(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】作業車および自動走行制御システム
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240412BHJP
G05D 1/24 20240101ALI20240412BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
G05D1/24
A01B69/00 303J
(21)【出願番号】P 2021109020
(22)【出願日】2021-06-30
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】大久保 樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐樹
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-031568(JP,A)
【文献】特開2016-170523(JP,A)
【文献】特開2018-041359(JP,A)
【文献】特開2019-110790(JP,A)
【文献】特開昭62-163617(JP,A)
【文献】特開2017-174229(JP,A)
【文献】特開2020-087196(JP,A)
【文献】特開2022-085678(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0144702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回走行を挟んで目標走行経路に沿った往復走行を繰り返すことにより圃場内を自動作業走行する作業車であって、
機体の位置を算出する位置算出部と、
前記機体の走行を制御する走行制御部と、
前記機体の状態を判定する判定部とを備え、
前記走行制御部は、
前記旋回走行中に前記機体の状態が所定の状態となると、前記機体を停止させた後に前記機体を後進させ、再度旋回を行う旋回リトライを行わせ、
前記機体が前記目標走行経路から所定の第1距離以上離れた場合に、前記機体を停止させる停止機能を実行させ、
前記旋回リトライに続いて行われる前記往復走行において、前記目標走行経路の始端部から所定の第2距離までの間、および、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後所定の時間の間の少なくともいずれかにおいては、前記停止機能を無効にする作業車。
【請求項2】
前記旋回走行の直前に前記往復走行を行った前記目標走行経路の終端部および前記始端部の中点と前記旋回走行中の前記機体の位置との距離を旋回半径として、
前記所定の状態は、前記旋回走行中の前記旋回半径が所定の第3距離以上となった状態である請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記走行制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路の前記始端部から前記第2距離だけ走行した後は、前記停止機能を有効にする請求項1または2に記載の作業車。
【請求項4】
前記走行制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後に前記時間が経過した後は、前記停止機能を有効にする請求項1または2に記載の作業車。
【請求項5】
前記旋回リトライにおける前記機体の後進は所定の第4距離だけ行われる請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記旋回リトライにおいて、前記機体の停止後、所定の待機時間が経過した後に前記機体の後進が行われる請求項1から5のいずれか一項に記載の作業車。
【請求項7】
機体の位置に基づいて、旋回走行を挟んで目標走行経路に沿った往復走行を繰り返すことにより圃場内を自動作業走行する作業車の自動走行制御システムであって、
前記機体の位置を含む情報を取得する通信部と、
制御部とを備え、
前記作業車は、前記旋回走行中に前記機体の状態が所定の状態となると、前記機体を停止した後に後進し、再度旋回を行う旋回リトライを行い、
前記制御部は、
前記機体が前記目標走行経路から所定の第1距離以上離れた場合に、前記機体を停止させる停止機能を実行させ、
前記旋回リトライに続いて行われる前記往復走行において、前記目標走行経路の前記往復走行の始端部から所定の第2距離までの間、および、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後所定の時間の間の少なくともいずれかにおいては、前記停止機能を無効にする自動走行制御システム。
【請求項8】
前記旋回走行の直前に前記往復走行を行った前記目標走行経路の終端部および前記始端部の中点と前記旋回走行中の前記機体の位置との距離を旋回半径として、
前記所定の状態は、前記旋回走行中の前記旋回半径が所定の第3距離以上となった状態である請求項7に記載の自動走行制御システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路の前記始端部から前記第2距離だけ走行した後は、前記停止機能を有効にする請求項7または8に記載の自動走行制御システム。
【請求項10】
前記制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後に前記時間が経過した後は、前記停止機能を有効にする請求項7または8に記載の自動走行制御システム。
【請求項11】
前記旋回リトライにおける前記機体の後進は所定の第4距離だけ行われる請求項7から10のいずれか一項に記載の自動走行制御システム。
【請求項12】
前記旋回リトライにおいて、前記機体の停止後、所定の待機時間が経過した後に前記機体の後進が行われる請求項7から11のいずれか一項に記載の自動走行制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場を自動走行する作業車、および作業車の自動走行制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、作業車は、圃場において、旋回走行を挟む往復走行を繰り返して作業走行を行う。自動走行により作業走行を行う際には、目標走行経路に沿って往復走行が行われる。旋回走行は、次の目標走行経路に向けて移動するように、あらかじめ設定された走行手順に沿って行われる。
【0003】
自動走行による往復走行の際には、機体が目標走行経路に沿って走行することが維持されるように、機体が目標走行経路から所定の距離以上離れると、安全機能によって自動走行が停止される。
【0004】
また、旋回走行において、適切な旋回ができていない状態になると、機体を後進させた後に再度旋回走行を行う旋回リトライが行われる。例えば、旋回リトライは、想定される旋回経路から大きく外れた場合に行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、旋回リトライが行われると、適切に次の目標走行経路の走行始端部に移動することができない場合があり、目標走行経路からずれた位置から往復走行が開始される場合がある。目標走行経路からのずれ量が所定の距離以上であると、往復走行が開始されたとたん、自動走行が停止されることになる。自動走行が停止されると、再度自動走行を開始するための操作が必要となり、著しく作業効率が低下する。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するために、旋回リトライが行われても、作業効率の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る作業車は、旋回走行を挟んで目標走行経路に沿った往復走行を繰り返すことにより圃場内を自動作業走行する作業車であって、機体の位置を算出する位置算出部と、前記機体の走行を制御する走行制御部と、前記機体の状態を判定する判定部とを備え、前記走行制御部は、前記旋回走行中に前記機体の状態が所定の状態となると、前記機体を停止させた後に前記機体を後進させ、再度旋回を行う旋回リトライを行わせ、前記機体が前記目標走行経路から所定の第1距離以上離れた場合に、前記機体を停止させる停止機能を実行させ、前記旋回リトライに続いて行われる前記往復走行において、前記目標走行経路の始端部から所定の第2距離までの間、および、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後所定の時間(無効時間)の間の少なくともいずれかにおいては、前記停止機能を無効にする。
【0009】
さらに、本発明の一実施形態に係る自動走行制御システムは、機体の位置に基づいて、旋回走行を挟んで目標走行経路に沿った往復走行を繰り返すことにより圃場内を自動作業走行する作業車の自動走行制御システムであって、前記機体の位置を含む情報を取得する通信部と、制御部とを備え、前記作業車は、前記旋回走行中に前記機体の状態が所定の状態となると、前記機体を停止した後に後進し、再度旋回を行う旋回リトライを行い、前記制御部は、前記機体が前記目標走行経路から所定の第1距離以上離れた場合に、前記機体を停止させる停止機能を実行させ、前記旋回リトライに続いて行われる前記往復走行において、前記目標走行経路の前記往復走行の始端部から所定の第2距離までの間、および、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後所定の時間(無効時間)の間の少なくともいずれかにおいては、前記停止機能を無効にする。
【0010】
目標走行経路を自動走行で往復走行する際には、機体が目標走行経路から所定の第1距離以上離れると機体を停止させる停止機能が実行される。また、旋回走行において旋回リトライが行われると、旋回終了位置が当初目標にしていた位置からずれることがあり、適切に次の目標走行経路の始端部の近傍に近づかない場合がある。旋回終了位置が大きくずれ、目標走行経路の始端部から第1距離以上離れた状態で、目標走行経路に沿った往復走行が開始されると、停止機能により、往復走行の開始と共に機体が停止されることになる。
【0011】
一方、機体が目標走行経路から離れていても、自動制御により、機体が目標走行経路に近づくように制御され、往復走行の開始時であれば、機体が目標走行経路から離れていることによるデメリットは最小限である。逆に、機体を停止させることによる作業効率の低下の方が問題になることが多い。
【0012】
そのため、旋回リトライが行われた直後の目標走行経路での往復走行の開始時には停止機能を無効とすることにより、旋回リトライが行われても、作業効率の低下を抑制することが可能となる。
【0013】
また、前記旋回走行の直前に前記往復走行を行った前記目標走行経路の終端部および前記始端部の中点と前記旋回走行中の前記機体の位置との距離を旋回半径として、前記所定の状態は、前記旋回走行中の前記旋回半径が所定の第3距離以上となった状態であっても良い。
【0014】
このような構成により、旋回リトライが必要な状態を容易に判定することができる。
【0015】
また、前記走行制御部または前記制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路の前記始端部から前記第2距離だけ走行した後は、前記停止機能を有効にしても良い。
【0016】
また、前記走行制御部または前記制御部は、前記停止機能を無効にした状態で、前記目標走行経路での前記往復走行の開始後に前記時間が経過した後は、前記停止機能を有効にしても良い。
【0017】
これらのような構成により、往復走行の開始時にのみに停止機能を無効とし、所定の距離だけ走行した後または所定の時間(無効時間)の経過後は停止機能を有効とすることにより、作業効率の低下が抑制されながら、目標走行経路から機体が大きく外れて、適切な作業走行が困難となる状況が抑制される。
【0018】
また、前記走行制御部または前記制御部は、前記旋回リトライにおける前記機体の後進は所定の第4距離だけ行われても良い。
【0019】
このような構成により、安定して旋回リトライを行うことができ、その後の目標走行経路に沿った往復走行を容易に行うことができる。
【0020】
また、前記旋回リトライにおいて、前記機体の停止後、所定の待機時間が経過した後に前記機体の後進が行われても良い。
【0021】
旋回リトライの際に、状態を確認し、旋回リトライを行うか、一旦走行を停止するか等の検討を行う余地が生じ、より適切な作業走行の継続に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】目標走行経路を逸脱した状態を説明する概略図である。
【
図5】自動走行を制御する制御ユニットの機能ブロックを例示する図である。
【
図6】旋回リトライと停止機能無効処理とを説明する概略図である。
【
図7】停止機能無効処理の処理フローを例示する図である。
【
図8】畦に接近した際の旋回リトライを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の作業車として、圃場を作業走行する田植機を例に説明する。
【0024】
ここで、理解を容易にするために、本実施形態では、特に断りがない限り、「前」(
図1に示す矢印Fの方向)は機体前後方向(走行方向)における前方を意味し、「後」(
図1に示す矢印Bの方向)は機体前後方向(走行方向)における後方を意味するものとする。また、左右方向または横方向は、機体前後方向に直交する機体横断方向(機体幅方向)を意味し、「左」は
図1における紙面の手前の方向、「右」は
図1における紙面の奥向きの方向を意味するものとする。
【0025】
〔全体構造〕
図1に示すように、田植機は、乗用型で四輪駆動形式の機体1を備える。機体1は、機体1の後部に昇降揺動可能に連結された平行四連リンク形式のリンク機構13、リンク機構13を揺動駆動する油圧式の昇降リンク13a、リンク機構13の後端部領域にローリング可能に連結される苗植付装置3、および、機体1の後端部領域から苗植付装置3にわたって架設されている施肥装置4等を備える。
【0026】
機体1は、走行のための機構として車輪12、エンジン2、および主変速装置である油圧式の無段変速装置9を備える。無段変速装置9は、例えばHST(Hydro-Static Transmission:静油圧式無段変速装置)であり、モータ斜板およびポンプ斜板の角度を調節することにより、エンジン2から出力される動力(回転数)を変速する。車輪12は、操舵可能な左右の前輪12Aと、操舵不能な左右の後輪12Bとを有する。エンジン2から出力される動力は、走行用伝達機構を介して無段変速装置9に伝えられ、無段変速装置9から前輪12A、後輪12B、作業装置等にも伝達される。エンジン2および無段変速装置9は、機体1の前部に搭載される。
【0027】
苗植付装置3は、一例として8条植え形式に構成される。苗植付装置3は、苗載せ台21、8条分の植付機構22等を備える。なお、この苗植付装置3は、図示されていない各条クラッチの制御により、2条植え、4条植え、6条植え等の形式に変更可能である。
【0028】
苗載せ台21は、8条分のマット状苗を載置する台座である。苗載せ台21は、マット状苗の左右幅に対応する一定ストロークで左右方向に往復移動し、苗載せ台21が左右のストローク端に達するごとに、苗載せ台21上の各マット状苗を苗載せ台21の下端に向けて所定ピッチで縦送りする。8個の植付機構22は、ロータリ式で、植え付け条間に対応する一定間隔で左右方向に配置される。そして、各植付機構22は、植付クラッチ(図示せず)が伝動状態に移行されることによりエンジン2から動力が伝達され、苗載せ台21に載置された各マット状苗の下端から一株分の苗(植付苗)を切り取って、整地後の泥土部に植え付ける。これにより、苗植付装置3の作動状態では、苗載せ台21に載置されたマット状苗から苗を取り出して水田の泥土部に植え付けることができる。
【0029】
施肥装置4(供給装置)は、粒状または粉状の肥料(薬剤やその他の農用資材)を貯留するホッパ25(貯留部)と、ホッパ25から肥料を繰り出す繰出機構26と、繰出機構26によって繰出された肥料を搬送すると共に肥料を圃場に排出する施肥ホース28とを有する。ホッパ25に貯留された肥料が、繰出機構26によって所定量ずつ繰り出されて施肥ホース28へ送られて、ブロワ27の搬送風によって施肥ホース28内を搬送され、作溝器29から圃場へ排出される。このように、施肥装置4は圃場に肥料を供給する。
【0030】
作溝器29は、整地フロート15に配備される。そして、各作溝器29は、各整地フロート15と共に昇降し、各整地フロート15が接地する作業走行時に、水田の泥土部に施肥溝を形成して肥料を施肥溝内に案内する。
【0031】
また、機体1はマーカ19を備える。マーカ19は機体1の両横側にそれぞれ設けられる。左右のマーカ19は、それぞれ、機体1から横外向きに突出することができる態様で機体1に支持される。マーカ19は、手動走行の際に走行の目印を圃場に付与することができる。
【0032】
図1に示すように、機体1は、その後部側領域に運転部14を備える。運転部14は、前輪操舵用のステアリングホイール10、無段変速装置9の変速操作を行うことで車速を調節する主変速レバー7A、副変速装置の変速操作を可能にする副変速レバー7B、苗植付装置3の昇降操作と作動状態の切り換え等を可能にする作業操作レバー11、各種の情報を表示(報知)してオペレータに報知(出力)すると共に、各種の情報の入力を受け付けるタッチパネルを有し、着脱可能な情報端末5、および、オペレータ(運転者・作業者)用の運転座席16等を備える。副変速レバー7Bは、走行車速を、作業中の作業速と移動中の移動速とに切り替える操作に用いられる。例えば、圃場間の移動は移動速で行われ、植付作業等は作業速で行われる。さらに、運転部14の前方に、予備苗を収容する予備苗収納装置17Aが予備苗支持フレーム17に支持される。
【0033】
さらに、機体1は測位ユニット8を備える。測位ユニット8は、機体1の位置および方位を算出するための測位データを出力する。測位ユニット8には、全地球航法衛星システム(GNSS)の衛星からの電波を受信する衛星測位モジュール8Aと、機体1の三軸の傾きや加速度を検出する慣性計測モジュール8Bが含まれている。測位ユニット8は、予備苗支持フレーム17の上部に支持される。
【0034】
〔自動走行〕
自動走行により、田植機が圃場に苗植付作業を行う作業走行について
図1を参照しながら、
図2~
図4を用いて説明する。
【0035】
本実施形態における田植機は、手動走行および自動走行を選択的に行うことができる。手動走行(手動作業走行)と自動走行(自動作業走行)とは、運転部14に配置される自動・手動切替スイッチ(図示せず)を切り替えることにより選択される。手動走行は、運転者が手動で、ステアリングホイール10、主変速レバー7A、副変速レバー7B、作業操作レバー11等の操作具40(
図5参照)を操作して作業走行を行うものである。自動走行は、あらかじめ設定された目標走行経路に沿って、田植機が自動制御で走行および作業を行うものである。
【0036】
田植機が苗植付作業を行う際には、まず、圃場の外周(外縁)に沿って、運転者が手動操作で、作業を行わずに田植機を走行させる。この外周走行によって、圃場の外周形状(圃場マップ)が生成され、圃場が外周領域OAと内部領域IAに区分けされる。
【0037】
圃場マップが生成されると、田植機が作業走行を行う目標走行経路が設定される。内部領域IAでは、目標走行経路として、圃場の一つの辺に略平行な複数の経路である内部往復経路IPLが生成される。内部往復経路IPLは、内部領域IAの全体をくまなく作業走行する走行経路である。自動作業走行は内部往復経路IPLに沿って行われる。内部往復経路IPLを繋ぐ旋回走行は、あらかじめ定められた手法により自動走行で行われる。
【0038】
外周領域OAでは、圃場の外周(外縁)に沿って外周領域OA内を周回する、内側周回経路IRLと外側周回経路ORLの2つの走行経路が生成される。内側周回経路IRLと外側周回経路ORLとを作業走行することにより、外周領域OAの全体の作業走行が行われる。内側周回経路IRLは自動作業走行または手動作業走行で作業走行が行われ、外側周回経路ORLは手動作業走行で作業走行が行われる。
【0039】
図3に示すように、内部往復経路IPL1から次の内部往復経路IPL2に移動する際には、一定の180°の旋回走行が自動制御によって行われる。旋回走行は、内部領域IAの内部往復経路IPL1の終端部EPまで走行された後、外周領域OAにて行われる。旋回走行は、内部往復経路IPL1の終端部EPまで走行されると、前進走行が行われながら、まず、前輪12Aが最大限に操舵されて最小の旋回半径rで旋回が行われる(旋回状態C1)。この状態で旋回角度αが所定の第1角度αC1まで旋回走行が行われると、前輪12Aの操舵角度が所定の角度戻されて、最小の旋回半径rより大きな旋回半径rで旋回走行が行われる(旋回状態C2)。この状態で、旋回角度αが第1角度αC1より大きな第2角度αC2(残りの旋回走行の角度が第3角度αC3=180°-第2角度αC2)になると、内部往復経路IPL2の始端部SPに向けて操舵角度が調整されながら旋回走行が行われる(旋回状態C3)。例えば、旋回状態C3では、基準となる旋回半径rが設定され、機体1が基準となる旋回半径rとなるように制御される。そして、機体1が内部領域IAに到達すると、内部往復経路IPL2に沿った自動作業走行(往復走行)が行われる。
【0040】
図4に示すように、内部往復経路IPLに沿った自動作業走行中には、内部往復経路IPLと機体1の位置情報に基づいて、内部往復経路(目標走行経路)IPLに対する機体1の位置ずれ量d1が検出される。そして、位置ずれ量d1が小さくなるように操舵制御が行われることにより、内部往復経路IPLに沿った自動作業走行が実施される。ここで、位置ずれ量d1は内部往復経路IPLに対する、内部往復経路IPLと直行する方向における機体1までの距離、例えば、機体1の重心までの距離である。また、機体1の位置情報は、測位ユニット8が出力する測位データから算出される。ここで、位置ずれ量d1に加えて、別途算出される内部往復経路IPLに対する機体1の走行方位のずれ量である方位ずれ量に基づいて内部往復経路IPLに沿った自動作業走行が制御されても良い。なお、旋回走行時および内部往復経路IPLの始端部SP(
図3参照)においては、方位ずれ量に基づく制御が行われない構成としても良い。
【0041】
内部往復経路IPLに沿った自動作業走行は位置ずれ量d1が小さくなるように制御されるため、位置ずれ量d1が大きくなりすぎると、機体1を内部往復経路IPLに戻すことが困難となり、手動走行等により内部往復経路IPLに戻す必要がる場合がある。また、位置ずれ量d1が大きいと、作業領域がずれて、苗が植え付けられない領域や重複して苗が植え付けられた領域等が生じ、適切な作業が行われない場合もある。そのため、検出された位置ずれ量d1があらかじめ定められた所定の大きさ(「第1距離」に相当)以上である場合、機体1が停止される停止機能が実行される。機体1の停止は、走行または自動制御(自動走行・自動運転)が停止されることにより行われる。機体1が停止された後は、手動走行により適切な位置に機体1を移動させ、走行を再開させる。このような制御が行われることにより、機体1が内部往復経路IPLに沿うことが困難となったり、不適切な作業が行われたりすることが抑制される。
【0042】
[制御構成]
次に、田植機の自動走行を制御する制御ユニット6について、
図1,
図2を参照しながら、
図3,
図5を用いて説明する。
【0043】
制御ユニット6は、位置算出部41と、経路算出部42と、作業制御部44と、記憶部46と、走行制御部30とを備える。また、制御ユニット6は、測位ユニット8、エンジン2、車輪12、作業装置W、および操作具40と、互いにデータ通信が可能な態様で接続される。制御ユニット6は、これらから各種の情報を受け取り、これらに対する制御信号を送信できる。作業装置Wは、苗植付装置3や施肥装置4等が含まれ、各種の作業を行う。操作具40は、主変速レバー7A、副変速レバー7B、ステアリングホイール10、作業操作レバー11等を含み、田植機に係る各種の操作を行うことができる。
【0044】
制御ユニット6は、CPU等のプロセッサにより制御されるECU等の制御装置である。制御ユニット6は、機体1または情報端末5、あるいは機外の管理コンピュータ等に設けられる。
【0045】
位置算出部41は、測位ユニット8が出力する測位データに基づいて、圃場における機体1の位置および方位を算出する。
【0046】
経路算出部42は、圃場の外周に沿って行われる手動走行(外周走行)の際に継続的に算出された機体1の位置に基づいて、圃場の外周形状(圃場マップ)を生成し、圃場を外周領域OAと内部領域IAに区分する。さらに、経路算出部42は目標走行経路を生成する。目標走行経路は、少なくとも内部領域IA内を作業走行する複数の内部往復経路IPLを含む。
【0047】
作業制御部44は作業装置Wを制御する。手動走行の際には、作業制御部44は、操作具40に対して行われる操作に応じて作業装置Wを制御する。自動走行の際には、作業制御部44は、設定された目標走行経路(内部往復経路IPL)と機体1の位置とに応じて、自動的に作業装置Wを制御する。
【0048】
記憶部46は、圃場の外周形状(圃場マップ)や目標走行経路(内部往復経路IPL)等の各種の情報を格納する。
【0049】
走行制御部30は、エンジン2および車輪12を制御することにより機体1の走行を制御する。走行制御部30は、手動走行制御部32と、経路維持部33と、旋回制御部35とを備え、CPU等のプロセッサにより制御される。
【0050】
手動走行の際には、走行制御部30の手動走行制御部32は、操作具40に対して行われる操作に応じて機体1の走行を制御する。
【0051】
自動走行の際には、走行制御部30の経路維持部33は、設定された目標走行経路(内部往復経路IPL)と機体1の位置とに応じて、自動的に機体1の走行を制御する。経路維持部33は、自動走行の際に、内部往復経路(目標走行経路)IPLに対する機体1のずれ量である位置ずれ量d1および内部往復経路IPLに対する機体1の走行方位のずれ量である方位ずれ量を検出する。経路維持部33は、位置ずれ量d1および方位ずれ量に基づいて、機体1が内部往復経路IPLに沿って自動走行するように制御する。また、走行制御部30は、検出された位置ずれ量d1があらかじめ定められた所定の大きさ(距離)以上である場合、上述の停止機能を実行する。
【0052】
旋回制御部35は自動走行における旋回走行を制御する。旋回制御部35は、上述の旋回角度αが第1角度αC1までの旋回状態C1、旋回状態C2、旋回角度αが第2角度αC2からの旋回状態C3での旋回走行が行われるように制御する。旋回走行における旋回角度αは、内部往復経路IPL1の終端部EPと内部往復経路IPL2の始端部SPとの中点を旋回中心CCとし、内部往復経路IPL1の終端部EPと内部往復経路IPL2の始端部SPとを結ぶ線分と、機体1の位置と旋回中心CCとを結ぶ線分とがなす角度である。なお、旋回走行は、いずれの旋回走行においても一定の態様(同一の旋回状態C1、旋回状態C2、旋回状態C3からなる走行)で行われるため、旋回状態C1、旋回状態C2、旋回状態C3における旋回中心CCと機体1の位置との距離である旋回半径rは、旋回状態C1、旋回状態C2、旋回状態C3のそれぞれにおいて、あらかじめ許容される範囲が設定される。
【0053】
[旋回リトライ]
次に、旋回リトライについて、
図3,
図5,
図6を用いて説明する。
【0054】
走行制御部30の旋回制御部35は、自動走行での旋回走行において、旋回リトライを制御する。旋回リトライは、旋回走行中の機体1の状態が所定の状態となると、機体1を停止させた後に機体1を後進させ、再度旋回を行う走行である。
【0055】
具体的には、機体1の所定の状態は、圃場のぬかるみにより機体1が滑ること等により、一定の旋回走行ができていない状態である。この状態は、旋回半径rで判定することができる。
【0056】
つまり、旋回制御部35は、機体1の位置と旋回中心CCの位置とに基づいて、旋回走行中に、継続的に旋回半径rを算出する。旋回制御部35は、旋回半径rが所定の長さ(「第3距離」に相当)以上である場合に、一定の旋回走行ができていない状態であると判定する。この判定は、旋回制御部35が行っても良いが、走行制御部30が行っても良く、走行制御部30または旋回制御部35に別途設けられる判定部(図示せず)が行っても良い。
【0057】
旋回リトライは、
図6に示すように、旋回走行中の位置NPにおいて、算出された旋回半径rが所定の距離(第3距離)以上となった場合、旋回制御部35は機体1が旋回リトライが必要となる所定の状態になったと判断する。これに伴い、旋回制御部35は、位置NPから機体1を所定の後進距離(「第4距離」に相当)だけ後進させる(
図6において後進を符号Rを付した矢印で示す)。次に、旋回制御部35は、内部往復経路IPL2の始端部SPに向かうように機体1を走行させる。なお、後進距離は一定の後進距離でも良いが、畦等の障害物までの距離や、旋回半径rの大きさ等に応じて変更されても良い。また、後進走行は、機体1が停止され、停止後にあらかじめ定められた待機時間が経過した後に行われても良い。また、旋回リトライにおける後進走行の際には、報知が行われなくても良く、少なくとも後進時には所定の報知が行われても良い。また、旋回走行中に機体1が所定の状態になっても旋回リトライが開始されないときは、機体1が停止される。
【0058】
[停止機能無効処理]
次に、旋回走行後の往復走行における停止機能無効処理について、
図5~
図7を用いて説明する。
【0059】
旋回走行後、内部往復経路IPL2の始端部SPからの往復走行が開始されると、上述のように、経路維持部33は、内部往復経路(目標走行経路)IPLに対する機体1の位置ずれ量d1の検出を行う。検出された位置ずれ量d1があらかじめ定められた所定の大きさ(「第1距離」に相当)以上である場合、経路維持部33は、機体1を停止させる停止機能を実行する。
【0060】
ここで、旋回走行において旋回リトライが行われると、機体1が外周領域OAから内部領域IAに至る旋回終了時(往復走行開始時)の機体1の位置が内部往復経路IPL2の始端部SPから大きく離れる場合がある。例えば、機体1が想定される旋回経路と大きく離れて旋回されたり、圃場のぬかるみが大きかったりする場合、旋回走行において、適切に内部往復経路IPL2の始端部SPに機体1が近付くことができない場合がある。
【0061】
往復走行開始時であっても、経路維持部33は、内部往復経路(目標走行経路)IPLに対する機体1の位置ずれ量d1があらかじめ定められた所定の大きさ(「第1距離」に相当)以上である場合、停止機能を実行する。しかしながら、経路維持部33は、往復走行が開始されると旋回走行に引き続いて内部往復経路IPLに近付くように往復走行を制御する。そのため、機体1が内部往復経路IPLに近づくことが困難な状況ではなく、往復走行を継続しても、適切な作業走行に回復することが見込まれる。逆に、機体1が停止されることによる作業走行の効率の悪化の方が問題となる。
【0062】
そのため、経路維持部33は、内部往復経路IPL2の始端部SPから所定の無効距離d3(「第2距離」に相当)の間、または、内部往復経路IPL2の往復走行を開始してから所定の無効時間が経過するまでは、停止機能を無効とし、位置ずれ量d1が所定の大きさ以上になっても機体1を停止させない。
【0063】
例えば、経路維持部33は、内部往復経路IPL(目標走行経路)の始端部SPからの往復走行が開始されると(
図7のステップ#1)、直前の旋回走行において旋回リトライが行われたか否かを判定する(
図7のステップ#2)。
【0064】
直前の旋回走行において旋回リトライが行われていた場合(
図7のステップ#2のYes)、経路維持部33は、外周領域OAと内部領域IAとの境界線から内部往復経路IPLに沿って走行された走行距離、または、外周領域OAと内部領域IAとの境界線から内部往復経路IPLに沿って走行された時間を検出する(
図7のステップ#3)。走行距離の検出は機体1の位置の情報に基づいて行われ、走行時間は別途設けられるタイマ等により検出される。
【0065】
そして、経路維持部33は、往復走行中に、外周領域OAと内部領域IAとの境界線から(往復走行の開始から)内部往復経路IPLに沿って走行された走行距離が無効距離d3以内であるか否かを判定する。または、経路維持部33は、外周領域OAと内部領域IAとの境界線から(往復走行の開始から)内部往復経路IPLに沿って走行された走行時間が無効時間以下であるか否かを判定する(
図7のステップ#4)。
【0066】
経路維持部33は、往復走行の開始からの走行距離が無効距離d3以内である場合、または、往復走行の開始からの走行時間が無効時間以下である場合(
図7のステップ#4のYes)、停止機能を無効とし、位置ずれ量d1が所定の大きさ以上になっても機体1を停止させない(
図7のステップ#5)。
【0067】
その後、往復走行の開始からの走行距離が無効距離d3より大きくなると、または、往復走行の開始からの走行時間が無効時間より大きくなると(
図7のステップ#4のNo)、経路維持部33は、停止機能を有効に戻し、往復走行において、位置ずれ量d1が所定の大きさ以上であることが検出されると機体1を停止させる。同様に、直前の旋回走行において旋回リトライが行われていなかった場合(
図7のステップ#2のNo)、停止機能を有効にし、往復走行において、位置ずれ量d1が所定の大きさ以上であることが検出されると機体1を停止させる(
図7のステップ#6)。
【0068】
そして、経路維持部33は停止機能を有効にした状態で、内部往復経路IPLの終端部EPまで内部往復経路IPLに沿った往復走行を継続させる(
図7のステップ#7)。その後、全ての内部往復経路IPLの往復走行が終了するまで、旋回走行と往復走行とが繰り返される。
【0069】
このように、旋回リトライが行われた旋回走行の後の往復走行において、往復走行の開始から所定の無効距離d3または所定の無効時間の間は、位置ずれ量d1にかかわらず停止処理が行われない。これにより、機体1が停止することが抑制され、効率的に往復走行が行われる。
【0070】
なお、停止機能の有効・無効の判断は、走行距離または走行時間のいずれかにより行われれば良く、走行距離で判断される場合は走行時間の検出は不要であり、走行時間で判断される場合は走行距離の検出は不要である。
【0071】
[別実施形態]
(1)上記実施形態において、制御ユニット6は上記のような機能ブロックから構成されるものに限定されず、任意の機能ブロックから構成されても良い。例えば、制御ユニット6の各機能ブロックはさらに細分化されても良く、逆に、各機能ブロックの一部または全部がまとめられても良い。また、制御ユニット6の機能は、上記機能ブロックに限らず、任意の機能ブロックが実行する方法により実現されても良い。また、制御ユニット6の機能の一部または全部は、ソフトウエアで構成されても良い。ソフトウエアに係るプログラムは、記憶部46等の任意の記憶装置に記憶され、制御ユニット6が備えるCPU等のプロセッサ、あるいは別に設けられたプロセッサにより実行される。
【0072】
(2)上記各実施形態において、制御ユニット6、または、制御ユニット6のうちの停止機能無効処理を行う経路維持部33等の機能は、機体1または情報端末5に設けられても良いが、機外に設けられ、機体1と通信可能な管理コンピュータに設けられても良い。この際、管理コンピュータは、通信部(図示せず)によって、機体1の位置や各種の情報である機体1の情報を取得する。また、管理コンピュータは制御部(図示せず)を備え、制御部は制御ユニット6が備える各種機能を実施する。
【0073】
このような構成により、田植機等の作業車の構成を簡易なものにしながら、遠隔操作により、停止機能無効処理が実施され、作業効率の低下を抑制することができる。
【0074】
(3)上記各実施形態において、旋回走行は、上記のように行われる方法に限らず、任意の方法で行われても良い。例えば、旋回状態C1において、前輪12Aが最大限に操舵される構成に限らず、所定の操舵角度で旋回されても良い。また、旋回状態C1における第1角度αC1は、任意の旋回角度αとすることができ、例えば第1角度αC1は90°とすることができる。また、第2角度αC2は任意の旋回角度αとすることができ、例えば第2角度αC2は120°とすることができる。この際、第3角度αC3は、180°-120°=60°となる。このような旋回角度αは、田植機の条数等によって決定することができる。また、旋回状態C2が行われない構成であっても良い。さらに、旋回走行はあらかじめ定められた旋回走行経路を走行しても良い。
【0075】
このように、任意の方法の旋回走行においても、旋回半径rが所定の距離以上ずれた際には、旋回リトライが行われる。そして、旋回リトライが行われた場合、直後の往復走行の当初(無効距離d3まで、または、無効時間の間)には、停止機能無効処理が行われる。これにより、旋回方法にかかわらず、効率的に往復走行が行われる。
【0076】
(4)上記各実施形態において、旋回走行中の機体1の所定の状態は、旋回中心CCからの距離(旋回半径r)で判定する構成(旋回が適切に行われていない状態を判定する構成)に限らず、
図8に示すように、旋回が適切に行われていない状態と共に、または、旋回が適切に行われていない状態に代わり、所定の走行禁止領域HAに機体1が侵入する状態であっても良い。走行禁止領域HAは、圃場の畦Lから所定の距離d2以内の領域や、水口等の障害物から所定の距離以内の領域である。
【0077】
例えば、走行禁止領域HAが圃場の畦Lから所定の距離d2以内の領域である場合、まず、経路算出部42は、圃場の外周形状(圃場マップ)を生成する際に、圃場における畦Lの位置を設定する。次に、走行制御部30は、あらかじめ、畦Lの位置に基づいて、畦Lからの距離が所定の距離d2以内の領域を走行禁止領域HAに設定する。
【0078】
次に、旋回制御部35は、旋回走行中に、機体1が走行禁止領域HAに侵入したか否かを判定する。旋回制御部35は、機体1の位置に基づいて、機体1の任意の部分が、走行禁止領域HA内に侵入したことを検知することにより、機体1が走行禁止領域HAに侵入したと判定する。機体1の任意の部分は、機体1の重心位置Pでも良いし、機体1の前端部分・後端部分でも良いし、機体1の四隅でも良い。また、機体1の任意の部分は、これらの内の複数が組み合わされて用いられても良く、いずれかの部分が走行禁止領域HA内に侵入することにより、機体1が走行禁止領域HAに侵入したと判定されても良い。
【0079】
このような構成により、畦Lや障害物に機体1が衝突する可能性がある場合に旋回リトライが行われ、畦Lや障害物に機体1が衝突することを抑制することができる。
【0080】
(5)上記各実施形態において、旋回リトライにおける後進走行は、所定の距離、例えば、1mに固定しても良いが、後進後に所定の旋回角度αで旋回すると目標走行経路の始端部SPに到達できる位置まで後進しても良い。また、後進時には、ソナー等により、後進方向の障害物を検知し、障害物が検知されると後進が終了する構成であっても良い。
【0081】
(6)上記各実施形態において、旋回後の往復走行において、目標走行経路と機体1との位置ずれ量d1と植え付けられる苗の条間とに応じて、ずれた方向の植付機構22が各条クラッチにより停止され、植付幅が調整されても良い。これにより、機体1が目標走行経路からずれていたとしても、適切な作業走行を行うことができる。そして、機体1が目標走行経路に沿う位置に戻ると、停止した植付機構22を再始動させる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、田植機に限らず、コンバインやトラクタ等の農作業車をはじめ、その他の各種の作業車に適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 機体
30 走行制御部
41 位置算出部
d1 位置ずれ量
d3 無効距離
EP 終端部
IPL 内部往復経路
IPL1 内部往復経路
IPL2 内部往復経路
r 旋回半径
SP 始端部