(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】光起電力モジュール及び光起電力モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 31/05 20140101AFI20240412BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20240412BHJP
【FI】
H01L31/04 570
H01L31/04 560
(21)【出願番号】P 2022212185
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】202211191178.X
(32)【優先日】2022-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522171073
【氏名又は名称】晶科能源(海▲寧▼)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】郭志球
(72)【発明者】
【氏名】黄世亮
(72)【発明者】
【氏名】関迎利
(72)【発明者】
【氏名】楊敬国
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02466648(EP,A1)
【文献】特開2016-072637(JP,A)
【文献】特開2021-136426(JP,A)
【文献】特開2020-070436(JP,A)
【文献】特開2005-302902(JP,A)
【文献】特開2016-122749(JP,A)
【文献】特開平07-135333(JP,A)
【文献】特表2013-521635(JP,A)
【文献】特開2017-011190(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110476258(CN,A)
【文献】特開2014-175618(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110931586(CN,A)
【文献】中国実用新案第207868206(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第107771359(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセルストリングと、複数の溶接ストリップと、少なくとも1つの封止層及び少なくとも1つのカバープレートと、を含み、
前記少なくとも1つのセルストリングの各々は、複数の電池セルを含み、隣接する前記電池セルが溶接ストリップを介して接続され、
前記電池セルは、対向している正面と裏面を有する基板と、前記基板の正面に位置する第1パッシベーション層と、前記基板の裏面に位置する第2パッシベーション層と、前記第2パッシベーション層の表面に位置する複数のメイングリッドとを含み、複数の前記メイングリッドは第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、前記メイングリッドは、前記第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッドを含み、
各前記溶接ストリップは、それぞれ対応する前記メイングリッドに電気的に接触しており、前記溶接ストリップは、前記第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部を含み、前記第2方向において、各前記溶接ストリップの中心線の前記電池セルの裏面における正投影は、それぞれ、対応する前記メイングリッドの中心線及び/又は対応する前記メイングリッドにおける各前記パッドの中心線の前記電池セルの裏面における正投影と重ね合わせており、
第4方向において、前記折り曲げ部の前記メイングリッドから離れる折り曲げ頂点と前記メイングリッドとの間の間隔は、前記折り曲げ頂点の前記電池セルの裏面における正投影から前記メイングリッドの前記電池セルの裏面における正投影の中心線までの最小距離であり、前記間隔は0.1mm~0.3mmであり、前記第4方向は前記電池セルの裏面と平行でありかつ前記第2方向に垂直な方向であり、
各前記パッドはそれぞれ前記溶接ストリップにおける隣接する2つの前記折り曲げ部に電気的に接触する、
ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項2】
前記第2方向において、隣接する前記折り曲げ部の折り曲げ方向は同じかまたは反対である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項3】
前記折り曲げ部の形状は円弧状、「几」字形又は折れ線形を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項4】
前記折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと前記折り曲げ部の前記第2方向における長さの比値が1.05~1.25である、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項5】
複数の前記折り曲げ部の前記第2方向における長さが同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載の光起電力モジュール。
【請求項6】
各前記溶接ストリップが存在する平面は前記電池セルの裏面と平行である、
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項7】
前記光起電力モジュールは、前記メイングリッドにおける各前記パッドを仕切りとして、メイングリッド接続線を区画することで得られ、且つ第2方向に配列される複数のソルダーレジストエリアを含み、前記ソルダーレジストエリアにはソルダーレジストインクが被覆されている、
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の光起電力モジュール。
【請求項8】
前記ソルダーレジストエリアには、複数のソルダーレジストサブエリアが含まれ、各前記ソルダーレジストサブエリアにはソルダーレジストインクが被覆され、ここで、各前記ソルダーレジストサブエリアの位置が前記メイングリッドの極性と反対である異性サブグリッドの位置に対応する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の光起電力モジュール。
【請求項9】
前記ソルダーレジストインクの厚さが、前記ソルダーレジストエリア又は前記ソルダーレジストサブエリアの高さよりも15μm以上高く、かつ前記ソルダーレジストインクの幅が、前記ソルダーレジストエリア又は前記ソルダーレジストサブエリアの幅よりも50μm以上広い、
ことを特徴とする請求項
8に記載の光起電力モジュール。
【請求項10】
前記ソルダーレジストインクは、絶縁性接着剤である、
ことを特徴とする請求項
7に記載の光起電力モジュール。
【請求項11】
複数の電池セルを提供することであって、前記電池セルは、対向している正面と裏面を有する基板と、前記基板の正面に位置する第1パッシベーション層と、前記基板の裏面に位置する第2パッシベーション層と、前記第2パッシベーション層の表面に位置する複数のメイングリッドとを含み、複数の前記メイングリッドは第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、前記メイングリッドは前記第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッドを含むことと、
複数の溶接ストリップを提供し、整形工程を利用して前記溶接ストリップを連続的に整形して、前記第2方向に連続的に配列される折り曲げ部を形成することと、
前記第2方向において、各前記溶接ストリップの中心線の前記電池セルの裏面における正投影を、それぞれ、対応する前記メイングリッドの中心線及び/又は対応する前記メイングリッドにおける各前記パッドの中心線の前記電池セルの裏面における正投影と位置合わせ、電気接続工程を利用して各前記溶接ストリップをそれぞれ対応する前記メイングリッドに電気的に接触させて、隣接する前記電池セルが前記溶接ストリップを介して接続されるセルストリングを形成することと、
少なくとも1つの封止層と少なくとも1つのカバープレートを提供し、前記少なくとも1つの封止層を前記少なくとも1つのセルストリングの表面に配置し、少なくとも1つの前記カバープレートを前記少なくとも1つの封止層の前記少なくとも1つのセルストリングから離れる表面に配置した後に、積層して成形することと、を含み、
第4方向において、前記折り曲げ部の前記メイングリッドから離れる折り曲げ頂点と前記メイングリッドとの間の間隔は、前記折り曲げ頂点の前記電池セルの裏面における正投影から前記メイングリッドの前記電池セルの裏面における正投影の中心線までの最小距離であり、前記間隔は0.1mm~0.3mmであり、前記第4方向は前記電池セルの裏面と平行でありかつ前記第2方向に垂直な方向であり、
各前記パッドはそれぞれ前記溶接ストリップにおける隣接する2つの前記折り曲げ部に電気的に接触する、
ことを特徴とする光起電力モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記整形工程は、押し曲げ、折り曲げ、鍛造又はプレスを含む、
ことを特徴とする請求項
11に記載の光起電力モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施例は、太陽電池の分野に関し、特に光起電力モジュール及び光起電力モジュールの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は良好な光電転換能力を有するため、太陽電池はクリーンエネルギーの発展の重心に属し、フルバックコンタクト型太陽電池は正の金属電極、負の金属電極がいずれも電池の裏面に設けられ、電池の正面にはグリッド線によって遮蔽されず、金属電極の遮光電流のロスを解消して、入射光子の最高利用化を実現することができ、よい将来性を有するため、フルバックコンタクト型太陽電池によって築かれる光起電力モジュールがよい適用将来性を有する。
【0003】
しかしながら、現在の光起電力モジュールのデザイン方案において、電池セルが肉眼で見えないクラックル、破片等の問題を生じさせやすく、さらに、光起電力モジュールの歩留まりが低く、製造コストが高すぎるという問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の実施例は、少なくとも、溶接ストリップと電池セルが電気的に接触する時の応力の釈放に役立ち、光起電力モジュールの歩留まりを高め、製造コストを低減する光起電力モジュール及び光起電力モジュールの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、光起電力モジュールを提供し、少なくとも1つのセルストリングと、複数の溶接ストリップと、少なくとも1つの封止層及び少なくとも1つのカバープレートと、を含み、前記少なくとも1つのセルストリングの各々は、複数の電池セルを含み、隣接する前記電池セルが溶接ストリップを介して接続され、前記電池セルは、対向している正面と裏面を有する基板と、前記基板の正面に位置する第1パッシベーション層と、前記基板の裏面に位置する第2パッシベーション層と、前記第2パッシベーション層の表面に位置する複数のメイングリッドとを含み、複数の前記メイングリッドは第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、前記メイングリッドは、前記第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッドを含み、各前記溶接ストリップは、それぞれ対応する前記メイングリッドに電気的に接触しており、前記溶接ストリップは、前記第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部を含み、前記第2方向において、各前記溶接ストリップの中心線の前記電池セルの裏面における正投影は、それぞれ、対応する前記メイングリッドの中心線及び/又は対応する前記メイングリッドにおける各前記パッドの中心線の前記電池セルの裏面における正投影と重ね合わせており、前記少なくとも1つの封止層を前記少なくとも1つのセルストリングの表面に配置し、少なくとも1つの前記カバープレートを前記少なくとも1つの封止層の前記少なくとも1つのセルストリングから離れる表面に配置した後に、積層して成形する。
【0006】
また、前記第2方向において、隣接する前記折り曲げ部の折り曲げ方向は同じかまたは反対である。
【0007】
また、前記折り曲げ部の形状は円弧状、「几」字形又は折れ線形を含む。
【0008】
また、各前記パッドはそれぞれ前記溶接ストリップにおける隣接する2つの前記折り曲げ部に電気的に接触する。
【0009】
また、前記折り曲げ部は、対応するパッドに電気的に接触する第1折り曲げ部と、いずれの前記パッドにも電気的に接触していない第2折り曲げ部とを含み、第3方向において、前記第1折り曲げ部のサイズは前記第2折り曲げ部のサイズよりも大きく、前記第3方向は前記折り曲げ部の折り曲げ方向に対して垂直である。
【0010】
また、第4方向において、前記折り曲げ部の前記メイングリッドから離れる折り曲げ頂点と前記メイングリッドとの間の間隔が0.1mm~0.3mmであり、前記第4方向は前記第2方向に対して垂直である。
【0011】
また、前記折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと前記折り曲げ部の前記第2方向における長さの比値が1.05~1.25である。
【0012】
また、複数の前記折り曲げ部の前記第2方向における長さが同じである。
【0013】
また、各前記溶接ストリップが存在する平面は前記電池セルの裏面と平行である。
【0014】
メイングリッドにおける各パッドを仕切りとして、メイングリッド接続線を第2方向に配列される複数のソルダーレジストエリアに区画し、ソルダーレジストインクを用いて、印刷又は接着剤塗布等の方式によってソルダーレジストエリアをソルダーレジスト処理する。
【0015】
ソルダーレジスト処理を行う過程において、ソルダーレジストインクを用いて各ソルダーレジストエリアを完全に被覆してもよいし、ソルダーレジストエリアには、複数のソルダーレジストサブエリアを区画して、各ソルダーレジストサブエリアを完全に被覆してもよく、ここで、各ソルダーレジストサブエリアの位置がメイングリッドの極性と反対である異性サブグリッドの位置に対応する。
【0016】
ソルダーレジスト処理を行う過程において、ソルダーレジストインクのサイズは、厚さがソルダーレジストエリア又はソルダーレジストサブエリアの高さよりも15μm以上高く、かつ幅がソルダーレジストエリア又はソルダーレジストサブエリアの幅よりも50μm以上広いことを満たすべきである。
【0017】
前記ソルダーレジストインクは、絶縁性接着剤である。
【0018】
これに応じて、本発明の実施例は、光起電力モジュールの製造方法をさらに提供し、複数の電池セルを提供することであって、前記電池セルは、対向している正面と裏面を有する基板と、前記基板の正面に位置する第1パッシベーション層と、前記基板の裏面に位置する第2パッシベーション層と、前記第2パッシベーション層の表面に位置する複数のメイングリッドとを含み、複数の前記メイングリッドは第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、前記メイングリッドは前記第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッドを含むことと、複数の溶接ストリップを提供し、整形工程を利用して溶接ストリップを連続的に整形して、前記第2方向に連続的に配列される折り曲げ部を形成することと、前記第2方向において、各前記溶接ストリップの中心線の前記電池セルの裏面における正投影を、それぞれ、対応する前記メイングリッドの中心線及び/又は対応する前記メイングリッドにおける各前記パッドの中心線の前記電池セルの裏面における正投影と位置合わせ、電気接続工程を利用して各前記溶接ストリップをそれぞれ対応する前記メイングリッドに電気的に接触させて、隣接する前記電池セルが前記溶接ストリップを介して接続されるセルストリングを形成することと、少なくとも1つの封止層と少なくとも1つのカバープレートを提供し、前記少なくとも1つの封止層を前記少なくとも1つのセルストリングの表面に配置し、少なくとも1つの前記カバープレートを前記少なくとも1つの封止層の前記少なくとも1つのセルストリングから離れる表面に配置した後に、積層して成形することと、を含む。
【0019】
また、前記整形工程は、押し曲げ、折り曲げ、鍛造又はプレスを含む。
【発明の効果】
【0020】
本願の実施例で提供される技術案は、少なくとも以下のメリットを有する。
本願の実施例で提供される光起電力モジュールの技術案では、基板の正面が第1パッシベーション層によって形成されるスエード面であり、基板の裏面が表面に第1方向において間隔をあけて配列されて第2方向において延びている複数のメイングリッドが含まれる第2パッシベーション層である複数のフルバックコンタクト型電池セルを整然と並べた後に、第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部から構成される各溶接ストリップをそれぞれ対応するメイングリッドに電気的に接触させることによって、溶接ストリップで隣接する電池セルを接続してセルストリングを形成し、連続的に配列される複数の折り曲げ部から構成される溶接ストリップで隣接する電池セルを接続し、折り曲げ部を緩衝部として用いて溶接ストリップで電池セルを接続する過程における応力を十分に釈放し、電池セルに反りが生じることを回避し、セルストリングの信頼性と歩留まりを高める。メイングリッドは第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッドを含み、溶接ストリップで隣接する電池セルを接続する過程において、第2方向において、まず、各溶接ストリップの中心線の電池セルの裏面における正投影を、対応するメイングリッドの中心線及び/又は対応するメイングリッドにおける各パッドの中心線の電池セルの裏面における正投影と位置合わせることによって、溶接ストリップの中心線の正投影をメイングリッドの中心線及び/又はメイングリッドにおける各パッドの中心線の正投影と重ね合わせ、そして、溶接ストリップを対応するメイングリッドに電気的に接触させてセルストリングの作製を完成し、溶接ストリップの中心線の電池セルの裏面における正投影をメイングリッドの中心線及び/又はメイングリッドにおける各パッドの中心線の電池セルの裏面における正投影と重ね合わせることによって、溶接ストリップを用いて電池セルを接続する時の美観程度と接続効果を確保し、溶接ストリップがメイングリッド領域からはずれることに起因する接触抵抗の上昇をもたらしてしまってセルストリングの効率に影響を及ぼすことを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
一つ又は複数の実施例は、対応する添付の図面における図で例示的に説明され、これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、特に断りのない限り、添付の図面における図は比例上の制限を形成しない。
【
図1】
図1は、本願の一実施例に係るセルストリングの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本願の一実施例に係る電池セルのグリッド線の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本願の一実施例に係る溶接ストリップの構成を示す図である。
【
図4】
図4は、本願の一実施例に係る電池セルの構成を示す図である。
【
図5】
図5は、本願の一実施例に係る異なる折り曲げ部がそれおれ複数種類の溶接ストリップを構成する1つの構成図である。
【
図6】
図6は、本願の一実施例に係る異なる折り曲げ部がそれおれ複数種類の溶接ストリップを構成する別の構成図である。
【
図7】
図7は、本願の一実施例に係る溶接ストリップとパッドとの電気的接触の構成図である。
【
図8】
図8は、本願の一実施例に係るソルダーレジスト領域を含むメイングリッドの構成図である。
【
図9】
図9は、本願の一実施例に係る溶接ストリップとパッドとの電気的接触の別の構成図である。
【
図10】
図10は、本願の一実施例に係る溶接ストリップとパッドとの電気的接触の別の構成図である。
【
図11】
図11は、本願の他の実施例に係る光起電力モジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図12】
図12は、本願の一実施例に係る光起電力モジュールの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
背景技術からわかったように、従来技術の光起電力モジュールは、電池セルが肉眼で見えないクラックル、破片等の問題を生じやすく、さらに、光起電力モジュールの歩留まりが低く、製造コストが高すぎるという問題が存在する。
【0023】
本願の一実施例には、光起電力モジュールが提供され、複数のフルバックコンタクト型電池セルでセルストリングを構築するする時に、電池セルを整然と並べた後に、第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部から構成される溶接ストリップを利用して隣接する電池セルを接続し、折り曲げ部を緩衝部として用いて溶接ストリップで電池セルを接続する過程における応力を十分に釈放し、電池セルに反りが生じることを回避し、セルストリングの信頼性と歩留まりを高め、溶接ストリップで隣接する電池セルを接続する過程において、第2方向において、まず、各溶接ストリップの中心線の電池セルの裏面における正投影を、対応するメイングリッドの中心線及び/又は対応するメイングリッドにおける各パッドの中心線の電池セルの裏面における正投影と位置合わせることによって、溶接ストリップの中心線の正投影をメイングリッドの中心線及び/又はメイングリッドにおける各パッドの中心線の正投影と重ね合わせ、そして、溶接ストリップを対応するメイングリッドに電気的に接触させてセルストリングの作製を完成し、溶接ストリップの中心線の電池セルの裏面における正投影をメイングリッドの中心線及び/又はメイングリッドにおける各パッドの中心線の電池セルの裏面における正投影と重ね合わせることによって、溶接ストリップを用いて電池セルを接続する時の美観程度と接続効果を確保し、溶接ストリップがメイングリッド領域からはずれることに起因する接触抵抗の上昇をもたらしてしまってセルストリングの効率に影響を及ぼすことを回避することができる。
【0024】
以下、本願の各実施例について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、当業者は理解できるが、読者に本願をよりよく理解させるために、本願の各実施例において多数の技術的細部が提案されているが、これらの技術的細部がなくても、以下の各実施例に基づく種々の変更や修正によっても、本願が保護を要求している技術案を実現することができる。
【0025】
図1から
図4に示すように、
図1はセルストリング101の裏面の構成を示す略図であり、
図2は電池セル102の裏面のグリッド線の構成を示す図であり、
図3は溶接ストリップ103を拡大した後の構成を示す図であり、
図4は電池セル102の電池構成を示す図である。光起電力モジュールは、セルストリング101と、複数の溶接ストリップ103と、少なくとも1つの封止層120及び少なくとも1つのカバープレート130と、を含み、少なくとも1つのセルストリング101の各々は、複数の電池セル102を含み、隣接する電池セル102が溶接ストリップ103を介して接続され、電池セル102は、対向している正面と裏面を有する基板1021と、基板1021の正面に位置する第1パッシベーション層1022と、基板1021の裏面に位置する第2パッシベーション層1023と、第2パッシベーション層1023の表面に位置する複数のメイングリッド1024とを含み、複数のメイングリッド1024は第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、隣接するメイングリッド1024は、その極性が逆であり、かつそれぞれ極性が同じであるサブグリッドに接続されており、メイングリッド1024は、第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッド1025を含み、各溶接ストリップ103は、それぞれ対応するメイングリッド1024に電気的に接触しており、溶接ストリップ103は、第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部を含み、第2方向において、各溶接ストリップ103の中心線の電池セル102の裏面における正投影は、それぞれ、対応するメイングリッド1024の中心線及び/又は対応するメイングリッド1024における各パッド1025の中心線の電池セル102の裏面における正投影と重ね合わせており、ここで、X方向が第1方向であり、Y方向が第2方向である。少なくとも1つの封止層120を少なくとも1つのセルストリング101の表面に配置し、少なくとも1つのカバープレート130を少なくとも1つの封止層120の少なくとも1つのセルストリング101から離れる表面に配置した後に、積層して成形する。
【0026】
理解するように、上記実施例は、溶接ストリップ103がメイングリッド1024に電気的に接触される1つの実例が示されるが、具体的な適用において、メイングリッド1024の作製時に各パッド1025に生じうる偏差、及び、中心線を完全に揃えることを実現する難度という観点から、溶接ストリップ103の中心線をメイングリッド1024の中心線に対応させて、及び/又はメイングリッド1024における各パッド1025の中心線を対応させて重ね合わせる場合に、中心線の間にある程度の重ね合わせ偏差があるように許容でき、例えば、第2方向に垂直な方向において、中心線の間に10%又は20%のずれが存在し、即ち、中心線の重ね合わせる領域が中心線の総面積の90%又は80%を占め、電気接触の効果を可及的に確保すると同時に、考案の応用難度を低減する。
【0027】
複数のメイングリッド1024がいずれも電池セル102の裏面における第2パッシベーション層1023に設けられるバックコンタクト型電池セルを利用してセルストリング101を構築する過程において、第2方向に連続的に配列される複数の折り曲げ部から構成される溶接ストリップ103を利用して隣接する電池セル102を接続することによって、各溶接ストリップ103を対応するメイングリッド1024に溶接して両者の電気接触を実現する場合に、溶接ストリップ103の複数の連続的な折り曲げ部を複数の緩衝部として用いて、溶接ストリップ103と電池セル102が異なる熱膨張係数を有することに起因して、溶接後の溶接ストリップ103と電池セル102の収縮量が一致ではないことによる溶接応力を釈放し、溶接ストリップ103で隣接する電池セル102を接続する時の溶接効果を確保し、電池セル102に反りが生じることを回避し、セルストリング101の歩留まりを高めることができる。溶接ストリップ103を対応するメイングリッド1024に電気的に接触する過程において、第2方向において、各溶接ストリップ103の中心線の電池セル102の裏面における正投影を、溶接ストリップ103に対応するメイングリッド1024の中心線及び/又は溶接ストリップ103に対応するメイングリッド1024における各パッド1025の中心線の電池セル102の裏面における正投影と位置合わせる。溶接ストリップ103の中心線の正投影を溶接ストリップ103に対応するメイングリッド1024の中心線及び/又は溶接ストリップ103に対応するメイングリッド1024における各パッド1025の中心線と重ね合わせた後で、電気接続工程、例えば、溶接の方式によって、各溶接ストリップ103をそれぞれ対応するメイングリッド1024に電気的に接触させることで、隣接する電池セル102を接続してセルストリング101を構成し、溶接ストリップ103の中心線をメイングリッド1024の中心線又はメイングリッド1024における各パッド1025の中心線と位置合わせることによって、溶接ストリップ103を用いて電池セル102を接続する時の美観程度と接続効果を確保し、溶接ストリップ103がメイングリッド1024にある領域からずれることに起因する溶接ストリップ103とメイングリッド1024の間の接触抵抗が上昇してセルストリング101の効率に影響を及ぼすことを回避する。
【0028】
基板1021は入射光を受光して光生成キャリアを生じさせるためのものであり、いくつかの実施例において、基板1021は、シリコン基板であってもよく、シリコン基板の材料は、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン又は微結晶シリコンのうちの少なくとも1つを含んでもよい。ほかのいくつかの実施例において、基板1021の材料は、炭化ケイ素、有機材料又は多元化合物であってもよい。多元化合物は、ペロブスカイト、ガリウムヒ素、テルル化カドミウム、銅インジウムセレン化物等の材料を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0029】
尚、第1方向と第2方向は互いに垂直であってもよいし、60度、45度、30度等のような90度よりも小さい夾角が存在してもよく、第1方向と第2方向が同じ方向でなければよい。本実施例は、説明と理解をしやすいように、第1方向と第2方向が互いに垂直であることを例として説明するが、具体的な適用においては、実際な必要と適用場面に応じて第1方向と第2方向との間の夾角の設定を調整することができ、本実施例はこれに対して制限することがない。
【0030】
いくつかの実施例において、折り曲げ部の形状は円弧状、「几」字形又は折れ線形を含む。
図2と
図5に示すように、
図5には円弧状折り曲げ部501、「几」字状折り曲げ部502及び折れ線形折り曲げ部503から構成される複数の溶接ストリップ103の構成を示す図が順に示される。
【0031】
溶接ストリップ103の整形作製を行う過程において、場面に応じて整形して形成される折り曲げ部の形状を設定することができる。例えば、電池セル102と溶接ストリップ103との間の熱膨張係数が大きく相違する場合に、溶接ストリップ103における各折り曲げ部の応力釈放能力を可及的に高めるために、折り曲げ程度が一致している場合、即ち、第2方向において、折り曲げ部の溶接ストリップ103の中心線から最も遠い折り曲げ頂点と中心線との距離が一致している場合、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第1方向における長さとの比値を可及的に高め、折り曲げ部の応力釈放能力を向上させるように、折り曲げ部の形状を円弧状又は「几」字形に設定することを選択することができる。電池セル102と溶接ストリップ103との間の熱膨張係数が小さく相違する場合に、折り曲げ程度等の他の条件が一致していると、溶接ストリップ103の電池セル102の裏面における被覆面積を可及的に低減するために、折り曲げ部の形状を三角形、矩形又は台形等のような折れ線形に設定することを選択することができ、溶接ストリップ103と電池セル102の裏面のサブグリッドの接触に起因する短絡を回避し、セルストリング101の絶縁程度を確保することができる。ほかの条件が一致し、かつ、溶接ストリップ103の応力釈放能力と溶接ストリップ103の電池セル102の裏面における被覆面積の低減を両立させる場合に、折り曲げ部の形状を溶接ストリップ103の占めるべき電池セル102の裏面の面積が小さい円弧状に設定でき、溶接ストリップ103の応力釈放能力を可及的に高める必要がある場合に、折り曲げ部の形状を溶接ストリップ103の占めるべき電池セル102の裏面の面積が大きい「几」字形に設定することができる。適用場面と必要に応じて、折り曲げ部の複数の形状から適切な形状を選択して溶接ストリップ103の整形を行い、溶接ストリップ103の異なる適用場面と必要に対する適合性を確保する。
【0032】
理解するように、折り曲げ部の形状のうちの円弧状は、円弧、楕円弧又は複数のカンバー線から構成される不規則な円弧状であってもよく、折れ線形は、三角形、矩形又は台形等の複数の折り線から構成される図形であってもよく、「几」字形は複数の円弧状線から構成される円滑な図形であってもよいし、複数の折り線を複数の円弧状線と組み合わせて構成される図形であってもよいし、正規分布曲線に似る図形であってもよく、本実施例では異なる形状の折り曲げ部の具体的な構造に対して制限することがない。
【0033】
いくつかの実施例において、第2方向において、隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向は同じかまたは反対である。
図6に示すように、
図6には、第2方向において、隣接する円弧状の折り曲げ部の折り曲げ方向が同じかまたは反対であり、隣接する「几」字形の折り曲げ部の折り曲げ方向が同じかまたは反対である複数の溶接ストリップ103の構成を示す図が順に示される。
【0034】
溶接ストリップ103を整形する過程において、必要に応じて隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向の間の関係を調整し、他の条件、例えば折り曲げ程度、溶接ストリップ103自体の幅等が一致している場合に、溶接ストリップ103の電池セル102の裏面における被覆面積を可及的に小さくするために、溶接ストリップ103を構築する過程において、隣接する2つの折り曲げ部を同じ折り曲げ方向に向かって折り曲げることができ、溶接ストリップ103の電池セル102の裏面における被覆面積を低減し、溶接ストリップ103と電池セル102の裏面におけるサブグリッドとの接触を可及的に低減し、電池セル102における短絡の発生を回避し、溶接ストリップ103に良好な応力釈放効果を持たせることができるために、溶接ストリップ103を構築する過程において、隣接する2つの折り曲げ部を反対な折り曲げ方向に向かって折り曲げることができ、溶接ストリップ103における折り曲げ部が異なる折り曲げ方向において交互に配列されるため、溶接ストリップ103における折り曲げ部がより多い方向における応力に対して良好な釈放効果を有することができ、溶接ストリップ103の形状全体は可及的に円滑で美しくなる。したがって、異なる適用場面と必要に適応するように、溶接ストリップ103における隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向を同じ又は反対に設定することができる。
【0035】
理解するように、本実施例は、理解しやすいように、各隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向の間の関係が一致していることを例として説明するが、具体的な適用においては、第2方向において、溶接ストリップ103における各隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向の間の関係が一致してもよく、即ち、全ての隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向がいずれも同じかまたはいずれも反対であり、各隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向の間の関係が一致していなくてもよく、即ち、一部の隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向が同じであり、一部の隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向が反対であり、本実施例はこれに対して制限することがない。
【0036】
いくつかの実施例において、各パッド1025はそれぞれ溶接ストリップ103における隣接する2つの折り曲げ部に電気的に接触する。
図2と
図7に示すように、溶接ストリップ103は隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向が反対である円弧状折り曲げ部501から構成され、各パッド1025はいずれも溶接ストリップ103における隣接する2つの折り曲げ部と接触し、かつ第1方向において、2つの円弧状折り曲げ部501の交差線がパッド1025の中心線と重ね合わせている。つまり、溶接ストリップ103をメイングリッド1024に電気的に接触する前に、第2方向において、溶接ストリップ103の中心線の電池セル102の裏面における正投影をメイングリッド1024の中心線及び/又はメイングリッド1024における各パッド1025の中心線の電池セル102の裏面における正投影と位置合わせた後に、さらに第2方向に垂直な方向において、パッド1025に接続される隣接の折り曲げ部の間の交差線をパッド1025の中心線と位置合わせることができ、そして、電気接続工程でパッド1025を隣接する2つの折り曲げ部に電気的に接触させて、溶接ストリップ103と対応するメイングリッド1024との間の電気接触を完成する。パッド1025が隣接する2つの折り曲げ部のいずれにも電気的に接触するため、溶接ストリップ103と電池セル102が熱膨張係数の相違によって異なる収縮量を生じさせる場合に、パッド1025は、自体に電気的に接触する2つの隣接する折り曲げ部を直接に利用して溶接ストリップ103と電池セル102の異なる収縮量による応力を釈放し、応力釈放能力と効果を高めることができる。
【0037】
理解するように、上記実施例では、パッド1025が溶接ストリップ103に電気的に接触する1つの構成図のみを提供したが、パッド1025と溶接ストリップ103における隣接する2つの折り曲げ部を電気的に接触する過程において、実現の難易度と機械的誤差等の要素を考慮すると、第2方向に垂直な方向において、折り曲げ部の間の交差線をパッド1025の中心線と位置合わせることができるだけでなく、交差線とパッド1025の中心線との間の位置関係を不完全に重ね合わせるかまたは離れるように設置することができ、例えば、パッド1025の中心線と隣接する折り曲げ部交差線の重ね合わせ領域が総面積の90%、80%又は50%等を占めるか、または、第2方向において、隣接する折り曲げ部交差線と中心線との間の間隔がパッド1025の最大な長さの10%、20%又は45%等である。応力釈放効果を確保するうえで、溶接ストリップ103をパッド1025に電気的に接触することを実現する難度を低減し、本実施例では、パッド1025が溶接ストリップ103における隣接する2つの折り曲げ部に電気的に接触する時に、折り曲げ部の交差線とパッド1025の第2方向における中心線との具体的な位置関係に対して制限することがない。
【0038】
尚、
図2と
図8に示すように、メイングリッド1024はメイングリッド接続線801とパッド1025とを含み、電池セル102の裏面におけるサブグリッドが自体の極性と反対な異性メイングリッド1024に電気的に接触し、又はサブグリッドが自体の極性と反対な異性メイングリッド1024に対応する溶接ストリップ103に電気的に接触することを回避するために、電池セル102を接続する前に、さらに各電池セル102の裏面における各メイングリッド1024を予めソルダーレジスト処理することができる。メイングリッド1024における各パッド1025を仕切りとして、メイングリッド接続線801を第2方向に配列される複数のソルダーレジストエリア802に区画し、その後、ソルダーレジストインク、例えば、絶縁性接着剤を用いて、印刷又は接着剤塗布等の方式によってソルダーレジストエリア802をソルダーレジスト処理し、ソルダーレジスト処理を行う過程において、ソルダーレジストインクを用いて各ソルダーレジストエリア802を完全に被覆してもよいし、ソルダーレジストエリア802には、複数のソルダーレジストサブエリア803を区画して、各ソルダーレジストサブエリア803を完全に被覆してもよく、ここで、各ソルダーレジストサブエリア803の位置がメイングリッド1024の極性と反対である異性サブグリッドの位置に対応して溶接ストリップ103及びメイングリッド1024とメイングリッド1024の極性と反対なサブグリッドとの接触を回避する。ソルダーレジスト処理を行う過程において、ソルダーレジストインクのサイズは、厚さがソルダーレジストエリア802又はソルダーレジストサブエリア803の高さよりも15μm以上高く、かつ幅がソルダーレジストエリア802又はソルダーレジストサブエリア803の幅よりも50μm以上広いことを満たすべきであり、本実施例ではソルダーレジストインクの具体的なサイズに対して制限することがない。
【0039】
図2と
図9に示すように、ここで、第3方向はZ方向である。いくつかの実施例において、折り曲げ部は、対応するパッド1025に電気的に接触する第1折り曲げ部901と、いずれのパッド1025にも電気的に接触していない第2折り曲げ部902とを含み、第3方向において、第1折り曲げ部901のサイズは第2折り曲げ部902のサイズよりも大きく、第3方向は折り曲げ部の折り曲げ方向に対して垂直である。
【0040】
溶接ストリップ103の主な機能は、隣接する電池セル102を接続し、溶接ストリップ103に電気的に接触するメイングリッド1024にまとめられた電流をセルストリング101に接続されるモジュール端に輸送することであり、溶接ストリップ103の電流輸送能力が自体の抵抗、及び、溶接ストリップ103とメイングリッド1024との間の接触抵抗に関連付けられる。溶接ストリップ103がメイングリッド1024における各パッド1025を介してメイングリッド1024に電気的に接触する場合に、溶接ストリップ103とメイングリッド1024との間の接触抵抗は、溶接ストリップ103とパッド1025との接触面積に関連付けられる。
【0041】
そのため、溶接ストリップ103を整形して折り曲げ部を形成する過程において、溶接ストリップ103を第2方向において連続的に配列される複数の折り曲げ部を形成した後に、溶接ストリップ103を対応するメイングリッド1024と位置合わせて、溶接ストリップ103においてパッド1025に電気的に接触する第1折り曲げ部901と、パッド1025に電気的に接触しない第2折り曲げ部902とを特定する。第3方向において、第1折り曲げ部901と第2折り曲げ部902のサイズとは、それぞれ両者の第3方向における幅を指し、したがって、第3方向は、電池セル102の裏面と平行でありかつ第2方向に垂直な方向である。溶接ストリップ103は整形前に延伸方向に垂直な方向における元の幅が小さい場合に、第1折り曲げ部901を折り曲げ方向に垂直である第3方向に沿って引っ張り、これによって、溶接ストリップ103は、第3方向において、第1折り曲げ部901のサイズが第2折り曲げ部902のサイズよりも大きくなり、溶接ストリップ103は整形前に延伸方向に垂直な方向における元の幅が大きい場合に、第2折り曲げ部902を折り曲げ方向に垂直である第3方向に圧縮し、これによって、第3方向において、第1折り曲げ部901のサイズが第2折り曲げ部902のサイズよりも大きくなる。溶接ストリップ103における第1折り曲げ部901又は第2折り曲げ部902を二次整形して、折り曲げ方向に垂直である第3方向において、第1折り曲げ部901のサイズが第2折り曲げ部902のサイズよりも大きくなり、その後、隣接する第1折り曲げ部901を対応するパッド1025に接続して、溶接ストリップ103と対応するメイングリッド1024との電気的接触を完成する。
【0042】
折り曲げ方向に垂直である第3方向において、溶接ストリップ103におけるパッド1025に電気的に接触する第1折り曲げ部901のサイズをより大きく設定し、溶接ストリップ103とパッド1025との電気的接触面積を増加し、両者の間の接触抵抗を低減し、溶接ストリップ103の電流輸送能力を向上させ、セルストリング101の作動効率を確保することができる。
【0043】
図2と
図10に示すように、ここで、第4方向はF方向である。いくつかの実施例において、第4方向において、折り曲げ部のメイングリッド1024から離れる折り曲げ頂点1001とメイングリッド1024との間の間隔が0.1mm~0.3mmであり、第4方向は第2方向に対して垂直である。
【0044】
図10では、溶接ストリップ103は隣接する折り曲げ部の折り曲げ方向が反対である円弧状折り曲げ部から構成される。第4方向において、折り曲げ部の折り曲げ頂点1001とメイングリッド1024との間の間隔は、折り曲げ頂点1001の電池セル102の裏面における正投影からメイングリッド1024の電池セル102の裏面における正投影の中心線までの最小距離であり、つまり、第4方向は電池セル102の裏面と平行でありかつ第2方向に垂直な方向である。第4方向において、折り曲げ頂点1001とメイングリッド1024との間の間隔が小さすぎる場合に、折り曲げ部の折り曲げ程度が低く、折り曲げ部が溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放する能力を低下させ、さらに応力が効果的に釈放されないことに起因して電池セル102が反り乃至クラックルを生じさせて、セルストリング101の歩留まりと生産コストに影響を及ぼすおそれがあり、折り曲げ頂点1001とメイングリッド1024との間の間隔が大きすぎる場合に、折り曲げ部の折り曲げ程度が高く、折り曲げ部が溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放する能力が過剰になると同時に、溶接ストリップ103全体の長さが大きすぎて、溶接ストリップ103の電流輸送能力を低下させ、また、折り曲げ程度が高すぎる場合に、溶接ストリップ103は、電池セル102の裏面において溶接ストリップ103自体に対応するメイングリッド1024の極性と反対である異性サブグリッドに電気的に接触さしやすくなり、電池セル102の絶縁性に影響を及ぼしてしまう。
【0045】
したがって、第4方向において、溶接ストリップ103における折り曲げ部のメイングリッド1024から離れる折り曲げ頂点1001とメイングリッド1024との間の間隔を0.1mm~0.3mm、例えば、0.15mm、0.2mm又は0.25mm等に設定することができ、これによって、折り曲げ部が溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を効果的に釈放してセルストリング101の歩留まりを高めることができると同時に、溶接ストリップ103の電流輸送能力と電池セル102の絶縁性を確保することができる。
【0046】
いくつかの実施例において、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第2方向における長さの比値が1.05~1.25である。折り曲げ部の核心的な機能は緩衝部として溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放することにあり、折り曲げ部の応力釈放能力は折り曲げ部自体の折り曲げ程度に関連付けられるだけでなく、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の延伸方向における長さの比値にも関連付けられ、即ち、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第2方向における長さの比値に関連付けられる。他の条件が一致している場合に、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第2方向における長さの比値が小さすぎる場合に、折り曲げ部の釈放可能な応力の大きさがかなり限られ、折り曲げ部が溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放する能力を制限し、応力釈放効果が限られてしまい、電池セル102が依然として反り乃至クラックルを生じさせやすく、セルストリング101の歩留まりと生産コストに影響を及ぼしてしまい、折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第2方向における長さの比値が大きすぎる場合に、折り曲げ部の釈放可能な応力が大きく、折り曲げ部が溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放する能力が過剰になると同時に、溶接ストリップ103全体の長さが大きすぎて、溶接ストリップ103の電流輸送能力を低下させ、セルストリング101の生産コストを増加してしまう。
【0047】
したがって、溶接ストリップ103における折り曲げ部の折り曲げ方向における長さと折り曲げ部の第2方向における長さとの比値を1.05~1.25、例えば、1.10、1.15又は1.20等に設定することができ、これによって、折り曲げ部は、溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を効果的に釈放してセルストリング101の歩留まりを高めることができると同時に、溶接ストリップ103の電流輸送能力を確保し、セルストリング101の生産コストが高すぎるという問題を回避することができる。
【0048】
いくつかの実施例において、複数の折り曲げ部の第2方向における長さが同じである。上記実施例に説明されたように、折り曲げ部の核心的な機能は、緩衝部として溶接ストリップ103と電池セル102との間に生じた応力を釈放することにあるが、電池セル102における各メイングリッド1024の作製時に用いられる材質は、一般的に一致しているものであり、溶接ストリップ103をメイングリッド1024に電気的に接触する時に各接触位置の釈放すべき応力の大きさも基本的に一致しているため、各折り曲げ部の第2方向における長さを同一長さに設定することが可能であり、応力釈放効果と美観程度を確保すると同時に、折り曲げ部の規則的な分布と同様な規格によって溶接ストリップ103の整形と作製を容易にし、溶接ストリップ103の整形難度を低減し、整形と生産の効率を高めることができる。
【0049】
理解するように、電池セル102には特殊な構造又は必要なものが設けられる時に、応用場面の必要に応じて、所定の部分の折り曲げ部の第2方向における長さを独立に設定することができ、また、生産効率及び実際な生産の難度と正確度の問題を考慮すると、各折り曲げ部の第2方向における長さの間は予め設定された標準長さの間と一定の偏差があってもよく、例えば、実際な長さと標準長さの間に5%、10%、15%等の偏差があり、本実施例ではこれに対して制限することがない。
【0050】
いくつかの実施例において、各溶接ストリップ103が存在する平面は電池セル102の裏面と平行である。溶接ストリップ103を整形する過程において、電池セル102の裏面と平行な平面には、延伸方向に沿って連続的に配列される複数の折り曲げ部が形成され、かつ、溶接ストリップ103を利用して電池セル102を接続する過程において、溶接ストリップ103の各折り曲げ部が存在する平面を電池セル102の裏面と平行になるように配置し、電気接続技術によって溶接ストリップ103をメイングリッド1024に電気的に接触させる。溶接ストリップ103が存在する平面を電池セル102の裏面と平行なるように配置することにより、溶接ストリップ103には電池セル102の裏面に垂直な方向における凸部又は凹み部があることを回避し、凸部があることに起因してセルストリング101の最大高さが上昇するという問題を回避し、セルストリング101に必要な収納体積を小さくし、さらに、光起電力モジュールの体積を小さくすると同時に、凹み部がある場合に溶接ストリップ103が電池セル102とメイングリッド1024を傷づけやすいという問題を回避し、電池セル102のグリッド線の完全性と電池セル102全体の光電転換効率を確保することができる。
【0051】
上記に対応して、本願の別の一実施例には、光起電力モジュール製造方法がさらに提供され、当該光起電力モジュール製造方法は前の出願実施例に係る光起電力モジュールを形成することができ、製造方法の具体的なフローは
図11に示すように、次を含む:
【0052】
図2と
図4に示すように、複数の電池セル102を提供する。
【0053】
電池セル102は、対向している正面と裏面を有する基板1021と、基板1021の正面に位置する第1パッシベーション層1022と、基板1021の裏面に位置する第2パッシベーション層1023と、第2パッシベーション層1023の表面に位置する複数のメイングリッド1024とを含み、複数のメイングリッド1024は第1方向において間隔をあけて配列されかつ第2方向に沿って延びており、メイングリッド1024は第2方向において間隔をあけて配列される複数のパッド1025を含む。
【0054】
図3に示すように、複数の溶接ストリップ103を提供し、整形工程を利用して溶接ストリップ103を連続的に整形して、第2方向に連続的に配列される折り曲げ部を形成する。溶接ストリップ103を整形して折り曲げ部を形成する過程において、連続的な整形の方式を用いるため、どのようにして折り曲げ部を間隔をあけて配置するか、そして、隣接する折り曲げ部の間の間隔サイズなどの問題を考える必要がないため、整形がより簡単になりかつ整形後の溶接ストリップ103の歩留まりがより高くなり、溶接ストリップ103が連続的に配列される折り曲げ部から構成されるため、溶接ストリップ103の外観もより円滑で美ししい。
【0055】
いくつかの実施例において、整形工程は、押し曲げ、折り曲げ、鍛造又はプレスを含む。
【0056】
図1から
図3に示すように、溶接ストリップ103の配置位置を特定し、電気接続工程でセルストリング101を形成する。
【0057】
第2方向において、各溶接ストリップ103の中心線の電池セル102の裏面における正投影を、それぞれ、対応するメイングリッド1024の中心線及び/又は対応するメイングリッド1024における各パッド1025の中心線の電池セル102の裏面における正投影と位置合わせ、電気接続工程を利用して各溶接ストリップ103をそれぞれ対応するメイングリッド1024に電気的に接触させて、隣接する電池セル102が溶接ストリップ103を介して接続されるセルストリング101を形成する。
【0058】
図12に示すように、少なくとも1つの封止層120と少なくとも1つのカバープレート130を提供し、少なくとも1つの封止層120を少なくとも1つのセルストリング101の表面に配置し、少なくとも1つのカバープレート130を少なくとも1つの封止層120の少なくとも1つのセルストリング101から離れる表面に配置した後に、積層して成形する。
【0059】
最終的に形成される光起電力モジュールは、複数の電池セル102によって形成されるセルストリング101と、電池セル102の表面を覆うための封止層120と、封止層120の電池セル102から離れた表面を覆うためのカバープレート130と、を含んでもよく、セルストリング101は複数の上記実施例に係るセルストリング101であり、複数の電池セル102は直列および/または並列に電気的に接続されている。
【0060】
具体的には、いくつかの実施例において、複数の電池セル102間は、溶接ストリップ103によって電気的に接続されていてもよい。封止層120は、電池セル102の正面および裏面を覆い、具体的には、封止層120は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルム、ポリオレフィンエラストマー(POE)フィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの有機封止フィルムであってもよい。いくつかの実施例では、カバープレート130は、ガラスカバープレート、プラスチックカバープレートなどの光透過機能を有するカバープレート130であってもよい。具体的には、カバープレート130の封止層120に向かう表面は凹凸面であってもよく、これによって、入射光の利用率を高めることができる。
【0061】
本願は、実施例で上記のように開示されているが、特許請求の範囲を限定するものではなく、当業者であれば、本願の着想から逸脱することなく、若干の可能な変動および修正を加えることができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項によって規定される範囲に従うべきである。
【0062】
当業者であれば、前記の各実施形態は本願を実現する具体的な実施例であるが、実用上では本願の精神と範囲を逸脱することなく、形態及び細部において様々な変更が可能であることが理解できる。いずれの当業者は、本願の精神と範囲を逸脱しない限り、それぞれ変更及び修正を行うことが可能であるため、本願の保護範囲は、請求項に限定された範囲を基準にすべきである。