(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】製品乾燥装置
(51)【国際特許分類】
F26B 23/00 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
F26B23/00 A
(21)【出願番号】P 2020086302
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】横山 茂紀
(72)【発明者】
【氏名】池座 幸治
(72)【発明者】
【氏名】山本 悠空
(72)【発明者】
【氏名】大久保 高明
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆博
(72)【発明者】
【氏名】大竹 尚哉
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-031417(JP,A)
【文献】特開2014-105981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を加熱して乾燥させるための乾燥炉と、
前記乾燥炉で乾燥された前記製品を冷却するための冷却ブースと、
外部の空気を前記冷却ブースに供給して冷却ブース内の前記製品の冷却を行うと共に、前記冷却ブース内の空気を前記乾燥炉へ供給する第1空気供給装置と、
前記乾燥炉で乾燥する前記製品を予熱する予熱ブースと、
前記乾燥炉の空気を前記予熱ブースに供給する第2空気供給装置と、
を有し、
前記第1空気供給装置は、一端から外気が吸引され排気ファンで他端から建物外へ排気を行うメインダクトと、前記冷却ブース内へ建物内の空気を給気する給気ファンと、前記メインダクトと前記冷却ブースに設けられた排気口とを接続する第1排気ダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉に設けた給気口とを接続する第1給気ダクトと、を備え
前記第2空気供給装置は、一端から外気が吸引され排気ファンで他端から建物外へ排気を行うメインダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉に設けられた排気口とを接続する第2排気ダクトと、前記メインダクトと前記予熱ブースに設けた給気口とを接続する第2給気ダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉の給気口とを接続する第3給気ダクトと、前記メインダクトと前記予熱ブースに設けた排気口とを接続する第3排気ダクトと、前記第3給気ダクトと前記第2排気ダクトとの間の前記メインダクトを閉止する第1のダンパと、前記第2給気ダクトと前記第3排気ダクトとの間の前記メインダクトを閉止する第2のダンパと、を備えている、
製品乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の加熱乾燥を行う製品乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製品を乾燥炉で加熱乾燥する乾燥装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-232890号公報
【文献】特開平11-118211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の乾燥装置では、乾燥炉で加熱乾燥を終了した後の製品を冷却室に搬送し、冷却室では、冷気を供給して製品を冷却している。特許文献1の乾燥装置では、冷却後の温まった空気を外部に排出しているため、製品を冷却する際の放熱は有効利用されていない。
【0005】
特許文献2には、乾燥炉領域の空気をその他の表面処理装置の空調機に供給して乾燥炉領域の排熱を空調機に利用していることが記載されている。しかしながら、乾燥処理した後の製品の冷却に関しては何ら記載がされていない。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、加熱乾燥後の製品を冷却する際の放熱を有効活用することができる製品乾燥装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の製品乾燥装置は、製品を加熱して乾燥させるための乾燥炉と、前記乾燥炉で乾燥された前記製品を冷却するための冷却ブースと、外部の空気を前記冷却ブースに供給して冷却ブース内の前記製品の冷却を行うと共に、前記冷却ブース内の空気を前記乾燥炉へ供給する第1空気供給装置と、前記乾燥炉で乾燥する前記製品を予熱する予熱ブースと、前記乾燥炉の空気を前記予熱ブースに供給する第2空気供給装置と、を有し、前記第1空気供給装置は、一端から外気が吸引され排気ファンで他端から建物外へ排気を行うメインダクトと、前記冷却ブース内へ建物内の空気を給気する給気ファンと、前記メインダクトと前記冷却ブースに設けられた排気口とを接続する第1排気ダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉に設けた給気口とを接続する第1給気ダクトと、を備え前記第2空気供給装置は、一端から外気が吸引され排気ファンで他端から建物外へ排気を行うメインダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉に設けられた排気口とを接続する第2排気ダクトと、前記メインダクトと前記予熱ブースに設けた給気口とを接続する第2給気ダクトと、前記メインダクトと前記乾燥炉の給気口とを接続する第3給気ダクトと、前記メインダクトと前記予熱ブースに設けた排気口とを接続する第3排気ダクトと、前記第3給気ダクトと前記第2排気ダクトとの間の前記メインダクトを閉止する第1のダンパと、前記第2給気ダクトと前記第3排気ダクトとの間の前記メインダクトを閉止する第2のダンパと、を備えている。
【0008】
請求項1に記載の製品乾燥装置では、乾燥後の製品を冷却ブース内で冷却し、製品の熱で温められた冷却ブース内の空気を第1空気供給装置で乾燥炉に供給し、乾燥炉の加熱を始める前に乾燥炉を予熱することができる。これにより、冷却ブース内で製品の冷却に用いた空気(暖かい)を外部に廃棄することなく、乾燥炉の予熱に有効利用することができる。
【0009】
また、乾燥炉を予熱することができるので、乾燥炉で使用するエネルギーを低減することができる。
さらに、冷却ブースの外部に温まった空気を排出しないので、冷却ブースの外側の温熱環境が悪化しない。
【0011】
請求項1に記載の製品乾燥装置では、乾燥炉で製品を乾燥した後の乾燥炉内の高温の空気を、第2空気供給装置で予熱ブースに供給し、乾燥炉で乾燥する前の次の製品の予熱に有効利用することができる。
【0012】
また、予熱ブースを、製品を乾燥した後の乾燥炉内の高温の空気で予熱することができるので、予熱ブースで使用するエネルギーを低減することもできる。
【0014】
請求項1に記載の製品乾燥装置では、給気ファンで冷却ブース内へ建物内の空気を給気することで冷却ブース内の製品を冷却することができる。
【0015】
また、冷却ブースと乾燥炉とは、第1排気ダクト、メインダクト、及び第1給気ダクトを介して接続されているため、製品を冷却して温まった冷却ブース内の空気を、第1排気ダクト、メインダクト、及び第1給気ダクトを介して乾燥炉へ供給することができる。
【0016】
冷却ブース内の空気を乾燥炉へ供給する場合には、一例として、給気ファンを駆動すればよい。給気ファンを駆動して建物内の空気を冷却ブース内に流入させ、冷却ブース内の温まった空気を乾燥炉へ供給することができる。
【0018】
また、請求項1に記載の製品乾燥装置では、乾燥炉と予熱ブースとが、第2排気ダクト、メインダクト、及び第2給気ダクトを介して接続されているため、製品を乾燥した後の乾燥炉内の高温の空気を、第2排気ダクト、メインダクト、及び第2給気ダクトを介して予熱ブースへ供給することができる。
【0019】
乾燥炉内の空気を予熱ブースへ供給する場合には、第3給気ダクトと第2排気ダクトとの間のメインダクトを第1のダンパで閉止し、かつ、第2給気ダクトと第3排気ダクトとの間のメインダクトを第2のダンパで閉止して、排気ファンを駆動すればよい。排気ファンが駆動されると、予熱ブースの内部が負圧となり、乾燥炉内の高温の空気が予熱ブースへ供給されると共に、外部の空気が乾燥炉内に流入する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明の製品乾燥装置によれば、加熱乾燥後の製品を冷却する際の放熱を有効活用することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る製品乾燥装置を示す概略構成図である。
【
図2】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図3】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図4】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図5】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図6】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図7】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図8】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図9】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図10】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図11】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【
図12】排気ファン、給気ファン、及びダンパの駆動状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第1の実施形態]
図1~
図12を用いて、本発明の一実施形態に係る製品乾燥装置10ついて説明する。
【0023】
図1に示すように、製品乾燥装置10は、一例として、工場等の図示しない建物の内部に設置されている。なお、建物の内部は、空調機器によって所定の室温(一例として26°C)に保たれている。
製品乾燥装置10は、各々が独立した予熱ブース12、乾燥炉14、及び冷却ブース16を備えている。本実施形態の製品乾燥装置10は、一例として、製品に塗布された水溶性塗料を乾燥するものである。
【0024】
予熱ブース12は、図面右側に開閉可能な扉を有する搬入口(図示省略)が設けられ、図面左側に開閉可能な扉を有する搬出口(図示省略)が設けられており、扉を開けることで、製品の搬入、搬出を行うことができる。搬入口と搬出口は一つの扉を兼用としても良い。
【0025】
乾燥炉14は、図面右側に開閉可能な扉を有する搬入口(図示省略)が設けられ、図面左側に開閉可能な扉を有する搬出口(図示省略)が設けられており、扉を開けることで、製品の搬入、搬出を行うことができる。搬入口と搬出口は一つの扉を兼用としても良い。
【0026】
冷却ブース16は、図面右側に開閉可能な扉を有する搬入口(図示省略)が設けられ、図面左側に開閉可能な扉を有する搬出口(図示省略)が設けられており、扉を開けることで、製品の搬入、搬出を行うことができる。搬入口と搬出口は一つの扉を兼用としても良い。
【0027】
一例として、製品乾燥装置10の上方には、予熱ブース12、乾燥炉14、及び冷却ブース16に渡ってメインダクト18が配置されている。メインダクト18には、予熱ブース側の一端部に排気ファン20が接続されている。なお、メインダクト18の他端部からは、外気が導入可能となっている。
【0028】
予熱ブース12の図面左側の天井部分には、予熱ブース12内とメインダクト18とを連通する第1分岐ダクト22が開口している。また、予熱ブース12の図面右側の天井部分には、予熱ブース12内とメインダクト18とを連通する第2分岐ダクト24が開口している。この予熱ブース12において、第1分岐ダクト22の開口部分は排気口とされ、第2分岐ダクト24の開口部分は給気口とされている。なお、この第2分岐ダクト24は、本発明の第2給気ダクトに相当するものである。
【0029】
第1分岐ダクト22には、ダクト内を通過する風量の調整を行う第1ダンパ26が設けられている。メインダクト18には、第1分岐ダクト22と第2分岐ダクト24との間に、第2ダンパ28が設けられている。また、第2分岐ダクト24には、第3ダンパ30が設けられている。
【0030】
乾燥炉14の図面左側の天井部分には、乾燥炉14内とメインダクト18とを連通する第3分岐ダクト32が開口している。また、乾燥炉14の図面右側の天井部分には、乾燥炉ス内とメインダクト18とを連通する第4分岐ダクト34が開口している。この乾燥炉14において、第3分岐ダクト32の開口部分は排気口とされ、第4分岐ダクト34の開口部分は給気口とされている。なお、この第3分岐ダクト32は、本発明の第2排気ダクトに相当するものである。また、この第4分岐ダクト34は、本発明の第1給気ダクトに相当するものである。
【0031】
第3分岐ダクト32には、第4ダンパ36が設けられている。メインダクト18には、第3分岐ダクト32と第4分岐ダクト34との間に、第5ダンパ38が設けられている。
【0032】
乾燥炉14の内部には、乾燥炉14内の空気を加熱するヒータ40と、乾燥炉14内の空気を循環させる循環ファン42とが設けられている。
【0033】
冷却ブース16の図面左側の天井部分には、冷却ブース内とメインダクト18とを連通する第5分岐ダクト44が開口している。この冷却ブース16において、第5分岐ダクト44の開口部分は排気口とされている。メインダクト18には、第5分岐ダクト44よりも他端側(排気ファン20とは反対側)に、第6ダンパ46が設けられている。また、第5分岐ダクト44には、第7ダンパ48が設けられている。なお、この第5分岐ダクト44は、本発明の第1排気ダクトに相当するものである。
【0034】
また、冷却ブース16の図面右側の側壁には、ブース外の空気(建物の内部の空気)を冷却ブース16の内部に供給する給気ファン50が設けられている。
【0035】
図2に示すように、以上説明した排気ファン20、ヒータ40、循環ファン42、給気ファン50、第1ダンパ26、第2ダンパ28、第3ダンパ30、第4ダンパ36、第5ダンパ38、第6ダンパ46、及び第7ダンパ48は、これらの駆動を制御する制御装置52に接続されている。制御装置52は、予め記憶されたプログラムに従って排気ファン20、ヒータ40、循環ファン42、給気ファン50、第1ダンパ26、第2ダンパ28、第3ダンパ30、第4ダンパ36、第5ダンパ38、第6ダンパ46、及び第7ダンパ48を制御することができる。
【0036】
(作用、効果)
次に、本実施形態の製品乾燥装置10を用いた製品の乾燥工程を
図3~
図12を用いて説明する。
なお、以下に説明する製品A~製品Dの名称に付与されている数字(一例として1~4)は、乾燥を行う順番を示している。
図中の矢印は、空気の流れの方向を示している。
また、
図3~
図12において、予熱ブース12、乾燥炉14、冷却ブース16、及び製品A~Dにおいて、これらの温度の高低が、網点の濃度で示されている。白色(地の色)は温度が最も低く、網点の濃度が濃い程、温度が高いことを示している。
【0037】
(1)第1工程:
図3参照。製品乾燥装置10の立ち上げ時(製品の搬入→乾燥開始)。
第1工程では、1番目に乾燥を行う製品Aを、空気の出入りが阻止された乾燥炉14内に配置し、2番目に乾燥を行う製品Bをブース外に待機させ、3番目に乾燥を行う製品Cを空気の出入りが阻止された予熱ブース12内に配置する。
第1工程では、以下の表1に示すように、排気ファン20、給気ファン50、循環ファン42、ヒータ40、第1ダンパ26~第7ダンパ48を制御し、1番目に乾燥する製品Aを、乾燥が終了するまで乾燥炉14で所定時間加熱乾燥させる。
一例として、乾燥炉14は80°Cまで昇温させる。
【0038】
【0039】
(2)第2工程:
図4参照。製品Aの乾燥終了→外気の導入により乾燥炉14の温度を下げ、乾燥炉14の排気で予熱ブース12を温める。
第2工程では、以下の表2に示すように各部が制御される。
【0040】
この第2工程では、排気ファン20が駆動されることで、予熱ブース12内の空気が排出されて予熱ブース12内が負圧となり、これにより、乾燥炉14内の空気(高温)が予熱ブース12内に引き込まれる共に、乾燥炉14内にメインダクト18からの外気が引き込まれる。なお、乾燥炉14では、図面右側から給気がなされ、図面左側から排気がなされるので、乾燥炉14内の空気は、図面右側から左側へ移動する。
【0041】
第2工程において、外気を乾燥炉14に導入することにより乾燥炉14内の温度を下げることができ、また、予熱ブース12に乾燥炉14内の空気(高温)を供給することで、予熱ブース12の温度を高めることができる。
【0042】
外気の導入により乾燥炉14の炉内温度を下げることで、作業員が乾燥炉14に製品Bを搬入する際の作業環境を整えることができる。また、予熱ブース12に、乾燥炉14内の空気(高温)を供給することで、予熱ブース12において、製品Cの予熱を行うことができる。
【0043】
なお、第2工程を経て乾燥炉14内が所定の温度まで低下したら、次の第3工程に進む。ここで、所定の温度とは、作業員が作業し易い温度のことを意味する。ここでは、一例として、乾燥炉14を建物の室内と同じ温度(26°C)まで下げる。
【0044】
【0045】
(3)第3工程:
図5参照。第3工程では、乾燥炉14で乾燥させた製品Aを冷却ブース16に移動し、ブース外で待機させておいた製品Bを乾燥炉14に移動する。
第3工程では、以下の表3に示すように、各部が制御される。
第3の工程では、空気の出入りが阻止された予熱ブース12で製品Cの予熱が継続される。なお、予熱の際に、製品Cの乾燥を行うこともできる。
【0046】
また、冷却ブース16では、空気の出入りが阻止された状態で、製品Aがブース内の空気で冷却され、製品Aから放出された熱で冷却ブース16内の空気が加熱される。
一例として、予熱ブース12の温度は40~50°C、乾燥炉14の温度は建物の室内の温度と同じ(26°C)、冷却ブース16の温度は40~50°Cである。
【0047】
【0048】
(4)第4工程:
図6参照。乾燥炉14に冷却ブースで予熱された空気を導入する。
第4工程では、以下の表4に示すように、各部が制御される。
この第4工程では、排気ファン20、及び給気ファン50が駆動され、冷却ブース16内に外気が導入されて冷却ブース16内の温まった空気が乾燥炉14内に送出されると共に、乾燥炉14内の冷えた空気が排気ファン20で屋外に排出される。
冷却ブース16では、図面右側から給気がなされ、図面左側から排気がなされるため、冷却ブース16内の空気は、図面右側から図面左側へ移動する。
なお、予熱ブース12では、空気の出入りが阻止された状態で製品Cの予熱が継続される。
【0049】
【0050】
(5)第5工程:
図7参照。乾燥開始。冷却ブース16で予熱された空気を予熱ブース12に導入。
第5工程では、以下の表5に示すように、各部が制御される。
第5工程では、排気ファン20、及び給気ファン50が駆動され、冷却ブース16内に外気が導入されて製品Aが冷却され、冷却ブース16内の温まった空気が予熱ブース12内に押し出され、予熱ブース12で製品Cの予熱が継続される。
また、乾燥炉14では、空気の出入りが阻止された状態で、乾燥炉14内の空気がヒータ40で加熱されると共に、循環ファン42で乾燥炉14内の空気が循環され、製品Bの乾燥が所定時間行われる。ここでの所定時間とは、製品が乾燥するに要する時間のことである。一例として、乾燥炉14は80°Cまで昇温させる。
【0051】
【0052】
(6)第6工程:
図8参照。予熱ブース12内の製品の搬出、搬入および冷却ブース内の製品の搬出。
第6工程では、以下の表6に示すように、各部が制御される。
第6工程では、予熱ブース12で予熱をしていた予熱完了済みの製品Cをブース外へ搬出し、予熱ブース12内に、次に予熱を行う製品Dを搬入する。また、冷却ブース16で冷却をしていた冷却済みの製品Aはブース外に搬出され、冷却が終了する。
なお、第6工程では、空気の出入りが阻止された乾燥炉14で製品Bの乾燥が継続される。
【0053】
【0054】
(7)第7工程:
図9参照。製品Bの乾燥終了→外気で乾燥炉14の温度を下げる。乾燥炉14の排気で予熱ブース12を温める。
第7工程では、以下の表7に示すように、各部が制御される。
第7工程では、排気ファン20が駆動されて予熱ブース12が負圧になり、これに伴い、乾燥炉14内の空気(高温)が予熱ブース12内に送出され、乾燥炉14内に外気が導入されて乾燥炉14内の温度が下げられる。
予熱ブース12の温度が所定の温度まで高くなり、乾燥炉14内の所定の温度まで下ったら、次の第8工程へ進む。
【0055】
【0056】
(8)第8工程:
図10参照。製品を移動する。
第8工程では、予熱の完了した製品Cを乾燥炉14に搬入し、乾燥炉14で乾燥させた製品Bを冷却ブース16に搬入する。
第8工程では、以下の表8に示すように、各部が制御される。
予熱ブース12では、空気の出入りが阻止され、第7工程で導入された乾燥炉14の空気で製品Dの予熱が行われる。冷却ブース16では、空気の出入りが阻止され、ブース内の空気で製品Bの冷却が行われる。
一例として、予熱ブース12の温度は40~50°C、冷却ブース16の温度は、40~50°Cである。
【0057】
【0058】
(9)第9工程:
図11参照。乾燥炉14に冷却ブース16で予熱された空気を導入する。
第9工程では、以下の表9に示すように、各部が制御される。
第9工程では、排気ファン20、及び給気ファン50が駆動され、冷却ブース16内に室内の空気が導入されて冷却ブース16内の予熱された空気が乾燥炉14に送出されると共に、乾燥炉14内の冷えた空気が屋外に排出される。
なお、予熱ブース12では、空気の出入りが阻止され、製品Dの予熱が継続される。
【0059】
【0060】
(10)第10工程:
図12参照。乾燥開始。冷却ブース16で予熱された空気を予熱ブース12に導入。
第10工程では、以下の表10に示すように、各部が制御される。
第10工程では、第10工程では、排気ファン20、及び排気ファン20が駆動され、冷却ブース16内に外気が導入されて冷却ブース16内の予熱された空気が予熱ブース12に押し出されると共に、予熱ブース12内の空気が屋外に排出される。なお、予熱ブース12では、製品Dの予熱が継続される。
また、乾燥炉14では、空気の出入りが阻止された状態で、ヒータ40で乾燥炉14内の空気が加熱されると共に、循環ファン42で乾燥炉14内の空気が循環され、製品Cの乾燥が行われる。
一例として、乾燥炉14の温度は、80°Cまで昇温される。
【0061】
【0062】
以後、第6工程~第10工程を繰り返すことで、複数の製品の予熱、乾燥、冷却を順次行うことができる。
【0063】
本実施形態の製品乾燥装置10では、以下の効果が得られる。
(1) 乾燥後の製品を冷却ブース内で冷却し、製品の放熱で温められた冷却ブース16内の空気を乾燥炉14に供給することで、ヒータ40で加熱する前に乾燥炉14を予熱することができ、製品の冷却に用いた温められた空気を乾燥炉14の予熱に有効利用することができる。
(2) 乾燥炉14を、製品の冷却に用いた温められた空気で予熱することができるので、製品を加熱乾燥するヒータ40の負担を減らすことができ、省エネとなる。
【0064】
(3) 製品を乾燥した後の乾燥炉14内の高温の空気を、乾燥前の製品の予熱に有効利用することができる。
なお、乾燥炉14へ搬入する製品を、建物内の室温よりも高い温度に予熱しない場合には、乾燥炉14でのヒータ40の負荷が増える、言い換えれば、ヒータ40の電力使用量が増加する。
【0065】
(4) 乾燥終了後の製品を、建物の室内で冷却すると、室温が上昇して建物の空調機器に対して負荷が掛かる。しかしながら、本実施形態の製品乾燥装置10では、乾燥終了後の製品を冷却ブースで冷却し、製品の放熱で温まった空気を乾燥炉14の予熱や、予熱ブース12の予熱に用い、予熱に使用した空気は最終的に屋外へ排出するので、建物の空調機器に対して負荷が掛かることを抑制でき、省エネとなる。
言い換えれば、本実施形態の製品乾燥装置10によれば、製品冷却時の放熱の室内への拡散を抑制することができる。
【0066】
(5) 本実施形態の製品乾燥装置10では、製品を予熱するためのヒータを予熱ブース12に用いていないため、ヒータを用いて製品を予熱する場合に比較して、省エネとなっている。
【0067】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0068】
上記実施形態の製品乾燥装置10における予熱ブース12、乾燥炉14、冷却ブース16、排気ファン20、ヒータ40、循環ファン42、給気ファン50、第1ダンパ26、第2ダンパ28、第3ダンパ30、第4ダンパ36、第5ダンパ38、第6ダンパ46、及び第7ダンパ48の配置や接続関係は、一例であり、乾燥炉14で加熱する前に予熱が必要なければ予熱ブース12は設けなくてもよい。
【0069】
上記実施形態の製品乾燥装置10において、製品の搬出、搬入は、作業員が行ってもよく、ロボット等の機械が行ってもよい。
【0070】
上記実施形態では、製品に塗布された水溶性塗料を乾燥する例を説明したが、製品乾燥装置10は、水溶性塗料の乾燥に限らず、液体を含んだ製品の乾燥を行うこともできる。
【0071】
上記実施形態において説明した、予熱ブース12、乾燥炉14、冷却ブース16、及び建物の室内の夫々の温度は、一例であり、これらの温度は、製品によって適宜変更される。
【符号の説明】
【0072】
10 製品乾燥装置
12 予熱ブース
14 乾燥炉
16 冷却ブース
18 メインダクト(第1空気供給装置、第2空気供給装置)
22 第1分岐ダクト(第2空気供給装置、第3排気ダクト)
24 第2分岐ダクト(第2空気供給装置、第2給気ダクト)
32 第3分岐ダクト(第2空気供給装置、第2排気ダクト)
34 第4分岐ダクト(第1空気供給装置、第1給気ダクト、第3給気ダクト)
44 第5分岐ダクト(第1空気供給装置、第1排気ダクト)
50 給気ファン(第1空気供給装置)