IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アキリオン ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッドの特許一覧

特許7471300補体介在性疾患を治療するための的を絞った投与
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】補体介在性疾患を治療するための的を絞った投与
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240412BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P1/16
A61P3/06
A61P7/00
A61P13/12
A61P19/02
A61P21/04
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P43/00 111
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021534700
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 US2019066999
(87)【国際公開番号】W WO2020131974
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】62/877,193
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/780,573
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521096371
【氏名又は名称】アキリオン ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ミンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ポドス, スティーブン ディー.
【審査官】春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-526367(JP,A)
【文献】国際公開第2018/160891(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/160889(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/028284(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K,A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における補体D因子関連疾患を治療するための方法における使用のための、(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む組成物であって、化合物1が、経口投与用に製剤化され、かつ1日2回(BID)投与されるものであり、前記組成物の各投与が、約100mg~約200mgの化合物1またはその薬学的に許容される塩の量である、組成物。
【請求項2】
前記補体D因子関連疾患が、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記補体D因子関連疾患が、C3糸球体症(C3G)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記C3Gが、C3糸球体腎炎(C3GN)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記C3Gが、デンスデポジット病(DDD)である、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記補体D因子関連疾患が、補体副経路(AP)関連腎症である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記補体D因子関連疾患が、ループス腎炎である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記補体D因子関連疾患が、重症筋無力症である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記補体D因子関連疾患が、急性呼吸促迫症候群、加齢関連黄斑変性症(AMD)、関節炎、喘息、アルツハイマー痴呆、筋萎縮性側索硬化症、移植拒絶反応、抗リン脂質症候群、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肝硬変、クローン病、皮膚筋炎、脂肪肝、地図状萎縮、糸球体腎炎、超急性同種移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、ギランバレー症候群、溶血性貧血、溶血性尿毒症症候群(HUS)、虚血/再灌流障害、肝不全、肝炎、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、多発性硬化症、視神経脊髄炎(NMO)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、眼疾患、網膜変性、関節リウマチ、敗血症の炎症性作用および外傷性脳損傷から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記投与が、少なくとも約65ng/mLの前記患者の血漿中における、化合物1またはその薬学的に許容される塩の2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記投与が、約65ng/mL~約95ng/mLの前記患者の血漿中における、化合物1またはその薬学的に許容される塩の2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記投与が、約90ng/mL±10%の前記患者の血漿中における、化合物1またはその薬学的に許容される塩の2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記投与が、約100ng/mL±10%の前記患者の血漿中における、化合物1またはその薬学的に許容される塩の2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記用量は約120mg~約180mgである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記用量が約120mgである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記用量が約180mgである、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
前記用量が約200mgである、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
1ヶ月間以上にわたる投与のために製剤化される、請求項1~17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記投与が、約2000ng/mL未満の前記患者の血漿中におけるCmaxをもたらす、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月17日出願の米国仮出願第62/780,573号、及び2019年7月22日出願の米国仮出願第62/877,193号の利益を主張する。これらの出願の全体は参照により組み込まれる。
【0002】
本発明は、ヒト臨床試験に基づく補体介在性疾患の治療のためのヒトにおける特定の薬物動態プロファイル及び薬力学プロファイルをもたらす、低分子補体D因子(fD)阻害剤である(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミドの有利な剤形、及びそれを投与するための方法の分野に属する。一態様では、Ctroughを含む所望の薬物動態特性及び薬力学特性をもたらす剤形を開示する。
【背景技術】
【0003】
免疫疾患は、免疫系が正常に機能しない場合に生じる。炎症は、免疫細胞、免疫系、一般的に、血管、及び分子メディエーターが関与する防御応答である。多種多様な医学的疾患は、有害な免疫応答もしくは炎症反応、または正常な免疫プロセスまたは炎症プロセスに細胞が応答できないことによって引き起こされる。
【0004】
補体系は、宿主の生涯にわたる変化には適応しないが適応免疫系によって動員されて利用される自然免疫系の一部である。例えば、補体系は、抗体及び食細胞が病原体を排除する機能を補助または補完する。この精巧な調節経路により、宿主細胞を破壊から保護しつつ病原性微生物に対して迅速に反応することが可能となる。30種を超えるタンパク質及びタンパク質フラグメントが補体系を構成している。これらのタンパク質は、オプソニン化(抗原の貪食を促進すること)、走化作用(マクロファージ及び好中球を誘引すること)、細胞溶解(外来細胞の膜を破壊すること)、及び凝集(病原体を共に密集させて結合させること)を介して機能する。
【0005】
補体系には3つの経路、古典的経路、副経路、及びレクチン経路がある。補体D因子は、補体カスケードにおける副経路の活性化において早期かつ中心的な役割を果たしている。補体副経路の活性化は、C3内のチオエステル結合が自然加水分解してC3(HO)を生成することによって開始されるが、そのC3(HO)はB因子に結合してC3(HO)B複合体を形成する。補体D因子は、C3(HO)B複合体内のB因子を開裂させてBa及びBbを形成するように作用する。Bbフラグメントは、C3(HO)との結合を維持して副経路C3転換酵素C3(HO)Bbを形成する。更に、C3転換酵素のいずれかによって生成されたC3bはまた、B因子に結合してC3bBを形成し、D因子は、C3bBを開裂させて後期副経路C3転換酵素C3bBbを生成する。この後者の形態の副経路C3転換酵素は、3つ全ての規定の補体経路内における重要な下流増幅をもたらすことができ、最終的には、C5a及びC5bへのC5の開裂を含む、補体カスケード経路における別の因子の動員及び集合がもたらされる。C5bは、因子C6、C7、C8、及びC9を集合させて膜侵襲複合体とするように作用し、その膜侵襲複合体は、細胞を溶解させることにより病原性細胞を破壊することができる。
【0006】
補体の機能不全または過剰活性化は、特定の自己免疫疾患、炎症性疾患、及び神経変性疾患に加えて、虚血再灌流障害及びがんと関連している。例えば、補体カスケードにおける副経路の活性化は、C3a及びC5a(その両方は強力なアナフィラトキシンである)の生成に寄与しており、C3a及びC5aはまた、多くの炎症性疾患において役割を有している。それゆえ、一部の例では、補体副経路を含む補体経路の反応を低下させることが望ましい。
【0007】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、一部の表面タンパク質を欠損した造血幹細胞及び子孫成熟血液細胞の増殖を特徴とする非悪性の血液疾患である。PNH赤血球はその表面補体活性化を調節することができず、それにより、PNHの典型的な特徴である補体介在性血管内貧血の慢性的な活性化が引き起こされる。現時点において、1つの製品、抗C5モノクローナル抗体エクリズマブのみがPNHの治療用に米国で承認されている。しかしながら、エクリズマブで治療を行っている患者の多くは貧血状態のままであり、多くの患者は引き続き輸血を必要としている。加えて、エクリズマブを用いた治療では生涯にわたる静脈内注射が必要となる。それゆえ、補体経路の新規阻害剤を開発するというアンメットニーズが存在している。
【0008】
補体カスケードと関連しているその他の疾患としては、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、C3糸球体症(C3G)またはC3糸球体腎炎(C3GN)、腹部大動脈瘤、血液透析合併症、溶血性貧血、または血液透析、神経脊髄炎(NMO)、重症筋無力症(MG)、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、肝不全、皮膚筋炎、筋萎縮性側索硬化症、加齢関連黄斑変性症(AMD)、多発性硬化症、関節リウマチ、及び、バイオ療法(例えば、CAR T細胞療法)に対するサイトカイン反応または炎症反応が挙げられるがこれらに限定されない。
【0009】
D因子は、補体副経路におけるその早期かつ不可欠な役割、及び古典的補体経路内及びレクチン補体経路内のシグナル増幅におけるその潜在的な役割ゆえに、補体カスケードを阻害または調節するための魅力的なターゲットである。D因子を効果的に阻害すると、経路が遮断されて、膜侵襲複合体の形成が減少する。D因子の阻害剤を開発するための初期の試みが行われているとはいえ、現時点において、臨床的に承認されている低分子D因子阻害剤は存在していない。D因子阻害剤化合物の例については、以下の開示に記載されている。
【0010】
「Indole compounds or analogues thereof useful for the treatment of age-related macular degeneration」と題されたNovartis PCT特許公開第WO2012/093101号は、特定のD因子阻害剤について記載している。別のD因子阻害剤については、Novartis PCT特許公開第WO2012093101号、第WO2013/164802号、第WO2013/192345号、第WO2014/002051号、第WO2014/002052号、第WO2014/002053号、第WO2014/002054号、第WO2014/002057号、第WO2014/002058号、第WO2014/002059号、第WO2014/005150号、第WO2014/009833号、第WO2014/143638号、第WO2015/009616号、第WO2015/009977号、第WO2015/066241号、及び第WO2016088082号に記載されている。
【0011】
別の補体D因子阻害剤については、Achillion Pharmaceuticals,Incが所有する特許出願、米国特許第9,598,446号、第9,643,986号、第9,663,543号、第9,695,205号、第9,732,103号、第9,732,104号、第9,758,537号、第9,796,741号、第9,828,396号、第10,000,516号、第10,005,802号、第10,011,612号、第10,081,645号、第10,087,203号、第10,092,584号、第10,100,072号、第10,138,225号、第10,189,869号、第10,106,563号、第10,301,336号、及び第10,287,301号、国際公開第WO2019/028284号、第WO2018/160889号、第WO2018/160891号、第WO2018/160892号、第WO2017/035348号、第WO2017/035349号、第WO2017/035351号、第WO2017/035352号、第WO2017/035353号、第WO2017/035355号、第WO2017/035357号、第WO2017/035360号、第WO2017/035361号、第WO2017//035362号、第WO2017/035415号、第WO2017/035401号、第WO2017/035405号、第WO2017/035413号、第WO2017/035409号、第WO2017/035411号、第WO2017/035417号、第WO2017/035408号、第WO2015/130784号、第WO2015/130795号、第WO2015/130806号、第WO2015/130830号、第WO2015/130838号、第WO2015/130842号、第WO2015/130845号、及び第WO2015/130854号、ならびに米国特許公開第US2016-0361329号、第US2016-0362432号、第US2016-0362433号、第US2016-0362399号、第US2017-0056428号、第US2017-0057950号、第US2017-0057993号、第US2017-0189410号、第US2017-0226142号、第US2017-0260219号、第US2017-0298084号、第US2017-0298085号、第US2018-0022766号、第US2018-0022767号、第US2018-0072762号、第US2018-0030075号、第US2018-0169109号、第US2018-0177761号、第US2018-0179185号、第US2018-0179186号、第US2018-0179236号、第US2018-0186782号、第US2018-0201580号、第US2019-0031692号、第US2019-0048033号、第US2019-0144473号、及び第US2019-0211033号に記載されている。
【0012】
「Therapeutic Inhibitory Compounds」と題されたLifesci Pharmaceuticals PCT特許公開第WO2017/098328号は、中心コア複素環にバリエーションを有する様々なD因子阻害剤について記載している。PCT特許公開第WO2018/015818号はまた、「Therapeutic Inhibitory Compounds」と題されており、環式中心コアを有さないD因子阻害剤について記載している。
【0013】
「Compounds useful in the complement, coagulation and kallikrein pathways and method for their preparation」と題されたBiocryst Pharmaceuticals米国特許第6653340号は、D因子の阻害剤である縮合二環式環化合物について記載している。D因子阻害剤BCX1470の開発は、化合物の特異性の欠如及び半減期の短さにより中断された。
【0014】
「Methods and compositions for the treatment of glomerulonephritis and other inflammatory diseases」と題されたAlexion Pharmaceuticals PCT特許公開第WO1995/029697号は、補体系の異常活性化を伴う糸球体腎炎及び炎症性症状を治療するための、補体経路のC5に向かう抗体について開示している。Alexion Pharmaceuticalの抗C5抗体エクリズマブ(ソリリス(登録商標))及びラブリズマブ-cwvz(ユルトミリス(登録商標))は、現時点において市販されている唯一の補体特異的抗体であり、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)用の唯一の承認済み治療薬である。
補体介在性疾患の治療に関する1つの特定の問題は、投与間隔中における抗補体活性の持続期間、及び次のクールの治療薬を投与する前におけるブレイクスルー溶血の発現の可能性である。例えば、17日間よりも長いエクリズマブの投与間隔は、PNHを有する患者において、より高いブレイクスルー溶血のリスクを伴い得る。Nakayama et al.,Bio.Pharm.Bull.2018;39(2),285-288。
有害な免疫応答または炎症反応によって引き起こされる多種多様な医学的疾患を考慮すると、本発明の目的は、治療用量の投与間において持続する、補体副経路を阻害するための所望の薬物動態特性及び薬力学特性をもたらす、補体介在性疾患を有する患者を治療するための用量及び方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】国際公開第2012/093101号
【文献】国際公開第2013/164802号
【文献】国際公開第2013/192345号
【文献】国際公開第2014/002051号
【文献】国際公開第2014/002052号
【文献】国際公開第2014/002053号
【文献】国際公開第2014/002054号
【文献】国際公開第2014/002057号
【文献】国際公開第2014/002058号
【文献】国際公開第2014/002059号
【文献】国際公開第2014/005150号
【文献】国際公開第2014/009833号
【文献】国際公開第2014/143638号
【文献】国際公開第2015/009616号
【文献】国際公開第2015/009977号
【文献】国際公開第2015/066241号
【文献】国際公開第2016/088082号
【文献】米国特許第9,598,446号明細書
【文献】米国特許第9,643,986号明細書
【文献】米国特許第9,663,543号明細書
【文献】米国特許第9,695,205号明細書
【文献】米国特許第9,732,103号明細書
【文献】米国特許第9,732,104号明細書
【文献】米国特許第9,758,537号明細書
【文献】米国特許第9,796,741号明細書
【文献】米国特許第9,828,396号明細書
【文献】米国特許第10,000,516号明細書
【文献】米国特許第10,005,802号明細書
【文献】米国特許第10,011,612号明細書
【文献】米国特許第10,081,645号明細書
【文献】米国特許第10,087,203号明細書
【文献】米国特許第10,092,584号明細書
【文献】米国特許第10,100,072号明細書
【文献】米国特許第10,138,225号明細書
【文献】米国特許第10,189,869号明細書
【文献】米国特許第10,106,563号明細書
【文献】米国特許第10,301,336号明細書
【文献】米国特許第10,287,301号明細書
【文献】国際公開第2019/028284号
【文献】国際公開第2018/160889号
【文献】国際公開第2018/160891号
【文献】国際公開第2018/160892号
【文献】国際公開第2017/035348号
【文献】国際公開第2017/035349号
【文献】国際公開第2017/035351号
【文献】国際公開第2017/035352号
【文献】国際公開第2017/035353号
【文献】国際公開第2017/035355号
【文献】国際公開第2017/035357号
【文献】国際公開第2017/035360号
【文献】国際公開第2017/035361号
【文献】国際公開第2017/035362号
【文献】国際公開第2017/035415号
【文献】国際公開第2017/035401号
【文献】国際公開第2017/035405号
【文献】国際公開第2017/035413号
【文献】国際公開第2017/035409号
【文献】国際公開第2017/035411号
【文献】国際公開第2017/035417号
【文献】国際公開第2017/035408号
【文献】国際公開第2015/130784号
【文献】国際公開第2015/130795号
【文献】国際公開第2015/130806号
【文献】国際公開第2015/130830号
【文献】国際公開第2015/130838号
【文献】国際公開第2015/130842号
【文献】国際公開第2015/130845号
【文献】国際公開第2015/130854号
【文献】米国特許出願公開第2016/0361329号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0362432号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0362433号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0362399号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0056428号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0057950号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0057993号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0189410号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0226142号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0260219号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0298084号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0298085号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0022766号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0022767号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0072762号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0030075号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0169109号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0177761号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0179185号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0179186号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0179236号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0186782号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0201580号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0031692号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0048033号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0144473号明細書
【文献】米国特許出願公開第2019/0211033号明細書
【文献】国際公開第2017/098328号
【文献】国際公開第2018/015818号
【文献】米国特許第6653340号明細書
【文献】国際公開第1995/029697号
【非特許文献】
【0016】
【文献】Nakayama et al.,Bio.Pharm.Bull.2018;39(2),285-288
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、副作用を最小限としつつ薬物の効果を維持する薬物動態Ctroughを経時的にもたらす、低分子補体D因子(fD)阻害剤である(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1、以下の構造を参照のこと)の有利な経口剤形、及びそれを投与するための方法の分野に属する。Ctroughは、投与間隔の終了時における平均血漿中濃度、すなわち、最低平均血漿中濃度と定義される。投与間隔は、用量を反復する直前の時点と定義される。例えば、用量が1日2回(BID)である場合、投与間隔は、第1の用量投与とその当日の第2の用量投与の間の期間、または第2の用量投与とその翌日の第1の用量投与の間の期間である。
【化1】
【0018】
外来であると認識された、異常となった、または感染した細胞を攻撃して破壊する役割を考慮した際における補体カスケードの臨界性及び感受性ゆえに、本発明は重要である。用量が高すぎると、感染症と戦う能力を阻害するまたは器官毒性を引き起こすなどの望ましくない副作用を招く可能性がある。用量が低すぎると、薬物は、補体副経路系の活性過剰または活性機能不全を平衡状態とすることができなくなる。
【0019】
驚くべきことに、化合物1がヒトにおいて日内代謝パターンを示すこと(化合物1が夜間と比較して日中に有意により多く代謝されることを意味している)が発見された。このことは、薬物のヒト投与を行う前には予測不能であった。例えば、表6は、4種の用量(14日間にわたる40、80、120、及び200mg BID)のC(0)及びC(12)における平均値(ng/mL)を提供している。4種の用量レジメンのそれぞれにおいて、朝に測定したC(0)は、晩に測定したC(12)と比較して有意により高く、実際、ほぼ2倍である。驚くべきことにまた予想外に、このことは、極めて似た構造の補体D因子阻害剤である化合物2(以下)、(2S,4R)-1-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモピリジン-2-イル)-4-フルオロピロリジン-2-カルボキサミドの場合とは対照的であり、化合物2は、ヒトに投与した際に日内代謝パターンを示さない。
【化2】
【0020】
1日2回の約100mg~200mg、より具体的には、1日2回の約120mg~180mg、また更により具体的には、1日2回の約120mg~150mg、または1日2回の約150mg~約200mg、また一実施形態では、1日2回の約120mgの化合物1の経口用量では、用量が日中の任意の時点においてそのEC90効果未満に低下しないように、投与間隔の終了時における最適な最低平均血漿中濃度(Ctrough)がもたらされることが発見された。具体的には、2つの日内最低平均血漿中濃度(Ctrough)のうちのより低い方を得られたEC90超に維持する用量レジメンが発見された。67~88ng/mLのEC90を示すモデル化(以下で更に記載する)は、約90%のAP活性阻害をもたらす。ex vivo副経路活性アッセイを用いた健康対象血清の複数回漸増用量試験(MAD、以下で更に記載する)に由来するデータは、約90%のAP活性阻害が約80ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)において達成可能(表6及び表7を参照のこと)であり、95%超のAP活性阻害が約150ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)において達成可能(表6及び表7を参照のこと)であることを証明している。驚くべきことに、約80ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)は、120mg BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて達成されている。
【0021】
それゆえ、以下で詳細に記載するヒト臨床試験の結果により、経口用量レジメンが、補体D因子(fD)阻害剤化合物1またはその薬学的に許容される塩の安全かつ効果的な長期間投与を誘導可能であり、補体の機能不全または過剰活性、例えば、限定するわけではないが、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、C3糸球体症(C3G)、例えば、デンスデポジット病(DDD)及びC3糸球体腎炎(C3GN)など、ならびに免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)を有する対象を治療するのに使用可能であることが驚くべきことに確認された。本明細書に記載の用量及び方法は、副経路補体活性を阻害する所望の薬物動態(PK)特性及び薬力学(PD)特性、例えば、補体ブレイクスルーを回避するのに十分に高い、約65~450ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす120mg~200mg BID用量における少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上のin vivo AP活性阻害をもたらす。
【0022】
一部の実施形態では、約50~450ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、約75~160ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、約80~150ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。
【0023】
一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約65ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約80ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約90ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約100ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約125ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて少なくとも約150ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量を提供する。一部の実施形態では、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベルにおいて約65ng/mL~150ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす用量レジメンを提供する。
【0024】
更に、120mg BID及びより高い用量(例えば、200mg BID)で投与した際、化合物1は、AP溶血アッセイ及びAP Wieslabアッセイで測定した最低平均血漿中濃度(Ctrough)における、120mg BIDにおける>90%、及び200mg BIDにおける約>95%の平均値で、ほぼ完全かつ持続的な副経路(AP)阻害を達成した(表7を参照のこと)。比較的低い化合物1曝露でCtroughが効果的に達成され、120mg BIDで約1000ng/mL未満のCmaxが認められ、2000ng/mL未満のCmaxは200mg BIDと対応付いた。投与間におけるAP阻害維持能により、患者にとって安全かつ簡便な有利な投与レジメンが可能となり、効果のないCtroughに関連するブレイクスルー溶血及び過剰Cmaxに関連する毒性のリスクが低下する。
【0025】
一態様では、治療中に約50~200ng/mlの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす、補体介在性疾患を治療するための経口剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、治療中に約70ng/mL~170ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、治療中に約75ng/mL~160ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、Ctroughは、少なくとも約50ng/ml、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約65ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約80ng/mL、少なくとも約85ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約95ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約105ng/mL、少なくとも約110ng/mL、少なくとも約115ng/mL、少なくとも約120ng/mL、少なくとも約125ng/mL、少なくとも約130ng/mL、少なくとも約135ng/mL、少なくとも約140ng/mL、少なくとも約145ng/mL、または少なくとも約150ng/mLである。一実施形態では、Ctroughは少なくとも約100ng/mLである。一部の実施形態では、Ctroughは、約170ng/ml未満、約150ng/ml未満、約125ng/mL未満、約115ng/mL未満、約110ng/mL未満、約105ng/mL未満、約100ng/mL未満、約95ng/mL未満、または約90ng/mL未満である。約50ng/mLのCtrough濃度を維持することによりその濃度における85%のAP阻害がもたらされる一方、約67~88ng/mLのCtroughにより90%超のAP阻害がもたらされることが判明した。一部の実施形態では、約50ng/mL~約200ng/mLのCtrough濃度及び約1000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約70ng/mL~約170ng/mLのCtrough濃度及び約1000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約100ng/mLのCtrough濃度及び約1000ng/ml未満のCmaxを治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約125ng/mL未満のCtrough濃度及び約1000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約150ng/mL未満のCtrough濃度及び約1000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約175ng/mL未満のCtrough濃度及び約1000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一実施形態では、120mgの剤形で化合物1をBID投与する。一実施形態では、補体介在性疾患はPNHである。一実施形態では、補体介在性疾患はC3GまたはIC-MPGNである。
【0026】
一態様では、治療中に約225~450ng/mlの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす、補体介在性疾患を治療するための経口剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、治療中に約240ng/mL~400ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)をもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、Ctroughは、少なくとも約225ng/ml、少なくとも約250ng/mL、少なくとも約275ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約325ng/mL、少なくとも約350ng/mL、少なくとも約375ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約425ng/mL、または少なくとも約450ng/mLである。一実施形態では、Ctroughは少なくとも約300ng/mLである。一部の実施形態では、Ctroughは、約450ng/ml未満、約425ng/ml未満、約400ng/mL未満、約375ng/mL未満、約350ng/mL未満、約325ng/mL未満、約300ng/mL未満、約275ng/mL未満、または約250ng/mL未満である。一部の実施形態では、約225ng/mL~約450ng/mLのCtrough濃度及び約2000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約240ng/mL~約400ng/mLのCtrough濃度及び約2000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約320ng/mLのCtrough濃度及び約2000ng/ml未満のCmaxを治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約400ng/mL未満のCtrough濃度及び約2000ng/ml未満の最高平均血漿中濃度(Cmax)を治療中にもたらす剤形及び投与スケジュールで化合物1を提供する。一実施形態では、200mg BIDで化合物1を投与する。一実施形態では、補体介在性疾患はPNHである。一実施形態では、補体介在性疾患はC3GまたはIC-MPGNである。
【0027】
一態様では、本明細書に記載の特定の用量で化合物1を投与する。一部の実施形態では、単回用量が本明細書に記載の特定の血中PKプロファイルをもたらすように化合物1を投与する。一部の実施形態では、対象に投与する用量は約25mg~約275mgである。一部の実施形態では、投与する用量は約40mg~約160mgである。一部の実施形態では、投与する用量は、少なくとも約40mg、少なくとも約50mg、少なくとも約60mg、少なくとも約75mg、少なくとも約90mg、少なくとも約100mg、少なくとも約125mg、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約175mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、少なくとも約200mg、少なくとも約210mg、少なくとも約220mg、少なくとも約230mg、少なくとも約240mg、少なくとも約250mg、少なくとも約260mg、または少なくとも約275mgである。一部の実施形態では、治療中、120mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、150mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、175mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、200mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、220mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、240mg用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、240mg用量で1日1回化合物1を投与する。
【0028】
それゆえ、本明細書で提供する特定の実施形態としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
A)約65ng/mL~95ng/mLのヒト血漿中における2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
【0030】
B)約90ng/mL±10%のヒト血漿中における2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
【0031】
C)約65ng/mL~95ng/mLのヒト血漿中におけるCtroughレベルをもたらす、補体D副経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
【0032】
D)約90ng/mL±10%のヒト血漿中におけるCtroughレベルをもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
【0033】
E)少なくとも65ng/mLのヒト血漿中における2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
【0034】
F)少なくとも65ng/mLのヒトにおけるヒト血漿中Ctroughをもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
【0035】
G)約100ng/mL±10%のヒト血漿中における2つの異なる日内Ctroughレベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
【0036】
H)少なくとも100ng/mL±10%のヒト血漿中におけるCtroughをもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口用量レジメン。
【0037】
I)前記剤形は約100mg~200mgを含む、A)からH)のいずれか1つに記載の経口用量レジメン。
【0038】
J)約120mgを含む、上記I)に記載の経口用量。
【0039】
K)約200mgを含む、上記I)に記載の経口用量。
【0040】
L)ヒト血漿中における前記Ctroughレベルは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する患者において測定される、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0041】
M)ヒト血漿中における前記Ctroughレベルは、脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、または肝不全などから選択される疾患を有する患者において測定される、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0042】
N)ヒト血漿中における前記Ctroughレベルは、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、成分3糸球体症(C3G)疾患、C3糸球体腎炎(C3GN)、デンスデポジット病(DDD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、及び免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)から選択される疾患を有する患者において測定される、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0043】
O)ヒト血漿中における前記Ctroughレベルは、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、及び糸球体症から選択される疾患を有する患者において測定される、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0044】
P)ヒト血漿中における前記Ctroughレベルは、加齢関連黄斑変性症(AMD)、網膜変性、眼疾患、地図状萎縮、早期または血管新生の加齢関連黄斑変性症、自己免疫性ドライアイ疾患、及び環境性ドライアイ疾患から選択される疾患を有する患者において測定される、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0045】
Q)有効量の上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形を投与することを含む、補体D関連疾患を有する患者を治療するための方法。
【0046】
R)前記患者は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する、上記Q)に記載の方法。
【0047】
S)前記患者は、脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、または肝不全などから選択される疾患を有する、上記Q)に記載の方法。
【0048】
T)前記患者は、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、成分3糸球体症(C3G)疾患、C3糸球体腎炎(C3GN)、デンスデポジット病(DDD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、及び免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)から選択される疾患を有する、上記Q)に記載の方法。
【0049】
U)前記患者は、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、及び糸球体症から選択される疾患を有する、上記Q)に記載の方法。
【0050】
V)前記患者は、加齢関連黄斑変性症(AMD)、網膜変性、眼疾患、地図状萎縮、早期または血管新生の加齢関連黄斑変性症、自己免疫性ドライアイ疾患、及び環境性ドライアイ疾患から選択される疾患を有する、上記Q)に記載の方法。
【0051】
W)前記剤形は1ヶ月間以上にわたり投与される、上記Q)からV)のいずれか1つに記載の方法。
【0052】
X)前記剤形は少なくとも6ヶ月間にわたり投与される、上記Q)からV)のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
Y)約2000ng/mL未満のCmaxをもたらす、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0054】
Z)約1000ng/mL未満のCmaxをもたらす、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0055】
AA)補体D関連疾患を有する患者を治療するのに使用する、上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0056】
BB)上記A)からK)のいずれか1つに記載の経口剤形を調製することを含む、補体D関連疾患を有する患者を治療するための医薬品を製造するための方法。
【0057】
CC)上記R)からV)のいずれか1つに記載の疾患のいずれかを治療するのに使用する、上記BB)に記載の経口剤形。
【0058】
DD)上記R)からV)に記載の疾患のいずれかを治療するための、上記CC)に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】40、80、及び120mgの化合物1、またはプラセボの単回用量後におけるAP溶血により測定したAP活性率を表すグラフである。1日目の0時間に、群1から群3までに化合物1を単回用量で投与した。y軸は対照を基準としたAP活性の%阻害を表す。x軸は最初の化合物1投与からの時間を表す。
図2】化合物1の血漿中濃度とAP溶血アッセイで評価した血清中AP活性の阻害の間の相関のPK-PD解析を表すグラフである。y軸はAP活性の阻害率を表す。x軸は化合物1の血漿中濃度を表す。
図3】2エンドポイント間のAP活性率の線形回帰を表すグラフである。
図4】Aは、40mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(線形スケール)である。Bは、40mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(片対数スケール)である。
図5】Aは、80mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(線形スケール)である。Bは、80mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(片対数スケール)である。
図6】Aは、120mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(線形スケール)である。Bは、120mg化合物1用量の0時間から144時間(7日目)までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(片対数スケール)である。
図7】Aは、用量比例解析用の0時間から24時間までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(線形スケール)である。Bは、用量比例解析用の0時間から24時間までの平均血漿中化合物1濃度-時間プロファイルを表すグラフ(片対数スケール)である。
図8】Aは、AP Wieslabアッセイで評価した無作為化治療群による、投与の24時間以内における平均副経路機能活性(陽性対照を基準とした%)を表すグラフである。Bは、AP Wieslabアッセイで評価した無作為化治療群による、経時的な平均副経路機能活性(陽性対照を基準とした%)を表すグラフである。
図9】Aは、無作為化治療群による、投与の24時間以内における血漿中Bb濃度のベースラインからの平均変化を表すグラフである。Bは、無作為化治療群による、経時的な血漿中Bb濃度のベースラインからの平均変化を表すグラフである。
図10】約67ng/mLのCtroughでAP活性の90%阻害(IC90)が達成されたことを示す定常状態モデルのグラフ表示を表す。
図11】120mgで1日2回投与された化合物1の予測定常状態のグラフ表示を表す。
図12】化合物1及びダニコパンの複数回漸増用量阻害をシグモイドモデルにフィッティングさせたグラフ表示である。y軸は副経路の%阻害である。x軸は血漿中薬物濃度(ng/mL)である。化合物1のモデル化90%阻害レベルは88ng/mLである。ダニコパンのモデル化90%阻害レベルは235ng/mLである。
図13】40mg、80mg、120mg、または200mgの化合物1を14日間にわたり投与された患者における副経路溶血の平均低下のグラフ表示である。y軸はベースラインを基準とした%AP溶血である。x軸は治療を行った日の数(1日目は投与初日である)である。データ点はそれぞれの日の0時間に収集した。40mg BID試験の2名の対象は安全性に関連しない理由により中止し、3番目の対象は7日目の投与ミスにより解析から除外した。
図14】空腹対象(n=6)に240mg、摂取対象(n=6)に120mgの単回用量で投与した化合物1、及びプラセボ(n=4)の平均血清副経路溶血のグラフ表示である。1日目(投与前)から7日目までの所定の時点に採取した試料を用いて、血清AP溶血を評価した。x軸は時間(時間)であり、y軸は%AP活性である。
図15】空腹対象(n=6)への240mg、摂取対象(n=6)への120mgの単回用量の化合物1、及びプラセボ(n=4)の投与後最初の24時間における、全ての対象のELISAアッセイで測定した平均血漿中Bb濃度のグラフ表示である。水平の破線グリッド線は、基準上限値(1.42μg/ml)、基準下限値(0.48μg/ml)、及び定量下限値(LLOQ)(0.33μg/ml)を表す。x軸は時間(時間)であり、y軸はμg/mLで測定した平均血漿中Bb濃度である。
図16】40mg BID(n=8)、80mg BID(n=7)、120mg BID(n=8)、200mg BID(n=8)で投与した化合物1、及びBIDで投与したプラセボ(n=14)の平均血漿中濃度のグラフ表示である。1日目(投与前)から16日目までの所定の時点に採取した試料を用いて、それぞれのコホートの血漿中濃度を評価した。x軸は時間(時間)であり、y軸はng/mLで測定した平均血漿中濃度である。
図17】40mg BID(n=8)、80mg BID(n=7)、120mg BID(n=8)、200mg BID(n=8)で投与した化合物1、及びBIDで投与したプラセボ(n=14)の平均血清中副経路溶血活性のグラフ表示である。それぞれのコホートの活性を21日間の完全な時間経過で示している。1日目(0時間~12時間)、7日目(0時間~12時間)、及び14日目(0時間~16時間)に集中的なサンプリングを行い、その他全ての血清試料については、それら指定日の0時間(朝のPKトラフ)に採取した。x軸は時間(日)であり、y軸は%AP活性である。
図18】40mg BID(n=8)、80mg BID(n=7)、120mg BID(n=8)、200mg BID(n=8)で投与した化合物1、及びBIDで投与したプラセボ(n=14)の平均血清中副経路溶血活性のグラフ表示である。1日目(0時間~12時間)に集中的なサンプリングを行った。x軸は時間(時間)であり、y軸は%AP活性である。
図19】40mg BID(n=8)、80mg BID(n=7)、120mg BID(n=8)、200mg BID(n=8)で投与した化合物1、及びBIDで投与したプラセボ(n=14)の平均血清中副経路溶血活性のグラフ表示である。7日目(0時間~12時間)に集中的なサンプリングを行った。x軸は時間(時間)であり、y軸は%AP活性である。
図20】40mg BID(n=8)、80mg BID(n=7)、120mg BID(n=8)、200mg BID(n=8)で投与した化合物1、及びBIDで投与したプラセボ(n=14)の平均血清中副経路溶血活性のグラフ表示である。14日目(0時間~12時間)に集中的なサンプリングを行った。x軸は時間(時間)であり、y軸は%AP活性である。
図21A】血漿中化合物1濃度及び対応する血清試料中におけるAP Wieslab活性の阻害率のPK-PD評価のグラフ表示である。単純Emaxモデルを用いて非線形回帰分析を実施した。最良適合値及び95%信頼区間はng/mLである。x軸はng/mLで測定した血漿中化合物1濃度であり、y軸はパーセンテージとして測定したAP活性の%阻害である。
図21B】血漿中化合物1濃度及び対応する血清試料中におけるAP Wieslab活性の阻害率のPK-PD評価のグラフ表示である。4パラメータシグモイドモデルを用いて非線形回帰分析を実施した。最良適合値及び95%信頼区間はng/mLである。x軸はng/mLで測定した血漿中化合物1濃度であり、y軸はパーセンテージとして測定したAP活性の%阻害である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
補体の機能不全または過剰活性化は、特定の自己免疫疾患、炎症性疾患、及び神経変性疾患に加えて、虚血再灌流障害及びがんと関連している。例えば、補体カスケードにおける副経路の活性化は、C3a及びC5a(その両方は強力なアナフィラトキシンである)の生成に寄与しており、C3a及びC5aはまた、多くの炎症性疾患において役割を有している。それゆえ、一部の例では、補体副経路を含む補体経路の反応を低下させることが望ましい。1日2回の約100mg~200mg、より具体的には、1日2回の約120mg~180mg、また更により具体的には、1日2回の約120mg~150mg、または1日2回の約150mg~約200mg、また一実施形態では、1日2回の約120mgの化合物1の経口用量では、用量が日中の任意の時点においてそのEC90効果未満に低下しないように、投与間隔の終了時における最適な最低平均血漿中濃度(Ctrough)がもたらされることが発見された。具体的には、2つの日内最低平均血漿中濃度(Ctrough)のうちのより低い方を得られたEC90超に維持する用量レジメンが発見された。67~88ng/mLのEC90を示すモデル化(以下で更に記載する)は、約90%のAP活性阻害をもたらす。本明細書に記載の投与プロファイルによる化合物1の投与により、ちょうど65ng/mL~95ng/mLのCtroughにおける、AP活性の強力な阻害、85%超の阻害がもたらされる。具体的には、本発明は、本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルが達成されるような、対象、好ましくは、ヒトに対する、補体の機能不全または過剰活性化が介在する疾患(「補体介在性疾患」)を治療するための、構造、
【化3】
、を有する化合物1、またはその薬学的に許容される組成物、塩、同位体類似体、もしくはプロドラッグを含む経口剤形、例えば、固体剤形または液体ゲル状剤形を含む。約65ng/mL~95ng/mLの平均血漿中濃度レベルとなるように化合物1をヒト対象に投与すると、強力なAP阻害がもたらされることが発見された。化合物1を調製するための方法については、PCT公開第2017/035353号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0061】
定義
「AUC」(量*時間/容積)とは、本明細書で使用する場合、血漿中濃度-時間曲線下面積のことを意味する。
【0062】
「AUC(0-inf)」(量*時間/容積)とは、本明細書で使用する場合、0時間から無限大時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積のことを意味する。
【0063】
「AUC(0-24)」(量*時間/容積)とは、本明細書で使用する場合、投与後0時間から24時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積のことを意味する。
【0064】
「AUEC」とは、本明細書で使用する場合、薬力学的(PD)効果曲線下面積のことを意味する。
【0065】
「AUEC0-12」とは、本明細書で使用する場合、0時間から12時間までのAUECのことを意味する。
【0066】
「%AUEC0-12」とは、本明細書で使用する場合、その最高値のパーセントとしてのAUEC0-12のことを意味する。
【0067】
「A405」とは、本明細書で使用する場合、405nMにおける光学的吸収のことを意味する。
【0068】
「BID」とは、本明細書で使用する場合、「1日2回(bis en die)」すなわち1日2回のことを意味する。
【0069】
「Cmax」(量/容積)とは、本明細書で使用する場合、最高(ピーク)血漿中薬物濃度のことを意味する。
【0070】
「Ctrough」(量/容積)とは、本明細書で使用する場合、投与間隔の終了時における平均血漿中濃度、すなわち、最低平均血漿中濃度のことを意味する。
【0071】
「CSR」とは、本明細書で使用する場合、臨床試験報告書のことを意味する。
【0072】
「DURATION0-12」とは、本明細書で使用する場合、0時間から12時間までにおける薬力学的(PD)効果の持続期間のことを意味する。
【0073】
「EC50(またはEC90)」とは、本明細書で使用する場合、50%(または90%)効果濃度のことを意味する。
【0074】
「最低平均血漿中濃度」とは、本明細書で使用する場合、Ctroughのことを意味する。
【0075】
「tmax」(時間)とは、本明細書で使用する場合、薬物投与後に最高(ピーク)血漿中濃度に達するまでの時間のことを意味する。
【0076】
「%CV」とは、本明細書で使用する場合、変動係数のことを意味する。
【0077】
「AP」とは、本明細書で使用する場合、補体副経路のことを意味する。
【0078】
「Bb」とは、本明細書で使用する場合、補体B因子のBbフラグメントのことを意味する。
【0079】
「ELISA」とは、本明細書で使用する場合、酵素免疫測定法のことを意味する。
【0080】
「FD」とは、本明細書で使用する場合、補体D因子のことを意味する。
【0081】
「MAD」とは、本明細書で使用する場合、複数回漸増用量のことを意味する。
【0082】
「N」とは、本明細書で使用する場合、患者の総数のことを意味する。
【0083】
「PD」とは、本明細書で使用する場合、薬力学のことを意味する。
【0084】
「PK」とは、本明細書で使用する場合、薬物動態のことを意味する。
【0085】
「SAD」とは、本明細書で使用する場合、単回漸増用量のことを意味する。
【0086】
「SD」とは、本明細書で使用する場合、標準偏差のことを意味する。
【0087】
本発明の医薬組成物/医薬組み合わせに適用される用語「担体」とは、化合物1と共に提供される希釈剤、賦形剤、または溶媒のことを意味する。
【0088】
「剤形」とは、活性剤の投与の単位のことを意味する。剤形の例としては、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、液剤、エマルション剤、粒子剤、球体剤、頬側剤、舌下剤、ゲル剤、粘膜剤などが挙げられる。
【0089】
「患者」または「宿主」もしくは「対象」は、補体D因子経路の調節による疾患を含むがこれらに限定されない本明細書において具体的に記載する疾患のいずれかの治療または予防を必要とするヒトまたは非ヒト動物である。通常、宿主はヒトである。「患者」または「宿主」もしくは「対象」はまた、例えば、哺乳動物、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚、トリなどのことを意味する。
【0090】
用語「薬学的に許容される塩」とは、本明細書で使用する場合、適切な医学的良識の範囲内において、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを伴わずに、妥当な利益/リスク比に見合い、かつその使用目的において有効な、対象(例えば、ヒト対象)との接触に用いるのに好適な塩のことを意味し、可能であれば、本明細書で開示する材料の化合物の双性イオン形態である。
【0091】
それゆえ、用語「塩」とは、比較的非毒性の、本明細書で開示する材料の化合物の無機酸付加塩及び有機酸付加塩のことを意味する。これらの塩は、化合物の最終の単離及び精製中にin situで、または別々に、遊離塩基形態の精製化合物を好適な有機酸または無機酸と反応させてから、そのように形成された塩を単離することにより、調製することができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、金属またはアミン、例えば、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物などを用いて形成してもよく、または、有機アミンの塩基付加塩であってもよい。カチオンとして用いる金属の例としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられるがこれらに限定されない。好適なアミンの例としては、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、及びプロカインが挙げられるがこれらに限定されない。
【0092】
塩は、無機酸である硫酸、ピロ硫酸、重硫酸、亜硫酸、重亜硫酸、硝酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、メタリン酸、ピロリン酸、塩化物、臭化物、ヨウ化物、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リンなどから調製することができる。代表的な塩としては、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシル酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチル酸塩、メシル酸塩、グルコヘプトン酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリルスルホン酸塩、及びイセチオン酸塩などが挙げられる。塩はまた、有機酸、例えば、脂肪族のモノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族のスルホン酸などから調製することができる。代表的な塩としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが挙げられる。薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどをベースとしたカチオンに加えて、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどを含むがこれらに限定されない非毒性のアンモニウムカチオン、第四級アンモニウムカチオン、及びアミンカチオンを挙げることができる。アミノ酸、例えば、アルギニン酸、グルコン酸、ガラクツロン酸などの塩もまた考えられる。例えば、Berge et al.,J.Pharm.Sci.,1977,66,1-19(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
【0093】
「医薬組成物」は、少なくとも1種の活性剤、及び少なくとも1種のその他の物質、例えば、担体などを含む組成物である。「医薬組み合わせ」は、単一剤形として混合されていてもよい、または活性剤を共に使用するための取扱説明書と共に別々の剤形として共に提供されていてもよい、本明細書に記載の任意の疾患を治療するための、少なくとも2種の活性剤の組み合わせである。
【0094】
「薬学的に許容される賦形剤」とは、宿主、通常はヒトに投与する上で、概ね安全、非毒性であり、生物学的にも他の点においても不適切ではない医薬組成物/医薬組み合わせを調製するのに有用な賦形剤のことを意味する。一部の実施形態では、獣医学的な用途に許容される賦形剤を使用する。
【0095】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたり、任意の化学式または化学名は、特に明記しない限り、異性体及び混合物が存在する場合、全てのこのような光学異性体及び立体異性体に加えて、ラセミ混合物を包含するものとする。
【0096】
以下の記載及び本明細書においては通常、化合物1を指す用語のいずれかを使用する場合は常に、特に明記しない限りまたは本文に相反しない限り、薬学的に許容される塩または組成物が含まれるとみなされると理解すべきである。
【0097】
本明細書で検討する場合、また本明細書の開示範囲の目的において、本明細書に記載の全ての範囲は、明示した範囲内に存在する全ての数値を含む。例えば、本明細書で検討する1~10すなわち1と10の間の範囲は、数値1、2、3、4、5、6、7、8、9、10に加えて、その小数部を含み得る。
【0098】
(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミドの剤形
本発明は、血中プロファイル範囲をもたらす、補体介在性疾患を有する対象を治療するための補体D因子(fD)阻害剤(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)の特定の剤形、及び上記剤形を用いた方法を提供する。
【0099】
一態様では、単回用量の化合物1が本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルをもたらすように、補体介在性疾患を有する対象に化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約50ng/mL~約200ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)が、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約75ng/mL~約125ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)が、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、Ctroughは、少なくとも約50ng/mL、少なくとも約55ng/mL、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約65ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約75ng/mL、少なくとも約80ng/mL、少なくとも約85ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約95ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約105ng/mL、少なくとも約110ng/mL、少なくとも約115ng/mL、少なくとも約120ng/mL、少なくとも約125ng/mL、少なくとも約130ng/mL、少なくとも約135ng/mL、少なくとも約140ng/mL、少なくとも約145ng/mL、少なくとも約150ng/mL、少なくとも約155ng/mL、少なくとも約160ng/mL、少なくとも約165ng/mL、少なくとも約170ng/mL、少なくとも約175ng/mL、少なくとも約180ng/mL、少なくとも約185ng/mL、少なくとも約190ng/mL、少なくとも約195ng/mL、または少なくとも約200ng/mLである。一部の実施形態では、治療中において、約150ng/mL未満の最低平均血漿中濃度(Ctrough)が、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、Ctroughは、約50ng/mL未満、約55ng/mL未満、約60ng/mL未満、約65ng/mL未満、約70ng/mL未満、約75ng/mL未満、約80ng/mL未満、約85ng/mL未満、約90ng/mL未満、約95ng/mL未満、約100ng/mL未満、約110ng/mL未満、約120ng/mL未満、約130ng/mL未満、約140ng/mL未満、約150ng/mL未満、約160ng/mL未満、約175ng/mL未満、約190ng/mL未満、または約200ng/mL未満である。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約125ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約100ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約85ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約67ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約50ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも50ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも67ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも85ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、100ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。約50ng/mLのCtrough濃度を維持することにより>85%のAP阻害がもたらされ、約88ng/mLのCtroughにより>90%のAP阻害がもたらされることが判明した。
【0100】
一態様では、最高平均血漿中濃度(Cmax)をもたらす剤形、例えば、経口剤形、例えば、固体剤形または液体ゲル状剤形などで化合物1を提供する。一部の実施形態では、300ng/mL~少なくとも約3000ng/mLの最高平均血漿中濃度(Cmax)をもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、Cmaxは、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約325ng/mL、少なくとも約350ng/mL、少なくとも約375ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約425ng/mL、少なくとも約450ng/mL、少なくとも約475ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約525ng/mL、少なくとも約550ng/mL、少なくとも約575ng/mL、少なくとも約600ng/mL、少なくとも約625ng/mL、少なくとも約650ng/mL、少なくとも約675ng/mL、少なくとも約700ng/mL、少なくとも約725ng/mL、少なくとも約750ng/mL、少なくとも約775ng/mL、少なくとも約800ng/mL、少なくとも約825ng/mL、少なくとも約850ng/mL、少なくとも約875ng/mL、少なくとも約900ng/mL、少なくとも約925ng/mL、少なくとも約950ng/mL、少なくとも約975ng/mL、少なくとも約1000ng/mL、少なくとも約1150ng/mL、少なくとも約1200ng/mL、少なくとも約1250ng/mL、少なくとも約1300ng/mL、少なくとも約1350ng/mL、少なくとも約1400ng/mL、少なくとも約1450ng/mL、少なくとも約1500ng/mL、少なくとも約1550ng/mL、少なくとも約1600ng/mL、少なくとも約1650ng/mL、少なくとも約1700ng/mL、少なくとも約1750ng/mL、少なくとも約1800ng/mL、少なくとも約1850ng/mL、少なくとも約1900ng/mL、少なくとも約1950ng/mL、少なくとも約2000ng/mL、少なくとも約2050ng/mL、少なくとも約2100ng/mL、少なくとも約2150ng/mL、少なくとも約2200ng/mL、少なくとも約2250ng/mL、少なくとも約2300ng/mL、少なくとも約2350ng/mL、少なくとも約2400ng/mL、少なくとも約2450ng/mL、少なくとも約2500ng/mL、少なくとも約2550ng/mL、少なくとも約2600ng/mL、少なくとも約2650ng/mL、少なくとも約2700ng/mL、少なくとも約2750ng/mL、少なくとも約2800ng/mL、少なくとも約2850ng/mL、少なくとも約2900ng/mL、少なくとも約2950ng/mL、または少なくとも約3000ng/mLである。一部の実施形態では、Cmaxは約2500ng/mL未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約2000ng/mL未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約1500ng/mL未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約1000ng/mL未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約500ng/mL未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約2500ng/mL±10%未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約2000ng/mL±10%未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約1500ng/mL±10%未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約1000ng/mL±10%未満である。一部の実施形態では、Cmaxは約500ng/mL±10%未満である。
【0101】
一態様では、本明細書に記載のAUC(0-24)をもたらす剤形、例えば、経口剤形、例えば、固体剤形または液体ゲル状剤形などで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約6000ng*時間/mL~約20000ng*時間/mLのAUC(0-24)をもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、少なくとも約6000ng*時間/mL、少なくとも約6500ng*時間/mL、少なくとも約7000ng*時間/mL、少なくとも約7500ng*時間/mL、少なくとも約8000ng*時間/mL、少なくとも約8500ng*時間/mL、少なくとも約9000ng*時間/mL、少なくとも約9500ng*時間/mL、少なくとも約10000ng*時間/mL、少なくとも約10500ng*時間/mL、少なくとも約11000ng*時間/mL、少なくとも約11500ng*時間/mL、少なくとも約12000ng*時間/mL、少なくとも約12500ng*時間/mL、少なくとも約13000ng*時間/mL、少なくとも約13500ng*時間/mL、少なくとも約14000ng*時間/mL、少なくとも約14500ng*時間/mL、少なくとも約15000ng*時間/mL、少なくとも約15500ng*時間/mL、少なくとも約16000ng*時間/mL、少なくとも約16500ng*時間/mL、少なくとも約17000ng*時間/mL、少なくとも約17500ng*時間/mL、少なくとも約18000ng*時間/mL、少なくとも約18500ng*時間/mL、少なくとも約19000ng*時間/mL、少なくとも約19500ng*時間/mL、または少なくとも約20000ng*時間/mLのAUC(0-24)をもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、AUC(0-24)は少なくとも約1450ng*時間/mLである。一部の実施形態では、AUC(0-24)は約8000ng*時間/mL未満である。一部の実施形態では、AUC(0-24)は少なくとも約8000ng*時間/mL±10%である。一部の実施形態では、AUC(0-24)は約8000ng*時間/mL±10%未満である。
【0102】
それぞれサンプリングした12時間投与間隔について、薬力学的活性の2種の更なる指標、Duration(0-12)及びAUEC(0-12)(効果曲線下面積)を算出した。Duration(0-12)は、AP阻害が90%以上である間の12時間投与間隔中の期間を表し、12時間の最高値は、間隔にわたる継続的な90%またはそれ以上の阻害を示す。AUEC(0-12)は間隔中における経時的なAP阻害の積分量を表す。更に、%AUEC(0-12)は、間隔にわたる最高AP阻害のパーセントとしてのAUEC(0-12)を表す(100%阻害×12時間)。
【0103】
一態様では、本明細書に記載の最高血漿中濃度Duration(0-12)の期間をもたらす剤形、例えば、経口剤形、例えば、固体剤形もしくは液剤充填カプセル剤またはゲル状剤形などで化合物1を提供する。一態様では、10~12時間の最低平均Duration(0-12)がもたらされるように、補体介在性疾患を有する対象に化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約10時間、少なくとも約10.25時間、少なくとも約10.5時間、少なくとも約10.75時間、少なくとも約11時間、少なくとも約11.25時間、少なくとも約11.5時間、少なくとも約11.75時間、少なくとも約12時間のDuration(0-12)をもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、少なくとも約12時間のDuration(0-12)をもたらす剤形で化合物1を提供する。
【0104】
一態様では、本明細書に記載の最高血漿中濃度%AUEC(0-12)の期間をもたらす剤形、例えば、経口剤形、例えば、固体剤形もしくは液剤充填カプセル剤またはゲル状剤形などで化合物1を提供する。一態様では、80%~100%の最低平均%AUEC(0-12)がもたらされるように、補体介在性疾患を有する対象に化合物1を投与する。一態様では、90%~100%の最低平均%AUEC(0-12)がもたらされるように、補体介在性疾患を有する対象に化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約100%の%AUEC(0-12)をもたらす剤形で化合物1を提供する。
【0105】
一態様では、本明細書に記載の最高血漿中濃度(tmax)の期間をもたらす剤形、例えば、経口剤形、例えば、固体剤形もしくは液剤充填カプセル剤またはゲル状剤形などで化合物1を提供する。一部の実施形態では、約0.5時間~3時間のtmaxをもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、少なくとも約3時間、少なくとも約2.75時間、少なくとも約2.5時間、少なくとも約2.25時間、少なくとも約2.0時間、少なくとも約1.75時間、少なくとも約1.5時間、少なくとも約1.25時間、少なくとも約1時間、少なくとも約0.75時間、または少なくとも約0.5時間のtmaxをもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、少なくとも約2時間のtmaxをもたらす剤形で化合物1を提供する。一部の実施形態では、少なくとも約1時間のtmaxをもたらす剤形で化合物1を提供する。
【0106】
一部の実施形態では、単回用量が本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルをもたらすように化合物1を投与する。一部の実施形態では、対象に投与する用量は約25mg~約275mgである。一部の実施形態では、投与する用量は、少なくとも約25mg、少なくとも約30mg、少なくとも約35mg、少なくとも約40mg、少なくとも約45mg、少なくとも約50mg、少なくとも約55mg、少なくとも約60mg、少なくとも約65mg、少なくとも約70mg、少なくとも約75mg、少なくとも約80mg、少なくとも約85mg、少なくとも約90mg、少なくとも約95mg、少なくとも約100mg、少なくとも約110mg、少なくとも約120mg、少なくとも約130mg、少なくとも約140mg、少なくとも約150mg、少なくとも約160mg、少なくとも約170mg、少なくとも約180mg、少なくとも約190mg、少なくとも約200mg、少なくとも約210mg、少なくとも約220mg、少なくとも約230mg、少なくとも約240mg、少なくとも約250mg、少なくとも約260mg、少なくとも約270mg、または少なくとも約275mgである。一部の実施形態では、少なくとも約120mgの単回用量で化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約240mgの単回用量で化合物1を投与する。一部の実施形態では、120mg±10%の単回用量で化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、1日1回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、1日2回化合物1を投与する(BID)。一部の実施形態では、治療中、少なくとも1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中、3回以上化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約120mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約150mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約175mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約200mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約210mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約225mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約250mgの単回用量で1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、それぞれの用量間の間隔を約12時間あけて、1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、28日間にわたり、それぞれの用量間の間隔を約12時間あけて、1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、少なくとも約6週間、または少なくとも約12週間にわたり、1日2回化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、または少なくとも約9ヶ月間にわたり、1日2回化合物1を投与する。
【0107】
医薬品製剤
無溶媒化学薬品として化合物1を投与してもよい。代替的に、そのような化合物1の治療を必要とする宿主、通常はヒトにとって有効量の本明細書に記載の化合物1を含む医薬組成物として化合物1を投与してもよい。それゆえ、本開示は、少なくとも1種の薬学的に許容される担体と共に、本明細書に記載の血中プロファイル範囲を達成する化合物または薬学的に許容される塩の量で、化合物1の剤形を含む、無溶媒組成物及び医薬組成物を提供する。医薬組成物は、唯一の活性剤として化合物または塩を含有していてもよく、または、代替実施形態では、その化合物及び少なくとも1種の別の活性剤を含有していてもよい。医薬組成物はまた、モル比率の活性化合物及び別の活性剤を含んでいてもよい。
【0108】
担体としては賦形剤及び希釈剤が挙げられ、それらは、治療する患者への投与に好適とするために十分に高純度かつ十分に低毒性なものである必要がある。担体は、不活性であってもよく、または、それ自体の薬学的利点を有していてもよい。化合物1と共に用いる担体の量は、単位用量の化合物あたりの投与に実用的な量の物質を提供するのに十分な量である。
【0109】
担体の部類としては、結合剤、緩衝剤、着色剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、風味剤、流動促進剤、滑沢剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、錠剤化剤、及び湿潤剤が挙げられるがこれらに限定されない。一部の担体は、2種以上の部類に分類され得、例えば、植物油は、ある製剤においては滑沢剤として使用されてもよく、その他の製剤においては希釈剤として使用されてもよい。例示的な薬学的に許容される担体としては、糖、デンプン、セルロース、粉末状トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、及び植物油が挙げられる。本発明の化合物の活性を実質的に妨げない任意選択的な活性剤を医薬組成物中に含ませてもよい。
【0110】
医薬組成物/医薬組み合わせは経口投与用に製剤化されていてもよい。これらの組成物は、所望の効果を達成する任意量の活性化合物を含有していてもよく、例えば、0.1~99重量%(wt.%)の化合物、通常は、少なくとも約5wt.%の化合物である。一部の実施形態は、少なくとも約25wt.%~少なくとも約50wt.%、または少なくとも約5wt.%~少なくとも約75wt.%の化合物を含有する。
【0111】
治療方法
本明細書で検討するとおり、本明細書に記載の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルをもたらす剤形を使用して補体介在性疾患を治療してもよい。本明細書に記載の特定の血中プロファイルを達成及び/または維持することにより、補体副経路を阻害することが可能となり、異常または過剰な補体反応によりもたらされる疾患を治療するのに有用な投与レジメンがもたらされる。
【0112】
一部の実施形態では、治療中において、約50ng/mL~約200ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)が、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約75ng/mL~約125ng/mLの最低平均血漿中濃度(Ctrough)が、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも約50ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約67ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約85ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約100ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、約125ng/mLのCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも50ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも67ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも85ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも100ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、少なくとも125ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、50ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、67ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、85ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、治療中において、100ng/mL±10%のCtroughが、BID投与レジメンの日内サイクルにおけるより低い方のCtroughレベル超に維持されるように、化合物1を投与する。
【0113】
一部の実施形態では、約10~約12時間のDuration(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、約11~約12時間のDuration(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも10時間のDuration(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも11時間のDuration(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも12時間のDuration(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。
【0114】
一部の実施形態では、約80%~約100%の%AUEC(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、約90%~約100%の%AUEC(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも80%の%AUEC(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも90%の%AUEC(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも100%の%AUEC(0-12)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。
【0115】
一部の実施形態では、約3000ng/mL未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、約2000ng/mL未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、約1000ng/mL未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、約600ng/mL~約1700ng/mLのCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、3000ng/mL±10%未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、2000ng/mL±10%未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、1000ng/mL±10%未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、600ng/mL±10%未満のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、800ng/mL±10%~1500ng/mL±10%のCmaxが治療中に達成されるように、化合物1を投与する。
【0116】
一部の実施形態では、約6000ng*時間/mL~20000ng*時間/mLのAUC(0-24)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、少なくとも約6000ng*時間/mLのAUC(0-24)が治療中に達成されるように、化合物1を投与する。
【0117】
一部の実施形態では、本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルを達成するために化合物1を投与することを含む投与を含む、宿主における補体カスケードの機能不全を伴う疾患を治療するための方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルを達成するために化合物1を投与することを含む投与を含む、対象における補体副経路の活性化を阻害するための方法を提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルを達成するために化合物1を投与することを含む投与を含む、対象におけるD因子活性を調節するための方法を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、疾患は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である。一態様では、乳酸脱水素酵素(LDH)レベル(血管内溶血のバイオマーカー)が、治療期間中に、投与前に測定したベースラインLDHレベルから少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または80%超低下するのに十分な量で、PNHを有する対象に化合物1を投与する。一態様では、ヘモグロビンレベルが、治療期間中に、投与前に測定したベースラインレベルから少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、または25%超上昇するのに十分な量で、PNHを有する対象に化合物1を投与する。
【0119】
一部の実施形態では、疾患は膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)である。MPGNは、腎臓の糸球体すなわちフィルターに影響を及ぼす疾患である。膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)は近頃まで、一次性、特発性MPGN、または根本的な病因が特定可能である場合の二次性MPGNのいずれかに臨床的に分類されていた。一次性MPGNは更に、主に超微細構造の外観及び高電子密度沈着物の位置に基づいて、3つのタイプ、I型、II型、及びIII型に分類されていた。しかしながら、臨床分類と組織病理学的分類の両方には、そのいずれもが疾患の病因に基づいていないことによる問題が提起されていた。MPGNの病因における補体の役割に関する理解が進むことによって、免疫グロブリン介在性疾患(古典的補体経路が駆動する)及び非免疫グロブリン介在性疾患(補体副経路が駆動する)への再分類が提案されている。この再分類によって、診断的臨床アルゴリズムが改善し、デンスデポジット病(DDD)及びC3糸球体腎炎(C3GN)に最も代表されるC3糸球体症として知られている疾患の新しいグルーピングが発生することになった。
【0120】
一部の実施形態では、疾患はC3糸球体症である。C3糸球体症は、腎臓に機能不全を引き起こす関連症状のグループである。C3糸球体症の主な特徴としては、尿中の高レベルタンパク質(タンパク尿)、尿中の血液(血尿)、尿量の減少、血液中の低レベルタンパク質、及び身体の多くの領域における腫脹が挙げられる。罹患者は、血液中の特に低レベルの補体成分3(すなわちC3)を示し得る。C3糸球体症と関連する腎臓障害は徐々に悪化する傾向がある。罹患者の約半数は、その診断後10年以内に末期腎疾患(ESRD)を発症する。ESRDは、腎臓が効果的に体液を濾過して排泄物を体内から排出するのを妨げる生命を脅かす症状である。
【0121】
一部の実施形態では、疾患はデンスデポジット病(DDD)である。一部の実施形態では、疾患はC3糸球体腎炎(C3GN)である。
【0122】
一部の実施形態では、疾患は免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)である。IC-MPGNは、多くの臨床的特徴、病理学的特徴、遺伝学的特徴、及び実験的特徴をC3Gと共有する腎疾患である。IC-MPGNを有する患者の最大40%は特定可能な根本的病因を有しておらず、特発性IC-MPGNを有するとみなされる。特発性IC-MPGNを有する対象は、C3Gにおいて認められるものに類似した低C3レベル及び正常C4レベルに加えて、副経路活性異常と関連した同一の遺伝的要因または後天的要因のうちの多くを有し得る。低C3及び正常C4を有するそれら対象は、副経路の有意な過剰活性を有する可能性がある。C3Nefの存在は、C3GNを有する患者におけるものと同じくらい頻繁にMPGN1型を有する患者において同定されている。fH及びfIを含む副経路タンパク質をコードする遺伝子の変異は、IC-MPGN患者において見つかっている。腎生検におけるIgG、IgM、及びC1qに対する免疫陽性蛍光染色(症例の一部)にもかかわらず、約46%のIC-MPGN症例は低C3レベル及び正常C4を示した。これらのデータは、IC-MPGNにおいて副経路が調節不全になっていることを示している。
【0123】
一部の実施形態では、LDHレベルが治療中に基準値上限(ULN)の1.5×以上のレベルから低下するように、化合物1を投与する。一部の実施形態では、Hgbレベルが治療中に上昇するように、化合物1を投与する。
【0124】
本明細書に記載の化合物1またはその塩もしくは組成物を用いて治療または予防することができる別の疾患としてはまた、
(i)腹部大動脈瘤、血液透析合併症、溶血性貧血、または血液透析、神経脊髄炎(NMO)、脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、肝不全、皮膚筋炎、筋萎縮性側索硬化症、加齢関連黄斑変性症(AMD)、関節リウマチ、及び、バイオ療法(例えば、CAR T細胞療法)に対するサイトカイン反応または炎症反応、発作性夜間血色素尿症(PNH)、遺伝性血管性浮腫、毛細血管漏出症候群、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、溶血性尿毒症症候群(HUS)、腹部大動脈瘤、血液透析合併症、溶血性貧血、または血液透析、
(ii)重症筋無力症(MG)、多発性硬化症、神経性疾患、ギランバレー症候群、中枢神経系の疾患及びその他の神経変性症状、糸球体腎炎(膜性増殖性糸球体腎炎を含む)、SLE腎炎、増殖性腎炎、肝線維症、組織再生及び神経再生、またはBarraquer-Simons症候群、
(iii)敗血症の炎症性作用、全身性炎症反応症候群(SIRS)、不適切または望ましくない補体活性化の疾患、IL-2療法中におけるインターロイキン-2誘発毒性、炎症性疾患、自己免疫疾患の炎症、全身性エリテマトーデス(SLE)、クローン病、関節リウマチ、炎症性腸疾患、ループス腎炎、関節炎、免疫複合体疾患及び自己免疫疾患、全身性狼瘡、または紅斑性狼瘡、
(iv)虚血/再灌流障害(I/R障害)、心筋梗塞、心筋炎、虚血再灌流後の症状、バルーン血管形成、アテローム性動脈硬化症、人工心肺または人工腎臓における体外循環後症候群、腎虚血、大動脈再建術後の腸間膜動脈再灌流、抗リン脂質症候群、自己免疫性心疾患、虚血再灌流障害、肥満症、または糖尿病、
(v)アルツハイマー痴呆、脳卒中、統合失調症、外傷性脳損傷、外傷、パーキンソン病、てんかん、移植拒絶反応、胎児死亡の予防、バイオマテリアル反応(例えば、血液透析、インプラント)、超急性同種移植片拒絶反応、異種移植片拒絶反応、移植、乾癬、熱傷、熱傷または凍傷を含む熱損傷、
(vi)喘息、アレルギー、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、嚢胞性線維症、成人呼吸促迫症候群、呼吸困難、喀血、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓及び肺梗塞、肺炎、線維形成性粉塵疾患、不活性粉塵及び不活性鉱物(例えば、シリコン、石炭粉塵、ベリリウム、及びアスベスト)、肺線維症、有機粉塵疾患、化学損傷(刺激性ガス及び刺激性化学物質、例えば、塩素、ホスゲン、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニア、及び塩酸による)、煙害、熱損傷(例えば、熱傷、凍結)、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫病、グッドパスチャー症候群(抗糸球体基底膜腎炎)、肺血管炎、寡免疫性の血管炎、または免疫複合体関連炎症、
が挙げられるがこれらに限定されない。
【0125】
組み合わせ療法
一部の実施形態では、例えば、本明細書で列挙する疾患を治療するために、少なくとも1種の別の治療薬と組み合わせてまたは交互に、化合物1を提供してもよい。一部の実施形態では、本明細書に記載の特定の血中PKプロファイル及び/または血中PDプロファイルを達成するために、少なくとも1種の別の補体系阻害剤、または異なる生物学的作用機序を有する第2の活性化合物、例えば、C5阻害剤、C3阻害剤、補体B因子阻害剤、または汎補体阻害剤と組み合わせてまたは交互に、化合物1を投与してもよい。
【0126】
C5阻害剤
C5阻害剤は当技術分野において周知である。一部の実施形態では、C5阻害剤はC5を標的とするモノクローナル抗体である。一部の実施形態では、C5阻害剤はエクリズマブ(ソリリス(商標)Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT、例えば、米国特許第9,352,035号を参照のこと)である。一部の実施形態では、C5阻害剤はラブリズマブ-cwvz(ユルトミリス(商標)Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)である。
【0127】
一部の実施形態では、C5阻害剤は、組換えヒトミニボディ、例えば、ムボディナ(登録商標)(モノクローナル抗体、Adienne Pharma and Biotech,Bergamo,Italy、米国特許第7,999,081号を参照のこと)、コバーシン(小型動物のタンパク質、Volution Immuno-pharmaceuticals,Geneva,Switzerland、例えば、Penabad et al.Lupus,2012,23(12):1324-6を参照のこと)、LFG316(モノクローナル抗体、Novartis,Basel,Switzerland,及びMorphosys,Planegg,Germany、米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号を参照のこと)、ARC-1905(PEG化RNAアプタマー、Ophthotech,Princeton,NJ and New York,NY、Keefe et al.,Nature Reviews Drug Discovery,9,537-550を参照のこと)、RA101348及びRA101495(大環状ペプチド、Ra Pharmaceuticals,Cambridge,MA)、SOBI002(アフィボディ、Swedish Orphan Biovitrum,Stockholm,Sweden)、ALN-CC5(Si-RNA、Alnylam Pharmaceuticals,Cambridge,MA)、ARC1005(アプタマー、Novo Nordisk,Bagsvaerd,Denmark)、SOMAmer(アプタマー、SomaLogic,Boulder,Co)、SSL7(細菌タンパク質毒素、例えば、Laursen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,107(8):3681-6を参照のこと)、MEDI7814(モノクローナル抗体、MedImmune,Gaithersburg,MD)、アウリントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸誘導体(Aurin Biotech,Vancouver,BC,米国特許出願公開2013/003592を参照のこと)、RG6107(抗C5リサイクリング抗体、Roche Pharmaceuticals,Basel,Switzerland)、ALXN1210及びALXN5500(モノクローナル抗体、Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)、TT30(融合タンパク質、Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)、REGN3918(モノクローナル抗体、Regeneron,Tarrytown,NY)、ABP959(エクリズマブバイオシミラー、Amgen,Thousand Oaks,CA)、またはこれらの組み合わせであってもよいがこれらに限定されない。
【0128】
一部の実施形態では、C5阻害剤は、組換えヒトミニボディ、例えば、ムボディナ(登録商標)である。ムボディナ(登録商標)は、Adienne Pharma and Biotechが開発した完全ヒト組換え抗体C5である。ムボディナ(登録商標)については、米国特許第7,999,081号に記載されている。
【0129】
一部の実施形態では、C5阻害剤はコバーシンである。コバーシンは、最近Akari Therapeuticsが組換えタンパク質として開発した、Ornithodoros moubataダニの唾液中に発見されたタンパク質に由来する組換えタンパク質である。コバーシンについては、Penabad et al.Lupus 2012,23(12):1324-6に記載されている。
【0130】
一部の実施形態では、C5阻害剤はテシドルマブ/LFG316である。テシドルマブは、Novartis及びMorphosysが開発したモノクローナル抗体である。テシドルマブについては、米国特許第8,241,628号及び第8,883,158号に記載されている。
【0131】
一部の実施形態では、C5阻害剤はARC-1905である。ARC-1905は、Ophthotechが開発したPEG化RNAアプタマーである。ARC-1905については、Keefe et al.Nature Reviews Drug Discovery,9:537-550に記載されている。
【0132】
一部の実施形態では、C5阻害剤はRA101348である。RA101348は、Ra Pharmaceuticalsが開発した大環状ペプチドである。
【0133】
一部の実施形態では、C5阻害剤はRA101495である。RA101495は、Ra Pharmaceuticalsが開発した大環状ペプチドである。
【0134】
一部の実施形態では、C5阻害剤はSOBI002である。SOBI002は、Swedish Orphan Biovitrumが開発したアフィボディである。
【0135】
一部の実施形態では、C5阻害剤はARC1005である。ARC1005は、Novo Nordiskが開発したアプタマーである。
【0136】
一部の実施形態では、C5阻害剤はC5に対するSOMAmerである。SOMAmerは、SomaLogicが開発したアプタマーである。
【0137】
一部の実施形態では、C5阻害剤はSSL7である。SSL7は、Laursen et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,107(8):3681-6に記載されている細菌タンパク質毒素である。
【0138】
一部の実施形態では、C5阻害剤はMEDI7814である。MEDI7814は、MedImmuneが開発したモノクローナル抗体である。
【0139】
一部の実施形態では、C5阻害剤はアウリントリカルボン酸である。別の実施形態では、C5阻害剤はアウリントリカルボン酸誘導体である。これらのアウリン誘導体はAurin Biotechが開発したが、それらについては、米国特許出願公開第2013/003592号に更に記載されている。
【0140】
一部の実施形態では、C5阻害剤はRG6107/SKY59である。RG6107/SKY59は、Roche Pharmaceuticalsが開発した抗C5リサイクリング抗体である。
【0141】
一部の実施形態では、C5阻害剤はALXN1210である。別の実施形態では、C5阻害剤はALXN5500である。ALXN1210及びALXN5500は、Alexion Pharmaceuticalsが開発したモノクローナル抗体である。
【0142】
一部の実施形態では、C5阻害剤はTT30である。TT30は、Alexion Pharmaceuticalsが開発した融合タンパク質である。
【0143】
一部の実施形態では、C5阻害剤はABP959である。ABP959は、Amgenが開発したエクリズマブバイオシミラーモノクローナル抗体である。
【0144】
一部の実施形態では、C5阻害剤は抗C5 siRNAである。抗C5 siRNAはAlnylam Pharmaceuticalsが開発した。
【0145】
一部の実施形態では、C5阻害剤はErdigna(登録商標)である。Erdigna(登録商標)は、Adienne Pharmaが開発した抗体である。
【0146】
一部の実施形態では、C5阻害剤はアバシンカプタドペゴル/Zimura(登録商標)である。アバシンカプタドペゴルは、Opthotechが開発したアプタマーである。
【0147】
一部の実施形態では、C5阻害剤はSOBI005である。SOBI005は、Swedish Orphan Biovitrumが開発したタンパク質である。
【0148】
一部の実施形態では、C5阻害剤はISU305である。ISU305は、ISU ABXISが開発したモノクローナル抗体である。
【0149】
一部の実施形態では、C5阻害剤はREGN3918である。REGN3918は、Regeneronが開発したモノクローナル抗体である。
【0150】
C3阻害剤
本明細書では、式Iまたは式IIから選択される有効量のCFD阻害剤と組み合わせてまたは交互に、有効量のC3阻害剤を対象に投与することを含む、対象におけるPNHを治療するための方法を提供する。
【0151】
C3阻害剤は当技術分野において周知である。一部の実施形態では、コンプスタチン及び/またはコンプスタチン類似体と組み合わせてまたは交互に、化合物1を投与する。コンプスタチン及びコンプスタチン類似体は周知であり有用なC3の阻害剤であることが判明しているが、米国特許第9,056,076号、第8,168,584号、第9,421,240号、第9,291,622号、第8,580,735号、第9371365号、第9,169,307号、第8,946,145号、第7,989,589号、第7,888,323号、第6,319,897号、ならびに米国特許出願公開第2016/0060297号、第2016/0015810号、第2016/0215022号、第2016/0215020号、第2016/0194359号、第2014/0371133号、第2014/0323407号、第2014/0050739号、第2013/0324482号、及び第2015/0158915号を参照されたい。更に別の実施形態では、コンプスタチン類似体は4(1MeW)POT-4である。4(1MeW)POT-4はPotentiaが開発した。更に別の実施形態では、コンプスタチン類似体はAMY-201である。AMY-201はAmyndas Pharmaceuticalsが開発した。
【0152】
一部の実施形態では、H17(モノクローナル抗体、EluSys Therapeutics,Pine Brook,NJ)、mirococept(CR1ベースタンパク質)、sCR1(CR1ベースタンパク質、Celldex,Hampton,NJ)、TT32(CR-1ベースタンパク質、Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)、HC-1496(組換えペプチド)、CB 2782(酵素、Catalyst Biosciences,South San Francisco,CA)、APL-2(PEG化合成環状ペプチド、Apellis Pharmaceuticals,Crestwood,KY)、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないC3阻害剤と、化合物1を組み合わせてもよい。
【0153】
一部の実施形態では、C3阻害剤はH17である。H17は、EluSys Therapeuticsが開発したヒト化モノクローナル抗体である。H17については、Paixao-Cavalcante et al.J.Immunol.2014,192(10):4844-4851に記載されている。
【0154】
一部の実施形態では、C3阻害剤はmirococeptである。mirococeptは、Inflazyme Pharmaceuticalsが開発したCR1ベースタンパク質である。
【0155】
一部の実施形態では、C3阻害剤はsCR1である。sCR1は、Celldexが開発した可溶性形態のCR1タンパク質である。
【0156】
一部の実施形態では、C3阻害剤はTT32である。TT32は、Alexion Pharmaceuticalsが開発したCR-1ベースタンパク質である。
【0157】
一部の実施形態では、C3阻害剤はHC-1496である。HC-1496は、InCodeが開発した組換えペプチドである。
【0158】
一部の実施形態では、C3阻害剤はCB 2782である。CB 2782は、Catalyst Biosciencesが開発した、ヒト膜型セリンプロテアーゼ1(MTSP-1)に由来する新規のプロテアーゼである。
【0159】
一部の実施形態では、C3阻害剤はAPL-2である。APL-2は、Apellis Pharmaceuticalsが開発した、APL-1のPEG化バージョンである。
【0160】
補体B因子(CFB)阻害剤
CFB阻害剤は当技術分野において周知である。一部の実施形態では、抗FB SiRNA(Alnylam Pharmaceuticals,Cambridge,MA)、TA106(モノクローナル抗体、Alexion Pharmaceuticals,New Haven,CT)、LNP023(低分子、Novartis,Basel,Switzerland)、SOMAmer(アプタマー、SomaLogic,Boulder,CO)、bikaciomab(Novelmed Therapeutics,Cleveland,OH)、complin(Kadam et al.,J.Immunol.2010,DOI:10.409/jimmunol.10000200を参照のこと)、Ionis-FB-LRx(リガンドコンジュゲート型アンチセンス薬、Ionis Pharmaceuticals,Carlsbad,CA)、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないCFB阻害剤と、化合物1を組み合わせてもよい。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1と組み合わせることができるCFB阻害剤としては、PCT/US17/39587に開示されているCFB阻害剤が挙げられる。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1と組み合わせることができるCFB阻害剤としては、PCT/US17/014458に開示されているCFB阻害剤が挙げられる。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物1と組み合わせることができるCFB阻害剤としては、米国特許出願公開第2016/0024079号(Novartis AGに与えられた)に開示されているCFB阻害剤が挙げられる。一部の実施形態では、CFB阻害剤は
【化4】
である。
【0161】
一部の実施形態では、CFB阻害剤は抗FB siRNAである。抗FB siRNAはAlnylam Pharmaceuticalsが開発した。
【0162】
一部の実施形態では、CFB阻害剤はTA106である。TA106は、Alexion Pharmaceuticalsが開発したモノクローナル抗体である。
【0163】
一部の実施形態では、CFB阻害剤はLNP023である。LNP023は、Novartisが開発した、CFBの低分子阻害剤である。LNP023及び関連阻害剤については、Maibaum et al.Nat.Chem.Biol.2016,12:1105-1110に記載されている。
【0164】
一部の実施形態では、CFB阻害剤はcomplinである。complinは、Kadam et al.J.Immunol.2010 184(12):7116-24に記載されているペプチド阻害剤である。
【0165】
一部の実施形態では、CFB阻害剤はIonis-FB-LRxである。Ionis-FB-LRxは、Ionis Pharmaceuticalsが開発したリガンドコンジュゲート型アンチセンス薬である。
【0166】
補体成分の汎阻害剤
補体成分の汎阻害剤は当該技術分野において周知である。一部の実施形態では、阻害剤はFUT-175である。
【実施例
【0167】
第I相単回漸増用量試験
単回漸増用量(SAD)試験は、化合物1のファーストインヒューマン試験であった。第1の目的は、健康なボランティアにおける、単回漸増経口用量の化合物1(経口投与された補体D因子阻害剤)の安全性及び忍容性を実証することであった。第2の目的は、薬物動態(PK)プロファイルの評価、及び、化合物1のPK特性と薬力学(PD)特性の間の相関、すなわち、補体副経路(AP)活性(PK/PD)の阻害の評価を含んでいた。
【0168】
18名の健康なボランティアに投与して4用量群で評価を行ったが、10名の対象にはプラセボを投与した(表1)。第1の用量群には6名の活性剤対象及び6名のプラセボ対象がおり、それに続く群にはそれぞれ6名の活性剤対象及び2名のプラセボ対象がいた。それぞれの群に対して投与後28日間にわたり経過観察を行った。28日目の最終定期来院日まで、全ての対象の安全性についてモニタリングを行った。1日目から4日目までの所定の時点に血液試料及び尿試料を採取して化合物1の血漿中濃度及び尿中濃度を測定し、1日目から7日目までの所定の時点に血液試料及び尿試料を採取して補体関連活性を測定した。血清中AP活性の効果をAP Wieslabアッセイで測定し、それに加え、血漿中Bbレベル、血漿中D因子レベル、及びいくつかのその他のPDバイオマーカーを測定した。
【表1】
【0169】
物質及び方法
物質
ウサギ赤血球(RBC)、Ca++及びMg++を含まないゼラチンベロナールバッファー(GVB0)、及び100mM MgCl2-100mM EGTA(MgEGTA)をComplement Technology,Inc,(Tyler,TX)から購入した。GVB0及び100mM MgEGTAを9:1の比率で混合することにより、GVB0-MgEGTAバッファーを調製した。RBCは購入の2週間以内に使用し、それらの細胞については、それぞれのアッセイの前日に800×g、4℃、3分間の遠心分離で回収してから、5×10細胞/mLの密度となるように等容量の新鮮な冷却GVB0・MgEGTA中に再懸濁した。本試験に使用した市販ELISAキットの情報は、以下のそれぞれ個々のアッセイに含まれている。
【0170】
ヒト血清/血漿の調製、保存、及び輸送
ヒト血清の調製用に、静脈血を標準的な臨床手順でGold Top,SSTバキュテイナ(BD Vacutainer)に採取した。室温で30分間またはそれ以上凝固させた後、チューブを約1,300×g、4℃、15分間の遠心分離にかけて、血餅から血清を分離した。次に、-80℃の保存用に、予備冷却したクライオバイアルに血清をアリコートした(50~200μl/バイアル)。それぞれのバイアルを一度だけ解凍してから、それぞれの補体関連アッセイ用に使用し、残った試料については更に使用することなく廃棄した。血漿の調製用に、静脈血をLavender Top,K2EDTAバキュテイナに採取してから、ゆっくりと数回ひっくり返して、血液試料を抗凝固剤と完全に混合させた。チューブを30分間氷浴内に置いてから、約1300×g、4℃、15分間の遠心分離にかけて、血球から血漿を分離した。血液試料の採取後1時間以内に、予備冷却した凍結保存用チューブ内へと血漿をアリコートに分割して-80℃のフリーザーに保存した。輸送については、血清または血漿のいずれかを含有するチューブを、更に凍結解凍サイクルを行うことなく、ドライアイスを入れた状態で発送した。
【0171】
血清AP溶血アッセイ
2つのパート(一方は溶血用、もう一方は血清バックグラウンド色の除去用)に分割した96ウェルマイクロタイタープレートを用いて、ex vivo血清AP溶血アッセイを実施した。簡潔に説明すると、RBCデブリを取り除くために、ウサギ赤血球(RBC)の懸濁液を800×g、4℃、3分間の遠心分離にかけて、上清を除去した。5×10細胞/mLの密度となるように、10mM MgEGTAを含有する予備冷却ゼラチンベロナールバッファー(GVB0)にRBC細胞ペレットをゆっくりと再懸濁させた。バッファーを含むその他の対照、自然ウサギRBC溶解物、100%RBC溶解物(水中)、及び正常血清対照を、試験試料と共に同様に準備した。血清を概ね解凍されるまで37℃の水浴内に置いてからすぐに氷浴に移した。試験前、GVB0-MgEGTAバッファーを含む20%血清を調製してから氷浴に保管した。50μlの20%血清を等容量のGVB0-MgEGTAバッファーと混合してから20μlのRBC懸濁液を素早く加えることにより、96ウェルプレート内で反応を実施した。マイクロタイタープレート振盪器上でプレートを5秒間振盪してから、37℃で30分間培養した。培養期間中の中間において、プレートを上記のように更に5秒間振盪した。培養の最後において、プレートを800×g、4℃、3分間の遠心分離にかけて未溶解ウサギRBCを沈殿させた。全てのウェルから80μlの上清を慎重に除去してから、Molecular Devices Spectramax Plusプレートリーダーで405nmにおける吸光度(A405)を測定するために、透明平底マイクロタイタープレートに移した。以下の式を用い、NHS参照試料の活性を基準としたそれぞれのウェル内のAP溶血を計算した。
溶血(%)=((Hm-Bk)-(Sp-Bf))/((NH-BkNH)-(Sp-Bf))×100%
(式中、Hm=溶血ウェルのA405、Bk=対応するバックグラウンドウェルのA405、Sp=自然溶血ウェルの平均A405、Bf=バッファーのみのウェルの平均A405、NH=参照NHSウェルの平均A405、BkNH=対応するバックグラウンドウェルの平均A405
【0172】
PK-PD解析
以下の2つのモデルを用いたGraphPad Prism(La Jolla,CA)による非線形回帰で、時間を一致させた血漿中化合物1濃度及び血清AP阻害値を使用し、PK-PD相関を評価した。
1.50%効果濃度(EC50)を求めるための単純Emaxモデル
Y=E+Emax×X/(EC50+X)
(式中、X=血漿中化合物1濃度、Y=対応する血清試料中における阻害率、E=0%阻害(投与前AP活性)、及びEmax=100%阻害)
2.EC50及び90%効果濃度(EC90)を求めるための4パラメータシグモイドモデル
Y=E+(Emax-E)/(1+10^((LogEC50-X)×HillSlope))
(式中、X、Y、E、及びEmaxは上(Emaxモデル)で定義したとおり、HillSlope=勾配係数またはヒルスロープ)
【0173】
薬力学効果及び薬物動態効果
AP溶血を用いて測定したAP活性
全ての対象について、1日目から7日目までにおけるプロトコルで定めた特定の時点で血液試料を採取してから、AP溶血アッセイ及びAP Wieslabアッセイを用いてex vivo血清中AP活性を測定した。
【0174】
40、80、または120mgで単回用量の化合物1を投与した全ての対象において、AP活性の強力な阻害が認められた(図1)。具体的には、全ての群の対象が化合物1投与後にAP活性の完全な阻害を達成した。群1では、AP溶血アッセイに基づき、投与後少なくとも4時間にわたり約90%以上の阻害が維持された。群2及び群3では、投与後少なくとも8時間にわたり約90%以上の阻害が維持された。対照的に、プラセボ対象では、AP活性における有意な変化は認められなかった(図1)。全ての対象における溶血アッセイで測定した血漿中化合物1濃度(PK)と血清中AP活性の間の相関について、単純Emaxモデルを用いて解析を行った(図2)。この解析に基づくと、化合物1のEC50値は11.1ng/mLであった。
【0175】
加えて、本明細書に記載のAP溶血アッセイで測定した全血清試料中におけるAP活性は、群3の化合物1治療対象及びプラセボ対象におけるAP Wieslabデータ(図3)と相関していた(相関係数、r=0.83)。SAD試験に登録した全投与対象について、以下の単純Emax用量反応モデル、Y=E+Emax・X/(EC50+X)(式中、E=非阻害AP活性(0%阻害)、Emax=完全阻害AP活性(100%))を用い、溶血アッセイによる血漿中化合物1濃度と血清AP阻害の間の相関を解析した。総試料数は306であった。投与後の特定の時点に血清試料を採取してから、AP活性を測定するためのAP WieslabアッセイとAP溶血アッセイの両方を用いて評価を行った。それぞれの時点におけるAP活性を、同一対象の投与前AP活性(100%)に正規化した。2エンドポイント間の相関を線形回帰(Prism Software,GraphPad,La Jolla,CA)で解析した。
【0176】
群1~群3のSAD PK集団を含む18名の対象について、合計306の血漿試料(投与前、ならびに投与後0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、16時間、24時間[2日目]、48時間[3日目]、72時間[4日目]、及び144時間[7日目]に採取した、それぞれの対象に由来する17の試料)が血漿中のPK測定に利用可能であった。
【0177】
PK集団を含む全18名の対象における投与前の血漿中化合物1濃度は、LLOQ未満(すなわち、<0.100ng/mL)であった。化合物1は投与後速やかに吸収され、全18名の対象は、評価を行った最初の投与後サンプリング時点(すなわち、投与後0.5時間)において測定可能な血漿中化合物1濃度を有していた。無作為化治療群による時間に対する平均血漿中化合物1濃度曲線のプロットをそれぞれ、図4A(40mg)、図5A(80mg)、図6A(120mg)(線形スケール)、ならびに図4B(40mg)、図5B(80mg)、及び図6B(120mg)(片対数スケール)に示し、統計一覧を表2に示している。最高平均血漿中濃度(40mg群における78.03±19.65ng/mL、80mg群における224.05±108.27ng/mL、及び120mg群における282.83±89.15ng/mL)は投与後1~3時間に生じた。平均濃度プロファイルを基準とすると、血漿中化合物1濃度は、最大120mgの単回用量投与後、用量比例的に上昇するようであった。全ての用量群において、血漿中化合物1濃度は、投与後72時間の時点において最後に検出された。
【0178】
化合物1の単回漸増用量を評価して、試験を行った40mg~120mgの用量範囲にわたる血漿中PKパラメータ及び尿中PKパラメータを測定した。それぞれの公称サンプリング時点における血漿中化合物1濃度及び尿中化合物1濃度の統計一覧は、表2における無作為化治療群により示している。
【0179】
血漿中の化合物1のCmax及びAUCは、投与した化合物1の用量(すなわち、40mg、80mg及び120mg)増加に比例して上昇した。40mg用量群及び120mg用量群では、血漿中化合物1PKパラメータCmax及びAUCのばらつきは概ね小さく類似しており、Cmaxの幾何CVは30%(40mg群)または31%(120mg群)であり、AUCの幾何CVは23%~32%の範囲であった。80mg用量群では、40mg用量群及び120mg用量群と比較して、Cmax(51%の幾何CV)及びAUC(50%~53%の幾何CV範囲)に非常により大きなばらつきがあった。化合物1の速やかな吸収が認められ、試験を行った40mg~120mgの用量範囲にわたる中央tmax(1.50時間~2.75時間)値は類似していた。平均終末相消失半減期(t1/2 term)値は、試験を行った用量範囲にわたり約9.92時間~13.90時間の範囲であった。
【0180】
PK集団に含まれた全ての対象(n=18、それぞれ6名の対象を40mg、80mg、及び120mg化合物1投与に無作為化した)を用量比例解析に含ませた。血漿中化合物1のCmax値及びAUC0-inf値の幾何平均を表2に示す。用量比例関係を評価するための時間に対する平均血漿中化合物1プロファイル(0~24時間)を図7A(線形スケール)及び図7B(片対数スケール)に示す。
【0181】
化合物1の腎排泄は少なく、未変化化合物1として回収された幾何平均用量は、投与用量のうちの0.17%~0.26%の範囲であった。腎クリアランス値はまた、用量群間で類似しており、幾何平均値は0.16L/時間~0.19L/時間の範囲であった。
【表2-1】
【表2-2】
略語:Ae=尿中に排泄された化合物1の総量、Aeu(%)=用量のパーセンテージとして表される尿中に排泄された化合物1の総量、AUC0-12=投与時点から投与後12時間までにおける定量可能濃度の血漿中濃度-時間曲線下面積、AUC0-24=投与時点から投与後24時間までにおける定量可能濃度の血漿中濃度-時間曲線下面積、AUC0-inf=無限大時間まで外挿した血漿中濃度-時間曲線下面積、AUClast=投与時点から投与後最終時間までにおける定量可能濃度の血漿中濃度-時間曲線下面積、CL/F=見かけの経口薬物クリアランス、CL=総化合物1の腎クリアランス、Cmax=最高血漿中濃度、GCV%=幾何変動係数率、GM=幾何平均、h=時間、L=リットル、mL=ミリリットル、ng=ナノグラム、SD=標準偏差、t1/2 term=見かけの終末相消失半減期、tmax=最高血漿中濃度に到達するまでの時間、V/F=見かけの分布容積、λ=終末相消失速度定数。
【0182】
AP Wieslabアッセイによる副経路機能活性
投与から7日目まで(日にちで記録)及び投与の24時間以内(無作為化治療群及び全体による)における平均補体AP機能活性(陽性対照を基準とした%)のグラフ表示はそれぞれ、図8B及び図8A中に見出すことができる。Wieslabアッセイで評価を行ったところ、40mg、80mg、または120mgの単回用量の化合物1を投与した全ての対象において、AP機能活性の強力な阻害が認められた。
【0183】
全ての化合物1治療対象において、早くも投与後0.5時間に>80%のAP機能活性の阻害(または陽性対照を基準とした≦20%のAP機能活性効果)が認められ、全ての対象は、投与後2時間までに>90%のAP機能活性の阻害を達成した。AP機能活性の最下点には投与後1.5時間(40mg用量群)~3時間(80mg用量群及び120mg用量群)に到達し、平均(±SD)AP機能活性は、40mg用量群、80mg用量群、及び120mg用量群においてそれぞれ、1.25(±1.153)%、0.13(±0.097)%、及び0.09(±0.102)%の最低レベルにまで低下した。40mg用量群では、投与後少なくとも6時間にわたり90%以上の平均阻害が維持された。試験を行ったより高い用量群(すなわち、120mg及び240mg)では、より長い期間にわたり(すなわち、投与後少なくとも10時間にわたり)90%以上の平均阻害が維持された。
【0184】
血漿中Bb濃度
投与から7日目まで(日にちで記録)及び投与の24時間以内(無作為化治療群及び全体による)における平均血漿中Bb濃度のグラフ表示はそれぞれ、図9B及び図9A中に見出すことができる。図9A及び図9Bに示すとおり、評価を行った全ての化合物1用量群は、ベースライン及びプラセボ治療群と比較して、単回用量投与後に血漿中Bb濃度の有意な低下を示した。個々の用量群で評価を行った対象の数は比較的少なかった(n=6)が、認められた変化量は用量依存的であるようであった。ベースラインにおいて、40mg用量群、80mg用量群、及び120mg用量群は、アッセイの標準的な基準範囲内の血漿中Bb濃度(すなわち、0.49~1.42μg/mL)を示し、40mg用量群、80mg用量群、及び120mg用量群はそれぞれ、0.80(±0.195)μg/mL、0.78(±0.128)μg/mL、及び0.70(±0.095)μg/mLの平均(±SD)ベースライン値を示した。血漿中Bb濃度は、投与後6時間(40mg用量群)~8時間(80mg用量群及び120mg用量群)に最下点に到達した。投与後6時間において、40mg用量群の平均(±SD)血漿中Bb濃度は0.51(±0.091)μg/mLに低下した。投与後8時間において、平均血漿中Bb濃度は、80mg用量群において0.48(±0.056)μg/mLに、120mg用量群において0.40(±0.029)μg/mLに低下した。80mg用量群及び120mg用量群では、平均血漿中Bb濃度はそれぞれ、投与後10時間(80mg用量群)及び投与後24時間(2日目)(120mg用量群)までに、アッセイのLLN超に上昇し、投与後48時間(3日目)までにベースライン値に戻った。試験中に血漿中Bb濃度の治療下発現異常を示す対象はいなかった。
【0185】
ex vivo AP阻害アッセイを基準として、血漿中薬物濃度に基づくAPの%阻害を比較する定常状態モデルを作成した。定常状態モデルのグラフ表示を図10及び図11に示す。図10は、約67ng/mLのCtroughで90%阻害(IC90)が達成されていることを示している。それゆえ、化合物1は、in vivoで、標的トラフ濃度において85%阻害を達成することが予測される。図11は、120mgの化合物1の1日2回の投与による予測定常状態が約50ng/mLのCtroughをもたらし、Cmaxを約350ng/mL未満にしつつ85%超のAP活性阻害を達成することを示している。それゆえ、化合物1が、優れた投与自由度を可能とし得る向上した安全域をなおも有しつつ強力であることが示された。
【0186】
要約
AP溶血アッセイを用いて本明細書で報告するex vivo AP機能アッセイは、SADの全てのコホートにおけるAP経路の完全またはほぼ完全な阻害が化合物1の投与後速やかに達成されたことを示している。単純Emaxモデルを用いたPK/PD解析により、約10ng/mLのEC50との明確な用量反応相関が明らかとなった。薬力学効果は、fD阻害剤である化合物1が、40mg~120mgの範囲の単回用量投与で補体のAPの強力な阻害を達成することを示している。血清中AP活性を評価したex vivo Wieslabアッセイは、化合物1の単回用量投与のほぼ直後におけるAP活性のほぼ完全な阻害を示した。全ての化合物1治療対象において、早くも投与後0.5時間に>80%のAP活性の阻害が認められ、全ての対象は、投与後2時間までに>90%のAP活性の阻害を達成した。AP活性は、投与後1.5時間(40mg用量群)~3時間(80mg用量群及び120mg用量群)に最下点に到達した。試験を行ったより高い用量群(すなわち、80mg及び120mg)では、投与後、試験を行ったより低い40mg用量群(少なくとも6時間)と比較して、より長い期間(少なくとも10時間)にわたり90%以上の平均阻害が維持された。全用量コホートの時間を一致させた全ての血漿中PKデータ及び血清中AP活性阻害データによるEmaxモデルを用いた定量解析により、11ng/mLのEC50がもたらされた。加えて、単回用量投与後、AP活性のin vivoバイオマーカーである血漿中Bb濃度に有意な低下が認められ、AP活性がin vivoで阻害されていることが示された。個々の用量群で評価を行った対象の数は比較的少なかった(n=6)が、認められた変化量は用量依存的であるようであった。血漿中Bb濃度は、投与後6時間(40mg用量群)~8時間(80mg用量群及び120mg用量群)に最下点に到達した。血漿中Bb濃度は最下点から徐々に回復したが、40mg用量群ではより早く回復し、全ての用量群は投与後48時間(3日目)までにベースライン値に回復した。血清中fD濃度、血清中C3濃度、血清中C4濃度、及び血清中総CP機能を評価するために実施したその他の補体アッセイでは、最大120mgの化合物1の単回用量投与後において、ベースライン及びプラセボと比較した有意な経時的変化は認められなかった。
【0187】
2つの追加の単回用量コホートを含む化合物1の複数回漸増用量(MAD)試験
2つの追加の単回用量コホートを含む化合物1の複数回漸増用量(MAD)試験も完了させた。第1の目的は、健康なボランティアにおける、複数回漸増経口用量の化合物1(経口投与された補体D因子阻害剤)の安全性及び忍容性を実証することであった。第2の目的は、薬物動態(PK)プロファイルの評価、及び、化合物1のPK特性と薬力学(PD)特性の間の相関、すなわち、補体副経路(AP)活性(PK/PD)の阻害の評価を含んでいた。MAD試験では、化合物1を投与した空腹状態の4つの用量群(40、80、120、及び200mg BID)における、14日間にわたる、複数回用量の化合物1の薬物動態及び薬力学を評価した(表3)。それぞれの群の8名の対象に活性薬物を投与し、第1の用量群(40mg)の8名の対象にプラセボを投与し、それ以外の3つの用量群のそれぞれにおける2名の対象にプラセボを投与した。2つの追加のコホートには、240mg(空腹対象)及び120mg(摂取対象)の単回用量で化合物1を投与した(表3)。2つの単回用量コホートにはそれぞれ、活性薬物を投与される6名の対象及びプラセボを投与される2名の対象が含まれていた。PK評価及びPD評価用の血漿試料及び血清試料は、投与前の選択日(局所的なトラフ)、ならびに、より詳細な評価を行うため1日目、7日目、及び14日目に0.5時間~2時間の間隔をあけて採取した。
【表3】
【0188】
2つの追加の用量コホートにおける化合物1単回用量薬物動態
240mg単回用量の薬物動態効果はSAD試験のデータと一致し、40~240mgの単回用量範囲における曝露(Cmax、AUC)の用量比例的な上昇を示した(表4)。適度な脂質の食事と共に投与した単回120mg用量を空腹状態で投与した同一用量と比較すると(SAD試験)、摂取状態の平均Cmax値及び平均AUC値はそれぞれ、2.2%及び10.8%、より低かった。この結果は、摂取状態または空腹状態のいずれかで全身曝露における臨床的有意差を伴うことなく化合物1が投与可能であることを示唆している。
【表4】
【0189】
2つの追加の用量コホートにおける化合物1単回用量薬力学
化合物1のMAD臨床試験における追加の単回用量コホートの薬力学効果は、補体AP活性の継続的な用量依存的阻害を示した。1日目(投与前)から7日目までの所定の時点に採取した試料を用いて、血清中AP溶血活性を評価した。ex vivo血清AP阻害は、最大120mg用量のSAD試験で以前認められたものと比較して、240mg用量群でより長期間にわたった(図14)。血清中AP溶血活性は、単回用量の化合物1の投与後に速やかな抑制を示した。活性剤対象における平均投与前(1日目、0時間)活性は123.02%(240mg)及び110.43%(120mg)であった。活性は、240mg群において1.5時間から16時間まで、120mg群において2時間から6時間まで、10%以下に低下した。活性は、48時間までにほぼ投与前レベルに回復した。対照的に、プラセボ対象におけるAP活性は109.52%の投与前の値からほとんど変化せず、全ての時点における最低値は81.46%であった。240mg用量の全ての対象は投与の2時間以内に90%以上の阻害を達成し、平均阻害は投与後少なくとも12時間まで90%以上で持続した。加えて、in vivo AP阻害の指標として、血漿中Bbは用量依存的な低下を示し、化合物1の阻害効果は、より低い用量と比較して、240mg用量群でより長期間にわたり、投与後少なくとも16時間にわたりほぼその最下点を維持した(図15)。プラセボ対象は投与後にAP活性または血漿中Bb濃度における著しい変化を示さず、活性剤対象は、化合物1投与後の、血清中CP活性、または血清中D因子濃度、血清中C3濃度、もしくは血清中C4濃度における有意な変化を示さなかった。
【0190】
化合物1複数回用量の薬物動態
40、80、120、及び200mgの複数回用量コホートにおける平均曝露(Cmax及びAUC0-inf)は、初回用量後、1日目に、直線的に用量比例的に上昇した。反復1日2回(BID)レジメンでそれぞれの用量を投与した際、定常状態曝露に用量比例を超える上昇が認められた。CmaxとAUCの両方に対する1日目(初回用量)から7日目/14日目(定常状態)までの平均滞留は用量が増加するにつれて1.7から4.7まで上昇し、化合物1の非線形PK挙動を浮き彫りにした。全4用量群における14日目の最終用量後のウォッシュアウト時の平均t1/2termは9.0時間~11.9時間の範囲であり、単回用量の投与後に認められた平均t1/2termと長さが類似していた。この半減期については、用量が増加するにつれて長くなるという観察可能な傾向は認められなかった。
【0191】
図16は4用量群における平均濃度のプロットであり、表5は全群における平均の複数回用量薬物動態パラメータをまとめたものである。
【0192】
定常状態の投与前血漿中濃度に晩と比較して朝により高いという一貫した傾向が認められ、朝のトラフの一部は晩のトラフの値の約2倍であった。40mg BID群、80mg BID群、120mg BID群、及び200mg BID群の平均投与前濃度はそれぞれ、15.6~23.5ng/mL、45.9~83.7ng/mL、80.6~153ng/mL、及び247~392ng/mLの範囲であった(表6)。
【表5】
【表6】
【0193】
化合物1複数回用量の薬力学
14日間にわたり化合物1をBID投与した患者におけるAP溶血の平均低下
副経路溶血の平均低下を図13に示す。120mg BID患者群と200mg BID患者群の両方は、試験期間中に、AP溶血の90%超の低下を示した。この低下は平均で95%超であった(図13を参照のこと)。
【0194】
複数回用量コホートにおける血清中AP溶血活性
1日目(投与前)から21日目までの所定の時点に全てのコホートから採取した試料を用いて、血清中AP溶血活性を評価した。1日目(0時間~12時間)、7日目(0時間~12時間)、及び14日目(0時間~16時間)に集中的なサンプリングを行い、その他全ての血清試料については、それら指定日の0時間(朝のPKトラフ)に採取した。それぞれのコホートの活性を、1日目~21日目(図17)、1日目(図18)、7日目(図19)、及び14日目(図20)の完全な時間経過で示している。AP Wieslabアッセイによりex vivoで測定する血清中補体AP活性、血清中総補体古典的経路(CP)活性、血漿中補体Bb濃度、ならびに血清中FD濃度、血清中C3濃度、及び血清中C4濃度についてもまた、所定の時点に測定した。
【0195】
血清中AP活性は、ACH-5228の複数回用量投与後に速やかかつ用量依存的な抑制を示した。それぞれのコホートの活性剤対象における平均投与前(1日目、0時間)AP活性は、69.43%(40mg)~73.29%(80mg)の範囲であった。投与後の活性は、7日目及び14日目(定常状態PK条件)に、4.00%(40mg)及び0.00%(群2~群4)の最低値にまで低下した。しかしながら、40mg BID及び80mg BIDでは、このAP抑制は、PKトラフ(0時間時点及び12時間時点)における実質的な回復を伴っていた。対照的に、120mg BIDでは、平均AP活性は、7日目の0時間~10時間、及び14日目の0時間~12時間の全ての時点において、10%未満を維持した。200mg BIDでは、平均AP活性は、7日目及び14日目の0時間~12時間の全ての時点において、10%未満を維持した。全ての用量におけるAP活性は、最終投与の3日後である17日目までに、ほぼ投与前レベルにまで回復した。対照的に、プラセボ対象におけるAP活性は84.97%の投与前の値からほとんど変化せず、全ての時点における最低値は76.84%であった。
【0196】
副経路の阻害率用のシグモイドモデル
患者試料を用いたex vivoAP溶血アッセイで測定した副経路の凝集阻害率をシグモイド用量反応モデルにフィッティングして、化合物1のIC90を求めた。化合物1のモデル化IC90血漿中薬物濃度は88ng/mLであった(図12を参照のこと)。これは、235ng/mLで90%阻害を達成する第1世代D因子阻害剤ダニコパンと比較して2.5倍超より強力であった(図12を参照のこと)。更に、経口120mg BID投与で、定常状態Ctroughにおける95%超の平均副経路阻害が達成された。
【0197】
PKトラフ(0時間及び12時間)におけるAP阻害
表7は、7日目及び14日目の0時間時点及び12時間時点、ならびに、集合的に6日目から14日目までの全ての0時間時点及び12時間時点(定常状態PKの条件下におけるPKトラフを表す)におけるAP溶血活性の算出阻害率を示している。40mg BID及び80mg BIDでは、0時間時点及び12時間時点において部分的な阻害が認められた。120mg BIDでは、阻害は、全ての0時間時点にわたり90%を超え(97.2%阻害)、全ての12時間時点にわたりほぼ90%を超えた(87.8%阻害)。200mg BIDでは、阻害は、全ての0時間時点及び12時間時点にわたり90%を超えた(それぞれ97.6%阻害及び95.1%阻害)。これらの結果はAP Wieslabアッセイから導いた所見(算出阻害率は、120mg BIDと200mg BIDの両方において、0時間時点及び12時間時点にわたり90%を超えている)と一致している。
【表7-1】
【表7-2】
【0198】
複数回用量コホートにおけるAP溶血阻害の積分量及び持続期間
それぞれの時点における複数回用量個体の血清中AP活性を、同一個体の投与前活性(1日目、0時間、100%と定義)に正規化した。このようなそれぞれの時点における投与前正規化AP活性の阻害を、投与前活性からの低下として計算した(すなわち、100%-投与前正規化活性)。これらのAP阻害値を使用して、7日目及び14日目におけるAP阻害の積分量及び持続期間を定量するための以下の2つのPDパラメータを計算した。
【0199】
第1に、0時間から12時間までのAP阻害の積分量を0時間から12時間までの効果曲線下面積(AUEC)(AUEC0-12)として計算した。0時間から12時間までの隣接時点間の線形関数下面積を合計する線形台形法を用いて、AUEC0-12を計算した。更に、%AUEC0-12を、間隔におけるその最高可能値に正規化したAUEC0-12として計算したが、100%の最高%AUEC0-12は、40mg BID及び80mg BIDにおいて0時間から12時間まで持続する完全(100%)阻害を表し、90%未満の算出%AUEC0-12値は、用量間に認められるAP溶血活性の実質的な回復を反映していた。120mg BID及び200mg BIDでは、平均%AUEC0-12値(7日目及び14日目、複合解析)はそれぞれ98.2%及び99.1%であり、12時間の全期間にわたるほぼ完全なAP阻害を示した(表8)。これらの値はAP Wieslabアッセイから導いた所見(120mg BID及び200mg BIDにおける%AUEC0-12値(7日目及び14日目、複合解析)はそれぞれ98.6%及び99.3%)と一致している。
【表8-1】
【表8-2】
【0200】
第2に、AP阻害の持続期間を、AP阻害が90%以上となる0時間~12時間の経過期間(DURATION0-12)として計算した。必要に応じて線形補間を用い、90%以上の阻害を示す開始時点及び終了時点を推定した。12時間の最高DURATION0-12値は、0時間から12時間まで持続する90%以上の阻害を表す。40mg BID及び80mg BIDでは、算出DURATION0-12値(7日目及び14日目、複合解析)はそれぞれ2.3時間及び7.6時間であり、用量間に認められるAP溶血活性の実質的な回復を反映していた。120mg BID及び200mg BIDでは、平均DURATION0-12値(7日目及び14日目、複合解析)はそれぞれ11.3時間及び11.7時間であり、12時間の最高可能値に近づいていた(表9)。これらの値はAP Wieslabアッセイから導いた所見(120mg BID及び200mg BIDにおけるDURATION0-12値(7日目及び14日目、複合解析)はそれぞれ11.6時間及び11.9時間)と一致している。
【表9-1】
【表9-2】
【0201】
複数回用量コホートにおける血漿中ACH-5228濃度と血清AP阻害の間のPK-PD相関
2つのモデルを使用して、複数回用量コホートにおける全ての時点及び個体にわたる、時間を一致させた血漿中化合物1濃度(PK)と血清中AP溶血活性阻害(PD)の間のPK-PD相関を評価した(図21A及び図21B)。EC50を求めるための単純Emaxモデルを使用し、また効果的な活性に必要な濃度をより精度高く推定するため、EC50及びEC90を求めるためのシグモイドモデルを使用し、非線形回帰によりデータを解析した。
【0202】
両方のモデルを用いた解析により、投与後におけるAP活性の濃度依存的な阻害が示された。Emaxモデルを用いた解析により19.1ng/mLのEC50値がもたらされ、95%信頼区間(CI)は18.1ng/mL~20.1ng/mLであった。シグモイドモデルを用いた解析により24.6ng/mL及び88.1ng/mLのEC50値及びEC90値がもたらされ、EC90の95%CIは82.5ng/mL~94.0ng/mLであった。これらの値はAP Wieslabアッセイから導いた所見(Wieslabアッセイは、Emaxモデルを用いて14.3ng/mLのEC50値をもたらし、シグモイドモデルを用いてそれぞれ19.2ng/mL及び66.9ng/mLのEC50値及びEC90値をもたらした)と一致している。
【0203】
要約
AP溶血アッセイを使用したところ、第1相SAD試験における単回用量の化合物1の投与後に、速やかかつほぼ完全な血清中AP活性の抑制が示された。平均投与前活性は、空腹対象における240mgの投与後1.5時間から16時間まで、摂取対象における120mgの投与後2時間から6時間まで、10%以下に低下した。
【0204】
第1相MAD試験における4つの複数回用量コホートの結果において、化合物1は、化合物1の投与後に、AP溶血活性の速やかかつ用量依存的な阻害を示した。40mg BID(群1)及び80mg BID(群2)の化合物1は、部分的からほぼ完全なAP阻害を達成したが、それぞれの12時間の投与期間の終了前までに実質的に回復した。120mg BID(群3)及び200mg BID(群4)の化合物1は、12時間の投与期間のほとんどにわたり維持される本質的に完全なAP阻害を達成し、AP活性は、7日目及び14日目(定常状態PK条件を表す)において、12時間の投与期間のうちの10時間~12時間にわたり10%未満に維持された。本試験用に導いた2つの算出PDパラメータ、DURATION0-12及び%AUEC0-12は更に、120mg BID及び200mg BIDの化合物1による実質的かつ持続的なAP阻害を示している。
【0205】
複数回用量コホートにわたる、血漿中化合物1濃度(PK)と血清AP溶血阻害(PD)の間のPK-PD相関を評価した。単純Emaxモデルを用いた解析により19.1ng/mLのEC50値がもたらされた。シグモイドモデルを用いた更なる解析により、それぞれ24.6ng/mL及び88.1ng/mLのEC50値及びEC90値がもたらされた。同等の結果が、ex vivo AP Wieslab結果(Emaxモデルを用いて14.3ng/mLのEC50値をもたらし、シグモイドモデルを用いてそれぞれ19.2ng/mL及び66.9ng/mLのEC50値及びEC90値をもたらした)の並行解析において得られた。
【0206】
本発明の実施形態を参照しながら本明細書について記載してきた。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載する本発明の範囲を逸脱することなく様々な修正及び変更が実施可能であることを当業者は理解する。それゆえ、本明細書は、限定的な意味ではなく例示とみなされるべきであり、全てのこのような修正は本発明の範囲内に含まれることを意図している。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
約65ng/mL~95ng/mLのヒト血漿中における2つの異なる日内C trough レベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
(項目2)
約90ng/mL±10%のヒト血漿中における2つの異なる日内C trough レベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
(項目3)
約65ng/mL~95ng/mLのヒト血漿中におけるC trough レベルをもたらす、補体D副経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
(項目4)
約90ng/mL±10%のヒト血漿中におけるC trough レベルをもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
(項目5)
少なくとも65ng/mLのヒト血漿中における2つの異なる日内C trough レベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
(項目6)
少なくとも65ng/mLのヒトにおけるヒト血漿中C trough をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口剤形。
(項目7)
約100ng/mL±10%のヒト血漿中における2つの異なる日内C trough レベルのうちのより低い方をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含むBID経口剤形。
(項目8)
少なくとも100ng/mL±10%のヒト血漿中におけるC trough をもたらす、補体D経路活性を低下させるための有効量の(1R,3S,5R)-2-(2-(3-アセチル-5-(2-メチルピリミジン-5-イル)-1H-インダゾール-1-イル)アセチル)-N-(6-ブロモ-3-メチルピリジン-2-イル)-5-メチル-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボキサミド(化合物1)またはその薬学的に許容される塩を含む経口用量レジメン。
(項目9)
前記剤形は約100mg~200mgを含む、項目1から項目8のいずれか1項に記載の経口用量レジメン。
(項目10)
約120mgを含む、項目9に記載の経口用量。
(項目11)
約200mgを含む、項目9に記載の経口用量。
(項目12)
ヒト血漿中における前記C trough レベルは、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する患者において測定される、項目1から項目11に記載の経口剤形。
(項目13)
ヒト血漿中における前記C trough レベルは、脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、または肝不全などから選択される疾患を有する患者において測定される、項目1から項目11に記載の経口剤形。
(項目14)
ヒト血漿中における前記C trough レベルは、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、成分3糸球体症(C3G)疾患、C3糸球体腎炎(C3GN)、デンスデポジット病(DDD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、及び免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)から選択される疾患を有する患者において測定される、項目1から項目11に記載の経口剤形。
(項目15)
ヒト血漿中における前記C trough レベルは、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、及び糸球体症から選択される疾患を有する患者において測定される、項目1から項目11に記載の経口剤形。
(項目16)
ヒト血漿中における前記C trough レベルは、加齢関連黄斑変性症(AMD)、網膜変性、眼疾患、地図状萎縮、早期または血管新生の加齢関連黄斑変性症、自己免疫性ドライアイ疾患、及び環境性ドライアイ疾患から選択される疾患を有する患者において測定される、項目1から項目11に記載の経口剤形。
(項目17)
有効量の項目1から項目11に記載の経口剤形を投与することを含む、補体D関連疾患を有する患者を治療するための方法。
(項目18)
前記患者は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)を有する、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記患者は、脂肪肝、例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝炎、肝硬変、または肝不全などから選択される疾患を有する、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記患者は、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、成分3糸球体症(C3G)疾患、C3糸球体腎炎(C3GN)、デンスデポジット病(DDD)、膜性増殖性糸球体腎炎(MPGN)、及び免疫複合体型膜性増殖性糸球体腎炎(IC-MPGN)から選択される疾患を有する、項目17に記載の方法。
(項目21)
前記患者は、筋萎縮性側索硬化症、関節リウマチ、補体副経路(AP)関連腎症、及び糸球体症から選択される疾患を有する、項目17に記載の方法。
(項目22)
前記患者は、加齢関連黄斑変性症(AMD)、網膜変性、眼疾患、地図状萎縮、早期または血管新生の加齢関連黄斑変性症、自己免疫性ドライアイ疾患、及び環境性ドライアイ疾患から選択される疾患を有する、項目17に記載の方法。
(項目23)
前記剤形は1ヶ月間以上にわたり投与される、項目17から項目22に記載の方法。
(項目24)
前記剤形は少なくとも6ヶ月間にわたり投与される、項目17から項目22のいずれか1項に記載の方法。
(項目25)
約2000ng/mL未満のC max をもたらす、項目1から項目11のいずれか1項に記載の経口剤形。
(項目26)
約1000ng/mL未満のC max をもたらす、項目1から項目11のいずれか1項に記載の経口剤形。
(項目27)
補体D関連疾患を有する患者を治療するのに使用する、項目1から項目11のいずれか1項に記載の経口剤形。
(項目28)
項目1から項目11のいずれか1項に記載の経口剤形を調製することを含む、補体D関連疾患を有する患者を治療するための医薬品を製造するための方法。
(項目29)
項目18から項目22に記載の疾患のいずれかを治療するのに使用する、項目28に記載の経口剤形。
(項目30)
項目18から項目22に記載の疾患のいずれかを治療するための、項目29に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B