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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】積層ガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 27/12 20060101AFI20240412BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
C03C27/12 R
B60J1/00 H
【請求項の数】 29
(21)【出願番号】P 2021510675
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 GB2019052440
(87)【国際公開番号】W WO2020044061
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】18425073.6
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】グスターボ ベネデット
(72)【発明者】
【氏名】ネイル ウィンスタンレー
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/101428(WO,A1)
【文献】特開2017-121804(JP,A)
【文献】特開2012-254624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C27/12
B32B17/20
B60J1/00-1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの接着性中間層材料シートを有する中間層構造を間に介在させることにより第2板ガラスに対して接合される第1板ガラスを備える積層車両サイド・ウィンドウであり、
前記第1板ガラスは、第1大表面と反対側の第2大表面と周縁とを有し、
前記第2板ガラスは、第1大表面と反対側の第2大表面と周縁とを有し、
好適には、前記第2板ガラスの厚さは前記第1板ガラスの厚さよりも薄いものであり、
前記積層車両サイド・ウィンドウは、前記第1板ガラスの前記第2大表面が前記第2板ガラスの前記第1大表面に対面するよう構成されており、ここで、前記第2板ガラスの前記周縁は前記第1板ガラスの前記周縁内に囲まれており、
前記第1板ガラスは、前記第1板ガラスにおける前記第1及び第2の大表面間に第1端縁表面を有し、
前記第2板ガラスは、前記第2板ガラスにおける前記第1及び第2の大表面間に第1端縁表面を有し、
前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は前記第2板ガラスの前記第1大表面に交差し、前記第2板ガラスの第1端縁を画定し、また
前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は前記第2板ガラスの前記第2大表面に交差し、前記第2板ガラスの第2端縁を画定する
該積層車両サイド・ウィンドウであって、
前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間に少なくとも1つの領域を有するよう構成され、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.7倍である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項2】
請求項1記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、少なくとも1つの平坦部分及び/又は少なくとも1つの凹状部分及び/又は少なくとも1つの凸状部分を有する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項3】
請求項1又は2記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、以下のように構成される、すなわち、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.8倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.9倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも2倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも2.5倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも3倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも4倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも5倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも6倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも7倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも8倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも9倍である、ように構成される、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項4】
請求項1~3のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの10倍未満であるよう構成される、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有し、
前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分に対して角度をなしている、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項6】
請求項5記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は平坦表面又は湾曲表面である、及び/又は前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分は平坦表面又は湾曲表面である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項7】
請求項5又は6記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1端縁表面部分は、前記第2端縁表面部分に対して、10°~60°の間における角度、好適には10°~50°の間における角度、より好適には10°~40°の間における角度、より一層好適には20°~40°の間における角度をなして傾斜する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項8】
請求項5~7のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分と、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分との間に第3端縁表面部分を有し、好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分が、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分に交差して第2板ガラスの第3端縁を画定し、前記第2板ガラスの前記第3端縁が前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間に存在する、さらに好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分が前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分に交差して第2板ガラスの第4端縁を画定する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項9】
請求項8記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分は前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1及び/又は第2の端縁表面部分に対して傾斜する、及び/又は前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分は平坦表面又は湾曲表面である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1及び第2の大表面間における対称平面に対して対称的であり、好適には、前記対称平面は、前記第2板ガラスの前記第1大表面と前記第2大表面との間でこれら大表面に対して等間隔かつ平行である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記中間層構造は第1端縁表面を有し、前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁に少なくとも部分的に整列し、好適には、前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第2端縁に少なくとも部分的に整列する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面は湾曲しかつ頂点を有し、さらに、前記中間層構造は第1端縁表面を有し、また前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における前記頂点に少なくとも部分的に整列する、又は前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における前記頂点に対してオフセットされる、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項13】
請求項1~12のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第1板ガラスの前記第1端縁表面は、前記積層ガラスの同一端縁表面に沿う、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項14】
請求項1~13のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1板ガラスは、熱的に強靭化した板ガラス若しくは熱的に半強靭化した板ガラスである、及び/又は前記第1板ガラスは1.3mm~6mmの間における厚さを有する、及び/又は前記第2板ガラスは0.3mm~1.2mmの間における厚さを有する、好適には、前記第2板ガラスは0.4mm~1.0mmの間における厚さを有する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項15】
請求項1~14のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1板ガラスは、1.3mm~1.49mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で18MPa~23MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは、1.5mm~1.69mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で23.1MPa~26MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは、1.7mm~1.99mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で26.1MPa~30MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは、2.0mm~2.19mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で30.1MPa~35MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは、2.2mm~2.49mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で35.1MPa~45MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは2.5mm~2.7mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で45.1MPa~65MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、又は前記第1板ガラスは、2.71mm~6mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で65.1MPa~150MPaの範囲内、好適には65.1MPa~100MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項16】
請求項1~15のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスは、化学的に強化されている、好適には、400MPaより大きい表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される、好適には400MPa~900MPaの間における、より好適には400MPa~700MPaの間における、より一層好適には450MPa~675MPaの間における表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される、及び/又は前記第2板ガラスは、10μm~60μmの間における、より好適には25μm~45μmの間における、より一層好適には30μm~40μmの間における層深さ(DOL)を有するよう化学的に強化される、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項17】
請求項1~16のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの前記少なくとも1つの領域は、前記第2板ガラスの前記第1端縁及び第2端縁の全長間に延在する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項18】
請求項1~17のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1板ガラス及び/又は前記第2板ガラスは、前記積層車両サイド・ウィンドウを、好適には垂直方向に移動させる機構に対して前記積層車両サイド・ウィンドウを連結するためのそれぞれに対応する第1連結部分を有し、前記各連結部分は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面とは反対側の端部におけるものである、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項19】
請求項1~18のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの第1端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁であり、好適には、前記第2板ガラスの前記丸み付き第1端縁における前記曲率半径は、0.5mm未満である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項20】
請求項1~19のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第2板ガラスの第2端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁であり、好適には、前記第2板ガラスの前記丸み付き第2端縁における前記曲率半径は、0.5mm未満である、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項21】
請求項1~20のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウにおいて、前記第1及び/又は第2の板ガラスにおける前記第1及び/又は第2の大表面はコーティングを有し、好適には、太陽光制御コーティング及び/又は少なくとも1つの銀層から成るのが好ましい低放射率コーティングを有する、積層車両サイド・ウィンドウ
【請求項22】
開口部を有する車両であって、請求項1~21のうちいずれか1項記載の積層車両サイド・ウィンドウが前記開口部内で移動可能である、車両。
【請求項23】
積層車両サイド・ウィンドウを作成する方法であって、
(i) 周縁を有し、また1.3mm~6mmの間における厚さを有するのが好ましい第1板ガラスを準備するステップと、
(ii) 前記第1板ガラスを端縁加工するステップであって、前記第1板ガラスに対して端縁加工済みの前記第1板ガラスの第1大表面と第2大表面との間に第1端縁表面を設けるステップと、
(iii) 周縁を有し、また0.3mm~1.2mmの間における厚さ、より好適には0.3mm~1.0mmの間における厚さ、より一層好適には0.4mm~1.0mmの間における厚さを有するのが好ましい第2板ガラスを準備するステップと、
(iv) 前記第2板ガラスを端縁加工するステップであって、前記第2板ガラスに対して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第1大表面と第2大表面との間に第1端縁表面を設け、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が端縁加工済みの前記第2板ガラスの前記第1大表面に交差して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第1端縁を画定し、また前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が端縁加工済みの前記第2板ガラスの前記第2大表面に交差して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第2端縁を画定するステップと、
(v) 端縁加工済みの前記第1板ガラスと端縁加工済みの前記第2板ガラスとの間に、少なくとも1つの接着性中間層材料シートから成る中間層構造を位置決めするステップであって、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が前記積層車両サイド・ウィンドウの端縁表面と共通するよう配列させる、ステップと、並びに
(vi) 適切な積層化手段を使用して、前記第2板ガラスの前記周縁が前記第1板ガラスの前記周縁内に囲まれるように、端縁加工済み前記第1板ガラスを端縁加工済み前記第2板ガラスに接合させるステップと、
を備え、
端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間に少なくとも1つの領域を有するよう構成され、前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.7倍であるようにする、方法。
【請求項24】
請求項23記載の方法において、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、少なくとも1つの平坦部分及び/又は少なくとも1つの凹状部分及び/又は少なくとも1つの凸状部分を有する、方法。
【請求項25】
請求項23又は24記載の方法において、前記ステップ(ii)に続いて、整形プロセス、とくに、プレス曲げプロセス又は重力曲げプロセスを用いて1つ又はそれ以上の方向に前記第1板ガラスを曲げ、前記整形プロセスは、端縁加工済み前記第1板ガラスを曲げに適した温度に加熱し、次に軟化した前記第1板ガラスを曲げ、次に後のステップ(v)で使用するため曲げた前記第1板ガラスを冷却する、方法。
【請求項26】
請求項23~25のうちいずれか1項記載の方法において、前記ステップ(ii)に続いて、前記第1板ガラスを化学的に強化する若しくは熱的に強化する、及び/又は前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスを化学的に強化する若しくは熱的に強化する、好適には、前記ステップ(v)の前には端縁加工済み前記2板ガラスが平坦であり、好適には、前記第2板ガラスが前記ステップ(iv)後に化学的に強化してあるものとする、方法。
【請求項27】
請求項23~26のうちいずれか1項記載の方法において、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は少なくとも第1端縁表面部分を有し、前記ステップ(iv)に続いて、前記第1端縁表面部分を前記第1板ガラスの前記第1端縁表面に向かって傾斜させる、及び/又は前記ステップ(v)後に、端縁加工済み前記第1板ガラスの前記第1端縁表面を端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面に整列させる、方法。
【請求項28】
請求項23~27のうちいずれか1項記載の方法において、前記第2板ガラスはアルカリ性アルミノケイ酸塩ガラス組成とする、及び/又は前記第2板ガラスは少なくとも6重量%のAl2O3を有するものとする、及び/又は前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスは化学的に強化され、400MPaより大きい表面圧縮応力を有するよう、好適には400MPa~900MPaの間における、好適には400MPa~700MPaの間における、より一層好適には450MPa~675MPaの間における表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される、及び/又は前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスはほぼ900MPa付近の表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される、及び/又は前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスは、10μm~60μmの間における、より好適には25μm~45μmの間における、より一層好適には30μm~40μmの間における層深さ(DOL)を有するよう化学的に強化される、方法。
【請求項29】
請求項23~28のうちいずれか1項記載の方法において、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくともx倍となる、ここでxは、1.8、若しくは1.9、若しくは2.0、若しくは2.5、若しくは3、若しくは4、若しくは5、若しくは6、若しくは7、若しくは8、若しくは9であるように構成される、及び/又は前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの15倍未満、好適には前記第2板ガラスの前記厚さの10倍未満となるよう構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層ガラス、とくに、車両に可動サイド・ウィンドウとして使用される積層ガラス、及び積層ガラスを作成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層ガラスは従来周知の技術である。特許文献1(欧州特許公開第2708355号)は、樹脂シートの両側表面に一体にラミネートした板ガラスによって得られる積層体を記載している。板ガラスは、300μm以下の厚さを有し、板ガラスの端部表面は面取りをする。特許文献2(国際公開第03/086996号)は、楔形板ガラスをこのような板ガラスを組み込んだ積層透明フィルムを記載している。特許文献3(欧州特許公開第3100854号)は、建築又は内装用途のためのラ積層及び湾曲させた安全ガラスパネル並びにこのようなパネルを製造する方法を記載している。
【0003】
積層ガラスが自動車車両ウィンドウとして使用されることは周知である。通常、ウィンドウは車両フロントガラスであるが、車両のサイド・ウィンドウ、リア・ウィンドウ又はサンルーフでもあり得る。従来技術において車両のサイド・ウィンドウは、サイドライト(横窓)とも称されることがあり得る。一般的に、車両は、車両の各サイドに、すなわち、助手席側及び運転席側に少なくとも1つの、通常は2つの可動サイド・ウィンドウを有する。可動サイド・ウィンドウに加えて、1つ又はそれ以上の固定サイド・ウィンドウ、例えば、フロント又はリアの三角窓があり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許公開第2708355号明細書
【文献】国際公開第03/086996号パンフレット
【文献】欧州特許公開第3100854号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転席側のドアにおいて、適当なワインダ機構を作動させることによって垂直方向に移動可能であるサイド・ウィンドウが存在する。ワインダ機構は、手動で又は電気的に動作させることができ、またサイド・ウィンドウに機械的に伝達し合う少なくとも1つの素子を有し、運転席側サイド・ウィンドウを画定する車両開口部内でサイド・ウィンドウを移動させる。
【0006】
サイド・ウィンドウを下方にワインディングする際に、サイド・ウィンドウの上側端縁が露出し、サイド・ウィンドウを完全に巻き下げるまで車両開口部において見える。
【0007】
可動サイド・ウィンドウを閉鎖位置まで巻き上げる際、サイド・ウィンドウの上側端縁領域は、適当な弾性材料、例えば、ゴムによりシールを形成し、車両内に湿気の浸入を防止する。このシールは、車外から車内に侵入する音を制限するのにも役立つ。
【0008】
若干の車両に関して、可動サイド・ウィンドウは車両ドアにおけるフレーム内に完全に包囲されない。この結果として、運転席側ドアを開けるためには、車両をロック解錠及び/又は運転席側ドアを開けるとき、運転席側サイド・ウィンドウを自動的に下方に移動させる。運転席側サイド・ウィンドウにおけるこの自動的下方移動は、サイド・ウィンドウの上側端縁領域を適当な弾性手段とのシール係合から解放し、これにより運転席側ドアを開けることができる。助手席側ドアは同様に挙動し、また通常運転席側及び助手席側双方のサイド・ウィンドウは、車両をロック解錠するのと同時に自動的に下方に移動する。
【0009】
このタイプの車両に関しては、上述したように、運転席側ドアを開ける又は車両をロック解錠する度毎に、サイド・ウィンドウが下方に移動し、また次に、適当な弾性手段とのシールを再形成することになる。
【0010】
サイド・ウィンドウのこの回数が増える垂直方向上下移動に起因して、可動サイド・ウィンドウの上側端縁領域を弾性手段に対してシール解除/シールする必要上弾性手段が摩耗する可能性を増す。
【0011】
本発明者は、この損傷可能性は、サイド・ウィンドウが積層サイド・ウィンドウであるとき、とくに、化学的に強化されたガラスの内側ペインを有する積層サイド・ウィンドウであるときに一層増大することを見出した。
【0012】
本発明は、上述した問題を少なくとも部分的に克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
したがって、本発明は、第1態様から、少なくとも1つの接着性中間層材料シートを有する中間層構造を間に介在させることにより第2板ガラスに対して接合される第1板ガラスを備える積層ガラスを提供するものであり、前記積層ガラスにおいて、前記第1板ガラスは、第1大表面と反対側の第2大表面とを有し、前記第2板ガラスは、第1大表面と反対側の第2大表面とを有し、前記積層ガラスは、前記第1板ガラスの前記第2大表面が前記第2板ガラスの前記第1大表面に対面するよう構成されており、前記第1板ガラスは、前記第1板ガラスにおける前記第1及び第2の大表面間に第1端縁表面を有し、前記第2板ガラスは、前記第2板ガラスにおける前記第1及び第2の大表面間に第1端縁表面を有し、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は前記第2板ガラスの前記第1大表面に交差し、前記第2板ガラスの第1端縁を画定し、また前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は前記第2板ガラスの前記第2大表面に交差し、前記第2板ガラスの第2端縁を画定する、該積層ガラスであって、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間に少なくとも1つの領域を有するよう構成され、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.7倍である。
【0014】
疑義を回避するため、また例として、1.0mmの厚さを有する第2板ガラスに関して、第2板ガラスの第1端縁表面は、第2板ガラスの第1端縁と第2端縁との間に少なくとも1つの領域を有し、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、少なくとも1.7mm、すなわち、(1.0×1.7)mmである。
【0015】
好適には、第2板ガラスの第1端縁上の第1ポイント及び第2板ガラスの第2端縁上の第2ポイントは、第2板ガラスの第1大表面における垂線に平行なライン上に存在する。
【0016】
好適には、第2板ガラスの第1端縁上の第1ポイントは第2板ガラスの第1大表面に対する垂線上に存在し、また第2板ガラスの第2端縁上の第2ポイントは第2板ガラスの第2大表面に対する垂線上に存在する。
【0017】
純粋に幾何学上の意味において、第2板ガラスの第1端縁及び第2端縁は、第2板ガラスの第1大表面及び第2大表面が第2板ガラスの第1端縁表面に交差することによって画定されるラインである。例えば、第2板ガラスが立方体として構成された場合、端縁は、立方体の2つの隣接する面が交差することによって画定される直線である。立方体が丸み付き端縁を有する場合、端縁を画定するラインは、実質的に第1端縁表面と第1又は第2の大表面との間の曲率半径によって画定される幅を有する。丸み付き端縁は第1端縁表面の一部として見なすことができる。
【0018】
第1端縁表面が特許請求の範囲の請求項1に記載した通りに定義されるよう積層ガラスの端縁表面を構成することによって、上述した車両サイド・ウィンドウに使用されるタイプのシール係合表面に対する損傷が少なくなる可能性がある。
【0019】
好適には、前記第2板ガラスの第1端縁表面は、平坦表面又はほぼ平坦な表面である。
【0020】
好適には、前記第2板ガラスの第1端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、第2板ガラスの丸み付き第1端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。第2板ガラスの丸み付き第1端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0021】
好適には、第2板ガラスの第2端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、第2板ガラスの丸み付き第2端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。第2板ガラスの丸み付き第2端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0022】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、少なくとも1つの平坦部分及び/又は少なくとも1つの凹状部分及び/又は少なくとも1つの凸状部分を有する。
【0023】
好適には、第2板ガラスの第1端縁表面は、第2板ガラスの第1大表面と第2大表面との間で頂点を有する。
【0024】
好適には、第2板ガラスは、第1板ガラスの厚さより薄い厚さを有する。
【0025】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、以下のように構成される、すなわち、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.8倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.9倍である、ように構成される。
【0026】
好適には、第2板ガラスの第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも2倍である、ように構成される。
【0027】
好適には、第2板ガラスの第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも2.5倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも3倍である、ように構成される。
【0028】
好適には、第2板ガラスの第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも4倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも5倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも6倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも7倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも8倍である、又は前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも9倍であるように構成される。
【0029】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の前記ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの10倍未満であるよう構成される。
【0030】
幾つかの実施形態において、第2板ガラスの前記第1ポイント及び前記第2ポイントは直線ライン上に存在し、該直線ラインは、前記第2板ガラスの前記第1大表面に対する垂線に対して角度をなし、前記第1板ガラスの前記第1大表面における垂線は、前記第2板ガラスの前記第1大表面から離れる方向を指し示す。
【0031】
好適には、前記直線ラインは、前記第2板ガラスの前記第1大表面における前記垂線に対して45°より大きい角度をなす。
【0032】
好適には、前記角度は、50°~85°の間、好適には50°~80°の間、より好適には60°~80°の間、より一層好適には65°~85°の間における値である。
【0033】
幾つかの実施形態において、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有し、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分に対して角度をなす。
【0034】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は、平坦表面又は湾曲表面である。
【0035】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分は、平坦表面又は湾曲表面である。
【0036】
好適には、前記第1端縁表面部分は、前記第2端縁表面部分に対して、10°~60°の間、好適には10°~50°の間、より好適には10°~40°の間、より一層好適には20°~40°の間における角度をなして傾斜する。
【0037】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分又は前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1及び/又は第2の大表面に対してほぼ直交する。
【0038】
幾つかの実施形態において、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1及び前記第2の大表面間における対称平面に対して対称的である。
【0039】
好適には、前記対称平面は、前記第2板ガラスの前記第1大表面と前記第2大表面との間でこれら大表面に対して等間隔かつ平行である。
【0040】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1大表面と前記対称平面との間の一方サイドにおける第1端縁表面部分と、及び前記対称平面と前記第2板ガラスの前記第2大表面と間の反対側サイドにおける第2端縁表面部分とを有する。
【0041】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は、平坦表面又は湾曲表面を有する。
【0042】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分は、平坦表面又は湾曲表面を有する。
【0043】
前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面が少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有する実施形態において、好適には、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面の第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1大表面に対して交差し、前記第2板ガラスの前記第1端縁を画定する。
【0044】
前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面が少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有する実施形態において、好適には、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面の第2端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第2大表面に対して交差し、前記第2板ガラスの前記第2端縁を画定する。
【0045】
前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面が少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有する実施形態において、好適には、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面の第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1大表面に対して交差し、前記第1板ガラスの前記第1端縁を画定し、かつ前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面の第2端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第2大表面に対して交差し、前記第2板ガラスの前記第2端縁を画定する。
【0046】
前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面が少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有する実施形態において、好適には、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面の第1端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分に対して交差し、前記第2板ガラスの第3端縁を画定し、前記第2板ガラスの第3端縁は、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間にある。
【0047】
好適には、前記第2板ガラスの前記第3端縁は、曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、前記第2板ガラスの丸み付き第3端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。前記第2板ガラスの丸み付き第3端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0048】
前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面が少なくとも第1端縁表面部分及び少なくとも第2端縁表面部分を有する実施形態において、好適には、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁表面は、さらに、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分と、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分との間に第3端縁表面部分を有する。
【0049】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第1端縁表面部分は前記前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分に交差して前記第2板ガラスの第3端縁を画定し、前記第2板ガラスの第3端縁は、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間にあるものとする。好適には、第2板ガラスの前記第3端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、第2板ガラスの丸み付き第3端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。第2板ガラスの丸み付き第3端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0050】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第2端縁表面部分に交差して第4端縁を画定し、前記第2板ガラスの前記第4端縁は、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間にあり、かつ前記第2板ガラスの第2端縁と前記第3端縁との間にある。好適には、前記第2板ガラスの第4端縁は、曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、前記第2板ガラスの前記丸み付き第4端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。前記第2板ガラスの丸み付き第4端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0051】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における第1及び/又は第2の端縁表面部分に対して傾斜する。
【0052】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面は、平坦表面又は湾曲表面である。
【0053】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における前記第3端縁表面部分は前記第2板ガラスの前記第1及び/又は第2の大表面に対してほぼ直交する。
【0054】
他の実施形態において、前記中間層構造は第1端縁表面を有し、前記中間層構造の第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第1端縁に対して少なくとも部分的に整列する。
【0055】
好適には、前記中間層構造の第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第2端縁に対して少なくとも部分的に整列する。
【0056】
前記第2板ガラスが第3端縁を有し、この第3端縁が丸み付き端縁である実施形態において、前記中間層構造は第1端縁表面を有し、また好適には、前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの第3端縁に少なくとも部分的に整列する。
【0057】
前記第2板ガラスが第3端縁及び第4端縁を有し、これら第3及び第4の端縁のうちいずれか一方又は双方が丸み付き端縁である実施形態において、前記中間層構造は第1端縁表面を有し、また前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第2板ガラスの前記第3及び/又は第4の端縁に少なくとも部分的に整列する。
【0058】
他の実施形態において、好適には、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面は湾曲しかつ頂点を有し、さらに、前記中間層構造が第1端縁表面を有する場合、前記中間層構造の前記第1端縁表面は、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における前記頂点に少なくとも部分的に整列する、又は前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における前記頂点からオフセットする。
【0059】
他の実施形態において、積層ガラスは、少なくとも1つの端縁表面及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第1板ガラスの前記第1端縁表面は、前記積層ガラスの同一端縁表面に沿う。
【0060】
他の実施形態において、積層ガラスは、使用にあたり前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における少なくとも一部分は前記積層ガラスの上側端縁表面の一部を形成するよう構成される。
【0061】
他の実施形態において、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記中間層構造によって前記第1板ガラスの前記第1端縁表面から離間し、かつ前記中間層構造の端縁表面に対してオフセットされ、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面及び前記中間層構造の第1端縁表面は、前記積層ガラスの端縁表面の一部を形成する。
【0062】
好適には、第1板ガラスの前記第1端縁表面は前記中間層構造の前記端縁表面に対してオフセットする。
【0063】
他の実施形態は他の好ましい特徴を有する。
【0064】
好適には、積層ガラスの大表面に直交する方向に見たとき、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は前記積層ガラスの同一側に沿う。
【0065】
好適には、積層ガラスの大表面に直交する方向に見たとき、前記積層ガラスは上側端縁表面を有し、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記積層ガラスの上側端縁表面の一部を形成する。
【0066】
好適には、前記積層ガラスは、使用にあたり、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面が前記積層ガラスの上側端縁であるように構成する。
【0067】
好適には、前記第1板ガラスは外側板ガラスであり、前記第2板ガラスは内側板ガラスであり、この内側板ガラスは、前記積層ガラスが据え付けられる車両の内部に対面するよう構成される。
【0068】
好適には、前記第1板ガラスは1.3mm~6mmの間における厚さを有する。
【0069】
好適には、前記第2板ガラスは0.3mm~1.2mmの間における厚さ、より好適には0.4mm~1.0mmの間における厚さを有する。
【0070】
好適には、前記第1及び/又は第2の板ガラスは、フロートプロセスによって形成される板ガラスである。
【0071】
好適には、前記第2板ガラスは、前記第1板ガラスを形成するのに使用されるプロセスとは異なるプロセスを用いて形成される。
【0072】
好適には、前記第1板ガラスはソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラスである。
【0073】
好適には、前記第1板ガラスは、(重量%で)SiOが69~74%、Alが0~3%、NaOが10~16%、KOが0~5%、MgOが0~6%、CaOが5~14%、SOが0~2%から成るソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラス組成を有する。
【0074】
好適には、前記第1板ガラスは、(重量%で)SiOが69~74%、Alが0~3%、NaOが10~16%、KOが0~5%、MgOが0~6%、CaOが5~14%、SOが0~2%、及びFeが0.005~2%から成るソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラス組成を有する。
【0075】
好適には、前記第1板ガラスは、熱的に強靭化した板ガラス又は熱的に半強靭化した板ガラスである。
【0076】
好適には、前記第1板ガラスは、1.3mm~1.49mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で18MPa~23MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0077】
好適には、前記第1板ガラスは、1.5mm~1.69mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で23.1MPa~26MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0078】
好適には、前記第1板ガラスは、1.7mm~1.99mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で26.1MPa~30MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0079】
好適には、前記第1板ガラスは、2.0mm~2.19mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で30.1MPa~35MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0080】
好適には、前記第1板ガラスは、2.2mm~2.49mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で35.1MPa~45MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0081】
好適には、前記第1板ガラスは、2.5mm~2.7mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で45.1MPa~65MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0082】
好適には、前記第1板ガラスは、2.71mm~6mmの間における厚さ、及び前記第1板ガラスの第1大表面の少なくとも中央領域で65.1MPa~150MPaの範囲内、より好適には65.1MPa~100MPaの範囲内における表面圧縮応力を有する。
【0083】
好適には、前記第2板ガラスの厚さは、1.0mm未満、好適には0.8mm未満である。
【0084】
好適には、前記第2板ガラスの厚さは0.3mmより厚いものである。
【0085】
好適には、前記第2板ガラスの厚さは0.3mm~1.0mmの間、より好適には、前記第2板ガラスの厚さは0.3mm~0.8mmの間である。
【0086】
好適には、前記第2板ガラスは化学的に強化済みのもの、例えば、好適には、前記第2板ガラスは化学的に強化した板ガラスである。
【0087】
好適には、前記第2板ガラスはアルカリ性アルミノケイ酸塩ガラス組成である。
【0088】
好適には、前記第2板ガラスは、少なくとも約6重量%の酸化アルミニウム(Al)を含む。
【0089】
好適には、前記第2板ガラスは、66~72モル%のSiO、1~4モル%のAl、8~15モル%のMgO、1~8モル%のCaO、12~16モル%のNaOから成る組成を有し、好適には、この場合、MgO+CaOは12~17モル%であり、またCaO/(MgO+CaO)が0.1~0.4の範囲内である。
【0090】
好適には、前記第2板ガラスは、(重量%で)SiOが58~70%、Alが5~15%、NaOが12~18%、KOが0.1~5%、MgOが4~10%、及びCaOが0~1%から成る組成を有し、Al+MgOの量合計をKOの量で割った値が3を超え、またNaO+KO+MgOの合計が22%を越えるものとなる組成を有する。
【0091】
好適には、前記第2板ガラスは、400MPaより大きい、好適には400MPa~900MPaの間における、より好適には400MPa~700MPaの間における、より一層好適には450MPa~675MPaの間における表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される。
【0092】
好適には、前記第2板ガラスは、900MPa付近の表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される。
【0093】
好適には、前記第2板ガラスは、900MPa以下の表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される。
【0094】
好適には、前記第2板ガラスは、10μm~60μmの間における、より好適には25μm~45μmの間における、より一層好適には30μm~40μmの間における層深さ(DOL)を有するよう化学的に強化される。
【0095】
好適には、接着性中間層材料の第1シートは、ポリビニル・ブチラール(PVB)、音響変調されたPVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレン及びメタクリル酸の共重合体のようなエチレンの共重合体を有する。
【0096】
好適には、接着性中間層材料の前記第1シートは、0.3mm~2.3mmの間、より好適には0.3mm~1.6mmの間、より一層好適には0.3mm~0.9mmの間における厚さを有する。
【0097】
幾つかの実施形態において、前記中間層構造は、接着性中間層材料の第2シートを有する。
【0098】
好適には、接着性中間層材料の第2シートは、ポリビニル・ブチラール(PVB)、音響変調されたPVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレン及びメタクリル酸の共重合体のようなエチレンの共重合体を有する。
【0099】
好適には、接着性中間層材料の第2シートは、0.3mm~2.3mmの間、より好適には0.3mm~1.6mmの間、より一層好適には0.3mm~0.9mmの間における厚さを有する。
【0100】
好適には、前記中間層構造は、第1接着性中間層材料シートと第2接着性中間層材料シートと間における支持シートを有する。
【0101】
好適には、前記支持シートは、50μm~1000μmの間の厚さを有する。
好適には、前記支持シートは、ポリエステルを有する。
好適には、前記支持シートは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)を有する。
好適には、前記支持シートは、板ガラスを有する。
好適には、前記支持シートは、SentryGlas(登録商標)のようなイオノプラスト(ionoplast)中間層材料を有する。
【0102】
好適には、前記支持シートは、モノリシックである。支持シートがモノリシックであるとき、支持シートは、支持材料シートとも称することができる。
【0103】
好適には、前記支持シートは、多層構造である。支持シートが多層構造であるとき、支持シートは、互いに同一材料又は異なる材料である少なくとも2層(第1層及び第2層)を有する。
【0104】
前記中間層構造が支持シートを有する幾つかの実施形態において、支持シートは、好適には、第1層及び第2層を有し、第2層は、好適には第1層におけるコーティングである。
【0105】
前記中間層構造が支持シートを有し、かつ支持シートが第1層及び第2層を有する幾つかの実施形態において、第1層の厚さは第2層の厚さと同一である。
【0106】
前記中間層構造が支持シートを有し、かつ支持シートが第1層及び第2層を有する幾つかの実施形態において、第1層の厚さは第2層の厚さと異なる。
【0107】
前記中間層構造が支持シートを有し、かつ支持シートが多層構造である幾つかの実施形態において、支持シートは3つの層、すなわち、第1層、第2層及び第3層を有し、ここで第2層は第1層と第2層との間に挟まれ、支持シートの第2層は、支持シートにおける第1層の一方の側の側面に、また反対側の側面で支持シートの第3層に直接接触する。
【0108】
前記中間層構造が支持シートを有し、かつ支持シートが第1層、第2層及び第3層を有する多層構造である幾つかの実施形態において、支持シートの第1及び第3の層はガラス又はPETのようなポリエステルを有し、また支持シートの第2層は、ポリビニル・ブチラール、又はエチレン酢酸ビニルのようなエチレン共重合体を有することができる。
【0109】
他の実施形態は他の好ましい特徴を有する。
【0110】
好適には、前記第1及び第2の板ガラス各々は、それぞれに対応するガラス組成を有し、第1板ガラスのガラス組成は第2板ガラスのガラス組成とは異なる。
【0111】
好適には、前記第1板ガラスはソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラスであり、第2板ガラスは少なくとも6重量%のAlを有する。
【0112】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間における前記第2板ガラスの第1端縁表面の少なくとも1つの領域は、前記第2板ガラスにおける前記第1端縁と前記第2端縁との間の全体にわたり延在する。
【0113】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1及び第2の端縁は互いに平行である。
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁は直線状である。
好適には、前記第2板ガラスの前記第2端縁は直線状である。
【0114】
前記第1及び第2の板ガラス各々は周縁を有する。好適には、前記第2板ガラスの周縁は前記第1板ガラスの周縁に連続する、又は前記第2板ガラスの周縁は前記第1板ガラスの周縁内に完全に囲まれる。
【0115】
前記第2板ガラスの周縁が前記第1板ガラスの周縁内に完全に囲まれるとき、前記第1板ガラスの周縁の一部分は前記第2板ガラスの周縁の一部分に整列することができる。
【0116】
幾つかの実施形態において、前記第1板ガラスは前記第2板ガラスと同一外延を有する。
【0117】
幾つかの実施形態において、前記第1及び第2の板ガラスは、好適には垂直方向に積層ガラスを移動させる機構に前記積層ガラスを連結するためのそれぞれに対応する第1連結部分を有する。
【0118】
使用にあたり、前記第1又は第2の板ガラスの前記第1連結部分は前記第2板ガラスの下側端縁と前記機構との間に存在することができる。
【0119】
好適には、前記第1連結部分は対応する板ガラスに機械的に連携するが、一体的には形成しない。
【0120】
幾つかの実施形態において、前記第1板ガラスは、好適には垂直方向に積層ガラスを移動させる機構に前記積層ガラスを連結するための第1連結部分を画定する孔を有し、さらに好適には、第1接着性中間層材料シートは孔を有し、前記中間層材料の前記第1層における孔は前記第1板ガラスにおける孔と同心状である。
【0121】
幾つかの実施形態において、前記第1板ガラスの前記孔は、前記第1接着性中間層材料シートにおける孔が存在するとき、好適には、それと同一形状であり、より好適には円形形状である。
【0122】
幾つかの実施形態において、前記第1及び/又は第2の板ガラスにおける前記第1及び/又は第2の大表面にコーティングが存在する。このような実施形態において、前記コーティングは、太陽光制御コーティング及び/又は低放射率コーティングである及び/又は前記コーティングは少なくとも1つの銀層を有する。
【0123】
本発明の第2態様によれば、本発明は、窓、とくに、サイド・ウィンドウのための開口部を有する車両であって、本発明の第1態様による積層ガラスが前記開口部内で移動可能である車両を提供する。
【0124】
適切には、前記積層ガラスは、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における少なくとも一部分を含む第1端縁表面を有し、前記積層ガラスの前記第1端縁表面は、前記移動可能な窓が閉じられるときシール内に収容される。
【0125】
本発明の第2態様における幾つかの実施形態において、本発明の第1態様による前記積層ガラスは、前記第1及び第2の板ガラスが、好適には垂直方向に積層ガラスを移動させる機構に前記積層ガラスを連結するためのそれぞれに対応する第1連結部分を有し、また前記積層ガラスは、前記第1又は第2の板ガラスの前記第1連結部分に連結した機構によって前記車両の開口部内で移動可能とする。
【0126】
好適には、前記積層ガラスは前記開口部内で垂直方向に移動可能とする。
【0127】
適切には、前記積層ガラスは、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における少なくとも一部分を含む第1端縁表面を有し、前記積層ガラスの前記第1端縁表面は、前記移動可能な窓が閉じられるときシール内に収容される。
【0128】
適切には、適切には、前記積層ガラスは、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面における少なくとも一部分及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面における少なくとも一部分を含む第1端縁表面を有し、前記積層ガラスの前記第1端縁表面は、前記移動可能な窓が閉じられるときシール内に収容される。
【0129】
本発明の第3態様によれば、積層ガラスを作成する方法を提供し、この方法は、(i)第1板ガラスを準備するステップと、(ii)前記第1板ガラスを端縁加工するステップであって、前記第1板ガラスに対して端縁加工済みの前記第1板ガラスの第1大表面と第2大表面との間に第1端縁表面を設けるステップと、(iii)第2板ガラスを準備するステップと、(iv)前記第2板ガラスを端縁加工するステップであって、前記第2板ガラスに対して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第1大表面と第2大表面との間に第1端縁表面を設け、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が端縁加工済みの前記第2板ガラスの前記第1大表面に交差して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第1端縁を画定し、また前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が端縁加工済みの前記第2板ガラスの前記第2大表面に交差して端縁加工済みの前記第2板ガラスの第2端縁を画定するステップと、(v)端縁加工済みの前記第1板ガラスと端縁加工済みの前記第2板ガラスとの間に、少なくとも1つの接着性中間層材料シートから成る中間層構造を位置決めするステップであって、前記第1板ガラスの前記第1端縁表面及び前記第2板ガラスの前記第1端縁表面が前記積層ガラスの端縁表面と共通するよう配列させる、ステップと、並びに(vi)適切な積層化手段を使用して端縁加工済み前記第1板ガラスを端縁加工済み前記第2板ガラスに接合させるステップと、を備え、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間に少なくとも1つの領域を有するよう構成され、前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくとも1.7倍であるようにする。
【0130】
容易に分かるように、前記端縁加工済み第2板ガラスの第1端縁及び第2端縁は前記端縁加工ステップ(iv)によって画定され、これはすなわち、このステップが、前記第2板ガラスに対して、前記端縁加工済み第2板ガラスの前記第1大表面と前記第2大表面との間における前記第1端縁表面を設けるからである。前記端縁加工済み第2板ガラスの第1端縁は、前記第2板ガラスの前記第1大表面における端縁加工の起点によって画定される。同様に前記端縁加工済み第2板ガラスの第2端縁は、前記第2板ガラスの前記第2大表面における端縁加工の起点によって画定される。
【0131】
好適には、前記端縁加工済み第2板ガラスの第1端縁表面は、平坦表面又はほぼ平坦な表面である。
【0132】
好適には、前記端縁加工済み第2板ガラスの第1端縁表面は、少なくとも1つの平坦部分及び/又は少なくとも1つの凹状部分及び/又は少なくとも1つの凸状部分を有する。
【0133】
前記端縁加工済み第2板ガラスの第1端縁は、曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、前記第2板ガラスの前記丸み付き第1端縁の曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。前記第2板ガラスの前記丸み付き第1端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0134】
好適には、前記第2板ガラスの第2端縁は曲率半径を有する丸み付き端縁である。好適には、前記第2板ガラスの丸み付き第2端縁における曲率半径は、0.5mm未満、より好適には0.4mm未満、より好適には0.3mm未満、より好適には0.2mm未満、より好適には0.1mm未満である。前記第2板ガラスの丸み付き第2端縁における曲率半径は、0.01mm~0.5mmの間又は0.05mm~0.5mmの間における値とすることができる。
【0135】
好適には、ステップ(ii)及び/又はステップ(iv)中に、端縁加工は研削ツール、とくに、研削ホイールを用いて実施する。端縁加工は、他の研磨手段を用いて、又は火炎若しくはレーザーを使用する熱的処理を用いて実施することができる。
【0136】
好適には、前記ステップ(ii)に続いて、整形プロセス、とくに、プレス曲げプロセス又は重力曲げプロセスを用いて1つ又はそれ以上の方向に前記第1板ガラスを曲げ、前記整形プロセスは、端縁加工済み前記第1板ガラスを曲げに適した温度に加熱し、次に軟化した前記第1板ガラスを曲げ、次に後のステップ(v)で使用するため曲げた前記第1板ガラスを冷却する。
【0137】
好適には、前記ステップ(ii)に続いて、端縁加工済み前記第1板ガラスを化学的に強化する若しくは熱的に強化する。
【0138】
好適には、前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスを化学的に強化する若しくは熱的に強化する。
【0139】
好適には、前記ステップ(v)の前には端縁加工済み前記2板ガラスが平坦であり、好適には、前記第2板ガラスが前記ステップ(iv)後に化学的に強化してあるものとする。
【0140】
好適には、前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は少なくとも第1端縁表面部分を有し、前記ステップ(iv)に続いて、前記第1端縁表面部分を前記第1板ガラスの前記第1端縁表面に向かって傾斜させる。
【0141】
好適には、前記ステップ(v)後に、端縁加工済み前記第1板ガラスの前記第1端縁表面を端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面に整列させる。
好適には、前記第1板ガラスはソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラスである。
好適には、前記第1板ガラスは1.3mm~6mmの間における厚さを有する。
好適には、前記第2板ガラスの厚さは0.3mmより厚いものであり、また前記第2板ガラスの厚さは1.2mm未満、より好適には前記第2板ガラスの厚さは0.3mm~1.0mmの間における値である。
【0142】
好適には、前記第2板ガラスはアルカリ性アルミノケイ酸塩ガラス組成とする、及び/又は前記第2板ガラスは少なくとも6重量%のAlを有するものとする。
【0143】
好適には、前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスは化学的に強化され、400MPaより大きい表面圧縮応力を有するよう、好適には400MPa~900MPaの間における、好適には400MPa~700MPaの間における、より一層好適には450MPa~675MPaの間における表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される。
【0144】
好適には、前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスはほぼ900MPa付近の表面圧縮応力を有するよう化学的に強化される。
【0145】
好適には、は前記ステップ(iv)に続いて、端縁加工済み前記第2板ガラスは、10μm~60μmの間における、より好適には25μm~45μmの間における、より一層好適には30μm~40μmの間における層深さ(DOL)を有するよう化学的に強化される。
【0146】
好適には、接着性中間層材料の前記第1シートは、ポリビニル・ブチラール(PVB)、音響変調されたPVB、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はエチレン及びメタクリル酸の共重合体のようなエチレンの共重合体を有する。
【0147】
好適には、接着性中間層材料の前記第1シートは、0.3mm~2.3mmの間、より好適には0.3mm~1.6mmの間、より一層好適には0.3mm~0.9mmの間における厚さを有する。
【0148】
好適には、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面は、前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの少なくともx倍となる、ここでxは、1.8、若しくは1.9、若しくは2.0、若しくは2.5、若しくは3、若しくは4、若しくは5、若しくは6、若しくは7、若しくは8、若しくは9であるように構成される。
【0149】
好適には、前記少なくとも1つの領域で、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁上の第1ポイントを端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第2端縁上の第2ポイントに結ぶ端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁表面上の直線ラインに沿う最短距離が、前記第2板ガラスの前記厚さの15倍未満、好適には前記第2板ガラスの前記厚さの10倍未満となるよう構成される。
【0150】
好適には、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁と前記第2端縁との間における前記少なくとも1つの領域は、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁及び第2端縁の全長間に延在する。
【0151】
好適には、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁及び前記第2端縁は、互いに平行であり、好適には、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁及び前記第2端縁は直線状である。
【0152】
好適には、端縁加工済み前記第2板ガラスの前記第1端縁及び/又は前記第2端縁は直線状である。
【0153】
好適には、前記第1板ガラスは、(重量%で)SiOが69~74%、Alが0~3%、NaOが10~16%、KOが0~5%、MgOが0~6%、CaOが5~14%、SOが0~2%を含むソーダ-石灰-ケイ酸塩のガラス組成を有する。
【0154】
好適には、前記第1板ガラスは、(重量%で)SiOが69~74%、Alが0~3%、NaOが10~16%、KOが0~5%、MgOが0~6%、CaOが5~14%、SOが0~2%、Feが0.005~2%を含むソーダ-石灰-ケイ酸塩のガラス組成を有する。
【0155】
好適には、前記第2板ガラスは、66~72モル%のSiO、1~4モル%のAl、8~15モル%のMgO、1~8モル%のCaO、12~16モル%のNaOから成る組成を有し、好適には、この場合、MgO+CaOは12~17モル%であり、またCaO/(MgO+CaO)が0.1~0.4の範囲内である。
【0156】
好適には、前記第2板ガラスは、(重量%で)SiOが58~70%、Alが5~15%、NaOが12~18%、KOが0.1~5%、MgOが4~10%、及びCaOが0~1%から成る組成を有し、Al+MgOの量合計をKOの量で割った値が3を超え、またNaO+KO+MgOの合計が22%を越えるものとなる組成を有する。
【0157】
次に、本発明を以下の図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0158】
図1】車両サイド・ウィンドウの概略的平面図である。
図2図1に示す車両サイド・ウィンドウのy-y線上における概略的な断面説明図である。
図2a】板ガラスの概略的等角説明図である。
図2b図2aに示す板ガラスにおける上側部分の概略的断面説明図である。
図2c図2aに示したのと同様な他の板ガラスにおける上側部分の概略的断面説明図である。
図3】車両サイド・ウィンドウを有する車両の概略的側面図である。
図4】車両サイド・ウィンドウを有する車両の概略的側面図である。
図5】車両サイド・ウィンドウを有する車両の概略的側面図である。
図6】車両サイド・ウィンドウを有する車両の概略的側面図である。
図7a】本発明の第1態様による積層ガラスの概略的断面説明図である。
図7b図7aに示した積層ガラスの分解した概略的断面説明図である。
図7c図7aに示した積層ガラスの上側部分の概略的等角説明図である。
図7d図7aに示した積層ガラス構造に使用される内側板ガラスにおける上側部分の概略的断面説明図である。
図8a】本発明の第1態様による他の積層ガラスの概略的断面説明図である。
図8b図8aに示した積層ガラスの分解断面説明図である。
図8c図8aに示した積層ガラスの上側部分の概略的等角説明図である。
図8d図8aに示した積層ガラス構造に使用される内側板ガラスにおける上側部分の概略的断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0159】
非化学的強化ガラス(例えば、熱的に強靭化又は強化されたソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラス)の表面圧縮応力測定をストレインオプティクス・レーザーGASP-CS((http://www.strainoptics.com/files/Laser%20GASP-CS%20Quick-Start%20(English).pdf参照)を用いて行うことは従来既知である。このような機器は、米国ペンシルベニア州19454、ノースウェールズ、ウエストモンゴメリーアベニュー108のストレインオプティクス社から入手可能である。一般的に化学的強化ガラス及び完全熱的強化ソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラスで見られるような高レベルな表面圧縮応力に関して、表面圧縮応力を測定するのに差応力屈折計(DSR)を使用できることは既知である。このような機器は、米国イリノイ州60076、スコーキー、ジャービスアベニュー3650のゲートナー・サイエンティフィック社から入手可能である。
【0160】
さらに、板ガラスは、それぞれに対応する板ガラスの大表面にほぼ直交する端縁表面を有する積層ガラスを形成するのに使用されることも既知である。板ガラスがより大きい板ガラスから切断されるとき、端縁表面は、ミクロン規模の傷、例えば表面下の微細亀裂を有することがあり得る。板ガラスが応力を受ける場合、亀裂が広がって板ガラスを破損させるおそれがあり得る。これら端縁は、容易に破砕し、また表面を汚染するガラスチップとなり得る鋭利なコーナーを形成する。破損を減少する及び/又はチップ形成を減少するため、端縁表面は、一般的に端縁を加工され(しばしば「仕上げされる」と称される)、この加工は、所望輪郭及び平滑性を得る端縁加工(又は端縁仕上げ)プロセスを使用する。さらに、端縁加工(又は端縁仕上げ)プロセスは、端縁から傷を除去し、またコーナーを輪郭付けすることができる。端縁加工(又は端縁仕上げ)は、研削及び光沢仕上げを含む。一般的に、従来技術において、板ガラスには、しばしばC輪郭と称される凸状曲率を有する端縁表面を設ける。
【0161】
図1は、一般的な車両サイド・ウィンドウ1の平面図を示す。この平面図においては、車両サイド・ウィンドウ1は上側領域3、下側領域5及び連結領域7を有する。
【0162】
上側領域3はラインx-x′に関連して画定され、このラインx-x′は、以下により詳細に説明するように、車両サイド・ウィンドウを据え付ける車両のスタイリングによって画定される。この実施例において、連結領域7は、第1台形部分7a及び第2台形部分7bを有する。各台形部分7a、7bは、狭小端部にそれぞれに対応する孔7c、7dを有する。孔7c、7dは、ワインダ機構(図示せず)を車両サイド・ウィンドウ1に連結して、車両サイド・ウィンドウを垂直方向に、すなわち、矢印8の方向に移動させるのに使用される。
【0163】
車両サイド・ウィンドウ1は、外側表面として使用されるよう構成された大表面10を有する。この大表面10は中央領域12を有し、この中央領域12は車両サイド・ウィンドウ1の周縁の内側である。
【0164】
車両サイド・ウィンドウ1は、車両サイド・ウィンドウ1のラインx-x′上方周縁上におけるポイントzとz′との間に延在する上側端縁領域6を有する。
【0165】
図2は、図1に示す車両サイド・ウィンドウ1のラインy-y′上の概略的断面図を示す。ラインx-x′は、ラインx-x′を有する水平平面を形成する。
【0166】
車両サイド・ウィンドウ1は第1板ガラス9を有し、この第1板ガラス9は、ポリビニル・ブチラール(PVB)の第1PVBシート14、第2PVBシート15及びこれら第1及び第2のシート間における支持シート16から成る中間層構造13によって第2板ガラス11に接合される。この実施例において、支持シートは、ポリエチレン・テレフタレート(PET)の厚さ250μmのPETシートであるが、支持シートの厚さはこれより厚い又は薄いものとすることができる。支持シートの剛性がより高い場合、その厚さは減少させることができる。
【0167】
第1PVBシート14は0.38mmの厚さを有し、また第2PVBシート15は0.38mmの厚さを有する。第1及び第2のPVBシート各々は、異なる厚さ、例えば、0.76mm又は0.82mm又は0.86mmを有することができる。第1及び/又は第2のPVBシートは、約0.5mmの厚さを有する音響変調されたPVBとすることができる。
【0168】
PETシート16は第1PVBシート14と第2PVBシート15との間にある。PETシート16は、第1大表面と反対側の第2大表面を有する。PETシート16の一方の大表面は第1PVBシート14に直接接触し、またPETシート16の他方の大表面は第2PVBシートに15直接接触する。
【0169】
第1板ガラス9は、その第1大表面10とは反対側の第2大表面10′を有する。第1PVBシート14は第2大表面10′に直接接触する。
【0170】
第2板ガラス11は、第1大表面と、その反対側の第2大表面11aを有する。第2PVBシート15は、第2板ガラス11の第1大表面に直接接触する。
【0171】
第1板ガラス9の第2大表面10′はコーティングを有することができ、この場合、第1板ガラスの第2大表面10′はコーティングしたガラス表面とする。このような実施形態において、第1PVB層14は、第1板ガラスの第2大表面10′におけるコーティングに接触する。
【0172】
同様に、第2板ガラス11の第1大表面はコーティングを有することができ、この場合、第2板ガラスの第1大表面はコーティングしたガラス表面とする。このような実施形態において、第2PVB層15は、第2板ガラス11の第1大表面におけるコーティングに接触する。
【0173】
さらに、積層ガラス(車両サイド・ウィンドウ1)の外側に対向する表面10、11aはコーティングを有することができる。
【0174】
従来の用語体系を使用すると、車両サイド・ウィンドウ1の大表面10は、ガラスの「外部」に対面するため「表面1」として知られる、すなわち、車両サイド・ウィンドウ1の大表面10は最初に太陽光が当たる表面である。
【0175】
第1板ガラス9は、一般的には積層艶出しに何らかの太陽光制御形態及び/又は所望の色透過を付与するよう、着色剤として酸化鉄を添加した透明フロートガラスのような組成を有するソーダ-石灰-ケイ酸塩の板ガラスである。
【0176】
一般的なソーダ-石灰-ケイ酸塩のガラス組成は、(重量%で)SiOが69~74%、Alが0~3%、NaOが10~16%、KOが0~5%、MgOが0~6%、CaOが5~14%、SOが0~2%、Feが0.005~2%である。さらに、ガラス組成は、例えば精製のための他の添加剤を含むことができ、この添加剤は通常2%までの量で存在する。ソーダ-石灰-ケイ酸塩のガラス組成は、Co、NiO及びSeのような他の着色剤を含み、透過光で見たとき望ましい色をガラスに付与することができる。透過したガラスの色は、BS EN410のような認可された標準の観点から測定することができる。
【0177】
この実施例において、第1板ガラス9は2.1mmの厚さを有し、また通常の高圧冷却空気技術を用いて熱的に半強靭化しておき、第1板ガラスの第1大表面における少なくとも中央領域での圧縮応力が約33MPaであるようにする。
【0178】
第2板ガラス11は0.7mmの厚さを有するが、0.3mm~0.8mmの範囲内、例えば、0.4mm~0.8mmの範囲内の厚さを有することができる。第2板ガラス11は0.5mmの厚さを有することができる。
【0179】
第2板ガラスは、第2板ガラスの表面におけるナトリウムイオンを適当な溶融塩からのカリウムイオンと交換する普通の溶融塩イオン交換プロセスを用いて、化学的に強化しておく。この化学的強化プロセスは、第2板ガラスに対して35μmの層深さ(DOL)、400MPaより大きい、一般的には450MPa~700MPaの表面圧縮応力を付与するよう制御する。この表面圧縮応力は900MPaほどの大きさとすることができる。DOLは30μm~40μmの間における値とすることができる。
【0180】
第2板ガラス11の適当なガラス組成は、アルミノケイ酸塩、例えば、コーニング社から入手可能なGorillTMである。
【0181】
第2板ガラス11の特別な組成は、68モル%のSiO、2.5モル%のAl、11モル%のMgO、3.7モル%のCaO、14.2モル%のNaO、0.6モル%のKOである。この組成に関し、MgO+CaOは14.7モル%であり、またNaO+KOは14.8モル%である。これは公開された国際公開第2014/148020号の第20頁における表2の組成番号13である。第2層における酸化鉄(Fe)含有量は、0.1重量%未満、すなわち、約0.012重量%の少ないものであり得る。
【0182】
図2に示すように、孔7dが第1板ガラス9に貫通し、第1大表面10と第2大表面10′との間に延在する。孔7cも第1板ガラス9に貫通する。これら孔7c、7dは連結領域7の位置を画定するのに役立つ。
【0183】
図2に示すように、中間層構造13及び第2板ガラス11はラインx′-x″の下方、またしたがって図1のラインx-x′の下方に延在する。第1及び第2のPVB層14、15、PETシート16並びに第2板ガラス11は、第1板ガラス9と同一外延を持たない。このことは、第1及び第2のPVB層14、15、PETシート16並びに第2板ガラス11によってカバーされない連結領域7を生ずる結果となり、これにより普通のワインダ機構(図示せず)を連結領域7に取り付ける、すなわち孔7c(図2には示さない)及び7dを介して取り付けることができる。
【0184】
中間層構造13は、積層させる前に3つの個別シート、すなわち、PVBシート14,PETシート16及びPVBシート15から形成することができる。代案として、中間層構造13は、積層させる前に少なくとも部分的に予形成することができ、例えば、中間層構造13によって第1板ガラス9を第2板ガラス11に接合する積層化プロセス前に、第1PVBシート14及び/又は第2PVBシート15をPETシート16に接合することができる。例えば、積層前に第1PVBシート14をPETシート16に接合することができる。このような複合構造は、破砕防止のために市販されており、例えば、クラレ社(www.trosifol.com)から入手可能であるSpallshield(登録商標)がある。一般的にこのような複合構造製品において、PVBに接触しないPETの表面は、通常耐摩耗性ハードコートで被覆する。
【0185】
普通の積層化プロセスを使用して第1板ガラス9を中間層構造13によって第2板ガラス11に接合することができる。
【0186】
第1及び第2の板ガラス9、11を平坦(又は平面的)なものとして示したが、積層ガラス1は少なくとも1つの方向に湾曲させることができる。このような実施形態において、第1板ガラス9は積層前に適切に湾曲させることができるとともに、第2板ガラス11は積層前に平坦である。第2板ガラス11の相対的可撓性に起因して、積層中に第2板ガラス11は中間層構造に押し付け保持し、湾曲した第1板ガラス9の形状に合致することができる。このようなプロセスは、技術的にしばしば「冷間成形」と称される。
【0187】
第1板ガラス9は、第1及び第2の大表面10、10′にほぼ直交する上側端縁表面10″を有する。上側端縁表面10″の第1大表面10に対する交差は上側端縁領域6の端縁6′を画定する。反対側の端縁6′は、第1板ガラスにおける第2大表面10′に対する上側端縁表面10″の交差によって画定される他の端縁(参照符号を付けていない)である。この実施例において、端縁表面10″は平坦であるが、一般的に端縁表面10″は、技術的に「C」研削又はC輪郭として知られている端縁加工によって湾曲させる。
【0188】
第2板ガラス11は、平坦である上側端縁表面11a′と、第2大表面11aの上側端縁表面11a′に対する交差によって画定される第1端縁11′と有する。反対側の端縁11′として、第2板ガラス11は、第1大表面とは反対側大表面11aに対する端縁表面11a′の交差によって画定される第2端縁(参照符号を付けてない)を有する。やはり端縁表面11a′はC輪郭を有することができる。
【0189】
PVBシート14の上側領域は上側端縁表面14′を有する。PVBシート15の上側領域は上側端縁表面15′を有する。PETシート16の上側領域は上側端縁表面16′を有する。上側端縁領域14′、15′及び16′は、中間層構造13の上側端縁表面を画定する。
【0190】
この実施例において、車両サイド・ウィンドウ1の上側端縁領域6は、第1板ガラス10の上側端縁表面10″、第1PVBシート14の上側端縁表面14′、PETシート16の上側端縁表面16′、第2PVBシート15の上側端縁表面15′、及び第2板ガラス11の上側端縁表面11a′から成ることが分かる。
【0191】
この実施例において、上側端縁表面14′、15′、16′及び11a′はすべて整列するが、整列しない場合もあり得る。
【0192】
整列した上側端縁表面14′、15′、16′及び11a′は、第1板ガラス10上側端縁表面10″から距離19だけ離間し、この距離19は、5mm未満、例えば、0.5mm~2mmとすることができる。このタイプの構成は、可動車両サイド・ウィンドウに関して一般的である。
【0193】
図2aは、第2板ガラス11の概略的等角説明図を示す。第2板ガラス11は、第1大表面11b及び反対側の第2大表面11aを有する直方体ブロックと考えられる。第1及び第2の大表面11b、11aは、平坦であり、また互いに平行である。上側端部において、第2板ガラス11は、平坦表面であり、また第1及び第2の大表面11b、11aに対して直交する上側端縁表面11a′を有する。
【0194】
上側端縁表面11a′の第2大表面11aに対する交差は第1端縁11′を画定する。上側端縁表面11a′の第2大表面11bに対する交差は第2端縁11″を画定する。
【0195】
第1端縁11′上にある第1ポイントrを示す(したがって、第1ポイントrは第2大表面11a上にある)。第2端縁11″上にある第2ポイントsを示す(したがって、第2ポイントsは第1大表面11b上にある)。
【0196】
ラインpは、第1ポイントrを第2ポイントsに結ぶものとして示す。ラインpは上側端縁表面11a′上にある。
【0197】
第2板ガラス11の特別な構成に起因して、ラインpの最短長さは、第1ポイントr及び第2ポイントsが第1及び第2の端縁11′、11″に直交する直線ライン上に存在するときであることは容易に分かるであろう。この実施例において、ラインpの長さは第2板ガラス11の厚さに等しく、したがって、本発明の第1態様における実施形態に使用される板ガラスではない。
【0198】
上側端縁表面11a′に平行である矢印11cの方向から見たとき、第2板ガラス11の上方断面図を図2bに示す、すなわち、ラインr-sを通過する平面上の断面である。
【0199】
図3は、車両50(すなわち、自動車)の概略的側面図を示す。車両50は、サイドドア52と、図1及び2に示すタイプの車両サイド・ウィンドウが従来既知のように垂直方向に移動可能である周縁56を有する開口部54とを有する。周縁56は、車両ドアの一部、すなわち、適当なフレーム又は車体の一部によって画定することができる。
【0200】
周縁56は、コーナーj、k及びmを有する。ラインj-mは図1に示すラインx-x′の部分を画定する。図3において、開口部54は、車両サイド・ウィンドウが開口部54を閉じた状態の閉鎖形態として示す。図1及び2を参照して説明すると、第1板ガラスの大表面10の部分が開口部54を閉鎖する。
【0201】
図3に示すように、車両50は、本発明による構成を有することができる固定サイド・ウィンドウ58を有する。しかし、このサイド・ウィンドウ58はフレームに固定であるため、このサイド・ウィンドウに関して、ワインダ機構をサイド・ウィンドウ58に連結するための連結領域を設ける必要はない。
【0202】
図4は、車両サイド・ウィンドウを完全に巻き下げた第2形態54′にある開口部を有する車両50を示す。
【0203】
図1、2及び3を参照して説明すると、図5は、開口部54で移動可能な車両サイド・ウィンドウ1を組み込んだサイドドア52を示す。この図において、ラインx-x′(すなわち、開口部によって画定されるラインj-m)の下方における車両サイド・ウィンドウ1は仮想線で示す。ドア52の下側部分にワインダ機構60が設置される。適当なリンク機構62がワインダ機構60を車両サイド・ウィンドウ1の連結領域に連結する。第1リンク機構部材63が第1台形部分7aに機械的に連携し、第2リンク機構部材64が第2台形部分7bに機械的に連携する。孔7c、7dを使用して、各リンク機構部材63、64の端部をそれぞれに対応する台形部分7a、7bに取り付けることができる。
【0204】
開口部54は車両サイド・ウィンドウ1の上側領域3によって閉じられ、また上側端縁領域6は、上述したように、適当な弾性手段に係合することができる。
【0205】
図6は、ワインダ機構60が適切な作動をして車両サイド・ウィンドウを部分的に巻き下げ、これにより開口部54における開口66が存在する、すなわち、開口部が完全には閉じていない状態となっている図5の車両50を示す。ワインダ機構60の作動によって、ワインダリンク機構62は、図5に示す第1位置から図6に示す第2位置に移動する。第1及び第2のリンク機構63、64各々は、ワインダ機構60に向かって適切に移動し、これにより開口部内で車両サイド・ウィンドウを下降させる。したがって、車両サイド・ウィンドウ1のラインx-x′は、開口部54によって画定されるラインj-mの下方に移動する。車両50の内部には開口66を介してアクセス可能である。
【0206】
図7aは、本発明の第1態様による積層ガラスの概略的断面説明図を示す。図7bは、積層ガラス100の説明を手助けするための分解図である。
【0207】
積層ガラス100は、中間層構造106によって第2板ガラス104に接合された第1板ガラス102を備える。第1板ガラス102は第2板ガラスよりも厚く、また約2.1mmの厚さを有する。第2板ガラス104は約0.5mmの厚さを有する。
【0208】
第1板ガラス102は、第1大表面116及びそれとは反対側の第2大表面118を有する。第1板ガラス102は、さらに、その第1及び第2の大表面116、118を繋ぐ上側端縁表面114を有する。上側端縁表面114は、従来技術で普通のC字状輪郭を有する。
【0209】
第2板ガラス104は、第1大表面120及びそれとは反対側の第2大表面122を有する。第2板ガラス104は、さらに、その第1及び第2の大表面120、122を繋ぐ上側端縁表面124を有する。この実施例において、第2板ガラス104の上側端縁表面124は、平坦であり、また第2大表面122に交差し、第2板ガラス104の第1端縁126を画定する。上側端縁表面124は、さらに、第1大表面120に交差し、第2板ガラス104の第2端縁128を画定する。
【0210】
第2板ガラス104の上側端縁表面124は、適切に構成された研磨性研削ツール、例えば、研削ホイールを用いて形成した。初期的には、第2板ガラスの上側端縁表面は第2板ガラスの第1及び第2の大表面120、122に対して直交していた。端縁加工ステップの使用により上側端縁124を形成した。
【0211】
第1板ガラス102は透明フロートガラスのような組成を有するソーダ-石灰-ケイ酸塩の板ガラスであり、一般的には、着色剤として酸化鉄を添加し、積層ガラスに対して何らかの太陽光制御形態を付与する。
【0212】
第2板ガラス104に対して端縁加工ステップによって上側端縁表面124を設けた後、第2板ガラス104は、普通の溶融塩イオン交換プロセスを使用して第2板ガラスの表面におけるナトリウムイオンを適当な溶融塩からのカリウムイオンと交換し、化学的に強化した。この化学的強化プロセスは、第1板ガラスに対して35μmの層深さ(DOL)、400MPaより大きい、一般的には450MPa~700MPaの表面圧縮応力を付与するよう制御する。この表面圧縮応力は900MPaほどの大きさとすることができる。DOLは30μm~40μmの間における値とすることができる。
【0213】
第2板ガラス104の特別な組成は、68モル%のSiO、2.5モル%のAl、11モル%のMgO、3.7モル%のCaO、14.2モル%のNaO、0.6モル%のKOである。この組成に関し、MgO+CaOは14.7モル%であり、またNaO+KOは14.8モル%である。これは公開された国際公開第2014/148020号の第20頁における表2の組成番号13である。第2層における酸化鉄(Fe)含有量は、0.1重量%未満、すなわち、約0.012重量%の少ないものであり得る。
【0214】
端縁表面114は、第1板ガラス102を熱的に強靭化した後に形成する。端縁表面124は、第2板ガラス102を化学的に強化した後に形成する。
【0215】
中間層構造106は、0.38mmの厚さを有する第1PVBシート108、0.05mmの厚さを有するPETシート112、及び0.38mmの厚さを有する第2PVBシート110から成る。第1及び第2のPVBシート108、110は、それぞれPETシート112の互いに反対側の大表面に接合する。第1PVBシート108は、第1板ガラス102の第2大表面118に接着接触によって第1板ガラス102に接合する。第2PVBシート110は、第2板ガラス104の第1大表面120に接着接触によって第2板ガラス104に接合する。
【0216】
中間層構造106は単独PVBシートに置換することができる、又は第1PVBシート108と第2PVBシート110との間にPETシート112を存在させないことができる。2つより多いPVBシート、又はEVAのような他の適切な中間層材料を存在させることができる。
【0217】
図7cは、図7aに示した積層ガラス100の上側部分の概略的等角説明図を示す。図7a~7cにつき説明すると、本発明のこの実施例においては、上側端縁表面124は第2大表面122に対して上向きに傾斜する。さらにまた、第2板ガラス104の第1端縁126と第2端縁128との間における最短距離は第2板ガラス104の厚さの3倍である。すなわち、第1端縁126上の第1ポイントr及び第2端縁128上の第2ポイントsに関して、端縁表面124上のラインpの長さは第2板ガラス104の厚さの3倍である。
【0218】
図7a~7cから分かるように、第1及び第2のPVBシート108、110、PETシート112,並びに第2板ガラス104は第1板ガラス102に対して相対配置し、この相対配置は、第1板ガラスの上側端縁表面114と、第1PVBシート108の上側端縁表面108′、第2PVBシート110の上側端縁表面110′、PETシート112の上側端縁表面112′、及び第2板ガラス104の上側端縁表面124との間にオフセットが存在するように行う。
【0219】
積層ガラス100は、図1、2及び3~6につき示したのと同様の方法で構成した車両サイド・ウィンドウであり得る。
【0220】
図7dは、第2板ガラス104の上側部分における概略的断面説明図を示す。第1及び第2の大表面120、122は平坦であり、また互いにほぼ平行である。第2板ガラスの厚さはt、すなわち、第1及び第2の大表面120、122の間隔である。この実施例で距離pが3tと仮定すると、角度αはcos-1(t/3t)である。この場合、αは約70.5°である。このαは60°~80°の間が好適であり、より好適には65°~75°の間である。角度βは90°-70.5°=19.5°である。
【0221】
本発明の第1態様による第2の積層ガラスを図8a~8dにつき示す。
【0222】
図8aは、本発明による他の積層ガラスの概略的断面説明図を示す。図8aは、図7aに示す積層ガラス100に類似の積層ガラス200を示す。積層ガラス200は第2板ガラス204に接合されるソーダ-石灰-ケイ酸塩の第1板ガラス202から成る。第1板ガラス202は2.1mmの厚さを有し、また熱的に半強靭化しているが、熱的に強靭化することができる。第2板ガラス204は0.55mmの厚さを有し、また化学的に強化している。
【0223】
第1板ガラス202は、第1PVBシート208、第2PVBシート210、これらPVBシート間に介在させたPETシート212から成る中間層構造により第2板ガラス204に接合される。第1及び第2のPVBシート各々は、0.38mmの厚さを有し、またPETシート112は約0.05mmを有する。
【0224】
積層ガラス100に対比すると、積層ガラス200の第2板ガラス204は、3つのほぼ平坦な(平面状の)部分から成る上側端縁表面を有する。このことは、図8bによりよく図示され、この場合、第2板ガラス204は、積層ガラス200の説明を手助けするため積層ガラス200から変位して示される。
【0225】
第2板ガラス204は、第1大表面220及びそれとは反対側の第2大表面222を有する。第1及び第2の大表面220、222は双方とも平坦である。第1大表面220は第2大表面222に対してほぼ平行である。第2板ガラス204は、さらに、1及び第2の大表面220、222を繋ぐ上側端縁表面224を有する。この上側端縁表面224は、第1端縁表面部分224a、第2端縁表面部分224b、及び第3端縁表面部分224cを有する。上側端縁表面224は、適切に構成した研削ホイールを用いて作製することができる。この実施例における研削ホイールは、第2板ガラス204の第1大表面と第2大表面との間の中点における平行な軸線の周りに対称研削を生ずるよう構成された。この軸線は、図8dにラインw-w′として示し、また第1及び第2の大表面220、222に平行である。この実施例において、第1、第2及び第3の端縁表面部分224a、224b及び224cは平坦である。
【0226】
図8a~8dにつき説明すると、第2板ガラス204の上側端縁表面224における第1端縁表面部分224aは第2板ガラス204の第2大表面222に交差して第1端縁226を画定する。第2板ガラス204の上側端縁表面224における第3端縁表面部分224cは第2板ガラス204の第1大表面220に交差して第2端縁228を画定する。第2端縁表面部分224bは、平坦であり、また第1及び第2の大表面220、222に対して直交する。第2端縁表面部分224bは第1端縁表面部分224aに交差して第2板ガラス204の第3端縁232を画定する。第2端縁表面部分224bは第3端縁表面部分224cに交差して第2板ガラス204の第4端縁234を画定する。
【0227】
図8a~8cから分かるように、第1及び第2のPVBシート208、210、PETシート212,並びに第2板ガラス204は第1板ガラス202に対して相対配置し、この相対配置は、第1板ガラスの上側端縁表面214と、第2板ガラス204の上側端縁表面との間にオフセットが存在するように行う。
【0228】
さらに、図8dにつき説明すると、0.55mmの厚さを有するこのような第2板ガラス204に関して、研削深さ227は約0.7mmであった。第1端縁表面部分224aは、第2大表面222に対して約17°の角度θをなして傾斜する。したがって、第1端縁表面部分224aは、第2大表面222の垂線に対する角度α′が約73°(=90-17°)で傾斜する。第3端縁表面部分224cも第1大表面220に対して約17°の角度θをなして傾斜する。第3端縁表面部分224cも、したがって、第1大表面220の垂線に対する角度α′が約73°(=90-17°)で傾斜する。角度α′は、60°~80°の間、好適には65°~80°の間、より好適には65°~78°の間であることが好ましい。
【0229】
研削深さ227は、上述したような研削ホイールを用いる端縁加工プロセスによって作製する。
【0230】
ポイントrは、第1端縁226上に示す。ポイントr′は、第3端縁232上に示す。ポイントs′は、第4端縁234上に示す。ポイントsは、第2端縁228上に示す。
【0231】
この実施例において、第1端縁表面部分224aが平坦であり、また第2大表面222に対して約17°の角度をなして傾斜すると仮定すると、図8dにおけるラインr-r′の長さに対応する第1端縁226と第3端縁232との間の最短距離は、次式、すなわち、
【数1】
で与えられ、また0.7mmの研削深さ227に関しては、これは約0.732mmである。端縁表面はラインw-w′に対して対称であるため、ラインs-s′の長さも約0.732mmである。この実施例において、第3端縁232と第4端縁234との間の最短距離(図8cにおけるラインr′-s′)は、したがって、次式、すなわち、
【数2】
で与えられ、また0.7mmの研削深さ及び0.55mmのガラス厚に関しては、これは約0.122mmである、すなわち、ラインr′-s′は約0.122mmの長さを有する。
【0232】
したがって、第1端縁226と第2端縁228との間の端縁表面224に沿う最短距離は(2×0.732)+0.122mmであり、これは1.586mmである。このことは、この実施例においては、0.55mmである第2板ガラスにおける厚さの2.88倍である。
【0233】
第1端縁226上の第1ポイントrと第2端縁228上の第2ポイントsとの間における端縁表面224の最短距離は図8cに点線pとして示す。
【0234】
第1端縁部分224aの第2大表面222に対する傾斜角度を変化させることによって及び/又は第3端縁部分224cの第1大表面220に対する傾斜角度を変化させることによって、図8cにおけるポイントrとポイントsとの間の最短距離は変化することができる。例えば、第2端縁表面224bを同一に維持する(例えば、r′-s′=0.122mm)ことは、角度θが17°から10°に減少する場合において、ラインr-r′(s-s′)の長さは、
0.732mmから1.232mm(0.214/sin(10°)mm)まで長くなる。ポイントrとポイントsとの間の最短距離は、したがって、
(1.232×2+0.122)=2.586mmに増加する。これは、第2板ガラス204の厚さの4.7倍である。
【0235】
例えば、適当な端縁加工プロセスによって上側端縁表面224を作製した後、これに続いて第2板ガラス204を化学的に強化することができる。
【0236】
図8a~8dにつき示したのと同様の他の実施例において、第2板ガラス204は同一の全体的形態を有するが、厚さは0.70mmを有する。研削深さ227は0.67mmであり、また角度θはやはり17°である。この実施例に関して積層ガラスの他の部分は同一である。このようにして構成された第2板ガラスに関して、距離s-s′は、0.67/cos(17°)mm(=研削深さ/cos(θ))であると計算することができる。したがって、この実施例に関しては、距離s-s′(及びr′-r)は約0.7006mmである。この実施例において、距離s′-r′は約0.2903mmであると計算することができる(上述の方程式(2)を使用して)。したがって、この実施例において、第1端縁226と第2端縁228との間における端縁表面224に沿う最短距離は、(2×0.7006mm)+0.2903mmであり、これは1.6915mmである。これは、この実施例では0.70mmである第2板ガラス204の厚さの2.42倍である。
【0237】
図8a~8dにつき示したのと同様の他の実施例において、第2板ガラス204は同一の全体的形態を有するが、厚さは0.55mmを有する。研削深さ227は0.42mmであり、また角度θはやはり17°である。この実施例に関して積層ガラスの他の部分は同一である。このようにして構成された第2板ガラスに関して、距離s-s′は、0.42/cos(17°)mm(=研削深さ/cos(θ))であると計算することができる。したがって、この実施例に関しては、距離s-s′(及びr′-r)は約0.44mmである。この実施例において、距離s′-r′は約0.29mmであると計算することができる(上述の方程式(2)を使用して)。したがって、この実施例において、第1端縁226と第2端縁228との間の端縁表面224に沿う最短距離は、(2×0.44mm)+0.29mmであり、これは1.17mmである。これは、この実施例では0.55mmである第2板ガラス204の厚さの2.13倍である。
【0238】
円形曲率を有するC輪郭端縁表面に関しては、端縁間の最短距離は、次式、すなわち、
【数3】
で与えられ、また0.55mmのガラス厚に関して、これは約0.86mmに等しく、このことはガラス厚の1.57(=π/2)倍である。
【0239】
図8a~8dにつき示した実施例において、中間層構造は適当な接着性中間層材料の単一シートに置換する、又は第1及び第2のPVBシート208、210間にPETシート212がない、又は中間層構造がPETシート等とともに、若しくはこれに隣接してより多くのPVBシートを含む場合があり得ることに留意されたい。
さらに、積層ガラス200は、図1、2及び3~6につき示したような車両サイド・ウィンドウとして構成することができる。
【0240】
先の実施例において、板ガラスの端縁は2つの表面間の交差として画定され、これにより形成される端縁は鋭利端縁である(例えば、図2a及び2b参照)。しかし、実際には、端縁は丸み付き端縁とすることができ、またこのことを図2cに示し、この図2cは、丸み付き端縁を有することを除いて図2aに示したのと同様の板ガラスの断面図である。
【0241】
図2cは、第1丸み付き端縁302、第2丸み付き端縁304、第1大表面310、これとは反対側の第2大表面312を有する板ガラス300における上側端部の断面図を示す。このような状況において、第1及び第2の大表面310、312間における端縁表面は、端縁表面が第1(及び第2)の大表面310、312からの十分な偏差があるときに始まることは明らかである。例えば、本発明によれば、板ガラス300の第1端縁は、板ガラス300の第1大表面310又は第2大表面312に対して端縁加工を開始する(すなわち、研削を開始する)ことによって画定することができる。同様に、板ガラスの第2端縁は、板ガラス300の第2大表面312又は第1大表面310に対して端縁加工を開始する(すなわち、研削を開始する)ことによって画定することができる。
【0242】
したがって、板ガラス300の第1端縁は、第1大表面310と丸み付き端縁302の表面との間の交差として画定することができる。板ガラス300の第2端縁は、第2大表面312と丸み付き端縁304の表面との間の交差として画定することができる。
【0243】
ポイントrは第2大表面312に対する端縁加工の始点にあり、またポイントsは第1大表面310に対する端縁加工の始点にある。このような実施例において、ポイントrとポイントsとの間に延在する端縁表面は、丸み付き端縁302、304の丸み付き部分を含む。実際上、丸み付き端縁の曲率半径がガラス厚に比べて小さい場合、端縁の正確な位置はそれほど重要ではなく、板ガラスの互いに反対側の大表面間の距離(ポイントrとポイントsとの間の最短距離、すなわち、ラインpの長さ)に有意に関与しない。例えば、第1及び/又は第2の丸み付き端縁302、304は、0.1mm以下の曲率半径を有することができる。
【0244】
本発明による方法を図解するため、積層ガラス100の作製を例として図7a~7dにつき説明する。
【0245】
図7aに示す積層ガラス100を作製するため、第1板ガラス102をより大きな板ガラスから切断することができ、また端縁表面114を設けるよう適切な端縁加工を施す。
【0246】
この後、端縁加工した第1板ガラス102を適当な支持体上に載置し、第2大表面118が上向きになるようにする。次に第1PVBシート108を第1板ガラス102上に載置し、第1PVBシート108が第2大表面118上にあるようにする。次に、PETシート112を第1PVBシート108上に載置する。次に第2PVBシート10をPETシート112上に位置決めする。次に第2板ガラス104を準備する。第2板ガラス104は適切に端縁加工を施して、端縁表面124を設ける。この後、端縁加工済み第2板ガラス104は、好適には、化学的に強化する。この後、化学的に強化した端縁加工済み第2板ガラスを、第2端縁128を有する第2PVBシート110上に位置決めし、この位置決めは、第2端縁128が上側端縁表面108′、110′及び112′に整列し、第1板ガラス102の上側端縁表面114とともに積層ガラス100の上側端縁表面の部分を形成する。この後、アセンブリ全体を普通の積層化条件を使用してラミネートする。
【0247】
他の方法においては、端縁加工後かつ積層化前に第1板ガラス102は、熱強靭化プロセス又は化学的強化プロセスを使用して適切に強靭化する。
【0248】
先の図で車両サイド・ウィンドウ1、積層ガラス100及び積層ガラス200は平坦外表面を有する平坦(平面状)であるものとして示したが、車両サイド・ウィンドウ1、積層ガラス100及び積層ガラス200は1つ又はそれ以上の方向に湾曲又は屈曲させることができる。1つ又はそれ以上の方向のうち1つの方向の曲率半径は1000mm~8000mmとすることができる。2方向に湾曲又は屈曲させるとき、適切には、曲率の各方向は互いに直交する。適切には、一方又は双方の湾曲方向の曲率半径は1000mm~8000mmである。
【0249】
第1板ガラスを整形する適当な技術は既知である。しかし、第2板ガラスは、初期的には平坦であり、積層化プロセス中に平坦な第2板ガラスに対して適切な圧力を加えることで、湾曲した第1板ガラスによって所望形状にセットされる「冷間成形」をすることができる。積層化プロセス中の温度は、接着層(すなわち、PVBシート)を第1及び第2の板ガラスに結合させるのに十分なものとするが、このような温度は、第2板ガラスのみを相補的整形部材間におけるプレス及び/又は重力影響下における沈下により変形させるほど十分なものとはしない。
【0250】
ラミネートした車両サイド・ウィンドウを本発明により構成する場合、その上側端縁領域は、車両サイド・ウィンドウが閉じるとき、車両サイド・ウィンドウの露出した上側端縁表面が係合して封止を形成するゴム製シール等を損傷させる可能性が少ないことが分かっている。第2板ガラスの上側端縁部分はC輪郭端縁に比べると鋭利に形成されていても、車両サイド・ウィンドウを作製するためこの第2板ガラスが積層ガラスに組み込まれるとき、ゴム製シールに対するこのような損傷の可能性が減少する。
図1
図2
図2a
図2b
図2c
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d