(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】カスタム歯科用膜
(51)【国際特許分類】
A61C 8/00 20060101AFI20240412BHJP
A61F 2/28 20060101ALI20240412BHJP
A61C 13/34 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A61C8/00 Z
A61F2/28
A61C13/34 Z
(21)【出願番号】P 2021559040
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(86)【国際出願番号】 US2020024812
(87)【国際公開番号】W WO2020205388
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-20
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517264281
【氏名又は名称】デンツプライ シロナ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョー,ジャーメイ,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ディピエトロ,ジェニファー
【審査官】細川 翔多
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0215718(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0310364(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0303616(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0076251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61F 2/28
A61C 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予備形成歯科用膜を作製する方法であって、
手術部位の仮想の表現を含む増強される骨の領域の仮想の3D画像を
スキャナが得る工程と、
前記手術部位に仮想の骨移植代替品を
コンピュータシステムがデジタルで充填する工程と、
前記仮想の骨移植代替品および前記増強される骨の領域の前記得られた仮想の3D画像に基づいて、前記充填した骨移植代替品の上に配置されるように
、前記コンピュータシステムが仮想の予備形成歯科用膜を設計する工程と、
前記仮想の予備形成歯科用膜から予備形成歯科用膜を作製する工程と、
を含
み、
前記作製する工程は、前記増強される骨部位の3D構造を印刷すること、予め切断された含水膜を3D構造の上に重ね合わせること、およびその形成された3次元形状を保持するように予め切断された含水膜を脱水することを含む方法。
【請求項2】
前記増強される骨の領域の前記仮想の3D画像は、CBCT、MRIおよび/または口腔内スキャンから得る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルで充填する工程は、骨の品質、移植領域、移植量、軟組織形状、提案されている歯科インプラントのサイズおよび前記提案されている歯科インプラントの位置からなる群から選択される1つ以上の特性に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コンピュータシステムが、前記仮想の予備形成歯科用膜を実質的に平らな仮想のシートに平坦化する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記増強される骨の領域の前記仮想の3D画像は以前のスキャン動作から得られたものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記作製する工程は、前記予備形成歯科用膜をカスタマイズされた骨移植材料の上に直接印刷して、前記予備形成歯科用膜および前記カスタマイズされた骨移植材料を含む構成要素を形成することを含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際出願は、2019年4月4日に出願された米国特許出願第16/374,962号の利益を主張し、これは全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、一般に予備形成歯科用膜に関し、より具体的にはカスタム歯科用膜と、3次元(3D)患者データを用いてカスタム歯科用膜を作製するための方法およびシステムとに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの天然歯は咀嚼中などに圧縮力が加えられた際にクッションとして機能する歯根膜線維によって顎骨内で支持することができる。虫歯、不慮の外傷、解剖学的異常および加齢などにより、患者の天然歯は抜かれたり失われたりすることがある。そのため、歯科インプラント装置を患者の骨構造に埋め込んで患者の容貌および/または歯の機能を改善させる場合がある。
【0004】
歯が抜かれたり失われたりした場合に、それらを取り囲むために使用されている骨が再吸収し始める場合がある。さらに、十分な歯および歯を支持する骨を失うことは、顔の造作をたるませ、その結果より老けた見た目となる場合がある。骨移植技術は失われた骨を再構築することができ、従って患者の顎骨を強くし、かつより有効な歯の置換を可能にすることにより患者の健康および/または見た目にとって有利となる。
【0005】
骨移植処置の間に、患者の歯肉を切開してその下にある骨へのアクセスを得ることができ、次いで移植材料/骨移植代替品(BGS)を追加することができる。移植材料は加工された骨鉱物であってもよく、体はその周りに新しい骨細胞を蓄積させることができる。
【0006】
現在では歯科専門家は、粒子またはブロックの形態で入手可能であり得る骨移植代替品(BGS)で患者の上顎および下顎堤を増強させることができ、臨床医はこの材料をさらなる骨成長が必要とされる領域に充填することができる。その後に、この材料を軟組織からの障壁として機能させるための多孔性膜構造で覆ってもよい。この障壁は、軟組織が骨移植材料の中に成長しないように硬組織と軟組織とが分離されたままであることを保証するために、骨移植片と共に必要とされる場合がある。
【0007】
現在の膜は正方形または長方形のシート型で市販されている。それらは1×1cmほどの小さいサイズ、または3×4cmほどの大きいサイズ、あるいはそれらのあらゆる代替物で届けられることがある。
【0008】
膜の使用中に、臨床医は最初に移植処置のために必要なサイズを決定し、次いでその膜を患者の手術部位に最も適合するサイズに切断することがある。このサイズを決定する変数としては、移植部位のサイズ、使用される膜材料の量、歯の解剖学的構造の曲率、軟組織内への切開方向もしくは経路、および/または移植位置の具体的な領域が挙げられる。次いで過剰な膜は使用後に廃棄してもよい。
【0009】
しかし、これらの処置は膜が標準形状で届いた際に時間がかかる場合があり、臨床医は各膜を患者を治療するために必要なサイズおよび形状に切断しなければならない。
【0010】
米国特許第9433707B2号は、骨成長の刺激のために所望の位置において骨移植材料を封じ込めるための生体適合性かつ非再吸収性の多孔性封じ込め構造体を開示している。この多孔性封じ込め構造体は、血管結合組織が周囲組織と結合し、かつ血管組織がその構造体を通って骨移植材料の中まで伝導するのを可能にするような大きさの相互連結した孔を有していてもよい。これは、所望の位置への配置のために、相互連結した孔からなる多孔性マトリックスを含む生体適合性かつ非再吸収性の多孔性材料を曲げて成形された多孔性材料にし、骨移植材料を成形された多孔性材料の内部領域内に配置し、第2の成形されたエッジにおいてその上部を側部に対して曲げることによりその上部を閉鎖位置に配置して配置された骨移植材料を覆い、骨移植材料を含有する成形された多孔性材料を所望の位置に隣接する構造体に安定的に固定し、かつ骨が所望の位置で成長するのを可能にすることによる、所望の位置における骨の成長を促進する方法も開示している。
【0011】
米国特許第10105198B2号は、歯槽骨の再生のための空間を形成するか骨移植片を取り囲むための歯槽骨の欠損領域に配置される歯科用膜を示し、ここでは歯科用膜は、歯槽骨に挿入および固定される挿入物と挿入物に結合されるカバー部材とによって固定され、歯科用膜は、歯槽骨の欠損領域の上面を取り囲む上部と、上部から下方に曲げられて歯槽骨の欠損領域の側面を取り囲む側面屈曲部とを含み、上部は挿入物に結合される結合部と、固定されるカバー部材と、結合部から上方に延在および突出している突出部とを含む。
【0012】
米国特許第6616698B2号は、骨移植片と一体化されている軟組織の内殖に対して不透過性の少なくとも1つの領域を含む移植可能な生体適合性の骨原性骨移植片を開示している。
【0013】
米国特許第7531004B2号は、生体適合性メッシュを少なくとも部分的に取り囲むことができる骨伝導性フォームを有する柔軟な骨修復剤を開示しており、このフォームは生体適合性の再吸収性ポリマーおよびリン酸カルシウムを含む。
【発明の概要】
【0014】
上記に関連する既存の限界ならびに他の限界は、予備形成歯科用膜およびこの予備形成歯科用膜を作製するための方法およびシステムによって克服することができる。
【0015】
本発明の一態様によれば、不十分な骨の品質または量を有する患者において骨を骨移植代替品で増強するための方法であって、手術部位の仮想の表現を含む増強される骨の領域の仮想の3D画像を得る工程と、手術部位に仮想の骨移植代替品をデジタルで充填する工程と、仮想の骨移植代替品および増強される骨の領域の得られた仮想の3D画像に基づいて、充填した骨移植代替品の上に配置されるように仮想の予備形成歯科用膜を設計する工程と、仮想の予備形成歯科用膜から予備形成歯科用膜を作製する工程とを含む方法を提供することができる。
【0016】
本発明の別の態様によれば、(i)増強される骨の領域の仮想の3D画像はCBCT、MRIおよび/または口腔内スキャンから得る、(ii)デジタルで充填する工程は骨の品質、移植領域、移植量、軟組織形状、神経の位置、隣接する歯または他の重要な歯の解剖学的構造および提案されている歯科インプラントの位置からなる群から選択される1つ以上の特性に基づいている、(iii)仮想の予備形成歯科用膜を実質的に平らな仮想のシートに平坦化する工程をさらに含む、(iv)手術部位に骨移植代替品を物理的に充填する工程をさらに含む、(v)作製した予備形成膜を充填した骨移植代替品の上に配置した際に、その形状が前記仮想の予備形成歯科用膜の形状に(実質的に)一致するように、前記作製した予備形成膜を充填した骨移植代替品の上に配置する工程をさらに含む、(vi)増強される骨の領域の仮想の3D画像は以前のスキャン動作から得られたものである、という特徴の1つ以上の組み合わせを含む方法を提供することができる。
【0017】
添付の図面を参照しながら、本明細書中の様々な実施形態のさらなる特徴および利点ならびに構造および動作について以下に詳細に説明する。
【0018】
例示的な実施形態は、本明細書において以下に提供されている発明を実施するための形態および添付の図面からより十分に理解されるようになるであろう。図面の中では同様の要素は同様の参照符号によって表されており、それらは単に例示として与えられており、従って本明細書中の例示的な実施形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】インプラントの配置のために不十分な骨を有する顎のレンダリングの側面図を示す。
【
図2a】歯科インプラントを支持するために必要な量の移植片材料を有する顎のレンダリングの側面図を示す。
【
図3】本発明の例示的な実施形態に係るプロセスを示す。
【
図4】
図2aの移植片形状から平坦化された予備形成歯科用膜を創出する段階の斜視図を示す。
【
図6】本発明の一実施形態に係るコンピュータシステムを示す。
【0020】
いくつかの図の中の異なる図は、同じ構成要素を特定するために同じであってもよい少なくともいくつかの符号を有する場合があるが、そのような各構成要素の詳細な説明は各図に関して以下で提供されていない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
カスタム歯科用膜およびカスタム歯科用膜を作製するための方法
本明細書に記載されている例示的態様によれば、カスタム/予備形成歯科用膜および手術部位の形状に一致するカスタム/予備形成歯科用膜を作製するための方法を実施することができる。
【0022】
図1は、手術部位4に不十分な骨を有する患者の顎2を示す。患者の顎2における不十分な骨は歯周病、歯の喪失、骨吸収、遺伝による薄い上および下顎弓などの因子によるものであってもよい。手術部位4の形状、歯の解剖学的構造の仮想の3次元表現(
図2aに示されている顎3のレンダリングなど)または増強される骨の一部または領域の仮想の3次元画像から決定することにより、軟組織が骨移植材料の中に成長しないように硬組織を軟組織から分離するための仮想の予備形成膜6を作製して、手術部位4に配置された仮想の骨移植代替品/材料18を覆ってもよい。
図2bは、骨20の薄い部分のそばに充填された仮想の骨移植代替品18を示す顎3のレンダリングの平面SS’に沿った断面を示す。本発明の一実施形態では、顎3のレンダリングはコーンビームまたはMRIを用いてスキャンデータを得ることによって得てもよく、スキャンデータはdicom、stlまたはいくつかの他の形式などのデジタルファイル形式で画面に提示してもよい。仮想の予備形成歯科用膜6は、本明細書の下で考察されているような治療処置に使用するために作製してもよい。
【0023】
好ましい実施形態では、意図されている移植位置/手術部位4または歯の空洞の3次元画像を得てもよい。これは多くの方法により達成することができ、そのうちのいくつかは後でさらに詳細に考察されている場合がある。限定されるものではないが、コーンビームイメージング装置、CAT-SCAN装置またはそれらのいくつかの組み合わせを用いて、異なる向きで複数の2次元(2D)X線画像を得、かつ計算手法を用いてこれらを3次元画像に変換するなどの3D画像構築技術を使用してもよい。次いで、歯の空洞または手術部位の3D画像を予備形成歯科用膜を作製するための基礎として使用してもよい。
【0024】
物理的な予備形成歯科用膜は、増強される部位の印刷されたモデルの上に成形または形成してもよい。本明細書では物理的な予備形成歯科用膜は、ネガ型を印刷するために3Dプリンタを用いて作製してもよく、次いでこの型を使用してカスタム骨移植片を作製してもよい。別の実施形態では、当該膜をその形状の中に直接印刷してもよく、あるいは印刷された骨移植片基材の上に直接印刷してもよい。
【0025】
図3は、物理的な予備形成歯科用膜を作製するプロセス1を示す。プロセス1は、工程S100において患者の歯の空洞のスキャンを得ることにより開始してもよい。スキャンはコーンビームコンピュータ断層撮影(CBCT)スキャン、磁気共鳴画像法(MRI)スキャンおよび/または口腔内スキャンであってもよく、前記スキャンは手術部位4の表面形状を含んでいてもよい。本明細書ではこのスキャンは、臨床医によって行われるスキャン工程から得てもよい。あるいは、臨床医は以前のスキャン動作からスキャンデータを得てもよい。CBCTスキャンを使用する場合、正確な骨の品質、移植領域および必要とされる移植量を明らかにすることができる。
【0026】
スキャンを得た後に、このスキャンデータに基づいて患者の顎3のレンダリングを得てもよく、顎3(仮想の顎)の前記レンダリングから、工程S102に示されているように、手術部位7の仮想の表現である増強される骨の領域を決定してもよい。工程S104では、手術部位7の仮想の表現に仮想の骨移植材料18をデジタルで充填してもよい。前記デジタル充填は、骨の品質、移植領域および移植量、軟組織形状ならびに提案されている歯科インプラントの位置を含む1つ以上の特性に基づいていてもよい。デジタルの充填は、必要とされる移植片材料の体積を示してもよい。移植片形状の主な目的は、歯科インプラントを支持するのに十分な骨の量を構築することであってもよい。歯科インプラントのサイズはインプラントの位置に基づいていてもよい。より小さい(3.0~4.0mm)インプラントは通常前方に配置され、より大きい(4.0+mm)インプラントは通常後方に配置される。理想的には移植部位は、インプラント直径の周りに数mmの骨を有して骨結合を完全に支持できるものであればよい。さらに移植部位は、歯隆線の高さおよび幅に関して隣接する歯の解剖学的構造に一致すればよい。
【0027】
その後に、工程S106において仮想の予備形成膜6の3次元形状8を定めることにより、仮想の骨移植代替品18の上に配置される仮想の予備形成膜6を得てもよい。移植部位の表面形状を得て分離して、移植部位の仮想の表面形状を創出してもよい。次いでこれを使用してカスタム膜を創出してもよい。これは手動または自動プロセスのどちらであってもよい。一実施形態では、ユーザまたは臨床医は、移植部位の正確な形状および所望の被覆度を精密にマッピングまたはマーキングすることができる。3D形状8を定めた後に、得られた仮想の予備形成歯科用膜6を、
図4の段階2に示されているようにメッシュ生成または同様のアルゴリズムによる平坦化プロセスに供して(工程S108)、予備形成膜12の(実質的に)平らな仮想のシート/仮想のデジタル表現(平坦化された予備形成歯科用膜6の2D輪郭を示す)を形成してもよい。平坦化プロセスは、3D形状を模倣して平らな2D形状にすることができるCADソフトウェアを用いることにより達成することができる。
【0028】
仮想の予備形成歯科用膜6を平坦化したら、臨床医による歯の治療の前のいずれかの時点でそれを製作(工程S110)および成形してもよい。この形状の製作は、増強される骨部位の3D印刷された構造体を創出し、次いで予め切断された含水膜をこの形態の上に重ね合わせることにより達成してもよい。次いでこの膜を脱水して、その形成された3次元形状を保持してもよい。当然ながら、当該膜の3D印刷または他の成形もしくは形成技術の使用を含む他の方法を実施してもよい。歯の治療中に臨床医は、増強部位を切り開いてその位置に十分な移植材料を充填し、次いで当該膜を骨移植代替品と軟組織との間の障壁として機能させるためにその上に配置してもよい。次いで手術部位を縫合して、そのまま治癒させてもよい。
【0029】
好ましくは、製作された予備形成膜は、コラーゲン、非再吸収性ポリマー、再吸収性ポリマー、合成の再吸収性材料および/または天然の再吸収性材料から作られていてもよい。
【0030】
歯の治療中に、物理的手術部位4に実際の骨移植材料/骨移植代替品を充填してもよく(工程S112)、かつ成形された予備形成歯科用膜で覆ってもよい(工程S114)。次いで手術部位4を縫合支援してもよい(工程S116)。
【0031】
図5は本発明の他の実施形態を示す。本明細書では、仮想の予備形成膜6は有機的形体に構成されていてもよく、これは、個々に(例えば単回使用装置のためにそれ自体の別個の無菌包装の中に)包装されていてもよく、あるいはより大きい膜シート14に予め切断されていてもよい。これらの形状は、任意の1人の患者に固有のものでなくてもよいが、臨床医によって最もよく使用される標準的な膜形状の代表であればよい。臨床医は、外科手術中に膜形状を手で修正することを必要とするのではなく最良の適合を有することにより、この種の製品から恩恵を受けることができる。これにより骨移植プロセス中に時間を節約し、かつ優れた製品を提供することができる。本実施形態では、患者デジタルスキャンを必要としなくてもよい。
【0032】
カスタム歯科用膜を作製するためのコンピュータシステム
カスタム歯科用膜を作製するプロセス1について説明してきたが、次に本明細書中の例示的な実施形態の少なくともいくつかに従って用いることができるコンピュータシステム100のブロック図を示す
図6を参照する。様々な実施形態についてこの例示的なコンピュータシステム100の観点から本明細書において説明している場合があるが、この説明を読んだ後に、他のコンピュータシステムおよび/またはアーキテクチャを用いて本開示を実装する方法が当業者には明らかになるであろう。
【0033】
コンピュータシステム100は、歯の空洞の3D画像を得るためのCBCT、MRIおよび/または口腔内スキャナなどのスキャナを備えていてもよい。本コンピュータシステムは少なくとも1つのコンピュータプロセッサ122も備えていてもよい。本コンピュータシステムは3D画像を受信するように構成されていてもよく、プロセッサ122は、コンピュータシステム100のディスプレイ128上に表示することができる顎3のレンダリングを創出するために、前記3D画像を分析するように構成されていてもよい。本明細書中の一実施形態では、コンピュータシステム100は、完成した予備形成膜6を創出するためにキーボード、マウスまたはタッチスクリーンモニターなどの入力装置130を介して臨床医から入力を受け取ってもよい。この入力としては、特に手術部位の境界の選択、骨構造の輪郭、インプラントのサイズ、インプラントの位置、隣接する歯の解剖学的構造、重要な神経、既存の骨、骨の品質などが挙げられる。別の実施形態では、プロセッサ122は、骨の輪郭、インプラントのサイズ、インプラントの位置、隣接する歯の解剖学的構造、重要な神経、既存の骨、骨の品質などの分析に基づいて手術部位を自動的に選択するように構成されていてもよい。プロセッサ122は通信インフラ124(例えば、通信バス、クロスオーバーバー装置またはネットワーク)に接続されていてもよい。
【0034】
ディスプレイインタフェース(または他の出力インタフェース)126は、ディスプレイ装置128上への表示のためにビデオグラフィックス、テキストおよび通信インフラ124(またはフレームバッファー(図示せず))からの他のデータを転送してもよい。
【0035】
図3のプロセス1に示されている予備形成膜を創出する1つ以上の工程は、コンピュータ可読プログラム命令の形態で非一時的記憶装置に記憶されていてもよい。手順を実行するために、プロセッサ122は記憶装置に記憶されている適当な命令をメモリにロードし、次いでロードした命令を実行する。
【0036】
コンピュータシステム100は、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)であってもよいメインメモリ132も備えていてもよく、かつ補助メモリ134も備えていてもよい。補助メモリ134は、例えばハードディスクドライブ136および/または取り外し可能な記憶ドライブ138(例えば、フロッピーディスクドライブ、磁気テープドライブ、光ディスクドライブおよびフラッシュメモリドライブなど)を含んでいてもよい。取り外し可能な記憶ドライブ138は周知の方法で取り外し可能な記憶装置140から/に読み出しおよび/または書き込みしてもよい。取り外し可能な記憶装置140は、取り外し可能な記憶ドライブ138によって書き込みおよび読み出しすることができる例えばフロッピーディスク、磁気テープ、光ディスクおよびフラッシュメモリ装置などであってもよい。取り外し可能な記憶装置140としては、コンピュータ実行可能ソフトウェア命令および/またはデータを記憶している非一時的コンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。
【0037】
さらなる他の実施形態では、補助メモリ134は、コンピュータ実行可能プログラムまたはコンピュータシステム100にロードされる他の命令を記憶している他のコンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。そのような装置は、取り外し可能な記憶装置144およびインタフェース142(例えば、プログラムカートリッジおよびカートリッジインタフェース)、取り外し可能なメモリチップおよび関連するメモリソケット、ならびにソフトウェアおよびデータを取り外し可能な記憶装置144からコンピュータシステム100の他の部分に転送することができる他の取り外し可能な記憶装置144およびインタフェース142を含んでもよい。
【0038】
コンピュータシステム100はソフトウェアおよびデータをコンピュータシステム100と外部装置との間で転送するのを可能にする通信インタフェース146も備えていてもよい。通信インタフェース146を介して転送されるソフトウェアおよびデータは信号の形態であってもよく、その信号は通信インタフェース146によって送信および/または受信することができるものであればよい電子信号、電磁信号、光信号または別の種類の信号であってもよい。信号は通信路148(例えばチャネル)を介して通信インタフェース146に提供してもよい。通信路148は信号を運ぶことができ、ワイヤまたはケーブル、ファイバーオプティクス、電話線、セルラーリンクまたは無線周波数(「RF」)リンクなどを用いて実装されていてもよい。通信インタフェース146は、ソフトウェアまたはデータあるいは他の情報をコンピュータシステム100とリモートサーバまたはクラウドベースの記憶装置(図示せず)との間で転送するために使用してもよい。
【0039】
1つ以上のコンピュータプログラムまたはコンピュータ制御ロジックはメインメモリ132および/または補助メモリ134に記憶されていてもよい。またコンピュータプログラムは通信インタフェース146を介して受信されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータプロセッサ122によって実行された場合に、コンピュータシステム100に本明細書に記載されている方法を実行させるコンピュータ実行可能命令を含んでいてもよい。それに応じて、コンピュータプログラムはコンピュータシステム100を制御してもよい。
【0040】
別の実施形態では、ソフトウェアは非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶されており、かつ取り外し可能な記憶ドライブ138、ハードディスクドライブ136および/または通信インタフェース146を用いてコンピュータシステム100のメインメモリ132および/または補助メモリ134にロードされてもよい。制御ロジック(ソフトウェア)はプロセッサ122によって実行された場合に、コンピュータシステム100に本明細書に記載されている方法の全てまたはいくつかを実行させてもよい。
【0041】
特に定義されていない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解される同じ意味を有する。本開示の実践または試験において本明細書に記載されているものと同様もしくは同等である方法および材料を使用してもよいが、好適な方法および材料は上に記載されている。本明細書において言及されている全ての文献、特許出願、特許および他の参考文献は、適用法および規制によって可能な程度までそれら全体が参照により組み込まれる。本開示はその趣旨または必須の属性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化してもよく、従って本実施形態はあらゆる点において例示的なものであり限定的なものではないものとみなすことが望ましい。本明細書の中で利用されているあらゆる見出しは単に便宜上のものであり、法的もしくは限定的効果は有していない。