(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】フレキソ印刷の色調反応をさらに滑らかにする方法
(51)【国際特許分類】
B41C 1/00 20060101AFI20240412BHJP
B41N 1/00 20060101ALI20240412BHJP
H04N 1/405 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
B41C1/00
B41N1/00
H04N1/405
(21)【出願番号】P 2021176284
(22)【出願日】2021-10-28
(62)【分割の表示】P 2019514857の分割
【原出願日】2017-05-26
【審査請求日】2021-11-10
(32)【優先日】2016-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518419149
【氏名又は名称】エスコ ソフトウェア ベスローテン フェンノートシャップ メット ベペルクテ アーンスプラケリイクヘイト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ぺーテル モリセ
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング ジーフェルス
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511175(JP,A)
【文献】特開2008-000927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0083855(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0143841(US,A1)
【文献】欧州特許第01557279(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41C 1/00
B41N 1/00
H04N 1/405
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にマスキング層を配置した未露光のフレキソ印刷版から印刷版を作成する方法で使用するマスクを作成するための方法であって、
前記マスクは、画像情報に従って定義された前記マスキング層の開口部を含み、前記開口部は暴露ステップ中に前記未露光のフレキソ印刷版をUV放射線に暴露することを可能にするように構成され、
前記マスクを作成するための方法は、
(a)前記画像情報を、第1の複数の画素を有する第1のスクリーンとして提供するステップと、
(b)前記画像情報に従って、前記マスキング層の前記開口部を定義するステップであって、
(i)前記画像情報の少なくとも一部に均等寸法のスポットの基本パターンを重ね合わせるステップであって、各スポットは、前記マスク上に表される結像個別要素又は非結像個別要素に対応しており、各スポットは、前記マスク上に形成された最小の個別要素に対応するサイズを有し、前記基本パターンは、隣接する行の間に零ではない水平方向の間隔を有する水平方向の行に、かつ、隣接する列の間に零ではない垂直方向の間隔を有する垂直方向の列に、位置合わせされるスポットを含み、前記基本パターンにおいて結像個別要素に対応する各スポットは、非結像個別要素に対応する8つのスポットによって囲まれる、ステップ、及び、
(ii)印刷版のベタおよび非ベタの色調領域に対応する前記マスクの少なくとも一部において、4つの隣接する結像個別要素の
組のそれぞれがその中心に位置する非結像個別領域を有するように、各結像個別要素を形成するサイズを選択するステップ、によって、
開口部を定義するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1のスクリーンの少なくとも一部は、強調表示改良技術によって改善される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マスクは、第1の基本パターンを有する1つまたは複数の領域と、第2の基本パターンを有する1つまたは複数の領域とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マスクは、前記第1の基本パターンとベタのAMドットによって形成されたスポットの混合物を含む、請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
各結像個別要素は、前記マスク上に前記結像個別要素を形成するために使用されるレーザビームの空間分解能に対応し、前記マスクを前記レーザビームで除去するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マスクを前記レーザビームで除去するステップは、各非孤立結像個別要素を除去するために使用されるレーザビームの出力に対して、各孤立結像個別要素を除去するために使用されるレーザビームの出力を増強するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
除去された4つの隣接する結像個別要素のそれぞれが、それらの間の中心にある除去されていない領域よりも大きいサイズの面積を有するように、前記マスクを除去するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記4つの
隣接する結像個別要素の組内の除去された隣接する結像個別要素のそれぞれが、前記
4つの隣接する結像個別要素の組内の他の少なくとも2つに接触または重なり合うように、前記マスクを除去するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記4つの
隣接する結像個別要素の組内の除去された隣接する最小の結像個別要素のいずれもが、前記
4つの隣接する結像個別要素の組内の別のものに接触または重ならないように、前記マスクを除去するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記マスクを使用して露光印刷版を形成するステップをさらに含み、
前記未露光の印刷版を前記マスクの開口部からUV放射線に暴露して、露光印刷版を形成するステップと、
前記露光印刷版を処理して、完成したフレキソ印刷版を形成するステップと、を含む、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記画像情報に従って、結像個別要素及び非結像個別要素を形成するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記フレキソ印刷版上の各結像個別要素及び各非結像個別要素に対応する、前記マスク上の画像を作成するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
結像個別要素のそれぞれは、前記マスク上の前記対応する画像を形成するのに用いられるレーザビームの空間分解能に対応する、請求項12に記載の方法であって、前記方法は、前記レーザビームによって前記マスクに結像するステップを含む、方法。
【請求項14】
前記第1のスクリーンは、1つ又は複数の孤立画素、及び1つ又は複数の非孤立画素を含み、
前記レーザビームによって前記マスクに結像するステップは、非孤立画素を結像するのに用いられる前記レーザビームの出力に対して各孤立画素を結像するのに用いられる前記レーザビームの出力を増強するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2016年5月27日に出願された米国仮特許出願第62/342,475号の優先権を主張する。この米国仮特許出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は印刷に関し、さらに具体的にはフレキソ印刷及びその方法並びに製版方法をはじめとするそのような方法を実施するシステムであって、印刷版の色調反応曲線を改良するシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
伝統的に、フレキソ印刷版は、ベタ領域を印刷する平坦な上層面と、印刷されていない基板を残すための平坦な下面と、上層(印刷画像が転写される印刷媒体に物理的に接触する層)の多数の数学的に編成された印刷ドットと、を有する。印刷方法の1つはAM(振幅変調)と呼ばれ、スクリーン罫線又は線画と呼ばれるリニア・インチ当たりの固定数のドットを有することによって特徴付けられる。時間の経過と共に、(ドットが一定のサイズを有し、ドットの密度又は周波数が変調されるFMスクリーニングとしても知られる)確率的スクリーニングと、典型的に強調表示が確率的パターンを有し、残りが従来のAMパターンに従うハイブリッドAM/FMスクリーニングと、を含む多くの変形が開発されてきた。
【0004】
平坦な表面を変調された表面に置き換えることによってソリッドレンダリング(solid rendering)を改良する方法も開発されている。現在、数学的グリッド、さらに確率論的には、線/溝、さらに最近では印刷版の50%未満を最高レベルにすることができる非常に高解像度のパターン又はテクスチャに編成された多数の正方形又は丸形の「白」セルを含むいくつかの変調パターンが一般に使用されている。
【0005】
最良のソリッドレンダリングパターンを見つけ出す研究の結果、さらに結像装置の改良(特に、得られた印刷版の微視的結果に対する著しく遠隔レベルの制御)により、顕著なベタの増強が実現されている。濃度スケールで0.3の濃度を上げることは例外ではない(例えば、シアン濃度がベタパターン(solid pattern)なしで1.2、ベタパターンで1.5を実現する)。さらに、このような改良はこのほか、典型的には、インクの理論的色相に近い方の色相に向かう色シフトをもたらす。これは、薄いインク層に起因するものであり、現在、高周波変調の結果として一般に受け入れられている。
【0006】
しかし、この実現された利点は、新たな問題を生じさせる。ソリッドレンダリングの大幅な増強は、ベタとほぼベタの間の強い不連続性を作り出す。この不連続性は、(例えば、Adobe IllustratorをはじめとするPDF階調構造を生成するアプリケーションの階調機能を介して作成されるような)合成階調でも、(異なる分離方法を用いて、所与のインクにとって最大になる可能性のある濃度のほか、近接した領域では多くの場合、この濃度から滑らかに低下していく濃度を特定の領域に割り当てる)連続色調でも視認できる。人間の眼は、この不連続性に非常に敏感である。その結果、この問題は印刷された作品を拒絶することにつながる。
【0007】
この不連続問題に対するいくつかの緩和策が提示され、普及している。そのような緩和策の1つは、滑らかな階調が必要なところにベタパターンを使用しないことである。これは、実際には、アルゴリズム又は人間のオペレータが、(増強対象の)ベタとして処理するものと、非ベタとして処理するものを決定していることを意味する。方法の1つは、合成の均一な色合いをベタとして、残りのすべて(コントーン、階調)を非ベタとして受け入れるにすぎないものである。これは単純で合理的に実用的な方法である(一部のRIPでこれを自動的に実行することができる)。しかし、この方法の欠点は、重要な場所でレンダリングを増強するという利点が失われる可能性があることである。例えば、増強なしでは、コントーンが「くすんだ」状態、即ち限られた色調範囲で印刷が続いてしまう可能性がある。飽和色が高濃度の少なくとも1つの印刷インクを含むことが多いため、高飽和色に達しないことがある。最終的に、多くのデザインでは均一領域が可変領域に結合される。他の領域と比較して均一な色合いの合成的に異なる処理は、最終的な印刷結果に再び不連続性を示すことがある。このタイプの不連続性を検出するには、高度に特殊化された(通常は遅い)アルゴリズムによってページ記述全体を走査する必要があり、検出された場合でも適切な解決策がない場合がある。
【0008】
特許文献1(欧州特許第1557279B1号公報)(Dewitte)には、ベタ領域とほぼベタ領域との間の不連続性の別の緩和策が提案されており、少なくとも1つの実施形態では、ベタパターン、さらに具体的には溝がスクリーンされた領域に退色する。この緩和策はこのほか、モアレパターン(moire pattern)の生成など、望ましくない副作用の可能性を回避するように調整することができる。数学を用いると、異なる周波数及び/又は角度を有する2つのパターンの組み合わせが、罫線及び角度の低下した第3のパターンを生成し得ることが教示される。このモアレパターンは、人間の眼にはきわめて目立つものであることが多いため、印刷物購入者に拒否される可能性がある。Dewitteの方法は、元のパターンの「有理数倍」にソリッドレンダリングパターンを置くことによってこれを解決する。即ち、ソリッドレンダリングパターンは、元のスクリーンパターンで生成されたモアレが元のスクリーンと同じ周波数及び角度になるように選択される。元のスクリーンが人間の眼に受け入れ可能であると仮定すると、結合された効果もまた一般的に受け入れ可能である。
【0009】
しかし、モアレパターンを避けるために、ベタ増強パターンに対して非常によく計算された周波数及び角度が一般に選択されなければならないことから、モアレパターンを回避するために選択された周波数及び角度はベタ増強に最適ではない可能性がある。一般に、非モアレ生成パターンは、平均で、最適な増強パターンの半分だけ、ベタを増強することができる。
【0010】
さらに、フレキソ印刷版の製版及び印刷の非常に非直線的な挙動はこのほか、ベタパターンがほぼベタスクリーニング領域に退色した場合に、結果として得られる色調曲線が、所望のように、常に直線的に退色するとは限らないことを意味する。一般に、例えば、パターンの半分が濃度の半分を増強するとは限らず、まったく増強しないこともあれば、逆に働くことさえある。また、従来のスクリーンドットを追加することにより、所望のようにはもはや機能しないようにパターンを乱すことがある。パターン間に保護ゾーンを維持することによってスクリーンドットでパターンを乱さないように試みると、ソリッドレンダリング効果をさらに妨害する危険性があるというさらに別の複雑さを加えることがある。
【0011】
フレキソ印刷にて非常によく知られているもう一つの問題は、(密接な)ドット接触の問題である。フレキソ印刷のインクレンダリングは、印刷ドットが互いに近接している特定の閾値内にあるとき、きわめて非線形に反応することがある。互いに比較的近い2つのドットは、ドット間の非印刷領域であるべきものがインク、時には印刷領域よりもさらに多いインクを把持する印刷面に近接する「ブリッジ」を形成することがある。これは予測困難な濃度での強力な「色調の飛び(tonal jump)」につながる可能性がある。特定の閾値に達するまでは、常に知ることができるとも予測可能であるとも限らない多数の変数によっていずれかの閾値が影響を受ける可能性があり、インクは隣接する2つのドットの間にブリッジを形成しない。次に、ドット間の距離が最小限に減少すると、ブリッジが突然形成されることがある。ブリッジの形成は、とりわけ、印刷圧力、ドットの形状、アニロックス(anilox)特性及び圧力、インク粘度及び印刷速度に左右される可能性がある。
【0012】
請求項に記載の発明の態様は、ブリッジ形成が急激ではなくインクが少なくなるように形状に影響を及ぼすことによって、少なくとも部分的に近接ドットのブリッジ形成問題を緩和することができる。請求された発明の態様は、ベタ領域とほぼベタ領域との間の不連続性を同時に緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【発明の概要】
【0014】
本発明の1つの態様は、フレキソ印刷版、あるいはフレキソ印刷版を製造するマスクを作成する方法である。この方法の1つのステップは、同一サイズのスクリーンスポットの基本パターンによって規定される解像度を有するスクリーンを提供するステップである。各スクリーンスポットは、スクリーン上に表された最小の露光した個別要素を含む。印刷版又はマスクは、印刷版の非ベタ色調領域に対応する印刷版又はマスクの少なくとも一部にて、印刷版上の物理的スポット又はスクリーニングスポットに対応するマスクのサイズを選択的に調節して、基本パターン内の4つの隣接する物理的スポットの各組が、その間の中心に露光していない領域を有するようにすることによって作成される。一実施形態では、基本パターンの各スクリーンスポットは、8つの未露光画素によって囲まれた露光画素を含む孤立画素を含む。そのような実施形態では、各スクリーンスポットは単一の画素を含むことができ、各物理的スポットは、マスク上のスポットを露光するために使用されるレーザビームの分解能に対応することができる。この方法は、レーザビームによってマスクを結像するステップをさらに含む。レーザビームを用いてマスクを結像するステップは、未分離画素を結像するために使用されるレーザビームの出力に対して各分離画素を結像するために使用されるレーザビームの出力を増強するステップを含んでもよい。4つの隣接する結像スポット間の未露光領域のサイズは、印刷中のインク転写の最適化のための各結像物理的スポットに対応するレーザビームの出力を調整することによって最適化されてもよい。
【0015】
スクリーンを形成する方法は、第1のスクリーニングスーパーセルを、第1のスクリーニングスーパーセル内の(X,Y)に位置する各画素に対して形成するステップと、第1の数式(X′=fx(X,Y);Y′=fy(X,Y))を適用することによって第2のスクリーニングスーパーセル内の位置(X,Y)を割り当てるステップと、次に第1の数式によって満たされていない第2のスーパーセル内の値を空の画素値に設定するステップと、を含み得る。第1の数式は、(i)X′及びY′は整数であり、(ii)第1のスーパーセルの2つの画素は第2のスーパーセル内の同一画素に変換されず、(iii)全画素(X′,Y′)は、各画素(X′,Y′)を包囲する画素が数式で満たされていない少なくとも8個の空画素である高解像度基本パターン上にあるという、一連の規則を順守する。第1のスーパーセルは、第2のスーパーセル内で、fx(X,Y)及びfy(X,Y)を適用することにより、線数(Lpi′=f3(Lpi))及び角度(Ang′=f4(Ang))を生成し得るように、線数(Lpi)及び角度(Ang)を有し得る。第2のスーパーセルの所望のLpi及び所望のAngについては、逆変換式(Lpi″=f3-1(所望のLpi)、Ang″=f4-1(所望のAng))を適用して、線数Lpi″及び角度Ang″を有するスクリーンを生成する。
【0016】
複数のスクリーンであって、それぞれが1つのインク色に対応するスクリーンは、一セット当たりの所望の線数及び角度について、各スクリーンのLpi″及びAng″を計算するステップと、二次モアレがない、密接に一致する罫線/角度セットを識別するステップと、密接に一致する罫線/角度セットに対応する複数の第1のスクリーニングスーパーセルを生成するステップと、複数の第1のスクリーニングスーパーセルのそれぞれを、対応する第2のスクリーニングスーパーセルに変換するステップと、によって生成し得る。第2のスーパーセルは、第3のスーパーセルが第2のスーパーセルと同一のサイズ及び同一の所望の罫線及び角度を有するように作成され、第3のスーパーセルが強調表示を向上させるように構成されるスクリーンに対応する状態で、サイズ及び所望の罫線及び角度を有するように作成されてもよく、第2及び第3のスーパーセルは、第4のスーパーセルに統合されてもよい。この統合は、(a)各画素について、画素が属するセルを判定するステップと、(b)判定されたセルに基づいて、第2及び第3のスーパーセルのうちのいずれが情報を複写するかを判定するステップと、(c)ステップ(a)で判定された第2又は第3のスーパーセルから第4のスーパーセルに情報を複写するステップと、を含む操作を実施することによって達成されてもよい。ステップ(b)での判定は、ブルーノイズ判定を使用して実施されるランダム判定であってもよいが、これに限定されないランダム判定であってもよく、あるいは系統的であってもよい。この方法は、比較的高い色調濃度で第2のスーパーセルからの情報を複写するステップと、比較的低い色調濃度で第3のスーパーセルから情報を複写するステップと、を含んでもよく、ステップ(a)~(c)を閾値配列全体に対して実施してもよい。第3のスーパーセルは、第2の数式(X′=fx(X,Y);Y′=fy(X,Y))を適用することによって生成することができ、第2の数式は第1の数式とは異なるが、同一の規則を順守する。
【0017】
この方法は、強調表示改良技法、例えば、その少なくとも一部にて強調表示改良技法を具現化する元のスクリーンにこの方法を適用することによる技法、あるいは特定の強調表示レベルでベタAMドットに切り替えることによる技法と組み合わせて使用してもよい。
【0018】
本発明の別の態様には、フレキソ印刷版、あるいは本明細書に記載の方法のいずれかによって製造されたフレキソ印刷版を作成するためのマスクが含まれる。得られた印刷版又はマスクは、第1の高解像度基本パターンを有する1つ又は複数の領域及び第2の高解像度基本パターンを有する1つ又は複数の領域を有してもよい。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、フレキソ印刷版を作成するマスクを製造するイメージセッターなどの結像システムを含む。そのような結像システムは、結像データファイル内で識別された個別スポットに対応する放射線にマスクの一部を暴露するように構成されたレーザ源を備える。レーザ源は、マスク上の結像スポットサイズを調整するための調整可能なレーザ出力を有する。結像システムはこのほか、結像データを受け取り、レーザ光源の動作命令に変換するように構成されたプロセッサを備えるコントローラを備える。結像データは、同一サイズのスクリーンスポットの基本パターンによって規定される解像度を有するスクリーンを含む。各スクリーンスポットは、スクリーン上に表現された最小露光個別要素を含む。コントローラは、印刷版の非ベタ色調領域に対応する印刷版又はマスクの少なくとも一部にて、基本パターン内の4つの隣接する物理的スポットの各セットが、その間の中心に未露光領域を有するように、スクリーニングスポットに対応するマスク上のレーザによって生成される物理的スポットのサイズを選択的に調整することによって印刷版又はマスクを生成するように構成される。結像データの露光スポットは孤立スポットを含み、各孤立スポットは、8つの未露光スポットによって囲まれた露光スポットを含む。この場合、コントローラは、孤立スポットを識別し、レーザ源に、結像データ中の非孤立スポットに対応する結像スポットを生成する出力よりも比較的大きい、結像データ中の孤立スポットに対応する結像スポットを生成する出力を用いるように指示するように構成される。特に、結像データに対応する物理的スポットは、互いに完全には重複しない円形スポットを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】例示的な高解像度基本パターンから形成された例示的なスクリーンされた領域を示す。
【
図3】例示的な高解像度基本パターンから形成された例示的なスクリーンされた領域を示す。
【
図4A】従来のAMドットを有する従来のスーパーセルを示す。
【
図4B】例示的な高解像度基本パターンによって規定される対応ドットを有するスーパーセルを示す。
【
図4C】別の例示的な高解像度基本パターンを含む対応ドットを有するスーパーセルを示す。
【
図6A】「ベタ」ドットと孤立画素によって規定されたドットとの組み合わせを含む例示的なスクリーンの一部を示す。
【
図6B】ある位置のドットが除去された孤立画素によって規定されるドットを含む例示的なスクリーンの一部を示す。
【
図7A】臨界階調レベル以下の色調が、ドットを除去することによって変調された元の遷移スクリーンを示す。
【
図7B】
図7Aのスクリーンを変換して孤立画素を使用した後の新たな遷移スクリーンを示す。
【
図8】2つの異なる分散グリッドパターンを有する組み合わせスーパーセルのスクリーンを示す。
【
図9A】孤立画素からなる例示的な確率的スクリーンを示す。
【
図9B】孤立画素からなる例示的な確率的スクリーンを示す。
【
図10A】標準的AMスクリーンを使用して作成された印刷版を使用して形成された印刷ドットの顕微鏡写真である。
【
図10B】孤立画素からなるドットを有する例示的なスクリーンを使用して作成された印刷版を使用して形成された印刷ドットの顕微鏡写真である。
【
図11A】20個の露光画素から構成される従来のAMドットを有するスクリーンを示す。
【
図11B】それぞれが4つの孤立した露光画素からなるドットを有するスクリーンを示す。
【
図12】さまざまなセクションが拡大されて強調表示された、大きな色調範囲にわたる例示的なスクリーンを示す。
【
図13A】ベタAMドットと孤立した露光画素からなるドットとの組み合わせからなるスクリーンの例示的な強調表示領域を示す。
【
図13B】本発明の一実施形態による、
図13Aに示すスクリーンパターンから作成された印刷版を使用して形成された印刷ドットの顕微鏡写真である。
【
図14】孤立画素の検出に使用される3×3構造ブロックを示す。
【
図15A】露光領域の重なりを生じさせない露光レベルで各画素に対応するレーザによって露光される領域を示す4つの隣接画素の集まりを示す。
【
図15B】各露光領域が十分に重なり合ってベタドットを生成するように意図されたレーザ出力を用いて、各画素に対応するレーザによって露光される領域を示す4つの隣接画素の集まりを示す。
【
図15C】
図15A及び
図15Bの画素間のレーザ露光レベルで各画素に対応し、中央に未露光領域を残すレーザによって露光された領域を示す4つの隣接する画素の集まりを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の1つの態様は、この分野で従来使用されていたレーザ出力よりも適応された(典型的にはさらに高い)レーザ出力で露光される個別結像スポットの非常に高解像度の基本パターンから、色調スケールの大部分に構築されたスクリーニングパターンを使用することによって、上記の問題を解決又は緩和することを含む。その結果、実際のスクリーン形状(例えば、円形のドット)は、デジタルフィルム及び印刷版上の仮想形状になり、上記の欠点の少ない実際の印刷ドットを生成し、さらに、増強されたベタ部分への滑らかなグラデーションを生成する。
【0022】
好ましい実施形態では、高解像度基本パターンは、ソリッドレンダリングに使用されるパターンと等しくてもよい。そのようなパターンの1つが
図1に示される。正方形のグリッド100は、結像システムの高解像度グリッド(例えば、4000ppi)である。レーザは黒点102を結像し、白点104を結像しない。その結果、黒色LAMS層では、黒点が除去され、このような領域がドット形成を生成するようにする。レーザ出力を調整することにより、除去された黒点のサイズを調整することによって、印刷プロセスでのインク転写に関して、ドット形成を最適化することができる。ベタインク濃度(SID)は、特定の一連の動作条件(インク粘度、インクを受容する基板の構成材料など)に対するSIDのピークに対応する黒点のサイズを選択することによって最適化することができる。白い部分は露光しておらず、最上部の下に印刷版表面が形成される。しかし、周波数が非常に高いため、白色領域の下面は依然として非印刷の低レベルよりもきわめて高い。実際には、白ゾーンと黒ゾーンとの間の高さの差は、約50マイクロメートル(ただし、総レリーフは500マイクロメータを上回ることが多い)であるに過ぎないことがある。
【0023】
図1Aに示すパターンは、当技術分野でよく知られているように、黒点が十分に調整されたレーザ出力で結像される場合かつその場合に限り、非常に高いベタ濃度を生成することが分かっている多くのパターンのうちの1つに過ぎない。
図1B~
図1Eに示すパターンは、パターンが互いに分離した黒色ドットを有する(黒色ドットを囲む8個の画素のいずれも黒でないことを意味する)限り、上記
図1Aに関して説明したのと同一の方法で使用することができる。
【0024】
ベタ領域は基本パターンのすぐ後にある。スクリーニングされた領域については、依然として高解像度グリッドによって判定された黒点にのみ結像が生じる。しかし、濃度を低下させるために、黒点のいくつかはもはや結像されない。(一方、依然として全白点は常に結像されていない)。これは、
図2に示されるようなスクリーニングされた領域を生成する。この領域では、黒点102の各集まり200(それぞれが例えば1ショットのレーザ出力を表す)は、従来技術に従ってレンダリングされたであろうような従来の「スクリーニングドット」に類似する。印刷版を作成し、このようなドットを印刷した後、従来技術の印刷ドットの形状に近づくが、さらに良い特性を有する印刷ドットが作成されることになる。
【0025】
この利点は、
図10A及び
図10Bに示すように、例えばプラスチック基板上のようなフレキソ印刷ドットの実際の典型的な印刷形状を研究することから理解することができる。
図10A及び
図10Bは、中間調(インク架橋)での(色ではない)階調レベルを使用して黒インクでフィルム上に印刷されたドットのパッチの顕微鏡写真を示す。
図10Aは、標準的AMスクリーンを用いて形成されたドットを示す。
図10Bは、本明細書で説明される例示的なスクリーンを使用して形成されるドットを示す。
【0026】
ドットが接触する色調の飛びに及ぼす影響
ここで
図3を参照すると、人間の想像力ではドットの架橋挙動を継続していると見ているのに対し、(スポットは高解像度の個別のグリッド上に結像されるため)実際の印刷スポットは決して連続していない。多くの基板を検査すると、これがインク架橋を減少させることがわかる。いくつかのブリッジが未だ形成されている可能性がある間に、そのようなブリッジは、各スクリーンイングドットがベタ部分としてレンダリングされる伝統的なアプローチに典型的に連動するインクの過剰量を把持することはない。
【0027】
各レーザ画素の周りに8つの空の画素を設けることにより、結果として得られるパターンは、設計上、印刷版領域を覆わない。しかし、実験では、分散画素に適用されるレーザ出力を最適化することによって最良のソリッドレンダリングが達成されることがわかる。実際には、レーザ出力と画素パターンは理想的には互いに調整される必要がある。画素が分散されているという事実は、欠点があるとしてもごくわずかな状態でそのような調整を可能にする。結像システムは、印刷版全体が本明細書で説明されるように分散画素を含む場合、印刷版全体に対してレーザ出力(一般に使用されるより高い出力)を単に最適化することができるか、あるいはさらに高度なシステムが、ドットが分散され、予想される位置にあるという事実に基づいてレーザ出力を最適化する必要がある領域を自動検出することができる。EskoのGrapholasユーザインターフェースで利用可能なPixelBoost機能性のようなレーザ出力を調整する方法が当業者に知られている。このインターフェースは、例えば、「UV Flattop Option」にアップグレードされたEsko製CDI結像装置を使用する。このCDI結像装置は、例えば、直立光ヘッド及びGradient Index(又はAsphere)」レンズを備える。LUSTサーボドライブを有するドラムが、「High Res」オプションに関連した「Flattop」露光プロファイルを用いる。「High Res」オプションは、例えば、「Upgrade to Flattop/Round top Option」と題した2011年3月11日付けEsko技術メモ第4版に記載されている。この技術メモは参照することによって本明細書に組み込まれる。上記の特徴はこのほか、Esko製CDI Crystalシステムでは標準である。
【0028】
レーザ源1600と、レーザ源を制御するプロセッサ1602と、本明細書で説明されるようなスクリーンに対応する結像データファイルを記憶するためのメモリ1604とを備える例示的な結像システムの一部が
図16に示される。レーザ源1600は、マスク上の結像スポットサイズを調整するための調整可能なレーザ出力を有する。コントローラ1602は、典型的には、命令でプログラムされた1つ又は複数のコンピュータプロセッサを備え、このほかハードウェア制御を備えてもよい。コントローラは、結像データを受信し、レーザ源の動作命令に変換するように構成され、本発明の態様によれば、マスク上のレーザによって生成された物理的スポットのサイズを選択的に調整することを含んでもよい。このように、均等サイズのスクリーンスポットの基本パターンによって規定された解像度を有するスクリーンを含む結像データであって、各スクリーンスポットがスクリーン上に表された最小の露光個別要素を含む結像データの場合、レーザはスクリーニングスポットに対応するマスク上に物理的スポットを生成する。当技術分野で知られているように、次に、マスクは、印刷版を露光させるためのUV暴露ステップの間に使用され、印刷版はさらに加工されて完成印刷版を形成する。本明細書に記載された方法によって作成された印刷版又はマスクは、基本パターン内の4つの隣接する物理的スポットの各セットがその間の中心に未露光領域を有する印刷版を生成する。「スクリーン上に表現された最小露光個別要素」は、孤立画素を利用する本明細書に記載のシステムなどの画素であってもよいし、低解像度スクリーンで利用される最小ドットに対応する画素の集まりであってもよい。孤立画素を利用するシステムの場合、コントローラは、孤立画素を識別し、4つの露光孤立画素の各セットの中心にある未露光部分を残すように孤立画素を十分に増強するように(ソフトウェア及び/又はハードウェアで)構成される。解像度の低下したスクリーンを使用するシステムの場合には、システムは、4つの最小の露光個別要素(例えば、ドット)の各集まりが、そのうちの適切な未露光部分を有するように、各画素と相関のあるレーザ出力を調整するように構成されてもよい。このとき、コントローラは孤立画素を識別する必要がない。
【0029】
本明細書に記載のスクリーンを、従来のスクリーンを利用して、そのスクリーンを所望の高解像度基本パターンで穿孔することによって構成してもよい。穿孔は、例えば、従来のスクリーンの各画素が高解像度パターンの対応する画素と比較されるアルゴリズムを必要としてもよい。両方が黒の場合、結果として得られる画素は黒になり、それ以外の場合は白になる。記載された方法は、フィルムを重ね合わせることによって、あるいは高解像度基本個別パターンに従って(このため、他の黒色画素をいずれも無視して)中実画素を結像するようにのみプログラムされたハードウェア装置を使用することによって、達成され得る方法に対応する。
【0030】
実施が容易である一方で、上記の方法はいくつかの欠点を有する可能性がある。第1の欠点は、望ましくないモアレパターンの発生であり得る。近代的な高品質スクリーンドットは、ドットのほぼ等しい表面を作成し、ドットの平均位置を多かれ少なかれ数学的に修正するように注意深く設計される。高解像度のパターンに従って画素を除去すると、特定のドットが他のドットよりも多くの画素を失う/保持することがあり、平均位置がわずかにずれることがある。これは、元のスクリーンと高解像度基本パターンとの間の数学的干渉パターンに従って、むしろ系統的に発生する可能性があり、その干渉パターンは人間の眼に見えるようになり、印刷結果を拒絶することにつながる。
【0031】
第2の欠点は、階調レベルの損失であり得る。最も単純な場合、スクリーンは、1つの印刷ドット内にある画素数と同数の階調レベルを有してもよい。さらに複雑なアプローチでは、合計の平均階調レベルがはるかに小さいステップで(パターンに追加されたわずかな変調のコストで、視認可能になるリスクを伴って)上昇するように、印刷ドットのサイズを調整することによって追加の階調レベルが作成される。実際には、変調の視認性が最小限に抑えられるように、ブルーノイズパターンを使用してそのような変調が適用される。しかし、多層ブルーノイズパターンが慣習的ルールを破る可能性がある。干渉の系統に基づいて、特定の階調レベルは、その全追加ドットを失うリスクがあるのに対し、他の階調レベルは、その全追加ドットを保持する可能性がある。これにより、「階段状」になり、いくつかのステップは強く圧縮されるのに対し、他のステップは拡張される。
【0032】
しかし、予想される罫線と角度を依然として生成しながら、上記の欠点を生じることなく、スクリーンを理想的に構成することができる。本発明のスクリーン構築方法は、特別に設計された基本スクリーンから異なる罫線、角度及び解像度での変換を使用する。このスクリーンは、要求された罫線と角度を有する所望のスクリーンに、以下に説明する方法によって変換される。
【0033】
以下に考察する動作は、好ましくは、(閾値配列としても知られている)スクリーンスーパーセル上にて実施される。好ましい実施形態では、閾値配列を用いたスーパーセルスクリーニングが使用される。同一のロジックを適用することによって、他のスクリーニング方法でも同等の結果が得られるが、いくつかの方法では異なる解像度及び角度でページ記述をRIPする必要がある場合があるが、スーパーセル法にはそのような要件はない。
【0034】
図4A~
図4Cは、従来のスーパーセルを、本発明を実施するのに適したスーパーセルに変換する変換を示す。
図4A~
図4Cは、説明を容易にするために1つのスクリーンドットのみを有するスーパーセルを示しているが、同一の論理を任意のサイズ又は角度のスーパーセルに適用することができる。また、説明は純粋なビットマップを参照して提供されるのに対し、スーパーセルは各画素のための閾値を有するが、これは論理を変更するものではなく、この方法がビットマップ配列スクリーニング方法にも適用され得ることを示している。
【0035】
図4Bは、DDWSIと呼ばれる非常に高解像度のパターンを利用する例を示す。
図4Cは、WSIと呼ばれるわずかに低いパターンを45度で利用する例を示す。DDWSIの例では、元のスーパーセル内の各画素について、新たなスーパーセル内の位置は、形状の数式を適用することによって見出される。
X′=fx(X,Y)
Y′=fy(X,Y)
【0036】
見出された新たなスーパーセル画素の値は、元のスーパーセル画素の値と等しい。バイナリ入力については、出力はバイナリである。閾値配列については、閾値は複写される。これにより新たなスーパーセル全体が満たされることはない。到達していない画素は、(バイナリビットマップの場合)白又は(黒に決してなることのない画素を示す)閾値配列のmaxThresholdValue+1に設定される。
【0037】
関数fxとfyは次の特性を有する。
・結果X′とY′は整数である。
・入力が異なると出力が異なることになる(元のグリッドの2画素は出力グリッド内の同一の画素に変換されない)。
・全出力画素(X′,Y′)は高解像度基本パターン上にある。
・各出力画素周りには、変換によって決して到達されない8つの画素がある。
【0038】
このため、一対の関数(fx,fy)は高解像度の基本グリッドを判定する。
図4Aの入力ドットに対して示された結果を生成する2つのそのような関数対が
図4B及び
図4Cに示される。
【0039】
関数は次のとおりである。
DDWSIパターン(
図4B)では、
Fx(X,Y)=2X
Fy(X,Y)=2Y
WSIパターン(
図4C)では、
Fx(X,Y)=2X+2Y
Fy(X,Y)=2X-2Y
【0040】
ある場合には、仮想ドットの形状が大きな状態に維持され、他の場合には、形状がさらに大きな変化を受ける。しかし、以下のことが一般に当てはまる。
・2つの等しいサイズのドットは、(それぞれが同一数の黒点を有する)2つの等しいサイズの仮想ドットに変換される。
・連続したドットは、「仮想」の連続性を有するドットに変換される。円の近似値は円の近似値に変換されることになる。同一のことが四角形にも当てはまり、特定の近似的な特徴を持つ確率的パターンに対しても同一のことが言える。
【0041】
上記の動作は、スーパーセル内の各画素に対して実行され、元のスーパーセルよりも一般に大きい新たなスーパーセルに至る。元のスーパーセルが(
図5に示すように)2つの自然数A及びBによって特徴付けられるとき、変換された画素の外側境界を利用することによって新たなスーパーセルを見つけ出すことができる。
【0042】
【0043】
同一のロジックによれば、スクリーンの罫線と角度はこの操作の下で変化する(同一の解像度であると仮定する)。
Lpi′=f3(Lpi)
Ang′=f4(Ang)
WSIの例では、
f3(Lpi)=Lpi/(2*sqrt(2))
f4(Ang)=Ang+45(角度を度で表すと仮定する)
エンドユーザは一般に、罫線と角度を変更してエンドユーザの印刷の色調スケールを改良することを期待していない。ここでの効果的な方法は、要求されたスクリーン罫線と角度に逆変換式を適用することである。
Lpi=f3-1(所望のLpi)
Ang=f4-1(所望のAng)
【0044】
この式は、要求された罫線と角度それぞれに対して、従来のスクリーンを計算する(あるいはデータベースから抽出する)新たな罫線と角度をわれわれに与える。業界は、理にかなった範囲で、任意の罫線及び角度のほとんどで従来のスクリーンをどのように作成するかを長い間解決してきたフレキソ印刷の場合、要求された罫線は約150lpiであることが多いのに対し、変換は2.5と3の間(WSIの場合は2*sqrt(2))のスケールを有する。これにより、4000ppiの解像度で約400lpiのスクリーンが構築されることになり、これは現在のスクリーニング技術の到達範囲内では良好なものである。
【0045】
ほとんどのパターン(特に上記のWSIとDDWSI)に対しては、この変換により、良好に動作していることがすでに示されたスクリーンが表示される。フレキソ角度(7.5、22.5、37.5、52.5、67.5、82.5)は、それ自体又はフレキソセットでの他の角度に偶発的に変換される(例えば、22.5は、スクリーンセットが既に存在している67.5へ変換される)。
【0046】
さらに大きなスケーリング効果を伴う変換が実用的なものではなくなる可能性があるが、変換がベタパターン頻度の低下に対応し、濃度の増強が少なくなることもあって、変換にはほとんど関心が向けられていない。
【0047】
このように、開示された方法は以下の特徴を有する。
・任意の罫線又は角度に到達することができる。
・画素の体系立てられた損失又は画素のずれによってモアレ効果が発生しない。
・ベタパターンは、変換元の従来のスクリーンが(通常はそうであるように)100%にて全体的に黒色である場合かつその場合に限り、変換によって判定されたパターンと同一である。
・高解像度グリッドで判定された画素以外の画素のうち、常に「黒」であるものはない。これは、得られたデジタルフィルムの全ドットが「個別」になっていることを意味し、その8つの隣接する画素の全部が白であることを意味する。
・新たなスクリーンの仮想形状は、結像の対象にすることができる画素によって課せられた制限内で元のスクリーンの形状と共通点がある。
【0048】
モアレを重ね合わせる色の回避
CMYKの色について3つのスクリーンを作成する場合、得られる干渉パターンに2次モアレがないように、罫線と角度を慎重に選択する必要があることはよく知られている。このための式は、例えば、Delabastitaの米国特許第5,155,599号公報に記載される。この米国特許公報は参照されることによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0049】
開示された変換は、罫線と角度を変化させるため、慎重に実行されなければ、色の間にモアレが生じるリスクがある。次のアルゴリズムは、モアレの発生を回避する。
a)要求された罫線と角度のセットから開始する。
b)上記の式に従ってこれを変換する。
c)このセットでは、2次モアレがない、厳密に一致する罫線/角度セットを見つける。いずれの技法を使用するかに応じて、これは一般に、罫線上で1%未満、角度に対して0.1度未満で可能である。
d)3つのスクリーンを生成する。
e)上記のアルゴリズムに従って3つのスクリーンを変換する。
【0050】
上記のアプローチは、変換されたスクリーンのモアレ周波数が(干渉式の数学的直線性の純粋な理由で)元の周波数と同一の方法で変換されることから機能する。上記のDelabastitaによる公式は、実際には無限大であるモアレ周期を指す(式の0はモアレの周波数を指し、周期はこれの逆数である)。この変換により、モアレはWSIの周波数変換係数(2*sqrt(2))で除算されることになる。任意の実数によって無限大を除算しても無限大であることは変わらないため、変換されたスクリーンセットにも2次モアレは含まれない。
【0051】
重要な詳細部はロゼットの形状である。これは、互いに比較されたドットの中心の線形シフトによって判定される。全ドットセンターを原点に重ね合わせると、ドット中心のロゼットが作成される一方、さらに受け入れられた中心が空のロゼットは、セルの正方形の半分を覆う色(主に黒色)の1つのシフトを必要とする。距離はいずれも周波数係数と角度シフトで変換されるため、これはロゼットのシフト距離に対しても実施される。
【0052】
代替構成
上記の方法の多くの代替方法を構築することができる。例えば、第1の代替実施形態では、高解像度基本パターンを生成するための簡素な方法を、本明細書で説明する改良された方法の他の態様と組み合わせてもよい。例えば、簡単な倍数公式(X′=X*2、Y′=Y*2)の後に穿孔法を適用してもよい。結果は両方の方法から良いものと悪いものとを組み合わせたものであり、妥協とみる必要がある。第2の代替実施形態では、修正された画素グリッドにスクリーン設計の最良実施例を適用する全体的に新たなスクリーンを計算することができる。実際、スクリーンデザインの最良実施例を、一般に純粋な正方形の画素グリッドに対して開発しているが、その目標は主に他のグリッドに簡単に転換できる。例えば、全スクリーンドットを等しいサイズに維持しようとする試みは、代替画素グリッド上で実施することができる。スクリーンのフーリエ変換を管理することは、上記の方法よりいくらか複雑であるにすぎず、現代のコンピュータ能力にとって問題になるものではない。
【0053】
本明細書で説明する方法は、全階調レベルで動作し、その結果、全体の色調範囲にわたって使用することができる。しかし、全体の色調範囲で使用することは必要ない。特定のユーザーが、極端な強調表示などではなく、特定の程度にしかこの技術を適用しようと思わなくてもよい。好ましい実施形態では、この技術は、少なくとも100~20%の領域に適用される。20%未満では、印刷環境によって、本明細書に記載された技術を使用するか、当技術分野で知られている強調表示改良技術を使用するか、あるいはその組み合わせを使用するかを指示してもよい。
【0054】
このため、ここでは、強調表示改良技術を含む方法について説明する。簡単な方法には、強調表示改良技術(例えば、Esko Sambaスクリーン、Esko PerfectHighlightスクリーン、HDFlexoスクリーンなどのハイブリッドスクリーニング、強調表示でのFM様変調を使用する)をすでに含む本来のスクリーンを本発明の新たなスクリーンに変換することによるものが挙げられる。
【0055】
本発明の態様に従って形成された新たなスクリーンは、原点の各画素を平行移動させ、それによって専用の強調表示変調(例えば、仮想FMドット)も継承することによって生成される。これは、
図7A及び
図7Bに示される。
図7Aは元の遷移スクリーン(臨界階調レベル未満のSambaスクリーントーンがドットを除去することによって変調される)を示し、
図7Bは、同一の変調に至る、元のスクリーンの変換後の新たなスクリーンを描写する。
【0056】
しかし、高解像度グリッドへの変換のために、強調表示改良技術パラメータは、(例えば、異なる遷移点又は最小ドットサイズを介して)スケーリングを必要とすることがある。この単純な方法は、新たなスクリーンで不連続性を生成しないという利点を有するが、強調表示がこのほか、高解像度孤立画素を使用するように制限する。
【0057】
別の強調表示改良方法は、強調表示が改良されたスクリーンを特定の色調範囲の新たなスクリーンにフェードインすることによるものである。最初に、所望の罫線と角度を有するスーパーセルを計算する。先行技術のいずれかの強調表示改良技術を使用して、正確に同一の所望の罫線及び角度を有する均等サイズのスーパーセルを計算する。現代のスクリーニング技術は、例えば、EskoのScreen Managerを使用して、記載されたような所望の先行技術のスクリーン特性を生成することができる。
【0058】
次に、両方のスーパーセルが、以下のように第3のスーパーセルに結合される。
a)各画素について、その画素が属するセルを判定する。説明の便宜上、aはスクリーングリッドの要素であり、スクリーングリッドはスクリーン罫線と角度によって形成される。AMスクリーンの場合、1つのセルが1つのドットのプレースホルダである。画素が属するセルを判定することは、画素座標を使用し、このような座標にどのグリッド要素が入るかを判定することによって実施される。スクリーンセルに画素を割り当てることは、要求されたスクリーンの罫線と角度に基づく数学的演算である。簡単な方法には、各画素をその画素に最も近いスクリーンドット中心に割り当てることが挙げられる(スーパーセルのエッジで繰り返されるため、近い方にあるドットを考慮に入れる)。これは、多くのスクリーン計算アルゴリズムで使用される先行技術である。
b)セルに基づいて、2つのスーパーセルのいずれから情報を複写するかを判定する。この判定は、例えばブルーノイズ判定を使用した純粋に無作為なものであるか、(例えば、チェッカーボードパターンでの)系統的なものである可能性がある。
【0059】
上記のステップは、閾値配列全体に対して実行されるか、両方の閾値配列を現在の閾値と交差させることによって見出される各ビットマップ配列に対して別々に実行されてもよい。この場合、結果は通常は閾値配列ではなくなり、ビットマップ配列セットとして格納し、RIPのビットマップ配列スクリーン方法によって使用する必要がある。この機能性は現代の先進PDF RIPで確立される。当技術分野で知られているように、閾値配列が、反復するタイル内の各画素の閾値を表し、閾値は、最終的な2層の出力にて画素をオン又はオフに切り替える必要がある階調レベルを判定する。そのような配列はこのほか、ビットマップの配列として表現することができる。そのとき、各ビットマップは、1つの階調レベルに対してスイッチオンされる画素を表す。このため、元のスーパーセルを新たなスーパーセルに統合するもう1つの方法には、両方の閾値配列を最初にビットマップに変換し、各階調レベルに対して1つのビットマップを作成し、次にビットマップを統合することによってステップを適用することが挙げられる。新たなスクリーンは、一連のビットマップとして表される。Esko FlexRIP及びEsko Imaging Engineのような、例えばさらに高度なRIPでの代替実施形態では、マルチ閾値配列ビットマップを使用してもよい。そのようなビットマップでは、各画素は複数の閾値を有することができる(画素は異なる閾値で複数回オンとオフを切り替えることができる)。そのような性能を備えたシステムでは、異なるスクリーンを統合すると、複数のビットマップ配列ではなく、単一のマルチ閾値ビットマップになる場合がある。
【0060】
前の方法の一実施形態には、高い方の密度(例えば、20%)では第1のスーパーセルの近くに、低い方の密度(例えば、0%に近い)では第2のスーパーセルの近くにとどまることが含まれる。このようにして、新しく提案されたスクリーンと従来技術の強調表示改良スクリーンの周知の特徴との間で滑らかな遷移が現れる。
【0061】
可能性のある結果を
図6Aに示す。
図6Aは、従来のスクリーンに基づくドット(従来のグリッド上の連続ドット600)と、新たに提案されたスクリーンに基づくドット(離間して分散グリッド上に立つ3画素の集まり602)とからなる2種類のスクリーンドットを示す。
【0062】
別の例では、ブルーノイズを、第2のスーパーセルなしで(あるいは空のスーパーセルとともに)適用してもよい。
図6Bに示す結果は、本発明によるドット700の分散した集まりを含み、空間上に確率論的に広がっている。この方法では、強調表示効果(FM様変調)が新たなスクリーンに直接実装される。例えば、臨界階調レベルを下回るトーンを得るために、仮想ドットはもはやサイズが減少しないが、ブルーノイズ法で(例えば、Esko Sambaスクリーン技術を使用して)徐々に除去される。
【0063】
混合物中に異なるパターンを適用することも可能である。上記したのと同一の技術を用いて、
図8に示すように、2つの異なる分散グリッドパターン800及び802を有するスーパーセルを組み合わせてもよい。異なるパターンの組み合わせでは、2つの異なる分散グリッドパターンのそれぞれが互いに相関するため、パターンの組み合わせが、統合されたスクリーンの分散ルールに違反しない(すべての画素を分離しなければならない)。2つの互換パターンの例には、DDWSI及びWSIパターンが挙げられる。この2つのパターンは、次のように解釈される。
X_WSI=X_DDWSI+Y_DDWSI
Y_WSI=X_DDWSI-Y_DDWSI
このようなパターンは、少なくとも次の2つの方法で統合できる。
1.WSIに変換する変換を使用して新たなスクリーンが生成される。DDWSIパターンは、WSIグリッドに、欠けている画素を追加することによって、セルに基づく基準(例えば、ブルーノイズではDDWSIを最初に、互いに最も離れているセルに適用する)に統合される。
2.DDWSIに変換する変換を使用して新たなスクリーンが生成される。WSIパターンは、DDWSIグリッド内の画素を削除することによって、セルに基づく基準で統合される。
【0064】
別の方法には、WSIドットを、ある閾値で開始する「正常な」ベタAMドットと組み合わせることが挙げられる。「正常な」連続的なAMドットと、(露光された画素の数を8個だけ減少させる)孤立画素を含む「WSI」ドットとを組み合わせる方法の利点を、
図11A及び
図11Bを参照して理解することができる。
図11Bに示すように、ドットサイズの小さい方では、WSIドットは4つの露光画素しか含まないため、4つの階調レベルのみが可能であり、ドットは「正方形」であるのに対し、
図11Aに示す従来のAMドットは、いっそう丸みを帯びた形状に近づくさらに良好な能力を備えて、20画素、ひいては20階調レベルを有する。
【0065】
ドットが特定の面よりも小さくなったり、表現する色調が一定の閾値を下回ったりすると、ドットを、ベタドットを備えるWSIパターンで置き換える。理想的には、WSIドットからベタドットへの移行は、人間の眼による検出を最小限に抑える方法で実施する必要がある。これを実施するための方法の1つには、WSIドットを、最遠距離アルゴリズムを使用して互いに最も離れたドットが最初に置き換えられるように、最適な分布のベタドットで徐々に置き換えることが挙げられる。このため、
図12に示す例示的な実施形態では、WSIドットが、特定のサイズAMドット、即ちWSIドットが6画素を有する色調でのAMドットによって置き換えられ始める。さらに色調スケールを下げると、5画素及び4画素のWSIドットがこのほか、AMドットで置き換えられ、AMドットもまたサイズが減少する。ベタAMドットのみが残っているさらに淡い色調でも、本明細書で説明するように、ドット除去を伴うFM技術の使用を含む他の強調表示改良技術を採用してもよい。
【0066】
理想的には、WSIドットの印刷ドットサイズは、AMドットの印刷サイズと等しくなる必要がある。このため、WSI対AMサイズ比が識別され、このサイズ比は、WSIドットを置き換えるAMドットに対するWSIドットの比率を示す(例えば、4:20の比率は、4画素のWSIドットが20画素を含むAMドットで置き換えられることになることを示す)。
【0067】
この比率は、印刷条件に依存する可能性があり、異なる比率のスクリーンを印刷し、所与のセットの条件に対して目に見える遷移を生じさせない比率を選択することによって、経験的に判定され得る。例えば、
図13A及び
図13Bに示すように、使用される特定の印刷条件について4:20の比率にて、ベタドットは、WSIドットと等しいサイズのドットで印刷され、このため、遷移は視認できない。この時、ベタドット又はAMドットとともに使用することが知られているサポートドットなどの強調表示効果技術は、全ドットがベタである閾値未満で使用することができる。
【0068】
WSIとベタドットを混在させるには、ビットマップのいずれの画素も1つ以上の閾値レベルを有することができるように、スクリーンをマルチ閾値配列(又は単一のマルチ閾値ビットマップ)で表示することができる。例えば、淡い色合いでベタドットを表示するには、画素を互いに接続して特定のドットサイズを形成する必要がある。色合いとドットサイズを増大させるには、WSI/ソリッド移行点(その移行点では、ドットが、孤立画素を有するWSIドットになるため、特定の画素が再びオフに切り替わる)まで、さらに高い閾値でさらに多くの画素がオンになる。WSIドットに取って代わるAMドットは、同一の位置に配置される(即ち、AMドットのドット中心は、WSIドットの中心と同一のスクリーングリッド上にある)。これを得るために、AMスクリーンをWSIスクリーンに統合することによってではなく、スポット関数からAMドットを生成してもよい。各WSIドット中心位置にて、AMスポット関数が、適切な色調変調を用いて、特定の円形が得られるように、適切な閾値を判定する。
【0069】
この方法は、元のAMスクリーンに限定されない。記載された実施形態は、確率的スクリーニングスーパーセルを、高解像度分散画素グリッド上の全ドットを有する新たなものに完全に変換するために使用されてもよい。そのような実施形態では、AMスクリーニングの場合と同様に、「見掛けの」罫線は減少する。このため、例えば、高品質のオフセットで使用されるような高周波パターンを、フレキソ印刷にとっていっそう実用的であるはるかに低い周波数結果で変換してもよい。
図9A及び
図9Bに示すように、この方法は、任意のスーパーセルスクリーン、任意のビットマップ配列スクリーンに適用することができ、任意の形状のスクリーニングに容易に拡張される。
【0070】
レーザチューニング
特徴的な基本パターンを有する本明細書に記載のスクリーニングパターンは、理想的には、画素増強が可能な結像ユニットと組み合わせて使用される。基本パターンの各基礎要素(例えば、孤立画素)のサイズを制御するためのレーザ変調は、印刷条件の各セット(インク、基板、温度など)に対するインク保持特性を最大にするように調整又は最適化することができることを理解されたい。例えば、本明細書に記載のESKO CDIユニットが、レーザ「通常」強度(出力)の100~400%の間の制御可能な量の増強を有してもよい。
【0071】
レーザシステムは、
図14に示すような3×3構造ブロックを使用するなど、検出アルゴリズムを使用して孤立画素を識別するようにプログラムすることができる。同一の構造は、(a)北西と南東の角部の両方のみ又は(b)北東及び南西の角部の両方のみに存在する露光隣接画素を有する中心露光画素を探すことによって、単一画素の(増強してもよい)対角線を特定するのに使用することができる。
【0072】
このため、本明細書に記載のWSIドットを含むスクリーンは、理想的には、所望のデジタルパターンを生成するためのソフトウェアと、マスクを作成する際に孤立画素を検出し、孤立画素のサイズを調整するようにプログラムされた露光システムと、を組み合わせて実行される。このとき、このマスクは、当技術分野で知られているように、フラットトップ画素構造を作成するように設計されたシステムを使用して印刷版を作成するために理想的に使用される。本明細書で説明されるようにマイクロセルを有するマスクを作成するために孤立画素を増強するようにプログラム可能な1つの例示的な結像装置は、ドイツ国ItzehoeにあるEsko-Graphics Imaging GmbH社が製造するCDIデジタル結像装置であり、GRAPHOLAS(バージョン10.3.0以上)ソフトウェアがインストールされ、フラットトップドットを作成することができる。特に、画素ブーストとインラインUV機能を備えたEskoの「フルHD」とCDIクリスタルシステムは、ここに記載されているステップを実行するのに理想的である。孤立画素を増強すると、一般にスクリーンの機能を使用するだけでは得られない解像度が微調整されたレベルになる。そのような微調整は、スクリーンに階調を定義することと、ハードウェア変調を使用して定義されたインク転送能力と、を可能にする。
【0073】
本明細書ではEskoハードウェアに関連して説明したが、本発明は特定の製造業者のシステムに限定されない。UV露光を使用してフラットトップドットを作成するシステムが、当該技術分野では知られている。Eskoシステムでは、例えば、そのようなシステムには、ドラムを所望の速度で回転させることができる特定のUVヘッド及びサーボと、勾配屈折率レンズ又は非球面焦点レンズのような高解像度光学系と、を装備してもよい。フラットトップ露光の使用は、印刷版の頂部への露光を維持し、印刷版がそのマスクから作成されたときにインクを満たすためのいっそう顕著な「穴」を作成するため、特に望ましい。一般に、バンク光を模倣せず、広い角度分布を有することのないUVヘッドの使用も可能である。
【0074】
本明細書に記載されているような所望の印刷版特性を生成するために使用可能なシステムは、本明細書で考察する例示的なシステムに限定されない。本明細書で使用される「マスク」という用語は、印刷版露光ステップ中に使用される任意のタイプの構造を指してもよい。しかし、マスクを作成するためのUV露光システムに関して本明細書に示され説明されているが、印刷版材料を直接的に除去するためのレーザシステムがほかにも、印刷版に所望の効果を及ぼすように、レーザ出力を変調するようにプログラムされてもよい。レーザ露光に限定されず、マスク上の開口サイズを調整する任意の方法を使用してもよい。同じように、スクリーン情報がそのスクリーン情報に起因するインク伝達特性を有するスクリーンに対応する所望の印刷版構造を生成するような方法で、スクリーン情報を変換することができるマスクなどを使用する任意の製版方法を、本明細書に記載されるスクリーン構造と連動して使用することができる。
【0075】
本明細書に記載のシステム及び方法によって作成された印刷版を使用して作成された印刷物には、スクリーン罫線に依存しないドットゲインを有する傾向があり、ドットゲイン曲線は最小限の色調の飛びを有する。この技術はこのほか、ドット架橋を最小にする。
【0076】
本明細書で説明するWSI構造(即ち、孤立ドットの高解像度基本パターン)を有するスクリーンに関連して本明細書に記載されており、そのようなスクリーンをレーザ増強と組み合わせて使用することに利点があるが、望ましいインク伝達特性を、基本パターン内の4つの隣接する物理的スポットの各セットがその間の中心に未露光領域を有するように、スクリーニングスポットに対応する印刷版又はマスク上の物理的スポットのサイズを選択的に調整するように、調整することができる任意のシステムを用いて生成してもよい。例えば、
図15Bに示すように、個々の画素のレーザ露光を、典型的には、ベタ領域を全体的に覆う重複スポットを提供するように選択する。しかし、レーザ変調を、
図15Cに示すように、未露光領域が4つの隣接スポットの中心に生じるように、露光された各画素に対応するスポットサイズを小さくするために使用してもよい。
図15A及び
図15Cの両方に示すように、レーザによって形成されたスポットは、
図15Bのように全体的には重複していない。
図15Aではスポットの接触が描写されているが、ベタインク濃度が最大値未満に調整されるが、基板上のインク膜の均一性が同一である場合などに、スポットが接触しない構成も使用できることに留意されたい。このため、例えば、孤立画素を有する高解像度スクリーンを作成するのではなく、解像度の低いスクリーンを、スクリーンドットサイズにかかわらず、実際に画像化された構造が、本明細書で考察したインク転移の利点を提供する小さな未露光領域を含むことを保証するレーザ変調とともに、使用してもよい。
【0077】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に図示され説明されているが、本発明は、示された細部に限定されるものではない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲の均等物の範囲及び範囲内の細部にさまざまな変更を加えることができる。