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特許7471131ロボット用のエンドエフェクタ、ロボット及びロボットシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】ロボット用のエンドエフェクタ、ロボット及びロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B25J15/06 M
B25J15/06 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020067295
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160066
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太白 秀一
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕
(72)【発明者】
【氏名】川本 直哉
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05374091(US,A)
【文献】実開平04-038390(JP,U)
【文献】特開平09-285986(JP,A)
【文献】特開2015-039767(JP,A)
【文献】特開平07-205077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
対象物を吸着することで保持する第1吸着体と、
前記第1吸着体を支持し且つ第1方向及び第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第1スライド体と、
前記対象物を吸着することで保持する第2吸着体と、
前記第2吸着体を支持し且つ前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第2スライド体と、
前記第1スライド体を前記第1方向に付勢する第1付勢部材と、
前記第2スライド体を前記第1方向に付勢する第2付勢部材とを備え、
前記第2スライド体は、前記第1方向と交差する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、
前記第1方向は、前記第1吸着体及び前記第2吸着体を前記基部から離す方向であり、前記第2方向は、前記第1方向と反対の方向であり、
前記第1付勢部材は、前記基部に対して前記第1方向及び前記第2方向のうちの一方に配置され、
前記第2付勢部材は、前記基部に対して前記第1方向及び前記第2方向のうちの他方に配置される
ロボット用のエンドエフェクタ。
【請求項2】
基部と、
対象物を吸着することで保持する第1吸着体と、
前記第1吸着体を支持し且つ第1方向及び第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第1スライド体と、
前記対象物を吸着することで保持する第2吸着体と、
前記第2吸着体を支持し且つ前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第2スライド体と、
前記第1スライド体を前記第1方向に付勢する第1付勢部材と、
前記第2スライド体を前記第1方向に付勢する第2付勢部材とを備え、
前記第2スライド体は、前記第1方向と交差する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、
前記第1方向は、前記第1吸着体及び前記第2吸着体を前記基部から離す方向であり、前記第2方向は、前記第1方向と反対の方向であり、
前記第1付勢部材は、前記第1方向と交差する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、
前記第2付勢部材は、前記第1方向と交差する側方で前記第2スライド体を囲むように配置され、
前記第1スライド体は、前記第1方向への前記第1スライド体の移動を制止する第1制止部を含み、
前記第2スライド体は、
前記第1方向への前記第2スライド体の移動を制止する第2制止部と、
前記第2スライド体に対する前記第2方向への前記第1スライド体の相対的な移動を制止する第3制止部とを含む
ロボット用のエンドエフェクタ。
【請求項3】
前記第1方向と交差する側方で前記第1吸着体を囲むように配置され且つ前記第2スライド体によって支持される複数の前記第2吸着体を備える
請求項1又は2に記載のエンドエフェクタ。
【請求項4】
前記第3制止部は、前記第1方向に向かって広がるテーパ状の内面を有するテーパ穴であり、
前記第1スライド体は、前記第1方向に向かって広がり且つ前記テーパ穴の内面に整合する形状であるテーパ状の外面を有し、且つ前記テーパ穴を通って延び、
前記第3制止部は、前記テーパ穴に前記外面を係合させることで、前記第1スライド体の相対的な移動を制止する
請求項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項5】
前記第1スライド体は、管状の第1部分を含み、
前記第2スライド体は、前記第1方向と交差する側方で前記第1部分を囲む管状の第2部分を含み、
前記第1部分は、前記第2部分によって前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に支持され、
前記第2部分は、前記基部によって前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に支持される
請求項1~のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項6】
前記第1吸着体は、前記第1吸着体に負圧を発生させる第1負圧系統と接続され、
前記第2吸着体は、前記第2吸着体に負圧を発生させ且つ前記第1負圧系統と異なる第2負圧系統と接続され、
前記第1吸着体及び前記第2吸着体は、互いから独立して発生される負圧により前記対象物を吸着するように構成される
請求項1~のいずれか一項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項7】
前記第1吸着体は、落下防止弁を介して前記第1負圧系統と接続され、
前記第2吸着体は、落下防止弁を介して前記第2負圧系統と接続され、
前記落下防止弁は、前記第1吸着体又は前記第2吸着体と対象物とが密着していない場合に前記第1負圧系統又は前記第2負圧系統での負圧の元圧の低下を抑制するように構成される
請求項に記載のエンドエフェクタ。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載のエンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタの前記基部と接続され且つ複数の自由度を有するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御する制御装置とを備えるロボット。
【請求項9】
請求項に記載のロボットと、
前記第1吸着体に負圧を発生させる第1負圧系統の負圧を調整する第1負圧調整装置と、
前記第2吸着体に負圧を発生させる第2負圧系統の負圧を調整する第2負圧調整装置とを備え、
前記制御装置は、
前記第1負圧調整装置及び前記第2負圧調整装置の動作を制御し且つ対象物の情報を取得するように構成され、
前記対象物の情報に基づき、前記第1吸着体及び前記第2吸着体の少なくとも一方に、負圧により前記対象物を吸着させる
ロボットシステム。
【請求項10】
対象物の画像を撮像する撮像装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された前記対象物の画像を処理することで前記対象物の情報を取得する
請求項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット用のエンドエフェクタ、ロボット及びロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロボットアームと、ロボットアームの先端に取り付けられたエンドエフェクタ(「ロボットハンド」とも呼ばれる)とを備えるロボットがある。例えば、特許文献1は、対象物を吸着することで保持するロボットハンドを開示する。このロボットハンドは、ロボットハンド本体と、ロボットハンド本体に取り付けられた複数の吸着パッドユニットとを備える。各吸着パッドユニットは、真空圧経路を有するマニホールドと、マニホールドを貫通して上下方向に摺動可能であるシャフトと、シャフトの先端に取り付けられた吸着パッドとを備える。シャフトは、スプリングによって下方へ付勢される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-283884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の各吸着パッドユニットは、吸着体である吸着パッドが対象物に押し付けられシャフトが上方に押し上げられると、マニホールド内の真空圧経路が吸着パッドと真空源とを連通し、吸着パッドに真空圧が供給されるように構成される。このようなマニホールドの水平方向の寸法は、シャフト及び吸着パッドよりも大きくなる。さらに、複数の吸着パッドユニットは、ロボットハンド本体に対して水平方向に並列的に配列される。これにより、ロボットハンドが大型化する。
【0005】
本開示は、スライド移動可能な複数の吸着体を備える構成を小型化するロボット用のエンドエフェクタ、ロボット及びロボットシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係るロボット用のエンドエフェクタは、基部と、対象物を吸着することで保持する第1吸着体と、前記第1吸着体を支持し且つ第1方向及び第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第1スライド体と、前記対象物を吸着することで保持する第2吸着体と、前記第2吸着体を支持し且つ前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第2スライド体と、前記第1スライド体を前記第1方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2スライド体を前記第1方向に付勢する第2付勢部材とを備え、前記第2スライド体は、前記第1方向に対する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、前記第1方向は、前記第1吸着体及び前記第2吸着体を前記基部から離す方向であり、前記第2方向は、前記第1方向と反対の方向である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、スライド移動可能な複数の吸着体を備えるエンドエフェクタを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示す平面図
図2】実施の形態に係るロボットシステムの構成の一例を示すブロック図
図3】実施の形態に係るロボットの構成の一例を示す側面図
図4】実施の形態に係るエンドエフェクタの構成の一例を示す断面側面図
図5】実施の形態に係るエンドエフェクタの構成の一例を示す底面図
図6】実施の形態に係るロボットシステムの動作の一例を示すフローチャート
図7】第1吸着体及び第2吸着体を用いたエンドエフェクタによる瓶の取り出し動作の一例を示す側面図
図8】第1吸着体を用いたエンドエフェクタによる瓶の取り出し動作の一例を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の態様例を説明する。請求項1に述べる本開示の一態様に係るロボット用のエンドエフェクタは、基部と、対象物を吸着することで保持する第1吸着体と、前記第1吸着体を支持し且つ第1方向及び第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第1スライド体と、前記対象物を吸着することで保持する第2吸着体と、前記第2吸着体を支持し且つ前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に前記基部に配置される第2スライド体と、前記第1スライド体を前記第1方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2スライド体を前記第1方向に付勢する第2付勢部材とを備え、前記第2スライド体は、前記第1方向に対する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、前記第1方向は、前記第1吸着体及び前記第2吸着体を前記基部から離す方向であり、前記第2方向は、前記第1方向と反対の方向である。
【0010】
上記態様によると、第1スライド体及び第2スライド体はそれぞれ、第1吸着体及び第2吸着体を第1方向及び第2方向にスライド移動させることができる。第2スライド体は、第1方向に対する側方で第1スライド体を囲むように配置されるため、第1方向に対する側方でのエンドエフェクタのサイズを小さく抑えることができる。よって、スライド移動可能な複数の吸着体を備える構成の小型化が可能になる。
【0011】
請求項2に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタは、前記第1方向に対する側方で前記第1吸着体を囲むように配置され且つ前記第2スライド体によって支持される複数の前記第2吸着体を備えてもよい。
【0012】
上記態様によると、複数の第2吸着体は、第1方向に対する側方でのエンドエフェクタのサイズを小さく抑えることができる。
【0013】
請求項3に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1付勢部材は、前記基部に対して前記第1方向及び前記第2方向のうちの一方に配置され、前記第2付勢部材は、前記基部に対して前記第1方向及び前記第2方向のうちの他方に配置されてもよい。
【0014】
上記態様によると、第1付勢部材及び第2付勢部材は、基部を挟んで反対側に配置されるため、第1方向に対する側方でのエンドエフェクタのサイズを小さく抑えることができる。
【0015】
請求項4に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1付勢部材は、前記第1方向に対する側方で前記第1スライド体を囲むように配置され、前記第2付勢部材は、前記第1方向に対する側方で前記第2スライド体を囲むように配置されてもよい。
【0016】
上記態様によると、第1スライド体と第1付勢部材との組は第1方向に対する側方でのサイズを小さく抑え、第2スライド体と第2付勢部材との組は第1方向に対する側方でのサイズを小さく抑えることができる。
【0017】
請求項5に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1スライド体は、前記第1方向への前記第1スライド体の移動を制止する第1制止部を含み、前記第2スライド体は、前記第1方向への前記第2スライド体の移動を制止する第2制止部と、前記第2スライド体に対する前記第2方向への前記第1スライド体の相対的な移動を制止する第3制止部とを含んでもよい。
【0018】
上記態様によると、第1スライド体及び第2スライド体はそれぞれ、第1付勢部材及び第2付勢部材によって第1方向へ付勢されるが、第1制止部及び第2制止部によって第1方向への移動の規制を受ける。第2スライド体に対する第2方向への第1スライド体の相対的な移動は、第3制止部によって規制を受ける。これにより、第1吸着体及び第2吸着体は、外力を受けていないとき、所定の初期状態に保たれ得る。さらに、例えば、近接した複数の対象物又は重なり合った複数の対象物の中の低い位置の1つの対象物を保持する場合、エンドエフェクタは、第1方向に移動し、第2吸着体を高い位置の対象物に押し付けて第2方向に移動させ、第2吸着体よりも第1方向に突出する第1吸着体に対象物を吸着させることができる。例えば、比較的大きい対象物を保持する場合、エンドエフェクタは、第1方向に移動し、第1吸着体及び第2吸着体を対象物に押し付けて吸着させることができる。よって、エンドエフェクタは、対象物に対応した吸着体を用いて対象物を保持することができる。
【0019】
請求項6に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第3制止部は、前記第1方向に向かって広がるテーパ状の内面を有するテーパ穴であり、前記第1スライド体は、前記第1方向に向かって広がり且つ前記テーパ穴の内面に整合する形状であるテーパ状の外面を有し、且つ前記テーパ穴を通って延び、前記第3制止部は、前記テーパ穴に前記外面を係合させることで、前記第1スライド体の相対的な移動を制止してもよい。
【0020】
上記態様によると、第2スライド体のテーパ穴と第1スライド体のテーパ状の外面とが係合することで、第1スライド体は、第2スライド体に対する相対的な移動の制止を受け且つ第1方向に対する側方で第2スライド体に対して位置決めされ得る。
【0021】
請求項7に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1スライド体は、管状の第1部分を含み、前記第2スライド体は、前記第1方向に対する側方で前記第1部分を囲む管状の第2部分を含み、前記第1部分は、前記第2部分によって前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に支持され、前記第2部分は、前記基部によって前記第1方向及び前記第2方向にスライド可能に支持されてもよい。
【0022】
上記態様によると、第1本体及び第2本体は、基部及び互いに対してスライド可能である2重管を構成する。第1スライド体及び第2スライド体は、第1方向に対する側方でのサイズの低減と、構造の簡易化とを可能にする。
【0023】
請求項8に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1吸着体は、前記第1吸着体に負圧を発生させる第1負圧系統と接続され、前記第2吸着体は、前記第2吸着体に負圧を発生させ且つ前記第1負圧系統と異なる第2負圧系統と接続され、前記第1吸着体及び前記第2吸着体は、互いから独立して発生される負圧により前記対象物を吸着するように構成されてもよい。
【0024】
上記態様によると、エンドエフェクタは、第1吸着体及び第2吸着体のうちで対象物に適する吸着体に負圧を発生させることが可能である。例えば、対象物のサイズが小さい場合、一方の吸着体に負圧を発生させ当該対象物を保持させることができる。さらに上記対象物の周りに他の対象物が存在する場合でも、他方の吸着体が他の対象物を誤って吸着することを抑えることが可能である。また、対象物のサイズ及び/又は重量が大きい場合、両方の吸着体に負圧を発生させ当該対象物を確実に保持させることができる。
【0025】
請求項9に述べる本開示の一態様に係るエンドエフェクタにおいて、前記第1吸着体は、落下防止弁を介して前記第1負圧系統と接続され、前記第2吸着体は、落下防止弁を介して前記第2負圧系統と接続され、前記落下防止弁は、前記第1吸着体又は前記第2吸着体と対象物とが密着していない場合に前記第1負圧系統又は前記第2負圧系統での負圧の元圧の低下を抑制するように構成されてもよい。
【0026】
上記態様によると、第1吸着体及び第2吸着体は、対象物と完全に密着していない状態であっても、対象物を吸着する負圧を発生することができる。例えば、複数の第2吸着体が設けられた場合、複数の第2吸着体の一部が対象物と接触し、その他が対象物と接触していない場合でも、非接触の第2吸着体に起因する負圧の元圧の低下が抑制されるため、接触状態の第2吸着体は、対象物を吸着する負圧を発生することができる。
【0027】
請求項10に述べる本開示の一態様に係るロボットは、本開示の一態様に係るエンドエフェクタと、前記エンドエフェクタの前記基部と接続され且つ複数の自由度を有するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御する制御装置とを備える。
【0028】
上記態様によると、本開示の一態様に係るエンドエフェクタと同様の効果が得られる。さらに、ロボットは、複数の自由度を有するロボットアームを用いてエンドエフェクタの位置及び姿勢を自在に変更することができる。よって、ロボットは、エンドエフェクタを用いて、様々な位置及び姿勢の対象物を保持し任意の位置に任意の姿勢で当該対象物を配置することができる。
【0029】
請求項11に述べる本開示の一態様に係るロボットシステムは、本開示の一態様に係るロボットと、前記第1吸着体に負圧を発生させる第1負圧系統の負圧を調整する第1負圧調整装置と、前記第2吸着体に負圧を発生させる第2負圧系統の負圧を調整する第2負圧調整装置とを備え、前記制御装置は、前記第1負圧調整装置及び前記第2負圧調整装置の動作を制御し且つ対象物の情報を取得するように構成され、前記対象物の情報に基づき、前記第1吸着体及び前記第2吸着体の少なくとも一方に、負圧により前記対象物を吸着させる。
【0030】
上記態様によると、本開示の一態様に係るロボットと同様の効果が得られる。さらに、ロボットシステムは、第1吸着体及び第2吸着体に発生させる負圧を制御することで、対象物に好適な第1吸着体及び/又は第2吸着体に対象物を吸着させることができる。
【0031】
請求項12に述べる本開示の一態様に係るロボットシステムは、対象物の画像を撮像する撮像装置をさらに備え、前記制御装置は、前記撮像装置によって撮像された前記対象物の画像を処理することで前記対象物の情報を取得してもよい。
【0032】
上記態様によると、ロボットシステムは、画像から対象物の情報を検出し、当該対象物の情報に基づき好適な吸着体に対象物を吸着させることができる。
【0033】
(実施の形態)
以下において、本開示の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、実質的に同一の構成要素に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。また、本明細書及び特許請求の範囲では、「装置」とは、1つの装置を意味し得るだけでなく、複数の装置からなるシステムも意味し得る。
【0034】
[ロボットシステムの構成]
実施の形態に係るロボットシステム1の構成を説明する。図1は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示す平面図である。図2は、実施の形態に係るロボットシステム1の構成の一例を示すブロック図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態では、ロボットシステム1は、ベルトコンベヤ200上にランダムに載せられた複数の対象物Wをロボット100が分別するシステムであるとして説明する。対象物Wは特に限定されないが、本実施の形態では廃棄物である空き瓶(以下、「瓶W」とも表記する)である。なお、ロボットシステム1は、対象物Wを分別するシステムに限定されず、例えば、ピッキング及び配置等の対象物Wの保持を含む作業を行うシステムであってもよい。
【0035】
ロボットシステム1は、ロボット100と、ベルトコンベヤ200と、情報処理装置300と、入出力装置400と、センサ500と、負圧発生装置600と、ロボット制御装置700とを備える。情報処理装置300及びロボット制御装置700は、制御装置10を構成する。
【0036】
ベルトコンベヤ200は、方向DAに並ぶ複数のローラ210と、複数のローラ210に掛け渡された無端輪状の搬送ベルト220と、ローラ210を回転駆動するコンベヤモータ230とを備える。ベルトコンベヤ200は、搬送ベルト220の上方に向いた外周面である搬送面221を方向DAに移動する。ベルトコンベヤ200は、搬送ベルト220の移動速度を検出する搬送速度検出器(図示せず)を備えてもよい。例えば、搬送速度検出器は、コンベヤモータ230の回転速度を検出するエンコーダ等の回転量検出器であってもよい。搬送速度検出器は、ロボット制御装置700が搬送ベルト220の移動速度と同期してロボット100の動作を制御するように、検出結果をロボット制御装置700に出力してもよい。
【0037】
ロボット100は、方向DAでの下流側でベルトコンベヤ200に隣り合って配置される。ロボット100は産業用ロボットである。ロボット100は、ロボット制御装置700の制御に従って、搬送面221上の瓶Wを、サイズに応じた2つの区分に分けて取り出し、つまりサイズ別に分別する。具体的には、ロボット100は、所定のサイズ以上である大サイズの区分の瓶Wを回収箱701Lに投入し、所定のサイズ未満である小サイズの区分の瓶Wを回収箱701Sに投入する。ロボットシステム1は、瓶Wをさらに透明と色付きとの色別に分別するように構成されてもよく、透明の瓶をサイズ別に分別するロボット100と、色付きの瓶をサイズ別に分別するロボット100とを備えてもよい。
【0038】
[ロボットの構成]
図3は、実施の形態に係るロボット100の構成の一例を示す側面図である。図3に示すように、ロボット100は、基台110と、基台110に配置された2つのアーム120A及び120Bと、アーム120A及び120Bそれぞれの先端に取り付けられたエンドエフェクタ130とを備える双腕ロボットである。具体的には、ロボット100は、アーム120A及び120Bが鉛直方向の第1軸S1を中心とする同軸上で水平面内で回動可能である同軸双腕ロボットである。アーム120A及び120Bは、複数の自由度を有するロボットアームであり、本実施の形態では水平多関節型のロボットアームである。エンドエフェクタ130は、瓶Wを保持することができるように構成され、本実施の形態では瓶Wを負圧により吸着する。なお、本明細書において、「鉛直方向」及び「水平方向」とは、第1軸S1が鉛直方向となるようにロボット100が配置された場合の鉛直方向及び水平方向に対応する。
【0039】
アーム120Aは、リンク121A~124Aと、関節JA1~JA4と、アーム駆動装置MA1~MA4とを含む。アーム120Bは、リンク121B~124Bと、関節JB1~JB4と、アーム駆動装置MB1~MB4とを含む。アーム駆動装置MA1~MA4はそれぞれ、関節JA1~JA4を駆動し、アーム駆動装置MB1~MB4はそれぞれ、関節JB1~JB4を駆動する。アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4は、電気モータ等を含み、本実施の形態ではサーボモータを含む。アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4の駆動は、ロボット制御装置700によって制御される。
【0040】
リンク121A及び121Bはそれぞれ、第1軸S1を中心に水平面内で互いに独立して回動可能に、回転関節JA1及びJB1を介して基台110と接続される。リンク122A及び122Bはそれぞれ、鉛直方向の第2軸S2a及びS2bを中心に水平面内で回動可能に、回転関節JA2及びJB2を介してリンク121A及び121Bの先端と接続される。リンク123A及び123Bはそれぞれ、鉛直方向の第3軸S3a及びS3bに沿って昇降可能に、直動関節JA3及びJB3を介してリンク122A及び122Bの先端と接続される。リンク124A及び124Bはそれぞれ、リンク123A及び123Bの長手方向であり且つ鉛直方向である第4軸S4a及びS4bを中心に回動可能に、回転関節JA4及びJB4を介してリンク123A及び123Bの下端と接続される。リンク124A及び124Bはそれぞれ、メカニカルインタフェースを構成し、エンドエフェクタ130と接続される。
【0041】
[エンドエフェクタの構成]
図4は、実施の形態に係るエンドエフェクタ130の構成の一例を示す断面側面図である。図5は、実施の形態に係るエンドエフェクタ130の構成の一例を示す底面図である。アーム120A及び120Bそれぞれのエンドエフェクタ130の構成は同様である。図4及び図5に示すように、エンドエフェクタ130は、基部1310と、吸着体1320及び1330と、スライド体1340及び1350と、付勢部材1360及び1370と、落下防止弁1380と、スライド支持体1391及び1392とを備える。
【0042】
基部1310は、リンク124A又は124Bと共に第4軸S4a又はS4bを中心に回動するように、リンク124A又は124Bに取り付けられる。これに限定されないが、本実施の形態では、基部1310は、リンク124A又は124Bから第4軸S4a又はS4bと垂直な方向に延びる板状の部材で構成され、水平面内で回動する。基部1310は、第4軸S4a又はS4bから遠位の端部において、スライド体1340及び1350を支持する。
【0043】
吸着体1320及び1330は、瓶Wを負圧により吸着することで保持するように構成される。これに限定されないが、本実施の形態では、1つの第1吸着体1320と6つの第2吸着体1330とが配置される。6つの第2吸着体1330は、後述する第1方向D1に対する側方で第1吸着体1320及び第1スライド体1340を囲むように配置され、具体的には第1吸着体1320を中心とする周方向R1(図5参照)に沿って円状に配列される。第1吸着体1320は、パッド部1322と、パッド部1322を第1スライド体1340に接続する管状の接続部1321とを含む。第2吸着体1330は、パッド部1332と、パッド部1332を第2スライド体1350に接続する管状の接続部1331とを含む。
【0044】
パッド部1322及び1332はそれぞれ、方向D1及びD2に伸縮可能であり、方向D1及びD2の両端で開放した中空形状を有する。方向D1及びD2は、互いに反対方向であり、これに限定されないが、パッド部1322及び1332並びに接続部1321及び1331の軸心方向でもある。パッド部1322及び1332は、弾性又は可撓性を有する材料で構成され、これに限定されないが、中空のベローズ(蛇腹)状である。例えば、パッド部1322及び1332の開放端及びその近傍は、バネ等の弾性を有する部材を含んでもよい。このようなパッド部1322及び1332は、瓶Wとの気密性を向上させ、確実な吸着を可能にする。なお、吸着体1320及び1330はそれぞれ、パッド部1322及び1332の開放端を第1方向D1に向けて配置される。
【0045】
第1スライド体1340は、第1吸着体1320を支持し且つ方向D1及びD2にスライド可能に基部1310に配置される。第2スライド体1350は、第2吸着体1330を支持し且つ方向D1及びD2にスライド可能に基部1310に配置される。第2スライド体1350は、第1方向D1に対する側方で第1スライド体1340を外側から囲むように配置され、具体的には周方向R1(図5参照)に沿って第1スライド体1340を囲む。第1方向D1は、吸着体1320及び1330を基部1310から離す方向である。本実施の形態では、第1方向D1は、第4軸S4a又はS4b(図2参照)に沿う方向であり、例えばこれらに平行な方向である。
【0046】
第1スライド体1340は、基部1310の貫通穴1311及び第2スライド体1350の内側を貫通して方向D1及びD2に延びる管状の第1本体1341と、第1本体1341の第1方向D1の端部に配置された係合部1342と、第1本体1341の第2方向D2の端部に配置された第1シリンダ部1343及び第1ジョイント部1344とを含む。第1本体1341の断面形状は円形であるが、楕円及び多角形等のいかなる形状であってもよい。貫通穴1311は、方向D1及びD2に基部1310を貫通する穴である。第1本体1341は第1部分の一例である。
【0047】
係合部1342は、基部1310に対して第1方向D1に配置され、落下防止弁1380を介して第1吸着体1320と接続される。係合部1342は、中空であり、第1本体1341と落下防止弁1380とを連通する。係合部1342は、第1方向D1に向かって広がるテーパ状の外面1342aを有し、例えば、円錐台状の外形を有する。
【0048】
第1シリンダ部1343及び第1ジョイント部1344は、基部1310に対して第2方向D2に配置される。第1ジョイント部1344は、図2に示す負圧発生装置600から延びる第1負圧系統610の配管611A又は611B(1点鎖線表示)と接続され、配管611A又は611Bと第1本体1341の内部とを連通する。よって、第1負圧系統610は、第1スライド体1340を介して第1吸着体1320と連通する。
【0049】
図4に示すように、落下防止弁1380は、第1吸着体1320のパッド部1322が瓶Wと接触していない状態、及び、パッド部1322と瓶Wとが密着せずにこれらの間に隙間がある状態等の適正な吸着状態でない場合、第1負圧系統610から供給される負圧のパッド部1322への漏出を抑制し、第1負圧系統610での負圧の元圧の低下を抑制する。落下防止弁1380の構成は、上記抑制が可能であれば特に限定されないが、例えば、チェックバルブ形式及びスロットルバルブ形式の構成等であってもよい。
【0050】
なお、図2に示すように、第1負圧系統610は、アーム120Aのエンドエフェクタ130の第1ジョイント部1344と負圧発生装置600とを連通する配管611Aと、配管611Aの連通及び連通遮断を行うバルブ612Aと、アーム120Bのエンドエフェクタ130の第1ジョイント部1344と負圧発生装置600とを連通する配管611Bと、配管611Bの連通及び連通遮断を行うバルブ612Bとを含む。
【0051】
第1シリンダ部1343は、有底円筒状の形状を有し、その底部1343aで第1本体1341と接続され固定されている。第1シリンダ部1343の筒部1343bは、底部1343aから第1方向D1へ延び、第1方向D1に対する側方で第1本体1341を外側から周方向R1(図5参照)に囲む。筒部1343bの軸心は、第1本体1341の軸心と同軸上にある。第1シリンダ部1343は、筒部1343bの第1方向D1の端部に、径方向外側に向かって突出する環状のフランジ状の縁部1343cを含む。
【0052】
ここで、基部1310は、第2方向D2に向いた表面1312上に固定された、円筒状の第2シリンダ部1313を有する。第2シリンダ部1313は、表面1312から第2方向D2に延び、第1方向D1に対する側方で第1シリンダ部1343の筒部1343bを外側から周方向R1(図5参照)に囲む。第2シリンダ部1313の軸心は、筒部1343bの軸心と同軸上にある。第2シリンダ部1313は、第2方向D2の端部付近に、径方向内側に向かって突出し且つ第1方向D1で縁部1343cと対向する環状のフランジ状の縁部1313aを含む。
【0053】
第1付勢部材1360は、縁部1343c及び1313aの間で基部1310に対して第2方向D2に配置される。第1付勢部材1360は、第2シリンダ部1313の内側で、第1方向D1に対する側方で第1シリンダ部1343を外側から周方向R1(図5参照)に囲むように配置される。第1付勢部材1360は、第1シリンダ部1343と共に第1本体1341を、縁部1313aに対して第1方向D1へ付勢する。本実施の形態では、第1付勢部材1360は、コイルバネであるが、第1スライド体1340を第1方向D1に付勢する構成を有すればよく、例えば、空気圧式又は液圧式のシリンダ等であってもよい。
【0054】
第1スライド体1340の第1方向D1への移動は、縁部1343cによって制止され、具体的には縁部1343cが基部1310の表面1312に当接することで制止される。縁部1343cは第1制止部の一例である。また、第1スライド体1340の第2方向D2への移動は、第1付勢部材1360と第2シリンダ部1313の縁部1313aとが縁部1343cに与える反力によって制止される。
【0055】
第2スライド体1350は、基部1310の貫通穴1311を貫通して方向D1及びD2に延びる管状の第2本体1351と、第2本体1351の第1方向D1の端部に配置された支持部1352と、第2本体1351の第2方向D2の端部に配置された縁部1353と、支持部1352に配置された第2ジョイント部1354とを含む。第2本体1351は、第1方向D1に対する側方で第1本体1341を外側から周方向R1(図5参照)に囲む。第2本体1351の断面形状は、円形であるが、楕円及び多角形等のいかなる形状であってもよい。第2本体1351の軸心は、第1本体1341の軸心と同軸上にある。第2本体1351は第2部分の一例である。
【0056】
縁部1353は、基部1310に対して第2方向D2に配置され、第2本体1351から径方向外側に向かって突出する環状のフランジ形状を有する。
【0057】
支持部1352は、複数の第2吸着体1330を支持する。支持部1352は、基部1310に対して第1方向D1に配置され、第1方向D1に対する側方で第1スライド体1340を外側から周方向R1(図5参照)に囲む。本実施の形態では、支持部1352は、第2本体1351よりも拡径された扁平な円筒状の形状を有する。支持部1352は、方向D1及びD2に支持部1352を貫通するテーパ穴である係合穴1352aを有する。係合穴1352aの内面1352bは、第1方向D1に向かってテーパ状に広がり、係合部1342の外面1342aと整合する形状を有する。係合穴1352aの軸心は、第2本体1351の軸心と同軸上にある。第1本体1341は、係合穴1352aを通って延びる。係合穴1352aは第3制止部の一例である。
【0058】
支持部1352は、第1方向D1に向いた表面上で、落下防止弁1380を介して複数の第2吸着体1330と接続され、第2方向D2に向いた表面上で、複数の第2ジョイント部1354と接続される。6つの第2ジョイント部1354が6つの第2吸着体1330それぞれに対応して配置される。各第2ジョイント部1354は、支持部1352内の空気通路及び落下防止弁1380を介して、対応する1つの第2吸着体1330と連通する。上記落下防止弁1380は第1吸着体1320の落下防止弁1380と同様である。各第2ジョイント部1354は、図2に示す負圧発生装置600から延びる第2負圧系統620の配管621A又は621B(2点鎖線表示)と接続され、配管621A又は621Bと支持部1352内の空気通路とを連通する。よって、第2負圧系統620は、第2スライド体1350を介して第2吸着体1330の全てと連通する。
【0059】
なお、図2に示すように、第2負圧系統620は、第1負圧系統610と異なる負圧系統である。第2負圧系統620は、アーム120Aのエンドエフェクタ130の全ての第2ジョイント部1354を一括して負圧発生装置600に連通する配管621Aと、配管621Aの連通及び連通遮断を行うバルブ622Aと、アーム120Bのエンドエフェクタ130の全ての第2ジョイント部1354を一括して負圧発生装置600に連通する配管621Bと、配管621Bの連通及び連通遮断を行うバルブ622Bとを含む。これにより、第1吸着体1320及び第2吸着体1330はそれぞれ、第1負圧系統610及び第2負圧系統620によって互いから独立して発生される負圧により、瓶Wを吸着することができる。
【0060】
図4に示すように、第1スライド支持体1391は、第2本体1351の第2方向D2での端部付近において、第2本体1351の内周面と第1本体1341の外周面との間に配置され、第2本体1351に固定される。第1スライド支持体1391は、第1本体1341のスライド移動を支持する。第1スライド支持体1391は、例えば、第1本体1341の外周面に整合する内周面を有する円筒状のスリーブであり、方向D1及びD2で第2本体1351よりも短い。第1スライド支持体1391は、第1本体1341との接触面積及び摺動抵抗を低減し、且つ第1方向D1に対する側方で第1本体1341を位置決めする。第1本体1341は、第1スライド支持体1391を介して第2本体1351によって方向D1及びD2にスライド可能に支持される。
【0061】
第2スライド支持体1392は、基部1310の貫通穴1311と第2本体1351の外周面との間に配置され、基部1310に固定される。第2スライド支持体1392は、第2本体1351のスライド移動を支持する。第2スライド支持体1392は、例えば、第2本体1351の外周面に整合する内周面を有する円筒状のスリーブであり、方向D1及びD2で貫通穴1311よりも長く且つ貫通穴1311から突出する。第2スライド支持体1392は、第1方向D1に対する側方で第2本体1351を位置決めする。第2本体1351は、第2スライド支持体1392を介して基部1310によって方向D1及びD2にスライド可能に支持される。スライド支持体1391及び1392は、低摩擦性であり摺動抵抗が小さく、耐摩耗性に優れる材料で構成されてもよい。
【0062】
第2付勢部材1370は、第2スライド支持体1392と支持部1352との間で、基部1310に対して第1方向D1に配置される。第2付勢部材1370は、第1方向D1に対する側方で第2本体1351を外側から周方向R1(図5参照)に囲むように配置される。第2付勢部材1370は、支持部1352と共に第2本体1351を、基部1310に対して第1方向D1へ付勢する。第2付勢部材1370は、第1付勢部材1360と同様に、第2スライド体1350を第1方向D1に付勢する構成を有すればよく、本実施の形態ではコイルバネである。
【0063】
第2スライド体1350の第1方向D1への移動は、縁部1353によって制止され、具体的には縁部1353が第2スライド支持体1392に当接することで制止される。縁部1353は第2制止部の一例である。また、第2スライド体1350の第2方向D2への移動は、第2付勢部材1370と第2スライド支持体1392とが支持部1352に与える反力によって制止される。
【0064】
吸着体1320及び1330が外力を受けていないとき、エンドエフェクタ130は初期状態を形成する。初期状態では、スライド体1340及び1350はそれぞれ、付勢部材1360及び1370によって第1方向D1へ付勢されるが、縁部1343c及び1353によって第1方向D1への移動の制止を受ける。第1スライド体1340の係合部1342は、第2スライド体1350の係合穴1352a内に位置する。第1吸着体1320及び複数の第2吸着体1330は、第1方向D1で位置が揃い、略同一平面上に位置する。
【0065】
初期状態において、第2スライド体1350は、第2方向D2への押圧力を受けると、第1スライド体1340に対して単独で、第2方向D2にスライドする。第1スライド体1340は、第2方向D2への押圧力を受けると、係合部1342を係合穴1352aに係合させ、第2スライド体1350と共に第2方向D2にスライドする。係合穴1352aは、係合部1342の外面1342aと係合することで、第2スライド体1350に対する第2方向D2への第1スライド体1340の相対的な移動を制止する。さらに、係合穴1352aは、第1方向D1に対する側方で第2スライド体1350に対して第1スライド体1340を位置決めする。
【0066】
[負圧発生装置の構成]
図2に示すように、負圧発生装置600は、第1負圧系統610を介して第1吸着体1320に負圧を発生させ、第2負圧系統620を介して第2吸着体1330に負圧を発生させる。例えば、負圧発生装置600は、負圧発生器(図示略)と、負圧発生器によって発生される負圧を制御する負圧コントローラ(図示略)とを含んでもよい。負圧発生器は、真空等の負圧を発生する装置であり、例えば、真空ポンプ、真空エジェクタ及び空気圧シリンダ等であってもよい。負圧コントローラは、例えば、負圧の供給と負圧の供給の遮断とを制御し、真空コントローラ等であってもよい。真空コントローラは、圧縮空気を供給することで真空破壊させ、真空の供給を遮断する。
【0067】
第1負圧系統610のバルブ612A及び612Bはそれぞれ、第1負圧系統610によって発生されるアーム120A及び120Bの第1吸着体1320の負圧を調整し、具体的には、開閉することで配管611A及び611Bを連通又は連通遮断する。第2負圧系統620のバルブ622A及び622Bはそれぞれ、第2負圧系統620によって発生されるアーム120A及び120Bの第2吸着体1330の負圧を調整し、具体的には、開閉することで配管621A及び621Bを連通又は連通遮断する。バルブ612A及び612Bは第1負圧調整装置の一例であり、バルブ622A及び622Bは第2負圧調整装置の一例である。負圧発生装置600及び各バルブの動作はロボット制御装置700によって制御される。
【0068】
[センサの構成]
図1及び図2に示すように、センサ500は、ベルトコンベヤ200の搬送面221上に存在する瓶Wを検出し、有線通信又は無線通信を介して情報処理装置300等に検出結果を出力する。センサ500は、少なくとも瓶Wの位置及びサイズを検出するように構成され、さらに、瓶Wの向き(姿勢)、形状及び色等を検出するように構成されてもよい。センサ500の例は、距離センサ及び撮像装置等である。距離センサは、目標物までの距離を測定するように構成され、例えば、測定用の光を出射する光電センサ、測定用のレーザを出射するレーザセンサ、測定用の赤外線を出射する赤外線センサ、及び、測定用の超音波を出射する超音波センサ等であってもよい。本実施の形態では、センサ500は撮像装置である。以下において、「撮像装置500」とも表記する。
【0069】
撮像装置500は、被写体までの距離等の被写体の3次元位置の検出が可能である画像を撮像するカメラである。3次元位置は、3次元空間内での位置である。撮像装置500は、ロボット100よりも搬送方向DAの上流側に配置され、上方から下方に向かって搬送面221を撮像する。撮像装置500は、撮像された画像のデータを情報処理装置300等に出力する。撮像装置500は、デジタル画像を撮像するカメラであり、ステレオカメラ、単眼カメラ、TOFカメラ(トフカメラ:Time-of-Flight-Camera)、縞投影等のパターン光投影カメラ、又は光切断法を用いたカメラ等の構成を有してもよい。本実施の形態では、撮像装置500はステレオカメラである。なお、本実施の形態では、撮像装置500の位置及び撮像方向と搬送面221の撮像対象部位との位置関係は固定され且つ既知であるため、撮像装置500が単なるカメラであっても、画像内の被写体の3次元位置の検出が可能である。
【0070】
[入出力装置の構成]
入出力装置400は、情報、指令及びデータ等の入力を受け付け、有線通信又は無線通信を介して、情報、指令及びデータ等を情報処理装置300及び/又はロボット制御装置700に出力する。入出力装置400は、ディスプレイと入力装置とを備え、本実施の形態では、両方の機能を含むタッチスクリーン410を備える。例えば、入出力装置400は、タッチスクリーン410を備えるディスプレイ装置、並びに、スマーフォン及びタブレットなどのスマートデバイス等であってもよい。
【0071】
[情報処理装置の構成]
図1及び図2に示すように、情報処理装置300は、入出力装置400と、撮像装置500と、ロボット制御装置700と、有線通信又は無線通信を介して接続される。情報処理装置300は、種々の情報を処理し出力する装置である。
【0072】
例えば、情報処理装置300は、撮像装置500によって撮像された画像のデータ、及び当該画像のデータの画像処理後のデータを入出力装置400に出力し表示させる。例えば、情報処理装置300は、画像のデータを画像処理し、当該画像に写し出される瓶Wの像を抽出し、さらに実物の瓶Wの位置、サイズ、姿勢、形状及び色等を含む実物の瓶Wの情報を検出する。情報処理装置300は、画像内の瓶Wの像に対して実物の瓶Wの情報を明示する処理を行い、処理後の画像を入出力装置400に表示させる。また、情報処理装置300は、実物の瓶Wの情報をロボット制御装置700に出力する。
【0073】
なお、入出力装置400は、タッチスクリーン410に表示される瓶Wの像に対して、ユーザPによる瓶Wの情報の入力を受け付ける。情報処理装置300は、入出力装置400によって受け付けられた情報に基づき、瓶Wの像に対応する実物の瓶Wの情報を検出し入出力装置400及びロボット制御装置700に出力する。これにより、情報処理装置300は、検出結果に対するユーザPによる修正を受け付け、当該修正を検出結果に反映する。また、情報処理装置300は、撮像装置500によって撮像された画像を処理せずに入出力装置400に表示させ、ユーザPによって入力される瓶Wの情報を当該画像に反映してもよい。
【0074】
例えば、画像のデータから実物の瓶Wの情報を検出するために、情報処理装置300は、撮像装置500によって撮像された2つの画像のデータにおいてエッジを抽出し、予め記憶された瓶の輪郭のテンプレートを用いてバターンマッチング手法等で処理することにより、各画像に写し出される瓶Wの像を検出する。さらに、情報処理装置300は、2つの画像のデータをステレオマッチング手法等で画像処理することにより、当該画像の瓶Wの像を形成する画素それぞれに写し出される被写体の3次元位置を検出する。情報処理装置300は、被写体の3次元位置に基づき、実物の瓶Wの位置、サイズ、姿勢及び形状等を含む実物の瓶Wの情報を検出する。
【0075】
本実施の形態では、実物の瓶Wの位置は、実物の瓶Wの重心の3次元位置である。実物の瓶Wの姿勢は、瓶Wの底及び入口を結ぶ長手方向を対象にした実物の瓶Wの3次元の向きである。実物の瓶Wのサイズは、瓶Wの底及び入口を結ぶ長手方向での実物の瓶Wの長さである。
【0076】
なお、実物の瓶Wの位置の情報は、当該瓶Wの位置を特定できる情報であればよく、瓶Wのいかなる部位の3次元位置又は2次元位置であってもよい。実物の瓶Wの姿勢の情報は、当該瓶Wの姿勢を特定できる情報であればよく、瓶Wのいかなる部位を基準とした3次元の姿勢又は2次元の姿勢であってもよい。実物の瓶Wのサイズの情報は、当該瓶Wの大きさの程度を特定できる情報であればよく、瓶Wのいかなる部位の3次元でのサイズ又は2次元でのサイズであってもよい。例えば、3次元位置は、ロボットシステム1が存在する空間等に設定された3次元座標で表され、2次元位置は、ベルトコンベヤ200の搬送面221等を基準にした2次元座標で表されてもよい。
【0077】
[ロボット制御装置の構成]
図1及び図2に示すように、ロボット制御装置700は、ロボット100のアーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4と、入出力装置400と、撮像装置500と、負圧発生装置600と、負圧系統610及び620のバルブ612A、612B、622A及び622Bと、ベルトコンベヤ200のコンベヤモータ230と、情報処理装置300との構成要素それぞれと、有線通信又は無線通信を介して接続される。ロボット制御装置700は、上記構成要素のそれぞれと、直接的に又は情報処理装置300を介して指令及び情報等を入出力するように構成されてもよい。ロボット制御装置700は、アーム駆動装置MA1~MA4及びMB1~MB4、撮像装置500、負圧発生装置600、バルブ612A、612B、622A及び622B、並びにコンベヤモータ230の動作を互いに連携、協調及び/又は協働させて制御する。
【0078】
例えば、ロボット制御装置700は、情報処理装置300から搬送面221上の実物の瓶Wの情報を受け取る。ロボット制御装置700は、実物の瓶Wの情報に基づき実物の瓶Wの位置及びサイズ等を認識し、バルブ612A、612B、622A及び622Bの動作を制御する。例えば、実物の瓶Wのサイズが所定のサイズ未満である場合、ロボット制御装置700は、バルブ612A又は612Bに開放させ第1負圧系統610の配管611A又は611Bを連通状態にし、バルブ622A又は622Bに閉鎖させ第2負圧系統620の配管621A又は621Bを連通遮断状態にする。これにより、第1吸着体1320にのみ負圧が発生する。実物の瓶Wのサイズが所定のサイズ以上である場合、ロボット制御装置700は、バルブ612A又は612Bとバルブ622A又は622Bとに開放させ、配管611A又は611Bと配管621A又は621Bとを連通状態にする。これにより、第1吸着体1320及び第2吸着体1330に負圧が発生する。
【0079】
また、ロボット制御装置700は、実物の瓶Wの位置に基づきロボット100のアーム120A及び120Bにエンドエフェクタ130を移動させ、第1吸着体1320及び/又は第2吸着体1330に実物の瓶Wを吸着させ取り出させる。
【0080】
上記のようなロボット制御装置700及び情報処理装置300は、例えばコンピュータ装置を含み得る。例えば、ロボット制御装置700及び情報処理装置300は、プロセッサ及びメモリ等を有する演算器で構成される。演算器は、他の装置との情報、データ及び指令等の送受信を行う。演算器は、各種センサからの検出信号の入力及び各制御対象への制御信号の出力を行う。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどの半導体メモリ、ハードディスク及びSSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。例えば、メモリは、演算器が実行するプログラム、及び各種固定データ等を記憶する。
【0081】
演算器の機能は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、RAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ及びROM(Read-Only Memory)などの不揮発性メモリ等からなるコンピュータシステム(図示略)により実現されてもよい。コンピュータシステムは、CPUがRAMをワークエリアとして用いてROMに記録されたプログラムを実行することによって、演算器の機能を実現してもよい。なお、演算器の機能の一部又は全部は、上記コンピュータシステムにより実現されてもよく、電子回路又は集積回路等の専用のハードウェア回路により実現されてもよく、上記コンピュータシステム及びハードウェア回路の組み合わせにより実現されてもよい。ロボット制御装置700及び情報処理装置300は、単一のコンピュータ装置による集中制御により各処理を実行してもよく、複数のコンピュータ装置の協働による分散制御により各処理を実行してもよい。
【0082】
[ロボットシステムの動作]
実施の形態に係るロボットシステム1の動作を説明する。図6は、実施の形態に係るロボットシステム1の動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS101において、ユーザPによって、瓶Wの分別作業の実行の指令が入出力装置400に入力される。ロボット制御装置700は、負圧発生装置600を起動し、アーム120A及び120Bのエンドエフェクタ130の吸着体1320及び1330に負圧を発生させる。具体的には、ロボット制御装置700は、アーム120Aのエンドエフェクタ130では第1吸着体1320にのみ負圧を発生、アーム120Bのエンドエフェクタ130では第1吸着体1320及び第2吸着体1330に負圧を発生させる。
【0083】
次いで、ステップS102において、ロボット制御装置700は、撮像装置500にベルトコンベヤ200の搬送面221を撮像させる。ロボット制御装置700は、所定の時間間隔で、撮像装置500に画像のデータを取得させ情報処理装置300に出力させる。
【0084】
次いで、ステップS103において、情報処理装置300は、所定の時間間隔で取得される画像のデータを順に画像処理することで、各画像に写し出される各瓶Wの像に対応する実物の瓶Wの情報を検出する。
【0085】
次いで、ステップS104において、情報処理装置300は、画像処理前の画像のデータに写し出される瓶Wの像それぞれに、当該瓶Wの像に対応する実物の瓶Wの情報を明示する処理を行い、明示処理後の画像のデータを入出力装置400に出力しタッチスクリーン410に表示させる。
【0086】
次いで、ステップS105において、情報処理装置300は、実物の瓶Wの情報をロボット制御装置700に出力する。例えば、情報処理装置300は、画像のデータ毎に、検出された全ての実物の瓶Wの情報をロボット制御装置700に出力する。
【0087】
次いで、ステップS106において、ロボット制御装置700は、実物の瓶Wの情報を用いて、取り出し対象の対象瓶WTを決定する。例えば、ロボット制御装置700は、搬送面221から未だ取り出されていない実物の瓶Wの中で、搬送方向DAの最も下流に位置する実物の瓶Wを対象瓶WTに決定してもよい。
【0088】
次いで、ステップS107において、ロボット制御装置700は、対象瓶WTのサイズが所定のサイズ以上であるか否かを判定し、所定のサイズ以上である場合(ステップS107でYes)にステップS108に進み、所定のサイズ未満である場合(ステップS107でNo)にステップS109に進む。
【0089】
ステップS108において、ロボット制御装置700は、アーム120Bを動作させ、そのエンドエフェクタ130の吸着体1320及び1330に、対象瓶WTを吸着させ保持させる。例えば、ロボット制御装置700は、第1吸着体1320が対象瓶WTの重心位置を吸着するようにエンドエフェクタ130を移動させる。さらに、ロボット制御装置700は、アーム120Bに、保持されている対象瓶WTを回収箱701Lに搬送させ、バルブ612B及び622Bに負圧を一時的に遮断し、圧縮空気を供給して真空破壊させることで、対象瓶WTを回収箱701Lに投入する。
【0090】
図7は、ステップS108での吸着体1320及び1330を用いたエンドエフェクタ130による対象瓶WTの取り出し動作の一例を示す側面図である。図7に示すように、ロボット制御装置700は、アーム120Bにエンドエフェクタ130を第1方向D1へ下降させることで、吸着体1320及び1330を対象瓶WTに接触させ、さらに、付勢部材1360及び1370を収縮させつつ、スライド体1340及び1350に対して基部1310を下降させる。これにより、吸着体1320及び1330は、対象瓶WTに押し付けられて開口端を密着させ、対象瓶WTを効果的に吸着することができる。
【0091】
ステップS109において、ロボット制御装置700は、アーム120Aを動作させ、そのエンドエフェクタ130の第1吸着体1320に、対象瓶WTを吸着させ保持させる。例えば、ロボット制御装置700は、第1吸着体1320が対象瓶WTの重心位置を吸着するようにエンドエフェクタ130を移動させる。さらに、ロボット制御装置700は、アーム120Aに、保持されている対象瓶WTを回収箱701Sに搬送させ、バルブ612Aに負圧を一時的に遮断し、圧縮空気を供給することで真空破壊し、対象瓶WTを回収箱701Sに投入する。
【0092】
図8は、ステップS109での第1吸着体1320を用いたエンドエフェクタ130による対象瓶WTの取り出し動作の一例を示す側面図である。図8に示すように、所定のサイズ未満である対象瓶WTが、所定のサイズ以上である瓶W1及びW2により挟まれるように置かれることがある。このような場合、エンドエフェクタ130が下降し対象瓶WTに近づくと、第2吸着体1330と瓶W1及び/又はW2との接触により、瓶W1及びW2の間に入ることができない。しかしながら、ロボット制御装置700は、上記接触後もアーム120Aに基部1310を対象瓶WTに向かう第1方向D1に移動させることで、第1スライド体1340を第2スライド体1350よりも第1方向D1に突出させ、第1吸着体1320を対象瓶WTに接触させ吸着させることができる。このとき、負圧が供給されない第2吸着体1330は吸着動作をしない。このように、対象瓶WTが他の瓶により挟まれる、又は他の瓶により被さられる等で、対象瓶WTが他の瓶よりも奥まって位置する場合でも、エンドエフェクタ130は、他の瓶を吸着せずに対象瓶WTのみを吸着し保持することができる。
【0093】
ステップS110において、ロボット制御装置700は、情報処理装置300から取得された実物の瓶Wの情報に対応する全ての実物の瓶Wの取り出し、つまり分別が完了したか否かを判定し、完了済みの場合(ステップS110でYes)に一連の処理を終了し、未完了の場合(ステップS110でNo)にステップS106に戻る。
【0094】
なお、上記では、アーム120Aが第1吸着体1320を用いて所定のサイズ未満の対象瓶WTを取り出し、アーム120Bが吸着体1320及び1330を用いて所定のサイズ以上の対象瓶WTを取り出すように構成されるが、これに限定されない。例えば、アーム120Bが第2吸着体1330を用いて所定のサイズ以上の対象瓶WTを取り出すように構成されてもよい。又は、アーム120A及び120Bそれぞれが、対象瓶WTのサイズに対応して、吸着体1320及び1330を選択的に用いるように構成されてもよい。又は、アーム120A及び120Bが協同して1つの対象瓶WTを取り出すように構成されてもよい。例えば、アーム120A及び120Bそれぞれが、第1吸着体1320を用いて所定のサイズ未満の1つの対象瓶WTを取り出し、吸着体1320及び1330を用いて所定のサイズ以上の1つの対象瓶WTを取り出すように構成されてもよい。
【0095】
[その他の実施の形態]
以上、本開示の実施の形態の例について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されない。すなわち、本開示の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。例えば、各種変形を実施の形態に施したもの、及び、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0096】
例えば、実施の形態において、第2スライド体1350は、第1方向D1に対する側方で第1スライド体1340の周囲を全周にわたって囲むように配置されるが、これに限定されず、第1スライド体1340の周囲を部分的に囲むように配置されてもよい。
【0097】
また、実施の形態において、第1付勢部材1360は基部1310に対して第2方向D2に配置され、第2付勢部材1370は基部1310に対して第1方向D1に配置されるが、これに限定されない。例えば、第1付勢部材1360が基部1310に対して第1方向D1に配置され、第2付勢部材1370が基部1310に対して第2方向D2に配置されてもよい。
【0098】
また、実施の形態において、エンドエフェクタ130は、1つの第1吸着体1320と、6つの第2吸着体1330とを備えるが、これに限定されず、1つ又は複数の第1吸着体1320と、1つ又は複数の第2吸着体1330とを備えるように構成されてもよい。
【0099】
また、実施の形態において、ロボット100は、水平多関節型のロボットアームを備える産業用ロボットであるが、これに限定されない、ロボット100は、例えば、垂直多関節型、極座標型、円筒座標型、直角座標型、又はその他の型式のロボットアームを備えるように構成されてもよい。さらに、ロボット100は、双腕ロボットに限定されず、1つのロボットアーム又は3つ以上のロボットアームを備えてもよい。
【0100】
また、実施の形態において、制御装置10は、AI(人工知能:Artificial Intelligence)を用いるように構成されてもよい。AIは、ニューラルネットワーク等の学習モデルを用いて機械学習するように構成されてもよい。例えば、情報処理装置300は、画像から瓶を識別する画像処理にAIを用いてもよい。情報処理装置300は、機械学習済みのAIを用いてもよく、実際の分別作業においてユーザによってタッチスクリーン410上で指定された瓶の画像のデータ及び他のロボットシステムから得られる瓶の画像のデータを学習データとして用いてAIに機械学習させるように構成されてもよい。これにより、情報処理装置300は、様々な形状、サイズ及び色の瓶、及び、一部しか画像に写し出されない瓶を識別する精度を向上させることができる。
【0101】
例えば、ロボット制御装置700は、ベルトコンベヤ200からの取り出し対象の瓶の決定、及び、取り出し対象の瓶の保持に用いる吸着体の決定等にAIを用いてもよい。ロボット制御装置700は、機械学習済みのAIを用いてもよく、実際の分別作業においてユーザによってタッチスクリーン410上で指定された瓶の実物の情報、及び、他のロボットシステムから得られる実物の瓶の情報を学習データとして用いてAIに機械学習させるように構成されてもよい。これにより、ロボット制御装置700は、重なり合っている瓶の中で上に載っている瓶から順に取り出すような瓶の取り出し順序を決定することができ、立っている瓶等の様々な姿勢の瓶に対して用いる吸着体及びその姿勢を決定することができる。
【0102】
また、上記で用いた序数、数量等の数字は、全て本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示は例示された数字に制限されない。また、構成要素間の接続関係は、本開示の技術を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の機能を実現する接続関係はこれに限定されない。
【符号の説明】
【0103】
1 ロボットシステム
10 制御装置
100 ロボット
120A,120B アーム
130 エンドエフェクタ
300 情報処理装置
500 撮像装置
600 負圧発生装置
610 第1負圧系統
612A,622A バルブ(第1負圧調整装置)
612B,622B バルブ(第2負圧調整装置)
620 第2負圧系統
700 ロボット制御装置
1320 第1吸着体
1330 第2吸着体
1340 第1スライド体
1341 第1本体(第1部分)
1343c 縁部(第1制止部)
1350 第2スライド体
1351 第2本体(第2部分)
1352a 係合穴(第3制止部)
1353 縁部(第2制止部)
1360 第1付勢部材
1370 第2付勢部材
1380 落下防止弁
W,WT,W1,W2 瓶(対象物)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8