(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
A47L15/46 C
(21)【出願番号】P 2020112347
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】大橋 龍成
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-151649(JP,A)
【文献】特開2000-157782(JP,A)
【文献】特開2009-056161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 1/00-25/12
D06F 1/00-105/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定
し、
前記洗浄運転には、前記洗剤を使用して前記被洗浄物を洗浄する本洗浄工程が含まれ、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記本洗浄工程中に前記追加収容事実を検知した場合、
前記本洗浄工程中に前記追加収容事実を検知するまでの第1期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報を記憶し、
次に、前記本洗浄工程を中断して、前記本洗浄工程と同等以下の所要時間で前記被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、
次に、前記短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報と、前記第1期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報との差分に基づいて前記追加量を決定した後、前記短縮洗浄工程を中断し、
前記追加量の前記洗剤が前記洗浄槽に投入された後、前記追加収容事実を検知するまでの前記本洗浄工程の経過時間が長い程、前記短縮洗浄工程の前記所要時間を短くするように調整し、前記経過時間が短い程、前記所要時間を長くするように調整した上で、前記短縮洗浄工程を再開することを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定し、
前記洗浄運転には、前記洗剤を使用して前記被洗浄物を洗浄する本洗浄工程と、前記本洗浄工程の後に前記洗浄水によって前記被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、が含まれ、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記すすぎ工程中に前記追加収容事実を検知した場合、
前記すすぎ工程中に前記追加収容事実を検知するまでの第2期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報を記憶し、
次に、前記すすぎ工程を中断して、前記本洗浄工程と同等以下の所要時間で前記被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、
次に、前記短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報と、前記第2期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報との差分に基づいて前記追加量を決定した後、前記短縮洗浄工程を中断し、
前記追加量の前記洗剤が前記洗浄槽に投入された後、前記短縮洗浄工程を再開し、その後、前記すすぎ工程をやり直す
ことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項3】
被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定し、
前記洗浄運転には、前記洗剤を使用して前記被洗浄物を洗浄する本洗浄工程と、前記本洗浄工程の後に前記洗浄水によって前記被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、前記すすぎ工程の後に前記被洗浄物を温風によって乾燥させる乾燥工程と、が含まれ、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記乾燥工程中に前記追加収容事実を検知した場合、
前記乾燥工程を中断して、前記本洗浄工程と同等以下の所要時間で前記被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、
次に、前記短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて前記追加量を決定した後、前記短縮洗浄工程を中断し、
前記追加量の前記洗剤が前記洗浄槽に投入された後、前記短縮洗浄工程を再開し、その後、前記すすぎ工程及び前記乾燥工程をやり直す
ことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項4】
前記洗浄運転が一時中断されて前記追加収容事実が発生した後に前記洗浄運転の再開を指示する再開指示入力を受ける入力手段をさらに備え、
前記追加収容検知手段は、前記入力手段が前記再開指示入力を受けたことによって前記追加収容事実を検知する請求項1
乃至3のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記初期量の前記洗剤及び前記追加量の前記洗剤を前記洗浄槽に自動で投入する洗剤自動投入手段をさらに備えている請求項1
乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2に従来の食器洗浄機の一例が開示されている。これらの食器洗浄機は、洗浄槽、洗浄装置及び制御部を備えている。
【0003】
洗浄槽には、被洗浄物である食器が収容される。洗浄装置は、洗浄ノズル及び洗浄ポンプからなり、洗浄槽内に洗浄水を供給可能である。制御部は、洗浄装置を制御し、洗浄槽に収容された食器を洗浄する洗浄運転を実行する。
【0004】
また、これらの食器洗浄機は、濁度検知手段を備えている。濁度検知手段は、洗浄槽内の洗浄水の濁度を検知する。制御部は、濁度検知手段の検知結果に基づいて、洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する。
【0005】
しかしながら、これらの食器洗浄機では、洗浄運転中における食器の追加について何ら考慮されていないため、追加した食器に付着した汚れの量や質等にかかわらず、初期量の洗剤で洗浄するだけである。
【0006】
この点、特許文献3には、洗浄運転中における食器の追加に対応可能な食器洗浄機の一例が開示されている。この食器洗浄機は、容量検知手段を備えている。容量検知手段は、洗浄槽内の食器かごと洗浄槽の底面との間に設けられた重量センサを用いて、食器の容量を検知する。
【0007】
制御部は、容量検知手段が検知した食器の容量に基づいて、予め用意されたプログラムに従って、洗浄運転における洗浄ポンプ等の運転制御を行う。
【0008】
また、制御部は、洗浄運転中に容量検知手段が検知した食器の容量変化に基づいて、洗浄運転中に新たな食器が洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する。この場合、制御部は、検知された容量変化量に基づいて、予め用意されたプログラムに従って、洗浄運転を再開した後における洗浄ポンプ等の運転制御を行い、必要があれば洗剤の追加投入を促す表示を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2010-136794号公報
【文献】特開2009-240546号公報
【文献】特開平11-346987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記特許文献3開示の食器洗浄機では、洗浄運転中に追加した食器の容量を検知するだけであり、例えば、樹脂製の皿のような軽い食器に多量の汚れが付着する場合と、厚肉の陶器製の大皿のような重い食器に少量の汚れが付着する場合とを制御部が区別できない。このため、この食器洗浄機では、洗浄運転中に追加した食器に付着した汚れの量や質等に応じて、ユーザがマニュアル操作で運転方法を設定する必要があることから、ユーザの利便性の向上を実現することが難しい。
【0011】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、ユーザの利便性の向上を実現できる食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定し、
前記洗浄運転には、前記洗剤を使用して前記被洗浄物を洗浄する本洗浄工程が含まれ、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記本洗浄工程中に前記追加収容事実を検知した場合、
前記本洗浄工程中に前記追加収容事実を検知するまでの第1期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報を記憶し、
次に、前記本洗浄工程を中断して、前記本洗浄工程と同等以下の所要時間で前記被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、
次に、前記短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報と、前記第1期間に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報との差分に基づいて前記追加量を決定した後、前記短縮洗浄工程を中断し、
前記追加量の前記洗剤が前記洗浄槽に投入された後、前記追加収容事実を検知するまでの前記本洗浄工程の経過時間が長い程、前記短縮洗浄工程の前記所要時間を短くするように調整し、前記経過時間が短い程、前記所要時間を長くするように調整した上で、前記短縮洗浄工程を再開することを特徴とする。
【0013】
本発明の食器洗浄機では、制御部は、濁度検知手段から取得した汚れ状態情報に基づいて、洗浄運転で用いる洗剤について、洗浄運転の初期に初期量を決定するとともに、洗浄運転中に被洗浄物が追加された場合に追加量を決定する。これにより、例えば、樹脂製の皿のような軽い食器に多量の汚れが付着する場合と、厚肉の陶器製の大皿のような重い食器に少量の汚れが付着する場合とで、制御部が初期量及び追加量を好適に決定できる。
【0014】
そして、この食器洗浄機では、その好適に決定された初期量及び追加量に応じて、ユーザが洗剤を洗浄槽に手動で投入したり、食器洗浄機が備え得る洗剤自動投入手段が洗剤を洗浄槽に自動で投入したりすることができる。
【0015】
その結果、ユーザは、洗浄運転中に追加した被洗浄物に付着した汚れの量や質等を考慮する必要がなく、マニュアル操作で運転方法を設定する必要もない。
【0016】
したがって、本発明の食器洗浄機では、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【0017】
本発明の食器洗浄機は、洗浄運転が一時中断されて追加収容事実が発生した後に洗浄運転の再開を指示する再開指示入力を受ける入力手段をさらに備えていることが望ましい。そして、追加収容検知手段は、入力手段が再開指示入力を受けたことによって追加収容事実を検知することが望ましい。
【0018】
この場合、ユーザは、入力手段に対して再開指示入力を行うという簡素な操作を行って洗浄運転を再開できるので、ユーザの利便性の向上を一層実現できる。
【0019】
本発明の食器洗浄機は、初期量の洗剤及び追加量の洗剤を洗浄槽に自動で投入する洗剤自動投入手段をさらに備えていることが望ましい。
【0020】
この場合、洗剤自動投入手段によってユーザが洗剤を洗浄槽に手動で投入する手間を省くことができるので、ユーザの利便性の向上をより一層実現できる。
【0021】
洗浄運転には、洗剤を使用して被洗浄物を洗浄する本洗浄工程が含まれている。そして、制御部は、追加収容検知手段が本洗浄工程中に追加収容事実を検知した場合、本洗浄工程中に追加収容事実を検知するまでの第1期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報を記憶し、次に、本洗浄工程を中断して、本洗浄工程と同等以下の所要時間で被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報と、第1期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報との差分に基づいて追加量を決定した後、短縮洗浄工程を中断し、追加量の洗剤が洗浄槽に投入された後、追加収容事実を検知するまでの本洗浄工程の経過時間が長い程、短縮洗浄工程の所要時間を短くするように調整し、経過時間が短い程、所要時間を長くするように調整した上で、短縮洗浄工程を再開する。
【0022】
この構成により、ユーザが本洗浄工程中に被洗浄物を追加しても、追加された被洗浄物に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての被洗浄物を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからやり直す場合と比較して、被洗浄物の洗浄を早期に終了させることができる。
【0023】
本発明の別の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定し、
洗浄運転には、洗剤を使用して被洗浄物を洗浄する本洗浄工程と、本洗浄工程の後に洗浄水によって被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、が含まれ、制御部は、追加収容検知手段がすすぎ工程中に追加収容事実を検知した場合、すすぎ工程中に追加収容事実を検知するまでの第2期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報を記憶し、次に、すすぎ工程を中断して、本洗浄工程と同等以下の所要時間で被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報と、第2期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報との差分に基づいて追加量を決定した後、短縮洗浄工程を中断し、追加量の洗剤が洗浄槽に投入された後、短縮洗浄工程を再開し、その後、すすぎ工程をやり直すことを特徴とする。
【0024】
この構成により、ユーザがすすぎ工程中に被洗浄物を追加しても、追加された被洗浄物に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての被洗浄物を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからやり直す場合と比較して、被洗浄物の洗浄を早期に終了させることができる。
【0025】
本発明のさらに別の食器洗浄機は、被洗浄物が収容される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に洗浄水を供給可能な洗浄装置と、
前記洗浄槽内の前記洗浄水の濁度を検知する濁度検知手段と、
前記洗浄装置を制御するとともに、前記濁度検知手段から前記洗浄水の汚れ状態情報を取得する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記洗浄槽に収容された前記被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、前記洗浄運転の初期に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定する食器洗浄機であって、
前記洗浄運転中に新たな前記被洗浄物が前記洗浄槽内に追加的に収容された追加収容事実を検知する追加収容検知手段をさらに備え、
前記制御部は、前記追加収容検知手段が前記追加収容事実を検知した場合、前記追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に前記濁度検知手段から取得した前記汚れ状態情報に基づいて、前記洗剤の追加量を決定し、
洗浄運転には、洗剤を使用して被洗浄物を洗浄する本洗浄工程と、本洗浄工程の後に洗浄水によって被洗浄物をすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程の後に被洗浄物を温風によって乾燥させる乾燥工程と、が含まれ、制御部は、追加収容検知手段が乾燥工程中に追加収容事実を検知した場合、乾燥工程を中断して、本洗浄工程と同等以下の所要時間で被洗浄物を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報に基づいて追加量を決定した後、短縮洗浄工程を中断し、追加量の洗剤が洗浄槽に投入された後、短縮洗浄工程を再開し、その後、すすぎ工程及び乾燥工程をやり直すことを特徴とする。
【0026】
この構成により、ユーザが乾燥工程中に被洗浄物を追加しても、追加された被洗浄物に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての被洗浄物を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからやり直す場合と比較して、被洗浄物の洗浄を早期に終了させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の食器洗浄機によれば、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施例の食器洗浄機の模式断面図である。
【
図2】
図2は、実施例の食器洗浄機のブロック図である。
【
図3】
図3は、実施例の食器洗浄機の操作部及び表示部を示す部分上面図である。
【
図4】
図4は、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
【
図5】
図5は、洗浄運転プログラムのフローチャートである。
【
図6】
図6は、洗浄運転の途中で食器が追加的に投入される場合における運転時間合計及び洗剤合計を説明する表である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【0030】
(実施例)
図1に示すように、実施例の食器洗浄機1は、本発明の食器洗浄機の具体的態様の一例である。食器洗浄機1は、システムキッチンの天板CT1の下方に設置された前面引き出し式のものである。
【0031】
<筐体、洗浄槽及び蓋体>
食器洗浄機1は、筐体9、洗浄槽7及び蓋体8を備えている。本実施例では、略箱状体である筐体9におけるシステムキッチンを利用するユーザと対向する側面側、すなわち
図1の紙面左側を筐体9の前面側と規定し、
図1の紙面右側を筐体9の奥側と規定する。
【0032】
筐体9の上は、天板CT1に覆われている。筐体9は、筐体開口9Hを有している。筐体開口9Hは、筐体9の前部の上端から下端までの広い範囲を開放しており、筐体9内と外部とを連通させている。
【0033】
洗浄槽7は、筐体9内に収容されている。
図1に示す洗浄槽7の位置を収容位置とする。略箱状体である洗浄槽7の側面と、筐体9の内壁面との間には、図示しないスライドレール機構が配置されている。図示は省略するが、洗浄槽7は、そのスライドレール機構によって、筐体9に対してスライド可能となっている。
【0034】
洗浄槽7は、開口7Hを有している。開口7Hは、洗浄槽7の上部を開放している。洗浄槽7の前部の上端には、取っ手7Gが設けられている。
【0035】
ユーザが取っ手7Gを把持し、手動操作で洗浄槽7を収容位置から筐体9の前方にスライドさせることにより、図示は省略するが、洗浄槽7が筐体9から前方に引き出された状態となる。また、引き出された状態の洗浄槽7をユーザが手動操作で筐体9の奥方にスライドさせることにより、洗浄槽7が収容位置に復帰する。
【0036】
蓋体8は、筐体9内の上部に配置されており、洗浄槽7の開口7Hを閉塞及び開放可能である。蓋体8は、図示しない連動機構によって、洗浄槽7のスライドに連動して、
図1に示す位置と、図示は省略するが
図1に示す位置から上昇して洗浄槽7のスライドを許容する位置との間で上下動するようになっている。
【0037】
洗浄槽7は、収容位置にある状態で、筐体開口9Hを閉塞するとともに、開口7Hが蓋体8によって閉塞される。
【0038】
図示は省略するが、洗浄槽7は、筐体9から引き出された状態で、筐体9内に残る蓋体8によって、筐体9の外部に露出する開口7Hが開放される。これにより、ユーザは、開口7Hを介して、食器TW1を洗浄槽7に収容したり、食器TW1を洗浄槽7から取り出したりすることができる。
【0039】
食器TW1は、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器や、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。食器TW1は、本発明の「被洗浄物」の一例である。
【0040】
筐体9内には、給水管P1、給水電磁弁69及び排水管P2が設けられている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽7に水を供給する。給水電磁弁69は、給水管P1を開閉して洗浄槽7への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽7内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。
【0041】
洗浄槽7内の底部には、洗浄水を貯める貯水部71が設けられている。また、洗浄槽7内には、食器かご70が配置されている。食器かご70には、食器TW1が載置される。
【0042】
洗浄槽7には、排気通路79が設けられている。排気通路79は、洗浄槽7の前面おける取っ手7Gの下方に開口する排気口79Aによって、洗浄槽7の外部と連通している。洗浄槽7内の空気は、排気通路79を通過して機外に、すなわち筐体9の前方に排出される。
【0043】
<ノズル及びポンプ>
食器洗浄機1は、ノズル61及びポンプ62をさらに備えている。ノズル61及びポンプ62は、本発明の「洗浄装置」の一例である。ノズル61は、洗浄槽7内に配置されている。ポンプ62は、洗浄槽7の貯水部71の下部に組み付けられている。ノズル61及びポンプ62は、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0044】
ノズル61は、複数の吐出孔から洗浄槽7内に洗浄水を噴射可能である。ノズル61の噴射方向は、洗浄槽7内で重ねられた複数の食器TW1を確実に洗浄したり、洗浄槽7の内壁面や食器かご70を洗浄したりするために、様々な方向に変化するようになっている。
【0045】
ポンプ62は、正転作動時、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水をノズル61に供給して洗浄槽7内に噴射させる。その噴射された洗浄水は貯水部71に貯められるので、ポンプ62によって繰り返しノズル61に供給される。また、ポンプ62は、逆転作動時、洗浄槽7内の洗浄水を残菜フィルタ67及び排水管P2を介して食器洗浄機1の外部に排水する。
【0046】
<ヒータ、乾燥ファン、温度センサ、水位センサ及び濁度センサ>
食器洗浄機1は、ヒータ63、乾燥ファン68、温度センサ31、水位センサ34及び濁度センサ35をさらに備えている。濁度センサ35は、本発明の「濁度検知手段」の一例である。
【0047】
ヒータ63、乾燥ファン68、温度センサ31、水位センサ34及び濁度センサ35も洗浄槽7に組み付けられており、洗浄槽7が出し入れされる際に洗浄槽7と共に移動する。
【0048】
ヒータ63は、貯水部71の底部に配置されている。ヒータ63は、貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気を加熱する。貯水部71に貯められた洗浄水は、ヒータ63が通電制御されて継続的に発熱したり、発熱が停止したりすることにより、所定の温度範囲に加熱されて、ノズル61及びポンプ62によって洗浄槽7内に噴射される。
【0049】
乾燥ファン68は、回転作動することにより、食器洗浄機1の外部から空気を導入し、その空気を洗浄槽7内に供給可能である。乾燥ファン68によって洗浄槽7内に供給される空気は、ヒータ63が通電制御されて継続的に発熱したり、発熱が停止したりすることにより、所定の温度範囲に加熱されて食器TW1を乾燥させながら洗浄槽7内を流通した後、排気通路79から筐体9の前方に排出される。
【0050】
温度センサ31は、貯水部71の底部におけるヒータ63に対して下方の位置に設けられている。温度センサ31は、洗浄槽7内の温度を検知する。より詳しくは、温度センサ31は、貯水部71に貯められた洗浄水、又は洗浄槽7内の空気の温度をヒータ63の近傍において検知する。
【0051】
水位センサ34は、貯水部71の隣に配置された水位検知槽34A内に設けられたフロート式センサである。水位検知槽34Aは、連通管P3を介して貯水部71と接続されている。水位センサ34は、洗浄槽7内の洗浄水の水位を検知する。
【0052】
濁度センサ35は、貯水部71における残菜フィルタ67よりも下方でポンプ62に向けて延びる部分の壁面に隣接するように設けられている。濁度センサ35は、洗浄槽7内の洗浄水の濁度を検知する。
【0053】
本実施例では一例として、濁度センサ35はJIS K 0801「濁度自動計測器」で採用されている透過光散乱光方式又は表面散乱光方式のセンサであり、濁度を連続測定可能である。
【0054】
透過散乱光方式とは、光源から測定液槽に入射した光を透過光と散乱光に分けて検知し、その検知結果に基づいて、液中の濁質により変化する透過光と散乱光の比を演算し、濁度を算出する測定方式である。
【0055】
表面散乱光方式は、測定液面に光を当てて液面からの散乱光を測定し、散乱光の強さが液中の濁質の濃度に比例することを利用して濁度を算出する測定方式である。
【0056】
濁度センサ35が検知する濁度は、洗浄槽7内の洗浄水の汚れが少なければ小さい数値となる一方、洗浄槽7内の洗浄水の汚れが多ければ大きな数値となる。
【0057】
<洗剤自動投入手段>
食器洗浄機1は、洗剤自動投入手段65をさらに備えている。洗剤自動投入手段65は、洗浄槽7の前部の上部分に設けられ、洗浄槽7の前方の内壁面に隣接している。
【0058】
洗剤自動投入手段65は、図示を簡略するが、液状の洗剤を貯留するタンクと、そのタンクの底部に配置された電気駆動式の計量投入部とを有している。洗剤自動投入手段65は、洗剤の投入量及び投入タイミングに係る指示情報が伝達されることにより計量投入部を作動させる。そして、洗剤自動投入手段65は、指示された投入量の洗剤を計量し、指示された投入タイミングで洗浄槽7に自動で投入する。
【0059】
<制御部、操作部及び表示部>
食器洗浄機1は、
図1及び
図2に示す制御部C1と、
図1~
図3に示す操作部40及び表示部47とをさらに備えている。
図1に示すように、制御部C1は、洗浄槽7の前部における取っ手7Gよりも下方に配置されている。操作部40及び表示部47は、洗浄槽7の前部の上端に配置されている。
【0060】
制御部C1は、図示しないCPU、メモリ、インターフェース回路等により構成された電子回路ユニットである。
図2に示すように、制御部C1は、記憶部C12を含んでいる。記憶部C12は、制御部C1を構成するメモリであり、ROM及びRAM等の記憶素子によって構成されている。
【0061】
記憶部C12は、食器洗浄機1を動作させるために制御部C1が実行する各種プログラム、例えば
図4及び
図5に示す洗浄運転プログラム等を記憶している。また、記憶部C12は、食器洗浄機1の設定情報等の各種情報や、各種プログラムを実行するための初期設定情報等を随時記憶するようになっている。
【0062】
図2に示すように、制御部C1は、温度センサ31及び水位センサ34から検知信号を受信する。また、制御部C1は、図示しないセンサ類、例えば、洗浄槽7が収容位置にあるか否かを検知する位置センサや、洗浄槽7が収容位置にロックされているか否かを検知するロックセンサから検知信号を受信する。
【0063】
さらに、制御部C1は、洗浄水の汚れ状態情報を濁度センサ35から取得する。洗浄水の汚れ状態情報とは、濁度センサ35が検知した洗浄槽7内の洗浄水の濁度の瞬間値、所定時間内の平均値、又は所定時間内の最高値等の情報であって、洗浄槽7に収容された洗浄対象の食器TW1を洗浄するために必要な洗剤の量を制御部C1が決定するときの判断材料となる情報である。
【0064】
そして、制御部C1は、駆動回路60を介して制御信号を出力することにより、ノズル61、ポンプ62、給水電磁弁69、ヒータ63及び乾燥ファン68の作動を制御して、洗浄運転を実行する。
【0065】
また、制御部C1は、洗浄運転を開始した後、必要に応じて洗剤の投入量及び投入タイミングに係る指示情報を駆動回路60を介して洗剤自動投入手段65に伝達することにより、洗剤を洗浄槽7に自動で投入する。
【0066】
図3に示すように、操作部40は、電源ボタン41、スタートボタン42、コース選択ボタン43、食器追加ボタン45、加算ボタン46A及び減算ボタン46Bを有している。
【0067】
表示部47は、ランプや、ユーザに各種の情報を伝達するために数字や文字等を表示可能な表示素子等を有している。
【0068】
図1に示すように、操作部40及び表示部47は、洗浄槽7が収容位置にある状態で天板CT1に覆われるため、ユーザが操作及び視認できないようになっている。その一方、図示は省略するが、操作部40及び表示部47は、洗浄槽7が引き出された状態で露出するので、ユーザが操作及び視認可能となる。
【0069】
図2に示すように、制御部C1は、ユーザが操作部40に対して行う各種の操作入力の情報を取得する。また、制御部C1は、洗浄運転の設定等に関する情報、洗浄運転の進行状況等の各種情報を表示部47に伝達して表示させる。
【0070】
ユーザは、洗浄槽7を引き出して電源ボタン41を押すことにより、食器洗浄機1の電源を投入する。次に、ユーザは、コース選択ボタン43、加算ボタン46A及び減算ボタン46Bを操作することにより、洗浄運転の内容を設定する。そして、ユーザは、食器かご70に洗浄対象の食器TW1を載置する作業を行った後、スタートボタン42を押してから洗浄槽7を収容位置に戻すことにより、制御部C1に洗浄運転の実行を指示する。
【0071】
また、ユーザが洗浄運転中に洗浄槽7を収容位置から引き出して洗浄運転を中断させ、新たな食器TW1を洗浄槽7内に追加的に収容する場合がある。この場合、食器かご70に新たな食器TW1を追加する作業を行った後、ユーザは、洗浄運転の再開を指示する再開指示入力として食器追加ボタン45を押す。操作部40は、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって、洗浄運転中に新たな食器TW1が洗浄槽7内に追加的に収容された追加収容事実を検知する。
【0072】
操作部40は、本発明の「追加収容検知手段」の一例である。食器追加ボタン45は、本発明の「入力手段」の一例である。
【0073】
<洗浄運転に含まれる複数の工程>
図4及び
図5に示すように、本実施例では、制御部C1は洗浄運転において、予備洗浄工程、本洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程を実行するようになっている。
【0074】
また、制御部C1は、本洗浄工程、すすぎ工程及び乾燥工程のいずれか1つの工程中において、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって操作部40が追加収容事実を検知した後、洗浄槽7が収容位置に戻されることにより、本洗浄工程と同等以下の所要時間で短縮洗浄工程を実行するようになっている。
【0075】
本実施例では一例として、食器TW1の追加がない標準的なケースにおける洗浄運転の運転時間を120分とする。この場合において、予備洗浄工程の所要時間を2分とし、本洗浄工程の所要時間を28分とし、すすぎ工程の所要時間を40分とし、乾燥工程の所要時間を50分とする。また、短縮洗浄工程の所要時間は、初期設定において本洗浄工程よりも短い20分とするが、後述するステップS151において、本洗浄工程の所要時間28分と同等以下の範囲で20分よりも長くされる場合や、20分よりも短くされる場合があり得る。
【0076】
以下、
図4及び
図5に示す洗浄プログラムについて詳しく説明する。ユーザがスタートボタン42を押して洗浄槽7を収容位置に戻す動作を行うと、制御部C1は洗浄運転の実行を指示されたと判断し、
図4及び
図5に示す洗浄プログラムを開始する。
【0077】
初めに、制御部C1は、
図4に示すステップS101において、予備洗浄工程を実行する。具体的には、制御部C1は、給水電磁弁69を制御して洗浄槽7に清浄な洗浄水を給水する。次に、制御部C1はノズル61及びポンプ62を作動させ、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水を洗浄槽7内の食器TW1に向けて噴射する。この際、必要に応じて、洗浄水をヒータ63によって所定の温度範囲に加熱する。
【0078】
予備洗浄工程では、洗浄運転の初期に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報に基づいて、本洗浄工程に必要な洗剤の初期量を決定する。本実施例では、予備洗浄工程では洗剤自動投入手段65による洗剤の自動投入は未実施であり、洗剤無しの洗浄水の噴射によって洗浄槽7に収容された食器TW1の汚れが落とされ始めて、汚れ成分が食器TW1から洗浄水に徐々に移行し、洗浄水の濁度が徐々に増加する。
【0079】
予備洗浄工程中において、濁度センサ35は、洗浄槽7内の洗浄水の濁度を検知して制御部C1に伝達する。制御部C1は、濁度センサ35が検知した洗浄槽7内の洗浄水の濁度の瞬間値、所定時間内の平均値、又は所定時間内の最高値等の情報を汚れ状態情報として取得し、その汚れ状態情報に基づいて、本洗浄工程に必要な洗剤の初期量を決定する。例えば、記憶部C12には、汚れ状態情報と洗剤の初期量との関係を示すデータテーブルが記憶されており、制御部C1は、そのデータテーブルを参照することにより、洗剤の初期量を決定する。
【0080】
制御部C1は、予備洗浄工程の所要時間に到達すると、予備洗浄工程を終了してステップS111に移行し、本洗浄工程を実行する。本洗浄工程は、所要時間に到達してステップS113において「Yes」となるまで継続される。
【0081】
ステップS111によって本洗浄工程が開始された後、制御部C1は、洗剤自動投入手段65を制御し、予備洗浄工程において決定した初期量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入する。
【0082】
そして、制御部C1はノズル61及びポンプ62を作動させ、洗浄槽7の貯水部71に貯められた洗浄水に洗剤を溶解させて洗浄槽7内の食器TW1に向けて噴射する。この際、制御部C1は、ヒータ63によって洗浄水を所定の温度範囲に加熱する。これにより、洗浄水に含まれる洗剤によって洗浄槽7に収容された食器TW1の汚れの分解が促進される。また、濁度センサ35から取得した洗浄水の汚れ状態情報に基づいて洗剤の初期量を決定しているので、洗剤の過不足が生じ難い。その結果、汚れ成分が食器TW1から洗浄水に確実性高く移行する。
【0083】
本洗浄工程中においても、濁度センサ35は、洗浄槽7内の洗浄水の濁度を検知して制御部C1に伝達する。制御部C1は、濁度センサ35から洗浄槽7内の洗浄水の汚れ状態情報を取得する。
【0084】
次に、制御部C1はステップS112に移行し、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって操作部40が追加収容事実を検知したか否かを判断する。
【0085】
ユーザが本洗浄工程中に洗浄槽7を引き出して新たな食器TW1を洗浄槽7内に追加した後に食器追加ボタン45を押した場合、ステップS112において「Yes」となって、ステップS114に移行する。
【0086】
その一方、ユーザが本洗浄工程中に新たな食器TW1の追加を行わなければ、ステップS112において「No」となって、ステップS113に移行する。そして、制御部C1は、本洗浄工程が所要時間に到達してステップS113において「Yes」となるまでステップS112、S113を繰り返す。そして、ステップS113において「Yes」になると、本洗浄工程を終了してステップS121に移行する。
【0087】
ステップS112からステップS114に移行すると、制御部C1は、ユーザが本洗浄工程中に洗浄槽7を引き出したタイミングを終期とし、その終期までの第1期間に濁度センサ35から取得した洗浄槽7内の洗浄水の汚れ状態情報を記憶部C12によって記憶した後、本洗浄工程を中断する。第1期間は、本洗浄工程中の汚れ状態情報を濁度センサ35から精度良く取得可能な長さ、例えば0.数秒~数十秒程度に設定されている。そして、制御部C1は、食器追加ボタン45が押された後の洗浄槽7がユーザによって収容位置に戻されるまで待機し、洗浄槽7が収容位置に戻されると、
図5に示すステップS141に移行する。ステップS141以降の処理については後述する。
【0088】
図4に示すステップS113で「Yes」となって本洗浄工程を終了してステップS121に移行すると、制御部C1は、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程は、所要時間に到達してステップS123において「Yes」となるまで継続される。
【0089】
ステップS121によってすすぎ工程が開始された後、制御部C1は、ポンプ62を逆転作動させて汚れた洗浄水を洗浄槽7から排水し、次に給水電磁弁69を制御して洗浄槽7に清浄な洗浄水を給水し、次にその洗浄水によって食器TW1をすすぐことを複数回繰り返す。この際、少なくとも最後の1回のすすぎでは、ヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した洗浄水によって食器TW1をすすぐ。
【0090】
すすぎ工程中においても、濁度センサ35は、洗浄槽7内の洗浄水の濁度を検知して制御部C1に伝達する。制御部C1は、濁度センサ35から洗浄槽7内の洗浄水の汚れ状態情報を取得する。
【0091】
次に、制御部C1はステップS122に移行し、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって操作部40が追加収容事実を検知したか否かを判断する。
【0092】
ユーザがすすぎ工程中に洗浄槽7を引き出して新たな食器TW1を洗浄槽7内に追加した後に食器追加ボタン45を押した場合、ステップS122において「Yes」となって、ステップS124に移行する。
【0093】
その一方、ユーザがすすぎ工程中に新たな食器TW1の追加を行わなければ、ステップS122において「No」となって、ステップS123に移行する。そして、制御部C1は、すすぎ工程が所要時間に到達してステップS123において「Yes」となるまでステップS122、S123を繰り返す。そして、ステップS123において「Yes」になると、洗浄槽7から洗浄水を排水し、すすぎ工程を終了してステップS131に移行する。
【0094】
ステップS122からステップS124に移行すると、制御部C1は、ユーザがすすぎ工程中に洗浄槽7を引き出したタイミングを終期とし、その終期までの第2期間に濁度センサ35から取得した洗浄槽7内の洗浄水の汚れ状態情報を記憶部C12によって記憶した後、すすぎ工程を中断する。第2期間は、すすぎ工程中の汚れ状態情報を濁度センサ35から精度良く取得可能な長さ、例えば0.数秒~数十秒程度に設定されている。そして、制御部C1は、食器追加ボタン45が押された後の洗浄槽7がユーザによって収容位置に戻されるまで待機し、洗浄槽7が収容位置に戻されると、
図5に示すステップS141に移行する。ステップS141以降の処理については後述する。
【0095】
図4に示すステップS123で「Yes」となってすすぎ工程を終了してステップS131に移行すると、制御部C1は、乾燥工程を実行する。乾燥工程は、所要時間に到達してステップS133において「Yes」となるまで継続される。
【0096】
ステップS131によって乾燥工程が開始された後、制御部C1は、乾燥ファン68及びヒータ63を作動させて所定の温度範囲に加熱した温風によって、すすぎ工程後の食器TW1を乾燥させる。
【0097】
乾燥工程中においては、洗浄槽7内に洗浄水が無いので、濁度センサ35は休止状態となり、制御部C1も濁度センサ35から汚れ状態情報を取得できない。
【0098】
次に、制御部C1はステップS132に移行し、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって操作部40が追加収容事実を検知したか否かを判断する。
【0099】
ユーザが乾燥工程中に洗浄槽7を引き出して新たな食器TW1を洗浄槽7内に追加した後に食器追加ボタン45を押した場合、ステップS132において「Yes」となって、ステップS134に移行する。
【0100】
その一方、ユーザが乾燥工程中に新たな食器TW1の追加を行わなければ、ステップS132において「No」となって、ステップS133に移行する。そして、制御部C1は、乾燥工程が所要時間に到達してステップS133において「Yes」となるまでステップS132、S133を繰り返す。そして、ステップS133において「Yes」になると、ヒータ63及び乾燥ファン68を停止し、乾燥工程を終了して洗浄運転プログラムを終了する。
【0101】
ステップS132からステップS134に移行すると、制御部C1は、食器追加ボタン45が押された後の洗浄槽7がユーザによって収容位置に戻されるまで待機し、洗浄槽7が収容位置に戻されると、
図5に示すステップS141に移行する。
【0102】
図4に示すステップS114、ステップS124又はステップS134から
図5に示すステップS141に移行すると、制御部C1は、短縮洗浄工程を開始する。
【0103】
次に、制御部C1はステップS142に移行し、洗浄槽7内の洗浄水が不足する場合、給水を実行する。具体的には、ユーザが食器TW1を追加するために洗浄槽7を引き出したタイミングがすすぎ工程の排水又は給水の途中であった場合や、乾燥工程の途中であった場合、短縮洗浄工程を実行するための洗浄水が不足するので、給水を実行する。
【0104】
次に、制御部C1はステップS143に移行し、追加後検知期間、濁度検知用の洗浄を実行する。これにより、洗浄槽7に追加された食器TW1の汚れが落とされ始めて、汚れ成分が食器TW1から洗浄水に徐々に移行し、洗浄水の濁度が徐々に増加する。
【0105】
濁度検知用の洗浄中、濁度センサ35は、洗浄槽7内の洗浄水の濁度を検知して制御部C1に伝達する。制御部C1は、濁度センサ35から洗浄槽7内の洗浄水の汚れ状態情報を取得する。追加後検知期間は、濁度検知用の洗浄中の汚れ状態情報を濁度センサ35から精度良く取得可能な長さ、例えば数十秒~数分程度に設定されている。本実施例では一例として、予備洗浄工程の所要時間よりも短い1分とする。
【0106】
そして、制御部C1は、追加後検知期間が経過するとステップS144に移行し、本洗浄工程中に操作部40が追加収容事実を検知したか否かを判断する。
【0107】
図4に示すステップS112で「Yes」であった場合、
図5に示すステップS144で「Yes」となってステップS146に移行する。
【0108】
その一方、
図4に示すステップS112で「No」であった場合、
図5に示すステップS144で「No」となってステップS145に移行する。そして、制御部C1は、すすぎ工程中に操作部40が追加収容事実を検知したか否かを判断する。
【0109】
図4に示すステップS122で「Yes」であった場合、
図5に示すステップS145で「Yes」となってステップS147に移行する。
【0110】
その一方、
図4に示すステップS122で「No」であった場合、
図5に示すステップS145で「No」となるので、乾燥工程中に操作部40が追加収容事実を検知したと判断してステップS148に移行する。
【0111】
ステップS144からステップS146に移行すると、制御部C1は、「ステップS143において追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、
図4に示すステップS114において第1期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」に基づいて洗剤の追加量を決定する。例えば、記憶部C12には、「追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、第1期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」と、洗剤の追加量との関係を示すデータテーブルが記憶されており、制御部C1は、そのデータテーブルを参照することにより、洗剤の追加量を決定する。その後、制御部C1は、ステップS149に移行する。
【0112】
ステップS145からステップS147に移行すると、制御部C1は、「ステップS143において追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、
図4に示すステップS124において第2期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」に基づいて洗剤の追加量を決定する。例えば、記憶部C12には、「追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、第2期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」と、洗剤の追加量との関係を示すデータテーブルが記憶されており、制御部C1は、そのデータテーブルを参照することにより、洗剤の追加量を決定する。その後、制御部C1は、ステップS149に移行する。
【0113】
ステップS145からステップS148に移行すると、制御部C1は、ステップS143において追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報に基づいて洗剤の追加量を決定する。例えば、記憶部C12には、追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、洗剤の追加量との関係を示すデータテーブルが記憶されており、制御部C1は、そのデータテーブルを参照することにより、洗剤の追加量を決定する。その後、制御部C1は、ステップS149に移行する。
【0114】
ステップS146、ステップS147又はステップS148において洗剤の追加量を決定した後、ステップS149に移行すると、制御部C1は、短縮洗浄工程を中断する。
【0115】
次に、制御部C1はステップS150に移行して洗剤自動投入手段65を制御し、ステップS146、ステップS147又はステップS148において決定した追加量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入する。
【0116】
次に、制御部C1はステップS151に移行し、短縮洗浄工程の運転制御を再設定する。本実施例では一例として、食器TW1を追加するまでの本洗浄工程の経過時間に応じて、短縮洗浄工程の所要時間を調整する。より詳しくは、短縮洗浄工程の所要時間を本洗浄工程の所要時間28分と同等以下の範囲で初期設定20分よりも長くしたり、短くしたりする。例えば、食器TW1を追加するまでの本洗浄工程の経過時間が本洗浄工程の所要時間28分に近い場合、先に収容された食器TW1の洗浄がほとんど終わっているので、それに応じて短縮洗浄工程の所要時間を初期設定20分から1分~数分程度短くする。また、食器TW1を追加するまでの本洗浄工程の経過時間が数分程度と短い場合、先に収容された食器TW1の洗浄があまり進んでいないので、それに応じて短縮洗浄工程の所要時間を初期設定20分から1分~数分程度長くする。さらに、食器TW1を追加するまでの本洗浄工程の経過時間が1~2分以下と極めて短い場合、先に収容された食器TW1の洗浄がまだ始まったばかりであるので、短縮洗浄工程の所要時間を本洗浄工程の所要時間28分と同等にする。
【0117】
その後、制御部C1は短縮洗浄工程を再開し、短縮洗浄工程の所要時間に到達するとステップS152に移行して短縮洗浄工程を終了する。
【0118】
次に、制御部C1はステップS153に移行し、すすぎ工程を実行する。すすぎ工程の内容は、ステップS121と同様である。すすぎ工程中又は乾燥工程中に食器TW1が追加された場合は、すすぎ工程のやり直しとなる。すすぎ工程の所要時間に到達すると、制御部C1はすすぎ工程を終了する。
【0119】
次に、制御部C1はステップS154に移行し、乾燥工程を実行する。乾燥工程の内容は、ステップS131と同様である。乾燥工程中に食器TW1が追加された場合は、すすぎ工程及び乾燥工程のやり直しとなる。乾燥工程の所要時間に到達すると、制御部C1は乾燥工程を終了し、
図4に示すように洗浄運転プログラムを終了する。
【0120】
図6に、実施例1の食器洗浄機1の洗浄運転において、初期に4人分の食器TW1の洗浄を開始し、洗浄運転の途中において異なるタイミングで2人分の食器TW1を追加した複数のケースの運転時間合計及び洗剤合計を示す。また、
図6に、比較例としてケース4を示す。
【0121】
<ケース1>
ケース1では、予備洗浄工程(2分)の終了後、本洗浄工程を開始する。この際、予備洗浄工程で4人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を初期量5gと決定し、本洗浄工程の初めに洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。
【0122】
その後、運転時間20分経過(予備洗浄工程2分、本洗浄工程18分)した後、ユーザが2人分の食器TW1を追加し、
図4に示すステップS112において操作部40が追加収容事実を検知する。
【0123】
これにより、短縮洗浄工程が開始され、
図5に示すステップS146において2人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を追加量3gと決定し、洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。
【0124】
そして、
図5に示すステップS151によって短縮洗浄工程を本洗浄工程よりも短い所要時間20分で終了した後、すすぎ工程40分、乾燥工程50分を実行して洗浄運転を終了する。その結果、
図6に示すように、運転時間合計130分、洗剤合計8gとなる。
【0125】
<ケース2>
ケース2では、予備洗浄工程(2分)の終了後、本洗浄工程を開始する。この際、予備洗浄工程で4人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を初期量5gと決定し、本洗浄工程の初めに洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。そして、本洗浄工程を所要時間28分で終了した後、すすぎ工程を開始する。
【0126】
その後、運転時間60分経過(予備洗浄工程2分、本洗浄工程28分、すすぎ工程30分)した後、ユーザが2人分の食器TW1を追加し、
図4に示すステップS122において操作部40が追加収容事実を検知する。
【0127】
これにより、短縮洗浄工程が開始され、
図5に示すステップS147において2人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を追加量3gと決定し、洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。
【0128】
そして、
図5に示すステップS151によって短縮洗浄工程を本洗浄工程よりも短い所要時間20分で終了した後、すすぎ工程をやり直して所要時間40分で終了し、次に乾燥工程50分を実行して洗浄運転を終了する。その結果、
図6に示すように、運転時間合計170分、洗剤合計8gとなる。
【0129】
<ケース3>
ケース3では、予備洗浄工程(2分)の終了後、本洗浄工程を開始する。この際、予備洗浄工程で4人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を初期量5gと決定し、本洗浄工程の初めに洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。そして、本洗浄工程を所要時間28分で終了し、次にすすぎ工程を所要時間40分で終了した後、乾燥工程を開始する。
【0130】
その後、運転時間90分経過(予備洗浄工程2分、本洗浄工程28分、すすぎ工程40分、乾燥工程20分)した後、ユーザが2人分の食器TW1を追加し、
図4に示すステップS132において操作部40が追加収容事実を検知する。
【0131】
これにより、短縮洗浄工程が開始され、
図5に示すステップS148において2人分の食器TW1の洗浄に必要な洗剤の量を追加量3gと決定し、洗剤自動投入手段65によって洗浄槽7に自動投入する。
【0132】
そして、
図5に示すステップS151によって短縮洗浄工程を本洗浄工程よりも短い所要時間20分で終了した後、すすぎ工程をやり直して所要時間40分で終了し、次に乾燥工程をやり直して所要時間50分で終了し、洗浄運転を終了する。その結果、
図6に示すように、運転時間合計200分、洗剤合計8gとなる。
【0133】
<ケース4>
ケース4では、実施例1の食器洗浄機1に係る濁度センサ35及び洗剤自動投入手段65が無く、食器TW1の追加収容事実も検知不能であり、短縮洗浄工程を実行できない従来の食器洗浄機において、1回目に4人分の食器TW1について洗浄運転を実行し、2回目に2人分の食器TW1について洗浄運転を実行している。
【0134】
この例では、ケース1~3における予備洗浄工程(所要時間2分)及び本洗浄工程(所要時間28分)の代わりに、洗浄工程(所要時間30分)を実行する。すすぎ工程及び乾燥工程の所要時間は、ケース1~3と同じである。
【0135】
その結果、運転時間合計は、ケース1~3よりも長い240分となる。また、洗剤合計も、ケース1~3よりも多い10gとなる。
【0136】
<作用効果>
実施例の食器洗浄機1では、制御部C1は、
図4のステップS101において、洗浄運転の初期に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報に基づいて、洗剤の初期量を決定する。また、制御部C1は、本洗浄工程中、すすぎ工程中又は乾燥工程中に食器TW1が追加された場合、
図5のステップS146、S147、S148において、濁度センサ35から取得した汚れ状態情報に基づいて、洗剤の追加量を決定する。これにより、例えば、樹脂製の皿のような軽い食器TW1に多量の汚れが付着する場合と、厚肉の陶器製の大皿のような重い食器TW1に少量の汚れが付着する場合とで、制御部C1が初期量及び追加量を好適に決定できる。
【0137】
そして、この食器洗浄機1では、その好適に決定された洗剤の初期量に応じて、
図4のステップS111において、洗剤自動投入手段65が初期量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入でき、また、
図5のステップS150において、洗剤自動投入手段65が追加量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入できる。
【0138】
その結果、ユーザは、洗浄運転中に追加した食器TW1に付着した汚れの量や質等を考慮する必要がなく、マニュアル操作で運転方法を設定する必要もない。
【0139】
したがって、実施例の食器洗浄機1では、ユーザの利便性の向上を実現できる。
【0140】
また、この食器洗浄機1は、
図3に示すように、洗浄運転が一時中断されて追加収容事実が発生した後に洗浄運転の再開を指示する再開指示入力を受ける食器追加ボタン45をさらに備えている。そして、操作部40は、
図4のステップS112、S122、S132において食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって追加収容事実を検知する。この構成により、ユーザは、食器追加ボタン45に対して再開指示入力を行うという簡素な操作を行って洗浄運転を再開できるので、ユーザの利便性の向上を一層実現できる。
【0141】
さらに、この食器洗浄機1は、
図1に示す洗剤自動投入手段65によって、
図4のステップS111において、初期量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入でき、また、
図5のステップS150において、追加量の洗剤を洗浄槽7に自動で投入できる。この構成により、ユーザが洗剤を洗浄槽7に手動で投入する手間を省くことができるので、ユーザの利便性の向上をより一層実現できる。
【0142】
また、この食器洗浄機1では、制御部C1は、
図4のステップS112において、本洗浄工程中に操作部40が追加収容事実を検知した場合、ステップS114に移行し、本洗浄工程中に追加収容事実を検知するまでの第1期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報を記憶し、次に、本洗浄工程を中断する。そして、制御部C1は、
図5のステップS141に移行し、本洗浄工程と同等以下の所要時間で食器TW1を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、ステップS143、S146において、「短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、第1期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」に基づいて追加量を決定した後、ステップS149に移行して短縮洗浄工程を中断し、ステップS150に移行して追加量の洗剤が洗浄槽7に投入された後、ステップS151に移行して短縮洗浄工程を再開する。この構成により、ユーザが本洗浄工程中に食器TW1を追加しても、追加された食器TW1に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽7に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての食器TW1を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからステップS101を含めてやり直す場合と比較して、食器TW1の洗浄を早期に終了させることができる。
【0143】
さらに、この食器洗浄機1では、制御部C1は、
図4のステップS122において、すすぎ工程中に操作部40が追加収容事実を検知した場合、ステップS124に移行し、すすぎ工程中に追加収容事実を検知するまでの第2期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報を記憶し、次に、すすぎ工程を中断する。そして、制御部C1は、
図5のステップS141に移行し、本洗浄工程と同等以下の所要時間で食器TW1を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、ステップS143、S147において、「短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報と、第2期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報との差分」に基づいて追加量を決定した後、ステップS149に移行して短縮洗浄工程を中断し、ステップS150に移行して追加量の洗剤が洗浄槽7に投入された後、ステップS151に移行して短縮洗浄工程を再開する。その後、制御部C1は、ステップS153に移行してすすぎ工程をやり直す。この構成により、ユーザがすすぎ工程中に食器TW1を追加しても、追加された食器TW1に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽7に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての食器TW1を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからステップS101を含めてやり直す場合と比較して、食器TW1の洗浄を早期に終了させることができる。
【0144】
また、この食器洗浄機1では、制御部C1は、
図4のステップS132において、乾燥工程中に操作部40が追加収容事実を検知した場合、ステップS134に移行し、乾燥工程を中断する。そして、制御部C1は、
図5のステップS141に移行し、本洗浄工程と同等以下の所要時間で食器TW1を洗浄する短縮洗浄工程を開始し、次に、ステップS143、S148において、短縮洗浄工程を開始してから追加後検知期間に濁度センサ35から取得した汚れ状態情報に基づいて追加量を決定した後、ステップS149に移行して短縮洗浄工程を中断し、ステップS150に移行して追加量の洗剤が洗浄槽7に投入された後、ステップS151に移行して短縮洗浄工程を再開する。その後、制御部C1は、ステップS153に移行してすすぎ工程をやり直し、ステップS154に移行して乾燥工程をやり直す。この構成により、ユーザが乾燥工程中に食器TW1を追加しても、追加された食器TW1に付着した汚れの量や質等に応じた追加量の洗剤を洗浄槽7に投入できるため、洗剤の過不足なく、全ての食器TW1を好適に洗浄できる。また、短縮洗浄工程により、洗浄運転の初めからステップS101を含めてやり直す場合と比較して、食器TW1の洗浄を早期に終了させることができる。
【0145】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0146】
実施例では、食器洗浄機1が備える洗剤自動投入手段65が洗剤を洗浄槽7に自動で投入するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、ユーザが初期量の洗剤及び追加量の洗剤を洗浄槽に手動で投入してもよい。この場合、制御部は、表示部に洗剤の初期量を表示部に表示して洗浄槽への投入を促す報知を実行するとともに、表示部に洗剤の追加量を表示部に表示して洗浄槽への投入を促す報知を実行することが好ましい。
【0147】
実施例では、濁度検知手段が濁度センサ35であるが本発明はこの構成には限定されず、各種の測定原理によって濁度を検知する濁度検知手段を適宜採用できる。
【0148】
実施例では、洗剤自動投入手段65が液状の洗剤を投入するが、本発明はこの構成には限定されず、洗剤自動投入手段が粉状又はタブレット状の洗剤を投入してもよい。
【0149】
実施例に係る洗浄運転について乾燥工程を含まないように変更した構成、すなわち、すすぎ工程の終了によって洗浄運転プログラムを終了する構成も本発明に含まれる。
【0150】
実施例では、
図5のステップS151において短縮洗浄工程の所要時間を調整しているが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、短縮洗浄工程の運転制御の再設定は、ノズルから噴射される洗浄水の水圧や洗浄水の温度等について実施してもよい。
【0151】
実施例において、汚れが少ない食器TW1が追加される場合や予洗いされた食器TW1が追加される場合、
図5のステップS146、S147、S148で洗剤の追加量がゼロになり得る。
【0152】
実施例では、食器追加ボタン45が再開指示入力を受けたことによって操作部40が追加収容事実を検知するが、本発明はこの構成には限定されない。例えば、追加収容検知手段は、食器かご70に載置された食器TW1の重量の増加を検知する重量センサや、その重量の増加に伴う食器かご70の歪みを検知する歪みセンサであってもよい。そして、入力手段は、洗浄槽7が収容位置に戻されたことを検知する位置センサであって、ユーザが食器TW1を追加した後に洗浄槽7を収容位置に戻す動作を洗浄運転の再開を指示する再開指示入力として受けるようになっていてもよい。また、引き出し式ではない洗浄槽をドアが開放及び閉鎖する構成の場合、ドアが洗浄槽を閉鎖したことを検知する開閉センサが入力手段であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0153】
本発明は例えば、食器洗浄機、食器洗浄乾燥機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0154】
1…食器洗浄機
TW1…被洗浄物(食器)
7…洗浄槽
61、62…洗浄装置(61…ノズル、62…ポンプ)
35…濁度検知手段(濁度センサ)
C1…制御部
40…追加収容検知手段(操作部)
45…入力手段(食器追加ボタン)
65…洗剤自動投入手段