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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】直列接続電池セルのための監視システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240412BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20240412BHJP
   G01R 31/382 20190101ALI20240412BHJP
   G01R 31/385 20190101ALI20240412BHJP
   G01R 31/3828 20190101ALI20240412BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H02J7/00 X
H02J7/00 P
H02J7/02 H
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/3828
H01M10/48 301
H01M10/48 P
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022045737
(22)【出願日】2022-03-22
(62)【分割の表示】P 2019536291の分割
【原出願日】2017-08-04
(65)【公開番号】P2022089830
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】62/456,371
(32)【優先日】2017-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237030
【氏名又は名称】ライテック・ラボラトリーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ・ピー・ノバク
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・エル・マイヤーズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクセイ・ティコンスキー
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-183829(JP,A)
【文献】特開2000-092733(JP,A)
【文献】特開2007-240523(JP,A)
【文献】特開2010-213445(JP,A)
【文献】特開2016-121931(JP,A)
【文献】特開平10-255857(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0380966(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0260943(US,A1)
【文献】米国特許第04390841(US,A)
【文献】米国特許第06275042(US,B1)
【文献】欧州特許出願公開第02216872(EP,A1)
【文献】中国特許出願公開第101022180(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105277893(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
G01R 31/382
G01R 31/385
G01R 31/3828
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多セル電池アセンブリにおける複数の電池セルを監視するために構成されるシステムであって、
前記複数の電池セルの各々から電圧信号を受け取るように構成されるアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドから出力に基づいてデジタル信号を作成するように構成されるコントローラと、
前記デジタル信号をアナログ電圧信号に変換するように構成される回路構成と、
前記アナログ電圧信号を受け取り、処理するように構成される残量計とを備え
前記残量計は、第1の単一アナログ入力を有する単一セル残量計である、複数の電池セルを監視するために構成されるシステム。
【請求項2】
前記第1の単一アナログ入力は、電池セル端子電圧を測定するための入力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記単一セル残量計は、電池セル温度を測定するための第2の単一アナログ入力、ならびに電池セル充電および放電電流を測定するための第3および第4の単一アナログ入力を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラの前記デジタル信号を前記アナログ電圧信号に変換するように構成される前記回路構成は、デジタル的にプログラム可能な電圧源(「DPVS」)を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記デジタル的にプログラム可能な電圧源は、デジタル/アナログ変換器を備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記電池アセンブリに近接するように構成されるサーミスタをさらに備え、前記サーミスタの出力は、前記コントローラへの入力に結合されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記電池アセンブリに結合されるように構成される電流センサをさらに備え、前記電流センサの出力は、前記残量計のアナログ入力に結合されるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記アナログフロントエンドは、前記電池アセンブリにおける4つよりも多い電池セルから電圧信号を受け取るように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラおよび前記回路構成は、電池セル温度を表す単一電圧信号を前記残量計に出力するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラとデジタル的に通信するように構成されるホストシステムをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラのデジタル入力に結合される前記残量計のデジタル信号出力をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
多セル電池アセンブリにおける複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの各々から電圧信号を受け取り、前記複数の電池セルの各々からの前記受け取った電圧信号の関数として第1のデータ信号を作成するように構成されるアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドから前記第1のデータ信号に基づいて第2のデータ信号を作成するように構成されるコントローラと、
前記第2のデータ信号を、電池セル電圧パラメータを表す第1のアナログ電圧信号に変換するように構成される第1のデジタル的にプログラム可能な電圧源(「DPVS」)と、
前記第1のアナログ電圧信号を受け取り、処理するように構成される残量計とを備え
前記残量計は、第1の単一アナログ入力を有する単一セル残量計である電池システム。
【請求項13】
前記第1の単一アナログ入力は、電池セル端子電圧を測定するための入力である、請求項12に記載の電池システム。
【請求項14】
前記残量計は、電池セル充電および放電電流を測定するように構成される一対のアナログ入力を含む、請求項12に記載の電池システム。
【請求項15】
前記多セル電池アセンブリと電池セル充電および放電電流を測定するように構成される前記残量計の前記一対のアナログ入力との間に結合される電流センサをさらに備える、請求項14に記載の電池システム。
【請求項16】
前記電池アセンブリに近接するように構成されるサーミスタをさらに備え、前記サーミスタの出力は、前記コントローラへの入力に結合されるように構成され、前記コントローラはさらに、前記サーミスタの前記出力を受け取り、前記サーミスタの前記出力について行われる予めプログラムされたアルゴリズムの機能として第3のデータ信号を作成するように構成される、請求項12に記載の電池システム。
【請求項17】
前記第3のデータ信号を前記サーミスタの前記出力に関連する温度パラメータを表す第2のアナログ電圧信号に変換するように構成される第2のデジタル的にプログラム可能な電圧源をさらに備え、前記残量計は、電池セル温度を測定するための単一アナログ入力を有し、電池セル温度を測定するための前記単一アナログ入力は、前記第2のアナログ電圧信号を前記第2のデジタル的にプログラム可能な電圧源から受け取るように構成される、請求項16に記載の電池システム。
【請求項18】
前記残量計は、前記第1および第2のアナログ電圧信号の処理の機能として生成される出力データ信号を前記コントローラに伝送するように構成される、請求項17に記載の電池システム。
【請求項19】
多セル電池アセンブリにおける複数の電池セルと、
前記複数の電池セルの各々から電圧信号を受け取り、前記複数の電池セルの各々からの前記受け取った電圧信号の関数として第1のデータ信号を作成するように構成されるアナログフロントエンドと、
記アナログフロントエンドからの前記第1のデータ信号に基づいて第2のデータ信号を作成するように構成されるコントローラと、
前記電池アセンブリに近接するように構成されるサーミスタであって、前記サーミスタの出力は、前記コントローラへの入力に結合されるように構成され、前記コントローラはさらに、前記サーミスタの前記出力を受け取り、前記サーミスタの前記出力について行われる予めプログラムされたアルゴリズムの機能として第3のデータ信号を作成するように構成される、サーミスタと、
前記第2のデータ信号を、電池セル電圧パラメータを表す第1のアナログ電圧信号に変換するように構成される第1のデジタル的にプログラム可能な電圧源(「DPVS」)と、
前記第3のデータ信号を前記サーミスタの前記出力に関連する温度パラメータを表す第2のアナログ電圧信号に変換するように構成される第2のデジタル的にプログラム可能な電圧源と、
デジタル通信リンクによって前記コントローラに結合される電力管理ユニットまたはホストシステムと、
前記第1および第2のアナログ電圧信号を受け取り、処理するように構成される残量計であって、前記残量計は、電池セル端子電圧を測定するための単一アナログ入力を有する単一セル残量計であり、電池セル端子電圧を測定するための前記単一アナログ入力は、前記第1のアナログ電圧信号を前記第1のデジタル的にプログラム可能な電圧源から受け取るように構成され、前記単一セル残量計は、電池セル温度を測定するための単一アナログ入力を有し、電池セル温度を測定するための前記単一アナログ入力は、前記第2のアナログ電圧信号を前記第2のデジタル的にプログラム可能な電圧源から受け取るように構成され、前記残量計は、前記コントローラが次いで前記デジタル通信リンクを介して前記電力管理ユニットまたはホストシステムに転送するように構成される出力データ信号を前記コントローラに伝送するように構成される、残量計とを備える装置。
【請求項20】
前記多セル電池アセンブリは、電気自動車に電力を供給するように構成される、請求項19に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれている、米国仮特許出願第62/456,371号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、一般に電池技術に関し、詳しくは、電池セルを監視するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
最新の電子機器は、より多様にかつますます持ち運び易くなっており、電池および電池管理システムの性能の改善に対する要求を活発にしている。能力および性能の向上とともに、電力需要もまた、増加している。スマートバッテリシステム(「SBS」)仕様は、性能を最適化し、電池寿命を延ばし、業界標準統一性(industry standard uniformity)を電池システム内の監視されるパラメータに提供するために作られた。集積回路(「IC」)は、電池がSBS仕様に従って動作することを可能にするために内部ソフトウェアルーチンを用いて作られ、プログラムされている。電池システムにおける使用のために開発されているICのタイプの例は、アナログフロントエンド(「AFE」)測定システムを含み、それらは通常、充電状態(「SOC」)および電池に蓄えられた残りのエネルギーの量を正確に推定することを目的とするあるタイプの残量計ICと組み合わされる。場合によっては、これらの2つの機能性コンポーネントは、1つのパッケージに組み合わされる。
【0004】
高セル総数の電池パック、特に電池パックの端子電圧を増加させるために電池セルを直列に構成するそれら、および放電率が容量の5倍(5C)を超える高放電率電池セルは、電池の健康を適切に評価し、同様に性能を最適化するための残量計測精度および意思決定に関連する新たな課題を提示する。
【0005】
電池残量計測のための一般的な集積回路ベースの業界標準アルゴリズムは、Texas Instrumentsによるインピーダンストラック(「IT」)ならびにMaxim Integratedから入手可能なModelGauge m3およびm5アルゴリズムを含む。これらのアルゴリズムは、SOCおよび残りの充電を推定するために瞬時温度、電圧、および電流の入力を利用する。充電および放電事象中にそれぞれ電池に入った電荷量および電池から出た電荷量を積分し、蓄積された通過電荷のこの測定結果を高精度セル電圧および温度測定結果と組み合わせることによって、デバイスは、電池の瞬時充電状態および残りの電池容量の信頼できかつ正確な推定を導き出すことができる。
【0006】
現在販売されている残量計ICの圧倒的多数は、携帯電話、MP3プレーヤ、およびいくつかのタブレットコンピュータなどの、単一電池セル応用を目的としている。これらの「単一セル」残量計ICは、この目的に適した、市場で入手可能な最も低コストのパーツである。これらは普通、1Sゲージと呼ばれる(それらが1直列セルとともに使用するためであることを示す)。残量計ICは、直列に接続された多数のセルを使用するノートブックコンピュータのような応用のために存在するが、しかしこれらは通常、4セル構成に制限される(4Sゲージ)。4よりも高い直列セル総数について最適化される、市場で入手可能な選択肢は非常に少なく、6よりも高いセル総数についてはほとんどない。
【0007】
加えて、革新および残量計測アルゴリズム性能強化は、最初に高容量単一セルゲージにおいて起こっており、多セル総数ICにおいては遅れている。もし単一セルICが、多セル応用に効果的に利用されることがあり得るならば、コストおよび性能の両方において顕著な利点が存在する。
【0008】
単一セル電池残量計測のための典型的な回路構成は、図1に例示される。残量計ICは、各臨界パラメータ、すなわち、セル端子電圧、セル温度に対応する電圧(しばしば安価なサーミスタを使用する)、ならびに電池充電および放電電流(低値電流感知抵抗器を使用する)の測定のための単一アナログ入力を含有する。1つよりも多いセルの電圧または温度を測定するための設備はない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、多セル電池アセンブリにおける複数の電池セルを監視するために構成されるシステムであって、
前記複数の電池セルの各々から電圧信号を受け取るように構成されるアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドから出力を受け取り、前記アナログフロントエンドからの前記出力について行われる予めプログラムされたアルゴリズムの機能としてデジタル信号を作成するように構成されるコントローラと、
前記デジタル信号をアナログ電圧信号に変換するように構成される回路構成と、
前記アナログ電圧信号を受け取り、処理するように構成される残量計とを備える、複数の電池セルを監視するために構成されるシステムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来技術の単一セル残量計IC接続スキームのブロック図を示す。
図2】本発明の実施形態に従って構成される多電池セル残量計システムのブロック図を示す。
図3】本発明の実施形態を用いて構成される装置の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2を参照すると、本発明の実施形態は、複数の直列接続セル204の個別セル電圧および温度を測定するために市販のアナログフロントエンド測定回路(「AFE」)201(それはまた本明細書では、単に「アナログフロントエンド」と呼ばれてもよく、それは、ICとして実施されてもよい)を利用する電池監視回路200を提供する(例えば、Maxim Integratedから入手可能なモデル番号MAX11068、または任意の他の同等なデバイス)。電池監視回路200はまた、AFE201によってそれにデジタル的に移送されるデータを収集し、分析するコントローラ202(それは、マイクロコントローラとして実施されてもよい)、1つまたは複数のデジタル的にプログラム可能な電圧源(「DPVS」)205、図1に関して述べられたものなどの単一セル残量計IC203(それはまた、本明細書では単に「残量計」と呼ばれてもよい)(すなわち、単一セル残量計IC203は、各臨界パラメータ、すなわち、セル端子電圧、セル温度に対応する電圧(例えば、しばしば安価なサーミスタを使用する)の測定のための単一アナログ入力を含有する)、ならびに電池充電および放電電流を提供するための電流センサ211(例えば、任意の市販の低値電流感知抵抗器が、利用されてもよく、またはAFE201内で実施される電流センサが、もし利用可能であれば利用されてもよい)も含む。
【0012】
本発明の実施形態は、直列接続電池アセンブリ204における各個別電池セル(例えば、セル1・・・セルn、ただしnは、正の整数である)からの電圧および温度パラメータを直接測定するAFE201を用いて動作するように構成される。本発明の実施形態内では、nは、1よりも大きく、4よりも大きくてもよい。AFE201は次いで、そのセルごとの電圧および温度の測定結果をコントローラ202に(例えば、I2C、UART、SMBなどのデジタル通信プロトコル、またはある他のデジタルデータ通信スキームを通して)信号線260を通じてデジタル的に伝える。コントローラ202は、入ってくるセル電圧および温度のデータを処理し、操作するために要望通りに予めプログラムされた制御プログラムを含有し、セル電圧および温度の両方について実際の測定値から導き出すことができる値の最小、最大、平均、加重平均、または任意の他の値の数値表現を決定し、このデータを残量計IC203への提示のために準備する。安価な残量計ICの入力は、本来もっぱらアナログであるので、コントローラ202は、選択され、処理されたセル電圧および温度情報に対応する電圧をデジタル形式で1つまたは複数のDPVS205に転送し、それらは、デジタルデータをセル電圧および温度に対応する電圧のアナログ表現にそれぞれ変換する。各DPVS205のアナログ出力(例えば、Vout1、Vout2)は、残量計IC203の各アナログ入力(例えば、Vin、Tin)に直接接続される。
【0013】
各個別DPVSは、デジタル/アナログ変換器(「DAC」)、パルス幅変調(「PWM」)制御電圧源、またはプログラム可能でかつ安定したアナログ電圧出力を有する任意の他の適切なタイプのデジタル的にプログラム可能な電圧源として構成されてもよい。異なるタイプのDPVSが、同じシステムにおいて使用されることもあり得る(例えば、電圧のためのDACおよび温度に対応する電圧のためのPWM)。各DPVSは、その出力が、低周期的かつランダムな偏差(すなわち、低ノイズ)、低電圧偏差またはドリフト、+/-1mVの電圧設定点精度、ならびにプログラムされた出力電圧レベルの変化に対する速い応答および整定時間を有するように構成されてもよい。
【0014】
1つまたは複数のDPVSは、コントローラ202内で実施される機能性ブロックとして構成されてもよく、または図2に描写されるなどの、コントローラ202の外部に存在し、デジタル通信バスによって外部からコントローラ202に接続される別個のモジュールであってもよい。
【0015】
残量計IC203は、1つまたは複数のデジタル出力を有してもよく、専用もしくは汎用の入力/出力(「GPIO」)ピンおよび/またはシステム制御のためのアナログ出力を含んでもよい。本発明の実施形態内では、残量計製造業者によってプログラムされ、単一電池セルとともに使用するための残量計IC203内に存在する内部制御および残量計測のアルゴリズムは、まったく変更されていない。残量計アルゴリズムは、変更されていないけれども、本明細書で述べられるような任意の数のn直列セルから集められたデータから選択されるまたはさもなければコントローラ202によって導き出される、アナログセル電圧および温度に対応する電圧について処理され/操作され/最適化された値の残量計IC203への入力(例えば、Vin、Tin)における提示の結果として多セル環境において機能するように、本発明の実施形態に従って、システム200において構成される。残量計IC203のデジタル出力270は、データまたはコマンドのパッケージをコントローラ202に戻すことができ、それは、このデータを記憶し、処理し、それを電池アセンブリ204の制御のためにまたは外部デバイスもしくはユーザへのステータス情報もしくは警告メッセージの提示のために利用してもよい(例えば、図3を参照)。残量計IC203からコントローラ202へ(例えば、データバス270を介して)、かつコントローラ202から外部デバイスまたはユーザへ(例えば、データバス280を介して)のデジタル出力通信は、I2C、UART、SMB、または任意の他のデジタルデータ通信プロトコルを通して送られてもよい。デジタルデータは、電池充電(例えば、電池充電器を接続するもしくは切り離すため)または電池放電(例えば、電力負荷をオンもしくはオフにするため)を制御するために、外部システムまたはユーザ(例えば、図3を参照)に向けられるコマンドを含有するように本発明の実施形態に従って構成されてもよい。例えば、デジタルデータは、充電状態、健康状態、または電池アセンブリ204の現在のステータスを示すことを目的とする他の残量計パラメータに関連する情報を含有してもよいが、本発明は、これらの形態の情報だけに限定されることを目的としていない。
【0016】
システム200は、電池アセンブリ204における1つまたは複数の電池セルの近傍内の1つまたは複数の温度が、電池アセンブリ204に近接して異なる場所に位置する任意の数のN(ただしN≧1)熱電対またはサーミスタ206を使用して測定されるように構成されてもよく、熱電対またはサーミスタ206は、それらの結果をコントローラ202の1つまたは複数の入力(例えば、Tin1、Tin2、・・・Tin3)に出力する。コントローラ202は、電池アセンブリ204の状態に応じて残量計IC203への提示のために個別温度を比較し、最小値、最大値、平均値、または温度の任意の他の表現を選択するように構成されてもよい。例えば、最大温度は、放電中の残量計測のために使用されることもあり得、平均温度は、充電中に使用されることもあり得、または損傷したもしくは正常に機能しないサーミスタ206からのデータは、コントローラ202による計算から除外されることもあり得、それ故にシステム200の耐故障性を改善する。
【0017】
AFE201によって測定されるn個の個別セルのいずれかからの電圧は、同様に扱われてもよい。非常に高いセル総数の電池アセンブリ204では、1つもしくは複数のそのようなAFE回路、またはICは、「積層される」こともあり得、電池セル総数(すなわち、n)が数十から数百のセルまで増加することを可能にする。そのような高セル総数の応用は、自動車産業において一般的である。そのような構成では、測定されたセル電圧は、デジタル通信接続にわたってAFE201からコントローラ202によって収集されてもよく、コントローラ202は、電池アセンブリ204の現在の状態に基づいて、測定されたセル電圧を解釈し、プログラムされた論理動作および最適化を実行することもあり得る。
【0018】
いったんセル電圧および温度が、収集され、処理されると、コントローラ202は次いで、セル電圧および/または温度に対応する電圧の、処理され/操作され/最適化されたデジタル表現を1つまたは複数のDPVS205に伝送するように構成される。1つまたは複数のDPVS205は次いで、セル電圧および/または温度に対応する電圧のデジタル表現をそれらのアナログの同等物に変換し、これらのアナログの同等物を残量計IC203のアナログ入力に提示する。残量計IC203は次いで、電圧および温度に対応する電圧についてのアナログ入力を受け入れ、これらをその内部アルゴリズムへの入力として使用する。コントローラ202は、1つまたは複数のDPVS205が、正確な残量計測のために処理され/操作され/最適化されるデータを連続的に供給されることを確実にすることに関与するように予めプログラムされてもよい。処理され/操作され/最適化されたデータは、電池アセンブリ204における最高もしくは最低セル電圧または温度の単一瞬時測定結果、平均化測定結果、最小測定結果、最大測定結果、または電池条件、瞬時動作点、もしくは健康状態に基づいて選択される電圧、温度または他のパラメータの任意の他の導き出された表現とすることができる。残量計IC203に提示される処理され/操作され/最適化されたデータは、休止、充電、または放電などの、電池アセンブリ204の異なる動作状態中に異なる可能性もある。
【0019】
高セル総数電池アセンブリでは、電池アセンブリ204における異なる電池セルにわたってわずかだがしかし測定可能な容量のミスマッチが必ずある。これは、放電中に、n個の電池セルの1つ(または複数)が、残りの電池セルより前にエネルギーを使い果たすことになり、放電時間分の早すぎる短縮を強いることを意味する。ときにはこの短縮したランタイムは、特に電池セルが、高い温度および循環の時効効果を経験した後では、重大である可能性がある。多数の直列接続電池セルを有する電池アセンブリでは、通常の残量計ICは、単一電池セル(1Sゲージ)または全セルスタックのほんの一部(4Sゲージ)だけを見るということになり、その測定ドメインには直接ない単一電池セルの電圧を検出することができない。AFE201を介してn個の電池セルのすべての電圧を個々に監視し、本明細書で述べられる方法論を使用することによって、コントローラ202は、1秒ごとに最も適した電池セル電圧を選択し、残量計IC203に提示することによって、残量計アルゴリズムの精度、ならびに結果として生じる充電状態および残量計IC203によって戻される残りの容量推定を最適化するように構成されてもよい。放電中は、最小セル電圧が、放電しきい値の終わりを最も正確に予測するために使用されてもよく、電池充電中は、n個の電池セルのすべての平均電圧が、電池アセンブリ204全体の充電状態の最良推定を提供するために利用されてもよい。コントローラ202によって残量計IC203に提示すべき処理され/操作され/最適化されたデータを表すものに関してのこれらの決定は、コントローラ202の内部ソフトウェアに予めプログラムされてもよい。
【0020】
加えて、インピーダンストラック残量計などの、ある残量計は、動作中に異なる充電状態における内部セル抵抗の内部テーブルを作る。このテーブルは、放電中のセル電圧偏差対瞬時電流を分析し、これを充電状態に相互に関連付けることによって作られる。最高インピーダンスを有する電池セルを決定し、追跡することは、(1)電池アセンブリ204全体の時効の最良決定であり、(2)高い放電電流を支援することができることの制限因子となるので、これは、重要なこともある。本発明の実施形態は、インピーダンステーブルの正確さおよび有用性が、常に確保されるように、インピーダンス測定アルゴリズムが常に最高インピーダンスを有する個別電池セルから電圧データを提示されるための能力を提供する。
【0021】
図3は、本発明の実施形態を用いて構成されてもよい装置300を例示する。装置300は、内部電力のために多セル電池アセンブリ204を利用する任意のデバイスであってもよい。そのような装置300は、コンピュータシステムのラック、電動自転車(ebike)、電動バイク、電気自動車、ハイブリッド車、その他であってもよい。本発明の例となる実施形態内では、図2に例示されるような電池アセンブリ204に結合される、電池監視回路200は、電力管理ユニット(「PMU」)、またはコンピュータディスプレイ、コンピュータシステム、もしくは任意の他の適切なデバイスなどの、任意の他のホストシステム301と電子通信をしてもよい。
【0022】
本発明の実施形態内では、コントローラ202に予めプログラムされた制御プログラム(例えば、本明細書で開示される様々な機能性を実施するための)は、コントローラ202をPMUまたはホストシステム301に結合するデータバス280を通じてコントローラ202に入力されてもよい。さらに、信号線270を介してコントローラ202に伝送されてもよい、残量計IC203からのデータ出力は次いで、データバス280を介してコントローラ202によってPMUまたはホストシステム301に転送されてもよい。
【0023】
そうではないと明確に述べられない限り、「または(or)」は、包含的または(inclusive-or)を指し、排他的または(exclusive-or)を指さない。例えば、条件AまたはBは、次のこと、すなわちAが真であり(または存在し)かつBが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)かつBが真である(または存在する)、AおよびBの両方が真である(または存在する)のいずれか1つによって満たされる。
【0024】
また、「a」または「an」の使用は、本明細書で述べられる要素およびリソースを述べるために用いられる。これは、単に便宜のためになされ、本発明の範囲の一般的感覚を与えるためである。この記述は、別段の意味であることが明瞭でない限り、1つまたは少なくとも1つを含むと読むべきであり、単数形はまた、複数形も含み、逆もまた同様である。例えば、単一デバイスが、本明細書で述べられるとき、1つより多いデバイスが、単一デバイスの代わりに使用されてもよい。同様に、1つより多いデバイスが、本明細書で述べられる場合には、単一デバイスが、1つより多いデバイスの代わりになってもよい。
【0025】
別段に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、この発明が属する技術分野の当業者によって普通に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で述べられるそれらに似たまたは同等の方法および材料は、本発明の実施形態の実践または試験に使用されてもよいけれども、適切な方法および材料は、本明細書で述べられる。
【0026】
本明細書で述べられない範囲まで、特定の材料、処理行為、および回路に関する多くの詳細は、従来通りであり、計算、電子工学、ソフトウェアの技術分野内の教科書および他のソースに見いだされることもある。
【0027】
本明細書で述べられる特定の実施形態が、実例として示され、本発明の制限として示されないことは、理解されよう。この発明の主要特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく様々な実施形態において用いられてもよい。
【符号の説明】
【0028】
200 電池監視回路、システム
201 アナログフロントエンド(「AFE」)
202 コントローラ
203 残量計IC
204 複数の直列接続セル、電池アセンブリ
205 デジタル的にプログラム可能な電圧源(「DPVS」)
206 サーミスタ
211 電流センサ
260 信号線
270 デジタル出力、信号線、データバス
280 データバス
300 装置
301 電力監視ユニット(「PMU」)またはホストシステム
図1
図2
図3