(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/61 20140101AFI20240412BHJP
A63F 13/35 20140101ALI20240412BHJP
A63F 13/69 20140101ALI20240412BHJP
G06Q 30/0241 20230101ALI20240412BHJP
【FI】
A63F13/61
A63F13/35
A63F13/69
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2021198473
(22)【出願日】2021-12-07
(62)【分割の表示】P 2021037202の分割
【原出願日】2016-08-17
【審査請求日】2021-12-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】100167955
【氏名又は名称】山野 美可
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真人
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】澤田 真治
【審判官】殿川 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-172022(JP,A)
【文献】特開2002-189910(JP,A)
【文献】特開2016-63927(JP,A)
【文献】新 清士,“スマホゲーム内の広告を「等価交換」セガ、コストを圧縮”,[online],2013年9月26日,株式会社日本経済新聞社,日本経済新聞,インターネット<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXNASFK2501C_V20C13A9000000/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 13/00-13/98
A63F 9/24
G06Q 30/02
G06F 13/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
受信メッセージが開封されたことによって、ゲーム内において広告主(但し、前記ゲームのゲーム提供者を除く)が商品又はサービスを宣伝するための広告
(但し、ゲームプレイ中の広告を除く)を
、当該ゲーム内のプレイヤ
自身に表示する広告表示手段、
前記ゲーム内で利用される報酬であって所定期間内における提供量が制限される報酬を、前記広告が表示されたことによってプレイヤに提供する報酬提供手段、
として機能させるプログラム。
【請求項2】
前記広告表示手段は、前記広告主が提供する商品又はサービスに関する紹介と、前記広告主が提供する商品又はサービスのサイトにアクセスするためのリンクとを含む広告を表示する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記報酬提供手段は、プレイヤが前記ゲームをクリアしたことによって、前記報酬と同じ報酬を提供する、
請求項1又は請求項2記載のプログラム。
【請求項4】
受信メッセージが開封されたことによって、ゲーム内において広告主(但し、前記ゲームのゲーム提供者を除く)が商品又はサービスを宣伝するための広告
(但し、ゲームプレイ中の広告を除く)を
、当該ゲーム内のプレイヤ
自身に表示する広告表示手段と、
前記ゲーム内で利用される報酬であって所定期間内における提供量が制限される報酬を、前記広告が表示されたことによってプレイヤに提供する報酬提供手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項5】
コンピュータが、
受信メッセージが開封されたことによって、ゲーム内において広告主(但し、前記ゲームのゲーム提供者を除く)が商品又はサービスを宣伝するための広告
(但し、ゲームプレイ中の広告を除く)を
、当該ゲーム内のプレイヤ
自身に表示することと、
前記ゲーム内で利用される報酬であって所定期間内における提供量が制限される報酬を、前記広告が表示されたことによってプレイヤに提供することと、
を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークゲームを対象とした広告制御に関する。
【背景技術】
【0002】
通信端末としてだけでなくゲーム端末としてのスマートフォンの利用も一般化している。スマートフォンで親しまれているネットワークゲームは、ゲームサーバに構築されるプラットフォームにスマートフォンからアクセスすることで提供される。ネットワークゲームは、キャラクタの育成、他のプレイヤとの協力や競争、カードやアイテムの収集を重視した内容であることが多い。
【0003】
ネットワークゲームは、移動時間や休憩時間、就寝前などの隙間時間にプレイされることが多い。プレイヤから視認される機会が多いため、ネットワークゲームに広告を表示させれば、商品の認知度を高めやすいと考えられる。ここでいう広告としては、ゲームの広告であってもよいが、清涼飲料水や玩具などの商品広告であってもよいし、映画やスポーツ、テレビ番組の宣伝などさまざまな広告が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ゲームプレイに支障が出るほどの広告表示を行うと、ネットワークゲームによる広告効果を低下させてしまうことが懸念される。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、ネットワークゲームによる広告効果を高めるための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における情報処理装置は、ゲームの進行を制御するゲーム実行部と、所定のタイミングにて広告を表示させる広告表示部と、広告の表示を契機として、ゲームを有利に進めるためのゲームコンテンツをプレイヤに報酬として提供する報酬提供部と、を備える。
広告表示部は、広告の表示に際し、広告主から報酬を提供されたことを報知する。
【0008】
本発明のある態様におけるゲームサーバは、第1および第2のネットワークゲームを実行可能なゲーム端末と通信ネットワークを介して接続される。
ゲームサーバは、ゲーム端末における第1および第2のネットワークゲームの進行を管理するゲーム管理部と、ゲーム端末において第1および第2のネットワークゲームの実行中に表示させる広告をゲーム端末に送信する広告送信部と、広告の表示を契機として、ゲームを有利に進めるためのゲームコンテンツをプレイヤに報酬として提供する報酬提供部と、を備える。
広告送信部は、第1のネットワークゲームがゲーム端末にて実行されるとき、広告主の提供により第1のネットワークゲームを有利に進めるための報酬が提供される旨を示すとともに第2のネットワークゲームにおいても広告主から第2のネットワークゲームを有利に進めるための報酬が提供される旨も示す広告を送信する。
【0009】
本発明のある態様における情報処理装置は、ゲームのスポンサーの名称、および、ゲームを有利に進めるためのゲームコンテンツがスポンサーから提供されたことをゲーム内にて表示させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ネットワークゲームによる広告効果を高めやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】ゲームシステムのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態においては、ゲームサーバにより複数種類のネットワークゲームがゲーム端末に提供され、ゲームの協賛企業となる広告主(以下、「スポンサー」とよぶ)からはプレイヤにゲームコンテンツが提供される。ここでいうゲームコンテンツとは、キャラクタや装備品、アイテムやアイテムの抽選権など、プレイヤがゲームを有利に進める上で役に立つもの、あるいは、ゲーム世界でコレクションの対象となるものであればよい。以下、スポンサーの負担により提供されるゲームコンテンツのことを「スポンサー報酬」とよぶ。プレイヤがゲームを開始させるとき、ゲーム端末にはスポンサー報酬が提供された旨が表示される。スポンサーの負担によってゲームコンテンツをプレゼントすることにより、プレイヤのスポンサーに対する好感度を高める。
以下、スポンサー報酬の提供とその報知方法を中心として説明する。
【0013】
図1は、ゲームシステム100のハードウェア構成図である。
ゲームシステム100においては、ゲームサーバ102に対して、複数のゲーム端末104a、104b、104c・・・104n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「ゲーム端末104」と総称する)がインターネット106を介して接続される。本実施形態におけるゲーム端末104は、スマートフォンを想定している。ゲーム端末104は、携帯型のゲーム専用機であってもよいし、ラップトップPCなどの汎用コンピュータであってもよい。ゲーム端末104とインターネット106は無線接続されるが、有線接続されてもよい。ゲームのプレイヤにはプレイヤIDとよばれる一意のIDがあらかじめ付与されている。ゲームサーバ102は、各ゲーム端末104にゲームを提供する。
【0014】
図2は、ゲームシステム100の機能ブロック図である。
上述のように、ゲームシステム100は、ゲームサーバ102およびゲーム端末104を含む。ゲーム端末104およびゲームサーバ102の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
ゲームサーバ102は、ウェブサーバを含む構成であってもよいし、ゲーム端末104は、携帯型の通信端末と、これにインストールされたウェブブラウザを含む構成であってもよい。
【0015】
(ゲームサーバ102)
ゲームサーバ102は、通信部108、データ処理部110およびデータ格納部112を含む。
通信部108は、インターネット106を介してゲーム端末104との通信処理を担当する。データ格納部112は各種データを格納する。データ処理部110は、通信部108により取得されたデータおよびデータ格納部112に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部110は、通信部108およびデータ格納部112のインタフェースとしても機能する。データ格納部112は、ゲームプログラムなどの各種情報を格納する。
【0016】
データ格納部112は、広告格納部136およびプレイヤデータ格納部138を含む。
プレイヤデータ格納部138は、各プレイヤのプレイ状態、たとえば、プレイヤのランク、プレイヤが保有するゲームコンテンツ(キャラクタ、装備、アイテムなど)、プレイ時間、プレイヤ属性などに関する情報を格納する。プレイヤ属性とは、性別、年齢、居住地などプレイヤの個人属性を定義する情報である。広告格納部136は、広告情報を格納する。広告情報とは、ゲーム端末104に表示される広告の画像や文字情報などである。また、広告格納部136は、スポンサー報酬に関する情報も格納する。詳細は後述する。
【0017】
通信部108は、広告送信部142を含む。広告送信部142は、ゲーム端末104に広告情報を送信する。
【0018】
データ処理部110は、報酬提供部126、ゲーム管理部114およびプレイヤ登録部128を含む。
プレイヤ登録部128は、ゲーム端末104から通信部108を介してプレイヤ登録を受け付ける。プレイヤ登録部128は、プレイヤ登録がリクエストされると、プレイヤにプレイヤIDを付与し、プレイヤデータ格納部138に登録する。
【0019】
報酬提供部126は、プレイヤに報酬を提供する。報酬は、ゲームで利用可能なゲームコンテンツである。報酬は、プレイヤがゲーム中に所定の条件を達成したときに提供されることもあるし、スポンサー報酬として提供されることもある。ゲーム管理部114は、ゲームごと、プレイヤごとに、複数種類のゲームの進捗状態を管理する。
【0020】
(ゲーム端末104)
ゲーム端末104は、ユーザインタフェース部118、通信部116、データ処理部120およびデータ格納部122を含む。
ユーザインタフェース部118は、タッチパネルを介してプレイヤからの操作を受け付けるほか、画像表示や音声出力など、ユーザインタフェースに関する処理を担当する。通信部116は、インターネット106を介してゲームサーバ102や他のゲーム端末104との通信処理を担当する。データ格納部122は各種データを格納する。データ処理部120は、ユーザインタフェース部118や通信部116により取得されたデータ、データ格納部122に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部120は、ユーザインタフェース部118、通信部116およびデータ格納部122のインタフェースとしても機能する。
【0021】
データ処理部120は、ゲーム実行部132を含む。ゲーム実行部132は、ゲームサーバ102と連携してゲームの進行を制御する。ゲーム実行部132は、ゲームサーバ102からダウンロードされるソフトウェアモジュールとして形成されてもよい。
通信部116は、ゲームサーバ102から各種ゲーム情報を取得し、データ処理部120はユーザインタフェース部118にゲーム画面を表示させる。また、ユーザインタフェース部118はユーザによる各種入力を検出し、データ処理部120は入力情報をゲームサーバ102に通信部116を介して通知する。この入力情報に応じて、ゲームサーバ102のゲーム管理部114はゲーム端末104のゲーム実行部132と連携してゲームの進行を制御する。
【0022】
通信部116は、広告受信部140を含む。広告受信部140は、広告送信部142から広告を受信する。
【0023】
ユーザインタフェース部118は、プレイヤからの入力を受け付ける入力部124と、プレイヤに対して画像や音声等の各種情報を出力する出力部134を含む。入力部124は、主として、画面に対するプレイヤのタッチ操作を入力として検出する。出力部134は、広告受信部140が受信した広告を画面表示させる広告表示部130を含む。
【0024】
通常、ゲームのプレイ画面はゲーム実行部132が生成し、出力部134により表示される。マルチプレイの場合、ゲームサーバ102のゲーム管理部114が各プレイヤに共通のゲーム設定情報を管理する。ゲーム端末104のゲーム実行部132は、ゲームサーバ102が提供するゲーム設定情報とプレイヤによる操作入力に応じてプレイ画面を生成する。ゲームサーバ102のゲーム管理部114は、各プレイヤからの操作入力に基づいてゲーム設定情報を更新する。
【0025】
図3は、広告設定テーブル144のデータ構造図である。
広告設定テーブル144は、広告格納部136に格納される。ゲームサーバ102は、複数のゲームG1~Gnを提供する。プレイヤは、任意のゲームをゲーム端末104にダウンロードする。スポンサーは、広告料をゲーム運営会社に支払うことで1以上のゲームに広告を出稿する。
図3においては、スポンサーS1は、ゲームG1,G2,G3の3つのゲームに広告を出稿している。
【0026】
広告料の一部は、スポンサー報酬としてプレイヤに提供される。詳細は後述するが、ゲームG1をプレイするとき、ゲーム開始時(ログイン時)に広告画面が表示される。広告画面が表示されたとき、ゲーム端末104の通信部116はどのゲームの広告画面がどのプレイヤによって表示されたかをゲームサーバ102に通知する。報酬提供部126は、広告設定テーブル144を参照して、プレイヤにスポンサー報酬を提供する。
【0027】
図3によれば、ゲームG1の広告画面が表示されたとき、スポンサーS1からプレイヤに対して10個の「石」が提供される。ここでいう「石」とは、ゲームコンテンツの一種であり、所定個数の石を消費することでプレイヤは抽選を実行できる。抽選結果に応じて、プレイヤは、さまざまなキャラクタや装備品、アイテムを取得できる。石は、プレイヤがゲームを有利に進めるチャンスを拡大する通貨のようなゲームコンテンツである。報酬提供部126は、プレイヤデータ格納部138のプレイヤデータを更新し、プレイヤが保有するゲームコンテンツとして10個の石を追加することでスポンサー報酬をプレイヤに提供する。
【0028】
広告画面には、スポンサーS1の公式サイトへのリンクも貼られる。プレイヤがこのリンクを選択してスポンサーS1のサイトへアクセスしたときには、スポンサーS1は30個の石をプレイヤに提供する。更に、プレイヤがスポンサーS1に対してメールアドレスを登録したときには、スポンサーS1はプレイヤに40個の石をスポンサー報酬としてプレゼントする。プレイヤは、スポンサーS1のゲーム内広告を見て、スポンサーS1のサイトにアクセスし、メールアドレスを登録すれば合計80個の石を、いわば、スポンサーS1の「奢り」で手に入れることができる。
【0029】
石は、ゲームごとに固有のゲームコンテンツである。たとえば、ゲームG1で手に入れた石はゲームG1でしか使うことはできない。変形例として、ゲームG1で手に入れた石を他のゲームでも使えるとしてもよい。
【0030】
図3によれば、スポンサーS2は、ゲームG4,G5の2つのゲームに広告を出稿している。ゲームG4をプレイするとき、ゲーム開始時に広告画面が表示され、プレイヤにはゲームG4で使用可能な石が5個提供される。石以外にもさまざまなスポンサー報酬が提供されてもよい。ゲームG4,G5のいずれかを介してスポンサーS2の公式サイトにアクセスすると、スポンサー報酬としてキャラクタC1が提供される。また、メールアドレス登録をしたときには、キャラクタの魔法能力を強化するアイテムである魔導書Mが提供される。
【0031】
石やキャラクタC1、魔導書Mなどのゲームコンテンツはプレイヤにとっていずれも有価値であるから、ゲームバランスを維持するために無制限に供給できない。通常、プレイヤは抽選や、ゲームにおいて設定されるボスキャラクタを倒すなどのミッションをクリアすることによりこのようなゲームコンテンツを手に入れる。いいかえれば、ゲームコンテンツは、プレイヤがゲームにかけるコスト(労力)の対価として得られるものである。
【0032】
本実施形態においては、更に、スポンサーによってもゲームコンテンツ(スポンサー報酬)が提供される。スポンサー報酬は、ゲームを実行するときに自動的に得られることもあれば、サイトへのアクセスやメールアドレス登録などの追加行動を条件として得られることもある。スポンサーは広告料をゲーム運営会社に支払い、ゲームに広告を表示させることができる。広告料はゲーム運営会社の収益となるが、その一部はスポンサー報酬としてプレイヤに還元される。ゲーム運営会社は、ゲームバランスを維持するため、スポンサー報酬が過剰に供給されないように調整する。ゲーム端末104の報酬提供部126は、所定期間内におけるスポンサー報酬の総供給量にキャップを設けてもよい。
【0033】
図4は、第1広告画面146の画面図である。
広告表示部130は、ゲームG1がプレイされるときの初期画面として第1広告画面146を表示させる。
図3の広告設定テーブル144に示したように、ゲームG1に広告を出稿しているのはスポンサーS1である。このため、第1広告画面146はスポンサーS1のための広告である。
【0034】
第1広告画面146は、バナー広告148と紹介広告150を含む。バナー広告148には、スポンサーS1の公式サイトへのリンクが貼られる。プレイヤはバナー広告148を選択することにより、スポンサーS1の公式サイトにアクセスできる。通信部116は、バナー広告148へのアクセスが発生すると、アクセス発生をゲームサーバ102に通知する。このとき、報酬提供部126はプレイヤに石30個をスポンサー報酬として提供する(
図3参照)。
【0035】
スポンサーS1の公式サイトにおいては、メールアドレスを登録できる。通信部116は、メールアドレス登録がなされたとき、その旨をゲームサーバ102に通知する。このとき、報酬提供部126はプレイヤに石40個をスポンサー報酬として提供する(
図3参照)。
【0036】
広告格納部136には、スポンサーごとに、バナー広告148の画像および公式サイトのURL(Uniform Resource Locator)を広告情報として格納する。広告送信部142は、広告情報をゲーム端末104に送信し、広告受信部140は広告情報を受信し、広告表示部130は広告情報に基づいてバナー広告148を表示させる。
【0037】
紹介広告150には、第1広告画面146が表示されたとき、スポンサー報酬(石10個)が提供された旨が示される。紹介広告150に記載される文章は、報酬提供部126により自動生成され、広告情報の一部として広告送信部142から広告受信部140に送信される。紹介広告150は、スポンサーが任意の文章データを設定してもよい。
図4においては、映画「AX」を提供するスポンサーS1から、石10個がスポンサー報酬としてプレゼントされたこと、バナー広告148から映画「AX」の公式サイトにアクセスすれば更に石をもらえることが示される。
【0038】
ゲームG1をプレイするとき第1広告画面146は自動表示される。いいかえれば、プレイヤはゲームG1を通常通りプレイするだけでスポンサー報酬を取得できる。第1広告画面146の紹介広告150において、スポンサーS1からスポンサー報酬が与えられた旨が報知される。プレイヤは、スポンサーS1のために行動しなくてもスポンサー報酬が提供されるため、スポンサーS1に対して好感を抱きやすい。
【0039】
通常、ゲームを始めるときに広告表示がなされると、プレイヤは広告を煩わしく感じることもある。しかし、本実施形態における第1広告画面146は、スポンサー報酬が与えられたことをプレイヤに報知するための画面でもある。いいかえれば、第1広告画面146は、広告を強制的にプレイヤに対して表示する画面ではない。第1広告画面146がプレイヤにとって好ましい情報を伝えるものとなっているため、プレイヤは第1広告画面146の表示による煩わしさを感じにくい。
【0040】
スポンサーS1に対して親近感をもったプレイヤは、スポンサー報酬のお礼として、スポンサーS1の公式サイトにアクセスする、メールアドレス登録をする、アンケートに答えるなどの追加行動で応えやすくなる。また、スポンサーは、第1広告画面146を見て映画「AX」を認知させるだけではなく、公式サイトにアクセスする、メールアドレス登録するなど、プレイヤの行動に対してスポンサー報酬によって段階的に報いることができる。この結果、商品購入の見込みが高い顧客に広告予算(スポンサー報酬)を集中させやすくなる。
【0041】
図5は、第2広告画面152の画面図である。
広告表示部130は、ゲームG1において第1広告画面146の表示後、第2広告画面152を表示させる。第2広告画面152は、誘導広告154とダウンロードボタン156を含む。スポンサーS1は、ゲームG1のほか、ゲームG2,G3にも広告を出稿している(
図3参照)。誘導広告154においては、スポンサーS1がゲームG1のほか、別のゲームG2,G2にもスポンサー報酬を提供している旨が示される。誘導広告154の記載内容も、広告情報の一部として報酬提供部126により生成される。
【0042】
ダウンロードボタン156により、プレイヤはゲームG2,G3をダウンロードできる。プレイヤは、ゲームG1をプレイすることでスポンサー報酬を得るメリットを実体験しているため、別のゲームでも同じくスポンサー報酬を得たいと考えやすい。このような方法により、ゲームG1を介して、ゲームG2,G3がダウンロードされる機会を拡大できる。これはゲーム運営会社にとってもメリットがあるし、スポンサーS1も広告露出量を拡大できるメリットがある。なお、たとえば、プレイヤがゲームG2をダウンロード済みである場合には、ゲームG2用のダウンロードボタン156に代えて、ゲームG2のアプリを起動させるボタンを第2広告画面152に表示させてもよい。
【0043】
以上、実施形態に基づいてゲームシステム100を説明した。
ネットワークゲームは、隙間時間において少しずつかつ高頻度にてプレイされることが多い。このため、ネットワークゲームの広告は商品認知度を高める上で有効であると考えられる。本実施形態においては、公式サイトにアクセスする、メールアドレスを登録する、などの行動を前提としてスポンサー報酬を与える前に、ゲームをプレイするだけでスポンサー報酬を実質的には無条件で提供している。プレイヤに行動を求めるよりも先にスポンサー報酬を提供することにより、スポンサーに対する好感度を高めることができる。
【0044】
スポンサーに対して好感を持ったプレイヤは、公式サイトにアクセスする、メールアドレスを登録する、アンケートに答える、スポンサーに関する商品を購入するなどの追加行動を実行しやすくなる。また、追加行動のインセンティブとして、行動ごとにスポンサー報酬が設定される。たとえば、広告期間を15日間に設定した場合、最初の5日間は第1広告画面146が表示されるごとにスポンサー報酬が提供され、6日目~8日目までは公式サイトにアクセスするごとにスポンサー報酬が提供されるとしてもよい。9日目以降は、メールアドレス登録、アンケートの回答、商品購入など、消費または消費につながる行動ごとにスポンサー報酬を設定すればよい。
【0045】
本実施形態における第1広告画面146は、ゲーム中ではなく、ゲームの開始時に表示されている。ゲームプレイ中の広告ではないため、ゲームの世界観を守りやすい。更に、
図5に関連して説明したように、スポンサー報酬をインセンティブとして、さまざまなゲームにプレイヤを誘導することもできる。
しかし、ゲーム中に広告表示を行うと、プレイヤが広告表示を煩雑に感じてしまう可能性がある。特に、ゲームプレイに支障が出るほど目立つ広告表示をすると、広告主の企業イメージをかえって低下させてしまうことも懸念される。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0047】
複数のゲーム端末104と1つのゲームサーバ102によりゲームシステム100が構成されるとして説明したが、ゲーム端末104の機能の一部はゲームサーバ102により実現されてもよいし、ゲームサーバ102の機能の一部がゲーム端末104に割り当てられてもよい。また、ゲームサーバ102やゲーム端末104以外の第3の装置が、機能の一部を担ってもよい。
図2において説明したゲーム端末104の各機能とゲームサーバ102の各機能の集合体は大局的には1つの「情報処理装置」として把握することも可能である。1つまたは複数のハードウェアに対して、本発明を実現するために必要な複数の機能をどのように配分するかは、各ハードウェアの処理能力やゲームシステム100に求められる仕様等に鑑みて決定されればよい。
【0048】
一般的には、人は商品について多くの情報に高頻度で接するほど商品に対する欲求が高まるという心理傾向がある。ネットワークゲームは、プレイヤから視認される頻度が高いため、第1広告画面146においては商品情報を少しずつ開示することでプレイヤの商品に対する興味を高めることが可能である。たとえば、商品が映画作品である場合、1回目に表示される第1広告画面146においては映画の概要を説明し、2回目に表示される第1広告画面146においては映画のキャストを説明し、3回目に表示される第1広告画面146において俳優のコメントを表示してもよい。第1広告画面146を複数回表示させるときには紹介広告150の内容を変化させることで、プレイヤの商品に対する興味を高めることができる。
【0049】
商品購入時にもスポンサー報酬が与えられるとしてもよい。店舗端末は、ゲーム端末104からプレイヤIDを取得し、プレイヤIDとともに商品購入をゲームサーバ102に通知する。通知を受けたとき、報酬提供部126はスポンサー報酬をプレイヤに提供する。ゲームサーバ102は、第1広告画面146を見ただけのプレイヤ、メールアドレス登録までしたプレイヤ、実際に商品購入をしたプレイヤなどさまざまな情報を集めることができる。ゲームサーバ102のデータ処理部110は、これらの情報により、各プレイヤ(顧客)が、商品に対して興味をもっているか、積極的な行動をしやすいタイプか、などの顧客プロファイルを作成する「プロファイル生成部」を有してもよい。広告送信部142は、広告商品以外の商品を紹介する広告情報を高反応の顧客に送信してもよい。また、ゲームとスポンサーのコラボレーションも考えられる。たとえば、広告を見た人やメールアドレス登録をした人、アンケートに答えた人だけがプレイできるミニゲームが提供されてもよい。
【0050】
ゲームサーバ102のデータ処理部110は、「出稿制御部」を備えてもよい。出稿制御部は、スポンサーから提供される広告料やスポンサーの企業イメージに応じて、どのゲームにどのくらいの期間、広告出稿するかを判定する。たとえば、女性をターゲットにした商品の広告は、女性プレイヤの多いゲームに出稿すれば広告効果が高まると考えられる。出稿制御部は、商品のターゲット層と、各ゲームの顧客プロファイルをマッチングすることで広告出稿対象となるゲームを選択してもよいし、スポンサーに提案してもよい。
【0051】
あるゲームに広告を出稿できるスポンサーは1社に限定してもよい。広告料に応じて広告の表示期間が設定されてもよい。また、スポンサーS1が、第1広告画面146において5日間広告表示する権利を得た場合、5日間にわたって同一商品を広告してもよいし、5日間それぞれに異なる商品を広告してもよい。
【0052】
あるゲームに同時期に複数のスポンサーが広告表示可能であってもよい。たとえば、スポンサーS1とスポンサーS2の広告料が7:3であるときには、第1広告画面146においては70%の確率にてスポンサーS1の広告が表示され、30%の確率にてスポンサーS2の広告が表示されるとしてもよい。
【0053】
プレイヤ人口の多いゲームほど、広告効果が高くなる。したがって、人気が高いゲームであれば、広告料が高くても支払う価値がある。良質のゲームを提供するゲーム運営会社ほど有利となる。
【0054】
広告を確実に視認されるため、第1広告画面146は所定時間、たとえば、3秒間程度表示したあとでなければクローズできないとしてもよい。
【0055】
第1広告画面146は、ゲーム開始時(ログイン時)に表示されるとして説明したが、このほかにもゲーム終了時、ゲーム内のミッション達成時、受信メッセージの開封時、所定時刻になった時など、プレイに支障の出ない任意のタイミングにて第1広告画面146や第2広告画面152を表示してもよい。
【符号の説明】
【0056】
100 ゲームシステム、102 ゲームサーバ、104 ゲーム端末、106 インターネット、108 通信部、110 データ処理部、112 データ格納部、114 ゲーム管理部、116 通信部、118 ユーザインタフェース部、120 データ処理部、122 データ格納部、124 入力部、126 報酬提供部、128 プレイヤ登録部、130 広告表示部、132 ゲーム実行部、134 出力部、136 広告格納部、138 プレイヤデータ格納部、140 広告受信部、142 広告送信部、144 広告設定テーブル、146 第1広告画面、148 バナー広告、150 紹介広告、152 第2広告画面、154 誘導広告、156 ダウンロードボタン