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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20240412BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240412BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240412BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240412BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20240412BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20240412BHJP
   C11D 3/382 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/9789
A61Q19/10
C11D1/04
C11D1/10
C11D3/382
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020115921
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013393
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】丹後 弘隆
(72)【発明者】
【氏名】小根田 大
(72)【発明者】
【氏名】勝井 路満
【審査官】▲高▼橋 明日香
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-019077(JP,A)
【文献】特開2010-241909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-19/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~()を含有する皮膚洗浄料。
(A)炭素数8~24の高級脂肪酸塩を25~40質量%
(B)クインスシードエキスを0.005~0.1質量%
(C)ジラウロイルグルタミン酸リシンNaを0.02~0.5質量%
(D)グリセリン
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、洗浄料として、種々の商品が開発されており、高級脂肪酸塩を基剤とするものは、洗浄力に優れ、泡立ちが良く、さっぱりとした感触があるため、洗顔料や全身洗浄料等に用いられている。しかし、その強力な洗浄力により、皮膚に必要な皮脂等まで落としてしまい、洗浄後に、肌が、かさつき、つっぱるといった問題が生じている。
【0003】
洗浄後の肌のかさつきや、つっぱり感の改善のために、ジグリセリンのポリオキシプロピレン付加物と併用した例(特許文献1)、植物エキスと併用した例(特許文献2)があるが、いずれも効果が不十分で、問題を解決するには、至っていない。
また、特許文献3には、高級脂肪酸塩と、タマリンドガムと、ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシンと、グルコピラノシルグリセロールを含有する皮膚洗浄料が開示されているが、泡立ち及び保湿効果の点で、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-116135号公報
【文献】特開平10-88193号公報
【文献】特開2018-002609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記の課題を解決した、泡立ち及び泡質が良く、保湿効果に優れた洗浄料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、下記の(A)~(C)を含有する洗浄料を提供する。
(A)高級脂肪酸塩
(B)クインスシードエキス
(C)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシン
【発明の効果】
【0007】
本発明の洗浄料は、泡立ち及び泡質が良く、保湿効果に優れるという効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いられる成分(A)高級脂肪酸塩は、特に制限されないが、あらかじめ中和された高級脂肪酸塩を配合しても良いし、高級脂肪酸と塩基を中和することにより高級脂肪酸塩を形成させて配合しても良い。高級脂肪酸としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれの脂肪酸でも用いることができ、炭素数8~24のものが好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、2-パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等を挙げることができる。高級脂肪酸塩を生成するための塩基としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等の無機塩基、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール等のアルカノールアミン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。これらの中でも、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸及びステアリン酸から選択される1種又は2種以上を水酸化カリウムで中和したものを用いることが好ましい。
【0009】
成分(A)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、25~40質量%の配合量が好ましい。配合量が25質量%未満又は40質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。
【0010】
本発明で用いられる成分(B)クインスシードエキスは、マルメロの木の種子より得られる抽出物であり、市販されているものを用いることができる。クインスシードエキスを得る際の抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。
【0011】
本発明の洗浄料におけるクインスシードエキスの配合量は、エキス純分として洗浄料全量に対して0.005~0.1質量%が好ましく、特に0.005~0.05質量%が好ましい。洗浄料全量に対して0.005質量%未満の配合量であると泡質、保湿効果が十分に発揮されない場合がある。0.1質量%を超えて配合すると肌に高分子特有の皮膜が形成され、使用感触が損なわれることになり好ましくない場合がある。
【0012】
成分(B)の市販品としてはクインスシード 2S、クインスシード 2SP、クインスシード G(以上大日本化成社製)、マルメロ BG、マルメロ BG/EPH、マルメロ E、マルメロ S、マルメロ S/PHE(以上香栄興業社製)等を挙げることができる。
【0013】
本発明で用いられる成分(C)ジ脂肪酸アシルグルタミン酸リシンは、リシン塩酸塩と脂肪酸アシルグルタミン酸を反応させて合成することができ、フリー体を配合することも、塩の形で配合することもできる。塩としては、特に制限されることなく使用でき、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩等を挙げることができる。アシル基の脂肪酸としては、飽和、不飽和、直鎖、分岐のいずれの脂肪酸でも用いることができ、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等を挙げることができる。これらの中でも、ジラウロイルグルタミン酸リシン及び/又はその塩を用いることが好ましい。
【0014】
成分(C)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、本発明の洗浄料全量に対し、0.02~0.5質量%の配合量が好ましい。配合量が0.02%未満であると、泡質及び保湿効果に影響を及ぼす場合があり、0.5質量%を超えると、安定性に影響を及ぼす場合がある。市販品としては、ペリセア L-30、ペリセア LB-10(以上旭化成ケミカルズ社製)等を挙げることができる。
【0015】
本発明の洗浄料には、上述の成分の他に、通常の化粧料分野等に用いられる任意成分を、本発明の効果を阻害しない程度に配合することができる。具体的には、精製水、油剤、界面活性剤、増粘剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、抗酸化剤、抗炎症剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0016】
本発明の洗浄料は、常法により製造され、固形状、液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、ジェル状、軟膏状等の剤型とすることができる。本発明の洗浄料は、洗顔料、全身洗浄料、ハンドソープ、シャンプー等として使用することができ、洗顔料として使用することが好ましい。
【実施例
【0017】
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、これにより、本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は、特に断りのない限り質量%である。
【0018】
表1の実施例及び比較例の洗浄料を、定法により製造した。かかる実施例及び比較例について、下記の方法で、泡立ち、泡質、保湿効果の評価を行った。その結果を表1に示す。
a)泡立ち、泡質、保湿効果
専門パネラー3名による、顔での使用テストを行い、下記の評価基準に従って、表1記載の洗浄料の泡立ち、泡質、保湿効果について、絶対評価をし、合議により下記判定基準に基づき判定した。
<評価基準>
極めて良好 ◎
良好 〇
やや悪い △
悪い ×
【0019】
【表1】
【0020】
表1に示された結果から明らかなように、各実施例の洗浄料は、比較例の洗浄料に比べて泡立ち、泡質、保湿効果すべての面で優れていた。