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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】圃場作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240412BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
A01B69/00 303M
A01C11/02 331D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022142381
(22)【出願日】2022-09-07
(62)【分割の表示】P 2021109023の分割
【原出願日】2017-12-14
(65)【公開番号】P2022173259
(43)【公開日】2022-11-18
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健次
(72)【発明者】
【氏名】宮西 吉秀
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-153819(JP,A)
【文献】特開2017-136012(JP,A)
【文献】特開2017-123829(JP,A)
【文献】特開2016-024541(JP,A)
【文献】特開2004-201530(JP,A)
【文献】特開平02-009304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0110358(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 69/00
A01C 11/02
G05D 1/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場で作業走行する走行機体と、
前記圃場に対する作業を行う作業装置と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記作業走行が所定の状態であるか否かを検知する検知手段と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作されると操作信号を出力する操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記自動走行制御が実行されている際に、前記所定の状態が検知されてから所定の時間が経過するまでに前記操作信号が出力されない場合は前記自動走行制御を終了し、且つ、前記所定の状態が検知されてから前記所定の時間が経過する前に前記操作信号が出力される場合は前記自動走行制御を継続し、
前記検知手段は、前記圃場の障害物を検知し、
前記所定の状態は、前記障害物が検知された状態である圃場作業機。
【請求項2】
圃場で作業走行する走行機体と、
前記圃場に対する作業を行う作業装置と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記作業走行が所定の状態であるか否かを検知する検知手段と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作されると操作信号を出力する操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記自動走行制御が実行されている際に、前記所定の状態が検知されてから所定の時間が経過するまでに前記操作信号が出力されない場合は前記自動走行制御を終了し、且つ、前記所定の状態が検知されてから前記所定の時間が経過する前に前記操作信号が出力される場合は前記自動走行制御を継続し、
前記作業装置を作業状態または非作業状態に切替操作可能な作業操作具をさらに備え、
前記所定の状態は、前記作業操作具に対する人為操作に基づく前記作業装置の前記非作業状態への切り替え、および、前記操向操作具に対する人為操作に基づく畦際旋回の少なくともいずれかが検知された状態である圃場作業機。
【請求項3】
圃場で作業走行する走行機体と、
前記圃場に対する作業を行う作業装置と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記作業走行が所定の状態であるか否かを検知する検知手段と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作されると操作信号を出力する操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記自動走行制御が実行されている際に、前記所定の状態が検知されてから所定の時間が経過するまでに前記操作信号が出力されない場合は前記自動走行制御を終了し、且つ、前記所定の状態が検知されてから前記所定の時間が経過する前に前記操作信号が出力される場合は前記自動走行制御を継続し、
前記検知手段は、前記走行機体の機体前方の前記圃場の畦際を検知し、
前記所定の状態は、前記畦際が検知された状態である圃場作業機。
【請求項4】
前記検知手段による前記畦際の検知に基づいて、前記畦際と前記走行機体との距離を算定可能な距離算定手段をさらに備え、
前記自動走行制御部は、前記距離が所定の距離以下となることにより前記走行機体を停止させる請求項3に記載の圃場作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場で、目標移動経路に沿って自動走行する圃場作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、圃場で作業走行する走行機体(文献では符号「C」)と、走行機体を操向操作可能な操向操作具(文献では「操向ハンドル43」)と、走行機体の機体前方の圃場の畦際を検知する検知手段(文献では「畦際検知モジュール81」)と、走行機体が走行するための経路を設定する経路設定部(文献では「走行経路算定部85」)と、当該経路に沿って走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部(文献では「自動操舵部82」)と、が備えられた圃場作業車両が開示されている。走行機体と畦際領域との距離が検知手段に基づいて検知され、当該検知に基づいて畦際領域の接近や畦際領域の到達が報知され、走行機体の減速、停止などの指令が出力可能なように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-123829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の圃場作業車両では、畦際領域の検知に基づいて走行機体の減速や停止の指令が出力されると、その後は人為操作によって走行機体の走行が行われる。しかしながら、圃場作業車両の作業走行中に自動走行制御が終了して人為操作に切換えられる構成では、走行機体が圃場の畦際に接近する箇所で作業軌跡が乱れたりする虞がある。このことから、搭乗者が前方の畦際で停止する意思を確認できれば、走行機体が圃場の畦際に接近する場合であっても自動走行制御が終了せずに継続される方が望ましい。
【0005】
上述の実情に鑑みて、本発明の目的は、効率的に自動走行制御が継続可能な圃場作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の圃場作業機は、
圃場で作業走行する走行機体と、
前記圃場に対する作業を行う作業装置と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記作業走行が所定の状態であるか否かを検知する検知手段と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作されると操作信号を出力する操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記自動走行制御が実行されている際に、前記所定の状態が検知されてから所定の時間が経過するまでに前記操作信号が出力されない場合は前記自動走行制御を終了し、且つ、前記所定の状態が検知されてから前記所定の時間が経過する前に前記操作信号が出力される場合は前記自動走行制御を継続し、
前記検知手段は、前記圃場の障害物を検知し、
前記所定の状態は、前記障害物が検知された状態である。
また、圃場で作業走行する走行機体と、
前記圃場に対する作業を行う作業装置と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記作業装置を作業状態または非作業状態に切替操作可能な作業操作具と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作されると操作信号を出力する操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力されない場合は、前記作業操作具に対する人為操作に基づく前記作業装置の前記非作業状態への切り替え、および、前記操向操作具に対する人為操作に基づく畦際旋回の少なくともいずれかが検知されることにより前記自動走行制御を終了し、且つ、前記操作信号が出力される場合は、前記作業装置の前記非作業状態への切り替え、および、前記畦際旋回の少なくともいずれかが検知されている場合であっても前記自動走行制御を実行する。
また、圃場で作業走行する走行機体と、
前記走行機体を操向操作可能な操向操作具と、
前記走行機体の機体前方の圃場の畦際を検知する検知手段と、
前記検知手段による圃場の畦際の検知に基づいて、前記畦際と前記走行機体との距離を算定可能な距離算定手段と、
前記走行機体が走行するための目標移動経路を設定する経路設定部と、
前記目標移動経路に沿って前記走行機体が走行するように自動走行制御する自動走行制御部と、
人為操作によって操作信号を出力可能な操作具と、が備えられ、
前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力される場合は前記自動走行制御を実行することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、操作信号が操作具の人為操作によって出力可能なように構成され、自動走行制御が操作信号に基づいて実行される構成であるため、搭乗者の意思によって自動走行制御を実行でき、搭乗者が畦際で停止する意思を操作信号によって検知可能となる。
また、操作具は操作信号を出力可能な構成であるため、例えば操作具が人為操作される場合であっても一義的に操作信号が出力されない構成にすることも可能となる。このため、搭乗者の誤操作に起因する自動走行制御の継続を防止し易くなる。その結果、搭乗者が畦際で停止する意思を検知する手段が備えられ、走行機体が圃場の畦際に接近する場合であっても自動走行制御が終了せずに継続可能な圃場作業機が実現される。
【0008】
本構成において、
前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力されない場合は前記検知手段による畦際検知に基づいて前記自動走行制御を終了し、且つ、前記操作信号が出力される場合は前記検知手段により前記畦際が検知されている場合であっても前記自動走行制御を実行すると好適である。
【0009】
本構成によれば、検知手段によって畦際の接近が検知された場合であっても、搭乗者が操作具を人為操作することによって自動走行制御を継続できる。このため、搭乗者が圃場の畦際を確認しながら自動走行制御を畦際まで継続できる。
【0010】
本構成において、
前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力されない場合は前記検知手段による畦際検知に基づいて少なくとも走行機体の車速を減速し、且つ、前記操作信号が出力される場合は前記検知手段により前記畦際が検知されている場合であっても前記自動走行制御を実行すると好適である。
【0011】
本構成であれば、検知手段によって畦際の接近が検知されると、少なくとも走行機体の車速が減速する構成となっているため、走行機体が畦と接触する虞を低減できる。このため、圃場の畦際における走行機体の走行が一層好適なものとなり、搭乗者が圃場の畦際を確認し易くなる。また、検知手段によって畦際の接近が検知される場合であっても、走行機体の車速が減速した状態で、自動走行制御を畦際まで継続する構成も可能となる。
【0012】
本構成において、
前記自動走行制御部は、前記検知手段により畦際が検知されている場合であっても、前記操作信号が出力されている間に亘って前記自動走行制御を実行し、前記操作信号が停止すると前記自動走行制御を終了すれば好適である。
【0013】
本構成であれば、例えば操作信号のレベルが一定値以上の場合に自動走行制御が継続される構成が可能であり、動走行制御の継続及び終了が簡易な回路構成で可能となる。
【0014】
本構成において、
前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力されない場合は前記検知手段が検出した前記畦際までの距離が第一設定距離に達すると前記自動走行制御を終了し、且つ、前記操作信号が出力される場合は前記検知手段が検出した前記畦際までの距離が前記第一設定距離に達しても前記自動走行制御を実行すると共に、前記畦際までの距離が前記第一設定距離よりも短い第二設定距離に達したら前記自動走行制御を終了すると好適である。
【0015】
本構成によると、検知手段による畦際の検知が、第一設定距離と第二設定距離との二段階で構成されている。走行機体が第一設定距離と第二設定距離との間に位置する場合、搭乗者が操作具を操作することによって、圃場の畦際を確認しながら自動走行制御の継続が可能となる。また、走行機体が第二設定距離よりも畦際寄りに位置する場合、自動走行制御が強制的に終了する構成であるため、搭乗者が操作具を誤操作した場合であっても、走行機体が畦に接触する虞が回避される。
【0016】
本構成において、
前記畦際と前記走行機体との離間距離が前記第一設定距離より短い状態で、前記自動走行制御部は、前記操作信号が出力されている間に亘って前記自動走行制御を実行し、前記操作信号が停止すると前記自動走行制御を終了すれば好適である。
【0017】
本構成であれば、例えば操作信号のレベルが一定値以上の場合に自動走行制御が継続される構成が可能であり、動走行制御の継続及び終了が簡易な回路構成で可能となる。
【0018】
本構成において、
前記走行機体の各種状態を報知する報知部が更に備えられ、
前記報知部は、前記畦際と前記走行機体との離間距離が前記第一設定距離より短い状態を報知するように構成され、
前記自動走行制御の実行が、前記報知部の報知の開始以降に前記操作具の人為操作が開始されることによって行われると好適である。
【0019】
本構成によると、走行機体が第一設定距離と第二設定距離との間に位置する状態が搭乗者に報知されるため、報知後に搭乗者が圃場の畦際の接近を認識した上で操作具を操作することによって、自動走行制御の継続が可能となる。つまり、本構成であれば、搭乗者が畦際で停止する意思を検知可能となる。
【0020】
本構成において、
前記操作具が、当該操作具に対する人為操作を継続している間は前記操作信号が出力され、且つ、前記人為操作を停止すると前記操作信号の出力が停止するように構成されていると好適である。
【0021】
本構成であれば、例えば操作具の操作を継続すると一定値以上のレベルの操作信号が出力され、操作信号のレベルが一定値以上の場合に自動走行制御が継続される構成が可能となる。これにより、操作具の操作と連動した操作信号の出力を容易に構成可能となる。
【0022】
本構成において、
前記操作具の操作によって前記走行機体の車速が減速し、前記操作信号の出力が継続する間、前記走行機体の車速の減速状態が継続すると好適である。
【0023】
本構成であれば、走行機体が畦際に接近した状態であっても、搭乗者は、圃場の畦際を確認しながら自動走行制御を継続し、自動走行制御の終了タイミングを計り易くなる。
【0024】
本構成において、
予め設定された移動経路に沿った前記作業走行と次の前記目標移動経路に向けて旋回する旋回走行とを交互に繰り返して前記走行機体が走行する場合に、前記操作具が一度操作されると、前記走行機体が前記旋回走行を行ったのちに前記作業走行を開始した直後においては、前記走行機体が前記移動経路と平行な場合に前記自動走行制御が開始されると好適である。
【0025】
本構成であれば、一つの目標移動経路に沿う自動走行制御が終了した後に次の目標移動経路に沿う自動走行制御を、一回の操作で可能となるため、搭乗者による操作具の操作頻度が軽減され、搭乗者が受ける煩わしさが低減される。
【0026】
本構成において、
前記操向操作具はハンドルであり、
前記自動走行制御は、前記ハンドルの操舵角度が予め設定された角度範囲であり、かつ、前記走行機体が前記作業走行の開始後に予め設定された距離を走行した後に開始されると好適である。
【0027】
本構成であれば、走行機体が畦際で旋回した後に、搭乗者がハンドルを操作することによって走行機体の調整を行うだけで自動走行制御の開始が可能となる。これにより、搭乗者が受ける煩わしさが一層低減される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】田植機の全体側面図である。
図2】田植機の全体平面図である。
図3】田植機の正面図である。
図4】制御構成を示すブロック図である。
図5】自動走行制御の動作を示す田面全体での平面視の説明図である。
図6】複数の圃場における自動走行制御の動作を示す平面視の説明図である。
図7】目標移動経路に沿う自動走行制御に関する平面視の説明図である。
図8】畦際接近状態の判定時における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
図9】畦際接近状態における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
図10】畦際接近状態における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
図11】畦際接近状態における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
図12】畦際接近状態における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
図13】畦際接近状態における走行モードの切換えのロジックグラフを示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔圃場作業機の基本構成〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の圃場作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。なお、図2に示されているように、本実施形態では、矢印Fが走行機体Cの機体前部側、矢印Bが走行機体Cの機体後部側、矢印Lが走行機体Cの機体左側、矢印Rが走行機体Cの機体右側である。
【0030】
図1乃至図3に示されているように、乗用型田植機には、左右一対の操舵車輪10と、左右一対の後車輪11とを有する走行機体Cと、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての苗植付装置Wと、が備えられている。左右一対の操舵車輪10は、走行機体Cの機体前側に設けられて走行機体Cの向きを変更操作自在なように構成され、左右一対の後車輪11は、走行機体Cの機体後側に設けられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行機体Cの後端に昇降自在に連結されている。
【0031】
走行機体Cの前部には、開閉式のボンネット12が備えられている。ボンネット12の先端位置には、マーカ装置33によって圃場に描かれる指標ライン(不図示)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット14が備えられている。走行機体Cには、前後方向に沿って延びる機体フレーム15が備えられ、機体フレーム15の前部には支持支柱フレーム16が立設されている。
【0032】
ボンネット12内には、エンジン13が備えられている。詳述はしないが、エンジン13の動力が、機体に備えられた変速装置を介して操舵車輪10及び後車輪11に伝達され、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置Wに伝達される。
【0033】
図1及び図2に示されているように、苗植付装置Wに、四個の伝動ケース22と、八個の回転ケース23と、整地フロート25と、苗載せ台26と、マーカ装置33と、が備えられている。回転ケース23は、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース23の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム24が備えられている。整地フロート25は、圃場の田面を整地するものであり、苗植付装置Wに複数備えられている。苗載せ台26に、植え付け用のマット状苗が載置される。マーカ装置33は、苗植付装置Wの左右側部に備えられ、圃場の田面に指標ライン(不図示)を形成する。
【0034】
苗植付装置Wは、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動して、苗載せ台26の下部から各植付アーム24により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。苗植付装置Wは、八個の回転ケース23に備えられた植付アーム24により苗を植え付ける八条植え型式に構成されている。なお、苗植付装置Wは、四条植え型式であったり、六条植え型式であったり、七条植え型式であったり、十条植え型式であったりしても良い。
【0035】
詳述はしないが、マーカ装置33は、作用姿勢と格納姿勢とに切換え可能なように構成されている。作用姿勢の状態で、マーカ装置33は、走行機体Cの走行に伴って圃場の田面に接地して次回の作業行程に対応する田面に指標ライン(不図示)を形成する。格納姿勢の状態で、マーカ装置33は圃場の田面から上方に離れる。マーカ装置33の姿勢切換えは電動モータ(不図示)により行われる。
【0036】
図1乃至図3に示されているように、走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、複数(例えば四つ)の通常予備苗台28と、予備苗台29と、が備えられている。通常予備苗台28は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なように構成されている。予備苗台29は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なレール式に構成されている。走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、各通常予備苗台28と予備苗台29とを支持する背高のフレーム部材としての左右一対の予備苗フレーム30が備えられ、左右の予備苗フレーム30の上部同士が連結フレーム31にて連結されている。
【0037】
図1乃至図3に示されているように、走行機体Cの中央部には、各種の運転操作が行われる搭乗部40が備えられている。搭乗部40には、運転座席41と、操向操舵ユニットUに設けられた操向操作具としての操向ハンドル43と、主変速レバー44と、操作レバー45と、が備えられている。運転座席41は、走行機体Cの中央部に備えられ、搭乗者が着席可能なように構成されている。操向ハンドル43は、人為操作によって操舵車輪10の操向操作を可能なように構成されている。主変速レバー44は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。苗植付装置Wの昇降操作と、左右のマーカ装置33の切換えと、が操作レバー45によって行われる。操向ハンドル43、主変速レバー44、操作レバー45等は、運転座席41の機体前部側に位置する操縦塔42の上部に備えられている。搭乗部40の足元部位には、搭乗ステップ46が設けられている。搭乗ステップ46はボンネット12の左右両側にも延びている。
【0038】
操作レバー45を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(不図示)が切り操作されて苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、昇降用油圧シリンダ20を作動して苗植付装置Wが上昇し、左右のマーカ装置33(図1参照)が格納姿勢に操作される。操作レバー45を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。この下降状態で操作レバー45を右マーカ位置に操作すると、右のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。操作レバー45を左マーカ位置に操作すると、左のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。
【0039】
搭乗者は、田植え作業を開始するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを下降させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を開始させて田植え作業を開始する。そして、田植え作業を停止するときは、操作レバー45を操作して苗植付装置Wを上昇させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を遮断する。
【0040】
搭乗部40の操縦塔42の上部の操作パネル47に、種々の情報を表示可能な表示部48が備えられている。表示部48は、例えばタッチパネル式の液晶表示器であっても良い。また、表示部48の右側には、押し操作式の始点設定スイッチ49Aが備えられ、表示部48の左側には、押し操作式の終点設定スイッチ49Bが備えられている。始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの機能については後述する。
【0041】
主変速レバー44の握り部には、押し操作式の自動走行スイッチ50(操作具)が備えられている。自動走行スイッチ50は、自動復帰型に設けられ、搭乗者が自動走行スイッチ50を押し操作することによって操作信号が出力され、自動走行制御の入り切りの切換えを指令する。自動走行スイッチ50は、主変速レバー44の握り部を手で握った状態で、例えば、親指で押すことができる位置に配置されている。
【0042】
操向操舵ユニットUの自動操向を行う場合には、操向モータ57(図4参照)を駆動することによって操向ハンドル43を回動操作し、操舵車輪10の操向角度を変更するようになっている。自動操向を行わない場合には、操向操舵ユニットUは、操向ハンドル43の人為操作により回動操作することができる。
【0043】
〔自動走行制御の構成〕
次に、自動走行制御を行うための構成について説明する。
走行機体Cに、衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、機体の位置を求める衛星測位ユニット70が備えられている。本実施形態では、衛星測位ユニット70は、DGPS(Differential GPS:相対測位方式)を利用したものであるが、RTK-GPS(Real Time Kinematic GPS:干渉測位方式)を用いることも可能である。
【0044】
具体的には、位置検出手段として、衛星測位ユニット70が測位を行う対象(走行機体C)に備えられている。衛星測位ユニット70は、地球の上空を周回する複数の航法衛星から発信される電波を受信するアンテナ71付きの受信装置72を有する。航法衛星から受信する電波の情報に基づいて、受信装置72すなわち衛星測位ユニット70の位置が測位される。
【0045】
図1乃至図3に示されているように、衛星測位ユニット70は、走行機体Cの前部に位置する状態で、板状の支持プレート73を介して連結フレーム31に取り付けられている。図1及び図3に示されているように、受信装置72が、連結フレーム31と予備苗フレーム30とによって、高い箇所に支持されるものとなる。これにより、受信装置72に受信障害が生じるおそれが少なく、受信装置72における電波の受信感度を高めることができる。
【0046】
衛星測位ユニット70の他に、走行機体Cの方位を検出する方位検出手段として、例えばIMU(Inertial Measurement Unit)74Aを有する慣性計測ユニット74が、走行機体Cに備えられている。慣性計測ユニット74は、IMU74Aに代えてジャイロセンサや加速度センサを有する構成であっても良い。図示はしないが、慣性計測ユニット74は、例えば、運転座席41の後側下方位置であって走行機体Cの横幅方向中央の低い位置に設けられている。慣性計測ユニット74は、走行機体Cの旋回角度の角速度を検出可能であり、角速度を積分することで機体の方位変化角を求めることができる。従って、慣性計測ユニット74により計測される計測情報には走行機体Cの方位情報が含まれている。詳述はしないが、慣性計測ユニット74は、走行機体Cの旋回角度の角速度の他、走行機体Cの左右傾斜角度、走行機体Cの前後傾斜角度の角速度等も計測可能である。
【0047】
図4に示されているように、走行機体Cに制御装置75が備えられている。制御装置75は、自動走行制御が実行される自動走行モードと、自動走行制御が実行されない手動走行モードと、に切換え可能なように構成されている。
【0048】
制御装置75は、経路設定部76と、方位算定部77と、自動走行制御部78と、距離算定部79と、を有する。経路設定部76は、走行機体Cが走行すべき目標移動経路LM(図5参照)を設定する。方位算定部77の詳細は後述する。自動走行制御部78は、衛星測位ユニット70にて計測される走行機体Cの測位データと、慣性計測ユニット74にて計測される走行機体Cの方位情報と、に基づいて、走行機体Cが目標移動経路LMに沿って走行するように、操向モータ57や変速モータ58を制御する。具体的には、制御装置75は、マイクロコンピュータを備えており、経路設定部76と方位算定部77と自動走行制御部78と距離算定部79とが制御プログラムにて構成されている。
【0049】
自動走行制御に用いる目標移動経路LMをティーチング処理によって設定するための設定スイッチ49が備えられている。設定スイッチ49には、始点位置Tsを設定する始点設定スイッチ49Aと、終点位置Tfを設定する終点設定スイッチ49Bと、が備えられている。上述したように、始点設定スイッチ49Aは表示部48の右側に備えられ、終点設定スイッチ49Bは表示部48の左側に備えられている。
【0050】
制御装置75に、衛星測位ユニット70、慣性計測ユニット74、自動走行スイッチ50、始点設定スイッチ49A、終点設定スイッチ49B、操向角センサ60、車速センサ62、障害物検知部63(検知手段)等の情報が入力される。車速センサ62は、例えば、後車輪11に対する伝動機構中の伝動軸の回転速度により車速を検出するように構成されている。障害物検知部63は、走行機体Cの前部及び左右両側部に備えられ、例えば、光波測距式の距離センサであったり、画像センサであったりして、圃場の畦際や圃場内の鉄塔等を検知可能なように構成されている。また、障害物検知部63の検知信号は距離算定部79(距離算定手段)に入力され、走行機体Cと障害物との距離が算出される。障害物検知部63によって障害物が検知されると、例えばブザーや音声案内である報知部59によって搭乗者に検知状態が報知される。制御装置75は報知部59と接続され、報知部59は、例えば車速やエンジン回転数等の状態を報知するように構成されている。報知部59は、表示部48に表示される構成であったりしても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点滅パターンが変わる構成であったりしても良い。
【0051】
始点設定スイッチ49A及び終点設定スイッチ49Bの操作に基づくティーチング処理によって、自動走行すべき目標経路に対応するティーチング経路が、経路設定部76によって設定される。
【0052】
方位算定部77は、慣性計測ユニット74にて検出される走行機体Cの検出方位と、目標移動経路LMにおける目標方位LAと、の角度偏差、即ち方位ずれを算定する。そして、制御装置75が自動走行モードに設定されているとき、自動走行制御部78は、角度偏差が小さくなるように、操向モータ57を制御する。即ち、衛星測位ユニット70及び慣性計測ユニット74によって検出される走行機体Cの検出位置が、目標移動経路LM上の位置になるように、操向モータ57が操作される。
【0053】
〔目標移動経路〕
水田において田植機は、直線状の条植付けの経路に沿って田植え作業を伴う作業走行と、畦際付近で次の条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行と、を交互に繰り返す。図5に、ティーチング経路LTに沿って並列する複数の目標移動経路LMが示されている。本実施形態では、夫々の目標移動経路LM(1)~LM(6)は、経路設定部76によって、以下の手順で設定される。
【0054】
まず、搭乗者は、走行機体Cを圃場内の畦際付近の始点位置Tsに位置させ、始点設定スイッチ49Aを操作する。このとき、制御装置75は手動走行モードに設定されている。そして、搭乗者が手動操縦しながら、始点位置Tsから側部側の畦際の直線形状に沿って走行機体Cを走行させ、反対側の畦際近くの終点位置Tfまで移動させてから終点設定スイッチ49Bを操作する。これにより、ティーチング処理が実行される。つまり、始点位置Tsにおいて衛星測位ユニット70により取得された測位データに基づく位置座標と、終点位置Tfにおいて衛星測位ユニット70により取得された測位データに基づく位置座標と、から始点位置Tsと終点位置Tfとを結ぶティーチング経路LTが設定される。このティーチング経路LTに沿う方向が基準となる目標方位LAとして設定される。なお、終点位置Tfにおける位置座標は、衛星測位ユニット70による測位データのみならず、車速センサ62に基づく始点位置Tsからの距離と、慣性計測ユニット74に基づく走行機体Cの方位情報と、に基づいて算出される構成であっても良い。また、始点位置Tsと終点位置Tfとに亘る走行機体Cの走行は、田植え作業を伴う作業走行であっても良いし、非作業状態の走行であっても良い。
【0055】
ティーチング経路LTの設定完了後、ティーチング経路LTに隣接する条植付けの経路に移動するための畦際旋回走行が行われ、本実施形態では、始点位置Ls(1)に走行機体Cが移動する。畦際旋回走行は、搭乗者が手動で操向ハンドル43を操作することによって行われるものであっても良いし、制御装置75による自動旋回制御によって行われるものであっても良い。このとき、制御装置75は、走行機体Cの検出方位が反転することにより、走行機体Cの旋回が行われたことを判別できる。走行機体Cの検出方位の反転は、衛星測位ユニット70や慣性計測ユニット74によって検知可能である。
【0056】
走行機体Cの旋回は、走行機体Cの検出方位の反転以外に、各種機器の動作によって判別されるものであっても良い。各種機器の動作として、例えば、苗植付装置W、整地ロータ(不図示)、整地フロート25等の上昇動作であったり、サイドクラッチ(不図示)が切られることであったり、苗植付装置Wに対する伝動の遮断であったりしても良い。また、走行機体Cの始点位置Ls(1)への到達が、衛星測位ユニット70によって判別されるものであっても良い。
【0057】
走行機体Cの旋回完了が判別された後、制御装置75の手動走行モードは継続し、人為操作による走行が継続する。この間、制御装置75は、方位算定部77によって算定される走行機体Cの検出方位の方位ずれや、操舵車輪10の向き、操向ハンドル43の操舵角等の判別条件を確認し、自動走行モードに切換え可能な状態であるかどうかを判定する。そして、自動走行モードに切換え可能な状態であれば、人為操作によって、又は、自動的に、経路設定部76によって目標移動経路LM(1)が設定され、制御装置75が手動走行モードから自動走行モードに切換えられる。そして、目標移動経路LM(1)に沿う自動走行制御が開始される。目標移動経路LM(1)は、ティーチング経路LTに隣接した状態で、目標方位LAの方位に沿って設定され、ティーチング処理後に走行機体Cが最初に作業走行を行う目標移動経路LMである。
【0058】
自動走行制御は、目標移動経路LM(1)の始点位置Ls(1)の位置する側の反対側にある終点位置Lf(1)の付近まで継続し、障害物検知部63による畦際の検知に基づいて自動走行制御が終了するが、苗植付装置Wの上昇や走行機体Cの畦際旋回が検知されることによって自動走行制御が終了する構成であっても良い。
【0059】
走行機体Cが目標移動経路LM(1)の終点位置Lf(1)に到達すると、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に隣接する目標移動経路LM(2)が設定される。そして、搭乗者は、目標移動経路LM(1)の未作業領域側に操向ハンドル43を操作して畦際旋回走行を行い、走行機体Cは始点位置Ls(2)に移動する。なお、当該畦際旋回走行は、制御装置75による自動旋回制御によって行われるものであっても良い。
【0060】
以後、前回の目標移動経路LM(1)と同様に、旋回後に判別条件が成立したのちに、人為操作によって、又は、自動的に、目標移動経路LM(2)に沿って自動走行制御が開始され、走行機体Cが作業走行する。走行機体Cが目標移動経路LM(2)の終点位置Lf(2)に到達した後、目標移動経路LM(3),LM(4),LM(5),LM(6)の順番で、畦際旋回走行後の目標移動経路LMの設定と、作業走行と、が繰り返される。つまり、夫々の目標移動経路LMは、一つずつ設定される。更に、全ての目標移動経路LMに沿った作業走行が完了すると、圃場の畦際に沿って周回走行しながら田植え作業が行われ、一つの圃場における田植え作業が完了する。
【0061】
〔ティーチング走行を伴わない目標移動経路の設定〕
図6に示されているように、複数の圃場が畦道を挟んで区画整備された状態で連続的に並ぶ場合、夫々の圃場における作業走行の経路は略同一となる可能性がある。図6に示される圃場F1でティーチング走行が行われ、図5に示されるようなティーチング経路LTが設定されると、ティーチング経路LTに基づいて算出される目標方位LAを、そのまま他の圃場でも利用できる場合が多い。
【0062】
圃場F2において破線で示されるティーチング経路LTは、走行機体Cが、圃場F2において最後に圃場の畦際に沿って周回走行しながら田植え作業を行う経路の上にあり、目標移動経路LMは、ティーチング経路LTよりも当該周回走行の経路よりも圃場内側に隣接して設定される。田植え機が一方の圃場F1で田植え作業を完了し、走行機体Cが他方の圃場F2に移動したとき、まず、搭乗者は、圃場F2の畦際付近にあるティーチング経路LTの開始位置に走行機体Cを位置させる。一方の圃場F1でティーチング走行が行われていると、搭乗者は、他方の圃場F2ではティーチング経路LTの開始位置に走行機体Cを移動させるだけで良く、圃場F2におけるティーチング走行の必要は無い。また、走行機体Cが圃場F2のティーチング経路LTから少々位置ずれしていても良い。そして、搭乗者が例えば終点設定スイッチ49Bを操作することによって、衛星測位ユニット70を用いてティーチング経路LTの開始位置における位置座標が測位されると共に、圃場F2における目標移動経路LMを設定するための原点ZPとして、ティーチング経路LTの開始位置における位置座標がプリセットされる。
【0063】
圃場F1の作業走行で目標方位LAが経路設定部76に記憶されているため、圃場F2においても、目標方位LAの方向に沿う目標移動経路LMが設定される。このとき、圃場F2の目標移動経路LMは、ティーチング経路LTの開始位置から目標方位LAの方向と垂直な方向に位置ずれするように設定される。即ち、ティーチング経路LTの開始位置において原点ZPがプリセットされた後、走行機体Cが圃場F2で最初に作業走行するための、ティーチング経路LTと平行な目標移動経路LM(1)が、苗植付装置Wの作業幅だけ離間して設定される。
【0064】
一般的にDGPSはRTK-GPSよりも測位精度が劣り、DGPSの誤差範囲は数メートルに亘る場合もある。しかし、例えば十秒程度の短時間の間に、DGPSによる二点間の測位が行われる場合、当該二点間における位置の相対的な誤差は極めて小さいことが知られている。つまり、短時間で二点間の相対距離を算出する場合、DGPSによる測位であっても、RTK-GPSによる測位と遜色ない精度が得られる。本実施形態では、このようなDGPSの特性を利用して、ティーチング経路LTの開始位置において原点ZPがプリセットされた後、最初の目標移動経路LM(1)が設定される。そして、最初の目標移動経路LM(1)の始点位置Lsに走行機体Cが移動する。走行機体Cの始点位置Lsへの移動は、搭乗者が手動で操向ハンドル43を操作することによって行われるものであっても良いし、制御装置75による自動旋回制御によって行われるものであっても良い。
【0065】
走行機体Cが始点位置Ls(1)に移動した後、制御装置75が手動走行モードの状態で、走行機体Cは目標移動経路LM(1)に沿って走行し、走行中の位置(自機位置NM)が衛星測位ユニット70によって経時的に測位される。制御装置75は、原点ZPがプリセットされた時の位置座標と、自機位置NMとの位置ずれ幅を算出する。その上で、位置ずれ幅が苗植付装置Wの作業幅と一致又は略一致し、かつ、走行機体Cの検出方位が目標方位LAと一致又は略一致すると、制御装置75は自動走行モードに切換え可能な状態であると判定する。そして、人為操作によって、又は、自動的に、制御装置75が手動走行モードから自動走行モードに切換えられ、目標移動経路LM(1)に沿う自動走行制御が開始される。
【0066】
その後は、図5に基づいて上述した田植え作業と同様に、畦際旋回走行と後の目標移動経路LMに沿う作業走行とを繰り返し、最後に圃場の畦際に沿って周回走行しながら田植え作業が行われて、圃場F2における田植え作業は完了する。なお、圃場F2の夫々の目標移動経路LM(1)~LM(3)における走行機体Cの進行方向と、圃場F1の目標移動経路LMにおける走行機体Cの進行方向と、が反転する場合もあるが、圃場F2の夫々の目標移動経路LM(1)~LM(3)が目標方位LAに沿っていれば問題ない。
【0067】
〔目標移動経路に沿う自動走行制御について〕
図7に示されるように、圃場の田植え作業は、夫々の目標移動経路LMに沿う作業走行と、隣接する目標移動経路LMに移動する際の畦際旋回走行と、を繰り返しながら行われる。始点位置Ls及び終点位置Lfは、圃場の畦際から距離L1(第二設定距離)だけ離間し、目標移動経路LMにおける田植え作業が完了する箇所である。始点位置Ls及び終点位置Lfよりも圃場内側に位置する領域は、作業走行領域A1であり、複数の目標移動経路LMが設定され、走行機体Cが夫々の目標移動経路LMに沿って作業走行を行う領域である。始点位置Ls及び終点位置Lfよりも畦際側に位置する領域は、最後の周回走行で田植え作業が行われる枕地領域A2であり、次の目標移動経路LM(2)に移動する場合に、枕地領域A2で旋回走行が行われる。
【0068】
図7の目標移動経路LM(n)に示されているように、夫々の目標移動経路LMは、経路lm1,lm2,lm3によって構成されている。経路lm1は、制御装置75が手動走行モードから自動走行モードに切換えられる前に走行機体Cが走行する経路であって、始点位置Lsと、始点位置Lsから圃場内側に距離R1だけ離間した位置と、に亘って設定される。経路lm2は、制御装置75が自動走行モードに切換えられた状態で自動走行制御が行われる経路である。経路lm3は、走行機体Cが圃場の畦際に接近した状態における走行機体Cの走行経路であり、終点位置Lf付近の畦際から距離L2だけ離間した位置と、終点位置Lfと、に亘って設定される。図7に示される他の目標移動経路LM(n-1),LM(n+1)においても、同様の構成となっている。
【0069】
圃場の畦際旋回は、基本的に運転者が操向ハンドル43を操作することによって行われ、制御装置75で畦際旋回の判定処理が行われる。このとき、走行機体Cの向きが反転したことや、走行機体Cが次の目標移動経路LM(n)の始点位置Lsに到達したこと等が判定されると、苗植付装置Wが下降して田植え作業が開始される構成であっても良い。
【0070】
走行機体Cが畦際旋回して目標移動経路LM(n-1)から次の目標移動経路LM(n)の始点位置Lsに移動した後、自動走行制御のための条件が整うと自動走行制御が開始される。制御装置75が人為操作によって手動走行モードから自動走行モードに切換えられる場合、制御装置75が自動走行モードに切換え可能な状態であるかどうかは、報知部59によって報知される。そして、報知部59によって報知された状態で、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作することによって自動走行制御が開始される。自動走行制御の開始の条件は、以下の通りである。
【0071】
まず、次の目標移動経路LM(n)の始点位置Lsから、予め設定された距離に亘って人為操作による走行機体Cの走行が行われる第一条件となる。即ち、図7において、目標移動経路LM(n)の始点位置Lsから圃場内側に距離R1だけ離間した位置P1までの経路lm1に沿って人為操作による走行が行われ、制御装置75は手動走行モードとなっている。この状態で、機体の前進方向が目標移動経路LMの目標方位LAと一致又は略一致する状態で、操向ハンドル43のステアリング角度が予め設定された範囲内(直進位置も含まれる)にあることが第二条件となる。自動走行制御の開始の条件は、上述の第一条件と第二条件が必要であり、更に、この状態で衛星測位ユニット70の測位データに基づいて算出される自機位置NMと、畦際旋回の直前で測位された位置座標と、の作業幅方向における相対距離が、苗植付装置Wの作業幅と略一致することが条件に含まれていても良い。
【0072】
この状態で、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作することによって、制御装置75が手動走行モードから自動走行モードに切換えられる。また、自動走行スイッチ50の操作に限定されず、例えば、始点設定スイッチ49Aや終点設定スイッチ49Bの操作、植付クラッチ(不図示)の入り操作、整地フロート25の整地、サイドクラッチ(不図示)の入り操作、苗植付装置Wの下降操作、マーカ装置33の作用操作、ポンパレバー(不図示)の操作等によって、モードの切換えが行われる構成であっても良い。
【0073】
しかし、このような自動走行制御の開始の条件を満たすには、運転者の熟練度に依存する要素が多く、慣れない運転者にとって負担を強いられるものである。特に、瞬間的に当該条件を満たしても、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作するタイミングで当該条件から外れる場合、自動走行制御が搭乗者の意図通りに開始されない可能性がある。更に、上述したように、DGPSの測位に基づいて短時間で二点間の相対距離を算出する場合、二点間の相対距離の精度は、二点間の測位の時間差が大きいほど劣化する。このことから、畦際旋回の直前で測位された位置座標に対する相対距離に基づいて、次の目標移動経路LM(n)と走行機体Cとの位置ずれ誤差を算出する構成では、自動操向制御の開始条件が一定時間以内に満たされるのが望ましい。このため、本実施形態では、目標移動経路LMに沿う自動走行制御が自動的に開始可能なように構成されている。
【0074】
自動走行スイッチ50とは別に、自動開始スイッチ51が設けられている。図示はしないが、自動開始スイッチ51は、例えばトグルスイッチやシーソースイッチで構成されている。このことから、自動開始スイッチ51は、自動走行スイッチ50の操作が無くても自動走行制御を自動的に開始する自動開始モードと、自動走行スイッチ50の操作によって自動走行制御を開始する手動開始モードと、に切換自在なように構成されている。搭乗者が自動開始スイッチ51を自動開始モードに一度設定した状態で、走行機体Cの畦際旋回が判定された後、上述した自動走行制御の開始の条件が満たされると、制御装置75が手動走行モードから自動走行モードに切換えられる。これにより、次の目標移動経路LM(n)に沿って自動走行制御が開始される。なお、自動開始スイッチ51は、トグルスイッチやシーソースイッチに限定されず、押しボタン式のスイッチであっても良い。
【0075】
制御装置75が自動走行モードに切換えられた後、経路lm2に沿って、苗植付装置Wが田植え作業を行いつつ、走行機体Cが前進走行することで自動走行制御による作業走行が行われる。走行機体Cの前方の障害物は障害物検知部63によって検知され、本実施形態では、走行機体Cの前方の障害物として圃場の畦際が検知される。走行機体Cと圃場の畦際との距離は、距離算定部79によって算定される。走行機体Cが圃場の畦際から距離L2(第一設定距離)だけ離間した位置P2に到達すると、圃場の畦際が近いことが距離算定部79によって判定される。位置P2は、例えば8メートル程度の距離に設定されているが、走行機体Cの車速に対応して変更可能なように構成され、例えば走行機体Cの車速が低速である場合には5メートル程度に設定される。
【0076】
図8に示されているように、畦際接近状態がONの場合、圃場の畦際が近いことが距離算定部79によって判定された状態となっている。畦際接近状態がONとき、走行機体Cは図7における経路lm3に沿って走行している状態であり、報知部59によって搭乗者に畦際の接近が報知される。このとき、報知部59による報知は、ブザー等の音声であっても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点灯や点滅であっても良いし、表示部48に表示されるものであっても良い。
【0077】
図8において、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作しない場合、操作具の操作状態はOFFであり、操作信号の出力状態もOFFのままとなる。そして、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作しない状態が予め設定された時間T1に亘って継続すると、制御装置75が手動走行モードに切換えられて自動走行制御が終了する(自動走行モード:OFF)。但し、例えば搭乗者が下記の人為操作を行うことによって、圃場の畦際の接近が距離算定部79によって判定された場合であっても、自動走行制御を終了せずに継続的に実行可能となる。
【0078】
図9に示されているように、畦際接近状態がOFFからONに切換った後、予め設定された時間T1が経過する前に、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作することによって操作信号が出力される。つまり、図9において、時間T1が経過する前に、操作具の操作状態がOFFからONに切換り、操作信号の出力状態がOFFからONに切換る。そして、制御装置75に操作信号が入力されることによって、制御装置75の自動走行モードが、終了することなく継続する。
【0079】
搭乗者が自動走行スイッチ50を操作し続けることによって操作信号の出力が継続する。このことから、走行機体Cが位置P2よりも圃場の畦際の位置する側に位置する状態で、搭乗者が圃場の畦際を確認しながら自動走行制御が継続する。そして、搭乗者が任意のタイミングで自動走行スイッチ50の操作をやめることによって操作具の操作状態がONからOFFに切換り、操作信号の出力状態がONからOFFに切換る。つまり、搭乗者が自動走行スイッチ50の操作をやめると操作信号の出力が停止する。そして、制御装置75が手動走行モードに切換えられて自動走行制御が終了する(自動走行モード:OFF)。これにより、走行機体Cが終点位置Lfに到達するまで、畦際の検知の判定に関係なく自動走行制御を継続することができる。なお、操作具の操作状態の切換りは自動走行スイッチ50の操作によるものに限らず、例えば、始点設定スイッチ49Aや終点設定スイッチ49Bの操作によるものであっても良い。
【0080】
図10に示されているように、畦際接近状態がOFFからONに切換った後、予め設定された時間T1が経過すると、制御装置75が手動走行モードに切換えられて自動走行制御が終了する(自動走行モード:OFF)。その後、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作しても(操作具の操作状態:ON)、操作信号が出力されないように構成されている(操作信号の出力状態:OFF)。また、図11に示されているように、畦際の接近が検知される前、即ち、畦際接近状態がOFFの状態で、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作し(操作具の操作状態:ON)、そのまま操作を継続しても、操作信号が出力されないように構成されている(操作信号の出力状態:OFF)。この場合、畦際接近状態がOFFからONに切換った後、予め設定された時間T1が経過する前に、搭乗者は自動走行スイッチ50の操作をもう一度やり直す必要がある。このように、走行機体Cが畦際に接近したときに、搭乗者の意思で自動走行スイッチ50が操作されることによって、操作信号が出力されるように、制御装置75は構成されている。なお、畦際接近状態がOFFからONに切換わる前であっても、走行機体Cが位置P2に接近した状態であれば、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作することによって操作信号が出力され、制御装置75の自動走行モードが終了せずに継続する構成であっても良い。
【0081】
自動走行スイッチ50の操作の継続によって自動走行制御が継続する状態であっても、報知部59による報知が継続して行われる。但し、搭乗者が過剰な報知を煩わしく感じる場合、自動走行制御の継続中に、報知部59による報知が行われないように構成されても良い。なお、走行機体Cが枕地領域A2に到達すると、制御装置75が強制的に手動走行モードに切換えられて自動走行制御が解除され、走行機体Cが停止する。例えば、圃場の畦際付近で自動走行制御が継続する状態で、走行機体Cの旋回走行も無ければ、エンジン13が停止して走行機体Cが停止する。これにより、搭乗者が自動走行スイッチ50を誤操作する場合であっても、走行機体Cが圃場の畦際に接触する虞が回避される。
【0082】
例えば、図12に示されるように、自動走行モードのONからOFFへの切換は、操作信号とは別に停止信号によって行われる構成であっても良い。畦際接近状態がOFFからONに切換った後、予め設定された時間T1が経過する前に、搭乗者が例えば自動走行スイッチ50を操作することによって操作信号の出力状態がOFFからONに設定されると、自動走行モードがONに設定され、そのまま保持される。このとき、搭乗者は自動走行スイッチ50の操作を継続する必要も無ければ、操作信号の出力状態がONのまま保持される必要も無い。そして、停止信号の出力状態がOFFからONに設定されると、自動走行モードがONからOFFに切換えられて自動走行制御が終了する。このことから、例えば、走行機体Cが終点位置Lfに到達することが検知されて停止信号の出力状態がOFFからONに設定され、制御装置75が手動操作モードに切換えられて自動走行制御が終了する構成が可能となる。
【0083】
停止信号の出力が終点位置Lfの到達によるものである場合、終点位置Lfの到達は、衛星測位ユニット70の測位に基づいて判定される構成であっても良いし、車速センサ62と慣性計測ユニット74とによって算出される走行軌跡に基づいて判定される構成であっても良い。また、下記のように、自動走行制御が、終点位置Lfの付近における人為操作に基づいて終了する構成であっても良い。
【0084】
停止信号の出力は、他には、始点設定スイッチ49Aや終点設定スイッチ49Bの操作、植付クラッチ(不図示)の切り操作、整地フロート25の非整地、サイドクラッチ(不図示)の切り操作、苗植付装置Wの上昇操作、マーカ装置33の非作用操作、ポンパレバー(不図示)の操作等によって行われる構成であっても良い。また、停止信号の出力の停止は、走行機体Cが終点位置Lfの付近で停車することによって行われる構成であっても良い。つまり、走行機体Cが圃場の畦際に接触することなく、自動走行制御が終了すれば良い。なお、圃場の畦際付近で自動走行制御が継続する状態で、走行機体Cの旋回走行も無いまま停止信号が出力されなければ、エンジン13が停止して走行機体Cが停止する。
【0085】
〔別実施形態〕
本発明は、上述した実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0086】
〔1〕上述した実施形態において、搭乗者が自動走行スイッチ50等を操作し続けることによって、操作信号が出力されるように構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、圃場の畦際の接近が距離算定部79によって判定されると、搭乗者が主変速レバー44を操作して、走行機体Cの車速が減速することによって操作信号が出力される構成であっても良い。この場合、図8乃至図13における操作具の操作状態は、主変速レバー44の操作によるものとなる。つまり、搭乗者が畦際の接近を認識した上で減速操作を行うという考えに基づいて、制御装置75が自動走行モードを継続し、自動走行制御が継続する構成であっても良い。また、走行機体Cの車速が低速状態から増速されると、報知部59による報知が行われたり、操作信号が停止して制御装置75が手動走行モードに切換えられて自動走行制御が終了したりする構成であっても良い。
【0087】
なお、操作信号は、主変速レバー44の操作の検知に基づいて出力される構成であっても良いし、車速センサ62の検出車速に基づいて出力される構成であっても良い。つまり、搭乗者の停止する意思がセンサ類や車速によって確認できれば、操作信号の出力方法は適宜選択可能である。
【0088】
〔2〕上述した実施形態において、自動開始スイッチ51が自動開始モードに設定されると、自動走行制御が自動的に開始されるように構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、図7において、走行機体Cが目標移動経路LM(n-1)の終点位置Lfから畦際旋回して次の目標移動経路LM(n)の始点位置Ls付近に移動した後、走行機体Cと経路lm1との位置ずれが顕著であれば、自動開始スイッチ51が自動開始モードに設定されていても自動走行制御が開始されない構成であっても良い。この場合、搭乗者が自動走行スイッチ50を操作することによって、目標方位LAに沿うように自動走行制御が開始される構成であっても良い。このとき、報知部59によって、自動走行制御が自動的に開始できないことが搭乗者に報知される構成であっても良い。報知部59による報知は、ブザー等の音声であっても良いし、センターマスコット14に備えられたLED照明の点灯や点滅であっても良いし、表示部48に表示されるものであっても良い。また、報知部59による報知は、一時的に報知される構成あっても良いし、常時報知される構成であっても良い。
【0089】
〔3〕図9において、操作具の操作状態がON状態のまま継続されることによって、操作信号の出力が継続されるように構成されているが、図13に示されているように、操作具の操作状態がOFFからONに切換えられるタイミングで、操作信号の出力状態がONとOFFとに切換えられる構成であっても良い。この構成であれば、自動走行スイッチ50の操作を継続しなくても、自動走行スイッチ50の操作のタイミングで操作信号の出力状態を切換え可能となる。また、自動走行スイッチ50の操作が、例えば100ミリ秒の時間で継続したかどうかを判定する処理があり、当該継続が判定された後に操作信号が出力される構成であっても良い。これにより、自動走行スイッチ50のチャタリングによる誤作動を防止できる。
【0090】
〔4〕上述した実施形態における目標移動経路LMは、直線状に設定されているが、本発明は、曲線状に設定された目標移動経路LMに対しても適用可能である。
【0091】
〔5〕上述した田植機のみならず、本発明は、直播機等を含むその他の直播系作業機に適用可能である。また、直播系作業機以外に、トラクタやコンバイン等の農作業機にも、本発明は適用可能である。また、直播系作業機において、停止信号の出力の停止は、播種クラッチの切り操作や播種作業装置の上昇操作等によって行われる構成であっても良い。更に、直播系作業機において、制御装置75の手動走行モードと自動走行モードとの切換えは、播種クラッチの入り操作や播種作業装置の下降操作等によって行われる構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、目標移動経路に沿うように操舵が行われる圃場作業機に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
43 :操向ハンドル(操向操作具)
59 :報知部
63 :障害物検知部(検知手段)
76 :経路設定部
78 :自動走行制御部
79 :距離算定部(距離算定手段)
50 :自動走行スイッチ(操作具)
L1 :距離(第二設定距離)
L2 :距離(第一設定距離)
C :走行機体
LM :目標移動経路
図1
図2
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図5
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図13