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▶ ダラミック エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】繊維状マットを含む鉛酸電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/466 20210101AFI20240412BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/446 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/429 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/437 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/44 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/423 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/443 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/463 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 10/12 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01M50/466
H01M50/46
H01M50/449
H01M50/446
H01M50/429
H01M50/437
H01M50/44
H01M50/417
H01M50/423
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/457
H01M50/463 B
H01M50/414
H01M50/491
H01M50/489
H01M10/12 K
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020557990
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 US2019028024
(87)【国際公開番号】W WO2019204548
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】1853502
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505458359
【氏名又は名称】ダラミック エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ダイテルス,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ステイナー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】バーデレーム,アンナ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ウィアー,ジェイ.ケビン
【審査官】川口 陽己
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045539(JP,A)
【文献】国際公開第2015/146919(WO,A1)
【文献】特開2018-018802(JP,A)
【文献】特開平11-040133(JP,A)
【文献】特開2013-084362(JP,A)
【文献】特開2004-327348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/40-50/497
H01M 10/00-10/04;10/06-10/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の負極、及び前記1以上の負極間に交互配置されている1以上の正極を含む電極アレイ;
前記1以上の負極のうち1つが中に配置されている繊維状マットエンベロープ;
並びに
前記繊維状マットエンベロープが中に配置されている多孔質膜エンベロープ
を含み、
前記負極は負極活物質を含み、前記負極活物質は前記繊維状マットのギャップ及び細孔に入り込んで、マット厚さの2%~50%が前記負極活物質と一体化された混合体層を形成する鉛酸電池であって、
前記鉛酸電池は、平板電池、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、ディープサイクル電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)車用電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車用電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形対応車用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車用電池、車椅子用電池、電気人力車用電池、電気三輪車用電池、電気自転車用電池、及び船舶用電池からなる群より選ばれる鉛酸電池。
【請求項2】
前記繊維状マットエンベロープが、不織布、メッシュ、フリース、及びこれらの組み合わせからなるリストの中の1つであるか、
前記繊維状マットエンベロープが、ポリマーから形成されており、また、付加的に、ガラス繊維、パルプ、及びこれらの組み合わせからなる群のうちの1以上によって形成されており、前記ポリマーが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1以上の材料を含むか、
前記繊維状マットエンベロープが、無機材料を含み、前記無機材料が、シリカを含むか、
繊維状マットエンベロープが、スパン-ボンドメルト-不織布複合材料を含むか、
前記繊維状マットエンベロープが、炭素繊維不織布材料を含み、前記炭素繊維不織布材料が、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを含むか、
前記繊維状マットエンベロープが、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、水性カーボン懸濁液、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを含むか、
前記繊維状マットエンベロープが、核生成添加剤を含み、前記核生成添加剤が、炭素の形態、硫酸バリウム(BaSO)、及びこれらの組み合わせのうちの1つであり、前記の炭素の形態が、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、水性カーボン懸濁液、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを含むか、又は
前記繊維状マットエンベロープが、前記負極の2つの側面に貼られている、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項3】
前記繊維状マットエンベロープが前記負極に隣接して配置されている導電層を含む鉛酸電池であって、
前記導電層が、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、水性カーボン懸濁液、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項4】
前記多孔質膜が、その少なくとも1つの表面におけるリブの1以上のアレイを含み、前記のリブの1以上のアレイが、その2つの表面にあり、
前記のリブの1以上のアレイのリブが、10μm~2.0mmの高さを有する、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項5】
前記多孔質膜が、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含み、
前記多孔質膜が、ポリエチレン、シリカ、及び加工油を含むか、
前記多孔質膜が、前記正極の2つの側面に貼られているか、
前記多孔質膜が、55%超、60%超、又は65%超の空隙率を有するか、又は前記多孔質膜が、微多孔質電池セパレータである、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項6】
前記多孔質膜が、前記正極の3つの側面に貼られているか、又は
前記多孔質膜が前記1以上の電極及び繊維状マットアセンブリのうちの1つの3つの側面に貼られている、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項7】
前記多孔質膜が、その1以上の表面においてリブを含み;
繊維状マットが、前記エンベロープ内に配置されている、請求項1に記載の鉛酸電池。
【請求項8】
前記リブが、10μm~2.0mm、5μm~300μm、又は25μm~200μmの高さを有する、請求項7に記載の鉛酸電池。
【請求項9】
前記繊維状マットが、前記リブの高さの50%~前記リブの高さの150%の厚さを有する、請求項7に記載の鉛酸電池。
【請求項10】
前記多孔質膜が、その2つの表面においてリブを有するか、又は
前記多孔質膜が加工油を含有し、前記加工油が、前記多孔質膜のおよそ5重量%~前記多孔質膜のおよそ15重量%の量にある、請求項7に記載の鉛酸電池。
【請求項11】
車両、及び、請求項1又は7のいずれかに記載の鉛酸電池を含む、システムであって、
前記車両が、自動車、トラック、オートバイ、全地形対応車、オートバイ、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車、電気人力車用電池、電気三輪車、電気自転車、車椅子、及び船舶からなる群から選択される1つである、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
この出願は、参照により本明細書に完全に組み込まれる、2018年4月20日に出願された同時係属のフランス特許出願第1853502号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、液式電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、繊維状マット、液式電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、セル、及び/若しくは電池の製造及び/若しくは使用方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された、始動-照明-点火(「SLI」)電池用強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、ディープサイクル用途用液式電池、動力用途用液式電池、部分充電状態(PSoC)用途用液式電池、並びに/又は、かかるセパレータ、繊維状マット、電池を含む、強化型液式電池、及び/若しくはシステム、車両など、並びに/又は、かかる改良されたセパレータ、繊維状マット、セル、電池、システム、車両などを作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータ、並びに/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池を作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、セパレータ、特に、低減した電気抵抗及び/若しくは増加したコールドクランキングアンプを有する強化型液式電池用のセパレータを対象とする。また、少なくとも強化型液式電池などにおいて、活物質保持を改善する、電池寿命を改善する、水分損失を低減する、内部抵抗を低減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、コールドクランキングアンプを改良する、均一性を改良するための方法、システム、及び電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、1以上の性能改善添加剤若しくはコーティング、最適化された空隙率、最適化された空隙容量、非晶質シリカ、高吸油性シリカ、高シラノール基シリカ、電極における活物質の保持及び/若しくは改良された保持、並びに/又はこれらの任意の組み合わせを含む、上記セパレータを対象とする。
【0003】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、上記を有する、鉛酸電池、特に、液式鉛酸電池、及び種々の鉛酸電池、例えば液式鉛酸電池又は強化型液式鉛酸電池用のセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、セル、電池、並びに/又は、かかるセパレータ、セル、及び/若しくは電池を製造及び/若しくは使用する方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータ、及び/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池の改良された使用方法を対象とする。また、鉛酸電池において、活物質保持、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、酸化安定性を改良する、フロート電流を改良する、維持する、及び/若しくは低下させる、充電終了(EOC)電流を改良する、ディープサイクル電池を充電及び/若しくは完全に充電するのに必要とされる電流及び/若しくは電圧を減少させる、内部電気抵抗の増加を最小にする、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増加させる、電解質によるウェットアウト時間を低下させる、電池形成時間を低減する、アンチモン中毒を低減する、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、並びに/又は、均一性を改良するための方法、システム、並びに電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータであって、1以上の改良された性能改善添加剤及び/又はコーティングを含む上記セパレータを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、開示されているセパレータは、例えば、原動機若しくは車両、並びに/又は定置式機械若しくは車両、例えばゴルフカート(「ゴルフカー」としても知られている)、フォークトラック、インバータ、再生可能なエネルギーシステム及び/若しくは代替のエネルギーシステム、例えば、ほんの一例として、太陽光発電システム及び風力発電システムにおける、ディープサイクル用途において有用であり;特に、開示されているセパレータは、ディープサイクル及び/又は部分充電状態の操作が電池寿命の部分となる電池システムにおいて、さらにより特定的には、添加剤及び/又は合金(例えば、アンチモン(Sb))が電池の寿命及び/若しくは性能を改善する、並びに/又は電池のディープサイクル及び/若しくは部分充電状態の操作能力を改善するために電池に添加されている電池システムにおいて有用である。
【0004】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示は、改良された鉛酸電池、例えば液式鉛酸電池、鉛酸電池、及び/若しくは電池セパレータを含む改良されたシステム、改良された電池セパレータ、かかるシステムを含む改良された車両、製造若しくは使用方法、又はこれらの組み合わせを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された液式鉛酸電池、かかる電池用の改良された電池セパレータ、及び/若しくはかかる改良された液式鉛酸電池の製造、試験、使用方法、並びに/又はこれらの組み合わせを対象とする。また、酸層化を低減するための、液式鉛酸電池において及び部分充電状態で操作するかかる電池において電池寿命及び性能を改善するための方法、システム、電池、及び/又は電池セパレータが本明細書に開示されている。
【背景技術】
【0005】
電池セパレータは、電気的短絡を防止するために電池の正及び負極又は正及び負極板を電気的に分離する。かかる電池セパレータは、典型的には微多孔質であり、また、イオンが正及び負極又は正及び負極板間を通過し得るようにイオン伝導性である。セパレータは、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンから造られていてよい。鉛酸蓄電池、例えば、自動車用電池及び/又は工業用電池及び/又はディープサイクル電池において、電池セパレータは典型的には微多孔質ポリエチレンセパレータであり;いくつかの場合において、かかるセパレータは、バックウェブ及び該バックウェブの片側又は両側に存在する複数のリブを含み得る。下記の非特許文献1を参照されたい。
【0006】
強化型液式電池(「EFB」)及び吸収ガラスマット(「AGM」)電池は、アイドルスタートストップ(「ISS」)用途における電源に対する拡大する要求を満たすために開発されている。EFBシステムは、正及び/又は負極が微多孔質セパレータによって取り囲まれて液体電解質に浸漬されている常套の液式鉛酸電池と同様の構造を有する。一方で、AGMシステムは、自由液体電解質を含有しない。代わりに、電解質は、電極上に層状化されているガラス繊維マット内に吸収される。歴史的に、AGMシステムは、液式電池システムよりも高い放電出力、良好なサイクル寿命及び大きなコールドクランキングアンプに関連している。しかし、AGM電池は、製造するにはかなりより高価であり、また、過充電に対してより高感度である。そのため、EFBシステムは、種々の市場及び用途でのモバイル電源及び固定電源のための依然として魅力的な選択肢である。
【0007】
EFBシステムは、鉛酸電池セル内で正極を負極から分割又は分離する1以上の電池セパレータを含み得る。電池セパレータは、2つの主な機能を有し得る。電池セパレータは、電気的短絡を引き起こし得る、2つの電極間を通るいずれの電流も防止するために正極を負極から物理的に離して維持しなければならない。また、電池セパレータは、最小限の抵抗で正極及び負極間のイオン電流を許容しなければならない。電池セパレータは、多くの異なる材料からできていてよいが、これら2つの相反する機能は、多孔質不導体からなっている電池セパレータによってよく満たされてきた。この構造により、細孔が電極間のイオン拡散に寄与し、非伝導性ポリマーネットワークが電子的短絡を防止する。
【0008】
放電率及びコールドクランキングアンペア又はアンプ(「CCA」)が増加したEFBは、AGM電池に置き換わることが可能であり得る。コールドクランキングアンプは、電池の内部抵抗と関係する。強化型液式電池の内部抵抗の低下がCCA定格を増加させると予期される。そのため、現在の鉛酸電池システムから生じる課題に対処してこれを克服するための、特に、強化型液式電池において内部抵抗を低下させコールドクランキングアンプを増加させるための新たな電池セパレータ及び/又は電池技術が必要とされている。
【0009】
燃料消費、及び排気管からの排出物の発生を防止するために、自動車メーカーは、様々な程度の電気ハイブリッド化を実行してきた。ハイブリッド電気自動車(「HEV」)の1つの形態は、「マイクロHEV」又は「マイクロハイブリッド」と称されることがある。かかるマイクロHEV又は同様の車両において、自動車は、エンジンがアイドルスタートストップ(「ISS」)及び/又は回生制動の際の種々な点において停止し得るアイドルスタートストップ機能を有し得る。これにより車両の燃費を増加させるが、車両が動いていない間に補助デバイス(例えば、エアコン、メディアプレーヤーなど)に電力を供給しなければならず、電池への負担も増加させる。
【0010】
従来の車両(例えば、スタート-ストップ性能を有さない自動車)は、従来の液式鉛酸電池、例えば、始動-照明-点火(「SLI」)鉛酸電池を使用している場合がある。エンジンは使用の際に決して停止しないため、エンジンがクランキング又は始動されるときに電力が単に電池から取り出される。そのため、電池が、典型的には、部分充電状態ではなく過充電の状態で存在する。例えば、かかる従来の液式鉛酸電池は、多くの場合において過充電の状態であるため、95%超で充電され、96%超、97%超、98%超、99%超、又はさらには100%超で充電されている充電の状態で存在する場合がある。過充電では、気泡(例えば、水素の気泡)が従来の鉛酸電池内で発生し、これらの循環する気泡が電池内の液体電解質(例えば、硫酸)の混合する働きをする。
【0011】
一方で、ISS車両は、電池から電力を連続的に取り出すため、常に部分充電の状態にある。部分充電状態では、気泡が発生せず、電解質の内部混合が実質的に低減されて、電池内での酸層化を引き起こす。こうして、酸層化が、部分充電状態において作動する種々の強化型液式電池、例えば、アイドルスタートストップ液式鉛酸電池において問題となる。一方で、酸層化は、過充電又は満充電又は満充電に近い状態で操作される、より従来的又は常套的な液式鉛酸電池については全く問題にはならない。
【0012】
酸層化とは、電解質中の水及び硫酸が、電池の底部においてより濃い硫酸が集中することで、電池の頂部において対応してより高い水濃度を引き起こす、階層化するプロセスに関する用語である。酸層化は、液式鉛酸電池、例えば、強化型液式鉛酸電池又はスタート/ストップ液式鉛酸電池内では望ましくない。電極の頂部における低減した酸レベルは、電池システム内での均一性及び電荷許容性を阻害し得、内部抵抗の変動を電池の高さに沿って頂部から底部にかけて増加させ得る。電池の底部における増加した酸レベルは、電池の電圧を人工的に上昇させ、電池管理システムを妨害して、電池管理システムに意図しない/誤ったヘルスシグナル状態を場合により送信する可能性がある。全体に、酸層化は、電池の部分に沿ってより高い抵抗を生じさせ、電極の問題及び/又はより短い電池寿命を引き起こし得る。スタート/ストップ電池及び/又は他の強化型液式鉛酸電池が、車両の燃料効率を増加させかつ排出物を低減するハイブリッド及び完全電気式車両と共にますます普及するようになることが予期されることを考慮すると、酸層化を低減する及び/又は酸混合を改良するための解決策が大いに必要とされる。
【0013】
いくつかの場合において、酸層化は、ゲル化された電解質及び/又は吸収ガラスマット(「AGM」)電池セパレータシステムのいずれかによって酸が固定化される制御弁式鉛酸電池(「VRLA」)技術を使用していくぶん低減され得る。液式鉛酸電池における自由流動電解質とは対照的に、VRLA AGM電池における電解質は、繊維又は繊維状材料、例えば、ガラス繊維マット、ポリマー繊維マット、ゲル化された電解質などにおいて吸収される。しかし、VRLA AGM電池システムは、製造するには液式電池システムよりも実質的に高価である。VRLA AGM技術は、いくつかの場合において、過充電に対してより高感度であり得、高熱において完全に乾燥し得、容量の穏やかな減少を経験し得、また、より低い比エネルギーを有し得る。同様に、いくつかの場合において、ゲルVRLA技術は、より高い内部抵抗を有し得、低減した電荷許容性を有し得る。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0014】
【文献】Besenhard,J.O.,Editor,Handbook of Battery Materials,Wiley-VCH Verlag GmbH,Weinheim,Germany(1999),ch.9,pp.245-292
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
EFBシステムにおいて、電極又は板は、鉛合金グリッド及び活物質から構成されている。かかるEFBの製造プロセスの際に、活物質ペーストが鉛合金グリッドに適用されて硬化され、電極又は板を形成する。当該ペーストは、カーボンブラック、硫酸バリウム、リグノスルホン酸塩、硫酸、及び水のうちの1以上を含み得る。硬化プロセスは、上記ペーストを硫酸鉛の混合物に変化させ、これが、電池の初期充電の際に電気的に活性な物質となる。正極におけるペーストは、正極活物質(「PAM」)として知られている。同様に、負極における活物質は、負極活物質(「NAM」)として知られている。電池の充放電サイクルの間、電極は膨張及び収縮を経験する。時間と共に、電極のこの歪みが、活物質を電極から脱落させて物理的に分離させる。活物質が電極からますます脱落するにつれて、この電極は有効でなくなり、電池の性能及び寿命が低減される。そのため、現在の鉛酸電池システムから生じる課題に対処してこれを克服するための、特に、強化型液式鉛酸電池における電極からの活物質の脱落を防止する又は妨げるための新たな電池セパレータ及び/又は電池技術が必要とされている。
【0016】
少なくともある特定の用途又は電池には、改良されたサイクル寿命、低減したアンチモン中毒、低減した水消費量、フロート充電電流の低減、及び/又は電池を完全に再充電するのに必要とされる低減した電圧を提供する改良されたセパレータが依然として必要とされている。より特定的には、鉛酸電池において、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、酸化安定性を改良する、フロート電流を改良する、維持する、及び/若しくは低下させる、充電終了(「EOC」)電流を改良する、電池、例えば、ディープサイクル電池を充電及び/若しくは完全に充電するのに必要とされる電流及び/若しくは電圧を減少させる、内部電気抵抗の増加を最小にする、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増加させる、電解質によるウェットアウト時間を低下させる、電池形成時間を低減する、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、並びに/又は均一性を改良することを提供する、改良されたセパレータ、並びに、改良されたセパレータを含む改良された電池(例えば、部分充電状態において作動するもの及び/又はディープサイクル電池など)が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、特に、限定されないがEFB電池及びセパレータについての上記の課題又は問題に対応し得、並びに/あるいは、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、膜、セパレータ膜、強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、繊維状マット、強化型液式電池セパレータ、セル、及び/若しくは電池の製造及び/若しくは使用方法を提供し得、並びに/又は、これらを対象とし得る。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された、始動-照明-点火(「SLI」)電池用強化型液式鉛酸電池セパレータ、繊維状マット、ディープサイクル用途用液式電池、及び/若しくは強化型液式電池、並びに/又は、かかるセパレータ、マット、電池を含むシステム、車両など、並びに/又は、かかる改良されたセパレータ、マット、セル、電池、システム、車両などを作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータ、並びに/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池を作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、セパレータ、特に、低減した電気抵抗及び/若しくは増加したコールドクランキングアンプを有する強化型液式電池用のセパレータを対象とする。また、少なくとも強化型液式電池などにおいて、活物質保持を改善する、電池寿命を改善する、水分損失を低減する、内部抵抗を低減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、コールドクランキングアンプを改良する、均一性を改良するための方法、システム及び電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、1以上の性能改善添加剤若しくはコーティング、最適化された空隙率、最適化された空隙容量、非晶質シリカ、高吸油性シリカ、高シラノール基シリカ、電極における活物質の保持及び/若しくは改良された保持、並びに/又はこれらの任意の組み合わせを含む、上記セパレータを対象とする。
【0018】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、上記を有する、鉛酸電池、特に、液式鉛酸電池、及び種々の鉛酸電池、例えば液式鉛酸電池又は強化型液式鉛酸電池用のセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、セル、電池、並びに/又は、かかるセパレータ、セル、及び/若しくは電池を製造及び/若しくは使用する方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータ、及び/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池の改良された使用方法を対象とする。また、鉛酸電池において、活物質保持、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、酸化安定性を改良する、フロート電流を改良する、維持する、及び/若しくは低下させる、充電終了(EOC)電流を改良する、ディープサイクル電池を充電及び/若しくは完全に充電するのに必要とされる電流及び/若しくは電圧を減少させる、内部電気抵抗の増加を最小にする、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増加させる、電解質によるウェットアウト時間を低下させる、電池形成時間を低減する、アンチモン中毒を低減する、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、並びに/又は、均一性を改良するための方法、システム、並びに電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータであって、1以上の改良された性能改善添加剤及び/又はコーティングを含む上記セパレータを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、開示されているセパレータは、例えば、原動機若しくは車両、並びに/又は定置式機械若しくは車両、例えばゴルフカート、フォークトラック、インバータ、再生可能なエネルギーシステム及び/若しくは代替のエネルギーシステム、ほんの一例として、太陽光発電システム及び風力発電システムにおける、ディープサイクル用途において有用であり;特に、開示されているセパレータは、ディープサイクル及び/又は部分充電状態の操作が電池寿命の部分となる電池システムにおいて、さらにより特定的には、添加剤及び/又は合金(例えば、アンチモン(Sb))が電池の寿命及び/若しくは性能を改善する、並びに/又は電池のディープサイクル及び/若しくは部分充電状態の操作能力を改善するために電池に添加されている電池システムにおいて有用である。
【0019】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示は、改良された鉛酸電池、例えば液式鉛酸電池、鉛酸電池、及び/若しくは電池セパレータを含む改良されたシステム、改良された電池セパレータ、かかるシステムを含む改良された車両、製造若しくは使用方法、又はこれらの組み合わせを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された液式鉛酸電池、かかる電池用の改良された電池セパレータ、及び/若しくはかかる改良された液式鉛酸電池の製造、試験、使用方法、並びに/又はこれらの組み合わせを対象とする。また、酸層化を低減するための、液式鉛酸電池において及び部分充電状態で操作するかかる電池において電池寿命及び性能を改善するための方法、システム、電池、及び/又は電池セパレータが本明細書に開示されている。
【0020】
ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンから作製されるセパレータは、親水性電解質によるセパレータの湿潤を容易にするシリカを典型的には含有する。いくつかの場合において、親水性材料、例えば、繊維状マットが、湿潤を支援しかつ正極にコーティングされた活物質を保持するために、セパレータに隣接して設けられる。同じく、繊維状マットが、負極にコーティングされた活物質を保持するために設けられ得る。
【0021】
この出願は、新たな及び改良された鉛酸電池、並びに、これらの新たな及び改良された鉛酸電池を有する車両も対象とする。液式鉛酸電池は、十分に厳密であっても電池の操作不能を結果として生じ得るという問題がある、酸層化の低減を示す。酸層化の低減を示すことに加えて、本明細書に記載されている液式鉛酸電池は、他の望ましい特性、例えば、改良された電荷許容性を示し得る。
【0022】
一態様において、液式鉛酸電池は、記載されているように、互いに対して交互に配置及び間挿されている1以上の負極又は板及び1以上の正極又は板を備えた電極アレイを有する。この電極アレイにおいて、少なくとも1つの負極が、織布材料及び不織布材料のうちの少なくとも1つによって巻き付けられている。リブ付き又はリブ付きでない多孔質膜は、隣接する正極(少なくとも1つの巻き付けられた負極と隣接する正極)の周りに巻き付けられている。
負極が織布材料によって巻き付けられているいくつかの実施形態において、織布材料は、押出可能なメッシュ、織布ガラスマット、及び炭素繊維織布材料からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0023】
負極が不織布材料によって巻き付けられている他の実施形態において、不織布材料は、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料から形成されてよい。不織布がポリマーから形成される実施形態において、当該不織布は、ポリマーのみから又はガラス及び/若しくはパルプと組み合わせて形成されてよい。ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つであってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つに加えて、無機粉末を備えていてよい。無機粉末は、シリカであってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、スパン-ボンドメルト-織布複合材料であってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、炭素繊維不織布材料である。
【0024】
多孔質膜は、いくつかの実施形態において、リブ付きであってよい。多孔質膜は、膜の片側又は両側においてリブ付きであってよい。リブは、約10~約200μmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、リブ付きでなくてよい。多孔質膜がリブ付きであるかリブ付きでないかにかかわらず、多孔質膜は、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、セルロース繊維又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの天然又は合成材料から作製されていてよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び残存又は未抽出加工油を備えていてよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、正極を巻き付ける多孔質膜は、1以上、2以上、又は3であるが4ではない側で封止されている。いくつかの実施形態において、負極を巻き付ける繊維状マットは、1以上、2以上、又は3以上であるが4ではない側で封止されている。
【0027】
別の態様において、互いに対して交互に配置されている1以上の負極及び1以上の正極を備える電極アレイを有する液式鉛酸電池が記載されている。このアレイにおいて、繊維状マットは、負極に少なくとも部分的に一体化されている。加えて、この実施形態において、リブ付き又はリブ付きでない多孔質膜は、繊維状マットが少なくとも部分的に一体化されている負極の周り又は隣接する正極の周りのいずれかに巻き付けられている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、2%~50%が負極に一体化されている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、5~25%が負極に一体化されている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、5~20%が負極に一体化されている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、10~15%が負極に一体化されている。
【0028】
いくつかの実施形態において、織布材料は、負極に少なくとも部分的に一体化されている。織布材料は、押出可能なメッシュ、織布ガラスマット、及び炭素繊維織布材料からなる群から選択される少なくとも1つであってよい。
【0029】
いくつかの実施形態において、不織布材料は、負極に少なくとも部分的に一体化されている。不織布材料は、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料から形成されてよい。不織布材料がポリマーから形成される実施形態において、ポリマーは、単独で使用されても、少なくともガラス及び/又はパルプと併用されてもよい。ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのみが使用されても、これらが併用されてもよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料に加えて、無機粉末を備えていてよい。無機粉末は、シリカであってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、スパン-ボンドメルト-織布複合材料であってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、炭素繊維不織布材料であってよい。
【0030】
多孔質膜は、いくつかの実施形態において、リブ付きであってよい。多孔質膜は、膜の片側又は両側においてリブ付きであってよい。リブは、約10~約200μmの高さを有する。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、リブ付きでなくてよい。多孔質膜がリブ付きであるかリブ付きでないかにかかわらず、多孔質膜は、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、セルロース繊維又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの天然又は合成材料から作製されていてよい。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び残存又は未抽出加工油を有する。
【0031】
いくつかの実施形態において、繊維状マットが少なくとも部分的に一体化されている負極の周り又は隣接する正極の周りのいずれかに巻き付けられている多孔質膜は、1以上、2以上、若しくは3であるが、4ではない側において封止されている。
【0032】
別の態様において、互いに対して交互に配置されている1以上の負極及び1以上の正極を有する電極アレイを有する液式鉛酸電池が記載されている。いくつかの実施形態において、電極アレイの負極は、その少なくとも1つの側においてリブを有する多孔質膜によって巻き付けられており、繊維状マットは、巻き付けられた負極と負極を巻き付ける多孔質膜との間に存在する。いくつかの好ましい実施形態において、多孔質膜のリブは、繊維状マットに最も近い多孔質膜の側に少なくともある。多孔質膜のリブは、繊維状マットに最も近い多孔質膜の側に存在していても対向する側に存在していても、5μm~300μm又は25μm~200μmの高さを有し得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、多孔質膜によって巻き付けられていることに加えて、巻き付けられた負極は、繊維状マットによっても巻き付けられている。いくつかの実施形態において、不織布又は織布材料は、巻き付けられた負極に少なくとも部分的に一体化されている。いくつかの実施形態において、不織布又は織布材料は、多孔質膜のリブ間に存在する。不織布又は織布材料が多孔質膜のリブ間に存在する実施形態において、不織布又は織布材料は、リブの高さの50%~150%である厚さを有する。
【0034】
いくつかの実施形態において、織布材料は、巻き付けられた負極と、電極を巻き付ける多孔質膜との間に存在する。かかる実施形態において、織布材料は、押出可能なメッシュ、織布ガラスマット、及び炭素繊維織布材料からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0035】
いくつかの実施形態において、不織布材料は、巻き付けられた負極と、電極を巻き付ける多孔質膜との間に存在する。ある場合において、不織布材料は、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの材料から形成されている。ポリマーが、不織布材料中に、単独で、ガラス及び/若しくはパルプと組み合わされて、又は別の材料と組み合わされてのいずれかで存在する実施形態において、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つである。いくつかの実施形態において、ガラス、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有することに加えて、不織布材料はまた、無機粉末を有していてもよい。無機粉末は、シリカであってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、スパン-ボンドメルト-織布複合材料であってよい。いくつかの実施形態において、不織布材料は、炭素繊維不織布材料である。
【0036】
多孔質膜は、本明細書に記載されているいくつかの実施形態において、両側にリブを有していてよい。多孔質膜は、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、セルロース繊維又はこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの天然又は合成材料から作製されていてよい。いくつかの実施形態において、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び残存又は未抽出加工油を有する。負極の周りに巻き付けられている多孔質膜は、いくつかの実施形態において、1以上、2以上、又は3であるが4ではない側において封止されていてよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、負極の周りに巻き付けられている繊維状マットは、1以上、2以上、又は3であるが4ではない側において封止されていてよい。
【0038】
別の態様において、液式鉛酸電池のうちの1以上を有する、スタート/ストップ車両を含めた車両が本明細書に記載されている。
【0039】
第1の例示的な実施形態において、鉛酸電池は、1以上の負極、及び当該1以上の負極の間に交互配置されている1以上の正極を有する電極アレイを備える。1以上の負極のうちの少なくとも1つが、繊維状マットによってエンベロープされており、1以上の負極のうちの少なくとも1つに隣接する1以上の正極が、多孔質膜によってエンベロープされている。多孔質膜は、微多孔質電池セパレータであってよい。
【0040】
例示的な態様において、繊維状マットは、不織布、メッシュ、フリースなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。繊維状マットは、さらに、ガラス繊維、パルプ、ポリマーなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。また、繊維状マットは、ポリマーから、また、加えて、ガラス繊維、パルプなど、及び/又はこれらの組み合わせによって形成されていてよく、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布複合材料又は炭素繊維不織布材料などであってよい。
【0041】
例示的な多孔質膜は、その少なくとも1つの表面におけるリブの1以上のアレイ、又はその2つの表面におけるリブの1以上のアレイを備えていてよい。リブは、約10μm~約2.0mmの高さを有し得る。多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維など、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。代替的に、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよく、ここで、加工油は、多孔質膜の約5重量%~多孔質膜の約15重量%の量である。
【0042】
ある特定の選択態様において、多孔質膜は、約55%、約60%、約65%超の空隙率を有する。
【0043】
別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、正極の周囲でエンベロープされていてよく、正極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側のいずれかにおいて封止されていてよい。
【0044】
なお別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の繊維状マットは、負極の周囲でエンベロープされていてよく、負極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側において封止されていてよい。
【0045】
なお別の例示的な実施形態において、好ましい鉛酸電池の一例は、1以上の負極及び当該1以上の負極間に交互配置されている1以上の正極を含む電極アレイを備えていてよい。電池は、1以上の電極、及び、負極のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に一体化されている繊維状マットを含む繊維状マットアセンブリをさらに備えていてよい。多孔質膜は、微多孔質膜であってよく、1以上の電極のうちの1以上及び繊維状マットアセンブリ、又は、1以上の電極に隣接する1以上の正極のうちの少なくとも1つ及び繊維状マットアセンブリをエンベロープしていてよい。例示的な態様において、繊維状マットは、繊維状マットのマット厚さの約2%~約50%、マット厚さの約5%~約25%、マット厚さの約5%~約20%、又はマット厚さの約10%~約15%まで活物質に一体化されていてよい。
【0046】
任意の例示的な繊維状マットは、不織布、メッシュ、フリースなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。また、繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、ポリマーなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。さらに、繊維状マットは、ポリマーから形成され、加えて、ガラス繊維、パルプなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上によって形成されていてよく、当該ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。
【0047】
例示的な鉛酸電池の別の態様において、例示的な繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布、炭素繊維不織布などであってよい。
【0048】
例示的な鉛酸電池のさらなる態様において、例示的な多孔質膜は、その1つ又は2つの表面においてリブの1以上のアレイを有していてよい。リブの1以上のアレイのリブは、約10μm~約2.0mmの高さを有し得る。
【0049】
例示的な多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維など、及び/又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであってよい。1つの特定の実施形態において、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよい。
【0050】
別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、正極の周囲でエンベロープされていてよく、正極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側のいずれかにおいて封止されていてよい。なお別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、1以上の電極及び繊維状マットアセンブリのうちの1つの側、2つの側、及び/又は3つの側において封止されていてよい。
【0051】
例示的な好ましい実施形態のさらなる選択実施形態において、鉛酸電池は、互いに対して交互に配置されている1以上の負極及び1以上の正極の電極アレイを備えている。多孔質膜エンベロープは、その中に配置されている1以上の負極のうちの少なくとも1つをエンベロープしてさらに設けられており、多孔質膜がその1以上の表面においてリブを含み、繊維状マットがエンベロープ内に配置されている。リブは、少なくとも、部分的に、繊維状マットに隣接する多孔質膜の表面にあってよい。リブは、約10μm~約2.0mm、又は約5μm~約300μm、又は約25μm~約200μmの高さを有し得る。また、繊維状マットは、1以上の負極のうちの少なくとも1つをエンベロープしていてよい。さらに、繊維状マットは、負極に少なくとも部分的に一体化されていてよい。
【0052】
代替的に、繊維状マットは、リブ間に配置されている別個の片であってよく、リブの高さの約50%~リブの高さの約150%の厚さを有していてよい。本発明の選択態様において、繊維状マットは、負極と多孔質膜との間に配置されていてよい。繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、及びこれらの組み合わせのうちの1以上と組み合わせてポリマーから形成されていてよく;ここで、当該ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。また、繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布複合材料、又は炭素繊維不織布材料であってよい。
【0053】
さらに、繊維状マットは、当該マットの部分として又は負極に隣接する層においてのいずれかで炭素成分をさらに有していてよい。例えば、繊維状マットは、炭素繊維、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、水性カーボン懸濁液、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを有していてよい。また、繊維状マットは、核生成添加剤、例えば、上記の炭素、又は硫酸バリウム(BaSO)を有していてよい。
【0054】
選択実施形態において、多孔質膜は、その2つの表面においてリブを有していてよい。また、多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。具体的には、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよい。
【0055】
本発明の選択態様において、多孔質膜は、負極の1つの側、負極の2つの側、又は負極の3つの側において封止されていてよい。また、繊維状マットは、負極の1つの側、負極の2つの側、及び負極の3つの側において封止されていてよい。
【0056】
本発明の選択実施形態において、システムは、本明細書に実質的に記載されている1以上の電池を利用する車両を備える。車両は、自動車、トラック、オートバイ、全地形対応車、オートバイ、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車、電気人力車用電池、電気三輪車、電気自転車、車椅子、又は船舶であってよい。
【0057】
選択実施形態において、本明細書に実質的に記載されている鉛酸電池は、平板電池、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、ディープサイクル電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)車用電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車用電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形対応車用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車用電池、車椅子用電池、電気人力車用電池、電気三輪車用電池、電気自転車用電池、又は船舶用電池であってよい。
【0058】
選択実施形態において、方法は、部分充電状態で作動する又は当該状態において操作されることが意図される鉛酸電池、液式鉛酸電池、又は液式鉛酸電池における酸置換を防止又は軽減するために提供される。方法は、本明細書に記載されているいずれかの電池と実質的に同一の構造を有するように電池を製造することを含んでいてよい。
【0059】
本明細書に示されている又は記載されている、新規又は改良されたシステム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、電極、並びに/又は、かかる電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、繊維状マット、セル、及び/若しくは電極の製造及び/若しくは使用方法。
【0060】
新規又は改良された電池、特に、本明細書に記載されている及び/又は示されている鉛酸電池;新規又は改良された、システム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、電極、並びに/又は、かかるシステム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、及び/若しくは電極の製造及び/若しくは使用方法;改良された鉛酸電池用セパレータを有する改良された電池、及び/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池の改良された使用方法;鉛酸電池において、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、フロート電流を低下させる、内部抵抗の増加を軽減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、活物質を保存する、活物質の脱落を軽減する、及び/又は均一性を改良するための方法、システム、処理、及び電池セパレータ;改良された鉛酸電池用セパレータであって、改良された機能性コーティングを含む当該セパレータ、酸層化を低減する改良された電池セパレータ、酸拡散を改良する改良された電池セパレータ、活物質を保存する改良された鉛酸電池、活物質の脱落を軽減する改良された鉛酸電池セパレータ、かかる改良されたセパレータを含む改良された鉛酸電池、自動車用長寿命鉛酸電池、改良された液式鉛酸電池など、並びに/又は、低減した酸層化、改良された酸拡散、改良された活物質保存能力、及び/若しくは改良された活物質脱落低減能力を有する電池;ポリエチレンセパレータ及びこの間に繊維状マットが配置されている負極を有する電池、並びに/又は、かかる電池の製造及び/若しくは使用方法;多孔質膜及びこれに積層された繊維状マットを有する電池であって、繊維状マットがかかる電池において負極に隣接している、かかる電池、並びに/又は、かかる電池の製造及び/若しくは使用方法。
【0061】
本明細書に記載されているように、例示的なセパレータは、様々な用途において利用される鉛酸電池において使用され得る。かかる用途には、例えば:部分充電状態用途;ディープサイクル用途;自動車用途;トラック用途;オートバイ用途;動力用途、例えば、フォークトラック、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)など;電気自動車用途;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用途;ISS車用途;電気人力車用途;電気三輪車用途;電気自転車用途;ボート用途;エネルギー集積及び貯蔵用途、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。また、例示的なセパレータは、様々な電池において使用されてよい。かかる例示的な電池には、例えば:液式鉛酸電池、例えば、強化型液式鉛酸電池;AGM電池;VRLA電池;板状電池;管状電池;部分充電状態電池;ディープサイクル電池;自動車用電池;トラック用電池;オートバイ用電池;動力電池、例えば、フォークトラック用電池、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)用電池など;電気自動車用電池;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用電池;ISS車用電池;電気人力車用電池;電気三輪車用電池;電気自転車用電池;ボート用電池;エネルギー集積及び貯蔵電池、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1図1は、典型的な液式鉛酸電池を模式的に示す。
図2A図2Aは、本明細書の例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図2B図2Bは、本明細書の例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図3A図3Aは、本明細書の例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を表す側面図である。
図3B図3Bは、本明細書の例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を表す側面図である。
図4図4は、本明細書の1つの例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態の側面図である。
図5A図5Aは、本明細書の1つの例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図5B図5Bは、本明細書の1つの例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図6A図6Aは、本明細書の1つの例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図6B図6Bは、本明細書の1つの例示的な実施形態による電極/セパレータアレイの実施形態を示す側面図である。
図7A図7Aは、本開示に記載されている例示的な繊維状マットの写真である。
図7B図7Bは、本開示に記載されている例示的な繊維状マットの写真である。
図8A図8Aは、図7Aの例示的な繊維状マットのより高解像度の写真であり、上から見て撮ったものである。
図8B図8Bは、図7Bの例示的な繊維状マットのより高解像度の写真であり、横になっているマットに対して斜角で撮ったものである。
図9図9は、本明細書に記載されている例示的な繊維状マットを従来のガラスマットのものと比較した、低倍率でのSEM画像を示す。
図10図10は、本開示に記載されている例示的な繊維状マットの、図11のものよりも高倍率でのSEM画像を示す。
図11図11は、繊維径をハイライトした、本開示に記載されている例示的な繊維状マットのSEM画像である。
図12図12は、細孔領域をハイライトした、本開示に記載されている例示的な繊維状マットのSEM画像である。
図13A図13Aは、縦方向における長手方向リブを示す。
図13B図13Bは、幅方向における水平又は横断リブを示す。
図14A図14Aは、正極リブ及び負極リブの膜の寸法を説明する、例示的な多孔質膜の側面図である。
図14B図14Bは、正極リブ及び負極リブの膜の寸法を説明する、例示的な多孔質膜の側面図である。
図15A図15Aは、正極リブ及び負極リブの膜の寸法を説明する、例示的な多孔質膜の側面図である。
図15B図15Bは、正極リブ及び負極リブの膜の寸法を説明する、例示的な多孔質膜の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
本明細書に記載されている実施形態は、以下の詳細な説明、例、及び図面又は図(すなわち、「図(FIG.)」又は「図(Figs.)」)を参照することによってより容易に最もよく理解され得る。とりわけ、種々の、電池、車両、又はデバイス、及び、酸層化を防止するための方法は、とりわけ、本明細書に記載されているが、これらは、詳細な説明、例、及び図において提示されている具体的な実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる説明的なものであることが認識される。数多くの変更及び適合が、開示されている主題から逸脱することなく当業者に容易に明らかになるであろう。
【0064】
鉛酸電池
図1をここで参照すると、例示的な液式鉛酸電池50、例えば、EFBは、交互の正極52及び負極54のアレイ50aを備え、その結果、正極52が、負極54間に交互配置されるようになっている。アレイ50aは、各電極52、54間に交互配置されているセパレータアセンブリ100をさらに備え、その結果、セパレータアセンブリ100が、電極52、54を隔てて電極52、54間の接触を防止するようになっている。アレイ50aは、硫酸(HSO)電解質56(例えば、水に対しての例示的な比重が約1.20~1.35の間である硫酸)に実質的に浸漬されている。正極52は、正極端子51と電気的に連通しており、負極54は、負極端子53と電気的に連通している。セパレータアセンブリ100は、多孔質膜(図2A-8において200)を含み、1以上の繊維状マット(複数可)(図2A-8において300)を付加的に備えていてよい。
【0065】
本明細書に記載されている鉛酸電池は、さほど限定されず、液式鉛酸電池、例えば、強化型液式鉛酸電池、吸収ガラスマット(「AGM」)電池、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池などであってよい。いくつかの好ましい実施形態において、本明細書に記載されている鉛酸電池は、少なくとも、本明細書における開示が、液式鉛酸電池、特に、部分充電状態で作動する又は部分充電状態にある液式鉛酸電池の問題、すなわち酸層化及び活物質脱落を解決することを対象としているため、液式鉛酸電池である。
【0066】
本明細書に記載されているように、例示的なセパレータは、様々な用途において利用される鉛酸電池において使用され得る。かかる用途には、例えば:部分充電状態用途;ディープサイクル用途;自動車用途;トラック用途;オートバイ用途;動力用途、例えば、フォークトラック、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)など;電気自動車用途;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用途;ISS車用途;電気人力車用途;電気三輪車用途;電気自転車用途;ボート用途;エネルギー集積及び貯蔵用途、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。また、例示的なセパレータは、様々な電池において使用されてよい。かかる例示的な電池には、例えば:液式鉛酸電池、例えば、強化型液式鉛酸電池;AGM電池;VRLA電池;板状電池;管状電池;部分充電状態電池;ディープサイクル電池;自動車用電池;トラック用電池;オートバイ用電池;動力電池、例えば、フォークトラック用電池、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)用電池など;電気自動車用電池;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用電池;ISS車用電池;電気人力車用電池;電気三輪車用電池;電気自転車用電池;ボート用電池;エネルギー集積及び貯蔵電池、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。
【0067】
負及び正極
本明細書において開示されている正及び負極又は正及び負極板は、さほど限定されず、鉛酸電池における使用に許容可能であることが知られているいずれの正又は負極であってもよい。典型的には、鉛酸電池において、負極又は板は、負極グリッドをコーティングする負極活物質(「NAM」)を有する酸化鉛(PbO)グリッドとして設けられており、正極又は板は、正極グリッドをコーティングする正極活物質(「PAM」)を有するスポンジ鉛(Pb)グリッドとして設けられている。本明細書において使用されているとき、「電極」、及び「板」は、互換可能に使用されてよい。いくつかの好ましい実施形態において、電極は、プラント板構造、平板構造、又は管状電極構造のいずれかを有していてよい。
【0068】
平板構造を有する例示的な電極は、グリッド及び活物質(例えば、正極活物質(「PAM」)又は負極活物質(「NAM」))を備える。グリッドは、鉛単独、又は、アンチモン、カルシウム、スズ、セレン、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを有する鉛合金からなっていてよい。鉛に対する添加剤の量は、例えば、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約6%、約1%~約5%、約1%~約4%、約1%~約3%、約1%~約2%などであってよい。ある特定の選択実施形態において、グリッドは、鉛及びアンチモンの合金からなっていてよい。アンチモンは、硬度を改良するとされている。他の選択実施形態において、グリッドは、鉛及びカルシウムの合金からなっていてよい。カルシウムは、硬度を改良するとされている。いくつかの選択実施形態において、スズは、鉛及びカルシウム又は鉛及びアンチモンの合金に添加されてサイクル性を改良し得る。平板構造を有する電極における活物質は、グリッド上にペーストを適用することによって形成される。ペーストは、鉛(例えば、酸化鉛)、水、及び硫酸の混合物を備えていてよい。貼り付け操作の後、いくつかの実施形態において、電極が硬化されてよい。
【0069】
管状構造を有する例示的な電極は、コムと呼ばれる、頂部の棒から下方に延在する一連のスパインを備える。コムは、鉛単独、又は、鉛、並びにアンチモン、カルシウム、スズ、及びセレンから選択される少なくとも1つのからなっていてよい。鉛に対する添加剤の量は、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~6%、1%~5%、1%~4%、1%~3%、1%~2%などであってよい。いくつかの好ましい実施形態において、コム又はグリッドは、鉛及びアンチモンからなっていてよい。アンチモンは、硬度を改良するとされている。好ましくあり得るいくつかの他の実施形態において、グリッドは、鉛及びカルシウムからなる。カルシウムは、硬度を改良するとされている。いくつかの実施形態において、スズは、鉛及びカルシウム又は鉛及びアンチモンの合金に添加されてサイクル性を改良し得る。平行なチューブ又はガントレットは、スパインを取り囲み、活物質(正又は負)を保持する。これらのガントレットは、多孔質不活性織物又は不織物からなっていてよい。
【0070】
電極アレイ
図2A及び2Bをここで参照すると、例示的な電極/セパレータアレイ50aは、上記に概して記載されているように、間に交互配置されている負極54のアレイを伴っている、正極52のアレイ、及び、各電極52、54間に交互配置されているセパレータアセンブリ100のアレイを備える。示すように、セパレータアセンブリ100は、正極リブ(図2A又は2Bには示されていないが、以下において記載されている)及び/又は負極リブ(図2A又は2Bには示されていないが、以下において記載されている)を備えていても備えていなくてもよい多孔質膜200、並びに繊維状マット300を備える。代替的に、繊維状マット300は、1以上のマットであってよい。図2Aに示すように、繊維状マット300は、正極(複数可)52及び多孔質膜200に隣接して配置されており;多孔質膜200は、負極(複数可)54及び繊維状マット300に隣接して配置されている。図2Bに示すように、繊維状マット300は、負極(複数可)54及び多孔質膜200に隣接して、また、これに密接して配置されており;多孔質膜200は、正極(複数可)52及び繊維状マット300に隣接して配置されている。セパレータアセンブリ100は、接着剤、熱かしめ、超音波溶接若しくは封止、超音波ソーイング、共押出、及び/又はこれらの組み合わせを介して互いに付着した多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。代替的に、セパレータアセンブリ100は、互いに付着していない多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。示すように、セパレータアセンブリ100は、ルーズリーフ構成で提供される。代替的に、セパレータアセンブリ100は、エンベロープ、ハイブリッドエンベロープ、ポケット、スリーブ、ラップ、折り畳み、又はこれらの組み合わせとして設けられてよい。組み合わせは、異なる構成が電極/セパレータアレイ50aの全体を通して使用され得る可能性を称する。
【0071】
図3A及び3Bをここで参照すると、例示的な電極/セパレータアレイ50aは、上記に概して記載されているように、間に交互配置されている負極54のアレイを伴っている、正極52のアレイ、及び、各電極52、54間に交互配置されているセパレータアセンブリ100のアレイを備える。示すように、セパレータアセンブリ100は、正極リブ(明確のために図3A又は3Bには示されていないが、以下において記載されている)及び/又は負極リブ(明確のために図3A又は3Bには示されていないが、以下において記載されている)を備えていても備えていなくてもよい多孔質膜200、並びに繊維状マット300を備える。代替的に、繊維状マット300は、1以上のマットであってよい。図3Aに示すように、繊維状マット300は、エンベロープ形式で正極(複数可)52の周囲に配置されており;多孔質膜200は、エンベロープ形式で繊維状マット300の周囲に配置されている。図3Bに示すように、繊維状マット300は、エンベロープ形式で負極(複数可)54の周囲に密接して配置されており;多孔質膜200は、エンベロープ形式で繊維状マット300の周囲に配置されている。セパレータアセンブリ100は、接着剤、熱かしめ、超音波溶接若しくは封止、超音波ソーイング、共押出、及び/又はこれらの組み合わせを介して互いに付着された多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。代替的に、セパレータアセンブリ100は、互いに付着していない多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。示すように、セパレータアセンブリ100は、エンベロープ構成で提供される。代替的に、セパレータアセンブリ100は、ハイブリッドエンベロープ、ポケット、スリーブ、ラップ、折り畳み、又はこれらの組み合わせとして提供され得る。組み合わせは、異なる構成が電極/セパレータアレイ50aの全体を通して使用され得る可能性を称する。
【0072】
図4をここで参照すると、例示的な電極/セパレータアレイ50aは、上記に概して記載されているように、正極52及び負極の交互のアレイを備える。図4において、セパレータアセンブリ100は、正極リブ(図4には示されていないが、以下において記載されている)及び/又は負極リブ(図4には示されていないが、以下において記載されている)を備えていても備えていなくてもよい多孔質膜200、並びに繊維状マット300を備える。代替的に、繊維状マット300は、1以上のマットであってよい。示すように、繊維状マット300は、エンベロープ又はポケット形式で負極(複数可)52の周囲に配置されている。多孔質膜200は、エンベロープ又はポケット形式で正極(複数可)54の周囲に配置されている。多孔質膜及び繊維状マットは、ハイブリッドエンベロープ構成であってもなくてもよいセパレータエンベロープとして構成されていてよい。代替的に、付着していない多孔質膜200及び繊維状マット300は、ルーズリーフ、ポケット、スリーブ、ラップ、折り畳み、Sラップ、Z折り畳み、又はこれらの組み合わせとして提供され得る。組み合わせは、異なる構成が電極/セパレータアレイ50aの全体を通して使用され得る可能性を称する。
【0073】
図5A及び5Bをここで参照すると、例示的な実施形態は、アレイ50aの負極54活物質に少なくとも部分的に一体化されている繊維状マット(複数可)300を備える。図5Aにおいて、多孔質膜200は、エンベロープ形式で負極54及び繊維状マット300の一体の周囲に配置されている。一方で図5Bにおいては、多孔質膜は、エンベロープ形式で正極52の周囲に配置されている。多孔質膜200に関して、これは、エンベロープ(示さず)として提供され得、ハイブリッドエンベロープ、ルーズリーフ、ポケット、スリーブ、ラップなど、又はこれらの組み合わせであってよい。組み合わせは、異なる構成が電極/セパレータアレイ50aの全体を通して使用され得る可能性を称する。多孔質膜200は、正極リブ(明確のために図5A又は5Bに示されていないが、以下において記載されている)及び/又は負極リブ(明確のために図5A又は5Bに示されていないが、以下において記載されている)を備えていても備えていなくてもよい。
【0074】
上記のように、繊維状マット300は、負極活物質と少なくとも部分的に一体化されている。ゆえに、繊維状マットは、負極の表面に接触しているだけではなく;負極に一体に付着されている。負極活物質は、繊維状マット300と負極54の負極活物質(「NAM」)との混合物である層350が形成されるように繊維状マットのギャップ及び細孔に入る。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、2%~50%がNAMに一体化されている。このことは、繊維状マットの厚さの2%~50%が、繊維状マット300及びNAMの混合物である複合体層350を形成するNAMに埋め込まれていることを意味する。いくつかの実施形態において、繊維状マット300は、5%~25%が負極54に一体化されている。いくつかの実施形態において、繊維状マット300は、5%~20%が負極54に一体化されている。いくつかの実施形態において、繊維状マット300は、10%~15%が負極54に一体化されている。
【0075】
図6A及び6Bをここで参照すると、例示的な電極/セパレータアレイ50aは、上記に概して記載されているように、間に交互配置されている負極54のアレイを伴っている、正極52のアレイ、及び、各電極52、54間に交互配置されているセパレータアセンブリ100のアレイを備える。図6において、セパレータアセンブリ100は、正極リブ(明確のために図6に示されていないが、以下において記載されている)及び/又は負極リブ(明確のために図6に示されていないが、以下において記載されている)を備えていても備えていなくてもよい多孔質膜200、並びに繊維状マット300を備える。示すように、繊維状マット300は、正極(複数可)52及び多孔質膜200に隣接して配置されており、多孔質膜200は、負極(複数可)54及び繊維状マット300に隣接して配置されている。セパレータアセンブリ100は、接着剤、熱かしめ、超音波溶接若しくは封止、超音波ソーイング、共押出、及び/又はこれらの組み合わせを介して互いに付着された多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。代替的に、セパレータアセンブリ100は、互いに付着していない多孔質膜200及び繊維状マット300を提供し得る。図6A及び6Bに示すように、例示的なセパレータアセンブリ100は、多孔質膜200の縦方向に配列されている(すなわち、電池の頂部から底部に長手方向に配置されている)負極リブ206(すなわち、負極を向いている多孔質膜表面におけるリブ)を有する多孔質膜200を備えていてよい。図6Aに示すように、例示的な繊維状マット300のストリップは、これらの負極リブ206間に配置されている。繊維状マット300のストリップは、リブの高さ206のおよそ50%~リブの高さ206のおよそ150%の厚さを有していてよい。図6Bに示すように、例示的な多孔質マット300は、多孔質膜200と負極54との間に配置されている。
【0076】
繊維状マットは、活物質がNAMであってもPAMであっても、隣接する電極からの活物質の脱落又は脱離のプロセスを防止し又は遅延させることが認識される。
【0077】
繊維状マット
好ましい繊維状マット組成物は、例えば、ガラス繊維、合成繊維、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。繊維状マットの例示的な実施形態は、5%~25%が合成繊維であってよく、残りがガラス及び/又はバインダである。しかし、上記マットは、全体にガラスであっても全体に合成であってもよい。合成繊維のかかる例は、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル、他のプラスチック、パルプ;及びこれらの組み合わせであってよい。さらに、繊維組成物は、ポリマー、ホモポリマー、若しくはコポリマー、又はこれらの組成物の組み合わせを有する繊維の混合体であってよい。繊維状マットの組成物はいずれも、鉛酸電池の酸電解質に耐性であることが好ましい。これらの材料は、疎水性である傾向があるため、ガスの閉じ込めを引き起こす。ゆえに、本明細書に概して記載されている界面活性剤コーティングが添加されてよい。
【0078】
繊維状マットは、表面積を増加させて細孔径を低減する、充填剤、例えば、粒子状シリカをさらに有していてよい。他の例示的な充填剤には、シリカ、タルク(MgSiO)、酸化アルミニウム、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ケイ酸ナトリウムなど、及びこれらの組み合わせが含まれていてよい。かかる充填剤及びシリカはまた、多孔質膜において利用されてもよく、本明細書においてさらに記載されている。繊維状マット組成物は、可溶性繊維をさらに有していてよい。繊維状マットはまた、酸層化への抵抗を助けるゲル化剤を含んでいてもよい。また、繊維状マットは、以下に概して記載されている湿潤剤添加物又はコーティングを含んでいてよい。例示的な繊維状マットは、炭素、例えば、黒鉛、アセチレンブラック、グラフェンなどのうちの少なくとも1つをさらに備えていてよい。
【0079】
例示的な繊維状マットは、機械的連結によって、繊維の溶融によって、及び/又は繊維とバインダ、例えば、結合剤との結着によって共に保持されているランダムに位置する繊維、コード、フィラメント、又は細線からできていてよい。ウェブ形成は、乾燥配設、湿潤配設、湿潤フェルト化、ニードルフェルト化、キャロッティング、又は移動ベルト上へのフィラメントの押出を含めた種々のプロセスによって達成され得る。押出カテゴリー内で、2つのプロセスが、スパンボンディング、例えば、スパンボンド不織布を作製すること、及び、メルトブローイング、例えば、メルトブローン不織布を作製すること含む。Turbak,A.,Ed.,Nonwovens: Theory,Process,Performance,and Testing,TAPPI Press,Atlanta,Ga.(1993)を参照されたい。第8章は、参照により本明細書に組み込まれる。スパンボンド不織布は、押出され、延伸され、次いで連続ベルト上に配設されたフィラメントによって形成される。メルトブローン不織布は、金型を通して溶融ポリマーを押出し、押出されたフィラメントを空気又は水蒸気を介して薄め、これらを移動ベルトにおいて収集することによって形成される。不織布材料はまた、任意の順序で設けられた1以上のメルトブローン層及び1以上のスパンボンド層を有するメルトブローン-スパンボンド材料であってもよい。例えば、任意の順序でのスパンボンド層及びメルトブローン層、又は2を超える層。
【0080】
本明細書に記載されている繊維状マットは、さほど限定されない。当該マットは、不織布材料、メッシュ、フリース、フェルト、スクリム、ペースティングペーパー、又はこれらの組み合わせであってよい。例えば、繊維状マットは、互いに隣接する不織布及びメッシュ材料の複合材料、互いに隣接する複数の異なる不織布マット、互いに隣接する同じ不織布材料の複数のパイル、又は他の種々の組み合わせであってよい。複合材料は、互いに隣接する又は場合により互いに付着する材料の1、2、又は複数の(3以上の)パイル又は層を有していてよい。
【0081】
図7A及び7Bをここで参照すると、繊維状マットの例示的な実施形態の写真が示されている。図8A及び8Bは、繊維状マットの例示的な実施形態のより高解像度の写真である。繊維状マットは、不織布、フリース、フェルト、メッシュ、又はこれらの層の任意の組み合わせであってよい。繊維状マットは、単一層、二層、又は他の多層マットであってよい。例示的な不織布マットは、およそ100μm~およそ900μmの範囲、好ましくはおよそ200μm~およそ450μmの範囲の厚さを有していてよい。図8A及び8Bは、束状繊維のパターンを示す。これは、マットの形成の際に達成され得、繊維キャリア流体が流出するにつれて、繊維が、流出するメッシュにおいてある特定の低い点において集合し得る。また、上記マットは、コーマ繊維を保有していてよい。
【0082】
不織布において使用される例示的な繊維、フィラメント、又はコードは、±95%の信頼限界でおよそ7.2μm(±0.5μm)の繊維厚さ又は径を有していてよい。以下の表1において、本発明による不織布の繊維径(μm)を従来のガラスマットのものと比較する。
【0083】
【表1】
【0084】
例示的な不織布は、およそ1500l/m・s~およそ2500l/m・sの範囲の好ましい透気度を有し得る。
【0085】
例示的な不織布は、好ましくはおよそ4.0μm~5.0μm未満(SEM測定を介して有効な直径として測定される)である細孔径を有していてよい。繊維状マットは、細孔径が、付随する負又は正極において使用される活物質の粒径よりも好ましくは小さい。以下の表2は、本発明による例示的な繊維状マットの細孔径、面積を、従来のガラスマットのものと比較する。
【0086】
【表2】
【0087】
例示的な繊維状マットは、およそ6mΩ.cm~およそ14mΩ.cm、好ましくは14mΩ.cm未満、又は13mΩ.cm未満、又は12mΩ.cm未満、又は11mΩ.cm未満の範囲の好ましい電気抵抗(「ER」)を有していてよい。
【0088】
例示的な繊維状マットは、およそ50g/m~約100g/m、いくつかの実施形態において、60g/m~およそ80g/mの範囲の好ましい面積重量又は坪量を有していてよい。
【0089】
例示的な繊維状マットは、およそ15%~およそ21%の範囲の好ましいバインダ含量を有していてよい。
【0090】
例示的な繊維状マットは、およそ200μm~約450μm、ある特定の実施形態においては、約350μm~およそ450μmの範囲の好ましい厚さを有していてよい。
【0091】
例示的な繊維状マットは、およそ200N/50mmの好ましい縦方向(MD)引張強度、及びおよそ150N/50mmの好ましい幅方向(CMD)引張強度を有していてよい。
【0092】
さらに、繊維状マットの繊維は、中実であっても中空であってもよく、繊維の断面形状は、丸形、円形、長円形若しくは楕円形、インゲンマメ形、ドッグボーン形、レーストラック形、多角形、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。また、例示的な繊維は、並列構成、又は芯鞘構成、又は海島構成で複数の構成要素を有していてよい。また、芯鞘構成は、上記の形状のいずれを呈していてもよく、芯は、中心にあっても偏心であってもよい。
【0093】
繊維状マットは、電極/セパレータアレイ全体を通して、シート形態、若しくは、ラップ、ポケット、スリーブ、エンベロープ形態、又は、これらの組み合わせのいずれで提供されてもよい。例示的な繊維状マットは、負極をエンベロープしていてよく(「負極エンベロープマット」)、その結果、セパレータが、負極を向いている2つの内面と、隣接する正極及び/又は多孔質膜(複数可)を向いている2つの反対面とを有するようになっている。代替的に、別の例示的な繊維状マットは、正極をエンベロープしていてよく(「正極エンベロープセパレータ」)、その結果、繊維状マットが、正極を向いている2つの内面と、隣接する正極及び/又は多孔質膜(複数可)を向いている2つの反対面とを有するようになっている。かかるエンベロープマットにおいて、底部エッジは、エンベロープされた電極の底部の周囲で折り畳まれた又は封止された折り目エッジであってよい。さらに、水平エッジは、開放された、連続的に封止された継ぎ目エッジ、又は間欠的に封止された継ぎ目エッジであってよい。エッジは、接着剤、熱、超音波溶接など、又はこれらの任意の組み合わせによって接着又は封止されていてよい。
【0094】
セパレータアセンブリのある特定の例示的な繊維状マットは、加工されてハイブリッドエンベロープを形成し得る。ハイブリッドエンベロープは、エンベロープを形成する前、間、又は後に1以上のスリット又は開口部を形成することによって設けられ得る。開口部又はスリットの長さは、エッジ全体の長さの少なくとも1/50、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3であってよい。開口部の長さは、エッジ全体の長さの1/50~1/3、1/25~1/3、1/20~1/3、1/20~1/4、1/15~1/4、1/15~1/5又は1/10~1/5であってよい。ハイブリッドエンベロープは、底部エッジの長さに沿って均等に配置されていてもされていなくてもよい少なくとも1~5以上の開口部、1~4、2~4、2~3又は2の開口部を有し得る。エンベロープの角部には開口部がないことが好ましい。
【0095】
セパレータアセンブリ構成のいくつかの他の例示的な実施形態は:負又は正極エンベロープ;負又は正極スリーブ、負又は正極ハイブリッドエンベロープを含んでいてよく;両電極は、エンベロープされていてもスリーブ付けされていてもよく、これらの任意の組み合わせであってもよい。
【0096】
封止は、接着剤、ヒート(溶融)シール、機械的封止、超音波封止、圧縮、溶接、又はこれらの組み合わせによる封止のうちの少なくとも1つによって実施されてよい。機械的封止は、ギアの歯を有する又は有さない圧力ロールを使用してよい。機械的封止は、熱の添加によって又は熱の添加によらずになされてよい。当業者は、ある特定の封止方法が、繊維状マットの材料に応じて、より適切であり得ることを理解するであろう。例えば、接着剤封止は、主にガラス繊維状マットに関してより適切であり得るが、接着剤封止又はヒートシールは、繊維状マットが、溶融するポリマーを含むとき、より適切であり得る。
【0097】
ここで図9を参照すると、例示的な繊維状マットの2つの別個の箇所及び従来のガラスマットの2つの別個の箇所から撮影した低倍率での4つのSEM画像が示されている。画像は、例示的な繊維状マットが、従来のガラスマットよりも緻密に充填された繊維ウェブを保有することを示している。さらに、例示的な繊維状マットの繊維及び開口領域は、従来のガラスマットよりも小さい。
【0098】
図10において、SEM画像は、各サンプルから、2つの別個の箇所、次いで、2つの別個の領域から採取したサンプルから取得したものである。これは、いずれの領域のバイアスも回避するために行った。これらの画像を図9よりも高倍率で撮影した。これらの画像は、繊維の充填密度をさらに示しており、また、恐らくは使用するバインダ及びその含量に起因する、繊維のいくらかの束化も示す。本明細書に記載されている種々の実施形態において有用な繊維状マットは、繊維の房又は束、例えば、ガラス繊維及び/又は合成繊維の房又は束を含んでいてよい。かかる房又は束は、ある特定の実施形態において、繊維が一緒に接着される前に捻転されてよい。かかる実施形態において、捻転が生じてよく、かかる捻転を適所に保持するためにバインダが適用されてよい。かかる実施形態において、繊維の房又は束を有する繊維状マットを有するセパレータは、従来のマットを有するセパレータと比較して増加した強度を示し得る。同様に、繊維が捻転される場合、かかる繊維状マットを有するかかるセパレータは、従来のマットを有するセパレータと比較してさらにより有意な強度増加を示し得る。本明細書に定義されている種々の好ましい実施形態によるかかる繊維状マットを作製するために湿式レイドプロセスが使用されるとき、複合体繊維束が製造され得、かかる複合体繊維束は、ガラス繊維、並びに、合成ポリマー繊維、ほんの一例として、ポリエステル繊維又はPET繊維を備える。
【0099】
加えて、繊維状マットは、マットを形成する前又はマットを形成する間のいずれかで束状繊維によって形成され得る。束は、異なる材料組成物、異なる断面形状、異なる繊維径、及びこれらの任意の組み合わせを有する複数の繊維によってコム状にされても捻転されてもよい。束は、パターン化された向きに配設されても、ランダムに堆積されても、又はこれらの組み合わせであってもよい。束状繊維は、ランダムに配設された不織布又は繊維状マット層の上及び/又は中に配設されてよい。得られる繊維状マットは、ゆえに、凹凸面若しくは非凹凸面、又はこれらの組み合わせを有していてよい。図8A及び8Bは、凹凸面を有する例示的な繊維状マットの写真である。束はまた、マットの製造の間に形成してもよい。束は、マット製造において使用されるキャリアワイヤ又は表面のプロファイルによって簡単に形成してよい。さらに、マットは、2つの別個のプロセスで配設されてよい。例えば、束は、水溶性バインダによって形成されてよく、次いで、不織布繊維の第2の層が、下方に配設されて繊維を一緒に保持してよい。束は、マットのいずれか又は両方の表面に堆積されてよい。
【0100】
図11は、個々の繊維を横断する直線距離によって撮影される、例示的な繊維状マットの繊維径を測定するのに使用される画像を示しており、束における繊維は測定されず、2つの径を各測定繊維のものとして撮影した(可能である場合)。図12からのデータを上記の表1に示す。図12は、繊維状マットの細孔径を測定するのに使用される画像である。図12からのデータを上記の表2に示す。
【0101】
繊維状マットは、当該マットの部分として又は負極に隣接する層においてのいずれかで炭素成分をさらに有していてよい。例えば、繊維状マットは、炭素繊維、導電性カーボン、黒鉛、人造黒鉛、活性炭、カーボン紙、アセチレンブラック、カーボンブラック、高表面積カーボンブラック、グラフェン、高表面積グラフェン、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素フィラメント、カーボンナノチューブ、連続気泡炭素発泡体、カーボンマット、カーボンフェルト、カーボンバックミンスターフラーレン(Bucky Balls)、水性カーボン懸濁液、鱗状黒鉛、酸化炭、及びこれらの組み合わせを有していてよい。また、繊維状マットは、核生成添加剤、例えば、上記の炭素、又は硫酸バリウム(BaSO)を有していてよい。
【0102】
多孔質膜
物理的性質
多孔質膜は、さほど限定されず、任意の多孔質膜;任意のサイズの細孔(例えば、マクロ孔質、微多孔質、ナノ多孔質など)を有し、任意の材料からできている多孔質膜;であってよい。いくつかの好ましい実施形態において、多孔質膜は、微多孔質膜、例えば、電池セパレータである。例えば、微多孔質膜は、現在又は将来において、Daramic(登録商標)又はいずれか他の鉛酸電池セパレータ製造業者によって製造された任意のポリエチレン電池セパレータであってよい。
【0103】
好ましい実施形態において、多孔質膜は、好ましくは、天然又は合成材料、例えば、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フェノール樹脂、PVC、ゴム、合成木材パルプ(SWP)、ガラス繊維、セルロース繊維、又はこれらの組み合わせからなる、約1ミクロン未満の細孔を有する微多孔質膜、メソ多孔質膜、又は約1ミクロン超の細孔を有するマクロ多孔質膜)である。より好ましくは、多孔質膜は、熱可塑性ポリマーからできている微多孔質膜である。好ましい微多孔質膜は、約0.1μm(100ナノメートル)の細孔径及び約60%の空隙率を有していてよい。熱可塑性ポリマーには、原則として、鉛酸電池での使用に好適な全ての耐酸性熱可塑性材料が含まれ得る。好ましい熱可塑性ポリマーには、ポリビニル及びポリオレフィンが含まれる。ポリビニルには、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)が含まれる。ポリオレフィンには、例えば、ポリエチレン、例えば、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、及びポリプロピレンが含まれる。1つの好ましい実施形態は、充填剤(例えば、シリカ)及びUHMWPEの混合物を含み得る。
【0104】
いくつかの実施形態において、多孔質膜の細孔径は、5μm未満、好ましくは1μm未満である。好ましくは、細孔の50%超が、およそ0.5μm以下である。細孔の少なくとも90%が、およそ0.9μm未満の径を有することが好ましい場合がある。微多孔質セパレータは、およそ0.05μm~およそ0.9μm、いくつかの場合において、およそ0.1μm~およそ0.3μmの範囲内の平均細孔径を好ましくは有する。
【0105】
細孔径は、いくつかの場合において、Ritter,H.L.,and Drake,L.C.,Ind.Eng.Chem.Anal.Ed.,17,787(1945)に記載されている水銀圧入法を使用して測定され得る。この方法によると、ポロシメータ(ポロシメータモデル2000、Carlo Erba)によって水銀に働く圧力を変動させることによって異なるサイズの細孔内に水銀を圧入する。細孔分布は、MILESTONE 200ソフトウェアによる粗データを評価することによって求められ得る。
【0106】
ある特定の例示的な実施形態において、多孔質膜200は、一方又は両方の主要な表面から延在する1以上のリブ204、206のアレイを備えていてよいバックウェブ202を備える。多孔質膜200が典型的な鉛酸電池に設けられているとき、バックウェブ202は、表面202pを向いている正極と、表面202nを向いている負極とを典型的には有する。図13Aから15Bを参照すると、例示的な多孔質膜は、全てが必ずしもそうではないが、バックウェブ及びリブに関係する一連の典型的な寸法によって記載及び定義されている。
【0107】
図13Aを参照すると、例示的な多孔質膜200は、「md」と標識された鉛直の矢印の線によって描かれた縦方向及び「cmd」と標識された水平の矢印の線によって描かれた幅方向を有するバックウェブ202を備える。多孔質膜200は、鉛酸電池に設置されているときに正極202pを向いている表面から延在する正極リブ204のアレイをさらに備える。正極リブ204は、縦方向mdに実質的に長手方向に整列している。正極リブ204のアレイは、幅方向cmdを横断して横方向に実質的に等間隔の間隔Posで相隔たれている。リブ204は、正極リブ204であってよい。図13Bをここで参照すると、例示的な多孔質膜200は、「md」と標識された鉛直の矢印の線によって描かれた縦方向及び「cmd」と標識された水平の矢印の線によって描かれた幅方向を有するバックウェブ202を備える。多孔質膜200は、鉛酸電池に設置されているときに表面202nを向いている負極から延在する負極リブ206のアレイをさらに備える。負極リブ206は、幅方向cmdに実質的に横方向に整列しており、クロス負極リブ206と称されることがある。負極リブ204のアレイは、縦方向mdを横断して長手方向に実質的に等間隔の間隔Negで相隔たれている。
【0108】
図14Aを参照すると、例示的な多孔質膜200は、バックウェブとして寸法付けられる、バックウェブ厚さを有するバックウェブ202を備える。多孔質膜200は、表面202pに向いている、多孔質膜、正極から延在し、縦方向mdに実質的に整列している正極リブ204のアレイをさらに備える。正極リブ204は、基部WPosとして寸法付けられるリブ基部幅;先端WPosとして寸法付けられるリブ先端幅;高さPosとして寸法付けられる正極リブ高さ;及び間隔Posとして寸法付けられるリブ間の間隔を備える。多孔質膜200は、表面202nに向いている、多孔質膜、負極から延在する負極リブ206のアレイも備える。負極リブ206は、高さNegとして寸法付けられる負極リブ高さを有して、幅方向cmdに実質的に整列している。最終的に、多孔質膜は、バックウェブ厚さであるバックウェブ、正極リブ高さである高さPos、及び負極リブ高さである高さNegの総計に等しい、全体として寸法付けられる全体の厚さによって定義される。図14Bをここで参照すると、図14Aにおいて示されているものと実質的に同一である例示的な多孔質膜200は、負極リブ基部幅である基部WNeg、負極リブ先端幅である先端WNeg、及び負極リブ間の間隔である間隔Negをさらに備える。
【0109】
図15Aを参照すると、例示的な多孔質膜200は、バックウェブとして寸法付けられる、バックウェブ厚さを有するバックウェブ202を備える。多孔質膜200は、表面202pに向いている、多孔質膜、正極から延在し、縦方向mdに実質的に整列している正極リブ204のアレイをさらに備える。正極リブ204は、基部WPosとして寸法付けられるリブ基部幅;先端WPosとして寸法付けられるリブ先端幅;高さPosとして寸法付けられる正極リブ高さ;及び間隔Posとして寸法付けられるリブ間の間隔を備える。多孔質膜200は、表面202nに向いている、多孔質膜、負極から延在する負極リブ206のアレイも備える。負極リブ206は、高さNegとして寸法付けられる負極リブ高さを有して、幅方向cmdに実質的に整列している。最終的に、多孔質膜は、バックウェブ厚さであるバックウェブ、正極リブ高さである高さPos、及び負極リブ高さである高さNegの総計に等しい、全体として寸法付けられる全体の厚さによって定義される。図15Bをここで参照すると、図15Aにおいて示されているものと実質的に同一である例示的な多孔質膜200は、負極リブ基部幅である基部WNeg、負極リブ先端幅である先端WNeg、及び負極リブ間の間隔である間隔Negをさらに備える。また、正極リブ204は、セレーション204sに分割されている。正極セレーション204sは、基部長さである基部LPos、リブ先端長さである先端LPos、及びセレーション間のピッチであるピッチPosを備える。
【0110】
本発明のある特定の選択態様において、リブのいずれか又は両方のアレイは、中実リブ、個別の壊れたリブ、連続リブ、不連続リブ、角度付きリブ、線状リブ、多孔質膜の縦方向に実質的に延在する長手方向リブ、多孔質膜の幅方向に実質的に延在する横方向リブ、多孔質膜の幅方向に実質的に延在する横断リブ、多孔質膜の幅方向に実質的に延在するクロスリブ、負極クロスリブ(NCR)、個別の歯又は歯付きリブ、セレーション、セレーション付きリブ、鋸壁又は鋸壁付きリブ、曲面又は正弦波状リブ、中実又は壊れたジグザグ様の形式で配置されているもの、溝、チャネル、テクスチャ領域、エンボス、ディンプル、多孔質、非多孔質、ミニリブ又はクロスミニリブ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。1つの場合により好ましいリブ又はプロファイルの実施形態は、正極側セレーション付きリブ及び負極側クロスリブ(NCR)である。別の、場合により好ましいリブ又はプロファイルの実施形態は、正極側長手方向リブ及び負極側クロスリブ(NCR)である。
【0111】
多孔質膜又は微多孔質膜(バックウェブ厚さ及びリブ高さを含む)の全体の厚さは、好ましくは、およそ100μm超、およそ5.0mm以下である。セパレータの全体厚さは、およそ0.15mm~およそ2.5mm、およそ0.25mm~およそ2.25mm、およそ0.5mm~およそ2.0mm、およそ0.5mm~およそ1.5mm、又はおよそ0.75mm~およそ1.5mmの範囲内であり得る。いくつかの場合において、セパレータ全体厚さは、およそ0.8mm又はおよそ1.1mm厚であり得る。
【0112】
セパレータアセンブリの例示的な多孔質膜は、平坦なシート、リーフ(複数可)、ラップ、スリーブとして、又はエンベロープ若しくはポケットセパレータとして提供されてよい。例示的なエンベロープ多孔質膜は、正極をエンベロープしていてよく(「正極エンベロープセパレータ」)、その結果、多孔質膜が、正極を向いている2つの内側と、隣接する負極を向いている2つの外側とを有するようになっている。代替的に、別の例示的なエンベロープ多孔質膜は、負極をエンベロープしていてよく(「負極エンベロープセパレータ」)、その結果、多孔質膜が、負極を向いている2つの内側と、隣接する正極を向いている2つの外側とを有するようになっている。かかるエンベロープ多孔質膜において、底部エッジ350は、折り畳まれた又は封止された折り目エッジであってよい。さらに、水平エッジ105a、105bは、連続的又は間欠的に封止された継ぎ目エッジであってよい。エッジは、機械的手段、接着剤、熱、超音波溶接など、又はこれらの任意の組み合わせによって接着又は封止されていてよい。
【0113】
ある特定の例示的な多孔質膜は、加工されてハイブリッドエンベロープを形成していてよい。ハイブリッドエンベロープは、エンベロープを形成する前、間、又は後に1以上のスリット又は開口部を形成することによって設けられ得る。開口部の長さは、エッジ全体の長さの少なくとも1/50、1/25、1/20、1/15、1/10、1/8、1/5、1/4、又は1/3であってよい。開口部の長さは、エッジ全体の長さの1/50~1/3、1/25~1/3、1/20~1/3、1/20~1/4、1/15~1/4、1/15~1/5又は1/10~1/5であってよい。ハイブリッドエンベロープは、底部エッジの長さに沿って均等に配置されていてもされていなくてもよい1~5以上の開口部、1~4、2~4、2~3又は2の開口部を有し得る。エンベロープの角部には開口部がないことが好ましい。
【0114】
多孔質膜構成のいくつかの他の例示的な実施形態は:負又は正極エンベロープ;負又は正極スリーブ、負又は正極ハイブリッドエンベロープ;を含み、両電極は、エンベロープされていてもスリーブ付けされていてもよく、これらの任意の組み合わせであってもよい。
【0115】
本発明のいくつかの実施形態において、リブは、少なくとも約0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、1.5mm、1.6mm、1.7mm、1.8mm、1.9mm、2.0mm、2.1mm、2.2mm、2.3mm、2.4mm、2.5mm、2.6mm、2.7mm、2.8mm、2.9mm、又は3.0mmのリブ高さを有する。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態において、突出部は、少なくとも約0.005mm、0.01mm、0.025mm、0.05mm、0.075mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mm、1.4mm、又は1.5mmのリブ幅を有する、短い長さのリブである。リブは、約0.005~1.5mm、0.01~1.0mm、0.025~1.0mm、0.05~1.0mm、0.075~1.0mm、0.1~1.0mm、0.2~1.0mm、0.3~1.0mm、0.4~1.0mm、0.5~1.0mm、0.4~0.8mm又は0.4~0.6mmの幅を有し得る。
【0117】
セパレータは、負極の、長手方向若しくはクロスリブ又はミニリブ、例えば、約25μm~約250μm、場合により、好ましくは約50μm~約125μm、より好ましくは約75μmの高さを有する負極リブを含んでいてよい。
【0118】
ある特定の実施形態において、突出部は、リブを含み得、各リブが、セパレータの頂部エッジに対して0°~180°未満の角度で配置されている長手方向軸を有する。いくつかの場合において、セパレータにおける全てのリブが同じ角度で配置され得る一方で、他の実施形態においては、異なる角度で配置されているリブが存在し得る。例えば、いくつかの実施形態において、セパレータは、リブの列を含み得、当該列の少なくともいくつかが、セパレータの頂部エッジに対して角度θでリブを有する。単一の列における全てのリブが同じ適切な角度を有していてよいが、他の場合には、単一の列が異なる角度でリブを有していてよい。
【0119】
ある特定の場合において、セパレータの面全体がリブを含むが(例えば、連続又は不連続のリブ列、ランダムに設けられたリブ、パターン状に設けられたリブ、又は互いにオフセットされている列における不連続リブ)、他の実施形態においては、セパレータ面のある特定のフラグメントが、リブを含まない。これらのフラグメントは、頂部、底部又は側面を含めた、セパレータのいずれのエッジに沿って生じていても、セパレータの中央に向かって生じていてもよく、かかるフラグメントは、リブを有する部分を含む1以上の側面における取り囲みである。
【0120】
種々の、場合により好ましい実施形態において、多孔質又は微多孔質膜は、表面において1以上のリブ、例えば、セレーション付き、鋸壁付き、角度付きリブ、若しくは壊れたリブ、又はこれらの組み合わせを含むバックウェブを有する。好ましいリブは、8μm~1mmの高さであってよく、8μm~20mm離間していてよいが、微多孔質ポリオレフィンセパレータ層(リブ又はエンボスを含まない)の好ましいバックウェブ厚さは、約0.05mm~約0.50mm(例えば、ある特定の実施形態において、約0.25mm)であってよい。例えば、リブは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は約10mm離れていてよい。いくつかの実施形態において、リブは、パターン状であってよく、例えば、互いに関して0°~90°で、セパレータ層の一方の側にあっても、ポリオレフィンセパレータの両方の側にあってもよい。いくつかの実施形態において、酸混合リブは、前方の、正極又は正極側リブであってよい。セパレータ又はセパレータ層の両側にリブを含む種々のパターンは、セパレータの第2の側又は裏面において正極リブ及び負極の長手方向又はクロスリブ、例えば、より小さな、より密集した、負極の、長手方向若しくはクロスリブ又はミニリブを含んでいてよい。かかる負極の長手方向又はクロスリブは、いくつかの場合において、約0.025mm~約0.1mmの高さ、好ましくは約0.075mmの高さであってよいが、0.25mmの大きさであってよい。他のパターンは、セパレータの第2の側又は裏面において負極ミニリブ(セパレータの他方の側における主要リブと比較して、クロス方向に対して、同じ方向に延在するミニリブ)を有するセパレータ層の両側にリブを含んでいてよい。かかる負極ミニリブは、いくつかの場合において、約0.025mm~約0.25mmの高さ、好ましくは約0.050mm~約0.125mmの高さであってよい。
【0121】
リブは、ある特定の好ましい実施形態において、セレーション付きであってよい。セレーションは、約0.05mm~約1mmの平均先端長さを有していてよい。例えば、平均先端長さは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは約0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは約0.1mm以下であり得る。
【0122】
セレーションは、約0.05mm~約1mmの平均基部長さを有していてよい。例えば、平均基部長さは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは約0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは約0.1mm以下であり得る。
【0123】
セレーションが存在するとき、約0.05mm~約4mmの平均高さを有していてよい。例えば、平均高さは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは約0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは約0.1mm以下であり得る。セレーション高さがリブ高さと同じである実施形態では、セレーション付きリブはまた、突出部と称されることもある。かかる範囲は、セパレータの全体厚さが典型的には約1mm~約4mmであってよい、工業用のトラクションタイプのスタート/ストップ電池用、並びに、セパレータの全体厚さが少なくてよい(例えば、典型的には約0.3mm~約1mm)自動車用スタート/ストップ電池用のセパレータに当てはまり得る。
【0124】
セレーションは、約0.1mm~約50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば、平均中心間ピッチは、約0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、若しくは約1.5mm以上;及び/又は約1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、若しくは約0.2mm以下であり得る。
【0125】
セレーションは、約0.1:1~約500:1の平均高さ対基部幅比を有し得る。例えば、平均高さ対基部幅比は、約0.1:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、若しくは450:1以上;及び/又は約500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、若しくは25:1以下であり得る。
【0126】
セレーションは、約1000:1~約0.1:1の平均基部幅対先端幅比を有し得る。例えば、平均基部幅対先端幅比は、約0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は約1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、若しくは1:1以下であり得る。
【0127】
いくつかの実施形態において、セパレータは、ディンプル付きであり得る。ディンプルは、セパレータの1以上の表面における典型的には突出部タイプの特徴又は突起である。ディンプルの厚さは、セパレータの厚さの1~99%であり得る。例えば、ディンプルの平均厚さは、セパレータの厚さの約95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、又は5%未満であり得る。ディンプルは、セパレータに沿って列で配列されていてよい。列又は線は、約1μm~約10mm離間していてよい。例えば、列は、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、1.6mm、1.8mm、2.0mm、2.25mm、2.5mm、2.75mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、又は10mm離れていてよい。対照的に、ディンプルは、ランダムなアレイ又はランダムな形式で配列されていてよい。
【0128】
ディンプルは、約0.05mm~約1mmの平均ディンプル長さを有していてよい。例えば、平均ディンプル長さは、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは0.1mm以下であり得る。
【0129】
ディンプルは、約0.01mm~約1.0mmの平均ディンプル幅を有していてよい。例えば、平均ディンプル幅は、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは0.1mm以下であり得る。
【0130】
ディンプルは、約0.10mm~約50mmの平均中心間ピッチを有し得る。例えば、平均中心間ピッチは、約0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.25mm、若しくは1.5mm以上;及び/又は約1.5mm、1.25mm、1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、若しくは0.2mm以下であり得る。
【0131】
ディンプルは、四角形の形状、例えば、方形及び矩形であり得る。ディンプルは、約0.1:1~約100:1の平均ディンプル長さ対ディンプル幅比を有し得る。例えば、平均長さ対基部幅比は、約0.1:1、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1以上、及び/又は約1000:1、950:1、900:1、850:1、800:1、750:1、700:1、650:1、600:1、550:1、500:1、450:1、400:1、350:1、300:1、250:1、200:1、150:1、100:1、50:1、25:1、20:1、15:1、10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、若しくは1:1以下であり得る。
【0132】
いくつかの実施形態において、ディンプルは、実質的に円形であり得る。円形ディンプルは、約0.05~約1.0mmの径を有し得る。例えば、平均ディンプル径は、約0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、若しくは0.9mm以上;及び/又は約1.0mm、0.9mm、0.8mm、0.7mm、0.6mm、0.5mm、0.4mm、0.3mm、0.2mm、若しくは0.1mm以下であり得る。
【0133】
ディンプルに関する種々の他の形状も含まれていてよい。ほんの一例として、かかるディンプルは、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形、長円、楕円、及びこれらの組み合わせであり得る。
【0134】
いくつかの実施形態において、セパレータは、リブ、セレーション、ディンプル、又はこれらの組み合わせを特徴付け得る。例えば、セパレータは、セパレータに沿って頂部から底部に走行する一連のセレーション付きリブ、及び、セパレータに沿って水平に走行する第2の一連のセレーション付きリブを有し得る。他の実施形態において、セパレータは、セレーション付きリブ、ディンプル、連続する、中断された、若しくは壊れた中実リブ、又はこれらの組み合わせの交互の配列を有し得る。
【0135】
膜組成物
ある特定の実施形態において、改良されたセパレータは、セパレータ単独又は繊維状マットと併せたセパレータ、特に、鉛酸電池セパレータとして使用され得る多孔質膜を含み得、かかるセパレータは:天然又は合成基材;加工用可塑剤;充填剤;1以上の天然又は合成ゴム(複数可)及び/又はラテックスからなっていてよく、ゴム(複数可)及び/又はラテックスは、硬化若しくは架橋された、又は非硬化若しくは非架橋の;1以上の他の添加剤及び/又はコーティング、例えば、界面活性剤、抗酸化剤など;及びこれらの任意の組み合わせからなっていてよい。
【0136】
基材
ある特定の実施形態において、例示的な天然又は合成基材には:ポリマー;熱可塑性ポリマー;フェノール樹脂;天然又は合成ゴム;合成木材パルプ;リグニン;ガラス繊維;合成繊維;セルロース繊維;及びこれらの任意の組み合わせが含まれていてよい。ある特定の好ましい実施形態において、例示的なセパレータは、熱可塑性ポリマーからできている多孔質膜であってよい。例示的な熱可塑性ポリマーには、原則として、鉛酸電池での使用に好適な全ての耐酸性熱可塑性材料が含まれ得る。ある特定の好ましい実施形態において、例示的な熱可塑性ポリマーには、ポリビニル及びポリオレフィンが含まれ得る。ある特定の実施形態において、ポリビニルには、例えば、ポリ塩化ビニル(「PVC」)が含まれ得る。ある特定の好ましい実施形態において、ポリオレフィンには、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-ブテンコポリマー、及びこれらの任意の組み合わせが含まれ得るが、好ましくはポリエチレンである。ある特定の実施形態において、例示的な天然又は合成ゴムには、例えば、ラテックス、非硬化又は非架橋ゴム、架橋又は硬化ゴム、クラム又は粉砕ゴム、及びこれらの組み合わせが含まれ得る。
【0137】
ポリオレフィン
ある特定の実施形態において、多孔質膜層は、ポリオレフィン、具体的にはポリエチレンを好ましくは含む。好ましくは、ポリエチレンは、高分子量ポリエチレン(「HMWPE」)、(例えば、少なくとも約600,000の分子量を有するポリエチレン)である。さらにより好ましくは、かかるポリエチレンは、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)である。例示的なUHMWPEは、粘度測定によって測定され、マーゴリーズの方程式によって算出された、少なくとも約1,000,000、特に、約4,000,000超、最も好ましくはおよそ5,000,000~およそ8,000,000の分子量を有し得る。さらに、例示的なUHMWPEは、2,160gの標準負荷を使用してASTM D 1238(条件E)において特定されているように測定される、実質的にゼロ(0)の標準負荷メルトインデックスを有し得る。また、例示的なUHMWPEは、130℃において100gのデカリン中0.02gのポリオレフィンの溶液において求められる、約600ml/g以上、好ましくは約1,000ml/g以上、より好ましくはおよそ2,000ml/g以上、最も好ましくはおよそ3,000ml/g以上の粘度数を有し得る。
【0138】
ゴム
本明細書に開示されている新規の多孔質膜及び/又は繊維状マットは、ラテックス及び/又はゴムを含有していてよい。本明細書において使用されているとき、ゴムは、ゴム、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、非硬化若しくは非架橋ゴム、架橋若しくは硬化ゴム、クラム若しくは粉砕ゴムなど、又はこれらの混合物若しくは組み合わせを言う。例示的な天然ゴムは、様々な供給元から市販されているポリイソプレンの1以上のブレンドを含んでいてよい。例示的な合成ゴムとして、メチルゴム、ポリブタジエン、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ブロモブチルゴム、ポリウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、ポリスルフィドゴム、クロロスルホニルポリエチレン、ポリノルボルネンゴム、アクリレートゴム、フッ素ゴム及びシリコーンゴム及びコポリマーゴム、例えば、スチレン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴム、エチレン/プロピレンゴム(「EPM」及び「EPDM」)並びにエチレン/酢酸ビニルゴムが挙げられる。ゴムは、架橋ゴムであっても非架橋ゴムであってもよく;ある特定の好ましい実施形態において、ゴムは、非架橋ゴムである。ある特定の実施形態において、ゴムは、架橋及び非架橋ゴムのブレンドであってよい。
【0139】
可塑剤
多孔質膜のある特定の実施形態において、例示的な加工用可塑剤は、加工油、石油、パラフィン系鉱物油、鉱物油、及びこれらの任意の組み合わせを含んでいてよい。典型的には、例示的な実施形態は、可塑剤を利用する一方で、基材を押出して膜、シート、又はウェブを形成する。多孔質膜の形成後、可塑剤は、少量の残存可塑剤、例えば、残油を残して抽出される。
【0140】
充填剤
セパレータは、高い構造形態を有する充填剤を含有し得る。例示的な充填剤として:シリカ、乾燥微粉シリカ;沈降シリカ;非晶質シリカ;高度に破砕性のシリカ;アルミナ;タルク;魚粉;魚骨粉;カーボン;カーボンブラック;など、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。ある特定の好ましい実施形態において、充填剤は、1以上のシリカである。高い構造形態は、増加した表面積を称する。充填剤は、例えば、約100m/g、110m/g、120m/g、130m/g、140m/g、150m/g、160m/g、170m/g、180m/g、190m/g、200m/g、210m/g、220m/g、230m/g、240m/g、又は250m/g超の高い表面積を有し得る。いくつかの実施形態において、充填剤(例えば、シリカ)は、約100m/g~約300m/g、約125m/g~約275m/g、約150m/g~約250m/g、又は好ましくは約170m/g~約220m/gの表面積を有し得る。表面積は、多点BET窒素表面積についてTriStar 3000(商標)を使用して評価され得る。高い構造形態は、充填剤が製造プロセスの間にさらなる油を保持することを可能にする。例えば、高い構造形態を有する充填剤は、高いレベルの吸油量、例えば、約150ml/100g、175ml/100g、200ml/100g、225ml/100g、250ml/100g、275ml/100g、300ml/100g、325ml/100g、又は350ml/100g超を有する。いくつかの実施形態において、充填剤(例えば、シリカ)は、約200ml/100g~約500ml/100g、約200ml/100g~約-400ml/100g、約225ml/100g~約375ml/100g、約225ml/100g~約350ml/100g、約225ml/100g~約325ml/100g、好ましくは約250ml/100g~約300ml/100gの吸油量を有し得る。いくつかの場合において、およそ266ml/100gの吸油量を有するシリカ充填剤が使用される。かかるシリカ充填剤は、およそ5.1%の含水率、およそ178m/gのBET表面積、約23μmの平均粒度、およそ0.1%の篩残分(230メッシュ値)、及び約135g/Lのバルク密度を有する。
【0141】
吸油量が比較的高いレベルであり、かつ、可塑剤(例えば、鉱物油)への親和性が比較的高いレベルであるシリカは、本明細書に示されているタイプの例示的な鉛酸電池セパレータを形成するとき、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)及び可塑剤の混合物に望ましくは分散性となる。これまでは、いくつかのセパレータが、多量のシリカを使用してかかるセパレータ又は膜を作製するときにシリカ凝集によって引き起こされる不十分な分散性の不利益を経験している。本明細書に示され記載されている少なくともある特定の本発明セパレータにおいて、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレンは、シシケバブ構造を形成する、なぜなら、溶融したポリオレフィンを冷却する際にポリオレフィンの分子運動を阻害するシリカ凝集物又は集塊が少ないからである。この全てが、得られるセパレータ膜の透過度の改良に寄与し、シシケバブ構造又は形態の形成は、全ERがより低いセパレータが製造されながらも機械的強度が維持又はさらには改良されることを意味している。
【0142】
いくつかの選択実施形態において、充填剤(例えば、シリカ)は、約25μm以下、いくつかの場合において、約22μm、20μm、18μm、15μm、又は10μm以下の平均粒度を有する。いくつかの場合において、充填剤粒子の平均粒度は、約15μm~約25μmである。シリカ充填剤の粒度及び/又はシリカ充填剤の表面積は、シリカ充填剤の吸油量に寄与する。最終製品又はセパレータにおけるシリカ粒子は、上記のサイズの範囲内であり得る。しかし、原料として使用される最初のシリカは、1以上の集塊及び/又は凝集物として生じ得、200μm前後以上のサイズを有していてよい。
【0143】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明セパレータを作製するのに使用されるシリカは、鉛酸電池セパレータを作製するのに以前に使用されているシリカ充填剤と比較して増加した量又は数の表面シラノール基(表面ヒドロキシル基)を有する。例えば、本明細書におけるある特定の好ましい実施形態によって使用され得るシリカ充填剤は、公知のポリオレフィン鉛酸電池セパレータを作製するのに使用される公知のシリカ充填剤と比較して少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、又は少なくとも約35%多いシラノール基及び/又はヒドロキシル表面基を有するシリカ充填剤であってよい。
【0144】
ケイ素元素(Si)に対するシラノール基(Si-OH)の比(すなわち、(Si-OH)/Si)は、例えば、以下のように測定され得る。
【0145】
1.ポリオレフィン多孔質膜(ある特定の本発明膜は、本発明によるある特定の種々の油吸収性シリカを含有する)を凍結粉砕し、固体核磁気共鳴分光法(29Si-NMR)用の粉末状サンプルを調製する。
【0146】
2.粉末状サンプルに対して29Si-NMRを実施し、ヒドロキシル基に直接結合しているSiのスペクトル強度(スペクトル:Q及びQ)並びに酸素原子にのみ直接結合しているSiのスペクトル強度(スペクトル:Q)を含むスペクトルを観察する。各NMRピークスペクトルの分子構造は、以下のように描かれ得る:
・Q:(SiO)-Si-(OH):2つのヒドロキシル基を有する
・Q:(SiO)-Si-(OH):1つのヒドロキシル基を有する
・Q:(SiO)-Si:全てのSi結合がSiOである
ここで、Siは、NMR観察によって証明された元素である。
【0147】
3.観察に使用される29Si-NMRの条件は以下の通りである:
・機器:Bruker BioSpin Avance 500
・共鳴周波数:99.36MHz
・サンプル量:250mg
・NMRチューブ:7mφ
・観察方法:DD/MAS
・パルス幅:45°
・繰り返し時間:100秒
・スキャン:800
・マジック角スピンニング:5,000Hz
・化学シフト基準:-22.43ppmでシリコーンゴム
【0148】
4.数値的に、スペクトルのピークを分離し、Q、Q、及びQに属する各ピークの面積比を算出する。その後、比に基づいて、Siに直接結合しているヒドロキシル基(-OH)のモル比を算出する。数値的なピーク分離の条件を以下のように行う:
・フィッティング領域:-80~-130ppm
・最初のピークトップ:それぞれ、Qでは-93ppm、Qでは-101ppm、Qでは-111ppm。
・最初の半値幅:それぞれ、Qでは400Hz、Qでは350Hz、Qでは450Hz。
・ガウス関数比:最初に80%、フィッティングの間に70~100%。
【0149】
5.Q、Q、及びQのピーク面積比(合計は100である)をフィッティングによって得られる各ピークに基づいて算出する。NMRピーク面積は、各シリケート結合構造の分子数に相当した(そのため、QのNMRピークでは、4つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在し;QのNMRピークでは、3つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在する一方で、1つのSi-OH結合が存在し;QのNMRピークでは、2つのSi-O-Si結合がシリケート構造内に存在する一方で、2つのSi-OH結合が存在する)。ゆえに、Q、Q、及びQのヒドロキシル基(-OH)の各数は、それぞれ、2(2)、1(1)、及びゼロ(0)で乗算される。これらの3つの結果を合計する。合計した値は、Siに直接結合しているヒドロキシル基(-OH)のモル比を表している。
【0150】
ある特定の実施形態において、シリカは、およそ21:100~35:100、いくつかの好ましい実施形態において、およそ23:100~およそ31:100、ある特定の好ましい実施形態において、およそ25:100~およそ29:100、他の好ましい実施形態において、少なくともおよそ27:100以上の範囲内であってよい、29Si-NMRによって測定される、Si基に対するOH基の分子比(すなわち、OH/Si)を有していてよい。
【0151】
いくつかの選択実施形態において、上記の充填剤の使用は、押出ステップの間、より高い割合の加工油の使用を可能にする。セパレータにおける多孔質構造が、一部において、押出後の油の除去によって形成されるとき、より高い初期吸油量が、より高い空隙率又はより高い空隙容量を結果として生じさせる。加工油は、押出ステップの不可欠な構成要素であるが、油は、セパレータの非伝導性構成要素である。セパレータにおける残油は、正極と接触するとき、セパレータを酸化から保護する。加工ステップにおける正確な量の油は、従来のセパレータの製造において制御され得る。一般的に言えば、従来のセパレータは、約50%~約70%の加工油、いくつかの実施形態において、約55%~約65%、いくつかの実施形態において、約60%~約65%、いくつかの実施形態において、約62%の加工油を使用して製造される。百分率は、他の基材(例えば、ポリマー、充填剤など)の重量に対しての重量基準である。約59%未満への油の低減は、押出機の構成要素に対しての摩擦の増加に起因して燃焼を引き起こすことが知られている。しかし、規定量を超えての油の増加は、乾燥段階の間に収縮を引き起こして、寸法不安定性につながり得る。油分を増加させるための以前の試みは、油の除去の間に細孔の収縮又は圧縮を結果として生じさせたが、本明細書に開示されているように調製されるセパレータは、油の除去の間、たとえあったとしても、最小の細孔の収縮又は圧縮を示す。そのため、空隙率が、細孔径及び寸法安定性を損なうことなく増加され、これにより、電気抵抗を減少させ得る。
【0152】
ある特定の選択実施形態において、上記の充填剤の使用は、完成したセパレータにおいて低減した最終油濃度を可能にする。油は非伝導体であるため、油分の低減は、セパレータのイオン伝導率を増加させ得、セパレータの電気抵抗(「ER」)の低下を助け得る。そのため、低減した最終又は残油分を有するセパレータは、増加した効率を有し得る。ある特定の選択実施形態において、約20%未満、例えば、約14%~約20%、いくつかの特定の実施形態において、およそ19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、又は5%未満の最終又は残存加工油分(重量基準)を有する膜が提供される。
【0153】
充填剤は、電解質イオンの水和層と呼ばれるものをさらに低減し、膜を横断するかかるイオンの輸送を改善することにより、電池、例えば、強化型液式電池又はシステムのER全体を再度低下させ得る。
【0154】
充填剤(複数可)は、セパレータを横断する電解質及びイオンの流れを容易にする種々の種(例えば、極性種、例えば、金属)を含有していてよい。このことはまた、かかるセパレータが液式電池、例えば、強化型液式電池において使用されるとき、電気抵抗全体の減少にもつながる。
【0155】
破砕性
ある特定の選択実施形態において、充填剤は、アルミナ、タルク、シリカ、又はこれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態において、充填剤は、沈降シリカであり得、いくつかの実施形態において、沈降シリカは、非晶質シリカである。いくつかの実施形態において、セパレータ全体を通しての充填剤の微細な分散を可能にすることにより屈曲及び電気抵抗を減少させる、シリカの凝集物及び/又は集塊を使用することが好ましい。ある特定の好ましい実施形態において、充填剤(例えば、シリカ)は、高いレベルの破砕性によって特徴付けられる。良好な破砕性は、多孔質膜の押出の間のポリマー全体を通しての充填剤の分散を改善して、空隙率及びこれによりセパレータを通るイオン伝導率全体を改善する。
【0156】
破砕性は、シリカ粒子又は材料(凝集物又は集塊)が、より小さいサイズの、より分散性の粒子、片又は構成要素に破壊される可能性、傾向又は性向として測定され得る。図30の左側に示すように、新たな(NEW)シリカは、標準(STANDARD)シリカより破砕性である(超音波処理の30秒後及び60秒後により小さな片に破壊される)。例えば、新たな(NEW)シリカは、0秒の超音波処理において24.90μm、30秒で5.17μm、及び60秒で0.49μmの50体積%粒径を有した。ゆえに、50体積%のシリカ粒子の、30秒の超音波処理では50%超のサイズ(径)低減、60秒では75%超のサイズ(径)低減があった。ゆえに、「高い破砕性」の1つの場合により好ましい定義は、(膜を形成するための樹脂シリカ混合体の処理において)シリカ粒子の30秒の超音波処理において少なくとも50%の平均サイズ(径)の低減及び60秒の超音波処理において少なくとも75%の平均サイズ(径)の低減であってよい。少なくともある特定の実施形態において、より破砕性のシリカを使用することが好ましい場合があり、破砕性でありかつその破砕性においてマルチモーダル、例えば、バイモーダル又はトリモーダルであるシリカを使用することがさらにより好ましい場合がある。図30を参照すると、標準(STANDARD)シリカは、その破砕性又は粒度分布においてシングルモーダルが見られるが、新たな(NEW)シリカはより破砕性であると見られ、30秒の超音波処理ではバイモーダル(2つのピーク)、60秒の超音波処理ではトリモーダル(3つのピーク)が見られる。かかる破砕性及びマルチモーダル粒度のシリカ(複数可)は、改善された膜及びセパレータ特性を付与し得る。
【0157】
上記の特徴のうちの1以上を有する充填剤の使用は、より高い最終空隙率を有するセパレータの製造を可能にする。本明細書に開示されているセパレータは、約60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、又は70%超の最終空隙率を有し得る。空隙率は、気体吸着法を使用して測定されてよい。空隙率は、BS-TE-2060によって測定され得る。
【0158】
いくつかの選択実施形態において、多孔質セパレータは、約1μm、0.9μm、0.8μm、0.7μm、0.6μm、0.5μm、又は0.1μm以下の平均細孔径を維持しながら、より高い割合のより大きな細孔を有し得る。
【0159】
少なくとも1つの実施形態によると、セパレータは、加工油及び充填剤、並びに任意の所望の添加剤と混合されたポリエチレン、例えば、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)からなる。少なくとも1つの他の実施形態によると、セパレータは、加工油及びタルクと混合された超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)からなる。少なくとも1つの他の実施形態によると、セパレータは、加工油及びシリカ、例えば、沈降シリカ、例えば、非晶質沈降シリカと混合されたUHMWPEからなる。添加剤は、次いで、上記の技術のうちの1以上を介してセパレータに適用され得る。
【0160】
電気抵抗の低減及びコールドクランキングアンプの増加の他に、好ましいセパレータはまた、他の利益をもたらすように設計される。組み立てに関して、セパレータは、加工機器をより容易に通過し、そのため、より効率的に製造される。高速組み立て、及び、寿命におけるその後の間の短絡を防止するために、セパレータは、標準PEセパレータと比較して優れた穿刺強度及び耐酸化性を有する。低減した電気抵抗及び増加したコールドクランキングアンプと組み合わせて、電池製造業者は、これらの新たなセパレータを有する電池において改良されかつ持続した電気性能を見出しやすい。
【0161】
添加剤/界面活性剤
ある特定の実施形態において、例示的なセパレータは、1以上の性能を改善する、セパレータ又は多孔質膜に添加される添加剤を有し得る。性能改善添加剤は、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、アンチモン抑制添加剤、UV-保護添加剤、抗酸化剤など、及びこれらの任意の組み合わせであってよい。ある特定の実施形態において、添加剤である界面活性剤は、イオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤であってよい。
【0162】
本明細書に記載されているある特定の実施形態において、低減した量のアニオン性又は非イオン性界面活性剤が本発明多孔質膜又はセパレータに添加される。より低量の界面活性剤に起因して、望ましい特徴は、低下した全有機体炭素(「TOC」)及び/又は低下した揮発性有機化合物(「VOC」)を含んでいてよい。
【0163】
ある特定の好適な界面活性剤が非イオン性である一方で、他の好適な界面活性剤がアニオン性である。添加剤は、単一の界面活性剤であっても、2以上の界面活性剤、例えば2以上のアニオン性界面活性剤、2以上の非イオン性界面活性剤、又は少なくとも1つのイオン性界面活性剤及び少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の混合物であってもよい。ある特定の好適な界面活性剤は、6未満、好ましくは3未満のHLB値を有していてよい。これらのある特定の好適な界面活性剤と本明細書に記載されている本発明セパレータとの併用は、鉛酸電池において使用されるときに当該鉛酸電池にて低減した水分損失、低減したアンチモン中毒、改良されたサイクリング、低減したフロート電流、低減したフロート電位など、又はこれらの任意の組み合わせを生じさせる、なおさらに改良されたセパレータを生じさせ得る。好適な界面活性剤として、界面活性剤、例えば、アルキルサルフェートの塩;アルキルアリールスルホネート塩;アルキルフェノール-アルキレンオキサイド付加物;石鹸;アルキル-ナフタレン-スルホネート塩;1以上のスルホスクシネート、例えば、アニオン性スルホスクシネート;スルホスクシネート塩のジアルキルエステル;アミノ化合物(第1級、第2級、第3級アミン、又は第4級アミン);エチレンオキサイド及びプロピレンオキシドのブロックコポリマー;種々のポリエチレンオキサイド;並びにモノ及びジアルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。添加剤として、非イオン性界面活性剤、例えば、ポリオール脂肪酸エステル、ポリエトキシ化エステル、ポリエトキシ化アルコール、アルキルポリサッカライド、例えば、アルキルポリグリコシド及びこれらのブレンド、アミンエトキシレート、ソルビタン脂肪酸エステルエトキシレート、有機シリコーン系界面活性剤、エチレン酢酸ビニルターポリマー、エトキシ化アルキルアリールリン酸エステル並びに脂肪酸のスクロースエステルを挙げることができる。
【0164】
ある特定の実施形態において、添加剤は、式(I)によって表されてよく
【化1】
式中:
・Rは、酸素原子によって中断されていてよい、10~4200個の炭素原子、好ましくは13~4200を有する線状又は非芳香族炭化水素ラジカルであり;
【化2】
又は
【化3】
好ましくはHであり、k=1又は2であり;
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H又はNH であり、全ての可変値Mが同時にはHを意味せず;
・n=0又は1であり;
・m=0又は10~200の整数であり;
・x=1又は2である。
【0165】
式(I)による化合物における炭素原子に対する酸素原子の比は、1:1.5~1:30の範囲にあり、m及びnは、同時に0とはなり得ない。しかし、可変値n及びmのうち好ましくは一方のみが0とは異なる。
【0166】
非芳香族炭化水素ラジカルにより、芳香族基を含有しない又は自身がこれを表すラジカルが意図される。炭化水素ラジカルは、酸素原子によって中断されていてよい(すなわち、1以上のエーテル基を含有する)。
【0167】
Rは、好ましくは、酸素原子によって中断されていてよい直鎖又は分岐状の脂肪族炭化水素ラジカルである。飽和の非架橋炭化水素ラジカルがかなり特に好ましい。しかし、上記で記述されているように、Rは、ある特定の実施形態において、芳香族環含有であってよい。
【0168】
電池セパレータの製造での式(I)の化合物の使用を通して、酸化破壊に対して効率的に保護され得る。
【0169】
式(I)による化合物を含む電池セパレータが好ましく、式中:
・Rは、1~60、好ましくは1~20、かなり特に好ましくは1~8個の酸素原子によって中断されていてよい、10~180、好ましくは12~75、かなり特に好ましくは14~40個の炭素原子を有する炭化水素ラジカル、特に好ましくは以下の式の炭化水素ラジカルであり
【化4】
式中:
〇Rは、10~30個の炭素原子、好ましくは12~25、特に好ましくは14~20個の炭素原子を有するアルキルラジカルであり、Rは、例えば、芳香族環を含有して、線状又は非線状であり得;
〇Pは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり;
〇qは、0~30、好ましくは0~10、特に好ましくは0~4の整数であり;
〇p及びqの合計が0~10、特に、0~4である化合物が特に好ましく;
・n=1であり;
・m=0である。
【0170】

【化5】
は、四角括弧内の基の配列が示されているものとは異なる化合物も含むとして理解されるべきである。例えば、本発明化合物によると、括弧内のラジカルが(OC)基及び(OC)基を交互させることによって形成されているものが好適である。
【0171】
が10~20、好ましくは14~18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状のアルキルラジカルである添加剤が、特に有利であることが証明された。OCは、OCHCHを、OCは、OCH(CH及び/又はOCHCHCHを好ましくは表す。
【0172】
好ましい添加剤として特にアルコールに言及することができ、第1級アルコール(p=q=0;m=0)が特に好ましく、第1級アルコールの、脂肪アルコールエトキシレート(p=1~4、q=0)、脂肪アルコールプロポキシレート(p=0;q=1~4)及び脂肪アルコールアルコキシレート(p=1~2;q=1~4)エトキシレートが好ましい。脂肪アルコールアルコキシレートは、例えば、対応するアルコールとエチレンオキサイド又はプロピレンオキシドとの反応を通して達成可能である。
【0173】
水及び硫酸に可溶性でない又はただ難溶性である、タイプm=0の添加剤が、特に有利であることが証明された。
【0174】
式(I)による化合物を含有する添加剤も好ましく、式中:
・Rは、20~4200、好ましくは50~750、かなり特に好ましくは80~225個の炭素原子を有するアルカンラジカルであり;
・Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属イオン、H又はNH 、特に、アルカリ金属イオン、例えば、Li、Na及びK又はHであり、全ての可変値Mが同時にはHを意味せず;
・n=0であり;
・mは、10~200の整数であり;
・x=1又は2である。
【0175】
多孔質膜の製造
いくつかの実施形態において、例示的な多孔質膜は、押出機において構成部を混合することによって作製されてよい。例えば、約5%~約15重量%のポリマー(例えば、ポリエチレン、UHMWPEなど)、約10%~約75重量%の充填剤(例えば、シリカ)、約10%~約85%の加工油、及び任意選択的に約1%~約50重量%のゴム及び/又はラテックスが、押出機において混合されてよい。例示的な多孔質膜は、構成部に、加熱された押出機を通過させ、押出機によって生じた押出物に、金型を通過させて、2つの加熱されたプレス又はカレンダースタック若しくはロールによって形成されたニップ内に通し、連続ウェブを形成することによって作製されてよい。ウェブからの相当量の加工油が溶媒の使用によって抽出され得る。ウェブは、次いで乾燥され、所定の幅のレーンにスリット形成され、次いで、ロール上に巻かれてよい。加えて、プレス又はカレンダーロールは、種々の溝パターンが刻み込まれて(又は、エンボス加工ロールが、上昇した要素を有していてよい)、本明細書に実質的に記載されているリブ、溝、テクスチャ領域、エンボスなどを付与し得る。ゴム、充填剤、油、及びポリマーの量は、全て、走行性、及び、望ましいセパレータ特性、例えば、電気抵抗、坪量、耐穿刺性、曲げ剛性、耐酸化性、空隙率、物理的強度、屈曲などに関してバランスが取られる。
【0176】
押出機の構成部に添加されることに加えて、ある特定の実施形態は、押出後、多孔質膜にゴムを合わせる。例えば、ゴムは、片側又は両側において、好ましくは負極に向いている側において、ゴム及び/又はラテックス、任意選択的に、シリカ、及び水から構成される液体スラリーによってコーティングされ、次いで、この材料のフィルムが例示的な多孔質膜の表面上に形成されるように乾燥されてよい。この層のより良好な湿潤性のために、湿潤剤は、鉛酸電池において使用されるスラリーに添加されてよい。ある特定の実施形態において、スラリーは、本明細書に記載されている1以上の性能改善添加剤を含有することもできる。乾燥後、多孔質層及び/又はフィルムは、セパレータの表面に形成され、多孔質膜に非常によく接着し、仮にあったとしても非有意にのみ電気抵抗を増加させる。ゴムが添加された後、機械プレス又はカレンダースタック若しくはロールのいずれかを使用してさらに圧縮されてよい。ゴム及び/又はラテックスを適用する他の可能な方法は、セパレータの1以上の表面に浸漬コーティング、ローラコーティング、スプレーコーティング、若しくはカーテンコーティング、又はこれらの任意の組み合わせによってゴム及び/又はラテックススラリーを適用することである。これらのプロセスは、加工油が抽出される前若しくは後、又は、レーンにスリット形成される前若しくは後に行われてよい。
【0177】
本発明のさらなる実施形態は、含浸及び乾燥によりゴムを膜上に堆積することを含む。
【0178】
性能改善添加剤を用いた製造
ある特定の実施形態において、性能改善添加剤(複数可)、例えば、界面活性剤、湿潤剤、着色剤、帯電防止添加剤、抗酸化剤など、及びこれらの任意の組み合わせもまた、押出機内で他の構成部と共に混合されてよい。本開示による多孔質膜は、次いで、シート又はウェブの形状に押出され、上記と実質的に同じように完成されてよい。
【0179】
ある特定の実施形態において、押出機に加えて又は代替的に、添加剤(複数可)が、例えば、完成されるとき(例えば、加工油のバルクを抽出した後、及び、ゴムの導入の前又は後)セパレータ多孔質膜に適用されてよい。ある特定の好ましい実施形態によると、添加剤又は添加剤の溶液(例えば、水溶液)が、セパレータの1以上の表面に適用される。この変形例は、非熱安定性添加剤、及び、加工油の抽出に使用される溶媒に可溶性である添加剤の適用に特に好適である。本発明による添加剤のための溶媒として特に好適であるのは、低分子量アルコール、例えば、メタノール及びエタノール、並びにこれらのアルコールと水との混合物である。かかる適用は、セパレータの、負極を向いている側、正極を向いている側、又は両側に行われ得る。かかる適用はまた、溶媒浴にある間に細孔形成剤(例えば、加工油)の抽出の際に行われてもよい。ある特定の選択実施形態において、性能改善添加剤、例えば、セパレータが作製される前に押出機に添加される界面活性剤コーティング若しくは性能改善添加剤(又は両方)のいくつかの部分は、電池システムにおいてアンチモンと結合し得、また、これを不活性化し得、及び/又は、これと共に化合物を形成し得、及び/又は、これを電池の泥残渣に落下させ得、及び/又は、負極へのこれの堆積を防止し得る。界面活性剤又は添加剤はまた、電解質、ガラスマット、電池ケース、ペースティングペーパー、ペースティングマットなど、又はこれらの組み合わせに添加されてもよい。
【0180】
ある特定の例示的な実施形態において、添加剤(例えば、イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせ)は、少なくとも約0.5g/m、1.0g/m、1.5g/m、2.0g/m、2.5g/m、3.0g/m、3.5g/m、4.0g/m、4.5g/m、5.0g/m、5.5g/m、6.0g/m、6.5g/m、7.0g/m、7.5g/m、8.0g/m、8.5g/m、9.0g/m、9.5g/m若しくは10.0g/m又はさらには最大で約25.0g/mの表面積密度(すなわち、セパレータの表面積当たりのグラム)又はアドオンレベルで存在していてよい。添加剤は、約0.5g/m~約15g/m、約0.5g/m~約10g/m、約1.0g/m~約10.0g/m、1.5g/m~約10.0g/m、2.0g/m~約10.0g/m、約2.5g/m~約10.0g/m、約3.0g/m~約10.0g/m、約3.5g/m~約10.0g/m、約4.0g/m~約10.0g/m、約4.5g/m~約10.0g/m、約5.0g/m~約10.0g/m、約5.5g/m~約10.0g/m、約6.0g/m~約10.0g/m、約6.5g/m~約10.0g/m、約7.0g/m~約10.0g/m、約7.5g/m~約10.0g/m、約4.5g/m~約7.5g/m、約5.0g/m~約10.5g/m、約5.0g/m~約11.0g/m、約5.0g/m~約12.0g/m、約5.0g/m~約15.0g/m、約5.0g/m~約16.0g/m、約5.0g/m~約17.0g/m、約5.0g/m~約18.0g/m、約5.0g/m~約19.0g/m、約5.0g/m~約20.0g/m、約5.0g/m~約21.0g/m、約5.0g/m~約22.0g/m、5.0g/m~約23.0g/m、約5.0g/m~約24.0g/m、又は5.0g/m~約25.0g/mの表面積密度又はアドオンレベルでセパレータに存在していてよい。
【0181】
上記の適用はまた、電池セパレータを添加剤又は添加剤の溶液に浸漬し(溶媒浴添加)、必要に応じて溶媒を(例えば、乾燥によって)除去することによって行われてもよい。このように、添加剤の適用は、例えば、膜生成の間に適用される場合が多い抽出と組み合わされてよい。他の好ましい方法は、表面に添加剤をスプレーし、1以上の添加剤をセパレータの表面に浸漬コーティング、ローラコーティング、又はカーテンコーティングすることである。
【0182】
本明細書に記載されているある特定の実施形態において、低減した量のイオン性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性界面活性剤が本発明セパレータに添加される。かかる場合において、望ましい特徴は、低下した全有機体炭素及び/又は低下した揮発性有機化合物(より低量の界面活性剤に起因する)を含んでいてよく、かかる実施形態による望ましい本発明セパレータを製造し得る。
【0183】
用途
本明細書に記載されている例示的なセパレータは、様々な例示的な電池において使用されてよい。かかる電池は、いずれの鉛酸電池、例えば、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池、平板電池、管状電池、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、ディープサイクル鉛酸電池、及び/又は、部分充電状態において作動する電池であってもよい。かかる電池は、様々な例示的な用途において、例えば、車両、代替のエネルギー集積及び貯蔵、例えば、太陽及び風力エネルギー発電並びに他の再生可能及び/又は代替エネルギー源、インバータ、無停電電源(「UPS」)デバイスなどにおいて使用されるものにおいて使用されてよい。本明細書に記載されている例示的な車両は、さほど限定されないが、少なくとも、本明細書に記載されているセパレータ又は電池のうちの1以上を備える車両である。好ましい実施形態において、例示的な車両は、自動車、トラック、オートバイ、全地形対応車、オートバイ、フォークリフト、ゴルフカート、車椅子、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車、ハイブリッド車、ハイブリッド電気自動車、マイクロHEV、電気自動車、電気人力車用電池、電気三輪車、電気自転車、船舶、又はいずれの他の電動式車両であってもよい。本発明セパレータの好ましい実施形態が使用され得る例示的な電池として:平板電池、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、ディープサイクル電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)車用電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車用電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形対応車用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車用電池、電気人力車用電池、電気三輪車用電池、電気自転車用電池、車椅子用電池、船舶用電池などを挙げることができる。
【0184】
いくつかの好ましい実施形態において、電池は、部分充電状態で作動するデバイスにおいて使用される。例えば、電池は、通常の日常条件下において(すなわち、誤用ではなく通常の使用状態において)部分充電状態で作動するデバイスにおいて使用される。
【0185】
方法
本明細書に記載されている方法は、さほど限定されない。方法は、誤用ではなく通常の使用状態において、部分充電状態で作動する又は当該状態において操作されることが意図される鉛酸電池、液式鉛酸電池、又は液式鉛酸電池における酸置換を防止する方法であってよい。方法は、鉛酸電池において、本明細書に記載されている電極アレイを提供する方法である。
【0186】
本発明の種々の実施形態が、本発明の種々の目的の達成において記載されている。これらの実施形態は、本発明の原理を単に説明するものであることが認識されるべきである。数多くの変更及び適応が、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかであろう。
【0187】
結論
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、酸欠乏を低減若しくは軽減する;酸層化を低減若しくは軽減する;デンドライト成長を低減若しくは軽減する;及び低減した電気抵抗を有することが可能であり、並びに/又はコールドクランキングアンプを増加させることが可能であるセパレータ、特に、液式鉛酸電池用セパレータを対象とする。また、少なくとも強化型液式鉛酸電池において、電池寿命を改善する;酸欠乏を低減又は軽減する;酸層化を低減又は軽減する;デンドライト成長を低減ないし軽減する;酸化の影響を低減する;水分損失を低減する;内部抵抗を低減する;湿潤性を増加させる;酸拡散を改良する;コールドクランキングアンプを改良する、均一性を改良する、及びこれらの任意の組み合わせのための方法、システム、及び電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、セパレータが、改良された及び新規のリブ設計、並びに改良されたセパレータ弾力性を含む、強化型液式鉛酸電池用の改良されたセパレータを対象とする。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式鉛酸電池用の改良されたセパレータであって、性能改善添加剤又はコーティング、増加した耐酸化性、増加した空隙率、増加した空隙容量、非晶質シリカ、高吸油性シリカ、高シラノール基シリカ、OH対Si比が21:100~35:100であるシリカ、シシケバブ構造又は形態、ポリオレフィン微多孔質膜(膜及びポリマー、例えば、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)の40重量%以上の量で粒子状充填剤を含有し、拡張された鎖状結晶(シシ形成)及び折り畳まれた鎖状結晶(ケバブ形成)によるシシケバブ形成物、並びに、1nm~150nmの平均繰り返し周期のケバブ形成物を有する)、減少したシート厚さ、減少した屈曲、低減した厚さ、低減した油分、増加した湿潤性、増加した酸拡散など、並びにこれらの任意の組み合わせを含む、上記セパレータを対象とする。
【0188】
ある特定の選択された実施形態の少なくとも第1の態様によると、鉛酸電池セパレータは、ポリマー及び充填剤を有する多孔質膜を備える。多孔質膜は、第1の表面から延在する少なくとも第1の複数のリブを有する少なくとも第1の表面を備える。第1の複数のリブは、第1の複数の歯又は不連続ピーク若しくは突出部を備え、第1の複数の歯又は不連続ピーク若しくは突出部は、それぞれ、弾力性をセパレータに付与するように互いに近接している。かかる弾力性は、セパレータが、NAMの膨潤から生じる圧力下にありながら偏向に抵抗する能力を称する場合がある。かかる近接は、1つの歯、ピーク又は突出部から別のものまで少なくともおよそ1.5mmであってよい。セパレータは、基部から延在する第1の複数の歯又は不連続ピーク若しくは突出部を有する連続基部をさらに備えていてよい。
【0189】
ある特定の実施形態において、セパレータは、基部から延在する第1の複数の歯又は不連続ピーク若しくは突出部を有する連続基部を備えていてよい。基部は、歯又は不連続ピーク若しくは突出部の幅よりも広くてよい。また、基部は、歯又は不連続ピーク若しくは突出部のそれぞれの間に連続的に延在していてよい。
【0190】
少なくともある特定の選択実施形態によると、セパレータは、以下:中実リブ、個別の壊れたリブ、連続リブ、不連続リブ、不連続ピーク、不連続突出部、角度付きリブ、線状リブ、多孔質膜の縦方向に実質的に延在する長手方向リブ、多孔質膜の幅方向に実質的に延在する横方向リブ、セパレータの幅方向に実質的に延在する横断リブ、歯、歯付きリブ、セレーション、セレーション付きリブ、鋸壁、鋸壁付きリブ、曲面リブ、正弦波状リブ、連続のジグザグ-鋸歯様形状で配置されているもの、壊れた不連続のジグザグ-鋸歯様形状で配置されているもの、溝、チャネル、テクスチャ領域、エンボス、ディンプル、円柱、ミニ円柱、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組み合わせ;のうちの1以上であるリブを備えていてよい。
【0191】
第1の複数のリブの少なくとも一部は、セパレータのエッジに対して平行でも直交でもなくてよい角度によって定義されてよい。さらに、角度は、多孔質膜の縦方向に対しての角度として定義されてよく、角度は、以下:ゼロ度(0°)超180度(180°)未満~180度(180°)超360度(360°)未満;のうちの1つであってよい。開示されている実施形態のある特定の態様において、角度は、複数のリブ全体を通して変動してよい。
【0192】
本発明のある特定の選択態様において、第1の複数のリブは、幅方向の間隔のピッチがおよそ1.5mm~およそ10mmであってよく、複数の歯又は不連続ピーク若しくは突出部は、縦方向の間隔のピッチがおよそ1.5mm~およそ10mmであってよい。
【0193】
ある特定の選択実施形態において、セパレータは、多孔質膜の第2の表面から延在する第2の複数のリブを備えていてよい。第2の複数のリブは、以下:中実リブ、個別の壊れたリブ、連続リブ、不連続リブ、不連続ピーク、不連続突出部、角度付きリブ、線状リブ、多孔質膜の縦方向に実質的に延在する長手方向リブ、多孔質膜の幅方向に実質的に延在する横方向リブ、セパレータの幅方向に実質的に延在する横断リブ、歯、歯付きリブ、鋸壁、鋸壁付きリブ、曲面リブ、正弦波状リブ、連続のジグザグ-鋸歯様形状で配置されているもの、壊れた不連続のジグザグ-鋸歯様形状で配置されているもの、溝、チャネル、テクスチャ領域、エンボス、ディンプル、円柱、ミニ円柱、多孔質、非多孔質、ミニリブ、クロスミニリブ、及びこれらの組み合わせ;のうちの1以上であってよい。
【0194】
第2の複数のリブの少なくとも一部は、セパレータのエッジに対して平行でも直交でもなくてよい角度によって定義されてよい。さらに、角度は、多孔質膜の縦方向に対しての角度として定義されてよく、角度は、以下:ゼロ度(0°)超180度(180°)未満~180度(180°)超360度(360°)未満;のうちの1つであってよい。開示されている実施形態のある特定の態様において、角度は、複数のリブ全体を通して変動してよい。
【0195】
第2の複数のリブは、クロスマシン又は縦方向の間隔のピッチがおよそ1.5mm~およそ10mmであってよい。
【0196】
第1の表面は、鉛酸電池セパレータのエッジに隣接して配置されている第1の複数のリブとは異なる高さを有する1以上のリブを備えていてよい。同じく、第2の表面は、鉛酸電池セパレータのエッジに隣接して配置されている第2の複数のリブとは異なる高さを有する1以上のリブを備えていてよい。
【0197】
選択実施形態において、ポリマーは、以下:ポリマー、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、超高分子量ポリエチレン(「UHMWPE」)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ゴム、合成木材パルプ(「SWP」)、リグニン、ガラス繊維、合成繊維、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせ;のうちの1つであってよい。
【0198】
繊維状マットが備えられていてよい。マットは、以下:ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能改善添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの組み合わせ;のうちの1つであってよく、不織布、メッシュ、フリース、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0199】
また、セパレータは、切断片、リーフ、ポケット、スリーブ、ラップ、折り畳み、エンベロープ、及びハイブリッドエンベロープであってよい。
【0200】
少なくともある特定の選択の例示的な実施形態によると、セパレータは、セパレータの偏向を軽減するための弾力手段を備えていてよい。
【0201】
少なくともある特定の選択実施形態によると、鉛酸電池は、正極、及び膨潤した負極活物質を備える負極を備える。セパレータは、正極及び負極間に配置されているセパレータの少なくとも一部を備える。正極の少なくとも一部、負極の少なくとも一部、及びセパレータの少なくとも一部を実質的に浸す電解質が提供される。少なくともある特定の選択実施形態において、セパレータは、少なくともポリマー及び充填剤からなる多孔質膜を有していてよい。第1の複数のリブは、多孔質膜の表面から延在していてよい。リブは、例えば、NAMの膨潤の存在下で酸欠乏を防止するように配列されていてよい。鉛酸電池は、以下の条件:動作中、静止中、バックアップ電源用途において、サイクリング用途において、部分充電状態において、及びこれらの任意の組み合わせにおいて;のうちのいずれか1以上において作動し得る。
【0202】
リブは、複数の歯、又は不連続ピーク若しくは突出部を備えていてよい。それぞれ歯、又は不連続ピーク若しくは突出部は、複数の不連続ピークの別のものから少なくともおよそ1.5mmであってよい。連続基部は、これから延在する複数の歯、又は不連続ピーク若しくは突出部を備えていてよい。
【0203】
第1の複数のリブは、特に、電池の動作の間に、電池における酸混合を改善するようにさらに設けられていてよい。セパレータは、電池の始動及び停止動作と平行に配置されていてよい。セパレータは、正極、負極、又はセパレータに隣接するマットを備えていてよい。マットは、ガラス繊維、合成繊維、シリカ、少なくとも1つの性能改善添加剤、ラテックス、天然ゴム、合成ゴム、及びこれらの任意の組み合わせから少なくとも部分的になっていてよい。マットは、不織布、織布、メッシュ、フリース、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0204】
本発明の少なくともある特定の選択実施形態において、鉛酸電池は、平板電池、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ディープサイクル電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)車用電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車用電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形対応車用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車用電池、電気人力車用電池、若しくは電気自転車用電池、又はこれらの任意の組み合わせであってよい。
【0205】
ある特定の実施形態において、電池は、およそ1%~およそ99%の放電深度で作動してよい。
【0206】
少なくとも1つの実施形態によると、屈曲が減少した微多孔質セパレータが提供される。屈曲は、細孔がその長さを占める湾曲/回転の程度を称する。そのため、屈曲が減少した微多孔質セパレータは、イオンがセパレータを通って移動するための、より短い経路を提示し、これにより、電気抵抗を減少させる。かかる実施形態による微多孔質セパレータは、減少した厚さ、増加した細孔径、より相互接続した細孔、及び/又はより開口した細孔を有し得る。
【0207】
少なくともある特定の選択された実施形態によると、増加した空隙率を有する微多孔質セパレータ、又は、空隙率が公知のセパレータと有意に異ならない、異なる細孔構造、及び/若しくは減少した厚さを有するセパレータが提供される。イオンは、最適化された空隙率、最適化された空隙容量、最適化された屈曲、及び/又は減少した厚さを有する微多孔質セパレータを通ってより迅速に移動し、これにより、電気抵抗を減少させる。かかる減少した厚さは、電池セパレータの全体重量の減少を結果として生じさせ得、次いで、セパレータが使用される強化型液式電池の重量を減少させ、次いで、強化型液式電池が使用される車両全体の重量を減少させる。かかる減少した厚さは、セパレータが使用される強化型液式電池における正極活物質(「PAM」)又は負極活物質(「NAM」)のスペースの増加を代替的に結果として生じさせ得る。
【0208】
少なくともある特定の選択された実施形態によると、(水又は酸における)湿潤性が増加した微多孔質セパレータが提供される。湿潤性が増加したセパレータは、電解質のイオン種にさらにアクセス可能であり、これにより、セパレータを横断するこれらの通過を容易にし、電気抵抗を減少させる。
【0209】
少なくとも1つの実施形態によると、最終油分が減少した微多孔質セパレータが提供される。かかる微多孔質セパレータもまた、強化型液式電池又はシステムにおけるER(電気抵抗)の低下を容易にする。
【0210】
セパレータは、増加した破砕性を有し、セパレータの空隙率、細孔径、内部細孔表面積、湿潤性、及び/又は表面積を増加させ得る改良された充填剤を含有していてよい。いくつかの実施形態において、改良された充填剤は、以前に公知である充填剤よりも、高い構造形態及び/若しくは低減した粒度及び/若しくは異なる量のシラノール基を有し、並びに/又は、以前に公知である充填剤よりもヒドロキシル化されている。改良された充填剤は、より多くの油を吸収し得、及び/又は、油が押出後に除去されるときに並行して収縮若しくは圧縮を伴うことなくセパレータ形成の間のより多くの量の加工油の取り込みを可能にし得る。充填剤は、電解質イオンの水和層と呼ばれるものをさらに低減し、膜を横断するこれらの輸送を改善することにより、電池、例えば、強化型液式電池又はシステムの電気抵抗又はER全体を再度低下させ得る。
【0211】
充填剤(複数可)は、イオン拡散を増加させ、セパレータを横断する電解質及びイオンの流れを容易にする種々の種(例えば、極性種、例えば、金属)を含有していてよい。このことはまた、かかるセパレータが液式電池、例えば、強化型液式電池において使用されるとき、電気抵抗全体の減少にもつながる。
【0212】
微多孔質セパレータは、かかるセパレータが液式鉛酸電池において使用されるとき、当該セパレータがかかる液式鉛酸電池における電気抵抗を有意に減少させることに寄与するように、新規及び改良された細孔形態並びに/又は新規及び改良されたフィブリル形態をさらに含む。かかる改良された細孔形態及び/又はフィブリル形態は、細孔及び/又はフィブリルがシシ-ケバブ(又はシシケバブ)タイプの形態に適切であるセパレータを結果として生じさせ得る。新規及び改良された細孔形状及び構造を説明する別の手段は、シリカノード又はシリカのノードが電池セパレータ内のポリマーフィブリル(シシと呼ばれる場合があるフィブリル)におけるケバブタイプの形成物に存在する、テクスチャ化されたフィブリル形態である。加えて、ある特定の実施形態において、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊椎構造として記載され得、ポリマーのフィブリルに沿った、ポリマーのケバブにおけるシリカノードが、椎骨又は椎間板(「ケバブ」)のように見え、いくつかの場合には、脊椎様形状(「シシ」)に近似する細長い中央の脊椎又はフィブリル(拡張された鎖ポリマー結晶)に実質的に垂直に配向している場合がある。
【0213】
いくつかの場合において、改良された細孔形態及び/又はフィブリル形態を有する改良されたセパレータを含む改良された電池は、20%低い、いくつかの場合において、25%低い、いくつかの場合において、30%低い電気抵抗、いくつかの場合において、さらに30%を超えて降下した電気抵抗(「ER」)(電池内部抵抗を低減し得る)を示し得る一方で、かかるセパレータは、鉛酸電池セパレータの他の重要な望ましい機械的特性のバランスを保持及び維持する。さらに、ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているセパレータは、公知のセパレータと比較してより多くの電解質が細孔及び/又は空隙を流通する又はこれを満たすように、新規及び/又は改良された細孔形状を有する。
【0214】
また、本開示は、強化型液式電池用の1以上の改良された電池セパレータを含む改良された強化型液式鉛酸電池であって、該セパレータにおいて、当該電池に関して、減少した酸層化、低下した電圧降下(又は電圧降下耐久性の増加)、及び増加したCCA、いくつかの場合において、8%超、又は9%超、又はいくつかの実施形態において、10%超、又は15%超増加したCCAの望ましい特徴が組み合わされている、上記電池を提供する。かかる改良されたセパレータは、その性能がAGM電池の性能と一致する又はさらにはこれを超える強化型液式電池を結果として生じさせ得る。かかる低電気抵抗セパレータはまた、低減した水分損失を有する強化型液式鉛酸電池を結果として生じさせるように処理されてもよい。
【0215】
セパレータは、1以上の性能改善添加剤、例えば、界面活性剤を、他の添加剤又は剤、残油、及び充填剤と併せて含有していてよい。かかる性能改善添加剤は、セパレータの酸化を低減し得、及び/又は、本明細書に記載されている強化型液式電池についての電気抵抗全体の低下に寄与する膜を横断するイオンの輸送をさらに容易にし得る。
【0216】
本明細書に記載されている鉛酸電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔質膜を含んでいてよく、ポリオレフィン微多孔質膜は:ポリマー、例えば、ポリエチレン、例えば、超高分子量ポリエチレン、粒子状充填剤、及び加工用可塑剤を(任意選択的に、1以上の追加の添加剤又は剤と共に)含む。ポリオレフィン微多孔質膜は、膜の40重量%以上の量で粒子状充填剤を含んでいてよい。また、超高分子量ポリエチレンは、複数の拡張された鎖状結晶(シシ形成物)及び複数の折り畳まれた鎖状結晶(ケバブ形成物)を含むシシケバブ形成物においてポリマーを含んでいてよく、ケバブ形成物の平均反復又は周期性は、1nm~150nm、好ましくは、10nm~120nm、より好ましくは、20nm~100nm(少なくとも、セパレータのリブ側の部分において)である。
【0217】
ケバブ形成物の平均反復又は周期性は、以下の定義によって算出される:
・ポリオレフィン微多孔質膜の表面を、金属蒸着に供した後に走査電子顕微鏡(「SEM」)を使用して観察し、次いで、表面の画像を1.0kVの加速電圧において例えば30,000又は50,000倍の倍率で撮影する。
・SEM画像の同じ視覚野において、シシケバブ形成物が少なくとも0.5μm以上の長さで連続的に延在している少なくとも3つの領域が示される。次いで、それぞれ示されている領域のケバブの周期性を算出する。
・ケバブの周期性を、それぞれ示されている領域におけるシシケバブ形成物のシシ形成物に対しての鉛直方向での突出によって得られる濃度プロファイル(コントラストプロファイル)のフーリエ変換によって特定して、反復周期の平均を算出する。
・画像を、一般の分析ツール、例えば、MATLAB(登録商標)(R2013a)を使用して解析する。
・フーリエ変換後に得られたスペクトルプロファイルの中で、短波長領域において検出されるプロファイルをノイズとする。かかるノイズは、コントラストプロファイルの変形によって主に引き起こされる。本発明によるセパレータに関して得られるコントラストプロファイルは、(正弦波状波よりもむしろ)方形状波を発生させるようである。さらに、コントラストプロファイルが方形状波であるとき、フーリエ変換のプロファイルは正弦関数になるため、真のケバブの周期性を示す主なピークの他に短波長領域において複数のピークを生じさせる。短波長領域におけるかかるピークは、ノイズとして検出され得る。
【0218】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている鉛酸電池用セパレータは、シリカ、沈降シリカ、ヒュームドシリカ、及び沈降非晶質シリカからなる群から選択される充填剤を含み;29Si-NMRによって測定される、上記の充填剤におけるSi基に対するOH基の分子比は、21:100~35:100、いくつかの実施形態において、23:100~31:100、いくつかの実施形態において、25:100~29:100、ある特定の好ましい実施形態において、27:100以上の範囲内である。
【0219】
シラノール基は、シリカ構造を結晶構造から非晶質構造に変化させる、なぜなら、比較的剛性のSi-O共有結合ネットワークが、部分的に消失するからである。非晶質状シリカ、例えば、Si(-O-Si)(-OH)及びSi(-O-Si)(-OH)は、種々の吸油点として機能し得る、多くの歪みを有する。ゆえに、吸油性は、シラノール基(Si-OH)の量がシリカに関して増加するときに高くなる。加えて、本明細書に記載されているセパレータは、増加した親水性を示し得、並びに/又は、より高い空隙容量を有し得、並びに/又は、公知の鉛酸電池セパレータと共に使用されるシリカよりも多量のシラノール基及び/若しくはヒドロキシル基を含むシリカを含むとき、大きな空隙によって取り囲まれているある特定の凝集物を有し得る。
【0220】
微多孔質セパレータは、かかるセパレータが液式鉛酸電池において使用されるとき、当該セパレータがかかる液式鉛酸電池における電気抵抗を有意に減少させることに寄与するように、新規及び改良された細孔形態並びに/又は新規及び改良されたフィブリル形態をさらに含む。かかる改良された細孔形態及び/又はフィブリル形態は、細孔及び/又はフィブリルがシシ-ケバブ(又はシシケバブ)タイプの形態に適切であるセパレータを結果として生じさせ得る。新規及び改良された細孔形状及び構造を説明する別の手段は、シリカノード又はシリカのノードが電池セパレータ内のポリマーフィブリル(シシと呼ばれる場合があるフィブリル)におけるケバブタイプの形成物に存在する、テクスチャ化されたフィブリル形態である。加えて、ある特定の実施形態において、本発明によるセパレータのシリカ構造及び細孔構造は、骨格構造又は椎骨構造又は脊椎構造として記載され得、ポリマーのフィブリルに沿った、ポリマーのケバブにおけるシリカノードが、椎骨又は椎間板(「ケバブ」)のように見え、いくつかの場合には、脊椎様形状(「シシ」)に近似する細長い中央の脊椎又はフィブリル(拡張された鎖ポリマー結晶)に実質的に垂直に配向している場合がある。
【0221】
ある特定の選択された実施形態において、車両は、本明細書に概して記載されている鉛酸電池を備えていてよい。電池は、本明細書に記載されているセパレータをさらに備えていてよい。車両は、自動車、トラック、オートバイ、全地形対応車、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車、電気人力車、電気自転車、電気自転車用電池、及びこれらの組み合わせであってよい。
【0222】
ある特定の好ましい実施形態において、本開示又は発明は、可撓性電池セパレータであって、その構成要素並びに物理的特質及び特徴が相乗的に合わさることで、多くのディープサイクル電池用途において現在使用されている、以前に公知である可撓性の性能を満たす、ある特定の実施形態においてはこれを超える改良された電池セパレータ(ポリマー、例えば、ポリエチレンの多孔質膜、並びに、ある特定の量の性能改善添加剤及びリブを有するセパレータ)によって、予期しない方法で、ディープサイクル電池産業においてこれまで満たされていなかった要求に対処する、上記セパレータを提供する。特に、本明細書に記載されている本発明セパレータは、ディープサイクル電池によって常套的に使用されているセパレータよりも、堅牢であり、脆弱でなく、脆性でなく、経時的に安定である(分解しにくい)。本発明の、可撓性の、性能改善添加剤を含有しかつリブを保有するセパレータは、これを用いた電池システムの性能も改善しつつ、ポリエチレン系セパレータの所望の堅牢な物理的かつ機械的特性と、従来のセパレータの能力とを組み合わせたものである。
【0223】
少なくとも選択実施形態、態様又は目的によると、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、セル、及び/若しくは電池の製造及び/若しくは使用方法が本明細書に開示又は提供されている。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の新規又は改良された電池セパレータを対象とする。また、低減されたER、改良された穿刺強度、改良されたセパレータCMD剛性、改良された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された坪量、及びこれらの任意の組み合わせを有する方法、システム、及び電池セパレータが本明細書に開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、低減されたER、改良された穿刺強度、改良されたセパレータCMD剛性、改良された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された坪量、又はこれらの任意の組み合わせを有する、上記セパレータを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、低減されたER、改良された穿刺強度、改良されたセパレータCMD剛性、改良された耐酸化性、低減されたセパレータ厚さ、低減された坪量、及びこれらの任意の組み合わせを含む又は示すセパレータが提供される。少なくともある特定の実施形態によると、平板電池、管状電池、車両SLIのための電池用途、及び、HEV ISS用途、ディープサイクル用途、ゴルフカー又はゴルフカート及び電気人力車用電池、部分充電状態(「PSOC」)で作動する電池、インバータ電池;並びに、再生可能エネルギー源用蓄電池、並びにこれらの任意の組み合わせにおけるセパレータが提供される。
【0224】
特定の例示的な実施形態において、鉛酸電池は、1以上の負極、及び当該1以上の負極の間に交互配置されている1以上の正極を有する電極アレイを備える。1以上の負極のうちの少なくとも1つが、繊維状マットによってエンベロープされており、1以上の負極のうちの少なくとも1つに隣接する1以上の正極が、多孔質膜によってエンベロープされている。多孔質膜は、微多孔質電池セパレータであってよい。
【0225】
例示的な態様において、繊維状マットは、不織布、メッシュ、フリースなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。繊維状マットは、さらに、ガラス繊維、パルプ、ポリマーなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。また、繊維状マットは、ポリマーから、また、加えて、ガラス繊維、パルプなど、及び/又はこれらの組み合わせによって形成されていてよく、ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなど、及び/又はこれらの組み合わせであってよい。繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布複合材料又は炭素繊維不織布材料などであってよい。
【0226】
例示的な多孔質膜は、その少なくとも1つの表面におけるリブの1以上のアレイ、又はその2つの表面におけるリブの1以上のアレイを備えていてよい。リブは、約10μm~約2.0mmの高さを有し得る。多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維など、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。代替的に、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよく、ここで、加工油は、多孔質膜の約5重量%~多孔質膜の約15重量%の量である。
【0227】
ある特定の選択態様において、多孔質膜は、約55%、約60%、約65%を超える空隙率を有する。
【0228】
別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、正極の周囲でエンベロープされていてよく、正極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側のいずれかにおいて封止されていてよい。
【0229】
なお別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の繊維状マットは、負極の周囲でエンベロープされていてよく、負極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側において封止されていてよい。
【0230】
なお別の例示的な実施形態において、好ましい鉛酸電池の一例は、1以上の負極及び当該1以上の負極間に交互配置されている1以上の正極を含む電極アレイを備えていてよい。電池は、1以上の電極、及び、負極のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に一体化されている繊維状マットを含む繊維状マットアセンブリをさらに備えていてよい。多孔質膜は、微多孔質膜であってよく、1以上の電極のうちの1以上及び繊維状マットアセンブリ、又は、1以上の電極に隣接する1以上の正極のうちの少なくとも1つ及び繊維状マットアセンブリをエンベロープしていてよい。例示的な態様において、繊維状マットは、繊維状マットのマット厚さの約2%~約50%、マット厚さの約5%~約25%、マット厚さの約5%~約20%、又はマット厚さの約10%~約15%まで活物質に一体化されていてよい。
【0231】
任意の例示的な繊維状マットは、不織布、メッシュ、フリースなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。また、繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、ポリマーなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。さらに、繊維状マットは、ポリマーから形成され、加えて、ガラス繊維、パルプなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上によって形成されていてよく、当該ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなど、及び/又はこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。
【0232】
例示的な鉛酸電池の別の態様において、例示的な繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布、炭素繊維不織布などであってよい。
【0233】
例示的な鉛酸電池のさらなる態様において、例示的な多孔質膜は、その1つ又は2つの表面においてリブの1以上のアレイを有していてよい。リブの1以上のアレイのリブは、約10μm~約2.0mmの高さを有し得る。
【0234】
例示的な多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維など、及び/又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つであってよい。1つの特定の実施形態において、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよい。
【0235】
別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、正極の周囲でエンベロープされていてよく、正極の1つの側、2つの側、及び/又は3つの側のいずれかにおいて封止されていてよい。なお別の例示的な態様において、例示的な鉛酸電池の多孔質膜は、1以上の電極及び繊維状マットアセンブリのうちの1つの側、2つの側、及び/又は3つの側において封止されていてよい。
【0236】
例示的な好ましい実施形態のさらなる選択実施形態において、鉛酸電池は、互いに対して交互に配置されている1以上の負極及び1以上の正極の電極アレイを備えている。多孔質膜エンベロープは、その中に配置されている1以上の負極のうちの少なくとも1つをエンベロープしてさらに設けられており、多孔質膜がその1以上の表面においてリブを含み、繊維状マットがエンベロープ内に配置されている。リブは、少なくとも、部分的に、繊維状マットに隣接する多孔質膜の表面にあってよい。リブは、約10μm~約2.0mm、又は約5μm~約300μm、又は約25μm~約200μmの高さを有し得る。また、繊維状マットは、1以上の負極のうちの少なくとも1つをエンベロープしていてよい。さらに、繊維状マットは、負極に少なくとも部分的に一体化されていてよい。
【0237】
代替的に、繊維状マットは、リブ間に配置されている別個の片であってよく、リブの高さの約50%~リブの高さの約150%の厚さを有していてよい。本発明の選択態様において、繊維状マットは、負極と多孔質膜との間に配置されていてよい。繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、ポリマー、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。繊維状マットは、ガラス繊維、パルプ、及びこれらの組み合わせのうちの1以上と組み合わせてポリマーから形成されていてよく;ここで、当該ポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。また、繊維状マットは、無機材料、例えば、シリカであってよい。繊維状マットは、スパン-ボンドメルト-不織布複合材料、又は炭素繊維不織布材料であってよい。
【0238】
選択実施形態において、多孔質膜は、その2つの表面においてリブを有していてよい。また、多孔質膜は、天然材料、合成材料、ポリオレフィン、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、天然ゴム、合成ゴム、合成木材パルプ、ガラス繊維、リグニン、セルロース繊維、及びこれらの組み合わせのうちの1以上であってよい。具体的には、多孔質膜は、ポリエチレン、シリカ、及び加工油であってよい。
【0239】
本発明の選択態様において、多孔質膜は、負極の1つの側、負極の2つの側、又は負極の3つの側において封止されていてよい。また、繊維状マットは、負極の1つの側、負極の2つの側、及び負極の3つの側において封止されていてよい。
【0240】
本発明の選択実施形態において、システムは、本明細書に実質的に記載されている1以上の電池を利用する車両を備える。車両は、自動車、トラック、オートバイ、全地形対応車、オートバイ、フォークリフト、ゴルフカート、ハイブリッド車、ハイブリッド電気自動車、電気自動車、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車、電気人力車用電池、電気三輪車、電気自転車、車椅子、又は船舶であってよい。
【0241】
選択実施形態において、本明細書に実質的に記載されている鉛酸電池は、平板電池、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、制御弁式鉛酸(「VRLA」)電池、ゲル電池、吸収性ガラスマット(「AGM」)電池、ディープサイクル電池、管状電池、インバータ電池、車両用電池、始動-照明-点火(「SLI」)車用電池、アイドリング-スタート-ストップ(「ISS」)車用電池、自動車用電池、トラック用電池、オートバイ用電池、全地形対応車用電池、フォークリフト用電池、ゴルフカート用電池、ハイブリッド電気自動車用電池、電気自動車用電池、車椅子用電池、電気人力車用電池、電気三輪車用電池、電気自転車用電池、又は船舶用電池であってよい。
【0242】
選択実施形態において、方法は、部分充電状態で作動する又は当該状態において操作されることが意図される鉛酸電池、液式鉛酸電池、又は液式鉛酸電池における酸置換を防止又は軽減するために提供される。方法は、本明細書に記載されているいずれかの電池と実質的に同一の構造を有するように電池を製造することを含んでいてよい。
【0243】
本明細書に示されている又は記載されている、新規又は改良されたシステム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、電極、並びに/又は、かかる電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、繊維状マット、セル、及び/若しくは電極の製造及び/若しくは使用方法。
【0244】
新規又は改良された電池、特に、本明細書に記載されている及び/又は示されている鉛酸電池;新規又は改良された、システム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、電極、並びに/又は、かかるシステム、車両、電池、強化型液式鉛酸電池、ディープサイクル電池、セパレータ、電池セパレータ、強化型液式鉛酸電池セパレータ、ディープサイクル電池セパレータ、セパレータ、繊維状マット、セル、及び/若しくは電極の製造及び/若しくは使用方法;改良された鉛酸電池用セパレータを有する改良された電池、及び/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池の改良された使用方法;鉛酸電池において、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、フロート電流を低下させる、内部抵抗の増加を軽減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、活物質を保存する、活物質の脱落を軽減する、及び/又は均一性を改良するための方法、システム、処理、及び電池セパレータ;改良された鉛酸電池用セパレータであって、改良された機能性コーティングを含む当該セパレータ、酸層化を低減する改良された電池セパレータ、酸拡散を改良する改良された電池セパレータ、活物質を保存する改良された鉛酸電池、活物質の脱落を軽減する改良された鉛酸電池セパレータ、かかる改良されたセパレータを含む改良された鉛酸電池、自動車用長寿命鉛酸電池、改良された液式鉛酸電池など、並びに/又は、低減した酸層化、改良された酸拡散、改良された活物質保存能力、及び/若しくは改良された活物質脱落低減能力を有する電池;ポリエチレンセパレータ及びこの間に繊維状マットが配置されている負極を有する電池、並びに/又は、かかる電池の製造及び/若しくは使用方法;多孔質膜及びこれに積層された繊維状マットを有する電池であって、繊維状マットがかかる電池において負極に隣接している、かかる電池、並びに/又は、かかる電池の製造及び/若しくは使用方法。ある特定の実施形態において、繊維状マットがポリマー膜に(例えば、そのリブ、例えば、負極リブに)付着していること、及び、繊維状マットが膜のバックウェブに埋め込まれていないことが好ましい場合がある。
【0245】
本明細書に記載されているように、例示的なセパレータは、様々な用途において利用される鉛酸電池において使用され得る。かかる用途には、例えば:部分充電状態用途;ディープサイクル用途;自動車用途;トラック用途;オートバイ用途;動力用途、例えば、フォークトラック、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)など;電気自動車用途;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用途;ISS車用途;電気人力車用途;電気三輪車用途;電気自転車用途;ボート用途;エネルギー集積及び貯蔵用途、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。また、例示的なセパレータは、様々な電池において使用されてよい。かかる例示的な電池には、例えば:液式鉛酸電池、例えば、強化型液式鉛酸電池;AGM電池;VRLA電池;板状電池;管状電池;部分充電状態電池;ディープサイクル電池;自動車用電池;トラック用電池;オートバイ用電池;動力電池、例えば、フォークトラック用電池、ゴルフカート(ゴルフカーとも呼ばれる)用電池など;電気自動車用電池;ハイブリッド電気自動車(「HEV」)用電池;ISS車用電池;電気人力車用電池;電気三輪車用電池;電気自転車用電池;ボート用電池;エネルギー集積及び貯蔵電池、例えば、再生可能及び/又は代替エネルギー集積及び貯蔵、例えば、風力エネルギー、太陽エネルギーなどが含まれ得る。
【0246】
少なくとも選択実施形態によると、本開示又は発明は、鉛酸電池、例えば、液式鉛酸電池、特に、強化型液式鉛酸電池(「EFB」)、並びに種々の他の鉛酸電池、例えば、ゲル及び吸収性ガラスマット(「AGM」)電池のための新規又は改良されたセパレータを対象とする。少なくとも選択実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、弾力性セパレータ、バランスのとれたセパレータ、EFBセパレータ、これに関連する電池、セル、システム、方法、これを使用する車両、これを製造する方法、これの使用、及びこれらの組み合わせを対象とする。また、電池電極の酸欠乏を低減することによって、電池寿命を改善し電池故障を低減する方法、システム、及び電池セパレータが本明細書において開示されている。
【0247】
液式鉛酸電池及びこれを含む車両が本明細書に記載されている。液式鉛酸電池は、互いに対して交互に配置及び間挿されている1以上の負極板及び1以上の正極板を含む電極アレイを含む。いくつかの実施形態において、負極板は、繊維状マットが巻き付けられ又はこれによってエンベロープされており、多孔質膜は、隣接する正極の周りに巻き付けられ又はエンベロープされている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、負極板に少なくとも部分的に一体化されており、多孔質膜は、繊維状マットが少なくとも部分的に一体化されている負極板の周り又は隣接する正極板の周囲でエンベロープされている。他の実施形態において、負極板は、リブを有する多孔質膜によってエンベロープされており、繊維状マットは、巻き付けられた負極板と負極板をエンベロープする多孔質膜との間に存在する。開示されている電池を利用する方法、システム、及び車両も提供される。
【0248】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、セル、電池の製造及び/若しくは使用方法、これらを使用するシステム、方法、及び/若しくは車両を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された電池セパレータ、弾力性セパレータ、バランスのとれたセパレータ、液式鉛酸電池セパレータ、又は強化型液式鉛酸電池セパレータ、例えば、ディープサイクル及び/又は部分充電状態(「PSoC」)用途において有用なものを対象とする。かかる用途として、かかる非限定例としての:電気原動機用途、例えば、フォークリフト及びゴルフカート(ゴルフカーと称する場合がある)、電気人力車、電気自転車、電気三輪車など;自動車用途、例えば、始動-照明-点火(「SLI」)電池、例えば、内燃機関車両に使用されるもの;アイドルスタートストップ(「ISS」)車用電池;ハイブリッド車両用途、ハイブリッド-電気自動車用途;高出力要求の電池、例えば、無停電電源(「UPS」)若しくは制御弁式鉛酸電池(「VRLA」)、及び/又は高CCA要求の電池;インバータ;並びにエネルギー貯蔵システム、例えば、再生可能な及び/若しくは代替のエネルギーシステム、例えば、太陽光及び風力発電システムにおいて見られるもの;を挙げることができる。
【0249】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、酸欠乏を低減又は軽減する;酸層化を低減又は軽減する;デンドライト成長を低減又は軽減する;低減した電気抵抗を有することが可能であり、並びに/又は、コールドクランキングアンプを増加させる;低減した電気抵抗及び負極クロスリブを有する;低い水分損失、低減した電気抵抗及び/若しくは負極クロスリブを有する;デンドライトのブロック若しくは防止性能、特徴及び/若しくは構造を有する;酸混合防止性能、特徴及び/若しくは構造を有する;改善された負極クロスリブを有する;PE膜、片、スリーブ、折り畳み、ラップ、ポケット、エンベロープなどの正及び/若しくは負極側にガラスマットを有する;PE膜に積層されたガラスマットを有する;ことが可能である、並びに/又は、これらの組み合わせ若しくはサブ組み合わせである、セパレータ、弾力性セパレータ、バランスのとれたセパレータ、特に、液式鉛酸電池用セパレータを対象とする。
【0250】
鉛酸電池用の改良されたセパレータ、当該改良されたセパレータを組み込んだ改良された鉛酸電池、並びに、当該改良されたセパレータ及び/若しくは電池を組み込んだシステム又は車両の例示的な実施形態が、本明細書において開示されている。鉛酸電池セパレータは、表面から延在する複数のリブを有する多孔質膜を備える。リブは、NAMを膨潤させることにより発揮される力に抵抗することによりNAM膨潤に関連する酸欠乏の影響を軽減するために、例えば、多孔質膜に弾力性支持体を付与するように配列されている複数の不連続ピークを備える。セパレータはまた、酸混合を容易にすることによって酸層化の影響を軽減するために、かかるセパレータをハウジングする電池によって経験されるいずれの動作も利用することが可能であるように設けられる。提供されているセパレータを組み込んだ鉛酸電池もさらに提供される。かかる鉛酸電池は、液式鉛酸電池、強化型液式鉛酸電池であってよく、部分充電状態において作動するとして提供されてよい。かかる鉛酸電池を組み込んだシステム、例えば、車両又は任意の他のエネルギー貯蔵システム、例えば、太陽光又は風力エネルギー集積も提供される。他の例示的な実施形態は、例えば、以下のうちのいずれか1以上:低下した電気抵抗;増加した耐穿刺性;増加した耐酸化性;デンドライト成長の影響を軽減する能力の増加、及び他の改良;を有するように提供される。
【0251】
少なくとも選択された実施形態、態様又は目的によると、本開示又は発明は、従来技術の電池、セパレータ若しくは膜、特に、限定されないがEFB電池及びセパレータの課題又は問題に対応し得、並びに/あるいは、新規若しくは改良されたセパレータ、電池セパレータ、膜、セパレータ膜、強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、繊維状マット、強化型液式電池セパレータ、セル、及び/若しくは電池の製造及び/若しくは使用方法を提供し得、並びに/あるいは、これらを対象とし得る。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された、始動-照明-点火(「SLI」)電池用強化型液式鉛酸電池セパレータ、繊維状マット、ディープサイクル用途用液式電池、及び/若しくは強化型液式電池、並びに/又は、かかるセパレータ、マット、電池を含むシステム、車両など、並びに/又は、かかる改良されたセパレータ、マット、セル、電池、システム、車両などを作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータ、並びに/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池を作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、セパレータ、特に、低減した電気抵抗及び/若しくは増加したコールドクランキングアンプを有する強化型液式電池用のセパレータを対象とする。また、少なくとも強化型液式電池などにおいて、活物質保持を改善する、電池寿命を改善する、水分損失を低減する、内部抵抗を低減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、コールドクランキングアンプを改良する、均一性を改良するための方法、システム及び電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、1以上の性能改善添加剤若しくはコーティング、増加した空隙率、増加した空隙容量、非晶質シリカ、高吸油性シリカ、高シラノール基シリカ、電極における活物質の保持及び/若しくは改良された保持、並びに/又はこれらの任意の組み合わせを含む、上記セパレータを対象とする。
【0252】
少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、電池セパレータ、液式電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、電池、セル、並びに/又は、かかるセパレータ、電池セパレータ、繊維状マット、液式電池セパレータ、強化型液式電池セパレータ、セル、及び/若しくは電池の製造及び/若しくは使用方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良された、始動-照明-点火(「SLI」)電池用強化型液式電池セパレータ、繊維状マット、ディープサイクル用途用液式電池、動力用途用液式電池、部分充電状態(PSoC)用途用液式電池、並びに/又は、かかるセパレータ、繊維状マット、電池を含む、強化型液式電池、及び/若しくはシステム、車両など、並びに/又は、かかる改良されたセパレータ、繊維状マット、セル、電池、システム、車両などを作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータ、並びに/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池を作製及び/若しくは使用する改良された方法を対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、セパレータ、特に、低減した電気抵抗及び/若しくは増加したコールドクランキングアンプを有する強化型液式電池用のセパレータを対象とする。また、少なくとも強化型液式電池などにおいて、活物質保持を改善する、電池寿命を改善する、水分損失を低減する、内部抵抗を低減する、湿潤性を増加させる、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、コールドクランキングアンプを改良する、均一性を改良するための方法、システム、及び電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、1以上の性能改善添加剤若しくはコーティング、最適化された空隙率、最適化された空隙容量、非晶質シリカ、高吸油性シリカ、高シラノール基シリカ、電極における活物質の保持及び/若しくは改良された保持、並びに/又はこれらの任意の組み合わせを含む、上記セパレータを対象とする。
【0253】
少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、液式又は強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、ヘビーデューティディープサイクル用途、例えば、ゴルフカー、再生可能エネルギー、フロア機械、及びけん引車において、水分損失をさらに低減し、メンテナンスを低減し、誤用耐性を増加させるように設計された改良された構築を含む、上記セパレータを対象とする。
【0254】
特徴として:
・アンチモン移動の影響に対抗する、新たなポリエチレン配合物の組み込み。抑制は、ゴムセパレータに匹敵する。
・短絡からの保護を付与するエンベロープ又はスリーブ両方の自動化のための封止可能性。
・高い耐酸化性。
・より低い電気抵抗のための高い空隙率。
・活物質保持のための任意選択的なガラスマット
を挙げることができる。
【0255】
利益として:
・アンチモン中毒の負の影響に対抗することにより、優れた耐酸化性及び低減した水分損失を含めた電池寿命要件を突破する。
・高速装置においてエンベロープし、また、スリーブ付けすることにより、現場故障を低減しつつ、製造効率及び稠度を可能にする
を挙げることができる。
【0256】
少なくとも他の特定の実施形態によると、本開示又は発明は、管状、液式又は強化型液式電池用の改良されたセパレータであって、特別な低減した水分損失特徴及び独特のプロファイル設計を通して動力用途における電池寿命の延長を助ける、上記セパレータを対象とする。動力電池が、部分充電状態において経る操作が増加するにつれ、このセパレータは、加速されたグリッド腐食及び酸層化に対する防御を助けることにより、電池寿命を増加させ得る。
【0257】
特徴として:
・セレーション付きリブパターン
・低い水分損失特性
・より近接したリブピッチ
を挙げることができる
【0258】
利益として:
・改善された酸循環及び改良された酸混合(少ない酸層化)
・より低い酸置換
・より低い水分損失
・均等な板間隔、及び振動下での上方移動なし
・より近接したリブピッチによる均一な要素圧縮
を挙げることができる。
【0259】
選択された実施形態において、液式鉛酸電池及びシステム、これを含む車両又はデバイスが本明細書に記載されている。ある特定の選択された実施形態において、液式鉛酸電池は、互いに対して交互に配置及び間挿されている1以上の負極板及び1以上の正極板を含む電極アレイを含む。いくつかの実施形態において、負極板は、繊維状マットが巻き付けられ又はこれによってエンベロープされており、多孔質膜は、隣接する正極の周りに巻き付けられ又はエンベロープされている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、負極板に少なくとも部分的に一体化されており、多孔質膜は、繊維状マットが少なくとも部分的に一体化されている負極板の周り又は隣接する正極板の周囲でエンベロープされている。他の実施形態において、負極板は、リブを有する多孔質膜によってエンベロープされており、繊維状マットは、巻き付けられた負極板と負極板をエンベロープする多孔質膜との間に存在する。いくつかの実施形態において、正極板は、繊維状マットが巻き付けられ又はこれによってエンベロープされており、多孔質膜は、隣接する負極の周囲で巻き付けられ又はエンベロープされている。いくつかの実施形態において、繊維状マットは、正極板に少なくとも部分的に一体化されており、多孔質膜は、繊維状マットが少なくとも部分的に一体化されている正極板の周り又は隣接する負極板の周囲でエンベロープされている。他の実施形態において、正及び/又は負極板は、リブを有する多孔質膜によってエンベロープされており、繊維状マットは、巻き付けられた正及び/又は負極板と正及び/又は負極板をエンベロープする多孔質膜との間に存在する。ある特定の実施形態において、開示されているセパレータ、板、マット、膜、複合体マット及び膜、積層マット及び膜、巻き付けられた板、ポケット付板、巻き付けられたポケット付板、並びに/又は電池を利用する方法、システム、デバイス、並びに/又は車両も提供される。
【0260】
少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、上記を有する、鉛酸電池、特に、液式鉛酸電池、及び種々の鉛酸電池、例えば液式鉛酸電池又は強化型液式鉛酸電池用のセパレータを対象とする。少なくとも選択された実施形態によると、本開示又は発明は、新規又は改良されたセパレータ、セル、電池、並びに/又は、かかるセパレータ、セル、及び/若しくは電池を製造及び/若しくは使用する方法を対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータ、及び/又は、かかる改良されたセパレータを有するかかる電池の改良された使用方法を対象とする。かかる電池は、6ボルト(若しくは6V)又は12ボルト電池、12、18、24、30、36、42、又は48ボルトの電池群、24ボルト、36ボルト、48ボルト、60ボルト、72ボルト、又は84ボルト電池又は群、2つ以上の電池の直列配線された、並列配線された電池ストリングなどであってよい。かかる鉛酸電池は、1以上のコンデンサ、リチウム電池、燃料電池などと併用されてよい。かかる電池及び電池の組み合わせは、様々な例示的な用途において、例えば、車両、代替のエネルギー集積及び貯蔵、例えば、太陽及び風力エネルギー発電並びに他の再生可能及び/又は代替エネルギー源、インバータ、無停電電源(「UPS」)デバイスなどにおいて使用されるものにおいて使用されてよい。また、鉛酸電池において、活物質保持、電池寿命を改善する、電池故障を低減する、水分損失を低減する、酸化安定性を改良する、フロート電流を改良する、維持する、及び/若しくは低下させる、充電終了(EOC)電流を改良する、ディープサイクル電池を充電及び/若しくは完全に充電するのに必要とされる電流及び/若しくは電圧を減少させる、内部電気抵抗の増加を最小にする、電気抵抗を低下させる、湿潤性を増加させる、電解質によるウェットアウト時間を低下させる、電池形成時間を低減する、アンチモン中毒を低減する、酸層化を低減する、酸拡散を改良する、並びに/又は、均一性を改良するための方法、システム、並びに電池セパレータが本明細書において開示されている。少なくとも特定の実施形態によると、本開示又は発明は、改良された鉛酸電池用セパレータであって、1以上の改良された性能改善添加剤及び/又はコーティングを含む上記セパレータを対象とする。少なくともある特定の実施形態によると、開示されているセパレータは、例えば、原動機若しくは車両、並びに/又は定置式機械若しくは車両、例えばゴルフカート、フォークトラック、インバータ、再生可能なエネルギーシステム及び/若しくは代替のエネルギーシステム、ほんの一例として、太陽光発電システム及び風力発電システムにおける、ディープサイクル用途において有用であり;特に、開示されているセパレータは、ディープサイクル及び/又は部分充電状態の操作が電池寿命の部分となる電池システムにおいて、さらにより特定的には、添加剤及び/又は合金(例えば、アンチモン(Sb))が電池の寿命及び/若しくは性能を改善する、並びに/又は電池のディープサイクル及び/若しくは部分充電状態の操作能力を改善するために電池に添加されている電池システムにおいて有用である。
【0261】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されている、本明細書に記載されている具体的な組成物及び方法によって範囲が限定されるのではなく、機能的に等価であるいずれの組成物及び方法も特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に示され記載されているものに加えて、組成物及び方法の種々の変更が添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。さらに、本明細書において開示されているある特定の代表的な組成物及び方法ステップのみが具体的に記載されているが、かかる組成物及び方法ステップの他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。このように、ステップ、要素、構成要素、又は構成成分の組み合わせが本明細書又は以下に明確に言及されている場合があるが、ステップ、要素、構成要素、及び構成成分の他の組み合わせも、明確に記述されていなくても包含される。用語「含む(comprising)」及びその変形は、本明細書において使用されているとき、用語「含む(including)」及びその変形と同義的に使用されており、オープンな非限定用語である。用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、種々の実施形態を記載するために本明細書において使用されているが、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用されてよく、これらもまた開示されている。例におけるもの又は別途記述されている場合以外のものは、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている成分、反応条件などの量を表記する全ての数が、少なくともと理解されるべきであり、特許請求の範囲の等価物の原則の適用を限定する試みであるとして有効桁数及び通常の四捨五入の手法に照らして解釈されるべきではない。
【0262】
本発明は、その精神及び本質的特質から逸脱することなく他の形態で具現化されてよく、したがって、本発明の範囲を示すものとして、上記の明細書よりもむしろ添付の特許請求の範囲を参照すべきである。開示されている方法及びシステムを実施するために使用され得る構成要素が開示されている。これら及び他の構成要素は、本明細書に開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されているとき、これらのそれぞれ種々の個々の及び集合的な組み合わせ並びに並べ替えの具体的な参照が明確に開示されていない場合があるが、それぞれが全ての方法及びシステムについて本明細書において具体的に予期されかつ記載されていると理解されるべきである。このことは、限定されないが、開示されている方法におけるステップを含め、この出願の全ての態様に当てはまる。そのため、実施され得る様々な追加のステップが存在するとき、これらの追加のステップのそれぞれが、開示されている方法の任意の具体的な実施形態又は実施形態の組み合わせによって実施され得ることが理解される。
【0263】
構造及び方法の上記の説明は、説明のみの目的で提示されている。例は、最も良好な形態を含めた例示的な実施形態を開示し、また、いずれのデバイス又はシステムの作製及び使用並びにいずれの組み込まれる方法の実施も含めた本発明の実用も可能にするために使用される。これらの例は、排他的であること又は本発明を開示されている正確なステップ及び/若しくは形態に限定することは意図されておらず、上記の教示に照らして多くの変更及び変形が可能である。本明細書に記載されている特徴は、いずれの組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に記載されている方法のステップは、物理的に可能であるいずれのシーケンスにおいて実施されてもよい。本発明の特許可能な範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されており、当業者が思い浮かべる他の例を含んでいてよい。かかる他の例は、特許請求の範囲の逐語的な語と異ならない構造的要素を有しているとき、又は、特許請求の範囲の逐語的な語と非実質的差異を有する等価な構造的要素を含むとき、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0264】
添付の特許請求の範囲の組成物及び方法は、特許請求の範囲のいくつかの態様の例示として意図されている、本明細書に記載されている具体的な組成物及び方法によって範囲が限定されるのではない。機能的に等価であるいずれの組成物及び方法も特許請求の範囲内にあることが意図される。本明細書に示され記載されているものに加えて、組成物及び方法の種々の変更が添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。さらに、本明細書において開示されているある特定の代表的な組成物及び方法ステップのみが具体的に記載されているが、かかる組成物及び方法ステップの他の組み合わせも、具体的に列挙されていなくても、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。このように、ステップ、要素、構成要素、又は構成成分の組み合わせが本明細書又は以下に明確に言及されている場合があるが、ステップ、要素、構成要素、及び構成成分の他の組み合わせも、明確に記述されていなくても包含される。
【0265】
明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されているとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に示さない限り、複数形を含む。範囲は、「約」若しくは「およそ」1つの特定の値から、及び/又は「約」若しくは「およそ」別の特定の値までとして本明細書において表記されている場合がある。かかる範囲が表記されているとき、別の実施形態は、当該1つの特定の値から、及び/又は当該他の特定の値までを含む。同様に、値が、先行する「約」の使用によって近似値として表記されているとき、上記の特定の値が別の実施形態を形成すると理解されよう。範囲のそれぞれの終点は、他の終点と関係した、及び、他の終点から独立した両方において有意であることがさらに理解されよう。「任意選択的」又は「任意選択的に」は、続いて記載されている事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいこと、また、かかる記載が、かかる事象又は状況が起こる場合及び起こらない場合を包含することを意味する。
【0266】
上記の記載及び本明細書の特許請求の範囲を通して、語「含む(comprise)」及び当該語の変形、例えば「含む(comprising)」及び「含む(comprises)」は、「含むが限定されない」を意味し、例えば、他の添加剤、構成要素、整数、又はステップを排除することは意図していない。用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は、本発明のより具体的な実施形態を提供するために「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用されてよく、これらもまた開示されている。「例示的な」又は「例えば」は、「の例」を意味し、好ましい又は理想的な実施形態の指標を伝えることは意図していない。同様に、「例えば」は、制限的な感覚ではなく、説明的又は例示的な目的で使用される。
【0267】
記述されている場合以外のものは、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている幾何学的形状、寸法などを表記する全ての数が、少なくともと理解されるべきであり、特許請求の範囲の等価物の原則の適用を限定する試みであるとして有効桁数及び通常の四捨五入の手法に照らして解釈されるべきではない。
【0268】
別途定義されていない限り、本明細書において使用されている全ての技術的及び科学的用語は、開示されている発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において列挙されている公開公報及びこれらが列挙している材料は、参照により具体的に組み込まれる。
【0269】
加えて、本明細書に例示的に開示されている本発明は、好適には、本明細書に具体的に開示されていないいずれの要素の非存在下で実用されてもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B