IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ グァンドン オッポ モバイル テレコミュニケーションズ コーポレーション リミテッドの特許一覧

特許7471399予測値の確定方法、復号器及びコンピュータ記憶媒体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】予測値の確定方法、復号器及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/593 20140101AFI20240412BHJP
   H04N 19/70 20140101ALI20240412BHJP
   H04N 19/59 20140101ALI20240412BHJP
【FI】
H04N19/593
H04N19/70
H04N19/59
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022519101
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2019108598
(87)【国際公開番号】W WO2021056433
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】516227559
【氏名又は名称】オッポ広東移動通信有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG OPPO MOBILE TELECOMMUNICATIONS CORP., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 18 Haibin Road,Wusha, Chang’an,Dongguan, Guangdong 523860 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ジュン
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホン
【審査官】松元 伸次
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-509005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N19/00-19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測値の確定方法であって、前記予測値の確定方法は復号器に応用され、
前記予測値の確定方法は、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得することと、
前記現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると前記復号化パラメータによって指示される場合、前記現在のブロックの第一テンプレートを確定することと、
前記現在のブロックの参照領域を確定することと、
前記参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、前記第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定することと、
前記マッチングテンプレートに基づいて、前記現在のブロックのマッチングブロックを確定することと、
前記マッチングブロックに基づいて、前記現在のブロックの予測値を確定することとを含み、
前記復号化パラメータは前記現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含み、前記第一テンプレートは前記現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、前記参照テンプレート処理パラメータは前記復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータであり、前記参照テンプレート処理パラメータは回転角度を指示し、
前記参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、前記第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定することは、
前記参照領域において、少なくとも1つの候補テンプレートを構築することであって、各候補テンプレートは前記第一テンプレートと同じサイズ及び形状を有する、構築することと、
前記回転角度に基づいて、前記少なくとも1つの候補テンプレートのみを回転させ、回転した後の少なくとも1つの候補テンプレートに基づいて、マッチングテンプレートを確定することとを含む、
ことを特徴とする予測値の確定方法。
【請求項2】
前記現在のブロックの第一テンプレートを確定することは、
予め設定された前記第一テンプレートの形状に基づいて、前記現在のブロックの隣接再構成サンプルのうちの、前記形状の範囲内に含まれているサンプルを前記第一テンプレートにおけるサンプルとすることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測値の確定方法。
【請求項3】
前記現在のブロックの参照領域を確定することは、
前記現在のブロックが位置する画像に含まれ、且つ前記現在のブロックが復号化される前に再構成された全部又は一部のサンプルを、前記参照領域として確定すること、又は、
前記現在のブロックが位置する画像以外の他の画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、前記参照領域として確定することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測値の確定方法。
【請求項4】
回転した後の少なくとも1つの候補テンプレートに基づいて、前記マッチングテンプレートを確定することは、
前記回転した後の少なくとも1つの候補テンプレートと前記第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算し、マッチング誤差が最小の候補テンプレートを前記マッチングテンプレートとすることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測値の確定方法。
【請求項5】
前記マッチングテンプレートに基づいて、前記現在のブロックのマッチングブロックを確定することは、
前記マッチングテンプレートによって指示されたポジションに位置し、且つ前記現在のブロックと同じサイズを有する領域に含まれているマッチングサンプルを前記マッチングブロックにおけるサンプルとすることを含み、
前記マッチングテンプレートと前記マッチングブロックとの間の相対位置は前記現在のブロックと前記第一テンプレートとの間の相対位置と同じである、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測値の確定方法。
【請求項6】
前記参照テンプレート処理パラメータは初期角度値と間隔ステップサイズ値を備え、
前記初期角度値に等しい初期値と前記間隔ステップサイズ値で示された間隔角度との合計は前記回転角度とされる、
ことを特徴とする請求項4に記載の予測値の確定方法。
【請求項7】
前記マッチングブロックに基づいて、前記現在のブロックの予測値を確定することは、
前記マッチングブロックを前記現在のブロックの予測値とすること、又は、
線形モデルで前記マッチングブロックにおけるサンプル値に対して加重処理を行うことによって、前記現在のブロックの予測値を確定することを含み、
前記線形モデルパラメータは、予め設定されたパラメータ、予め設定されたルールに基づいて導き出されたパラメータ、前記復号化パラメータに含まれている線形モデルパラメータのうちの1つである、
ことを特徴とする請求項1に記載の予測値の確定方法。
【請求項8】
予測値の確定方法であって、前記予測値の確定方法は符号器に応用され、
前記予測値の確定方法は、現在のブロックと前記現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を確定することと、
前記データ依存性が予め設定された閾値以上である場合、回転テンプレートモードを使用することと、
前記回転テンプレートモードのもとで、前記現在のブロックの参照領域を確定することと、
前記参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、前記第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定することと、
前記マッチングテンプレートに基づいて、前記現在のブロックのマッチングブロックを確定することと、
前記マッチングブロックに基づいて、前記現在のブロックの予測値を確定することとを含み、
前記第一テンプレートは前記現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む、
ことを特徴とする予測値の確定方法。
【請求項9】
前記現在のブロックの第一テンプレートを確定することは、
予め設定された前記第一テンプレートの形状に基づいて、前記現在のブロックの隣接再構成サンプルのうちの、前記形状の範囲内に含まれているサンプルを前記第一テンプレートにおけるサンプルとすることを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測値の確定方法。
【請求項10】
前記現在のブロックの参照領域を確定することは、
前記現在のブロックが位置する画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、前記参照領域として確定すること、又は、
前記現在のブロックが位置する画像以外の他の画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、前記参照領域として確定することを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測値の確定方法。
【請求項11】
前記参照テンプレート処理パラメータはテンプレートの回転角度を指示し、
前記参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、前記第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定することは、
前記参照領域における1つ又は複数の候補マッチング位置に対して、前記回転角度に基づいて、前記第一テンプレートと同じ形状を有する1つ又は複数の候補テンプレートを構築することと、
前記1つ又は複数の候補テンプレートと前記第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算し、マッチング誤差が最小の候補テンプレートを前記マッチングテンプレートとすることとを含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測値の確定方法。
【請求項12】
前記マッチングテンプレートに基づいて、前記現在のブロックのマッチングブロックを確定することは、
前記マッチングテンプレートによって指示されたポジションに位置し、且つ前記現在のブロックと同じサイズを有する領域に含まれているマッチングサンプルを前記マッチングブロックにおけるサンプルとすることを含み、
前記マッチングテンプレートと前記マッチングブロックとの間の相対位置は前記現在のブロックと前記第一テンプレートとの間の相対位置と同じである、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測値の確定方法。
【請求項13】
前記参照テンプレート処理パラメータは初期角度値と間隔ステップサイズ値を備え、
前記初期角度値に等しい初期値と前記間隔ステップサイズ値で示された間隔角度との合計は前記回転角度とされる、
ことを特徴とする請求項11に記載の予測値の確定方法。
【請求項14】
前記マッチングブロックに基づいて、前記現在のブロックの予測値を確定することは、
前記マッチングブロックを前記現在のブロックの予測値とすること、又は、
線形モデルで前記マッチングブロックにおけるサンプル値に対して加重処理を行うことによって、前記現在のブロックの予測値を確定することを含み、
前記線形モデルパラメータは、予め設定されたパラメータ、予め設定されたルールに基づいて導き出されたパラメータのうちの1つである、
ことを特徴とする請求項8に記載の予測値の確定方法。
【請求項15】
復号器であって、プロセッサと前記プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体とを含み、
前記記憶媒体は通信バスを介して前記プロセッサに依存して操作を実行し、前記プロセッサによって実行されると、前記命令は請求項1~7のいずれか一項に記載のステップを実行する、
ことを特徴とする復号器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ符号化・復号化におけるイントラ予測技術分野に関し、特に、予測値の確定方法、復号器及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現行のビデオ符号化・復号化標準、例えば、H265/266では、イントラ領域ベーステンプレートマッチング(intra region-based template matching)技術を利用してイントラ予測を行うことが多い。また、JEVT(Joint Video Exploration Team)-L0041では、イントラ予測に用いられる回転イントラブロックコピー(rotate intra block copy)技術が提案された。
【0003】
イントラ予測に用いられるイントラ領域ベーステンプレートマッチング技術では、全ての再構成ブロックのテンプレートをトラバース(traverse)することによって、再構成ブロックのテンプレートにおける対応位置のサンプル値と現在のブロックのテンプレートにおける対応位置のサンプル値との間の差分二乗和のうちの最小値を見つけ、最小値を有するテンプレートに対応する再構成ブロックのサンプル値を現在のブロックの予測値として確定する。
【0004】
また、イントラ領域ベーステンプレートマッチング技術と比べて、イントラ予測に用いられる回転イントラブロックコピー技術は、以下のように実現される。ブロック全体を任意の角度で回転させてマッチングを行い、再構成された画像ブロックの頂点のサンプル値と現在のブロックの頂点のサンプル値との間の差分二乗和のうちの最小値を見つけ、最小値に対応する再構成ブロックのサンプル値を現在のブロックの予測値として確定する。明らかに、イントラ領域ベーステンプレートマッチング技術では、予測値が符号化・復号化済みの再構成ブロックのテンプレートから選択されるため、最も類似である再構成ブロックを見つけることは難しい。イントラ予測に用いられる回転イントラブロックコピー技術では、再構成ブロックの回転が導入されたが、大量の計算量が増える。そこから、現行のビデオ符号化・復号化では、イントラ予測で確定された予測値がビデオ符号化・復号化の低効率につながっていることが分かる。
【発明の概要】
【0005】
上記に踏まえて、本発明の実施形態において、予測値の確定方法、復号器及びコンピュータ記憶媒体が提供される。それによって、復号器の復号化効率を高めることができる。
【0006】
本発明の実施形態の技術的解決策は以下のように実現されることができる。
【0007】
第一様態において、本発明の実施形態では、予測値の確定方法が提供され、当該方法は復号器に応用される。当該方法は以下の内容を含む。
ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得し、復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含み、
現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、
現在のブロックの参照領域を確定し、
参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータであり、
マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定し、
マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0008】
第二様態において、本発明の実施形態では、予測値の確定方法が提供され、当該方法は符号器に応用される。当該方法は以下の内容を含む。
現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、
データ依存性が予め設定された閾値以上である場合、回転テンプレートモードを使用し、
回転テンプレートモードのもとで、現在のブロックの参照領域を確定し、
参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、
マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定し、
マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0009】
第三様態において、本発明の実施形態では、復号器が提供される。当該復号器は解析モジュール、第一取得モジュール及び第一確定モジュールを含む。
解析モジュールは、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得するように構成されている。復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含む。
第一取得モジュールは、現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得するように構成されている。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。
第一確定モジュールは、現在のブロックの参照領域を確定し、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックのマッチングブロックを確定し、マッチングブロックに基づいて現在のブロックの予測値を確定するように構成されている。参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータである。
【0010】
第四様態において、本発明の実施形態では、復号器が提供される。当該復号器はプロセッサとプロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体とを含む。
記憶媒体は通信バスを介してプロセッサに依存して操作を実行し、プロセッサによって実行されると、命令は以下のステップを実行する。
ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得し、復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含み、
現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、
現在のブロックの参照領域を確定し、
参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータであり、
マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定し、
マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0011】
第五様態において、本発明の実施形態では、第一コンピュータ記憶媒体が提供される。第一コンピュータ記憶媒体は実行可能な命令を記憶する。実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、プロセッサが上記予測値の確定方法を実行する。
【0012】
第六様態において、本発明の実施形態では、符号器が提供される。当該符号器は、第二取得モジュールと第二確定モジュールを含む。
第二取得モジュールは、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得するように構成されている。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。
第二確定モジュールは、データ依存性が予め設定された閾値以上である場合に回転テンプレートモードを使用し、回転テンプレートモードのもとで現在のブロックの参照領域を確定し、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックのマッチングブロックを確定し、マッチングブロックに基づいて現在のブロックの予測値を確定するように構成されている。
【0013】
第七様態において、本発明の実施形態では、符号器が提供される。当該符号器は第二プロセッサと第二プロセッサによって実行可能な命令を記憶する記憶媒体とを含む。
記憶媒体は通信バスを介して第二プロセッサに依存して操作を実行し、第二プロセッサによって実行されると、命令は以下のステップを実行する。
現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、
データ依存性が予め設定された閾値以上である場合、回転テンプレートモードを使用し、
回転テンプレートモードのもとで、現在のブロックの参照領域を確定し、
参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、
マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定し、
マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0014】
第八様態において、本発明の実施形態では、第二コンピュータ記憶媒体が提供される。第二コンピュータ記憶媒体は実行可能な命令を記憶する。実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、プロセッサが上記予測値の確定方法を実行する。
【0015】
本発明の実施形態において、予測値の確定方法、復号器、コンピュータ記憶媒体が提供される。当該方法は復号器に応用される。当該方法は以下の内容を含む。ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得し、復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含み、現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含み、現在のブロックの参照領域を確定し、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータであり、マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定し、マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。換言すると、本発明の実施形態において、ビットストリームから回転テンプレートモードを取得し、回転テンプレートモードのもとで、現在のブロックの第一テンプレートを取得し且つ現在のブロックの参照領域を確定する。参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定する。次に、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックにマッチするマッチングブロックを確定し、現在のブロックの予測値を確定する。それで、画像ブロックのテンプレートを処理することによってより多くのテンプレートを取得し、より多くのテンプレートを現在のブロックのテンプレートと比較して、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックを見つけることができる。それは、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックをより正確に確定し、現在のブロックの予測値を確定することに有益である。テンプレートを回転させるという計算方法を利用することで、符号化・復号化の計算量を減らし、符号化・復号化の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、イントラ領域ベーステンプレートマッチングにおけるフレームの配列を示す概略図である。
図2図2は、回転イントラブロックコピーにおけるフレームの配列を示す概略図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施形態に係る選択可能なイントラテンプレートの回転の配列を示す概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る別の選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の実施形態に係る別の選択可能なイントラテンプレートの回転の配列を示す概略図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る選択可能なイントラテンプレートのサンプルの回転の構造を示す概略図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る図7におけるイントラテンプレートの一部のサンプルの回転の構造を示す概略図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係るもう一つの選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。
図10図10は、本発明の実施形態に係る選択可能な現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間の構造を示す概略図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る選択可能な予測値の確定方法の実例を示すフローチャートである。
図12図12は、本発明の実施形態に係る復号器の構造を示す概略図一である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る復号器の構造を示す概略図二である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る符号器の構造を示す概略図一である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る符号器の構造を示す概略図二である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態の特徴及び技術内容をより詳しく理解するために、以下、図面を参照しながら本発明の実施形態の実現を詳細に説明する。添付された図面はただ説明するために用いられ、本発明を限定するものではない。
【0018】
イントラ予測において、イントラ領域ベーステンプレートマッチング技術が利用される。図1は、イントラ領域ベーステンプレートマッチングにおけるフレームの配列を示す概略図である。図1に示されたように、現在のブロックBにとって、TはBのテンプレートである。Bを符号化するとき、再構成ブロックにおける各々のテンプレートをトラバースし、各再構成ブロックのテンプレートにおける対応位置のサンプル値とBのテンプレートにおける対応位置のサンプル値との間の差分二乗和を計算し、差分二乗和の最小値を有するテンプレートTをBにマッチする画像ブロックのテンプレートとして称し、Tに対応する再構成ブロックPのサンプル値をBの予測値として確定する。
【0019】
上記方法では、再構成ブロックのテンプレートを考慮に入れたが、再構成ブロックの数が比較的に少ないため、現在のブロックにマッチする画像ブロックを見つけることは難しい。上記欠点を克服するために、回転イントラブロックコピーを利用する。図2は、回転イントラブロックコピーにおけるフレームの配列を示す概略図である。図に示されたように、図2-(a)は回転前の再構成ブロックと現在のブロックの配列を示す概略図であり、図2-(b)回転後の再構成ブロックと現在のブロックの配列を示す概略図である。図2-(a)と図2-(b)において、Bは現在のブロックであり、Bの頂点座標はxである。Pが最終的に確定された現在のブロックにマッチする画像ブロックであり、且つPの頂点座標がхであると仮設すると、Bのサンプル行列はP(x)と表記される。符号器は符号化済みのサンプル行列Ω(x)(再構成ブロックのサンプル行列に相当する)を利用して、P(x)を予測する。イントラブロックコピー技術とは、P(x)の各サンプルのサンプル値とP(x)の各サンプルのサンプル値との差分二乗和が最小となるよう、Ω(x)において頂点がхである再構成ブロックを見つけ、そして、Pを見つけることである。
【0020】
回転イントラブロックコピー技術では、画像ブロックを任意の角度θで回転させることができる。Pθ(x)は、頂点がхである画像ブロックをθで回転させた後に得られた画像ブロックのサンプル行列を表す。Pθ(x)の各サンプルのサンプル値とP(x)の各サンプルのサンプル値との差分二乗和が最小となるよう、Ω(x)において頂点がхである画像ブロックを見つけ、そして、Pθ(x)をBの予測値として確定する。
【0021】
しかしながら、上記回転イントラブロックコピー技術では、画像ブロック全体に対して計算を行うため、計算が複雑であり、符号化・復号化の効率が悪い。ビデオ符号化・復号化の効率を向上させるために、本発明の実施形態において、予測値の確定方法が提供される。
【0022】
本発明の実施形態において、予測値の確定方法が提供され、当該方法は復号器に応用される。図3は、本発明の実施形態に係る選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。図3に示されたように、上記予測値の確定方法は以下の内容を含むことができる。
【0023】
S101、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得する。復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含む。
【0024】
イントラ予測の過程において、符号器は、現在のブロックを復号化する過程において使用される復号化パラメータをビットストリームに書き込み、ビットストリームを復号器に送信する。復号器は上記ビットストリームを受信した後、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得する。
【0025】
S102、復号化パラメータは現在のブロックが回転テンプレートモード(rotate template mode)を使用すると指示する場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得する。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプル(neighbouring reconstructed sample)を含む。
【0026】
本実施形態において、復号化パラメータは、符号化段階に使用される予測モードフラグであることができる。例えば、flag(予測モードフラグ)=1の場合、回転テンプレートモードが符号化段階に使用されることを表す。復号器は回転テンプレートモードを使用すると確定した場合、予め設定された第一テンプレートの形状に基づいて、現在のブロックの隣接再構成サンプルのうちの、形状の範囲内に含まれているサンプルを第一テンプレートにおけるサンプルとする。
【0027】
例示的に、現在のブロックの上隣接再構成サンプルと左隣接再構成サンプルを第一テンプレートの像素とする。
【0028】
S103、現在のブロックの参照領域を確定する。
【0029】
現在のブロックの参照領域を確定するために、一つの可能な実施形態において、復号器は、現在のブロックが位置する画像に含まれ且つ現在のブロックが復号化される前に再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定する。もう一つの可能な実施形態において、復号器は、現在のブロックが位置する画像以外の他の画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定する。
【0030】
得られた候補テンプレート(candidate template)が依然として参照領域に位置するように、一つの選択可能な実施形態において、復号器は回転角度を取得し、回転角度に基づいて候補テンプレートを候補テンプレートの頂点を中心として回転させ、回転後の再構成ブロックの参照領域を超えた部分をインターセプト(又は除外)する。インターセプト後に得られた再構成ブロックを回転可能な再構成ブロックとして確定し、回転可能な再構成ブロックのサンプル行列を取得し、回転可能な再構成ブロックのサンプル行列で再構成ブロックのサンプル行列を更新する。
【0031】
図4は、本発明の実施形態に係る選択可能なイントラテンプレートの回転の配列を示す概略図である。図4に示されたように、Bは現在のブロックであり、bはBのテンプレートであり、Bの頂点座標xに対応する画像ブロックのサンプル行列はP(x)である。例えば、図における再構成ブロックPに対して、回転を経て、回転後の再構成ブロックPとPのテンプレートpがちょうど参照領域を超えていない。Pの上の行と左の行は回転すると、いずれも参照領域を超える。そのため、再構成ブロックに対して、高さがaである再構成ブロック領域を上側の境界から下へインターセプトし、高さがaである再構成ブロック領域を左側の境界から右へインターセプトする。インターセプト後の残りの領域を回転可能な再構成ブロックとして確定し、回転可能な再構成ブロックで再構成ブロックを更新する。
【0032】
S104、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータ(reference template processing parameter)に基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレート(matching template)を確定する。参照テンプレート処理パラメータは、復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータである。
【0033】
現在のブロックに最もマッチするマッチングブロック(matching block)を見つけるために、参照テンプレート処理パラメータを利用して第一テンプレートに対応する候補テンプレートのサンプル行列を処理し、処理後のマッチングテンプレートを取得することができる。参照テンプレート処理パラメータが複数ある場合、複数のマッチングテンプレートを取得することができる。これで、複数のマッチングテンプレートを取得して現在のブロックの第一テンプレートと比較することができる。
【0034】
参照テンプレート処理パラメータはテンプレートの回転角度を指示することができ、例えば、時計回り回転角度又は反時計回り回転角度が挙げられる。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0035】
また、当該参照テンプレート処理パラメータは移動パラメータであってもよく、移動パラメータは、移動距離と移動方向を含むことができる。復号器は、移動距離と移動方向に基づいて候補テンプレートを移動させ、マッチングテンプレートを取得する。例えば、復号器は候補テンプレートを上に又は下に平行移動させる。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0036】
本実施形態において、参照テンプレート処理パラメータが回転角度である場合、一つの選択可能な実施形態において、図5は、本発明の実施形態に係る別の選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。図5に示されたように、復号器が参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定することは、以下の内容を含む。
【0037】
S201、復号器は参照領域における1つ又は複数の候補マッチング位置(candidate matching position)に対して、回転角度に基づいて、第一テンプレートと同じ形状を有する1つ又は複数の候補テンプレートを構築する。
【0038】
本実施形態において、参照テンプレート処理パラメータは初期角度値と間隔ステップサイズ値(interval step-size value)を備える。復号器は、初期角度値に等しい初期値と間隔ステップサイズ値で示された間隔角度(interval angle)との合計を回転角度とする。
【0039】
また、回転角度は360度より小さい。
【0040】
例えば、初期角度値が30度で、間隔ステップサイズ値が30度である場合、回転角度は30度、60度、90度、120度、150度、180度、210度、240度、270度、300度と330度を含むことができる。
【0041】
具体的に、復号器は、候補マッチング位置を頂点として、第一テンプレートと同じサイズを有する形状を候補マッチングポイントを中心として回転角度で回転させた後、形状の範囲内に含まれているサンプルを候補テンプレートとする。
【0042】
復号器は回転角度に基づいて、予め設定された第一フィルタで参照領域における1つ又は複数の再構成サンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、候補テンプレートにおけるサンプル値を得る。第一フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0043】
マッチングテンプレートを取得した後、復号器は、候補テンプレートにおける各サンプルのサンプル値と、回転角度と、2つの隣接サンプルの間の距離とに基づいて、補間法で候補テンプレートを計算する。
【0044】
例えば、図6は、本発明の実施形態に係る別の選択可能なイントラテンプレートの回転の配列を示す概略図である。図6に示されたように、Bは現在のブロックであり、Bの頂点座標はxである。Pが現在のブロックにマッチする画像ブロックであり、Pの頂点座標がхである場合、Bのサンプル行列はP(x)と表記される。復号器は、符号化済みのサンプル行列Ω(x)を利用してP(x)を予測する。予測の前に、予め設定された回転角度θに基づいてPのテンプレートpをPの頂点を中心として回転させることによって、図7に示されたPの回転後のテンプレートpを得る。Ω(x)において頂点がхである画像ブロックのテンプレートにマッチする候補テンプレート、即ち図7におけるpを見つけるために、p(x)の各サンプルのサンプル値とb(x)の各サンプルのサンプル値との差分二乗和を最小にする必要がある。それで、Pを見つけることができる。
【0045】
p(x)の各サンプルのサンプル値とb(x)の各サンプルのサンプル値との差分二乗和を計算する前に、p(x)を先に確定する必要がある。p(x)を確定するために、図7は、本発明の実施形態に係る選択可能なイントラテンプレートのサンプルの回転の構造を示す概略図である。図7に示されたように、点線は回転前のテンプレートpを示し、実線は回転後のテンプレートpを示す。回転前のテンプレートpで、点aのサンプル値f(a)、点bのサンプル値f(b)、点cのサンプル値f(c)と点dのサンプル値f(d)を取得し、且つ2つの隣接サンプル値の間の距離xを取得する。バイリニア補間法で点p(回転後の点b)のサンプル値を計算する。図8は、本発明の実施形態に係る図7におけるイントラテンプレートの一部のサンプルの回転の構造を示す概略図である。図8に示されたように、点pのサンプル値を計算するための公式は以下のようである。
【0046】
このように、最後に、回転角度がθである候補テンプレートのサンプル行列を得ることができる。
【0047】
S202、復号器は、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算し、マッチング誤差が最小の候補テンプレートをマッチングテンプレートとする。1つ又は複数の候補マッチング位置は参照領域において予め設定された1つ又は複数のサンプル位置であり、サンプル位置は整数サンプル位置又は分数サンプル位置である。
【0048】
具体的に、復号器はマッチング誤差基準に基づいて、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算する。マッチング誤差基準は誤差平方和、平均二乗誤差、差分絶対値和、平均絶対誤差、構造的類似性のうちの少なくとも1つを備える。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0049】
処理パラメータが時計回り回転角度であることを例として、実際の応用では、復号器は、第一テンプレートに対応する候補テンプレートを確定し、参照領域において、予め設定された回転角度に基づいて候補テンプレートを回転させる。画像ブロックの回転と比べて、テンプレートに対して回転を行う。テンプレートにおけるサンプルの数が画像ブロックにおけるサンプルの数より少ないため、テンプレートに対して回転を行うことによって、回転後のテンプレートにおける各サンプルのサンプル値の計算量を減らすことができる。
【0050】
S105、マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定する。
【0051】
本実施形態において、復号器がマッチングテンプレートに基づいて現在のブロックのマッチングブロックを確定する過程は以下のようである。復号器は、マッチングテンプレートによって指示されたポジションに位置し且つ現在のブロックと同じサイズを有する領域に含まれているマッチングサンプルを、マッチングブロックにおけるサンプルとする。マッチングテンプレートとマッチングブロックとの間の相対位置は現在のブロックと第一テンプレートとの間の相対位置と同じである。
【0052】
本実施形態において、復号器は、予め設定された第二フィルタで参照領域における1つ又は複数のサンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、マッチングブロックにおけるサンプル値を得る。第二フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0053】
S106、マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0054】
本実施形態において、復号器は、マッチングブロックを現在のブロックの予測値とする。又は、復号器は、線形モデルでマッチングブロックにおけるサンプル値に対して加重処理を行うことによって、現在のブロックの予測値を得る。線形モデルパラメータは、予め設定されたパラメータ、予め設定されたルールに基づいて導き出されたパラメータ、復号化パラメータに含まれている線形モデルパラメータのうちの1つである。具体的な選択は実際の状況に応じて行われ、本実施形態では特に限定されない。
【0055】
さらに、復号器は、マッチングブロックに基づいて現在のブロックの予測値を確定した後、ビットストリームを解析することによって、現在のブロックの予測残差を取得する。その後、復号器は、現在のブロックの予測値と予測残差に基づいて、現在のブロックにおけるサンプルの再構成値を得る。
【0056】
本発明に係るサンプル行列は彩度値のサンプル行列であってもよく、輝度値のサンプル行列であってもよい。それについては、本発明の実施形態では限定されない。
【0057】
ビットストリームから回転テンプレートモードを取得し、回転テンプレートモードのもとで、現在のブロックの第一テンプレートを取得し且つ現在のブロックの参照領域を確定する。参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定する。次に、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックにマッチするマッチングブロックを確定し、現在のブロックの予測値を確定する。それで、画像ブロックのテンプレートを処理することによってより多くのテンプレートを取得し、より多くのテンプレートを現在のブロックのテンプレートと比較して、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックを見つけることができる。それは、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックをより正確に確定し、現在のブロックの予測値を確定することに有益である。テンプレートを回転させるという計算方法を利用することで、符号化・復号化の計算量を減らし、符号化・復号化の効率を高めることができる。
【0058】
本発明の実施形態において、予測値の確定方法がさらに提供され、当該方法は符号器に応用される。図9は、本発明の実施形態に係るもう一つの選択可能な予測値の確定方法を示すフローチャートである。図9に示されたように、上記予測値の確定方法は以下の内容を含むことができる。
【0059】
S301、符号器は、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得する。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。
【0060】
符号器は現在のブロックの隣接再構成サンプルを取得し、且つ現在のブロックの隣接再構成サンプルを現在のブロックの第一テンプレートとして確定する。その後、符号器は、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得する。
【0061】
例示的に、図10に示されたように、図10は、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間の構造を示す概略図である。符号器は、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得する。
【0062】
S302、データ依存性が予め設定された閾値以上である場合、符号器は回転テンプレートモードを使用する。
【0063】
符号器内に予め設定された閾値が予めに設定される。現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得した後、符号器はデータ依存性と予め設定された閾値とを比較する。データ依存性が予め設定された閾値以上であると判断した場合、符号器は回転テンプレートモードを使用する。さらに、データ依存性が予め設定された閾値より小さいと判断した場合、符号器は従来の角度予測モードを使用する。
【0064】
S303、回転テンプレートモードのもとで、符号器は現在のブロックの参照領域を確定する。
【0065】
符号器によって実行されるS303の過程は、復号器によって実行されるS103の過程と同じであるため、ここで繰り返されないことに留意されたい。
【0066】
S304、符号器は参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定する。
【0067】
符号器によって実行されるS304の過程は、復号器によって実行されるS104の過程と同じであるため、ここで繰り返されないことに留意されたい。
【0068】
S305、符号器はマッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定する。
【0069】
符号器によって実行されるS305の過程は、復号器によって実行されるS105の過程と同じであるため、ここで繰り返されないことに留意されたい。
【0070】
S306、符号器はマッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。
【0071】
符号器によって実行されるS306の過程は、復号器によって実行されるS106の過程と同じであるため、ここで繰り返されないことに留意されたい。
【0072】
さらに、符号器は現在のブロックの予測値を確定した後、現在のブロックの予測値とオリジナル画像に対応の取得されたサンプル値とに基づいて現在のブロックの予測残差を確定する。現在のブロックの予測残差と、回転テンプレートモードを使用すると指示する復号化パラメータとをビットストリームに書き込む。これで、復号器は、本発明の実施形態に係る符号器によって使用される予測値の確定方法と同じな予測値の確定方法を利用して、現在のブロックの予測値を確定する。
【0073】
符号器は現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を確定し、データ依存性が予め設定された閾値以上である場合のみ、回転テンプレートモードを使用する。現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性が低い場合、マッチされたマッチングテンプレートに対応するマッチングブロックが一般的に現在のブロックとの類似性が低い。そのため、その場合に回転テンプレートモードを使用することはふさわしくない。現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性が高い場合のみ、回転テンプレートモードを使用する。それによって、検索時間を減らし、検索効率を高める。
【0074】
以下、実例を挙げて上記1つ又は複数の実施形態に記載の予測値の確定方法について説明する。
【0075】
図11は、本発明の実施形態に係る選択可能な予測値の確定方法の実例を示すフローチャートである。図11に示されたように、上記予測値の確定方法は以下の内容を含むことができる。
【0076】
S401:符号器はイントラ回転テンプレートマッチング(intra rotate template matching)の方法を利用して、再構成ブロックのテンプレートを回転させる。符号器はイントラ角度予測(intra angle prediction)の方法をさらに利用する。
【0077】
S402:符号器は再構成ブロックのテンプレートを回転させた後、検索範囲内の全ての現在のブロックと同じサイズを有する再構成ブロックのテンプレート(再構成ブロックによって取得される)をトラバースし、各回転後のテンプレートと現在のブロックのテンプレートとの差分二乗和を計算し、30度の初期値と30度のステップサイズ値、且つ360度より小さい角度値の回転角度で回転させて、回転後のテンプレートを得て、各回転角度に対応するテンプレートと現在のブロックのテンプレートとの差分二乗和を計算する。
【0078】
S403:符号器は差分二乗和のうちの最小値に対応するテンプレートを取って、当該テンプレートが属する再構成ブロックのサンプル値を、現在のブロックの予測値とする。
【0079】
S404:符号器は取得された予測値に基づいて予測残差を取得し、量子化、変化及びエントロピー符号化に基づいてイントラ回転テンプレートマッチングの方法を利用するコスト(cost)1を取得する。符号器は角度予測を利用するコスト(cost)2をさらに取得する。
【0080】
S405:符号器はコスト1とコスト2を比較する。コスト1のほうが小さい場合、符号器は回転テンプレートマッチングによって取得された予測情報を保存し、コスト2のほうが小さい場合、従来の角度予測によって取得された予測情報を保存する。
【0081】
前記実施形態と同じ発明思想に基づいて、図12を参照すると、図12は、本発明の実施形態に係る復号器1の構造を示す概略図一である。当該復号器1は解析モジュール10、第一取得モジュール11及び第一確定モジュール12を含む。
解析モジュール10は、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得するように構成されている。復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含む。
第一取得モジュール11は、現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得するように構成されている。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。
第一確定モジュール12は、現在のブロックの参照領域を確定し、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックのマッチングブロックを確定し、マッチングブロックに基づいて現在のブロックの予測値を確定するように構成されている。参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータである。
【0082】
上記解決策において、第一取得モジュール11は具体的に、予め設定された第一テンプレートの形状に基づいて、現在のブロックの隣接再構成サンプルのうちの、形状の範囲内に含まれているサンプルを第一テンプレートにおけるサンプルとするように構成されている。
【0083】
上記解決策において、第一確定モジュール12は具体的に、現在のブロックが位置する画像に含まれ、且つ現在のブロックが復号化される前に再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定するように構成されている。
【0084】
上記解決策において、第一確定モジュール12は具体的に、現在のブロックが位置する画像以外の他の画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定するように構成されている。
【0085】
上記解決策において、参照テンプレート処理パラメータはテンプレートの回転角度を指示する。
【0086】
上記解決策において、第一確定モジュールは、第一構築サブモジュールと第一計算サブモジュールをさらに含む。
第一構築サブモジュールは、参照領域における1つ又は複数の候補マッチング位置に対して、回転角度に基づいて、第一テンプレートと同じ形状を有する1つ又は複数の候補テンプレートを構築するように構成されている。
第一計算サブモジュールは、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算し、マッチング誤差が最小の候補テンプレートをマッチングテンプレートとするように構成されている。
【0087】
上記解決策において、1つ又は複数の候補マッチング位置は参照領域において予め設定された1つ又は複数のサンプル位置であり、サンプル位置は整数サンプル位置又は分数サンプル位置である。
【0088】
上記解決策において、第一構築サブモジュールは具体的に、候補マッチング位置を頂点として、第一テンプレートと同じサイズを有する形状を候補マッチングポイントを中心として回転角度で回転させた後、形状の範囲内に含まれているサンプルを候補テンプレートとするように構成されている。
【0089】
上記解決策において、第一確定モジュール12は、第一フィルタサブモジュールをさらに含む。
第一フィルタサブモジュールは、回転角度に基づいて、予め設定された第一フィルタで参照領域における1つ又は複数の再構成サンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、候補テンプレートにおけるサンプル値を得るように構成されている。
【0090】
上記解決策において、第一確定モジュール12はさらに、マッチングテンプレートによって指示されたポジションに位置し、且つ現在のブロックと同じサイズを有する領域に含まれているマッチングサンプルをマッチングブロックにおけるサンプルとするように構成されている。マッチングテンプレートとマッチングブロックとの間の相対位置は現在のブロックと第一テンプレートとの間の相対位置と同じである。
【0091】
上記解決策において、第一フィルタサブモジュールはさらに、予め設定された第二フィルタで参照領域における1つ又は複数のサンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、マッチングブロックにおけるサンプル値を得るように構成されている。
【0092】
上記解決策において、第一フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。
【0093】
上記解決策において、第二フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。
【0094】
上記解決策において、参照テンプレート処理パラメータは初期角度値と間隔ステップサイズ値を備える。初期角度値に等しい初期値と間隔ステップサイズ値で示された間隔角度との合計は回転角度とされる。
【0095】
上記解決策において、回転角度が360度より小さい。
【0096】
上記解決策において、第一計算サブモジュールはさらに、マッチング誤差基準に基づいて、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算するように構成されている。
【0097】
上記解決策において、マッチング誤差基準は誤差平方和、平均二乗誤差、差分絶対値和、平均絶対誤差、構造的類似性のうちの少なくとも1つを備える。
【0098】
上記解決策において、第一確定モジュール12はさらに、マッチングブロックを現在のブロックの予測値とし、又は、線形モデルでマッチングブロックにおけるサンプル値に対して加重処理を行うことによって、現在のブロックの予測値を得るように構成されている。線形モデルパラメータは、予め設定されたパラメータ、予め設定されたルールに基づいて導き出されたパラメータ、復号化パラメータに含まれている線形モデルパラメータのうちの1つである。
【0099】
上記解決策において、解析モジュール10はさらに、ビットストリームを解析することによって、現在のブロックの予測残差を取得するように構成されている。
第一確定モジュール12はさらに、現在のブロックの予測値と予測残差に基づいて、現在のブロックにおけるサンプルの再構成値を得るように構成されている。
【0100】
本実施形態において、「ユニット」は、回路の一部、プロセッサの一部、プログラムの一部又はソフトウェアの一部などであり得ることが理解され得る。もちろん、「ユニット」は、モジュール又は非モジュールであることもできる。
【0101】
また、本実施形態に係る各構成ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、各ユニットが単独に物理的に存在してもよいし、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積されてもよい。上記集積ユニットは、ハードウェア又はソフトウェア機能モジュールの形式で実現されることができる。
【0102】
集積ユニットは、ソフトウェアの機能モジュールとして実現され、且つ独立の製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ可読記録媒体に記憶されてもよい。この理解によれば、本発明の技術的解決策について、本質的な部分、又は従来技術に貢献できた部分、又は当該技術的解決策の全部又は一部は、ソフトウェア製品として表現され得る。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されており、1つのコンピュータ(パソコン、サーバー、又はネットワークデバイスなどであってもよい)又はプロセッサに本発明の各実施形態に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための複数の命令を含む。前記記憶媒体は、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)フラッシュディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどの各種のプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0103】
図13は、本発明の実施形態に係る復号器の構造を示す概略図二である。図13に示されたように、本発明の実施形態において、復号器1が提供される。復号器1は第一プロセッサ14と第一プロセッサ14によって実行可能な命令を記憶する第一記憶媒体15とを含む。第一記憶媒体15は第一通信バス16を介して第一プロセッサ14に依存して操作を実行する。第一プロセッサ14によって実行されると、命令は上記復号器に対応する予測値の確定方法を実行する。
【0104】
実際の応用では、端末における各コンポーネントは第一通信バス16を介して結合されている。第一通信バス16はこれらのコンポーネントの間の接続と通信を実現するために用いられる。第一通信バス16はデータバス以外に、電力バス、制御バス及びステータス信号バスをさらに含む。ただし、明確に説明するために、図13において、各種類のバスがいずれも第一通信バス16と表記される。
【0105】
本発明の実施形態において、第一コンピュータ記憶媒体が提供される。当該第一コンピュータ記憶媒体は実行可能な命令を記憶する。実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、第一プロセッサが上記1つ又は複数の実施形態における復号器に対応の予測値の確定方法を実行する。
【0106】
前記実施形態と同じ発明思想に基づいて、図14を参照すると、図14は、本発明の実施形態に係る符号器2の構造を示す概略図一である。当該符号器2は第二取得モジュール20と第二確定モジュール21を含む。
第二取得モジュール20は、現在のブロックと現在のブロックの第一テンプレートとの間のデータ依存性を取得するように構成されている。第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。
第二確定モジュール21は、データ依存性が予め設定された閾値以上である場合に回転テンプレートモードを使用し、回転テンプレートモードのもとで現在のブロックの参照領域を確定し、参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定し、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックのマッチングブロックを確定し、マッチングブロックに基づいて現在のブロックの予測値を確定するように構成されている。
【0107】
上記解決策において、第二取得モジュール20は具体的に、予め設定された第一テンプレートの形状に基づいて、現在のブロックの隣接再構成サンプルのうちの、形状の範囲内に含まれているサンプルを第一テンプレートにおけるサンプルとするように構成されている。
【0108】
上記解決策において、第二確定モジュール21は具体的に、現在のブロックが位置する画像に含まれ、且つ現在のブロックが復号化される前に再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定するように構成されている。
【0109】
上記解決策において、第二確定モジュール21は具体的に、現在のブロックが位置する画像以外の他の画像における再構成された全部又は一部のサンプルを、参照領域として確定するように構成されている。
【0110】
上記解決策において、参照テンプレート処理パラメータはテンプレートの回転角度を指示する。
【0111】
上記解決策において、第二確定モジュールは、第二構築サブモジュールと第二計算サブモジュールをさらに含む。
第二構築サブモジュールは、参照領域における1つ又は複数の候補マッチング位置に対して、回転角度に基づいて、第一テンプレートと同じ形状を有する1つ又は複数の候補テンプレートを構築するように構成されている。
第二計算サブモジュールは、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算し、マッチング誤差が最小の候補テンプレートをマッチングテンプレートとするように構成されている。
【0112】
上記解決策において、1つ又は複数の候補マッチング位置は参照領域において予め設定された1つ又は複数のサンプル位置であり、サンプル位置は整数サンプル位置又は分数サンプル位置である。
【0113】
上記解決策において、第二構築サブモジュールは具体的に、候補マッチング位置を頂点として、第一テンプレートと同じサイズを有する形状を候補マッチングポイントを中心として回転角度で回転させた後、形状の範囲内に含まれているサンプルを候補テンプレートとするように構成されている。
【0114】
上記解決策において、第二確定モジュール21は、第二フィルタサブモジュールをさらに含む。
第二フィルタサブモジュールは、回転角度に基づいて、予め設定された第一フィルタで参照領域における1つ又は複数の再構成サンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、候補テンプレートにおけるサンプル値を得るように構成されている。
【0115】
上記解決策において、第二確定モジュール21はさらに、マッチングテンプレートによって指示されたポジションに位置し、且つ現在のブロックと同じサイズを有する領域に含まれているマッチングサンプルをマッチングブロックにおけるサンプルとするように構成されている。マッチングテンプレートとマッチングブロックとの間の相対位置は現在のブロックと第一テンプレートとの間の相対位置と同じである。
【0116】
上記解決策において、第二フィルタサブモジュールはさらに、予め設定された第二フィルタで参照領域における1つ又は複数のサンプルに対してフィルタ処理を行うことによって、マッチングブロックにおけるサンプル値を得るように構成されている。
【0117】
上記解決策において、第一フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。
【0118】
上記解決策において、第二フィルタはローパスフィルタ又は補間フィルターである。
【0119】
上記解決策において、参照テンプレート処理パラメータは初期角度値と間隔ステップサイズ値を備える。初期角度値に等しい初期値と間隔ステップサイズ値で示された間隔角度との合計は回転角度とされる。
【0120】
上記解決策において、回転角度が360度より小さい。
【0121】
上記解決策において、第二計算サブモジュールはさらに、マッチング誤差基準に基づいて、1つ又は複数の候補テンプレートと第一テンプレートとの間のマッチング誤差を計算するように構成されている。
【0122】
上記解決策において、マッチング誤差基準は誤差平方和、平均二乗誤差、差分絶対値和、平均絶対誤差、構造的類似性のうちの少なくとも1つを備える。
【0123】
上記解決策において、第二確定モジュール21はさらに、マッチングブロックを現在のブロックの予測値とし、又は、線形モデルでマッチングブロックにおけるサンプル値に対して加重処理を行うことによって、現在のブロックの予測値を得るように構成されている。線形モデルパラメータは、予め設定されたパラメータ、予め設定されたルールに基づいて導き出されたパラメータ、復号化パラメータに含まれている線形モデルパラメータのうちの1つである。
【0124】
上記解決策において、符号器2は書き込みモジュールをさらに含む。
書き込みモジュールは、現在のブロックの予測残差と、回転テンプレートモードを使用すると指示する復号化パラメータとをビットストリームに書き込むように構成されている。予測残差は、現在のブロックの予測値とオリジナル画像に対応の取得されたサンプル値とに基づいて確定される。
【0125】
本実施形態において、「ユニット」は、回路の一部、プロセッサの一部、プログラムの一部又はソフトウェアの一部などであり得ることが理解され得る。もちろん、「ユニット」は、モジュール又は非モジュールであることもできる。
【0126】
また、本実施形態に係る各構成ユニットは、1つの処理ユニットに集積されてもよいし、各ユニットが単独に物理的に存在してもよいし、2つ以上のユニットは1つのユニットに集積されてもよい。上記集積ユニットは、ハードウェア又はソフトウェア機能モジュールの形式で実現されることができる。
【0127】
集積ユニットは、ソフトウェアの機能モジュールとして実現され、且つ独立の製品として販売されたり使用されたりする場合、コンピュータ可読記録媒体に記憶されてもよい。この理解によれば、本発明の技術的解決策について、本質的な部分、又は従来技術に貢献できた部分、又は当該技術的解決策の全部又は一部は、ソフトウェア製品として表現され得る。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されており、1つのコンピュータ(パソコン、サーバー、又はネットワークデバイスなどであってもよい)又はプロセッサに本発明の各実施形態に記載の方法の全部又は一部のステップを実行させるための複数の命令を含む。前記記憶媒体は、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュディスク、モバイルハードディスク、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク又は光ディスクなどの各種のプログラムコードを記憶可能な媒体を含む。
【0128】
図15は、本発明の実施形態に係る符号器の構造を示す概略図二である。図15に示されたように、本発明の実施形態において、符号器2が提供される。符号器2は、第二プロセッサ23と第二プロセッサ23によって実行可能な命令を記憶する第二記憶媒体24とを含む。第二記憶媒体24は第二通信バス25を介して第二プロセッサ23に依存して操作を実行する。第二プロセッサ23によって実行されると、命令は上記符号器に対応する的予測値の確定方法を実行する。
【0129】
実際の応用では、端末における各コンポーネントは第二通信バス25を介して結合されている。第二通信バス25はこれらのコンポーネントの間の接続と通信を実現するために用いられる。第二通信バス25はデータバス以外に、電力バス、制御バス及びステータス信号バスをさらに含む。ただし、明確に説明するために、図15において、各種類のバスがいずれも第二通信バス25と表記される。
【0130】
本発明の実施形態において、第二コンピュータ記憶媒体が提供される。当該第二コンピュータ記憶媒体は実行可能な命令を記憶する。実行可能な命令が1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、プロセッサが上記1つ又は複数の実施形態における符号器に対応の予測値の確定方法を実行する。
【0131】
本発明の実施形態のメモリは、揮発性メモリ又は不揮発性メモリであることができ、又は揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方を含むことができる。不揮発性メモリは、読み取り専用メモリ(Read-Only Memory、ROM)、プログラム可能な読み取り専用メモリ(Programmable Read-Only Memory、PROM)、消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(Erasable Programmable Read-Only Memory、EPROM)、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory、EEPROM)、又はフラッシュメモリ(Flash Memory)であることができる。揮発性メモリは、外部高速キャッシュとして機能するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)であることができる。例示的であるが限定的ではない例として、様々なRAMが利用可能であり、例えば、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random Access Memory、SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory、DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Synchronous Dynamic Random Access Memory、SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Double Data Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory、DDRSDRAM)、強化された同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(Enhanced Synchronous Dynamic Random Access Memory、ESDRAM)、同期リンクダイナミックランダムアクセスメモリ(Synch-link Dynamic Random Access Memory、SLDRAM)、ダイレクトランバスランダムアクセスメモリ(Dierct Rambus Random Access Memory、DRRAM)が挙げられる。本明細書に記載されるシステム及び方法のメモリは、これら及び他の任意の適切なタイプのメモリを含むことができるが、これらに限定されない。
【0132】
プロセッサは、信号処理能力を有する集積回路チップであることができる。実施プロセスにおいて、上記方法実施形態の各ステップは、プロセッサのハードウェア形態の集積論理回路(Integrated Logic Circuit)又はソフトウェア形態の命令によって完成されることができる。上記プロセッサは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor、DSP)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA)又は他のプログラム可能なロジックデバイス、ディスクリートゲート又はトランジスタロジックデバイス、ディスクリートハードウェアコンポーネントであることができる。プロセッサは、本発明の実施形態に開示された様々な方法、ステップ及び論理ブロック図を実現又は実行することができる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ又は任意の従来のプロセッサなどであることができる。本発明の実施形態に開示された方法のステップは、直接にハードウェア復号化プロセッサによって実行及び完成されることができ、又は復号化プロセッサにおけるハードウェア及びソフトウェアモジュールの組み合わせによって実行及び完成されることができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ、プログラム可能な読み取り専用メモリ、又は電気的に消去可能なプログラム可能なメモリ、レジスタなど本技術分野のマチュアな記憶媒体に位置することができる。記憶媒体はメモリにある。プロセッサはメモリにおける情報を読み取り、プロセッサのハードウェアとともに上記方法のステップを完成する。
【0133】
本発明に記載される実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード又はその組合によって実現されることができることが理解され得る。ハードウェアによって実現される場合、処理ユニットは、1つ又は複数の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号処理(DSP)、DSPデバイス(DSP Device、DSPD)、プログラム可能なロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)、フィールドプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)、汎用プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本発明に記載される機能を実行するために用いられるその他の電子ユニット又はその組合で実現することができる。
【0134】
ソフトウェアによって実現される場合、本発明に記載される技術は、本発明に記載される機能を実行するためのモジュール(例えば、手順、関数など)によって実現されることができる。ソフトウェアコードはメモリに記憶され且つプロセッサで実行される。メモリは、プロセッサ内又はプロセッサの外部で実現することができる。
【0135】
本明細書において、「含む」、「備える」又は他のバリアントなどの用語は非排他的な含みをカバーすることを意図するため、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置は、リストされた要素だけではなく、明確にリストされていない他の要素も含み、又はプロセス、方法、物品又は装置の固有の他の要素を含むことができる。制限がない限り、「…を含む」という文によって限定された要素を含むプロセス、方法、物品又は装置に別の同じ要素が存在することを排除しない。
【0136】
上記本発明の実施形態のシーケンス番号は、実施形態の優劣を示すものではなく、ただ説明するために採用される。
【0137】
上記実施形態の説明から、上記実施形態の方法が、ソフトウェアと必要な一般的なハードウェアプラットフォームによって実施されることができ、もちろん、ハードウェアによって実施されることも可能であることは当業者にとって明らかである。しかし、多くの場合、前者の方がより優れた実施態様である。この理解によれば、本発明の技術的解決策について、本質的な部分、又は従来技術に貢献できた部分は、ソフトウェア製品として表現され得る。このコンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体(例えば、RAM/ROM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶されており、1つの端末(例えば、携帯電話、コンピュータ、サーバー、又はネットワークデバイス)に本発明の各実施形態に記載の方法を実行させるための複数の命令を含む。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施態様を説明した。しかしながら、本発明は上記具体的な実施形態に限定されない。上記具体的な実施形態は、本発明を制限するものではなく、単に例示のためのものである。本発明の着想のもとで、本発明の主旨及び特許請求の範囲によって保護される範囲から逸脱しない限り、当業者は変更を加えることができる。これらはすべて、本発明の保護範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の実施形態において、ビットストリームを解析することによって現在のブロックの復号化パラメータを取得し、復号化パラメータは現在のブロックを復号化する過程において使用されるパラメータを含む。現在のブロックが回転テンプレートモードを使用すると復号化パラメータによって指示される場合、現在のブロックの第一テンプレートを取得し、第一テンプレートは現在のブロックの隣接再構成サンプルを含む。現在のブロックの参照領域を確定する。参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定する。参照テンプレート処理パラメータは復号化パラメータに含まれ、且つマッチングテンプレートを構築するために用いられるパラメータである。マッチングテンプレートに基づいて、現在のブロックのマッチングブロックを確定する。マッチングブロックに基づいて、現在のブロックの予測値を確定する。換言すると、本発明の実施形態において、ビットストリームから回転テンプレートモードを取得し、回転テンプレートモードのもとで、現在のブロックの第一テンプレートを取得し且つ現在のブロックの参照領域を確定する。参照領域において、参照テンプレート処理パラメータに基づいて、第一テンプレートのマッチングテンプレートを確定する。次に、マッチングテンプレートに基づいて現在のブロックにマッチするマッチングブロックを確定し、現在のブロックの予測値を確定する。それで、画像ブロックのテンプレートを処理することによってより多くのテンプレートを取得し、より多くのテンプレートを現在のブロックのテンプレートと比較して、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックを見つけることができる。それは、現在のブロックに最もマッチするマッチングブロックをより正確に確定し、現在のブロックの予測値を確定することに有益である。テンプレートを回転させるという計算方法を利用することで、符号化・復号化の計算量を減らし、符号化・復号化の効率を高めることができる。
図1
図2(a)】
図2(b)】
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15