(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】コネクタ及び入退室管理システム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/641 20060101AFI20240412BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240412BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240412BHJP
H01R 4/2404 20180101ALI20240412BHJP
【FI】
H01R13/641
H01B7/00 306
E05B49/00 F
H01R4/2404
(21)【出願番号】P 2020113690
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】庄子 博
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-158303(JP,A)
【文献】特開平05-152012(JP,A)
【文献】特開平09-112095(JP,A)
【文献】特開平07-240264(JP,A)
【文献】実開昭59-052699(JP,U)
【文献】特開2017-063029(JP,A)
【文献】特開平07-014651(JP,A)
【文献】特開2008-131600(JP,A)
【文献】特開昭61-155967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/24 - 4/46
H01R 13/56 -13/72
H01R 43/027-43/28
H01B 7/00 - 7/02
H01B 7/38 - 7/40
E05B 1/00 -85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタと、
通信ケーブルと、
前記コネクタを介して前記通信ケーブルと接続され、部屋の出入口を通行する通行者の認証情報を取得するカードリーダーと、
前記通信ケーブルを介して前記カードリーダーと接続され、前記出入口に設けられた扉の施解錠を行う電気錠を前記認証情報に基づき制御するコントローラーと、
を備え
、
前記コネクタは、
前記通信ケーブルの複数の芯線がそれぞれ結線される複数のコネクタ端子と、
少なくとも1つのランプと、
前記複数の芯線のそれぞれを介して前記複数のコネクタ端子のそれぞれに入力される信号に基づき、前記複数の芯線のそれぞれの結線の正誤を判定し、判定結果に基づいて前記少なくとも1つのランプの点灯状態を制御するように構成された制御部と、
を備える入退室管理システム。
【請求項2】
前記コネクタは、前記コネクタの結線検査を行う際に切り替えられる検査スイッチを備え、
前記制御部は、前記検査スイッチがオンに設定されている場合に、前記判定結果に基づいて前記少なくとも1つのランプの点灯状態を制御する請求項1に記載の入退室管理システム。
【請求項3】
前記複数の芯線のそれぞれは、導線と、前記導線の周囲に被覆された絶縁被覆と、を有しており、
前記複数のコネクタ端子のそれぞれは、
前記複数の芯線のそれぞれが挿入される挿入穴と、
前記挿入穴に挿入された前記複数の芯線のそれぞれの前記絶縁被覆に食い込み、前記複数の芯線のそれぞれの前記導線と電気的に接続される板ばね状端子と、を有している請求項1
または請求項2に記載の
入退室管理システム。
【請求項4】
前記通信ケーブルは、前記コネクタとは別のコネクタを介して前記コントローラーと接続されている請求項1
から請求項3までの何れか一項に記載の入退室管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びそれを備えた入退室管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入退室管理装置が記載されている。この入退室管理装置は、部屋の出入口を開閉する扉の施解錠を行う電気錠と、出入口を通行する通行者の認証情報が入力されるカードリーダーと、電気錠を制御するコントローラーと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような入退室管理装置を設置する設置工事の際には、複数の芯線を有する通信ケーブルを介して、コントローラーとカードリーダーとが接続される。通信ケーブルは、コントローラーに対しては直接接続され、カードリーダーに対してはコネクタを介して接続される。つまり、通信ケーブルの一端側では複数の芯線がコントローラーの複数の端子にそれぞれ結線され、通信ケーブルの他端側では複数の芯線がコネクタの複数の端子にそれぞれ結線される。これらの芯線の結線は設置工事の作業者の手作業によって行われるため、誤結線が生じる可能性があるという課題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、芯線の誤結線を防ぐことができるコネクタ及び入退室管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る入退室管理システムは、本開示に係るコネクタと、通信ケーブルと、コネクタを介して通信ケーブルと接続され、部屋の出入口を通行する通行者の認証情報を取得するカードリーダーと、通信ケーブルを介してカードリーダーと接続され、出入口に設けられた扉の施解錠を行う電気錠を認証情報に基づき制御するコントローラーと、を備え、コネクタは、通信ケーブルの複数の芯線がそれぞれ結線される複数のコネクタ端子と、少なくとも1つのランプと、複数の芯線のそれぞれを介して複数のコネクタ端子のそれぞれに入力される信号に基づき、複数の芯線のそれぞれの結線の正誤を判定し、判定結果に基づいて少なくとも1つのランプの点灯状態を制御するように構成された制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタにおける芯線の誤結線を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るコネクタ及びそれを備えた入退室管理システムの構成を示す模式図である。
【
図2】実施の形態1に係るコネクタの回路構成を示す模式図である。
【
図3】実施の形態1に係るコネクタの第1コネクタ端子の構成を、第1コネクタ端子に結線された芯線の構成と共に示す断面図である。
【
図4】実施の形態1に係るコネクタの制御部において実行される結線検査処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
実施の形態1に係るコネクタ及び入退室管理システムについて説明する。
図1は、本実施の形態に係るコネクタ及びそれを備えた入退室管理システムの構成を示す模式図である。
図2は、本実施の形態に係るコネクタの回路構成を示す模式図である。本実施の形態の入退室管理システムは、コントローラー10、カードリーダー20、通信ケーブル30、第1コネクタ40及び第2コネクタ50を有している。第1コネクタ40は、本実施の形態に係るコネクタである。本実施の形態では、6本の芯線31を有する通信ケーブル30を介して、コントローラー10とカードリーダー20とが接続されている。コントローラー10とカードリーダー20との間は、2本以上5本以下又は7本以上の芯線31を有する通信ケーブル30を介して接続されていてもよい。
【0010】
カードリーダー20は、部屋の出入口を通行する通行者が所持する認証カードから、通行者の認証情報を取得するように構成されている。カードリーダー20により取得された認証情報は、通信ケーブル30を介してカードリーダー20からコントローラー10に送信される。カードリーダー20には、第1コネクタ40が取り付けられるコネクタ受け21が設けられている。カードリーダー20は、部屋の外側に設けられる入室用カードリーダーであってもよいし、部屋の内側に設けられる退室用カードリーダーであってもよい。
【0011】
コントローラー10は、カードリーダー20から受信した認証情報に基づいて、部屋の出入口に設けられた扉の施解錠を行う電気錠(図示せず)を制御するように構成されている。コントローラー10には、第2コネクタ50が取り付けられるコネクタ受け11が設けられている。
図1に示すコントローラー10には、4つのコネクタ受け11が設けられている。これにより、コントローラー10は、4系統の電気錠を制御できるように構成されている。
【0012】
通信ケーブル30は、カードリーダー20とコントローラー10との間を接続している。通信ケーブル30の一端部は、第1コネクタ40を介してカードリーダー20に接続されている。通信ケーブル30の他端部は、第2コネクタ50を介してコントローラー10に接続されている。通信ケーブル30は、互いに束ねられた複数の芯線31と、複数の芯線31の周囲を保護する保護被覆32と、を有している。通信ケーブル30の一端部及び他端部では、保護被覆32が除去され、複数の芯線31が互いに分離されている。
【0013】
第1コネクタ40は、通信ケーブル30の一端部、すなわち通信ケーブル30のカードリーダー20側の端部に接続されている。第1コネクタ40は、箱形の筐体41と、筐体41の一面に形成された複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6と、筐体41において第1コネクタ端子Ta1~Ta6とは別の面に形成された複数の第2コネクタ端子Tb1~Tb6と、を有している。
図1では、第2コネクタ端子Tb1~Tb6の図示を省略している。第1コネクタ40において、第1コネクタ端子Ta1~Ta6は通信ケーブル30側の端子であり、第2コネクタ端子Tb1~Tb6はカードリーダー20側の端子である。第1コネクタ端子Ta1、Ta2、Ta3、Ta4、Ta5、Ta6と、第2コネクタ端子Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tb5、Tb6とは、筐体41の内部においてそれぞれ電気的に接続されている。本実施の形態では、第1コネクタ端子Ta5及び第1コネクタ端子Ta6は、コントローラー10からの電源電圧が印加される電源端子として用いられている。
【0014】
複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれには、通信ケーブル30の一端部の芯線31が結線されている。具体的には、
図2に示すように、第1コネクタ端子Ta1、Ta2、Ta3、Ta4、Ta5、Ta6には、芯線31-1、31-2、31-3、31-4、31-5、31-6がそれぞれ結線されている。芯線31-1、31-2、31-3、31-4は、コントローラー10とカードリーダー20との間における信号の送受信に用いられる信号線である。芯線31-5、31-6は、コントローラー10からカードリーダー20への電源供給に用いられる電源線である。第1コネクタ端子Ta1、Ta2、Ta3、Ta4、Ta5、Ta6のそれぞれに対する芯線31-1、31-2、31-3、31-4、31-5、31-6のそれぞれの結線は、入退室管理システムを設置する設置工事において、設置作業者によって行われる。
【0015】
第1コネクタ40は、さらに、検査スイッチSWと、複数のランプL1、L2、L3、L4、LA、LVと、制御部42と、を有している。検査スイッチSWは、設置作業者によってオン及びオフが切り替えられるように構成されている。検査スイッチSWは、第1コネクタ40を用いた結線検査を行う際にオンに設定され、それ以外の場合にはオフに設定される。複数のランプL1、L2、L3、L4、LA、LVのそれぞれは、結線検査の際に点灯状態によって結線の正誤を報知するように構成されている。
【0016】
本実施の形態では、ランプL1は、第1コネクタ端子Ta1に対する芯線31-1の結線が正しい場合に点灯するように構成されている。ランプL2は、第1コネクタ端子Ta2に対する芯線31-2の結線が正しい場合に点灯するように構成されている。ランプL3は、第1コネクタ端子Ta3に対する芯線31-3の結線が正しい場合に点灯するように構成されている。ランプL4は、第1コネクタ端子Ta4に対する芯線31-4の結線が正しい場合に点灯するように構成されている。ランプLVは、第1コネクタ端子Ta5に対する芯線31-5の結線、及び第1コネクタ端子Ta6に対する芯線31-6の結線がいずれも正しい場合に点灯するように構成されている。ランプLAは、全ての第1コネクタ端子Ta1~Ta6に対する芯線31-1~31-6の結線が正しい場合に点灯するように構成されている。
【0017】
ここで、本実施の形態では、各ランプL1、L2、L3、L4、LA、LVはいずれも、結線が正しい場合に点灯するように構成されているが、結線が正しい場合に消灯するように構成されていてもよい。また、第1コネクタ40において、ランプL1、L2、L3、L4、LVの設置を省略し、全ての第1コネクタ端子Ta1~Ta6に対する結線が正しい場合に点灯するランプLAのみを設置するようにしてもよい。また、全ての第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれに対する結線の正誤を報知できるように、第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれと一対一で対応する第1コネクタ端子Ta1~Ta6と同数のランプが設けられていてもよい。
【0018】
制御部42は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポート等を備えたマイクロコンピュータを有している。制御部42は、複数の芯線31のそれぞれを介して第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれに入力される信号に基づき、複数の芯線31のそれぞれの結線の正誤を判定するように構成されている。また、制御部42は、複数の芯線31のそれぞれの結線の正誤の判定結果に基づき、複数のランプL1、L2、L3、L4、LA、LVのそれぞれの点灯状態を制御するように構成されている。
【0019】
第1コネクタ40は、設置作業者によってカードリーダー20のコネクタ受け21に取り付けられる。第1コネクタ40がコネクタ受け21に取り付けられるタイミングは、例えば、全ての芯線31の結線が正しいことが結線検査により確認された後である。第1コネクタ40がコネクタ受け21に取り付けられると、複数の第2コネクタ端子Tb1~Tb6は、カードリーダー20の複数の端子にそれぞれ電気的に接続される。
【0020】
図3は、本実施の形態に係るコネクタの第1コネクタ端子の構成を、第1コネクタ端子に結線された芯線の構成と共に示す断面図である。
図3に示すように、第1コネクタ端子Ta1、Ta2のそれぞれには、芯線31が結線されている。芯線31は、導線33と、導線33の周囲に被覆された絶縁被覆34と、を有している。
【0021】
第1コネクタ端子Ta1は、第1コネクタ40の筐体41に形成された挿入穴43と、挿入穴43の内部に設けられた板ばね状端子44と、を有している。挿入穴43は、芯線31が挿入されるように構成されている。板ばね状端子44は、芯線31が挿入穴43に挿入されると、挿入された芯線31の絶縁被覆34に食い込み、当該芯線31の導線33に電気的に接続されるように構成されている。これにより、設置作業者によって芯線31が挿入穴43に挿入されると、芯線31が第1コネクタ端子Ta1に結線されるようになっている。
【0022】
第1コネクタ端子Ta2は、第1コネクタ端子Ta1と同様の構成を有している。図示を省略しているが、第1コネクタ40の他の第1コネクタ端子Ta3、Ta4、Ta5、Ta6も、第1コネクタ端子Ta1と同様の構成を有している。
【0023】
図1に戻り、第2コネクタ50は、通信ケーブル30の他端部、すなわち通信ケーブル30のコントローラー10側の端部に接続されている。第2コネクタ50としては、一般的な構成のコネクタを用いることができる。第2コネクタ50は、複数の第3コネクタ端子Tc1~Tc6と、複数の第3コネクタ端子Tc1~Tc6にそれぞれ電気的に接続された複数の第4コネクタ端子(図示せず)と、を備えている。第2コネクタ50において、第3コネクタ端子Tc1~Tc6は通信ケーブル30側の端子であり、第4コネクタ端子はコントローラー10側の端子である。第3コネクタ端子Tc1~Tc6には、複数の芯線31がそれぞれ結線されている。第3コネクタ端子Tc1~Tc6に対する複数の芯線31の結線は、入退室管理システムを設置する設置工事において、設置作業者によって行われる。また、第2コネクタ50は、設置作業者によってコントローラー10のコネクタ受け11に取り付けられる。第2コネクタ50がコネクタ受け11に取り付けられると、第2コネクタ50の複数の第4コネクタ端子は、コントローラー10の複数の端子にそれぞれ電気的に接続される。
【0024】
第2コネクタ50の第3コネクタ端子Tc1~Tc6のそれぞれは、第1コネクタ40の第1コネクタ端子Ta1~Ta6と同様の構成を有していてもよい。つまり、第3コネクタ端子Tc1~Tc6のそれぞれは、第2コネクタ50の筐体に形成された挿入穴と、挿入穴の内部に設けられた板ばね状端子と、を有していてもよい。
【0025】
次に、本実施の形態に係る第1コネクタ40を用いた結線検査方法について説明する。通信ケーブル30の結線検査は、第1コネクタ40がカードリーダー20のコネクタ受け21に取り付けられる前に実行される。つまり、通信ケーブル30の結線検査は、第1コネクタ40とコントローラー10とが通信ケーブル30及び第2コネクタ50を介して接続された後であって、第1コネクタ40とカードリーダー20とが接続される前に実行される。
【0026】
第1コネクタ40を用いた結線検査を行う場合、まず、設置作業者の操作により、コントローラー10の動作モードが検査モードに設定される。コントローラー10の動作モードが検査モードに設定されると、コントローラー10からは、複数の芯線31-1~31-4のそれぞれに対して、複数の芯線31-1~31-4のそれぞれを識別できる検査用の信号が順次出力される。例えば、芯線31-1には1パルスのパルス信号が出力され、芯線31-2には2パルスのパルス信号が出力され、芯線31-3には3パルスのパルス信号が出力され、芯線31-4には4パルスのパルス信号が出力される。芯線31-5及び芯線31-6には、コントローラー10によって電源電圧が印加される。また、設置作業者の操作により、第1コネクタ40の検査スイッチSWがオンに設定される。
【0027】
図4は、本実施の形態に係るコネクタの制御部すなわち第1コネクタ40の制御部42において実行される結線検査処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示す結線検査処理は、第1コネクタ40の検査スイッチSWがオンに設定されたときに実行される。
【0028】
まず、
図4のステップS1では、制御部42は、電源線となる芯線31-5及び芯線31-6のそれぞれの結線の正誤を判定する。例えば、制御部42は、第1コネクタ端子Ta5と第1コネクタ端子Ta6との間に印加される電圧が閾値以上である場合、芯線31-5の結線及び芯線31-6の結線がいずれも正しいと判定する。芯線31-5の結線及び芯線31-6の結線がいずれも正しい場合にはステップS2に進み、それ以外の場合にはステップS1の処理を繰り返す。
【0029】
ステップS2では、制御部42は、ランプLVを点灯させる制御を行う。これにより、設置作業者は、ランプLVが点灯した場合、電源線の結線がいずれも正しいと判断できる。一方、ランプLVが点灯しない場合には、設置作業者は、電源線の結線に誤結線があると判断できる。このため、設置作業者は、誤結線の生じている電源線を正しく結線し直すことができる。この段階では、コントローラー10とカードリーダー20とが接続されていないため、仮に電源線の結線に誤結線があったとしても、コントローラー10又はカードリーダー20の損傷を回避できる。
【0030】
次に、ステップS3では、制御部42は、信号線となる芯線31-1、31-2、31-3、31-4、すなわち芯線31-i(i=1,2,3,4)の結線の正誤を判定する。例えば、制御部42は、コントローラー10から第1コネクタ端子Taiに入力される信号がiパルスのパルス信号である場合、芯線31-iの結線が正しいと判定する。芯線31-iの結線が正しい場合にはステップS4に進み、それ以外の場合にはステップS5に進む。
【0031】
ステップS4では、制御部42は、ランプLiを点灯させる制御を行う。
【0032】
ステップS5では、制御部42は、芯線31-1、芯線31-2、芯線31-3及び芯線31-4のそれぞれについて、ステップS3及びS4の処理を繰り返す。
【0033】
これにより、設置作業者は、ランプL1、ランプL2、ランプL3及びランプL4の全てが点灯した場合、全ての信号線の結線が正しいと判断できる。一方、ランプL1、ランプL2、ランプL3及びランプL4のいずれかが点灯しない場合、設置作業者は、点灯しないランプに対応する芯線31の結線に誤結線があると判断できる。このため、設置作業者は、誤結線の生じている芯線31を正しく結線し直すことができる。
【0034】
次に、ステップS6では、制御部42は、芯線31-1、芯線31-2、芯線31-3及び芯線31-4のそれぞれの結線が全て正しいか否かを判定する。芯線31-1、芯線31-2、芯線31-3及び芯線31-4のそれぞれの結線が全て正しい場合にはステップS7に進み、それ以外の場合にはステップS6の処理を繰り返す。
【0035】
ステップS7では、制御部42は、ランプLAを点灯させる制御を行う。これにより、設置作業者は、ランプLAが点灯した場合、電源線及び信号線を含む全ての芯線31の結線が正しいと判断できる。
【0036】
次に、ステップS8では、制御部42は、芯線31-1、芯線31-2、芯線31-3及び芯線31-4のうちの少なくとも1つを介して、コントローラー10に検査終了信号を出力する。コントローラー10は、第1コネクタ40から検査終了信号を受信すると、自身の動作モードを検査モードから通常モードに切り替える。
【0037】
全ての芯線31の結線が正しいことを確認した設置作業者は、第1コネクタ40の検査スイッチSWをオフに設定するとともに、第1コネクタ40をカードリーダー20のコネクタ受け21に取り付ける。これにより、コントローラー10とカードリーダー20との間は、通信ケーブル30を介して誤結線なく接続される。本実施の形態によれば、コントローラー10とカードリーダー20とが接続される前に、結線検査を行うことができる。このため、誤結線のある状態でコントローラー10とカードリーダー20とを接続してしまうのを防ぐことができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、第1コネクタ40を用いて結線検査を行うことができるため、結線検査のための専用チェッカーが不要になる。さらに、設置作業者は、第1コネクタ40のランプL1、L2、L3、L4、LA、LVの点灯状態によって誤結線の有無を判断できる。このため、第1コネクタ40を用いた結線検査は、1人の設置作業者によって行うことができる。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態に係る第1コネクタ40は、複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6と、少なくとも1つのランプL1、L2、L3、L4、LA、LVと、制御部42と、を備えている。複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6は、通信ケーブル30の複数の芯線31がそれぞれ結線されるように構成されている。制御部42は、複数の芯線31のそれぞれを介して複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれに入力される信号に基づき、複数の芯線31のそれぞれの結線の正誤を判定するように構成されている。また制御部42は、判定結果に基づいて少なくとも1つのランプL1、L2、L3、L4、LA、LVの点灯状態を制御するように構成されている。ここで、第1コネクタ40は、コネクタの一例である。第1コネクタ端子Ta1~Ta6は、コネクタ端子の一例である。
【0040】
この構成によれば、第1コネクタ40を用いて、通信ケーブル30の複数の芯線31の結線の正誤を検査することができる。このため、結線検査の時点で一部の芯線31の結線に誤結線があったとしても、コントローラー10とカードリーダー20とを接続する前に、誤結線の生じている芯線31を正しく結線し直すことができる。したがって、第1コネクタ40における芯線31の誤結線を防ぐことができる。
【0041】
また、本実施の形態に係る第1コネクタ40において、複数の芯線31のそれぞれは、導線33と、導線33の周囲に被覆された絶縁被覆34と、を有している。複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれは、挿入穴43と、板ばね状端子44と、を有している。挿入穴43は、複数の芯線31のそれぞれが挿入されるように構成されている。板ばね状端子44は、挿入穴43に挿入された複数の芯線31のそれぞれの絶縁被覆34に食い込み、複数の芯線31のそれぞれの導線33と電気的に接続されるように構成されている。この構成によれば、複数の芯線31のそれぞれを複数の第1コネクタ端子Ta1~Ta6のそれぞれに結線する際に、複数の芯線31のそれぞれの絶縁被覆34をワイヤーストリッパー等により剥ぎ取る手間を省略することができる。
【0042】
本実施の形態に係る入退室管理システムは、本実施の形態に係る第1コネクタ40と、通信ケーブル30と、カードリーダー20と、コントローラー10と、を備えている。カードリーダー20は、第1コネクタ40を介して通信ケーブル30と接続されている。カードリーダー20は、部屋の出入口を通行する通行者の認証情報を取得するように構成されている。コントローラー10は、通信ケーブル30を介してカードリーダー20と接続されている。コントローラー10は、出入口に設けられた扉の施解錠を行う電気錠を認証情報に基づき制御するように構成されている。
【0043】
この構成によれば、コントローラー10とカードリーダー20との間が通信ケーブル30を介して接続される前に、第1コネクタ40を用いて結線検査を行うことができる。このため、芯線31に誤結線が生じている状態でコントローラー10とカードリーダー20とを接続してしまうのを防ぐことができる。複数の芯線31のうち特に電源線に誤結線が生じた状態で入退室管理装置を動作させてしまうと、コントローラー10の制御基板又はカードリーダー20の制御基板が損傷してしまう場合がある。上記構成によれば、電源線に誤結線が生じている状態でコントローラー10とカードリーダー20とを接続してしまうのを防ぐことができるため、コントローラー10の制御基板又はカードリーダー20の制御基板が損傷してしまうのを防ぐことができる。
【0044】
本実施の形態に係る入退室管理システムにおいて、通信ケーブル30は、第1コネクタ40とは別の第2コネクタ50を介してコントローラー10と接続されている。この構成によれば、通信ケーブル30とコントローラー10とを第2コネクタ50を介して接続できるため、通信ケーブル30とコントローラー10との接続作業を効率化できる。
【符号の説明】
【0045】
10 コントローラー、11 コネクタ受け、20 カードリーダー、21 コネクタ受け、30 通信ケーブル、31、31-1、31-2、31-3、31-4、31-5、31-6 芯線、32 保護被覆、33 導線、34 絶縁被覆、40 第1コネクタ、41 筐体、42 制御部、43 挿入穴、44 板ばね状端子、50 第2コネクタ、L1、L2、L3、L4、LA、LV ランプ、SW 検査スイッチ、Ta1、Ta2、Ta3、Ta4、Ta5、Ta6 第1コネクタ端子、Tb1、Tb2、Tb3、Tb4、Tb5、Tb6 第2コネクタ端子、Tc1、Tc2、Tc3、Tc4、Tc5、Tc6 第3コネクタ端子。