(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-11
(45)【発行日】2024-04-19
(54)【発明の名称】スイッチモード電源における電力測定
(51)【国際特許分類】
H02M 7/12 20060101AFI20240412BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240412BHJP
【FI】
H02M7/12 A
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2022523197
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 CN2020077276
(87)【国際公開番号】W WO2021168831
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】521227078
【氏名又は名称】アステック インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,シュンジャン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ペンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】メン,リャン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハイジュン
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】特許第6204474(JP,B2)
【文献】特開2011-167058(JP,A)
【文献】特開2012-085413(JP,A)
【文献】特開2014-042433(JP,A)
【文献】国際公開第2018/128102(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチモード電源(SMPS)であって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合される力率補正(PFC)回路であって、PFC AC電流を受け入れるための入力を含む、PFC回路と、
前記PFC回路へ結合される制御回路と、を備え、前記制御回路は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成し、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定し、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定し、決定された前記周波数に基づいて前記フィルタ内のX-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定し、かつ決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて前記SMPSのAC入力電流を決定
し、
前記AC入力電流の平均値に基づき、決定された前記AC入力電流の精度を決定し、
前記精度が、規定された精度しきい値未満である場合、決定された前記AC入力電流を外部デバイスに報告するように構成される、SMPS。
【請求項2】
前記制御回路は、前記アナログ信号を生成するように構成される差動増幅器を含む、請求項1に記載のSMPS。
【請求項3】
前記制御回路は、前記アナログ信号を受信し、かつ前記アナログ信号および前記AC入力電流に基づいて前記SMPSの入力電力を決定するように構成されるデジタルコントローラを含む、請求項1又は2に記載のSMPS。
【請求項4】
前記制御回路は、前記アナログ信号と規定された前記しきい値とを比較し、かつ前記アナログ信号と規定された前記しきい値との前記比較に基づいて、立上りおよび立下りを有する矩形波信号を生成するように構成される比較器を含み、前記立上りまたは前記立下りは前記ゼロ交差に対応する、請求項1から3のいずれか一項に記載のSMPS。
【請求項5】
前記AC入力電流の決定された値は、前記AC入力電流の第1の決定された値であり、
前記制御回路は、前記AC入力電流の前記第1の決定された値の前記精度が、前記規定された精度しきい値以上である場合に、前記AC入力電流の別の値を決定するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のSMPS。
【請求項6】
SMPSであって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力を含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合されるPFC回路と、
差動増幅器とデジタルコントローラとを含む制御回路と、を備え、前記差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成され、かつ前記デジタルコントローラは、前記アナログ信号に基づいて、AC入力電圧および該AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定
し、
決定された前記AC入力電圧および決定された前記AC入力電流に基づいて、前記SMPSの入力電力を決定し、
前記入力電力の平均値に基づいて前記入力電力の精度を決定し、
前記精度が規定された精度しきい値未満である場合、前記入力電力を外部デバイスに報告するように構成される、SMPS。
【請求項7】
前記制御回路は、前記差動増幅器と前記デジタルコントローラとの間に結合される比較器を含み、前記比較器は、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定するように構成され、かつ、前記デジタルコントローラは、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて、前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、請求項
6に記載のSMPS。
【請求項8】
SMPSであって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合されるPFC回路であって、PFC AC電流を受け入れるための入力と、少なくとも1つの電源スイッチと、出力とを含む、PFC回路と、
前記PFC回路の出力へ結合されるDC/DC電源回路であって、少なくとも1つの電源スイッチと、変圧器とを含む、DC/DC電源回路と、
前記PFC回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するために前記PFC回路へ、かつ、前記DC/DC電源回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するために前記DC/DC電源回路へ結合される制御回路と、を備え、前記制御回路は、少なくとも1つの差動増幅器と、一次側デジタルコントローラと、二次側デジタルコントローラと、前記一次側デジタルコントローラと前記二次側デジタルコントローラとの間に結合される絶縁デバイスとを含み、前記差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成され、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記アナログ信号に基づいて前記AC入力電圧を決定し、前記アナログ信号に基づいて前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定し、決定された前記周波数に基づいて前記X-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定し、かつ決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて前記AC入力電流を決定
し、
決定された前記AC入力電圧および決定された前記AC入力電流に基づいて、前記SMPSの入力電力を決定し、
前記入力電力の平均値に基づいて前記入力電力の精度を決定し、
前記精度が規定された精度しきい値未満である場合、前記入力電力を外部デバイスに報告し、
前記入力電力の決定された値は、前記入力電力の第1の決定された値であって、
前記制御回路は、前記入力電力の前記第1の決定された値の前記精度が、前記規定された精度しきい値以上である場合に、前記入力電力の別の値を決定するように構成される、SMPS。
【請求項9】
前記制御回路は、前記差動増幅器と前記一次側デジタルコントローラとの間に結合される比較器を含み、前記比較器は、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定するように構成され、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて、前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、請求項
8に記載のSMPS。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチモード電源における電力測定に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションは、本開示に関連する、必ずしも先行技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
AC-DCスイッチモード電源(SMPS)は、一般に、フィルタと、力率補正(PFC)回路と、制御回路とを含む。制御回路は、検出されるパラメータに基づいて、SMPSの入力電流、入力電圧、入力電力、他を計算し得る。典型的には、SMPSは、入力電流および入力電圧の測定、入力電力の計算、他のために、電力計測チップを使用する。
【発明の概要】
【0004】
本セクションは、本開示の一般的概要を提供するものであり、よって、その全範囲またはその特徴の全ての包括的開示ではない。
【0005】
本開示の一態様によれば、SMPSは、ラインレールと、ニュートラルレールと、ラインレールとニュートラルレールとの間に結合される、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力、X-キャパシタンスおよび出力を有するフィルタと、フィルタの出力へ結合される、PFC AC電流を受け入れるための入力を有するPFC回路と、PFC回路へ結合される制御回路とを含む。制御回路は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成し、該アナログ信号と規定されたしきい値とを比較してアナログ信号のゼロ交差を決定し、アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいてAC入力電圧またはAC入力電流の周波数を決定し、決定された周波数に基づいてフィルタ内のX-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定し、かつ決定された無効電流およびPFC AC電流に基づいてSMPSのAC入力電流を決定するように構成される。
【0006】
本開示の別の態様によれば、SMPSのAC入力電流を決定するための方法が開示される。SMPSは、ラインレールと、ニュートラルレールと、ラインレールとニュートラルレールとの間に結合されるフィルタと、フィルタの出力へ結合されるPFC回路とを含む。本方法は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成することと、該アナログ信号と規定されたしきい値とを比較してアナログ信号のゼロ交差を決定することと、アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいてAC入力電圧またはAC入力電流の周波数を決定することと、決定された周波数に基づいてフィルタ内の無効電流を決定することと、決定された無効電流およびPFC AC電流に基づいてSMPSのAC入力電流を決定すること、を含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、SMPSは、ラインレールと、ニュートラルレールと、ラインレールとニュートラルレールとの間に結合される、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力を有するフィルタと、フィルタの出力へ結合されるPFC回路と、差動増幅器およびデジタルコントローラを有する制御回路とを含む。差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成される。デジタルコントローラは、アナログ信号に基づいて、AC入力電圧、およびAC入力電圧またはAC入力電流の周波数を決定するように構成される。
【0008】
本開示の別の態様によれば、SMPSは、AC入力電流を受け入れるための入力、X-キャパシタンスおよび出力を有するフィルタと、該フィルタの出力へ結合されるPFC回路と、該PFC回路へ結合される制御回路とを含む。制御回路は、SMPSのAC入力電気パラメータの値を決定し、SMPSの規定された効率および出力電力に基づいて、SMPSのAC入力電気パラメータの値を推定し、AC入力電気パラメータの決定された値とAC入力電気パラメータの推定された値との差が規定された許容しきい値未満である場合に、AC入力電気パラメータの平均値を決定し、AC入力電気パラメータの平均値に基づいて、AC入力電気パラメータの決定された値の精度を決定し、かつ、AC入力電気パラメータの決定された値の精度が規定された精度しきい値未満である場合に、AC入力電気パラメータの決定された値を外部デバイスへ報告するように構成される。
【0009】
本開示の別の態様によれば、SMPSのAC入力電気パラメータを報告するための方法が開示される。SMPSは、フィルタと、PFC回路とを含む。本方法は、SMPSのAC入力電気パラメータの値を決定することと、SMPSの規定された効率および出力電力に基づいて、SMPSのAC入力電気パラメータの値を推定することと、AC入力電気パラメータの決定された値とAC入力電気パラメータの推定された値との差が規定された許容しきい値未満である場合に、AC入力電気パラメータの平均値を決定することと、AC入力電気パラメータの平均値に基づいて、AC入力電気パラメータの決定された値の精度を決定することと、AC入力電気パラメータの決定された値の精度が規定された精度しきい値未満である場合に、入力電気パラメータの決定された値を外部デバイスへ報告すること、を含む。
【0010】
本開示の別の態様によれば、SMPSは、ラインレールと、ニュートラルレールと、ラインレールとニュートラルレールとの間に結合されるフィルタと、該フィルタへ結合されるPFC回路と、該PFC回路へ結合されるDC/DC電源回路と、制御回路とを含む。フィルタは、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含む。PFC回路は、PFC AC電流を受け入れるための入力と、少なくとも1つの電源スイッチと、出力とを含む。DC/DC電源回路は、少なくとも1つの電源スイッチと、変圧器とを含む。制御回路は、PFC回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するためにPFC回路へ結合され、かつDC/DC電源回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するためにDC/DC電源回路へ結合される。制御回路は、少なくとも1つの差動増幅器と、一次側デジタルコントローラと、二次側デジタルコントローラと、一次側デジタルコントローラと二次側デジタルコントローラとの間に結合される絶縁デバイスとを含む。差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成される。一次側デジタルコントローラは、アナログ信号に基づいてAC入力電圧を決定し、アナログ信号に基づいてAC入力電圧またはAC入力電流の周波数を決定し、決定された周波数に基づいてX-キャパシタンスを流れる無効電流を決定し、かつ決定された無効電流およびPFC AC電流に基づいてAC入力電流を決定するように構成される。
【0011】
さらなる態様および適用可能領域は、本明細書において提供する説明から明らかとなるであろう。本開示の様々な態様が、個々に、または1つもしくは複数の他の態様と組み合わせて実装され得ることは、理解されるべきである。また、本明細書における説明および特定の実施例の意図が、単に例示目的であって、本開示の範囲の限定にはないことも、理解されるべきである。
【0012】
本明細書における図面の説明の目的は、全ての可能な実装ではなく単に選択された実施形態を例示することにあり、よって、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の例示的な一実施形態による、SMPSのAC入力電流を決定するための方法のフロー図である。
【
図2】別の例示的な実施形態による、電力ライン周波数を決定するための信号のゼロ交差を示すグラフである。
【
図3】さらに別の例示的な実施形態による、フィルタと、PFC回路と、制御回路とを含むSMPSのブロック図である。
【
図4】別の例示的な実施形態による、フィルタと、PFC回路と、DC/DC電力変換器と、制御回路とを含むSMPSの略図である。
【
図5】さらに別の例示的な実施形態による、
図4のSMPSのインダクタ電流および入力電流の波形を示すグラフである。
【
図6】別の例示的な実施形態による、
図4のSMPSの無効電流および入力電流の波形を示すグラフである。
【
図7】さらに別の例示的な実施形態による、
図4の制御回路内のアナログ-デジタル変換器(ADC)のオフセット誤差および利得誤差を決定するための、SMPSの計算された入力電力値および実際の入力電力値を示すグラフである。
【
図8】別の例示的な実施形態による、フィルタと、ブリッジ整流器と、PFC回路と、DC/DC電力変換器と、制御回路とを含むSMPSのブロック図である。
【
図9】さらに別の例示的な実施形態による、SMPSのAC入力電気パラメータを報告するための方法のフロー図である。
【
図10】別の例示的な実施形態による、SMPSのAC入力電力を較正しかつ報告するための方法のフロー図である。
【
図11】さらに別の例示的な実施形態による、SMPSのAC入力電流を較正しかつ報告するための方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
幾つかの図面を通して、対応する参照数字は、対応する(ただし、必ずしも同一ではない)部分および/または特徴を示す。
【0015】
例示的な実施形態は、本開示が完璧なものとなり、かつ当業者にその範囲を十分に伝えるものとなるように提供される。本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特異的なコンポーネント、デバイスおよび方法の実施例などの特異的詳細を多く記載する。当業者には、特異的詳細が使用される必要のないこと、例示的な実施形態は、多くの異なる形態で具現され得ること、および、これらのいずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきでないことが明らかであろう。一部の例示的実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、および周知の技術の詳述を省略している。
【0016】
本明細書で使用する用語は、単に特定の例示的な実施形態を説明するためのものであり、よって、限定を意図するものではない。本明細書で使用する、単数形の冠詞「1つの(a、an)」、「その(the)」は、文脈による明らかな別段の指摘のない限り、複数形も包含することが意図され得る。「備える(comprises、comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包含的なものであり、よって、記載される特徴、完全体、ステップ、動作、エレメントおよび/またはコンポーネントの存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、エレメント、コンポーネントおよび/またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではない。本明細書に記載される方法ステップ、プロセスおよび動作は、実行順序として明示的に特定されていない限り、考察または例示される特定の順序での実行を必然として要求するものと解釈されるべきではない。また、追加的または代替的ステップが使用され得ることも、理解されるべきである。
【0017】
あるエレメントまたは層が別のエレメントまたは層「の上に」ある、「に係合」される、「へ連接」される、または「へ結合」される、と言及される場合、これは、他のエレメントまたは層の直上にある、該層に直に係合される、直に連接される、または直に結合されることもあれば、介在するエレメントまたは層が存在することもある。これに対して、あるエレメントが別のエレメントまたは層「の直上に」ある、「に直に係合」される、「直に連接」される、または「直に結合」される、と言及される場合、介在するエレメントまたは層は、存在しないことがある。エレメント間の関係性を記述するために使用される他の単語も、同様にして解釈されるべきである(たとえば、「間」と「直に間」、「隣接する」と「直に隣接する」、他)。本明細書で使用する「および/または」という用語は、列挙される関連アイテムのうちの1つまたはそれ以上のありとあらゆる組合せを包含する。
【0018】
本明細書において、第1の、第2の、第3の、他、という用語は、様々なエレメント、コンポーネント、領域、層および/または部分を説明するために使用され得るが、これらのエレメント、コンポーネント、領域、層および/または部分は、これらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、単に、あるエレメント、コンポーネント、領域、層または部分を別の領域、層または部分とは区別するために使用され得る。「第1の」、「第2の」および他の数値用語などの用語は、本明細書で使用される場合、文脈による明確な指示のない限り、連続性または順序を含意しない。したがって、以下で論じる第1のエレメント、コンポーネント、領域、層または部分は、例示的な実施形態の教示を逸脱することなく、第2のエレメント、コンポーネント、領域、層または部分と呼ばれる可能性もある。
【0019】
「内側」、「外側」、「すぐ下」、「より下」、「下方」、「より上」、「上方」およびこれらに類似するものなどの空間的な相対用語は、本明細書では、図に示すように、1つのエレメントまたは特徴の、別のエレメントまたは特徴に対する関係性を記述する上で、説明を容易にするために使用され得る。空間的な相対用語は、図に示されている向きに加えて、使用または動作におけるデバイスの異なる向きを包含することが意図されるものであり得る。たとえば、図中のデバイスがひっくり返された場合、他のエレメントまたは特徴「より下」またはその「すぐ下」として記述されているエレメントは、今度は他のエレメントまたは特徴「より上」に向けられることになる。したがって、「より下」という例示的な用語は、より上およびより下の両方の向きを包含することが可能である。デバイスは、その他の方向に向けられる(90度または他の向きに回転される)こともあり、よって、本明細書で使用される空間的な相対記述子は、それに応じて解釈され得る。
【0020】
次に、添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより完全に説明する。
【0021】
図1には、本開示の例示的な一実施形態による、フィルタとPFC回路とを含むSMPSのAC入力電流を決定するための方法が示され、概して参照数字100で示されている。
図1に示すように、方法100は、ブロック102において、SMPSにおけるACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成することと、ブロック104において、該アナログ信号と規定されたしきい値とを比較してアナログ信号のゼロ交差を決定することと、ブロック106において、アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて、電力ライン周波数(たとえば、AC入力電圧および/またはAC入力電流の周波数)を決定することと、ブロック108において、決定された周波数に基づいてフィルタ内を流れる無効電流を決定することと、ブロック110において、決定された無効電流およびPFC AC電流に基づいてSMPSのAC入力電流を決定すること、を含む。
【0022】
アナログ信号のゼロ交差を識別することにより、SMPSの電力ライン周波数は、精確に計算され得る。この電力ライン周波数は、後に詳述するように、AC入力電流を決定する際に使用される。したがって、電力ライン周波数を精確に決定することは、決定される入力電流が精確であることを保証する。入力電流が精確に決定されることから、AC入力電流などの入力パラメータを監視するために使用される従来の電力計測デバイス(たとえば、電力計チップ)などの電流検出デバイスは、不要である。
【0023】
先に説明したように、AC入力電流は、PFC AC電流および無効電流に基づいて決定される。たとえば、
図2は、ラインレールLと、ニュートラルレールNと、ラインレールLとニュートラルレールNとの間に結合される、AC入力電流i_inを受け入れるためのフィルタ202と、フィルタ202の出力へ結合されるPFC回路204とを含むSMPS200を示している。フィルタ202(たとえば、電磁干渉(EMI)フィルタ)は、ラインレールLとニュートラルレールNとの間に結合される1つまたは複数のX-キャパシタを含む。計算を目的として、1つまたは複数のX-キャパシタは、フィルタ202の等価X-キャパシタンスC_eqに組み合わされてもよい。これらのX-キャパシタは、無効電流i_cがラインレールLとニュートラルレールNとの間を流れるための経路を提供する。したがって、PFC回路204へ供給される電流i_pfcは、必ずしもAC入力電流i_inに等しくない。したがって、AC入力電流i_inを決定する際には、フィルタのX-キャパシタを通って流れる無効電流i_cの補償が行われるべきである。
【0024】
再度
図1を参照すると、電力ライン周波数は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号の少なくとも2つのゼロ交差に基づいて決定されてもよい。たとえば、
図3は、アナログ信号302と矩形波信号304とを含むグラフ300を示す。アナログ信号302は、先に説明したように、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表す。実施例によっては、アナログ信号302は、後に詳述するように、単一の差動増幅器によって生成されてもよい。
【0025】
矩形波信号304は、アナログ信号302と規定されたしきい値との比較に基づいて生成されてもよい。たとえば、矩形波信号304を生成するために、比較器が使用されてもよい。このような実施例において、比較器は、アナログ信号302が規定されたしきい値に等しい、規定されたしきい値より大きい、規定されたしきい値より小さい、他、の場合に、高い、または低い信号を出力してもよい。その後、比較器は、リセットされてもよい。これにより、矩形波信号304の様々な立上りおよび立下りが生成される。
【0026】
規定されるしきい値は、アナログ信号302のゼロ交差であってもよい。たとえば、規定されるしきい値は、ゼロに等しくてもよい。他の実施例では、信号がゼロより下へ落ちることを防止するためにアナログ信号がシフトされる場合、規定されるしきい値は、別の適切な正の値であってもよい。これは、情報を処理しかつ電力ライン周波数を計算するためにデジタルコントローラ(たとえば、デジタル信号プロセッサ(DSP)が使用される場合に、必要であり得る。
図3の特定の実施例において、アナログ信号は、1.65V(たとえば、3.3DSP電圧の半分)シフトされ、よって、規定されるしきい値は、1.65Vである。
【0027】
矩形波信号304の立上りおよび/または立下りは、アナログ信号のゼロ交差に対応してもよい。たとえば、
図3の特定例において、矩形波信号304の各立上りおよび各立下りは、アナログ信号の1つのゼロ交差(たとえば、1.65V)に対応する。他の実施例では、立上りのみ、または立下りのみが、ゼロ交差に対応してもよい。
【0028】
図3の実施例において、電力ライン周波数は、連続する2つのゼロ交差に基づいて決定されてもよい。たとえば、周波数fを決定するために連続する2つのゼロ交差が使用される場合、連続する2つのゼロ交差点間の時間間隔(t)は、以下の式(1)に示すように、主電源の周期(T)の半分であってもよい。式(1)は、周波数(f)について解くために、式(2)へと置き換えられ得る。上述の式(2)において、時間間隔(t)の測定、決定、他は、たとえば、制御回路(たとえば、本明細書に開示している制御回路のうちのいずれか1つ)におけるエッジ遮断機構によって行われてもよい。
式(1)
式(2)
【0029】
実施例によっては、電源の電力ライン周波数は、47Hz~63Hzで変わってもよい。周波数のこの変動は、
図2のフィルタ202のX-キャパシタンスC_eqなどの電源におけるインピーダンスに大きな影響を与え得る。たとえば、
図2のX-キャパシタンスC_eqの容量性リアクタンスは、1/(2
*pi
*f
*C)である。この容量性リアクタンスは、無効電流i_cに影響する。したがって、電力ライン周波数(f)の精確な値を決定することにより、無効電流i_cは、(後に詳述するように)精確に計算され得る。その結果、入力電流i_inは、高精度で決定され得る。
【0030】
さらに、先に説明した電力ライン周波数(f)の決定は、周波数の変動に適応性がある。たとえば、入力電圧の未知の電力ライン周波数(f)が変わる場合、アナログ信号のゼロ交差が相応して変化する。次には、連続する2つのゼロ交差点間の時間間隔(t)が変化する。したがって、電力ライン周波数(f)が(たとえば、47Hz~63Hz間で)変わったとしても、先に説明した周波数決定スキームは、周波数(f)の値を精確に決定し得る。
【0031】
決定される入力電流は、様々な方法で使用され得る。たとえば、決定される入力電流は、SMPSの他の電気的パラメータ(たとえば、入力電力、他)を計算するために使用されてもよい。このような実施例では、入力パラメータを計算する従来の電力計測デバイス(たとえば、電力計チップ)が不要である。さらに、決定される入力電流は、監視目的で外部デバイスへ周期的に、ランダムに、または連続的に報告されてもよい。他の実施例において、決定される入力電流は、PFC回路内の1つまたは複数の電源スイッチおよび/またはSMPS内の他の電力変換回路を制御するために使用されてもよい。このような実施例において、決定される入力電流は、SMPSの力率を高めるために使用されてもよい。
【0032】
AC入力電流を決定するための上記方法は、たとえば、本明細書に開示している制御回路のうちのいずれか1つを含む任意の適切な制御回路において実装されてもよい。たとえば、
図2に示すように、SMPS200は、PFC回路204へ結合される、PFC回路204内の少なくとも1つの電源スイッチ208を制御するための制御回路206を含む。
図2に示すように、制御回路206は、各々ACライン電圧およびACニュートラル電圧を表す検出された信号210、212を受信する。実施例によっては、制御回路206は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号(たとえば、
図3のアナログ信号302)を生成し、かつ該アナログ信号に基づいて、SMPS200のAC入力電圧および/または電力ライン周波数を決定してもよい。インスタンスによっては、制御回路206は、アナログ信号と規定されたしきい値とを比較してアナログ信号のゼロ交差を決定し、次に、該アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて電力ライン周波数を決定してもよい。実施例によっては、制御回路は、先に説明したように、決定された周波数に基づいてX-キャパシタンスC_eqを介して流れる無効電流i_cを決定し、かつ決定された無効電流i_cおよびPFC AC電流i_pfcに基づいてSMPS200のAC入力電流を決定してもよい。
【0033】
制御回路206は、電力ライン周波数、AC入力電圧、AC入力電流i_in、他を決定するための様々なコンポーネントを含み得る。実施例によっては、制御回路206は、AC入力電流i_inを決定するための1つまたは複数の増幅器、比較器、フィルタ、コントローラ、他を含んでもよい。たとえば、
図4は、差動増幅器408、410を有する制御回路406と、比較器412と、フィルタ414、416(たとえば、RCフィルタ、他)と、デジタルコントローラ418(たとえば、DSP)とを含むAC-DC SMPS400を示している。他の実施例において、制御回路406は、
図4に示されているものより多い、または少ないコンポーネントを含んでもよい。
図4の制御回路406は、
図2の制御回路206の例示的な一実装である。
【0034】
実施例によっては、差動増幅器408は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成してもよい。このような実施例において、デジタルコントローラ418は、アナログ信号に基づいて、AC入力電圧Vin_acおよび電力ライン周波数(たとえば、AC入力電圧Vin_acおよび/またはAC入力電流i_inの周波数)を決定してもよい。実施例によっては、制御回路406(たとえば、デジタルコントローラ418)は、次に、SMPS400の無効電流i_c、AC入力電流i_in、入力電力、他を決定してもよい。
【0035】
図4に示すように、SMPS400は、さらに、フィルタ402と、フィルタ402の出力へ結合されるアクティブPFC回路404とを含む。図示されているように、フィルタ402は、ラインレールLとニュートラルレールNとの間に渡って結合される等価X-キャパシタンスC_eqによって表される。
図4のこの特定の実施例において、PFC回路404は、ブーストトポロジを有する。したがって、PFC回路404は、ブースト構成で配置されるインダクタLと、電源スイッチQと、ダイオードDとを含む。図示されているように、電源スイッチQは、N-チャネルMOSFETである。他の実施例では、必要に応じて、別の適切なトポロジおよび/または適切なスイッチングデバイスが使用されてもよい。
【0036】
PFC回路404の電源スイッチQは、PFC電流ループ制御によって制御され得る。たとえば、制御回路406は、分圧器424を介してPFC回路404のバルク電圧を受け入れ、かつ差動増幅器410およびフィルタ416を介してインダクタ電流iLを受け入れてもよい。次に、制御回路406は、ドライバ426によって、電源スイッチQを制御するための制御信号を生成してもよい。
【0037】
さらに、SMPS400は、PFC回路404の出力へ結合されるDC/DC電力変換器420(たとえば、DC/DC電源回路)を含む。DC/DC電力変換器420は、たとえば、フライバックコンバータ、フォワードコンバータ(たとえば、2トランジスタ・フォワード・コンバータ)、バックコンバータ、ブーストコンバータ、ブリッジコンバータ(たとえば、フルブリッジ、ハーフブリッジ、他)、共振コンバータ(たとえば、LLCコンバータ、他)、他を含む、任意の適切な変換器トポロジを含んでもよい。さらに、DC/DC電力変換器420は、絶縁型変調器トポロジ(たとえば、変圧器を有する)または非絶縁型変換器トポロジを含んでもよい。実施例によっては、DC/DC電力変換器420は、絶縁変圧器の二次側に同期整流器を含んでもよい。
【0038】
さらに、SMPS400は、AC入力を整流するための整流回路を含んでもよい。たとえば、
図4に示すように、SMPS400は、フィルタ402とPFC回路404との間に結合されるダイオードブリッジ整流器422を含む。実施例によっては、
図4に示すように、整流器422とPRC回路404との間に高周波フィルタキャパシタCが結合されてもよい。他の実施形態では、必要に応じて、他の適切な整流回路が使用されてもよい。
【0039】
入力電流i_inは、PFC回路404へ供給されるインダクタ電流iLおよびフィルタ402内の無効電流i_cに基づいて決定されてもよい。入力電流i_inは、以下の式(1)に示すように表される。
i_in(t)=Iac×sin(wt)=iL(t)+ic(t)式(1)
【0040】
図4に示すように、インダクタ電流iLの瞬時値(たとえば、RMS値)は、分路抵抗器R1に渡る電圧降下に基づいて測定されてもよい。この電圧降下信号は、単一の差動増幅器410によって増幅される。次に、増幅された信号は、フィルタ414を介してデジタルコントローラ418内のADCのピンへ供給される。
図4のこの特定例では、差動増幅器410がオフセットを含む。たとえば、差動増幅器410は、出力が正であることを確実にすべく増幅器の出力をシフト(たとえば、オフセット)するための分圧器を含んでもよい。
【0041】
このような実施例において、インダクタ電流iLは、ADC(たとえば、ADC計数値)によりサンプリングされる電圧(Vil.ADC)に基づいて決定され、かつ差動増幅器410により供給されてもよい。たとえば、差動増幅器410の出力を変換した後のADCの値は、次式(2)を用いて決定されてもよい。
ViL.ADC=(R1×iL×Gi+Voffset)×ADCi 式(2)
【0042】
式(2)において、R1は、分路抵抗器の値であり、Giは、差動増幅器410の利得であり、Voffsetは、先に説明したように、差動増幅器410におけるオフセットであり、かつADCiは、ADCの割込みビットである。割込みビットADCiは、次式(3)のように表され得、ここで、Nは、ADCのビット数であり、Vrefは、ADCへ供給される基準電圧である。
式(3)
【0043】
インダクタ電流iLは、次式(4)に示すように、式(1)を置き換えることにより、計算され得る。
式(4)
【0044】
式(4)において、Vref、N、R1、GiおよびVoffsetの値は、SMPS400の設計に基づいて既知である。このような実施例において、ADCが(典型的であるように)12ビットのADCである場合、基準電圧Vrefは、2.5Vであり、Voffset/(R1xGi)は、Ioffsetに等しく、式(4)は、次式(5)に簡略化され得る。
式(5)
【0045】
式(5)は、さらに次式(6)へと簡略化され得る。式(6)において、Kiは、2.5/2^12*1/Rs*Giに等しく、Aは、ViL.ADCに等しく、かつBは、Ioffsetに等しい。このような実施例では、デジタルコントローラ418によりADC計数値ViL.ADCが取得されるとすぐに、インダクタ電流iLの導出が可能である。
iL=Ki×A-B 式(6)
【0046】
無効電流i_cは、次式(7)に示すように、等価X-キャパシタンスC_eqに基づいて決定され得る。
式(7)
【0047】
式(7)において、Vcは等価X-キャパシタンスC_eqに渡る電圧であり、次式(8)に基づいて決定される。式(8)において、Vac(t)は、AC主入力電圧であり、Vacは、AC入力電圧の実測値であり、wは、2xπ(pi)xf(周波数)に等しい。
Vc(t)=Vac(t)=Vac×sin(wt)式(8)
【0048】
式(7)と式(8)とを組み合わせると、無効電流i_cは、次式(9)のように表され得る。
i_c(t)=C_eq×Vac×w×cos(wt)式(9)
【0049】
たとえば、
図5および
図6は、SMPS400における、シミュレートされた電流の様々な波形を含むグラフ500、600を示す。具体的には、
図5のグラフ500は、インダクタ電流iL(t)を表す電流波形502と、入力電流i_in(t)を表す電流波形504とを含む。
図6のグラフ600は、無効電流i_c(t)を表す電流波形602と、入力電流i_in(t)を表す電流波形604とを含む。
【0050】
グラフ600は、軽負荷における無効電流i_cの影響を示す。たとえば、軽負荷(たとえば、負荷20%以下、他)において、入力電流i_in(t)(波形604)およびインダクタ電流iL(t)(たとえば、PFC電流)は、小さい。したがって、無効電流i_c(t)(波形602)は、入力電流i_in(t)に対し、より大きい負荷、全負荷、他、より大きく影響し得る。よって、無効電流i_in(t)が、たとえば軽負荷時において精確に計算され得ない場合、(無効電流に基づいて決定される)入力電流i_in(t)は、所望される精度基準を満たさないことがある。
【0051】
図4を再度参照すると、制御回路406は、AC主入力電圧および周波数(f)を決定するために、単一の差動増幅器408を用いる。たとえば、かつ
図4に示すように、差動増幅器408は、本明細書で説明しているように、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成する。このアナログ信号は、AC主入力電圧を得るためにデジタルコントローラ418へ供給される。たとえば、AC主入力電圧Vacの瞬時値(たとえば、RMS値)は、次式(10)に基づいて決定され得る。
式(10)
【0052】
式(10)において、Vac.ADCは、ADCによりサンプリングされて差動増幅器408により供給される電圧(たとえば、アナログ信号)を表し、R2/(R1+R2)は、主電圧をデジタルコントローラ418にとって許容可能な電圧レベルにスケールダウンするための分圧器を表し、Nは、ADCのビット数であり、Vrefは、ADCへ供給される基準電圧である。さらに、Zは、ADC電圧範囲(たとえば、2.5V)に対応するための電圧シフト(たとえば、1.25V)を表す。
【0053】
制御回路406は、AC主入力電圧を得る際の周波数(f)を決定し得る。たとえば、
図4に示すように、差動増幅器408により生成されるアナログ信号は、比較器412へ提供される。比較器412は、アナログ信号(たとえば、
図3のアナログ信号302)を規定されたしきい値と比較し、かつ、先に説明したように、該比較に基づいてデジタルコントローラ418のための矩形波信号(たとえば、
図3の矩形波信号304)を生成する。規定されるしきい値は、矩形波信号の立上りおよび/または立下りがアナログ信号(および、延てはAC主入力電圧)のゼロ交差に対応することを保証するように選択される。次に、デジタルコントローラ418内のADCは、先に説明したように、アナログ信号の立上りおよび立下り(ゼロ交差)に基づいて電力ライン周波数(f)を計算する。
【0054】
アナログ信号(AC主入力電圧)を単一の差動増幅器408で展開し、かつ精確なゼロ交差を比較器412で決定することにより、電力ライン周波数(f)は、精確に計算され得る。たとえば、かつ本明細書で説明しているように、周波数(f)は、差動増幅器408により生成されるアナログ信号(単一の波形)のゼロ交差点に基づいて決定される。これに対して、従来の手法は、複数の波形に基づいて周波数を決定している。具体的には、従来の手法は、ライン電圧信号のゼロ交差点、およびニュートラル電圧信号のゼロ交差点を決定し、次に、両方のゼロ交差点セットに基づいて周波数を決定している。したがって、ライン電圧信号およびニュートラル電圧信号間のゼロ交差時点での遅延は、決定される周波数を不精確にし得る。しかしながら、本開示の場合、電力ライン周波数(f)は、この遅延なしに精確に決定され得る。次に、精確な電力ライン周波数(f)は、先に説明したように、無効電流i_cを精確に決定するために使用され得る。
【0055】
さらに、
図4のこの特定の実施例において、AC主入力電圧および周波数(f)は、単一の差動増幅器408(たとえば、高インピーダンス差動増幅器)を使用することによって決定される。このような実施例では、従来の制御スキームが、ACライン電圧およびACニュートラル電圧を測定しかつ2つ以上のADCポートを必要とすることに比較して、周波数(f)を得るために、デジタルコントローラ418内のADCの1つのポートしか必要とされ得ない。
【0056】
実施形態によっては、制御回路406は、SMPS400へ供給される入力電力を決定し得る。たとえば、デジタルコントローラ418は、アナログ信号およびAC入力電流に基づいて、SMPS400の入力電力Pinを決定してもよい。より具体的には、デジタルコントローラ418は、先の式(10)において計算されたAC主入力電圧VacのRMS値と、先の式(1)において計算されたAC入力電流i_inのRMS値とを乗算することにより、入力電力Pinを計算してもよい。このような実施例において、力率は、0.99などの単位元(1)に近い値であるものとされる。
【0057】
計算された入力電力Pinは、実際の入力電力に基づいてSMPS400を較正するために使用され得る。たとえば、
図7は、異なる負荷における、計算された入力電力Pinの複数の値PM1~4と、実際の入力電力の複数の値P1~4とを含むグラフ700を示す。具体的には、値PM1、P1は、負荷10%に対応し、値PM2、P2は、負荷20%に対応し、値PM3、P3は、負荷50%(半負荷)に対応し、かつ値PM4、P4は、負荷100%(全負荷)に対応する。
【0058】
各々対応する計算値と実際の値との交点に基づいて、様々な負荷における、デジタルコントローラ418内のADCのオフセット誤差および利得誤差が決定され得る。たとえば、オフセット誤差および利得誤差は、負荷10%、負荷20%、負荷50%および負荷100%に対応する値PM1~4、P1~4に基づいて計算されてもよい。たとえば、以下の式(11)および式(12)は、各々、負荷10%と負荷20%との間のオフセット誤差および利得誤差を決定するために使用されてもよい。
オフセット誤差 式(11)
利得誤差 式(12)
【0059】
さらに、以下の式(13)および式(14)は、各々、負荷50%と負荷100%との間のオフセット誤差および利得誤差を決定するために使用されてもよい。
オフセット誤差 式(13)
利得誤差 式(14)
【0060】
オフセット誤差および利得誤差の計算は、SMPS400の出力電力にも適用可能であり得る。たとえば、SMPS400の計算された出力電力は、実際の出力電力に基づいてSMPS400を較正するために使用されてもよい。このような実施例において、式(11)~(14)に類似する式は、様々な負荷における、オフセット誤差および利得誤差を決定するために使用されてもよい。
【0061】
実施例によっては、本明細書に開示される制御回路は、1つまたは複数の電気的パラメータを外部デバイスへ報告し得る。たとえば、
図8は、外部デバイスと通信するためのインタフェースを有する制御回路806を含むAC-DC SMPS800を示す。
図8のこの特定の実施例において、インタフェースは、電力管理バス(PMBus)を含む。他の実施例において、インタフェースは、追加的に、かつ/または代替として、I-二乗-Cバス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)、ワイヤ、コネクタ、端子、他を含んでもよい。
【0062】
図8に示すように、SMPS800は、
図4のフィルタ402と、ブリッジ整流器422と、PFC回路404と、DC/DC電力変換器420とを含む。たとえば、DC/DC電力変換器420は、少なくとも1つの電源スイッチ802と、電源スイッチ802へ結合される変圧器804とを含んでもよい。電源スイッチ802は、高DCレールに沿って変圧器804の一次巻線へ結合されて示されているが、当業者には、電源スイッチ802および/または変圧器804は、たとえばDC/DC電力変換器420のトポロジに依存して別の適切な方法で結合され得ることが明らかであるはずである。
【0063】
図8の制御回路806は、
図4の制御回路406に類似するものであるが、DC/DC電力変換器420の電源スイッチ802を、PFC回路404の電源スイッチQと共に制御するための追加のコンポーネントを含む。たとえば、制御回路806は、主電圧調整回路808と、
図4のデジタルコントローラ418(たとえば、一次側デジタルコントローラ)と、二次側デジタルコントローラ812と、一次側デジタルコントローラ418と二次側デジタルコントローラ812との間に結合されるオプト-カプラ810とを含む。主電圧調整回路808は、先に説明したように、ライン電圧およびニュートラル電圧ならびに電力ライン周波数に基づいて信号を展開するための、差動増幅器(たとえば、
図4の差動増幅器408)、比較器(たとえば、
図4の比較器412)、他を含んでもよい。さらに、デジタルコントローラ418は、先に説明したように、電力ライン周波数、フィルタ402内の無効電流、SMPS800のAC入力電流Iin、AC主電圧Vac、入力電力Pin、他を決定してもよい。
【0064】
デジタルコントローラ812は、DC/DC電力変換器420内の1つまたは複数の電源スイッチを制御する。たとえば、デジタルコントローラ812は、DC/DC電力変換器420の出力電圧Voutおよび出力電流Ioutを表す信号を受信し、次に、受信された信号に基づいて、DC/DC電力変換器420内の電源スイッチを制御するための1つまたは複数の制御信号を生成する。
【0065】
さらに、デジタルコントローラ812は、所望に応じて、SMPS800の出力電力Poutを計算してもよい。実施例によっては、かつ
図8に示すように、制御回路806は、計算された出力電力Poutを、二次側デジタルコントローラ812から一次側デジタルコントローラ418へ渡してもよい。このような実施例において、一次側デジタルコントローラ418は、(後に詳述するように)入力電力Pinの推定、PFC回路内の電源スイッチQの制御、他、のために、出力電力Poutを用いてもよい。他の実施例では、所望に応じて、二次側デジタルコントローラ812が入力電力Pinを推定してもよい。
【0066】
オプト-カプラ810は、制御回路806において、一次側制御コンポーネントと二次側制御コンポーネントとの間に分離を提供する。図示されているように、入力パラメータ(たとえば、AC主電圧Vac、AC入力電流Iin、入力電力Pin、他)を表す信号は、一次側コントローラ418からオプト-カプラ810を介して二次側デジタルコントローラ812へ渡されてもよく、かつ出力パラメータ(出力電力Pout、他)を表す信号は、二次側コントローラ812からオプト-カプラ810を介して一次側デジタルコントローラ418へ渡されてもよい。実施例によっては、入力および出力パラメータは、汎用非同期送受信器(UART)を介してオプト-カプラ810を通過してもよい。
【0067】
入力および出力パラメータのうちの1つまたはそれ以上は、通信インタフェースを介して外部デバイスへ報告され得る。たとえば、
図8のこの特定の実施例において、AC主電圧Vac、AC入力電流Iin、入力電力Pin、出力電圧Vout、出力電流Iout、出力電力Pout、他のうちの1つまたはそれ以上は、二次側デジタルコントローラ812により、PMBusを介して外部デバイスへ送信されてもよい。これは、ユーザが、SMPS800の入力および出力パラメータが所望されるレベルにあることを精査して確定し、かつパラメータの計算値の精度を確定することを可能にする。他の実施例では、一次側デジタルコントローラ418が、入力および出力パラメータのうちのいずれか1つまたはそれ以上を外部デバイスへ通信インタフェースを介して報告してもよい。
【0068】
他の実施形態では、計算値の精度に依存して、1つまたは複数の電気的パラメータの計算値を報告することが望ましい場合がある。たとえば、
図9は、フィルタとPFC回路とを含むSMPSのAC入力電気パラメータを報告するための方法900を示している。
図9に示すように、方法900は、ブロック902において、SMPSのAC入力電気パラメータの値を計算することを含む。たとえば、後に詳述するように、AC入力電気パラメータは、たとえば、フィルタ内の無効電流、PFC入力電流、他、に基づいて決定されてもよい。
【0069】
方法900は、さらに、ブロック904において、SMPSのAC入力電気パラメータの値を推定することを含む。AC入力電気パラメータの推定値は、SMPSの効率、出力電力、他などの既知の特性に基づいて決定されてもよい。
【0070】
さらに、方法900は、ブロック906において、計算されたAC入力電気パラメータの平均値を決定することを含む。たとえば、AC入力電気パラメータは、幾つかのACサイクルの幾つかのサンプルに渡って平均されてもよい。計算されたAC入力電気パラメータを平均することは、電気パラメータの精度を高め得る。実施例によっては、このステップは、AC入力電気パラメータの計算値とAC入力電気パラメータの推定値との差が規定の許容しきい値未満である場合に実行される。
【0071】
方法900は、さらに、ブロック908において、AC入力電気パラメータの計算値の精度を決定することと、ブロック910において、入力電気パラメータの計算値を外部デバイスへ報告すること、を含む。計算されたAC入力電気パラメータの精度は、たとえば、AC入力電気パラメータの平均値に基づくものであってもよい。さらに、実施例によっては、入力電気パラメータの計算値は、AC入力電気パラメータの計算値が規定された精度しきい値未満である場合に報告される。
【0072】
図9のAC入力電気パラメータは、SMPSのAC入力電流、入力電力、他などのSMPSにおける任意の適切な電気的パラメータであってもよい。たとえば、
図10は、SMPSの入力電力を較正(または再較正)しかつ報告するための方法1000を示す。
【0073】
図10に示すように、方法1000は、ブロック1002において、SMPSのAC入力電力Pin.calを計算することと、ブロック1004において、SMPSのDC出力電力Pout.calを計算すること、を含む。たとえば、先に式(1)および式(10)に関連して説明したように、AC入力電力Pin.calは、計算されたAC入力電流(たとえば、AC入力電流のRMS値)およびAC入力電圧(たとえば、AC入力電圧のRMS値)に基づいて決定されてもよい。このような実施例において、計算されるAC入力電流は、先に説明したように、フィルタ内の無効電流、PFC電流、電力ライン周波数、他に基づくものであってもよい。DC出力電力Pout.calは、
図8に関連して先に説明したように、DC/DC電力変換器の検出された出力電圧Voutおよび出力電流Ioutに基づいて決定されてもよい。
【0074】
次に、方法1000は、ブロック1006において、テーブルを照会することと、ブロック1008において、AC入力電力Pin.estを推定すること、を含む。たとえば、テーブルは、実際の測定値に基づく様々な既知の効率曲線を含んでもよい。テーブルは、たとえば、方法1000を実装する制御回路内に記憶されるルックアップテーブルであってもよい。推定されるAC入力電力Pin.estは、計算された出力電力Pout.cal(典型的には、計算された入力電力Pin.calより精確である)および効率曲線に基づいて計算されてもよい。たとえば、推定されるAC入力電力Pin.estは、次式(15)に基づいて計算されてもよい。式(15)において、ηは、SMPSの効率を表し、η
PFCは、PFC回路の効率を表し、η
DC/DCは、計算された出力電力Pout.calにおけるDC/DC電力変換器、他の効率を表す。
式(15)
【0075】
方法1000は、さらに、ブロック1010において、計算されたAC入力電力Pin.calと推定されたAC入力電力Pin.estとの差ΔPinが規定された許容しきい値ε未満であるかどうか、を決定することを含む。規定される許容しきい値εは、たとえば、推定されたAC入力電力Pin.est、および所望されるAC入力電力Pin.calの精度に依存して、任意の適切な値であってもよい。たとえば、特定の値内の精度を有することが望ましい場合、規定される許容しきい値は、特定の値で乗算される推定されたAC入力電力Pin.estに等しくてもよい。たとえば、推定されたAC入力電力Pin.estが869Wであって、2%以内の精度を有することが望ましい場合、規定される許容しきい値εは、約17W(869W*2%)に等しくてもよい。
【0076】
ブロック1010において、計算されたAC入力電力Pin.calと推定されたAC入力電力Pin.estとの差ΔPinが規定された許容しきい値ε以上であることが決定された場合、方法1000は、ブロック1002における、SMPSのAC入力電力Pin.calの計算に戻る。このような実施例において、AC入力電力Pin.calは、AC入力電力Pin.calのより精確な値を決定する試みにおいて、再計算され得る。たとえば、AC入力電力Pin.calの計算に使用される様々なパラメータのうちのいずれか1つが変わってもよい。たとえば、無効電流、AC入力電流、電力ライン周波数、他などのパラメータは、より正確な値を決定するために再計算されてもよい。その結果、AC入力電流が決定され得、かつAC入力電力Pin.calは、より精確になり得る。したがって、AC入力電力Pin.calは、より精確な値を得るために較正(または、再較正)され得る。
【0077】
ブロック1010において、計算されたAC入力電力Pin.calと推定されたAC入力電力Pin.estとの差ΔPinが規定された許容しきい値ε未満であることが決定された場合、ブロック1012において、AC入力電力の平均値Pin.avgが計算される。実施例によっては、AC入力電力Pin.calの値を平均することは、精度を高め得る。たとえば、AC入力電力の平均値Pin.avgは、次式(16)に基づいて計算されてもよい。式(16)において、Nは、たとえば、幾つかのACサイクルのサンプル数を含む任意の適切な値を表してもよい。実施例によっては、AC入力電力Pin.calのより精確な平均値を達成するために、Nの値を増やすことが望ましい。
式(16)
【0078】
次に、方法1000は、ブロック1014において、計算されたAC入力電力Pin.calの精度が規定された精度しきい値Acc_threshold未満であるかどうかを決定することを含む。この決定は、次式(17)に示すように、平均されたAC入力電力Pin.avgに基づいて行われ得る。
式(17)
【0079】
規定される精度しきい値Acc_thresholdは、たとえば、設計パラメータ、他に基づく任意の適切な値であってもよい。実施例によっては、規定される精度しきい値Acc_thresholdは、SMPSへ結合される負荷に依存し得る。たとえば、規定される精度しきい値Acc_thresholdは、負荷20~100%、他、の範囲内の負荷に対して2%であってもよい。他の実施例において、規定される精度しきい値Acc_thresholdは、より軽い負荷(たとえば、負荷10~20%、他、の範囲内の負荷)に対して5%であってもよい。
【0080】
ブロック1014において、計算されたAC入力電力Pin.calの精度が規定された精度しきい値以上であることが決定された場合、方法1000は、先に説明したように、AC入力電力Pin.calのより精確な値を決定する試みにおいて、ブロック1002における、SMPSのAC入力電力Pin.calの計算(または、再計算)に戻る。このような実施例において、AC入力電力Pin.calは、より精確な値を得るために較正(または、再較正)され得る。しかしながら、ブロック1014において、計算されたAC入力電力Pin.calの決定された精度が規定された精度しきい値未満である場合、ブロック1016において、計算されたAC入力電力Pin.calが外部デバイスへ報告され得る。たとえば、先に説明したように、計算されたAC入力電力Pin.calは、PMBusを介して報告されてもよい。
【0081】
他の実施例において、
図9のAC入力電気パラメータは、AC入力電流であってもよい。たとえば、
図11は、SMPSのAC入力電流を較正(または再較正)しかつ報告するための方法1100を示す。
図11の方法1100は、
図10の方法1000と略同様であるが、AC入力電流に関連している。
【0082】
たとえば、かつ
図11に示すように、方法1100は、ブロック1102において、SMPSのAC入力電流Iin.calを計算することと、ブロック1104において、SMPSのDC出力電力Pout.calを計算すること、を含む。AC入力電流Iin.calは、先に説明したように、無効電流、PFC電流、電力ライン周波数、他、に基づいて決定されてもよい。
【0083】
方法1100は、次に、ブロック1106において、テーブルを照会することと、ブロック1108において、AC入力電流Iin.estを推定すること、を含む。先に説明したように、テーブル(たとえば、記憶されているルックアップテーブル)は、実際の測定値に基づく様々な既知の効率曲線を含んでもよい。
図11における推定されたAC入力電流Iin.estは、計算された出力電力Pout.cal、効率曲線、およびAC主電圧Vacに基づいて計算され得る。たとえば、推定されるAC入力電流Iin.estは、次式(17)に基づいて計算されてもよい。
式(17)
【0084】
次に、方法1100は、ブロック1110において、計算されたAC入力電流Iin.calと推定されたAC入力電流Iin.estとの差ΔIinが規定された許容しきい値ε未満であるかどうか、を決定することを含む。たとえば、規定される許容しきい値εは、入力電力の許容しきい値εに関連して先に説明したものと同様の方法で決定されてもよい。
【0085】
ブロック1110において、計算されたAC入力電流Iin.calと推定されたAC入力電流Iin.estとの差ΔIinが規定された許容しきい値ε以上であることが決定された場合、方法1100は、AC入力電流Iin.calのより精確な値を決定する試みにおいて、ブロック1102における、AC入力電流Iin.calの計算(または、再計算)に戻る。このような実施例において、AC入力電流Iin.calは、無効電流、PFC電流、電力ライン周波数、他、のより精確な値が得られる場合に、より精確な値を得るために較正(または、再較正)されかつ/または決定されてもよい。しかしながら、ブロック1110において、計算されたAC入力電流Iin.calと推定されたAC入力電流Iin.estとの差ΔIinが規定された許容しきい値ε未満であることが決定された場合、ブロック1112において、AC入力電流の平均値Iin.avgが計算される。これにより、AC入力電流Iin.calの精度が高まり得る。たとえば、AC入力電流の平均値Iin.avgは、次式(17)に基づいて計算されてもよい。式(17)において、Nは、先に説明したように、幾つかのACサイクルのサンプル数を表してもよい。
式(17)
【0086】
方法1100は、さらに、ブロック1114において、計算されたAC入力電流Iin.calの精度が規定された精度しきい値Acc_threshold未満であるかどうかを決定することを含む。計算されたAC入力電流Iin.calに関する規定された精度しきい値Acc_thresholdは、AC入力電力に関して規定される精度しきい値に関連して先に説明したように、2%、5%、他、などの任意の適切な値であってもよい。計算されたAC入力電流Iin.calの精度は、次式(18)に示すように、AC入力電流の平均値Iin.avgに基づいて決定される。
式(18)
【0087】
ブロック1114において、計算されたAC入力電流Iin.calの精度が規定された精度しきい値以上である場合、方法1100は、先に説明したように、AC入力電流Iin.calのより精確な値を決定する試み(たとえば、再較正)において、ブロック1102における、AC入力電流Iin.calの計算(または、再計算)に戻る。しかしながら、ブロック1114において、計算されたAC入力電流Iin.calの決定された精度が規定された精度しきい値未満である場合、ブロック1116において、計算されたAC入力電力Iin.calは、先に説明したように、たとえばPMBusを介して外部デバイスへ報告され得る。
【0088】
AC入力電気パラメータを較正(または、再較正)しかつ/または報告するための方法900、1000、1100は、たとえば、本明細書に開示している制御回路のうちのいずれか1つを含む任意の適切な制御回路によって、実装されてもよい。実施例によっては、これらの方法のうちの一部または全ての部分が、本明細書に開示しているデジタルコントローラのうちの1つまたはそれ以上によって実装されてもよい(たとえば、一次側デジタルコントローラ、二次側デジタルコントローラ、他が使用されてもよい)。さらに、AC入力電気パラメータを較正(または、再較正)しかつ/または報告するための方法は、AC入力電流を決定するための方法と併せて、制御回路において実装されてもよい。他の実施例において、AC入力電気パラメータを再較正しかつ/または報告するための方法(AC入力電流を決定するための方法ではない)は、制御回路において実装されてもよく、またはその逆であってもよい。
【0089】
本明細書で開示している制御回路は、アナログ制御回路、デジタル制御回路またはハイブリッド制御回路(たとえば、デジタル制御ユニットおよびアナログ回路)を含んでもよい。デジタル制御回路は、1つまたは複数のタイプのデジタル制御回路によって実装されてもよい。たとえば、デジタル制御回路は各々、デジタル信号コントローラ(DSC)、DSP、マイクロコントローラユニット(MCU)、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)、他などのデジタルコントローラを含んでもよい。したがって、本明細書に開示している制御方法のうちのいずれもが、デジタルコントローラにより少なくとも部分的に(かつ時には完全に)実行されてもよい。
【0090】
たとえば、制御回路がデジタル制御回路である場合、該制御回路は、1つまたは複数のハードウェアコンポーネントおよび/またはソフトウェアによって実装されてもよい。たとえば、本明細書に開示している特徴のうちの任意の1つまたはそれ以上を実行するための命令は、非一時的コンピュータ可読媒体、他、に記憶され、かつ/または非一時的コンピュータ可読媒体、他、から1つまたは複数の既存のデジタル制御回路、新規デジタル制御回路、他、へ転送されてもよい。このような実施例において、命令のうちの1つまたはそれ以上は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ROM、RAM、1つまたは複数のハードディスク、磁気ディスクドライブ、光ディスクドライブ、リムーバブルメモリ、非リムーバブルメモリ、磁気テープカセット、フラッシュメモリカード、CD-ROM、DVD、クラウドストレージ、他、に記憶されてもよい。
【0091】
たとえば、対応する電源回路が絶縁変圧器を含む場合、制御回路の一部分は、絶縁バリアの二次側に存在してもよい。このような場合、制御回路からの制御信号は、
図8に示すように、電源回路の一次側の電源スイッチを制御するために、絶縁バリアを(たとえば、絶縁変圧器、オプト-カプラ、他などの1つまたは複数の絶縁デバイスを介して)横断し得る。
【0092】
さらに、本明細書に開示している制御方法は、必要に応じて繰り返されてもよい。たとえば、制御回路は、必要に応じて、かつ/または妥当であれば、これらの方法を連続的に実行可能であってもよい。
【0093】
本明細書に開示している教示内容は、1つまたは複数の電源回路を有する任意の適切なSMPSに当てはまり得る。実施例によっては、この教示内容は、フロントエンドAC-DC分散電源の少なくとも一部において実装されてもよい。このような実施例において、電源は、90~264VACの範囲のAC入力電圧を47~63Hzの範囲の電力ライン周波数で受け取り、かつ調整された12VDC出力または別の適切な出力電圧を提供し得る。たとえば、電源は、12V/66.7Aで800W、12V/147.5Aで1800W、12V/163.9Aで2000W、12V/196.7Aで2400Wの出力電力定格、および/または別の適切な電力定格を有してもよい。実施例によっては、電源は、冗長アーキテクチャを含み、かつ単一の出力を提供してもよい。電源は、サーバアプリケーション、ストレージアプリケーション(たとえば、データベースアプリケーション、クラウドホスティングアプリケーション、他)、ネットワーキングアプリケーション、他、において特に有用であり得る。
【0094】
本明細書に開示している制御方法を使用することにより、AC主電圧は、典型的には従来の手法においてライン電圧およびニュートラル電圧をサンプリングする際に見られる遅延がなく、精確なゼロ交差を含むように展開され得る。その結果、電力ライン周波数の精確な値がゼロ交差から入手され得、よって、入力電流の精確な決定が、電力ライン周波数に基づいて達成され得る。実施例によっては、AC主電圧は、単一の差動増幅器を用いて発生され得る。このような実施例では、従来の手法における複数のポートと比較すると、デジタルコントローラ(使用される場合)において必要とされ得るADCのポートは、1つのみである。
【0095】
さらに、本制御方法は、従来の手法の場合のように電力計測デバイス(たとえば、電力計チップ)に依存することなく、入力電力を測定するためのソリューションを提供し得る。その結果、従来の手法と比較して、コストの削減、基板スペースの増大、他、がもたらされる。したがって、本明細書に開示している教示内容は、低コストでコンパクトなSMPS設計を提供し得る。
【0096】
さらに、本制御方法は、パラメータの精度を高めるべく、AC入力電流、入力電力、他などの入力パラメータを較正(または、再較正)するためのソリューションも提供し得る。パラメータの精度が適正である場合、パラメータは、必要に応じて外部デバイスへ報告されてもよい。入力パラメータの較正(または、再較正)は、SMPSの動作中に(たとえば、オンラインで)実行されてもよい。したがって、較正は、リアルタイム計算に基づくものであり得る。
【0097】
付番された以下の条項についても、開示する。
1.スイッチモード電源(SMPS)であって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合される力率補正(PFC)回路であって、PFC AC電流を受け入れるための入力を含む、PFC回路と、
前記PFC回路へ結合される制御回路と、を備え、前記制御回路は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成し、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定し、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定し、決定された前記周波数に基づいて前記フィルタ内のX-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定し、かつ決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて前記SMPSのAC入力電流を決定するように構成される、SMPS。
2.前記制御回路は、前記アナログ信号を生成するように構成される差動増幅器を含む、条項1に記載のSMPS。
3.前記制御回路は、前記アナログ信号を受信し、かつ前記アナログ信号および前記AC入力電流に基づいて前記SMPSの入力電力を決定するように構成されるデジタルコントローラを含む、条項1又は2のいずれかに記載のSMPS。
4.前記制御回路は、前記アナログ信号と規定された前記しきい値とを比較し、かつ前記アナログ信号と規定された前記しきい値との前記比較に基づいて、立上りおよび立下りを有する矩形波信号を生成するように構成される比較器を含み、前記立上りまたは前記立下りは前記ゼロ交差に対応する、条項1から3のいずれかに記載のSMPS。
5.前記制御回路は、前記SMPSの入力電力を決定し、前記入力電力の平均値に基づいて前記入力電力の精度を決定し、かつ、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、前記入力電力を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から4のいずれかに記載のSMPS。
6.前記入力電力の決定された値は、前記入力電力の第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記入力電力の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記入力電力の別の値を決定するように構成される、条項1から5のいずれかに記載のSMPS。
7.前記制御回路は、前記AC入力電流の平均値に基づいて、決定された前記AC入力電流の精度を決定し、かつ、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、決定された前記AC入力電流を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から6のいずれかに記載のSMPS。
8.前記AC入力電流の決定された値は、前記AC入力電流の第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記AC入力電流の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記AC入力電流の別の値を決定するように構成される、条項1から7のいずれかに記載のSMPS。
9.SMPSであって、
AC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含むフィルタと、
前記フィルタの出力へ結合されるPFC回路と、
前記PFC回路へ結合される制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記SMPSのAC入力電気パラメータの値を決定し、前記SMPSの規定された効率および出力電力に基づいて、前記SMPSのAC入力電気パラメータの値を推定し、前記AC入力電気パラメータの決定された値と前記AC入力電気パラメータの推定された値との差が規定された許容しきい値未満である場合に、前記AC入力電気パラメータの平均値を決定し、前記AC入力電気パラメータの平均値に基づいて、前記AC入力電気パラメータの決定された値の精度を決定し、かつ、前記AC入力電気パラメータの決定された値の精度が規定された精度しきい値未満である場合に、前記AC入力電気パラメータの決定された値を外部デバイスへ報告するように構成される、SMPS。
10.前記AC入力電気パラメータは、前記SMPSのAC入力電流またはAC入力電力である、条項1から9のいずれかに記載のSMPS。
11.前記制御回路は、前記フィルタ内の無効電流および前記PFC回路に供給されるPFC電流を決定し、かつ、前記無効電流および前記PFC電流に基づいて、前記AC入力電気パラメータの値を決定するように構成される、条項1から10のいずれかに記載のSMPS。
12.前記制御回路は、前記AC入力電流の周波数を決定し、かつ、前記AC入力電流の周波数に基づいて前記無効電流を決定するように構成される、条項1から11のいずれかに記載のSMPS。
13.前記制御回路は、前記SMPS内のACライン電圧と前記SMPS内のACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成することと、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定することと、前記アナログ信号のゼロ交差に基づいて、前記SMPSのAC入力電流の周波数を決定することによって、前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、条項1から12のいずれかに記載のSMPS。
14.前記AC入力電気パラメータの決定された値は、前記AC入力電気パラメータの第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記AC入力電気パラメータの第1の決定値と前記AC入力電気パラメータの推定された値との差が、規定された前記許容しきい値以上である場合に、前記AC入力電気パラメータの別の値を決定するように構成される、条項1から13のいずれかに記載のSMPS。
15.前記AC入力電気パラメータの決定された値は、前記AC入力電気パラメータの第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記AC入力電気パラメータの第1の決定値の精度が、規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記AC入力電気パラメータの別の値を決定するように構成される、条項1から14のいずれかに記載のSMPS。
16.SMPSであって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力を含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合されるPFC回路と、
差動増幅器とデジタルコントローラとを含む制御回路と、を備え、前記差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成され、かつ前記デジタルコントローラは、前記アナログ信号に基づいて、AC入力電圧および該AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、SMPS。
17.前記制御回路は、前記差動増幅器と前記デジタルコントローラとの間に結合される比較器を含み、前記比較器は、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定するように構成され、かつ、前記デジタルコントローラは、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて、前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、条項1から16のいずれかに記載のSMPS。
18.前記比較器は、前記アナログ信号と規定された前記しきい値との前記比較に基づいて、立上りおよび立下りを有する矩形波信号を生成するように構成され、かつ、前記立上りまたは前記立下りは、前記ゼロ交差に対応する、条項1から17のいずれかに記載のSMPS。
19.前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つは、前記アナログ信号の連続する2つのゼロ交差である、条項1から18のいずれかに記載のSMPS。
20.前記フィルタは、X-キャパシタンスを含み、かつ、前記デジタルコントローラは、決定された前記周波数に基づいて、前記X-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定するように構成される、条項1から19のいずれかに記載のSMPS。
21.前記PFC回路は、PFC AC電流を受け入れるための入力を含み、かつ、前記デジタルコントローラは、決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて、前記AC入力電流を決定するように構成される、条項1から20のいずれかに記載のSMPS。
22.前記デジタルコントローラは、前記AC入力電流の平均値に基づいて、決定された前記AC入力電流の精度を決定し、かつ、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、決定された前記AC入力電流を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から21のいずれかに記載のSMPS。
23.前記AC入力電流の決定された値は、前記AC入力電流の第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記AC入力電流の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記AC入力電流の別の値を決定するように構成される、条項1から22のいずれか一項に記載のSMPS。
24.前記デジタルコントローラは、前記アナログ信号を受信し、かつ決定された前記AC入力電圧信号および決定された前記AC入力電流に基づいて、前記SMPSの入力電力を決定するように構成される、条項1から23のいずれかに記載のSMPS。
25.前記デジタルコントローラは、前記入力電力の平均値に基づいて前記入力電力の精度を決定し、かつ、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、前記入力電力を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から24のいずれかに記載のSMPS。
26.前記入力電力の決定された値は、前記入力電力の第1の決定値であり、かつ、前記制御回路は、前記入力電力の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記入力電力の別の値を決定するように構成される、条項1から25のいずれかに記載のSMPS。
27.SMPSであって、
ラインレールおよびニュートラルレールと、
前記ラインレールと前記ニュートラルレールとの間に結合されるフィルタであって、AC入力電圧およびAC入力電流を受け入れるための入力と、X-キャパシタンスと、出力とを含む、フィルタと、
前記フィルタの出力へ結合されるPFC回路であって、PFC AC電流を受け入れるための入力と、少なくとも1つの電源スイッチと、出力とを含む、PFC回路と、
前記PFC回路の出力へ結合されるDC/DC電源回路であって、少なくとも1つの電源スイッチと、変圧器とを含む、DC/DC電源回路と、
前記PFC回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するために前記PFC回路へ、かつ、前記DC/DC電源回路の少なくとも1つの電源スイッチを制御するために前記DC/DC電源回路へ結合される制御回路と、を備え、前記制御回路は、少なくとも1つの差動増幅器と、一次側デジタルコントローラと、二次側デジタルコントローラと、前記一次側デジタルコントローラと前記二次側デジタルコントローラとの間に結合される絶縁デバイスとを含み、前記差動増幅器は、ACライン電圧とACニュートラル電圧との差を表すアナログ信号を生成するように構成され、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記アナログ信号に基づいて前記AC入力電圧を決定し、前記アナログ信号に基づいて前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定し、決定された前記周波数に基づいて前記X-キャパシタンスを介して流れる無効電流を決定し、かつ決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて前記AC入力電流を決定するように構成される、SMPS。
28.前記制御回路は、前記差動増幅器と前記一次側デジタルコントローラとの間に結合される比較器を含み、前記比較器は、前記アナログ信号と規定されたしきい値とを比較して前記アナログ信号のゼロ交差を決定するように構成され、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つに基づいて、前記AC入力電圧または前記AC入力電流の周波数を決定するように構成される、条項1から27のいずれかに記載のSMPS。
29.前記比較器は、前記アナログ信号と規定された前記しきい値との前記比較に基づいて、立上りおよび立下りを有する矩形波信号を生成するように構成され、かつ、前記立上りまたは前記立下りは、前記ゼロ交差に対応する、条項1から28のいずれか一項に記載のSMPS。
30.前記アナログ信号のゼロ交差のうちの少なくとも2つは、前記アナログ信号の連続する2つのゼロ交差である、条項1から29のいずれか一項に記載のSMPS。
31.前記一次側デジタルコントローラは、決定された前記無効電流および前記PFC AC電流に基づいて、前記AC入力電流を決定するように構成される、条項1から30のいずれかに記載のSMPS。
32.前記一次側デジタルコントローラは、前記AC入力電流の平均値に基づいて、決定された前記AC入力電流の精度を決定するように構成され、かつ、前記二次側デジタルコントローラは、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、決定された前記AC入力電流を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から31のいずれかに記載のSMPS。
33.前記AC入力電流の決定された値は、前記AC入力電流の第1の決定値であり、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記AC入力電流の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記AC入力電流の別の値を決定するように構成される、条項1から32のいずれかに記載のSMPS。
34.前記一次側デジタルコントローラは、前記アナログ信号を受信し、かつ決定された前記AC入力電圧信号および決定された前記AC入力電流に基づいて、前記SMPSの入力電力を決定するように構成される、条項1から33のいずれか一項に記載のSMPS。
35.前記一次側デジタルコントローラは、前記SMPSの入力電力を決定し、かつ前記入力電力の平均値に基づいて前記入力電力の精度を決定するように構成され、かつ、前記二次側デジタルコントローラは、前記精度が規定された精度しきい値未満である場合に、前記入力電力を外部デバイスへ報告するように構成される、条項1から34のいずれかに記載のSMPS。
36.前記入力電力の決定された値は、前記入力電力の第1の決定値であり、かつ、前記一次側デジタルコントローラは、前記入力電力の第1の決定値の精度が規定された前記精度しきい値以上である場合に、前記入力電力の別の値を決定するように構成される、条項1から35のいずれかに記載のSMPS。
【0098】
実施形態に関するこれまでの記述は、例示および説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、または本開示を限定することは、意図されていない。ある特定の実施形態の個々のエレメントまたは特徴は、概して、その特定の実施形態に限定されるものではなく、該当する場合は、具体的な指示または記述がない場合でも、交換可能であって、選択された実施形態において使用可能である。また、これらは、多くの方法で変えられてもよい。このような変形は、本開示からの逸脱と見なされるべきものではなく、よって、このような変更は全て、本開示の範囲に含まれることが意図される。