側下方に垂れ下がる様子を示す概略の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上のシューズのアッパー本体とベルトとを縫い割りで固定した場合を示す概略図である。
【
図8】
図8は、同上のシューズのアッパー本体とベルトとを無双縫い(袋縫い)で固定した場合を示す概略図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るシューズの一例を示す概略の側面図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係るシューズのアッパー本体とベルトとを固定した部分の概略図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態に係るシューズのベルトが外側下方に垂れ下がる様子を示す概略の斜視図である。
【
図12】
図12は、第4実施形態に係るシューズの第1結合部材と第2結合部材とを結合した状態を示す概略の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態に係るシューズ1及びシューズ用アッパー2の構成を、図面を参照しながら説明する。以下に示すシューズ1及びシューズ用アッパー2は、あくまで一例であり、シューズ1及びシューズ用アッパー2の構成は以下の構成に限定されない。
【0011】
以下に示すシューズ1及びシューズ用アッパー2は左足用である。左足用のシューズ1及びシューズ用アッパー2は、右足用のシューズ1及びシューズ用アッパー2と左右対称であるため、以下の説明では、右足用のシューズ1及びシューズ用アッパー2の説明を省略する。
【0012】
1.第1実施形態
以下、第1実施形態に係るシューズ1及びシューズ用アッパー2(以下、アッパー2ともいう)の構成を、
図1~
図6を参照しながら説明する。
【0013】
1-1.概要
第1実施形態に係るシューズ1は、
図1に示すように、アッパー2と、ソール3とを備える。
【0014】
アッパー2は、着用時に着用者4の足40を覆うように構成されている。ソール3は、着用時に着用者4の足裏44を支持するように構成されている。
【0015】
アッパー2は、アッパー本体20とベルト21とを備える。
【0016】
アッパー本体20は、着用者4の足首部分41から甲部分42まで開口した履き口200を有する(
図1~
図3参照)。またアッパー本体20の外甲側又は内甲側の少なくとも一部に第1結合部材25が設けられている。本実施形態のアッパー2では、アッパー本体20の外甲側に第1結合部材25が設けられている。
【0017】
ベルト21は、着用時に着用者4の足40と対抗する第1面22と(
図3参照)、第1面22とは反対側に位置する第2面23とを有する(
図2参照)。ベルト21は、その根本210がアッパー本体20の第1結合部材25が設けられた側とは反対側に固定される。第1面22の先端部212に第1結合部材25と結合可能な第2結合部材26が設けられる。ベルト21は、着用時に履き口200を内甲側から外甲側または外甲側から内甲側に亘って掛け渡す。
【0018】
本実施形態のアッパー2では、第1結合部材25と第2結合部材26との結合が解除された状態において、ベルト21の自重によってアッパー本体20のベルト21の根本210が固定された側の外側下方に垂れ下がる(
図3及び
図4参照)。そのため、シューズ1を着用する際に履き口200がベルト21で塞がれることなく、履き口200が大きく開口した状態を維持することができる。
【0019】
特に本実施形態にアッパー2では、第2面23とアッパー本体20とが密着し、かつ、接合されることによって、ベルト21の根本210とアッパー本体20とが固定されている(
図5及び
図6参照)。この場合、ベルト21の剛性によって、ベルト21が外側下方に垂れ下がる方向に力が掛かるため(
図6参照)、ベルト21が外側下方に垂れ下がった状態を特に維持しやすく、それにより、履き口200が大きく開口した状態を特に維持しやすい。
【0020】
1-2.詳細
以下、第1実施形態のシューズ1及びアッパー2について、より詳細に説明する。
【0021】
1-2-1.シューズ
本実施形態に係るシューズ1は、若年者用の靴であってもよく、高齢者用の靴であってもよい。シューズ1の用途は、特に限定されず、ウォーキングシューズ、スニーカー、サンダル等の日常生活に用いられる靴であってもよく、スポーツ用の靴であってもよく、介護用の靴であってもよく、ワーキングシューズであってもよい。
【0022】
本実施形態のシューズ1は、上述の通り、ソール3とアッパー2とを含む。アッパー2はソール3に固定されている。アッパー2とソール3との固定方法の例には、接着、融着、縫製等が含まれる。
【0023】
(ア)ソール
ソール3は、
図1に示すように、下面30、側面31、及び上面32を含む。
【0024】
下面30は、地面と接する側の面である。下面30は、平坦であってもよいが、溝、凹凸等が設けられていることが好ましい。側面31は、下面30の外縁から上方に立ち上がった部分である。上面32は、着用者4の足裏44と接する面であり、下面30とは反対側に位置している。
【0025】
足裏44と上面32とは、直接接してもよいが、上面32上に配置されたインソール等を介して、間接的に接してもよい。
【0026】
ソール3は、単一の部材で構成されていてもよく、複数の部材で構成されていてもよい。例えばソール3が、下面30を構成するアウトソールと、アウトソール上に設けられ、かつ、上面32を構成するミッドソールとを含んでいてもよい。例えばアウトソールが複数の部材で構成されていてもよい。例えばミッドソールが複数の部材で構成されていてもよい。
【0027】
(イ)アッパー
本実施形態のアッパー2は、アッパー本体20と、ベルト21とを含む。
【0028】
(1)アッパー本体
アッパー本体20は、シューズ1の着用時に足40を覆うように構成されており、詳細には、足裏44以外の部分を覆うように構成されている。アッパー本体20は、足40の一部を覆っていなくてもよい。例えばシューズ1がサンダルの場合には、アッパー本体20が足40の爪先43を覆っていなくてもよい。
【0029】
アッパー本体20を構成する材料は特に限定されない。アッパー本体20を構成する材料の例には、天然皮革、人工皮革、天然繊維、合成繊維、樹脂等が含まれる。
【0030】
アッパー本体20は、単一の部材で形成されていてもよく、複数の部材で形成されていてもよい。例えばアッパー本体20が、複数の部材を結合して形成されてもよく、複数の生地を重ね合わせて形成されてもよい。
【0031】
本実施形態のアッパー本体20は、
図2に示すように、前部分201、内甲部分202、及び外甲部分203を含む。
【0032】
前部分201は、アッパー本体20における爪先43及び前甲45を覆う部分である。内甲部分202及び外甲部分203は、アッパー本体20における内甲46、外甲47及び踵48を覆う。前部分201、内甲部分202、及び外甲部分203は、全て同一の材料で形成されていてもよく、それぞれ異なる材料で形成されていてもよい。
【0033】
アッパー本体20では、内甲部分202にベルト21の根本210が固定されている。内甲部分202における根本210が固定される位置は、ベルト21の大きさ等に応じて適宜設定される。内甲部分202に根本210を固定する方法については、後述する。
【0034】
アッパー本体20では、外甲部分203に第1結合部材25が設けられている(
図3参照)。第1結合部材25は、外甲部分203の全体に設けられていてもよく、外甲部分203の一部に設けられていてもよく、外甲部分203の複数の部分に設けられていてもよい。本実施形態のアッパー2では、外甲部分203に第1結合部材25として面ファスナーが設けられている。なお、第1結合部材25は面ファスナーに限定されない。例えば第1結合部材25が、フック、磁石等であってもよい。その場合、第2結合部材26は、第1結合部材25と相互に結合可能な部材であればよい。
【0035】
履き口200は、前部分201の踵側端縁と、内甲部分202の外甲側端縁と、外甲部分203の内甲側端縁とで構成されている。そのため、履き口200を大きく開口させることができ、シューズ1内に足40を挿入しやすくなる。
【0036】
(2)ベルト
(i)ベルトの構成
本実施形態のベルト21は、帯状の部材である。ベルト21を構成する材料は、一般的な靴に用いられる材料を特に制限なく採用することができる。ベルト21を構成する材料の例には、天然皮革、人工皮革、天然繊維、合成繊維、樹脂等が含まれ得る。
【0037】
ベルト21は、着用時に着用者4の足40と対向する第1面22と(
図3参照)、第1面22の反対側に位置する第2面23と(
図2参照)を有する。そのため、第1結合部材25と第2結合部材26とが結合した状態では、第1面22はシューズ1内を向き、第2面23はシューズ1外(外側)を向いている。
【0038】
本実施形態のベルト21は、根本210、中間部211及び先端部212を含む(
図3参照)。
【0039】
根本210は、ベルト21におけるアッパー本体20と固定される部分である。詳細には、根本210は、内甲部分202に固定される。ベルト21とアッパー本体20との固定については後に詳述する。
【0040】
中間部211は、根本210と先端部212との間に位置する。中間部211の第1面22側は、シューズ1の着用時において、着用者4の足40と対向するように構成されている。特に本実施形態では、シューズ1の直用時において、中間部211の第1面22側と甲42とが直接接することが好ましい。すなわち中間部211の少なくとも一部が、甲42と直接接することが好ましい。それにより、シューズ1の着用時のフィット感及びサポート性を向上させることができる。中間部211の第1面22側と甲42とが直接接する場合には、中間部23の第1面22側がクッション性を有していてもよい。また中間部211は、第1結合部材25と第2結合部材26とが結合した状態において、履き口200を内甲側から外甲側または外甲側から内甲側に亘って掛け渡す(
図2参照)。
【0041】
先端部212は、
図3に示すように、ベルト21の先端に設けられている。先端部212の形状は特に限定されないが、シューズ1を着用する際に先端部212を把持しやすい形状であることが好ましい。先端部212の第1面22側には、第1結合部材25と結合可能な第2結合部材26が設けられる。例えば第1結合部材25が面ファスナーである場合には、第2結合部材26も面ファスナーである。第2結合部材26は、先端部212の第2面23側の、全体に設けられてもよく、一部に設けられてもよく、複数の部分に設けられてもよい。上述の通り、第1結合部材25と第2結合部材26とが結合が解除された状態では、先端部212がその自重によって外側下方に垂れ下がることがから、先端部212の形状、大きさ、重量は、先端部212が垂れ下がりやすいように適宜設定される。
【0042】
(ii)ベルトとアッパー本体との固定について
以下、ベルト21とアッパー本体20とを固定する方法について、詳述する。
【0043】
本実施形態のアッパー2では、
図5に示すように、第2面23とアッパー本体20とが密着し、かつ、固定されることによって、ベルト21の根本210とアッパー本体20とが固定されている。
【0044】
詳細には、内甲部分202の表面と第2面23とが密着するように根本210が折り返されると共に、内甲部分202の表面と根本210とが接合されている。この場合、ベルト21を構成する生地の剛性によって、先端部212が外側下方に垂れ下がるように(
図6に示す矢印の方法に)根本210に力が掛かるため、先端部212が外側下方に垂れ下がりやすくなる。
【0045】
第2面23とアッパー本体20との接合方法には、縫製、接着等が含まれる。第2面23とアッパー本体20とは、縫製または接着によって接合されてもよく、縫製と接着の両方によって接合されてもよい。
【0046】
図5では、第2面23とアッパー本体20とが縫製によって接合されており、詳細には、片倒しと呼ばれる縫製によって接合されている。第2面23とアッパー本体20との縫製は、片倒しに限定されない。例えば、
図7に示すような縫い割と呼ばれる縫製によって接合されていることも好ましい。また例えば、
図8に示すような無双縫い(袋縫い)と呼ばれる縫製によって接合されていることも好ましい。これらの縫製のいずれにおいても、第2面23とアッパー本体20とが密着し、かつ、接合されている。
【0047】
特に本実施形態では、第2面23とアッパー本体20とが、
図7に示す縫い割り、または
図8に示す無双縫い(袋縫い)によって接合されていることが好ましい。この場合、接合部分の縫い目Xを目立ちにくくすることができる。それにより、外力によって縫い目Xがほつれにくくなる。
【0048】
1-2-2.シューズを脱ぎ履きする際の動作
以下、第1実施形態のシューズ1を着用する際の動作について説明する。
【0049】
シューズ1を履く場合には、まず、履き口200からシューズ1内に足40を挿入する。シューズ1の着用前には、
図4に示すように、先端部212がその自重によって外側下方に垂れ下がるため、履き口200が大きく開口した状態が維持される。そのため、シューズ1を履くにあたって、ベルト21によって履き口200が塞がれにくいため、履き口200に足40を挿入しやすく、着用者4がシューズ1を容易に着用することができる。次に、第1結合部材25と第2結合部材26とを結合する。これにより、着用者4はシューズ1を履くことができる。
【0050】
シューズ1を脱ぐ場合には、第1結合部材25と第2結合部材26との結合を解除するだけで、足40の拘束が解除することができる。また大きく開口した履き口200から足40を抜くことができるため、シューズ1を容易に脱ぐことができる。
【0051】
2.第2実施形態
以下、第2実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成を説明する。なお、第2実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成のうち、第1実施形態に係るシューズ1及びアッパー2と共通の構成については、同じ符号を付すことで説明を省略することがある。
【0052】
第2実施形態に係るシューズ1(アッパー2)では、第2面23とアッパー本体20とが縫製によって接合され、かつ、その縫い目Xが曲線である(
図9参照)。このように縫い目Xが曲線であることにより、先端部212が外側下方に垂れ下がった状態において、
図9に示すようにベルト21を反らせることができる。この場合、ベルト21に対して下方に力が掛かるため、ベルト21が外側下方に垂れ下がった状態を特に維持しやすい。縫い目Xの曲がり具合は、ベルト21の長さ、剛性等に応じて適宜設定される。
【0053】
3.第3実施形態
以下、第3実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成を説明する。なお、第3実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成のうち、第1実施形態に係るシューズ1及びアッパー2と共通の構成については、同じ符号を付すことで説明を省略することがある。
【0054】
第1実施形態に係るシューズ1(アッパー2)では、アッパー本体20とベルト21とが別部材であるが、これに限定されない。例えば
図10に示すように、アッパー本体20とベルト21とが一体化していてもよい。
【0055】
図10に示すシューズ1(アッパー2)は、アッパー本体20とベルト21とが一体化すると共に、根本210と内甲部分202とが片倒しで縫製されている。根本210と内甲部分202との縫製は、縫い割りであってもよく、無双縫い(袋縫い)であってもよい。
【0056】
4.第4実施形態
以下、第4実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成を説明する。なお、第4実施形態に係るシューズ1及びアッパー2の構成のうち、第1実施形態に係るシューズ1及びアッパー2と共通の構成については、同じ符号を付すことで説明を省略することがある。
【0057】
第4実施形態に係るシューズ1(アッパー2)では、ベルト21が柔軟性を有している。具体的にはベルト21がアッパー本体20よりも柔軟性を有している。ベルト21が柔軟性を有することにより、ベルト21の先端部212が外側下方に垂れ下がった状態を維持しやすくなる。
【0058】
ベルト21は、全体が柔軟性を有していてもよく、ベルト21が部分的に柔軟性を有していてもよい。本実施形態では、特に根本210が柔軟性を有していることが好ましい。この場合、先端部212が外側下方に垂れ下がった状態を特に維持しやすくなる。第4実施形態のベルト21は、柔軟性を有する素材で形成されていてもよく、ベルト21が柔軟性を有する構造を有していてもよい。
【0059】
特にベルト21は、伸縮性を有していることが好ましい。具体的には、ベルト21がアッパー本体20よりも優れた伸縮性を有することが好ましい。この場合、先端部212が外側下方に垂れ下がった状態を維持しやすくなると共に、ベルト21を引き延ばしながら第1結合部材25と第2結合部材26とを結合させることができ、シューズ1の着用時のフィット感及びサポート性を向上させられる。ベルト21が伸縮性を有する場合、ベルト21全体が伸縮性の生地で形成されていてもよく、ベルト21の一部が伸縮性の生地で形成されていてもよく、ベルト21が伸縮可能な構造を有していてもよい。
【0060】
例えば
図11及び
図12に示すベルト21は、その根本210が、襞状(蛇腹状)の襞部材220と、伸縮材料からなる伸縮部材221とを含むと共に、襞部材220の両端部が伸縮部材221の両端部とそれぞれ重なって接合されている。第1結合部材25と第2結合部材26との結合が解除された状態では、第1ベルト220が襞状になり、根本210が柔軟性を有するため、先端部212が外側下方に垂れ下がった状態を維持しやすい(
図10参照)。また第1結合部材25と第2結合部材26とを結合する際には、襞部材220及び伸縮部材221を引き延ばすため、根本210の表面(第2面23側)を平坦にできると共に、フィット感及びサポート性を向上させることができる。
図11及び
図12に示すベルト21では、根本210が襞部材220及び伸縮部材221を含むが、これに限定されない。例えば根本210が、襞部材220を含むと共に伸縮部材221を含んでいなくてもよい。
【0061】
5.変形例
シューズ1及びアッパー2の構成は、上述の構成に限定されない。
【0062】
第1実施形態から第4実施形態に係るシューズ1では、第2面23とアッパー本体20とが縫製によって接合されているが、これに限定されない。例えば、第2面23とアッパー本体20とが接着剤によって接合されていてもよい。
【0063】
第1実施形態から第4実施形態に係るシューズ1では、ベルト21の根本210がアッパー本体20の内甲側に固定されると共に、アッパー本体20の外甲側に第1結合部材25が設けられているが、これに限定されない。例えば、根本210がアッパー本体20の外甲側に固定されると共に、アッパー本体20の内甲側に第1結合部材25が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1 シューズ
2 シューズ用アッパー
20 アッパー本体
200 履き口
21 ベルト
210 根本
211 中間部
212 先端部
22 第1面
23 第2面
24 先端部
25 第1結合部材
26 第2結合部材
3 ソール
4 着用者
40 足
41 足首
44 足裏