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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】汚物排出装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20240412BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D11/00 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020149637
(22)【出願日】2020-09-07
(65)【公開番号】P2022044152
(43)【公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-07-03
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 守
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋介
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-117009(JP,A)
【文献】特開2020-128665(JP,A)
【文献】特開2018-079004(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0144890(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111197336(CN,A)
【文献】特開2016-077594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00 - 17/02
E03D 1/00 - 7/00
E03D 11/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚物を排出するための流し部と、
壁面の前側に配置されるフレームと、
前記フレームの前側に配置される前板と、
を備えており、
前記前板は、上下方向に複数に分割されており、
複数に分割された前記前板のうち、前記フレーム内の下部の空間の前側に配置される下前板は、前記フレームに着脱自在に取り付けられており、
前記下前板は、第1前板であり、
前記流し部は、前記下前板の上側に取り付けられる第2前板に取り付けられており、
前記下前板の上端は、前記流し部の下端よりも上方に位置している汚物排出装置。
【請求項2】
前記下前板の前面における上端部は、前記第2前板の前面よりも後方に位置している請求項1に記載の汚物排出装置。
【請求項3】
前記下前板を前記フレームの下部に着脱自在に固定する固定部材を備えている請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【請求項4】
前記固定部材は、前記流し部の左右端よりも左右内側の下方に位置している請求項3に記載の汚物排出装置。
【請求項5】
前記フレームは、フレーム本体と、横方向に延びて前記フレーム本体の前側下端部に着脱自在に取り付けられる前面下端部材と、を有しており、
前記固定部材は前記前面下端部材に係止されて前記下前板を固定する請求項3及び請求項4のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【請求項6】
前記空間に収納される収納物を備えている請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の汚物排出装置。
【請求項7】
前記下前板の上端は、前記収納物の上端よりも上方に位置している請求項6に記載の汚物排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は汚物排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は従来の汚物排出装置を開示している。この汚物排出装置は、フレームと、主前板と、ボウル部と、を備えている。フレームは壁面の前側に配置される。主前板はフレームの前側に配置されてボウル部が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-77594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、主前板を取り外すにはボウル部を取り外す必要があり、煩雑であった。このため、フレーム内における主前板の後方の下部空間を有効に利用できていないのが実情である。
【0005】
本開示は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、フレーム内の下部空間に容易にアクセスできる汚物排出装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の汚物排出装置は、汚物を排出するための流し部と、壁面の前側に配置されるフレームと、前記フレームの前側に配置される前板と、を備えており、前記前板は、上下方向に複数に分割されており、複数に分割された前記前板のうち、前記フレーム内の下部の空間の前側に配置される下前板は、前記フレームに着脱自在に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る汚物排出装置を示す正面図である。
図2】実施形態1に係る汚物排出装置を示す側面図であって、側板を取り外した状態を示す。
図3】実施形態1に係る汚物排出装置を示す平面図である。
図4】実施形態1に係る汚物排出装置における下部を拡大した正面図であって、内部構造を一部省略して示す。
図5図4のV-V線相当断面図であって、内部構造を一部省略して示す。
図6図5の要部拡大図である。
図7】実施形態1に係る汚物排出装置の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の汚物排出装置を具体化した実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、上下方向とは、汚物排出装置1を設置した状態における鉛直方向である。前後方向は、汚物排出装置1を使用する使用者と向かい合う側を前方、その反対側を後方とする。左右方向は、上下方向及び前後方向のそれぞれに直交する方向であり、汚物排出装置1を前側から見た場合の左手側が左方、右手側が右方である。
【0009】
<実施形態1>
実施形態1に係る汚物排出装置1は、公共施設の多目的トイレや病院、介護施設等に設置される。汚物排出装置1は、オストメイトや医療、介護従事者等が排泄物を排出したり、排泄物を貯留する容器や容器の装具等を洗浄したりする目的で使用される。図1から図3に示すように、汚物排出装置1は、配管ユニット10、流し部50、洗浄タンク60、水栓ユニット70、電気温水器80(収納物として例示する)等を備えて構成されている。配管ユニット10は、設置空間における鉛直方向に立ち上がる壁面Wの前側に配管空間を形成する。配管ユニット10は、汚物排出装置1の給排水用の配管や設備等を収納する。配管ユニット10は略直方体形状をなしている。配管ユニット10は、設置空間の壁面W及び床面Fに後面及び下面を接触させて壁面Wの前側に配置されている。配管ユニット10の内部の空間のうちの下部の空間は、後述するフレーム20の下部の空間Sである。この空間Sには、第1給水配管P1、第2給水配管P2、及び排水配管P3の3系統の各種配管が床面Fから立ち上がっている。これらの配管P1、P2、P3は、空間Sにおける左右方向の一方寄り(図1では、左寄り)の位置に設けられている。
【0010】
本実施形態の場合、第1給水配管P1は電気温水器80を経由して水栓ユニット70に上水を供給する上水配管であり、第2給水配管P2は洗浄タンク60に中水を供給する中水配管である。本開示においては、洗浄タンクに供給する水は上水であってもよい。例えば、第2給水配管として上水配管を設けて洗浄タンクに上水を供給してもよいし、1つの上水配管から水栓ユニット及び洗浄タンクのそれぞれに分岐させて上水を供給してもよい。
【0011】
流し部50は陶器製である。図1から図3に示すように、流し部50は、配管ユニット10の前側に取り付けられている。流し部50は、汚物を投入するための開口50Aを上面に形成している。流し部50の下端は床面Fから浮いた状態とされている。流し部50の後面には、排水配管P3と、洗浄タンク60からの洗浄水を導入するための後述する洗浄管61とが接続されている。流し部50は洗い落とし式であり、洗浄タンク60からの洗浄水を上部後方の洗浄管61から導入し、下部の排水トラップ(図示せず)を経由して排水配管P3に排出する。
【0012】
洗浄タンク60は、流し部50を洗浄する洗浄水を貯留する。図1から図3に示すように、洗浄タンク60は、左右方向を長手方向とする立体物である。洗浄タンク60は、配管ユニット10の上部に収納されている。洗浄タンク60は流し部50よりも上方に配置されている。洗浄タンク60は後述するタンク固定部材25に固定されている。洗浄タンク60には第2給水配管P2及び洗浄管61が接続されている。第2給水配管P2は洗浄タンク60の左側面に接続されている。洗浄管61は洗浄タンク60の下面に接続されている。洗浄タンク60は、第2給水配管P2から洗浄水としての中水が供給され、洗浄管61を経由して流し部50に洗浄水を吐出する。
【0013】
水栓ユニット70は、洗浄タンク60とは別の系統で流し部50に洗浄水を吐出するためのユニットである。図1から図3に示すように、水栓ユニット70は、吐水管71、吐水操作部72、水栓本体73、及びバキュームブレーカ74を有している。吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の開口50Aの上方において配管ユニット10の前側に突出して設けられる。吐水管71は、吐水操作部72の操作に応じて洗浄水を吐出する。吐水管71にはホース71Aが接続されている。ホース71Aはフレキシブル金属ホースである。吐水管71は、ホース71Aを伴って配管ユニット10から引き出し自在に設けられている。これによって、吐水管71は、所望の位置及び向きで、流し部50内に洗浄水を吐出できる。
【0014】
吐水操作部72は、水栓ユニット70における水栓本体73を操作するための操作レバーである。図3に示すように、水栓本体73は吐水操作部72の後方に配置されている。水栓本体73は、吐水操作部72の操作に応じて、電気温水器80から供給される温水及び常温の上水を混合する。混合された水は、バキュームブレーカ74を経由して吐水管71に供給される。バキュームブレーカ74は、配管ユニット10内上部における洗浄タンク60の右側に配置されている。バキュームブレーカ74にはホース71Aの上流端が接続されている。
【0015】
図1に示すように、電気温水器80は、配管ユニット10の下部の空間Sにおいて、図示しないベースプレートを介して床面F上に載置される。本実施形態の場合、電気温水器80は、配管ユニット10の下部の空間Sの右寄りの位置に収納されている。電気温水器80は、上述の各配管P1,P2,P3の立ち上がり位置等の周辺状況に応じて、配管ユニット10の下部の空間Sにおける左右いずれの位置にも配置を変更可能とされている。電気温水器80には第1給水配管P1が接続されている。電気温水器80は、第1給水配管P1から供給される常温の上水と、上水を加温した温水と、の2系統の水を水栓本体73に供給する。図4に示すように、収納状態における電気温水器80の上端は、流し部50の下端よりも上方に位置している。
【0016】
配管ユニット10について詳細に説明する。図1から図3に示すように、配管ユニット10は、フレーム20、前板30等を有して構成されている。フレーム20は壁面Wの前側に配置される。フレーム20は構造材を組み合わせて形成されている。具体的には、フレーム20は、横フレーム部材21、縦フレーム部材22、アーム部材23等の部材を組み合わせて構成されている。これら横フレーム部材21、縦フレーム部材22、及びアーム部材23はフレーム本体を構成する。横フレーム部材21は、フレーム20の上端において横方向に延びて設けられている。横フレーム部材21は、後述する前板30の上前板31を着脱自在に取り付ける。縦フレーム部材22は、横フレーム部材21の左右両端から下方に延びて設けられている。左右の縦フレーム部材22の下端部は、それぞれ床面Fに固定されている。アーム部材23は、横フレーム部材21の左右両端から後方に伸びている。左右のアーム部材23の後端は、後述するタンク固定部材25に固定されている。
【0017】
図2に示すように、フレーム20は、床固定部材24、タンク固定部材25、及び壁固定部材26によって固定される。床固定部材24は、略L字状のブラケットである。床固定部材24は、左右の縦フレーム部材22の下端内側にそれぞれ配置されて床面F及び縦フレーム部材22のそれぞれにねじ止め固定される。
【0018】
図2に示すように、フレーム20は、床固定部材24、タンク固定部材25、及び壁固定部材26によって固定される。床固定部材24は、略L字状のブラケットである。床固定部材24は、左右の縦フレーム部材22の下端内側にそれぞれ配置されて床面F及び縦フレーム部材22のそれぞれにねじ止め固定される。
【0019】
図2に示すように、タンク固定部材25は側面視略J字状をなしている。タンク固定部材25は、金属の薄板を折り曲げて形成されている。タンク固定部材25は、壁面Wにねじ止め固定されるとともに、左右のアーム部材23の後端下面に溶接固定されている。タンク固定部材25は、前後方向中間部に洗浄タンク60を載置して固定する。タンク固定部材25には、洗浄タンク60以外に、後述するバキュームブレーカ74、ガイド部材75、ホースガイド76等の他の部材も固定されている。これらバキュームブレーカ74、ガイド部材75、及びホースガイド76は、水栓ユニット70に関連する部材である。これらの部材のうち、バキュームブレーカ74は洗浄タンク60の右方においてタンク固定部材25に取り付けられており、ガイド部材75及びホースガイド76は洗浄タンク60前方においてタンク固定部材25に取り付けられている。
【0020】
図2に示すように、壁固定部材26はフレーム20の上下方向中間部に設けられている。壁固定部材26は側面視略逆L字状をなしている。壁固定部材26は、逆L字状をなす後面において壁面Wに固定される。壁固定部材26は、左右両端の上面において、前後方向に延びる第2アーム部材23Aの後端に連結されている。左右の第2アーム部材23Aの前端は、それぞれ縦フレーム部材22の上下方向中間部に連結されている。
【0021】
図4及び図5に示すように、フレーム20は前面下端部材27を有している。前面下端部材27は、フレーム本体としての縦フレーム部材22の下端部に着脱自在に取り付けられる。前面下端部材27は、第1部材27A及び第2部材27Bを有して構成されている。第1部材27Aは固定用の部材である。第1部材27Aは、設置状態のフレーム20において、縦フレーム部材22に着脱自在に固定される。具体的には、第1部材27Aは、床面Fから上方に離れた位置における縦フレーム部材22の前面にねじ止め固定される。第2部材27Bは外側面に露出する部材である。第2部材27Bは、フレーム20に固定された状態の第1部材27Aの外側面に両面テープ(図示せず)で固定される。
【0022】
前面下端部材27は、第1部材27Aを縦フレーム部材22に固定したのち、第2部材27Bの下端を床面Fに接触させるようにして第1部材27Aに両面テープで張り付けて取り付ける。このように取り付けることで、前面下端部材27の下端と床面Fとの間に隙間を生じさせることなく取り付けることができる。前面下端部材27は、第1部材27Aのねじ止めを解除することによって、縦フレーム部材22から取り外すことができる。前面下端部材27には、前板30の後述する下前板33が固定される。
【0023】
図2に示すように、フレーム20は側面下端部材28を有している。側面下端部材28は、設置状態のフレーム20において、フレーム20の下部側面に両面テープによって固定される。
【0024】
図1及び図2に示すように、前板30は、フレーム20の前側に配置されている。前板30は、上下方向に3つの部材に分割されている。具体的には、前板30は、上前板31、中前板32(第2前板として例示する)、及び下前板33(第1前板)を有して構成されている。上前板31は最も上部に配置される部材である。上前板31は、フレーム20内に洗浄タンク60が配置された状態において、洗浄タンク60の前方に位置する。上前板31は、フック状の固定部材31Aを横フレーム部材21の上方から引っ掛けることによって、フレーム20に着脱自在に取り付けられている。汚物排出装置1は、上前板31を取り外すことによって、前方から配管ユニット10の上部の空間にアクセス可能にされている。前板30は、中前板32及び下前板33を取り外すことなく、上前板31のみを取り外すことができる。
【0025】
図1に示すように、上前板31の後面には第2ホースガイド76Aが取り付けられている。第2ホースガイド76Aは、ホース71Aにおけるホースガイド76によってガイドされる部分よりも上流側(バキュームブレーカ74側)の部分において、ホース71Aをガイドする(図1参照)。ホース71Aは、洗浄タンク60の前側及び前板30の後側の間の空間において、ガイド部材75、ホースガイド76、及び第2ホースガイド76Aによってガイドされつつ移動可能に配置されて吐水管71からバキュームブレーカ74まで延びている。
【0026】
図1及び図2に示すように、中前板32は、上前板31の下端に連続して上前板31の下方に配置される。中前板32の前面には流し部50が取り付けられる。流し部50は、中前板32を挟み込む形態で、フレーム20側に直接的に固定される。図1に示すように、流し部50は、中前板32の左右方向の中心に配置される。流し部50の下端は、中前板32の下端よりも下方に位置している。中前板32の上端部前面には、吐水管71及び吐水操作部72が前方に突出して取り付けられている。図1及び図3に示すように、吐水管71及び吐水操作部72は、流し部50の左右方向の両端の間に配置されている。吐水管71は、流し部50の左右中央における上方に配置されている。
【0027】
図4及び図5に示すように、下前板33は、中前板32の下端に連続して中前板32の下方に配置される。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の上端は流し部50の下端よりも上方に位置している。フレーム20に取り付けられた状態において、下前板33の下端は、床面Fから浮いた状態とされている。図5に示すように、フレーム20に取り付けられた状態における下前板33の下端から床面Fまでの高さH1は、下前板33の上端から流し部50の下端までの高さH2よりも大きく設定されている。図6に示すように、下前板33の厚さt33は中前板32の厚さt32よりも小さく設定されている。フレーム20に取り付けられた状態における下前板33の前面は、中前板32の前面よりも後方に位置しており、流し部50との間に隙間が生じている。このため、下前板33を取り外す際、前面と流し部50の後面との干渉が回避される。
【0028】
下前板33は、上部において中前板32の下端部後方側に差し込まれて重ねられ、下部において前面下端部材27にねじ止め固定されている。図5及び図6に示すように、下前板33は、上側固定部33A及び下側固定部33Bを有している。上側固定部33Aは、下前板33の後部上端において、左右方向の略全幅に渡って延びる板状に形成されている。具体的には、下前板33は、金属の薄板を板金加工した化粧板の後面にプラスターボードを貼り付けて形成されている。上側固定部33Aは、化粧板の上端をクランク状に後方及び上方に折り曲げた部位における上方に立ち上がった部分であり、薄板状をなしている(図7参照)。上側固定部33Aは、中前板32の下端部後方に差し込まれ、中前板32の後面に重ねられる。
【0029】
下側固定部33Bは、下前板33の下端部において、前後方向に貫通する貫通孔である(図7参照)。下側固定部33Bは2箇所形成されている。具体的には、2つの下側固定部33Bは、下前板33の左右方向の中央において、所定の間隔を空けて左右方向に並んで設けられている。2箇所の下側固定部33Bの間隔は、流し部50の左右幅よりも小さく設定されている。各下側固定部33Bには止めねじ33C(固定部材として例示する)が挿通される。止めねじ33Cは、下前板33後方の前面下端部材27に螺合する。すなわち、止めねじ33Cは、流し部50の左右端よりも左右内側の下方に位置する。したがって、止めねじ33Cは、前面下端部材27に螺合して下前板33を固定した状態において、流し部50の左右幅の範囲内に位置する。このため、止めねじ33Cは、汚物排出装置1を使用する使用者から見ると流し部50の死角に入り、使用者から視認され難い。
【0030】
配管ユニット10は天板35を有している。天板35は、複数の取付部材36によってフレーム20の上面に着脱自在に取り付けられている。本実施形態の場合、複数の取付部材36は面ファスナーを採用している。天板35は、取り外すことで配管ユニット10内の空間に上方からアクセスすることができるようにされている。天板35の前後方向の大きさは、フレーム20の前後方向の大きさよりも大きい。具体的には、天板35の後端部35Aは、フレーム20に取り付けられた状態において壁面Wに接触している。このフレーム20に取り付けられた状態において、天板35の前端部35Bは、前板30の前面よりも前方の位置で下方に垂下し、前板30の上部前面に重なっている。
【0031】
フレーム20の右側面には側板37が取り付けられている。フレーム20の左側面は、壁面Wに直交する他の壁面に隣接している。本開示に係る汚物排出装置における配管ユニットは、フレームの左右の側面の少なくとも一方に側板が取り付けられてもよいし、フレームの左右の側面の少なくとも一方が壁面に隣接していてもよい。
【0032】
上記構成の汚物排出装置1の作用について説明する。汚物排出装置1において、下前板33の後方に位置する下部の空間Sにアクセスする際には下前板33を取り外す。下前板33は、上前板31及び中前板32を取り外すことなく単独で取り外すことができる。下前板33は、2つの止めねじ33Cの螺合を解除することによって容易に取り外し可能である。具体的には、図7に示すように、下前板33を取り外す際には、2つの止めねじ33Cを取り外し、下前板33の上端が流し部50の下端よりも下方に下がるまで下前板33を下方に移動させる。これによって、下前板33は、流し部50が中前板32に取り付けられた状態のまま取り外すことができる。
【0033】
上述のように、下前板33の後方に位置する空間Sには、第1給水配管P1、第2給水配管P2、及び排水配管P3が床面Fから立ち上がり、これら配管P1,P2,P3の右方には電気温水器80が設置されている。前板30は、上下方向に3つに分割されたうちの下前板33のみを取り外すことができるので、収納物としての電気温水器80や配管P1,P2,P3のメンテナンス等の作業を容易に行うことができる。
【0034】
下前板33は、フレーム20に取り付けられた状態における上端が流し部50の下端よりも上方に位置している。このため、下前板の上端が流し部の下端と同等の高さである場合や流し部の下端よりも下方に位置する場合と比較して、下前板33を取り外した際の空間Sの間口が大きいので、メンテナンス等の作業が一層容易である。下前板33の上端の位置を流し部50の下端よりも上方に位置させ、取り外した際の空間Sの間口を大きくしたので、電気温水器80のように流し部50の下端よりも高さのある収納物を収納することも容易である。下前板33は、フレーム20に取り付けられた状態において、その前面が中前板32の前面よりも後方に控えた位置にあるため、流し部50と干渉することもなく容易に取り外し可能である。
【0035】
汚物排出装置1は、図7に示すように、前面下端部材27を更に取り外すことによって、下前板33のみを取り外した場合と比較して、空間Sの間口を更に広げることができる。このように、汚物排出装置1は、下前板33のみならず前面下端部材27を取り外すことによって、メンテナンス等の作業を一層容易に行うことができるとともに、例えば収納物が電気温水器80のように重量物である場合でも取り出しが容易である。
【0036】
上記構成の汚物排出装置1の効果について説明する。汚物排出装置1は、汚物を排出するための流し部50を備えた装置である。汚物排出装置1は、フレーム20及び前板30を備えている。フレーム20は、鉛直方向に立ち上がる壁面の前側に配置される。前板30はフレーム20の前側に配置される。前板30は、上下方向に3つに分割されている。3つに分割された前板30のうち、フレーム20内の下部の空間Sの前側に配置される下前板33は、フレーム20に着脱自在に取り付けられている。
【0037】
このように、汚物排出装置1は、下前板33をフレーム20に着脱自在に取り付けている。このため、汚物排出装置1は、下前板33を取り外すことで、フレーム20内の下部に形成される空間Sに容易にアクセスすることができる。下前板33は、第2前板である中前板32や、中前板32に取り付けられている流し部50が取り付けられた状態のまま、単独で取り外すことができるため、空間Sに極めて容易にアクセスすることができる。
【0038】
汚物排出装置1において、流し部50は、下前板33の上側に取り付けられる第2前板としての中前板32に取り付けられている。そして、下前板33の上端は、流し部50の下端よりも上方に位置している。このため、下前板33を取り外した際の空間Sの間口を大きくとることができる。
【0039】
汚物排出装置1において、下前板33の前面は、中前板32の前面よりも後方に位置している。このため、下前板33の取り外し、取り付けの際、流し部50との干渉が生じ難い。その結果、下前板33の取り外し、及び取り付けを容易に行うことができる。
【0040】
汚物排出装置1は、下前板33をフレーム20の下部に着脱自在に固定する固定部材としての止めねじ33Cを備えている。このため、下前板33の取り外し、及び取り付けを容易に行うことができる。
【0041】
汚物排出装置1において、固定部材である止めねじ33Cは、流し部50の左右端よりも左右内側の下方に位置している。このため、止めねじ33Cは、汚物排出装置1の使用者から視認され難く、無為に触れられるのを抑制することができる。
【0042】
汚物排出装置1は、空間Sに収納される収納物としての電気温水器80を備えている。このため、汚物排出装置1は、空間Sの有効活用を図ることができる。
【0043】
汚物排出装置1において、下前板33の上端は、収納物である電気温水器80の上端よりも上方に位置している。このため、施工時やメンテナンス時等において、電気温水器80を容易に出し入れすることができる。
【0044】
汚物排出装置1において、フレーム20は、フレーム本体としての縦フレーム部材22と、横方向に延びて縦フレーム部材22の前側下端部に着脱自在に取り付けられる前面下端部材27と、を有している。そして、止めねじ33Cは、この前面下端部材27に係止されて下前板33を固定する。このため、前面下端部材27を取り外すことで、空間Sの間口を更に大きくとることができ、メンテナンスや収納物の出し入れ等の作業を一層容易に行うことができる。
【0045】
本開示は、上記記述及び図面によって説明した実施形態の開示に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も含まれる。
【0046】
(1)前板の分割数は、2分割や4分割以上であってもよい。
【0047】
(2)下前板の上端の位置は、流し部の下端以下の位置にあってもよい。
【0048】
(3)下前板の上端の位置が流し部の下端よりも上方にある場合であっても、下前板の前面は、第2前板の前面と前後方向において同等の位置にあってもよい。この場合、例えば、下前板の上端部に流し部の下端部形状の切り欠きを形成するようにしてもよい。
【0049】
(4)下前板を固定する固定部材の個数、配置位置、フレーム側の係止部位等は上記実施形態の構成に限定されない。固定部材は、止めねじに限定されず、例えば、マグネットキャッチ、ラッチ錠、面ファスナー等の種々の固定手段を採用することができる。
【0050】
(5)フレームの下部の空間に収納される収納物は電気温水器に限定されない。収納物としては、例えば、空調装置、ダストボックス等であることができる。収納物は、例えば、トイレットペーパー、水石鹸等の消耗品であってもよい。
【0051】
(6)流し部としては、オストメイト等に利用される汚物流し用の流し部に限らず、一般的な水洗式大便器、水洗式小便器等の他の目的の流し部であってもよい。
【0052】
(7)下前板の前面が第2前板の前面よりも後方に位置する形態は、上記実施形態のように、下前板の前面全体が第2前板の前面よりも後方に位置する形態に限定されない。例えば、下前板の前面は、上端部のみ、流し部の下端部とラップする部分を含む一部のみ等、部分的に第2前板の前面よりも後方に位置していてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…汚物排出装置、20…フレーム、22…縦フレーム部材(フレーム本体)、27…前面下端部材、30…前板、32…中前板(第2前板)、33…下前板(第1前板)、50…流し部、S…フレームの下部の空間、W…壁面
図1
図2
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図4
図5
図6
図7