特許 7471281 プレート熱交換器構造及びモジュール構造

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-04-11

(45)【発行日】2024-04-19

(54)【発明の名称】プレート熱交換器構造及びモジュール構造

(51)【国際特許分類】

   F28D 9/00 20060101AFI20240412BHJP

   F28F 3/08 20060101ALI20240412BHJP

   F28F 9/00 20060101ALI20240412BHJP

   F28F 9/02 20060101ALI20240412BHJP

   F28F 9/22 20060101ALI20240412BHJP

【ＦＩ】

F28D9/00

F28F3/08 311

F28F9/00 331

F28F9/02 E

F28F9/22

【請求項の数】 13

(21)【出願番号】P 2021516693

(86)(22)【出願日】2019-10-10

(65)【公表番号】

(43)【公表日】2022-01-12

(86)【国際出願番号】 EP2019077474

(87)【国際公開番号】W WO2020074641

(87)【国際公開日】2020-04-16

【審査請求日】2022-08-15

(31)【優先権主張番号】18200131.3

(32)【優先日】2018-10-12

(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP

(73)【特許権者】

【識別番号】521116129

【氏名又は名称】ヴァハテルス オーイー

(74)【代理人】

【識別番号】110001519

【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】コントゥ、マウリ

【審査官】古川 峻弘

(56)【参考文献】

【文献】特開２０１６－１８３８３３（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１７－０３２２５０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特表２００３－５１９３５５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特表２０１５－５３５０６９（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０１６／０２８２０５３（ＵＳ，Ａ１）

【文献】国際公開第２０１４／１６２０４１（ＷＯ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｆ２８Ｄ ９／００－９／０４

Ｆ２８Ｆ ３／００－３／１４，９／００－９／２６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

プレート熱交換器構造（１）であって、前記プレート熱交換器構造（１）は、
各々が少なくとも２つの開口を有し互いに面するよう配置された熱交換プレートのプレート対により形成されるプレートパック（２）であって、前記熱交換プレートの前記開口によって形成される流路（１０ａ、１０ｂ）を介して互いに接続して配置された前記プレート対の内側部分を含む前記プレートパック（２）と、
前記プレートパックを収容する外側ケーシングであって、前記熱交換プレートが並ぶ方向で前記プレートパックから離れて配置されたエンドプレート（４ａ、４ｂ）と、前記エンドプレートを接続するシェル（３）とを含む前記外側ケーシングと、
前記外側ケーシングを貫通して配置され、前記プレートパックに接続して配置される熱交換媒体のための入口接続部及び出口接続部（６、７、７ａ、７ｂ）とを有し、
少なくとも１つの仕切プレート（５）が、前記プレートパックの前記熱交換プレートの間に配置され、前記プレートパックをプレートパック部に分割し、
前記プレート熱交換器構造は、前記プレートパック部の前記プレート対の内側部分と接続して配置される、各プレートパック部の入口接続部と出口接続部とを備え、
前記プレートパック部の少なくとも１つの前記入口接続部または前記出口接続部は、前記外側ケーシングの前記エンドプレートと前記仕切プレート（５）との間のプレートパック部の前記流路（１０ａ、１０ｂ）の内側に配置される接続管（８、９）を備え、前記接続管の第１端部は、前記プレートパック部の前記流路との接続を形成するために前記仕切プレート（５）に取り付けられ、前記接続管（８、９）の第２端部は、前記外側ケーシングのエンドプレート（４ａ）を貫通して伸長していることを特徴とする、プレート熱交換器構造（１）。

【請求項2】

前記接続管（８、９）は、前記プレートパックの前記流路（１０ａ、１０ｂ）の直径よりも小さい外径を有することを特徴とする、請求項１に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項3】

前記仕切プレート（５）の外縁が、前記熱交換プレートの外縁を含む前記プレートパックの外面と略同一面となるように前記仕切プレート（５）を前記熱交換プレートの間に配置することを特徴とする、請求項１又は２に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項4】

前記プレート熱交換器構造は、前記プレート熱交換器構造のシェル側に複数の流路を配置するため前記プレートパック（２）の外面と前記シェル（３）の内面との間に配置される少なくとも１つのストッパプレート（１２）を更に備えることを特徴とする、請求項１～３のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項5】

前記プレートパックは、１つの仕切プレート（５）を備え、前記プレートパック（２）は、第１のプレートパック部（Ａ）と、第２のプレートパック部（Ｂ）である２つの別個の部分を備え、前記第２のプレートパック部の入口接続部または出口接続部は、前記外側ケーシングの前記エンドプレートと前記仕切プレート（５）との間の前記第１のプレートパック部の流路（１０ａ、１０ｂ）の内側に配置された接続管（８、９）を備えることを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項6】

前記第１のプレートパック部（Ａ）の入口接続部は、前記外側ケーシングの前記エンドプレート（４ａ）に配置された前記第１のプレートパック部（Ａ）の出口接続部（１３）を介して接続管（１５）を配置することにより形成され、前記接続管（１５）は、前記第１のプレートパック部の前記流路（１０ａ）の内側に伸長していることを特徴とする、請求項５に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項7】

前記プレートパックは、１つの仕切プレート（５）を備え、前記プレートパック（２）は、第１のプレートパック部（Ａ）と、第２のプレートパック部（Ｂ）である２つの別個の部分を備え、前記第２のプレートパック部の入口接続部及び出口接続部は、前記外側ケーシングの前記エンドプレートと前記仕切プレート（５）との間の前記第１のプレートパック部の流路（１０ａ、１０ｂ）の内側に配置された接続管を備えることを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項8】

前記プレートパックが、２つの仕切プレート（５ａ、５ｂ）を備え、前記プレートパック（２）が、第１のプレートパック部（Ａ）、第２のプレートパック部（Ｂ）及び第３のプレートパック部（Ｃ）の３つの別個の部分を備え、前記プレートパックの中央部における前記第２のプレートパック部の入口接続部及び出口接続部が、前記第１のプレートパック部及び前記第３のプレートパック部のうち少なくとも一方の流路（１０ａ、１０ｂ）の内側に配置された接続管（８、２０）を備えることを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項9】

前記プレートパック部の入口接続部（Ａ）と前記第３のプレートパック部の入口接続部（Ｃ）とが、前記外側ケーシングの前記エンドプレートに配置された前記プレートパック部の出口接続部（１３、２５）を介して、接続管（１５、２２）を配置することにより形成され、前記接続管（１５、２２）は、前記プレートパック部の前記流路の内側に伸長していることを特徴とする、請求項８に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項10】

前記プレートパックが、３つの仕切プレートを備え、前記プレートパック（２）が、第１のプレートパック部（Ａ）、第２のプレートパック部（Ｂ）、第３のプレートパック部（Ｃ）及び第４のプレートパック部（Ｄ）の４つの別個の部分を備え、前記プレートパックの中央部における前記第２のプレートパック部（Ｂ）及び前記第３のプレートパック部（Ｃ）の入口接続部及び出口接続部が、前記第１のプレートパック部又は前記第３のプレートパック部の流路（１０ａ、１０ｂ）の内側に配置された接続管（８、９、１８、１９）を備えることを特徴とする、請求項１～４のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造。

【請求項11】

モジュール構造であって、同一の前記外側ケーシングの内部に配置された少なくとも２つのモジュールを備え、前記モジュールが隔壁によって互いに分離されており、少なくとも１つのモジュールが、請求項１～７のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構造を備えることを特徴とする、モジュール構造。

【請求項12】

前記モジュールの前記外側ケーシングは、前記モジュール構造の長さで連続していることを特徴とする、請求項１１に記載のモジュール構造。

【請求項13】

前記プレート熱交換器構造と隣接するモジュールとの間の前記隔壁は、前記プレート熱交換器構造の前記外側ケーシングの前記エンドプレートであることを特徴とする、請求項１１または１２に記載のモジュール構造。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、以下に示す独立請求項に係るプレート熱交換器構造に関する。本発明はまた、本発明によるプレート熱交換器構造を備えるモジュール構造に関する。

【背景技術】

【0002】

プレート及びシェル型プレート熱交換器は、熱交換プレートにより形成されたプレートパックと、これを囲む外側ケーシングとから構成され、圧力容器として機能する。プレートパックは複数のプレート対で構成されている。各プレート対は、典型的には、少なくともそれらの外周に一緒に取り付けられる２つの熱交換プレートで形成される。各熱交換プレートは、熱交換媒体の流れのために少なくとも２つの空間を有する。隣接する２つのプレート対の空間に互いに接続して、互いに取り付けられる。プレート対の内側部分は、熱交換プレートの空間により形成された流路を介して、プレート対が互いに接続して配置され、熱交換プレートの空間に熱交換器の一次回路が形成されている。二次回路は、プレートパックを取り囲む外側ケーシングの接続部間に形成され、これらは、プレートパックのプレート対の間の空間に接続して配置される。１次側の熱交換媒体は、１つおきのプレート空間に流れ、２次側の熱交換媒体は、１つおきのプレート空間に流れる。

【0003】

用途によっては、いくつかの熱交換器を必要とする場合もあるが、熱交換器の空間は限られており、熱交換器をできるだけコンパクトに構成できれば有益である。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

本発明の目的は、プレート熱交換器のコンパクトな構成を可能とするプレート熱交換器構造を提供することである。

【0005】

本発明の目的は、特に、複数の熱交換媒体の流れを１つのプレートパックの内部に構成することを可能とするプレート熱交換器構造を提供することである。

【0006】

また、本発明の目的は、そのような熱交換器として使用することができるが、モジュール構造においても利用することができるプレート熱交換器構造を提供することにある。

【0007】

また、本発明の目的は、製造が容易なプレート熱交換器構造を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0008】

とりわけ、上に提示された目的を達成するために、本発明は、添付の独立請求項の特徴的な部分に示されたものを特徴とする。本発明のいくつかの好ましい実施態様については、他の請求の範囲で説明する。

【0009】

本発明による典型的なプレート熱交換器構造は、少なくとも２つの空間を有し、かつ、互いの上部に配置された熱交換プレートにより構成されるプレートパックであって、プレートパックは、熱交換プレートの方向の端部と、熱交換プレートの外縁により規定される外面とを有し、プレート対が互いにプレート対として取り付けられ、プレート対が熱交換プレートの空間により形成された流路を介して互いに接続して配置された内側部分と、プレートパックを取り囲む外側ケーシングであって、外側ケーシングは、プレートパックの端部の主方向のエンドプレートと、エンドプレートを接続するシェルと、外側ケーシングを介して配置された熱交換媒体の入口接続部及び出口接続部とを有し、プレート対の間の空間に接続して配置されている。

【0010】

本発明に係る典型的なプレート熱交換器構造において、前記プレートパックをプレートパック部に分割する少なくとも１つの仕切プレートがプレートパックの熱交換プレートの間に配置され、記プレート熱交換器構造が、プレートパック部のプレート対の内側部分に接続して配置される各プレートパック部の入口接続部および出口接続部を備える。本発明に係る典型的なプレート熱交換器構造において、プレートパック部の少なくとも１つの入口又は出口接続部は、接続管を備え、該接続管は、プレートパック部のエンドプレートと仕切プレートとの間の流路の内側に配置され、接続管の端部は、プレートパック部の流路への接続部を形成するための仕切プレートに取り付けられ、接続管の第２端部は、外側ケーシングのエンドプレートを貫通して伸びている。

【0011】

本発明に係る典型的なモジュール構造は、同じ外側ケーシングの内側に配置された少なくとも２つのモジュールであって、これらのモジュールは、仕切プレートによって互いに分離されており、少なくとも１つのモジュールは、２つのプレートパック部を備える本発明の実施の形態に係るプレート熱交換器構造を備える。

【0012】

本発明は、１つのプレートパック内に２つ以上のプレートパック部を備える、プレートパックの構造に基づく。本発明によるプレートパックの構造は、２つ以上の別個の熱交換媒体循環を同じプレートパック内に配置することを可能にする。プレートパックは、プレートパックの熱交換プレートの間に仕切プレートを配置して２つ以上の別個の部分に分割してもよいことがわかったが、仕切プレートは、プレートパックの各部分を分離している。１つのプレートパックにおける２つ以上のプレートパック部は、隣接するプレートパック部の流路を介してプレートパック部の入口及び／又は出口接続部を配置することができることが分かっているので、接続部が、外部ケーシングのエンドプレートと仕切プレートとの間のプレートパック部の流路の内側に接続管を備えるようにすることができる。接続管の端部は、プレートパック部の流路との接続を形成する仕切プレートに密着して取り付けられており、プレートパック部内の熱交換媒体同士が混ざり合うことがないようになっている。本発明によるプレート熱交換器構造では、プレートパック部の少なくとも１つの入口又は出口接続部は、二重接続構造を備える、すなわち、エンドプレートにおける１つの空間を介して２つのプレートパック部への接続部が配置される。

【0013】

同一プレートパック内部の２つ以上の熱交換媒体用のプレート熱交換器構造は、プレート熱交換器のシェル側に単一の熱交換媒体を用いることにより、冷却／加熱することができる。これは、熱交換器のための空間が限られている場合に有利である。プレートパックの接続部に関係なく、シェル側の入口および出口接続部を形成することができる。本発明による典型的な実施形態では、シェル側は、全てのプレートパック部において共通である。シェル側面は、複雑な構造なしに単純に構成することができ、例えば、本発明による熱交換器構造に必要な配管作業を単純化する。

【0014】

本発明によるプレートパック構造は、完全に溶接された構造を提供し、熱交換器の圧力気密性に影響を与えない。

【0015】

本発明の一実施の形態によるプレート熱交換器構造は、２つのプレートパック部を備えるプレートパック配置の入口および出口接続部が、外側ケーシングのエンドプレートを介して配置することが可能であるので、コンパクトな構造を提供する。この種の本発明によるプレート熱交換器構造は、開放可能なエンドプレート構造で形成することができる。

【0016】

また、本発明によるプレート熱交換器構造は、容易に適用可能な構造を提供する。

【0017】

本発明を、以下の添付図面を参照してより詳細に説明する。

【図面の簡単な説明】

【0018】

【図1】プレートパックに１つの仕切プレートを配置した本発明の一実施形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【図2】プレートパックに１つの仕切プレートを配置した本発明の他の実施形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【図3】プレートパックに１つの仕切プレートを配置した本発明の他の実施形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【図4】外側ケーシングのエンドプレートから見た図３によるプレート熱交換器構造を示す。

【図5】プレートパックに２つの仕切プレートを配置した本発明の一実施の形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【図6】プレートパックに２つの仕切プレートを配置した本発明の他の実施の形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【図7】プレートパックに３つの仕切プレートを配置した本発明の一実施の形態に係るプレート熱交換器構造を示す。

【発明を実施するための形態】

【0019】

本発明によるプレート熱交換器構造は、プレートパックと、それを取り囲む外部ケーシングとを備える。外側ケーシングは、シェルと、シェルの端部に配置される第１のエンドプレート及び第２のエンドプレートとを備える。典型的な実施形態では、シェルは、実質的に水平な円筒シェルであり、エンドプレートは、垂直のエンドプレートである。本明細書において使用される外側ケーシング又は円筒シェルの長手方向という用語は、エンドプレート間の方向を指し、典型的には、水平方向を意味する。外側ケーシングの円筒シェルが直線円筒である場合、その長手方向は、当該円筒の中心軸の方向と同じである。

【0020】

プレートパックは複数のプレート対で構成されている。各プレート対は、典型的には、少なくともそれらの外周に一緒に取り付けられる２つの熱交換プレートで形成される。各熱交換プレートは、熱交換媒体の流れに対して少なくとも２つの空間を有する。隣接する２つのプレート対の空間に接続することにより、互いに取り付けられる。プレート対の内側部分は、熱交換プレートの空間により形成される流路を介して互いに接続して配置される。プレートパックでは、熱交換媒体が空間を介してプレート対から別のプレート対に流れることができる。熱交換プレートは、典型的には、円形の熱交換プレートであり、プレートパックは、主に、形状が円筒である。プレートパックの長手方向は、円筒シェルの長手方向と同じである。

【0021】

本発明に係るプレート熱交換器構造において、プレートパックは、２つ以上のプレートパック部に分割されており、このプレートパックは、熱交換プレートのプレート対からなる１つのプレートパックが、複数のプレート対からなる２つ以上の部分からなることを意味する。本発明に係るプレート熱交換器構造では、プレートパックの熱交換プレート同士の間に少なくとも１つの仕切プレートが配置され、これがプレートパックを別個のプレートパック部に分割する。本発明によればプレートパックは、プレートパックの熱交換プレートの間に仕切プレートを配置してパック部を２つ、３つまたは４つに分割してもよい。プレートパックの別個のプレートパック部とは、プレートパック内部のプレート対の内側の流路接続が仕切プレートによって遮断されることを意味する。プレートパック部は、異なるサイズを有してもよく、すなわち、異なる量のプレート対を含んでもよい。プレートパックのプレートパック部は、用途の要求に基づいて配置することができる。

【0022】

一実施形態によれば、前記プレートパックの熱交換プレートの間に配置される仕切プレートは、５～２０ｍｍ程度の厚さを有している。仕切プレートは、プレートパックの熱交換プレートよりも実質的に厚い。仕切プレートの外縁が前記プレートパックの外面と略同一平面にあるように前記熱交換プレートの間に仕切プレートが配置されている、すなわち、仕切プレートの直径が前記プレートパックの熱交換プレートの直径と略同一になっている。プレートパックの熱交換プレートに仕切プレートを溶接してもよい。隔壁は、プレート対間の流れ接続を遮断するために使用される。

【0023】

本発明によるプレート熱交換器構造は、各プレートパック部の入口接続部と出口接続部とを備え、これらの接続部は、前記プレートパック部のプレート対の内側部分と接続して配置されている。このように、プレートパック部の一次回路は、前記プレートパック部の入口接続部と出口接続部との間に形成される。二次回路の入口接続部及び出口接続部は、外側ケーシングの内側に関連して、プレート対の間の空間に配置される。典型的には、プレートパック部と二次回路の一次回路は互いに分離されている。すなわち、プレートパック部の内側部分を流れる熱交換媒体は、外側ケーシング内を流れる熱交換媒体と、別のプレートパック部の内側部分を流れる熱交換媒体と混ざり合うことができない。

【0024】

前記プレートパック部の少なくとも１つの入口又は出口接続部は、接続管を備え、該接続管は、前記プレートパック部の流路の内側に、前記外側ケーシングのエンドプレートと前記仕切プレートとの間に配置されている。前記接続管の端部は、前記プレートパック部の流路との接続を形成する仕切プレートに取り付けられ、前記接続管の第２端部は、前記外側ケーシングのエンドプレートを貫通して伸長している。接続管の端部は、同一のプレートパックを用いて形成されるが、仕切プレートに密着した構造を提供し、隣接するプレートパック部間のバイパス流を排除するために密着している。

【0025】

接続管の外側は、接続管が前記プレートパック部の熱交換媒体を流れるので、接続管が配置されるプレートパック部の流路の直径よりも小さい外径を有する。本発明のプレート熱交換器構造では、プレートパック部は１つのプレートパックに形成され、ここで、全てのプレートパック部における流路の直径は、典型的には同じである。

【0026】

本発明の実施の形態では、プレートパックは、２つの別個の部分、すなわち第１のプレートパック部と第２のプレートパック部から構成され、プレートパック部は、プレートパックの熱交換プレートの間に仕切プレートを配置することによって形成される。第１プレートパック部とは、プレートパック部のことをいい、外部ケーシングのエンドプレートと仕切プレートの間にあり、外部ケーシングのエンドプレートを介して配置された出入口接続部に直結される。第２プレートパック部とは、第１プレートパック部用の入口又は出口からなるエンドプレートから見て仕切プレートの後方に配置されるプレートパック部をいう。第２プレートパック部の入口及び／又は出口接続部は、第１プレートパック部の流路の内側に配置された接続管を備える。接続管の端部は、第２プレートパック部の流路との接続を形成する仕切プレートに取り付けられ、前記接続管の第２端部は、外側ケーシングのエンドプレートを貫通して伸長している。第２プレートパック部の入口接続部と出口接続部の両方が第１プレートパック部の流路を介して接続管を配置して形成される場合、プレート熱交換器構造は、開放可能なエンドプレートを備えたコンパクトな構造を提供する。このため、プレートパック部の入口と出口接続部の全てが同じエンドプレートに配置され、従ってプレート熱交換器構造は、例えば洗浄のために必要な場合、開放可能なエンドプレートを備えて製造することができ、プレートパックを外部ケーシングから容易に取り外すことができる。

【0027】

本発明による実施形態では、プレートパックは、第１のプレートパック部と第２のプレートパック部との２つの別個の部分を備え、第２のプレートパック部の入口接続部または出口接続部は、第１のプレートパック部の流路の内側に配置された接続管を備えている。前記実施の形態において、前記第１プレートパック部の入口接続部は、前記外部ケーシングのエンドプレートに配置された前記第１プレートパック部の出口接続部を介して接続管を配設して形成されていてもよく、前記接続管は前記第１プレートパック部の流路の内側に長く伸長している。前記入口及び出口接続部は、前記エンドプレートに同一の開口部を介して配置された二重管接続部を形成している。

【0028】

本発明による実施形態において、前記プレートパックは、２つの仕切プレートを備え、前記プレートパックは、第１プレートパック部、第２プレートパック部、および第３プレートパック部の３つの別個の部分を備える。プレートパック中央部における第２プレートパック部の入口及び出口接続部は、第１プレートパック部及び／又は第３プレートパック部の流路の内側に外側ケーシングのエンドプレートと仕切プレートとの間に配置された接続管を備える。第１プレートパック部及び／又は第３プレートパック部の流路には、用途に応じて入口及び出口接続管が配置されている。本発明に係る実施の形態において、前記第１プレートパック部の入口接続部と前記第３プレートパック部の入口接続部とは、前記外側ケーシングのエンドプレートに配置された前記プレートパック部の出口接続部を介して接続管を配設してなるものであって、前記接続管は、前記プレートパック部の流路の内側に長く伸長している。

【0029】

本発明による実施形態において、前記プレートパックは、３つの仕切プレートを備え、前記プレートパックは、４つの別個の部分、第１のプレートパック部、第２のプレートパック部、第３のプレートパック部および第４のプレートパック部を備える。プレートパックの中央部における第２プレートパック部と第３プレートパック部の入口及び出口接続部は、第１プレートパック部と第３プレートパック部の外側ケーシングのエンドプレートと仕切プレートとの間の流路の内側に配置された接続管を備える。

【0030】

同一プレートパック内部の２つ以上の熱交換媒体用のプレート熱交換器構造は、プレート熱交換器のシェル側に単一の熱交換媒体を用いることにより、冷却／加熱することができる。プレートパックの接続部に関係なく、シェル側の入口および出口接続部を形成することができる。本発明による典型的な実施形態では、シェル側は、全てのプレートパック部において共通である。本発明に係る熱交換器構造においては、熱交換器の外側ケーシングを介してシェル側の出入口接続部が配置されている。シェル側の入口及び出口接続部は、エンドプレートを介して、又はシェルを介して、又はそれらの任意の組合せで配置することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、全てのシェル側の入口及び出口接続部は、熱交換器のエンドプレートに配置され、これは、プレートパック部の入口及び出口接続部もエンドプレートに配置されれば有利であり得る。これは、プレート熱交換器構造のコンパクトな構造を提供する。

【0031】

本発明の一実施形態において、プレート熱交換器構造は、プレートパックの外面とシェルの内面との間に配置され、熱交換器のシェル側に複数の流路を配置する少なくとも１つのストッパプレートをさらに備える。本発明の一実施の形態によれば、ストッパプレートは、プレートパックの熱交換プレートの間に配置された仕切プレートに溶接される。ストッパプレートは、熱交換プレートの方向に略平面であり、プレートパックの熱交換プレートの方向にプレート熱交換器構造に配置されている。

【0032】

本発明に係るプレート熱交換器構造は、例えば熱交換器であってもよいし、モジュール構造体の一部であってもよい。

【0033】

本発明に係るモジュール構造は、同一の外側ケーシングの内側に配置され、互いに隔壁によって分離されたモジュールを少なくとも２つ備え、少なくとも１つのモジュールは、２つのプレートパック部を備える、本発明に係るプレート熱交換器構造を備える。一実施形態によると、モジュールの外側ケーシングは、モジュール構造の長さにおいて連続している。モジュール構造では、プレート熱交換器構造と隣接するモジュールとの間の隔壁が、前記プレート熱交換器構造の外側ケーシングのエンドプレートとなる。本発明による構成は、２つの熱交換媒体循環を１つのモジュール部の内部に配置することができるので、コンパクトなモジュール構造を提供する。これらの種類の構造は、熱交換器用途のための空間が限定されている場合に有利である場合がある。

【0034】

分かりやすくするために、異なる実施形態における対応する構成には同じ参照番号が使用される。

【0035】

図に示すプレート熱交換器構造１は、外側ケーシングを備えており、外側ケーシングは、略水平な円筒シェル３と、略垂直な第１及び第２のエンドプレート４ａ、４ｂとから形成されている。外側ケーシングの内側にはプレートパック２が配置されている。プレートパック２は、２つの空間を有し、互いの上部に配置された熱交換プレートにより形成され、プレートパック内には熱交換プレートがプレート対として互いに取り付けられ、プレート対の内側部分は、熱交換プレートの空間により形成された流路１０ａ、１０ｂを介して互いに接続して配置されている。

【0036】

図１～図３に示す実施形態では、プレートパック２は、第１プレートパック部Ａと第２プレートパック部Ｂの２つのプレートパック部から構成されており、第１プレートパック部と第２プレートパック部とは、プレートパックの熱交換プレート間に仕切プレート５を配置して互いに分離されている。

【0037】

図５及び図６に示す実施形態では、プレートパック２は、３つのプレートパック部、第１プレートパック部Ａ、第２プレートパック部Ｂ及び第３プレートパック部Ｃから構成されており、プレートパック部は、プレートパックの熱交換プレート間に２つの仕切プレート５ａ、５ｂを配置して互いに分離されている。

【0038】

図７に示す実施形態では、プレートパック２は、４つのプレートパック部、第１プレートパック部Ａ、第２プレートパック部Ｂ、第３プレートパック部Ｃおよび第４プレートパック部Ｄから構成されており、プレートパック部は、プレートパックの熱交換プレート間に３つの仕切プレート５ａ、５ｂ、５ｃを配置して互いに分離されている。

【0039】

各プレートパック部は、プレートパック２のいくつかのプレート対を備える。プレートパック２の長手方向におけるプレートパック部の長さは、互いに異なるものであってもよく、複数のプレート対が互いに異なるものであってもよい。

【0040】

仕切プレート５、５ａ、５ｂ、５ｃは、仕切プレートの外縁がプレートパックの外面と略同一平面になるように熱交換プレート同士の間に配置されている。プレートパック部の間に配置された仕切プレートまたは複数の仕切プレートは、流路１０ａ、１０ｂを通るプレートパック部の流路接続を遮断するために使用される。仕切プレートは、前記プレートパック部の流路への接続を形成するために、入口および／または出口接続のための必要な開口部を備える。

【0041】

図１において、第２プレートパック部Ｂの一方の接続部は、接続管８を備えるように配置されている。他方の接続部１１は、エンドプレート４ｂを介して配置されている。接続部１１と接続管８との間には第２プレートパック部Ｂの熱交換媒体回路が形成されており、流動方向がどちらでもよい。接続管８は、第１プレートパック部Ａの流路１０ｂの内側に配設されており、仕切プレート５には、第２プレートパック部の流路との接続を形成するための接続管８の端部が取り付けられており、接続管８の第２端部は、外部ケーシングのエンドプレート４ａを貫通して伸長している。

【0042】

図１では、入口接続管１５と出口接続部１３との間に第１プレートパック部Ａの熱交換媒体回路が形成されている。接続管１５は、出口接続部１３を通って配置され、接続管１５は、プレートパックの流路１０ａの内側に延びる。接続管１５の端部は、例えば構成１７のようなプレートによって流路に密に配置されている。この構造により、第１プレートパック部Ａの入口及び出口接続部を、外部ケーシングのエンドプレートの同じ開口部を介して配置し、プレートパック部Ａの内部に熱交換媒体循環を設けることができる。

【0043】

図１において、プレート熱交換器構造のシェル側は、１つの入口接続部６および２つの出口接続部７ａ、７ｂを備える。シェル側は、プレートパック２の外面とシェル３の内面との間に配置されたストッパプレート１２によって形成され、シェル側熱交換媒体の流れを導く２つの流路を備えている。

【0044】

図２において、第１プレートパック部Ａを介して第２プレートパック部Ｂの入口接続及び出口接続の双方が配置されており、第２プレートパック部Ｂの入口及び出口接続は、第１プレートパック部Ａの流路１０ａ、１０ｂの内部に接続管８、９を配置して構成されており、接続管８、９の端部は、第２プレートパック部の前記流路との接続を形成する仕切プレート５に取り付けられており、接続管８、９の端部は、外部ケーシングのエンドプレート４ａを貫通して伸長している。接続管８と接続管９との間には第２プレートパック部Ｂの熱交換媒体回路が形成されており、流動方向がどちらでもよい。図２において、シェル側面は、外部ケーシングのシェル３を貫通して配置された入口接続部６及び出口接続部７を備える。

【0045】

図３は、図２と同様のプレートパック部を示しているが、シェル側の接続部はエンドプレートに配置されている。図４は、外側ケーシングのエンドプレート４ａから見たのと同様の実施形態を示す。シェル側の入口接続部６及び出口接続部７は、外側ケーシングのエンドプレート４ａを介して配置されている。典型的には、入口接続部から出口接続部へ循環するために熱交換媒体の流れを導くためのシェル側の入口接続部と出口接続部との間にもフローガイド１６がある。前記第２プレートパック部Ｂの接続管８、９は、前記第１プレートパック部Ａの入口及び出口接続部１３、１４の内側に配置され、前記プレート熱交換器の全ての接続部は同一のエンドプレートを介して配置されている。これはコンパクトな構造を提供し、プレート熱交換器の開放可能な構造も実現する。

【0046】

図５に示す実施形態では、第２プレートパック部Ｂの一方の接続部は、第１プレートパック部Ａの流路１０ｂの内側に配置された接続管８を備えるように配置されており、第２プレートパック部Ｂの他方の接続部２０は、第３プレートパック部Ｃの流路１０ａの内側に配置された接続管２０を備えており、接続管８と接続管２０との間には、第２プレートパック部Ｂの熱交換媒体回路が形成されており、流動方向が何れでもよい。仕切プレート５ａには接続管８の端部が取り付けられ、仕切プレート５ｂには接続管２０の端部が取り付けられ、第２プレートパック部の流路との接続を形成している。接続管８の第２端部は外側ケーシングのエンドプレート４ａを貫通して伸び、接続管２０の第２端部は外側ケーシングのエンドプレート４ｂを貫通して伸長している。第１プレートパック部Ａの入口及び出口接続部は、図１に示すように類似しており、第３プレートパック部Ｃの入口及び出口接続部は、第１プレートパック部Ａの入口及び出口接続部に対応しており、すなわち、入口接続管２２と出口接続部２５との間に第１プレートパック部Ａの熱交換媒体回路が形成されている。前記接続管２２は、前記接続管２２が前記第３プレートパック部の前記プレートパックの流路１０ｂよりも内側に伸長している流出接続部２５を介して配置されている。接続管２２の端部は、例えば構成１７のようなプレートによって流路に密に配置されている。

【0047】

図５において、プレート熱交換器構造のシェル側は、入口接続部６と出口接続部７とを備える。シェル側は、プレートパック２の外面とシェル３の内面との間に配置されたストッパプレート１２ａ、１２ｂによって形成され、シェル側熱交換媒体の流れを導く３つの流路から構成されている。

【0048】

図６は、図５と同様の構成を示しているが、第２プレートパック部Ｂの接続管２０は、第３プレートパック部Ｃの流路１０ｂの内側に配置されており、第２プレートパック部Ｂの接続管８、２０は、同一の流路を通って配置されるようになるので、第２プレートパック部Ｂの内部に熱交換媒体の流れを導くための分割プレート２１を第２プレート部Ｂの流路１０ｂの内側に配置する必要がある。

【0049】

図７は、第２プレートパック部Ｂと第３プレートパック部Ｃとが、外側ケーシングのエンドプレートと仕切プレートとの間に配置されたプレートパック部の流路を介して配置された入口及び出口接続部を備える実施形態を示している。第２プレートパック部Ｂは、第１プレートパック部Ａの流路に配置された接続管８、９と、第４プレートパック部Ｄの流路に配置された接続管１８、１９とからなり、第２プレートパック部Ｂの接続管８、９は、第１プレートパック部Ａの入口及び出口接続部１３、１４の内側に配置され、第３プレートパック部Ｃの接続管１８、１９は、第４プレートパック部Ｄの入口及び出口接続部２３、２４の内側に配置され、プレート熱交換器の全ての接続部は、エンドプレート４ａ、４ｂを介して配置されている。

【0050】

図７に示す実施形態では、シェル側の入口及び出口接続部６、７もエンドプレート４ａ、４ｂに配置されている。

【0051】

図に示すように、接続管８、９、１８、１９、２０の外径は、プレートパックの流路１０ａ、１０ｂの直径よりも小さい。

【0052】

図１～図３に示すプレート熱交換器構造は、そのようなプレート熱交換器を形成するか、モジュール構造の一部であってもよい。モジュール構造では、図１～図３に示すプレート熱交換器構造は、モジュール構造の１モジュールであってもよく、エンドプレート４ｂは、モジュール構造の配置と第２モジュールとの間に隔壁を形成する。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】