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特許7471393呼吸器疾患の予防、改善又は効果がある茶組成物及びこれを含む薬学組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】呼吸器疾患の予防、改善又は効果がある茶組成物及びこれを含む薬学組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/41 20060101AFI20240412BHJP
   A61K 36/342 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240412BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240412BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240412BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240412BHJP
   A23L 2/38 20210101ALI20240412BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20240412BHJP
   A61K 125/00 20060101ALN20240412BHJP
   A61K 135/00 20060101ALN20240412BHJP
【FI】
A61K36/41
A61K36/342
A61P11/00
A61P31/14
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L2/52
A23L2/00 F
A23L2/38 C
A61K127:00
A61K125:00
A61K135:00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022512465
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2020017454
(87)【国際公開番号】W WO2021177553
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0027724
(32)【優先日】2020-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518410847
【氏名又は名称】ナム ジョン ヒョン
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナム ジョン ヒョン
【審査官】横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第2018-0040912(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0003153(KR,A)
【文献】Natural Product Sciences,2000年,Vol.6 No.3,p.117-121
【文献】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,2014年,Vol.58 No.8,p.4875-4884
【文献】Journal of Ethnopharmacology,2019年,Vol.239,Article.111915(p.1-15)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00
A61P
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツメレンゲ抽出物及びツリガネニンジン抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用組成物であって、
前記ツメレンゲ抽出物は、熱水抽出物であり、
前記ツリガネニンジン抽出物は、ツリガネニンジンの葉、茎、及び根のメタノール抽出物である、抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用組成物
【請求項2】
蔓人参、天門冬、アマドコロ、黄耆、蒲公英、オウゴン、乾姜、長芋、人参、甘草及びナツメ、党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金の熱水抽出物からなる群より選択された1種以上をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の抗伝染性胃腸炎ウイルス用組成物(TGEV);及び薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤を含むことを特徴とする、抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用薬学組成物。
【請求項4】
前記薬学組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁液エマルジョン、シロップ剤、エアロゾール、外用剤、坐剤及び注射剤からなる群より選択される剤形を有することを特徴とする、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項5】
前記薬学組成物は、伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)関連疾患の治療及び予防に効果があることを特徴とする、請求項に記載の薬学組成物。
【請求項6】
請求項1又は請求項に記載の抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用組成物及び食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことを特徴とする、抗伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)用健康機能食品。
【請求項7】
前記健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、キャンデー、チューインガム、ゼリー及び飲料からなる群より選択される剤形を有することを特徴とする、請求項に記載の健康機能食品。
【請求項8】
前記健康機能食品が健康機能性茶であることを特徴とする、請求項に記載の健康機能食品。
【請求項9】
前記健康機能食品は、伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV)関連疾患の予防に効果があることを特徴とする、請求項に記載の健康機能食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器疾患の予防、改善又は効果がある組成物、特に、茶組成物に関し、呼吸器ウイルス関連疾患の治療及び予防に効果がある天然組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ウイルスと言えば、その起源が人類の歴史とほぼ同時に始まり現在まで大きく繁殖してその突然変異により人類に大きな苦痛を与えている。特に、ジャコウネコから繁殖したウイルスは、SARSと言う甚大な毒性を示して人類に大きな苦痛を与えたが、タミフルという植物抽出物により制圧された。砂漠のラクダから繁殖したMERSは、人類を恐怖に追いこみ、やはりタミフルのような植物から抽出した薬剤により征服をしたが、いまだにその終わりがなく潜伏期に入っているのが実情である。
【0003】
特に、現在武漢を含め世界を押さえつけているCOVID19は、キクガシラコウモリから野生のマウスのウイルスが結合して生じたウイルスであって、2015年、このウイルスの研究を通じてのワクチンと治療剤の開発に失敗し、2020年に地球上に出現し始め、その威容が凄まじい。何らの対策なしに人類社会はこれを観望し、ワクチンや治療剤の開発に成果を出せない間、人類は大きく荒て、対処レベルは原始的な方法としての手洗い、マスク着用など非常に前近代的な方法のみで、何らの対策がない。多数の食品を発明してきたなか大青葉からクロロキン成分が検出されることを発見し、これを容易に抽出して付加原料と混合して研究した。
【0004】
特に、人類が続けて発生するウイルスに対し永遠に解決できないと判断して研究を怠る間、数多くの人々が恐怖と疾病に喘いでいることを残念に思い持続的に研究した結果、突然変異が続けて起きるウイルスの最終終着点をあらかじめ占領して予防することが重要であるという事実を知ることになり、それによる突然変異ウイルスも死滅することを発見し、2次、3次突然変異となるウイルスの予防と抗ウイルス用天然茶を発明することとなった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、呼吸器ウイルス、特に、COVID19のような変種突然変異ウイルスの出没による疾患の治療及び予防に効果がある天然組成物を提供することである。
【0006】
本発明のまた他の目的は、副作用がない抗呼吸器ウイルス用薬学組成物を提供することである。
【0007】
本発明のまた他の目的は、副作用がない抗呼吸器ウイルス用機能性食品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、本発明は、ツメレンゲ抽出物を有効成分として含有する抗呼吸器ウイルス用組成物を提供する。
【0009】
一実施例によると、前記呼吸器ウイルスは、アデノウイルス(Adeno virus)、メタニューモウイルス(Metapneumo virus)、ライノウイルス(Rhino virus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus)及びコロナウイルス(Corona virus)からなる群より選択された一つ以上のウイルスである場合に一層効果的である。
【0010】
一実施例によると、前記呼吸器ウイルスは、コロナウイルスであることが好ましい。
【0011】
一実施例によると、前記ツメレンゲ抽出物は、水、炭素数1~4のアルコールのうち選択された1種以上の溶媒で抽出することが好ましい。
【0012】
一実施例によると、ツリガネニンジン抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0013】
一実施例によると、蔓人参、天門冬、アマドコロ、黄耆、蒲公英、オウゴン、乾姜、長芋、人参、甘草、ナツメ抽出物、党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金からなる群より選択された1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0014】
前記抗呼吸器ウイルス用組成物は、好ましくは、健康機能食品として提供され得、好ましくは、茶組成物として用いられ得る。
【0015】
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物;及び薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤を含むことが好ましい。
【0016】
一実施例によると、前記薬学組成物は、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、懸濁液エマルジョン、シロップ剤、エアロゾール、外用剤、坐剤及び注射剤からなる群より選択される剤形を有することが好ましい。
【0017】
一実施例によると、前記薬学組成物は、抗呼吸器ウイルス関連疾患の治療及び予防に用いられることが好ましい。
【0018】
一実施例によると、本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物及び食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことが好ましい。
【0019】
一実施例によると、前記健康機能食品は、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、キャンデー、チューインガム、ゼリー及び飲料からなる群より選択される剤形を有することが好ましい。
【0020】
一実施例によると、前記健康機能食品は、呼吸器ウイルス関連疾患の予防に用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、各種呼吸器ウイルスに適用され得、特に、ウイルス変種による変種ウイルスに対しても効果を得ることができるので、持続的に変種となり現れるウイルスに対して迅速に対応でき、継続的に飲用すると、多くの種類のウイルスに対して免疫力が増進して健康な状態を維持することができる。
【0022】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、呼吸器ウイルス関連疾患の治療又は予防に効果的な薬学組成物を提供することができ、天然物質で構成されるため副作用がない。
【0023】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、呼吸器ウイルス関連疾患の予防に効果的な健康機能食品を提供することができ、持続的に飲用すると、免疫力を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0025】
本発明は、ツメレンゲ抽出物を有効成分として含有する抗呼吸器ウイルス用組成物を提供する。
【0026】
前記呼吸器ウイルスは、アデノウイルス(Adeno virus)、メタニューモウイルス(Metapneumo virus)、ライノウイルス(Rhino virus)、パラインフルエンザウイルス(Parainfluenza virus)、インフルエンザウイルス(Influenza virus)、呼吸器合胞体ウイルス(respiratory syncytial virus)及びコロナウイルス(Corona virus)からなる群より選択されたウイルスである場合に一層効果的である。
【0027】
前記呼吸器ウイルスは、コロナウイルスであってもよく、特に、変種ウイルスであってもよく、特に、COVID19ウイルスであってもよい。
【0028】
コロナウイルス(coronavirus)は、コロナウイルス科(coronaviridae)のウイルスであって、コロナウイルス感染による疾病は非常に多様である。哺乳類と鳥類において呼吸器疾患、消化器疾患、肝臓疾患、脳疾患などを起こすRNAウイルスである(Thomas M Gallagher TM、and Michael J Buchmeier MJ(2001) Coronavirus Spike Proteins in Viral Entry and Pathogenesis Virology、279(2):371-374)。コロナウイルスは、風邪を誘発するウイルスのうち一つであるが(Baker SCPediatric Infect Dis J(2004) 23(11):1049-1050)、SARSウイルスもコロナウイルスの一種である。SARSウイルスは、2002年中国で初めて発生して2003年春まで全世界32ヶ国で9000人余りの重度急性呼吸器疾患患者を発生させ、約15%の高い致死率を示した。その外にもコロナウイルスは、畜産業でも深刻な経済的損失を誘発するが、他のコロナウイルスの一種である豚流行性下痢ウイルス(PEDV、porcine epidemic diarrhea virus)は、非常に伝染性が高いウイルス性疾病として、胃腸管消化器系統に浸入して嘔吐、下痢による脱水と高熱を起こし、致死率も高いため相当な経済的損失を誘発するウイルスである(Duarte M、Laude H(1994) Sequence of the spike protein of the porcineepidemic diarrhoea virus J Gen Virol、75(Pt5):1195-200)。その外にも同様に豚において高い致死率を示す豚伝染性胃膓炎ウイルス(TGEV)もコロナウイルスに属し、その外にもマウスコロナウイルスは、肝炎を誘発し、鼠コロナウイルスは、重度呼吸器疾患を誘発し、牛コロナウイルスは、神経疾患を誘発するなど多くの動物において多様な疾患を誘発する(BrianDA、Baric RS Curr Top Microbiol Immunol(2005)287:1-30)。
【0029】
ツメレンゲ(Orostachysjaponicus.)は、瓦松とも言い、ベンケイソウ科植物として山地の日当たりのいい岩間や伝統家屋の瓦と石垣に付いて生息するが、現在は探しにくいのが実情である。最近では、絶滅段階となって人為的に培養、増殖させて薬用で用いている。昔からマラリア、肝炎、湿疹、赤痢性下痢、痔疾、悪性腫瘍、やけどなどの治療に用いられ、腫物や傷に搗き砕いて付けると、膿を吸い出す効果が大きいとして知られている。血流量の促進、陣痛、免疫、皮膚炎、毛髪成長促進及び皮膚がひび割れる皮膚炎にも効果があるとして知られている。
【0030】
前記ツメレンゲ抽出物の製造に用いられ得る抽出溶媒としては、例えば、水、炭素数C1~C4の低級アルコール、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及び1,3ブチレングリコールなどの抽出溶媒を単独で又は混合して使用可能である。一つの具体例で、前記抽出溶媒は、エタノールであり、より具体的には、約70%エタノールである。前記抽出溶媒の量は、ツメレンゲ乾燥重量の約1~15倍程度であり、5~12倍であってもよく、10倍であってもよいが、これに限定されるものではない。また、抽出方法としては、熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出及び超音波抽出などを用いることができ、1回又は多数回繰り返して抽出して用いることができる。また、抽出温度は、前記ツメレンゲ有用成分の有効活性が除去されない程度の温度であれば、特に制限されない。一具体例では、好ましくは、常温で沈積させて抽出する。
【0031】
本発明の一実施例によると、ツリガネニンジン抽出物をさらに含むことが好ましい。
【0032】
前記ツリガネニンジン抽出物は、ツリガネニンジン葉の抽出物であって、これに限定されないが、水、炭素数1~4個の低級アルコール及びこれらの混合物からなる群より選択される一つの溶媒で抽出され得、好ましくは、エタノールで抽出され得る。
【0033】
本発明の一実施例によると、蔓人参、天門冬、アマドコロ、黄耆、蒲公英、オウゴン、乾姜、長芋、人参、甘草、ナツメ、党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金の抽出物からなる群より選択された1種以上をさらに含むことが好ましい。
【0034】
前記蔓人参抽出物は、有効成分として含まれ、抗呼吸器ウイルス組成物の効能をより高めることができる。本発明の前記醗酵蔓人参抽出物は、多様な方法で製造され得る。例えば、蔓人参をバシラス属の特定微生物で醗酵させた産物から抽出物を得る方法又は蔓人参抽出物をバシラス属の特定微生物で醗酵させる方法などがある。このとき、前記バシラス属の特定微生物は、バチルスサブチルス(Bacillus subtilis)、バチルスコアグランス(Bacillus coagulans)又はこれらの混合菌から選択される。また、本発明の醗酵蔓人参抽出物を得るために、原料として蔓人参の多様な器官又は部分、例えば、葉、花、根、幹、根茎、実、種子などを用いることができ、このうち、蔓人参の根を用いることが好ましい。一方、蔓人参から醗酵蔓人参抽出物を得るためには、抽出過程が必要であるが、このとき、抽出方法としては、当業界において公知されている通常の抽出方法、例えば、溶媒抽出法を用いることができる。溶媒抽出法を用いて醗酵蔓人参抽出物を製造するときに用いられ得る抽出溶媒は、水、炭素数が1~4の低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール及びブタノール)又はこれらの混合物である含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸チルア、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキサン及びこれらの混合物で構成された群から選択され得、このうち、水、アルコール又はこれらの混合物から選択されることが好ましい。抽出溶媒として水を用いる場合、水は、熱水であることが好ましい。また、抽出溶媒としてアルコールを用いる場合、アルコールは、炭素数が1~4の低級アルコールであることが好ましい。低級アルコールは、メタノール又はエタノールから選択されることがより好ましい。また、抽出溶媒として含水アルコールを用いる場合、アルコールの含量は、50~90%であることが好ましい。
【0035】
本発明は、水、アルコール又はこれらの混合物で抽出された天門冬(Asparagus cochinchinensis)抽出物を追加してn-ヘキサン、塩化メチレン、酢酸エチル及びn-ブタノールの順に系統分画して、塩化メチレン、酢酸エチル又はn-ブタノールに分画される酢酸エチル又はn-ブタノール分画物を有効成分として含むことができる。前記天門冬の根は、栽培したもの又は市販されるものなど制限なしに用いることができる。また、本発明による天門冬抽出物は、次のように製造され得る。天門冬の根を水できれいに洗浄した後、陰地及び室温で7日間乾燥する。乾燥した天門冬の根を粉砕した後、抽出容器に入れ、抽出溶媒で適切な温度で一定時間抽出する。前記天門冬抽出物を収得した後、濾紙などを用いて固形分を除去し、懸濁液を遠心分離して上層液を減圧濾過することができる。前記抽出溶媒は、水、アルコール又はその混合物、好ましくは、C1~C4の低級アルコール又はこれらの混合溶媒から選択された溶媒を用いることが好ましく、70%エタノールを用いることがより好ましいが、これに限定されるものではない。前記抽出溶媒の量は、天門冬の根の乾燥重量の2~10倍とする。
【0036】
前記抽出方法は、熱水抽出、浸漬抽出、還流冷却抽出及び超音波抽出などの抽出方法を用いることができ、好ましくは、熱水抽出方法で1回~5回抽出することができる。抽出時の温度は、50℃~100℃であることが好ましく、50℃~60℃であることがより好ましい。前記抽出時間は、1~4時間であり、好ましくは、2時間である。
【0037】
前記アマドコロ抽出物のアマドコロ(Polygonatum odoratum)は、ミドリヨウラク、オオアマドコロ、ワニグチソウなど多くの種類があるが、大韓民国には、16種2変種の合計18種類があり(李昌福、1995大韓植物図鑑、郷文社)、全て食用、観賞用及び薬用で用いることができる(崔榮典、1991山菜栽培と利用法、OSUNG出版社)。アマドコロの別名としては、イズイ、黄精、玉竹、黄芝、小筆管葉、仙人飯、兎竹、ナルコユウリ、陳黄精などがあり、本発明の方法によって使用可能なアマドコロは、前記アマドコロのどのような種類であってもよく、主に晩秋と早春に根を採取してきれいに洗浄して用いる。
【0038】
本発明のアマドコロ抽出物の製造方法としては、公知の方法を用いることが可能であるが、例えば、アマドコロの根などを採取して生根自体で又は日光による自然乾燥や機械的な強制乾燥の方法などで乾燥して細切した後、水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの極性溶媒及びエーテル、ヘキサン、クロロホルムなどの非極性溶媒を加えた後、室温で沈積抽出するか加温抽出することができる。
【0039】
本発明の好ましい一実施例において、アマドコロをメタノール溶媒下で80℃で48間の間加温抽出処理してブタノール層から得た抽出物が血糖降下効果、血漿脂質(総コレステロールと中性脂質、P<001)低下効果などの良好な生理活性度を示した。より具体的には、本発明者らは、乾燥アマドコロとメタノールを粉砕機に入れて細かく粉砕した後、細かく粉砕したアマドコロ-メタノール溶液を48時間の間80℃水浴上で冷却器と機械的撹拌機を付着して1-3回繰り返し・抽出し、前記過程による抽出溶液をフィルタで濾過してメタノール層を得た後、メタノール層に含まれているメタノールを減圧装置を用いて除去し、前記過程により収得されたメタノール抽出物に対して、メタノール抽出物:H2O:メタノール:抽出溶媒=10:9:1:10の割合で混ぜた後、抽出溶媒のヘキサン、クロロホルム、n-ブタノールの順でそれぞれ抽出して、最終的に薬理的効果を有するブタノール抽出物を得ることができた。
【0040】
前記黄耆(Astragali radix)抽出物は、当業界で公知の黄耆の抽出に用いられる方法を適用して抽出され得、一例として、溶媒抽出法であってもよいが、これに制限されない。また、前記黄耆抽出物は、カラムクロマトグラフィーを用いた追加的な分画工程をさらに行って精製した分画物として製造してもよい。抽出対象となる黄耆は、商業的に利用可能なものを購買して用いることができ、抽出工程を行う前に土のような異物を除去した後に用いることが好ましい。
【0041】
前記蒲公英(Dandelion;Taraxacum playtcarpum H DAHLST)は、キク科の多年生草本であるタンポポの全草であって、タラキサステロール(taraxasterol)、コリン、イヌリン(inulin)及びペクチンなどが含有されており、根には、タラキソール(taraxol)、タラキセロール(taraxerol)、Φタラキサステロール、タラキサステロール、β-アミリン(β-amyrin)、スチグマステロール(stigmasterol)、β-シトステロール(sitosterol)、コリン、有機酸、果糖、ビタミンCなどが含有されている。薬理作用としては、胃炎などに効能があるとして知られている。前記蒲公英抽出物は、当該技術分野で知られている方法で抽出され得、また、本発明に開示されている方法、例えば、水又は有機溶媒で抽出して得ることができる。
【0042】
オウゴン(Scutellaria baicalensis Georgi)は、シソ科の多年生植物であって、中国、日本、大韓民国で薬用植物として広く用いられている。オウゴンの主要効能は、炎症、呼吸器感染、消化器感染に効果があるとして知られている。オウゴンの主要成分としては、バイカレイン(baicalein)、バイカリン(baicalin)、オウゴニン(wogonin)、ノルウォゴニン(norwogonin)、オロキシリン(oroxylin)A、β-シトステロール(sitosterol)、モスロフラボン(mosloflavone)などが知られている。本発明のオウゴン抽出物は、下記のように製造され得る。乾燥したオウゴン全草を洗浄及び細切した後、精製水を含む水、メタノール、エタノール、ブタノールなどの炭素数1~4の低級アルコール又はこれらの混合溶媒から選択された溶媒、好ましくは、水、メタノール、エタノール及びその混合溶媒を数回混ぜた後に30℃~150℃、好ましくは、室温で12時間~30日、好ましくは、1日~7日間超音波抽出法、熱水抽出法、常温抽出法又は還流抽出法、好ましくは、常温抽出法を約1~20回、好ましくは、2~10回繰り返し行って得た抽出液を濾過、減圧濃縮及び乾燥して、本発明の粗抽出物を得ることができる。
【0043】
本発明で用いられる用語「生姜(Zingiber officinal)」とは、ショウガ科ショウガ属の熱帯アジア原産の多年生草である。ショウガ科は、主に熱帯に自生し、全世界に約47属1,400余種類がある。ショウガ属は、東アジア、インド、マレーシアに約50種が分布しており、大韓民国では、ショウガ属のミョウガ、生姜が栽培されており、バナショウガ属のバナショウガが栽培されており、バナミョウガ属のバナミョウガが南部地方の島の森土壌で自生している。生姜の高さは、40~100cm程度であり、根茎は、多少平たい円形で横に伸びた多肉質であり、根茎は、塊になって分枝しており、黄色を帯びておりよい香りがして辛みの刺激的な気味がある。葉は、互生で、2個に割れており、葉柄はなく、長い葉鞘が茎を取り囲んでいる。葉身は、線状披針形であって、長さは、15~20cmであり、幅は、約2cmであり、先が徐徐に尖っており、基部は、狭く、光沢があり、毛がない。花は、淡黄色であり、穂花序は、稠密で、長さ7cm程度であり、7~9月に開花するが、栽培したものは、ほとんど開花しない。結実期は、12月から翌年1月までである。生姜の乾かした根茎を乾姜、根茎のコルク皮を姜皮、葉を姜葉と言い、全て薬用する。本発明では、乾姜を好ましく用いることができる。
【0044】
本発明で、生姜抽出物は、生姜を洗浄して乾燥させた後に粉砕する段階:及び前記粉砕された生姜を水、C1~C4の低級アルコール又はこれらの混合溶媒から選択された溶媒で抽出して収得することができる。前記生姜抽出物は、水、C1~C4の低級アルコール及びこれらの混合溶媒で構成される群から選択される溶媒、好ましくは、メタノール又はエタノールで抽出したものを含み、メタノールで抽出したものがより好ましい。また、本発明において、前記抽出物には、抽出処理によって得られる抽出液、抽出液の希釈液又は濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれら粗生成物又は精製物のうちいずれか一つも含むこととする。
【0045】
抽出方法は、特に制限されず、有効成分が破壊されないか最小化された条件で室温又は加温して抽出することができる。より具体的に、本発明で生姜抽出物を得るための方法は次のとおりである。乾姜を乾燥重量の約2~20倍、好ましくは、約3~5倍に該当する体積の水、メタノール、エタノール及びブタノールなどのようなC1~C4の低級アルコールの極性溶媒又はこれらの約1:01~1:10の混合比を有する混合溶媒を溶出溶媒として用い、抽出温度は、20~100、好ましくは、25~35で、抽出期間は、約5時間~10日、好ましくは、5~48時間の間振盪抽出、熱水抽出、冷浸抽出、還流冷却抽出又は超音波抽出などの抽出方法を用いて抽出する。本発明の具体的な実施例によると、生姜の自然乾燥粉末を室温でメタノールで抽出した後、抽出液を濾紙を利用してフィルタし、35真空で蒸発濃縮させて抽出した。
【0046】
前記生姜抽出物は、天然、雑種、変種植物の多様な器官から抽出され得、例えば、根、茎、葉及び花だけでなく、植物組織培養物から抽出可能である。本発明の具体的な実施例によると、生姜抽出物は、乾姜の根にメタノールを添加し混合して得られた混合液を回収した後、濃縮した後に凍結乾燥させて製造した。
【0047】
本発明で、生姜抽出物の分画物は、生姜抽出物をMeOHに懸濁した後に極性溶媒又は非極性溶媒を用いて分画することによって、極性溶媒分画物と非極性溶媒分画物をそれぞれ収得することができる。本発明で、具体的な一様態として、溶媒分画物としては、MeOH分画物、水分画物、アセトニトリル分画物、n-ヘキサン分画物、酢酸エチル分画物又はクロロホルム分画物が提供される。本発明の具体的な実施例によると、生姜分画物は、生姜抽出物をCHCl-MeOH溶出を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分画して収得した。また、前記溶媒分画物をHO、アセトニトリル、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールなどの極性溶媒及び酢酸エチル、n-ヘキサン、ジクロロメタン又はクロロホルムなどの非極性溶媒のうち選択された2種以上からなる混合溶媒を移動相としてカラムクロマトグラフィーで分離し、トキソプラズマ症の予防及び治療に効能がある活性成分を分離して用いてもよい。
【0048】
前記長芋(Dioscorea batatas)は、単子葉植物のユリ目ヤマノイモ科のつる性多年草として、山芋、薯嚢とも言い、中国原産で、薬草として栽培し、山地で自生する。長芋の塊根は、澱粉が主成分として15~20%入っており、アルギニン、ヒスチジン、リシン、トリプトファンなどの各種アミノ酸と、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムなどの無機質だけでなく、ビタミンB1及びビタミンCなどの多様な成分を含有している。本発明で長芋は、塊根を用いる。
【0049】
前記甘草(Glycyrrhiza uralensis)は、マメ科の多年生草であって、中国北部、シベリア、イタリア南部、満洲、モンゴル等の地に自生又は栽培される。甘草は、すべての漢方薬処方で毒性を減らす成分として入り、鎮咳剤で用いられる薬草の一つである(Rauchensteiner F et al、JPharmBiomedAnal、38(4)、pp594-600、2005)。ヨーロッパでは、タバコやガム及びキャンデーなどに甘みを出すために用いることもある。最近、研究結果によれば、甘草は、腎臓の酸化的損傷を緩和させ(Yokozawa T etal、FreeRadicRes、39(2)、pp203-211、2005)、カドミウムにより損傷される肝臓細胞を保護する効果もあることが確認された(Kim SCet al、Toxicology、197(3)、pp239-251、2004)。
【0050】
本発明で甘草は、商業的に販売されるものを購入して用いるか、自然から直接採取又は栽培したものを用いることができる。前記甘草の抽出物を製造する方法は、超音波抽出法、濾過法及び還流抽出法など当業界において通常的な抽出方法を用いることができる。好ましくは、洗浄及び乾燥して異物が除去された甘草を粉砕して得た甘草乾燥物を水、C1~C4のアルコール又はこれらの混合溶媒で抽出した抽出物であってもよく、より好ましくは、C1~C4のアルコールで抽出した抽出物であってもよく、最も好ましくは、メタノール又はエタノールで抽出した抽出物であってもよい。このとき、抽出溶媒は、甘草の乾燥重量の2~20倍とすることが好ましい。一例として、甘草乾燥物を細切して後に抽出容器に入れてC1~C4の低級アルコール又はこれらの混合溶媒、好ましくは、メタノール又はエタノールを入れて一定期間常温で放置した後、濾過してアルコール抽出物を得ることができる。このとき、抽出は、常温で1週間放置することが好ましく、その後、濃縮又は凍結乾燥などの方法を追加的に経ることができる。
【0051】
ナツメは、昔から健康食品として栄養成分が豊かなので漢医薬では甘草とともに欠かせない材料である。ナツメには、基本的に糖質とアスコルビン酸(ascorbic acid)が多量含有されており、薬用成分としては、各種ステロール(sterol)、アルカロイド(alkaloid)、サポニン(saponin)、ビタミン、有機酸類、アミノ酸類などが含まれていることが報告されており、緩和剤、利尿剤、強壮剤、胆汁症、強精、体力回復、除胆剤、抗炎症剤などの薬理的効果が報告及び確認されて製薬業界で広く用いられている。最近、農産物の輸入開放によって市場が蚕食されているリンゴとブドウなどの代替物として脚光を浴びているナツメは、高所得果樹として奨励されてその栽培面積と収穫高が徐徐に増加しており、近来には、生果用として果重が大きく品質に優れた方向に育種栽培されている。
【0052】
本発明の一実施例によって追加される党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金の抽出物は、当該技術分野において通常の技術者に知られている方法により抽出され得る。
【0053】
本発明の組成物には、蜂蜜をさらに含んでもよい。
【0054】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、全体組成物に対してツメレンゲ抽出物を10~30重量%で含むことが好ましい。
【0055】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、全体組成物に対して5~15重量%で含むことが好ましい。
【0056】
本発明による抗呼吸器ウイルス用組成物は、ツメレンゲ抽出物:ツリガネニンジン抽出物が2~6:1~3の重量部で含まれることが好ましい。
【0057】
本発明の一実施例による抗呼吸器ウイルス用組成物は、蔓人参、天門冬、アマドコロ、黄耆、蒲公英、オウゴン、乾姜、長芋、人参、甘草、ナツメ、党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金の抽出物からなる群より選択された1種以上を全体組成物の50~70重量%含むことが好ましい。
【0058】
本発明のまた他の様相によると、本発明による前記抗呼吸器ウイルス用組成物に、薬剤学的に許容可能な担体、賦形剤又は希釈剤をさらに添加して抗呼吸器ウイルス用薬学組成物を提供することができる。
【0059】
本発明は、前記抗呼吸器ウイルス用食品組成物を含む健康機能食品を提供する。健康機能食品とは、飲料類、茶類などの食品素材に添加するか、カプセル化、粉末化、懸濁液などに製造した食品であって、これを摂取する場合、健康上特定の効果をもたらすものを意味するが、一般薬品とは異なり食品を原料として薬品の長期服用時に発生し得る副作用などがないという長所がある。このようにして得られる本発明の健康機能食品は、日常的に摂取することが可能であるので、非常に有用である。このような健康食品における抗呼吸器ウイルス用組成物の添加量は、対象である健康食品の種類によって異なり一律的に規定できないが、対象食品に対して、通常、001~50重量%、好ましくは、01~20重量%の範囲である。また、顆粒、錠剤又はカプセル形態の食品の場合には、通常、01~100重量%、好ましくは、05~80重量%の範囲で添加すれば良い。一具体例で、本発明の健康機能食品は、飲料の形態であってもよい。
【0060】
本発明による食品組成物又は健康機能食品は、抗呼吸器ウイルス治療剤の投与前後に又は同時に服用する補助食品として有用に用いることができる。
【0061】
<発明の実施のための形態>
【0062】
本発明の利点及び特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すると明確になる。しかし、本発明は、以下で開示する実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で具現され得る。ただし、本実施例は、本発明の開示が完全になるように、本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によって定義されるべきである。
【0063】
<製造例1:ツメレンゲ抽出物の製造>
【0064】
ツメレンゲ抽出物は、ツメレンゲ重量を基準として、20倍の蒸溜水をツメレンゲに添加して115℃で180分間熱水抽出し、0.45μmで1次濾過した後、0.22μmで2次濾過して沈殿物を除去した。その後、pHを7.0に調整して1.5ml Ep-チューブに1mlずつ分注し、-20℃で貯蔵して全ての分析に用いた。
【0065】
<製造例2:ツリガネニンジン抽出物の製造>
【0066】
ツリガネニンジンの葉、茎及び根部分を風乾して粉碎した後、10倍のメタノールを加えて12時間ずつ2回抽出した後、濾過液を集めて回転蒸発濃縮機で溶媒を蒸発させ、残った残渣を一部取って凍結させ(-70℃)、残りは順次溶媒分画に用いた。すなわち、ヘキサン、酢酸エチル、そして蒸溜水(水)で順に溶媒分画を行った後、溶媒を回転蒸発濃縮機で蒸発させて乾燥して試料で用いた。
【0067】
<製造例3:蔓人参、天門冬、アマドコロ、黄耆、蒲公英、オウゴン、乾姜、長芋、人参、甘草、ナツメ、党参、オケラ、貫衆、羌活、カッコウ、陳皮、五味子、拘杞子、槐花、兎糸子、丹参、相思子、遠志及び鬱金の抽出物の製造>
【0068】
各植物を洗浄して重量を測定した後、製造例1によって抽出物を製造した。
【0069】
<実施例1>
【0070】
製造例1で製造したツメレンゲ抽出物を用いた。
【0071】
<実施例2>
【0072】
製造例1の抽出物と製造例2の抽出物を10:5の重量比で混合して用いた。
【0073】
<実験例3~5>
【0074】
製造例1~製造例3の抽出物を下記表1の構成として組成物を製造した。
【0075】
【表1】
【0076】
<実験例1:ウイルスの培養>
【0077】
実施例1~5から得た水溶性抽出物の抗ウイルス能を測定するために用いられたウイルスは、伝染性胃膓炎ウイルス(TGEV)と豚流行性下痢ウイルス(PEDV)を対象とした。TGEVは、ST細胞で培養し、PEDVは、Vero細胞で培養した。ST胞とVero細胞は、ウシ胎児血清が10%含まれたMEM(minimal essential media)培地を用いて37℃培養器で培養した。
【0078】
<実験例2:ウイルス抑制能の分析>
【0079】
前記実施例1~5から得た水溶性抽出物のTGEVに対するウイルス増殖抑制能を測定するために、ST細胞とVero細胞を96ウェルプレート(well plates)で培養し、各細胞が90%以上ウェルの底に満ちているとき、既存の培養液を除去し、TGEVが含まれた新しい培養液を各ウェルに投与し、各植物抽出液は、濃度(250、500、1000μg/ml media)別にウェルに投与した。各抽出物のウイルス増殖抑制能の測定は、TGEVを48時間の間ST又はVero細胞に感染させた後に生きている細胞をSRB分析法(Martin A、Martin C(1997)Comparison of 5 microplate colorimetric assayfor in vitro cytoxicity testing and cell proliferation assay Cytotechnology、11:49-54)で測定した。各ウェルに10% TCA(trichloroacetic acid)を100μlずつ添加した後、1時間の間4℃で放置して蒸溜水で数回洗浄した。室温で乾燥させた後、1%(v/v)酢酸に溶かした04%(w/v)SRB(sulforhodamine B)溶液100μlを添加して30分間染色した。細胞と結合しないSRB染色液は、1%(v/v)酢酸で数回洗浄した後再び乾燥させた。各ウェルの底にある細胞の形態を顕微鏡カメラ(Zeiss社、Model Axivert10)を用いて撮影し、10mMトリス溶液(pH105)100μlを各ウェルに加えて細胞と結合している染色剤を十分に溶かした後、560nmで吸光度を測定した。各処理群は、ウイルスを処理しない群(A)、植物抽出物(実施例1~3)のみを処理した群(B)、ウイルスのみを処理した群(C)、ウイルスと水溶性抽出物をともに処理した群(D)で表記し、植物抽出物のウイルス増殖抑制能(%)[数式1]を計算した。
【0080】
[数式1]
ウイルス抑制能(%)=[(D-C)/(B-C)]×100
【0081】
<実験結果1:TGEVに対する抗ウイルス能の分析>
【0082】
実施例1~5の全ての抽出物のTGEVに対する抗ウイルス能を次の表2に示した。実施例1~5は、高いウイルス増殖抑制能を示し、そのうち実施例5の抽出物が最も高かった。
【0083】
【表2】