(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】紙幣収納装置
(51)【国際特許分類】
G07D 11/237 20190101AFI20240412BHJP
G07D 11/12 20190101ALI20240412BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20240412BHJP
B65H 31/22 20060101ALI20240412BHJP
B65H 7/20 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
G07D11/237
G07D11/12
G07D11/26
B65H31/22
B65H7/20
(21)【出願番号】P 2021000589
(22)【出願日】2021-01-05
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和樹
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204220(JP,A)
【文献】特開2016-099844(JP,A)
【文献】実開昭59-091240(JP,U)
【文献】特開2005-276082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙幣の金種ごとに設けられた複数の紙幣収納部を有する紙幣収納庫と、
前記複数の紙幣収納部へつながり、紙幣が載置される搬送路と、
前記搬送路上に配置された複数の搬送ローラと、
自動モード及び手動モードのいずれか一方のモードに切り替える制御部と、
前記自動モードにおいて、前記複数の搬送ローラを回転させ、前記複数の紙幣収納部のうち前記搬送路上の前記紙幣の金種に応じた一の紙幣収納部へ前記紙幣を自動搬送する自動搬送機構と、
前記手動モードにおいて、手動操作により、前記複数の搬送ローラを回転させ、前記搬送路上の前記紙幣を前記複数の紙幣収納部のうち所定の紙幣収納部へ搬送する手動搬送機構と、
前記複数の紙幣収納部のそれぞれに搬送される紙幣を検出する紙幣収納検出部と
を備え、
前記制御部は、前記手動モードにおいて、前記自動搬送機構の動作を停止させ、前記所定の紙幣収納部に対応する前記紙幣収納検出部を継続して動作させる、紙幣収納装置。
【請求項2】
筐体と、前記筐体に対して着脱可能な紙幣搬送ユニットと、前記紙幣搬送ユニットの着脱を検出する第1着脱検出部とをさらに備え、
前記紙幣搬送ユニットは、前記紙幣収納庫、前記搬送路、前記搬送ローラ、前記自動搬送機構、前記手動搬送機構、前記制御部、前記紙幣収納検出部、及び前記第1着脱検出部を含み、
前記制御部は、前記第1着脱検出部において前記紙幣搬送ユニットが前記筐体から取り外されたことが検出された場合、前記モードを前記手動モードに切り替える、請求項1に記載の紙幣収納装置。
【請求項3】
報知部をさらに備え、
前記制御部は、前記手動モードにおいて、前記所定の紙幣収納部へ前記紙幣が搬送されたことが前記紙幣収納検出部で検出された場合、前記紙幣が前記所定の紙幣収納部へ収納されたことを示す手動収納情報を前記報知部に報知させる、請求項2に記載の紙幣収納装置。
【請求項4】
第2着脱検出部をさらに含み、
前記紙幣収納庫は、前記紙幣搬送ユニットに対して着脱可能であり、
前記第2着脱検出部は、前記紙幣収納庫の着脱を検出し、
前記制御部は、前記手動モードにおいて、前記紙幣収納庫が前記紙幣搬送ユニットに装着されていることが前記第2着脱検出部で検出され、前記紙幣収納検出部で前記紙幣の搬送が検出された場合、前記手動収納情報を前記報知部に報知させる、請求項3に記載の紙幣収納装置。
【請求項5】
前記紙幣収納庫は開口を有し、
前記所定の紙幣収納部は、前記紙幣搬送ユニットが前記筐体から取り外された状態において、前記開口から視認可能に設けられている、請求項4に記載の紙幣収納装置。
【請求項6】
切替部と、
前記紙幣の金種を判別する紙幣判別部と
をさらに備え、
前記搬送路は、前記所定の紙幣収納部につながる第1搬送路と、前記所定の紙幣収納部以外の他の紙幣収納部につながる第2搬送路とを含み、
前記切替部は、前記第1搬送路及び前記第2搬送路の分岐点に設けられ、
前記紙幣の搬送経路として、前記自動モードの場合、前記紙幣判別部で判別された金種に応じて、前記第1搬送路及び前記第2搬送路のいずれか一方の搬送路に切り替え、前記手動モードの場合、前記第1搬送路に切り替える、請求項1から5のいずれか一項に記載の紙幣収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙幣収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣を入出金する釣銭機等の紙幣収納装置においては、内部で紙幣が詰まり、搬送エラーが生じる場合がある。特許文献1に記載の紙幣収納装置は、搬送エラーが生じた際、紙幣収納装置に設けられたディスプレイに、紙幣詰まりが生じた搬送路上の位置や、紙幣の取り除き方法を表示させる。店員は、ディスプレイを見ながら紙幣を取り除き、搬送エラーを解除する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、紙幣収納装置には、金種ごとに紙幣を収納する紙幣収納部が設けられている。紙幣収納装置は、通常、紙幣が紙幣収納部に収納されると、紙幣収納部ごとに紙幣の枚数をカウントし、紙幣の合計額を集計する。紙幣詰まりが生じた際に搬送路を手動で動かして紙幣を取り除く際、詰まった紙幣が、その金種に対応しない紙幣収納部に収納されることがある。紙幣収納部に異なる金種の紙幣が混ざっていることに作業員が気づかない場合、集計された紙幣の額に齟齬が生じる恐れがある。
【0005】
本発明は、詰まった紙幣を取り除く作業時における紙幣の収納を作業員に気づかせ得る紙幣収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る紙幣収納装置は、紙幣収納庫、搬送路、複数の搬送ローラ、制御部、自動搬送機構、手動搬送機構、及び紙幣収納検出部を備える。紙幣収納庫は紙幣の金種ごとに設けられた複数の紙幣収納部を有する。搬送路は、複数の紙幣収納部へつながり、紙幣が載置される。複数の搬送ローラは搬送路上に配置される。制御部は自動モード及び手動モードのいずれか一方のモードに切り替える。自動搬送機構は、自動モードにおいて、複数の搬送ローラを回転させ、複数の紙幣収納部のうち搬送路上の紙幣の金種に応じた一の紙幣収納部へ紙幣を自動搬送する。手動搬送機構は手動モードにおいて手動操作により複数の搬送ローラを回転させ、搬送路上の紙幣を複数の紙幣収納部のうち所定の紙幣収納部へ搬送する。紙幣収納検出部は複数の紙幣収納部のそれぞれに搬送される紙幣を検出する。制御部は、手動モードにおいて自動搬送機構の動作を停止させ、所定の紙幣収納部に対応する紙幣収納検出部を継続して動作させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る紙幣収納装置によれば、詰まった紙幣を取り除く作業による紙幣の収納を作業員に気づかせ得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る紙幣収納装置の外観を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、
図1に示す紙幣搬送ユニットを筐体から引き出した状態の図である。
【
図2A】
図2Aは、紙幣搬送ユニットの概略断面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、紙幣収納装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、紙幣収納装置の手動モードにおける動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、実施形態に係る紙幣収納装置について説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1Aは、実施形態に係る紙幣収納装置1の外観を示す図である。紙幣収納装置1は、例えば、ガソリンスタンドに設置され、紙幣収納装置1の両サイド(X軸正方向及び負方向側)から紙幣が挿入されたり、紙幣を払い出したりする。
【0011】
図1Aに示すように、紙幣収納装置1は、筐体1aと紙幣搬送ユニット1bとを含む。
図1Bは、
図1に示す紙幣搬送ユニット1bを筐体1aから引き出した状態の図である。
図1A及び
図1Bに示すように、紙幣搬送ユニット1bは、筐体1aに対して着脱可能である。
【0012】
図2Aは、紙幣搬送ユニット1bの概略断面を示す模式図である。
図2Aにおいて、筐体1aの図示は省略されている。
【0013】
図2Aに示すように、紙幣搬送ユニット1bは、内側筐体10を有する。紙幣搬送ユニット1bは、内側筐体10のX軸方向の両サイドに、紙幣出入口11(11a、11b)を有する。紙幣搬送ユニット1bは、内側筐体10の内部に、紙幣搬送機構10aと、紙幣収納庫10bと、複数のセンサ(紙幣検出センサ30、紙幣判別センサ40、紙幣収納センサ50、本体装着センサ60、及び収納庫装着センサ70)と、制御装置100とを備える。以下、各構成について具体的に説明する。
【0014】
(紙幣搬送機構10a)
紙幣搬送機構10aは、紙幣が搬送される搬送路R1~R4と、搬送路R1~R4上に設けられた複数の搬送ローラ20と、搬送ローラ20を駆動する動力源200と、手動搬送ノブ300とを含む。
【0015】
動力源200は、例えばモータ(図示略)を含み、制御装置100の制御の下、搬送ローラ20を回転させる。動力源200は、自動搬送機構の一例である。
【0016】
手動搬送ノブ300は、作業員による回転操作に応じて搬送ローラ20を回転させる手動搬送機構の一例である。具体的には、手動搬送ノブ300は、第1回転方向の回転操作によって、動力源200に代わり、搬送路R3上の紙幣が紙幣収納庫10b側へと搬送されるように搬送ローラ20を回転させる。また、手動搬送ノブ300は、第1回転方向と反対の第2回転方向の回転操作によって、搬送路R3上の紙幣が紙幣出入口11a側へ搬送されるように搬送ローラ20を回転させる。
【0017】
搬送路R1及びR2は、紙幣出入口11a、11bにそれぞれつながっている。搬送路R3は搬送路R31を含み、搬送路R4は搬送路R41、R42を含む。搬送路R31は、搬送路R3の一部である。搬送路R4(R41、R42)は、搬送路R3上の分岐部P1、P2から分岐した分岐路である。搬送路R31、R41、R42はそれぞれ、紙幣収納庫10bにつながっている。搬送路R31は、第1搬送路の一例であり、搬送路R41及びR42は、第2搬送路の一例である。
【0018】
複数の搬送ローラ20の回転によって、搬送路R1~R4上を紙幣が搬送される。例えば、複数の搬送ローラ20のうちの一部の搬送ローラ20は、対向する従動ローラとの間に紙幣を挟み、紙幣を搬送する。また、他の搬送ローラ20は、紙幣を搬送路R1~R4上で摺動させながら、紙幣を搬送する。
【0019】
紙幣搬送機構10aは、分岐部P0においてガイド機構12を備える。分岐部P0は、搬送路R1又は搬送路R2から搬送路R3へ分岐する部分である。ガイド機構12は、例えばソレノイド又はモーターを含む。ガイド機構12は、制御装置100の制御の下、紙幣出入口11aから挿入される紙幣を搬送路R1から搬送路R3へ案内したり、紙幣出入口11bから挿入される紙幣を搬送路R2から搬送路R3へ案内したりする。
【0020】
紙幣搬送機構10aは、分岐部P1、P2ごとに経路切替機構13(切替部の一例)を有する。経路切替機構13は、分岐部P1、P2において揺動可能に支持された切替部材と、切替部材の姿勢を変化させるアクチュエータとを含む。経路切替機構13は、制御装置100の制御の下、アクチュエータにより切替部材の姿勢を変化させ、搬送路R3から搬送路R31、R41、R42のいずれかへ紙幣を案内する。切替部材は、アクチュエータによって、搬送路R3から搬送路R41又はR42へつながる経路を形成する姿勢、及び、搬送路R3から搬送路R41及びR42へ向かう経路を塞ぐ姿勢のいずれか一方の姿勢に制御される。本実施形態において、搬送路R41、搬送路R42、及び搬送路R31に案内される紙幣はそれぞれ、例えば千円札、5千円札、1万円札である。つまり、経路切替機構13は、挿入された紙幣の金種に応じて、紙幣を案内する経路を切り替える。
【0021】
(紙幣収納庫10b)
紙幣収納庫10bは、紙幣収納部14~16とキャビネット17とを有する。紙幣収納部14~16は、キャビネット17の内部が金種ごとに分割されることによって形成されている。紙幣収納部14は、搬送路R41とつながり、搬送路R41に案内された紙幣を収納する。紙幣収納部15は、搬送路R42とつながり、搬送路R42に案内された紙幣を収納する。紙幣収納部16は、搬送路R31とつながり、搬送路R31に案内された紙幣を収納する。
【0022】
図2Bは、
図2Aに示すキャビネット17の上面部分を拡大した図である。すなわち、
図2Bは、
図2Aに示すキャビネット17における紙幣収納部16側の面を拡大した図である。
図2Bに示すように、キャビネット17の上面には開口部17aが形成されている。紙幣搬送ユニット1bが筐体1aから取り外された状態(
図1B)において、作業員は、キャビネット17の開口部17aから紙幣収納部16の内部や紙幣収納部16へ通じる搬送路の一部を視認できる。
【0023】
本実施形態において、紙幣収納庫10bは、内側筐体10に対して着脱可能である。紙幣搬送ユニット1bにおいて紙幣詰まりが生じた場合、作業員は、紙幣収納庫10bを内側筐体10から取り外し、詰まった紙幣を紙幣搬送ユニット1bから取り除く。
【0024】
(センサ)
紙幣検出センサ30は、内側筐体10内において、搬送路R1の紙幣出入口11a側と、搬送路R2の紙幣出入口11b側にそれぞれ配置されている。紙幣検出センサ30は、例えば光センサを含み、光センサから出射した光の光量の変化を検出する。紙幣検出センサ30は、紙幣出入口11a、11bから挿入される紙幣が光路を遮ることによる光量の変化によって紙幣が挿入されたか否かを検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
【0025】
紙幣判別センサ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサを含む。紙幣判別センサ40は、搬送路R3上に搬送される紙幣を撮像し、撮像結果を制御装置100へ出力する。
【0026】
紙幣収納センサ50(紙幣検出部の一例)は、例えば、光センサを含み、光センサから出射した光の光量の変化を検出する。紙幣収納センサ50は、搬送路R31、R41、R42上の紙幣収納部14~16近傍に配置される。紙幣収納センサ50は、搬送された紙幣によって光路が遮られることによる光量の変化に基づいて、紙幣収納部14~16のそれぞれに紙幣が搬送されたことを検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
【0027】
本体装着センサ60(第1着脱検出部の一例)は、近接センサ又はマイクロスイッチ等を含む。本体装着センサ60は、筐体1aに対する紙幣搬送ユニット1bの着脱を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
【0028】
収納庫装着センサ70(第2着脱検出部の一例)は、近接センサ又はマイクロスイッチ等を含む。収納庫装着センサ70は、内側筐体10に対する紙幣収納庫10bの着脱を検出し、検出結果を制御装置100へ出力する。
【0029】
なお、本体装着センサ60及び収納庫装着センサ70が設けられる位置は、
図2Aに示す位置に限定されない。本体装着センサ60は、筐体1aと紙幣搬送ユニット1bとの接触を検出できる位置に設けられていればよい。また、収納庫装着センサ70は、内側筐体10と収納庫装着センサ70との接触を検出できる位置に設けられていればよい。
【0030】
紙幣収納装置1の構成について
図3を用いてさらに説明する。
図3は、紙幣収納装置1の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、紙幣収納装置1は、報知部400をさらに備える。
【0031】
(報知部400)
報知部400は、表示部410と音声出力部420とを含む。表示部410は、ディスプレイを含み、制御装置100の制御の下、画像を表示する。音声出力部420は、スピーカを含み、制御装置100の制御の下、音声を出力する。なお、報知部400は、制御装置100と電気的に接続されていればよく、筐体1a及び紙幣搬送ユニット1bと別体として設けられていてもよい。
【0032】
(制御装置100)
制御装置100(制御部の一例)は、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサとメモリ(ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory))とを含む。制御装置100は、ROMに記憶された制御プログラムをCPUが実行することにより、制御装置100と電気的に接続された各部の動作を制御する。
【0033】
制御装置100は、本体装着センサ60の検出結果に基づいて、自動モード及び手動モードのいずれか一方のモードに切り替える。自動モードは、動力源200によって紙幣を搬送するモードであり、手動モードは、作業員が手動搬送ノブ300を回転させて紙幣を搬送するモードである。制御装置100は、搬送路R3上で紙幣詰まりが生じた場合において、作業員によって紙幣搬送ユニット1bが筐体1aから引き出された場合、自動モードから手動モードへ切り替える。
【0034】
自動モードにおいて、制御装置100は、電気的に接続された各部を動作させ、紙幣収納センサ50の検出結果に基づいて、紙幣収納部14~16に収納された紙幣をカウントしてメモリに記憶する。つまり、自動モードの場合、紙幣検出センサ30において、紙幣の挿入が検出された場合、制御装置100は、ガイド機構12及び動力源200を動作させ、挿入された紙幣を搬送路R3へ案内する。制御装置100は、紙幣判別センサ40から出力された撮像結果と、ROMに予め記憶された金種ごとのパターン画像とを照合して判別した金種に応じて、経路切替機構13により紙幣を搬送する経路を切り替える。制御装置100は、紙幣収納部14~16に対応する各紙幣収納センサ50の検出結果に基づいて、紙幣収納部14~16に収納された紙幣をカウントする。
【0035】
手動モードの場合、制御装置100は、経路切替機構13を制御して、搬送路R3から搬送路R41及びR42への経路を遮断し、搬送路R3から搬送路R31への経路のみを形成する。さらに、制御装置100は、ガイド機構12、動力源200、紙幣検出センサ30、及び紙幣判別センサ40の動作を停止させる。つまり、手動モードの場合、紙幣収納装置1は、手動搬送ノブ300の回転に応じて、紙幣の金種に関わらず全て搬送路R31に紙幣を案内し、紙幣収納部16に紙幣を収納する。
【0036】
制御装置100は、手動モードにおいて、紙幣収納庫10bが装着状態であることが収納庫装着センサ70で検出されている場合、紙幣収納部16に紙幣が収納されたことを示す手動収納情報を報知部400に報知させる。一方、手動モードにおいて、紙幣収納庫10bが内側筐体10に装着されていない場合、詰まった紙幣は紙幣収納部16へ収納されない。この場合、制御装置100は、紙幣収納センサ50において遮光の変化を検出しても、その検出結果を無効とし、報知部400による報知は行わない。
【0037】
なお、手動モードの場合、紙幣収納センサ50において光量の変化を検出しても、制御装置100は、その検出結果を紙幣収納部16に収納される紙幣のカウントに用いない。手動で紙幣収納部16へ収納された紙幣が1万円札以外の他の金種である場合、収納された紙幣をカウントすることにより金額齟齬が生じる。そのため、手動モードにおける紙幣収納センサ50の検出結果は紙幣のカウントに用いられず、無効とされる。
【0038】
(動作)
図4は、紙幣収納装置1の手動モードにおける動作を示すフロー図である。以下、
図1A~
図4を参照して紙幣収納装置1の動作について説明する。
【0039】
紙幣収納装置1は、本体装着センサ60により、紙幣搬送ユニット1bが筐体1aから引き出されたことが検出されると(ステップS1:YES)、制御装置100により自動モードから手動モードに切り替える(ステップS2)。具体的には、制御装置100は、経路切替機構13により、搬送路R3から搬送路R41及びR42への経路を遮断し、ガイド機構12、動力源200、紙幣検出センサ30、及び紙幣判別センサ40の動作を停止させる。
【0040】
作業員は、手動搬送ノブ300を第1回転方向に回転させ、搬送路R3上の紙幣を搬送路R31へ搬送する。紙幣収納装置1は、紙幣収納部16に向かって紙幣が搬送され(ステップS3:YES)、紙幣収納庫10bが装着状態である場合(ステップS4:YES)、制御装置100により、手動収納情報を報知部400に報知させる(ステップS5)。すなわち、制御装置100は、紙幣収納部16に対応する紙幣収納センサ50に入射する光量が閾値以下である場合に紙幣収納部16に紙幣が搬送されたと判断する。また、制御装置100は、収納庫装着センサ70において紙幣収納庫10bが装着された状態であることが検出された場合に紙幣収納庫10bが装着状態であると判断する。報知部400は、例えば、手動収納情報として、紙幣収納部16へ紙幣が収納されたことを示す画像を表示部410に表示してもよいし、紙幣収納部16へ紙幣が収納されたことを示す音声を音声出力部420から出力してもよい。
【0041】
そして、紙幣収納装置1は、制御装置100において、紙幣収納部16に対する紙幣のカウントを停止し、紙幣収納部16に対応する紙幣収納センサ50からの検出結果を無効とする(ステップS6)。
【0042】
なお、ステップS1において、紙幣搬送ユニット1bが筐体1aから引き出されたことが検出されなければ(ステップS1:NO)、制御装置100は、自動モードを継続する。また、制御装置100は、ステップS3において、紙幣収納部16に対応する紙幣収納センサ50により、紙幣収納部16に紙幣が収納されたことが検出されなければ(ステップS3:NO)、手動モードに切り替えた状態で待機する。また、制御装置100は、ステップS4において、紙幣収納庫10bが装着状態でない場合(ステップ4:NO)すなわち、収納庫装着センサ70によって紙幣収納庫10bが取り出されたことが検出された場合、ステップS6の処理を行う。
【0043】
実施形態における紙幣収納装置1は、手動モードにおいて、紙幣収納センサ50を継続して動作させ、紙幣収納センサ50の検出結果を基に紙幣が収納されたことを報知する。そのため、作業員は、手動操作によって紙幣が紙幣収納部16へ収納されたことを認識するとともに、収納された紙幣を紙幣収納部16から容易に取り除くことができる。そのため、金種が異なる紙幣が紙幣収納部16に混ざることが防止され、紙幣収納部16に収納された紙幣の金額の齟齬が生じにくい。また、紙幣収納装置1は、手動モードで検出される紙幣収納センサ50の検出結果を紙幣のカウントに用いないため、紙幣収納部16に収納された紙幣がより正確に集計される。
【0044】
また、手動モードにおいて、詰まった紙幣は、紙幣搬送ユニット1bの上面側に設けられた紙幣収納部16に収納される。紙幣収納庫10bの上面の一部は開口されているため、作業員は、紙幣収納庫10bが装着された状態で、紙幣収納部16に収納された紙幣を容易に確認することができる。
【0045】
以上、図面(
図1~
図4)を参照して本発明に係る紙幣収納装置の実施形態について説明した。但し、紙幣収納装置は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0046】
[変形例]
(1)実施形態では、紙幣搬送ユニット1bにおいて紙幣収納庫10bが着脱可能であるが、紙幣収納庫10bは紙幣搬送ユニット1bに固定されていてもよい。
【0047】
(2)実施形態では、紙幣収納庫10bは、3種類の金種に対応する3つの紙幣収納部を有するが、紙幣収納部の数はこれに限定されない。要は、紙幣収納庫10bは、少なくとも2種類以上の金種に対応する2つ以上の紙幣収納部を有していればよい。
【0048】
(3)実施形態では、手動モードにおいて、紙幣収納部16へ紙幣を搬送したが、紙幣収納部14又は15へ紙幣を搬送してもよい。要は、手動モードの場合、紙幣収納庫10bの紙幣収納部のうち、予め定められた一の紙幣収納部へ紙幣が搬送されればよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、紙幣の入出金を行う釣銭機等に利用できる。
【符号の説明】
【0050】
1 紙幣収納装置
1a 筐体
1b 紙幣搬送ユニット
10 内側筐体
10a 紙幣搬送機構
10b 紙幣収納庫
13 経路切替機構
14~16 紙幣収納部
20 搬送ローラ
40 紙幣判別センサ
50 紙幣収納センサ
60 本体装着センサ
70 収納庫装着センサ
100 制御装置
200 動力源
300 手動搬送ノブ
400 報知部
410 表示部
420 音声出力部
R1~R4 搬送路