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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】吐出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/08 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
B65D47/08 100
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020113250
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011860
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190168(JP,A)
【文献】実開平07-044730(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0320042(US,A1)
【文献】特開2000-109109(JP,A)
【文献】特開昭63-033279(JP,A)
【文献】国際公開第2007/060759(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体よりも上方に配置されると共に、前記キャップ本体に組み合わされた操作レバーと、を備え、
前記キャップ本体は、前記容器本体の口部を閉塞すると共に、内容物を吐出する吐出口が形成された閉塞部を有し、
前記閉塞部には、下方に向けて弾性変形可能とされると共に、弾性変形によって前記容器本体の内圧を上昇させる弾性変形部が形成され、
前記閉塞部は、頂壁及び周壁を有すると共に、上方に向かって突出した有頂筒状に形成され、
前記周壁の一部には、前記吐出口が形成された平坦状の吐出壁が形成され、
前記頂壁は、肉厚が前記吐出壁の肉厚よりも薄肉となるように形成され、
前記弾性変形部は、前記周壁のうち前記吐出壁とは異なる部分であって、且つキャップ軸方向から見て、前記吐出口とは前記容器本体の径方向の反対側に位置する部分に形成されると共に、前記頂壁に連設され、
さらに前記弾性変形部は、肉厚が前記頂壁の肉厚よりも薄肉となるように形成され、
前記操作レバーは、基端部及び自由端部を有すると共に、前記基端部を介して前記キャップ本体に連結され、且つ前記基端部を支点として押下げ操作可能とされ、
前記弾性変形部は、前記操作レバーのうち前記基端部と前記自由端部との間に位置する中間部の下方に配置されていることを特徴とする吐出キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の吐出キャップにおいて、
前記操作レバーは、ヒンジ部を介して前記基端部が前記キャップ本体に連結され、前記閉塞部を覆うセット位置と、前記閉塞部上から退避した退避位置との間を、前記ヒンジ部を中心として回動可能とされている、吐出キャップ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の吐出キャップにおいて
前記操作レバーは、前記キャップ軸方向から見て、前記基端部が前記吐出口側に位置し、且つ前記自由端部が前記弾性変形部側に位置した状態で、前記中間部が前記頂壁及び前記弾性変形部を覆うように配置されている、吐出キャップ。
【請求項4】
請求項に記載の吐出キャップにおいて、
前記操作レバーには、前記吐出口の内側に嵌合すると共に、前記吐出口を通じて前記容器本体内に連通する吐出ノズルが形成されている、吐出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、内容物が収容される容器本体の口部に装着され、内容物を吐出する吐出ノズル及び弾性圧潰部を有する有頂筒状のキャップ本体を備えた、合成樹脂製の吐出キャップが知られている。弾性圧潰部は、下方に向けて押圧可能な有頂筒状に形成され、押下げ操作可能なボタン部として機能する。
この吐出キャップでは、弾性圧潰部を押圧して容器本体側に向けて押し込むことで、容器本体の内圧を上昇させることができる。これにより、吐出ノズルを通じて内容物を吐出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-44730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら従来の吐出キャップは、射出成形によって一体的に形成された合成樹脂製とされている場合が多く、弾性圧潰部が硬く形成され易かった。そのため、弾性圧潰部を押下げ操作し難く、操作性に改善の余地があった。
なお、例えば弾性圧潰部がエラストマ等の軟材質で形成されるように、吐出キャップを2パーツ部品で成形した場合には、弾性圧潰部の押下げ操作性の向上化に繋げることが可能である。しかしながら、この場合には製造コストがかかってしまうという別の課題が生じてしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、押下げ操作性に優れた吐出キャップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る吐出キャップは、内容物が収容される容器本体の口部を覆うキャップ本体と、前記キャップ本体よりも上方に配置されると共に、前記キャップ本体に組み合わされた操作レバーと、を備え、前記キャップ本体は、前記容器本体の口部を閉塞すると共に、内容物を吐出する吐出口が形成された閉塞部を有し、前記閉塞部には、下方に向けて弾性変形可能とされると共に、弾性変形によって前記容器本体の内圧を上昇させる弾性変形部が形成され、前記閉塞部は、頂壁及び周壁を有すると共に、上方に向かって突出した有頂筒状に形成され、前記周壁の一部には、前記吐出口が形成された平坦状の吐出壁が形成され、前記頂壁は、肉厚が前記吐出壁の肉厚よりも薄肉となるように形成され、前記弾性変形部は、前記周壁のうち前記吐出壁とは異なる部分であって、且つキャップ軸方向から見て、前記吐出口とは前記容器本体の径方向の反対側に位置する部分に形成されると共に、前記頂壁に連設され、さらに前記弾性変形部は、肉厚が前記頂壁の肉厚よりも薄肉となるように形成され、前記操作レバーは、基端部及び自由端部を有すると共に、前記基端部を介して前記キャップ本体に連結され、且つ前記基端部を支点として押下げ操作可能とされ、前記弾性変形部は、前記操作レバーのうち前記基端部と前記自由端部との間に位置する中間部の下方に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る吐出キャップによれば、操作レバーにおける中間部の下方に弾性変形部が配置されているので、操作レバーを押下げ操作することで、中間部を介して弾性変形部を下方に向けて弾性変形させることができる。これにより容器本体の内圧を上昇させることができ、吐出口を通じて容器本体内の内容物を外部に吐出することができる。
そして内容物の吐出後、操作レバーの押下げを解除すると、弾性変形部は弾性復元変形により元の状態に復帰すると共に、これに伴って操作レバーも元の状態に復帰する。これにより、次回の押下げ操作に備えることができる。
【0008】
特に、操作レバーを押下げ操作する際、自由端部側を押し下げることで、該自由端部を力点として機能させることができる。これにより、支点として機能する基端部と、力点として機能する自由端部との間に位置する中間部を作用点として機能させることができるので、いわゆる「てこの原理」を利用して弾性変形部を弾性変形させることができる。従って、操作レバーを実際に押し下げる押下げ力よりも、大きな押下げ力を弾性変形部に加えることができ、弾性変形部を効率良く弾性変形させることができる。従って、大きな押下げ力を必要とすることなく操作レバーを押下げ操作することができ、押下げ操作性に優れた使い易い吐出キャップとすることができる。
さらに、閉塞部が上方に向けて膨らんだ有頂筒状に形成されているので、頂壁に対して押下げ力を集中的に加え易い構造とされている。そのうえで、弾性変形部が頂壁に連設された状態で周壁に形成されているので、操作レバーの中間部を利用して頂壁に押下げ力を加えた時に、頂壁ごと弾性変形部を下方に向けて弾性変形させることができる。これにより、有頂筒状の閉塞部を例えば押潰すように弾性変形させることができ、容器本体の内圧を効率良く上昇させ易い。従って、よりスムーズに内容物を吐出することが可能である。
【0009】
(2)前記操作レバーは、ヒンジ部を介して前記基端部が前記キャップ本体に連結され、前記閉塞部を覆うセット位置と、前記閉塞部上から退避した退避位置との間を、前記ヒンジ部を中心として回動可能とされても良い。
【0010】
この場合には、操作レバーを退避位置に位置させることで、キャップ本体に対する操作レバーの組み合わせを解除することができる。従って、成形金型を利用した射出成形により吐出キャップの全体を合成樹脂材料で一体的に形成することが可能となる。つまり、操作レバーが退避位置にある場合には、成形金型の金型構造やスムーズな離型性等を考慮して、吐出キャップの全体が成形に適した状態となる。従って、吐出キャップを効率良く製造することができる。
また成形後に、ヒンジ部を中心として操作レバーを退避位置からセット位置に移行させることで、キャップ本体に操作レバーを簡便に組み合わせることができる。従って、成形後の組み立てについても容易に行うことができる。これらのことにより、製造コストを抑制しながら量産化を図ることができる。
【0013】
)前記操作レバーは、前記キャップ軸方向から見て、前記基端部が前記吐出口側に位置し、且つ前記自由端部が前記弾性変形部側に位置した状態で、前記中間部が前記頂壁及び前記弾性変形部を覆うように配置されても良い。
【0014】
この場合には、例えば容器本体を把持しながら指先で操作レバーを押下げ操作する場合、指先を吐出口に向けた状態で操作レバーの自由端部を指先で押下げ操作することができる。従って、例えば手首等を捻ることなく、吐出口を自然と下向きにすることができるので、押下げ操作性をさらに向上することができる。
さらに、操作レバーの自由端部と吐出口とを径方向に離すことができるので、吐出口から離れた位置で操作レバーを押下げ操作することができる。そのため、吐出口に対して指先を触れ難くすることができ、吐出口を清浄に維持し易いうえ、内容物が周囲に飛散するような不都合を抑制することができる。
【0015】
)前記操作レバーには、前記吐出口の内側に嵌合すると共に、前記吐出口を通じて前記容器本体内に連通する吐出ノズルが形成されても良い。
【0016】
この場合には、容器本体の内圧上昇に伴って吐出ノズルを通じて内容物を外部に吐出することができる。特に、吐出ノズルが吐出口の内側に嵌合するので、キャップ本体に対して操作レバーをより安定した姿勢で組み合わせることができ、安定した押下げ操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、押下げ操作性に優れた吐出キャップとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る吐出キャップの実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す吐出キャップ(カバーキャップを除く)の斜視図である。
図3図1に示す状態からカバーキャップが開いた状態での吐出キャップの上面図である。
図4図2に示す状態から操作レバーを退避位置に移行させた状態を示す吐出キャップの斜視図である。
図5図4に示す状態における吐出キャップの縦断面図である。
図6】内容物を吐出している状態を示す吐出キャップの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る吐出キャップの実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の吐出キャップ1は、内容物が収容される容器本体2の口部3に装着された状態で使用されるキャップである。
容器本体2としては、特に限定されるものではないが、例えばガラス瓶や合成樹脂製ボトル等が挙げられる。容器本体2の口部3の外周面には、例えば第1ねじ部4が形成されている。
【0020】
図1及び図2に示すように、吐出キャップ1は、容器本体2の口部3を覆うキャップ本体10と、キャップ本体10の後述する閉塞部21を覆うようにキャップ本体10に組み合わされた操作レバー11と、キャップ本体10の閉塞部21及び操作レバー11をさらに覆う有頂筒状のカバーキャップ12と、を備えている。なお、図2では、容器本体2及びカバーキャップ12の図示を省略している。
【0021】
なお、吐出キャップ1は、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂材料によって成形されることで、キャップ本体10、操作レバー11及びカバーキャップ12が一体的に形成された成形部品とされている。
【0022】
図1において、容器本体2の口部3、キャップ本体10及びカバーキャップ12は、それぞれの中心軸線が共通軸上に配置されている。以下、この共通軸をキャップ軸Oといい、キャップ軸Oに沿ったカバーキャップ12側を上方、その反対側である容器本体2側を下方という。また、キャップ軸O方向から見た平面視において、キャップ軸Oに交差する方向を径方向といい、キャップ軸O回りに周回する方向を周方向という。
さらに径方向のうち、互いに直交し合う2方向を前後方向L1及び左右方向L2という。そして前後方向L1に沿った一方向を前方、その反対方向を後方という。
【0023】
なお、容器本体2の口部3に、容器本体2の内部を密封する取り外し可能な中栓キャップ(不図示)が装着されていても構わない。この場合の中栓キャップは、例えば製品出荷時に装着されるものであって、吐出キャップ1の使用時に口部3から取り外される。また、容器本体2の口部3に、容器本体2の内部を密封する剥離可能なシール材(不図示)を貼着していても構わない。この場合においても、シール材は例えば製品出荷時に装着され、吐出キャップ1の使用時に口部3から取り外される。
【0024】
キャップ本体10は、容器本体2の口部3に装着される装着筒部20と、装着筒部20の上端部に連設され、容器本体2の口部3を覆って閉塞する閉塞部21と、を備えた有頂筒状に形成されている。
装着筒部20の内周面には、容器本体2の口部3に形成された第1ねじ部4に螺着される第2ねじ部22が形成されている。これにより、キャップ本体10は、容器本体2の口部3に対してねじ結合により装着される。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばキャップ本体10の装着筒部20が容器本体2の口部3に対してアンダーカット嵌合により装着されても構わない。
【0025】
閉塞部21は、装着筒部20の上端部に連設されると共に、容器本体2の口部3の上端開口縁上に配置される環状のフランジ壁25と、フランジ壁25の内周縁部から上方に向かって突出した周壁26と、周壁26の上端部に連設され、周壁26の上方開口部を閉塞する頂壁27と、を備えている。これにより、閉塞部21の全体は、上方に向けて突出した有頂筒状に形成されている。
【0026】
フランジ壁25における外周縁部には、全周に亘って下方に窪んだ段差部25aが形成されている。周壁26は、フランジ壁25の内周縁部から上方に向かうにしたがって径方向の内側に延びるように形成されている。従って、図示の例では、周壁26は上方に向かうにしたがって縮径する縦断面視テーパ状に形成されている。ただし、周壁26の形状は、この場合に限定されるものではない。
【0027】
上述のように構成された閉塞部21には、内容物を吐出する吐出口28が形成されていると共に、下方に向けて弾性変形可能とされ、弾性変形によって容器本体2の内圧を上昇させる弾性変形部29が形成されている。
以下に詳しく述べる。
【0028】
図3図5に示すように、閉塞部21における周壁26のうち前方側を向いた部分には、平坦状の吐出壁30が形成されている。なお、図4では、容器本体2及びカバーキャップ12の図示を省略している。
吐出口28は、吐出壁30を前後方向L1に貫通するように形成されている。図示の例では、吐出口28は、吐出壁30における外面側で開口する開口径の方が、内面側で開口する開口径よりも大きくなるように縦断面視テーパ状に形成されている。
ただし、吐出口28はテーパ状に形成されている必要はなく、例えば開口径が変化しないストレート状に形成されていても構わない。
【0029】
なお、フランジ壁25のうち吐出壁30の前方に位置する部分には、該フランジ壁25を周方向に分断する切欠部31が形成されている。この切欠部31の内側に位置する部分は、操作レバー11が連結される連結壁32とされている。
【0030】
弾性変形部29は、周壁26のうち上記吐出壁30とは異なる部分に形成されている。具体的には、弾性変形部29は、周壁26のうち後方に位置する部分に形成され、且つ頂壁27に連設されるように形成されている。これにより、弾性変形部29は、キャップ軸O方向から見て、吐出口28とは径方向の反対側に位置する部分に形成されている。そのため、吐出口28及び弾性変形部29は、前後方向L1に沿って並ぶように配置されている。
【0031】
図示の例では、弾性変形部29は、頂壁27よりも下方に配置され、平面視円弧状に形成された第1段差壁40、及び第1段差壁40よりも下方に配置され、平面視円弧状に形成された第2段差壁41を有する蛇腹状(階段状)に形成されている。
第1段差壁40は、頂壁27よりも後方側に配置されていると共に、頂壁27の外周縁部のうち、該頂壁27と吐出壁30との接続部分を除いた部分に沿って延びる平面視円弧状に形成されている。また頂壁27の外周縁部と第1段差壁40の内周縁部とは、第1周壁42を介して接続されている。
第2段差壁41は、第1段差壁40により後方側に配置されていると共に、第1段差壁40の外周縁部に沿って延びる平面視円弧状に形成されている。また第1段差壁40の外周縁部と第2段差壁41の内周縁部とは、第2周壁43を介して接続されている。
【0032】
上述のように、弾性変形部29が蛇腹状に形成されているので、頂壁27に対して押下げ力を加えたときに、弾性変形部29の全体を下方に向けて押し潰すように弾性変形させることが可能とされている。
特に、第1段差壁40及び第2段差壁41は、キャップ本体10の縦断面視において、頂壁27と吐出壁30との接続部分に向けてそれぞれ傾斜するように形成されている。これにより、頂壁27及び弾性変形部29は、主に頂壁27と吐出壁30との接続部分を基点として押し潰れるように弾性変形可能とされている。
【0033】
さらに図示の例では、頂壁27の肉厚が吐出壁30の肉厚よりも薄肉となるように形成されていると共に、弾性変形部29の肉厚が頂壁27の肉厚よりも薄肉となるように形成されている。そのため、弾性変形部29は、蛇腹状に形成されていることと相まって薄肉に形成されていることで、特に弾性変形し易い構成とされている。
【0034】
続いて、操作レバー11について説明する。
図1及び図2に示すように、操作レバー11は、基端部50及び自由端部51を有する板状に形成され、閉塞部21を上方から覆うように基端部50を介してキャップ本体10に連結され、且つ基端部50を支点として押下げ操作可能とされている。
操作レバー11は、キャップ軸O方向から見た平面視で、前後方向L1に沿って延びるように形成され、基端部50が吐出口28側に位置し、且つ自由端部51が弾性変形部29側に位置した状態で、基端部50と自由端部51との間の中間部52が頂壁27及び弾性変形部29を覆うように配置されている。
【0035】
操作レバー11は、連結壁32に対して上方から重なる第1レバー片55と、第1レバー片55の後端部から斜め後上方に向かって延びると共に吐出壁30に対して前方から重なる第2レバー片56と、第2レバー片56の上端部から後方に向かって延びると共に、頂壁27及び弾性変形部29の上方に配置される第3レバー片57と、を備えている。これにより、操作レバー11は、複数回の屈曲が繰り返された板状に形成されている。
【0036】
このように構成された操作レバー11において、第1レバー片55における前端部が操作レバー11としての基端部50として機能する。また第3レバー片57における後端部が操作レバー11としての自由端部51として機能する。さらに、第3レバー片57における中央部が、操作レバー11としての中間部52として機能する。これにより、頂壁27及び弾性変形部29は、操作レバー11における中間部52の下方に配置されている。
【0037】
操作レバー11の基端部50である第1レバー片55の前端部は、第1ヒンジ部(ヒンジ部)60を介して連結壁32に対して連結されている。第1ヒンジ部60は、左右方向L2に延びるヒンジ軸M1を有している。そのため、操作レバー11は、第1ヒンジ部60を中心として、すなわちヒンジ軸M1回りに前後方向L1に回動可能とされている。
具体的に操作レバー11は、図1及び図2に示すように閉塞部21を覆うセット位置P1と、図3図5に示すように閉塞部21上から退避した退避位置P2との間を、ヒンジ軸M1回りに回動可能とされている。
【0038】
図1及び図2に示すように、第2レバー片56には、吐出口28の内側に嵌合すると共に、吐出口28を通じて容器本体2内に連通する吐出ノズル61が形成されている。
吐出ノズル61は、第2レバー片56に対して直交するように形成されていると共に、第2レバー片56よりも斜め後下方に向けて突出し、且つ第2レバー片56よりも斜め前上方に向けて突出するように形成されている。これにより、吐出ノズル61の後端部側が吐出口28の内側に入り込むことが可能とされている。
【0039】
なお、吐出ノズル61における後端部には、吐出ノズル61の径方向外側に膨らむと共に、吐出口28の内側に例えばアンダーカット嵌合される係合突部62が形成されている。これにより、吐出ノズル61を吐出口28の内側に嵌合させることが可能とされている。
【0040】
第3レバー片57は、平面視で概略半円状に形成されていると共に、キャップ本体10の縦断面視で、第2レバー片56の上端部から後方に向かうにしたがって僅かに上方に向けて延びるように形成されている。
【0041】
図1及び図3に示すように、カバーキャップ12は、操作レバー11よりも上方に配置された頂壁部70と、頂壁部70の外周縁部から下方に向けて延び、その下端部がキャップ本体10における段差部25aに対して上方から接触した周壁部71と、を備えた有頂筒状に形成されている。これにより、カバーキャップ12は、閉塞部21及び操作レバー11の全体を覆っている。
【0042】
カバーキャップ12は、第2ヒンジ部72を介してキャップ本体10に連結されると共に、第2ヒンジ部72を中心とした回動によって吐出口28を開閉することが可能とされている。
第2ヒンジ部72は、キャップ本体10における装着筒部20の上端部とカバーキャップ12における周壁部71の下端部とを連結しており、そのヒンジ軸M2は前後方向L1に延びている。従って、第2ヒンジ部72は、キャップ軸O方向から見た平面視で、ヒンジ軸M2が第1ヒンジ部60のヒンジ軸M1に対して直交するように配置されている。
【0043】
周壁部71のうち前方に位置する部分の下端部には、カバーキャップ12を閉めた時に、操作レバー11における第1レバー片55に対する接触を回避する切欠部73が形成されている。さらに周壁部71の内側には、カバーキャップ12を閉めた時に、吐出ノズル61の前方開口部を閉塞する膨出部74が形成されている。
【0044】
(吐出キャップの作用)
次に、上記のように構成された吐出キャップ1を利用して内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、図1に示す状態から、第2ヒンジ部72のヒンジ軸M2回りにカバーキャップ12を回動させる(図3参照)ことで、カバーキャップ12を開操作する。これにより、吐出ノズル61から膨出部74を離脱させて、吐出ノズル61の前方開口部を開放することができる。
【0045】
カバーキャップ12を開操作した後、例えば容器本体2を把持し、図6に示すように容器本体2の姿勢を傾けながら、矢印Fで示す如く指先で操作レバー11を押下げ操作する。これにより、操作レバー11における第3レバー片57を介して弾性変形部29を容器内側に向けて弾性変形させることができる。従って、容器本体2の内圧を上昇させることができ、吐出ノズル61を通じて容器本体2内の内容物を外部に吐出することができる。
【0046】
なお、操作レバー11の1回の押下げ操作によって、弾性変形部29を一定量だけ弾性変形させることが可能であるので、容器本体2の内圧を予め決まった圧力分だけ上昇させることができる。従って、1回の押下げ操作毎に、決まった吐出量分だけ内容物を吐出させることが可能である。なお、図示の例では、決まった吐出量分だけ内容物を液滴状に吐出している。
【0047】
内容物の吐出後、操作レバー11の押下げを解除すると、弾性変形部29は弾性復元変形により元の状態に復帰すると共に、これに伴って操作レバー11も元の状態に復帰する。なお、弾性変形部29の復元変形によって容器本体2内は負圧になるが、吐出ノズル61を通じて容器本体2内に空気を流入させることができるので、容器本体2内の負圧を解消することが可能である。従って、次回の押下げ操作に備えることができる。
【0048】
特に、操作レバー11を押下げ操作する際、自由端部51(第3レバー片57の後端部)側を押し下げることで、該自由端部51を力点として機能させることができる。これにより、支点として機能する基端部50(第1レバー片55の前端部)と、力点として機能する自由端部51(第3レバー片57の後端部)との間に位置する中間部52(第3レバー片57の中央部)を作用点として機能させることができるので、いわゆる「てこの原理」を利用して弾性変形部29を弾性変形させることができる。従って、操作レバー11を実際に押し下げる押下げ力よりも、大きな押下げ力を弾性変形部29に加えることができ、弾性変形部29を効率良く弾性変形させることができる。
【0049】
従って、本実施形態の吐出キャップ1によれば、大きな押下げ力を必要とすることなく操作レバー11を押下げ操作することができ、押下げ操作性に優れた使い易い吐出キャップ1とすることができる。
【0050】
さらに、閉塞部21が上方に向けて膨らんだ有頂筒状に形成されているので、頂壁27に対して押下げ力を集中的に加え易い構造とされている。そのうえで、弾性変形部29が頂壁27に連設された状態で周壁26に形成されているので、操作レバー11を利用して頂壁27に押下げ力を加えた時に、頂壁27ごと弾性変形部29を弾性変形させることができる。これにより、有頂筒状の閉塞部21を例えば押潰すように弾性変形させることができ、容器本体2の内圧を効率良く上昇させ易い。従って、よりスムーズに内容物を吐出することが可能である。
【0051】
さらに、容器本体2を把持しながら指先で操作レバー11を押下げ操作する際に、指先を吐出口28及び吐出ノズル61側に向けた状態で操作レバー11の自由端部51(第3レバー片57の後端部)を指先で押下げ操作することができる。従って、例えば手首等を捻ることなく、吐出ノズル61を例えば自然と下向きにすることができるので、押下げ操作性をさらに向上することができる。
さらに、操作レバー11の自由端部51(第3レバー片57の後端部)と吐出口28とを径方向に離すことができるので、吐出ノズル61から離れた位置で操作レバー11を押下げ操作することができる。そのため、吐出ノズル61に対して指先を触れ難くすることができ、吐出ノズル61を清浄に維持し易いうえ、内容物が周囲に飛散するような不都合を抑制することができる。
【0052】
さらに、吐出ノズル61を吐出口28の内側に嵌合させているので、キャップ本体10に対して操作レバー11をより安定した姿勢で組み合わせることができ、安定した押下げ操作を行うことができる。
【0053】
さらに、操作レバー11を第1ヒンジ部60のヒンジ軸M1回りに回動させて、図3図5に示すように操作レバー11を退避位置P2に位置させることで、キャップ本体10に対する操作レバー11の組み合わせを解除できる。従って、成形金型を利用した射出成形により吐出キャップ1の全体を合成樹脂材料で一体的に形成することが可能となる。つまり、操作レバー11が退避位置P2にある場合には、成形金型の金型構造やスムーズな離型性等を考慮して、吐出キャップ1の全体が成形に適した状態となる。従って、吐出キャップ1を効率良く製造することができる。
【0054】
また成形後に、第1ヒンジ部60のヒンジ軸M1回りに操作レバー11を回動させて、退避位置P2からセット位置P1に移行させることでキャップ本体10に操作レバー11を簡便に組み合わせることができる。従って、成形後の組み立てについても容易に行うことができる。
これらのことにより、製造コストを抑制しながら量産化を図ることができる。
【0055】
さらに、カバーキャップ12を具備しているので、操作レバー11の誤操作を防止することができる。しかも、キャップ軸O方向から見て、第2ヒンジ部72のヒンジ軸M2と第1ヒンジ部60のヒンジ軸M1とが直交しているので、カバーキャップ12を開操作したときに、操作レバー11の押下げ操作に邪魔とならない位置にカバーキャップ12を位置させることができる。
従って、カバーキャップ12を気にすることなく、操作レバー11を押下げ操作することができ、良好な操作性を具備することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能であることに加え、各実施形態における変形例を適宜組み合わせてもよい。さらに、本実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0057】
例えば上記実施形態では、第2ヒンジ部72を介してカバーキャップ12をキャップ本体10に連結させたが、この場合に限定されるものではない。例えば第2ヒンジ部72を省略し、キャップ本体10に対して分離可能にカバーキャップ12を装着しても構わない。
【0058】
また上記実施形態では、弾性変形部29を蛇腹状に形成したが、この場合に限定されるものではなく、操作レバー11の押下げ操作に伴って弾性変形可能とされていれば種々の構成を採用することができる。
【0059】
また上記実施形態では、操作レバー11に設けた吐出ノズル61をキャップ本体10側の吐出口28の内側に嵌合させた構成としたが、この場合に限定されるものではない。例えばキャップ本体10側に吐出ノズル61を形成し、操作レバー11側に吐出ノズル61を挿通させる挿通孔を形成した構成としても構わない。
この場合には、吐出ノズル61に干渉することなく、キャップ本体10に対して操作レバー11を組み合わせることができ、吐出ノズル61の開口部(吐出口として機能)を通じて内容物を吐出することができる。
【符号の説明】
【0060】
O…キャップ軸
P1…セット位置
P2…退避位置
1…吐出キャップ
2…容器本体
3…容器本体の口部
10…キャップ本体
11…操作レバー
21…閉塞部
26…周壁
27…頂壁
28…吐出口
29…弾性変形部
50…操作レバーの基端部
51…操作レバーの自由端部
52…操作レバーの中間部
60…第1ヒンジ部(ヒンジ部)
61…吐出ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6