(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】リザーバタンク
(51)【国際特許分類】
F01P 11/00 20060101AFI20240412BHJP
【FI】
F01P11/00 C
(21)【出願番号】P 2020189977
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000108498
【氏名又は名称】タイガースポリマー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阪田 俊介
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142136(JP,A)
【文献】特開2014-043863(JP,A)
【文献】特開2013-249791(JP,A)
【文献】特開2017-101573(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190385(US,A1)
【文献】米国特許第04480598(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、
冷却液を貯留するタンク本体と、
冷却液経路からタンク本体に冷却液を送り込む流入管と、
タンク本体から冷却液経路に冷却液を排出する排出管と、
タンク本体に冷却液を注入するための注入口を有しており、
前記タンク本体は、
流入管と接続された第1室と、
第1室よりも下流側に配置された第2室を有しており、
第1室と第2室は、隔壁によって隔てられて隣接しており、
前記注入口は第2室に冷却液を注入するように設けられており、
タンク本体には、冷却液の適切な液面高さを示す上限目印と下限目印が表示されており、
前記排出管は、前記下限目印よりも鉛直方向下側で第2室に接続されており、
第1室と第2室は、下部連通路によって連通しており、下部連通路は前記下限目印よりも下側の部分で第1室と第2室を連通し、
下部連通路は前記隔壁に設けられた第1の貫通穴であり、
さらに、
第1室と第2室は、上部連通路によって連通しており、上部連通路は、第1室の前記上限目印よりも上側の部分と、第2室の前記上限目印以下の部分とを連通している
とともに、
隔壁の上端部付近には第2の貫通穴が設けられており、
第2の貫通穴を取り囲むように略鉛直方向に延在するようにリブが設けられており、
リブと、タンク本体の壁面と、隔壁とによって、略鉛直方向に延在する管路が形成されており、
上部連通路は、前記管路と第2の貫通穴によって構成されている、
リザーバタンク。
【請求項2】
液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、
冷却液を貯留するタンク本体と、
冷却液経路からタンク本体に冷却液を送り込む流入管と、
タンク本体から冷却液経路に冷却液を排出する排出管と、
タンク本体に冷却液を注入するための注入口を有しており、
前記タンク本体は、
流入管と接続された第1室と、
第1室よりも下流側に配置された第2室と、
第1室よりも下流側に配置された第3室を有しており、
前記注入口は第3室に冷却液を注入するように設けられており、
第2室と第3室は、互いに冷却液や空気が行き来できるように連通しており、
第1室と第2室は、隔壁によって隔てられて隣接しており、
タンク本体には、冷却液の適切な液面高さを示す上限目印と下限目印が表示されており、
前記排出管は、前記下限目印よりも鉛直方向下側で第2室もしくは第3室に接続されており、
第1室と第2室は、下部連通路によって連通しており、下部連通路は前記下限目印よりも下側の部分で第1室と第2室を連通し、
下部連通路は前記隔壁に設けられた第1の貫通穴であり、
さらに、
第1室と第2室は、上部連通路によって連通しており、上部連通路は、第1室の前記上限目印よりも上側の部分と、第2室の前記上限目印以下の部分とを連通している
とともに、
隔壁の上端部付近には第2の貫通穴が設けられており、
第2の貫通穴を取り囲むように略鉛直方向に延在するようにリブが設けられており、
リブと、タンク本体の壁面と、隔壁とによって、略鉛直方向に延在する管路が形成されており、
上部連通路は、前記管路と第2の貫通穴によって構成されている、
リザーバタンク。
【請求項3】
上部連通路が第2室側に連通する部分には、切り欠きが設けられ、
切り欠きの上縁は上限目印と同じ高さであり、
リブの下端は下限目印よりも下側である、
請求項1もしくは請求項2に記載のリザーバタンク。
【請求項4】
上部連通路の断面積が、下部連通路の断面積よりも小さい、
請求項1もしくは請求項2に記載のリザーバタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リザーバタンクに関する。特に液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクに関する。
【背景技術】
【0002】
液冷式冷却システムは、内燃機関や電気素子、電子基板等の冷却に活用されている。液冷式の冷却システムでは、冷却液を循環させて、冷却対象部材から熱を集めて、熱放出器から熱を放散して、冷却対象部材を冷却する。液冷式の冷却システムにおいて、冷却液を循環させる冷却液経路中に、冷却液のタンク、すなわちリザーバタンクを設けることがある。リザーバタンクは、冷却液の気化等による減少を補ったり、冷却液の温度変化による体積変化を吸収したりする。また、冷却液中に気泡が生じると、冷却効率が低下することがあるため、リザーバタンクにより冷却液中の気泡を分離する、すなわち気液分離を行うことがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、リザーバタンク本体の内部を、隔壁により複数のタンク室に分けるとともに、各タンク室を連通させて順次冷却液が流れるようにした技術が開示されている。また、当該リザーバタンクでは、タンク上部に集まる気泡や空気を、タンク注入口に設けられた圧力調整可能なキャップへと導けるように、隔壁の上部に空気穴が設けられている。当該リザーバタンクによれば、冷却水水面が変化したりしても、冷却水出口に冷却水中の気泡が吸い込まれにくくできることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような、隔壁によって仕切られた複数のタンク室を有するリザーバタンクの場合、液冷式冷却システムの組み立て時に、タンクに設けられた注入口から冷却液をリザーバタンクに注ぎ込んでタンク内部を冷却液で満たすことが多い。
この際、隔壁があることにより、注入口が設けられていないタンク室の上部に空気が残ってしまい、冷却液の充填が不十分となってしまうおそれがある。
【0006】
特許文献1のリザーバタンクのように、隔壁の上部に空気穴が設けられている場合には、タンク上部の空気が移動可能となるため、各タンク室に十分な量の冷却液が充填できる。
【0007】
一方で、近年、冷却システムをより高性能化するために、特許文献1のようなリザーバタンクを通過する冷却液の流量をより増加させたいとの要請が生じてきている。しかしながら、特許文献1のようなリザーバタンクにおいてリザーバタンクを通過する冷却液の流量が増加すると、タンク本体内部に流れ込んだ冷却液が波打つように暴れやすく、タンク内の空気を巻き込んで気泡が発生してしまい、期待するレベルの気液分離効果が得られにくいことが判明した。
【0008】
特に、近年、リザーバタンクの小型化の要請が高まるにつれて、タンク本体内部の冷却液のあばれが発生しやすくなってきた。
本発明の第1の目的は、各タンク室に十分な量の冷却液が充填しやすいリザーバタンクを提供することにある。また、本発明の第2の目的は、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らが上記目的を達成すべく検討したところ、特許文献1のリザーバタンクのように、隔壁上部に空気穴を設けると、上記第1の目的は達成できるものの、流量が増えた際に、上流側のタンク室から、下流側のタンク室に、空気穴の部分を通じて、冷却液が滝のように流れ込んでしまい、下流側のタンク室で多くの気泡を発生させてしまい、第2の目的を達成できないことが判明した。
【0010】
発明者は、さらに鋭意検討し、その結果、上流側タンク室(第1室)と下流側タンク室(第2室)を、連通路(上部連通路)によって連通し、上部連通路が、タンク上限水位よりも上側の部分で第1室に連通し、タンク上限水位よりも下側の部分で第2室に連通するようにすると、上記第1の目的と第2の目的を両立できることを知見し、本発明を完成させた。
【0011】
本発明は、液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、冷却液を貯留するタンク本体と、冷却液経路からタンク本体に冷却液を送り込む流入管と、タンク本体から冷却液経路に冷却液を排出する排出管と、タンク本体に冷却液を注入するための注入口を有しており、前記タンク本体は、流入管と接続された第1室と、第1室よりも下流側に配置された第2室を有しており、第1室と第2室は、隔壁によって隔てられて隣接しており、前記注入口は第2室に冷却液を注入するように設けられており、タンク本体には、冷却液の適切な液面高さを示す上限目印と下限目印が表示されており、前記排出管は、前記下限目印よりも鉛直方向下側で第2室に接続されており、第1室と第2室は、下部連通路によって連通しており、下部連通路は前記下限目印よりも下側の部分で第1室と第2室を連通し、下部連通路は前記隔壁に設けられた第1の貫通穴であり、さらに、第1室と第2室は、上部連通路によって連通しており、上部連通路は、第1室の前記上限目印よりも上側の部分と、第2室の前記上限目印以下の部分とを連通しているとともに、隔壁の上端部付近には第2の貫通穴が設けられており、第2の貫通穴を取り囲むように略鉛直方向に延在するようにリブが設けられており、リブと、タンク本体の壁面と、隔壁とによって、略鉛直方向に延在する管路が形成されており、上部連通路は、前記管路と第2の貫通穴によって構成されている、リザーバタンクである(第1発明)。
【0012】
また、本発明は、液冷式冷却システムの冷却液経路に設けられるリザーバタンクであって、冷却液を貯留するタンク本体と、冷却液経路からタンク本体に冷却液を送り込む流入管と、タンク本体から冷却液経路に冷却液を排出する排出管と、タンク本体に冷却液を注入するための注入口を有しており、前記タンク本体は、流入管と接続された第1室と、第1室よりも下流側に配置された第2室と、第1室よりも下流側に配置された第3室を有しており、前記注入口は第3室に冷却液を注入するように設けられており、第2室と第3室は、互いに冷却液や空気が行き来できるように連通しており、第1室と第2室は、隔壁によって隔てられて隣接しており、タンク本体には、冷却液の適切な液面高さを示す上限目印と下限目印が表示されており、前記排出管は、前記下限目印よりも鉛直方向下側で第2室もしくは第3室に接続されており、第1室と第2室は、下部連通路によって連通しており、下部連通路は前記下限目印よりも下側の部分で第1室と第2室を連通し、下部連通路は前記隔壁に設けられた第1の貫通穴であり、さらに、第1室と第2室は、上部連通路によって連通しており、上部連通路は、第1室の前記上限目印よりも上側の部分と、第2室の前記上限目印以下の部分とを連通しているとともに、隔壁の上端部付近には第2の貫通穴が設けられており、第2の貫通穴を取り囲むように略鉛直方向に延在するようにリブが設けられており、リブと、タンク本体の壁面と、隔壁とによって、略鉛直方向に延在する管路が形成されており、上部連通路は、前記管路と第2の貫通穴によって構成されている、リザーバタンクである(第2発明)。
【0013】
第1発明もしくは第2発明において、好ましくは、上部連通路が第2室側に連通する部分には、切り欠きが設けられ、切り欠きの上縁は上限目印と同じ高さであり、リブの下端は下限目印よりも下側である(第3発明)。また、第1発明もしくは第2発明において、好ましくは、上部連通路の断面積が、下部連通路の断面積よりも小さい(第4発明)。
【発明の効果】
【0014】
本発明のリザーバタンク(第1発明、第2発明)によれば、各タンク室に十分な量の冷却液が充填しやすく、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制できる。
【0015】
また、第3発明のようにされた場合には、第1室にも上限レベルまで冷却液を充填でき、上部連通路から第2室に流れ込む冷却液が空気を巻き込んで気泡を生ずることをより確実に抑制できる。また、さらに、第4発明のようにされた場合には、気泡発生抑制効果がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1実施形態のリザーバタンクの構造を示す縦断面図および横断面図である。
【
図2】第1実施形態のリザーバタンクの注水時の作用を示す縦断面図である。
【
図3】第1実施形態のリザーバタンクの使用時の作用を示す縦断面図である。
【
図4】第2実施形態のリザーバタンクの構造を示す縦断面図および横断面図である。
【
図5】第3実施形態のリザーバタンクの上部連通路周りの構造を示す透視図である。
【
図6】参考例1のリザーバタンクの作用を示す縦断面図である。
【
図7】参考例2のリザーバタンクの作用を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら、自動車の内燃機関の液冷式冷却システムに設けられるリザーバタンクを例として、発明の実施形態について説明する。発明は以下に示す個別の実施形態に限定されるものではなく、その形態を変更して実施することもできる。液冷式冷却システムの用途は、内燃機関に限定されず、パワー素子やインバータなどの電気素子や電子回路基板等の電気部品を冷却する用途であってもよく、他の用途であってもよい。
【0018】
図1に第1実施形態のリザーバタンク10の構造を断面図で示す。
図1の上側の図では、リザーバタンク10の縦断面図を示し、
図1の下側の図では、リザーバタンク10の横断面図を示している。
図1上側の縦断面図は、下側の図のY-Y線を通る鉛直面で取ったY-Y断面図である。
図1の縦断面図では、図の上側が鉛直方向上側を示している。また、
図1の下側の横断面図は、上側の図のX-X線を通る水平面で取ったX-X断面図である。
【0019】
リザーバタンク10は、中空のタンク本体11に流入管15と排出管16が接続されて構成されている。リザーバタンクの使用時には、タンク本体11に冷却液Lが貯留される。また、タンク本体11の鉛直方向上部には、少なくとも一部に空気が貯留される。液冷式冷却システムの冷却液経路の中で、リザーバタンク10は、冷却液経路から流入管15を通じて中空のタンク本体11内に冷却液が流れこみ、中空のタンク本体11から排出管16を通じて冷却液経路に冷却液が流れ出ていくように、冷却液経路中に配置・接続されて使用される。
【0020】
必須ではないが、典型的には、別個に射出成型された下側ケースと上側ケースとが一体化されて、リザーバタンク10が構成されている。下側ケースと上側ケースとが一体化されることにより、中空のタンク本体11が構成される。流入管15および排出管16は下側ケースに一体成形されていてもよいが、流入管15および排出管16は別の構成によってタンク本体11に一体化されていてもよい。
【0021】
また、リザーバタンク10には、注入口17も設けられている。冷却システムが組み立てられる際に、注入口17を通じて、タンク本体11に冷却液が注入される。冷却システムが作動し、タンクが使用される際には、注入口にキャップが取り付けられる。タンク本体内部の圧力が過剰にならないように、キャップには圧力調整弁が設けられていることが好ましい。
【0022】
タンク本体11は、流入管15と接続された第1室11aと、第1室11aよりも下流側に配置された第2室11bを有している。本実施形態では、タンク本体11が隔壁12により、第1室11aと第2室11bに仕切られている。後述する他の実施形態のように、タンク本体が、さらに他の室を有していてもよい。本実施形態では、注入口17は第2室に冷却液を注入するように、タンク本体の上部に設けられている。
【0023】
また、タンク本体11には、冷却液Lの適切な液面高さを示す上限目印18Uと下限目印18Lが表示されている。冷却液の液面が上限目印18Uと下限目印18Lの間に入るように冷却液が注入される。必須ではないが、上限目印18Uと下限目印18Lは、典型的には、タンク本体11の外面にエンボスされて表示される。本実施形態では、第2室の外面に上限目印18Uと下限目印18Lが表示されている。タンクに設けられる上限目印18Uや下限目印18Lの具体的形態は特に限定されず、タンク内の液面と目印の上下関係が確認できるものであればよい。
【0024】
流入管15は、第1室11aに接続されている。必須ではないが、第1室11a内での空気の巻き込みや泡立ちを抑制する観点からは、下限目印18Lよりも鉛直方向下側で、流入管15を第1室11aに接続することが好ましい。また、必須ではないが、同様の観点から、流入管15から第1室11a内に流れ込む冷却液の流れが、隔壁12に略垂直にぶつかるように、流入管15が設けられることが好ましい。
【0025】
排出管16は、下限目印18Lよりも鉛直方向下側で第2室11bに接続されている。かかる構成により、排出管16からは、気泡や空気をあまり含まない冷却液が排出されやすくなる。排出管16は第2室11bの下面付近に接続されていることが好ましい。
【0026】
第1室11aと第2室11bは、上部連通路13および下部連通路14によって連通している。上部連通路13は、下部連通路14よりも鉛直方向で上側に設けられている。
【0027】
第1室11aと第2室11bは、下部連通路14によって連通している。下部連通路14は、タンク内の冷却液中に水没する位置で、第1室11aと第2室11bを連通する。すなわち、下部連通路14は、下限目印18Lよりも下側の部分で第1室と第2室を連通する。下部連通路の経路(中心線mで示す)は、略水平方向に延在していてもよいが、傾いていてもよい。本実施形態では、下部連通路14は、第1室11aと第2室11bの底面付近に、隔壁12に設けられた貫通穴の形態で設けられている。
【0028】
第1室11aと第2室11bは、上部連通路13によっても連通している。
図1では上部連通路13の経路を中心線nで示している。上部連通路13は、第1室11aの上限目印18Uよりも上側の部分と、第2室11bの上限目印18U以下の部分とを連通している。すなわち、上部連通路13は、第1室側と第2室側とで高さ方向に隔たった位置を連通しており、上部連通路13が第1室側に連通する部分は、第2室側に連通する部分よりも鉛直方向で高い位置にある。
【0029】
必須ではないが、本実施形態では、第1室11aと第2室11bが略鉛直方向に延在する隔壁12によって隔てられていて、上部連通路13が、第1室11aの上端部と連通するとともに、隔壁12に沿って略鉛直方向に延在している。すなわち、第1室11aの上端部付近の隔壁12に貫通穴13hが設けられて、第2室の側で貫通穴13hを取り囲むようにリブ13rが略鉛直方向に延在して設けられる。リブ13rはタンク本体の壁面や天面および隔壁12とつながっていて、リブ13rとタンク本体の壁面や隔壁12によって、略鉛直方向に延在する管路が形成され、この管路と貫通穴13hが、上部連通路13を構成している。貫通穴13hは、上限目印18Uよりも上側となる位置に設けられ、リブ13rにより形成される管路の下端は、第2室11bの上限目印18U以下の部分に開放している。
【0030】
必須ではないが、上部連通路13の第1室11aの側は、第1室11aの上端面付近に連通していることが好ましい。また必須ではないが、上部連通路13の第2室11bの側は、タンクの下限目印18Lよりも低い部分で第2室に連通していることが好ましい。なお、上部連通路13の第2室11bの側は、上限目印18Uと実質的に同じ高さで第2室に連通していてもよく、この場合、鉛直方向に3~5mm程度の差までであれば、実質的に同じ高さであるとみなせ、上部連通路の第2室側が、上限目印18U以下の部分に開放しているといえる。
【0031】
上部連通路13は、下部連通路14よりも、連通路の断面積が小さくされることが好ましい。連通路の断面積は、連通路の長さ方向にわたって一定である必要はなく、連通路の一部が絞られている場合には、絞られた部分の断面積を連通路の断面積と見なしてもよい。上部連通路13の断面積が、下部連通路14の断面積の、1/5以下であることが好ましく、1/10以下であることがより好ましい。
【0032】
必須ではないが、本実施形態のリザーバタンク10のように、液冷式冷却システムの冷却液経路に冷却液が循環することによって、第1室11aが実質的に冷却液で満たされることが好ましい。冷却システムが作動し冷却液が循環すると、冷却液が第1室11aに流れ込む際に、第1室内の液面が上昇するので、この液面上昇によって、第1室11aの上部に残った空気が上部連通路13を通じて第2室11bに排出される。これにより、第1室11aが実質的に冷却液で満たされる。冷却液の設定流量に応じて、下部連通路の断面積を調節したり、第1室11aの広さや高さ、特に第1室の天面111の高さを調節することにより、第1室11aが実質的に冷却液で満たされるようにできる。必須ではないが、第1室11aの天面111と、上限目印18Uとの間の高さの差が小さくなるよう、本実施形態のように、第1室11aの天面111の高さが、第2室11bの天面111の高さよりも低くされることが好ましい。
【0033】
リザーバタンク10のタンク本体11や第1室11a、第2室11b、隔壁12、流入管15、排出管16、上部連通路13、下部連通路14、注入口17等が構成できる限りにおいて、具体的に、どのような部材に分割してかかる構造を実現するかは特に限定されない。例えば、隔壁等を一体成型した下側ケースと上側ケースの2つに、リザーバタンクを分割して組み立て、かかる構成を実現してもよいし、別の部材構成によりこうした構造を実現してもよい。たとえば、タンク本体11が鉛直面で2分割されるようにして構成部材を形成し、それらを組み立ててかかる構成を実現してもよい。
【0034】
また、上記実施形態のリザーバタンク10を構成する材料や、リザーバタンク10の製造方法は特に限定されず、公知の材料や公知の製造方法により、リザーバタンク10を製造できる。典型的には、リザーバタンク10は、ポリアミド樹脂などの熱可塑性樹脂により構成される。使用される冷却液の種類や温度、圧力などに応じて、リザーバタンクの材料や補強構造等が決定される。また、典型的には、リザーバタンク10は、上記下側ケース、上側ケースに相当する部材を、それぞれ射出成型により形成し、これら部材を振動溶着や熱板溶着などにより一体化して製造することができる。その場合、流入管15や排出管16、注入口17、隔壁12は、それぞれ、下側ケースもしくは上側ケースに一体成型しておくことが好ましいが、別部材としておいて、後で組み立てて一体化してもよい。
【0035】
上記第1実施形態のリザーバタンク10の作用および効果について説明する。上記第1実施形態のリザーバタンク10では、各タンク室に十分な量の冷却液が充填しやすく、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制することができる。
【0036】
まず、各タンク室に十分な量の冷却液が充填しやすくなることについて説明する。
図6には、参考例1として、上部連通路のないリザーバタンク9に冷却液を注入した際の作用を示す。
図6の参考例1は、上部連通路がない点をのぞいて、第1実施形態のリザーバタンク10と同じ構成である。参考例1のリザーバタンク9に対し、注入口94から冷却液を注入すると、第2室91bには十分な量の冷却液を充填できるものの、第1室91aには冷却液を十分に充填できない。すなわち、隔壁95により第1室91aが注入口94から隔たっていて、下部連通路から冷却液が第1室に流れ込もうとしても、第1室の上部に空気がたまっていて邪魔になり、第1室に冷却液を十分に充填することができない。
【0037】
一方、上記第1実施形態のリザーバタンク10では、第1室11aと第2室11bの間が上部連通路13によって連通しており、かつ、上部連通路13は、第1室11aの上限目印18Uよりも上側の部分と、第2室11bの上限目印18U以下の部分(すなわち上限目印と同じ高さの部分もしくは上限目印よりも低い部分)とを連通している。この構成により、
図2に示したように、タンクに冷却水を注入する際には、第2室11b内の冷却液の液面によって上部連通路13の第2室側の開口部が完全に水没するまでの間、上部連通路13が実質的な空気抜きの経路となり、第1室11a上部の空気を第2室11b側に逃がす。
【0038】
したがって、上記第1実施形態のリザーバタンク10では、第1室11aにも、上限目印18Uや下限目印18Lに近い高さまで、冷却液を充填でき、各タンク室に十分な量の冷却液が充填される。なお、注入口17から冷却液を注入する際に、第1室により多くの冷却液を充填するとの観点からは、上部連通路13は、第2室11b側で、より上限目印18Uに近い位置で第2室と連通することが好ましい。
【0039】
次に、リザーバタンク内部での気泡の発生の抑制作用について説明する。
図7には、参考例2として、隔壁95に公知の空気穴96が設けられたリザーバタンク99に冷却液が循環する際の作用を示す。
図7の参考例1は、第1室91aと第2室91bの上部が、単なる空気穴(貫通穴)96で連通している点をのぞいて、第1実施形態のリザーバタンク10と同じ構成である。
図7では、冷却液の流れを白抜き矢印で示している。
【0040】
参考例2のリザーバタンク99において、流入管92から冷却液が第1室91aに流れ込み、第2室91bを経て排出管93から冷却液が排出される。この時、流入管92から流れ込む冷却液が第1室91a内で滞留するため、第1室の水位が上昇する。そのため、冷却液は、下部連通路だけでなく、空気穴96からも、第1室から第2室に向かって流れることになる。すると、空気穴96の部分から第2室内に放出された冷却液は、第2室内に貯留されている冷却液の液面に向かって、滝のように流れ落ちることになる。そのため、参考例2のリザーバタンク99では、第2室内で、冷却液に空気が巻き込まれ気泡が発生してしまう。
【0041】
一方、上記第1実施形態のリザーバタンク10では、上記した上部連通路13の構成により、
図3に示したように、気泡の発生が抑制される。流入管15から流れ込む冷却液が第1室11a内で滞留するため、第1室の水位が上昇し、冷却液は、下部連通路14だけでなく、上部連通路13からも、第1室から第2室に向かって流れる点は、参考例2と同様である。上記第1実施形態のリザーバタンク10では、上部連通路13が、第2室11bの上限目印18U以下の部分に連通しているため、上部連通路から第2室に流れ込む流れは、第2室内に貯留された冷却液の中に実質的に直接流れ込むようになって、タンク内の空気を巻き込みにくくなる。これにより、第2室内での気泡の発生が抑制される。
【0042】
リザーバタンク10内での気泡の発生を抑制する観点からは、上部連通路13がより低い位置で第2室側に開放していることが好ましい。必須ではないが、特に、上部連通路13の第2室11bの側が、タンクの下限目印18Lよりも低い部分で第2室に連通していることが好ましく、このようにされていると、上部連通路13からの流れが、より確実に第2室内の冷却液の液中に放出されることになって、空気の巻き込みや気泡発生をより確実に抑制できる。
【0043】
また、上部連通路13の断面積が、下部連通路14の断面積よりも小さくされている場合には、上部連通路を通過する冷却液の量が少なくなるため、第2室内での気泡発生の抑制がより効果的になされる。
【0044】
また、第1室11aと第2室11bが隔壁12によって隔てられており、上部連通路13が、第1室11aの上端部と連通するとともに、隔壁12に沿って略鉛直方向に延在している場合には、第2室内に貯留された冷却液が上部連通路からの流れによって乱れにくくなり、第2室内での気泡発生の抑制がより効果的になされる。また、このような上部連通路13は、第1室内に空気を残留させない点でも有利であるとともに、効率的に製造することができる。
【0045】
リザーバタンク10内での気泡の発生を抑制する観点からは、液冷式冷却システムの冷却液経路に冷却液が循環することによって、第1室11aが実質的に冷却液で満たされることが好ましい。第1室11aには流入管15からの冷却液流れが直接流れ込むため、第1室内部では冷却液が激しくかつ複雑に流れやすいが、第1室11aが実質的に冷却液で満たされていれば、冷却液が空気を巻き込んで気泡が発生することが抑制される。
【0046】
上記実施形態のリザーバタンク10では、冷却液が第1室に流れ込む際に第1室の冷却液面が上昇する現象を利用して、第1室内部の空気を上部連通路13を通じて第2室側に排出することができる。第1室11aに空気が残りにくくする観点からは、上部連通路13の第1室11aの側は、第1室11aの上端付近に連通していることが好ましい。また、第1室11aに空気が残りにくくなるようにする観点からは、第1室11aの天面111の高さが、第2室11bの天面112の高さよりも低くされることが好ましい。これにより、第2室に適切な量の空気を貯留しながら、第1室内には空気が残らないようにできる。
【0047】
また、上部連通路13の第2室側の開口が、下限目印18L以下の部分に設けられていると、冷却液の流れによって第1室内部から空気が排出され、第1室が実質的に冷却液で満たされた状態が、冷却液流れが止まった後にも維持され、冷却液の流れが再開しても、第1室内での気泡の発生が抑制されるので、気泡の発生抑制に特に効果的である。
【0048】
発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改変をして実施することができる。以下に発明の他の実施形態について説明するが、以下の説明においては、上記実施形態と異なる部分を中心に説明し、同様である部分については同じ番号を付して説明し、その詳細な説明を省略する。また、これら実施形態は、その一部を互いに組み合わせて、あるいは、その一部を置き換えて実施できる。
【0049】
図4には第2実施形態のリザーバタンク20を示す。
図4は、第1実施形態における
図1に対応する縦断面図および横断面図である。第2実施形態のリザーバタンク20は第1実施形態のリザーバタンク10と比べ、流入管の構成、上部連通路23の構成および第3室11cを備える点が異なっているが、他の構成は、おおむね第1実施形態のリザーバタンク10と同様である。
【0050】
リザーバタンク20のタンク本体は、第1室11a、第2室11bに加え、さらに、第1室よりも下流側に配置された第3室11cを有する。第3室は、第1室よりも下流側に配置されていればよく、必ずしも第2室よりも下流に位置する必要はない。第2室11bと第3室11cとは隔壁22により間仕切りされている。
【0051】
本実施形態のリザーバタンク20では、注入口17は第3室に冷却液を注入するように設けられている。また、第2室11bと第3室11cは、互いに冷却液や空気が行き来できるように連通している。本実施形態では、タンク上部で第2室11bと第3室11cを連通する空気穴22aが設けられ、タンク下部の冷却液中で第2室11bと第3室11cを連通する連通路24が設けられている。空気穴22aと連通路24を兼ねるように、鉛直方向に延在するスリット状の連通路を第2室と第3室の間に設けてもよい。
【0052】
空気穴22aや連通路24の働きにより、タンクへの冷却液の注水時や冷却システムが作動していない時には、第2室と第3室は実質的に同じ冷却液の水位となる。したがって、上限目印18Uや下限目印18Lは、タンク本体において第2室や第3室のいずれに設けられていてもよい。
【0053】
また、本実施形態では、排出管16は、下限目印18Lよりも鉛直方向下側で第3室11cに接続されている。排出管16は、第2室11bに接続されていてもよい。なお、排出管16を第3室に接続するようにした場合には、第2室に流れ込む冷却液の勢いによって第2室の液面を高めることができるので、上部連通路の第2室側が、冷却液中で第2室に連通することを確実にすることができ、第2室内での気泡発生の抑制がより確実なものとなる。
【0054】
以上のように、リザーバタンクのタンク本体が第3室を有するものであっても、第1室と第2室の間に、特定の上部連通路が設けられるようにされていれば、第1実施形態のリザーバタンク10と同様に、各タンク室に十分な量の冷却液が充填しやすく、リザーバタンク内部での気泡の発生を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態のリザーバタンク20では、第1室11aと第2室11bの間に設けられる上部連通路の具体的構成が異なっている。リザーバタンク20では、屈曲した管状に形成されたゴム製の連通路部材23を、隔壁12の上部に設けられた貫通穴に取り付けることにより、上部連通路が構成されている。上部連通路はこのような構成であっても同様の作用を生ずる。また、このような上部連通路であれば、複雑な内部構造のリザーバタンクであっても効率的に製造することができる。
【0056】
また、本実施形態のリザーバタンク20では、流入管15を実質的に第1室内部に延長するように、リブ25によって管路が形成されている。流入管15から流れ込む冷却液が、上部連通路(23)や下部連通路14に直接流れ込まないように、流入管15の配置や向きを調整したり、リブ25の管路を経由させたりすることが好ましい。リブ25のように流入管を延長するような管路を設ける場合には、タンク内部での気泡の発生を抑制する観点からは、延長した部分の管路が略鉛直方向に延在するように設けることが好ましい。
【0057】
また、本実施形態のリザーバタンク20のように、平面視で見た際に(
図4下側の図)、流入管15から排出管16に向かう流れがSの字状に大きく蛇行するように、隔壁12,22や、下部連通路14や連通路24が配置されることが好ましい。同様に、第1実施形態のリザーバタンク20のように、平面視で見た際に、流入管15から排出管16に向かう流れがUの字状に大きく屈曲するように、隔壁12や下部連通路14が配置されることが好ましい。
【0058】
図5には第3実施形態のリザーバタンク30を示す。
図5は、上部連通路付近を第2室の側の斜め上方から見た透視図であり、図中の隔壁12の向こう側が第1室で、手前側が第2室である。第3実施形態のリザーバタンク30は、第1実施形態のリザーバタンク10に対し、上部連通路部分の具体的形状が異なっている。
【0059】
第3実施形態のリザーバタンク30の上部連通路は、第1室の上端付近で隔壁12に設けられた貫通穴31hと、隔壁12とタンクの壁面とリブ31rとによって形成された管路とによって構成される点は、第1実施形態における上部連通路13と同様である。また、リブ31rは、本実施形態のように円筒面を有するリブであってもよい。
【0060】
上部連通路が第2室側に連通する部分には、本実施形態のように、切り欠き31kが設けられていてもよい。すなわち、上部連通路が第2室側に連通する部分は、切り欠き31kの部分が、より高い位置で第2室に連通している。切り欠き以外の部分では、リブ31rは端縁31bまで延在している。切り欠き31kは隔壁12に隣接する位置に設けられることが好ましい。
【0061】
切り欠き31kは、タンクに冷却液を注入する際の空気の抜け道として機能する。切り欠き31kの上縁が上限目印18Uと同じ高さとなるようにしておけば、第1室にも上限レベルまで冷却液を充填できる。
【0062】
また、本実施形態では、冷却システムが作動し冷却液が循環する際には、貫通穴31hを通じて第1室から第2室へと流れる冷却液は、リブ31rのうち切りかかれていない部分(貫通穴31hや隔壁12に対向する部分)に沿って流れ、リブの下端31bを通過して、第2室内に貯留された冷却液に流れ込む。したがって、リブの下端31bが冷却液の液面よりも下側となるようにしておけば、上部連通路から第2室に流れ込む冷却液が空気を巻き込んで気泡を生ずることをより確実に抑制できる。この観点から、本実施形態では、リブの下端31bが下限目印18Lよりも下側とされることが特に好ましい。
【0063】
以上のように、上部連通路が第2室側に連通する部位に切り欠きを設けるようにすれば、各タンク室への冷却液の十分な充填と、第2室における気泡発生の抑制の両性能をより高いレベルで両立できる。
【0064】
以上説明した実施形態のリザーバタンク10、20、30では、タンク本体11は直方体状であったが、リザーバタンクのタンク本体の形状は直方体状に限定されない。例えば、タンク本体は球状であってもよい。タンク本体の形状は特に限定されず、円筒状、楕円筒状、楕円体状など他の形状であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態の説明では、第1室と第2室が隔壁により区画された実施形態を説明したが、両室が隔壁で隔てられることは必須ではない。例えば、タンク本体に第1室と第2室が独立して設けられていて、第1室と第2室の間を管状の上部連通路や下部連通路で連通させるようにリザーバタンクを構成してもよい。
【0066】
また、リザーバタンクは、さらに他のタンク室を有していてもよい。また、リザーバタンクのタンク室、特に第2室以降のタンク室は気液分離構造を有していてもよい。気液分離構造としては複数のタンク室をラビリンス状に冷却液が流れながら気泡が分離される構造のものであってもよく、タンク室内部に渦を作り出すなどして遠心力を利用して気液分離を行う構造のものであってもよい。
【0067】
上記実施形態では、タンク本体に流入管15と排出管16がそれぞれ1つづつ設けられていたが、冷却システムの構成に応じて、流入管や排出管は複数であってもよい。流入管や排出管が複数設けられる場合であっても、全ての流入管や排出管に対して上記実施形態のような構成をとる必要はなく、一部の流入管や排出管に対して上記実施形態のような構成となっていればよい。
【0068】
本発明のリザーバタンクは、更に他の構成を有していてもよい。例えば、タンク本体に圧力開放弁を設けてもよい。また、リザーバタンクには、必要に応じ、車体等に取り付けるためのステーやボス部材などが一体化されていてもよい。また、リザーバタンクに要求される耐圧性等に応じて、リザーバタンクには、リブ等の補強構造が設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
上記リザーバタンクは冷却システムの冷却液経路中に使用でき、冷却液中の気泡の発生を抑制でき、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0070】
10 リザーバタンク
11 タンク本体
11a 第1室
11b 第2室
12 隔壁
13 上部連通路
14 下部連通路
15 流入管
16 排出管
17 注入口
18U 上限目印
18L 下限目印
n 上部連通路の中心線
m 下部連通路の中心線
L 冷却液
S 冷却液の液面