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特許7471127測定補助装置、及び当該測定補助装置を備えた測定システム
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  • 特許-測定補助装置、及び当該測定補助装置を備えた測定システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】測定補助装置、及び当該測定補助装置を備えた測定システム
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/70 20060101AFI20240412BHJP
   H02J 3/18 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G05F1/70 K
H02J3/18 128
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020063450
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021163139
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年6月4日、2019年電気設備学会全国大会事務局に原稿を電子メールで送付
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2019年8月29日、福岡工業大学で開催された2019年電気設備学会全国大会で講演
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2020年3月13日、一般社団法人東京電業協会に原稿を送付
(73)【特許権者】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100075410
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 則昭
(74)【代理人】
【識別番号】100135541
【弁理士】
【氏名又は名称】藤沢 昭太郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 英雄
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-43460(JP,A)
【文献】特開平9-140048(JP,A)
【文献】特開2012-50290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/70
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受電主幹部の電路に接続されている進相コンデンサ設備に流入する電流の測定を補助する測定補助装置であって、
前記受電主幹部の電路に設けられている変流器と電気的に接続されると共に、前記受電主幹部の電路に接続されている各回路に設けられている変流器と夫々電気的に接続され、
前記受電主幹部の電路に設けられている変流器から出力された電気信号と、各回路に設けられている変流器から出力された電気信号を合成し、
前記合成された電気信号を、進相コンデンサ設備に流入する前記電流を表す電気信号として出力し、
前記測定補助装置は、前記各変流器に対応して設けられ、対応する前記変流器に係る電気信号の入力を受け付ける信号変換部と、
ユーザから前記信号変換部間の接続作業を受け付け、ユーザによって行われた前記信号変換部間の接続に応じて、前記電気信号を加算又は減算させる信号処理部を有し、
前記信号変換部には、抵抗値が異なる複数の電路が設けられており、ユーザから導通させる電路の選択を受け付け、入力を受け付けた前記電気信号を、ユーザによって選択された電路の抵抗値分の電圧降下に係る電気信号に変換して出力し、
前記信号処理部は、ユーザによって行われた前記信号変換部間の接続に応じて、変換された前記電気信号を加算又は減算させて、前記電気信号を合成することを特徴とする、測定補助装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定補助装置と、測定結果を表示又は記録する測定器を備えた測定システムであって、
前記測定器は、前記測定補助装置から受信した、合成された電気信号が、所定のしきい値を超えてから所定の時間に係る、当該電気信号を表示又は記録することを特徴とする、測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高電圧部分の測定対象を安全に測定するために、測定を補助する測定補助装置、及び当該測定補助装置を備えた測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、インバータ機器の普及等に起因した高調波電流による配電系統の電源品質の悪化は問題となっていた。
【0003】
なお、電気設備には、一般的に、その力率を改善するため、進相コンデンサ設備が設けられている。また、その場合には通常、進相コンデンサ設備を設置したことによる高調波電流の増大の防止及び進相コンデンサの電源投入時の電流の制御のため、リアクトルが設けられている。
【0004】
上述した電源品質の悪化により、高調波電流が定常的に進相コンデンサ設備に流入し、進相コンデンサ設備に付帯するリアクトルが焼損する事例が過去に多発していた。以下、このリアクトルの焼損を、「定常高調波電流による焼損」という。
【0005】
この「定常高調波電流による焼損」事例は、リアクトルに対する高調波耐量増強対策等により、減少傾向にあった。
【0006】
例えば、特許文献1では、進相コンデンサに直列に接続されたリアクトルの形状を大きくすることなく、且つ安価にリアクトルに対する高調波障害を防止するため、高調波を含んだ電流の通電による電圧の上昇を抑制する電圧上昇抑制手段をリアクトルに接続する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-69322号公報
【0008】
しかし、近年では、配電系統の電源品質の更なる悪化により、進相コンデンサ設備の電源投入時に、配電系統と進相コンデンサ設備間で共振現象が発生し、定常的な高調波電流の数倍の大きな電流が、進相コンデンサ設備に流入し、その結果、比較的短時間でリアクトルが焼損する事例が増加している。以下、このリアクトルの焼損を、「共振現象による焼損」という。
【0009】
「定常高調波電流による焼損」と、「共振現象による焼損」では、対策が異なるため、焼損事故が発生した場合には、進相コンデンサ設備に流入する電流を経過観察(測定)し、原因を特定した上で、適切な措置を施すことが必要となる。
【0010】
ところで、一般的に、電気設備の高電圧箇所の電圧・電流を測定する場合、変成器・変流器を用いて、低電圧・小電流信号に変換し、電圧計・電流計等で表示・測定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、通常、複数のコンデンサが並列に接続されている、進相コンデンサ設備においては、コンデンサの1バンク当たりの電流値が、コンデンサ容量に比例した固定値になるため、ON/OFF状態の管理のみが行われ、電流計及び変流器が設置されていない場合が多い。
【0012】
また、ほとんどの測定器が高電圧回路を直接測定する仕様になっておらず、通常の測定器では、高電圧回路である進相コンデンサ設備に流れる電流を直接測定することはできない。
【0013】
一方、進相コンデンサ設備以外の回路では、負荷が変動するため、電流計及び変流器が設置されていることが一般的である。
【0014】
そのため、図6に示すように、次善の測定方法として、受電主幹部の電路に設けられている電流計51に電流信号を送る、変流器52の低電圧側に変流器41を設ける。また、各回路の電路に設けられている電流計51に電流信号を送る、変流器53~55の低電圧側に変流器41を夫々設ける。その上で、受電主幹部の変流器41の低電圧側の電流値及び各回路の変流器41の低電圧側の電流値を夫々測定する。そして測定後に、解析ソフトや表計算ソフト等を用いて、各測定データを加減算処理し、進相コンデンサ設備48に流入する電流値を算出する方法がある。詳しくは、各回路に係る変流器41の低電圧側の電流値を合算する。そして、受電主幹部に係る変流器41の低電圧側の電流値から合算値を減算して、進相コンデンサ設備48に流入する電流値を算出する。
【0015】
この測定方法では、用いる各測定値が、定常的な平均値となるため、定常高調波電流の推移を、ある程度は算出可能である。しかし、共振現象発生時の突発的な変化等の過渡的な電流の波形(時間的な推移)は、算出できない。
【0016】
この測定方法を用いて、進相コンデンサ設備に流入する過渡的な電流の波形(時間的な推移)を算出するためには、電流の実効値ではなく、交流正弦波を数ミリ秒単位で細かく測定し、それらの各測定データを用いて、進相コンデンサ設備48に流入する電流値を算出しなければならない。しかし、その場合、測定データが膨大な量になるため、実用化は非現実的である。
【0017】
そこで本発明は、上記問題点に対処するため、測定データが膨大な量になることなく、進相コンデンサ設備に流入する過渡的な電流の波形(時間的な推移)を算出可能な、測定補助装置、及び当該測定補助装置を備えた測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、
受電主幹部の電路に接続されている進相コンデンサ設備に流入する電流の測定を補助する測定補助装置であって、
前記受電主幹部の電路に設けられている変流器と電気的に接続されると共に、前記受電主幹部の電路に接続されている各回路に設けられている変流器と夫々電気的に接続され、
前記受電主幹部の電路に設けられている変流器から出力された電気信号と、各回路に設けられている変流器から出力された電気信号を合成し、
前記合成された電気信号を、進相コンデンサ設備に流入する前記電流を表す電気信号として出力し、
前記測定補助装置は、前記各変流器に対応して設けられ、対応する前記変流器に係る電気信号の入力を受け付ける信号変換部と、
ユーザから前記信号変換部間の接続作業を受け付け、ユーザによって行われた前記信号変換部間の接続に応じて、前記電気信号を加算又は減算させる信号処理部を有し、
前記信号変換部には、抵抗値が異なる複数の電路が設けられており、ユーザから導通させる電路の選択を受け付け、入力を受け付けた前記電気信号を、ユーザによって選択された電路の抵抗値分の電圧降下に係る電気信号に変換して出力し、
前記信号処理部は、ユーザによって行われた前記信号変換部間の接続に応じて、変換された前記電気信号を加算又は減算させて、前記電気信号を合成する、測定補助装置とした。
【0021】
また、請求項に係る発明は、
請求項1に記載の測定補助装置と、測定結果を表示又は記録する測定器を備えた測定システムであって、
前記測定器は、前記測定補助装置から受信した、合成された電気信号が、所定のしきい値を超えてから所定の時間に係る、当該電気信号を表示又は記録する、測定システムとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、進相コンデンサ設備に流入する過渡的な電流の波形(時間的な推移)を測定できる。従って、高調波引込現象発生時の流入電流量や現象継続時間等を細密に記録できる。
【0023】
その結果、焼損事故が発生した場合であっても、進相コンデンサ設備に流入する過渡的な電流の波形(時間的な推移)に基づき、原因を特定した上で、適切な措置を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施の形態例1に係る測定システムの全体的な構成を示した図である。
図2】本実施の形態例1に係る測定システムの一部を拡大した図であり、(a)は、受電主幹部の電路中の電流計51が設けられている箇所を拡大した図であり、(b)は、回路の電路中の電流計51が設けられている箇所を拡大した図である。
図3】本実施の形態例1に係る測定システムに係る測定補助装置の構成を示した図である。
図4】本実施の形態例1に係る測定補助装置に係る信号変換部の構成を示した図である。
図5】本実施の形態例1に係る測定システムに係る測定器に出力される、進相コンデンサ設備に流入する電気信号の時間的推移を示した図である。
図6】従来の測定システムの全体的な構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態例を詳細に説明する。ただし、この実施の形態例に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0026】
<実施の形態例1>
図1は、本実施の形態例1に係る測定システムの全体的な構成を示した図である。詳しくは、図1では、電力需要家の受配電系統に、本実施の形態例1に係る測定システムを設置した状態が示されている。なお、本実施の形態例1に係る測定システムは、変流器31、測定補助装置10及び測定器20を備える。
【0027】
図2(a)に示すように、電力需要家の受配電系統の受電主幹部の電路には、変流器52を介して電流計51が設けられている。そして、変流器52の低電圧側に、本実施の形態例1の測定システムに係る変流器31が設けられている。また、図1では、負荷37に接続される回路(給電線)は3個(本)である。図2(b)に示すように、負荷37に接続される各回路には、変流器53~55のいずれかを介して電流計51が設けられている。変流器52~55には、鉄心とコイルが用いられており、測定しやすくするため、コイルの巻数に応じた比率(変流比、CT比)の電流を二次側(低電圧側)に発生させる、いわゆる、CT(Current Transformer)である。変流器52~55は、通常、0(A)~大電流を、0(A)~5(A)や0(A)~1(A)等に変換する。そして、変流器52~55の低電圧側に、本実施の形態例1の測定システムに係る変流器31が夫々設けられている。変流器31は、測定器用クランプである。なお、本実施の形態例1では、入力された電流を変換して、変換後の電流を出力する変流器52~55を用いる構成を示したが、この構成に限定されるものではない。入力された電流信号、電圧信号等の電気信号を変換して、変換後の電気信号を出力する構成であれば良い。そのため、例えば、入力された電気信号として電流を変換し、変換後の電気信号として電圧を出力する構成としても良い。
【0028】
<測定補助装置10の構成>
測定補助装置10は、各変流器31と夫々接続されており、各変流器から出力される、変換後の電気信号(二次側の電気信号)を受け取る。詳しくは、受電主幹部に係る変流器31から受け取る電気信号を、受電点電気信号といい、各回路の変流器31から受け取る電気信号をフィーダ(給電)電気信号という。なお、本実施の形態例1では、測定補助装置10は、各変流器31から、電気信号として、電流信号を受け取る。
【0029】
また、測定補助装置10は、測定器20と接続されている。
【0030】
つまり、測定補助装置10は、受電主幹部の電路に設けられている変流器31から出力された電気信号(受電点電気信号)と、各回路に設けられている変流器31から出力された電気信号(フィーダ電気信号)を合成し、進相コンデンサ設備38に流入する電気信号を、測定器20に出力する。
【0031】
測定補助装置10の構成について、図3を用いて、以下詳しく説明する。測定補助装置10は、信号変換部11と、信号処理部12を有している。信号変換部11は、変流器に対応して設けられ、対応する変流器に係る電気信号の入力を受け付ける。
【0032】
例えば、図3では、一番左の信号変換部11は、変流器53に係る電気信号の入力を受け付け、左から二番目の信号変換部11は、変流器54に係る電気信号の入力を受け付け、左から三番目の信号変換部11は、変流器55に係る電気信号の入力を受け付ける。また、左から四番目の信号変換部11は、変流器52に係る電気信号の入力を受け付ける。
【0033】
ここで、信号変換部11の構成について、図4を用いて、詳しく説明する。信号変換部11には抵抗値が異なる複数の電路が設けられている。図4に示すように、電路1~電路16の16本の電路が設けられている。例えば、電路1の抵抗値は、6K(Ω)の抵抗が設けられているため、6K(Ω)である。また、電路5の抵抗値は、6K(Ω)、1.5K(Ω)、2.5K(Ω)、2K(Ω)及び3K(Ω)の抵抗が設けられているため、15K(Ω)である。このように、ユーザが抵抗値の異なる16本の電路を選択できることで、およそ一般的に使用されている、あらゆる変流比(CT比)に対応することができる。なお、図4では、ユーザによってセレクタ111が操作された結果、電路3が導通した状態になっている。
【0034】
ところで、本実施の形態例1に係る測定器20を含む、一般的な測定器は、電流が多く流れると発熱等の問題が発生するため、入力インピーダンスが高く設定され、測定器に流入する電流を最小に抑えるように設計されている。そのため、測定補助装置10を測定器20に接続した場合、測定器20が無限抵抗のような役割を果たし、測定器20に流入する電流は非常に少ない。そのため、電路0を通じて、信号変換部11に入力された電流(電気信号)のほとんどは、点Aから、信号変換部11に設けられている全ての16個の抵抗を通過し(なお、16個の抵抗を通過した分、電圧降下する)、点Bを流れ、電路30を通って信号変換部11の外部に出力される。一方、ユーザによってセレクタ111が操作された結果、電路3が導通した状態の場合、それによって、点Aから点Cまでの電圧降下分の電圧(6K+1.5K+2.5K(Ω))に係る電気信号が取り出される。つまり、信号変換部11に入力された電流は、点Aから点Cまでの電圧降下分の電圧に係る電気信号として、「5/100」に変換され、電路20を通って、信号変換部11から出力される。
【0035】
このように、信号変換部11のセレクタ111で、ユーザから電路の選択を受け付け、入力された電気信号を、適宜の比で変換させることで、変流器52~55の各変流比が異なる場合であっても、変流比を合わせることができる。その結果、進相コンデンサ設備38に流入する電気信号を適切に合成することができる。
【0036】
例えば、変流器53、変流器54及び変流器55の変流比が「5/100」であり、変流器52の変流比が「5/500」の場合、仮に各電路に同じ100(A)の電流が流れていたとすると、変流器53~55の低圧電路側には5(A)、変流器52の低圧電路側には1(A)の電流が流れる。即ち、各電路に同じ100(A)の電流が流れていても、変流器53~55の低圧電路側に流れる電流と、変流器52の低圧電路側の電流とは5倍の差が発生している。そこで、変流器53~55に対応する各々の信号変換部11に係るセレクタ111を操作し、電路3を導通させた状態とし、更に変流器52に対応する信号変換部11に係るセレクタ111を操作し、電路13を導通させた状態とすることで、全ての電気信号が抵抗の比率によって、変流比が「5/1000」に合わせられる。
【0037】
次に、信号処理部12は、ユーザから信号変換部11間の接続作業を受け付け、ユーザによって行われた信号変換部11間の接続に応じて、電気信号を加算、減算又は通過させる。
【0038】
例えば、図3では、ユーザによって、一番左の信号変換部11と左から二番目の信号変換部11は、異極(プラスとマイナス、あるいはマイナスとプラス)で直列に接続されている。左から二番目の信号変換部11と左から三番目の信号変換部11も、異極で直列に接続されている。
【0039】
一方、左から三番目の信号変換部11と左から四番目の信号変換部11は、同極(プラスとプラス、あるいはマイナスとマイナス)で直列に接続されている。
【0040】
更に、左から四番目の信号変換部11と一番右の信号変換部11は、電気信号が、一番右の信号変換部11内を通らずに、通過するように接続されている。
【0041】
上記のように、各信号変換部11間を接続することによって、信号処理部12は、変流器53~55に係る電気信号を加算し、この加算後の電気信号から変流器52に係る電気信号を減算する。その結果、進相コンデンサ設備38に流入する電気信号を合成することとなる。そして、信号処理部12は、合成された電気信号を、測定器20に対し出力する。
【0042】
測定器20は、例えば、デジタルオシロスコープであって、入力された電流信号や電圧信号等の電気信号の波形(時間的な推移)等の測定結果を表示・記録する。
【0043】
<進相コンデンサ設備38に流入する電気信号に係る波形>
測定補助装置10は、測定器20に対し、各測定点に係る電気信号を瞬時に合成して、進相コンデンサ設備38に流入する電気信号を出力する。測定補助装置10がこれを連続的に行うことにより、測定器20は、図5に示すように、進相コンデンサ設備38に流入する過渡的な電気信号の時間的推移を、正弦波等の波形として認識し、表示・記録することができる。従って、測定器20で、高調波引込現象発生時の流入電流量や現象継続時間等を細密に表示・記録できる。なお、図5では、理解のために、進相コンデンサ設備38に流入する過渡的な電流値の時間的推移だけでなく、主幹電流値の時間的推移及び負荷電流値の時間的推移も示している。
【0044】
その結果、焼損事故が発生した場合であっても、進相コンデンサ設備38に流入する過渡的な電流の波形(時間的な推移)に基づき、原因を特定した上で、適切な措置を施すことが可能となる。
【0045】
<変形例>
なお、本実施に形態例1では、測定器20が、測定補助装置10から出力された、進相コンデンサ設備38に流入する電流に係る電気信号を、常時、表示・記録する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。
【0046】
例えば、測定器20は、進相コンデンサ設備38に流入する電流に係る電気信号を、当該電気信号が所定のしきい値を超えてから所定の時間(例えば、数msec)に係る電気信号を、表示・記録する構成としても良い。
【0047】
このように、電気信号がしきい値を超えた異常時(=過電流が発生した)のみ、測定器20が当該電気信号を表示・記録する構成とすることによって、焼損事故の原因を特定するために必要なデータのみを的確に取得することができる。また、測定器20に記録・蓄積されるデータ量が過大になることを防ぐことができ、便宜である。
【0048】
また、本実施の形態例1では、受電主幹部の変流器52に係る電気信号を減算させるため、左から三番目の信号変換部11と左から四番目の信号変換部11は、同極で直列に接続する構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、電力需要家の受配電系統の受電主幹部の電路に係る変流器31を、各回路に係る変流器31とは、逆極性で設け、左から三番目の信号変換部11と左から四番目の信号変換部11は、異極で直列に接続する構成としても良い。
【0049】
更に、本実施の形態例1では、1台の測定補助装置10を用いる構成で説明したが、この構成に限定されるものではない。変流器に対応する信号変換部11が足りない場合には、測定補助装置10のスイッチ112(図3参照)を開放して、複数台の測定補助装置10を連結して使用することも可能である。
【0050】
また、本実施の形態例1では、受電主幹部の電路及び各回路の電路に、変流器52~55のいずれかを介して電流計51が設けられていることが、電気設備において一般的であるため、変流器52~55の低電圧側に夫々変流器31を設ける構成を示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、受電主幹部の電路及び各回路の電路に夫々、直接、変流器31を設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0051】
10:測定補助装置、11:信号変換部、111:セレクタ、112:スイッチ、12:信号処理部、
20:測定器、
31:変流器、37:負荷、38:進相コンデンサ設備、
41:変流器、48:進相コンデンサ設備、
51:電流計、52~55:変流器
図1
図2
図3
図4
図5
図6