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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】電池セパレータ
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/417 20210101AFI20240412BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/457 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/426 20210101ALI20240412BHJP
   H01M 50/434 20210101ALI20240412BHJP
   C08J 9/00 20060101ALI20240412BHJP
   H01M 50/451 20210101ALI20240412BHJP
【FI】
H01M50/417
H01M50/489
H01M50/457
H01M50/426
H01M50/434
C08J9/00 A CES
H01M50/451
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022130909
(22)【出願日】2022-08-19
(62)【分割の表示】P 2019078909の分割
【原出願日】2013-09-18
(65)【公開番号】P2022172174
(43)【公開日】2022-11-15
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】61/703,320
(32)【優先日】2012-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598064680
【氏名又は名称】セルガード エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ハルモ,ポール,エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィド,ポール ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェンミン
(72)【発明者】
【氏名】シ,リー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー,ダニエル アール.
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン,ジル ヴィ.
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/417
H01M 50/489
H01M 50/449
H01M 50/457
H01M 50/426
H01M 50/434
H01M 50/411
H01M 50/403
H01M 50/406
C08J 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン(PP)/ポリエチレン(PE)/ポリプロピレン(PP)の三層構造を有する電池セパレータであって、
前記ポリプロピレン(PP)は1.6~2.2μmの範囲の厚さを有する100%ポリプロピレン層であり、
前記ポリエチレン(PE)は1.6~2.8μmの範囲の厚さを有する100%ポリエチレン層であり、
前記電池セパレータの全体の厚さは5.5~6.5μmの範囲の厚さを有し、
前記電池セパレータは100~300gの穿孔強度を有する、電池セパータ。
【請求項2】
前記ポリプロピレン層は1.6~2.0μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項3】
前記ポリエチレン層は1.6~2.0μmの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項4】
前記電池セパレータは少なくとも112gの穿孔強度を有する、請求項1に記載の電池セパータ。
【請求項5】
前記電池セパレータの全体の厚さは5.5~6.0μmである、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項6】
微多孔質膜の片側または両側上に被覆膜を有し、前記被腹膜はセラミック被覆膜またはポリマー被覆膜の少なくとも1つである、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項7】
前記ポリマー被覆膜がPVDFを含む、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項8】

前記電池セパレータがシャットダウンセパレータである、請求項1に記載の電池セパレータ。
【請求項9】
前記微多孔質膜の両面上に前記セラミック被覆を有する、請求項6に記載の電池セパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2012年9月20日に出願された米国仮特許出願整理番号第61/703,320号の利益および優先権を主張するものであり、同特許は参照することにより本願に援用される。
【0002】
本発明の少なくとも選択された実施形態は、最適化された、新規の、特有な、または改善された、多孔膜、単層多孔膜、多層多孔膜、被覆多孔膜、積層物、複合物、電池セパレータ、極薄型電池セパレータ、リチウム電池用の極薄型電池セパレータ、二次リチウム電池用の極薄型電池セパレータ、被覆極薄型電池セパレータ、超薄型電池セパレータ、リチウム電池用の超薄型電池セパレータ、二次リチウム電池用の超薄型電池セパレータ、被覆超薄型電池セパレータを、および/または、係る膜、積層物、複合物、もしくはセパレータを含むセル、パック、もしくは電池を、および/または係るセル、パック、もしくは電池を含むシステムもしくは装置を、および/または製造、使用、および/または最適化の関連方法を、対象とする。少なくとも選択された実施形態によれば、本発明は、シャットダウンの提供、デンドライト成長の遅延もしくは防止、デンドライト成長に起因する内部短絡の遅延もしくは防止、サイクル寿命の長期化、および/またはその他を行う、極薄型もしくは超薄型の、単一層もしくは多層の、被覆もしくは非被覆の、特有の、または改善された電池セパレータに、および/または、係るセパレータを組み込むセル、電池、および/またはパックに、および/または、係るセル、電池、および/またはパックを組み込むシステムもしくは装置に、および/または係るシステムもしくは装置の製造、使用、および/または最適化の関連方法に、関する。少なくとも特定的な実施形態によれば、本発明は、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う新規のもしくは改善された被覆極薄型単一層電池セパレータに、係るセパレータを組み込むリチウム一次もしくは二次電池、セル、もしくはパックに、および/または係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムに、関する。少なくとも特定的な他の特定の実施形態によれば、本発明は、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う新規のもしくは改善された被覆極薄型多層電池セパレータに、係るセパレータを組み込むリチウム一次もしくは二次電池、セル、もしくはパックに、および/または係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムに、関する。少なくとも他の特定の実施形態によれば、本発明は、充電式リチウムイオン電池、セル、もしくはパック用の新規のもしくは改善された極薄型もしくは超薄型の電池セパレータに、係るセパレータを組み込むリチウムイオン電池、セル、もしくはパックに、および/または係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムに、関する。少なくとも特定の態様または実施形態によれば本発明は、充電式リチウムイオン電池におけるデンドライト成長が防止されるよう、極薄型または超薄型の電池セパレータを最適化する方法に関する。少なくともきわめて特定の実施形態によれば、本発明は、極薄型、単一ポリマーもしくはマルチポリマーの電池セパレータ、極薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、極薄型、セラミック被覆電池セパレータ、超薄型、単一ポリマーもしくは多重ポリマーの電池セパレータ、超薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、超薄型、セラミック被覆電池セパレータ、および/またはその他に関する。
【背景技術】
【0003】
電池内では、アノードおよびカソードはセパレータ膜により互いから隔てられる。今日、「リチウム電池」は、高エネルギー出力を生成する能力を有するため、非常に普及している。リチウム電池市場は、「一次」リチウム電池および「二次」リチウム電池という2
つのグループに分割され得る。二次リチウム電池が充電式電池であるのに対して、一次リチウム電池は非充電式または使い捨ての電池である。
【0004】
電池において、薄型電池セパレータは、電池の性能および設計を改善し得るいくつかの利点を提供し得る。第1に、セパレータが薄いほど高い能力が達成される。このことは、セパレータの肉厚を小さくすることによりセパレータの電気抵抗が低くなり得るため、電池が膜の全域においてより高い電流密度を生成し得ることを意味する。ガーレー値と電気抵抗との相関関係については全般に、Florida Educational Seminars, Inc., 2836 Banyon Blvd. Circle N.W., Boca Raton, Fla. 33431の提供による、the Tenth International Seminar on Primary and Secondary Battery Technology and Applicationにおいて発表された、Callahan, R. W. et al, ”Characterization of Microporous Membrane Separators,” Mar. 1-4, 1993を参照されたい。より高い能力は急速な出力が必要(例えば電気車両における加速に対して)とされる場合に重要となる。第2に、セパレータが薄いほど、より薄い電極の使用が可能となる。このことは、電池がより良好な電極利用および電極サイクルを達成し得ることを意味する。電極利用は、等しい出力を有するより小さい電池の生産が可能であることを意味する。より良好な電極サイクルは、電池寿命の間に、より多数の充電またはサイクルが可能であることを意味する。第3に、セパレータが薄いほどセパレータ設計における選択がより大きくなる。換言すると、様々な薄型セパレータを組み合わせて、特定の電池に対してセパレータをカスタム設計することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって電池分野では、より薄型の電池セパレータが、より薄型の動作する電池セパレータが、特定的な用途または電池のための最適化された、新規のもしくは改善された電池セパレータが、最適化された、新規の、もしくは改善された極薄型電池セパレータが、最適化された、新規の、もしくは改善された被覆電池セパレータが、および/またはその他が、必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の少なくとも選択された実施形態は、上述の必要性を解決し得、および/または、最適化された、新規の、特有の、または改善された多孔膜を、単層多孔膜を、多層多孔膜を、被覆多孔膜を、積層物を、複合物を、電池セパレータを、極薄型電池セパレータを、リチウム電池用の極薄型電池セパレータを二次リチウム電池用の極薄型電池セパレータを、被覆極薄型電池セパレータを、超薄型電池セパレータを、リチウム電池用の超薄型電池セパレータを、二次リチウム電池用の超薄型電池セパレータを、被覆超薄型電池セパレータを、および/または係る膜、積層物、複合物、もしくはセパレータを含むセル、パック、もしくは電池を、および/または係るセル、パック、もしくは電池を含むシステムもしくは装置を、および/または、製造、使用、および/または最適化の関連方法を、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の遅延もしくは防止、デンドライト成長に起因する内部短絡の遅延もしくは防止、サイクル寿命の長期化、および/またはその他を行う、極薄型もしくは超薄型の、単一層もしくは多層の、被覆または非被覆の、特有の、新規な、もしくは改善された電池セパレータを、および/または、係るセパレータを組み込むセル、電池、および/またはパックを、および/または、係るセル、電池、および/またはパックを組み込むシステムもしくは装置を、および/または、係るシステムもしくは装置の製造、使用、および/または最適化の関連方法を、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因
する内部短絡の防止を行う、新規のもしくは改善された被覆極薄型単一層電池セパレータを、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次もしくは二次電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う、新規のもしくは改善された被覆極薄型多層電池セパレータを、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次もしくは二次電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、充電式リチウムイオン電池、セル、もしくはパック用の新規のもしくは改善された極薄型もしくは超薄型の電池セパレータを、係るセパレータを組み込むリチウムイオン電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、充電式リチウムイオン電池におけるデンドライト成長が防止されるよう、極薄型もしくは超薄型の電池セパレータを最適化する方法を、および/または、極薄型、単一ポリマーもしくはマルチポリマー電池セパレータ、極薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、極薄型、セラミック被覆電池セパレータ、超薄型、単一ポリマーもしくは多重ポリマー電池セパレータ、超薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、超薄型、セラミック被覆電池セパレータ、および/またはその他を、対象とする。
【0007】
少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によれば、最適化された、特有の、新規な、または改善された電池セパレータは、約12μm以下(好適には約11μm以下、さらに好適には約10μm以下、さらに好適には約9μm以下、さらに好適には約8μm以下、さらに好適には約7μm以下、さらに好適には約6μm以下、さらに好適には約5μm以下、さらに好適には約4μm以下、さらに好適には3μm以下、さらに好適には約2μm以下)の肉厚を有する単層または多層のミクロ多孔性ポリオレフィン膜から作られる。
【0008】
少なくとも特定的な選択された実施形態、態様、または目的によれば、最適化された、特有の、新規な、または改善された電池セパレータは、約8μm以下(好適には約7μm以下、さらに好適には約6μm以下、さらに好適には約5μm以下、さらに好適には約4μm以下、さらに好適には約3μm以下、さらに好適には約2μm以下)の肉厚を有する単層または多層のミクロ多孔性ポリオレフィン膜から作られる。
【0009】
少なくとも特定的な特に選択された実施形態、態様、または目的によれば、最適化された、特有の、新規な、または改善された電池セパレータは、少なくとも1つの約6μm以下(好適には約5μm以下、さらに好適には約4μm以下、さらに好適には約3μm以下、さらに好適には約2μm以下、さらに好適には約1.5μm以下)のシャットダウンポリエチレン層肉厚を有する、単層または多層のシャットダウンミクロ多孔性ポリオレフィン膜から作られる。
【0010】
少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によれば、本明細書で定められるように、極薄型セパレータは好適には約12μm以下であり、超薄型セパレータは好適には約8μm以下である。例えば少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によれば、極薄型セパレータは好適には約8~12μmの範囲内であり、超薄型セパレータは好適には約2μm~8μmの範囲内である。
【0011】
少なくとも選択された実施形態、態様、または目的によれば、被覆セパレータは、好適には約20μm以下、さらに好適には約16μm以下、さらに好適には約14μm以下、さらに好適には約12μm以下、さらに好適には約9μm以下、さらに好適には約7μm以下、さらに好適には約6μm以下、さらに好適には5μm以下、さらに好適には約4μ
m以下の合計肉厚を有する。
【0012】
電池セパレータは、いくつかの周知の方法(例えばセルガードドライプロセスと一般に呼称されるドライプロセス、ウェットプロセス、粒子伸長プロセス、およびベータ核形成前駆体BOPP(二軸延伸ポリプロピレン)プロセス)により作られる。
【0013】
ドライ伸長プロセス(セルガードプロセス)とは、無孔性・半晶質の押出成形されたポリマー前駆体を縦方向に伸長(MDストレッチ)させることにより細孔が形成されるプロセスを指す。係るドライ伸長プロセスはウェットプロセスとは異なる。一般に、転相プロセス、抽出プロセス、またはTIPSプロセスとしても知られるウェットプロセスでは、ポリマー原料がプロセスオイル(可塑剤とも呼称される)と混合され、当該混合物が押出成形され、次に、プロセスオイルが除去される(これらの薄膜はオイルが除去される前後に伸長され得る)際、細孔が形成される。
【0014】
単一層、単一プライ、多プライ、または多層の電池膜は、ドライプロセス方法または技法(例えば積層化、共押出し、崩壊気泡、および/またはその他などの方法を含み得る)により形成され得るか、またはウェットプロセス方法により形成され得る。
【0015】
電池セパレータとして使用されるための、または電池セパレータにおいて使用されるための、極薄型または超薄型のミクロ多孔性ポリオレフィン膜を作るための代表的なセルガードドライプロセス押出成形方法は、単一層または多層の薄型パリソンを押出形成するステップ、当該パリソンを押しつぶして2つのプライを含む平坦シートを形成するステップ、当該平坦シートの縁部を切り開くかまたは切り落とすステップ、当該平坦シートをアニーリングするステップ、当該平坦シートを伸長するステップ、および当該平坦シートを巻き取る(または切り開くステップに直接的に送る)ステップを含む。2つのプライ間の接着力は、これらのプライを分離することを意図する場合、例えば8グラム/インチ未満であり得る。
【0016】
約2~12ミクロン(好適には約3~9ミクロン。所望により、サーマルシャットダウンが望まれる場合にはシャットダウン(好適には鋭角的且つ持続的なシャットダウン)する能力を保持する)の極薄または超薄の範囲におけるミクロ多孔性ポリマー電池セパレータまたは電池セパレータ用の多孔膜の製造は、例えばPE(シャットダウン)層内における透明PP層適用の拡張、および/または細孔構造の非連続的形成から、可能である。透明PP層は、電池における酸化劣化から大部分のPEセパレータを保護する方法として使用され得る。透明PP層は、約1.0~2.0ミクロン範囲の肉厚を有するPP層の製造に伴って生じる。シャットダウンを達成するために要求されるPEの量が、以前に考えられていた約3~4ミクロンよりも小さく見受けられるため、この極薄型PP層の概念を、より薄型のPEシャットダウン層に拡張することは、より薄型(例えば約6~9ミクロン未満)のセパレータの開発を支援した。例えば約2ミクロンのPE層は、鋭角的且つ持続的なサーマルシャットダウンを提供し得る。既存のセパレータのシャットダウン挙動は歴史的にPEシャットダウン層の合計肉厚に関連付けられてきた。本発明は、係る主張に異議を唱えるものであり、PE/PP境界面におけるPE密度がシャットダウン層におけるPE物質の合計量よりも重要であることを提案する。細孔形成時におけるセパレータの押出成形、伸長応力速度、および緩和を注意深く制御することにより、PP/PE表面における増加されたPE密度または望ましいPE密度を有し、且つセパレータの完全なシャットダウンを可能にし、それによりセパレータのPE区域が以前に達成されたよりも遥かに薄型化されることが可能となる、PE構造が達成され得る。
【0017】
少なくとも選択された実施形態によれば、シャットダウン挙動を有する極薄型3層セパレータを使用することが好適であり得る。1つの実施形態では、約2~12ミクロン(好
適には約3~9ミクロン。熱的にシャットダウンする能力を保持する)の極薄範囲における電池セパレータの製造は、PEシャットダウン層内におけるPP層適用の拡張、PE密度の制御、および/または細孔構造の望ましい形成により可能である。透明または薄型PP層は、電池内の酸化劣化から大部分のPEセパレータを保護する方法として機能し得、1.0~2.0ミクロン以上の範囲における肉厚におけるPP層の製造に伴って生成され得る。シャットダウンを達成するにあたり要求されるPEの量が3~4ミクロンの範囲であると以前は考えられていたため、この極薄型層をより薄型のPEシャットダウン層に拡張することは6~9ミクロン範囲における薄型セパレータ形成に限定されると考えられていた。既存のセパレータのシャットダウン挙動は歴史的にPEシャットダウン層の合計肉厚に関連付けられてきた。本発明の少なくとも1つの実施形態または態様は、係る主張に異議を唱えるものであり、より薄型のPE層が使用され得ること、より薄型のPE層内でサーマルシャットダウンが達成され得ること、およびPE/PP境界面におけるPE密度がシャットダウン層におけるPE物質の合計量よりも重要であること、を提案する。細孔形成時におけるセパレータの押出成形、伸長応力速度、および緩和を注意深く制御することにより、小さい細孔サイズのPEの部分、PP/PE表面における大きいPE密度、またはその両方を含み、且つ、セパレータの完全なシャットダウンを依然として可能にし、それによりセパレータのPE区域が以前に達成されたよりも遥かに薄型化されることが可能となる、PE構造が達成され得る。
【0018】
酸化劣化からバルクセパレータを保護し且つ律速透過層を提供する透明PP層を用いて作られた3層電池セパレータ薄膜が考えられる。
【0019】
多数の事例では、単一層PEまたはPPセパレータを、PP/PE/PP構成からなる通常の3層物質で直接的に置換することは、直接的には交換可能ではない。なぜなら、内側のPE区域を通るイオン透過率は、ガーレーおよび電気抵抗(ER)により測定されるPP区域を通るより低い透過率により制限されるためである。PP/PE/PPの3層の使用により提供される酸化保護およびシャットダウンを利用するために、およびこの変化に関連付けられるより高いガーレーおよびERを緩和するために、本発明に係るセパレータ膜は、PP層の肉厚が、標準的な4ミクロン以上の肉厚とは対照的に、0.5~1.5ミクロンの範囲のレベルに低減された、3層構造を含む。ポリプロピレンのこの「透明」層はバルクPE構造の酸化保護を可能とするであろう一方で、同時に、この範囲における透明PP層の肉厚の操作は、ガーレー、ER、および他のテスト方法により測定される全体的イオン透過率を制御するために使用され得る。
【0020】
少なくとも特定的な実施形態または態様によれば、約6~8μm以下の範囲の肉厚を有する3層PP/PE/PP電池セパレータを製造するための方法が提供される。なお、ここでは最外部PP層肉厚は0.25~2.0μmの範囲に制御され、その結果として、PP層肉厚の操作によりイオン輸送率および空気輸送率(ERおよびガーリー)を所望のレベルに制御するための手段が提供される。特に、セパレータ膜を通る高い放電率を可能とするセパレータ膜を製造するために十分に低いER値およびガーレー値を達成することを可能とする一方で、実質的な肉厚(1.0~3ミル)または低減された肉厚(12ミクロン以下)のセパレータ物質を製造することは、0.25~2.0μmの公称肉厚を有する「透明」外側PP層を適用することにより達成され得る。極薄型、超薄型、または特薄型のPP層は、好適には2ミクロン未満の全体的肉厚制御誤差を有し且つPP押出成形質量流量の高レベルの制御を要求し得るセルガードドライプロセス技術の革新的・驚異的な拡張である。いくつかの場合では、押出成形設備は実質的により低い質量流量のために特定的に設計され得る。
【0021】
少なくとも選択された特定の実施形態によれば、バルクセパレータまたはPE層を酸化劣化から保護し且つ律速透過層を提供する透明PP層を用いて作られた3層電池セパレー
タ薄膜を使用することが好適であり得る。
【0022】
少なくとも選択された特定の実施形態によれば、約6~8μmの範囲の肉厚を有する3層電池セパレータを提供するための方法を使用することが好適であり得る。なお、ここでは、最外部PP層肉厚は0.25~2μmの範囲となるよう制御され、その結果、イオン輸送率および空気輸送率(ERおよびガーレー)を所望のレベルに制御するための手段が提供される。
【0023】
本発明の少なくとも選択された目的または実施形態によれば、最適化された、新規の、特有の、または改善された多孔膜が、単層多孔膜が、多層多孔膜が、被覆多孔膜が、積層物が、複合物が、電池セパレータが、極薄型電池セパレータが、リチウム電池用の極薄型電池セパレータが、二次リチウム電池用の極薄型電池セパレータが、被覆極薄型電池セパレータが、超薄型電池セパレータが、リチウム電池用の超薄型電池セパレータが、二次リチウム電池用の超薄型電池セパレータが、被覆超薄型電池セパレータが、および/または、係る膜、積層物、複合物、もしくはセパレータを含むセル、パック、もしくは電池が、および/または、係るセル、パック、もしくは電池を含むシステムもしくは装置が、および/または、製造、使用、および/または最適化の関連方法が、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の遅延もしくは防止、デンドライト成長に起因する内部短絡の遅延もしくは防止、サイクル寿命の長期化、および/またはその他を行う、極薄型もしくは超薄型の、単一層もしくは多層の、被覆または非被覆の、特有の、新規な、もしくは改善された電池セパレータが、係るセパレータを組み込むセル、電池、および/またはパックが、係るセル、電池、および/またはパックを組み込むシステムもしくは装置が、および/または、係るシステムもしくは装置の製造、使用、および/または最適化の関連方法が、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う、新規のまたは改善された被覆極薄型単一層電池セパレータが、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次または二次電池、セル、もしくはパックが、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムが、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う、新規のまたは改善された被覆極薄型多層電池セパレータが、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次または二次電池、セル、もしくはパックが、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムが、および/または、充電式リチウムイオン電池、セル、もしくはパック用の新規のもしくは改善された極薄型もしくは超薄型電池セパレータが、係るセパレータを組み込むリチウムイオン電池、セル、もしくはパックが、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムが、および/または、充電式リチウムイオン電池におけるデンドライト成長が防止されるよう極薄型もしくは超薄型の電池セパレータを最適化する方法が、および/または、極薄型、単一ポリマーもしくはマルチポリマー電池セパレータ、極薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、極薄型、セラミック被覆電池セパレータ、超薄型、単一ポリマーもしくは多重ポリマー電池セパレータ、超薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、超薄型、セラミック被覆電池セパレータ、および/またはその他が、提供または開示される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】PP/PE境界面を図示する、PP/PE/PPの3層ミクロ多孔性セパレータ膜の概略図である。
図2】20,000倍の倍率における12μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の表面の走査型電子顕微鏡写真である。
図3】4,400倍の倍率における12μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図4】単層および多層PEおよびPP微孔性膜の様々な構成の概略端面図である。
図5】内側PE層においてより大きい細孔を有するPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図6】内側PE層においてより大きい細孔を有するPP/PE/PPの3層膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図7】5,000倍の倍率における8μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の表面の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図8】12,000倍の倍率における7μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図9】12,000倍の倍率における6μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図10】8,500倍の倍率における7μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図11】8,550倍の倍率における8μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図12】8,500倍の倍率における8μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図13】5,000倍の倍率における7~8μmPP/PE/PPの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図14】20,000倍の倍率における9μmPE/PP/PEの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡表面写真である。
図15】8,500倍の倍率における9μmPE/PP/PEの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図16】7,350倍の倍率における8μmPE1/PE2/PE1共押出しの3層微孔性膜の走査型電子顕微鏡断面写真である。
図17】温度の関数としての電気抵抗(ER)のサーマルシャットダウンプロット例である。図17は、電気抵抗が8Ω-cmから10,000Ω-cmに鋭角的に上昇する、およそ130~132℃において発生する、薄膜試料の通常のサーマルシャットダウンの2つの例を示す。130℃から175℃まで10,000Ω-cm以上の電気抵抗の持続される高レベルは、「完全」なサーマルシャットダウンを示す。
図18】温度の関数としての電気抵抗(ER)のサーマルシャットダウンプロット例である。図18は、電気抵抗が約10Ω-cmから1.0×10Ω-cmの少し上まで鋭角的に上昇した後、するERが低下する、およそ128℃において発生する、薄膜試料の「不完全」なサーマルシャットダウンの2つの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の少なくとも選択された実施形態は、最適化された、新規の、特有の、または改善された多孔膜を、単層多孔膜を、多層多孔膜を、被覆多孔膜を、積層物を、複合物を、電池セパレータを、極薄型(ultra thin、ultrathin、またはultra-thin)電池セパレータを、リチウム電池用の極薄型電池セパレータを、二次リチウム電池用の極薄型電池セパレータを、被覆極薄型電池セパレータを、超薄型(superthin、またはsuper-thin)電池セパレータを、リチウム電池用の超薄型電池セパレータを、二次リチウム電池用の超薄型電池セパレータを、被覆超薄型電池セパレータを、および/または、係る膜、積層物、複合物、もしくはセパレータを含むセル、パック、もしくは電池を、および/または、係るセル、パック、もしくは電池を含むシステムもしくは装置を、および/または、製造、使用、および/または最適化の関連方法を、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の遅延もしくは防止、デンドライト成長に起因する内部短絡の遅延もしくは防止、サイクル寿命の長期化、および/またはその他を行う、極薄型もしくは超薄型の、単一層もしくは多層の、被覆または非被覆の、特有の、新規な、もしくは改善された電池セパレータを、係るセパレータを組み
込むセル、電池、および/またはパックを、係るセル、電池、および/またはパックを組み込むシステムもしくは装置を、および/または、係るシステムもしくは装置の製造、使用、および/または最適化の関連方法を、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う、新規のまたは改善された被覆極薄型単一層電池セパレータを、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次または二次電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、シャットダウンの提供、デンドライト成長の防止、および/またはデンドライト成長に起因する内部短絡の防止を行う、新規のまたは改善された被覆極薄型多層電池セパレータを、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次または二次電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、充電式リチウムイオン電池、セル、もしくはパック用の新規のもしくは改善された極薄型もしくは超薄型電池セパレータを、係るセパレータを組み込むリチウムイオン電池、セル、もしくはパックを、および/または、係る電池、セル、もしくはパックを組み込むシステムを、および/または、充電式リチウムイオン電池においてデンドライト成長を防止するために極薄型もしくは超薄型電池セパレータを最適化する方法を、および/または、極薄型、単一ポリマーもしくはマルチポリマー電池セパレータ、極薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、極薄型、セラミック被覆電池セパレータ、超薄型、単一ポリマーもしくは多重ポリマー電池セパレータ、超薄型、単一層、単一プライ、多プライ、もしくは多層電池セパレータ、超薄型、セラミック被覆電池セパレータ、および/またはその他を対象とする。
【0026】
実施例
本発明の少なくとも特定的な実施形態によれば、表1~3は試料1~10に関するデータを含む。
【表1】
・試料1~4 29~35%の広い多孔率範囲を有する優れたシャットダウンを有するPP/PE/PPの3層物質
・試料5および6は、より一般的な多孔率範囲を有するPE物質である。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
本発明の少なくとも特定的な選択された実施形態によれば、表4は可能な好適なセパレータ特性を提供する。
【表4】
【0030】
被覆例
Celgard(登録商標)ポリエチレン(PE)12μmミクロ多孔性セパレータ膜が、2um未満の平均粒径を有するデグサAlセラミック粒子と混合されたポリアクリル酸ナトリウム、アクリルアミド、およびアクリロニトリルのコポリマーからなる水性ポリマー結合剤の混合物を用いて被覆された。被覆は、4umの合計被覆肉厚で被覆された、2つの側部、両方の側部、または二重の側部であった。最終的な被覆された膜厚は16μmであった。1つの側部または両方の側部上に被覆され得る。ベース薄膜は単層または多層であり得る。
【0031】
対照例
セパレータ膜を通るリチウムデンドライト成長および係るリチウムデンドライト成長に起因する内部短絡に関して、制御セパレータ(不織のセパレータ2)と発明的または好適なセパレータ(ミクロ多孔性多層のセパレータ1)との差異または比較を示すために、2電極コイン型セルが、黒鉛を作用電極として、およびリチウム金属を対極物質として用い
て作製された。2つの異なる種類のセパレータ膜が使用され研究された。セパレータ1は、ミクロ多孔性構造を有する3層セパレータ膜(好適)であり、セパレータ2はスタンドアロン型不織タイプ構造を有するセパレータ膜(制御)である。
【0032】
試験1は、いくつかの充電および放電サイクルを含む。なお、カットオフ電圧は、充電または作用電極へのリチウムインターカレーションのために5mVに、および作用電極からのリチウムデインターカレーションのために2Vに、設定される。1mA/cm2の電流密度が、この試験では充電および放電のために使用された。
【0033】
好適なまたは発明的なセパレータ1を有するセルは、いずれの充電または放電ステップの間にもセル電圧における変化がまったくない状態で、継続的にサイクルする。セパレータ2(制御不織)を有するセルは、2~3サイクル内で、セパレータ1を有するセルと同様にサイクルされることは不可能となり、セパレータ2を有するセルは、電圧におけるより大きい変動を示し、カットオフ電圧に到達することができず、しだいに失敗した。
【0034】
サイクルを経たセルから取り出されたセパレータ1、およびサイクルを経たセルから取り出されたセパレータ2(制御)は、セパレータ1がリチウムデンドライト成長の痕跡をまったく示さず、またLiデンドライト成長に関連する内部短絡の痕跡もまったく示さず、セパレータ1が黒いスポットまたは焦げたスポットの痕跡がまったくないクリアな状態であるが、セパレータ2(制御)が多数の黒いスポットまたは焦げたスポットをセパレータ2の全域を通じて示し、それによりリチウムデンドライトに起因する内部短絡が明らかに確認されることを、を示した。
【0035】
電池性能および/または安全問題に関連付けられるリチウムデンドライトの成長および増殖は、不織スタンドアロン型のセパレータ膜に対してより生じやすいことが判定された。なぜなら係るセパレータ膜の重要な特性が、より大きい細孔サイズ、より高い多孔率、遥かに低いねじれ、および/またはより低いZ方向機械的強度を含むためである。不織スタンドアロン型セパレータ膜の係る特性は、この種類のセパレータ膜の細孔構造へのリチウムデンドライト成長を加速し得、悪影響を、生じさせ、可能にし、または促進し得、リチウム電池のサイクル寿命の短縮化、その他を生じさせ得る。デンドライトは成長するにあたり余地または空間を必要とする。不織スタンドアロン型セパレータ膜は係る余地または空間を提供する。
【0036】
本発明の少なくとも特定的な好適な態様または実施形態によれば、電池セパレータ用の、または電池セパレータとして、良好な性能を有する微孔性膜の設計、最適化、選択、または作製するための懸念すべき5つの基本的な特性が存在し、係る5つの特性は、1)ねじれ、2)多孔率、3)細孔サイズ、4)細孔サイズ分布、および5)機械的強度である。これらの特性のそれぞれは、セパレータおよび電池の性能に顕著な影響を及ぼし得る。さらに、これらの特性を適切に選択することは、好適な電池セパレータ、セパレータ膜、電池、および/またはその他のより優れた性能を定める際に相乗効果的な影響を有し得ると言える。
【0037】
本発明の少なくとも選択された好適な態様または実施形態によれば、2次的充電式リチウムイオン電池用のセパレータ膜を最適化する方法は、セパレータの好適なミクロ多孔性構造(すなわちセパレータ膜の細孔サイズ、細孔サイズ分布、多孔率、ねじれ、および機械的強度)を画定および選択するステップを含む。
【0038】
本発明の少なくとも選択された好適な態様、目的、または実施形態によれば、最適化された電池セパレータ膜は、デンドライトの成長を抑制および防止し、それにより良好な電池のサイクル寿命が長くなり、電池の安全性が改善されることとなる。
【0039】
非常に高い多孔率、大きい細孔サイズ、低いねじれ、および低い機械的強度はデンドライト成長を招き入れる要因であることが発見または判定されている。これらの望ましくない特性を有するセパレータの例として、露出した不織スパンボンドセパレータ膜が挙げられる。
【0040】
対照的に、および本発明の少なくとも選択された好適な態様、目的、または実施形態によれば、少なくとも特定的な好適な単一層、2層、3層、および4層以上のミクロ多孔性電池セパレータまたは膜(例えばノースカロライナ州シャーロットのCelgard有限責任会社製のCelgard(登録商標)セパレータなど)は、デンドライト成長を防止するにあたり望ましい細孔サイズ、細孔サイズ分布、多孔率、ねじれ、および機械的強度のバランスを有する。Celgard(登録商標)ミクロ多孔性電池セパレータ膜は例えばドライプロセスまたはウェットプロセスのいずれかにより作られ得る。それらの特有のミクロ多孔性構造、特性、層、その他は、デンドライト成長が抑制されるよう最適化され得る。
【0041】
少なくとも特定的な好適なCelgard(登録商標)ミクロ多孔性セパレータまたは膜における細孔は、デンドライトがアノードからセパレータを通ってカソードに成長することを制限する相互接続された曲線状経路の網状組織を提供する。多孔性網状組織が曲がりくねるほど、セパレータ膜のねじれは大きくなる。係るCelgard(登録商標)ミクロ多孔性セパレータ膜の高いねじれは、リチウムイオン電池のサイクル寿命性能および安全性を改善することに関して重要な役割を果たし得る特有の特徴である。
【0042】
セル故障を回避するために電池内の電極間で高いねじれを有するミクロ多孔性セパレータ膜を有することが有利であることが発見されている。直線状の細孔を有する膜は均一なねじれを有するものとして定められる。1より大きいねじれ値がデンドライトの成長を防止する少なくとも特定的な好適な電池セパレータ膜において望まれる。1.5を越えるねじれ値がより好適である。2を越えるねじれ値を有するセパレータがさらに好適である。
【0043】
少なくとも特定的な好適なドライおよび/またはウェットプロセスセパレータ(例えばCelgard(登録商標)電池セパレータなど)のミクロ多孔性構造のねじれは、デンドライト成長を抑制および防止することにおいて重要な役割を果たす。少なくとも特定的なCelgardミクロ多孔性セパレータ膜における細孔は、デンドライトがアノードからセパレータを通ってカソードに成長することを制限する相互接続された曲線状経路の網状組織を提供し得る。多孔性網状組織が曲がりくねるほど、セパレータ膜のねじれは大きくなる。
【0044】
少なくとも特定的な好適なミクロ多孔性セパレータ膜(例えばノースカロライナ州シャーロットのCelgard有限責任会社製のCelgard(登録商標)膜など)の高いねじれは、リチウムイオン電池のサイクル寿命性能および安全性を改善することに関して重要な役割を果たし得る特有の特徴である。セル故障を回避するために充電式電池内の電極間で高いねじれを有するミクロ多孔性セパレータ膜を有することが有利であることが発見されている。セパレータの全体的ねじれをさらに増加させるための発明的な方法は、図1に示すように多層セパレータ膜の層間における境界面を形成することである。境界面は、多層セパレータ膜の製造時に多孔性ポリマー層が他の多孔性ポリマー層または別の多孔性ポリマー層に積層または共押出しされると、形成される。多孔性ポリマー層の接合部に形成されたこの境界面は、それ自体の細孔サイズ、多孔率、肉厚、およびねじれにより定めされたミクロ多孔性構造を有する。多層ミクロ多孔性セパレータ膜を形成するために一緒に接合されたミクロ多孔性ポリマー層の層の個数に応じて、電池セパレータ膜の全体的ねじれと、デンドライト成長をブロックするより優れた性能と、に寄与する複数の境界層
が形成され得る。
【0045】
さらに、強化されたねじれ層または中間層をセパレータ膜に含むことにより、デンドライトの堆積の防止およびセパレータ膜を通るデンドライト成長の防止のために2次的充電式リチウムイオン電池セパレータ膜を最適化するための、少なくとも特定的な好適な事例または方法は、
1.ポリプロピレン(PP)およびポリエチレン(PE)多層積層物ミクロ多孔性セパレータ膜(例えばCelgard(登録商標)ドライ伸長プロセスにより製造される)は、図1に示すようにポリプロピレン層およびポリエチレン層の接合部に中間層を有する。この境界面は積層プロセスステップの間に形成され、その多孔率、細孔サイズ、およびねじれにより定められる特有の微細構造を有する。この境界面は、より小さい細孔サイズと、相互接続された細孔のより高いねじれ網状組織と、の領域を提供し、それにより、リチウムデンドライトが成長することと、リチウムデンドライトが多層膜構造を貫通することと、を妨げる、防止する、または阻止するためのセパレータ膜の能力が増強されることとなる。
2.共押出し方法により製造されたポリプロピレンおよびポリエチレン多層セパレータ膜は、当該膜の無孔性ポリプロピレンおよびポリエチレン層が共押出しダイから出る際に形成された特有の中間層を有する。この層はさらに、無孔性膜が共押出しダイから出る際にポリプロピレンおよびポリエチレン層の境界面において作られたエピタキシャル領域またはエピタキシャル層として画成される。エピタキシャル層の形成は、多層無孔性膜(または膜前駆体)がダイから出る際における層状結晶構造の成長に伴って生じる。
3.ドライプロセスを使用して製造された特定的な単一層ミクロ多孔性セパレータ膜もリチウムデンドライト成長を防止するにあたり好適な微細構造を有し得る。
4.ウェットプロセスを使用して製造された単一層および多層ミクロ多孔性セパレータ膜もリチウムデンドライト成長を防止するにあたり好適な微細構造を有し得る。
5.ミクロ多孔性電池セパレータまたは膜の表面に適用された多孔性被覆は、セパレータ膜を通るデンドライト成長を低減または防止するよう機能する曲線状多孔性網状組織を提供する微細構造を有し得る。多孔性被覆は片面であってもよく、または両面であってもよい。被覆層(単数または複数)をミクロ多孔性電池セパレータまたは膜に適用することは、デンドライト成長の低減化に対して、さらに有利な効果を有する。1つまたは複数の被覆層(例えばフッ化ポリビニリデン(PVdF)、PVDF-HFPコポリマー)をCelgard(登録商標)微孔性膜の一方の表面または両方の表面に適用することは、電池電極に対するセパレータ膜の接着を改善する。被覆セパレータと電池電極との間の良好な接着は、セパレータと電極との間の接触を改善し、それによりリチウムの堆積およびデンドライト成長の開始のための空隙間隔がより小さくなる。
6.ミクロ多孔性電池セパレータまたは膜の表面に適用されたセラミック被覆(例えば結合剤中のセラミック粒子として)は、セパレータ膜を通るデンドライト成長を低減または防止するよう機能する曲線状多孔性網状組織を提供する微細構造を有する。多孔性被覆は片面であってもよく、または両面であってもよい。被覆層(単数または複数)をミクロ多孔性電池セパレータまたは膜に適用することは、デンドライト成長の低減化に対して、さらに有利な効果を有する。
【0046】
特定的な好適な係るCelgard(登録商標)多層セパレータは、例えばLi-S、Li-LCO、Li-LMO、SnLi、SiLiなど多数のリチウム金属ベースの充電式電池システムにおいて、およびLi-Mn02、Li-FeS2などの非充電式電池システムにおいて、優れた性能を発揮し得るであろう。さらにCelgard(登録商標)多層セパレータはリチウム/空気電池システムにおいても使用され得る。
【0047】
加えて被覆層(単数または複数)を特定的なセパレータ(例えばCelgard(登録商標)セパレータなど)に適用することは、セパレータ膜内へのデンドライトの成長およ
び浸透の低減化に対して、さらに有利な効果を有する。多孔性被覆の微細構造は、リチウムデンドライトの成長を防止するための追加的な高ねじれ多孔性網状組織層も提供し得る。
【0048】
さらに、例えばポリマーフッ化ポリビニリデン(PVdF)などの被覆層を、微孔性膜(例えばCelgard(登録商標)微孔性膜など)の一方または両方の表面に適用することは、電極に対するセパレータ膜の接着を改善し得る。セパレータ膜が電極に対して良好に接着することは、セパレータと電極との間の接触を改善し、それによりリチウムの堆積が生じるために存在する空隙間隔がより小さくなり、デンドライト成長が開始するための空隙間隔がより小さくなることとなる。
【0049】
図1は、通常のCelgard(登録商標)PP/PE/PPの3層セパレータ膜に存在する2つの境界面を概略的に図示する。この種類のセパレータは、3層セパレータ膜の外側レイヤにおいて、より小さいPP細孔と、3層の内側層において、より大きいPE細孔と、を有する。
【0050】
ここで使用されるポリオレフィンとは、単純オレフィンから誘導された熱可塑性物質ポリマーに対するクラス名またはグループ名を指す。代表的なポリオレフィンはポリエチレンおよびポリプロピレンを含む。ポリエチレンとは、例えば、実質的にエチレンモノマーからなるポリマーおよびコポリマーを指す。ポリプロピレンとは、例えば、実質的にプロピレンモノマーからなるポリマーおよびコポリマーを指す。
【0051】
発明的なセパレータが作られるプロセスは、広範にはドライプロセス、ウェットプロセス、粒子伸長プロセス、BNBOPPプロセス、および/またはその他を含むが、必ずしもこれらに限定されない。非限定的な例として、以下の参照(それぞれの参照は、参照することにより本明細書に援用される)すなわち米国特許第3,426,754号、米国特許第3,588,764号、米国特許第3,679,538号、米国特許第3,801,404号、米国特許第3,801,692号、米国特許第3,843,761号、米国特許第3,853,601号、米国特許第4,138,459号、米国特許第4,539,256号、米国特許第4,726,989号、米国特許第4,994,335号、米国特許第6,057,060号、および米国特許第6,132,654号は、膜を作るための現状技術を示す。なお前述の各特許は参照することにより本明細書に援用される。これらの方法の知識は、極薄型または超薄型の膜(肉厚は好適には約1/2ミル未満)を作るための発明的なプロセスにおいて前提とされる。
【0052】
通常の試験手順
JISガーレー
ガーレーは、日本工業規格(JIS)ガーレーとして定められ、OHKEN透気度試験機を使用して測定される。JISは、100ccの空気が4.9インチの一定水圧において1平方インチの薄膜を通過するために必要な時間(単位は秒)として定められる。
【0053】
肉厚
肉厚は、ASTM D374にしたがって、Emveco Microgage 210-A精密マイクロメータを使用して測定される。肉厚値はミクロン、μmの単位で報告される。
【0054】
多孔率
パーセンテージで表現される多孔率は、ASTM D-2873を使用して測定され、微孔性膜内の空隙間隔%として定めされる。
【0055】
張力特性
縦方向(MD)および横方向(TD)張力強度はASTM-882手順にしたがってInstron Model 4201を使用して測定される。
【0056】
サーマルシャットダウン
サーマルシャットダウンは、温度が直線的に増加される間にセパレータ膜のインピーダンスを測定することにより判定される。図17を参照されたい。シャットダウン温度は、インピーダンスまたは電気抵抗(ER)が千倍に増加する温度として定められる。インピーダンスにおける千倍の増加は、電池セパレータ膜が電池における熱暴走を停止させるために必要である。インピーダンスの増加はセパレータ膜の溶解に起因する細孔構造における崩壊に対応する。
【0057】
収縮
収縮は、変更されたASTM D-2732-96手順を使用して60分間90、105、および120℃で測定される。
【0058】
穿孔強度
穿孔強度はASTM D3763に基づいてInstron Model 4442を使用して測定される。穿孔強度の単位はグラムである。測定は伸長された製品の幅の全体にわたって実施され、平均穿孔エネルギー(穿孔強度)は試験試料を穿孔するにあたり要求される力として定められる。
【0059】
細孔サイズ
細孔サイズはPMI(Porous Materials社)から入手可能なAquaporeを使用して測定される。細孔サイズはミクロン、μmで表現される。代表的な極薄型または超薄型のセパレータ構築または構成は、
4(セラミック/PP/PE/PP)、5(セラミック/PP/PE/PP/セラミック)、または6層(セラミック/PP/PE/PE/PP/セラミック);
全PEまたは全PPセパレータ、多プライまたは多層・全PPまたは全PE、共押出しされた崩壊気泡、および/または積層化;
2層、3層、4層または多プライ・全PEセパレータ、3(セラミック/PE/PE)、4(セラミック/PE/PE/セラミック)、4(セラミック/PE/PE/PE)、5(セラミック/PE/PE/PE/セラミック)、5(セラミック/PE/PE/PE/PE)、または6層(セラミック/PE/PE/PE/PE/セラミック);
3(セラミック/PE/PVDF)、4(セラミック/PE/PE/セラミック)、4(セラミック/PE/PE/PE)、5(セラミック/PE/PE/PE/セラミック)、5(セラミック/PE/PE/PE/PE)、または6層(セラミック/PE/PE/PE/PE/セラミック);
セラミックを有する全PP、例えば3(セラミック/PP/PP)、4(セラミック/PP/PP/セラミック)、4(セラミック/PP/PP/PP)、5(セラミック/PP/PP/PP/セラミック)、5(セラミック/PP/PP/PP/PP)、または6層(セラミック/PP/PP/PP/PP/PP/セラミック);
セラミックを有するPP/PE、例えば3(セラミック/PE/PP)、3(セラミック/PP/PE)、4(セラミック/PE/PP/セラミック)、4(セラミック/PP/PE/PP)、4(セラミック/PE/PE/PP)、4(セラミック/PP/PP/PE)、4(セラミック/PP/PE/PE)、5(セラミック/PP/PE/PP/セラミック)、5(セラミック/PE/PE/PP/PP)、5(セラミック/PP/PE/PE/PP)、6(セラミック/PE/PE/PP/PP/セラミック)、または6層(セラミック/PP/PE/PE/PP/セラミック);
PVDFを有する全PE、例えば3(PE/PE/PVDF)、4(PVDF/PE/P
E/PVDF)、4(PVDF/PE/PE/PE)、5(PVDF/PE/PE/PE/PVDF)、5(PVDF/PE/PE/PE/PE)、6層(PVDF/PE/PE/PE/PE/PVDF);
セラミックおよびPVDFを有する全PE、例えば3(セラミック/PE/PVDF)、4(セラミック/PE/PE/PVDF)、5(セラミック/PE/PE/PE/PVDF)、6層(セラミック/PE/PE/PE/PE/PVDF);
PVDFを有する全PP、例えば3(PP/PP/PVDF)、4(PVDF/PP/PP/PVDF)、4(PVDF/PP/PP/PP)、5(PVDF/PP/PP/PP/PVDF)、5(PVDF/PP/PP/PP/PP)、または6層(PVDF/PP/PP/PP/PP/PVDF);
セラミックおよびPVDFを有する全PP、例えば4(セラミック/PP/PP/PVDF)、5(セラミック/PP/PP/PP/PVDF)、または6層(セラミック/PP/PP/PP/PP/PP/PVDF);
PVDFを有するPP/PE、例えば3(PVDF/PE/PP)、3(PVDF/PP/PE)、4(PVDF/PE/PP/PVDF)、4(PVDF/PP/PE/PP)、4(PVDF/PE/PE/PP)、4(PVDF/PP/PP/PE)、
4(PVDF/PP/PE/PE)、5(PVDF/PP/PE/PP/PVDF)、5(PVDF/PE/PE/PP/PP)、5(PVDF/PP/PE/PE/PP)、5(PVDF/PP/PP/PE/PE)、6(PVDF/PE/PE/PP/PP/PVDF)、6(PVDF/PE/PP/PP/PE/PVDF)、6層(PVDF/PP/PE/PE/PP/PVDF);
セラミックおよびPVDFを有するPP/PE、例えば4(セラミック/PE/PP/PVDF),4(セラミック/PP/PE/PVDF),5(セラミック/PE/PE/PP/PVDF),5(セラミック/PP/PP/PE/PVDF),5(セラミック/PP/PE/PE/PVDF),5(セラミック/PP/PE/PP/PVDF),6(セラミック/PE/PE/PP/PP/PVDF),6(セラミック/PP/PE/PE/PP/PVDF),6(セラミック/PE/PP/PP/PE/PVDF),または6層(セラミック/PP/PP/PE/PE/PVDF);および/または、その他
を含むが、必ずしもこれらに限定されない。
【0060】
極薄型または超薄型のセパレータまたは膜を、セラミック被覆と、PVDF被覆と、デンドライト防止と、シャットダウンと、共押出しと、ドライプロセス、および/またはその他と、組み合わせることにより、最適化された、新しい、新規の、特有の、または改善されたセパレータが製造される。
【0061】
アニーリングおよびストレッチの条件に関しては、プライ間接着(剥離強度として測定される)は、個々のプライが引き離されるときに分裂(すなわち裂断)しないよう、標準的プロセスのプライ間接着よりも低い値となり得る。分裂に抗する能力はプライの肉厚に比例する。したがってプライが(接着のために)互いに固着し、係る固着が分裂耐性よりも大きい場合、プライは分裂することなく分離され(引き離され)得ない。例えば約1ミルの肉厚を有するプライの接着が約15グラム/インチ未満であるのに対し、0.5ミルのプライに関しては、接着は約8グラム/インチ未満であり得、0.33ミルのプライに関しては、接着は約5グラム/インチ未満であり得る。接着値を低くするために、発明的なプロセスに対するアニーリング/ストレッチ温度は、標準的なプロセスに対するアニーリング/ストレッチ温度よりも低い値となり得る。
【0062】
以下の特許、すなわち2012年3月12日に出願された米国仮特許出願整理番号第61/609,586号、および2012年7月8月7日に出願された米国特許出願整理番号第61/680,550号は、参照することにより本明細書に援用される。
【0063】
少なくとも選択された態様、目的、または実施形態によれば、最適化された、新規の、または改善された膜、電池セパレータ、電池、および/またはシステム、および/または製造、使用、および/または最適化の関連方法が提供される。少なくとも選択された実施形態によれば、本発明は、シャットダウンの提供、デンドライト成長に起因する内部短絡の防止、またはその両方を行う、新規の、または改善された電池セパレータに、係るセパレータを組み込む電池に、係る電池を組み込むシステムに、および/または、係るシステムを製造、使用、および/または最適化する関連方法に、関する。少なくとも特定的な実施形態によれば、本発明は、新規のまたは改善された、極薄型または超薄型の膜または電池セパレータに、および/または、係るセパレータを組み込むリチウム一次電池、セル、またはパックに、および/または、係る電池、セル、またはパックを組み込むシステムに、関する。
【0064】
本発明の少なくとも1つの態様によれば、炭素ベースのアノード物質およびリチウム金属アノード物質を使用する実質的に全部の充電式リチウムイオン電池、特にスタンドアロン不織型セパレータ膜を使用する電池が、セパレータ膜を通るリチウムデンドライト成長を経験することと、係る現象を考慮する必要があること、電池のセパレータ膜を通るデンドライト成長を防止する必要があること、および時期尚早のセル故障を防止するため、且つより長い寿命のリチウム電池およびリチウムイオン電池を製造するために、デンドライト成長に起因する内部短絡(単数または複数)を防止する必要があることと、が発見された。
【0065】
炭素ベースまたはリチウム金属アノードを有する充電式リチウムイオン電池を充電する際、カソードからのリチウムイオンは、電解質媒体を介してミクロ多孔性セパレータ膜を通り電池のアノードに輸送される。逆の現象が放電の際に生じ、アノードからのリチウムイオンがカソードに移動する。連続的な充電・放電サイクルとともに、リチウム金属の微細な繊維または触毛(リチウムデンドライトと故障される)がアノードの表面上で形成され成長すると考えられる。これらのデンドライトはアノード表面から、電子経路を確立するセパレータを通って蓄積および成長する。その結果、短絡が生じ、電池の故障が発生することとなる。衰えることないデンドライト成長は熱暴走を生じさせ得、それによりリチウムイオン電池の安全性が損なわれることとなる。デンドライトの成長はリチウムイオン電池の性能に対してさらなる有害影響を有する。デンドライト形成は、充電式リチウムイオン電池のサイクル寿命を短縮することが知られている。
【0066】
本発明の少なくとも他の態様、目的、または実施形態によれば、デンドライト成長が解決または防止されるよう、および係る新規のまたは改善されたセパレータを組み込む、より長寿命のリチウムイオン電池が製造されるよう、電池セパレータ膜が設計、最適化、製造、および/または処理され得ることが発見された。
【0067】
アノードの表面から、および/または固体電解質界面(SEI)の表面から、成長するリチウムデンドライトは、デンドライトがセパレータ膜に向かって成長し当該膜を完全に貫通してセパレータ膜の反対側に到達すると、電池の性能および安全性に関する問題を生じさせ得る。リチウムデンドライトが成長し、正極および負極を接続するデンドライトブリッジが形成されると、電池は、短絡し、正常な機能を果たし得なくなってしまう。衰えることないデンドライト成長は熱暴走を生じさせ得、それによりリチウムイオン電池の安全性が損なわれることとなる。デンドライトの成長はリチウムイオン電池の性能に対してさらなる有害影響を有する。デンドライト形成は、充電式リチウムイオン電池のサイクル寿命を短縮することが知られている。デンドライト成長の抑制および阻止は充電式リチウムイオン電池の性能改善における第1の関心事である。デンドライト成長の抑制および阻止する重要な方法は、適切または最適化されたミクロ多孔性電池セパレータ膜を使用することである。
【0068】
本発明は、本発明の精神および本質的な属性から逸脱することなく他の特定的な形態で具体化され得る。したがって本発明の範囲を示すものとして、前述の請求項よりもむしろ添付の請求項を参照すべきである。
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