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特許7471389補助合金鋳片及び高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石並びに製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】補助合金鋳片及び高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石並びに製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/02 20060101AFI20240412BHJP
   H01F 1/057 20060101ALI20240412BHJP
   B22F 9/04 20060101ALI20240412BHJP
   B22F 1/05 20220101ALI20240412BHJP
   B22F 3/00 20210101ALI20240412BHJP
   C22C 38/00 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H01F41/02 G
H01F1/057 170
B22F9/04 C
B22F9/04 D
B22F9/04 E
B22F1/05
B22F3/00 F
C22C38/00 303D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022212387
(22)【出願日】2022-12-28
【審査請求日】2022-12-28
(31)【優先権主張番号】202211255156.5
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521278380
【氏名又は名称】▲包▼▲頭▼金山磁材有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏峰
(72)【発明者】
【氏名】付宇竜
(72)【発明者】
【氏名】陳晨
(72)【発明者】
【氏名】鄭海竜
(72)【発明者】
【氏名】汪子超
(72)【発明者】
【氏名】劉永紅
(72)【発明者】
【氏名】孫彩娜
(72)【発明者】
【氏名】王瑜
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-017121(JP,A)
【文献】特開2016-086078(JP,A)
【文献】特開2015-122395(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111009369(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104575906(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 41/02
H01F 1/057
B22F 9/04
B22F 1/05
B22F 3/00
C22C 38/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助合金鋳片の製造方法であって、
組成が、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含む補助合金原料を提供するステップと、
前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得るステップと、
前記溶錬材料に対してストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得るステップとを含み、前記ストリップキャスティングは精錬と鋳込みを順次行うことを含み、前記鋳込みの条件は、鋳込み温度が1330~1380°Cであり、銅ローラーの回転速度が60~80rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が7~15°C/minであることを含むことを特徴とする補助合金鋳片の製造方法。
【請求項2】
前記溶錬の温度は1390~1430℃であり、保温時間は3~5minであり、前記精錬の温度は1460~1510℃であり、保温時間は2~5minであることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記精錬と鋳込みの間に、3~7℃/minの速度で鋳込み温度まで降温し、5~9min保温することをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
留磁気が14.30~14.39kGsであり、固有保磁力が17.07~17.22kOeであるネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の製造方法であって、
組成が、質量分率で、28.5~29%のPr及びNdであるM、1~2%のCo、0.2~0.5%のGa、0.05~0.15%のAl、0.9~0.92%のB、0.05~0.15%のTi、残部のFeを含む主合金鋳片を提供するステップと、
前記主合金鋳片及び請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法で製造された、直径3~15μmである球状ミクロ組織を有する補助合金鋳片に対して二合金水素解砕、ジェットミル製粉、配向成形、焼結及び焼戻し処理を順次行い、前記ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得るステップとを含むことを特徴とする前記ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の製造方法。
【請求項5】
前記補助合金鋳片の質量は主合金鋳片の質量の10~15%であり、
前記二合金水素解砕は水素吸収処理、第1脱水素処理及び第2脱水素処理を順次行うことを含み、
前記水素吸収処理の温度は330~360°Cであり、保温時間は45~60minであり、
前記第1脱水素処理の温度は435~465°Cであり、保温時間は2~3hであり、
前記第2脱水素処理の温度は570~590°Cであり、保温時間は6~8hであることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ジェットミル製粉は潤滑剤の存在下で行われ、前記潤滑剤の質量は前記水素解砕後に得られた粗粉末の質量の1.5~2‰であり、前記ジェットミル製粉の研磨圧力は5.9~6.1MPaであり、粉末排出速度は130~160kg/hであり、前記ジェットミル製粉後に得られた微粉末のd50は2.5~3μmであり、粒度分布d90/d10は3.47~3.8であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記配向成形は、磁気誘導強度1.8~2.3T、成形圧力3~6MPaの条件で行われ、前記配向成形後に得られたグリーン体の密度は4.1~4.3g/cmであることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記焼結は第1焼結及び第2焼結を順次行うことを含み、前記第1焼結の条件は、真空度が5×10-2Pa未満であり、温度が1020~1050°Cであり、保温時間が2~4hであることを含み、前記第2焼結の条件は、真空度が5×10-2Pa未満であり、温度が1060~1080°Cであり、保温時間が8~10hであることを含み、
前記焼戻し処理は第1焼戻し処理及び第2焼戻し処理を順次行うことを含み、前記第1焼戻し処理の条件は、真空度が5Pa未満であり、温度が890~920°Cであり、時間が3~5hであることを含み、前記第2焼戻し処理の条件は、真空度が8Pa未満であり、温度が490~520°Cであり、時間が5~7hであることを含むことを特徴とする請求項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の技術分野に関し、特に、補助合金鋳片及び高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石並びに製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石は、新エネルギー自動車産業及びハイエンドコンシューマエレクトロニクスひいては軍事産業において重要なコアエネルギー変換の役割を果たしており、高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石には通常、重希土類ジスプロシウム又はテルビウムが含まれており、これはジスプロシウム-鉄-ホウ素及びテルビウム-鉄-ホウ素の異方性磁界が高いためである。しかし、重希土類ジスプロシウム又はテルビウムの価格はプラセオジム-ネオジム金属の数倍であり、産業チェーン全体は原材料の高い価格により資金繰りの圧力が大きいため、重希土類ジスプロシウム又はテルビウムフリーの高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の開発が急務となっている。
【0003】
焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石は二合金プロセスによって製造され、補助合金と主合金を組み合わせて使用することにより、焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のミクロ組織をある程度制御しやすく、性能に優れた製品を得る。重希土類ジスプロシウム及びテルビウムフリーの高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を開発するために、補助合金のミクロ組織の制御は重要であるが、現在、関連する研究は少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、補助合金鋳片及び高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石並びに製造方法を提供することを目的とし、本発明が提供する方法で製造された補助合金鋳片は球状ミクロ組織に富み、該補助合金鋳片を使用して、最終的に重希土類ジスプロシウム及びテルビウムフリーの高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を製造できる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
本発明は、補助合金鋳片の製造方法を提供し、
組成が、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含む補助合金原料を提供するステップと、
前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得るステップと、
前記溶錬材料に対してストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得るステップとを含み、前記ストリップキャスティングは精錬と鋳込みを順次行うことを含み、前記鋳込みの条件は、鋳込み温度が1330~1380°Cであり、銅ローラーの回転速度が60~80rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が7~15°C/minであることを含む。
【0007】
好ましくは、前記溶錬の温度は1390~1430℃であり、保温時間は3~5minであるり、前記精錬の温度は1460~1510℃であり、保温時間は2~5minである。
【0008】
好ましくは、前記精錬と鋳込みの間に、3~7℃/minの速度で鋳込み温度まで降温し、5~9min保温することをさらに含む。
【0009】
本発明は上記技術的解決手段に記載の製造方法で製造された補助合金鋳片を提供し、球状ミクロ組織を有し、前記球状ミクロ組織の直径は3~15μmである。
【0010】
本発明は、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、
組成が、質量分率で、28.5~29%のPr及びNdであるM、1~2%のCo、0.2~0.5%のGa、0.05~0.15%のAl、0.9~0.92%のB、0.05~0.15%のTi、残部のFeを含む主合金鋳片を提供するステップと、
前記主合金鋳片及び上記技術的解決手段に記載の補助合金鋳片に対して二合金水素解砕、ジェットミル製粉、配向成形、焼結及び焼戻し処理を順次行い、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得るステップとを含む。
【0011】
好ましくは、前記補助合金鋳片の質量は主合金鋳片の質量の10~15%であり、
前記二合金水素解砕は水素吸収処理、第1脱水素処理及び第2脱水素処理を順次行うことを含み、
前記水素吸収処理の温度は330~360°Cであり、保温時間は45~60minであり、
前記第1脱水素処理の温度は435~465°Cであり、保温時間は2~3hであり、
前記第2脱水素処理の温度は570~590°Cであり、保温時間は6~8hである。
【0012】
好ましくは、前記ジェットミル製粉は潤滑剤の存在下で行われ、前記潤滑剤の質量は前記水素解砕後に得られた粗粉末の質量の1.5~2‰であり、前記ジェットミル製粉の研磨圧力は5.9~6.1MPaであり、粉末排出速度は130~160kg/hであり、前記ジェットミル製粉後に得られた微粉末のd50は2.5~3μmであり、粒度分布d90/d10は3.47~3.8である。
【0013】
好ましくは、前記配向成形は、磁気誘導強度1.8~2.3T、成形圧力3~6MPaの条件で行われ、前記配向成形後に得られたグリーン体の密度は4.1~4.3g/cmである。
【0014】
好ましくは、前記焼結は第1焼結及び第2焼結を順次行うことを含み、前記第1焼結の条件は、真空度が5×10-2Pa未満であり、温度が1020~1050°Cであり、保温時間が2~4hであることを含み、前記第2焼結の条件は、真空度が5×10-2Pa未満であり、温度が1060~1080°Cであり、保温時間が8~10hであることを含み、
前記焼戻し処理は第1焼戻し処理及び第2焼戻し処理を順次行うことを含み、前記第1焼戻し処理の条件は、真空度が5Pa未満であり、温度が890~920°Cであり、時間が3~5hであることを含み、前記第2焼戻し処理の条件は、真空度が8Pa未満であり、温度が490~520°Cであり、時間が5~7hであることを含む。
【0015】
本発明は、上記技術的解決手段に記載の製造方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を提供する。
【0016】
本発明は、補助合金鋳片の製造方法を提供し、組成が、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含む補助合金原料を提供するステップと、前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得るステップと、前記溶錬材料に対してストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得るステップとを含み、前記ストリップキャスティングは精錬と鋳込みを順次行うことを含み、前記鋳込みの条件は、鋳込み温度が1330~1380°Cであり、銅ローラーの回転速度が60~80rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が7~10°C/minであることを含む。本発明は補助合金鋳片にチタン及びバナジウムを導入し、特定のストリップキャスティングプロセスと組み合わせ、得られた補助合金鋳片は球状ミクロ組織に富み、該補助合金鋳片を使用して、重希土類ジスプロシウム及びテルビウムフリーの高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を製造できる。
【0017】
本発明は、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、組成が、質量分率で、28.5~29%のPr及びNdであるM、1~2%のCo、0.2~0.5%のGa、0.05~0.15%のAl、0.9~0.92%のB、0.05~0.15%のTi、残部のFeを含む主合金鋳片を提供するステップと、前記主合金鋳片及び上記技術的解決手段に記載の補助合金鋳片に対して二合金水素解砕、ジェットミル製粉、配向成形、焼結及び焼戻し処理を順次行い、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得るステップとを含む。本発明は、補助合金にチタン及びバナジウムを導入し、主合金にチタンを導入し、二合金熱処理プロセスと組み合わせて高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を製造する。具体的には、本発明は主合金及び補助合金にチタンを導入して、焼結ネオジム-鉄-ホウ素の製造過程において結晶粒微細化の役割を果たし、同時に、補助合金にバナジウムを導入して、焼結及び焼戻し処理のプロセスと組み合わせて、希土類リッチ相が主相の粒界に沿って析出することを促進することに役立ち、希土類リッチ相の焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石における均一な分布を最適化し、最終的に重希土類ジスプロシウム及びテルビウムフリーの高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得て、実施例の試験条件下で、その残留磁気は14.3kGsであり、保磁力は17kOeであり、産業化応用の要求を満たす上で希少な希土類資源であるジスプロシウム及びテルビウムを節約し、企業の生産コストを削減し、希土類資源の利用のバランスを促進する。また、本発明が提供する方法は大量生産に適し、製造された製品の安定性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1で製造した補助合金鋳片の金属顕微鏡の観察図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、補助合金鋳片の製造方法を提供し、
組成が、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含む補助合金原料を提供するステップと、
前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得るステップと、
前記溶錬材料に対してストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得るステップとを含み、前記ストリップキャスティングは精錬と鋳込みを順次行うことを含み、前記鋳込みの条件は、鋳込み温度が1330~1380°Cであり、銅ローラーの回転速度が60~80rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が7~10°C/minであることを含む。
【0020】
本発明は補助合金原料を提供し、前記補助合金原料の組成は、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含み、好ましくは、41~44%のPr、1.2~1.5%のCo、0.5~0.8%のGa、0.6~0.7%のB、0.15~0.18%のV、0.3~0.5%のTi、残部のFeを含み、具体的には、43%のPr、1.5%のCo、0.8%のGa、0.7%のB、0.15%のV、0.5%のTi、残部のFeであってもよく、又は44%のPr、1.2%のCo、1%のGa、0.8%のB、0.15%のV、0.7%のTi、残部のFeであってもよく、又は41%のPr、1.2%のCo、0.5%のGa、0.6%のB、0.18%のV、0.3%のTi、残部のFeであってもよい。
【0021】
本発明は、前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得る。本発明では、前記溶錬の温度は、好ましくは1390~1430°Cであり、より好ましくは1400~1405°Cであり、保温時間は、好ましくは3~5minであり、より好ましくは3~4minである。
【0022】
溶錬材料を得た後、本発明は前記溶錬材料に対してストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得る。本発明では、前記ストリップキャスティングは精錬及び鋳込みを順次行うことを含む。本発明では、前記精錬の温度は、好ましくは1460~1510°Cであり、より好ましくは1470~1480°Cであり、保温時間は、好ましくは2~5minであり、より好ましくは2~3minである。本発明では、前記鋳込みの条件は、鋳込み温度が1330~1380℃、好ましくは1340~1360℃、さらに好ましくは1350~1355℃であり、銅ローラーの回転速度が60~80rpm、好ましくは70rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が7~15°C/min、好ましくは10~15℃/minであることを含む。本発明は、アルゴンガスを充填して40°C未満まで空気冷却して、補助合金鋳片を得ることが好ましい。本発明では、前記補助合金鋳片の厚さは、好ましくは0.15~0.25mmである。
【0023】
本発明では、前記精錬と鋳込みの間に、好ましくは、精錬後に得られた精錬材料を3~7℃/minの速度で鋳込み温度まで降温させ、5~9min保温することをさらに含み、前記降温の速度は、好ましくは5°C/minであり、前記保温の時間は、好ましくは7minである。本発明は、好ましくは精錬材料を上記速度で鋳込み温度まで降温させ、上記時間保温する作用は、成分が均一な材料を得ることである。
【0024】
本発明は、上記技術的解決手段に記載の製造方法で製造された補助合金鋳片を提供し、前記補助合金鋳片は球状ミクロ組織を有し、前記球状ミクロ組織の直径は3~15μmである。
【0025】
本発明は、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石の製造方法を提供し、
組成が、質量分率で、28.5~29%のPr及びNdであるM、1~2%のCo、0.2~0.5%のGa、0.05~0.15%のAl、0.9~0.92%のB、0.05~0.15%のTi、残部のFeを含む主合金鋳片を提供するステップと、
前記主合金鋳片及び上記技術的解決手段に記載の補助合金鋳片に対して二合金水素解砕、ジェットミル製粉、配向成形、焼結及び焼戻し処理を順次行い、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得るステップとを含む。
【0026】
本発明は主合金鋳片を提供し、前記主合金鋳片の組成は、質量分率で、28.5~29%のM、1~2%のCo、0.2~0.5%のGa、0.05~0.15%のAl、0.9~0.92%のB、0.05~0.15%のTi、残部のFeを含み、より好ましくは、28.5~28.8%のM、1.5~1.8%のCo、0.3~0.35%のGa、0.08~0.1%のAl、0.9~0.91%のB、0.01~0.12%のTi、残部のFeを含み、具体的には、28.8%のM、1.5%のCo、0.35%のGa、0.1%のAl、0.9%のB、0.1%のTi、残部のFeであってもよく、又は28.5%のM、1.8%のCo、0.35%のGa、0.1%のAl、0.9%のB、0.12%のTi、残部のFeであってもよく、又は29%のM、1.5%のCo、0.3%のGa、0.1%のAl、0.9%のB、0.15%のTi、残部のFeであってもよい。本発明では、前記MはPr及びNdであり、前記MにおけるPrとNdの質量比は、好ましくは(4~7):(21.8~24.8)であり、より好ましくは(5~6):(22.5~23.5)であり、具体的には、5.7:23.1、5.8:23、5.7:22.8又は5.9:23.1であってもよい。本発明は、主合金鋳片の組成に応じて材料を配合した後にストリップキャスティングを行い、主合金鋳片を得ることが好ましい。前記ストリップキャスティングの条件は、精錬温度が、好ましくは1460~1490°Cであり、より好ましくは1470~1480°Cであり、鋳込み温度が、好ましくは1390~1420°Cであり、より好ましくは1405~1420°Cであり、銅ローラーの回転速度が、好ましくは40~45rpm、より好ましくは41~43rpmであり、冷却方法が、好ましくはアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が、好ましくは7~10℃/min、より好ましくは8~9℃/minであることを含むことが好ましい。
【0027】
主合金鋳片を得た後、本発明は、前記主合金鋳片及び上記技術的解決手段に記載の補助合金鋳片を混合し、二合金水素解砕、ジェットミル製粉、配向成形、焼結及び焼戻し処理を順次行い、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得る。本発明では、前記補助合金鋳片の質量は、好ましくは主合金鋳片の質量の10~15%であり、より好ましくは10~12%である。以下、各工程について詳細に説明する。
【0028】
本発明は、前記主合金鋳片及び補助合金鋳片に対して二合金水素解砕を行い、粗粉末を得る。本発明では、前記二合金水素解砕は水素吸収処理、第1脱水素処理及び第2脱水素処理を順次行うことを含むことが好ましい。本発明では、前記水素吸収処理の温度は、好ましくは330~360°Cであり、より好ましくは350~360°Cであり、保温時間は、好ましくは45~60minであり、より好ましくは55~60minである。本発明では、前記第1脱水素処理の温度は、好ましくは435~465°Cであり、より好ましくは450~460°Cであり、保温時間は、好ましくは2~3hであり、より好ましくは2.5hである。本発明では、前記第2脱水素処理の温度は、好ましくは570~590°Cであり、より好ましくは580°Cであり、保温時間は、好ましくは6~8hであり、より好ましくは7hである。前記第2脱水素処理の後、本発明は、3~7°C/minの速度で380~420°Cまで降温し、25~35min保温し、次に15~25°C/minの降温速度でアルゴンガスを充填して室温まで冷却して、粗粉末を得ることが好ましい。より好ましくは、本発明は、第2脱水素処理後に得られた材料を5°C/minの速度で400°Cまで冷却して30min保温し、次に20°C/minの降温速度でアルゴンガスを充填して室温まで冷却して、粗粉末を得る。本発明では、前記粗粉末の平均粒径は、好ましくは50~100μmであり、より好ましくは80μmである。本発明の実施例では、前記二合金水素解砕は、具体的には、水素解砕炉で行われる。
【0029】
粗粉末を得た後、本発明は、前記粗粉末に対してジェットミル製粉を行い、微粉末を得る。本発明では、前記ジェットミル製粉は、好ましくは潤滑剤の存在下で行われ、前記潤滑剤は、好ましくはグリース潤滑剤であり、前記潤滑剤の質量は、好ましくは、前記粗粉末の質量の1.5~2‰であり、より好ましくは、1.8~2‰である。本発明は、好ましくは前記粗粉末と潤滑剤を1.5~2.5h、さらに好ましくは2h撹拌混合し、次に、ジェットミル製粉を行う。本発明では、前記ジェットミル製粉のプロセス中に追加の酸化防止剤を添加する必要はない。本発明では、前記ジェットミル製粉の研磨圧力は、好ましくは5.9~6.1MPaであり、より好ましくは6MPaであり、粉末排出速度は、好ましくは130~160kg/hであり、より好ましくは138~159kg/hであり、さらに好ましくは145~150kg/hである。本発明では、前記微粉末のd50は、好ましくは2.5~3μmであり、より好ましくは2.58~2.75μmであり、さらに好ましくは2.63~2.68μmであり、粒度分布d90/d10は、好ましくは3.47~3.8であり、より好ましくは3.65~3.71である。
【0030】
微粉末を得た後、本発明は、前記微粉末に対して配向成形を行い、グリーン体を得る。本発明では、前記配向形成の条件は、磁気誘導強度が、好ましくは1.8~2.3Tであり、より好ましくは2.12~2.2Tであり、圧力が、好ましくは3~6MPaであり、より好ましくは3.5~5MPaであり、さらに好ましくは4~4.5MPaであることを含むことが好ましい。本発明では、前記グリーン体の密度は、好ましくは4.1~4.3g/cmであり、より好ましくは4.2~4.25g/cmであり、さらに好ましくは4.21~4.22g/cmである。本発明の実施例では、具体的には、磁場プレス機で前記配向成形を行う。
【0031】
グリーン体を得た後、本発明は、前記グリーン体を焼結して焼結材料を得る。本発明では、前記焼結前に前記グリーン体中の潤滑剤を除去することが好ましい。前記潤滑剤を除去する方法は、前記グリーン体を加熱して前記潤滑剤を十分に揮発させることが好ましい。本発明では、前記加熱処理の温度は、好ましくは530~600°Cであり、より好ましくは570°Cであり、保温時間は、好ましくは3~5hであり、より好ましくは4hである。本発明では、前記焼結は、第1焼結及び第2焼結を順次行うことを含むことが好ましい。本発明では、前記第1焼結の条件は、真空度が、好ましくは5×10-2Pa未満であり、より好ましくは5×10-3Paであり、温度が、好ましくは1020~1050℃であり、より好ましくは1030℃であり、保温時間が、好ましくは2~4hであり、より好ましくは2hであることを含むことが好ましい。本発明は、加熱処理に必要な温度から第1焼結に必要な温度まで昇温することが好ましい。前記昇温の時間は、好ましくは5~8hであり、より好ましくは6hであり、前記昇温は、好ましくは等速昇温である。前記第1焼結後、本発明は、第1焼結に必要な温度から第2焼結に必要な温度まで昇温することが好ましい。前記昇温の時間は、好ましくは20~40minであり、より好ましくは30minであり、前記昇温は、好ましくは等速昇温である。本発明では、前記第2焼結の条件は、真空度が、好ましくは5×10-2Pa未満であり、より好ましくは5×10-3Paであり、温度が、好ましくは1060~1080°Cであり、より好ましくは1065~1070°Cであり、保温時間が、好ましくは8~10hであり、より好ましくは8hであることを含むことが好ましい。
【0032】
焼結材料を得た後、本発明は、焼結材料に対して焼戻し処理を行い、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得る。本発明では、前記焼戻し処理は第1焼戻し処理及び第2焼戻し処理を順次行うことを含むことが好ましい。本発明では、前記第1焼戻し処理の条件は、真空度が、好ましくは5Pa未満であり、より好ましくは3Paであり、温度が、好ましくは890~920℃であり、より好ましくは900~910℃であり、時間が、好ましくは3~5hであり、より好ましくは4hであることを含むことが好ましい。本発明は、第2焼結の温度から第1焼戻し処理に必要な温度までアルゴンガス充填空気冷却により冷却して、第1焼戻し処理を行うことが好ましい。前記第1焼戻し処理の後、アルゴンガス充填空気冷却により80~120°Cまで冷却し、より好ましくは100°Cまで冷却した後、第2焼戻し処理に必要な温度まで昇温することが好ましい。前記昇温の時間は、好ましくは3~5hであり、より好ましくは3.5hであり、前記昇温は、好ましくは等速昇温である。本発明では、前記第2焼戻し処理の条件は、真空度が、好ましくは8Pa未満であり、より好ましくは3Paであり、温度が、好ましくは490~520°Cであり、より好ましくは500~510°Cであり、時間が、好ましくは5~8hであり、より好ましくは6hであることを含むことが好ましい。前記第2焼戻し処理の後、本発明は、アルゴンガス充填空気冷却により40°C未満まで冷却して、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得ることが好ましい。
【0033】
本発明は、上記技術的解決手段に記載の製造方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を提供する。
【0034】
以下、本発明における実施例を参照しながら、本発明における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。説明された実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0035】
実施例1
【0036】
配合設計成分に従って材料を配合し、補助合金原料の組成は、質量分率で、含有量43%のPr、含有量1.5%のCo、含有量0.8%のGa、含有量0.7%のB、含有量0.15%のV、含有量0.5%のTi、残部のFeを含み、前記補助合金原料を1400°Cで3min溶錬し、10°C/minの速度で1480°Cまで昇温して2min精錬し、5°C/minの速度で1350°Cまで降温して7min保温した後、銅ローラーの回転速度70rpmで鋳込みを行い、鋳込み後にアルゴンガスを充填して40°C未満まで空気冷却して(降温速度は15°C/minである)、厚さ0.15~0.25mmの補助合金鋳片を得た。
【0037】
配合設計成分に従って材料を配合し、主合金原料の組成は、質量分率で、含有量28.8%のプラセオジム-ネオジム(ここで、PrとNdの質量比は5.8:23である)、含有量1.5%のCo、含有量0.35%のGa、含有量0.1%のAl、含有量0.9%のB、含有量0.1%のTi、残部のFeを含み、前記主合金原料に対してストリップキャスティングを行い、主合金鋳片を得た。前記ストリップキャスティングの条件は、精錬温度が1470°Cであり、鋳込み温度が1405°Cであり、銅ローラーの回転速度が43rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が9°C/minであることを含む。
【0038】
前記主合金鋳片及び補助合金鋳片を水素解砕炉に入れ、前記補助合金鋳片の質量は主合金鋳片の質量の10%であり、二合金プロセスを用いて水素解砕を行い、具体的には、350°Cで60min保温して水素吸収処理を行い、450°Cで2.5h保温して第1脱水素処理を行い、その後、580°Cまで昇温して7h保温して第2脱水素処理を行い、さらに5°C/minの速度で400°Cまで冷却して30min保温し、最後に20°C/minの降温速度でアルゴンガスを充填して室温(25°C)まで冷却して、平均粒径80μmの粗粉末を得た。
【0039】
前記粗粉末とグリース潤滑剤を2h撹拌混合し、前記グリース潤滑剤は粗粉末の質量の1.8‰であり、得られた混合材料(追加の酸化防止剤を添加しない)に対してジェットミル製粉を行い、微粉末を得る。前記ジェットミル製粉の研磨圧力は6MPaであり、粉末排出速度は150kg/hであり、前記微粉末のd50は2.68μmであり、粒度分布d90/d10は3.65である。
【0040】
前記微粉末を磁場プレス機に入れ、磁気誘導強度2T、成形圧力4MPaの条件で配向成形を行い、密度4.2g/cmのグリーン体を得た。
【0041】
前記グリーン体を570°Cで4h保温してグリース潤滑剤を十分に揮発させ、真空度を5×10-3Paに制御し、1030°Cまで6hかけて等速で昇温し、2h保温して第1焼結処理を行い、次に、1060°Cまで30minかけて等速で昇温し、8h保温して第2焼結処理を行い、焼結材料を得た。アルゴンガスを充填して910°Cまで空気冷却し、4h保温して第1焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して100°Cまで空気冷却し、510°Cまで3.5hかけて等速で昇温し、6h保温して第2焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して40°C未満まで連続的に空気冷却して、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得た。
【0042】
図1は実施例1で製造した補助合金鋳片の金属顕微鏡の観察図である。結果は、金属顕微鏡で実施例1で製造した補助合金鋳片に富んだ、直径3~15μmの球状ミクロ組織を観察できることを示している。走査型電子顕微鏡観察により、前記補助合金鋳片の成分はPr、Fe、Ga、V及び少量のB元素に富む。
【0043】
実施例1の方法に従って3つの高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを繰り返し製造し、20°Cでφ10×10の円筒試験を行い、具体的には、残留磁気(Br)、磁気誘導保磁力(Hcb)、固有保磁力(Hcj)、磁気エネルギー積((BH)max)、磁石のJ減磁曲線におけるJ=0.9Jr時の逆磁界(Hk)、角形性(Hk/Hcj)を測定し、具体的な結果は表1に示すとおりである。表1から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを試験した後、その残留磁気は14.3kGsに達し、固有保磁力は17kOeに達する。そして、表1から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石は、製品の安定性が高い。
【0044】
【表1】
【0045】
実施例2
【0046】
配合設計成分に従って材料を配合し、補助合金原料の組成は、質量分率で、含有量44%のPr、含有量1.2%のCo、含有量1%のGa、含有量0.8%のB、含有量0.15%のV、含有量0.7%のTi、残部のFeを含み、前記補助合金原料を1405°Cで3min溶錬し、10°C/minの速度で1480°Cまで昇温して2min精錬し、5°C/minの速度で1355°Cまで降温して7min保温した後、銅ローラーの回転速度70rpmで鋳込みを行い、鋳込み後にアルゴンガスを充填して40°C未満まで空気冷却して(降温速度は15°C/minである)、厚さ0.15~0.25mmの補助合金鋳片を得た。
【0047】
配合設計成分に従って材料を配合し、主合金原料の組成は、質量分率で、含有量28.5%のプラセオジム-ネオジム(ここで、PrとNdの質量比は5.7:22.8である)、含有量1.8%のCo、含有量0.35%のGa、含有量0.1%のAl、含有量0.9%のB、含有量0.12%のTi、残部のFeを含み、前記主合金原料に対してストリップキャスティングを行い、主合金鋳片を得た。前記ストリップキャスティングの条件は、精錬温度が1470°Cであり、鋳込み温度が1405°Cであり、銅ローラーの回転速度が43rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が9°C/minであることを含む。
【0048】
前記主合金鋳片及び補助合金鋳片を水素解砕炉に入れ、前記補助合金鋳片の質量は主合金鋳片の質量の10%であり、二合金プロセスを用いて水素解砕を行い、具体的には、360°Cで60min保温して水素吸収処理を行い、460°Cで2.5h保温して第1脱水素処理を行い、その後、580°Cまで昇温して7h保温して第2脱水素処理を行い、さらに5°C/minの速度で400°Cまで冷却して30min保温し、最後に20°C/minの降温速度でアルゴンガスを充填して室温(25°C)まで冷却して、平均粒径80μmの粗粉末を得た。
【0049】
前記粗粉末とグリース潤滑剤を2h撹拌混合し、前記グリース潤滑剤は粗粉末の質量の2‰であり、得られた混合材料(追加の酸化防止剤を添加しない)に対してジェットミル製粉を行い、微粉末を得た。前記ジェットミル製粉の研磨圧力は6MPaであり、粉末排出速度は159kg/hであり、前記微粉末のd50は2.75μmであり、粒度分布d90/d10は3.71である。
【0050】
前記微粉末を磁場プレス機に入れ、磁気誘導強度2.1T、成形圧力5MPaの条件で配向成形を行い、密度4.21g/cmのグリーン体を得た。
【0051】
前記グリーン体を570°Cで4h保温してグリース潤滑剤を十分に揮発させ、真空度を5×10-3Paに制御し、1030°Cまで6hかけて等速で昇温し、2h保温して第1焼結処理を行い、次に、1075°Cまで30minかけて等速で昇温し、8h保温して第2焼結処理を行い、焼結材料を得た。真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して890°Cまで空気冷却し、4h保温して第1焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して100°Cまで空気冷却し、520°Cまで3.5hかけて等速で昇温し、6h保温して第2焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して40°C未満まで連続的に空気冷却して、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得た。
【0052】
実施例2の方法に従って3つの高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを繰り返し製造し、20°Cでφ10×10の円筒試験を行い、具体的には、残留磁気(Br)、磁気誘導保磁力(Hcb)、固有保磁力(Hcj)、磁気エネルギー積((BH)max)、磁石のJ減磁曲線におけるJ=0.9Jr時の逆磁界(Hk)、角形性(Hk/Hcj)を測定し、具体的な結果は表2に示すとおりである。表2から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを試験した後、その残留磁気は14.3kGsに達し、固有保磁力は17kOeに達する。そして、表2から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石は、製品の安定性が高い。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例3
【0055】
配合設計成分に従って材料を配合し、補助合金原料の組成は、質量分率で、含有量41%のPr、含有量1.2%のCo、含有量0.5%のGa、含有量0.6%のB、含有量0.18%のV、含有量0.3%のTi、残部のFeを含み、前記補助合金原料を1390°Cで3min溶錬し、10°C/minの速度で1470°Cまで昇温して2min精錬し、5°C/minの速度で1340°Cまで降温して7min保温した後、銅ローラーの回転速度70rpmで鋳込みを行い、鋳込み後にアルゴンガスを充填して40°C未満まで空気冷却して(降温速度は15°C/minである)、厚さ0.15~0.25mmの補助合金鋳片を得た。
【0056】
配合設計成分に従って材料を配合し、主合金原料の組成は、質量分率で、含有量29%のプラセオジム-ネオジム(ここで、PrとNdの質量比は5.9:23.1である)、含有量1.5%のCo、含有量0.3%のGa、含有量0.1%のAl、含有量0.9%のB、含有量0.15%のTi、残部のFeを含み、前記主合金原料に対してストリップキャスティングを行い、主合金鋳片を得た。前記ストリップキャスティングの条件は、精錬温度が1480°Cであり、鋳込み温度が1420°Cであり、銅ローラーの回転速度が43rpmであり、冷却方法がアルゴンガス充填空気冷却であり、冷却時の降温速度が9°C/minであることを含む。
【0057】
前記主合金鋳片及び補助合金鋳片を水素解砕炉に入れ、前記補助合金鋳片の質量は主合金鋳片の質量の10%であり、二合金プロセスを用いて水素解砕を行い、具体的には、350°Cで60min保温して水素吸収処理を行い、450°Cで2.5h保温して第1脱水素処理を行い、その後、580°Cまで昇温して7h保温して第2脱水素処理を行い、さらに5°C/minの速度で400°Cまで冷却して30min保温し、最後にアルゴンガスを充填して室温(25°C)まで冷却して、平均粒径80μmの粗粉末を得た。
【0058】
前記粗粉末とグリース潤滑剤を2h撹拌混合し、前記グリース潤滑剤は粗粉末の質量の1.8‰であり、得られた混合材料(追加の酸化防止剤を添加しない)に対してジェットミル製粉を行い、微粉末を得た。前記ジェットミル製粉の研磨圧力は6MPaであり、粉末排出速度は138kg/hであり、前記微粉末のd50は2.58μmであり、粒度分布d90/d10は3.47である。
【0059】
前記微粉末を磁場プレス機に入れ、磁気誘導強度2.2T、成形圧力3.5MPaの条件で配向成形を行い、密度4.22g/cm3のグリーン体を得た。
【0060】
前記グリーン体を570°Cで4h保温してグリース潤滑剤を十分に揮発させ、真空度を5×10-3Paに制御し、1030°Cまで6hかけて等速で昇温し、2h保温して第1焼結処理を行い、次に、1060°Cまで30minかけて等速で昇温し、8h保温して第2焼結処理を行い、焼結材料を得た。真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して900°Cまで空気冷却し、4h保温して第1焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して100°Cまで空気冷却し、500°Cまで3.5hかけて等速で昇温し、6h保温して第2焼戻し処理を行い、真空度を3Paに制御し、アルゴンガスを充填して40°C未満まで連続的に空気冷却して、高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を得た。
【0061】
実施例3の方法に従って3つの高残留磁気・高保磁力ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを繰り返し製造し、20°Cでφ10×10の円筒試験を行い、具体的には、残留磁気(Br)、磁気誘導保磁力(Hcb)、固有保磁力(Hcj)、磁気エネルギー積((BH)max)、磁石のJ減磁曲線におけるJ=0.9Jr時の逆磁界(Hk)、角形性(Hk/Hcj)を測定し、具体的な結果は表3に示すとおりである。表3から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石のサンプルを試験した後、その残留磁気は14.3kGsに達し、固有保磁力は17kOeに達する。そして、表3から分かるように、本発明が提供する方法で製造された高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石は、製品の安定性が高い。
【0062】
【表3】
【0063】
以上は、本発明の好ましい実施例にすぎず、当業者であれば、本発明の原理から逸脱することなく、若干の改良及び修飾を行うことができ、これらの改良及び修飾は保護範囲ともみなされるべきである。
【要約】
【課題】補助合金鋳片及び高残留磁気・高保磁力のネオジム-鉄-ホウ素永久磁石並びに製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の補助合金鋳片の製造方法は、組成が、質量分率で、40~45%のPr、1~2%のCo、0.5~1%のGa、0.6~0.8%のB、0.1~0.2%のV、0.3~0.7%のTi、残部のFeを含む補助合金原料を提供するステップと、前記補助合金原料を溶錬して、溶錬材料を得るステップと、前記溶錬材料に対して精錬と鋳込みを順次行うことを含むストリップキャスティングを行い、補助合金鋳片を得るステップとを含む。本発明は補助合金鋳片にチタン及びバナジウムを導入し、特定のストリップキャスティングプロセスと組み合わせ、得られた補助合金鋳片は球状ミクロ組織に富み、該補助合金鋳片を使用して、重希土類ジスプロシウム及びテルビウムフリーの高性能焼結ネオジム-鉄-ホウ素永久磁石を製造できる。
【選択図】図1
図1